JP2014189758A - 不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低誘電率で且つ透明性に関する耐久性に優れたエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー);(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分;及び(C)光重合開始剤を含有する。前記(A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、数平均分子量500〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体型ポリマーであって、且つ前記多量体型ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている多量体型共役ジエン系ポリマーを含むことが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー);(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分;及び(C)光重合開始剤を含有する。前記(A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、数平均分子量500〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体型ポリマーであって、且つ前記多量体型ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている多量体型共役ジエン系ポリマーを含むことが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、共役ジエン系ポリマーの分子鎖をα,β-不飽和カルボニル変性したポリマー(不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー)を用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物に関し、さらに詳述すると、低誘電率で透明性に優れた硬化物を提供できるエネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
アクリロイル基やメタクリロイル基(これらを特に区別しない場合、「(メタ)アクリロイル基」と総称する)等の重合性官能基を有する高分子(メタ)アクリレートを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物は、硬化反応を精密に制御することが可能であり、さらに耐熱性、耐薬品性、絶縁性等の電気的特性、密着性に優れた硬化物を得ることができることから、精密機械や光学機器等の接着剤あるいはこれらの部材間の隙間に充填する充填材として用いられるようになっている。
特に、携帯電話、液晶テレビ、パソコンのディスプレイ等に用いられる液晶表示装置や、タッチパネル等の画像表示装置には、透明の画像表示部と保護部との間、タッチパネルのタッチ部材(ウィンドウ)と透明電極層との間など、透明部材間間隙には、可視光線透過率の高い透明樹脂接着剤を用いる必要があることから、上記特性とともに、透明性、透明性に関する耐久性に優れた材料の研究開発が進められている。
具体的には、ポリイソプレンアクリレートとヒドロキシブチルアクリレートを含有した樹脂組成物(例えば、特開2009−186963号公報(特許文献1))、ポリエーテル(メタ)アクリレート(例えば、特開2012−162705号公報(特許文献2))、ウレタンアクリレート系ポリマー(例えば、特開2013−3952号公報(特許文献3))などが提案されている。
特許文献1では、ポリイソプレンアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物は、密着力に優れ、硬化収縮率が小さいことが示されている。特許文献2では、ポリエーテル(メタ)アクリレートを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物は、無色透明で、耐熱性、耐光性等の耐久性に優れることが示されている。
ところで、近年、急速に普及している静電容量型タッチパネルを用いた電子端末や携帯電話の画像表示装置において、特許文献3に記載されているように、タッチパネル部材と透明電極層との間に充填される充填材の誘電率がタッチパネルの感度に影響することが知られるようになった。特許文献3では、静電容量タッチパネルの感度を向上するために、タッチパネルにおけるウィンドウと上部電極層との間に介在する第1透明接着剤層の誘電率を、2つの電極層間に介在する第2透明接着剤層の誘電率よりも大きくすることを提案している。ここでは、ウレタンアクリレート系ポリマーの末端をアクリロイル基、メタクリロイル基で変性したポリマーを主成分とする紫外線硬化型樹脂組成物接着剤において、希釈剤の種類及び量を変更することにより、硬化物の誘電率を変化させ、上記関係を充足させている。
以上のように、画像表示装置等の光学機器の接着に用いられるエネルギー線硬化型樹脂組成物では、透明性に優れ、耐熱性、耐光性、耐湿性等の耐久性に優れること、硬化収縮率が小さいことが求められる。さらにタッチパネル等の透明電極層が形成されている光学部材を被着体とする接着剤についての電気的特性、特に低誘電率であることが求められている。
しかしながら、上記特許文献1,2では、誘電率に関する記載、評価は一切ない。また、特許文献3は、硬化物の誘電率について検討しているものの、機器に使用される2種類の接着剤の組み合わせ(2種類の接着剤の関係)を調節することでタッチパネルの感度を改善しようとしており、高分子(メタ)アクリレートと誘電率との関係については記載されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、静電容量型タッチパネルを含む画像表示装置における光学部材同士の接着剤、光学部材間の充填剤として好適なエネルギー線硬化型樹脂組成物を、すなわち、低誘電率で且つ透明性に関する耐久性に優れたエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、低誘電率を達成できる、α,β不飽和カルボニル変性ポリマーについて種々検討した結果、共役ジエン系ポリマーの(メタ)アクリレートが、低誘電率の硬化物を提供できることを見出した。しかしながら、α,β不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、高湿度下で透明性の低下が著しく、透明性の要求が厳しい画像表示装置に使用する接着剤、充填剤としては、さらなる改善が必要であった。本発明者らは、低誘電率で、しかも優れた透明性を保持することができる硬化物を提供できるエネルギー線硬化型樹脂組成物について、更に検討を行い、本発明に到達した。
すなわち、本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(以下、「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」と称する場合がある);(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分;及び (C)光重合開始剤を含有する。
前記(A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、数平均分子量500〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体型ポリマーであって、且つ前記多量体型ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている多量体型共役ジエン系ポリマー(以下「多量体型α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)」という)を含むことが好ましい。
さらに、前記多量体型α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)は、末端に水酸基を2個以上有するポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとの反応生成物(以下、「多量体型ポリオール」と称する)の分子鎖末端がα,β−不飽和カルボニル変性されたものであることが好ましい。
さらに、前記多量体型α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)は、末端に水酸基を2個以上有するポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとの反応生成物(以下、「多量体型ポリオール」と称する)の分子鎖末端がα,β−不飽和カルボニル変性されたものであることが好ましい。
(A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーにおける前記共役ジエン系ポリマーはポリブタジエンであることが好ましい。
前記共役ジエン系ポリマーは、少なくとも一部が水素化されていることが好ましい。
前記共役ジエン系ポリマーは、少なくとも一部が水素化されていることが好ましい。
前記親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の含有率は、樹脂組成物全体の1〜10質量%であることが好ましい。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、さらに、(D)非反応性樹脂として、共役ジエン系ポリマー又はその水添物を含むことが好ましい。
本発明は、上記本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物をエネルギー線照射により硬化して得られる硬化物、当該硬化物を有する表示装置も包含する。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、低誘電率で、しかも耐湿性に優れた硬化物を得ることができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
<エネルギー線硬化型樹脂組成物>
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(以下、「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」と称する場合がある)、(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分、及び(C)光重合開始剤を含有する。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(以下、「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」と称する場合がある)、(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分、及び(C)光重合開始剤を含有する。
(A)α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー
A成分としての「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」とは、(メタ)アクリロイル基等のα、β-不飽和カルボニル基で、主鎖及び/又は側鎖が修飾された共役ジエン化合物の重合体である。通常、共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)と、水酸基と反応できる官能基を有するα,β−不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により合成される。
A成分としての「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」とは、(メタ)アクリロイル基等のα、β-不飽和カルボニル基で、主鎖及び/又は側鎖が修飾された共役ジエン化合物の重合体である。通常、共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)と、水酸基と反応できる官能基を有するα,β−不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により合成される。
〔共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)〕
共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)は、共役ジエン化合物を1,2−付加重合及び/又は1,4−付加重合して得られる共役ジエン系ポリマーで、ヒドロキシル基を2個以上含有しているポリオール、又はその水添物などが挙げられる。
共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)は、共役ジエン化合物を1,2−付加重合及び/又は1,4−付加重合して得られる共役ジエン系ポリマーで、ヒドロキシル基を2個以上含有しているポリオール、又はその水添物などが挙げられる。
前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペレリン、ジメチルブタジエン等の脂肪族共役ジエン化合物;1−フェニルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,1−ジフェニルブタジエン、1,2−ジフェニルブタジエン、2,3−ジフェニルブタジエン等の芳香族含有共役ジエン化合物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
