JP2014169313A - 修飾されたインスリンポリペプチドおよびそれらの使用 - Google Patents

修飾されたインスリンポリペプチドおよびそれらの使用 Download PDF

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Abstract

【課題】修飾されたインスリンポリペプチドおよびその使用を提供する。
【解決手段】本発明のインスリンポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、必要に応じて、少なくとも1個の、天然にコードされていないアミノ酸によって修飾された、インスリンポリペプチドに関する。
〔背景技術〕
現在、世界中で2億4千6百万人が糖尿病に罹患しており、2025年までに3億8千万人が糖尿病に罹患すると予想されている(2007年11月15日における国際糖尿病連合の統計値)。2型糖尿病は、先進国における全糖尿病の症例の約85%〜95%を占めており、発展途上国におけるその割合はさらに高くなっている。糖尿病の流行は続いており、世界中で糖尿病に罹患する人々の数はさらに増加しているが、公衆の意識が低いままである。
糖尿病は、過度の尿排泄によって特徴付けられる任意の障害である。最も一般的な型の糖尿病は真性糖尿病である。この真性糖尿病は、インスリンの機能障害のために炭水化物を酸化することができないという代謝性障害である。真性糖尿病は、血漿におけるグルコースの増加、および偶発性のケトアシドーシスによって特徴付けられる。真性糖尿病のさらなる症状としては、過度の口渇、糖尿、多尿症、脂肪血症、および空腹感が挙げられる。この疾患を治療しないままにしておくと、命にかかわるケトアシドーシスを引き起こすこともある。他の型の糖尿病としては、尿崩症およびブリットル型糖尿病が挙げられる。尿崩症は抗利尿ホルモンの欠乏に起因する。尿崩症の主な症状(過剰な尿排泄)は、腎臓が水を再吸収できなくなることに起因する。ブリットル型糖尿病は、制御することが非常に困難な型であり、低血糖症とアシドーシスとの間の説明のつかない周期的な変動によって特徴付けられる。
人を真性糖尿病に罹患しているとして臨床的に確立する基準としては、(1)空腹時の血漿グルコースレベルが126mg/dL(7mmol/L)を超えていること(正常なレベルは100mg/dL(5.6mmol/L)未満であるべきである)、または(2)経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の間の2つの時点における血漿グルコースレベルが200mg/dL(11mmol/L)を超えていること(なお、これらの2つの時点の1つはブドウ糖の摂取から2時間以内でなければならない。)が挙げられる。
糖尿病であるとの診断が早ければ早いほど、循環の問題に起因する腎不全、失明および四肢の切断という主要な負の結果を免れるより良好な機会が得られる。米国糖尿病協会は、空腹時の血糖値が100mg/dLを超えて、125mg/dL未満である場合、および経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後の血糖値が少なくとも140mg/dLであるが、200mg/dL未満である場合、患者が糖尿病前症であると医師がみなすことの推奨を検討している。
真性糖尿病は、多数の原因を有する不均一な臨床的障害である。真性糖尿病は主として、突発性および続発性の2つに分類される。突発性糖尿病は、2つの主な型、インスリン依存性およびインスリン非依存性に分けられる。インスリン依存性の真性糖尿病(IDDM)(より一般的には1型糖尿病と称される)は、インスリン療法を行わなければ、ケトアシドーシスを発症することによって規定される。1型糖尿病は、小児期において現れることが最も多く(それ故、若年発症型糖尿病とも呼ばれる)、膵臓のb細胞が自己免疫によって破壊されることに起因する。インスリン非依存性の真性糖尿病(NIDDM)(より一般的には2型糖尿病と称される)は、持続性の高血糖症によって特徴付けられるが、稀にケトアシドーシスを引き起こす。2型糖尿病は、旧名が成人発症型糖尿病であったように、一般に40歳以降に現れる。2型糖尿病は、インスリン抵抗性およびインスリン欠乏の原因となる遺伝的欠陥に起因し得る。2型糖尿病には、主として(1)肥満と関連する晩期発症型および(2)肥満と関連しない晩期発症型の、2つの型が存在する。2型糖尿病と一緒に生活することの長期にわたる負の効果の多く(全てではない)は、持続性の高血糖症に起因する。この理由のため、2型糖尿病における治療的介入の主なゴールは、循環するグルコースのレベルを低減することである。
インスリンの主な機能は、高血糖をもたらす数多くのホルモンの協奏作用を打ち消すこと、および低い血糖値を維持することである。血糖上昇ホルモンが多く存在するため、インスリンと関連する未治療の障害は、重篤な高血糖を一般に引き起こし、寿命を短縮してしまう。
グルコース代謝の調節における役割に加えて、インスリンは、脂質生成を刺激し、脂質分解を低減し、細胞へのアミノ酸の輸送を増加させる。インスリンはまた、転写を調節して、数多くのmRNAの細胞含有量を変更する。インスリンは、増殖、DNAの合成、および細胞の複製を刺激する。これらの増殖、DNAの合成、および細胞の複製は、インスリン様増殖因子(IGF)およびリラキシンと共通する、インスリンが保持する効果である。
〔発明の要旨〕
本発明は、少なくとも1個の天然にコードされていないアミノ酸によって必要に応じて修飾されたインスリンポリペプチドを提供する。本明細書は、いくつかの実施形態を提供するが、これらの実施形態は、本発明を説明するためのものであり、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲を限定するものとして解釈されない、ことを理解すべきである。
糖尿病でない人において、膵臓は低レベル(基礎レベル)のインスリンを継続的に供給する。身体が飢餓状態にあるとき、肝臓は身体の他の部分にグルコースを供給する。このことを、典型的に、肝臓でのグルコース産生と称する。食事に応答して、高レベルのインスリンが脾臓によって放出される。インスリンは、まず肝臓と相互作用し、肝臓に対して、肝臓でのグルコース産生を停止して、食事の一部として摂取されたグルコースの吸収を開始するようにシグナルを伝える。脾臓によって放出されたボーラスのインスリンのいくつかは、肝臓を通過し、身体の他の細胞(特に筋肉)と相互作用し、これらの細胞に対して、グルコースを吸収して、使用するようにシグナルを伝える。しかし、糖尿病患者では、膵臓および肝臓によってなされるこの連携した仕事が中断されていることがある。それ故、糖尿病患者が、高血糖または低血糖ならびに関連したこれらの変動の短期的効果および長期的効果を経験しない健全な範囲内にグルコースを維持することを助ける治療を、糖尿病患者に提供することが望ましい。したがって、正常な人における内因性のインスリンの分泌のパターンを模倣することが、長い間、インスリン療法のゴールであった。インスリンに対する日々の生理学的な需要は変動し、(a)および(b)の2つの局面に分けることができる。(a)食事と関係する血糖の上昇を処理するためにインスリンのパルスを必要とする、吸収の局面、(b)空腹時の最適な血糖を維持するための肝臓でのグルコース産生を調節するために持続的な量のインスリンを必要とする、吸収後の局面。したがって、有効な治療法は、一般に、ボーラス注入によって提供される食事の時の即効性のインスリン、および1日につき1回または2回注入することによって投与される、長時間作用性の基礎的なインスリンという、2つの外因性インスリンを組み合わせて使用することを包含している。
参考として本明細書に援用されるEli Lillyに譲渡された特許出願(米国特許出願公開第20040242460号明細書)には、長時間作用性の基礎的なインスリンの治療法として使用するための、アシル化されたインスリンのクラスが開示されている。アシル化されたインスリンは、単量体のインスリン(標準的なインスリンおよび特定のインスリン類似体が挙げられる)の遊離アミノ基を、活性化された脂肪酸の誘導体で選択的にアシル化することによって調製される。有用な脂肪酸の誘導体としては、少なくとも6個の炭素原子の鎖長を有している反応性の脂肪酸型化合物や、特に、鎖に8〜21個の炭素原子を有している脂肪酸の誘導体が挙げられる。モノアシル化された標準的なヒトインスリン(パルミチン酸の誘導体でアシル化されている)は、特に有望な候補である。このカテゴリーに含まれるインスリンは、特開平01-254,699号公報に記載されている。本発明の実施形態は、1個以上の非天然アミノ酸を含有しているアシル化されたインスリンを提供する。本発明のさらなる実施形態は、水溶性ポリマー(PEGなど)に連結された天然にコードされていないアミノ酸を1個以上有する、アシル化されたインスリンを包含する。
本発明の実施形態に係る方法は、健全な肝臓を有する糖尿病の個体(すなわち、調節ホルモンのインスリンがないことを別にすれば、グルコースの正常な取込みおよび産生が可能な肝臓を有する個体)に対して、グルコースのホメオスタシスを回復させ得る。血糖値を調節するために肝臓を活性化することによって、本発明の方法は、真性糖尿病を治療する従来の方法と関連する高血糖症および/または低血糖症を低減し得るか、または取り除き得る。本発明の実施形態に係る方法はまた、真性糖尿病と典型的に関連する、微小血管合併症(例えば、ネフロパシー、レチノパシーおよび/またはニューロパシー)および/または大血管合併症(例えば、心筋梗塞および/または脳卒中)、の全てではないが、いくつかを低減し得るか、または取り除き得る。さらに、本発明の実施形態に係る方法は、インスリンの末梢投与(例えば、皮下、肺内、鼻腔内、頬側粘膜(buccal mucosal))と関連する高インスリン血症を低減し得るか、または取り除き得る。さらに、本発明の実施形態に係る方法は、肝臓を活性化して肝臓の脂肪酸代謝を改善することによって、糖尿病と関連する高脂血症を低減し得るか、または取り除き得る。また、肝臓の適切な活性化は、他の肝細胞を回復し得、遺伝子によって調節される代謝経路を回復し得る。この代謝経路は真性糖尿病と関連する合併症と関係する。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、1個以上の翻訳後修飾を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結されている。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、二官能性ポリマー、二官能性リンカー、または少なくとも1個のさらなるインスリンポリペプチドに連結されている。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに結合されているか、またはリンカーを用いて水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は二官能性ポリマーである。いくつかの実施形態において、二官能性ポリマーは第2のポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドはインスリンポリペプチドである。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、ポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる水溶性ポリマーに連結された、少なくとも2つのアミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、少なくとも1個のアミノ酸は、天然にコードされていないアミノ酸である。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、ポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる水溶性ポリマーに連結された、少なくとも2つのアミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、少なくとも1個のアミノ酸は、天然にコードされていないアミノ酸である。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1、あるいは、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、または配列番号11における対応するアミノ酸)、ならびに/あるいはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号2、あるいは、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、または配列番号12における対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端または配列番号14における対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位、9位、14位、15位(配列番号1または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸の位置)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:B鎖における、1位、22位、28位(配列番号2、または配列番号2、4、6、8、10、12における対応するアミノ酸の位置)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位、4位、5位、8位、9位、12位、14位、15位、18位(配列番号1または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸の位置)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:B鎖における、1位、3位、4位、21位、22位、28位、29位(配列番号2、または配列番号2、4、6、8、10、12における対応するアミノ酸の位置)。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンまたはインスリン類似体の以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンの以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン類似体の以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。
いくつかの実施形態において、これらの位置の1個以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、それらの任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9もしくは配列番号11における対応するアミノ酸)、ならびに/あるいは、B鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号2、または配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12における対応するアミノ酸)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号14における対応するアミノ酸)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における1位、4位、5位、8位、9位、12位、14位、15位、18位(配列番号1または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸の位置)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、B鎖における、1位、3位、4位、21位、22位、28位、29位(配列番号2、または配列番号2、4、6、8、10、12における対応するアミノ酸の位置)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11);B鎖の1位、17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかの以下の位置の1つ以上に組み込まれる:B鎖の1位、2位、9位、10位、28位、29位、30位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、B鎖の1位、2位、9位、10位、28位、29位、30位が挙げられる(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の21位、またはB鎖の1位、10位、13位、16位、28位、29位、31位、または32位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号1〜配列番号12)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の21位、またはB鎖の1位、10位、13位、16位、28位、29位、31位、または32位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号1〜配列番号12)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の8位、9位、10位、14位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:B鎖の17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、B鎖の17位、21位、25位、28位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖の4位、8位、9位、10位、14位、18位、21位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖の4位、8位、9位、10位、14位、18位、21位(配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリン類似体、インスリンリスプロ(lispro)、インスリングルリシン(glulisine)、インスリンデテミル(detemir)、またはインスリングラルギン(glargine)のポリペプチドの何れかにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:B鎖の1位、5位、17位、21位、25位、29位、30位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)。いくつかの実施形態において、これらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、B鎖の1位、5位、17位、21位、25位、29位、30位(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号2)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンリスプロにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号3)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号4)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンアスパルト(aspart)における以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号5)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号6)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリングルリシンにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号7)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号8)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンデテミルにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号9)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号10)。いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリングラルギンにおける以下の位置の1つ以上に組み込まれる:A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号11)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号12)。
いくつかの実施形態において、インスリン、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、1位の前(すなわち、N末端)、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、もしくは配列番号11における対応するアミノ酸)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号2、または配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、もしくは配列番号12における対応するアミノ酸)。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、1位の前(すなわち、N末端)、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号2)が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリンリスプロのポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号3)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号4)が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリンアスパルトのポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号5)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号6)が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリングルリシンのポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号7)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号8)が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリンデテミルのポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号9)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号10)が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリングラルギンのポリペプチドにおけるこれらの位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されており、これらの位置としては、限定されないが、A鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびそれらの任意の組合せ(配列番号11)、またはB鎖における、1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(配列番号12)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、インスリン、インスリンリスプロ、インスリングルリシン、インスリンデテミル、またはインスリングラルギンのポリペプチドの何れかの以下の位置の1つ以上に組み込まれる:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1および配列番号2;配列番号3および配列番号4;配列番号5および配列番号6;配列番号7および配列番号8;配列番号9および配列番号10;または配列番号11および配列番号12)。
本発明の方法は、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を含有しているインスリン類似体の結晶を製造するために使用することができる。Sanofi-Aventis Deutschland GmbHに譲渡された米国特許第7,193,035号明細書(参考として本明細書に援用される)には、インスリン類似体の結晶の形成および使用が開示されている。
<処方物>
本発明の広範な実践において、インスリン、インスリン類似体、アシル化されたインスリン、またはアシル化されたインスリン類似体の2つ以上の混合物を含有していてもよい処方物であって、混合物の成分の少なくとも1つが、天然にコードされていないアミノ酸を含有している処方物も意図される。また、本発明の別の実施形態において、インスリン、インスリン類似体、アシル化されたインスリン、またはアシル化されたインスリン類似体の2つ以上の混合物を含有している処方物であって、混合物の成分の少なくとも1つが天然にコードされていないアミノ酸を含有している処方物は、天然にコードされていないアミノ酸の少なくとも1個に結合された水溶性ポリマーを少なくとも1つ包含する。
本発明はまた、不均一な混合物を包含する。不均一な混合物は、処方物を必要とする患者に処方物を投与し得るように、インスリンポリペプチドおよびインスリン類似体を本発明に開示の方法によって調製し、次いで、混合したものである。この処方物は、例えば、ペグ化された天然にコードされていないアミノ酸をB鎖の28位において含有しているインスリンポリペプチドを25%、水溶性ポリマーに結合された天然にコードされていないアミノ酸をB鎖の10位において含有しているインスリンポリペプチドを25%、および天然にコードされていないアミノ酸がインスリンのB鎖の31位に存在するインスリンポリペプチドを50%、含有している(配列番号2;代替的に配列番号4、6、8、10または12)。インスリンポリペプチドのバリアントの量の百分率が異なる種々の混合物の全てにおいて、これらのインスリンポリペプチドのバリアントは、(1)PEGのサイズが異なるか、または(2)配列における異なる位置にPEGが包含されている、種々のものを包含する。このことは、例として意図されており、本発明によって可能になる処方物を限定するものとして全く解釈されるべきではなく、そして当業者に明らかだろう。さらなる実施形態において、処方物の混合物に包含するためのインスリンポリペプチドのバリアントは、処方物が処方物を必要とする患者にインスリンの持続放出をもたらし得るように、種々の解離時間によって選択されるだろう。
本発明の処方物は、グルカゴンを包含してもよい。
<吸入用処方物を包含する本発明の他の実施形態>
本発明のさらなる実施形態では、肺への投与を介して患者に使用する、薬物動態学的特性および薬力学的特性が増加したインスリン類似体を製造するために、本明細書に開示された技術を使用することができる。このようなインスリン類似体を患者に投与することによって、インスリンの血中レベルの上昇が、投与から少なくとも6時間、より典型的には、少なくとも8時間、10時間、14時間、18時間、24時間、またはそれ以上、持続されることになる。本発明の別の実施形態は、吸入剤として患者に投与されるように設計される治療的処方物に適した、インスリン類似体の有利な混合物を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態において、ネイティブなインスリン分子における以下の部位は、天然にコードされていないアミノ酸と置換されてもよく、必要に応じて、水溶性ポリマー(PEGなど)の共有結合によってさらに修飾されてもよい:A鎖およびB鎖の2つの末端、Arg22B、His10B、His5A、Glu4A、Glu17A、Glu13B、およびGlu21B。
ネイティブなインスリンに加えて、本発明は、ネイティブでないインスリンポリペプチドおよびインスリン類似体を提供する。このようなネイティブでないインスリンポリペプチドおよびインスリン類似体は、1つ以上の水溶性ポリマー(PEGなど)を組み込むための部位を提供し得るシグナル配列に置換されるか、挿入される1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を有している。本発明のこの実施形態は、例えば、酵素消化に対する耐性が向上したPEG−インスリンを形成するために、カスタマイズされたさらなるペグ化の部位をインスリン分子内に導入するために特に有用である。このようなアプローチを用いることによって、活性、安定性、溶解度、および薬理学的特性の所望のバランスを有する最適化されたインスリンの抱合物をより柔軟に設計することができる。突然変異は、インスリン分子内の任意の数の部位において、部位特異的突然変異誘発によって実施することができる。本発明において使用されるPEGは、線状の構造、分岐した構造、枝分かれ構造、およびダンベルの構造などの、種々の構造を有していてもよい。典型的に、PEGは、インスリン分子の所望の部位と結合するに適した、適切な活性化基によって活性化される。活性化されたPEGは、インスリンと反応するための反応性基を末端に有しているであろう。代表的な、活性化されたPEG誘導体、および薬物(インスリンなど)にこれらの剤を抱合するための方法は、技術分野において公知であり、さらにZalipsky, S.ら, “Use of Functionalized Poly(Ethylene Glycols) for Modification of Polypeptides” in Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris, Plenus Press, New York (1992)、およびAdvanced Drug Reviews, 16:157-182 (1995)に記載されている。
本発明の特定の一実施形態において、抱合物のPEG部分は、ポリマーまたはポリマー−インスリンの抱合物の、水溶性の性質を大幅に修飾するに有効な親油基を1つ以上有していない。換言すると、ポリマー、すなわち本発明の抱合物のインスリンではない部分は、親水性よりも親油性であるとみなされる原子の基(例えば、約2から8〜12個の炭素原子を有する炭素鎖)を含有していてもよい。しかし、このような基が1つ以上存在することが、ポリマーまたは抱合物の親水性の性質を大幅に変更するほど有効でない場合、このような部分は本発明の抱合物に含有されていてもよい。換言すれば、インスリン、インスリンポリペプチド、およびインスリン類似体の部位特異的な突然変異を介して、本発明のインスリンの抱合物はそれ自体、親油性または両親媒性というよりはむしろ、親水性を示し得る。親油性の部分が存在し得る本発明のある実施形態において、この部分は、PEGの鎖の末端に位置していないことが好ましい。
本発明の抱合物に使用するための枝分かれPEGとしては、国際公開第96/21469号パンフレット(この文献の内容は全体が参考として本明細書に明白に援用される。)に記載のものが挙げられる。一般に、枝分かれPEGは式R(PEG−OH)で表すことができる。Rは、中心の「コア」の分子を表し、nは腕の数を表す。枝分かれPEGは、中心のコアを有しており、このコアから2つ以上の「PEG」の腕が延伸している。枝分かれの構造において、枝分かれポリマーのコアは、インスリンを結合するための反応部位を1つ有している。本発明に使用するための枝分かれPEGは、典型的に、4つ未満のPEGの腕を含んでおり、3つ未満のPEGの腕を含んでいることがより好ましい。枝分かれPEGは、対応する線状のPEGと比べて、より巨大でより高密度のポリマーのクラウドと結合される、1つの反応部位を有しているという利点を提供する。枝分かれPEGの1つの特定の型は、(MeO−PEG−)R−Xとして表すことができる。pは、2または3である。Rは、リジンまたはグリセロールなどの中心のコアの構造であり、2つまたは3つのPEGの腕が結合される。Xはインスリンに結合するために活性化される、または、活性化され得る任意の適切な官能基を表す。1つの特定の好ましい枝分かれPEGは、mPEG−リジン−スクシンイミドの構造を有するmPEG−NHS(Shearwater Corporation, Alabama)である。
さらに別の枝分かれした構造物において、「吊り下がり式の(Pendant)PEG」はタンパク質と結合するための反応性基を有しており、この反応性基は、PEGの鎖の末端というよりはむしろ、PEGの主鎖に沿って配置されている。インスリンと結合するために、PEGの主鎖から延伸しているこれらの反応性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。吊り下がり式のPEGの構造は、有用であり得るが、特に吸入用組成物にとっては、一般にあまり好ましくない。
また、PEG−インスリンの抱合物のPEGの部分は、分岐した構造を有していてもよい。この分岐した構造は、ポリマーの鎖の一方の末端に枝分かれ部分を有し、この枝分かれ部分に、インスリンを結合するための遊離の反応性基が2つ(または2の任意の倍数)連結されている。典型的な分岐したPEGは、国際公開第99/45964号パンフレットに記載されており、この文献の内容は参考として本明細書に明白に援用される。分岐したポリエチレングリコールは、必要に応じて、ポリマーの鎖の反対の末端においてアルキル基、すなわち「R」基を包含していてもよい。より具体的には、本発明に係る分岐したPEG−インスリンの抱合物は、式:R−PEG−L(Y−インスリン)nを有している。Rはアルキルである。Lは加水分解に安定な枝分かれのポイントである。Yは、インスリンと分岐したポリマーとの化学的な結合を提供する結合基である。nは2の倍数である。Lは、「−CH−」のような1つの「コア」の基を表してもよいし、長い原子鎖を含んでいてもよい。典型的なL基としては、リジン、グリセロール、ペンタエリスリトール、またはソルビトールが挙げられる。典型的に、枝分かれ部分内における特定の枝分かれの原子(branch atom)は炭素である。
本発明の特定の一実施形態において、分岐したPEGとインスリン分子との結合(Y)は、加水分解に安定である。好ましい実施形態において、nは2である。インスリン上の反応部位と抱合する前の適切なYの部分としては、限定されないが、活性なエステル、活性なカーボネート、アルデヒド、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキシド、アルコール、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドラジド、ジチオピリジン、およびヨードアセトアミド(iodacetamides)が挙げられる。適切な活性化基の選択は、インスリン分子への結合を意図される部位に依存し、当業者によって容易に決定され得る。生じたPEG−インスリンの抱合物における対応するYの基は、活性化された分岐したポリマーとインスリン上の適切な反応部位との反応に由来するものである。このような最終的な結合の具体的なアイデンティティーは、当業者に明らかであろう。例えば、反応性の分岐したPEGが活性化されたエステル(スクシンイミドまたはマレイミドのエステルなど)を含有している場合、インスリン上のアミン部位を介した抱合によって、対応するアミド結合が形成されるだろう。これらの特定の分岐したポリマーは、インスリン:PEGのモル比が2:1以上である抱合物を提供するので、特に魅力的である。このような抱合物は、インスリン受容体の部位をブロックする可能性をより小さくする一方、依然として、例えばインスリン分解酵素による、酵素分解に対してインスリンを保護するための設計に柔軟性を与える。
関連する実施形態において、式:R−[PEG−L(Y−インスリン)2]nで表される分岐したPEG−インスリンの抱合物が、本発明に使用されてもよい。この例において、Rは、天然にコードされていないアミノ酸を表し、この天然にコードされていないアミノ酸は、少なくとも1つのPEG−ジ−インスリンの抱合物に結合されている。具体的には、本発明のこの態様に従った好ましい分岐したポリマーは、nが1、2、3、4、5、および6からなる群より選択されるものである。代替的な実施形態において、インスリン、インスリンポリペプチドまたはインスリン類似体内の非天然アミノ酸と、ポリマーの枝分かれ部位との間の、化学的結合は分解可能であってもよい(すなわち、加水分解に対して不安定であってもよい)。また、1つ以上の分解可能な結合はポリマーの主鎖に含有されていてもよい。これにより、最初に投与されたPEG−インスリンの抱合物におけるPEGの鎖よりも、小さいPEGの鎖を有するPEG−インスリンの抱合物をin vivoにて生成することができる。例えば、大きく比較的不活性な抱合物(すなわち、1つ以上の高分子量のPEGの鎖が結合されており(例えば、1つ以上のPEGの鎖は約10,000よりも大きい分子量を有している)、生理活性を本質的に有していない抱合物)が投与され得る。次いで、この抱合物は、肺または血流のどちらかにおいて加水分解され、最初に存在したPEGの鎖の一部を有する生理活性のある抱合物が生成される。加水分解的に分解可能な結合がin vivoにおいて切断されると、次いで、遊離のインスリン(分解可能な結合の位置に依存する)、または小さいポリエチレンのタグが結合されたインスリンが放出され、肺を介してより容易に吸収されるか、および/または血液中をより容易に循環する。
本発明のこの実施形態の1つの特徴において、加水分解される前のインタクトなポリマー−抱合物は、投与されると最小限に分解される。このことは、体循環へ放出される前にインスリンが酵素的に分解されることとは対照的に、切断可能な結合の加水分解が、活性のあるインスリンが血流へ放出される速度が遅くなるように制御するに有効である。
適切な生理学的に切断可能な結合としては、限定されないが、エステル、カーボネートエステル、カルバメート、スルフェート、ホスフェート、アシルオキシアルキルエーテル、アセタール、およびケタールが挙げられる。このような抱合物は、保存中におよび投与中に安定である、生理学的に切断可能な結合を有しているべきである。例えば、PEG−切断可能な結合−インスリンの、抱合物は、最終的な薬学的組成物が製造されたときに、適切な送達用のビヒクル中に溶解されたときに(このような媒体が採用された場合)、そして経路に関係なく投与されたときに、その完全性を維持しているべきである。
〔一本鎖インスリン〕
末梢のインスリン耐性に焦点を合わせた場合、好ましい薬物は、インスリンに対する感受性を与える剤(insulin-sensitizing agent)の1種であるチアゾリジンジオンである。例えば、トログリタゾン(TRG)は、チアゾリジンジオンのケミカルシリーズのうち、経口を介して作用する抗糖尿病剤である。この薬物は、NIDDMに罹患して、耐糖性が低減した患者におけるインスリン耐性を逆転することが示され、数多くの遺伝的および後天的なインスリン耐性の齧歯類モデルにおけるインスリンの作用を増強することができる。TRGの抗血糖上昇効果は、インスリンに依存するグルコースの処理を増加させ、肝臓でのグルコース産生を低減させるという能力に起因する。インスリンの作用を増強することによって、TRGによる治療は、インスリンの低い循環レベルにおいて正常血糖をもたらすと考えられている。これに関し、正常な齧歯類および糖尿病の齧歯類での研究ならびにヒトの臨床試験では、チアゾリジンジオンの治療法の合併症としての低血糖症が現れていない。一方、これらの薬物を正常な動物またはインスリン欠乏性の糖尿病動物に投与することによって、血漿グルコースまたは血漿インスリンあるいは耐糖性を変化させることができなかったが、それにもかかわらずインスリンに対する感受性は増加した。
インスリンの2つの鎖の構造によって、インスリンは複数の立体構造を取ることができる。いくつかの知見は、インスリンが立体構造を大幅に変化させる傾向を有していること、および、このような変化の可能性を制限することによって、リガンドに対するインスリン受容体のアフィニティーが大幅に低減されることを示した。プロインスリンは、ネイティブなインスリンよりも、インスリン受容体に対して100倍低いアフィニティーを有している。インスリンにおけるアミノ酸残基のA1をブロックすることによって、受容体との結合が悪化する。このことは、インスリンのA鎖の遊離のN末端およびB鎖の遊離のC末端が、インスリン受容体との結合に重要であるという定説と一致している。
インスリン分子の遺伝する物理学的および化学的な安定性は、真性糖尿病のインスリン療法のための基本的な条件である。これらの基本的な特性は、インスリン処方物、適用可能なインスリンの投与方法、ならびに、薬学的調製物の保存期間および保存条件にとって根本的なものである。インスリンの投与における溶液の使用は、この分子を因子(例えば、上昇した温度、変化する気体−液体−固体の間期(interphase)、およびせん断力)の組合せに曝露し、不可逆的な立体構造の変化(線維化(fibrillation))をもたらし得る。このことは、外部に装着されているか、または移植されている輸液ポンプ内のインスリン溶液について特に関連している。このような輸液ポンプ内のインスリン溶液は、分子をこれらの因子の組合せや、長期間のポンプの運動に由来するせん断力に曝露する。その結果、インスリンの送達システムとして輸液ポンプを使用した場合、線維化が特に懸念される。さらに、インスリンの溶解度は、複数の因子によって影響を受け、4.2〜6.6のpHにおいて明らかに低減される。pHの沈殿の区間は、一般に、処方物に対して制限を与えるが、特定の類似体の開発および処方において意図的に使用されてきた。
したがって、本発明の別の実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸は、一本鎖インスリンまたは一本鎖インスリン類似体に組み込まれる。インスリン活性を有する一本鎖インスリンは、欧州特許第1,193,272号明細書に開示されている。これらの一本鎖インスリンは、5〜18個のアミノ酸の修飾されたCペプチドを有しており、最大で42%のインスリン活性を有していることが報告されている。EP 1,193,272には、B30とA21とを結合する以下の修飾されたCペプチドが開示されている:Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Lys−Arg、Arg−Arg−Gly−Pro−Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−Lys−Arg、Arg−Arg−Gly−Gly−Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、Arg−Arg−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly、Gly−Gly−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、Arg−Arg−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly、Gly−Gly−His−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、およびArg−Arg−His−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly。欧州特許第741,188号明細書には、10〜14個のアミノ酸残基を有する修飾されたCペプチドを有し、14〜34%のインスリン活性を有し、以下の結合ペプチドを有している、一本鎖インスリンが開示されている:Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−Leu−Gln−Lys−Arg、およびGly−Tyr−Gly−Ser−Ser−Ser−Arg−Arg−Ala−Pro−Gln−Thr。国際公開第95/16708号パンフレットには、1〜15個のアミノ酸残基の結合ペプチドを有する一本鎖インスリンが開示されており、この結合ペプチドにおけるC末端アミノ酸残基はLysまたはArgではない。国際公開第95/16708号パンフレットには、以下のCペプチドの配列が開示されている:Gly−Tyr−Gly−Ser−Ser−Ser−Arg−Arg−Ala−Pro−Gln−Thr、およびGly−Tyr−Gly−Ser−Ser−Ser−Ala−Ala−Ala−Pro−Gln−Thr。これらの一本鎖インスリンは、インスリン活性を有しているが、IGF−1受容体に対して極めて高いアフィニティーを有していることが報告されている。
Novo Nordisk, Inc.の米国特許出願公開第20070129284号明細書には、B鎖とA鎖との間にCペプチドを導入することによって、分子の柔軟性を低減すると同時に、線維化の傾向を低減し、そしてpHの沈殿の区間を制限または変更する、一本鎖インスリン類似体が開示されている。Novo Nordisk, Inc.によって開示された一本鎖インスリンの1例は、結合ペプチドによって結合された、ヒトインスリンまたはその類似体もしくは誘導体のB鎖およびA鎖を含んでいる。この結合ペプチドは、5〜11個のアミノ酸残基を有しており、結合ペプチドが2つの隣接する塩基性アミノ酸残基を含有している場合、B鎖および/またはA鎖における天然アミノ酸の少なくとも1個が別のコード可能なアミノ酸残基によって置換されているか、あるいは、A鎖、B鎖または結合ペプチドにおける少なくとも1個のリジン残基がアシル化によって化学的に修飾されているか、あるいは、結合ペプチドが以下の配列の1つではない:Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Lys−Arg、Arg−Arg−Gly−Pro−Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−Lys−Arg、Arg−Arg−Gly−Gly−Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、Arg−Arg−Ala−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly、Gly−Gly−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、Arg−Arg−Tyr−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly、Gly−Gly−His−Pro−Gly−Asp−Val−Lys−Arg、またはArg−Arg−His−Pro−Gly−Asp−Val−Gly−Gly。
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、シグナル配列において1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸の置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、本明細書に開示されたインスリン、またはインスリンの類似体もしくはポリペプチドの何れかのためのシグナル配列において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸の置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、本明細書に開示されたインスリン、またはインスリンの類似体もしくはポリペプチドの何れかのための、シグナル配列における1個以上の天然にコードされたアミノ酸の置換、付加、または欠失、ならびに、シグナル配列における1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸の置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、1個以上の非天然アミノ酸は、本明細書に開示されたインスリン、またはインスリンの類似体もしくはポリペプチドの何れかのための、リーダー配列またはシグナル配列に組み込まれている。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、インスリンポリペプチドの受容体または結合パートナー(限定されないが、タンパク質、ポリペプチド、小分子または核酸が挙げられる)に対する、インスリンポリペプチドのアフィニティーを調節する置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの安定性と比較した場合、インスリンポリペプチドの安定性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。安定性および/または溶解度は、当業者に公知の多種多様なアッセイを用いて測定され得る。このようなアッセイとしては、限定されないが、SE−HPLCおよびRP−HPLCが挙げられる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの免疫原性と比較した場合、インスリンポリペプチドの免疫原性を調節する、置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの血清半減期または循環時間と比較した場合、インスリンポリペプチドの血清半減期または循環時間を調節する置換、付加、または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの水溶性と比較した場合、インスリンポリペプチドの水溶性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない、宿主細胞において産生された対応するインスリンの溶解度と比較した場合、宿主細胞において産生されたインスリンポリペプチドの溶解度を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの宿主細胞での発現またはin vivoでの合成と比較した場合、インスリンポリペプチドの宿主細胞での発現またはin vivoでの合成を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。この置換を含んでいるインスリンポリペプチドは、アゴニスト活性を保持し、そして宿主細胞での発現レベルを保持するか、または改善する。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンのプロテアーゼ耐性と比較した場合、インスリンポリペプチドのプロテアーゼ耐性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンポリペプチドとインスリン受容体が相互作用する活性と比較した場合、インスリン受容体のシグナル伝達の活性を調節する置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンポリペプチドの、別の分子(受容体など)との結合と比較した場合、別の分子(受容体など)との結合を調節する置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンポリペプチドの抗ウイルス活性と比較した場合、抗ウイルス活性を調節する置換、付加、または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンポリペプチドのグルコース代謝活性と比較した場合、グルコース代謝活性を増強する置換、付加、または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、置換、付加、または欠失を有さない対応するインスリンの、薬学的保存剤(例えば、m−クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール)との適合性と比較した場合、このインスリンポリペプチドの、この薬学的保存剤との適合性を増加させる置換、付加、または欠失を含んでいる。この増加した適合性は、保存の間における、タンパク質の生理化学的特性および生物学的活性を維持する、保存される薬学的処方物の調製を可能にするであろう。
