JP2014152325A - 新規なα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー及びこれを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents

新規なα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー及びこれを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高分子量、高粘度の要求に応えることができる新規なα,β−不飽和カルボニル変性ポリマー、及びこれを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を介して、数平均分子量1000〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体化ポリマーであって、且つ前記多量体化ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多量体化により分子量を増大させた新規な不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー及びこれを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
紫外線照射により重合を開始して硬化する紫外線硬化型樹脂組成物は、短時間で硬化させることができるので、ガラス、金属、プラスチック等のように、水、有機溶剤等の溶媒を吸収しない基材、被着体に塗工する接着剤、充填剤や塗料、インクといった用途に広く用いられている。
エネルギー線硬化型樹脂組成物の主成分には、通常、分子鎖中にラジカル重合性を有するアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するプレポリマー又はオリゴマーが用いられる。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどが用いられている。
これらのうち、例えば、ポリエーテル(メタ)アクリレートは、硬化物が無色透明で、耐熱性、耐光性等の耐久性に優れることから、液晶ディスプレイ組み込みタッチパネルデバイスなどの画像表示装置をはじめとする光学装置の部材の接着に使用することが提案されている(例えば、特開2012−162705号公報(特許文献1))。
一般に、紫外線硬化型樹脂組成物の主成分として用いられるポリエーテル(メタ)アクリレートは、数平均分子量3000〜10000であり、粘度が300〜20000mPa・sである。
特開2012−162705号公報
エネルギー線硬化型樹脂組成物には、プレポリマーとともに、通常、共重合可能な重合性成分が用いられるため、重合性成分の含有割合に対応して樹脂組成物の粘度が低減する。従って、ある程度の粘度が必要な用途では、高粘度のプレポリマーの方が、他の成分の含有量、添加剤を広範囲から選択できる。
しかしながら、ポリエーテル(メタ)アクリレートは、他のプレポリマーと比べて粘度が低い傾向にある。また、ポリエーテル(メタ)アクリレートは、上記のような優れた特性を有するものの、耐湿性については、更なる改善が求められ、そのためには高分子量化することが有効と考えられる。
ここで、ポリエーテル(メタ)アクリレートは、通常、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールの分子鎖末端を、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β不飽和カルボン酸で変性することにより合成することから、ポリエーテル(メタ)アクリレートの分子量は、ポリマー鎖骨格であるポリエーテル部分の分子量に依存することになる。しかしながら、原料として容易に入手できるポリエチレングリコール等については、最大でも、せいぜい15000程度であることから、得られるポリエーテル(メタ)アクリレートとしても、工業生産上、数平均分子量が15000程度が限界である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高分子量、高粘度の要求に応えることができる新規なα,β−不飽和カルボニル変性ポリマー、及びこれを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を介して、数平均分子量1000〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体化ポリマーであって、且つ前記多量体化ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されているものである。
前記ポリオール(a−1)は、数平均分子量5000〜20000のポリエーテルポリオールであることが好ましい。
α,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの数平均分子量は2000〜60000であることが好ましく、25℃における粘度が15〜2000Pa・sであることが好ましい。
本発明の不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、末端に水酸基を2個以上有するポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとの反応生成物(以下、「多量体化ポリオール」と称する)の分子鎖末端がα,β−不飽和カルボニル変性されたものであることが好ましい。前記連結用化合物Lは、ジイソシアネート化合物、ジカルボン酸、及びジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記α,β不飽和カルボニル変性は、前記多量体化ポリオールの水酸基末端と、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により行われることが好ましく、前記α,β不飽和カルボニル変性された分子鎖末端は、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましい。
本発明は、上記本発明のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの用途として、本発明のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー及び光重合開始剤を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物、光学部材の充填剤用組成物も包含する。
本発明のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、多量体化により高分子量化、高粘度化された液状ポリマーで、塗工部の厚み制御が可能である。しかも、多量体化されていないポリマーが本来有する、優れた光学的特性、弾性特性も保持しているので、種々の用途に適用可能である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
<α,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー>
本発明の新規な不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を介して、数平均分子量1000〜20000のポリオールが連結された多量体化ポリマーであって、且つ前記多量体化ポリマーの分子鎖末端がα,β不飽和カルボニル変性されている多量体化ポリマー(以下、本発明に係る新規な不飽和カルボニル変性ポリマーを「α,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー」という)である。
このようなα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、通常、ポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとを反応させて、多量体化ポリオールを合成し、得られた多量体化ポリオールの水酸基末端と、(a−2)水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物とを反応させることで、多量体化ポリオールの分子鎖末端をα,β不飽和カルボニル変性することにより製造される。
1.(a−1)ポリオール
本発明の多量体化ポリオールの骨格を構成するポリオール(a−1)としては、(i)オキシアルキレン基(−R−O−)を繰り返し単位として有し、かつ、水酸基を2個以上有するポリエーテルポリオール、(ii)共役ジエン化合物の1,4−付加又は1,2−付加ポリマーの分子鎖末端をヒドロキシル変性した共役ジエン系ポリマーポリオール又はその水添物などが挙げられる。
(i)ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール(a−1)の主要骨格を構成するオキシアルキレン基(−R−O−)としては、Rが炭素数1〜14の直鎖状及び/又は分岐状のアルキレン基であるオキシアルキレ基であることが好ましく、具体的には、−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH3)O−、−CHCH(C25)O−、CH2C(CH32O−、−CH2CH2CH2CH2O−、−COCH2CH2CH2CH2CH2O−、−CH2C(CH32CH2O−等が挙げられる。ポリエーテルポリオール(a−1)中には、2種以上のオキシアルキレン基を有していてもよく、さらに繰り返し単位となるオキシアルキレン基以外に、ポリエーテル合成の開始剤として用いられるようなポリオール化合物の反応残基、例えば、ビスフェノールA残基、エチレンジアミン残基、ラクトン残基などが含まれていてもよい。