共役ジエン系ポリマーポリオールの例としては、例えば、ブタジエンの1,2−付加物又は1,4―付加物を繰り返し単位とするポリブタジエンの両末端に水酸基が結合したポリオール(式(1a))またはその水添物(式(1b))が挙げられる。式中、nは、10〜150の整数である。
このような共役ジエン系ポリマーポリオールの数平均分子量は、構成モノマーである共役ジエン化合物の種類、重合度により異なるが、通常500〜10000程度である。
このような共役ジエン系ポリマーポリオールの数平均分子量は、構成モノマーである共役ジエン化合物の種類、重合度により異なるが、通常500〜10000程度である。
本発明で用いることができる共役ジエン系ポリマーポリオールは、共役ジエンの1,2−付加物及び/又は1,4−付加物の繰り返し単位からなる高分子鎖である共役ジエン系ポリマーポリオール(単体型共役ジエン系ポリマーポリオール)だけでなく、下式(2)であらわされるように、共役ジエン系ポリマーが、連結部を介して連結された多量体型共役ジエン系ポリマーポリオール、さらには、これらの混合物を用いることができる。
式(2)中、共役ジエン系ポリマー部は、共役ジエン系化合物の1,2−付加物又は1,4−付加物を繰り返し単位とする高分子鎖またはその水添物であり、単体型共役ジエン系ポリマーポリオールと同様、通常、数平均分子量500〜10000の高分子鎖である。また、式(2)中、連結部は、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる結合である。このように、数平均分子量500〜10000の共役ジエン系ポリマーが連結部を介して多量体化することにより、共役ジエン系ポリマーポリオール及び得られる不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの分子量を増大させることができる。
このような多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールは、通常、共役ジエン系ポリマーポリオールと、イソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとを反応させて得られる。
以下、単に「共役ジエン系ポリマーポリオール」と称するときは、単体型共役ジエン系ポリマーポリオール、多量体型共役ジエン系ポリマーポリオール、及びこれらの混合物を包含する共役ジエン系ポリマーポリオール全般を総称し、区別するときは、「単体型共役ジエン系ポリマーポリオール」「多量体型共役ジエン系ポリマーポリオール」と称する。
式(1)、式(2)中、共役ジエン系ポリマー部は、水素添加により、繰り返し単位に含まれる二重結合の一部または全部が水素飽和されていてもよい。水素添加は、完全水素添加、部分水素添加のいずれであってもよい。共役ジエン系ポリマー部の二重結合は、光線透過率の低下の原因となったり、熱、光、湿度に対する耐久性低下の原因となるので、水素添加により、共役ジエン系ポリマー部の二重結合を減らしておくことは好ましい。
ここで、水素添加の方法としては、例えば特公昭42−25304号公報に記載されているような、公知の水素化反応により行うことができる。具体的には、トリイソブチルアルミニウム等の金属ヒドロカルビル化合物と鉄、コバルト、又はニッケルの有機化合物との反応生成物を触媒として使用し、当該触媒存在下で、ジエン系ポリマーと水素と接触できるように、水素添加することにより行うことができる。
[多量体型共役ジエン系ポリマーポリオール]
多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールとは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、単体型共役ジエン系ポリマーポリオールが連結されたものをいう。多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールは、上記単体型共役ジエン系ポリマーポリオールと、イソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとを反応させて得られる。
多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールとは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、単体型共役ジエン系ポリマーポリオールが連結されたものをいう。多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールは、上記単体型共役ジエン系ポリマーポリオールと、イソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとを反応させて得られる。
[連結用化合物L]
連結用化合物Lは、ポリオール(a−1)の水酸基と反応できる官能基を2個以上有する化合物であり、例えば、下記式(3a)で表わされる2官能化合物、(3b)で表わされる3官能化合物、(3c)で表わされる4官能化合物が挙げられる。
連結用化合物Lは、ポリオール(a−1)の水酸基と反応できる官能基を2個以上有する化合物であり、例えば、下記式(3a)で表わされる2官能化合物、(3b)で表わされる3官能化合物、(3c)で表わされる4官能化合物が挙げられる。
上記式(3a)(3b)(3c)中、Aは水酸基と反応する官能基であり、R,R’,R″は有機基である。
前記官能基Aとしては、具体的には、(i)イソシアネート基、(ii)カルボキシル基、(iii)ハロゲン化カルボニル基、(iv)エポキシ環、(v)水酸基が挙げられる。また、有機基R,R’,R″としては、上記官能基を有し、それぞれ2,3,4つのフリーの結合の手を有する脂肪族、芳香族、脂環族のいずれでもよいが、(a−1)成分との反応性及び相溶性の観点から、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、特に好ましくは8〜12の脂肪族、脂環族が好ましい。
前記官能基Aとしては、具体的には、(i)イソシアネート基、(ii)カルボキシル基、(iii)ハロゲン化カルボニル基、(iv)エポキシ環、(v)水酸基が挙げられる。また、有機基R,R’,R″としては、上記官能基を有し、それぞれ2,3,4つのフリーの結合の手を有する脂肪族、芳香族、脂環族のいずれでもよいが、(a−1)成分との反応性及び相溶性の観点から、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、特に好ましくは8〜12の脂肪族、脂環族が好ましい。
(i)イソシアネート基含有連結用化合物
イソシアネート基含有連結用化合物としては、イソシアネート基を2個以上、好ましくは2〜4個有する脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートであって、好ましくはジイソシアネートである。
ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート;リシンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートの誘導体等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4−又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、3−メチルジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート又はジフェニルエーテル4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート基含有連結用化合物としては、イソシアネート基を2個以上、好ましくは2〜4個有する脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートであって、好ましくはジイソシアネートである。
ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート;リシンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートの誘導体等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4−又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、3−メチルジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート又はジフェニルエーテル4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
トリス(4−イソシアン酸フェニル)チオリン酸エステル等のトリイソシアネート、1,3,5,7−アダマンタンテトライルテトライソシアネート等のテトライソシアネートを用いてもよい。
以上のようなイソシアネート基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、ウレタン結合を形成する。従って、ウレタン結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化する。また、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化したポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化するような場合もある。
イソシアネート基含有連結用化合物とポリオール(a−1)との反応は、ゲル化しないような条件で反応させる。通常、反応触媒の種類、ポリオールと連結用化合物Lの仕込量比率の調整、反応温度の調整、仕込速度(滴下速度)等により、ゲル化しない条件を適宜選択することができる。
(ii)カルボキシル基含有連結用化合物
カルボキシル基を2個以上有する連結用化合物としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリカルボン酸、又はこれらの無水物などを用いることができ、これらは飽和脂肪族カルボン酸、不飽和カルボン酸、カルボキシル基以外の水素原子がハロゲン、水酸基、カルボニル基等で置換された置換カルボン酸、芳香族カルボン酸など、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12の飽和カルボン酸である。
具体的には、カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸等の飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸;フタル酸等の芳香族カルボン酸などが挙げられる
カルボキシル基を2個以上有する連結用化合物としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリカルボン酸、又はこれらの無水物などを用いることができ、これらは飽和脂肪族カルボン酸、不飽和カルボン酸、カルボキシル基以外の水素原子がハロゲン、水酸基、カルボニル基等で置換された置換カルボン酸、芳香族カルボン酸など、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12の飽和カルボン酸である。
具体的には、カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸等の飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸;フタル酸等の芳香族カルボン酸などが挙げられる
(iii)ハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物
ハロゲン化カルボニル基とは、−COXhal(Xhalはハロゲン原子を表わす)で表わされる官能基である。ハロゲン化カルボニル基を2個以上有する連結用化合物としては、ピリジン2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどが挙げられる。
ハロゲン化カルボニル基とは、−COXhal(Xhalはハロゲン原子を表わす)で表わされる官能基である。ハロゲン化カルボニル基を2個以上有する連結用化合物としては、ピリジン2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどが挙げられる。
以上のようなカルボキシル基含有連結用化合物及びハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、エステル結合を形成する。従って、エステル結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した共役ジエン系ポリマーポリオールが得られる。イソシアネート基含有連結用化合物の場合と同様に、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化したポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化する場合もある。
カルボキシル基含有連結用化合物及びハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物とポリオール(a−1)との反応は、急激な多量体化により、ゲル化しないような条件で反応させる。
(iv)エポキシ基含有連結用化合物