いくつかの実施形態において、1つ以上の設計された結合は、1個以上の非天然アミノ酸を用いて作製される。分子内結合は、多くの方法によって作製されてもよい。このような方法としては、限定されないが、適切な条件下におけるタンパク質内の2つのアミノ酸の間での反応(1つまたは両方のアミノ酸は非天然アミノ酸であってもよい)、適切な条件下における2つのアミノ酸(これらのどちらかは、天然にコードされたものであってもよいし、天然にコードされていないものであってもよい)と、リンカー、ポリマーまたは他の分子との反応などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドにおける1個以上のアミノ酸の置換は、1個以上の、天然に生じるアミノ酸または天然にコードされていないアミノ酸との置換であってもよい。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドにおけるこれらのアミノ酸の置換は、天然に生じるアミノ酸または天然にコードされていないアミノ酸との置換であってもよいが、ただし、少なくとも1つの置換は天然にコードされていないアミノ酸との置換である。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドにおける1個以上のアミノ酸の置換は、1個以上の天然に生じるアミノ酸との置換であってもよく、さらに少なくとも1つの置換は天然にコードされていないアミノ酸との置換である。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含んでいる。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸はカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、
Figure 2014169313
の構造を有している。
nは0〜10である。R1はアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールである。R2は、H、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールである。R3は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基である。R4は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸はアミノオキシ基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸はヒドラジド基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸はヒドラジン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸残基は、セミカルバジド基を含んでいる。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸残基は、アジド基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、
Figure 2014169313
の構造を有している。
nは0〜10である。R1は、アルキル、アリール、置換アルキル、もしくは置換アリールであるか、または存在していない。Xは、O、N、もしくはSであるか、または存在していない。mは0〜10である。R2は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基である。R3は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、アルキン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、
Figure 2014169313
の構造を有している。
nは0〜10である。R1は、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールである。Xは、O、N、もしくはSであるか、または存在していない。mは0〜10である。R2は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基である。R3は、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、インスリンポリペプチドの、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニストまたはインバースアゴニストである。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドの、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニストまたはインバースアゴニストは、水溶性ポリマーに連結された天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドの、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニストまたはインバースアゴニストは、天然にコードされていないアミノ酸、および1つ以上の、翻訳後修飾、リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を含んでいる。
また、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12のインスリンポリペプチドをコードする核酸とストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、配列番号1および2のインスリンポリペプチドをコードする核酸とストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12として示されたポリペプチドをコードし、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズする、1つまたは複数のポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、配列番号1および2として示されたポリペプチドをコードし、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズする、1つまたは複数のポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。本発明は、配列番号1および2として示されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12として示されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。本発明は、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を有する配列番号1および2として示されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を有する配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12として示されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。多種多様なポリヌクレオチドが、本発明のポリペプチドをコードし得ることは、当業者に容易に明らかである。
いくつかの実施形態において、セレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークなコドン、希少なコドン、5塩基のコドン、および4塩基のコドンからなる群より選択される。
また、本発明は、水溶性ポリマーに連結されたインスリンポリペプチドを作製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる単離されたインスリンポリペプチドを、この天然にコードされていないアミノ酸と反応する部分を含んでいる水溶性ポリマーと接触させる工程を包含している。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸は、20個の一般的なアミノ酸の何れかと反応しない水溶性ポリマーと反応する。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸は、20個の一般的なアミノ酸の何れかにと反応しないリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子と反応性する。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されたインスリンポリペプチドは、カルボニルを含有しているアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基を含んでいるポリ(エチレングリコール)分子とを反応させることによって、作製される。いくつかの実施形態において、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子に連結されている。いくつかの実施形態において、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基は、カルバメート(carbamate)結合を介してポリ(エチレングリコール)分子に連結されている。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されたインスリンポリペプチドは、カルボニル基を含んでいるポリ(エチレングリコール)分子と、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基を含んでいる天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるポリペプチドとを反応させることによって作製される。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されたインスリンポリペプチドは、アルキンを含有しているアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと、アジドの部分を含んでいるポリ(エチレングリコール)分子とを反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジド基またはアルキン基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子に連結される。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されたインスリンポリペプチドは、アジドを含有しているアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと、アルキンの部分を含んでいるポリ(エチレングリコール)分子とを反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジド基またはアルキン基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子に連結される。
いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、約0.1kDa〜約100kDaの分子量を有している。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、0.1kDa〜50kDaの分子量を有している。
いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、枝分かれポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)の枝分かれポリマーの各枝は、1kDa〜100kDa、または1KDa〜50kDaの分子量を有している。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに連結されている水溶性ポリマーは、ポリアルキレングリコールの部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基はカルボニルの部分を含んでおり、水溶性ポリマーは、アミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジンまたはセミカルバジドの、部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基はアルキンの部分を含んでおり、水溶性ポリマーはアジドの部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基は、アジドの部分を含んでおり、水溶性ポリマーはアルキンの部分を含んでいる。
また、本発明は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと、薬学的に受容可能なキャリアとを含んでいる組成物を提供する。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。
また、本発明は、セレクターコドンを含んでおり、インスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる細胞を提供する。いくつかの実施形態において、この細胞は、インスリンポリペプチド内に天然にコードされていないアミノ酸を置換するための、直交性の(orthogonal)RNAシンテターゼおよび/または直交性のtRNAを含んでいる。
また、本発明は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドを作製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、インスリンポリペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド、直交性のRNAシンテターゼ、および/あるいは直交性のtRNAを含んでいる細胞を、このインスリンポリペプチドが発現するような条件下において培養する工程と、この細胞および/または培地からインスリンポリペプチドを精製する工程と、を包含している。
また、本発明は、インスリンポリペプチドの、治療的な半減期、血清半減期または循環時間を増加させる方法を提供する。また、本発明は、インスリンポリペプチドの免疫原性を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、これらの方法は、天然に生じるインスリンポリペプチドにおける任意の1個以上のアミノ酸を天然にコードされていないアミノ酸と置換する工程、および/または、インスリンポリペプチドをリンカー、ポリマー、水溶性ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結する工程、を包含している。
また、本発明は、治療が必要な患者を、有効な量の本発明のインスリン分子を用いて治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと、薬学的に受容可能なキャリアとを含んでいる、治療的に有効な量の薬学的組成物を患者に投与する工程を包含している。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドはグリコシル化されている。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドはグリコシル化されていない。
また、本発明は、少なくとも1個のアミノ酸が天然にコードされていないアミノ酸によって置換されていることを除いて、配列番号1および2に示される配列または他の任意のインスリンポリペプチドの配列(これらの非限定的な例は配列番号3〜12である。)を含んでいるインスリンポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含んでいる。
また、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと、少なくとも1個のアミノ酸が天然にコードされていないアミノ酸によって置換されており、配列番号1〜12に示される配列または他の任意のインスリンポリペプチドの配列を含んでいるインスリンポリペプチドと、を含んでいる薬学的組成物を提供する。また、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと、少なくとも1個のアミノ酸が天然にコードされていないアミノ酸によって置換されており、配列番号1〜12に示される配列または他の任意のインスリンポリペプチドの配列、A鎖およびB鎖を含んでいるインスリンポリペプチド(例えば、配列番号1および2はインスリンを作製するだろうし、配列番号3および4はインスリンリスプロを作製するだろう。)と、を含んでいる薬学的組成物を提供する。また、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと、配列番号1および2に示される配列を含んでいるインスリンポリペプチドと、を含んでいる薬学的組成物を提供する。また、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと、配列番号1〜12に示す配列を含んでいるインスリンポリペプチドと、を含んでいる薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は糖の部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、糖の部分を介してポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態において、リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子は、糖の部分を介してインスリンポリペプチドに連結されている。
また、本発明は、水溶性ポリマーを含んでいるインスリンポリペプチドであって、この水溶性ポリマーが、単一のアミノ酸においてインスリンポリペプチドに共有結合によって連結されている、インスリンポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)の部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーと共有結合的に連結されたアミノ酸は、ポリペプチドに存在する天然にコードされていないアミノ酸である。
本発明は、少なくとも1つの、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子を含んでいるインスリンポリペプチドであって、該リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子が、このポリペプチドにリボソーム的に(ribosomally)組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸の官能基を介してこのポリペプチドに結合している、インスリンポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、モノペグ化されている(monoPEGylated)。また、本発明は、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸に結合されたリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を含んでいるインスリンポリペプチドであって、該天然にコードされていないアミノ酸が、予め選択された部位においてこのポリペプチドにリボソーム的に組み込まれている、インスリンポリペプチドを提供する。
本発明の範囲には、インスリンのリーダー配列またはシグナル配列が包含される。このようなリーダー配列またはシグナル配列の例は、プロインスリンとして見られ得る。選択される異種のリーダー配列またはシグナル配列は、例えば宿主細胞の分泌系によって認識され、そしてプロセスされて、宿主細胞によって分泌され、場合によっては、宿主細胞のシグナルペプチダーゼによって切断されるものであるべきである。本発明のインスリン、またはインスリンポリペプチドもしくはインスリン類似体を用いた状態または障害を治療する方法は、シグナルペプチドまたはリーダーペプチドを有する、または有さないインスリンを用いた治療を含意することを意図されている。
また、本発明は、グルコース代謝の増加を誘導する方法を提供する。この方法は、上述の細胞に、インスリンをグルコース代謝活性の増加を誘導するに有効な量で投与する工程を包含している。
別の実施形態において、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドと別の分子(限定されないが、PEGが挙げられる)との抱合は、非天然アミノ酸に抱合するために利用されるユニークな化学反応に起因して実質的に精製されたインスリンを提供する。1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンと別の分子(PEGなど)との抱合を、この抱合のステップの前または後に実施される他の精製技術と共に実施して、実質的に純粋なインスリンを得てもよい。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、インスリンのアミノ酸配列と一緒に示された、インスリンの結晶構造の2つのモデルを示す図である。
図2は、インスリンの結晶構造のモデルを示す図である。天然にコードされていないアミノ酸によって置換される選択された部位が示されている。
図3は、プロインスリンの一次構造を示す図である。
図4は、インスリン、ヒューマログ(登録商標)、ノボログ(登録商標)、グラルギン、およびデテミルを示す図である。
図5は、プロインスリンの発現プラスミドであるpVK6−リスプロインスリン、およびリスプロインスリンのインサートの配列を示す図である。
図6は、本発明のインスリンポリペプチドを用いたSDS−PAGEのゲル分析を示す図である。本発明のインスリンポリペプチドとしては、A鎖(配列番号3)のQ15において置換されたもの、A鎖(配列番号3)のY14において置換されたもの、B鎖(配列番号4)のR22において置換されたもの、B鎖(配列番号4)のF1において置換されたもの、A鎖(配列番号3)のG1において置換されたもの、A鎖(配列番号3)S9において置換されたもの、およびB鎖(配列番号4)のK28において置換されたものが挙げられる。各置換は、非天然アミノ酸(pAF)を用いてなされたものである。
図7は、ペグ化されたインスリンポリペプチド、およびペグ化されていないインスリンポリペプチドのSEC−HPLCを示す図である。
図8は、Pichiaにクローン化するために使用されるプラスミドの略図である。
図9は、本発明の2つのインスリンポリペプチド(A14pAF−PEG−A21NおよびA14pAF−PEG−A21G)に関する、曲線下面積のバーグラフである。
図10は、実施例36にてさらに検討されるような、A21Gのインスリンポリペプチドに対するリフォールディング反応の結果のゲルを示す図である。
図11は、実施例36から、QHPによって精製され、リフォールディングされたプロインスリンのHPLCを示す図である。
図12は、実施例36に記載のペグ化反応のHPLCを示す図である。
〔定義〕
本発明は、本明細書に記載の特定の手法、プロトコール、細胞株、コンストラクト、および試薬に限定されるものではなく、変更され得ることを理解するべきである。また、本明細書において用いられている専門用語は、特定の実施形態のみを記載するために用いられているのであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲の限定を意図していないことを理解するべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「a」、「an」および「the」という単数形の形態は、文脈が明らかに他のものを示していない限り、複数形の参照を包含する。例えば、1つの「インスリン」または「インスリンのポリペプチド」、ならびに種々のハイフンでつなげられた形態およびハイフンでつなげられていない形態を参照することは、このようなタンパク質を1つ以上参照することであり、当業者に知られているそれらの均等物などを包含している。
特に規定されない限り、本明細書に用いられた全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有している。本明細書に記載の方法、装置および材料と同等または類似の任意のものを、本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法、装置および材料をこれから記載する。
本明細書において言及された全ての刊行物および特許文献は、目下のところ記載している発明に関連して使用されることがある、この刊行物に記載されたコンストラクトおよび手法などを記載および開示するために、参考として本明細書に援用される。本明細書において検討された刊行物は、本出願の出願日よりも前の開示のみを提供するものである。本明細書では、先行する発明の長所または他の如何なる理由によって、本発明らが、このような開示よりも先行しているという資格を与えられないことを、承認していると解釈されることはない。
用語「実質的に精製された」は、インスリンポリペプチドが、タンパク質が天然に生じる環境(すなわち、組換え的に製造されるインスリンポリペプチドの場合、ネイティブな細胞または宿主細胞)において見られるような、タンパク質と普通は同伴または相互作用する成分から、実質的にもしくは本質的に遊離し得ることをいう。細胞内の物質から実質的に遊離されているであろうインスリンポリペプチドは、(乾燥重量で)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の不純なタンパク質を有する、タンパク質の調製物を包含する。インスリンポリペプチドまたはそのバリアントが宿主細胞によって組換え的に製造される場合、このタンパク質は、細胞の乾燥重量で約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%、あるいはそれ以下で存在し得る。インスリンポリペプチドまたはそのバリアントが宿主細胞によって組換え的に製造される場合、このタンパク質は、細胞の乾燥重量で約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L、または約1mg/Lあるいはそれ以下で、培地中に存在し得る。したがって、本発明の方法によって製造された場合、「実質的に精製された」インスリンポリペプチドは、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の純度を有していてもよく、具体的には少なくとも約75%、80%、85%の純度を有していてもよく、より具体的には少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%、少なくとも約99%の純度、またはそれ以上の純度を有していてもよい。このような純度は、SDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC、およびキャピラリー電気泳動などの適切な方法によって決定されるようなものである。
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」は、外因性のポリヌクレオチドを包含する細胞のことをいい、外因性のポリヌクレオチドを細胞に挿入するために用いられる方法は問わない。このような方法としては、例えば、直接的な取込、形質導入、f−交配、または組換え宿主細胞を作製する、当該技術分野にて公知の他の方法が挙げられる。外因性のポリヌクレオチドは、組込みまれないベクター(例えばプラスミド)として維持されてもよいし、宿主のゲノムに組み込まれてもよい。
本明細書において用いられる場合、用語「培養基」としては、任意の宿主細胞を支持し得るか、または含み得る任意の培地、溶液、固体、半固体、または剛性の支持体が挙げられる。任意の宿主細胞としては、例えば、細菌の宿主細胞、酵母の宿主細胞、昆虫の宿主細胞、植物の宿主細胞、真核生物の宿主細胞、哺乳動物の宿主細胞、CHO細胞、原核生物の宿主細胞、E. coliまたはPseudomonasの宿主細胞、および細胞含有物が挙げられる。したがって、この用語には、宿主細胞が増殖した培養基、例えば、インスリンポリペプチドが分泌された培養基を包含する。このような培養基は、増殖工程の前もしくは後の培養基を包含する。また、この用語は、例えば、インスリンポリペプチドが細胞内において産生され、このインスリンポリペプチドを放出するために宿主細胞が溶解または破壊される場合、宿主細胞の溶解物を含有するバッファまたは試薬を包含し得る。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書において用いられる場合、「還元剤」は、スルヒドリル基を還元状態にて維持し、分子内または分子間のジスルフィド結合を減少させる任意の化合物または物質として規定される。適切な還元剤としては、限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2−アミノエタンチオール)、および還元型グルタチオンが挙げられる。多種多様な還元剤が本発明の方法および組成物での使用に適していることは、当業者にとって容易に明白である。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書において用いられる場合、「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去することができる、任意の化合物または物質として規定される。適切な酸化剤としては、限定されないが、酸化型グルタチオン、システイン、シスタミン、酸化型ジチオスレイトール、酸化型エリスリトール、および酸素が挙げられる。多種多様な酸化剤が本発明の方法での使用に適していることは、当業者にとって容易に明白である。
本明細書において用いられる場合、「変性剤」は、タンパク質の可逆的なアンフォールディングを引き起こすであろう任意の化合物または物質として規定される。変性剤の強さは、特定の変性剤の性質および濃度の両方によって決定されるであろう。適切な変性剤は、カオトロープ、界面活性剤、有機溶媒、水と混和し得る溶媒、リン脂質、またはこのような剤の2つ以上の組合せが挙げられる。適切なカオトロープとしては、限定されないが、尿素、グアニジン、およびチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。有用な界面活性剤としては、限定されないが、強い界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、またはポリオキシエチレンエーテル(例えばTweenまたはTritonといった界面活性剤)、またはサルコシル(Sarkosyl)など)、非イオン性の弱い界面活性剤(例えばジギトニン)、陽イオン性の弱い界面活性剤(N−>2,3−(ジオレイオキシ)−プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムなど)、イオン性の弱い界面活性剤(コール酸ナトリウム、またはデオキシコール酸ナトリウムなど)、あるいは、両性イオン界面活性剤(限定されないが、スルホベタイン(Zwittergent)、3−(3−クロルアミドプロピル(chlolamidoプロピル))ジメチルアンモニオ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)、および3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)が挙げられる)が挙げられ得る。アセトニトリル、低級アルカノール(特にC2−C4アルカノール(エタノールまたはイソプロパノールなど))、または低級アルカンジオール(特に、C2−C4アルカンジオール(エチレングリコールなど)の、水と混和し得る有機溶媒が変性剤として使用され得る。本発明において有用なリン脂質は、天然に生じるリン脂質(ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールなど)、または合成のリン脂質の誘導体もしくはバリアント(ジヘキサノイルホスファチジルコリンまたはジヘプタノイルホスファチジルコリンなど)であり得る。
本明細書において用いられる場合、「リフォールディング」は、ジスルフィド結合に関して、ジスルフィド結合を含有するポリペプチドを不適切に折りたたまれた状態または折りたたまれていない状態から、ネイティブな立体構造もしくは適切に折りたたまれた立体構造へ変形させる任意のプロセス、反応または方法を記述するものである。
本明細書において用いられる場合、「コフォールディング」は、互いに相互作用する少なくとも2つのポリペプチドを用いて、折りたたまれていないかまたは不適切に折りたたまれたポリペプチドを、ネイティブな適切に折りたたまれたポリペプチドへ変形させる、リフォールディングのプロセス、反応または方法のことを特にいう。
本明細書において用いられる場合、用語「プロインスリン」は、式:B−C−Aで表される、適切に架橋されたタンパク質である。Aは、インスリンのA鎖またはその機能的な誘導体である。Bは、イプシロン位のアミノ基を有しているインスリンのB鎖またはその機能的な誘導体である。Cは、プロインスリンの結合ペプチドである。好ましくは、プロインスリンは、ヒトインスリンのA鎖、ヒトインスリンのB鎖であり、Cは天然の結合ペプチドである。プロインスリンが天然の配列である場合、プロインスリンは3つの遊離のアミノ基を有している:フェニルアラニン(1)(アルファ位のアミノ基)、リジン(29)(イプシロン位のアミノ基)およびリジン(64)(イプシロン位のアミノ基)。
本明細書において用いられる場合、用語「インスリン類似体」は、式:A−Bで表される、インスリンの活性を示す適切に架橋されたタンパク質である。Aは、インスリンのA鎖またはインスリンのA鎖の機能的な誘導体である。Bは、イプシロン位のアミノ基を有しているインスリンのB鎖またはその機能的な誘導体である。AまたはBの少なくとも1つは、天然の配列からのアミノ酸の修飾を含有している。
本明細書において、用語インスリンが複数形または包括的な意味で用いられるときは常に、天然に生じるインスリン、ならびに天然に生じるインスリンの類似体および誘導体を包含することが意図される。本明細書において用いられる場合、「インスリンポリペプチド」は、CysA7とCysB7との間のジスルフィド架橋、CysA20とCysB19との間のジスルフィド架橋、および、CysA6とCysA11との間の内部ジスルフィド架橋を包含し、かつインスリン活性を有するヒトインスリンの分子構造と同様の分子構造を有する化合物を意味する。
本明細書において用いられる場合、用語「インスリン」は、アミノ酸配列および空間的構造が周知であるヒトインスリンをいう。ヒトインスリンは、21個のアミノ酸のA鎖と、30個のアミノ酸のB鎖とから構成されており、A鎖とB鎖とがジスルフィド結合によって架橋されている。適切に架橋されたインスリンは、3つのジスルフィド架橋を含んでいる。第1のジスルフィド架橋は、A鎖の7位とB鎖の7位との間にあり、第2のジスルフィド架橋はA鎖の20位とB鎖19位との間にあり、第3のジスルフィド架橋はA鎖の6位とA鎖の11位との間にある(Nicol, D. S. H. W. and Smith, L. F., Nature, 187, 483-485 (1960))。
インスリンペプチドとしては、限定されないが、インスリン、ヒト;インスリン、ブタ;IGF−I、ヒト;インスリン様増殖因子II(69−84);プロインスリン様増殖因子II(68−102)、ヒト;プロインスリン様増殖因子II(105−128)、ヒト;[AspB28]−インスリン、ヒト;[LysB28]−インスリン、ヒト;[LeuB28]−インスリン、ヒト;[ValB28]−インスリン、ヒト;[AlaB28]−インスリン、ヒト;[AspB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[LysB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[LeuB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[ValB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[AlaB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[GlyA21]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GlnB3]−インスリン、ヒト;[AlaA21]−インスリン、ヒト;[AlaA21 Gln.sup.B3]インスリン、ヒト;[GlnB3]−インスリン、ヒト;[GlnB30]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GluB30]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GlnB3 GluB30]−インスリン、ヒト;[GlnB3 GluB30]−インスリン、ヒト;B22−B30インスリン、ヒト;B23−B30インスリン、ヒト;B25−B30インスリン、ヒト;B26−B30インスリン、ヒト;B27−B30インスリン、ヒト;B29−B30インスリン、ヒト;ヒトインスリンのA鎖、およびヒトインスリンのB鎖が挙げられる。
用語「インスリン類似体」は、A鎖およびB鎖を有するタンパク質であって、これらのA鎖およびB鎖がそれぞれ、ヒトインスリンのA鎖および/またはB鎖と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、インスリン類似体のインスリン活性を消失させない、1個以上のアミノ酸の欠失、1個以上のアミノ酸の置換、および/または1個以上のアミノ酸の付加を有することによってヒトインスリンのA鎖およびB鎖と異なっている、タンパク質を意味する。インスリンの等電点よりも「高い」等電点を有するインスリン類似体は、インスリン類似体の1つのタイプである。別のタイプのインスリン類似体は、「単量体のインスリン類似体」である。
「単量体のインスリン類似体」は、ヒトインスリンの速効性の類似体であり、例えば、B鎖の28位のProがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaによって置換されており、かつB鎖の29位のLysがLysであるか、Proによって置換されている、ヒトインスリンが挙げられる。des(B27)ヒトインスリンとしても知られる別の単量体のインスリン類似体は、は、B鎖の27位のThrが欠失したヒトインスリンである。単量体のインスリン類似体は、Chance, R. E.ら, 米国特許第5,514,646号明細書(1996年5月7日発行)、Brems, D. N.ら Protein Engineering, 5, 527-533 (1992)、Brange, J. J. V.ら, 欧州特許出願公開第214,826号明細書(1987年3月18日公開)、およびBrange, J. J. V.ら, Current Opinion in Structural Biology, 1, 934-940 (1991)に開示されている。本処方物に使用される単量体のインスリン類似体は、ヒトインスリンと同じ位置において適切に架橋されている。
インスリンペプチドとしては、限定されないが、インスリン、ヒト;インスリン、ブタ;IGF−I、ヒト;インスリン様増殖因子II(69−84);プロインスリン様増殖因子II(68−102)、ヒト;プロインスリン様増殖因子II(105−128)、ヒト;[AspB28]−インスリン、ヒト;[LysB28]−インスリン、ヒト;[LeuB28]−インスリン、ヒト;[ValB28]−インスリン、ヒト;[AlaB28]−インスリン、ヒト;[AspB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[LysB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[LeuB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[ValB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[AlaB28、プロB29]−インスリン、ヒト;[GlyA21]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GlnB3]−インスリン、ヒト;[AlaA21]−インスリン、ヒト;[AlaA21 Gln.sup.B3]インスリン、ヒト;[GlnB3]−インスリン、ヒト;[GlnB30]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GluB30]−インスリン、ヒト;[GlyA21 GlnB3 GluB30]−インスリン、ヒト;[GlnB3 GluB30]−インスリン、ヒト;B22−B30インスリン、ヒト;B23−B30インスリン、ヒト;B25−B30インスリン、ヒト;B26−B30インスリン、ヒト;B27−B30インスリン、ヒト;B29−B30インスリン、ヒト;ヒトインスリンのA鎖、およびヒトインスリンのB鎖が挙げられる。
さらなる態様において、本発明は、種々のタンパク質をコードする組換え核酸、種々の組換え核酸を含有する発現ベクター、種々の組換え核酸および/または発現ベクターを含む宿主細胞、ならびに種々のタンパク質を製造するための方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、種々のタンパク質を治療的に有効な量で、通常、薬学的なキャリアと一緒に患者に投与することによる、インスリンに反応する障害の治療を提供する。さらなる態様において、本発明は、MHCのクラスIIのエピトープを変更することによって、インスリンポリペプチドの免疫原性を調節する(特に免疫原性を低減する)ための方法を提供する。
用語「インスリンポリペプチド」はまた、天然に生じるインスリンの、薬学的に受容可能な塩およびプロドラッグ、ならびにこの塩のプロドラッグ、多形(polymorphs)、水和物、溶媒和物、生物学的に活性なフラグメント、生物学的に活性なバリアント、および立体異性体、ならびに天然に生じるインスリンのアゴニスト、模倣物およびアンタゴニストのバリアント、ならびにそれらのポリペプチドの融合体を包含する。アミノ末端、カルボキシル末端、または両方にさらなるアミノ酸を含んでいる融合体は、用語「インスリンポリペプチド」に包含される。典型的な融合体としては、限定されないが、例えば、メチオニルインスリン(リーダーペプチドまたはリーダー部分あるいはシグナルペプチドまたはシグナル部分を欠く、成熟した形態のインスリンの組換え発現に起因するインスリンのN末端に、メチオニンが連結されたもの(メチオニンは、組換え発現に起因するインスリンのN末端に連結されている。))、精製のための融合体(限定されないが、ポリヒスチジンまたはアフィニティーエピトープが挙げられる。)、血清アルブミンに結合するペプチドとの融合体、ならびに、血清タンパク質(血清アルブミンなど)との融合体が挙げられる。参考として本明細書に援用される米国特許第5,750,373号明細書には、受容体分子に対する結合特性が変更された、成長ホルモンおよび抗体フラグメントのバリアントなどの新規タンパク質を選択するための方法が記載されている。この方法は、目的のタンパク質をコードする遺伝子を、線状ファージM13の遺伝子IIIのコートタンパク質のC末端ドメインに融合する工程を包含している。キメラ分子は、インスリンおよび1つ以上の他の分子を含んでいる。キメラ分子は、インスリンおよび他の分子の1つまたは両方の、特定の領域またはフラグメントを含有してもよい。このような任意のフラグメントは、標準的な生物化学的方法によって、またはこのフラグメントをコードするポリヌクレオチドの発現によって、タンパク質から調製することができる。インスリンまたはそのフラグメントは、ヒト血清アルブミン(HSA)、Fc、またはそれらの一部を含んでいる融合タンパク質として製造され得る。このような融合体のコンストラクトは、真核生物の宿主細胞においてインスリンまたはそのフラグメントの発現を増強させることに適している。典型的なHSAの一部としては、参考として本明細書に援用される米国特許第5,766,883号明細書および国際公開第97/24445号パンフレットに開示されるような、N末端のポリペプチド(アミノ酸の1〜369、1〜419、およびアミノ酸の1から始まる中間の長さ)が挙げられる。他のキメラポリペプチドとしては、インスリンまたはそのフラグメントが、HSAのC末端およびN末端のそれぞれに結合した、HSAのタンパク質が挙げられ得る。このようなHSAのコンストラクトは、参考として本明細書に援用される米国特許第5,876,969号明細書に開示されている。他の融合体は、インスリンと、(a)イムノグロブリンのFc部分、(b)イムノグロブリンのFc部分の類似体、および(c)イムノグロブリンのFc部分のフラグメント、との融合によって作製され得る。
種々の参考文献において、ポリマーの抱合またはグリコシル化による、ポリペプチドの修飾が開示されている。用語「インスリンポリペプチド」は、PEGなどのポリマーに抱合されたポリペプチドを包含する。用語「インスリンポリペプチド」は、システイン、リジンまたは他の残基のさらなる誘導体化を1つ以上含んでいてもよい。さらに、インスリンポリペプチドは、リンカーまたはポリマーを含んでいてもよい。リンカーまたはポリマーが抱合されたアミノ酸は、本発明に係る非天然アミノ酸であってもよいし、リジンまたはシステインに結合させるというような当該技術分野において公知の技術を利用して、天然にコードされるアミノ酸に抱合されてもよい。
また、用語「インスリンポリペプチド」は、グリコシル化されたインスリンを包含している。グリコシル化されたインスリンは、例えば限定されないが、任意のアミノ酸の位置においてグリコシル化されたポリペプチド、あるいはN結合型またはO結合型のグリコシル化ポリペプチドである。また、ヌクレオチドの変更を1つ含んでいるバリアントも、インスリンポリペプチドの生物学的に活性なバリアントとしてみなされる。さらに、スプライスも包含される。また、用語「インスリンポリペプチド」には、任意の1個以上のインスリンポリペプチド、または任意の他のポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ポリマー、小分子、リンカー、リガンド、もしくは任意の種類の他の生物学的に活性な分子の、化学的手段によって連結されたか、または融合タンパク質として発現された、インスリンポリペプチドのヘテロダイマー、ホモダイマー、ヘテロマルチマーまたはホモマルチマーが包含されるだけでなく、例えば特定の欠失または他の修飾を含有しているが、それでもなお生物学的活性を維持している、ポリペプチド類似体も包含される。
用語「インスリンポリペプチド」または「インスリン」は、1個以上のアミノ酸の置換、付加または欠失を含んでいるインスリンポリペプチドを包含する。本発明のインスリンポリペプチドは、1個以上の非天然アミノ酸による修飾とともに、1個以上の天然アミノ酸による修飾を含んでいてもよい。天然に生じるインスリンポリペプチド内の多種多様なアミノ酸の位置における典型的な置換は記載されており、限定されないが、薬学的な安定性を調節する置換、インスリンポリペプチドの生物学的活性の1つ以上を調節する置換(例えば限定されないが、アゴニスト活性を増加する置換、ポリペプチドの溶解度を増加する置換、プロテアーゼ感受性を低減する置換、ポリペプチドをアンタゴニストに変換する置換)などが挙げられ、用語「インスリンポリペプチド」に包含される。いくつかの実施形態において、インスリンのアンタゴニストは、インスリン分子の受容体結合領域に存在し、水溶性ポリマーと連結された天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、インスリンポリペプチドの生物学的活性を調節する付加、置換または欠失をさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、インスリンポリペプチドの抗ウイルス活性を調節する付加、置換または欠失をさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、インスリンポリペプチドの抗ウイルス活性を増強する付加、置換または欠失をさらに含んでいる。例えば、付加、置換または欠失は、インスリンの1つ以上の性質または活性を調節し得る。例えば、付加、置換または欠失は、インスリン受容体に対するアフィニティーを調節し得るか、循環半減期を調節し得るか、治療半減期を調節し得るか、ポリペプチドの安定性を調節し得るか、プロテアーゼによる切断を調節し得るか、用量を調節し得るか、放出またはバイオアベイラビリティを調節し得るか、精製を促進し得るか、あるいは、投与の特定の経路を改善または変更し得る。同様に、インスリンポリペプチドは、プロテアーゼによって切断される配列、反応性基、抗体が結合するドメイン(限定されないが、FLAGまたはポリHisが挙げられる)または他のアフィニティーに基づく配列(限定されないが、FLAG、ポリHis、GSTなどが挙げられる)、あるいはポリペプチドの検出(限定されないが、GFPが挙げられる)、精製または他の特性を改善する、連結された分子(限定されないが、ビオチンが挙げられる)を含んでいてもよい。
また、用語「インスリンポリペプチド」は、連結された、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーおよびヘテロマルチマーを包含する。これらの連結された、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーおよびヘテロマルチマーとしては、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖を介して直接的に連結されているものか、同一のもしくは異なる天然にコードされていないアミノ酸の側鎖に直接的に連結されているものか、または天然にコードされたアミノ酸の側鎖に直接的に連結されているもの、あるいはリンカーを介して間接的に連結されているものが挙げられる。典型的なリンカーとしては、限定されないが、小さい有機化合物、様々な長さの水溶性ポリマー(ポリ(エチレングリコール)またはポリデキストランなど)、または様々な長さのポリペプチドが挙げられる。
「天然にコードされていないアミノ酸」は、20個の一般的なアミノ酸、またはピロリジンもしくはセレノシステインの1つでないアミノ酸をいう。用語「天然にコードされていないアミノ酸」と同義的に用いてもよい他の用語は、「非天然アミノ酸」、「天然でないアミノ酸」、「天然に生じないアミノ酸」、およびそれらの様々にハイフンでつなげられたもの、およびハイフンでつなげられていないものである。また、用語「天然にコードされていないアミノ酸」としては、限定されないが、天然にコードされたアミノ酸(限定されないが、20個の一般的なアミノ酸またはピロリジンおよびセレノシステインが挙げられる)の修飾(例えば翻訳後修飾)によって生じるが、それら自体は翻訳複合体によって成長中のポリペプチド鎖に天然に組み込まれないアミノ酸が挙げられる。このような天然に生じないアミノ酸の例としては、限定されないが、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−トレオニン、およびO−ホスホチロシンが挙げられる。
「アミノ末端を修飾する基」は、ポリペプチドのアミノ末端に結合することができる任意の分子をいう。同様に、「カルボキシ末端を修飾する基」は、ポリペプチドのカルボキシ末端に結合することができる任意の分子をいう。末端を修飾する基としては、限定されないが、種々の水溶性ポリマー、ペプチド、タンパク質(血清アルブミンなど)、またはペプチドの血清半減期を増加させる他の部分が挙げられる。
用語「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「脱離基」、「反応部位」、「化学的に反応性の基」、および「化学的に反応性の部分」は、分子の明確に規定できる一部またはユニットについて言及するために当該技術分野および本明細書において使用される。これらの用語は化学の技術分野においてある程度同義であり、ある機能を果たすかまたはある活性を発揮し、かつ他の分子と反応する、分子の一部を示すために本明細書において用いられる。