ポリエーテルポリオール(a−1)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、アデカ社製の商品名「アデカポリエーテル」が挙げられ、ポリエチレングリコールに該当するPEGシリーズ、ポリプロピレングリコールに該当するPシリーズ、ビスフェノールAのポリプロピレングリコール付加物に該当するBPXシリーズ、グリセリンのポリプロピレングリコール付加物に該当するGシリーズ、トリメチロールプロパンのポリプロピレングリコール付加物に該当するTシリーズ、エチレンジアミンのポリプロピレングリコール付加物に該当するテトラオールであるEDPシリーズ、ソルビトールのポリプロピレングリコール付加物に該当するSPシリーズ、蔗糖のポリプロピレングリコール付加物に該当するRシリーズ、蔗糖およびグリセリンにポリプロピレングリコール付加物に該当するSCシリーズ、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(PO−EOランダムコポリマー)に該当するPRシリーズ、グリセリンのPO−EOランダムコポリマー付加物に該当するGRシリーズ、ビスフェノールAのPO−EOコポリマー付加物に該当するEMシリーズ、プロピレングリコールにプロピレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマーを付加させたCMシリーズを用いることができる。また、ダイセル化学工業社製の商品名「プラクセル」で挙げられるポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることもできる。
ポリエーテルポリオール(a−1)の主要骨格を構成する繰り返し単位となるオキシアルキレン基としては、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−が好まししく、−CH2CH(CH3)O−が特に好ましい。従って、好ましいポリエーテルポリオール(a−1)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが挙げられ、より好ましくはポリプロピレングリコールである。
また、ポリエーテルポリオール(a−1)中の上記繰り返し単位(オキシアルキレン基)の含有割合は、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。オキシアルキレン基の含有割合が80質量%未満では、粘度が低くなり、耐熱性、耐光性、耐湿性等の耐久性が低下する。
ポリエーテルポリオール(a−1)に含まれるOH基が、連結用化合物L中の官能基と反応して、ポリエーテルポリオールが2量体化、さらには3量体化、4量体化のように多量体化することにより分子量が増大化し、ひいては高粘度の多量体化ポリマーを提供できる。
ポリエーテルポリオール(a−1)の分子量は、特に限定しないが、通常、入手可能性の点から、数平均分子量Mnが5000〜20000であり、好ましくは8000〜18000、さらに好ましくは11000〜17000、特に好ましくは12000〜15000である。ポリエーテルポリオール(a−1)の分子量が小さくなりすぎると、2量体化程度では高分子量、高粘度の多量体化ポリエーテルポリオールを得ることができない。一方、連結数増大による高分子量化では、光、熱、湿分により曇りが生じるなど、耐久性が低下する。また、数平均分子量Mnが20000以上のポリエーテルポリオールは、一般に合成困難であり、入手困難である。
ポリエーテルポリオール(a−1)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以下が好ましく、1.4以下がさらに好ましく、1.2以下が特に好ましく、1.1以下が最も好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が大きいと、所望の多量体(特に2量体)の収率が低くなり、品質が低下する。
(ii)共役ジエン系ポリマーポリオール:
共役ジエン系ポリマーポリオールの構成モノマーである前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペレリン、ジメチルブタジエンなどを用いることができる。水素添加は、完全水素添加、部分水素添加のいずれであってもよい。
共役ジエン系ポリマーポリオールの例としては、例えば、ブタジエンの1,2−付加物を繰り返し単位とするポリブタジエンの両末端に水酸基が結合したポリオール(式(7a)またはその水添物(式(7b))が挙げられる。式中、nは、10〜100の整数である。
Figure 2014152325
このような共役ジエン系ポリマーポリオールの数平均分子量は、構成モノマーである共役ジエン化合物の種類、重合度により異なるが、通常1000〜10000程度である。
共役ジエン系ポリマーポリオールの末端水酸基は、ポリエーテルポリオールの末端水酸基と同様に、連結用化合物L中の官能基と反応して2量体化、さらには3量体化、4量体化のように多量体化することにより分子量が増大化し、ひいては高粘度のポリマーを提供できる。
2.連結用化合物L
連結用化合物Lは、ポリオール(a−1)の水酸基と反応できる官能基を2個以上有する化合物であり、例えば、下記式(1a)で表わされる2官能化合物、(1b)で表わされる3官能化合物、(1c)で表わされる4官能化合物が挙げられる。
Figure 2014152325
上記式(1a)(1b)(1c)中、Aは水酸基と反応する官能基であり、R,R’,R″は有機基である。
前記官能基Aとしては、具体的には、(i)イソシアネート基、(ii)カルボキシル基、(iii)ハロゲン化カルボニル基、(iv)エポキシ環、(v)水酸基が挙げられる。また、有機基R,R’,R″としては、上記官能基を有し、それぞれ2,3,4つのフリーの結合の手を有する脂肪族、芳香族、脂環族のいずれでもよいが、(a−1)成分との反応性及び相溶性の観点から、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、特に好ましくは8〜12の脂肪族、脂環族が好ましい。
(i)イソシアネート基含有連結用化合物
イソシアネート基含有連結用化合物としては、イソシアネート基を2個以上、好ましくは2〜4個有する脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートであって、好ましくはジイソシアネートである。
ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート;リシンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートの誘導体等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4−又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、3−メチルジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート又はジフェニルエーテル4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
トリス(4−イソシアン酸フェニル)チオリン酸エステル等のトリイソシアネート、1,3,5,7−アダマンタンテトライルテトライソシアネート等のテトライソシアネートを用いてもよい。
以上のようなイソシアネート基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、ウレタン結合を形成する。従って、ウレタン結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化する。また、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化したポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化するような場合もある。
イソシアネート基含有連結用化合物とポリオール(a−1)との反応は、ゲル化しないような条件で反応させる。通常、反応触媒の種類、ポリオールと連結用化合物Lの仕込量比率の調整、反応温度の調整、仕込速度(滴下速度)等により、ゲル化しない条件を適宜選択することができる。
(ii)カルボキシル基含有連結用化合物
カルボキシル基を2個以上有する連結用化合物としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリカルボン酸、又はこれらの無水物などを用いることができ、これらは飽和脂肪族カルボン酸、不飽和カルボン酸、カルボキシル基以外の水素原子がハロゲン、水酸基、カルボニルル基等で置換された置換カルボン酸、芳香族カルボン酸など、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12の飽和カルボン酸である。
