JP2014189764A - 発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート及び発泡成形品 - Google Patents

発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート及び発泡成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量化しても機械的強度の低下を抑制可能な発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】多官能ビニル系脂肪族化合物とスチレン系単量体由来の成分を基材樹脂として含み、前記多官能ビニル系脂肪族化合物が、100以上、1000未満の分子量を有し、前記基材樹脂が、前記スチレン系単量体中に多官能ビニル系脂肪族化合物を300〜3000ppm含む単量体混合物を重合させることにより得られ、前記基材樹脂は、温度160℃、一定ひずみ速度0.1/秒の条件で一軸伸長粘度を測定して求められる時間−伸長粘度曲線の対数プロットにおける非線形領域の一次近似直線の傾き(a1)と上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾き(a2)との比(a1/a2)が2.0より大きく、6.0以下となる樹脂であることを特徴とする発泡用ポリスチレン系樹脂組成物により課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート及び発泡成形品に関する。更に詳しくは、本発明は、軽量化しても機械的強度の低下を抑制可能な発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート及び発泡成形品に関する。
ポリスチレン系樹脂発泡シートは、軽量でありながら機械的強度や保温断熱性に優れ、成形加工性にも優れていることから、皿状、カップ状、丼状等の形状に成形されて各種食品包装材や簡易容器として広く用いられている。
容器リサイクル法の施行、環境問題への配慮、省資源の推進、コストダウン等の観点から上記容器にはより軽量化を図ることが求められている。軽量化するには、容器の厚みを薄くすることが考えられる。しかし、単に容器の厚みを薄くすると容器の強度が低下することがある。
また、厚みを同じにして発泡倍率を向上することにより、軽量化することも考えられる。しかし、この軽量化では、高倍化に伴って連続気泡率が増大してしまい、容器成形時の成形性が悪くなることがある。
軽量化を目的とする技術として、特開2012−207172号公報に記載された技術が知られている。この技術では、ポリスチレン系樹脂組成物の所定条件での一軸伸長粘度を測定した際に、時間−伸長粘度曲線の対数プロットにおける非線形領域の一次近似直線の傾きと上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾きとの比に着目している。具体的には、この比を1.2〜2.0の範囲とすることで、連続気泡の形成を抑制しつつ容器の軽量化を実現できるとされている。
特開2012−207172号公報
上記公報に記載の技術でも、ある程度の軽量化を達成できるが、近年、容器の更なる軽量化が求められるようになってきており、そのような求めに対しては、上記公報の技術では十分ではなかった。
本発明の発明者は、上記求めに応じるべく鋭意検討した結果、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物が、特定の分子量の分岐化剤としての多官能ビニル系脂肪族化合物を特定の含有量でスチレン系単量体中に含む単量体混合物に由来する基材樹脂を含み、基材樹脂の上記公報に記載の比が2.0より大きく、6.0以下の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物であれば、容器の物性を低下させることなく軽量化を実現可能なポリスチレン系樹脂発泡シートを提供可能であることを見い出し本発明に至った。
かくして本発明によれば、多官能ビニル系脂肪族化合物とスチレン系単量体由来の成分を基材樹脂として含み、
前記多官能ビニル系脂肪族化合物が、100以上、1000未満の分子量を有し、
前記基材樹脂が、前記スチレン系単量体中に多官能ビニル系脂肪族化合物を300〜3000ppm含む単量体混合物を重合させることにより得られ、
前記基材樹脂は、温度160℃、一定ひずみ速度0.1/秒の条件で一軸伸長粘度を測定して求められる時間−伸長粘度曲線の対数プロットにおける非線形領域の一次近似直線の傾き(a1)と上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾き(a2)との比(a1/a2)が2.0より大きく、6.0以下となる樹脂であることを特徴とする発泡用ポリスチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡することで得られたポリスチレン系樹脂発泡シートが提供される。
更に、本発明によれば、上記ポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて得られた発泡成形品が提供される。
本発明によれば、容器の物性を低下させることなく軽量化を実現可能なポリスチレン系樹脂発泡シートを提供できる。
また、本発明によれば、
(1)多官能ビニル系脂肪族化合物が、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する
(2)基材樹脂が、基材樹脂を濃度5質量%となるようにトルエン中に23℃、1時間で溶解させた時に、5質量%以上のトルエン不溶分量を示す
(3)基材樹脂が、基材樹脂をテトラヒドロフランに0.3g/Lの濃度で23℃、72時間静置しながら溶解させた時に、テトラヒドロフラン不溶分量0%(完全溶解)を示す
(4)基材樹脂が、水性懸濁液中に分散させた、多官能ビニル系脂肪族化合物である分岐化剤と、スチレン系単量体を含む単量体混合物とを懸濁重合させることによって得られる
(5)基材樹脂が、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂の種粒子に、多官能ビニル系脂肪族化合物である分岐化剤と、スチレン系単量体を含む単量体混合物とを断続的又は連続的に供給して重合させることによって得られる
のいずれかを備えることで、より容器の物性を低下させることなくより軽量化を実現可能なポリスチレン系樹脂発泡シートを提供できる。
実施例1の時間−伸長粘度曲線である。
(発泡用ポリスチレン系樹脂組成物)