用語「結合」または「リンカー」は、普通は、化学反応の結果として形成された基または結合について言及するために本明細書において用いられており、典型的には、共有結合である。加水分解に安定な結合は、結合が実質的に水中において安定であり、(限定されないが、長期間(ことによると無期限)の生理的条件下を含む)有用なpH値において水と反応しないことを意味する。加水分解に不安定な結合または加水分解によって分解可能な結合は、結合が水中または水溶液中(例えば血液中が挙げられる)において分解可能であることを意味する。酵素に不安定な結合または酵素によって分解可能な結合は、結合が1つ以上の酵素によって分解され得ることを意味する。当該技術分野において理解されているように、PEGおよびそれに関連するポリマーは、分解可能な結合をポリマーの主鎖、またはポリマーの主鎖と該ポリマー分子の末端の官能基の1つ以上との間のリンカー基に含み得る。例えば、PEGカルボン酸または活性化されたPEGカルボン酸と生物学的に活性な剤のアルコール基との反応によって形成されるエステル結合は、一般的に、生理条件下において加水分解され、生物学的に活性な剤を放出する。他の加水分解によって分解可能な結合としては、限定されないが、カーボネート結合、アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン結合、アルコールとリン酸基との反応によって形成されるリン酸エステル結合、ヒドラジドとアルデヒドとの反応生成物であるヒドラゾン結合、アルデヒドとアルコールとの反応生成物であるアセタール結合、ギ酸塩とアルコールとの反応生成物であるオルソエステル結合、(例えば、限定されないが、PEGなどのポリマーの末端における)アミン基とペプチドのカルボキシル基とによって形成されるペプチド結合、および(例えば限定されないが、ポリマーの末端における)ホスホラミジーテ(phosphoramidite)基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基とによって形成されるオリゴヌクレオチド結合が挙げられる。
本明細書で用いられる場合、用語「生物学的に活性な分子」、「生物学的に活性な部分」、または「生物学的に活性な剤」は、生物に関する生物学的な系、経路、分子、または相互作用の任意の物理学的性質もしくは生物化学的性質に影響を与えることができる任意の物質を意味する。生物としては、限定されないが、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、菌類、植物、動物、およびヒトが挙げられる。特に、本明細書で用いられる場合、生物学的に活性な分子としては、限定されないが、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防を意図した任意の物質、あるいは、そうでなければ、ヒトまたは動物の身体的もしくは精神的な健康状態の増強を意図した任意の物質が挙げられる。生物学的に活性な分子の例としては、限定されないが、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子の薬物、ワクチン、免疫原、ハードドラッグ、ソフトドラッグ、炭水化物、無機原子または無機分子、色素、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、トキソイド、毒素、原核細胞、真核細胞、ウイルス、ポリ糖、核酸およびその一部、リポソーム、微粒子、ならびにミセルが挙げられる。上記核酸およびその一部は、ウイルス、細菌、昆虫、動物または任意の他の細胞もしくは細胞型から得られたか、またはこれらに由来するものである。インスリンポリペプチドは、ミセルの処方物に添加されてもよい。その全体が参考として本明細書に援用される米国特許第5,833,948号明細書参照。本発明と一緒に使用するに適した生物学的に活性な剤の種類としては、限定されないが、薬物、プロドラッグ、放射性核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心臓血管作用薬、抗不安剤、ホルモン、増殖因子、ステロイド剤、および細菌由来の毒素などが挙げられる。
「二官能性ポリマー」は、他の部分(限定されないが、アミノ酸の側鎖の基が挙げられる)と特異的に反応して、共有結合または非共有結合を形成することができる2つの分離した官能基を含んでいるポリマーをいう。一方の官能基が特定の生物学的に活性な成分における基と反応し、他方の官能基が第2の生物学的な成分における基と反応する二官能性リンカーは、第1の生物学的に活性な成分、二官能性リンカーおよび第2の生物学的に活性な成分を包含する抱合物を形成するために使用され得る。種々の化合物をペプチドに結合させるための多くの手法およびリンカー分子は知られている。例えば、欧州特許出願公開第188,256号明細書、米国特許第4,671,958号明細書、米国特許第4,659,839号明細書、米国特許第4,414,148号明細書、米国特許第4,699,784号明細書、米国特許第4,680,338号明細書、および米国特許第4,569,789号明細書、参照(これらは参考として本明細書に援用される。)。「多官能性ポリマー」は、他の部分(限定されないが、アミノ酸の側鎖の基が挙げられる)と特異的に反応して、共有結合または非共有結合を形成することができる2つ以上の分離した官能基を含んでいるポリマーをいう。二官能性ポリマーまたは多官能性ポリマーは、任意の所望の長さまたは分子量であってもよく、インスリンに連結している1つ以上の分子と、インスリン受容体またはインスリンとの間に特定の所望の空間または立体構造をもたらすように、選択されてもよい。
置換基が、左から右へと書かれるという従来の化学式に基づいて記載されている場合、該置換基は、右から左へと書かれた構造に由来するであろう化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば、構造CH2Oは−OCH2と同等である。
用語「置換基」としては、限定されないが、「干渉しない置換基」が挙げられる。「干渉しない置換基」は安定な化合物をもたらす基である。適切な干渉しない置換基または干渉しない基としては、限定されないが、ハロゲン、C1−C10のアルキル、C2−C10のアルケニル、C2−C10のアルキニル、C1−C10のアルコキシ、C1−C12のアラルキル、C1−C12のアルカリル、C3−C12のシクロアルキル、C3−C12のシクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル(xylenyl)、ビフェニル、C2−C12のアルコキシアルキル、C2−C12のアルコキシアリール、C7−C12のアリールオキシアルキル、C7−C12のオキシアリール、C1−C6のアルキルスルフィニル、C1−C10のアルキルスルホニル、−(CH2)m−O−(C1−C10のアルキル)(mは1〜8である。)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、複素環基、置換複素環基、ニトロアルキル、−NO2、−CN、−NRC(O)−(C1−C10のアルキル)、−C(O)−(C1−C10のアルキル)、C2−C10のアルキルチオアルキル、−C(O)O−(C1−C10のアルキル)、−OH、−SO2、=S、−COOH、−NR2、カルボニル、−C(O)−(C1−C10のアルキル)−CF3、−C(O)−CF3、−C(O)NR2、−(C1−C10のアリール)−S−(C6−C10のアリール)、−C(O)−(C1−C10のアリール)、−(CH2)m−O−(−(CH2)m−O−(C1−C10のアルキル)(各mは1〜8である。)、−C(O)NR2、−C(S)NR2、−SO2NR2、−NRC(O)NR2、−NRC(S)NR2、およびそれらの塩などが挙げられる。ここで使用された各Rは、H、アルキル または置換アルキル、アリールまたは置換アリール、アラルキル、あるいはアルカリルである。
用語「ハロゲン」には、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素が包含される。
単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「アルキル」は、特に明記しない限り、炭素原子の数が指定され(即ち、C1−C10は1−10個の炭素を意味する。)、完全飽和、一不飽和または多不飽和であり得、二価の基および多価の基を包含し得る、直鎖の、枝分かれ鎖の、または環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味する。飽和炭化水素基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、およびシクロプロピルメチル、ならびに例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの同族体および異性体のような基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の2重結合または3重結合を有しているものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高級同族体および異性体が挙げられる。また、用語「アルキル」は、特に断りの無い限り、以下にてより詳細に規定されるアルキルの誘導体(「ヘテロアルキル」など)を包含することを意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と称される。
単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、アルカンから誘導された二価の基を意味し、典型的なものとしては、限定されないが、−CH2CH2−および−CH2CH2CH2CH2−の構造が挙げられる。さらに、用語「アルキレン」は、「ヘテロアルキレン」として以下にて記載される基を包含する。典型的に、アルキル基(またはアルキレン基)は1〜24個の炭素原子を有しており、10個以下の炭素原子を有するこれらの基が本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態である。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般的に、8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ(またはチオアルコキシ)」は、従来の意味で使用されており、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に結合するアルキル基をいう。
単独でのまたは別の用語と組み合わせたときの用語「ヘテロアルキル」は、特に明記しない限り、決められた数の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子からなる安定な直鎖の、枝分かれ鎖の、または環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味する。ヘテロ原子は、O、N、SiおよびSからなる群より選択される。窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよく、ヘテロ原子である窒素原子は、必要に応じて4級化されていてもよい。ヘテロ原子であるO、N、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置、または、アルキル基が分子の残部に結合する位置に配置されていてもよい。例えば、限定されないが、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2,−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。2以下のヘテロ原子は例えば−CH2−NH−OCH3および−CH2−O−Si(CH3)3のように、連続していてもよい。同様に、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキルから誘導された二価の基を意味し、典型的なものとしては、限定されないが、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−が挙げられる。ヘテロアルキレン基に関し、同一のまたは異なるヘテロ原子が、鎖の末端のどちらか一方または両方を占有していてもよい(限定されないが、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどが挙げられる)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレンの連結基に関し、連結基の向きは、連結基の式が記載された方向によって示されていない。例えば、式−C(O)2R’は、−C(O)2R’および−R’C(O)2の両方を表す。
単独でのまたは別の用語と組み合わせたときの用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、特に明記しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状の型を表す。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルには、飽和した環の結合、部分的に不飽和した環の結合、および完全に不飽和した環の結合が含まれる。さらに、ヘテロシクロアルキルに関し、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残部に結合している位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、および2−ピペラジニルなどが挙げられる。さらに、上記用語は、二環または三環の環構造を包含する。同様に、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「ヘテロシクロアルキレン」は、ヘテロシクロアルキルから誘導された二価の基を意味し、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「シクロアルキレン」は、シクロアルキルから誘導された二価の基を意味する。
本明細書において用いられる場合、用語「水溶性ポリマー」は、水溶性の溶媒に溶解する任意のポリマーをいう。水溶性ポリマーをインスリンポリペプチドに連結することによって、限定されないが、修飾されていない形態と比べたときの血清半減期の増加または調節、修飾されていない形態と比べたときの治療半減期の増加または調節、免疫原性の調節、物理学的な会合特性(凝集およびマルチマーの形成など)の調節、受容体への結合性の変更、1つ以上の結合パートナーに対する結合性の変更、および受容体のダイマー化またはマルチマー化の変更を包含する、変化がもたらされ得る。水溶性ポリマーは、それ自体が独自の生物学的活性を有していてもよいし、有していなくてもよい。水溶性ポリマーは、インスリンを他の物質(限定されないが、1個以上のインスリンポリペプチドまたは1個以上の生物学的に活性な分子が挙げられる)に結合するためのリンカーとして利用されてもよい。適切なポリマーとしては、限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはそれらのC1−C10のモノアルコキシもしくはモノアリールオキシの誘導体(参考として本明細書に援用されるU.S. Patent No. 5,252,714に記載されている)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド、デキストラン、デキストランの誘導体(デキストランサルフェートが挙げられる)、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、ヘパリン、ヘパリンのフラグメント、多糖、オリゴ糖、グリカン、セルロースおよびセルロースの誘導体(限定されないが、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられる)、デンプンおよびデンプンの誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールのコポリマーおよびその誘導体、ポリビニルエチルエーテル、およびアルファ−ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド(aspartamide)など、あるいは、それらの混合物が挙げられる。このような水溶性ポリマーの例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール、および血清アルブミンが挙げられる。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリアルキレングリコール」または「ポリ(アルケングリコール)」は、ポリエチレングリコール(ポリ(エチレングリコール))、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびそれらの誘導体をいう。用語「ポリアルキレングリコール」は、線状のポリマーおよび枝分かれポリマーの両方を包含し、0.1kDa〜100kDaの平均分子量を包含する。他の典型的な実施形態は、例えば、商業的な供給業者のカタログ(Shearwater Corporationのカタログ「“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)」など)に記載されている。
本明細書で用いられるような用語「アリール」は、特に明記しない限り、共有結合によって連結したか、または共に融合した単環または多環(限定されないが、1〜3の環が挙げられる)であり得る、多価不飽和の芳香族炭化水素の置換基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、1〜4個のヘテロ原子を含有しているアリール基(または環)をいう。このヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されており、窒素原子は、必要に応じて4級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合され得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上述のアリールおよびヘテロアリールの環系のそれぞれのための置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
すなわち、他の用語と組み合わせて用いられるときの用語「アリール」(限定されないが、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルが挙げられる)としては、上記で規定したようなアリール環およびヘテロアリール環が挙げられる。したがって、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合している基を包含することを意味し、限定されないが、ベンジル、フェネチルおよびピリジルメチルなどが挙げられる。アリールアルキルには、炭素原子が酸素原子などによって置換されたアルキル基(限定されないが、メチレン基が挙げられる)が包含される(限定されないが、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、および3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなどが挙げられる)。
上述の用語(限定されないが、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」が挙げられる)のそれぞれは、示された基の置換された形態および置換されていない形態の両方を包含することを意図されている。それぞれの種類の基のための典型的な置換基を以下に示す。
アルキル基およびヘテロアルキル基(多くの場合、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称される基が挙げられる)のための置換基は、限定されないが、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、NRC(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、NRSO2R’、−CN、および−NO2から選択される種々の基の1つ以上であり得る。置換基の数は、0〜(2m’+1)の範囲であり、m’はこのような基における炭素原子の総数である。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のヘテロアルキル基、置換または非置換のアリール基(限定されないが、1〜3のハロゲンで置換されたアリール基が挙げられる)、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基、あるいはアリールアルキル基を表す。本発明の化合物がR基を1つよりも多く包含している場合、例えば、R基が1つよりも多く存在しているとき、R基のそれぞれは、R’基、R’’基、R’’’基およびR’’’’基のように独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは窒素原子と結びついて、5員環、6員環、または7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含することを意図される。置換基についての上述の議論から、当業者は、用語「アルキル」は、水素基以外の基に結合した炭素原子を包含する基(ハロアルキル(限定されないが、−CF3および−CH2CF3が挙げられる)、およびアシル(限定されないが、−C(O)CH3、−C(O)CF3、および−C(O)CH2OCH3などが挙げられる))を包含することを意図されることを理解する。
アルキル基について記載した置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基のための置換基は多様であり、限定されないが、ハロゲン、OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、OC(O)R’、−C(O)R’、CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、NRC(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、NRSO2R’、−CNおよび−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1−C4)アルキルから選択される。上記置換基の数は、0〜芳香環系のオープンバレンス(open valences)の総数である。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される。本発明の化合物がR基を1つよりも多く包含している場合、例えば、R基が1つよりも多く存在しているとき、R基のそれぞれは、R’基、R’’基、R’’’基およびR’’’’基のように独立して選択される。
本明細書において用いられる場合、用語「調節された血清半減期」は、未修飾の形態と比べたときの、修飾されたインスリンの循環半減期における正の変化または負の変化を意味する。血清半減期は、インスリンを投与した後の種々の時点における血液試料を採取して、各試料における分子の濃度を決定することによって測定される。血清中の濃度と時間との相互関係に基づいて血清半減期を計算することができる。血清半減期の増加は、少なくとも約2倍であることが望ましい。しかし、それよりも少ない増加は、例えば、十分な投薬のレジメンを可能にするか、または毒性効果を回避する場合、有用であり得る。いくつかの実施形態において、増加は少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍である。
本明細書で用いられる場合、用語「調節された治療半減期」は、未修飾の形態と比べたときの、インスリンの治療的に有効な量の半減期の正の変化または負の変化を意味する。治療半減期は、投与後の種々の時点における上記分子の薬物動態学的性質および/または薬力学的性質を測定することによって測定される。増加した治療半減期は、特定の有利な投薬のレジメンもしくは特定の有利な総用量を可能にするか、または望ましくない効果を回避することが望ましい。いくつかの実施形態において、治療半減期の増加は、効力の増加、標的に対する修飾された分子の結合性の増加もしくは減少、酵素(プロテアーゼなど)による分子の破壊の増加もしくは減少、修飾されていない分子の作用の別のパラメーターまたは機構の増加もしくは減少、あるいは受容体に媒介される分子の排除の増加もしくは減少に起因する。
核酸またはタンパク質に対して適用される場合、用語「単離された」は、核酸またはタンパク質が、天然の状態において会合する細胞内の成分の少なくともいくつかから遊離しているか、核酸またはタンパク質が、in vivoまたはin vitroの産物の濃度よりも高いレベルに濃縮されていることを示す。それは、均一な状態であってもよい。単離された物質は、乾燥状態または半乾燥状態のいずれかであってもよいし、溶液(限定されないが、水溶液が挙げられる)に溶解した状態であってもよい。それは、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または賦形剤をさらに含んでいる薬学的組成物の成分であってもよい。純度および均一性は典型的に、化学的分析技術を用いて決定される。このような化学的分析技術は、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィーである。タンパク質が、調製物中の大部分を占める種である場合、実質的に精製されている。特に、遺伝子が、この遺伝子に隣接し、目的の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されているとき、単離されているといえる。用語「精製された」は、核酸またはタンパク質が、電気泳動のゲルにおいて実質的に一本のバンドを生じさせることを示す。特に、この用語は、核酸またはタンパク質が少なくとも85%純粋であるか、少なくとも90%純粋であるか、少なくとも95%純粋であるか、少なくとも99%純粋であるか、またはそれ以上純粋であることを意味していてもよい。
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらの一本鎖または2本鎖の形態のポリマーをいう。具体的に限定されない限り、この用語は、参照の核酸と同様の結合特性を有し、かつ天然に生じるヌクレオチドと同じような方法で代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含有している核酸を包含する。また、特に具体的に限定されない限り、この用語は、オリゴヌクレオチドの類似体(PNA(ペプチド核酸)が挙げられる)、アンチセンス技術に使用されるDNAの類似体(ホスホロチオエートおよびホスホロアミダートなど)もいう。また、特に断りのない限り、特定の核酸配列は、それらの保存的に修飾されたバリアント(限定されないが、縮重コドンの置換体が挙げられる。)、相補的配列、および明確に示された配列も、暗黙的に包含する。具体的には、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が、混合された塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換された配列を作製することによって、縮重コドンの置換体が得られ得る(Batzerら, Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsukaら, J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossoliniら, Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいうために、本明細書において交換可能に使用される。すなわち、ポリペプチドに対する記述は、ペプチドの記載およびタンパク質の記載に等しく適用され、また、その逆の場合もあり得る。これらの用語は、天然に生じるアミノ酸のポリマーだけでなく、1個以上のアミノ酸残基が天然にコードされていないアミノ酸であるアミノ酸のポリマーにも適用される。本明細書において用いられる場合、これらの用語には、アミノ酸残基がペプチド共有結合によって連結されている、任意の長さのアミノ酸鎖(全長のタンパク質が挙げられる)が包含される。
用語「アミノ酸」は、天然に生じるアミノ酸、および天然に生じないアミノ酸、ならびに、天然に生じるアミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物をいう。天然にコードされたアミノ酸は、20個の一般的なアミノ酸、ピロリジン、およびセレノシステインである。20個の一般的なアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンである。アミノ酸類似体は、天然に生じるアミノ酸と基本的な化学構造(すなわち、α炭素が、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造)が同じである化合物をいい、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。このような類似体は、修飾されたR基を有しているか(ノルロイシンなど)、または修飾されたペプチドの主鎖を有しているが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸についての言及は、例えば、タンパク質生成のための天然に生じるL−アミノ酸;D−アミノ酸、化学的に修飾されたアミノ酸(アミノ酸のバリアントおよび誘導体など);タンパク質生成に関与しない天然に生じるアミノ酸(βアラニン、オルニチンなど);およびアミノ酸の特徴であると当該技術分野において知られている性質を有する化学的に合成された化合物を包含する。天然に生じないアミノ酸の例としては、限定されないが、αメチルアミノ酸(例えばαメチルアラニン)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2−アミノ−ヒスチジン、βヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、αフルオロメチル−ヒスチジン、およびαメチル−ヒスチジン)、余分なメチレンを側鎖に有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、ならびに側鎖におけるカルボン酸の官能基がスルホン酸基と置換されたアミノ酸(例えばシステイン酸)が挙げられる。非天然アミノ酸(合成のネイティブでないアミノ酸、置換されたアミノ酸、または1個以上のD−アミノ酸が挙げられる)を本発明のタンパク質に組み込むことは、多くの異なる方法において有利であり得る。D−アミノ酸を含有するペプチドなどは、L−アミノ酸を含有する対応物と比較して、in vivoまたはin vitroにおける増加した安定性を示す。したがって、D−アミノ酸を組み込むというペプチドのコンストラクションなどは、細胞内でのより高い安定性が望まれるか、必要とされる場合、特に有用であり得る。より具体的には、このような特性が望ましいときに、D−ペプチドなどは、内因性のペプチダーゼおよびプロテアーゼに対して耐性を示すため、分子のバイオアベイラビリティを改善し、in vivoにおける寿命を延長する。さらに、D−ペプチドなどは、ヘルパーT細胞への、主要組織適合複合体のクラスII拘束性の提示のために、効率良くプロセスされることができない。それ故、D−ペプチドなどは、全生物において体液性免疫反応を誘導する可能性が低い。
本明細書においてアミノ酸は、IUPAC−IUB生物化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推薦する一般的に知られた3文字表記または1文字表記のどちらかによって示すことがある。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受け容れられている1文字コードによって示すことがある。
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一または本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸のことか、または核酸が、アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列のことをいう。遺伝コードの縮重のため、多くの機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコードしている。例えば、GCA、GCC、GCGおよびGCUのコドンは、全てアラニンのアミノ酸をコードしている。このため、コドンによってアラニンが特定される全ての位置では、コードされるポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンの何れかへコドンを変化させることができる。このような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に修飾された変異の1種である。また、ポリペプチドをコードする本明細書に記載の全ての核酸配列は、この核酸のサイレント変異として可能性のある全てのものを表している。当業者の一人は、機能的に同一の分子が得られるように、核酸における各コドンが修飾され得ることを理解するだろう(なお、メチオニンに対する通常唯一のコドンであるAUG、およびトリプトファンに対する通常唯一のコドンTGGは除く。)。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列に潜在的に含まれる。
アミノ酸配列に関していえば、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列に対して、コードされた配列中の1個または数%のアミノ酸を変更、付加または欠失する個々の置換、欠失、または付加を行い、そのような変更によって、アミノ酸が欠失されるか、アミノ酸が付加されるか、またはアミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されるときに、「保存的に修飾されたバリアント」が得られることを当業者は理解するだろう。機能的に類似するアミノ酸を示す保存的な置換の表は当業者に公知である。このような保存的に修飾されたバリアントは、本発明の、多型のバリアント、種間のホモログ(interspecies homologs)および対立遺伝子に加えられるものであり、それらを排除するものではない。
機能的に類似するアミノ酸を示す保存的な置換の表は当業者に公知である。以下の8群のそれぞれは、互いに保存的な置換となるアミノ酸を含んでいる:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、トレオニン(T);および、
(8)システイン(C)、メチオニン(M)。
(例えば、Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition (December 1993)参照)。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈において、用語「同一性」または「同一性」の百分率は、2つ以上の配列またはサブ配列が同じであることをいう。配列を比較ウィンドウまたは指定された領域に対して最大限に対応するように対比および整列させ、以下の配列比較アルゴリズム(または当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して測定するか、または手動で整列させて目視によって検査して測定した場合に、これらの配列が同じであるアミノ酸の残基またはヌクレオチドを所定の百分率で有するとき(すなわち、指定の領域に渡って約60%の同一性、約65%の同一性、約70%の同一性、約75%の同一性、約80%の同一性、約85%の同一性、約90%の同一性、または約95%の同一性を有するとき)、これらの配列は「実質的に同一」である。また、この定義は試験配列の相補体にも関係する。同一性は、アミノ酸またはヌクレオチドの長さが少なくとも約50である領域に渡って、あるいはアミノ酸またはヌクレオチドの長さが少なくとも75〜100である領域に渡って、あるいは、指定されない場合は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列全体に渡って存在し得る。本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(ヒト以外の種からのホモログを包含する)は、本発明のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを有する標識されたプローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下においてライブラリーをスクリーニングする工程と、このポリヌクレオチド配列を含有する全長のcDNAクローンおよびゲノムクローンを単離する工程と、を包含するプロセスによって取得され得る。このようなハイブリダイゼーションは、当業者に周知である。
配列比較を行う際には、典型的に一方の配列を参照配列として、これを試験配列と比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列と参照配列とをコンピューターに入力し、サブ配列の座標を指定し、必要に応じて配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。プログラムのデフォルトのパラメーターを使用してもよいし、代わりのパラメーターを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムはプログラムのパラメーターに基づいて参照配列に対する試験配列の、配列同一性の百分率を計算する。
本明細書において用いられる場合、「比較ウィンドウ」は、2つの配列を最適に整列させた後に、参照配列における同数の連続した位置と比較され得る、ある配列における所定の数の連続した位置の何れか1つの区分への言及を包含する。このようなある配列における連続した位置の所定の数は、20〜600、一般的に約50〜約200、より一般的に約100〜約150から成る群より選択される。比較のために配列を整列させる方法は、当業者に公知である。配列は、例えば限定されないが、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cのローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性探索法、これらのアルゴリズムのコンピューターソフトウェア(computerized implementations)、(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動によって整列させて、目視によって検査すること(例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement) 参照)によって、比較のために最適に整列することができる。
配列同一性および配列類似性の百分率を決定するために適切であるアルゴリズムの1例は、Altschulら, (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402およびAltschulら, (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に、それぞれ記載されているBLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information(ワールドワイドウェブのncbi.nlm.nih.govにて利用可能である))から公的に利用可能である。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。ヌクレオチド配列用のBLASTNプログラムは、語長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、語長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)のアライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、ならびに両鎖の比較をデフォルトとして使用する。BLASTアルゴリズムは、典型的に「低い複雑性」のためのフィルタを使用することなく実施される。
また、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えばKarlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787)参照)。BLASTアルゴリズムから得られる類似性の尺度の1つは、ヌクレオチドまたはアミノ酸の2つの配列間に偶然にマッチが起こる確率を示す最小合計確率(P(N))である。例えば、試験核酸を参照核酸と比較した場合の最小合計確率が約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満であるときに、核酸は参照配列と類似しているとみなす。
語句「〜に対する選択的な(または特異的な)ハイブリダイズ」は、特定のヌクレオチド配列が複合混合物(限定されないが、全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーが挙げられる)に存在するときに、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下において、特定のヌクレオチド配列に対してのみ分子が結合すること、2本鎖を形成すること、またはハイブリダイズすることをいう。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件」は、当該技術分野において知られているような低イオン強度および高温度の条件下における、DNA、RNA、PNA、または他の核酸模倣物、あるいはそれらの組合せの配列のハイブリダイゼーションをいう。典型的に、ストリンジェントな条件下において、プローブは、核酸の複合混合物(限定されないが、全細胞、DNAライブラリー、またはRNAライブラリーが挙げられる)中のプローブが標的とするサブ配列とハイブリダイズするが、この複合混合物中の他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は、配列に依存する。また、環境が異なれば、ストリンジェントな条件も異なる。配列が長くなるほど、特異的にハイブリダイズするための温度は高くなる。核酸のハイブリダイゼーションの豊富な指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridizationwith Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategyof nucleic acid assays” (1993) に見られる。一般に、ストリンジェントな条件は、
規定のイオン強度およびpHにおける、特異的な配列の熱融解温度(Tm)よりも約5〜10℃低いように選択される。このTmは、(規定のイオン強度、pHおよび核酸の濃度において)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列が過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において塩濃度がナトリウムイオンの濃度で約1.0M未満、典型的には、ナトリウムイオン(または他の塩)の濃度で約0.01M〜1.0Mであり、温度が、短いプローブ(限定されないが、10〜50ヌクレオチドのプローブが挙げられる)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(限定されないが、50ヌクレオチドよりも長いプローブが挙げられる)については少なくとも約60℃である、という条件であってもよい。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって実現されてもよい。選択的なまたは特異的なハイブリダイゼーションに関し、ポジティブなシグナルは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2倍であってもよいし、必要に応じて、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍であってもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件の典型例としては、50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSにおいて42℃でインキュベーションするか、または5×SSC、1%SDSにおいて65℃にてインキュベーションし、0.2×SSCおよび0.1%SDSにおいて65℃にて洗浄することが挙げられ得る。この洗浄は、5分間、15分間、30分間、60分間、または120分間、実施され得る。
本明細書において用いられる場合、用語「真核生物」は、系統学的なドメイン(phylogenetic domain)の真核生物(Eucarya)に属する生物をいう。真核生物は、例えば、動物(限定されないが、哺乳動物、昆虫、爬虫類、鳥類などが挙げられる)、繊毛虫類、植物(限定されないが、単子葉植物、双子葉植物および藻類が挙げられる)、菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、および原生生物などである。
本明細書において用いられる場合、用語「非真核生物」は、真核生物ではない生物をいう。例えば、真核生物ではない生物は、系統学的なドメインの真正細菌(限定されないが、Escherichia coli、Thermus thermophilus、Bacillus stearothermophilus、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putidaなどが挙げられる。)、または系統学的なドメインの古細菌(限定されないが、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Halobacterium(Haloferax volcanii and Halobacteriumの種のNRC-1)、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Aeuropyrum pernixなどが挙げられる)に属し得る。
本明細書において用いられる場合、用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象である動物をいい、いくつかの実施形態において哺乳動物であり、他の実施形態においてヒトである。動物は、伴侶動物(例えば、イヌおよびネコなど)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタおよびウマなど)、または実験動物(例えば、ラット、マウスおよびモルモットなど)であってもよい。
本明細書において用いられる場合、用語「有効な量」は、投与される修飾された非天然アミノ酸のポリペプチドの量であって、治療される疾患、状態または障害の1つ以上の症状をある程度軽減する量をいう。本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸のポリペプチドを含有している組成物は、予防的処置、増強するための処置、および/または治療的処置のために投与され得る。
用語「増強する」または「増強」は、所望の効果を効力または持続時間について、増加または延長することを意味する。したがって、治療剤の効果の増強に関し、「増強」は、系における他の治療剤の効果を、効力または持続時間のどちらかについて増加または延長する能力をいう。本明細書において用いられる場合、「増強に有効な量」は、所望の系における別の治療剤の効果を増強するに十分な量をいう。患者に使用される場合に、この使用のための有効な量は、疾患、障害または状態の重症度および治療単位(course)、薬歴、患者の健康状態および薬物に対する反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。
本明細書において用いられる場合、用語「修飾された」は、所定のポリペプチドが任意に変更されていることをいう。このような変更は、例えば、ポリペプチドの長さの変更、ポリペプチドのアミノ酸配列の変更、ポリペプチドの化学構造の変更、ポリペプチドの同時翻訳修飾の変更、またはポリペプチドの翻訳後修飾の変更である。「(修飾された)」の形式の用語は、検討されているポリペプチドが任意に修飾されていること、すなわち、検討中のポリペプチドが修飾されていてもよいし、修飾されていなくてもよいことを意味する。
用語「翻訳後修飾」は、天然または非天然のアミノ酸がペプチド鎖に組み込まれた後に、このようなアミノ酸に生じる任意の修飾をいう。この用語には、ほんの一例として、in vivoの同時翻訳修飾、in vitroの同時翻訳修飾(無細胞翻訳系での同時翻訳的な修飾など)、in vivoの翻訳後修飾、およびin vitroの翻訳後修飾が包含される。
予防的な適用において、インスリンポリペプチドを含有している組成物は、特定の疾患、障害または状態にかかりやすいか、またはそうでなければ特定の疾患、障害または状態の危険性がある患者に投与される。このような量は、「予防的に有効な量」であると規定される。この使用において、正確な量は、患者の健康状態および体重などに依存する。このような予防的に有効な量が定石の方法(用量を増加させる臨床試験など)によって決定されることは、当業者に周知である。
用語「保護された」は、「保護基」、すなわちある反応条件下において、化学的に反応性の官能基の反応を防止する部分が存在することをいう。保護される化学的に反応性の基の種類に依存して保護基は変更される。例えば、化学的に反応性の基がアミンまたはヒドラジドである場合、保護基はtert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)から選択される。化学的に反応性の基がチオールである場合、保護基はオルソピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性の基がカルボン酸(ブタン酸またはプロピオン酸など)またはヒドロキシル基である場合に、保護基はベンジル基またはアルキル基(メチル、エチル、またはtert−ブチルなど)であり得る。また、当該技術分野において公知の他の保護基(NvocおよびMeNvocなどの感光性の基が挙げられる)が、本明細書に記載の方法および組成物に使用されてもよいし、本明細書に記載の方法および組成物と一緒に使用されてもよい。また、当該技術分野において公知の他の保護基が、本明細書に記載の方法および組成物に使用されてもよいし、本明細書に記載の方法および組成物と一緒に使用されてもよい。
単なる一例として、ブロッキング基/保護基は、以下の化合物から選択され得る。
Figure 2014169313
他の保護基は、その全体が参考として本明細書に援用されるGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999に記載されている。
治療的な適用において、修飾された非天然アミノ酸のポリペプチドを含有している組成物は、疾患、状態または障害に既に罹患した患者に、この疾患、状態または障害の症状を治癒するか、これらの症状の進行を少なくとも部分的に抑えるに十分な量で投与される。このような量は、「治療的に有効な量」であると規定され、疾患、障害または状態の重症度および治療単位、薬歴、患者の健康状態および薬物に対する反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。このような治療的に有効な量が定石の方法(用量を増加させる臨床試験など)によって決定されることは、当業者に周知である。
用語「治療」は、予防的処置および/または治療的処置のどちらかを表すために使用される。
本明細書に示された天然にコードされていないアミノ酸のポリペプチドは、同位体で標記された化合物を包含していてもよい。同位体で標識された化合物は、1つ以上の原子が、天然に一般的に発見される原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子によって置換されたものである。本化合物に組み込まれ得る同位体としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどである。本明細書に記載の特定の同位体で標識された化合物(例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物)は、組織分布アッセイの基質および/または薬物に有用であり得る。さらに、重水素(つまり2H)などの同位体で置換することによって、in vivoの半減期が増加する、もしくは必要な用量が減少するというように、代謝安定性が向上し、これによって、特定の治療上の利点を得ることができる。