具体的には、カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸等の飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸;フタル酸等の芳香族カルボン酸などが挙げられる
(iii)ハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物
ハロゲン化カルボニル基とは、−COXhal(Xhalはハロゲン原子を表わすさ)で表わされる官能基である。ハロゲン化カルボニル基を2個以上有する連結用化合物としては、ピリジン2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどが挙げられる。
以上のようなカルボキシル基含有連結用化合物及びハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、エステル結合を形成する。従って、エステル結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した多量体化ポリオールが得られる。イソシアネート基含有連結用化合物の場合と同様に、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化したポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化する場合もある。
カルボキシル基含有連結用化合物及びハロゲン化カルボニル基含有連結用化合物とポリオール(a−1)との反応は、急激な多量体化により、ゲル化しないような条件で反応させる。
(iv)エポキシ基含有連結用化合物
エポキシ基含有連結用化合物は、水酸基と反応する官能基として、炭素、酸素原子からなる3員環構造(エポキシ基、オキシラン基、グリシジル基など)を2個以上有する連結用化合物で、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はこれらの水添物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂で、炭素数2〜18、好ましくは3〜15、より好ましくは8〜12のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルなどを用いることができる。
このようなエポキシ基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応して、エポキシ環が開環し、エーテル結合を形成する。従って、エーテル結合を連結部分として、ポリエーテルポリオールが、官能基数、反応条件に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した多量体化ポリエーテルポリオールが得られる。
エポキシ基含有連結用化合物とポリエーテルポリオール(a−1)との反応は、急激な多量体化により、ゲル化しないような条件で反応させる。
(v)水酸基含有連結用化合物
水酸基含有連結用化合物とは、官能基としてヒドロキシル基(−OH)を2個以上含む有機化合物で、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ピナコール等のジオール、グリセリン、エリスリトール等のトリオール;ソルビトール等のテトラオールなどの炭素数2〜8の低級アルキルポリオールが挙げられるが、これらのうちジオールが好ましい。
以上のような水酸基含有連結用化合物は、ポリオール(a−1)の水酸基と反応(通常、脱水縮合反応)して、エーテル結合を形成する。従って、エーテル結合を連結部分として、ポリオールが、官能基数に応じて、2量体化、3量体化、又は4量体化した多量体化ポリエーテルポリオールが得られる。イソシアネート基含有連結用化合物の場合と同様に、2官能性連結用化合物を用いた場合であっても、2量体化したポリエーテルポリオールの末端OH基がさらに連結用化合物と反応して3量体化する場合もある。
(vi)その他の連結用化合物
本発明で使用することができる連結用化合物は、上記(i)〜(v)に示した連結用化合物のように、化合物中に同一種類の官能基を2個以上含む化合物に限定されず、異なる種類の官能基を2個以上含む化合物、例えば、水酸基およびカルボキシル基を有するオキシ酸などを用いてもよい。
以上のように、ポリオール(a−1)としてポリエーテルポリオールを使用し、連結用化合物として、上記式(1a)に示す2官能性連結用化合物を用いた場合、下記式(2a)で表わされるような、2量体化したポリエーテルポリオールが得られる。式中、Zは、連結用化合物の官能基Aと水酸基との反応の結果、生成される結合で、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合などである。
Figure 2014152325
また、連結用化合物Lとして3官能性連結用化合物を用いた場合には、下記式(2b)で表わされるような3量体化以上の多量体化ポリオールが得られることになり、ポリオール(a−1)として、水酸基が3個以上のポリオールを用いた場合には、例えば、下記式(2c)で表わされるような3量体化以上の多量体化ポリオールが得られることになる。
Figure 2014152325
Figure 2014152325
また、2官能性の連結用化合物L、水酸基が2個のポリエーテルポリオールを用いた場合であっても、反応条件により、2量体化ポリエーテルポリオール分子鎖末端のOH基と連結用化合物Lとがさらに反応して、3量体化(下記式(2d))のように多量体化されたポリエーテルポリオールが合成され得る。
Figure 2014152325
3量体化以上の多量体化の場合、多量体化によりゲル化する場合があるので、使用するポリオールの種類、連結用化合物Lに含まれる官能基の種類、官能基数に応じて、ゲル化しないような反応条件、目的とする多量体化ポリオールの多量体化数(分子量)に応じて選択することが好ましい。
ポリオール(a−1)と連結用化合物Lとの混合比率は、(a−1)中の水酸基の0.3〜0.9当量分、連結用化合物Lを添加すればよく、連結用化合物Lに含まれる官能基数、反応条件に応じて、適宜選択される。
連結用化合物Lの添加は、例えば、ポリエーテルポリオール(a−1)の場合、仕込んだ反応系に、60〜70℃で、10分〜3時間程度かけて、滴下法にて行うことが好ましい。
3.(a−2)水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物
本発明に係るα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、上記多量体化ポリオールを、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)と反応させて、多量体化ポリオールの末端水酸基を、α,β−不飽和カルボニル変性させて得られる。
水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)(以下、「水酸基反応性不飽和カルボニル化合物」又は「不飽和カルボニル化合物(a−2)」という)は、下記一般式(3)で表わされる化合物である。
Figure 2014152325
(3)式中、Qが水酸基と反応する官能基、又は水酸基と反応する官能基を有する原子団である。水酸基と反応する官能基としては、イソシアナート基又はカルボキシル基が用いられる。また、不飽和カルボニル基は、カルボニルと結合する原子の価数に応じて、1又は2個含まれ得る。従って、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)は、具体的には、下記一般式(3a)で表わされる不飽和カルボン酸、又は下記一般式(4a)若しくは(4b)で表わされるイソシナート基含有不飽和カルボニル化合物、又は下記一般式(5)で表わされるカルボキシル基含有不飽和カルボニル化合物が該当する。
Figure 2014152325
Figure 2014152325
Figure 2014152325
上記一般式(3),(3a),(4a),(4b),(5)において、R,R,Rは、それぞれ、水素、又はメチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基を示し、RとRは同じでも異なっていてもよい。また、Rは、R,Rと同じであっても異なっていてもよい。
(4a),(4b),(5)式中、X,X’,Yは介在基であり、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基であり、好ましくはメチレン、エチレンである。XとX’は同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
従って、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、Qが水酸基である不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸などが挙げられ、これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられる。
また、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、イソシナート基含有不飽和カルボニル化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート等が挙げられる。