エポキシ基含有連結用化合物は、水酸基と反応する官能基として、炭素、酸素原子からなる3員環構造(エポキシ基、オキシラン基、グリシジル基など)を2個以上有する連結用化合物で、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はこれらの水添物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂で、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルなどを用いることができる。
エポキシ基含有連結用化合物は、水酸基と反応する官能基として、炭素、酸素原子からなる3員環構造(エポキシ基、オキシラン基、グリシジル基など)を2個以上有する連結用化合物で、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はこれらの水添物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂で、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルなどを用いることができる。
このようなエポキシ基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、エポキシ環が開環し、エーテル結合を形成する。従って、エーテル結合を連結部分として、ポリエーテルポリオールが、官能基数、反応条件に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールが得られる。
エポキシ基含有連結用化合物と共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)との反応は、急激な多量体化により、ゲル化しないような条件で反応させる。
(v)水酸基含有連結用化合物
水酸基含有連結用化合物とは、官能基としてヒドロキシル基(−OH)を2個以上含む有機化合物で、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ピナコール等のジオール、グリセリン、エリスリトール等のトリオール;ソルビトール等のテトラオールなどの炭素数2〜8の低級アルキルポリオールが挙げられるが、これらのうちジオールが好ましい。
水酸基含有連結用化合物とは、官能基としてヒドロキシル基(−OH)を2個以上含む有機化合物で、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ピナコール等のジオール、グリセリン、エリスリトール等のトリオール;ソルビトール等のテトラオールなどの炭素数2〜8の低級アルキルポリオールが挙げられるが、これらのうちジオールが好ましい。
以上のような水酸基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応(通常、脱水縮合反応)して、エーテル結合を形成する。従って、エーテル結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した共役ジエン系ポリマーポリオールが得られる。イソシアネート基含有連結用化合物の場合と同様に、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化した共役ジエン系ポリマーポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化する場合もある。
(vi)その他の連結用化合物
本発明で使用することができる連結用化合物は、上記(i)〜(v)に示した連結用化合物のように、化合物中に同一種類の官能基を2個以上含む化合物に限定されず、異なる種類の官能基を2個以上含む化合物、例えば、水酸基およびカルボキシル基を有するオキシ酸などを用いてもよい。
本発明で使用することができる連結用化合物は、上記(i)〜(v)に示した連結用化合物のように、化合物中に同一種類の官能基を2個以上含む化合物に限定されず、異なる種類の官能基を2個以上含む化合物、例えば、水酸基およびカルボキシル基を有するオキシ酸などを用いてもよい。
以上のように、連結用化合物として、上記式(3a)に示す2官能性連結用化合物を用いた場合、下記式(4a)で表わされるような、2量体化した共役ジエン系ポリマーポリオールが得られる。式中、Zは、連結用化合物の官能基Aと水酸基との反応の結果、生成される結合で、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合などである。
また、連結用化合物Lとして3官能性連結用化合物を用いた場合には、下記式(4b)で表わされるような3量体化以上の多量体型ポリオールが得られることになり、ポリオール(a−1)として、水酸基が3個以上のポリオールを用いた場合には、例えば、下記式(4c)で表わされるような3量体化以上の多量体型ポリオールが得られることになる。
また、2官能性の連結用化合物L、水酸基が2個の共役ジエン系ポリマーポリオールを用いた場合であっても、反応条件により、2量体化共役ジエン系ポリマーポリオール分子鎖末端のOH基と連結用化合物Lとがさらに反応して、3量体化(下記式(4d))のように多量体化された共役ジエン系ポリマーポリオールが合成され得る。
2量体化、3量体化のように多量体化することにより、単なる共役ジエン化合物の重合による合成あるいは入手が困難な高分子量の共役ジエン系ポリマーポリオールを得ることができる。
ただし、3量体化以上の多量体化の場合、多量体化によりゲル化する場合があるので、使用するポリオールの種類、連結用化合物Lに含まれる官能基の種類、官能基数に応じて、ゲル化しないような反応条件、目的とする多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールの多量体化数(分子量)に応じて選択することが好ましい。
ポリオール(a−1)と連結用化合物Lとの混合比率は、(a−1)中の水酸基の0.3〜0.9当量分、連結用化合物Lを添加すればよく、連結用化合物Lに含まれる官能基数、反応条件に応じて、適宜選択される。
連結用化合物Lの添加は、共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)を仕込んだ反応系に、60〜70℃で、10分〜3時間程度かけて、滴下法にて行うことが好ましい。
[(a−2)水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物]
A成分であるα,β不飽和カルボニル共役ジエン系ポリマーは、(a−1)共役ジエン系ポリマーポリオールを、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)と反応させることにより得られる。
A成分であるα,β不飽和カルボニル共役ジエン系ポリマーは、(a−1)共役ジエン系ポリマーポリオールを、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)と反応させることにより得られる。
水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)(以下、「水酸基反応性不飽和カルボニル化合物」又は「不飽和カルボニル化合物(a−2)」という)は、下記一般式(5)で表わされる化合物である。
(5)式中、Qが水酸基と反応する官能基、又は水酸基と反応する官能基を有する原子団である。水酸基と反応する官能基としては、イソシアナート基又はカルボキシル基が用いられる。また、不飽和カルボニル基は、カルボニルと結合する原子の価数に応じて、1又は2個含まれ得る。従って、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)は、具体的には、下記一般式(5a)で表わされる不飽和カルボン酸、又は下記一般式(6a)若しくは(6b)で表わされるイソシナート基含有不飽和カルボニル化合物、又は下記一般式(7)で表わされるカルボキシル基含有不飽和カルボニル化合物が該当する。
上記一般式(5),(5a),(6a),(6b),(7)において、R1,R2,R3は、それぞれ、水素、又はメチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基を示し、R1とR2は同じでも異なっていてもよい。また、R3は、R1,R2と同じであっても異なっていてもよい。
(4a),(4b),(5)式中、X,X’,Yは介在基であり、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基であり、好ましくはメチレン、エチレンである。XとX’は同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
従って、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、Qが水酸基である不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸などが挙げられ、これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられる。
また、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、イソシナート基含有不飽和カルボニル化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート等が挙げられる。
また、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、一般式(5)で表わされるカルボキシル基含有不飽和カルボニル化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸などを用いることができる。
以上のような構成を有する不飽和カルボニル化合物は、α,β不飽和カルボニル基において、R1が水素又はメチル基、R2が水素であるアクリロイル基又はメタクリロイル基が好ましく用いられる。
〔不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)の合成:共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)と、不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応〕
共役ジエン系ポリマーポリオール(単体型共役ジエン系ポリマーポリオール、多量体型共役ジエン系ポリマー、又はこれらの混合物)(a−1)と、水酸基反応性不飽和カルボニル化合物(a−2)とを反応させると、ポリオール(a−1)中のOH基が、不飽和カルボニル化合物(a−2)中のイソシアナート基又はカルボキシル基と反応してウレタン結合又はエステル結合を形成する。そして、ウレタン結合又はエステル結合を介して不飽和カルボニル基が導入された、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)が合成される。
共役ジエン系ポリマーポリオール(単体型共役ジエン系ポリマーポリオール、多量体型共役ジエン系ポリマー、又はこれらの混合物)(a−1)と、水酸基反応性不飽和カルボニル化合物(a−2)とを反応させると、ポリオール(a−1)中のOH基が、不飽和カルボニル化合物(a−2)中のイソシアナート基又はカルボキシル基と反応してウレタン結合又はエステル結合を形成する。そして、ウレタン結合又はエステル結合を介して不飽和カルボニル基が導入された、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)が合成される。
(a−1)成分として、単体型共役ジエン系ポリマーポリオールを使用した場合、不飽和カルボニル共役ジエン系ポリマーは、式(8a)で示されるように、共役ジエン系ポリマー部を1つだけ有する単体型不飽和カルボニル共役ジエン系ポリマー(A2)となる。(a−1)成分として、多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールを使用した場合、共役ジエン系ポリマー部を複数有する多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)となる。例えば、上記式(4a)であらわされる2量体化共役ジエン系ポリマーポリオールを使用した場合には、下記式(8b)であらわされる不飽和カルボニル変性2量体化共役ジエン系ポリマーが得られる。多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)は、通常、(a−1)成分として使用した多量体型共役ジエン系ポリマーポリオールの構造に対応した多量体構造を有している。
式(8a)(8b)中、Yは共役ジエン系ポリマーポリオール末端の水酸基と水酸基反応性不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により形成されるウレタン結合又はエステル結合である。
得られる不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの数平均分子量、粘度は、繰り返し単位となる共役ジエンの種類、多量体化の有無等によって異なるが、一般に多量体化によって分子量、粘度が増大し、多量体数の増大に伴って、さらに分子量、粘度が増大する。
具体的には、単体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A2)の数平均分子量は、繰り返し単位となる共役ジエンの種類にもよるが、通常、500〜10000、好ましくは1000〜9000、より好ましくは1500〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。また、25℃における粘度は、繰り返し単位となる共役ジエンの種類、反応条件等により異なるが、3〜1000Pa・s、好ましくは20〜800Pa・sである。