全ての異性体(限定されないが、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびそれらの混合物が挙げられる)が本明細書に記載の組成物の一部としてみなされる。追加のまたはさらなる実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸のポリペプチドは、所望の効果(所望の治療効果が挙げられる)を引き起こすために使用される代謝産物を製造する必要がある生物に投与されると、代謝される。追加の、またはさらなる実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸のポリペプチドの活性のある代謝産物である。
いくつかの状況において、天然にコードされていないアミノ酸のポリペプチドは、互変異性体として存在し得る。さらに、本明細書に記載の天然にコードされていないアミノ酸のポリペプチドは、非溶媒和の形態、および薬学的に受容可能な溶媒(水およびエタノールなど)との溶媒和の形態にて存在し得る。溶媒和の形態も本明細書に開示されているとみなされる。当業者は、本明細書の化合物のいくつかが、数種の互変異性体の形態にて存在し得ることを理解する。このような互変異性体の形態の全ては、本明細書に記載の組成物の一部としてみなされる。
他に示さない限り、当該技術分野の範囲における、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学の方法、生物化学の方法、組換えDNA技術、および薬理学の方法という従来の方法を使用する。
〔詳細な説明〕
<I.序論>
少なくとも1個の天然でないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドが本発明に提供される。本発明のある実施形態において、少なくとも1個の天然でないアミノ酸を有するインスリンポリペプチドは、少なくとも1つの翻訳後修飾を包含している。一実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾は、特定の反応性基に適し、当業者の一人に公知である化学的手法を利用して、第2の反応性基を含んでいる分子を、第1の官能基を含んでいる天然でないアミノ酸の少なくとも1個に結合すること含んでいる。第2の反応性基を含んでいる分子としては、限定されないが、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、アフィニティー標識、フォトアフィニティー標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチド類似体、抗体または抗体フラグメント、金属キレート剤、補助因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属を含有する部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基、光でケージ化する(photocaged)部分、化学線によって励起可能な部分、光で異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、延長された側鎖、炭素に結合される糖、酸化還元活性のある剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体で標識された部分、生物物理学的なプローブ、燐光性の基、化学発光性の基、電子密度の高い基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギーを伝達する剤、生物学的に活性な剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、放射性ヌクレオチド、放射性伝達物質、中性子を捕獲する剤、またはこれらの任意の組合せ、あるいは他の任意の所望の化合物または物質が挙げられる。例えば、第1の反応性基がアルキニル部分(限定されないが、天然でないアミノ酸であるp−プロパルギルオキシフェニルアラニン(プロパルギル基はアセチレン部分と称されることもある。)が挙げられる)であり、第2の反応性基がアジド部分であり、[3+2]の付加環化の化学的手法が利用される。別の例において、第1の反応性基がアジド部分(限定されないが、天然でないアミノ酸であるp−アジド−L−フェニルアラニンが挙げられる)であり、第2の反応性基がアルキニル部分である。本発明の修飾されたインスリンポリペプチドのある実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾を含んでいる少なくとも1個の天然でないアミノ酸(限定されないが、ケト官能基を含有している天然でないアミノ酸が挙げられる)は、この少なくとも1つの翻訳後修飾が糖部分を含んでいる場合、使用される。ある実施形態において、翻訳後修飾は、真核細胞内においてin vivoにて行われるか、または非真核細胞内にて行われる。リンカー、ポリマー、水溶性ポリマー、または他の分子が、分子をポリペプチドに結合させてもよい。分子はポリペプチドを直接的に連結されてもよい。
ある実施形態において、タンパク質は、ある宿主細胞によってin vivoにて行われる翻訳後修飾を少なくとも1つ包含しており、この翻訳後修飾は別の宿主細胞種によって普通は行われないものである。ある実施形態において、タンパク質は、真核細胞によってin vivoにて行われる翻訳後修飾を少なくとも1つ包含しており、この翻訳後修飾は、非真核細胞によって普通は行われないものである。翻訳後修飾の例としては、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテートの付加、リン酸化、および糖脂質が結合する修飾などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチドのグリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテートの付加、リン酸化、または糖脂質が結合する修飾のための天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチドのグリコシル化のための天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチドのグリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテートの付加、リン酸化、または糖脂質が結合する修飾のための天然にコードされたアミノ酸を1個以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このペプチドのグリコシル化のための天然にコードされたアミノ酸を1個以上含んでいる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチドのグリコシル化を増強する天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチドのグリコシル化を増強する欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の異なるアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の異なるアミノ酸におけるグリコシル化を増強する欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の天然にコードされていないアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の天然にコードされたアミノ酸におけるグリコシル化を増強する天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の異なるアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、天然にコードされたアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の天然にコードされたアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、このポリペプチド内の天然にコードされていないアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を1つ以上含んでいる。
一実施形態において、翻訳後修飾は、GlcNAc−アスパラギンの結合を介した、アスパラギンに対するオリゴ糖の結合を含んでいる(限定されないが、オリゴ糖が、(GlcNAc−Man)2−Man−GlcNAc−GlcNAcを含んでいる場合などが挙げられる)。別の実施形態において、翻訳後修飾は、GalNAc−セリンの結合、GalNAc−トレオニンの結合、GlcNAc−セリンの結合、またはGlcNAc−トレオニンの結合を介した、セリンまたはトレオニンに対するオリゴ糖の結合を含んでいる(限定されないが、オリゴ糖としては、Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどが挙げられる)。ある実施形態において、本発明のタンパク質またはポリペプチドは、分泌または局在化の配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、および/またはGST融合などを含んでいてもよい。分泌シグナル配列の例としては、限定されないが、原核生物の分泌シグナル配列、真核生物の分泌シグナル配列、細菌での発現のために5’が最適化された真核生物の分泌シグナル配列、新規の分泌シグナル配列、ペクタートリアーゼの分泌シグナル配列、Omp Aの分泌シグナル配列、およびファージの分泌シグナル配列が挙げられる。分泌シグナル配列の例としては、限定されないが、STII(原核生物)、Fd GIIIおよびM13(ファージ)、Bgl2(酵母)、ならびにトランスポゾンに由来するシグナル配列blaが挙げられる。任意のこのような配列は、ポリペプチドに所望の結果を与えるように修飾されていてもよい(限定されないが、あるシグナル配列を異なるシグナル配列と置換すること、リーダー配列を異なるリーダー配列と置換することなどが挙げられる)。
目的のタンパク質またはポリペプチドは、天然でないアミノ酸を少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または10個、あるいはそれ以上含有し得る。これらの天然でないアミノ酸は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の異なる天然でないアミノ酸を含む、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の異なる部位がタンパク質に存在し得る。ある実施形態において、天然に生じる型のタンパク質に存在する特定のアミノ酸の少なくとも1個(ただし、全てではない)が、天然でないアミノ酸によって置換されている。
本発明は、天然にコードされていないアミノ酸を少なくとも1個含んでいるインスリンに基づく、方法および組成物を提供する。インスリンに天然にコードされていないアミノ酸を少なくとも1個導入することによって、限定されないが、20個の一般的に生じるアミノ酸と反応しないが、1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸と反応すること包含する、特異的な化学反応を包含する抱合の化学作用を活用することができる。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンは、この天然にコードされていないアミノ酸の側鎖を介して、水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール(PEG)など)に連結されている。本発明は、タンパク質をPEG誘導体によって選択的に修飾するための効率の高い方法を提供する。この方法は、遺伝的にコードされていないアミノ酸を、セレクターコドンに応じてタンパク質に選択的に組み込む工程、および、次いで、適切に反応するPEG誘導体によって、これらのアミノ酸を修飾する工程を包含している。遺伝的にコードされていないアミノ酸としては、限定されないが、20個の天然に組み込まれるアミノ酸に見出されない官能基または置換基を含有しているアミノ酸が挙げられる。このような官能基または置換基としては、限定されないが、ケトン、アジドまたはアセチレンの部分が挙げられる。一旦、組み込めば、天然にコードされていないアミノ酸に存在する特定の官能基または置換に適した、当業者に公知の化学的手法を利用することによって、アミノ酸の側鎖を修飾することができる。多種多様な公知の化学的手法が、タンパク質に水溶性ポリマーを組み込むために、本発明において好適に使用される。このような手法としては、限定されないが、例えば限定されないがアセチレンまたはアジドの誘導体のそれぞれとの、ヒュスゲン(Huisgen)[3+2]の付加環化反応が挙げられる(例えば、Padwa, A. in Comprehensive Organic Synthesis, Vol. 4, (1991) Ed. Trost, B. M., Pergamon, Oxford, p. 1069-1109、および Huisgen, R. in 1,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry, (1984) Ed. Padwa, A., Wiley, New York, p. 1-176参照)。
ヒュスゲン [3+2]の付加環化の方法は、求核置換反応というよりもむしろ付加環化に関するものであるので、タンパク質を極めて高い選択性で修飾することができる。反応混合物に触媒量のCu(I)塩を添加することによって、この反応を優れた位置選択性(1,4>1,5)で水性条件において室温にて実施することができる。例えば、Tornoeら, (2002) J. Org. Chem. 67:3057-3064、Rostovtsevら, (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41:2596-2599、およびWO 03/101972参照。[3+2]の付加環化を介して本発明のタンパク質に付加され得る分子としては、適切な官能基または置換基を有する実質的に任意の分子(限定されないが、アジドまたはアセチレンの誘導体が挙げられる)が挙げられる。これらの分子はそれぞれ、アセチレン基を有する天然でないアミノ酸(限定されないが、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンが挙げられる)、またはアジド基を有する天然でないアミノ酸(限定されないが、p−アジド−フェニルアラニンが挙げられる)に付加され得る。
ヒュスゲン [3+2]の付加環化に起因する5員環は、還元性の環境において一般に可逆ではなく、水性の環境において長期間、加水分解に対して安定である。したがって、多種多様な物質の物理学的特性および化学的特性を、本発明の活性のあるPEG誘導体によって、厳しい水性条件下において修飾することができる。さらに重要なことは、アジドおよびアセチレンの部分は互いに特異的であるため(そして、例えば、20個の一般的な遺伝的にコードされたアミノ酸と反応しないため)、タンパク質を極めて高い選択性で1つ以上の特異的な部位にて修飾できることである。
また、本発明は、アセチレンまたはアジドの部分を1つ以上の有し、水溶性であり、加水分解に安定な、PEG誘導体の誘導体および関連する親水性ポリマーを提供する。アセチレン部分を含有している、PEGのポリマーの誘導体は、セレクターコドンに応じてタンパク質に選択的に導入されたアジド部分と高い選択性で結合する。同様に、アジド部分を含有しているPEGのポリマーの誘導体は、セレクターコドンに応じてタンパク質に選択的に導入されたアセチレン部分と高い選択性で結合する。
より具体的には、アジド部分は、限定されないが、アルキルアジド、アリールアジド、およびこれらのアジドの誘導体を含んでいる。アルキルアジドおよびアリールアジドの誘導体は、アセチレンに対する特異的な反応性が維持される限り、他の置換基を包含してもよい。アセチレン部分は、アルキルアセチレン、アリールアセチレン、およびこれらの誘導体を含んでいる。アルキルアセチレンおよびアリールアセチレンの誘導体は、アジドに対する特異的な反応性が維持される限り、他の置換基を包含してもよい。
本発明は、多種多様な官能基、置換基、または部分を有する物質と他の物質との抱合物を提供する。他の物質としては、限定されないが、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、アフィニティー標識、フォトアフィニティー標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチド類似体、抗体または抗体フラグメント、金属キレート剤、補助因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属を含有する部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基、光でケージ化する部分、化学線によって励起可能な部分、光で異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、延長された側鎖、炭素に結合される糖、酸化還元活性のある剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体で標識された部分、生物物理学的なプローブ、燐光性の基、化学発光性の基、電子密度の高い基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギーを伝達する剤、生物学的に活性な剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、放射性ヌクレオチド、放射性伝達物質、中性子を捕獲する剤、またはこれらの任意の組合せ、あるいは他の任意の所望の化合物または物質が挙げられる。また、本発明は、アジドまたはアセチレンの部分を有する物質と、対応するアセチレンまたはアジドの部分を有する、PEGのポリマーの誘導体との抱合物を包含する。例えば、アジド部分を含有するPEGのポリマーは、アセチレン基を有する遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有するタンパク質内の所定の位置において生物学的に活性な分子に連結され得る。PEGと生物学的に活性な分子とを連結する結合としては、限定されないが、ヒュスゲン [3+2]の付加環化の産物が挙げられる。
PEGを用いて生体材料の表面を修飾できることは当該技術分野において十分に確立されている(例えば、参考として本明細書に援用される米国特許第6,610,281号明細書; Mehvar, R., J. Pharm Pharm Sci., 3(1):125-136 (2000)参照)。また、本発明は、反応性のアジドまたはアセチレンの部位を1つ以上有する表面と、ヒュスゲン [3+2]の付加環化の結合を介して、この表面に結合された本発明のアジドまたはアセチレンを含有するポリマーの1つ以上と、を含んでいる生体材料を包含する。また、生体材料および他の物質は、その後の反応に利用可能なアジドまたはアセチレンの部分を残す、アジドまたはアセチレンの結合以外の結合(カルボン酸、アミン、アルコール、またはチオールの部分を含む結合など)を介して、アジドまたはアセチレンで活性化されたポリマーの誘導体に結合されてもよい。
本発明は、本発明のアジドを含有するポリマーおよびアセチレンを含有するポリマー、を合成する方法を包含する。アジドを含有するPEG誘導体の場合、アジドはポリマーの炭素原子に直接的に結合されていてもよい。また、アジドを含有するPEG誘導体は、得られるポリマーがその末端においてアジド部分を有するように、アジド部分を一方の末端に有する連結剤を、従来の活性化されたポリマーに連結することによって調製されてもよい。アセチレンを含有するPEG誘導体の場合、アセチレンはポリマーの炭素原子に直接的に結合されていてもよい。また、アセチレンを含有するPEG誘導体は、得られるポリマーがその末端においてアセチレン部分を有するように、アセチレン部分を一方の末端に有する連結剤を、従来の活性化されたポリマーに連結することによって調製されてもよい。
より具体的には、アジドを含有するPEG誘導体の場合、活性なヒドロキシル部分を少なくとも1つ有する水溶性ポリマーは、より反応性の部分(メシレート、トレシレート(tresylate)、トシレート、またはハロゲンの脱離基など)を有する置換されたポリマーを生成する反応を経験する。スルホニルの酸ハロゲン化物、ハロゲン原子および他の脱離基を含有するPEG誘導体の調製および使用は、当業者に公知である。次いで、得られた置換されたポリマーは、ポリマーの末端においてより反応性の部分をアジド部分と置換するような反応を経験する。また、活性のある求核性部分または求電子性部分を少なくとも1つ有する水溶性ポリマーは、PEGポリマーと連結剤との間に共有結合を形成し、そしてアジド部分がポリマーの末端に配置されるように、一方の末端においてアジドを有する連結剤との反応を経験する。求核性部分および求電子性部分(アミン、チオール、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコール、カルボキシレート、アルデヒド、ケトン、およびチオエステルなどが挙げられる)は、当業者に公知である。
より具体的には、アセチレンを含有するPEG誘導体の場合、活性なヒドロキシル部分を少なくとも1つ有する水溶性ポリマーは、アセチレン部分を含有する前駆体からハロゲンまたは他の活性化された脱離基を移動させる反応を経験する。また、活性のある求核性部分または求電子性部分を少なくとも1つ有する水溶性ポリマーは、PEGポリマーと連結剤との間に共有結合を形成し、そしてアセチレン部分がポリマーの末端に配置されるように、一方の末端においてアセチレンを有する連結剤との反応を経験する。有機合成ならびにPEG誘導体の調製および使用に関し、ハロゲン部分、活性化された脱離基、求核性部分および求電子性部分の使用は、当業者に十分に確立されている。
また、本発明は、他の物質を修飾されたタンパク質に付加する、タンパク質の選択的な修飾方法を提供する。他の物質としては、限定されないが、水溶性ポリマー(アジドまたはアセチレンの部分を含有するPEGおよびPEG誘導体など)が挙げられる。アジドを含有するするPEG誘導体、ならびにアセチレンの部分を含有するPEG誘導体は、生体適合性、安定性、溶解度、および免疫原性の欠乏が重要である場合、表面および分子の特性を修飾するために使用され得る一方、同時に、当該技術分野において以前から知られていたPEG誘導体をタンパク質に結合させる手段よりも選択的な手段を提供する。
<本発明と一緒に使用するための一般的な核酸の組換え方法>
本発明の数多の実施形態において、目的のインスリンポリペプチドをコードする核酸は、単離され、クローン化され、そして多くの場合、組換え方法を用いて変更される。このような実施形態は、例えば限定されないが、タンパク質発現のために、あるいはバリアント、誘導体、発現カセット、またはインスリンポリペプチドに由来する他の配列の作製の間に、使用される。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列は、異種プロモーターに作働可能に連結される。
天然にコードされていないアミノ酸を含むインスリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、親のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて合成し、次いで、関連のあるアミノ酸残基を導入(すなわち、組込みまたは置換)または除去(すなわち、欠失または置換)するためにこのヌクレオチド配列を変更する。親のポリペプチドとしては、限定されないが、配列番号1および配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。ヌクレオチド配列は従来の方法に従った部位特異的突然変異誘発法によって好都合に修飾され得る。また、ヌクレオチド配列は、化学的な合成によって調製され得る。化学的な合成としては、限定されないが、オリゴヌクレオチド合成機を用いる化学的な合成が挙げられる。オリゴヌクレオチドは所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計される。オリゴヌクレオチドの設計の際には、組換えポリペプチドが産生される宿主細胞に有利に働くコドンを選択することが好ましい。
本発明は、組み換え遺伝学の分野における定石の技術を利用する。本発明に使用する一般的な方法を開示する基本的なテキストの例としては、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001)、Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubelら, eds., 1994))が挙げられる。
分子生物学的技術について説明する一般的なテキストとしては、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger)、Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989 (“Sambrook”)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら, eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (supplemented through 1999) (“Ausubel”))が挙げられる。これらのテキストは、突然変異誘発法、ベクターおよびプロモーターの使用、ならびに多くの他の関連する話題(限定されないが、天然でないアミノ酸、直交性のtRNA、直交性のシンテターゼ、およびこれらの対を包含するタンパク質の産生のためのセレクターコドンを含む遺伝子またはポリヌクレオチドの生成が挙げられる)について述べている。
種々の突然変異誘発法が、限定されないが、新規なシンテターゼまたはtRNAを製造すること、tRNA分子を突然変異させること、シンテターゼをコードするポリヌクレオチドを突然変異させること、tRNAのライブラリーを製造すること、シンテターゼのライブラリーを製造すること、セレクターコドンを製造すること、目的のタンパク質またはポリペプチドに天然でないアミノ酸をコードするセレクターコドンを挿入することというような、様々な目的のために本発明に使用される。突然変異誘発法としては、限定されないが、部位特異的突然変異誘発法、ランダム点突然変異誘発法、相同組換え、DNAシャッフリングもしくは他の反復的な突然変異誘発法、キメラのコンストラクション、ウラシルを含む鋳型を用いた突然変異誘発法、オリゴヌクレオチドの定方向突然変異誘発法、ホスホロチオエートによって修飾されたDNAの突然変異誘発法、もしくはギャップドデュプレックスDNA(gapped duplex DNA)を用いた突然変異誘発法など、またはPCTに媒介される突然変異誘発法、あるいはこれらの任意の組合せが挙げられる。適切なさらなる方法としては、ポイントミスマッチ修復、修復欠損のある宿主株を用いた突然変異誘発法、制限選択および制限精製、欠失突然変異誘発法、遺伝子を全体的に合成することによる突然変異誘発法、および二本鎖の切断修復などが挙げられる。また、例えば限定されないが、キメラのコンストラクトに関与する突然変異誘発法も、本発明に包含される。一実施形態において、突然変異誘発法は、天然に生じる分子、または変更もしくは突然変異された天然に生じる分子の公知の情報(限定されないが、配列、配列比較、物理学的な性質、二次構造、三次構造、四次構造、または結晶構造などが挙げられる)によって誘導され得る。
本明細書に挙げられるテキストおよび例を用いて、これらの手法が説明されている。以下の刊行物およびその中で引用された参考文献において、さらなる情報が見つけられる:Ling ら, Approaches to DNA mutagenesis: an overview, Anal Biochem. 254(2): 157-178 (1997); Dale ら, Oligonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method, Methods Mol. Biol. 57:369-374 (1996); Smith, In vitro mutagenesis, Ann. Rev. Genet. 19:423-462 (1985); Botstein & Shortle, Strategies and applications of in vitro mutagenesis, Science 229:1193-1201 (1985); Carter, Site-directed mutagenesis, Biochem. J. 237:1-7 (1986); Kunkel, The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis, in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, D.M.J. eds., Springer Verlag, Berlin) (1987); Kunkel, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492 (1985); Kunkel ら, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Methods in Enzymol. 154, 367-382 (1987); Bass ら, Mutant Trp repressors with new DNA-binding specificities, Science 242:240-245 (1988); Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis using M13-derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment, Nucleic Acids Res. 10:6487-6500 (1982); Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors, Methods in Enzymol. 100:468-500 (1983); Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis: a simple method using two oligonucleotide primers and a single-stranded DNA template, Methods in Enzymol. 154:329-350 (1987); Taylor ら, The use of phosphorothioate-modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8749-8764 (1985); Taylorら, The rapid generation of oligonucleotide-directed mutations at high frequency using phosphorothioate-modified DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8765-8785 (1985); Nakamaye & Eckstein, Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 14: 9679-9698 (1986); Sayersら, 5’-3’ Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 16:791-802 (1988); Sayersら, Strand specific cleavage of phosphorothioate-containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide, (1988) Nucl. Acids Res. 16: 803-814; Kramerら, The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directedmutation construction, Nucl. Acids Res. 12: 9441-9456 (1984); Kramer & Fritz Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA, Methods in Enzymol. 154:350-367 (1987); Kramerら, Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed construction of mutations, Nucl. Acids Res. 16: 7207 (1988); Fritzら, Oligonucleotide-directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro, Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999 (1988); Kramerら, Different base/basemismatches are corrected with different efficiencies by the methyl-directed DNAmismatch-repair system of E. coli, Cell 38:879-887 (1984); Carterら, Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors, Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443 (1985); Carter, Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors, Methods in Enzymol. 154: 382-403 (1987); Eghtedarzadeh & Henikoff, Use of oligonucleotides to generate large deletions, Nucl. Acids Res. 14: 5115 (1986); Wellsら, Importance of hydrogen-bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin, Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 317: 415-423 (1986); Nambiarら, Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein, Science 223: 1299-1301 (1984); Sakmar and Khorana, Total synthesis and expression of a gene for the alpha-subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide-binding protein (transducin), Nucl. Acids Res. 14: 6361-6372 (1988); Wellsら, Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites, Gene 34:315-323 (1985); Grundstoumら, Oligonucleotide-directedmutagenesis by microscale ‘shot-gun’ gene synthesis, Nucl. Acids Res. 13: 3305-3316 (1985); Mandecki, Oligonucleotide-directed double-strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site-specific mutagenesis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177-7181 (1986); Arnold, Protein engineering for unusual environments, Current Opinion in Biotechnology 4:450-455 (1993); Sieber,ら, Nature Biotechnology, 19:456-460 (2001); W. P. C. Stemmer, Nature 370, 389-91 (1994); and, I. A. Lorimer, I. Pastan, Nucleic Acids Res. 23, 3067-8 (1995)。上述した方法の多くについてのさらなる詳細は、Methods in Enzymology Volume 154(多様な突然変異誘発法方法におけるトラブルシューティングの問題についての有用な制御も説明している)において見つけることができる。
例えば本発明の突然変異誘発法(例えば、シンテターゼのライブラリーを突然変異させること、またはtRNAを変更すること)に使用するための、オリゴヌクレオチドは、典型的に、例えば、Needham-VanDevanterら, Nucleic Acids Res., 12:6159-6168 (1984)に記載されたような自動合成機を用いて、BeaucageおよびCaruthersによってTetrahedron Letts. 22(20):1859-1862, (1981)に記載された固相ホスホラミダイトトリエステル法に従って化学的に合成される。
また、本発明は、直交性のtRNA/RSの対を介して天然でないアミノ酸のin vivoにおいて組み込むための、真核生物の宿主細胞、非真核生物の宿主細胞、および生物に関する。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド、または本発明のポリヌクレオチドを包含するコンストラクトによって遺伝的に操作される(限定されないが、形質転換されること、形質導入されること、トランスフェクションされることが挙げられる)。コンストラクトとしては、限定されないが、本発明のベクターが挙げられ、例えば、クローニングベクターであってもよいし、発現ベクターであってもよい。例えば、誘導体化される直交性のtRNA、直交性のシンテターゼ、およびタンパク質のためのコード領域は、所望の宿主細胞において機能する、遺伝子の発現を制御する要素に作働可能に連結される。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、裸のポリヌクレオチド、または抱合されたポリヌクレオチドの形態であり得る。ベクターは、標準的な方法(エレクトロポレーション(Frommら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 5824 (1985) )、ウイルスベクターによる感染、および/あるいは小さいビーズもしくは粒子のマトリクス内に核酸が含まれるか、またはその表面に核酸が配置された、小さい粒子による高速弾丸侵入(Kleinら, Nature 327, 70-73 (1987) などが挙げられる)によって細胞および/または微生物に導入される。In vitroにおいて核酸を細胞内へ移動させるに適した技術としては、リポソーム、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などの使用が挙げられる。in vivoにおいて遺伝子を移動する技術としては、限定されないが、ウイルスベクター(典型的にはレトロウイルスベクター)を用いたトランスフェクション、およびウイルスのコートタンパク質−リポソームを媒介したトランスフェクションが挙げられる(Dzauら, Trends in Biotechnology 11:205-210 (1993))。いくつかの状況において、目的の細胞を標的化する剤(細胞表面の膜タンパク質または目的の細胞に特異的な抗体、あるいは目的の細胞上の受容体に対するリガンドなど)を、核酸の供給源に与えることが望ましいことがある。リポソームを採用する場合、標的化するためにおよび/または取込みを促進するために、エンドサイトーシスと関連する細胞表面の膜タンパク質に結合するタンパク質を用いてもよく、このようなタンパク質としては、例えば、特定の細胞種に対する指向性を有するキャプシドタンパク質もしくはそのフラグメント、循環中に内部に取り入れられるタンパク質に対する抗体、細胞内に局在し、細胞内の半減期を増加させるタンパク質が挙げられる。
遺伝子操作された宿主細胞は、例えば、スクリーニングの工程、プロモーターの活性化、または形質転換体の選抜のような行為に適切であるように改変された従来の栄養培地にて培養され得る。これらの細胞は、必要に応じて、トランスジェニック生物内に培養され得る。限定されないが(例えばその後の核酸の単離のための)細胞の単離および培養を包含する、他の有用な参考文献としては、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley- Liss, New Yorkおよびこの文献において引用された参考文献、Payneら (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY、Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture、Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York)、およびAtlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FLが挙げられる。
目的の核酸を細胞内に導入するいくつかの周知の方法が利用可能であり、これらの方法の何れかを本発明に使用することができる。このような方法としては、DNAを含有する細菌のプロトプラストと受容細胞との融合、エレクトロポレーション、プロジェクタイルボンバードメント(projectile bombardment)、およびウイルスベクターによる感染(以下にてさらに検討する)などが挙げられる。細菌の細胞を、用いて、本発明のDNAコンストラクトを含有するプラスミドの数を増幅させることができる。細菌を対数増殖期まで増殖させ、細菌内のプラスミドを当該技術分野において公知の種々の方法によって単離することができる(例えばSambrook参照)。さらに、細菌からプラスミドを精製するためのキットが市販されている(例えば、Pharmacia Biotechから入手できるEasyPrepTMおよびFlexiPrepTM、Stratageneから入手できるStrataCleanTM、ならびにQiagenから入手できるQIAprepTM参照)。次いで、単離され精製されたプラスミドは、他のプラスミドを製造するためにさらに操作され、細胞にトランスフェクションするために使用されるか、または生物に感染させるための関連したベクターに組み込まれる。典型的なベクターは、特定の目的核酸の発現の調節に有用な、転写ターミネータ、翻訳ターミネータ、転写開始配列、翻訳開始配列、およびプロモーターを含有している。ベクターは、必要に応じて、包括的な発現カセットを含んでいる。このカセットは、少なくとも1つの、独立したターミネータ配列、真核生物もしくは原核生物またはそれらの両方においてカセットの複製を可能にする配列(限定されないが、シャトルベクターが挙げられる)、および原核生物のシステムおよび真核生物のシステムの両方のための選択マーカーを含んでいる。ベクターは、原核生物、真核生物、またはそれらの両方における複製および組込みに適している。Gillam & Smith, Gene 8:81 (1979)、Roberts,ら, Nature, 328:731 (1987)、Schneider, E.,ら, Protein Expr. Purif. 6(1):10-14 (1995)、Ausubel, Sambrook, Berger参照(これらは全て上述した)。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージのカタログは、例えばATCCによって提供されている。例えば、ATCCから発行されたBacteria and Bacteriophage (1992) Ghernaら(eds)というATCCのカタログが挙げられる。また、スクリーニング、クローニング、および分子生物学の他の局面についてのさらなる基本的な手法、ならびに基礎を成す理論的考察は、Watsonら (1992) Recombinant DNA SecondEdition Scientific American Books, NYに見られる。さらに、本質的に任意の核酸(および実質的に任意の標識された核酸)は(標準のものであろうと標準外のものであろうと)、種々の商業的供給業者から、特別に注文して得られたものであってもよいし、標準的に注文して得られたものであってもよい。商業的供給業者としては、例えば、the Midland Certified Reagent Company (Midland, TX)(ワールドワイドウェブのmcrc.comにて利用できる)、The Great American Gene Company (Ramona, CA)(ワールドワイドウェブのgenco.comにて利用できる)、ExpressGen Inc. (Chicago, IL)(ワールドワイドウェブのexpressgen.comにて利用できる)、Operon Technologies Inc. (Alameda, CA)などが挙げられる
<セレクターコドン>
本発明のセレクターコドンは、タンパク質の生合成機構の遺伝学的なコドンの枠組みを拡張する。例えば、セレクターコドンとしては、限定されないが、固有の3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えば、終止コドン(限定されないが、アンバーコドン(UAG)、オーカーコドン、またはオパールコドン(UGA)が挙げられる)、天然でないコドン、4塩基以上のコドン、または希少なコドンなどが挙げられる。所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数は広範である(限定されないが、インスリンポリペプチドの少なくとも一部をコードする単一のポリヌクレオチドにおいて1個以上、2個以上、3個以上、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上が挙げられる)ことは当業者に容易に明白である。また、所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数は広範であり、限定されないが、インスリンポリペプチドの少なくとも一部をコードするA鎖およびB鎖のポリヌクレオチド配列において見出される総数は、1個以上、2個以上、3個以上、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上である。
一実施形態において、本方法は、in vivoにおいて1つ以上の天然でないアミノ酸を組み込むための終止コドンであるセレクターコドンの使用を含んでいる。例えば、終止コドン(限定されないが、UAGが挙げられる)を認識するO−tRNAが製造され、このO−tRNAはO−RSによって所望の天然でないアミノ酸でアミノアシル化される。このO−tRNAは、天然に生じる宿主のアミノアシル−tRNAシンテターゼによって認識されない。従来の部位特異的突然変異誘発法は、終止コドン(限定されないが、TAGが挙げられる)を、目的のポリペプチドにおける目的の部位に導入するために使用することができる。例えば、Sayers, J.R.,ら (1988), 5’-3’ Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis. Nucleic Acids Res, 16:791-802参照。O−RS、O−tRNA、ならびに目的のポリペプチドをコードする核酸がin
vivoにおいて組み合わせられると、天然でないアミノ酸はUAGコドンに応じて組み込まれ、指定された位置に天然でないアミノ酸を含有しているポリペプチドが得られる。
in vivoにおける天然でないアミノ酸の組込みは、真核生物の宿主細胞を顕著に乱すことなくなされ得る。例えば、UAGコドンに関する抑圧効率は、O−tRNAと真核生物の放出因子との間の競合に依存するので、抑圧効率は、例えば限定されないがO−tRNAおよび/またはサプレッサーtRNAの発現レベルの増加によって調節され得る。なお、上記O−tRNAとしては、限定されないが、アンバーサプレッサーtRNAが挙げられる。また、上記放出因子は、終止コドンと結合し、成長しているペプチドのリボソームからの放出を開始するものであり、限定されないが、eRFが挙げられる。
また、天然でないアミノ酸は、希少なコドンによってコードされ得る。例えば、in vitroでのタンパク質の合成反応においてアルギニンの濃度が低減した場合、希少なアルギニンコドンであるAGGは、アラニンでアシル化された合成tRNAによってAlaを挿入するに有効であることが証明されている。例えば、Maら, Biochemistry, 32:7939 (1993)参照。この場合、合成tRNAは、Escherichia coliに少数の種として存在する天然に生じるtRNAArgと競合する。いくつかの生物は三つ組の塩基を全て使用しない。Micrococcus luteusにおいて割り当てられていないコドンAGAは、in vitroの転写/翻訳の抽出物においてアミノ酸を挿入するために利用されている。例えば、Kowal and Oliver, Nucl. Acid. Res., 25:4685 (1997)参照。本発明の成分は、in vivoにてこれらの希少なコドンを使用するために作製され得る。
また、セレクターコドンは、延長されたコドン(限定されないが、4塩基以上のコドン(例えば、4塩基、5塩基、6塩基、またはそれ以上のコドン)が挙げられる)を含んでいる。4塩基のコドンの例としては、限定されないが、AGGA、CUAG、UAGA、およびCCCUなどが挙げられる。5塩基のコドンの例としては、限定されないが、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、およびUAGGCなどが挙げられる。本発明の特徴には、フレームシフト抑圧に基づく、延長されたコドンの使用を包含する。4塩基以上のコドンは、限定されないが例えば、同じタンパク質に1つまたは複数の天然でないアミノ酸を挿入することができる。例えば、アンチコドンループ(少なくとも8〜10ntのアンチコドンループなど)を有する突然変異されたO−tRNA(限定されないが、特別なフレームシフトサプレッサーtRNAが挙げられる)の存在下において、4塩基以上のコドンが単一のアミノ酸として読まれる。他の実施形態では、アンチコドンループは、限定されないが例えば、少なくとも4塩基のコドン、少なくとも5塩基のコドン、または少なくとも6塩基のコドン、またはそれ以上を解読することができる。256通りの4塩基のコドンが可能なので、4塩基以上のコドンを用いて、複数の天然でないアミノ酸を同一の細胞にコードすることができる。Andersonら, (2002) Exploringthe Limits of Codon and Anticodon Size, Chemistry and Biology, 9:237-244、Magliery, (2001) Expanding the Genetic Code: Selection of Efficient Suppressors of Four-base Codons and Identification of “Shifty”Four-base Codons with a LibraryApproach in Escherichia coli, J. Mol. Biol. 307: 755-769参照。
例えば、4塩基のコドンは、in vitroの生合成方法を用いたタンパク質への天然でないアミノ酸の組込みに使用されている。例えば、Maら, (1993) Biochemistry, 32:7939、およびHohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:34参照。CGGGおよびAGGUは、化学的にアシル化された2つのフレームシフトサプレッサーtRNAによって、in vitroで、ストレプトアビジンに2−ナフチルアラニンとリジンのNBD誘導体とを同時に組み込むために使用された。例えば、Hohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:12194参照。Moorらは、in vitroの研究にて、UAGNコドンを抑圧するというNCUAのアンチコドンを有するtRNALeu誘導体の能力を調べた(NはU、A、GまたはCであり得る。)。そして、UCUAのアンチコドンを有するtRNALeuによって、4塩基のUAGAが、0または−1フレームにおける解読がほとんどなく、13〜26%の効率で解読され得ることを発見した。Mooreら, (2000) J. Mol. Biol., 298:195参照。一実施形態において、希少なコドンまたはナンセンスコドンに基づく延長されたコドンは、本発明に使用されることができ、他の望ましくない部位におけるミスセンスのリードスルーと、フレームシフト抑圧とを減少することができる。