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物は、多官能ビニル系脂肪族化合物とスチレン系単量体由来の成分を基材樹脂として含む。
(1)基材樹脂
(a)比(a1/a2
基材樹脂は、温度160℃、一定ひずみ速度0.1/秒の条件で一軸伸長粘度を測定して求められる時間−伸長粘度曲線の対数プロットにおける非線形領域の一次近似直線の傾き(a1)と上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾き(a2)との比(a1/a2)が2.0より大きく、6.0以下となる樹脂である。この物性は、ポリスチレン系樹脂の分子鎖同士を多官能ビニル系脂肪族化合物で架橋した構造から測定することは困難である。そのため、発明者は、この物性を有する基材樹脂は、ポリスチレン系樹脂の分子鎖を多官能ビニル系脂肪族化合物で分岐させた構造を有していると考えている。
比(a1/a2)が2.0以下の場合、歪硬化性の効果が小さく、押出発泡性、成形性が悪くなることがある。6.0より大きい場合、生産性、押出発泡性が悪くなることがある。好ましい比(a1/a2)は2.0より大きく、5.0以下、より好ましい比(a1/a2)は2.0より大きく、4.0以下、更に好ましい比(a1/a2)は2.0より大きく、3.5以下である。
上記「非線形領域」とは、変曲点(対数プロットの非線形領域と線形領域を分けるプロットの傾きが変化する点)以降に現れる領域を意図しており、「非線形領域」における一次近似直線の傾き(a1)とは、8.0×100〜2.0×101秒の間であり、変曲点以降且つ最大点以前に観測され、5.0×100秒の間隔を有する任意の2点のデータに基づく回帰直線の傾きを意図している。
また、「線形領域」とは、変曲点以前に現れる比較的データに直線性が得られる領域を意図しており、「線形領域」における一次近似直線の傾き(a2)とは、1.0×100〜2.0×100秒の間、且つ変曲点以前に観測され、5.0×10-1秒の間隔を有する任意の2点のデータに基づく回帰直線の傾きを意図している。
(b)Mn、Mw及びMz
基材樹脂は6万〜15万の範囲のMn、20万〜50万の範囲のMw、50万〜300万の範囲のMzを有していることが好ましい。これら範囲より小さな平均分子量の場合、成形品強度、成形性が悪くなることがある。大きな平均分子量の場合、樹脂流動性が悪くなるため押出発泡性、生産性が悪くなることがある。より好ましくは7万〜12万の範囲のMn、30万〜50万の範囲のMw、100万〜250万の範囲のMzである。
(c)溶融張力
基材樹脂は10cN以上の溶融張力を有していることが好ましい。溶融張力が10cNより小さい場合、押出発泡性が悪くなることがある。より好ましい溶融張力は13cN以上である。
(d)MFR
基材樹脂は、0.5〜5g/10分の範囲のMFRを有していることが好ましい。MFRが0.5g/10分より小さい場合、流動性が悪く、生産性が悪くなることがある。5g/10分より大きい場合、シートの外観不良等が発生することがある。より好ましいMFRは0.8〜4.0g/10分の範囲である。
(e)トルエン不溶分量
基材樹脂は、5重量%以上のトルエン不溶分量を有することが好ましい。トルエン不溶分量が5重量%であることは、ポリスチレン系樹脂に高分子量成分が存在していることを意味している。より好ましいトルエン不溶分量は7重量%であり、更に好ましいトルエン不溶分量は8重量%である。
(f)テトラヒドロフランへの溶解性
基材樹脂は、1リットルのテトラヒドロフラン中にポリスチレン系樹脂を0.3g添加し、72時間静置した場合、テトラヒドロフランに完全溶解することが好ましい。完全溶解することは、ポリスチレン系樹脂に架橋成分が実質的に存在していないことを意味している。
(2)スチレン系単量体由来の成分
スチレン系単量体由来の成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体、もしくは、これらの共重合体、又は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート等のアルキルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等のアルキルフマレート
、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸等と、スチレン系単量体との共重合体等が挙げられる。
(3)多官能ビニル系脂肪族化合物
多官能ビニル系脂肪族化合物は、分岐化剤としての役割を有する。
なお、通常、上記単量体を単に重合させただけの一般的なポリスチレン系樹脂では、一軸伸長粘度を測定すると3〜7秒付近に変曲点が観測されるものの、変曲点を境に傾きが小さくなる傾向がある。そのため上記の比(a1/a2)を満足させることが難しい。
一方で、分子内に上記分岐化剤由来の分岐構造を複数有するポリスチレン系樹脂(以下「多分岐ポリスチレン系樹脂」ともいう)では、一般的なポリスチレン系樹脂と同様の箇所において変曲点を示す。しかし、変曲点を境にして傾きが増大する傾向を示す。
多官能ビニル系脂肪族化合物は、100以上、1000未満の分子量を有し、かつ上記の比(a1/a2)を満足する基材樹脂を得られさえすれば特に限定されない。分子量が1000以上の場合、単位質量当たりの官能基数が減り分岐化剤としての効果が小さくなる、又は核重合を行った際に種粒子に吸収されにくくなることがある。
多官能ビニル系脂肪族化合物において、多官能とは、化合物がビニル基を2以上含むことを意味する。多官能には、2官能、3官能、4官能、5官能、6官能以上が含まれる。
多官能ビニル系脂肪族化合物に含まれるビニル基とは、重合可能な炭素−炭素の二重結合からなる基を意味している。このビニル基は、多官能ビニル系脂肪族化合物の分子末端に位置する(メタ)アクリロイル基中に含まれていることが好ましい。この基を有することで、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物の分子中に含まれる分岐成分を向上できる。
また、多官能ビニル系脂肪族化合物において、脂肪族化合物とは、芳香族化合物以外の、直鎖状、分岐鎖状及び環状の化合物を意味する。また、この化合物は、炭素及び水素以外に、窒素、硫黄等の他の原子を含んでいてもよい。
具体的な多官能ビニル系脂肪族化合物としては、