多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)の数平均分子量は、繰り返し単位となる共役ジエンの種類、共役ジエン系ポリマーの連結数にもよるが、2量体化、3量体化により、1000〜60000、好ましくは3000〜50000、より好ましくは5000〜40000、さらに好ましくは8000〜30000の高分子量化合物となる。また、25℃における粘度は、繰り返し単位となる共役ジエンの種類、反応条件等により異なるが、10〜2000Pa・sである。
なお、本明細書にいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(溶媒:テトラヒドロフラン)を用いて測定した値である。また、上記粘度は、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業社製)を用いて測定することができる。
以下、共役ジエン系ポリマーポリオール(a−1)としてポリブタジエンポリオールを使用し、不飽和カルボニル化合物(a−2)として、R1が水素又はメチル基、R2が水素である(メタ)アクリロイル基含有化合物を用いた場合に得られる(メタ)アクリロイル変性共役ジエン系ポリマーを代表として、カルボニル変性の方法について詳述する。
(メタ)アクリロイル変性ポリブタジエンの製造方法は特に限定しないが、通常、触媒の存在下、ポリブタジエンポリオールと、不飽和カルボニル基が(メタ)アクリロイル基である不飽和カルボニル化合物(a−2)とを加熱して、ポリブタジエンポリオールの水酸基を、ウレタン化又はエステル化することにより得ることができる。
ポリブタジエンポリオールと(メタ)アクリロイル化合物との混合比率は、ポリブタジエンポリオールに含まれる水酸基1当量(ポリブタジエンポリオールの仕込み量に基づく水酸基当量から、連結用化合物Lとの反応により消費される当量数を差し引いた量に相当)に対して、(メタ)アクリロイル化合物(a−2)に含まれる官能基が0.30〜1.05当量となるように定めることが好ましく、より好ましくは0.40〜1.05当量である。0.3当量を下回ると、(メタ)アクリロイル変性されていない水酸基が残存しやすく、得られる硬化物について、硬化性が低下する傾向にある。一方、1.05当量を上回ると、過剰な(メタ)アクリロイル化合物(a−2)が残留する等の理由により、硬化物の耐熱性、耐光性の低下が起こる傾向が見られ好ましくない。また、用いた(メタ)アクリロイル化合物(a−2)中の大部分、具体的には90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上が反応して、連結部を形成していることが好ましい。
反応に使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等のアミン類、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等のジラウレート化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。触媒の添加量は反応混合物全体に対して0.001〜1質量%程度であることが好ましく、0.01〜0.5質量%程度であることが特に好ましい。
反応温度は通常、10〜100℃、特に30〜80℃で行うことが好ましい。また、反応中のラジカル重合によるゲル化を防止するため、公知の重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン等を好ましく使用でき、反応混合物全体に対して0.001〜3質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。
以上のような構成を有するα,β不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、誘電率が低い硬化物が得られる傾向にある。例えば、ブタジエン系ポリマーでは、1MHzでの誘電率が3.5未満、さらに水添型ブタジエン系ポリマーでは3.3以下、さらに配合する他の成分を工夫することで3.0以下、好ましくは2.8以下を達成することが可能となるので、誘電率に対する要求が厳しい、静電容量式タッチパネルなどの透明部材同士の接着剤、充填剤などに好適に適用することができる。
(B)重合性成分
本発明の樹脂組成物は、重合性成分として、(B1)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物、及び(B2)その他の重合性成分を含有する。
本発明の樹脂組成物は、重合性成分として、(B1)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物、及び(B2)その他の重合性成分を含有する。
(B1)親水基含有(メタ)アクリレート系化合物
B成分としての「親水基含有(メタ)アクリレート系化合物」は、α,β不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーと共硬化可能である、(メタ)アクリレート系モノマー若しくはオリゴマーで、且つ親水基を有する化合物である。
B成分としての「親水基含有(メタ)アクリレート系化合物」は、α,β不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーと共硬化可能である、(メタ)アクリレート系モノマー若しくはオリゴマーで、且つ親水基を有する化合物である。
このような親水基含有(メタ)アクリレート系化合物を含有することにより、高湿度下での透明性の低下を抑制することができる。すなわち、α,β不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの硬化物は、初期の透明性が高いにもかかわらず、高湿度下条件下での放置により急激に透明性が低下し、その後、常湿状態に戻しても、透明性が回復しないという問題がある。しかしながら、(B1)親水基含有(メタ)アクリレート系化合物を添加することで、透明性の低下が大幅に改善できることが見出された。
「親水基含有(メタ)アクリレート系化合物」における親水基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、アミド基、2−ピロリドン、PEG鎖などが挙げられる。代表的には親水基としてヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート系化合物である。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが好ましく、より好ましくは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。化合物におけるヒドロキシル含有割合が高い化合物は、少量の添加で、高い耐湿性改善効果が得られる傾向にあるからである。
このような親水基含有(メタ)アクリレート系化合物は、樹脂組成物全体に対して1〜10質量%含有することが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。1質量%未満では、耐湿性効果が不十分である。一方、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有率が高くなるのにしたがって、硬化物の誘電率が高くなる傾向にあり、共役ジエン系ポリマーを用いたことによる低誘電率化効果が損なわれる傾向にある。したがって、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を、10質量%未満とすることが好ましく、より好ましくは5質量%未満である。特に(A)成分として(メタ)アクリロイル変性ポリブタジエンを用いた場合には、5質量部未満であっても、硬化物の耐湿性を満足することが可能である。
(B2)その他の重合性成分
重合性成分としては、親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の他、α,β−不飽和カルボニル変性ポリマーと共硬化可能な、(メタ)アクリレート系モノマー(水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を除く)もしくはオリゴマー、ビニル基含有化合物を含有してもよい。親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の含有量を低減するとともに、他の重合性成分(B2)の含有量を増大することで、得られる樹脂組成物の粘度、作業性を容易に調整できる。さらには、耐熱性、耐光性、透明性等の物性も調整が可能となる。
重合性成分としては、親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の他、α,β−不飽和カルボニル変性ポリマーと共硬化可能な、(メタ)アクリレート系モノマー(水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を除く)もしくはオリゴマー、ビニル基含有化合物を含有してもよい。親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の含有量を低減するとともに、他の重合性成分(B2)の含有量を増大することで、得られる樹脂組成物の粘度、作業性を容易に調整できる。さらには、耐熱性、耐光性、透明性等の物性も調整が可能となる。
上記(メタ)アクリレート系化合物としては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環族アルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のテルペン類とのエステル;アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAに(メタ)アクリル酸を反応させたもの等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート;さらには、上述の(メタ)アクリレートにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加して変性された各種(メタ)アクリレート類;メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の片末端がアルキル化されたエチレングリコール若しくはその重合体との(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の片末端がアルキル化されたプロピレングリコール若しくはその重合体との(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂等の(メタ)アクリレートを有する反応性オリゴマー類が挙げられる。
上記ビニル基含有化合物としては、特に限定されないが、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等のアリル化合物; N−フェニルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド等のN−置換マレイミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、イソフタジフェン酸ジアリル、フタル酸ジアリルル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリルエステル系モノマー;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテル等のアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等のフマル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
以上のような他の重合性成分(B2)は、親水基含有重合性成分よりも多く含有することが好ましく、具体的には、樹脂組成物全体の1〜35質量%の割合で配合することが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤(C)としては、従来より、エネルギー線硬化型樹脂組成物の分野で用いられている光重合開始剤を用いることができる。例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、アセトフェノン類、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステルが好適である。
光重合開始剤(C)としては、従来より、エネルギー線硬化型樹脂組成物の分野で用いられている光重合開始剤を用いることができる。例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、アセトフェノン類、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステルが好適である。
エネルギー線硬化型樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量としては、用途により異なるが、通常、当該樹脂組成物100質量%に対し、0.1〜10質量%であることが好適である。0.1質量%以上であると樹脂組成物をより充分に硬化させることができ、また10質量%以下であると臭気発生や硬化物の着色を充分に抑制できる。より好ましくは0.3〜5質量%、更に好ましくは0.3〜3質量%である。
(D)他の非反応性樹脂