また、所定の系に関し、内因性の系が天然の塩基のコドンを使用しない(または稀にしか使用しない)場合、セレクターコドンは天然の3塩基コドンの1つを含むことができる。この例としては、天然の3塩基のコドンを認識するtRNAが欠如している系、および/または3塩基のコドンが希少なコドンである系が挙げられる。
セレクターコドンは、天然でない塩基対を必要に応じて包含する。これらの天然でない塩基の対は、存在する遺伝子アルファベットをさらに拡張する。塩基対を1つ追加することによって、3塩基のコドンの数が64から125まで増加する。第3の塩基対の性質としては、安定かつ選択的な塩基対の形成、ポリメラーゼによる高い忠実度を伴ったDNAへの効率的な酵素的組込み、および新生の天然でない塩基対の合成後における効率的な連続するプライマー伸張が挙げられる。本方法および本組成物に適合し得る天然でない塩基対は、例えば、Hirao,ら, (2002) An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein, Nature Biotechnology, 20:177-182に記載されている。また、Wu, Y.,ら, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:14626-14630も参照のこと。他の関連する刊行物を以下に示す。
in vivoにおける使用に関して、天然でないヌクレオシドは膜透過性であり、かつリン酸化されて対応する3リン酸塩を形成する。また、増加した遺伝情報は安定であり、かつ細胞性の酵素によって破壊されない。Benner他は、これまでの試みで、基準のWatson−Crickの対における水素結合の様式とは異なる水素結合の様式を巧く活用した(もっとも注目すべき例はイソ−C:イソ−Gの対である)。例えば、Switzerら, (1989) J. Am. Chem. Soc., 111:8322、およびPiccirilliら, (1990) Nature, 343:33; Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602参照。これらの塩基は、通常、ある程度に天然塩基と誤対合し、かつ酵素的に複製され得ない。Koolおよび共同研究者は、塩基間の疎水性パッキング相互作用が水素結合と入れ替わって、塩基対の形成を生じることができることを証明した。Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602、およびGuckian and Kool, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 2825参照。上述した要件のすべてを満たす天然でない塩基対を開発するために、Schultz, Romesbergおよび共同研究者は、一連の天然でない疎水性塩基を体系的に合成し、研究している。PICS:PICSという自己の対は、天然塩基対よりも安定であることが見出されており、かつEscherichia coliのDNAポリメラーゼ Iのクレノーフラグメント(KF)によって、DNAに効率的に組み込まれ得る。例えば、McMinnら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:11585-6、およびOgawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:3274参照。3MN:3MNという自己の対は、生物学的に機能するに十分な効率性および選択性を伴って、KFによって合成され得る。例えば、Ogawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:8803参照。しかし、両方の塩基は、さらなる複製に対して読み終りコドン(chain terminator)として作用する。近年、PICSの自己の対を複製するために使用され得る突然変異体のDNAポリメラーゼが進化されている。また、7AIの自己の対は複製され得る。例えば、Taeら, (2001) J. Am. Chem. Soc., 123:7439参照。また、Cu(II)との結合によって安定な対を形成する新規な金属塩基対であるDipic:Pyも開発されている。Meggersら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:10714参照。延長されたコドンおよび天然でないコドンは、天然コドンに対して本来的に直交性であるので、本発明の方法は、この性質を活かして、延長されたコドンおよび天然でないコドンのための直交性のtRNAを作製することができる。
また、翻訳を迂回する系が、所望のポリペプチドに天然でないアミノ酸を組み込むために使用され得る。翻訳を迂回する系において、大きな配列が遺伝子に組み込まれるが、この配列はタンパク質に翻訳されない。この配列は、リボソームにこの配列を跳び越させ、かつ挿入部位の下流で翻訳を再開させる合図として機能する構造を含有している。
ある実施形態において、本発明の方法および/または組成物における目的のタンパク質またはポリペプチド(あるいはこれらの一部)は、核酸によってコードされている。通常、核酸は、少なくとも1個のセレクターコドン、少なくとも2個のセレクターコドン、少なくとも3個のセレクターコドン、少なくとも4個のセレクターコドン、少なくとも5個のセレクターコドン、少なくとも6個のセレクターコドン、少なくとも7個のセレクターコドン、少なくとも8個のセレクターコドン、少なくとも9個のセレクターコドン、10個またはそれ以上のセレクターコドンを含んでいる。
目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子は、例えば、天然でないアミノ酸を組み込むためのセレクターコドンを1個以上含めるために、当業者の一人に公知の方法および本明細書に記載の方法を用いて、突然変異誘発され得る。例えば、目的のタンパク質のための核酸は、1個以上の天然でないアミノ酸を組み込むことができるように、1以上のセレクターコドンを含むように突然変異誘発される。本発明は、天然でないアミノ酸などを少なくとも1個含む任意のタンパク質の、任意のバリアント(限定されないが、突然変異体またはバージョンが挙げられる)を包含する。同様に、本発明は、対応する核酸(すなわち、1個以上の天然でないアミノ酸をコードする、セレクターコドンを1個以上有する核酸)を包含する。
目的のタンパク質(例えばインスリンポリペプチド)をコードする核酸分子は、ポリペプチドの任意の所望の位置にシステインを導入するために容易に突然変異されてもよい。システインは、反応性の分子、水溶性ポリマー、タンパク質、または多種多様な他の分子を、目的のタンパク質に導入するために、広く使用される。ポリペプチドの所望の位置にシステインを組み込むために好適な方法は、参考として本明細書に援用されるU.S. Patent No. 6,608,183に記載されたような方法、および標準の突然変異誘発技術である。
<天然にコードされていないアミノ酸>
非常に広範な天然にコードされていないアミノ酸が、本発明における使用に好適である。任意の多様な天然にコードされていないアミノ酸が、インスリンポリペプチドに導入され得る。一般的に、導入された天然にコードされていないアミノ酸は、一般的な20個の遺伝的にコードされるアミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)に対して化学的に、実質的に不活性である。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、一般的な20個のアミノ酸に見られない官能基と効率的かつ選択的に反応して安定な抱合物を形成する側鎖官能基(アジド、ケトン、アルデヒドおよびアミノオキシ基が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。例えば、アジド官能基を含む天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、ポリマー(ポリ(エチレングリコール)が挙げられるが、これに限定されない)と反応してか、または代替可能に、アルキン部分を含有する第2のポリペプチドと反応して、ヒュスゲン[3+2]付加環化産物を形成するためのアジドおよびアルキン官能基の選択的な反応によって生じる安定な抱合物を形成し得る。
α−アミノ酸の一般的な構造は、以下の式Iのように示される。
Figure 2014169313
天然にコードされていないアミノ酸は、典型的に、上述の式を有する構造のいずれかであり(ここで、R基は20個の天然アミノ酸に使用される官能基以外の任意の置換基である)、本発明における使用にとって好適であり得る。本発明の天然にコードされていないアミノ酸が、側鎖の構造においてのみ天然アミノ酸と典型的に異なるので、天然にコードされていないアミノ酸は、それらが天然に存在するポリペプチドにおいて形成される同じ様式において、他のアミノ酸(天然または天然にコードされていないアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない)とアミド結合を形成する。
しかし、天然にコードされていないアミノ酸は、これらを天然のアミノ酸と区別する側鎖基を有する。例えば、Rは、アルキル−、アリール−、アシル−、ケト−、アジド−、ヒドロキシル−、ヒドラジン、シアノ−、ハロ−、ヒドラジド−、アルケニル、アルキル、エーテル、チオール、セレノ−、スルフォニル−、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、ヘテロ環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、もしくはアミノ基、またはこれらの組合せを、任意に含んでいる。本発明における使用に好適であり得る他の所定の天然に生じないアミノ酸としては、光で活性化される架橋を含んでいるアミノ酸、スピン標識されたアミノ酸、蛍光アミノ酸、金属に結合するアミノ酸、金属を含有するアミノ酸、放射性アミノ酸、新規官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有的または非共有的に相互作用するアミノ酸、光でケージ化するおよび/または光で異性化可能なアミノ酸、ビオチンまたはビオチン誘導体を含むアミノ酸、糖で置換されたセリンといったグリコシル化されたアミノ酸、他の炭水化物によって修飾されたアミノ酸、ケトを含有するアミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含んでいるアミノ酸、重原子で置換されたアミノ酸、化学的に切断可能なおよび/または光切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比べて延長された側鎖(ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(約5個または約10個を越える炭素が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)を有するアミノ酸、炭素に結合される糖を含有するアミノ酸、酸化還元的に活性なアミノ酸、アミノチオ酸を含有するアミノ酸、ならびに1つ以上の毒性部分を含んでいるアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明における使用に好適であり得、水溶性ポリマーとの反応に有用である例示的な天然にコードされていないアミノ酸としては、カルボニル反応性基、アミノオキシ反応性基、ヒドラジン反応性基、ヒドラジド反応性基、セミカルバジド反応性基、アジド反応性基およびアルキン反応性基を有するアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、糖部分を含んでいる。そのようなアミノ酸の例としては、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−ガラクトサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−トレオニン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−アスパラギンおよびO−マンノサミニル−L−セリンが挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例としては、アミノ酸と糖との間に天然に存在するN型またはO型の結合が、通常は天然に見られない共有結合(アルケン、オキシム、チオエーテルおよびアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない)によって置換されている場合の例が挙げられるが、これらに限定されない。また、そのようなアミノ酸の例としては、2−デオキシ−グルコース、および2−デオキシガラクトースといった、天然に存在するタンパク質に通常は見られない糖が挙げられる。
本明細書に規定される天然にコードされていないアミノ酸の多くは、市販されている(例えば、シグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)(セントルイス(St.Louis)、MO、USA)、ノババイオケム(Novabiochem)(EMD Biosciences部門、ダームシュタット(Darmstadt)、ドイツ)、またはペプテック(Peptech)(バーリントン(Burlington)、MA、USA)から得られる)。市販されていない天然にコードされていないアミノ酸は、本明細書に記載のようにか、または当業者にとって公知の標準的な方法を用いて任意に合成される。有機合成技術に関しては、例えば、Organic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.);Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York);およびAdvanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts A and B, 1990, Plenum Press, New York)を参照のこと。また、参考として本明細書に援用される、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書を参照のこと。また、新規な側鎖を含有する天然でないアミノ酸に加えて、本発明における使用に好適であり得る天然でないアミノ酸は、式IIおよびIII:
Figure 2014169313
の、修飾された骨格構造(これらの構造が挙げられるが、これらに限定されない)を任意に含んでいる。ここで、Zは、典型的にOH、NH、SH、NH−R’、またはS−R’であり;同じかまたは異なり得るXおよびYは、典型的にSまたはOであり、任意に同じであるか、または異なるRおよびR’は、水素だけでなく式Iを有する天然でないアミノ酸に関して上述したR基にとっての置換基の同じ一覧から典型的に選択される。例えば、本発明の天然でないアミノ酸は、式IIおよびIIIによって示されるようなアミノ基またはカルボキシル基において置換基を任意に含んでいる。この種の天然でないアミノ酸としては、一般的な20個の天然アミノ酸または天然でないアミノ酸に対応する側鎖を有する(例として挙げられるが、これらに限定されない)、α−ヒドロキシ酸、α−チオ酸、α−アミノチオカルボキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、α−炭素における置換基としては、D−グルタメート、D−アラニン、D−メチル−O−チロシン、およびアミノブチル酸などといったL、D、またはα−α−2置換アミノ酸が任意に挙げられるが、これらに限定されない。他の構造的な代替物としては、プロリン類似体ならびに3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環および9員環のプロリン類似体といった環状アミノ酸、これらと同様に置換β−アラニンおよびγ−アミノブチル酸といったβおよびγ−アミノ酸が挙げられる。
多くの天然でないアミノ酸は、チロシン、グルタミンおよびフェニルアラニンといった天然アミノ酸に基づいており、本発明における使用に好適である。チロシン類似体としては、置換チロシンが、ケト基(アセチル基が挙げられるが、これに限定されない)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン基、ヒドロキシアミン基、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C〜C20の直鎖状または分枝状の炭化水素、飽和もしくは不飽和の炭化水素、O−メチル基、ポリエーテル基、ニトロ基、またはアルキニル基など(例として挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる場合の、パラ位置換のチロシン、オルト位置換のチロシン、およびメタ位置換のチロシンが挙げられるが、これらに限定されない。さらにまた、多置換アリール環が意図される。本発明における使用に好適なグルタミン類似体としては、α−ヒドロキシ誘導体、γ−置換誘導体、環状誘導体、およびアミド置換グルタミン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明における使用に好適なフェニルアラニン類似体の例としては、置換基が、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリル基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(アセチル基が挙げられるが、これに限定されない)、ベンゾイル、またはアルキニル基など(例として挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる場合の、パラ位置換のフェニルアラニン、オルト位置換のフェニルアラニン、およびメタ位置換のフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における使用に好適な天然でないアミノ酸の具体的な例としては、p−アセチル−L−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、およびp−プロパルギルオキシ−フェニルアラニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における使用に好適な天然でないアミノ酸の変形の構造の例は、例えば、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)に記載されている。また、付加的なメチオニン類似体に関しては、参考として本明細書に援用される、Kiickら., (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins forchemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99:19-24を参照のこと。参考として本明細書に援用される国際出願番号第PCT/US06/47822号(
発明の名称:「Compositions Containing, Methods Involving, and Uses of Non- natural Amino Acids and Polypeptides」)には、芳香族アミン部分(p−アミノ−フェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)の還元性アルキル化、および還元性アミン化について記載されている。
一実施形態では、天然でないアミノ酸(例えば、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン)を含んでいるインスリンポリペプチドの組成物が、提供される。また、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンを含んでいる種々の組成物(タンパク質および/または細胞が挙げられるが、これらに限定されない)が、提供される。1つの局面において、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンを含んでいる組成物は、直交性のtRNAをさらに含んでいる。天然でないアミノ酸は、直交性のtRNAに対して共有結合的に(例として挙げられるが、これに限定されない)結合され得る(アミノアシル結合を介して直交性のtRNAに対して共有結合的に結合される、直交性のtRNAの末端リボース糖の3’OHまたは2’OHに対して共有結合的に結合されるなどが挙げられるが、これらに限定されない)。
タンパク質に組み込まれ得る天然でないアミノ酸を介する化学部分は、タンパク質の種々の利点および操作を提供する。ケト官能基の固有の反応性は、in vivoおよびin vitroにおける、多くのヒドラジンを含有する試薬またはヒドロキシルアミンを含有する試薬のいずれかを用いた、タンパク質の選択的な修飾を可能にする。天然でないアミノ酸は、例えば、重水素X線構造データの位相合わせに有用であり得る。また、天然でないアミノ酸を用いた重水素の部位特異的な導入は、重水素にとっての位置の選択に選択性および自由度を提供する。光反応性の天然でないアミノ酸(ベンゾフェノンおよびアリールアジド(フェニルアジドが挙げられるが、これに限定されない)側鎖を有するアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない)は、例えば、タンパク質のin vivoおよびin vitroにおける効率的な光架橋を可能にする。光反応性アミノ酸の例としては、p−アジド−フェニルアラニンおよびp−ベンゾイル−フェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。光反応性アミノ酸を有するタンパク質は、その結果、光反応性基を供給する一時的な制御の励起によって、自由自在に光架橋され得る。1つの例において、天然でないアミノ酸のメチル基は、核磁気共鳴および振動顕微鏡の使用を伴う(例として挙げられるが、限定されない)、局所的な構造および動態のプローブとして、放射線標識されたメチル基(例として挙げられるが、限定されない)に置換され得る。アルキニル官能基またはアジド官能基は、例えば、[3+2]付加環化反応を介したタンパク質の選択的な修飾を可能にする。
アミノ末端においてポリペプチドに組み込まれる非天然アミノ酸は、20個の天然のアミノ酸に用いられる官能基以外の任意の置換基であるR基、およびα−アミノ酸に通常に存在するNH基とは異なる第2の反応性基から構成され得る(式Iを参照のこと)。類似の非天然アミノ酸が、カルボキシル末端において、α−アミノ酸に通常に存在するCOOH基と異なる第2の反応性基を用いて、組み込まれ得る(式1を参照のこと)。
本発明の天然でないアミノ酸は、一般的な20個のアミノ酸において有効ではない付加的な特性を与えるために、選択され得るか、または設計され得る。例えば、天然でないアミノ酸は、タンパク質(例えば、それらが組み込まれる)の生物学的特性を修飾するために、任意に設計され得るか、または選択され得る。例えば、以下の性質:毒性、体内分布、溶解性、安定性(例えば、熱、加水分解、酸化、および酵素的分解に対する耐性など)、精製および処理の容易さ、構造性質、分光性質、化学的および/または光化学的な性質、触媒活性、酸化還元電位、半減期、ならびに他の分子と反応する(例えば、共有結合的にか、または非共有結合的に)能力などは、タンパク質への天然でないアミノ酸の包含によって任意に修飾され得る。
(非天然アミノ酸の構造および合成:カルボニル基、カルボニル様基、マスクしたカルボニル基、保護カルボニル基およびヒドロキシルアミン基)
いくつかの実施形態において、本発明は、オキシム結合によって水溶性ポリマー(例えば、PEG)に連結されているインスリンを提供する。
天然にコードされていないアミノ酸の多くの種類は、オキシム結合の形成に適切である。これらとしては、カルボニル、ジカルボニル、またはヒドロキシルアミン基を含んでいる天然にコードされていないアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなアミノ酸は、その全体が参考として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、および国際公開第2006/069246号パンフレット(発明の名称「Compositions containing, methods involving, and uses of non-natural amino acids and polypeptides」)に記載されている。また、天然にコードされていないアミノ酸は、その全体が参考として本明細書に援用される、米国特許第7,083,970号明細書および米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。
本発明のいくつかの実施形態は、1つ以上の位置においてアミノ酸パラアセチルフェニルアラニンを用いて置換されている、インスリンポリペプチドを使用する。p−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンおよびm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンの合成は、参考として援用される「Zhang, Z.ら,. Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)」に記載されている。他の、カルボニルを含有するアミノ酸またはジカルボニルを含有するアミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。さらに、本明細書に含まれる非天然アミノ酸の限定しない例示的な合成は、その全体が参考として本明細書に援用される米国特許第7,083,970号明細書の図4、24〜34および36〜39に示されている。
求電子性反応性基を有するアミノ酸は、とりわけ、求核付加反応を介して分子を連結するための多様な反応を可能にする。そのような求電子性反応性基のとしては、カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)、カルボニル様基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)と類似の反応性を有し、カルボニル基と構造的に類似している)、マスクされたカルボニル基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)に容易に変えられ得る)、または保護されたカルボニル基(脱保護によってカルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸としては、以下の式(IV):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Jは、
Figure 2014169313
であり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R’’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、または保護基であるか、または2つ以上のR’’基が存在する場合に、2つのR’’はヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、RとRと、または2つのR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;または
−A−B−J−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基が挙げられる)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基が挙げられる)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基が挙げられる)を含む、二環式または三環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成するか;または
−J−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基が挙げられる)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基が挙げられる)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基が挙げられる)を含む、単環式または二環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成し;
Aがフェニレンであり、RのそれぞれがHである場合に、Bは存在するという条件;およびAが−(CH−であり、RのそれぞれがHである場合に、Bは−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件;およびAとBとが存在せず、RのそれぞれがHである場合に、Rはメチルではないという条件を有する。
さらに、式(V):
Figure 2014169313
の構造を有するものが挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Aがフェニレンである場合に、Bは存在するという条件;およびAが−(CH−である場合に、Bは−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件;およびAとBとが存在しない場合に、Rはメチルでないという条件を有する。
さらに、式(VI):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれ独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’(ここで、Rのそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択される)。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2014169313
が挙げられる。ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護基であるか、カルボキシル保護されているか、またはそれらの塩である。さらに、以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(VII):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択される;かつnは0〜8であり;
Aが−(CH−である場合に、Bは、−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件を有する)。
さらに、以下のアミノ酸が挙げられる:
Figure 2014169313
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とがなされているか、またはそれらの塩である)。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(VIII):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである)。
さらに、式(IX):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、または置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)2、、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’からなる群より選択される(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2014169313
が挙げられる。ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とがなされているか、またはそれらの塩である。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(X):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択され;かつnは0〜8である。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2014169313
が挙げられる。ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とがなされているか、またはそれらの塩である。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
モノカルボニル構造の他に、本明細書に記載の非天然アミノ酸は、ジカルボニル基、ジカルボニル様基、マスクされたジカルボニル基、および保護されたジカルボニル基といった基を含み得る。
例えば、式(XI):
Figure 2014169313
の構造を有する以下のアミノ酸が挙げられる。
ここで、Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
さらに、式(XII):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択される。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2014169313
が挙げられる。ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とがなされているか、またはそれらの塩である。さらに、非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIII):
Figure 2014169313
の構造を有する以下のアミノ酸が挙げられる。
ここで、Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’からなる群より選択され(ここで、R’それぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);かつnは0〜8である。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2014169313
が挙げられる。ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とがなされているか、またはそれらの塩である。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIV):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつLは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XIV−A):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XIV−B):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XV):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつnは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群より選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る。
さらに、式(XV−A):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレン;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群より選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る。
さらに、式(XV−B):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群より選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る。
さらに、式(XVI):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつLは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XVI−A):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)。
さらに、式(XVI−B)の構造を有するアミノ酸が挙げられる:
Figure 2014169313
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XVII):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Mは、
Figure 2014169313
であり(ここで、(a)は、A基との結合を表し、(b)は、それぞれのカルボニル基との結合を表し、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルから選択されるか、またはRとRと、もしくは2つのR基、もしくは2つのR基は、任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H,ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
さらに、式(XVIII):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Mは、
Figure 2014169313
であり(ここで、(a)は、A基との結合を表し、(b)は、それぞれのカルボニル基との結合を表し、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであるか、またはRとRと、もしくは2つのR基、もしくは2つのR基は、任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;であり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群より選択される。
さらに、式(XIX):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;かつ
は、O、またはSである。
さらに、式(XX):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
ここで、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XXI):
Figure 2014169313
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性のカルボニル官能基、またはジカルボニル官能基を生成する。例えば、抱合反応に有用なアルデヒド官能基は、隣接するアミノ基およびヒドロキシル基を有する官能基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合に、例えば、N末端セリンまたはトレオニン(通常に存在し得るか、または化学的もしくは酵素的な消化を介して露出され得る)は、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化的切断条件下における、アルデヒド官能基の生成に使用され得る。例えば、「Gaertner, et. al., Bioconjug. Chem. 3: 262−268 (1992)」;「Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3: 138−146 (1992)」;「Gaertnerら., J. Biol. Chem. 269:7224−7230 (1994)」を参照のこと。しかし、当該技術において公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端におけるアミノ酸に対して限定される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基およびアミノ基を有する非天然アミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド官能基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5−ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンに対して隣接するヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成するための反応条件は、典型的に、ポリペプチド内の他の部位において酸化させるための穏やかな条件下において、過剰なモル濃度のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加を含む。酸化反応のpHは、典型的に約7.0である。典型的な反応は、ポリペプチドの緩衝化溶液に対して、約1.5モル濃度過剰なメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に続いて、暗所における10分間にわたるインキュベーションを含む。例えば、米国特許第6,423,685号明細書を参照のこと。
カルボニル官能基またはジカルボニル官能基は、穏やかな条件の下に水性溶液においてヒドロキシルアミンを含有する試薬と選択的に反応して、生理学的条件下において安定な対応するオキシム連結を形成し得る。例えば、「Jencks, W. P., J. Am. Chem. Soc. 81, 475−481 (1959) 」;「Shao, J. and Tarn, J. P., J. Am. Chem. Soc. 1 17:3893− 3899 (1995) 」を参照のこと。さらに、カルボニル基またはジカルボニル基の固有の反応性が、他のアミノ酸側鎖の存在下において選択的な修飾を可能にする。例えば、「Cornish, V. W.ら., J. Am. Chem. Soc. 118:8150−8151 (1996) 」;「Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138−146 (1992) 」;「Mahal, L. K.ら., Science 276:1125−1128 (1997) 」を参照のこと。
<非天然アミノ酸の構造および合成:ヒドロキシルアミンを含有するアミノ酸>
米国特許出願第11/316,534号明細書(米国特許出願公開第20060189529号明細書)は、参考としてその全体が援用される。したがって、米国特許出願第11/316,534号明細書(米国特許出願公開第20060189529号明細書)におけるセクションV(“非天然アミノ酸”と題される)、パートB(“非天然アミノ酸(ヒドロキシルアミンを含有するアミノ酸)の構造および合成”と題される)に与えられた開示内容は、当該開示内容が本明細書に示されているも同然に、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを作製する、精製する、性質決定する、および使用する方法、組成物(式I−XXXVが挙げられる)、技術および戦略に対して完全に適用される。米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、および国際公開第2006/069246号パンフレット(発明の名称「Compositions containing, methods involving, and uses of non-natural amino acids and polypeptides」)もまた、その全体が参考として本明細書に援用される。
-天然でないアミノ酸の化学的な合成-
本発明における使用に好適な天然でないアミノ酸の多くは、例えば、シグマ(USA)またはアルドリッチ(Aldrich)(ミルウォーキー(Milwaukee)、WI、USA)から市販されている。市販されていない天然でないアミノ酸は、本明細書に記載のように、または多様な公開物に記載のように、または当業者に公知の標準的な方法を用いて、任意に合成される。有機合成技術に関しては、例えば、「Organic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.)」;「Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York)」;および「Advanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts Aand B, 1990, Plenum Press, New York)」を参照のこと。天然でないアミノ酸の合成に
ついて記載している付加的な公開物としては、例えば、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of Unnatural Amino Acids」);「Matsoukasら, (1995) J. Med. Chem., 38, 4660-4669 」;「King, F.E. & Kidd, D.A.A. (1949) A New Synthesis of Glutamine and of γ- Dipeptides of Glutamic Acid from Phthylated Intermediates. J. Chem. Soc. 3315-3319 」;「Friedman, O.M. & Chatterrji, R. (1959) Synthesis of Derivatives ofGlutamine as Model Substrates forAnti- Tumor Agents. J. Am. Chem. Soc. 81, 3750-3752 」;「Craig, J.C.ら. (1988) Absolute Configuration of the Enantiomers of 7-Chloro-4 [[4-(diethylamino)-l-methylbutyl]amino]quinolim (Chloroquine). J. Org. Chem. 53, 1167-1170」;「Azoulay, M., Vilmont, M. & Frappier, F. (1991) Glutamine analogues as Potential Antimalarials, Eur. J. Med. Chem. 26, 201-5」;「Koskinen, A.M.P. & Rapoport, H. (1989) Synthesis of 4-Substituted Prolines as Conformationally Constrained Amino Acid Analogues. J. Org. Chem. 54, 1859-1866」;「Christie, B.D. & Rapoport, H. (1985) Synthesis of Optically Pure Pipecolates from L-Asparagine. Application to the Total Synthesis of (+)-Apovincamine through Amino Acid Decarbonylation and Iminium Ion Cyclization. J. Org. Chem. 50:1239-1246」;「Bartonら, (1987) Synthesis ofNovel alpha-Amino-Acids and Derivatives Using Radical Chemistry: Synthesis of L- and D-alpha-Amino-Adipic Acids, L-alpha- aminopimelic Acid and Appropriate Unsaturated Derivatives. Tetrahedron 43:4297-4308」;および「Subasingheら, (1992) Quisqualic acid analogues: synthesis of bela-heterocyclic 2- aminopropanoic acid derivatives and their activity at a novel quisqualate-senitized site. J. Med. Chem. 35:4602-7」が挙げられる。また、参考として本明細書に援用される米国特許第20
04/0198637号明細書(発明の名称「Protein Arrays」)を参照のこと。
(A.カルボニル反応性基)
カルボニル反応性基を有するアミノ酸は、求核性の付加を介して分子(PEGまたは他の水溶性分子が挙げられるが、これらに限定されない)を連結するための多様な反応、または特にアルドール縮合反応を可能にする。
例示的なカルボニルを含有するアミノ酸は、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは0〜10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;Rは、H、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールであり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Rは単純アルキル(すなわち、メチル、エチルまたはプロピル)であり、ケトン部分は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Rは単純アルキル(すなわち、メチル、エチルまたはプロピル)であり、ケトン部分は、アルキル側鎖に対してメタ位に位置されている。
p−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンおよびm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンの合成は、参考として本明細書に援用される、Zhang, Z.ら, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)に記載されている。他のカルボニルを含有するアミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性のカルボニル官能基を生成する。例えば、抱合反応に有用なアルデヒド官能基は、隣接するアミノ基とヒドロキシル基とを有する官能基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合に、例えば、N末端のセリンまたはトレオニン(通常に存在し得る、または化学的もしくは酵素的な消化を介して露出され得る)は、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化切断条件においてアルデヒド官能基を生成するために使用され得る。例えば、「Gaertner, et ah, Bioconjug. Chem. 3: 262-268 (1992) 」;「Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) 」;「Gaertnerら, J. Biol. Chem. 269:7224-7230 (1994) 」を参照のこと。しかし、当該技術において公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端におけるアミノ酸に制限される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基とアミノ基とを有する天然にコードされていないアミノ酸アミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド官能基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5−ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンと隣接するヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成する反応条件は、典型的に、ポリペプチド内の他の部位における酸化を回避するための穏やかな反応条件において、過剰なモル濃度のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に関する。酸化反応のpHは、典型的に約7.0である。典型的な反応は、ポリペプチド緩衝化溶液に対する、1.5モル濃度を超えるメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に続いて、暗所における約10分間のインキュベーションに関する。例えば、参考として本明細書に援用される米国特許第6,423,685号明細書を参照のこと。