(i)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(繰り返し単位数が2〜10)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(繰り返し単位数が2〜10)、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコール(メタ)アクリレート等の2官能アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、
(ii)ブチレンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、
(iii)エトキシ化(繰り返し単位数が2〜10)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の2官能エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート
(iv)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルフォスフェート等の3官能トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、
(v)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能テトラ(メタ)アクリレート、
(vi)ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート類、
(vii)ポリ(ペンタエリスリトール)アクリレート等の8官能ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート類、
(viii)エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートのような3官能の窒素原子含有環状(メタ)アクリレート類
等が挙げられる。
基材樹脂は、スチレン系単量体中に多官能ビニル系脂肪族化合物を300〜3000ppm含む単量体混合物を重合させることにより得られる。含有量が300ppmより少ない場合、押出発泡性、成形性が悪くなることがある。3000ppmより多い場合、架橋物が発生し、押出発泡時に外観不良を与えることがある。好ましい含有量は300〜2800ppmであり、より好ましい含有量は300〜2500ppmである。なお、上記化合物の含有量は、基材樹脂中の多官能ビニル系脂肪族化合物由来の成分の含有と実質的に対応している。
(4)その他の添加剤
発泡用ポリスチレン系樹脂組成物には、必要に応じて、基材樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、発泡剤、可塑剤、他の樹脂、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
発泡剤としては、炭化水素(例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン)、水、ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチル、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の物理発泡剤、アゾジカルボンアミドや、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物のような化学発泡剤が挙げられる。
可塑剤としては、スチレン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素等が上げられる。アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が上げられる。
他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の高級脂肪酸グリセライド等が挙げられる。
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の高級脂肪酸グリセライド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
(5)発泡用ポリスチレン系樹脂組成物の製造方法
発泡用ポリスチレン系樹脂組成物は、その原料としてのスチレン系単量体、多官能ビニル系脂肪族化合物及び他の添加剤をポリスチレン系樹脂発泡シートを得るための押出機に入れ、重合及び混合することで製造できる。この製造法については、ポリスチレン系樹脂発泡シートの欄で改めて説明する。この製造法以外に、スチレン系単量体、多官能ビニル系脂肪族化合物及び他の添加剤を水性媒体中に入れ、懸濁条件下で、重合及び架橋を行う方法が挙げられる(懸濁重合法)。この方法では、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を構成する成分を均一に分散できる。懸濁重合法の中でも、別途製造したスチレン系樹脂粒子に、スチレン系単量体、多官能ビニル系脂肪族化合物及び他の添加剤を含浸させた後、重合及び架橋を行う方法が挙げられる(シード重合法)。この方法では、懸濁重合法に比べて、更に発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を構成する成分を選択的に分散できる。
より具体的には、
(i)懸濁重合法は、スチレン系単量体を連続的又は断続的に水性媒体中に供給して重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法であり、
(ii)シード重合法は、水性媒体中にポリスチレン系樹脂種粒子(以下種粒子)を分散させて水性懸濁液とし、これにスチレン系単量体を連続的又は断続的に供給して重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法である。
上記懸濁重合法及びシード重合法において用いられる重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、イソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
種粒子は、押出機を使用して得る方法、懸濁重合法(シード重合法を含む)等の公知の方法により得ることができる。懸濁重合法により種粒子を得る場合、水性媒体中に種粒子を分散させてなる水性懸濁液は、上記懸濁重合法による重合後の反応液をそのまま水性懸濁液として用いても、あるいは、上記懸濁重合法によって得られた種粒子を反応液から分離し、この種粒子を別途用意した水性媒体に懸濁させた水性懸濁液を用いてもよい。なお、水性媒体としては、特に限定されず、例えば、水、アルコール等が挙げられ、水が好ましい。