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)カルボニル変性共役ジエン系ポリマー、(B)親水基含有(メタ)アクリロイル化合物(B1)を含む重合性成分、(C)光重合開始剤のほか、さらに、必要に応じて、カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)以外の他の非反応性樹脂を含んでもよい。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)カルボニル変性共役ジエン系ポリマー、(B)親水基含有(メタ)アクリロイル化合物(B1)を含む重合性成分、(C)光重合開始剤のほか、さらに、必要に応じて、カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)以外の他の非反応性樹脂を含んでもよい。
他の非反応性樹脂を含有することで、樹脂組成物の粘度、硬化物の物性等を調節することができる。
本発明で用いることができる他の非反応性樹脂は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド共重合体等のポリエーテルポリオール;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸等の側鎖に重合性官能基や二重結合を有しない(メタ)アクリル系重合体;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン又はこれらの水添物等の共役ジエン系ポリマー;熱可塑性エラストマー、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂などが挙げられる。
本発明で用いることができる他の非反応性樹脂は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド共重合体等のポリエーテルポリオール;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸等の側鎖に重合性官能基や二重結合を有しない(メタ)アクリル系重合体;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン又はこれらの水添物等の共役ジエン系ポリマー;熱可塑性エラストマー、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂などが挙げられる。
これらのうち、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーとの親和性の観点から、ロジンエステル系樹脂、液状共役ジエン系ポリマー(水添型、非水添型)などの疎水性樹脂を用いることが好ましく、より好ましくは液状共役ジエン系ポリマーであり、さらに好ましくは(A)成分として用いた共役ジエン系ポリマーと同種類の共役ジエン系ポリマーである。例えば、(A)成分がα,β−不飽和カルボニル変性ポリブタジエンの場合には、非反応性樹脂として液状ポリブタジエンを用いることが好ましい。親水性が高い樹脂を用いた場合、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A)との相溶性が低く、樹脂組成物の均一性が低下しやすく、得られる樹脂組成物の透明性の低下の原因となりやすい。一方、親和性の高い非反応性樹脂を含有させることにより、透明性が向上する。
以上のような他の非反応性樹脂は、樹脂組成物全体の0〜35質量%の割合で配合することが好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜20質量%である。
(E)その他の充填剤
(E1)可塑剤
上記成分のほか、必要に応じて可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、従来より公知の可塑剤、例えば、(メタ)アクリレート基を有しない化合物をいい、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル類;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル類;トリオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル−n−デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(C4〜C11)等のトリメリット酸エステル類;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸エステル類;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル類;モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル類;ブチルオレート等のオレイン酸エステル類;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル類などのエステル類が挙げられる。
(E1)可塑剤
上記成分のほか、必要に応じて可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、従来より公知の可塑剤、例えば、(メタ)アクリレート基を有しない化合物をいい、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル類;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル類;トリオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル−n−デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(C4〜C11)等のトリメリット酸エステル類;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸エステル類;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル類;モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル類;ブチルオレート等のオレイン酸エステル類;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル類などのエステル類が挙げられる。
(E2)その他の充填剤
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、更に、用途、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、熱硬化触媒、紫外線吸収剤、連鎖移動安定剤、光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、チキソトロピー付与剤、脱泡剤、着色剤等を含んでもよい。
なお、チキソトロピー付与剤としては、シリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子は、ケイ素原子を有する金属酸化物であれば、特に限定されるものではないが、ケイ素原子に加え、さらに他の金属原子を含む複合酸化物であってもよい。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、更に、用途、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、熱硬化触媒、紫外線吸収剤、連鎖移動安定剤、光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、チキソトロピー付与剤、脱泡剤、着色剤等を含んでもよい。
なお、チキソトロピー付与剤としては、シリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子は、ケイ素原子を有する金属酸化物であれば、特に限定されるものではないが、ケイ素原子に加え、さらに他の金属原子を含む複合酸化物であってもよい。
上記熱硬化触媒としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの熱硬化触媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。単量体成分に対する硬化触媒の添加量等は、特に限定されるものではない。
連鎖移動安定剤は、硬化物の硬度調整、基材に対する密着性アップ、耐ヒートショック性アップのために好ましく用いられる。連鎖移動剤としては、具体的には、β−メルカプトプロピオン酸、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート、3,3'−チオジプロピオン酸、3,3’−チオジプロピオン酸ジメチル、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン等のモノチオール類;トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジチオグリコール酸ジアンモニウム等の多官能チオール類などが挙げられ、好ましくは多官能チオール類である。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
光安定剤は、耐光性向上のみならず、耐熱性アップにも有効である。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。具体的には、例えば、BASF社のTINUVIN123,144,152,292,5100,765、三共(株)のSANOL LS−770,765,292,2626などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、市販のものを用いてもよい。例えば、ベンゾトリアゾール類、ベンゾエート類、シアノアクリレート類、ベンゾフェノン類、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類;TINUVIN 770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社製品名)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共(株)製品名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可能である。
上記酸化防止剤としては、市販のアデカスタブAO−10〜AO−80、アンテージW−300、W−400、W−500などが挙げられる。耐久性の点で、AO−50,AO−60が好ましく用いられる。
エネルギー線硬化型樹脂組成物を印刷用インキとして用いる場合には、通常、着色剤を含有する。着色剤としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、アンスラキノン顔料、ペリレン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、ニトロ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料;染料などを用いることができる。本発明の樹脂組成物は、粘度を高くできるので、顔料を安定的に分散させることが可能である。
以上のようなその他の成分は、樹脂組成物の用途により適宜選択されるが、通常、0〜40質量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
尚、本発明に係る不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの含有率は、樹脂組成物全体の10〜70質量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。かかる範囲で、硬度と誘電率の好ましいバランスが得られるからである。
〔エネルギー線硬化型樹脂組成物の使用方法〕
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布、塗工方法としては、従来の塗工液で採用される、刷毛塗り、ローラー塗工、バーコーター、アプリケーター、エアナイフコーター、カーテンコーター等の塗工方法の他、ディスペンサーのように、一定量ずつ滴下、吐き出しできる装置を用いて塗工することができる。圧送式ディスペンサー等のように微量で高精度に調節して吐き出すことができる装置を用いた場合、幅0.5〜3.0mm程度の限定的領域に塗布することができる。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布、塗工方法としては、従来の塗工液で採用される、刷毛塗り、ローラー塗工、バーコーター、アプリケーター、エアナイフコーター、カーテンコーター等の塗工方法の他、ディスペンサーのように、一定量ずつ滴下、吐き出しできる装置を用いて塗工することができる。圧送式ディスペンサー等のように微量で高精度に調節して吐き出すことができる装置を用いた場合、幅0.5〜3.0mm程度の限定的領域に塗布することができる。
不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、粘度が高いため、重合性成分、他の非反応性樹脂を配合しても、高粘度の樹脂組成物を得ることができる。このため、塗工部分を印刷枠で画定した部分にスクイジーでインキを転写させるスクリーン印刷も適用できる。塗布後、硬化までの間の流れ出し、ダレが少なくて済むので、被塗膜の厚みを0.1〜4.0mmといった厚膜とすることが可能である。
上記のような組成を有する本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、エネルギー線照射により、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーにおける不飽和カルボニル基、重合性成分(B)が反応して硬化する。親水基含有重合性成分(B1)が参与して、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーと共硬化することにより、共役ジエン系ポリマーの硬化物に親水基が導入される。なお、ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