カルボニル官能基は、水性溶液における穏やかな条件の下に、ヒドラジンを含有する試薬、ヒドラジドを含有する試薬、ヒドロキシルアミンを含有する試薬、またはセミカルバジドを含有する試薬と選択的に反応して、生理学的条件においてそれぞれに対して安定な対応するヒドラゾン、オキシム、またはセミカルバゾン連結を形成し得る。例えば、「Jencks, W. P., J. Am. Chem. Soc. 81, 475-481 (1959) 」;「Shao, J. and Tarn, J. P., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995) 」を参照のこと。さらに、カルボニル基の固有な反応性は、他のアミノ酸側鎖の存在下において選択的な修飾を可能にする。例えば、「Cornish, V. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151 (1996) 」;「Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) 」;「Mahal, L. K.ら, Science 276:1125-1128 (1997) 」を参照のこと。
(B.ヒドラジン反応性基、ヒドラジド反応性基またはセミカルバジド反応性基)
求核性基(例えば、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド)を含む天然にコードされていないアミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマー(例として挙げられるが、これらに限定されない)との抱合物を形成するための多様な求電子基との反応を可能にする。
例示的なヒドラジンを含有するアミノ酸、ヒドラジドを含有するアミノ酸、またはセミカルバジドを含有するアミノ酸は、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは0〜10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであるか、または存在しないかであり;Xは、O、NまたはSであるか、または存在しないかであり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。
いくつかの実施形態において、nは4であり、Rは存在せず、XはNである。いくつかの実施形態において、nは2であり、Rは存在せず、Xは存在しない。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、酸素原子は、アリール環上における芳香族貴基に対してパラに位置されている。
ヒドラジドを含有するアミノ酸、ヒドラジンを含有するアミノ酸、またはセミカルバジドを含有するアミノ酸は、市販の供給源から利用可能である。例えば、L−グルタミン酸−γ−ヒドラジドは、シグマケミカル(Sigma Chemical)(セントルイス(St. Louis)、MO)から入手可能である。市販されていない他のアミノ酸は、当業者によって調製され得る。例えば、参考として本明細書に援用される米国特許第6,281,211号明細書を参照のこと。
ヒドラジド、ヒドラジンまたはセミカルバジドの反応性基を有する天然にコードされていないアミノ酸を含む、ポリペプチドは、アルデヒドまたは類似の化学反応性を有する他の官能基を含む多様な分子と効率的かつ選択的に反応し得る。例えば、「Shao, J. and Tarn, J., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995)」を参照のこと。ヒドラジド、ヒドラジンおよびセミカルバジド官能基の固有な反応性は、一般的な20個のアミノ酸に存在する求核性基(セリンもしくはトレオニンのヒドロキシル基、またはリジンとN末端とのアミノ基が挙げられるが、これらに限定されない)と比較して、アルデヒド、ケトンおよび他の求電子性基に対してより著しい反応を起こさせる。
(C.アミノオキシを含有するアミノ酸)
アミノオキシ(ヒドロキシルアミンとも呼ばれる)基を含む天然にコードされていないアミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマー(例として挙げられるが、これらに限定されない)との抱合物を形成するための求電子性基との反応を可能にする。ヒドラジン、ヒドラジドおよびセミカルバジドと同様に、アミノオキシ基の増強された求核性は、アミノオキシ基がアルデヒドまたは類似の化学反応性を有する他の官能基と効率的かつ選択的に反応することを可能にする。例えば、「Shao, J. and Tarn, J., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995)」;「H. Hang and C. Bertozzi, Ace. Chem. Res. 34: 727-736 (2001) 」を参照のこと。ヒドラジン基との反応の生成物は、対応するヒドラゾンであるが、これに対してオキシムは、一般的にカルボニル含有基(例えば、ケトン)とアミノオキシ基の反応から生じる。
例示的なアミノオキシを含むアミノ酸は、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは0〜10であり、Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、N、またはSであるか、または存在せず;mは0〜10であり;YはC(O)であるか、または存在せず;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、Yは存在する。いくつかの実施形態において、nは2であり、RおよびXは存在せず、mは0であり、Yは存在しない。
アミノオキシを含有するアミノ酸は、容易に入手可能なアミノ酸前駆体(ホモセリン、セリンおよびトレオニン)から容易に調製され得る。例えば、「M. Carrasco and R. Brown, J. Org. Chem. 68: 8853-8858 (2003) 」を参照のこと。ある種のアミノオキシを含有するアミノ酸(例えば、L−2−アミノ−4−(アミノオキシ)ブチル酸)は、天然の供給源から単離されている(「Rosenthal, G, Life Sci. 60: 1635-1641 (1997)」)。他のアミノオキシを含有するアミノ酸は、当業者によって調製され得る。
(D.アジド反応性基およびアルキン反応性基)
アジド官能基およびアルキン官能基の固有な反応性は、ポリペプチドおよび他の生体分子の選択的な修飾にとって、それらを極めて有効にする。有機アジド、特にアルファティックアジド、およびアルキンは、通常の反応性の化学的条件に対して一般的に安定である。特に、アジド官能基およびアルキン官能基の両方は、天然に存在するポリペプチドに見られる一般的な20個のアミノ酸の側鎖(すなわち、R基)に対して不活性である。しかし、非常に近づくと、アジド基およびアルキン基の“ばね荷重”性質が現れ、それらは、ヒュスゲン[3+2]付加環化反応を介して選択的かつ効率的に反応して、対応するトリアゾールを生成する。例えば、「Chin J.ら, Science 301 :964-7 (2003)」;「Wang, Q,ら, J. Am. Chem. Soc. 125, 3192-3193 (2003) ;Chin, J. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002)」を参照のこと。
ヒュスゲン付加環化反応が、求核置換よりむしろ選択的な付加環化反応に関与するので(例えば、「Padwa, A., in COMPREHENSIVE ORGANIC SYNTHESIS, Vol. 4, (ed. Trost, B. M., 1991), p. 1069-1109」;「Huisgen, R. in 1,3-DIPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY, (ed. Padwa, A., 1984), p. 1-176」を参照のこと)、アジドを含有する側鎖およびアルキンを含有する側鎖を有する天然にコードされていないアミノ酸の組込みは、結果として生じるポリペプチドが天然にコードされていないアミノ酸の位置において修飾されることを可能にする。アジドを含有するポリペプチドまたはアルキンを含有するポリペプチドに関する付加環化反応は、室温において水性条件の下に、Cu(II)(触媒量のCuSOの形態が挙げられるが、これに限定されない)の付加によって、in situにおいてCu(II)をCu(I)に還元する触媒量の還元物質の存在下において、達成され得る。例えば、「Wang, Q.ら, J. Am. Chem. Soc. 125, 3192-3193 (2003)」;「Tornoe, C. W.ら, J. Org. Chem. 67:3057-3064 (2002)」;「Rostovtsevら, Angew. Chem. Int. Ed. 41:2596-2599 (2002)」を参照のこと。例示的な還元物質としては、アスコルビン酸塩、金属銅、キニーネ、ヒドロキノン、ビタミンK、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+および印加された電位が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの場合において、アジドとアルキンとの間におけるヒュスゲン[3+2]付加環化反応が所望される場合に、インスリンポリペプチドは、アルキン部分を含む天然にコードされていないアミノ酸を含み、当該アミノ酸に連結されるべき水溶性ポリマーは、アジド部分を含む。また代替可能に、逆反応(すなわち、アミノ酸上におけるアジド部分および水溶性ポリマー上に存在するアルキン部分を用いる)が達成され得る。
また、アジド官能基は、アリールエステルを含む水溶性ポリマーと選択的に反応し、アリールホスフィン部分を用いて適切に機能付与されて、アミド連結を生成する。アリールホスフィン基はin situにおいてアジドを還元し、それから結果として生じたアミンは近接するエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。例えば、「E. Saxon and C. Bertozzi, Science 287, 2007-2010 (2000)」を参照のこと。アジドを含有するアミノ酸は、アルキルアジド(2−アミノ−6−アジド−1−ヘキサン酸が挙げられるが、これに限定されない)またはアリールアジド(p−アジド−フェニルアラニン)のいずれかであり得る。
アリールエステルおよびホスフィンの部分を含む、例示的な水溶性ポリマーは、以下のように示さ表され得る。
Figure 2014169313
ここで、Xは、O、N、またはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、Rは、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基および置換アリール基であり得る)。例示的なR基としては、−CH、−C(CH、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−C(O)R’、−CONR’R’’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CN、および−NOが挙げられるが、これらに限定されない。R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれは独立して、水素基、置換もしくは非置換のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基(1〜3個のハロゲンと置換されたアリールが挙げられるが、これに限定されない)、置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合に、例えば、これらの基が2つ以上存在する場合に、R基のそれぞれは、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれであるように、独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結び付けられている場合に、それらは、窒素原子と組み合わさって、5員環、6員環、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことが意図される。置換体の上述の議論から、当業者であれば、「アルキル」という用語が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(−CFおよび−CHOCHが挙げられるが、これらに限定されない)およびアシル(−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなどが挙げられるが、これらに限定されない))と結合された炭素原子を含むことを意図されることを理解する。
また、アジド官能基は、チオエステルを含む水溶性ポリマーと選択的に反応し、アリールホスフィン部分を用いて適切に機能付与されて、アミド結合を生成し得る。アリールホスフィン基は、in situにおいてアジドを還元し、それから結果として生じるアミンは、チオエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。チオエステル部分およびホスフィン部分を含む例示的な水溶性ポリマーは、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは1〜10であり、XはO、N、またはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーである。
例示的なアルキンを含有するアミノ酸は、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは0〜10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、NまたはSであるか、存在せず;mは0〜10であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端を修飾する基である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは存在せず、mは0であり、アセチレン部分はアルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、プロパルギルオキシ基は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている(すなわち、プロパルギル−チロシン)。いくつかの実施形態において、nは1であり、RおよびXは存在せず、mは0である(すなわち、プロパリルグリシン)。
アルキンを含有するアミノ酸は、市販されている。例えば、プロパルギルグリシンは、ペプテック(Peptech)(バーリントン(Burlington)、MA)から市販されている。代替可能に、アルキンを含有するアミノ酸は、標準的な方法にしたがって調製され得る。例えば、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンは、例えば、「Deiters, A.ら, J. Am. Chem. Soc. 125: 11782-11783 (2003)」に記載されているように合成され得、4−アルキニル−L−フェニルアラニンは、「Kayser, B.ら, Tetrahedron 53(7): 2475-2484 (1997)」に記載のように、合成され得る。他のアルキンを含有するアミノ酸は、当業者によって調製され得る。
例示的な、アジドを含有するアミノ酸は、以下のように表され得る。
Figure 2014169313
ここで、nは0〜10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、NまたはSであるか、または存在せず;mは0〜10であり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端を修飾する基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端を修飾する基である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは存在せず、mは0であり、アジド部分は、アルキル側鎖に対してパラに位置されている。いくつかの実施形態において、nは0〜4であり、RおよびXは存在せず、m=0である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは2であり、β−アジドエトキシ部分は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。
アジドを含有するアミノ酸は、商業的な供給源から入手可能である。例えば、4−アジドフェニルアラニンは、ケム−インペックスインターナショナル(Chem-Impex International)(ウッドデール(Wood Dale)、IL)から入手され得る。市販されていないこれらのアジドを含有するアミノ酸に関して、アジド基は、適切な脱離基(ハロゲン化物、メシラート、トシレートが挙げられるが、これらに限定されない)の排除を介した、または適切に保護されたラクトンの開環を介した(例として挙げられるが、これらに限定されない)、当業者に公知の標準的な方法を用いて、比較的容易に調製され得る。例えば、「Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York)」を参照のこと。
(E.アミノチオール反応性基)
β置換されたアミノチオール官能基の独自の反応性によって、β置換されたアミノチオールアミノ酸は、チアゾリジンの構造を介してアルデヒド基を含んでいるポリペプチドおよび他の生体分子の選択的な修飾に関して特に有用である。例えば、「J. Shao and J. Tam, J. Am. Chem. Soc. 1995, 117 (14) 3893-3899」を参照のこと。いくつかの実施形態において、β置換されたアミノチオールアミノ酸は、インスリンポリペプチドに組み込まれ、それからアルデヒド官能基を含んでいる水溶性ポリマーと反応させられ得る。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー、薬物との抱合物または他のペイロード(payload)は、β置換されたアミノチオールアミノ酸をチアゾリジンの構造を介して含んでいるインスリンポリペプチドに連結され得る。
(F.さらなる反応性基)
本発明のインスリンポリペプチドに組み込まれ得るさらなる反応性基および天然にコードされていないアミノ酸(パラ−アミノ−フェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)は、以下の特許文献に記載されている。米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、米国仮特許出願第60/755,338号明細書、米国仮特許出願第60/755,711号明細書、米国仮特許出願第号明細書、米国仮特許出願第60/755,018号明細書、国際出願PCT/US06/49397号、国際公開第2006/069246号パンフレット、米国仮特許出願第60/743,041号明細書、米国仮特許出願第60/743,040号明細書、国際出願PCT/US06/47822号、米国仮特許出願第60/882,819号明細書、米国仮特許出願第60/882,500号明細書、および米国仮特許出願第60/870,594号明細書。これらの文献は、参考としてその全体が本明細書に援用される。また、これらの明細書には、抱合のためにPEGまたは他のポリマー上に存在し得る反応性基(ヒドロキシルアミン(アミノオキシ)基が挙げられるが、これに限定されない)について記載されている。
‐天然でないアミノ酸の細胞の取込み‐
細胞による天然でないアミノ酸の取込みは、タンパク質への取り込みを目的として(例として挙げられるが、これに限定されない)、天然でないアミノ酸を設計および選択するときに考慮される1つの課題である。例えば、α−アミノ酸の高い電荷密度は、これらの化合物が細胞透過性ではないかもしれないことを示唆する。天然アミノ酸は、タンパク質に基づく輸送系の集まりを介して真核細胞に取り込まれる。高速スクリーニングが行われ、どの天然でないアミノ酸が細胞に取り込まれたか(もしあれば)を評価する。例えば、参考としてその全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2004/198637号明細書(発明の名称「Protein Arrays」)、および「Liu, D.R. & Schultz, P.G. (1999) Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code. PNAS United States 96:4780-4785」における、例えば、毒性アッセイを参照のこと。取り込みは様々なアッセイを用いて容易に分析されるが、細胞の取り込み経路に受け容れられる天然でないアミノ酸の設計に代わるものは、in vivoにおいてアミノ酸を作り出す生合成経路を提供することである。
‐天然でないアミノ酸の生合成‐
多くの生合成経路が、アミノ酸および他の化合物を産生するために細胞にすでに存在している。特定の天然でないアミノ酸用の生合成方法は、天然(例としては、細胞内が挙げられるが、これに限定されない)には存在し得ないが、本発明は、そのような方法を提供する。例えば、天然でないアミノ酸用の生合成経路は、新しい酵素の添加または既存の宿主細胞経路の修飾によって、宿主細胞において必要に応じて生成される。追加の新しい酵素としては、天然に生じる酵素または人工的に発展させた酵素が挙げられる。例えば、p‐アミノフェニルアラニンの生合成(国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)における一例に示されているような)は、他の生物に由来する公知の酵素を組み合わせて添加することを基にしている。これらの酵素に関する遺伝子は、当該遺伝子を含んでいるプラスミドを用いた細胞の形質転換によって真核細胞に必要に応じて導入される。該遺伝子は、細胞において発現すると、所望の化合物を合成する酵素経路を提供する。必要に応じて添加される酵素の種類の例は、後述する実施例に記載されている。追加の酵素の配列は、例えば、ジーンバンクで見出される。また、人工的に発展させた酵素は、同様の方法で細胞の中に必要に応じて加えられる。このように、細胞性機構および細胞資源が、天然でないアミノ酸を産生するために操作される。
種々の方法が、生合成経路に使用される新規な酵素、または既存の経路を発展させるための新規な酵素の産生に利用可能である。例えば、Maxygen, Inc.(ワールドワイドウェブのwww.maxigen.comで参照できる)によって開発されたような(例として挙げられるが、これに限定されない)反復的な組換えは、新規の酵素および経路の開発に必要に応じて使用される。例えば、「Stemmer (1994), Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370(4):389-391」、および「Stemmer, (1994), DNA shuffling byrandom fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolu
tion, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91:10747-10751」を参照のこと。同様に、Genencor(ワールドワイドウェブのgenencor.comで参照できる)によって開発されたDesignPath(登録商標)は、代謝経路設計(例としては、細胞においてO−メチル−L−チロシンを作り出す経路の設計が挙げられるが、これに限定されない)に必要に応じて使用される。この技術は、新しい遺伝子(機能的なゲノミクス、分子進化、および分子設計によって同定される遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)の組合せを用いて、宿主生物に存在する経路を再コンストラクションする。また、Diversa Corporation(ワールドワイドウェブのdiversa.comで参照できる)は、新しい経路を作り出すための(例として挙げられるが、これに限定されない)、遺伝子および遺伝子経路のライブラリーを高速スクリーニングする技術を提供する。
通常は、設計された本発明の生合成経路を用いて産生される天然でないアミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度で産生される。該濃度としては、例えば天然の細胞における量が挙げられるが、特に限定されず、他のアミノ酸の濃度に影響を与えたり、細胞資源を使い果たしたりする程ではない。in vivoにおいてこのように調製される通常の濃度は、約10mM〜約0.05mMである。特定の経路に所望される酵素の生成に使用される遺伝子を含むプラスミドを用いて細胞が形質転換され、天然でないアミノ酸が生成されると、in vivoでの選択が必要に応じて使用され、リボソームタンパク質の合成および細胞の増殖ために天然でないアミノ酸の産生をさらに最適化する。
-天然でないアミノ酸を有するポリペプチド-
天然でないアミノ酸のポリペプチドは、必要に応じてさらなる修飾なしでも使用される。天然でないアミノ酸のポリペプチドへの組込みは、必要に応じて、様々な目的(例としては、タンパク質構造および/または機能の変化の調整、大きさの変更、酸性度の変更、求核性の変更、水素結合の変更、疎水性の変更、プロテアーゼ標的部位の接触性の変更、部分(ポリペプチドアレイ用の部分が挙げられるが、これに限定されない)に対する標的化の変更、生物学的に活性な分子の付加、ポリマーの付着、放射性核種の付着、血清中半減期の調節、組織透過性(例えば、腫瘍)の調節、能動輸送の調節、組織、細胞もしくは器官の特異性または分布の調節、免疫原性の調節、プロテアーゼ耐性の調節などが挙げられるが、これらに限定されない)のためになされる。天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質は、増強された、もしくは全く新しい触媒性または生物物理学的な性質をも有する。単なる一例として、以下の性質がタンパク質の天然でないアミノ酸の包含によって必要に応じて調節される:毒性、体内分布、構造的性質、分光の性質、化学的および/または光化学的性質、触媒能、半減期(例としては、血清中半減期が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに他の分子との共有結合的なまたは非共有結合的な(例として挙げられるが、これらに限定されない)反応性など。少なくとも1個の天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質を有する組成物は、新規の治療、診断、触媒酵素、工業的触媒、結合タンパク質(抗体が挙げられるが、これに限定されない)、ならびにタンパク質の構造および機能(例として挙げられるが、これらに限定されない)の研究に有用である(例として挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、「Dougherty, (2000) Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function, Current Opinion in Chemical Biology. 4:645-652」を参照のこと。
本発明の一態様において、組成物は、少なくとも1個(少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、またはそれ以上が挙げられるが、これらに限定されない)の天然でないアミノ酸を有する少なくとも1個のタンパク質を含んでいる。上記天然でないアミノ酸は、同じであり得るか、異なり得る(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、もしくはそれ以上の異なる、または同じ天然でないアミノ酸を含むポリペプチドにおける、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、もしくはそれ以上の異なる部位があり得ることが挙げられるが、これらに限定されない)。他の態様において、組成物は、天然でないアミノ酸で置換されているタンパク質に存在する少なくとも1個(ただし、全てではない)の特定のアミノ酸を有するタンパク質を含んでいる。2個以上の天然でないアミノ酸を有する所定のタンパク質において、当該天然でないアミノ酸は同一でもよいし、異なっていてもよい(例えば、当該タンパク質は異なる2種類以上の天然でないアミノ酸を含んでもよいし、2個の同じ天然でないアミノ酸を含んでもよいが、これに限定されない)。3個以上の天然でないアミノ酸を有する所定のタンパク質において、当該天然でないアミノ酸は同じでもよいし、異なっていてもよいし、また、同種の複数の天然でないアミノ酸と少なくとも1個の異なる天然でないアミノ酸とを組み合わせたものであってもよい。
天然でないアミノ酸を少なくとも1個有する、目的のタンパク質またはポリペプチドが、本発明の特徴である。また、本発明は、本発明の組成物および方法を用いて産生された天然でないアミノ酸を少なくとも1個有する、タンパク質またはポリペプチドを包含する。また、賦形剤(薬学的に受容可能な賦形剤が挙げられるが、これに限定されない)は、タンパク質と共に存在し得る。
天然でないアミノ酸を有している目的のタンパク質またはポリペプチドを真核細胞において産生することによって、タンパク質またはポリペプチドは翻訳後修飾を典型的に含んでいる。ある特定の実施形態において、タンパク質は、少なくとも1個の天然でないアミノ酸、および真核細胞によってin vivoにおいてなされた少なくとも1つの翻訳後修飾を含んでおり、ここで、この翻訳後修飾は、原核細胞によってなされない。例えば、翻訳後修飾としては、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテートの付加、リン酸化、糖脂質が結合する修飾、およびグリコシル化などが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、翻訳後修飾としては、GlcNAc−アスパラギンの結合による、アスパラギンに対するオリゴ糖((GlcNAc−Man)−Man−GlcNAc−GlcNAcが挙げられるが、これに限定されない)の付加が挙げられる。真核細胞のN結合型オリゴ糖のいくつかの例を載せている表1を参照のこと(さらなる残基が存在し得るが、示されていない)。他の態様において、翻訳後修飾としては、GalNAc−セリンの結合もしくはGalNAc−トレオニンの結合、またはGlcNAc−セリンの結合もしくはGlcNAcトレオニンの結合による、セリンまたはトレオニンに対するオリゴ糖(Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどが挙げられるが、これらに限定されない)の付加が挙げられる。
Figure 2014169313
さらにもう1つの態様において、翻訳後修飾としては、前駆体(カルシトニン前駆体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド前駆体、プレプロ副甲状腺ホルモン(preproparathyriod hormone)、プレプロインスリン、プロインスリン、プレプロオピオメラノコルチン、およびプロオピオメラノコルチンなどが挙げられるが、これらに限定されない)のタンパク質分解性のプロセシング、マルチサブユニットタンパク質への集合もしくは巨大分子への集合、細胞における他の部位への移動(細胞小器官(例えば、小胞体、ゴルジ装置、核、リソソーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、葉緑体、液胞など)または分泌経路の通過が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。ある特定の実施形態において、タンパク質は、分泌配列または局在化配列である、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、またはGST融合などを含んでいる。
天然でないアミノ酸の利点1つは、天然でないアミノ酸が、さらなる分子の付加に使用され得るさらなる化学的な部分を与えることである。これらの修飾は、真核細胞もしくは原核細胞のin vivoまたはin vitroにおいてなされ得る。したがって、ある特定の実施形態において、翻訳後修飾は天然でないアミノ酸を介する。例えば、翻訳後修飾は、求核−求電子反応を介し得る。タンパク質の選択的な修飾に現在、使用されるほとんどの反応は、求核反応のパートナーと求電子反応のパートナーとの間における共有結合(α−ハロケトンのヒスチジン側鎖またはシステイン側鎖との反応が挙げられるが、これらに限定されない)の形成に関する。これらの場合における選択性は、タンパク質における求核性残基の数および接触性によって決定される。本発明のタンパク質において、より選択的な他の反応は、例えば、ヒドラジドまたはアミノオキシ化合物との、天然でないケトアミノ酸の反応に使用され得る。例えば、「Cornishら, (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151;Mahalら, (1997) Science. 276:1125-1128」;「Wangら, (2001) Science292:498-500」;「Chinら, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027」;「Chinら, (2002) Proc. Natl. Acad. ScL 99: 11020-11024」;「Wangら, (2003) Proc. Natl. Acad.
ScL 100:56-61」;「Zhangら, (2003) Biochemistry. 42:6735-6746」;および「Chinら, (2003) Science. 301:964-7」を参照のこと。これらの文献のすべては、参考として本明細書に援用される。これは、多くの試薬(蛍光団、架橋剤、糖誘導体および細胞毒性分子が挙げられるが、これらに限定されない)を用い実質的に任意のタンパク質の選択的な標識を可能にする。また、参考として本明細書に援用される、米国特許第6,927,042(発明の名称「Glycoprotein synthesis」)を参照のこと。また、アジドアミノ酸を介した(例として挙げられるが、これに限定されない)翻訳後修飾は、トリアリールホスフィン試薬を用いた(例として挙げられるが、これに限定されない)シュタウディンガー結合を介してなされ得る。例えば、「Kiickら, (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99: 19-24」を参照のこと。
本発明は、タンパク質にアジド部分またはアルキニル部分(例として挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる天然でないアミノ酸の、セレクターコドンに応じた遺伝的組込みに関する、タンパク質の選択的な修飾のための他の高効率な方法を提供する。それから、これらのアミノ酸側鎖は、アジド誘導体またはアルキニル誘導体(例として挙げられるが、これらに限定されない)を別々に用いて、ヒュスゲン[3+2]付加環化反応(例として挙げられるが、これらに限定されない)(例えば、「Padwa, A. in Comprehensive Organic Synthesis. Vol. 4. (1991) Ed. Trost, B. M., Pergamon, Oxford, p. 1069-1109」;および「Huisgen, R. in 1 ,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry. (1984) Ed. Padwa, A., Wiley, New York, p. 1-176」を参照のこと)によって修飾され得る。この方法は、求核性置換よりむしろ付加環化に関するので、タンパク質は極めて高い選択性を有して修飾され得る。この反応は、反応混合物に対する触媒量のCu(I)塩の添加によって、水性条件下の室温において、優れた位置選択性(1,4>1,5)を有して達成され得る。例えば、「Tornoeら, (2002) J. Org. Chem. 67:3057-3064」;および「Rostovtsevら, (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596-2599」を参照のこと。使用され得る他の方法は、テトラシステインモチーフを有するビス砒素化合物におけるリガンド交換である(例えば、「Griffinら, (1998) Science 281 :269-272」を参照のこと)。
[3+2]付加環化を介して本発明のタンパク質に加えられ得る分子としては、アジド誘導体またはアルキニル誘導体を有する実質的に任意の分子が挙げられる。当該分子としては、色素、蛍光団、架橋剤、糖の誘導体、ポリマー(ポリエチレングリコールの誘導体が挙げられるが、これに限定されない)、光架橋剤、細胞毒性化合物、アフィニティー標識、ビオチンの誘導体、樹脂、ビーズ、第2(もしくはそれ以上)のタンパク質もしくはポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNAなどが挙げられるが、これらに限定されない)、金属キレート剤、補助因子、脂肪酸、および炭水化物などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの分子は、アルキニル基(p−プロパルギルオキシフェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)またはアジド基(p−アジド−フェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)を別々に有する天然でないアミノ酸に加えられ得る。
<天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのin vivoでの生成>
本発明のインスリンポリペプチドは、天然に存在する系にコードされないアミノ酸を加えるか、または置換するために、修飾されたtRNAおよびtRNAシンテターゼを用いてin vivoにおいて生成され得る。
天然に存在する系にコードされないアミノ酸を使用するtRNAおよびtRNAシンテターゼを生成する方法は、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書に記載されている。これらの文献は参考として本明細書に援用される。これらの方法は、翻訳系に対して内在性のシンテターゼおよびtRNAと独立して機能する(そして、このためにときに「直交性の」と呼ばれる)、翻訳機構の生成に関与する。典型的に、当該翻訳系は、直交性のtRNA(O−tRNA)および直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含む。典型的に、O−RSは、翻訳系における少なくとも1個の非天然に存在するアミノ酸と共にO−tRNAを好ましくアミノアシル化し、O−tRNAは、当該系における他のtRNAによって認識されない、少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。したがって、当該翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応じて、当該系において産生されるタンパク質に天然にコードされていないアミノ酸を挿入して、これによってコードされたポリペプチドにおける所定の位置にアミノ酸を「置換する」。
広範な直交性のtRNAおよびアミノアシルtRNAは、ポリペプチドに特定の合成アミノ酸を挿入する当該技術において説明されており、一般的に本発明における使用に好適である。例えば、ケト特異的O−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼについて、「Wang, L.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:56-61 (2003)」、および「Zhang, Z.ら, Biochem. 42(22):6735-6746 (2003)」に記載されている。例示的なO−RSまたはこれらの一部は、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書(それぞれ、参考として本明細書に援用される)に開示されている、ポリヌクレオチド配列にコードされており、アミノ酸配列を含んでいる。また、O−RSと共に使用するための対応するO−tRNA分子について、参考として本明細書に援用される、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書に記載されている。O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼ対の付加的な例は、国際公開第2005/007870号パンフレット、国際公開第2005/007624号パンフレットおよび国際公開第2005/019415号パンフレットに記載されている。
アジドに特異的なO−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼの系の例が、「Chin, J. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002)」に記載されている。p−アジド−L−Phe用の例示的なO−RS配列としては、参考として本明細書に援用される米国特許第7,083,970号明細書に記載されているように、配列番号14〜16および29〜32のヌクレオチド配列、ならびに配列番号46〜48および61〜64のアミノ酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の使用に好適な例示的なO−tRNA配列としては、参考として本明細書に援用される米国特許第7,083,970号明細書に開示されているように、配列番号1〜3のヌクレオチド配列が挙げられるが、これらに限定されない。特定の天然にコードされていないアミノ酸に対して特異的なO−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼの他の例が、参考として本明細書に援用される米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。S. cerevisiaeにおいてケトを含有するアミノ酸およびアジドを含有するアミノ酸の両方を組み込む、O−RSおよびO−tRNAについて、「Chin, J. W.ら, Science 301 :964-967 (2003).」に記載されている。
様々な他の直交性の対が報告されている。S. cerevisiaeのtRNAおよびシンテターゼから由来する、グルタミニル系(例えば、「Liu, D. R., and Schultz, P. G. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 96:4780-4785」を参照のこと)、アスパルチル系(例えば、「Pastrnak, M.ら, (2000) HeIv. Chim. Acta 83:2277-2286」を参照のこと)、およびチロシル系(例えば、「Ohno, S.ら, (1998) J. Biochem. (Tokyo. Jpn.) 124:1065-1068」;および「Kowal, A. K.ら, (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98:2268-2273」を参照のこと)が、E. coiにおける天然でないアミノ酸の見込みのある組込みについて記載されている。E. coiのグルタミニルシンテターゼ(例えば、「Kowal, A. K.ら, (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98:2268-2273」を参照のこと)、およびチロ
シルシンテターゼ(例えば、「Edwards, H., and Schimmel, P. (1990) MoI. Cell. Biol. 10:1633-1641」を参照のこと)に由来する系は、S. cerevisiaeにおける使用に関して記載されている。E. coiのチロシル系は、哺乳動物の細胞における、3−ヨード−L−チロシンのin vivoにおける組込みに使用されている。「Sakamoto, K.ら, (2002) Nucleic Acids Res. 30:4692-4699」を参照のこと。
O−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼの使用は、天然にコードされていないアミノ酸をコードする特異的なコドンの選択に関与する。任意のコドンが使用され得るが、一般的にO−tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼが発現されている細胞において、まれにしか使用されないか、または決して使用されないコドンを選択することが好ましい。例えば、例示的なコドンとしては、ナンセンスコドン(例えば、ストップコドン(アンバー、オーカー、およびオパール))、4塩基以上のコドン、ならびにまれにしか使用されない、または使用されない他の天然の3塩基コドンが挙げられる。
特異的なセレクターコドンは、当該技術において公知の突然変異生成方法(部位特異的突然変異生成法、カセット突然変異生成法、制限選択突然変異生成法などが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、インスリンポリヌクレオチドのコード配列における適切な位置に導入され得る。
タンパク質の生合成機構の構成要素(例えば、天然にコードされていないアミノ酸を組み込むために使用され得るO−RS、O−tRNAおよびO−tRNA/O−RSの対)を生成する方法は、「Wang, L.ら Science 292: 498-500 (2001)」;「Chin, J. W.ら, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002)」;「Zhang, Z.ら, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)」に記載されている。天然にコードされていないアミノ酸のin vivoにおける組込みのための方法および組成物は、参考として本明細書に援用される米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。また、生体のin vivoにおける翻訳系に使用する、直交性のtRNA−tRNAシンテターゼの対を選択する方法は、参考として本明細書に援用される米国特許第7,045,337号明細書、および米国特許第7,083,970明細書に記載されている。その全体が参考として本明細書に援用される、国際公開第04/035743号パンフレット(発明の名称「Site Specific Incorporation of Keto Amino Acids into proteins」)には、ケトアミノ酸の組込み用の直交性のRSおよびtRNAの対について記載されている。その全体が参考として本明細書に援用される、国際公開第04/094593号パンフレット(発明の名称「Expanding the Eukaryotic Genetic Code」)には、真核宿主細胞における天然にコードされていないアミノ酸の組込み用の直交性のRSおよびtRNAの対について記載されている。
少なくとも1つの直交性の組換えアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を製造する方法は、(a)第1の生物からの少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを生成する工程、(b)天然にコードされていないアミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、直交性のtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化するメンバーについて、RS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを選択(および/またはスクリーニング)して、活性な(必要に応じて突然変異体の)RSのプールを提供する工程、および/または(c)天然にコードされていないアミノ酸の非存在下において、O−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性なRS(限定されないが、突然変異体のRSが挙げられる)のためのプールを選択して、少なくとも1つの組換えO−RSを提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの組換えO−RSは、天然にコードされていないアミノ酸を用いてO−tRNAを優先的にアミノアシル化する、方法である。上記第1の生物は、例えば、原核生物(Methanococcus jannaschii, Methanobacterium thermoautotrophicum, Halobacterium, Escherichia coli, A. fulgidus, P. furiosus, P. horikoshii, A. pernix, またはT. thermophilusなど)、あるいは、真核生物である。上記(c)工程では、必要に応じて、陰性選択によって、活性なRS(限定されないが、突然変異体のRSが挙げられる)のためのプールを選択してもよい。
一実施形態では、RSは、不活性なRSである。活性なRSを突然変異させることによって、不活性なRSを生成することができる。例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも10、あるいはそれ以上のアミノ酸を、異なるアミノ酸(アラニンなど)に突然変異させることによって、不活性なRSを生成することができる。
技術的に公知の様々な技術を用いて、RSの突然変異体のライブラリーを生成することができる。そのような技術として、例えば、RSについてのタンパク質の3次元構造に基づく合理的設計、または無作為的技術もしくは合理的設計技術におけるRSヌクレオチドの突然変異誘発法が挙げられる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、ランダム突然変異誘発法、多様性を生じる組換え突然変異誘発法、キメラコンストラクト、合理的設計、および本明細書に記載の方法によって、RSの突然変異体を生成することができる。
一実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、活性なメンバー(限定されないが、直交性のtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性なメンバーが挙げられる)について、RS(必要に応じて突然変異体のRS)のライブラリーを選択(および/またはスクリーニング)する工程は、(i)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陽性選択マーカーまたはスクリーニングマーカーと、RS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーとを複数の細胞へ導入する段階、(ii)選択剤の存在下において、複数の細胞を成長させる段階、ならびに(iii)選択剤および/またはスクリーニング剤の存在下において、陽性選択マーカーまたはスクリーニングマーカーにおける少なくとも1つのセレクターコドンを抑圧することによって、生存する(または特定の反応を示す)細胞を同定して、活性な(必要に応じて突然変異体の)RSのプールを含んでいる陽性選択された細胞の一部(subset)を提供する段階を含んでいる。上記陽性選択マーカーおよび/またはスクリーニングマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子である。上記セレクターコドンは、例えば、アンバーコドン、オーカーコドン、またはオパールコドンである。また、必要に応じて、選択剤および/またはスクリーニング剤の濃度を、変更することができる。