また、α,β不飽和カルボニル化合物(a−2)のうち、一般式(5)で表わされるカルボキシル基含有不飽和カルボニル化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸などを用いることができる。
以上のような構成を有する不飽和カルボニル化合物は、α,β不飽和カルボニル基において、Rが水素又はメチル基、Rが水素であるアクリロイル基又はメタクリロイル基が好ましく用いられる。以下、Rが水素又はメチル基、Rが水素であるアクリロイル基又はメタクリロイル基(これらを特に区別しない場合には、「(メタ)アクリロイル基」と総称する)を代表として説明する。
〔不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの合成:多量体化ポリオールと、不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応〕
ポリオール(a−1)と連結用化合物Lとの反応生成物である多量体化ポリオールと、水酸基反応性不飽和カルボニル化合物(a−2)とを反応させると、多量体化ポリオール中のOH基が、不飽和カルボニル化合物(a−2)中のイソシアナート基又はカルボキシル基と反応してウレタン結合又はエステル結合を形成する。
以下、代表的に、ポリオール(a−1)としてポリエーテルポリオールを使用した場合について説明する。
ポリエーテルポリオール(a−1)を使用した場合に得られる多量体化ポリオール(以下、「多量体化ポリエーテルポリオール」という)は、多量体化ポリエーテルポリオール中の末端水酸基が不飽和カルボニルでエステル化された末端変性ポリエーテル(以下、この化合物を、「不飽和カルボニル変性多量体化ポリエーテル」)に該当し、不飽和カルボニル基が(メタ)アクリロイル基の場合には、下記一般式(6)で示すような構成を有する(メタ)アクリロイル変性ポリエーテルとなる。
Figure 2014152325
上式(6)におけるポリエーテル部は、ポリエーテルポリオール(a−1)に由来するポリエーテル骨格、すなわちオキシアルキレン基の繰り返し単位を有する部分であり、Yは多量体化ポリエーテルポリオール末端の水酸基と水酸基反応性不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により形成されるウレタン結合又はエステル結合である。多量体化ポリエーテルポリオールの分子中に含まれる水酸基の数が3個以上の場合、当該水酸基の数に対応して、末端変性部分である(メタ)アクリロイル基を3個以上含有する(メタ)アクリロイル変性ポリエーテルとなる。
以下、不飽和カルボニル化合物(a−2)として、Rが水素又はメチル基、Rが水素である(メタ)アクリロイル基含有化合物を用いた場合に得られる(メタ)アクリロイル変性多量体化ポリエーテルを代表として説明する。
(メタ)アクリロイル変性多量体化ポリエーテルの製造方法は特に限定しないが、通常、触媒の存在下、多量体化ポリエーテルポリオールと、不飽和カルボニル基が(メタ)アクリロイル基である不飽和カルボニル化合物(a−2)(以下、(メタ)アクリロイル変性多量体化ポリエーテルを代表として説明する場合には、「(メタ)アクリロイル化合物(a−2)」という)とを加熱して、多量体化ポリエーテルポリオールの水酸基を、ウレタン化又はエステル化することにより得ることができる。
多量体化ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリロイル化合物(a−2)との混合比率は、多量体化ポリエーテルポリオールに含まれる水酸基1当量((a−1)ポリエーテルポリオールの仕込み量に基づく水酸基当量から、連結用化合物Lとの反応により消費される当量数を差し引いた量に相当)に対して、(メタ)アクリロイル化合物(a−2)に含まれる官能基が0.30〜1.05当量となるように定めることが好ましく、より好ましくは0.40〜1.05当量である。0.3当量を下回ると、(メタ)アクリロイル変性されていない水酸基が残存しやすく、得られる硬化物について、硬化性が低下する傾向にある。一方、1.05当量を上回ると、過剰な(メタ)アクリロイル化合物(a−2)が残留する等の理由により、硬化物の耐熱性、耐光性の低下が起こる傾向が見られ好ましくない。また、用いた(メタ)アクリロイル化合物(a−2)中の大部分、具体的には90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上が反応して、連結部を形成していることが好ましい。
多量体化ポリエーテルポリオールの仕込み量は、(メタ)アクリロイル変性多量体化ポリエーテル中のポリエーテル部、好ましくは繰り返し単位となるオキシアルキレン基の含有率が90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは93質量%以上、さら好ましくは95質量%以上、最も好ましくは97質量%以上となるようにすることが好ましい。90質量%未満の場合は、不飽和カルボニル変性ポリエーテルとして期待される光学的特性、特に耐熱性、耐光性、耐湿性が得られにくい傾向にある。
反応に使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等のアミン類、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等のジラウレート化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。触媒の添加量は反応混合物全体に対して0.001〜1質量%程度であることが好ましく、0.01〜0.5質量%程度であることが特に好ましい。
反応温度は通常、10〜100℃、特に30〜80℃で行うことが好ましい。また、反応中のラジカル重合によるゲル化を防止するため、公知の重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン等を好ましく使用でき、反応混合物全体に対して0.001〜3質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。
なお、ポリエーテルポリオール以外のポリオールを用いて得られるα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーについても、同様に、高分子量化、高粘度化を達成することができる。
以上のようにして得られるα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの数平均分子量は、使用するポリオール種類、分子量にもよるが、2量体化、3量体化により、2000〜60000、好ましくは3000〜60000、より好ましくは5000〜60000、さらに好ましくは8000〜55000である。ポリオールとして、多量体化ポリエーテルポリオールを用いた場合に得られるα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの数平均分子量は、10000〜60000、好ましくは15000〜50000、さらに好ましくは20000〜40000の高分子量化合物となる。本明細書にいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(溶媒:テトラヒドロフラン)を用いて測定した値である。
また、α,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの25℃における粘度は、使用するポリオール(a−1)及び連結用化合物Lの種類、反応条件等により異なるが、15〜2000Pa・sである。また、ポリオール(a−1)としてポリエーテルポリオールを使用した場合、得られるα,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの25℃における粘度は、通常15〜500Pa・sであり、好ましくは50〜400Pa・s、さらに好ましくは100〜300Pa・sである。従来、エネルギー線硬化型樹脂組成物の分野で用いられているポリエーテル(メタ)アクリレート(数平均分子量で3000〜15000程度)、粘度300〜50000mPa・s程度と比べて、高い。
なお、上記粘度は、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業社製)を用いて算出することができる。
以上のような構成を有する本発明のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、光重合開始剤、その他、必要に応じて添加される重合性成分、他の樹脂、他の添加剤を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物として好適に用いることができる。本発明のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、上記のように、高粘度であることから、求められる物性、耐久性、取り扱いやすさ等の改善のために、他のポリマー、重合性成分等の添加剤を添加しても、塗工、印刷後のパターン形状保持に必要な10Pa・s以上の粘度を確保することができるので、エネルギー線硬化型樹脂組成物の目的、用途に応じて、広範囲に組成を変更することが可能である。
以下、代表的用途であるエネルギー線硬化型樹脂組成物について説明する。
<エネルギー線硬化型樹脂組成物>