エネルギー線としては、電子線、放射線、紫外線などを用いることができ、好ましくは波長150〜450nmの紫外線である。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜10J/cm2、より好ましくは0.2〜5J/cm2、更に好ましくは0.3〜3J/cm2の範囲内である。
光照射による硬化と共に加熱による硬化との併用も可能である。この場合、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、熱硬化触媒の分解温度や使用する基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは60〜90℃の範囲内である。加熱時間は、熱硬化触媒の分解温度や塗布厚み等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜12時間、より好ましくは10分間〜6時間、更に好ましくは10分間〜3時間の範囲内である。
さらに、光照射による硬化と共に電子線照射による硬化を併用して得てもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
<樹脂組成物の硬化物>
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの含有率、組成、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの種類にもよるが、エネルギー線照射により、低誘電率で、耐熱性、耐光性、耐湿性に優れた透明な硬化物が得られる。従って、光学式表示部材同士の接着剤、充填剤といった従来より公知の用途、さらには静電容量型タッチパネルの透明部材間の充填材、接着剤などとして好適に用いることができる。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの含有率、組成、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの種類にもよるが、エネルギー線照射により、低誘電率で、耐熱性、耐光性、耐湿性に優れた透明な硬化物が得られる。従って、光学式表示部材同士の接着剤、充填剤といった従来より公知の用途、さらには静電容量型タッチパネルの透明部材間の充填材、接着剤などとして好適に用いることができる。
さらに、多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーを用いた場合には、単体型不飽和カルボニル共役ジエン系ポリマーよりも軟らかい硬化物を得ることが可能である。具体的には、JIS K7312に基づき、ASKER製のデュロメータC型硬度計を用いて、測定される試験片(幅17mm×長さ45mm×厚み4mm)の硬度に関して、5〜60、より好ましくは8〜40、さらに好ましくは10〜30の硬化物を得ることができる。したがって、A成分として多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーを用いる態様のエネルギー線硬化型樹脂組成物では、衝撃吸収性に優れ、ひいては画像形成の耐久性にも優れるので、画像形成性が重視される携帯型の画像表示装置の透明部材間の充填剤、接着剤などにも好適に用いることができる。
<樹脂組成物の用途>
第1の用途として、光学部材の充填剤が挙げられる。具体的には、液晶ディスプレイの前面板とディスプレイとの間隙に充填される充填剤などである。本発明の樹脂組成物をこのような光学部材の充填剤として用いることで、外光の反射を抑え、高画質化を可能とする。
第1の用途として、光学部材の充填剤が挙げられる。具体的には、液晶ディスプレイの前面板とディスプレイとの間隙に充填される充填剤などである。本発明の樹脂組成物をこのような光学部材の充填剤として用いることで、外光の反射を抑え、高画質化を可能とする。
特に本発明の樹脂組成物の硬化物は、誘電率が低く、しかも透明性に優れているので、透明性及び低誘電率に対する要求が厳しい、静電容量型のタッチパネルをはじめとする端末型画像表示装置の部材同士の接着剤として好適に用いることができる。
さらに、多量体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーを用いた場合、不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーの特徴を保持しつつ、且つ単体型不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーを用いた樹脂組成物と比べて高粘度の液状組成物とすることができる。このため、塗工部分の形状保持に優れ、細幅の限定的領域に塗工することができ、また、被塗膜の厚みを厚くできるという特性を有し、ディスペンサーの他、スキージを用いるスクリーン印刷を利用した接着剤として用いることもできる。
よって、第2の用途として、印刷部分に重厚性が求められるスクリーン印刷用インキが挙げられる。すなわち、本発明のエネルギー線硬化型組成物は、高粘度で、だれたりすることを防止でき、印刷部分の形状保持だけでなく、インクの膜厚を大きくすることも可能であることから、スクリーン印刷用インキとして好適に用いることができる。尚、スクリーン印刷の塗膜厚みは、通常、ステンシルのメッシュによりコントロールされる。高分子量の多量体型不飽和カルボニル変性ポリブタジエンをビヒクルとして用いるスクリーン印刷用インキは、耐熱性、耐湿性が向上したスクリーン印刷用インキを提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り質量基準を意味する。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り質量基準を意味する。
<測定及び評価方法>
本実施例で採用した評価方法は以下の通りである。
〔評価方法〕
(1)組成物粘度(mPa・s)
得られた樹脂組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した。
本実施例で採用した評価方法は以下の通りである。
〔評価方法〕
(1)組成物粘度(mPa・s)
得られた樹脂組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した。
(2)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
テトラヒドロフランを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/分の条件下で、東ソー社製のカラムTSK−gel SuperHM−H2本、TSK−gel SuperH2000 1本を使用し、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
テトラヒドロフランを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/分の条件下で、東ソー社製のカラムTSK−gel SuperHM−H2本、TSK−gel SuperH2000 1本を使用し、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
(3)誘電率ε(1MHz)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み1mm)を2つの電極(電極面積9cm2)で挟持し、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社S1−1260)でキャパシタンスを測定し、誘電率を算出した。
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み1mm)を2つの電極(電極面積9cm2)で挟持し、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社S1−1260)でキャパシタンスを測定し、誘電率を算出した。
(4)硬化性(J/cm2)
組成物に直接、高圧水銀灯を1J/cm2(365nmにての値)ずつ照射していき、硬度値が一定になる光照射量(365nm)を測定した。
組成物に直接、高圧水銀灯を1J/cm2(365nmにての値)ずつ照射していき、硬度値が一定になる光照射量(365nm)を測定した。
(5)硬化収縮率(%)
25℃における、樹脂組成物の比重および樹脂組成物を硬化して得られた硬化物の比重を測定し、以下の計算より求めた。
硬化収縮率(%)=(硬化物比重−樹脂組成物比重)/硬化物比重×100
25℃における、樹脂組成物の比重および樹脂組成物を硬化して得られた硬化物の比重を測定し、以下の計算より求めた。
硬化収縮率(%)=(硬化物比重−樹脂組成物比重)/硬化物比重×100
(6)硬度値(E硬度)
JIS K7312に基づき、ASKER製のデュロメータC型硬度計を用いて、得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅17mm×長さ45mm×厚み4mm)の硬度を測定した。
JIS K7312に基づき、ASKER製のデュロメータC型硬度計を用いて、得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅17mm×長さ45mm×厚み4mm)の硬度を測定した。
(7)伸び率(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅4mm×長さ20mm×厚み1mm)を用いて、雰囲気温度25℃下で、引張速度0.1mm/sで引張り試験を行い、下記式により伸び率を算出した。尚、式中、Lは破断するまでの変位長さであり、L0は試験前のシートの長さである。
伸び率(%)=L/L0×100
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅4mm×長さ20mm×厚み1mm)を用いて、雰囲気温度25℃下で、引張速度0.1mm/sで引張り試験を行い、下記式により伸び率を算出した。尚、式中、Lは破断するまでの変位長さであり、L0は試験前のシートの長さである。
伸び率(%)=L/L0×100
(8)光線透過率(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、400nmにおける光線透過率を、分光光度計(形式「UV−3100」、島津製作所社製)を用いて測定した。
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、400nmにおける光線透過率を、分光光度計(形式「UV−3100」、島津製作所社製)を用いて測定した。
(9)濁度(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。
(10)屈折率
得られた樹脂組成物を、ガラス板上に膜厚が300μmとなるように、アプリケーターバーを用いて塗布し、3.0J/cm2の紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製した。JIS K7105に従い、アッベ屈折率計(型式「DR−M2」、アタゴ社製)を用いて、上記試験片の25℃における屈折率を測定した。
得られた樹脂組成物を、ガラス板上に膜厚が300μmとなるように、アプリケーターバーを用いて塗布し、3.0J/cm2の紫外線を窒素下で照射して硬化させ、試験片を作製した。JIS K7105に従い、アッベ屈折率計(型式「DR−M2」、アタゴ社製)を用いて、上記試験片の25℃における屈折率を測定した。
(11)耐熱性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、100℃のオーブン中で250時間加熱した。加熱後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、100℃のオーブン中で250時間加熱した。加熱後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
(12)耐光性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、メタリングウェザーメーター(形式「M6T」、スガ試験機社製、照射強度0.5kW/m2)を用いて、200MJ/m2で光照射を行った。照射後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、メタリングウェザーメーター(形式「M6T」、スガ試験機社製、照射強度0.5kW/m2)を用いて、200MJ/m2で光照射を行った。照射後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
(13)耐湿性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、恒温恒湿機中(温度85℃、湿度85%RH)で100時間保持した後、シートの濁り度合を目視にて確認し、下記3段階で評価した。
○:濁りなし
△:わずかに濁りあり
×:濁りあり
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、恒温恒湿機中(温度85℃、湿度85%RH)で100時間保持した後、シートの濁り度合を目視にて確認し、下記3段階で評価した。
○:濁りなし
△:わずかに濁りあり
×:濁りあり