また、上記懸濁重合法又はシード重合法において、スチレン系単量体を重合させる際に、スチレン系単量体の液滴又は種粒子の分散性を安定させるために懸濁安定剤を用いてもよい。このような懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩等が挙げられ、難水溶性無機塩を用いる場合には、アニオン界面活性剤が通常、併用される。
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタレンスルホン酸塩等が挙げられ、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
また、上記懸濁重合法又はシード重合法において、スチレン系単量体を重合させる際に、水に溶解したスチレンの重合による微粉末の発生を防ぐ目的で、水溶性の重合禁止剤を添加してもよい。
(ポリスチレン系樹脂発泡シート)
懸濁重合法又はシード重合法により得られた発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を押出機内で発泡剤と混練し、押出機の先端に装着させたフラットダイやサーキュラーダイから押出発泡させることによりポリスチレン系樹脂発泡シートを得ることができる。押出機内で原料を反応及び混練させることにより発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得る場合は、混練時に発泡剤を添加し、ダイから押出発泡させることによりポリスチレン系樹脂発泡シートを得ることができる。
ポリスチレン系樹脂発泡シートは、0.035g/cm3〜0.065g/cm3の密度を有することが好ましい。また、厚さは、通常0.8〜3.0mmであり、好ましくは1.0〜2.5mmであり、より好ましくは、1.5〜2.0mmである。
(発泡成形品)
ポリスチレン系樹脂発泡シートを公知の方法により成形することで発泡成形品を得ることができる。発泡成形品としては、皿、カップ、丼等の食品容器、緩衝材、包装資材等に使用できる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<平均分子量>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、z平均分子量(Mz)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する。
具体的には、試料4mgをTHF4mLに72時間静置で溶解させ、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過して測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の重量平均分子量を求める。
使用装置:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSEC(RI検出器・UV検出器内蔵)
ガードカラム:TOSOH TSK guardcolumn SuperMP(HZ)−H(4.6mm.I.D.×2cm)×1本
カラム:(リファレンス側)TOSOH TSKgel SuperHZ 1000(4.6mm.I.D.×15cm)×1本(サンプル側)TOSOH TSKgel SuperMultiporeHZ−H(4.6mmI.D.×15cm.)×2本
カラム温度:40℃
移動相:THF
移動相流量:S.PUMP 0.2mL/min R.PUMP 0.2mL/min
検出器:RI検出器
試料濃度:0.10wt%
注入量:20μL
測定時間:0−25min
ランタイム:25min
サンプリングピッチ:200msec
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工社製、商品名「Shodex STANDARD」重量平均分子量が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320のものを用いる。
検量線の作成方法は、上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、3,450)、B(3,120,000、442,000、54,000、7,590、1,320)にグループ分けし、A(5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、3,450)の各試料を順に(2mg、3mg、4mg、10mg、10mg)秤量後THF30mLに溶解、B(3,120,000、442,000、54,000、7,590、1,320)の各試料を順に(3mg、4mg、8mg、10mg、10mg)秤量後THF30mLに溶解し、20μL注入する。これらの保持時間から較正曲線(一次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、重量平均分子量測定に用いる。
<一軸伸長粘度の測定>
本発明における一軸伸張粘度測定は粘弾性測定装置PHYSICA MCR301(Anton Paar社製)、温度制御システムCTD450にて測定する。まず、樹脂を熱プレス機にて、温度190℃の条件下で幅10mm、厚さ約0.8mmの短冊状サンプルを作成する。次に短冊状サンプルを長さ20〜25mmに切り出し、測定温度160℃に加熱した粘弾性測定装置の一軸伸張粘度測定用治具(SER2)にセットした後、窒素雰囲気下にて160℃±0.5℃の温度条件で10秒間待機後、歪み速度0.1sec-1で一軸伸張粘度を測定する。測定点間隔は「測定点間隔を対数で取得」に設定し、開始を0.01sec、終了を26secとする。測定点は300とする。
<トルエン不溶分>
重量を測定した30mlの三角フラスコ中に10gのトルエンとポリスチレン系樹脂を0.5g添加し、振とう機TAIYO ROTARY SHAKER R−II(大洋科学工業社製)の目盛りを10にした状態で23℃、1時間攪拌させる。振とう後、トルエンを取り除いた三角フラスコを減圧状態で60℃、24時間乾燥させた後の重量と添加前の三角フラスコ重量の差分からトルエン不溶分量を算出する。
<テトラヒドロフラン可溶性>
1リットルのテトラヒドロフラン中にポリスチレン系樹脂を0.3g添加し、72時間静置した場合、テトラヒドロフランに完全溶解した場合を○、溶け残りが生じた場合を×とする。
<MFRの測定>