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、上記本発明のカルボニル変性多量体化ポリマーと、光重合開始剤を含む。光重合開始剤を含むことにより光照射によって速やかに硬化させることができる。さらに必要に応じて、他の重合性成分、他の硬化性樹脂、さらに必要とされる特性に応じて、その他の添加剤を含有することができる。
(1)光重合開始剤
本発明のカルボニル変性多量体化ポリマーとともに用いることができる光重合開始剤としては、従来より、エネルギー線硬化型樹脂組成物の分野で、多量体化されていないα,β−不飽和カルボニル変性ポリマーの場合に用いられている光重合開始剤を用いることができる。例えば、α,β−不飽和カルボニル変性多量体化ポリエーテルの場合、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、アセトフェノン類、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステルが好適である。
エネルギー線硬化型樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量としては、用途により異なるが、通常、当該樹脂組成物100質量%に対し、0.1〜10質量%であることが好適である。0.1質量%以上であると樹脂組成物をより充分に硬化させることができ、また10質量%以下であると臭気発生や硬化物の着色を充分に抑制できる。より好ましくは0.3〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。
(2)他の重合性成分
他の重合性成分としては、α,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーと共硬化可能である、(メタ)アクリレート系モノマー若しくはオリゴマー、ビニル基含有化合物を使用することができ、得られる樹脂組成物の粘度、作業性を調整できる。さらには、耐熱性、耐光性、透明性等の物性も調整が可能となる。
上記(メタ)アクリレート系化合物としては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、上記の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物にε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を付加させたもの、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAに(メタ)アクリル酸を反応させたもの等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート、さらには、上述の(メタ)アクリレートにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加して変性された各種(メタ)アクリレート類、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の片末端がアルキル化されたエチレングリコール若しくはその重合体との(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の片末端がアルキル化されたプロピレングリコール若しくはその重合体との(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂等の(メタ)アクリレートを有する反応性オリゴマー類が挙げられる。
上記ビニル基含有化合物としては、特に限定されないが、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等のアリル化合物; N−フェニルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド等のN−置換マレイミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、イソフタジフェン酸ジアリル、フタル酸ジアリルル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリルエステル系モノマー;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテル等のアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等のフマル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
以上のような他の重合性成分は、樹脂組成物全体の0〜35質量%の割合で配合することが好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜20質量%、最も好ましくは5〜20質量%である。
(3)他の樹脂
他の樹脂は、例えば、樹脂組成物の粘度調整、硬化物の物性調節の目的に応じて、適宜添加される。
例えば、本発明の樹脂組成物を、低粘度樹脂の塗工領域画定用、あるいは流出防止(堰)用の樹脂組成物として用いる場合には、本発明の樹脂組成物で画定した塗布領域内に充填される液状樹脂組成物との親和性、屈折率調節等の目的で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド共重合体等のポリエーテルポリオール;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸等の側鎖に重合性官能基や二重結合を有しない(メタ)アクリル系重合体;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン等のゴム系ポリマー;熱可塑性エラストマー、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂などを含有させてもよい。
また、他の樹脂は、本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物におけるα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの含有率を、溶剤又は他の重合性成分を用いることなく調節できる。特に、重合性を有しないロジンエステル樹脂等を添加することで、硬化物の伸び率、柔軟性、衝撃性吸収性を高めることができる。
以上のような他の樹脂は、樹脂組成物全体の0〜35質量%の割合で配合することが好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜20質量%である。
(4)その他の充填剤
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、更に、用途、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、熱硬化触媒、紫外線吸収剤、連鎖移動安定剤、光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、チキソトロピー付与剤、脱泡剤、着色剤等を含んでもよい。
可塑剤としては、従来より公知の可塑剤、例えば、(メタ)アクリレート基を有しない化合物をいい、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル類;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル類;トリオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル−n−デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(C4〜C11)等のトリメリット酸エステル類;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸エステル類;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル類;モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル類;ブチルオレート等のオレイン酸エステル類;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル類などのエステル類が挙げられる。
上記熱硬化触媒としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら熱硬化触媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。単量体成分に対する硬化触媒の添加量等は、特に限定されるものではない。
連鎖移動安定剤は、硬化物の硬度調整、基材に対する密着性アップ、耐ヒートショック性アップのために好ましく用いられる。連鎖移動剤としては、具体的には、β−メルカプトプロピオン酸、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート、3,3'−チオジプロピオン酸、3,3’−チオジプロピオン酸ジメチル、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン等のモノチオール類;トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジチオグリコール酸ジアンモニウム等の多官能チオール類などが挙げられ、好ましくは多官能チオール類である。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