(14)再剥離性(リペア性)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み0.3mm)を用意し、ガラス板からシート状硬化物を剥離させた時の様子を、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:シート硬化物が破損せず、容易に剥離できる
△:やや力が要するものの、シート硬化物が破損せず剥離ができる
×:シート硬化物が破損、または、剥離できない部分がある
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み0.3mm)を用意し、ガラス板からシート状硬化物を剥離させた時の様子を、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:シート硬化物が破損せず、容易に剥離できる
△:やや力が要するものの、シート硬化物が破損せず剥離ができる
×:シート硬化物が破損、または、剥離できない部分がある
(15)作業性1,2
(15−1)作業性1(ディスペンサーへの適用性)
得られた樹脂組成物1gを、25℃の雰囲気下、市販のディスペンス装置を用いて吐出(吐出圧0.05MPa)するのに要する平均時間(n=3)を測定し、下記4段階で評価した。
◎:3秒以内
○:3秒以上10秒未満
△:10秒以上30秒未満
×:30秒以上
(15−1)作業性1(ディスペンサーへの適用性)
得られた樹脂組成物1gを、25℃の雰囲気下、市販のディスペンス装置を用いて吐出(吐出圧0.05MPa)するのに要する平均時間(n=3)を測定し、下記4段階で評価した。
◎:3秒以内
○:3秒以上10秒未満
△:10秒以上30秒未満
×:30秒以上
(15−2)作業性2(スキージによるスクリーン印刷性)
得られた樹脂組成物30gを、25℃雰囲気下、幅400mm×長さ300mm×厚み2mmのガラス板上に、特殊パターン(幅300mm×長さ200mm×厚み0.5mm、パターン面積600cm2)でスクリーン印刷を行った後、10秒間放置後、高圧水銀灯により照射して樹脂組成物を硬化させた。硬化後の樹脂のサイズを測定し、下記4段階にて評価した。
◎:パターン面積が600〜615cm2
○:パターン面積が616〜630cm2
△:パターン面積が631〜650cm2
×:パターン面積が651cm2以上
得られた樹脂組成物30gを、25℃雰囲気下、幅400mm×長さ300mm×厚み2mmのガラス板上に、特殊パターン(幅300mm×長さ200mm×厚み0.5mm、パターン面積600cm2)でスクリーン印刷を行った後、10秒間放置後、高圧水銀灯により照射して樹脂組成物を硬化させた。硬化後の樹脂のサイズを測定し、下記4段階にて評価した。
◎:パターン面積が600〜615cm2
○:パターン面積が616〜630cm2
△:パターン面積が631〜650cm2
×:パターン面積が651cm2以上
(16)耐ヒートショック性
画像形成性の測定で得られた携帯電話について、−40℃30分、60℃30分を1サイクルとして、100サイクル、300サイクル、500サイクルの3水準でヒートショック試験を行い、液晶モジュールと樹脂硬化物層との界面、または、樹脂硬化物層とガラス板との界面におけるハガレ又は発泡の有無を確認し、下記基準で評価した。
◎:500サイクルでハガレ又は発泡なし。
○:300サイクルでハガレ又は発泡なし。500サイクルでハガレ又は発泡あり。
△:100サイクルでハガレ又は発泡なし。300サイクルでハガレ又は発泡あり。
×:100サイクルでハガレ又は発泡あり。
画像形成性の測定で得られた携帯電話について、−40℃30分、60℃30分を1サイクルとして、100サイクル、300サイクル、500サイクルの3水準でヒートショック試験を行い、液晶モジュールと樹脂硬化物層との界面、または、樹脂硬化物層とガラス板との界面におけるハガレ又は発泡の有無を確認し、下記基準で評価した。
◎:500サイクルでハガレ又は発泡なし。
○:300サイクルでハガレ又は発泡なし。500サイクルでハガレ又は発泡あり。
△:100サイクルでハガレ又は発泡なし。300サイクルでハガレ又は発泡あり。
×:100サイクルでハガレ又は発泡あり。
<不飽和カルボニル変性ポリマーの合成>
(1)単体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)
ウレタン化触媒ジブチルスズジバーサテート0.4g、重合禁止剤ADEKA社のアデカスタブAO−60を0.4g、(a−1)として、日本曹達株式会社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」(数平均分子量3000)800gをバブリング下、撹拌しながら77℃に加熱した。2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)57g(GI−3000に含まれる水酸基に対して1.0当量に相当)を投入し、80℃で120分間反応させることで、単体型アクリロイル変性水添型ポリブタジエンを得た。得られた単体型アクリロイル変性水添型ポリブタジエンの数平均分子量は5500であった。
(1)単体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)
ウレタン化触媒ジブチルスズジバーサテート0.4g、重合禁止剤ADEKA社のアデカスタブAO−60を0.4g、(a−1)として、日本曹達株式会社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」(数平均分子量3000)800gをバブリング下、撹拌しながら77℃に加熱した。2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)57g(GI−3000に含まれる水酸基に対して1.0当量に相当)を投入し、80℃で120分間反応させることで、単体型アクリロイル変性水添型ポリブタジエンを得た。得られた単体型アクリロイル変性水添型ポリブタジエンの数平均分子量は5500であった。
(2)多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)
ウレタン化触媒ジブチルスズジバーサテート0.4g、重合禁止剤ADEKA社のアデカスタブAO−60を0.4g、(a−1)として、日本曹達株式会社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」(数平均分子量3000)800gをバブリング下、撹拌しながら77℃に加熱した。次にイソホロンジイソシアネート(IPDI)23g(GI−3000に含まれる水酸基に対して0.5当量に相当)を1mL/minの速度で滴下し、滴下終了後80℃で1時間保持して反応させることで、多量体型ポリブタジエンポリオールを得た。続いて、多量体型ポリブタジエンポリオールに対して1.0当量(GI−3000の残った水酸基0.5当量に相当)の2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)28g投入し、80℃で120分間反応させて、多量体型アクリロイル変性水添型ブタジエンを得た。得られた多量体型アクリロイル変性水添型ブタジエンの数平均分子量は9000であった。
ウレタン化触媒ジブチルスズジバーサテート0.4g、重合禁止剤ADEKA社のアデカスタブAO−60を0.4g、(a−1)として、日本曹達株式会社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」(数平均分子量3000)800gをバブリング下、撹拌しながら77℃に加熱した。次にイソホロンジイソシアネート(IPDI)23g(GI−3000に含まれる水酸基に対して0.5当量に相当)を1mL/minの速度で滴下し、滴下終了後80℃で1時間保持して反応させることで、多量体型ポリブタジエンポリオールを得た。続いて、多量体型ポリブタジエンポリオールに対して1.0当量(GI−3000の残った水酸基0.5当量に相当)の2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)28g投入し、80℃で120分間反応させて、多量体型アクリロイル変性水添型ブタジエンを得た。得られた多量体型アクリロイル変性水添型ブタジエンの数平均分子量は9000であった。
(3)多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(非水添型)
両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」に代えて、日本曹達株式会社製の両末端水酸基ポリブタジエン「G−3000」(数平均分子量3000)を使用した以外は、上記(2)と同様にした。ただし、G−3000に含まれる水酸基に対して0.5当量に相当するイソホロンジイソシアネート(IPDI)の量は25gであり、G−3000の残った水酸基0.5当量に相当に相当する2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(品番カレンズAOI)の量は32gである。得られた多量体型アクリロイル変性ポリブタジエンの数平均分子量は11000であった。
両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−3000」に代えて、日本曹達株式会社製の両末端水酸基ポリブタジエン「G−3000」(数平均分子量3000)を使用した以外は、上記(2)と同様にした。ただし、G−3000に含まれる水酸基に対して0.5当量に相当するイソホロンジイソシアネート(IPDI)の量は25gであり、G−3000の残った水酸基0.5当量に相当に相当する2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(品番カレンズAOI)の量は32gである。得られた多量体型アクリロイル変性ポリブタジエンの数平均分子量は11000であった。
(4)アクリロイル変性ポリエーテル(Ac変性ポリエーテル)
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、イソシアナート基含有不飽和カルボニルである2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)37.2g(ポリエーテルポリオール中の水酸基に対して1.0当量)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間、80℃の温度を保ち、反応を終了させ、連結部がウレタン結合であるアクリロイル変性ポリエーテルを得た。赤外分光法により求めたイソシアナート反応率は98%であった。また、25℃における粘度は、17Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は17000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.18であった。
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、イソシアナート基含有不飽和カルボニルである2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)37.2g(ポリエーテルポリオール中の水酸基に対して1.0当量)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間、80℃の温度を保ち、反応を終了させ、連結部がウレタン結合であるアクリロイル変性ポリエーテルを得た。赤外分光法により求めたイソシアナート反応率は98%であった。また、25℃における粘度は、17Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は17000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.18であった。
(5)多量体型アクリロイル変性ポリエーテル(多量体型Ac変性ポリエーテル)
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、連結用化合物Lとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)(住化バイエルウレタン社製)を、上記ポリエーテルポリオール中の水酸基1当量に対して、0.50当量となる量15gを、2L仕込みのスケールでは1mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、70℃に2時間保持して、反応を終了させ、連結部がウレタン結合である多量体型ポリエーテルポリオールを得た。続いて、多量体型ポリエーテルポリオール中の水酸基1当量分(ポリエーテルポリオールの残った0.50当量分の水酸基に相当)に対して、アクリロイル化合物を投入し、70℃に2時間保持して反応させることにより、多量体化されたアクリロイル変性ポリエーテルを得た。
得られた多量体型アクリロイル変性ポリエーテルを、逆滴定法により求めたイソシアナート反応率は99%であった。また、25℃における粘度は、210Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は37000であった。
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリエーテルポリオールとして数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、連結用化合物Lとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)(住化バイエルウレタン社製)を、上記ポリエーテルポリオール中の水酸基1当量に対して、0.50当量となる量15gを、2L仕込みのスケールでは1mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、70℃に2時間保持して、反応を終了させ、連結部がウレタン結合である多量体型ポリエーテルポリオールを得た。続いて、多量体型ポリエーテルポリオール中の水酸基1当量分(ポリエーテルポリオールの残った0.50当量分の水酸基に相当)に対して、アクリロイル化合物を投入し、70℃に2時間保持して反応させることにより、多量体化されたアクリロイル変性ポリエーテルを得た。