一態様では、陽性選択マーカーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子であり、セレクターコドンは、該CAT遺伝子におけるアンバー終止コドンである。必要に応じて、陽性選択マーカーは、β−ラクタマーゼ遺伝子であり、セレクターコドンは、該β−ラクタマーゼ遺伝子におけるアンバー終止コドンである。別の態様では、陽性スクリーニングマーカーとしては、蛍光スクリーニングマーカー、発光スクリーニングマーカー、またはアフィニティーに基づくスクリーニングマーカー(細胞表面マーカーなど)が挙げられる。
一実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸の非存在下において、O−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性なRS(必要に応じて突然変異体のRS)について、上記プールを陰性選択またはスクリーニングする工程は、(i)陽性選択またはスクリーニングからの活性な(必要に応じて突然変異体の)RSのプールと一緒に、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択マーカーまたはスクリーニングマーカーを、第2の生物の複数の細胞に導入する段階、ならびに(ii)天然にコードされていないアミノ酸とスクリーニング剤または選択剤とが補充された第1培養基では、生存するか、もしくは特定のスクリーニング反応を示すが、天然にコードされていないアミノ酸と選択剤またはスクリーニング剤とが補充されていない第2培養基では、生存しないか、もしくは特定のスクリーニング反応を示さない、細胞を同定して、少なくとも1つの組換えO−RSを有する生存細胞またはスクリーニングされた細胞を提供する段階を含んでいる。上記陰性選択マーカーおよび/またはスクリーニングマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子など)である。例えば、CAT同定のプロトコールは、必要に応じて、適切なO−RS組換え体の決定における陽性選択および/または陰性スクリーニングとしての役割を果たす。例えば、必要に応じて、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいるCATを含み、かつ1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる成長プレート上か、または1個以上の、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいない成長プレート上のどちらかにおいて、クローンのプールは複製される。したがって、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるプレートにおいて、排他的に成長するコロニーは、組換えO−RSを含んでいると見なされる。一態様では、選択(および/またはスクリーニング)剤の濃度は変更される。いくつかの態様では、第1の生物と第2の生物とは異なっている。よって、第1の生物および/または第2の生物は、原核生物、真核生物、哺乳動物、Escherichia coli、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などを、必要に応じて含んでいる。他の実施形態では、スクリーニングマーカーとしては、蛍光スクリーニングマーカー、発光スクリーニングマーカー、またはアフィニティーに基づくスクリーニングマーカーが挙げられる。
別の実施形態では、活性な(必要に応じての突然変異体の)RSについて、プールをスクリーニングまたは選択する工程(陰性選択する工程など)は、(i)陽性選択の工程(b)からの、活性な突然変異体のRSのためのプールを単離する段階、(ii)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択マーカーまたはスクリーニングマーカーと、活性な(必要に応じて突然変異体の)RSのプールとを、第2の生物の複数の細胞へ導入する段階、ならびに(iii)天然にコードされていないアミノ酸が補充されていない第一培養基では、生存するか、もしくは特定のスクリーニング反応を示すが、上記天然にコードされていないアミノ酸が補充されている第二培養基では、生存しないか、もしくは特定のスクリーニング反応を示さない細胞を同定して、上記天然にコードされていないアミノ酸に特異的な組換えO−RSを少なくとも1つ有する生存細胞またはスクリーニングされた細胞を提供する段階を含んでいる。上記少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる陰性選択またはスクリーニングマーカーは、例えば、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる毒性マーカー遺伝子(リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子など)である。一態様では、少なくとも1つのセレクターコドンは、約2つ以上のセレクターコドンを含んでいる。そのような実施形態は、必要に応じて、少なくとも1つのセレクターコドンが2つ以上のセレクターコドンを含んでおり、第1の生物と第2の生物とが異なっているということを含んでいてもよい。第1の生物と第2の生物とは、それぞれ、原核生物、真核生物、哺乳動物、Escherichia coli、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などを、必要に応じて含んでいる。また、いくつかの態様では、陰性選択マーカーは、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子(該遺伝子は少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる)を含んでいる。他の態様では、スクリーニングマーカーとしては、必要に応じて蛍光スクリーニングマーカー、発光スクリーニングマーカー、またはアフィニティーに基づくスクリーニングマーカーが挙げられる。本明細書における実施形態では、スクリーニングおよび/または選択は、必要に応じて、スクリーニングおよび/または選択のストリンジェンシーが変更されることを含んでいる。
一実施形態では、少なくとも1つの直交性の組換えアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を製造する方法は、(d)少なくとも1つの組換えO−RSを単離する工程、(e)少なくとも1つの組換えO−RSに由来するO−RS(必要に応じてO−RSの突然変異体)の第2組を生成する工程、ならびに(f)O−tRNAを優先的にアミノアシル化する能力を含んでいるO−RSの突然変異体が得られるまで、上記(b)工程と(c)工程とを繰り返す工程を、さらに含んでいてもよい。(d)工程〜(f)工程は、必要に応じて繰り返される(例えば少なくとも約2回)。一態様では、少なくとも1つの組換えO−RSに由来するO−RSの突然変異体の第2組は、突然変異誘発法によって生成されてもよい。該突然変異誘発法としては、例えば、ランダム突然変異誘発法、部位特異的突然変異誘発法、組換え、またはそれらの組合せが挙げられる。
上記方法における、陽性選択/スクリーニングの(b)工程、陰性選択/スクリーニングの(c)工程、または陽性および陰性選択/スクリーニングの(b)工程と(c)工程との両方などを含んでいる選択/スクリーニング工程のストリンジェンシーは、選択/スクリーニングのストリンジェンシーを変更する段階を必要に応じて含んでいる。別の実施形態では、陽性選択/スクリーニングの(b)工程、陰性選択/スクリーニングの(c)工程、または陽性および陰性選択/スクリーニングの(b)工程と(c)工程との両方は、レポーターを使用する段階を含んでおり、該レポーターは、蛍光活性化細胞分類(FACS)によって検出されるか、または発光によって検出されるものである。必要に応じて、上記レポーターは、ファージディスプレイ、または細胞表面などに提示される。また、上記レポーターは、天然にコードされていないアミノ酸またはその類似体に関するアフィニティーまたは触媒活性に基づいて選択される。一実施形態では、シンテターゼの突然変異体は、ファージディスプレイ、または細胞表面に提示される。
直交性の組換えtRNA(O−tRNA)を製造する方法は、(a)第1の生物からの少なくとも1つのtRNA(サプレッサtRNAなど)に由来するtRNAの突然変異体のライブラリーを生成する工程、(b)第1の生物からのRSの非存在下において、第2の生物からのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によって、アミノアシル化されるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーをスクリーニングまたは選択(陰性選択など)して、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを提供する工程、ならびに(c)導入された直交性のRS(O−RS)によってアミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの組換えO−tRNAを提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの組換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識するとともに、第2の生物からのRSによって効率的に認識されず、O−RSによって優先的にアミノアシル化される、方法である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのtRNAは、サプレッサーtRNAであるか、および/またはユニークな3塩基コドン、もしくはナンセンスコドン、レアコドン、非天然コドン、少なくとも4塩基を含んでいるコドン、アンバーコドン、オーカーコドンもしくはオパール終止コドンを含んでいる。ユニークな3塩基コドンは、天然および/または非天然の塩基の3塩基コドンである。一実施形態では、組換えO−tRNAの直交性は、改善されている。いくつかの実施形態では、O−tRNAが、修飾の必要なく、第2の生物から第1の生物へ必要に応じて移入されることが好ましい。様々な実施形態では、第1の生物と第2の生物とは、同じであるか、または異なっている。さらに、第1の生物と第2の生物とは、必要に応じて、原核生物(Methanococcus jannaschii, Methanobacteium thermoautotrophicum, Escherichia coli, Halobacteriumなど)、真核生物、哺乳動物、菌類、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などから選択される。さらに、組換えtRNAは、必要に応じて、天然にコードされていないアミノ酸によってアミノアシル化されるものであり、該天然にコードされていないアミノ酸は、天然にまたは遺伝子操作によって、in vivoにおいて生合成されるものである。天然にコードされていないアミノ酸は、少なくとも第1の生物または第2の生物の成長培養基に、必要に応じて加えられる。
一態様では、アミノアシルtRNAシンテターゼによってアミノアシル化される、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーをスクリーニングまたは選択(陰性選択など)する工程((b)工程)は、(i)少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる毒性マーカー遺伝子と、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のライブラリーとを、第2の生物からの複数の細胞へ導入する段階、ならびに(ii)少なくとも1つの直交性のtRNAまたは非機能的なtRNAを含んでいるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを含有している生存細胞を選択する段階を含んでいる。また、上記毒性マーカー遺伝子の代わりに、毒物もしくは静止剤の産生を引き起こす遺伝子、または生物にとって必須の遺伝子を用いてもよい(ただし、これらマーカー遺伝子は、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる)。例えば、細胞密度比の比較アッセイを用いて、生存細胞を選択することができる。
別の態様では、毒性マーカー遺伝子は、2つ以上のセレクターコドンを含んでいてもよい。上記方法の別の実施形態では、毒性マーカー遺伝子は、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子であり、該リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子は、少なくとも1つのアンバーコドンを含んでいる。必要に応じて、リボヌクレアーゼであるバルナーゼの遺伝子は、2つ以上のアンバーコドンを含んでいてもよい。
一実施形態では、導入された直交性のRS(O−RS)によって、アミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングする工程は、O−RSと一緒に陽性選択またはスクリーニングマーカー遺伝子と、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールとを、第2細胞からの複数の細胞へ導入する段階、ならびに抗生物質などの選択剤またはスクリーニング剤の存在下において成長した生存細胞、またはスクリーニングされた細胞を同定して、少なくとも1つの組換えtRNAを有する細胞のプールを提供する段階を含んでいてもよい。前述の少なくとも1つの組換えtRNAは、O−RSによってアミノアシル化され、かつ陽性マーカー遺伝子によってコードされた翻訳産物に、少なくとも1つのセレクターコドンに応じてアミノ酸を挿入する。上記陽性選択マーカー遺伝子は、薬剤耐性遺伝子、生物に必須の遺伝子、または毒物の解毒を導く遺伝子を含んでいる。上記薬剤耐性遺伝子としては、例えば、少なくとも1つのセレクターコドン(少なくとも1つのアンバー終止コドンなど)を含んでいるβ−ラクタマーゼ遺伝子が挙げられる。別の実施形態では、選択剤および/またはスクリーニング剤の濃度が変更される。
特異的なO−tRNA/O−RSの対を生成する方法が提供される。該方法は、(a)第1の生物からの少なくとも1つのtRNAに由来するtRNAの突然変異体のライブラリーを生成する工程、(b)第1の生物からRSの非存在下において、第2の生物からのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によって、アミノアシル化されるtRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)について、上記ライブラリーを陰性選択またはスクリーニングして、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを提供する工程、ならびに(c)導入された直交性のRS(O−RS)によってアミノアシル化されるメンバーについて、tRNA(必要に応じてtRNAの突然変異体)のプールを選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの組換えO−tRNAを提供する工程を含んでいる。少なくとも1つの組換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第2の生物からのRSによって効率的に認識されず、そして、O−RSによって優先的にアミノアシル化される。また、上記方法は、(d)第3生物からの少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRS(必要に応じてRSの突然変異体)のライブラリーを生成する工程、(e)天然にコードされていないアミノ酸と天然アミノ酸との存在下において、少なくとも1つの組換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化するメンバーについて、RSの突然変異体のライブラリーを選択またはスクリーニングして、活性な(必要に応じて突然変異体の)RSのプールを提供する工程、ならびに(f)天然にコードされていないアミノ酸の非存在下において、少なくとも1つの組換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性な(必要に応じて突然変異体の)RSについて、上記プールを陰性選択またはスクリーニングして、少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSの対を提供する工程を含んでおり、上記少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSの対は、天然にコードされていないアミノ酸に対して少なくとも1つの特異的な組換えO−RSと、少なくとも1つの組換えO−tRNAとを含んでいる、方法である。本方法によって製造される特異的O−tRNA/O−RSの対が含まれる。特異的O−tRNA/O−RSの対には、例えば、mutRNATyr−mutTyrRSの対(mutRNATyr−SS12TyrRSの対など)、mutRNALeu−mutLeuRSの対、mutRNAThr−mutThrRSの対、またはmutRNAGlu−mutGluRSの対などが含まれる。さらに、上記方法は、第1の生物および第3生物が、同じであること(例えばMethanococcus jannaschiiであること)を含んでいる。
また、本発明には、第2の生物のin vivoの翻訳系に使用するための直交性のtRNA−tRNAシンテターゼの対を選択する方法が含まれる。この方法は、第1の生物から単離されたか、または第1の生物に由来するマーカー遺伝子と、tRNAと、アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)とを、第2の生物からの細胞の第1組に導入する工程、上記マーカー遺伝子とtRNAとを、第2の生物からの複製した細胞の組に導入する工程、ならびに上記複製した細胞の組では生存できないが、上記第1組では生存する細胞について選択するか、上記複製した細胞の組では特定のスクリーニング反応を示さないが、上記第1組では特定のスクリーニング反応を示す細胞をスクリーニングする工程を含んでおり、上記第1組と複製した細胞の組とは、選択剤またはスクリーニング剤の存在下において成長させられ、生存細胞またはスクリーニングされた細胞は、第2の生物のin vivoの翻訳系に使用するための直交性のtRNA−tRNAシンテターゼの対を含んでいる、方法である。一実施形態では、比較および選択またはスクリーニングする工程は、in vivoでの相補性試験(complementation assay)を含んでいる。選択剤またはスクリーニング剤の濃度は変更可能である。
本発明の生物は、様々な生物および様々な組合せを含んでいる。例えば、本発明の方法の第1の生物および第2の生物は、同じであり得るか、または異なり得る。一実施形態では、上記生物は、必要に応じて原核生物である。該原核生物としては、例えば、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Halobacterium、Escherichia coli、A. fulgidus、P. furiosus、P. horikoshii、A. pernixまたはT. thermophilusなどが挙げられる。代わりに、上記生物は、必要に応じて真核生物を含み得る。該真核生物としては、例えば、植物(例えば、単子葉植物または双子葉植物などの複雑な生物)、藻類、原生生物、菌類(酵母など)、または動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物)などが挙げられる。別の実施形態では第2の生物は原核生物である。該原核生物としては、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Halobacterium、Escherichia coli、A. fulgidus、P. furiosus、P. horikoshii、A. pernixまたはT. thermophilusなどが挙げられる。代わりに第2の生物は真核生物であり得る。該真核生物としては、酵母、動物細胞、植物細胞、菌類または哺乳動物の細胞が挙げられる。種々の実施形態では、第1の生物および第2の生物は異なる。
<インスリンポリペプチドにおける天然に生じないアミノ酸の位置>
本発明は、インスリンポリペプチドに対する非天然に存在するアミノ酸の1個以上の組込みを意図する。天然に生じないアミノ酸の1個以上は、ポリペプチドの活性を破壊しない特定の位置に組み込まれ得る。これは、「保存的な」置換(疎水性のアミノ酸を用いた疎水性アミノ酸の置換、大きなアミノ酸を用いた大きなアミノ酸の置換、親水性のアミノ酸を用いた親水性アミノ酸の置換が挙げられるが、これらに限定されない)、および/または活性に不要な位置に天然に生じないアミノ酸を挿入することによって達成され得る。
広範な生化学的および構造的な手法は、インスリンポリペプチド内における天然にコードされていないアミノ酸を用いた置換を目的とする、所望の部位の選択に採用され得る。ポリペプチド鎖の任意の部位が、天然にコードされていないアミノ酸を組み込むための選択に好適であり、選択が任意の目的もしくは特に所望ではない目的に関して、合理的な設計、または無作為の選択に基づき得ることは、当業者に容易に理解される。所望の部位の選択は、任意の所望の性質、または活性を有するインスリン分子を産生するためであり得る。当該任意の所望の性質または活性としては、アゴニスト、スーパーアゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合修飾物質、受容体活性修飾物質、ダイマーもしくはマルチマー形成、本来の分子と比較して活性もしくは性質に対して変化がないこと、またはポリペプチドの物理学的もしくは化学的な性質(例えば、溶解性、凝集または安定性)を操作することなどが挙げられる。例えば、インスリンポリペプチドの生物活性に必要なポリペプチドにおける位置は、当該分野において公知の点突然変異分析、アラニン走査、生物活性に関する飽和変異生成およびスクリーニング、あるいは相同物スキャニング法を用いて同定され得る。インスリンポリペプチドを修飾する残基を同定するために使用され得る他の方法としては、配列プロファイリング(「Bowie and Eisenberg, Science 253(5016): 164-70, (1991)」)、回転異性体ライブラリー選択(「Dahiyat and Mayo, Protein Sci 5(5): 895-903 (1996)」;「 Dahiyat and Mayo, Science 278(5335): 82-7 (1997)」;「Desjarlais and Handel, Protein Science 4: 2006-2018 (1995)」;「Harburyら, PNAS USA 92(18): 8408-8412 (1995)」;「Konoら., Proteins: Structure, Function and Genetics 19: 244-255 (1994)」;「HellingaおよびRichards, PNAS USA91 : 5803-5807 (1994)」)、残基対ポテンシャル(residue pair potentials)(「Jones, Protein Science 3: 567-574, (1994)」)、プロテインデザインオートメーション(Protein Design Automation)(登録商標)を用いた合理的な設計(参考として本明細書
に援用される米国特許第6,188,965号明細書;米国特許第6,269,312号明細書;米国特許第6,403,312号明細書;国際公開第98/47089号パンフレットを参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。インスリンの生物活性にとって重要な残基、薬物の安定性に関わる残基、抗体エピトープ、または受容体結合残基が変異され得る。参考として本明細書に援用される米国特許第5,580,723号明細書;米国特許第5,834,250号明細書;米国特許第6,013,478号明細書;米国特許第6,428,954号明細書;および米国特許第6,454,561号明細書には、標的物質と共にポリペプチドの活性に影響する活性ドメインの同定によって、ポリペプチド(例えば、インスリン)の構造および機能を体系的に解析する方法について記載されている。アラニン走査突然変異生成法、または相同物スキャニング突然変異生成法によって、生物活性に重要であるとして同定されたもの以外の残基は、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、天然にコードされていないアミノ酸を用いた置換にとって、良好な候補物であり得る。また代替可能に、生物活性に重要であるとして同定された部位は、この場合もやはり、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、天然にコードされていないアミノ酸を用いた置換にとって、良好な候補物であり得る。他の代替可能物は、ポリペプチド鎖の各位置における、天然にコードされていないアミノ酸を用いた連続する置換を簡単に行い、ポリペプチドの活性に関する影響を観察するためのものである。非天然アミノ酸を用いた任意のポリペプチドへの置換に関する位置を選択する、任意の手段、技術または方法が、本発明における使用に好適であることは、当業者にとってたやすく理解される。
また、欠失を含んでいるインスリンポリペプチド変異体の構造および活性は、天然にコードされていないアミノ酸を用いた置換を許容できると思われるタンパク質の領域を決定するために試験され得る。同様の手法において、プロテアーゼ消化およびモノクロナル抗体が、インスリン受容体との結合を担っているインスリンの領域を同定するために使用され得る。天然にコードされていないアミノ酸を用いた置換を許容できると思われる残基が排除されると、残りの位置のそれぞれにおける提唱されている置換の影響について試験され得る。モデルは、他のインスリンファミリーのメンバーおよびインスリン受容体の3次元結晶構造から生成され得る。プロテインデータバンク(PDB、rcsb.org上のワールドワイドウェブにおいて利用可能である)は、巨大分子のタンパク質および核酸の3次元結晶構造を含んでいる集中化されたデータベースである。モデルは、3次元構造が利用可能ではない場合に、ポリペプチドの二次構造および三次構造の調査を可能にする。したがって、当業者は、天然にコードされていないアミノ酸を用いて置換し得るアミノ酸位置を容易に同定し得る。
いくつかの実施形態において、本発明のインスリンポリペプチドは、ポリペプチドの二次構造を破壊しないタンパク質の領域に位置される、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる。
天然にコードされていないアミノ酸の組込みの例示的な残基は、受容体結合領域として見込のある領域以外にある残基であり得る。また、当該残基は、完全または部分的に溶媒にさらされ得る残基である。また、当該残基は、近傍の残基と最小の水素結合相互作用を有するか、または近傍の残基と水素結合相互作用を有しない残基である。また、当該残基は、近傍の反応性残基に対して最小にさらされ得る残基である。また、当該残基は、露出表面の1つ以上に存在し得る残基である。また、当該残基は、第2のインスリン、またはこれらの他の分子もしくはフラグメントと並ぶ、単一または複数の部位であり得る残基である。また、当該残基は、インスリンの3次元構造、二次構造、三次構造または4次構造によって予想されるような、自由度の高い領域または構造的に堅固な領域に存在し得る残基である。また、当該残基は、その受容体と結合するか、もしくは結合しない残基、または他の生物学的に活性な分子と結合するか、もしくは結合しない残基である。また、当該残基は完全な構造の自由度または堅固さを所望のとおりに変更することによって、インスリン自身、または1個以上のインスリンを含むダイマーもしくはマルチマーの高次構造を修飾し得る残基である。
当業者であれば、インスリンのそのような分析によって、タンパク質の三次構造内に覆われるアミノ酸残基と比較して表面に露出されるアミノ酸残基の決定が可能なことを認識する。したがって、表面に露出した残基であるアミノ酸を天然にコードされていないアミノ酸に置換することは、本発明の一実施形態である。
天然にコードされていないアミノ酸の1個以上は、インスリンにおける以下の位置の1つ以上の組み込まれる:A鎖における1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1)、あるいはB鎖における1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)(配列番号2)。
インスリンの結晶構造、およびインスリン受容体との相互作用の試験は、あるアミノ酸残基が溶媒と完全または部分的に溶媒と接触可能である側鎖を有することを示し得る。これらの位置における天然にコードされていないアミノ酸の側鎖は、タンパク質の表面から外側に、そして溶媒の中に向かっている。
いくつかの実施形態において、以下の位置の1つ以上における天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結される:A鎖における1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1)、あるいはB鎖における1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)(配列番号2)。
広範な天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンポリペプチドの所定の位置に対して置換され得るか、またはインスリンポリペプチドの所定の位置に組み込まれ得る。一般的に、特定の天然にコードされていないアミノ酸は、その受容体を伴うインスリンポリペプチド、他のインスリンファミリーまたはインスリン類似体の3次元結晶構造の調査、天然にコードされていないアミノ酸に基づく保存的な置換に対する好ましさ、およびインスリンポリペプチドへ導入するために所望する特定の抱合化学的性質に基づいて、組込みのために選択される。天然にコードされていないアミノ酸に基づく保存的な置換は、すなわち、Phe、TysまたはTrpに対するアリールに基づく天然にコードされていないアミノ酸(例えば、p−アセチルフェニルアラニンまたはO−プロパルギルチロシン)の置換である。すなわち、Phe、TysまたはTrpに対するアリールに基づく天然にコードされていないアミノ酸(例えば、p−アセチルフェニルアラニンまたはO−プロパルギルチロシン)の置換は、例えば、アルキル部分を有する水溶性ポリマーとのヒュスゲン[3+2]付加環化をもたらすこと、またはホスフィン部分を順番に組み込むアリールエステルを有する水溶性ポリマーとのアミド結合形成を望む場合には、4−アジドフェニルアラニンの導入である。
一実施形態では、方法は、天然でないアミノ酸をポリペプチドに組み込むことをさらに含み、ここで、天然でないアミノ酸は、第1の反応性基;および第2の反応性基を含む分子(標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、アフィニティー標識、フォトアフィニティー標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似体、抗体もしくは抗体フラグメント、金属キレート剤、補助因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属を含有する部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基、光でケージ化する部分、化学線によって励起可能な部分、光で異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学切断可能な基、光切断可能な部分、延長された側鎖、炭素に結合される糖、酸化還元活性のある剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体で標識された部分、生物物理学的なプローブ、燐光性の基、化学発光性の基、電子密度の高い基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギーを伝達する剤、生物学的に活性な薬剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、放射性ヌクレオチド、放射性伝達物質、中性子を捕獲する剤、または上述のものの任意の組合せ、または他の所望の化合物もしくは物質が挙げられるが、これらに限定されない)とのタンパク質の接続を含む。第1の反応性基は、第2の反応性基と反応して、[3+2]付加環化を介して天然でないアミノ酸に分子を付与する。1つの実施形態において、第1の反応性基はアルキニル部分またはアジド部分であり、第2の反応性基はアジド部分またはアルキニル部分である。例えば、第1の反応性基がアルキニル部分(天然でないアミノ酸であるp−プロパルギルオキシフェニルアラニンにおけるアルキニル部分が挙げられるが、これに限定されない)であり、第2の反応性基はアジド部分である。他の例において、第1の反応性基はアジド部分(天然でないアミノ酸であるp−アジド−L−フェニルアラニンにおけるアジド部分が挙げられるが、これに限定されない)であり、第2の反応性基はアルキニル部分である。
いくつかの場合において、天然にコードされていないアミノ酸置換は、インスリンポリペプチド内の他の付加、置換または欠失と組み合わせられて、インスリンポリペプチドの他の生物学的特色に影響を及ぼす。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、インスリンポリペプチドの安定性(タンパク質分解性の消化に対する耐性が挙げられるが、これに限定されない)を増強し得るか、またはその受容体に対するインスリンポリペプチドのアフィニティーを増強し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、インスリンポリペプチドの薬物の安定性を増強し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、インスリンポリペプチドの溶解性(E. coliまたは他の宿主細胞において発現される場合が挙げられるが、これらに限定されない)を増強し得る。いくつかの実施形態において、付加、置換または欠失は、E. coliまたは他の組換え宿主細胞における発現の後における、ポリペプチドの溶解性を増強し得る。いくつかの実施形態において、部位は、E. coliまたは他の組換え宿主細胞における発現の後における、ポリペプチドの溶解性の増強を生じる非天然アミノ酸の組込みに関する他の部位に加えて、天然にコードされるアミノ酸、または非天然アミノ酸を用いた置換に関して選択される。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、インスリンポリペプチドの受容体、結合タンパク質、関連リガンドに対するアフィニティーを調節するか、インスリン受容体に対する結合後におけるシグナル伝達を調節するか、受容体ダイマー形成を調節(低減または増強が挙げられるが、これらに限定されない)するか、受容体ダイマーを安定化するか、循環半減期を調節するか、放出もしくは生物学的利用性を調節するか、精製を容易にするか、または特定の投与経路を改善もしくは変更する、他の付加、置換または欠失を含む。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、受容体に対するインスリンバリアントのアフィニティーを増強する付加、置換または欠失を含む。同様に、インスリンポリペプチドは、化学的もしくは酵素的な切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリ−Hisが挙げられるが、これらに限定されない)もしくは他のアフィニティーに基づく配列、または連結分子(ビオチンが挙げられるが、これに限定されない)を含み得る。当該連結分子は、検出(GFPが挙げられるが、これに限定されない)、精製、組織もしくは細胞膜を介した輸送、プロドラッグの放出もしくは活性化、インスリンポリペプチドの大きさの低下またはポリペプチドの他の特色を向上させる。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸の置換は、インスリンアンタゴニストを生成する。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、受容体結合と関連する領域に置換されているか、または付加されている。いくつかの実施形態において、インスリンアンタゴニストは、インスリンにアンタゴニストとしての機能を生じさせる少なくとも1つの置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、インスリンアンタゴニストは、インスリン分子の受容体結合領域において水溶性ポリマーに連結されている天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる。
いくつかの場合において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のアミノ酸が、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上用いて置換される。いくつかの場合において、インスリンポリペプチドは、天然アミノ酸に対する天然にコードされていないアミノ酸の、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の置換を、さらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、インスリンにおける1個以上の残基が、天然にコードされていないアミノ酸の1個以上によって置換される。いくつかの場合において、非天然にコードされる残基の1個以上は、1つ以上の低分子量の線状PEGまたは枝分かれPEGに連結されることによって、結合アフィニティーが増強され、単一の高分子量のPEGに連結される種と血清半減期が同等になる。
いくつかの実施形態において、インスリンの2つ以下の残基が天然にコードされていないアミノ酸の1個以上と置換されている。
<非真核生物および真核生物における発現>
クローン化されたポリヌクレオチドの高水準な発現量を得るために、本発明のインスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写を導く強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネータ、さらにタンパク質をコードする核酸用であれば、翻訳開始に関するリボソーム結合部位を含んでいる、発現ベクターにサブクローニングする。適切な細菌性プロモーターは、当業者に公知であり、例えば「Sambrookら」および「Ausubelら」に記載されている。
本発明のインスリンポリペプチド発現のための細菌性発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp. 、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida、およびSalmonellaにおいて使用できる(「Palvaら Gene 22:229-235(1983)」、「Mosbachら Nature 302:543-545(1983)」)。当該発現系のためのキットは市販されている。哺乳動物の細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核生物発現系も同様に市販されている。直交性のtRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼ(上述されている)が本発明のインスリンポリペプチドを発現するために使用される場合、発現のための宿主細胞は、該宿主細胞の直交性の構成要素を使用する能力に基づいて選択される。典型的な宿主細胞としては、グラム陽性細菌(B. brevisまたはB. subtilis、もしくはStreptomycesが挙げられるが、これらに限定されない)、およびグラム陰性細菌(E.coli、またはPseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putidaが挙げられるが、これらに限定されない)、ならびに酵母およびその他の真核細胞が挙げられる。O−tRNA/O−RS対を含んでいる細胞は、本明細書に記載のように用いることができる。
本明細書に記載のように真核宿主細胞または非真核宿主細胞は、天然でないアミノ酸を含んでいるポリペプチドを、有用かつ大量に合成する能力を提供する。ある態様において組成物は、例えば少なくとも10マイクログラム、少なくとも50マイクログラム、少なくとも75マイクログラム、少なくとも100マイクログラム、少なくとも200マイクログラム、少なくとも250マイクログラム、少なくとも500マイクログラム、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも100ミリグラム、少なくとも1グラム、もしくはそれ以上の天然でないアミノ酸を含んでいるポリペプチドを任意に含有しているか、またはin vivoにおけるポリペプチド製造方法(組換えタンパク質の製造および精製の詳細については本明細書において提供する)によって得られる量を含有している。別の態様において、タンパク質は、例えば、特に限定されないが、細胞溶解物、緩衝液、薬理学的な緩衝液、またはその他の液体懸濁液(特に限定されないが、約1nL〜約100L、またはそれ以上のどの量も含む)中に、特に限定されないが、少なくとも10μg/Lのタンパク質、少なくとも50μg/Lのタンパク質、少なくとも75μg/Lのタンパク質、少なくとも100μg/Lのタンパク質、少なくとも200μg/Lのタンパク質、少なくとも250μg/Lのタンパク質、少なくとも500μg/Lのタンパク質、少なくとも1mg/Lのタンパク質、少なくとも10mg/Lのタンパク質またはそれ以上の濃度で、組成物に任意に存在する。少なくとも1個の天然でないアミノ酸を含んでいる真核細胞において、タンパク質の大量生産(他の方法(in vitroでの翻訳が挙げられるが、これに限定されない)を用いて一般的に可能な量よりも多い量)は、本発明の特徴である。
本明細書に記載されているような真核宿主細胞または非真核宿主細胞は、天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質を、有用かつ大量に生合成する能力を提供する。例えば、天然でないアミノ酸を含んでいるポリペプチドは、特に限定されないが、細胞抽出物、細胞溶解物、細胞培地、および/または緩衝液などにおいて、少なくとも10μg/L、少なくとも50μg/L、少なくとも75μg/L、少なくとも100μg/L、少なくとも200μg/L、少なくとも250μg/L、少なくとも500μg/L、少なくとも1mg/L、少なくとも2mg/L、少なくとも3mg/L、少なくとも4mg/L、少なくとも5mg/L、少なくとも6mg/L、少なくとも7mg/L、少なくとも8mg/L、少なくとも9mg/L、少なくとも10mg/L、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900mg/L、1g/L、5g/L、10g/L、またはそれ以上のポリペプチド濃度で製造することができる。
インスリンの発現にとって好適な多くのベクターは市販されている。真核生物宿主にとって有用な発現ベクターとしては、SV40由来の発現制御配列を含んでいるベクター、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスが挙げられる。このようなベクターとしては、pCDNA3.1(+)Hyg(インビトロジェン、チャールズバッド、カリフォルニア州、USA)およびpCI−neo(ストラタジーン、ラ ホーヤ、カリフォルニア州、USA)挙げられるが、これらに限定されない。細菌プラスミド、宿主範囲のより広いプラスミド、ファージDNA、および他のDNAファージが使用され得る。細菌プラスミドは、例えば細菌由来のプラスミド(pBR322、pET3aおよびpET12aが挙げられる)である。宿主範囲のより広いプラスミドは、例えばRP4である。ファージDNAは、例えばファージラムダの多くの誘導体(例えばNM989)である。他のDNAファージは、例えばM13および糸状一本鎖DNAファージである。2μプラスミドおよびこれらの誘導体、POT1ベクター(参考として本明細書に援用される米国特許第4,931,373号明細書)、「Okkels, Ann. New York Aced. Sci. 782, 202 207, 1996」に記載のpJSO37ベクター、ならびにpPICZ A、BまたはC(インビトロジェン)が、酵母宿主細胞に対して使用され得る。昆虫細胞用のベクターとしては、pVL941、pBG311(「Cateら., 「Isolation of the Bovine and Human Genes for Mullerian Inhibiting Substance And Expression of the Human Gene In Animal Cells」, Cell, 45, pp. 685 98 (1986)」)、pBluebac 4.5およびpMelbac(インビトロジェン、チャールズバッド、カリフォルニア州)が挙げられるが、これらに限定されない。
また、インスリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする配列を含み得るか、または含み得ない。シグナルペプチドは、ポリペプチドがその発現される細胞から分泌される場合に存在する。当該シグナルペプチドは、任意の配列であり得る。シグナルペプチドは原核生物または真核生物であり得る。「Coloma, M (1992) J. Imm. Methods 152:89 104」には、哺乳動物の細胞に使用されるシグナルペプチド(マウスのIgκ軽鎖シグナルペプチド)について記載されている。他のシグナルペプチドとしては、S.セレビジアエ由来のα因子(参考として本明細書に援用される米国特許第4,870,008号明細書)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(「O. Hagenbuchleら., Nature 289, 1981, pp. 643-646」)、修飾カルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(「L. A. Vallsら., Cell 48, 1987, pp. 887-897」)、酵母BAR1シグナルペプチド(参考として本明細書に援用される国際公開第87/02670号パンフレット)、および酵母アスパラギン酸プロテアーゼ(YAP3)シグナルペプチド(「M. Egel-Mitaniら., Yeast 6, 1990, pp. 127-137」を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な哺乳動物の宿主細胞の例は、当業者にとって公知である。当該宿主細胞は、チャイニーズハムスター子宮頸がん(CHO)細胞(例えばCHO−K1;ATCC CCL−61)、サバンナモンキー細胞(COS)(例えばCOS1(ATCC CRL−1650)、COS7(ATCC CRL−1651))、マウス細胞(例えばNS/O)、乳児ハムスターの腎臓(BHK)細胞株(例えばATCC CRL−1632またはATCC CCL−10)、ヒト細胞(例えばHEK293(ATCC CRL−1573)、および組織培養における植物細胞)であり得る。これらの細胞株およびその他は、適切な受託機関(例えばAmerican Type Culture Collection、ロックビル、Md)から入手可能である。インスリンポリペプチドの向上したグリコシル化を提供するために、哺乳動物の宿主細胞は、シアルトランスフェラーゼ(例えば1,6−シアルトランスフェラーゼ(例えば、参考として本明細書に援用される米国特許第5,047,335に記載のようなシアルトランスフェラーゼ))を発現するように改変される。
哺乳動物の宿主細胞に外因性のDNAを導入する方法としては、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルスベクター、ならびにリポフェクタミン(Lipofectamin)2000を用いたLife Technologies Ltd, Paisley, UKおよびFuGENE6を用いたRoche Diagnostics Corporationに説明されているトランスフェクション法が挙げられるが、これらに限定されない。これらの技術は、当該分野において公知であり、「Ausbelら. (eds.), 1996, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, USA」に説明されている。哺乳動物の細胞の培養は、確立されている方法(例えば、「Animal Cell Biotechnology, Methods and Protocols, Edited by Nigel Jenkins, 1999」、「Human Press Inc. Totowa, N. J., USA and Harrison Mass.」および「Rae IF, General Techniques of Cell Culture, Cambridge University Press 1997」に開示されている方法)にしたがって実施され得る。
<発現系、培養および単離>
任意の数の適切な発現系において、インスリンポリペプチドを発現させ得る。該発現系としては、例えば、酵母、昆虫、哺乳動物、および細菌などが挙げられる。典型的な発現系の例を以下に示す。
(酵母)
本明細書で用いられる用語「酵母」は、インスリンポリペプチドをコードする遺伝子を発現する能力がある種々の酵母を含むことを意図している。当該酵母としては、例えば、ascosporogenous酵母(Endomycetales)、basidiosporogenous酵母、およびFungi imperfecti (Blastomycetes)の群に属する酵母が挙げられる。ascosporogenous酵母は、SpermophthoraceaeおよびSaccharomycetaceaeという2つのファミリーに分けられる。後者は4つのサブファミリーから成っており、Schizosaccharomycoideae (例えば、Schizosaccharomyces属)、Nadsonioideae、Lipomycoideae、およびSaccharomycoideae(例えば、Pichia属、Kluyveromyces属、およびSaccharomyces属)である。basidiosporogenous酵母としては、Leucosporidium属、Rhodosporidium属、Sporidiobolus属、Filobasidium属、およびFilobasidiella属を含む。Fungi imperfecti(Blastomycetes)の群に属する酵母としては、Sporobolomycetaceae(例えば、Sporobolomyces属およびBullera属)、ならびにCryptococcaceae(例えば、Candida属)という2つのファミリーに分けられる。
本発明を用いた使用に関して特に所定の種としては、Pichia属、Kluyveromyces属、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Hansenula属、Torulopsis属、およびCandida属内の種としては、P. pastoris、P. guillerimondii、S. cerevisiae、S. carlsbergensis、S. diastaticus、S. douglasii、S. kluyveri、S, norbensis、S. oviformis、K. lactis、K. fragilis、C. albicans、C. maltosa、およびH. polymorphaが挙げられるが、特にこれらには限定されない。