光安定剤は、耐光性向上のみならず、耐熱性アップにも有効である。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。具体的には、例えば、BASF社のTINUVIN123,144,152,292,5100,765、三共(株)のSANOL LS−770,765,292,2626などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、市販のものを用いてもよい。例えば、ベンゾトリアゾール類、ベンゾエート類、シアノアクリレート類、ベンゾフェノン類、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類;TINUVIN 770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社製品名)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共(株)製品名)、アデカスタブ LA−52,57,62(以上、旭電化(株)製品名)等のヒンダードアミン類が使用可能である。
上記酸化防止剤としては、市販のアデカスタブAO−10〜AO−80、アンテージW−300、W−400、W−500などが挙げられる。
エネルギー線硬化型樹脂組成物を印刷用インキとして用いる場合には、通常、着色剤を含有する。着色剤としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、アンスラキノン顔料、ペリレン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、ニトロ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料;染料などを用いることができる。本発明の樹脂組成物は、粘度を高くできるので、顔料を安定的に分散させることが可能である。
以上のようなその他の成分は、樹脂組成物の用途により適宜選択されるが、通常、0〜40質量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
尚、他の重合性成分、他の樹脂、その他の添加剤は、総量で、樹脂組成物全体の60質量%未満とすることが好ましい。これらの総量が60質量%を超えると、本発明に係る不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの含有率が40質量%未満となることから、エネルギー線硬化型樹脂組成物において、高粘度ポリマーを用いる優位性が得られにくい。
また、エネルギー線硬化型樹脂組成物としての粘度は、他の添加成分の種類、含有量により適宜設定可能である。塗工した樹脂組成物が、エネルギー線照射による硬化までの間に流れ出したり、ダレたりせず、塗工量を調節することで、塗工部の厚みを調節するできるようにするため、ディスペンサーやスキージを用いた塗工作業性を満足するためには、粘度10〜150Pa・sであることが好ましい。
〔エネルギー線硬化型組成物の使用方法〕
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布、塗工方法は特に限定しないが、高粘度であることから、従来の塗工液で採用される、刷毛塗り、ローラー塗工、バーコーター、アプリケーター、エアナイフコーター、カーテンコーター等の塗工方法の他、ディスペンサーのように、一定量ずつ滴下、吐き出しできる装置を用いて塗工することができる。圧送式ディスペンサー等のように微量で高精度に調節して吐き出すことができる装置を用いた場合、幅0.5〜3.0mm程度の限定的領域に塗布することができる。また、吐出量により被塗膜厚みを制御することも可能である。一方、高粘度で、ディスペンサーによる吐き出しに時間がかかる場合、塗工部分を印刷枠で画定した部分にスクイジーでインキを転写させるスクリーン印刷も適用できる。塗布後、硬化までの間の流れ出し、ダレが少なくて済むので、被塗膜の厚みを0.1〜4.0mmといった厚膜とすることが可能である。
上記のような組成を有する本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、エネルギー線照射により、(メタ)アクリロイル変性多量体化ポリマーにおける(メタ)アクリロイル基がビニル重合して硬化する。その他の重合性化合物が含有されている場合には、当該その他の重合性化合物となる不飽和化合物も参与して、ビニル重合が進行することになる。なお、ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
エネルギー線としては、電子線、放射線、紫外線などを用いることができ、好ましくは波長150〜450nmの紫外線である。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜10J/cm、より好ましくは0.2〜5J/cm、更に好ましくは0.3〜3J/cmの範囲内である。
光照射による硬化と共に加熱による硬化との併用も可能である。この場合、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、熱硬化触媒の分解温度や使用する基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは60〜90℃の範囲内である。加熱時間は、熱硬化触媒の分解温度や塗布厚み等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜12時間、より好ましくは10分間〜6時間、更に好ましくは10分間〜3時間の範囲内である。
さらに、光照射による硬化と共に電子線照射による硬化を併用して得てもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
<樹脂組成物の用途>
以上のような本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの含有率にもよるが、不飽和カルボニル変性ポリマーの特徴を保持しつつ、且つ従来の多量体化されていない不飽和カルボニル変性ポリマーを用いた樹脂組成物と比べて高粘度の液状組成物とすることができる。このため、塗工部分の形状保持に優れ、細幅の限定的領域に塗工することができ、また、被塗膜の厚みを厚くできるという特性を有する。また、プレポリマーとしてエーテル骨格を有するカルボニル変性ポリエーテル、共役ジエン系ポリマー骨格を有するカルボニル変性共役ジエン系ポリマーまたはその水添物を使用して得られる多量体化ポリマーでは、骨格を構成するポリマーの特性に基づき、耐衝撃性、耐ヒートショック性、伸びに優れた硬化物が得られるので、充填剤、弾性樹脂としても用いることができる。さらに、不飽和カルボニル多量体化ポリエーテルの場合、ポリエーテル骨格に基づき、耐熱性、耐湿性、耐光性等の光学的に求められる耐久性に優れ、さらに、従来からの用途、すなわち光学部材に好適に利用できる。具体的には、以下のような用途に好適に用いることができる。
第1の用途として、光学部材の充填剤が挙げられる。具体的には、液晶ディスプレイの前面板とディスプレイとの間隙に充填される充填剤などである。本発明の樹脂組成物をこのような光学部材の充填剤として用いることで、外光の反射を抑え、高画質化を可能とする。
特に、不飽和カルボニル変性ポリエーテルを用いたエネルギー線硬化型樹脂組成物の場合、屈折率1.45〜1.52、好ましくは1.46〜1.51とすることができ、0.3mm厚みにおける400nmの光線透過率が88%以上、より好ましくは89%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは91%以上とすることができる。したがって、光学部材間の充填剤、光学部材の接着剤などに好適に用いることができる。また、光学弾性樹脂としても使用できる。
なお、屈折率は、JIS K7105に基づいて、アッベ屈折計(型式「DR−M2」、アタゴ社製)を用いて測定される値である。400nmにおける光線透過率は、分光光度計を用いて測定した値を採用する。濁度は、JIS K 7136に準拠して測定した値を採用する。
第2の用途として、10〜数100ポイズ程度のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、印刷部分に重厚性が求められるスクリーン印刷用インキとして好適に用いることができる。すなわち、本発明のエネルギー線硬化型組成物は、高粘度で、だれたりすることを防止でき、印刷部分の形状保持だけでなく、インクの膜厚を大きくすることも可能であることから、スクリーン印刷用インキとして好適に用いることができる。尚、スクリーン印刷の塗膜厚みは、通常、ステンシルのメッシュによりコントロールされる。高分子量の不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーをビヒクルとして用いるスクリーン印刷用インキは、耐熱性、耐湿性が向上したスクリーン印刷用インキを提供できる。
また、本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、低粘度樹脂組成物の塗工部分画定及び流出防止等を目的とする堰用樹脂組成物として用いることができる。特に、本発明の樹脂組成物で高さのある堰を形成することにより、単独の塗工では重ね塗りしかできないような塗工用組成物であっても、堰で塗工部分を画定することで、1回の塗工で所定厚みの塗工層を形成することが可能となり、塗工予定部分からのはみ出しを防止できる。従って、接着という目的で用いられる液状樹脂組成物の塗工部分への影響を少なくして、当該液状樹脂組成物の流れ止め、塗工部分を画定できる。この点、光学部材の充填剤の塗工領域を画定するための堰形成用樹脂組成物として好適に用いることができる。