メルトマスフローレイト(MFR)は東洋精機製作所社製のセミオートメルトインデクサー2Aを用い、JIS K 7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法により測定する。測定条件は試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度200℃、試験荷重49.03N、ピストン移動距離(インターバル):25mmとする。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトマスフローレイト(g/10min)の値とする。
<溶融張力>
ツインボアキャピラリ−レオメ−タ−Rheologic5000T(イタリア チアスト社製)を用いて測定する。すなわち試験温度200℃に加熱された径15mmのバレルに測定試料樹脂を充填後、5分間予熱したのち、上記測定装置のキャピラリーダイ(口径2.095mm、長さ8mm、流入角度90度(コニカル))からピストン降下速度(0.07730mm/s)を一定に保持して紐状に押出しながら、この紐状物を上記キャピラリーダイの下方27cmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いて、その巻取り速度を初速3.94388mm/s、加速度12mm/s2で徐々に増加させつつ巻き取っていき、当紐状物が切断した点の直前の張力の極大値と極小値の平均を試料樹脂の溶融張力(MT)とする。
(実施例1)
内容量5Lの攪拌機付き重合容器に水2.0L仕込み、これに懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.5gと界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.45gを添加した。懸濁安定剤と界面活性剤とを溶解後、分岐化剤として1,3−ブチレンジオールジメタクリレート(巴化学社製SR297)2.2g(1000ppm/PS)を均一に溶解したスチレン2200g、ベンゾイルパーオキサイド(日油社製ナイパーBW)6.2g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製パーブチルE)0.1gを順次容器に添加した。
容器内を150rpmの撹拌下で、常温から90℃まで昇温させる工程、90℃で5時間保持することで懸濁重合させる工程、次いで125℃で3時間保持することで残存単量体を低減する工程を経て、スチレン系樹脂粒子を得た。スチレン系樹脂粒子を洗浄、脱水、乾燥し、2100gの発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を単離した。
(実施例2)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの添加量を2.2gから1.1g(500ppm/PS)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例3)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの添加量を2.2gから1.76g(800ppm/PS)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例4)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの添加量を2.2gから2.64g(1200ppm/PS)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例5)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの添加量を2.2gから3.08g(1400ppm/PS)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例6)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの添加量を2.2gから1.1g(500ppm/PS)に、ベンゾイルパーオキサイドの添加量を8.21gから11.73gに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例7)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレートの代わりにエチレングリコールジメタクリレートを使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例8)
エチレングリコールジメタクリレートの添加量を2.2gから1.76g(800ppm/PS)に変更したこと以外は実施例7と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例9)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレート2.2gの代わりにポリ(ペンタエリスリトール)アクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート#802)1.54g(700ppm/PS)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例10)
ポリ(ペンタエリスリトール)アクリレートの添加量を1.54gから0.66g(300ppm/PS)に、ベンゾイルパーオキサイドの添加量を8.21gから5.87gに変更したこと以外は実施例9と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例11)
ベンゾイルパーオキサイドの添加量を5.87gから4.4gに変更したこと以外は実施例9と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例12)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレート2.2gの代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製A−DPH)0.73g(330ppm/PS)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例13)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量を0.73gから1.1g(500ppm/PS)に変更したこと以外は実施例12と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例14)