得られた多量体型アクリロイル変性ポリエーテルを、逆滴定法により求めたイソシアナート反応率は99%であった。また、25℃における粘度は、210Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は37000であった。
<紫外線硬化型樹脂組成物No.1−11の調製及び評価>
不飽和カルボニル変性ポリマーとして、上記で調製した単体型アクリロイル変性ポリエーテル、多量体型アクリロイル変性ポリエーテル、単体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)、多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)、又は多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(非水添型)を用いて、表1〜表3に示す割合で、重合性成分、他のポリマー、添加剤を添加し、さらに光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、品番イルガキュア184D(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンに該当))1質量部を混合して、紫外線硬化型樹脂組成物No.1〜11を調製した。得られた紫外線硬化型樹脂組成物について、粘度、硬化性、作業性1,2を上記測定評価方法に基づいて測定評価した。次に、各組成物を、所定厚みのシリコーンスペーサーを4辺に配置した所定寸法のガラス板上に滴下し、ガラス板に充填させた。次に、その上から同寸法のガラス板を被せた。次に、高圧水銀灯により3J/cm2光照射して硬化させ、ガラス板/組成物の硬化物層/ガラス板の積層構造を有する試験片、または、ガラス板から組成物の硬化物層を剥離して、シート状の試験片を作成した。作成した試験片を上記評価測定方法に基づいて、硬化収縮率、硬度値、伸び率、光線透過率、濁度、耐熱性、耐光性、耐湿性、再剥離性(リペア性)、耐ヒートショック性、屈折率を評価した。評価結果をあわせて表1に示す。
不飽和カルボニル変性ポリマーとして、上記で調製した単体型アクリロイル変性ポリエーテル、多量体型アクリロイル変性ポリエーテル、単体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)、多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(水添型)、又は多量体型アクリロイル変性ポリブタジエン(非水添型)を用いて、表1〜表3に示す割合で、重合性成分、他のポリマー、添加剤を添加し、さらに光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、品番イルガキュア184D(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンに該当))1質量部を混合して、紫外線硬化型樹脂組成物No.1〜11を調製した。得られた紫外線硬化型樹脂組成物について、粘度、硬化性、作業性1,2を上記測定評価方法に基づいて測定評価した。次に、各組成物を、所定厚みのシリコーンスペーサーを4辺に配置した所定寸法のガラス板上に滴下し、ガラス板に充填させた。次に、その上から同寸法のガラス板を被せた。次に、高圧水銀灯により3J/cm2光照射して硬化させ、ガラス板/組成物の硬化物層/ガラス板の積層構造を有する試験片、または、ガラス板から組成物の硬化物層を剥離して、シート状の試験片を作成した。作成した試験片を上記評価測定方法に基づいて、硬化収縮率、硬度値、伸び率、光線透過率、濁度、耐熱性、耐光性、耐湿性、再剥離性(リペア性)、耐ヒートショック性、屈折率を評価した。評価結果をあわせて表1に示す。
なお、使用した重合性成分、他の非反応性樹脂、添加剤は、以下のとおりである。
・イソボルニルアクリレート(IB−A)(Tg=94℃)(日本触媒製)
・トリデシルアクリレート(Tg:−55℃)(SARTOMER社のSR489D
・4−ヒドロキシブチルアクリレート(Tg:−32℃)(大阪有機化学工業)
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート(Tg:−7℃)(日本触媒社)
・ロジンエステル系樹脂1:荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−359」(商品名)(酸価10−20、水酸基価38〜47、軟化点94〜104℃)
・ロジンエステル系樹脂2:荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−311」(商品名)(酸価2−10)
・HV−35:日鉱日石エネルギー社のポリイソブテン
・水素化ポリブタジエン:日本曹達株式会社の「BI−2000」(数平均分子量2100)
・非水添ポリブタジエン1:日本曹達株式会社の「B−2000」(数平均分子量2100)
・非水添ポリブタジエン2:日本曹達株式会社の「B−1000」(数平均分子量1100)
・非水添ポリブタジエン3:EVONIK社の「POLYVEST(登録商標)110」(液状ポリブタジエン)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(PE−1)(昭和電工社製)
・イソボルニルアクリレート(IB−A)(Tg=94℃)(日本触媒製)
・トリデシルアクリレート(Tg:−55℃)(SARTOMER社のSR489D
・4−ヒドロキシブチルアクリレート(Tg:−32℃)(大阪有機化学工業)
・2−ヒドロキシプロピルアクリレート(Tg:−7℃)(日本触媒社)
・ロジンエステル系樹脂1:荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−359」(商品名)(酸価10−20、水酸基価38〜47、軟化点94〜104℃)
・ロジンエステル系樹脂2:荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−311」(商品名)(酸価2−10)
・HV−35:日鉱日石エネルギー社のポリイソブテン
・水素化ポリブタジエン:日本曹達株式会社の「BI−2000」(数平均分子量2100)
・非水添ポリブタジエン1:日本曹達株式会社の「B−2000」(数平均分子量2100)
・非水添ポリブタジエン2:日本曹達株式会社の「B−1000」(数平均分子量1100)
・非水添ポリブタジエン3:EVONIK社の「POLYVEST(登録商標)110」(液状ポリブタジエン)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(PE−1)(昭和電工社製)
No.2とNo.5との比較から、ポリエーテル系ポリマーよりも共役ジエン系ポリマーを用いる方が誘電率が低くなることがわかる。
アクリロイル変性ポリエーテルでは、当該ポリマーの含有量が増大すると誘電率も増加し(No.1−3の比較)、多量体型の方が単体型よりも誘電率が大きくなることがわかる(No.2とNo.4の比較)。また、アクリロイル変性ポリエーテルにおいて、重合性成分として、親水基含有モノマーの含有量が少なくなると、耐湿性が低下していた(No.3)。
アクリロイル変性ポリエーテルでは、当該ポリマーの含有量が増大すると誘電率も増加し(No.1−3の比較)、多量体型の方が単体型よりも誘電率が大きくなることがわかる(No.2とNo.4の比較)。また、アクリロイル変性ポリエーテルにおいて、重合性成分として、親水基含有モノマーの含有量が少なくなると、耐湿性が低下していた(No.3)。
No.5とNo.6との比較から、アクリロイル変性ポリブタジエンの場合においても、重合性成分として、親水基含有モノマーの添加量が少なくなると耐湿性が低下することがわかる。
耐湿性については、親水基含有モノマーである2−ヒドロキシプロピルアクリレートを含有させることで解決できるが、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの含有量増大により誘電率が増大する傾向にある。
耐湿性については、親水基含有モノマーである2−ヒドロキシプロピルアクリレートを含有させることで解決できるが、2−ヒドロキシプロピルアクリレートの含有量増大により誘電率が増大する傾向にある。
これに対して、多量体型アクリロイル変性ポリブタジエンを用いたNo.7では、アクリロイル変性ポリエーテルと同程度にまで、硬度を下げることができるので、衝撃吸収性も満足する硬化物を得ることができる。従って、多量体型アクリロイル変性ポリブタジエンを用いることで、低誘電率であり、耐湿性等の耐久性に優れ、さらに衝撃吸収性も満足させることが可能となる。
No.7−9はポリブタジエン部分が水素化されたものであり、No.10,11はポリブタジエン部分が水素化されていないものである。水素化されていない方が若干であるが、誘電率が高くなる傾向にあった。
No.9は、重合性成分として、水酸基含有モノマーを用いなかった場合であり、耐質性、耐光性を満足することができなかった。一方、No.7,8,10,11は、いずれも2−ヒドロキシプロピルアクリレートを重合性成分として含有しているので、耐湿性、耐光性を満足させることができた。また、耐湿性、耐光性の充足のための含有量は、ポリマー成分及び重合性成分の含有総和量100質量部に対して3質量部でも十分であった(NO.7,11)。
No.9は、重合性成分として、水酸基含有モノマーを用いなかった場合であり、耐質性、耐光性を満足することができなかった。一方、No.7,8,10,11は、いずれも2−ヒドロキシプロピルアクリレートを重合性成分として含有しているので、耐湿性、耐光性を満足させることができた。また、耐湿性、耐光性の充足のための含有量は、ポリマー成分及び重合性成分の含有総和量100質量部に対して3質量部でも十分であった(NO.7,11)。
なお、No.7−11は、非反応性樹脂として、共役ジエン系ポリマー(ポリイソブテン又はポリブタジエン)を用いた場合である。データは示さないが、P−1000(ポリプロピレングリコール)を用いた場合と比べて、誘電率が低下する傾向にあった。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、低誘電率で、耐湿性に優れた硬化物が得られるので、タッチパネルのように、透明電極層と透明部材との間に充填される充填剤、接着剤として好適であり、その他の光学部材間の充填剤、接着剤としても好適に利用できる。
Claims (9)
- (A)2個以上のα,β−不飽和カルボニル基を有する共役ジエン系ポリマー(以下、「α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー」と称する);
(B)親水基を有する(メタ)アクリレート系化合物(B1)を含む重合性成分;及び (C)光重合開始剤
を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物。 - 前記(A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の結合を介して、数平均分子量500〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体型ポリマーであって、且つ前記多量体型ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている多量体型共役ジエン系ポリマー(以下「多量体型α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)」と称する)を含む請求項1に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記多量体型α,β−不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマー(A1)は、末端に水酸基を2個以上有するポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとの反応生成物(以下、「多量体型ポリオール」と称する)の分子鎖末端がα,β−不飽和カルボニル変性されたものである請求項2に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- (A)不飽和カルボニル変性共役ジエン系ポリマーにおける前記共役ジエン系ポリマーはポリブタジエンである請求項1〜3のいずれかに記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記共役ジエン系ポリマーは、少なくとも一部が水素化されている請求項4に記載のエネルギー線硬化形樹脂組成物。
- 親水基含有(メタ)アクリレート系化合物(B1)の含有率は、樹脂組成物全体の1〜10質量%である請求項1〜5のいずれかに記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- さらに、(D)非反応性樹脂として、共役ジエン系ポリマー又はその水添物を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物を紫外線照射により硬化して得られる硬化物。
- 請求項8に記載の硬化物を有する表示装置。
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