また、エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化収縮率は、2%未満、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.6%以下とすることができる。従って、印刷部分と形成される硬化物の位置、形状を、ほぼ一致させることができるので、細線であっても、高精度な印刷を行うことができる。このことは、接着剤、塗料の適用部分が小面積である場合の塗料、接着剤として有用であることを意味する。
なお、硬化収縮率は、後述の実施例に記載する比重測定により得た値を採用する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り質量基準を意味する。
<測定及び評価方法>
本実施例で採用した評価方法は以下の通りである。
〔評価方法〕
(1)組成物粘度
得られた樹脂組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した。
(2)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
テトラヒドロフランを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/分の条件下で、東ソー社製のカラムTSK−gel SuperHM−H2本、TSK−gel SuperH2000 1本を使用し、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
(3)作業性(ディスペンサーへの適用性)
得られた樹脂組成物1gを、25℃の雰囲気下、市販のディスペンス装置を用いて吐出(吐出圧0.05MPa)するのに要する平均時間(n=3)を測定し、下記4段階で評価した。
◎:3秒以内
○:3秒以上10秒未満
△:10秒以上30秒未満
×:30秒以上
(4)作業性(スキージによるスクリーン印刷性)
得られた樹脂組成物30gを、25℃雰囲気下、幅400mm×長さ300mm×厚み2mmのガラス板上に、特殊パターン(幅300mm×長さ200mm×厚み0.5mm、パターン面積600cm)でスクリーン印刷を行った後、10秒間放置後、高圧水銀灯により照射して樹脂組成物を硬化させた。硬化後の樹脂のサイズを測定し、下記4段階にて評価した。
◎:パターン面積が600〜615cm
○:パターン面積が616〜630cm
△:パターン面積が631〜650cm
×:パターン面積が651cm以上
(5)塗工部の厚み制御性
樹脂組成物を幅1mm、厚み0.5mmとなるように、ディスペンサーを用いて、ガラス板上に塗工し、10秒間放置した後、高圧水銀灯により照射して樹脂組成物を硬化させた。硬化物の厚みを測定し、以下の4段階にて評価した。
◎:0.49〜0.50mm
○:0.48〜0.49mm
△:0.45〜0.48mm
×:0.45mm未満
(6)硬化性(J/cm
組成物に直接、高圧水銀灯を1J/cm(365nmにての値)ずつ照射していき、硬度値が一定になる光照射量(365nm)を測定した。
(7)硬化収縮率(%)
25℃における、樹脂組成物の比重および樹脂組成物を硬化して得られた硬化物の比重を測定し、以下の計算より求めた。
硬化収縮率(%)=(硬化物比重−樹脂組成物比重)/硬化物比重×100
(8)硬度値
JIS K7312に基づき、ASKER製のデュロメータC型硬度計を用いて、得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅17mm×長さ45mm×厚み4mm)の硬度を測定した。なお、測定開始から15秒経過後の値を硬度値とした。
(9)伸び率(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅4mm×長さ20mm×厚み1mm)を用いて、雰囲気温度25℃下で、引張速度0.1mm/sで引張り試験を行い、下記式により伸び率を算出した。尚、式中、Lは破断するまでの変位長さであり、L0は試験前のシートの長さである。
伸び率(%)=L/L0×100
(10)光線透過率(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、400nmにおける光線透過率を、分光光度計(形式「UV−3100」、島津製作所社製)を用いて測定した。
(11)濁度(%)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ50mm×厚み0.3mm)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。
(12)耐熱性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、100℃のオーブン中で1000時間加熱した。加熱後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
(13)耐光性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、メタリングウェザーメーター(形式「M6T」、スガ試験機社製、照射強度0.5kW/m)を用いて、700MJ/mで光照射を行った。照射後の変色を目視により確認し、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:変色は認められず
△:わずかに変色あり
×:大きな変色あり
(14)耐湿性
(14−1)耐湿性a
得られた樹脂組成物を硬化して得られたシート状の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み1mm)を、恒温恒湿機中(温度80℃、湿度90%RH)で100時間保持した後、シートの濁り度合を目視にて確認し、下記3段階で評価した。
○:濁りなし
△:わずかに濁りあり
×:濁りあり
(14−2)耐湿性b
恒温恒湿機の条件を温度85℃、湿度85%RHに変更した以外は、上記耐湿性aの場合と同様に測定評価した。
(15)再剥離性(リペア性)
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み0.3mm)を用意し、ガラス板からシート状硬化物を剥離させた時の様子を、下記3段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
○:シート硬化物が破損せず、容易に剥離できる
△:やや力が要するものの、シート硬化物が破損せず剥離ができる
×:シート硬化物が破損、または、剥離できない部分がある
(16)耐衝撃吸収性
得られた樹脂組成物を硬化して得られたガラス板に挟んだ状態の試験片(幅50mm×長さ70mm×厚み0.3mm)を用意し、試験片上に200g鋼球を落下させた時の上面のガラス板が破損する高さを求め、下記4段階で評価した。なお、ガラス板は3mm厚のものを使用した。
◎:500mm以上
○:300mm以上500mm未満
△:200mm以上300mm未満
×:200mm未満
(17)耐ヒートショック性
画像形成性の測定で得られた携帯電話を、−40℃30分、60℃30分を1サイクルとして、100サイクル、300サイクル、500サイクルの3水準でヒートショック試験を行い、液晶モジュールと樹脂硬化物層との界面、または、樹脂硬化物層とガラス板との界面におけるハガレ又は発泡の有無を確認し、下記基準で評価した。
◎:500サイクルでハガレ又は発泡なし。
○:300サイクルでハガレ又は発泡なし。500サイクルでハガレ又は発泡あり。
△:100サイクルでハガレ又は発泡なし。300サイクルでハガレ又は発泡あり。
×:100サイクルでハガレ又は発泡あり。
<ポリエーテルアクリレートの多量体化の効果>
P1:アクリロイル変性多量体化ポリエーテル(Ac変性多量体化ポリエーテル)
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリオール(a−1)として数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、連結用化合物Lとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)(住化バイエルウレタン社製)を、上記ポリオール(a−1)中の水酸基1当量に対して、0.50当量となる量15gを、2L仕込みのスケールでは1mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、70℃に2時間保持して、反応を終了させ、連結部がウレタン結合である2量体化ポリエーテルポリオールを得た。続いて、2量体化ポリエーテルポリオール中の水酸基1当量分((a−1)ポリエーテルポリオールの残った0.50当量分の水酸基に相当)対して、(a−2)成分としてアクリロイル化合物を、投入し、70℃に2時間保持して反応させることにより、アクリロイル変性2量体化ポリエーテルを得た。
得られたアクリロイル変性2量体化ポリエーテルを、逆滴定法により求めたイソシアナート反応率は99%であった。また、25℃における粘度は、210Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は37000であった。