1,3−ブチレンジオールジメタクリレート2.2gの代わりにエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業社製A−9300)1.47g(670ppm/PS)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例15)
エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートの添加量を1.47gから0.9g(410ppm/PS)に、ベンゾイルパーオキサイドの添加量を8.21gから5.87gに変更したこと以外は実施例14と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(実施例16)
内容量5Lの攪拌機付き重合容器に、水2.0L、スチレン樹脂粒子500gを仕込み、これに懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.5g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.45gを入れ、攪拌しながら70℃に昇温した。次にベンゾイルパーオキサイド(日油社製ナイパーBW)7.8g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製パーブチルE)1.3gをスチレン200gに溶解し、重合容器に入れた。30分後90℃に昇温し、あらかじめポリ(ペンタエリスリトール)アクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート#802)2.19g(1458ppm/PS)を溶解したスチレン1300gを2時間かけてポンプで一定量の間、重合容器に供給した。スチレンの供給が終了した後、125℃に昇温してから2時間反応させた。生成した粒状ポリスチレン樹脂を洗浄、脱水、乾燥し、1900gの発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(比較例1)
分岐剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(比較例2)
エチレングリコールジメタクリレートの添加量を2.2gから0.11g(50ppm/PS)に変更したこと以外は実施例7と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(比較例3)
エチレングリコールジメタクリレートの添加量を2.2gから7.26g(3300ppm/PS)に変更したこと以外は実施例7と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(比較例4)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量を0.73gから0.37g(170ppm/PS)に変更したこと以外は実施例12と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
(比較例5)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量を0.73gから7.26g(3300ppm/PS)に変更したこと以外は実施例12と同様にして発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を得た。
上記表1〜3から、特定の分子量の多官能ビニル系脂肪族化合物に由来する成分を特定量含み、特定の比(a1/a2)を示す基材樹脂を含む発泡用ポリスチレン系樹脂組成物は、優れた物性を有することが確認できる。

Claims (8)

  1. 多官能ビニル系脂肪族化合物とスチレン系単量体由来の成分を基材樹脂として含み、
    前記多官能ビニル系脂肪族化合物が、100以上、1000未満の分子量を有し、
    前記基材樹脂が、前記スチレン系単量体中に多官能ビニル系脂肪族化合物を300〜3000ppm含む単量体混合物を重合させることにより得られ、
    前記基材樹脂は、温度160℃、一定ひずみ速度0.1/秒の条件で一軸伸長粘度を測定して求められる時間−伸長粘度曲線の対数プロットにおける非線形領域の一次近似直線の傾き(a1)と上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾き(a2)との比(a1/a2)が2.0より大きく、6.0以下となる樹脂であることを特徴とする発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  2. 前記多官能ビニル系脂肪族化合物が、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する請求項1に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  3. 前記基材樹脂が、前記基材樹脂を濃度5質量%となるようにトルエン中に23℃、1時間で溶解させた時に、5質量%以上のトルエン不溶分量を示す請求項1又は2に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  4. 前記基材樹脂が、前記基材樹脂をテトラヒドロフランに0.3g/Lの濃度で23℃、72時間静置しながら溶解させた時に、テトラヒドロフラン不溶分量0%(完全溶解)を示す請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  5. 前記基材樹脂が、水性懸濁液中に分散させた、多官能ビニル系脂肪族化合物である分岐化剤と、スチレン系単量体を含む単量体混合物とを懸濁重合させることによって得られる請求項1〜4のいずれか1つに記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  6. 前記基材樹脂が、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂の種粒子に、多官能ビニル系脂肪族化合物である分岐化剤と、スチレン系単量体を含む単量体混合物とを断続的又は連続的に供給して重合させることによって得られる請求項1〜4のいずれか1つに記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡することで得られたポリスチレン系樹脂発泡シート。
  8. 請求項7に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて得られた発泡成形品。
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