P2:アクリロイル変性ポリエーテル(Ac変性ポリエーテル)
温度計、冷却器、ガス導入管、および攪拌器を備えた反応器に、ポリエーテルポリオール(a−1)として数平均分子量Mnが15000(分子量分布(Mw/Mn)=1.06)であるポリプロピレングリコール(旭硝子社製、品番プレミノール4015)を2000g、メトキノン0.15g、ジブチルスズジラウレート0.15gを仕込み、上記混合物を攪拌しながら70℃に昇温した。次に、イソシアナート基含有不飽和カルボニル(a−2)として2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工社製、品番カレンズAOI)37.2g(ポリエーテルポリオール中の水酸基に対して1.0当量)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間、80℃の温度を保ち、反応を終了させ、連結部がウレタン結合であるアクリロイル変性ポリエーテルを得た。赤外分光法により求めたイソシアナート反応率は98%であった。また、25℃における粘度は、17Pa・sであった。さらに、GPC測定による数平均分子量(Mn)は17000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.18であった。
上記で合成したポリエーテルアクリレートP1又はP2を50質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、品番イルガキュア184D(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンに該当))1部、その他の添加剤として、以下に示す化合物を混合して、樹脂組成物No.1〜3を調製した。
他の重合成分としてイソボルニルアクリレート(IB−A)(Tg=94℃)(日本触媒製)5部及び4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)(Tg:−32℃)(大阪有機化学工業)10部、
荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−359」(商品名)(酸価10〜20、水酸基価38〜47、軟化点94〜104℃)20部、
光安定剤として、ヒンダードアミン系光安定剤「TINUVIN765」(BASF社の商品名)1部、及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(PE−1)(昭和電工社製)1部、
調製した樹脂組成物の粘度、作業性(ディスペンサー充填性、スクリーン印刷性)、硬化性を、上記評価方法に基づいて評価した。
次に、得られた組成物を、所定厚みのシリコーンスペーサーを4辺に配置した所定寸法のガラス板上に滴下し、ガラス板に充填させた。次に、その上から同寸法のガラス板を被せた。次に、高圧水銀灯により3J/cm光照射して硬化させ、ガラス板/組成物の硬化物層/ガラス板の積層構造を有する試験片、または、ガラス板から組成物の硬化物層を剥離して、シート状の試験片を作成した。作成した試験片を上記評価測定方法に基づいて、硬化収縮率、硬度値、伸び率、光線透過率、濁度、耐熱性、耐光性、耐湿性、再剥離性(リペア性)、衝撃吸収性、形状保持性、耐ヒートショック性、耐久性、屈折率を評価した。評価結果をあわせて表1に示す。
Figure 2014152325
No.2、3は、多量体化されていないアクリロイル変性ポリエーテルである。No.2は、No.3よりも重合性成分(IB−A、4−HBA)量を少なくしたことで、硬化収縮率を小さくすることはできたが、粘度9000mPa・s程度では、厚み制御性を満足することができなかった。また、No.2,3は、ディスペンサーを用いた塗布充填性は満足することができたが、スクリーン印刷方式に適用することはできなかった。さらに、No.2,3の比較から、重合性成分の種類、含有量により耐ヒートショック性、85℃、80%という高温での耐湿性を改善することは可能であるものの、双方を満足させることができなかった。
一方、アクリロイル変性多量体化ポリエーテルを用いたNo.1は、重合性成分、他の樹脂の含有量が多量体化されていないNo.2と同じであるにもかかわらず、粘度が高いため、厚み制御性を満足することができた。また、ディスペンサーを用いた塗布充填を満足することができるだけでなく、スクリーン印刷方式による塗工も満足できた。さらに、耐ヒートショック性及び耐湿性を同時に改善することができた。
なお、No.1とNo.2との比較から、硬化性、硬化収縮率という硬化に関する特性、光線透過率、耐光性、濁度、耐熱性といった光学的特性、耐衝撃吸収性については、多量体化の有無にかかわらず、ポリエーテルメタクリレートに基づく硬化物の特性を有していた。
<アクリロイル変性多量体化ポリエーテルと樹脂組成物の粘度の関係:No.11〜15の調製及び評価>
表2に示すように、アクリロイル変性多量体化ポリエーテル(P1)の含有量、他の樹脂の量を変更することで、粘度の異なる樹脂組成物No.11〜15を調製し、上記評価方法に基づいて評価した。結果を表2に併せて示す。比較のために、No.1の評価結果も併せて示す。
なお、表2、3中の他の樹脂は以下の通りである。
KE359:荒川化学工業株式会社のロジンエステル「KE−359」(商品名)
P−1000:アデカ社製のポリプロピレングリコール「P−1000」(商品名)
Figure 2014152325
No.1、11〜15からわかるように、アクリロイル変性多量体化ポリエーテルの含有率が高いほど、組成物の粘度が高くなることがわかる。そして、粘度が高くなるに従って、ディスペンサーによる充填作業性は低下する傾向にある一方、粘度が低くなりすぎると、スクリーン印刷方式による塗工作業性が低下した。また、粘度が低くなるに従って、塗膜の厚み制御性が低下した(No.14)。しかしながら、粘度が110Pa・sを超えると、粘度が高くなりすぎて、ディスペンサーを用いる充填作業性、スクリーン印刷方式による塗工作業性のいずれも低下した。
なお、アクリロイル変性多量体化ポリエーテルの含有率が高いほど、得られる硬化物の硬度が高くなって、伸び率が小さくする傾向にあった。
本発明の新規なα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーは、高粘度で、ディスペンサーの使用、スクリーン印刷によって、所望の印刷パターンで且つ塗膜厚みを調節して塗布、塗工することができ、さらに硬い硬化物を得ることができるので、従来の光学的部材の接着剤用途の他に、光学部材間の隙間等に充填する充填剤、重厚感のある印刷インキのビヒクル、低粘度塗工液の塗布領域画定、流れ出し防止用の堰の形成などに利用することができる。

Claims (9)

  1. ウレタン結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を介して、数平均分子量1000〜20000のポリオール(a−1)が連結された多量体化ポリマーであって、且つ前記多量体化ポリマーの分子鎖末端が、α,β不飽和カルボニル変性されている多量体化ポリマー。
  2. 前記ポリオールは、数平均分子量5000〜20000のポリエーテルポリオールである請求項1に記載の多量体化ポリマー。
  3. α,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの数平均分子量は2000〜60000である請求項1に記載の多量体化ポリマー。
  4. α,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマーの25℃における粘度が15〜2000Pa・sである請求項1〜3のいずれかに記載の多量体化ポリマー。
  5. 前記多量体化ポリマーは、末端に水酸基を2個以上有するポリオール(a−1)とイソシアネート基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基、エポキシ環、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を2個以上有する連結用化合物Lとの反応生成物(以下、「多量体化ポリオール」と称する)の分子鎖末端がα,β−不飽和カルボニル変性されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の多量体化ポリマー。
  6. 前記連結用化合物Lは、ジイソシアネート化合物、ジカルボン酸、及びジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の多量体化ポリマー。
  7. 前記α,β不飽和カルボニル変性は、前記多量体化ポリオールの水酸基末端と、水酸基と反応する官能基を有するα,β不飽和カルボニル化合物(a−2)との反応により行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の多量体化ポリマー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー、及び光重合開始剤を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のα,β不飽和カルボニル変性多量体化ポリマー、及び光重合開始剤を含有する光学部材の充填剤用組成物。
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