インスリンポリペプチドの発現に好適な酵母の選択は、当業者の技術範囲にある。発現のための酵母宿主を選択するとき、適切な宿主としては、例えば、良好な分泌能、低いタンパク質分解活性、および総合的な強健さが認められるものであればよい。酵母は、一般的に様々な供給源から入手可能であり、例えば、Yeast Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics University of California (Berkeley, CA)、およびThe American Type Culture Collection(「ATCC」)(Manassas,VA) などから入手できる。
用語「酵母宿主」または「酵母宿主細胞」は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容体として使用し得るか、または使用されている酵母を含む。この用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け容れている、元々の酵母宿主細胞の子孫を含んでいる。1つの親細胞の子孫は、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの相補体において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致しなくてもよいことを理解されたい。関連する性質(例えば、インスリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在)によって特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義に基づいて意図される子孫に含まれる。
発現ベクターおよび形質転換ベクター(染色体外レプリコンまたは組込みベクターなど)は、多くの酵母宿主中に形質転換するために開発された。例えば、発現ベクターは、S.cerevisiae(「Sikorskiら, Genetics(1998)122:19」、「Itoら, J. Bacteriol. (1983) 153:163」、「Hinnenら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:1929」)、C.albicans(「Kurtzら, Mol.Cell.Biol.(1986)6:142」)、C.maltosa(「Kunzeら, J.Basic Microbiol.(1985)25:141」)、H.polymorpha(「Gleesonら, J.Gen.Microbiok. (1986)132:3459」、「Roggenkampら, Mol.Gen.Genet. (1986)202:302」)、K.fragilis(「Dasら, J.Bacteriol. (1984)158:1165」)、K.lactis(「De Louvencourtら, J.Bacteriol(1983)154:737」、「Van den Bergら, Bio/Technology(1990)8:135」)、P.guillerimondii(「Kunzeら, J.Basic Microbiol.(1985)25:141」)、P.pastoris(米国特許出願第5,324,639号明細書、米国特許出願第4,929,555号明細書、および米国特許出願第4,837,148号明細書、「Creggら, Mol.Cell.Biol. (1985)5:3376」)、Schizosaccharomyces pombe(「Beachら,Nature(1981)300:706」)、Y.lipolytica、A.nidulans(「Ballanceら, Biochem.Biophy.Res.Commum. (1983)112:284-89」、「TiburnらGene(1983)26:205-221」、および「YeltonらProc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81:1470-74」)、A.niger(Kelly and Hynes,EMBO J. (1985)4:475-479)、T.reesia(欧州特許出願公開第0244234号明細書)、および糸状菌(例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladium(国際公開第91/00357号パンフレット)など)に対して開発された。なお、各文献は引用によって本明細書に援用される。
酵母ベクターの制御配列は、当業者に公知であり、その例としては、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(欧州特許出願公開第0284044号明細書)、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸−デヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)(欧州特許出願公開第0329203号明細書)などの遺伝子から得られるプロモーター領域が挙げられるが、これらに限定されない。また、酸性ホスファターゼをコードしている酵母のPHO5遺伝子は、有用なプロモーター配列を提供し得る(「Miyanoharaら,PROC.NATL.ACAD.SCI.USA(1983)80:1」)。酵母宿主と共に用いるために適切な他のプロモーター配列には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(「Hitzemanら, J. BIOL. CHEM. (1980)255(4):12073-12080」)、および他の解糖系の酵素(例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、およびグルコースリン酸イソメラーゼ(「Hollandら,BIOCHEMISTRY(1978)17(23):4900-4907」、「Hessら,J.ADV.ENZYME REG.(1969)7:149-167」))が含まれ得る。増殖条件によって転写が制御されるという付加的な利点を有する、酵母の誘導性プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素にとってのプロモーター領域を含んでもよい。酵母発現のための使用に適切なベクターおよびプロモーターは、欧州特許出願公開第0073657号明細書にさらに記載されている。
また、酵母エンハンサーを、酵母プロモーターと共に用いてもよい。さらに、合成プロモーターもまた、酵母プロモーターとして機能してもよい。例えば、酵母プロモーターの上流活性化配列(UAS)を別の酵母プロモーターの転写活性化領域につなぎ、合成混成プロモーターを作製してもよい。上記混成プロモーターとしては、例えば、GAPの転写活性領域に連結されたADH調節配列が挙げられる。米国特許出願第4,880,734号明細書および米国特許出願第4,876,197号明細書を参照すればよく、これらの文献は引用によって本明細書に援用される。混成プロモーターの他の例としては、ADH2、GAL4、GAL10、またはPHO5遺伝子の調節配列から成るプロモーターが挙げられる。これらのプロモーターは、例えば、GAPまたはPyKのような解糖系の酵素遺伝子の転写活性領域と組み合わせられる。欧州特許出願公開第0164556号明細書を参照のこと。さらに、酵母プロモーターは、酵母のRNAポリメラーゼとの結合能、および転写開始能を有する、非酵母系の天然に存在するプロモーターを含んでいてもよい。
酵母発現ベクターの一部を構成し得る他の制御要素はとしては、例えばGAPDHまたはエノラーゼ遺伝子に由来するターミネータ(「Hollandら, J.BIOL.CHEM.(1981)256:1385」を参照のこと)が挙げられる。さらに、2μプラスミドの起点に由来する複製起点は、酵母に適している。酵母中で使用するために適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドに存在するtrpl遺伝子である。「Tschumperら, GENE(1980)10:157」、「Kingsmanら, GENE(1979)7:141」を参照のこと。trpl遺伝子は、トリプトファンにおいて増殖能を欠如している酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。同様にLeu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
外因性DNAを酵母宿主に導入する方法は、当業者に公知であり、その例としては、例えば、アルカリイオンによって処理された無傷の酵母宿主細胞またはスフェロプラストのいずれかの形質転換が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酵母の形質転換は、「Hsiaoら, PROC.NATL.ACAD.SCI.USA(1979)76:3829」および「Van Solingenら, J.BACT. (1977)130:946」に記載の方法にしたがって、実施され得る。しかし、例えば、核注入、エレクトロポレーション、または原形質融合によってDNAを細胞に導入する他の方法も、「SAMBROOKら, MOLECULAR CLONING: A LAB. MANUAL (2001)」に通常に記載されているように、使用され得る。その後、酵母宿主細胞を当業者に公知の標準的な技術を用いて培養してもよい。
酵母宿主細胞中において異種タンパク質を発現させる他の方法は、当業者に公知の技術である。一般的に、米国特許出願公開第2002/0055169号明細書、米国特許出願第6,361,969号明細書、米国特許出願第6,312,923号明細書、米国特許出願第6,183,985号明細書、米国特許出願第6,083,723号明細書、米国特許出願第6,017,731号明細書、米国特許出願第5,674,706号明細書、米国特許出願第5,629,203号明細書、米国特許出願第5,602,034号明細書、および米国特許出願第5,089,398号明細書、米国再発行特許発明第RE37,343号明細書、および米国再発行特許発明第RE35,749号明細書、国際公開第99/07862号パンフレット、国際公開第98/37208号パンフレット、国際公開第98/26080号パンフレット、欧州特許出願公開第0946736号明細書、欧州特許出願公開第0732403号明細書、欧州特許出願公開第0480480号明細書、国際公開第90/10277号パンフレット、欧州特許出願公開第460071号明細書、欧州特許出願公開第0340986号明細書、欧州特許出願公開第0329203号明細書、欧州特許出願公開第0324274号明細書、および欧州特許出願公開第0164556号明細書を参照のこと。また、「Gellissenら, ANTONIE VAN LEEUWENHOEK(1992)62(1-2):79-93」、「Romanosら, YEAST(1992)8(6):423-488」、「Goeddel,METHODS IN ENZYMOLOGY(1990)185:3-7」を参照のこと。これらの文献は引用によって本明細書に援用される。
当業者にとって公知の標準の供給バッチ発酵方法(standard feed batch fermentationmethod)を用いて、増幅段階の間に酵母宿主株を発酵槽において成長させてもよい。この発酵方法は、特定の酵母宿主の炭素利用経路または発現制御の様式の差異を説明するために適用されてもよい。例えば、Saccharomyces酵母宿主の発酵は、1つのグルコース飼料、複合的な窒素源(カゼイン加水分解物など)および複数のビタミン補助物を必要としてもよい。これに対し、メチル栄養性(methylotrophic)酵母であるP.pastorisは、グリセロール、メタノール、および微量ミネラル試料を必要としてもよく、最適な成長および発現については単純なアンモニウム(窒素)塩だけを必要とする。例えば、米国特許出願第5,324,639号明細書、「Elliottら,J.PROTEIN CHEM.(1990)9:95」、および「Fieschkoら, BIOTECH.BIOENG.(1987)29:1113」を参照のこと。なお、これら文献は引用によって本明細書に援用される。
しかし、上記発酵方法は、使用される酵母宿主株とは無関係な特定の共通の特徴を有していてもよい。例えば、成長限界栄養素(通常は炭素)を、増幅段階の間に発酵槽に添加して、最大限の成長を可能にしてもよい。さらに、発酵方法は、一般的に、十分な量の炭素、窒素、基本塩、リン、および他の微量栄養素(ビタミン、微量無機物、および塩など)を含むように調製された発酵培地を用いてもよい。例えば、Pichiaと共に用いるのに適した発酵培地は米国特許出願第5,324,639号明細書および米国特許出願第5,231,178号明細書に記載されており、これら文献は、引用によって本明細書に援用される。
(バキュロウイルス感染昆虫細胞)
「昆虫宿主」または「昆虫宿主細胞」という用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容物として使用し得るか、または使用されている昆虫をいう。この用語は、トランスフェクトされた元々の昆虫宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫が、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことは理解される。関連する性質により特徴付けられる親細胞と十分に類似する親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。ここで、関連する性質は、例えば、インスリンポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の存在である。インスリンが任意の数の宿主(細菌、哺乳動物の細胞、昆虫細胞、酵母または菌類が挙げられるが、これらに限定されない)において生合成され得るので、インスリンポリペプチドのバキュロウイルス発現は、本発明、およびrDNA技術、これらのポリペプチドもしくは前駆体の使用において有用である。本発明の一実施形態は、細菌、酵母または哺乳動物の細胞における、インスリン、修飾されたインスリン、インスリンポリペプチド、またはインスリン類似体の生合成を包含している。本発明の他の実施形態は、E. coliまたは酵母においてなされる生合成を包含している。哺乳動物の細胞および形質転換動物における生合成の例が、「Hakola, K.(Molecular and Cellular Endocrinology, 127:59-69, (1997))」に記載されている。
ポリペプチド発現にとって適した昆虫細胞の選択は当業者に公知である。いくつかの昆虫種は、当該分野において十分に説明されており、かつAedes asgypti、Bombyx mori、Drosophia melanogaster、Spodoptera frugiperdaおよびTrichoplusia niなどが市販されている。発現用の昆虫宿主の選択において、適切な宿主としては、特に、良好な分泌能、低いタンパク質分解活性、および総合的な強健さを有することが示されている宿主であってもよい。昆虫は、Insect Genetic Stock Center、Department of biophysics and Medical Physics,University of California(Berkeley、CA)およびthe American Type CutureCollection(「ATCC」)(Manassas、VA)を含む、様々な供給源から入手することができ
るが、これらに限定されない。
一般的に、バキュロウイルスに感染した昆虫の発現系の構成要素は、バキュロウイルスのゲノムフラグメント、および発現される異種遺伝子の挿入に便利な制限酵素認識部位の両方を含んでいるトランスファーベクター(通常は細菌性プラスミド)、当該トランスファーベクターにおけるバキュロウイルスに特異的なフラグメントに対して、相同な配列を有する(これにより、バキュロウイルスゲノムに対する異種遺伝子の相同組換えが可能になる)野生型バキュロウイルス、ならびに適切な昆虫宿主細胞および成長培養基を含んでいる。ベクターのコンストラクション、細胞のトランスフェクション、プラークの選択、または培養における細胞の成長などに用いられる材料、方法および技術は、当該分野において公知であり、これらの技術が記載されている手引書が利用可能である。
異種遺伝子をトランスファーベクターに挿入した後に、該ベクターおよび野生型ウイルスゲノムを、当該ベクターと当該ウイルスゲノムとが組換えを起こす昆虫宿主細胞に、トランスフェクションする。パッケージングされた組換えウイルスが発現され、かつ組換え体プラークが同定および精製される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系にとっての材料および方法は、例えば、Invitrogen(Carlsbad、CA)が提供している、キットの様式において市販されている。これらの技術は、当業者にとって公知であり、「SUMMERS AND SMITH,TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN No.1555(1987)」に十分に記載されている。当該文献は引用によって本明細書に援用される。また、「RICHARDSON,39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY:BACULOVIRUS EXPRESSION PROTOCOLS(1995)」、「AUSUBELら, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY 16.9-16.11(1994)」、「KING AND POSSEE,THE BACULOVIRUS SYSTEM:A LABORATORY GUIDE(1992)」および「O’REILLYら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL(1992)」を参照のこと。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系を用いた、様々な異種タンパク質の製造は、当業者にとって公知である。例えば、米国特許出願第6,368,825号明細書、米国特許出願第6,342,216号明細書、米国特許出願第6,338,846号明細書、米国特許出願第6,261,805号明細書、米国特許出願第6,245,528号明細書、米国特許出願第6,225,060号明細書、米国特許出願第6,183,987号明細書、米国特許出願第6,168,932号明細書、米国特許出願第6,126,944号明細書、米国特許出願第6,096,304号明細書、米国特許出願第6,013,433号明細書、米国特許出願第5,965,393号明細書、米国特許出願第5,939,285号明細書、米国特許出願第5,891,676号明細書、米国特許出願第5,871,986号明細書、米国特許出願第5,861,279号明細書、米国特許出願第5,858,368号明細書、米国特許出願第5,843,733号明細書、米国特許出願第5,762,939号明細書、米国特許出願第5,753,220号明細書、米国特許出願第5,605,827号明細書、米国特許出願第5,583,023号明細書、米国特許出願第5,571,709号明細書、米国特許出願第5,516,657号明細書、米国特許出願第5,290,686号明細書、国際公開第02/06305号パンフレット、国際公開第01/90390号パンフレット、国際公開第01/27301号パンフレット、国際公開第01/05956号パンフレット、国際公開第00/55345号パンフレット、国際公開第00/20032号パンフレット、国際公開第99/51721号パンフレット、国際公開第99/45130号パンフレット、国際公開第99/31257号パンフレット、国際公開第99/10515号パンフレット、国際公開第99/09193号パンフレット、国際公開第97/26332号パンフレット、国際公開第96/29400号パンフレット、国際公開第96/25496号パンフレット、国際公開第96/06161号パンフレット、国際公開第95/20672号パンフレット、国際公開第93/03173号パンフレット、国際公開第92/16619号パンフレット、国際公開第92/03628号パンフレット、国際公開第92/01801号パンフレット、国際公開第90/14428号パンフレット、国際公開第90/10078号パンフレット、国際公開第90/02566号パンフレット、国際公開第90/02186号パンフレット、国際公開第90/01556号パンフレット、国際公開第89/01038号パンフレット、国際公開第89/01037号パンフレット、国際公開第88/07082号パンフレットを参照すればよく、これらの各文献は、引用によって本明細書に援用される。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系に有用なベクターは公知であり、例えば、バキュロウイルスのAutographacalifornica核多角体ウイルス(AcNPV)に由来する、ヘルパー非依存性のウイルス発現ベクターである昆虫の発現およびトランスファーベクターを含む。この系に由来するウイルス発現ベクターは、一般的に、異種遺伝子の発現を誘導するために、ウイルスの強力なポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子プロモーターを使用する。一般的には、「Reillyら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL(1992)」を参照のこと。
外来の遺伝子をバキュロウイルスのゲノムに挿入する前に、上記構成要素(プロモーター、リーダー(必要に応じて)、関連のあるコード配列、および転写終結配列を含んでいる)は、中間トランス配列コンストラクト(intermediate transplacement construct)(トランスファーベクター)に集められる。中間トランス配列コンストラクトは、レプリコンにおいてしばしば維持される。このレプリコンは、例えば、細菌などの宿主において安定な維持が可能な染色体外エレメント(例えば、プラスミド)といったものである。レプリコンは複製系を有し、このため、クローニングおよび増幅に適切な宿主における当該レプリコンの維持を可能にする。より具体的には、プラスミドは、ポリヘドリンポリアデニル化シグナル(「Millerら,ANN.REV.MICROBIOL.(1988)42:177)」およびE.coliにおける選択および増殖に関する、原核生物のアンピシリン耐性(amp)遺伝子と複製起点とを含み得る。
AcNPVへ外来遺伝子を導入するために一般的に使用されるトランスファーベクターの1つは、pAc373である。当業者に公知である他の多くのベクターもまた設計されており、例えば、これらとしてはpVL985が挙げられる。このベクターでは、ポリヘドリン開始コドンがATGからATTに変えられ、ATTの下流の32塩基対にBamHIクローニング部位が導入されている(「Luckow and Summers, VIROLOGY 170:31-39(1989)」を参照のこと)。他の市販されているベクターとしては、例えば、PBlueBac4.5/V5−His、pBlueBacHis2、pMelBac、pBlueBac4.5(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)が挙げられる。
異種遺伝子を挿入した後に、トランスファーベクターおよび野生型バキュロウイルスのゲノムを、昆虫細胞宿主に同時トランスフェクションする。異種DNAをバキュロウイルスの所望の部位に導入するための方法は、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」、「Luckow and Summers, VIROLOGY (1989) 170:31-39」を参照のこと。2重交差型相同組換えによって、ポリへドリン遺伝子などの遺伝子に、挿入してもよい。また、所望のバキュロウイルス遺伝子中に設けられた、制限酵素認識部位に挿入してもよい。例えば、「Millerら, BIOESSAYS (1989) 11(4):91」を参照のこと。
トランスフェクションを、エレクトロポレーションによって実現してもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。また、その代わりに、リポソームを用いて、昆虫細胞に組換え発現ベクターとバキュロウイルスとをトランスフェクションしてもよい。例えば、「Liebmanら., BIOTECHNIQUES (1999) 26(1):36」、「Gravesら, BIOCHEMISTRY (1998) 37:6050」、「Nomuraら, J. BIOL. CHEM. (1998) 273(22): 13570」、「Schmidtら, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1998) 12:323」、「Siffertら, NATURE GENETICS (1998) 18:45」、「TILKINSら, CELL BIOLOGY: A LABORATORY HANDBOOK 145-154 (1998) 」、「Caiら, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1997) 10:263」、「Dolphinら, NATURE GENETICS (1997) 17:491」、「Kostら, GENE (1997) 190:139」、「Jakobssonら, J. BlOL. CHEM. (1996) 271:22203」、「Rowlesら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(37): 22376」、「Revereyら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(39) :23607- 10」、「Stanleyら, J. BlOL. CHEM. (1995) 270:4121」、「Siskら, J. VlROL. (1994) 68(2):766」、および「Pengら, BIOTECHNIQUES (1993) 14(2):274」を参照のこと。市販されているリポソームとしては、例えば、セルフェクチン(Cellfectin(登録商標))、およびリポフェクチン(Lipofectin(登録商標))(Invitrogen, Corp.、Carlsbad、CA)が挙げられる。また、リン酸カルシウムトランスフェクションを用いてもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Kitts, NAR (1990) 18(19):5667」、および「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。
バキュロウイルス発現ベクターは、大抵は、バキュロウイルスプロモーターを含んでいる。バキュロウイルスプロモーターは、バキュロウイルスのRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始する任意のDNA配列である。プロモーターは、たいていはコード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、バキュロウイルスのプロモーターは、エンハンサーと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、存在する場合は、構造遺伝子から遠位に存在し得る。また、発現は、調節されてもよいし、恒常的であってもよい。
感染サイクルの後期に多量に転写される構造遺伝子は、特に有用なプロモーター配列を提供する。有用なプロモーター配列の例としては、ウイルスポリヘドリンタンパク質をコードする遺伝子由来の配列(「FRIESENら, The Regulation of Baculovirus Gene Expression in THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES (1986)」、欧州特許出願公開第0127839号明細書、および欧州特許出願公開第0155476号明細書)、およびp10タンパク質をコードする遺伝子由来の配列(「Vlakら, J. GEN. VlROL. (1988) 69:765」)が挙げられる。
新しく形成されたバキュロウイルス発現ベクターは、感染性の組換えバキュロウイルスにパッケージングされる。その後、成長したプラークが当業者に公知の方法によって精製されてもよい。「Millerら, BIOESSAYS (1989) 4:91」、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」を参照のこと。
組換えバキュロウイルス発現ベクターは、いくつかの昆虫細胞へ感染させるために開発されている。例えば、とりわけAedes aegypti(ATCC番号CCL−125)、Bombyx mori(ATCC番号CRL−8910)、Drosophila melanogaster(ATCC番号1963)、Spodoptera frugiperda、およびTriclioplusia niのための組換えバキュロウイルスが開発されている。上記組換えバキュロウイルス発現ベクターについては、国際公開第89/046,699号パンフレットを参照のこと。「Wright, NATURE (1986) 321:718」、「Carbonellら, J. VlROL. (1985) 56:153」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」を参照のこと。一般的には、「Fraserら, IN VITRO CELL. DEV. BIOL (1989) 25:225」を参照のこと。より具体的には、バキュロウイルス発現ベクターの系に用いられる細胞株としては、通常、Sf9(Spodoptera frugiperda)(ATCC番号CRL−1711)、Sf21(Spodoptera frugiperda)(Invitrogen Corp.,カタログ番号11497-013 (Carlsbad, CA))、Tri-368(Trichopulsia ni)、およびHigh-Five(登録商標)BTI-TN-5B1-4(Trichopulsia ni)が挙げられるが、これらに限定されない。
バキュロウイルス/発現における異種ポリペプチドの直接発現と融合発現とのための細胞および培地は、市販されている。そして、細胞培養技術は当業者にとって通常に知られている。
(細菌、Pseudomonas種、および他の原核生物)
細菌を用いた発現技術は当業者にとって公知である。細菌宿主における使用を目的とした様々なベクターが利用可能である。上記ベクターは、1コピーベクター、またはコピー数が少ない多コピーベクター(低多コピーベクター)、もしくはコピー数が多い多コピーベクター(高多コピーベクター)であってもよい。ベクターは、クローニングおよび/または発現に役立ち得る。ベクターに関する豊富な文献、多くの市販のベクター、ならびにベクターとその制限酵素地図とその特徴とについて記載している手引書も同等に考慮して、本明細書ではこれ以上論じる必要は無い。よく知られているように、上記ベクターは、通常は選択を可能にするマーカーを含んでいる。上記マーカーは、細胞毒性剤への耐性、原栄養性、または免疫を提供し得る。異なる特徴を提供する複数のマーカーが、高頻度に存在する。
細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始できる任意のDNA配列である。プロモーターは、大抵はコード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、細菌プロモーターは、オペレーターと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、RNA合成が始まる隣接したRNAポリメラーゼ結合部位と重複してもよい。オペレーターは、負に調節される(誘導性の)転写を可能にする。すなわち、遺伝子リプレッサータンパク質が、オペレーターに結合することによって、特定の遺伝子の転写を阻害してもよい。さらに、正の調節が、遺伝子アクチベータータンパク質の結合配列によってもたらされてもよい。該結合配列は、存在する場合は、通常、RNAポリメラーゼ結合配列よりも(5’)近位に存在する。遺伝子アクチベータータンパク質としては、例えば、代謝活性化タンパク質(CAP)が挙げられる。このCAPは、Escherichia coli(E. coli)のlacオペロンの転写開始を助ける(「Raibaudら, ANNU. REV. GENET. (1984) 18:173」)。したがって、制御された発現は、正または負のいずれかであってもよく、これによって転写を増強または減少させてもよい。
代謝経路の酵素をコードしている配列は、特に有用なプロモーターを提供する。この配列としては、例えば、ガラクトース、ラクトース(lac)(「Changら, NATURE (1977) 198:1056」)、およびマルトースなどの糖代謝酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる。別の例としては、トリプトファン(trp)などの生合成酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる(「Goeddelら, Nuc. ACIDS RES. (1980) 8:4057」、「Yelvertonら, NUCL. ACIDS RES. (1981) 9:731」、米国特許第4,738,921号明細書、欧州公開第036776号明細書、欧州公開第121775号明細書)。なお、これら文献は、引用によって本明細書に援用される。また、β−ガラクトシダーゼ(bla)のプロモーター系(「Weissmann (1981) 「The cloning of interferon and other mistakes.」 In Interferon 3 (Ed. I. Gresser) 」)、バクテリオファージ・ラムダのPL(「Shimatakeら, NATURE (1981) 292:128」)、およびT5(米国特許第4,689,406号明細書)のプロモーター系も、有用なプロモーター配列を提供する(なお、これら文献は、引用によって本明細書に援用される)。好ましい本発明の方法は、例えばインスリンポリペプチドを高レベルに誘導するためのT7プロモーターなどの強力なプロモーターを使用する。そのようなベクターの例は、当業者に公知であり、pET29のシリーズ(Novagen)、および国際公開第99/05297号明細書に記載のpPOPベクターなどが挙げられる(なお、上記文献は、引用によって本明細書に援用される)が、これらには特に限定されない。そのような発現系は、宿主細胞の生存能力または成長パラメーターに支障をきたすことなく、宿主においてインスリンポリペプチドを高レベルに産生する。pET19は、当該分野において公知の他のベクターである。
さらに、天然に生じることのない合成プロモーターは、細菌プロモーターとして機能する。例えば、1つの細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターの転写活性化配列は、他の細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターのオペロン配列とつないで、合成混成プロモーターを形成してもよい(引用によって本明細書に援用される米国特許出願第4,551,433号明細書)。例えば、tacプロモーターは、trpプロモーターとlacオペロン配列とから成る、混成trp−lacプロモーターである。なお、混成trp−lacプロモーターはリプレッサーによって調節される(「Amannら, GENE(1983)25:167」、「de Boerら, PROC.NATL.ACAD.SCI.(1983)80:21」)。さらに、細菌プロモーターは天然に生じる非細菌由来のプロモーターが含まれ得る。非細菌由来のプロモーターは細菌RNAポリメラーゼとの結合能を有しており、転写を開始することができる。天然に生じる非細菌由来のプロモーターは、原核生物においていくつかの遺伝子の高レベルな発現を産出するために、共通RNAポリメラーゼと結合させることができる。バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼ/プロモーター系は、結合プロモーター系の一例である(「Studierら, J.MOL.BIOL(1986)189:113」、「TaborらProc Natl.Acad.Sci.(1985)82:1074」)。さらに、混成プロモーターは、バクテリオファージプロモーターと、E. coliのオペレーター領域とを含んでいてもよい(欧州公開第267851号明細書)。
また、機能性プロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が、外来遺伝子を原核細胞において発現させるために有効である。E.coliにおいて、リボソーム結合部位は、シャイン‐ダルガルノ(SD)配列と呼ばれ、開始コドン(ATG)と、該開始コドンから3〜11ヌクレオチド上流に位置した、長さ3〜9ヌクレオチドの配列とを含んでいる(「Shineら, NATURE (1975) 254:34」)。SD配列は、SD配列とE. coliの16S
rRNAの3’との間で塩基対を形成することによって、mRNAとリボソームとの結合を促進すると考えられている(「Steitzら 「Genetic signals and nucleotide sequences in messenger RNA」, In Biological Regulation and Development: Gene Expression (Ed. R. F. Goldberger, 1979) 」)。真核性遺伝子および原核性遺伝子を、弱いリボソーム結合部位によって発現すること(「Sambrookら 「Expression of cloned genes inEscherichia coli」, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989」)。
用語「細菌宿主」または「細菌宿主細胞」は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAにとっての受容物として使用されてもよい、または使用されている細菌のことをいう。この用語は、トランスフェクションされている元々の細菌宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫は、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの相補体において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことを理解されたい。関連する性質(例えば、インスリンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在)によって特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義に基づいて意図される子孫に含まれる。
インスリンポリペプチドの発現にとって好適な宿主細菌の選択は、当業者にとって公知である。所望のポリペプチドの発現に関する細菌宿主の選択において、適切な宿主は、とりわけ、良好な封入体形成能、低いタンパク質分解活性、良好な分泌能力、良好な溶解性タンパク質生成能力、および全体的に強健さといった特性の少なくとも1つ、および好ましくは少なくとも2つを含む。細菌宿主は、一般的に、様々な供給源から入手可能であり、例えば、「Bacterial Genetic Stock Center, Department of Biophysics and MedicalPhysics, University of California (Berkeley, CA)」、および「the American Type Culture Collection (「ATCC」) (Manassas, VA)」から入手することができるが、これら
に限定されない。K株に由来する細菌(W3110など)、またはB株に由来する細菌(BL21など)が、一般的に産業的/製薬的な発酵に用いられる。これらの株は、成長パラメーターが、非常によく知られており、強健であるから特に有用である。さらに、これらの株は非病原性であるから、安全性と環境の観点から商業的に重要である。E. coli宿主の好適な例としては、BL21、DH10B、またはその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の別の実施形態では、E. coli宿主は、プロテアーゼが欠失した株(OMP−、およびLON−など)である。細菌宿主はPseudomonas種(Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosaおよびPseudomonas putida)であり得る。MB101株と表されるPseudomonas fluorescens次亜種Iは、組換え産生に有用であることが知られており、治療タンパク質の製造工程に利用可能である。Pseudomonas発現系の例としては、Dow Chemical社から入手可能な宿主株としての系(Midland、MI、ワールドワイドウェブのdow.comにおいて入手可能である)が挙げられる。
組換え宿主細胞株が、確立されれば(すなわち、発現コンストラクトが、宿主細胞に導入され、適切な発現コンストラクトを有する宿主細胞が単離されれば)、当該組換え宿主細胞株がインスリンポリペプチドの産生に適切な条件下において培養される。当業者にとって明らかなように、宿主細胞株の培養方法は、利用される天然の発現コンストラクトと宿主細胞の性質とに依存する。組換え宿主株は、当業者に公知の方法を用いて通常に培養される。組換え宿主細胞は、通常、炭素、窒素および無機塩の吸収可能な供給源を含む液体培養基にて培養される。さらに、該液体培養基は、必要に応じて、ビタミン、アミノ酸、成長因子、および技術的に公知の他のタンパク質性の培養補助物を含んでいてもよい。また、宿主細胞の培養のための液体培養基は、望ましくない微生物の成長を阻害するための抗生物質、もしくは抗真菌剤、および/または発現ベクターを含む宿主細胞を選択するための抗生物質などの化合物を、任意に含んでいてもよい。
組換え宿主細胞は、バッチ式または連続式で培養され得る。インスリンポリペプチドが細胞内に蓄積する場合、細胞は収集されるか、またはバッチ式もしくは連続式において培養液上清が収集される。原核生物の宿主細胞での製造にとって、バッチ式培養および細胞収集が好ましい。
本発明のインスリンポリペプチドは組換え系における発現の後に、精製され得る。インスリンポリペプチドは、技術的に公知の様々な方法によって、宿主細胞または細胞培地から精製されてもよい。通常、細菌宿主細胞中に産生された多くのインスリンポリペプチドは、難溶性であっても不溶性(封入体の形態において)であってもよい。本発明の一実施形態では、アミノ酸の置換はポリペプチドにおいて容易に行われ得る。このアミノ酸の置換は、本明細書に記載の、当業者に公知の方法を利用して、組換えによって製造されたポリペプチドの溶解度の増加を目的として選択される。不溶性のポリペプチドの場合、当該ポリペプチドは宿主細胞溶解物から遠心分離によって回収されればよく、続いて、細胞のホモジナイゼーションが行われてもよい。難溶性ポリペプチドの場合、ポリエチレンイミン(PEI)などを含む組成物は、部分的に可溶性のポリペプチドの沈殿を引き起こすために加えられてもよい。その後、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって首尾よく回収されてもよい。組換え宿主細胞は、当該分野において公知の様々な方法によって、細胞内部から封入体を放出させるために、崩壊またはホモジナイズされてもよい。宿主細胞の崩壊またはホモジナイゼーションは公知の技術を用いて実施されればよく、当該技術としては、例えば、酵素的細胞崩壊、超音波処理、ダウンス型ホモジナイゼーション、または高圧放出崩壊が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の一実施形態では、高圧放出技術を、E.coli宿主細胞の崩壊に使用することによって、インスリンポリペプチドの封入体を放出させてもよい。インスリンポリペプチドの封入体を取り扱うときに、繰り返しのホモジナイゼーション時間を最小化することが好都合である。これにより、可溶化、機械的なせん断またはタンパク質分解などの要因による損失を無くし、封入体の収量が最大になる。
それから、不溶性のまたは沈殿したインスリンポリペプチドは、当該技術にとって公知の、多くの適切な可溶化試薬のいずれかを用いて可溶化されてもよい。例えば、インスリンポリペプチドは尿素またはグアニジン塩酸塩を用いて可溶化される。都合よく扱いやすい大きさのバッチを用いて、大規模なバッチが産生され得るように、可溶化されたポリペプチドの容積は、最小化されるべきである。組み換え宿主細胞が一度に数千リットルの容積であるバッチで成長させられる場合、この要因は、大規模な工業的設定において重要である。また、特にヒトへの製薬利用のために大規模な工業的設定においてポリペプチドを製造するとき、機械および容器か、タンパク質産物自体かのいずれかを損傷するおそれのある、きつい化学物質の回避は、可能であれば、避けられるべきである。穏やかな変性試薬である尿素を、きつい変性試薬であるグアニジン塩酸塩の代わりに、インスリンポリペプチド封入体の可溶化に使用できることが、本発明の方法に示されている。尿素の使用は、インスリンポリペプチドの製造過程および精製過程に利用されるステンレス鋼の設備に対する損傷の危険度を有為に低減すると同時に、インスリンポリペプチドの封入体を効率的に可溶化する。
可溶性のインスリンポリペプチドの場合、インスリンは細胞膜周辺腔に、または培地に分泌され得る。また、可溶性のインスリンは宿主細胞の細胞質に存在し得る。精製段階を実施する前に、可溶性ペプチドを濃縮することが望ましいことがある。当業者に公知の標準的な技術は、例えば細胞溶解物または培地などからの可溶性ペプチドの濃縮に使用され得る。また、当業者に公知の標準的な技術は、宿主細胞の崩壊、および宿主細胞の細胞質もしくは細胞膜周辺腔からの可溶性ペプチドの放出に使用されてもよい。
インスリンポリペプチドが融合タンパク質として産生されるとき、融合配列は、好ましく除去される。融合配列の除去は、例えば、酵素的切断または化学的切断によって果たされ得る。融合配列の酵素的除去は、当該分野において公知の方法を用いて果たされ得る。融合配列の除去にふさわしい酵素の選択は、融合の個性によって決定され、かつ反応条件は、当業者にとって明らかなような酵素の選択によって特定される。化学的切断は、例えば、臭化シアン、TEVプロテアーゼ、および他の試薬などの試薬を用いて果たされ得る。切断されたインスリンポリペプチドは、当業者によく知られた方法によって、切断された融合配列から必要に応じて精製される。そのような方法は、融合配列およびインスリンポリペプチドの個性および性質によって決定される。精製方法としては、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換グラフィー、もしくは透析、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
また、インスリンポリペプチドは、タンパク質溶液からDNAを除去するために、精製されることが好ましい。DNAは、当業者に公知のあらゆる適切な方法(例えば、沈殿またはイオン交換クロマトグラフィー)によって除去され得る。一実施形態では、DNAは核酸沈殿剤(例えば、硫酸プロタミンであるが、これに限定されない)を用いた沈殿によって除去される。ポリペプチドは標準的な公知の方法(例えば、遠心分離またはろ過が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、沈殿されたDNAから分離され得る。インスリンポリペプチドがヒトの治療に用いられ、本発明の方法が薬学的に許容可能なレベルまで宿主細胞のDNAを低減するという設定において、宿主核酸分子の除去は重要な要素となる。
また、小規模または大規模な発酵方法は、タンパク質発現(例としては、発酵槽、振とうフラスコ、流動床バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、ローラーボトル培養系、および攪拌タンクバイオリアクター系が挙げられるが、これらに限定されない)に使用され得る。これらの方法のそれぞれは、バッチ処理、給飼バッチ処理、連続様式処理において実施され得る。
本発明のヒトインスリンポリペプチドは、当該分野における標準的な方法を用いて、通常に回収され得る。例えば、培地または細胞溶解物は、細胞破片を除去するために遠心分離またはろ過され得る。上清は、所望の容積まで濃縮または希釈されてもよいし、またはさらなる精製用の調製物を適当な状態にする適切な緩衝液の中に透析されてもよい。本発明のインスリンポリペプチドのさらなる精製は、ジアミド化され、かつ短縮されたポリペプチド変異体を対応する原型の形態から分離することを含んでいる。
以下に示す方法のいずれかは、本発明のインスリンポリペプチド精製に採用され得る。そのような方法としては、例えばアフィニティークロマトグラフィー;陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィー(例としては、DEAE SEPHAROSEを用いたものが挙げられるが、これに限定されない);シリカ上におけるクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(SEPHADEX G-75を用いたものが挙げられるが、これには特に限定されない);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマト分画;置換クロマトグラフィー;電気泳動法(例えば調製用の等電点電気泳動法が挙げられるが、これには特に限定されない);差別的可溶性(differential solubility)(例としては、硫酸アンモニウム沈殿が挙げられるが、これに限定されない)、SDS−PAGE、抽出、またはそれらのいずれかの組合せが挙げられる。
本発明のタンパク質(例えば、天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質、天然でないアミノ酸を含んでいるペプチド、天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質に対する抗体、天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質に対する結合パートナーなどが挙げられるが、これらに限定されない)は、当業者に知られ、かつ使用される標準的な手法に従って、部分的または実質的に均質に精製される。したがって、本発明のポリペプチドは、当該分野においてよく知られた多くの方法(例としては、硫酸アンモニウム沈殿もしくはエタノール沈殿、酸抽出もしくは塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、およびゲル電気泳動などを含んでいてもよく、またそれらのいずれかの組合せであってもよいが、これらに限定されない)によって、修復および精製され得る。タンパク質をリフォールディングする工程は、正確に折りたたまれた成熟タンパク質を作製するときに、必要に応じて使用され得る。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー、または他の適切な方法は、高い純度が所望される最終的な精製工程において採用され得る。一実施形態では、天然でないアミノ酸(または天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質もしくはペプチド)に対して作製された抗体は、1個以上の天然でないアミノ酸を含んでいるタンパク質またはペプチドのアフィニティーに基づく精製などのための精製試薬として使用される。所望のように、均質になるまでか、または部分的に精製されると、ポリペプチドは、多種多様な有用物(例えば、アッセイの構成要素、治療法、予防法、診断法、研究試薬、および/または抗体製造用の抗原が挙げられるが、これらに限定されない)として、必要に応じて使用される。本発明のポリペプチドに対して生成された抗体は、ポリペプチドもしくはエピトープを保持するフラグメント、または細胞を、通常のプロトコールを用いて動物に(好ましくは非ヒトの動物)投与することによって取得され得る。当業者であれば、種々の公知の方法を用いて抗体を生成し得る。また、形質転換マウス、または他の生物(他の哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない)が、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。上述の抗体は、上記ポリペプチドを発現するクローンの単離もしくは同定、または上記ポリペプチドの精製に使用され得る。
また、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、ワクチンとして使用され得る。したがって、さらなる局面において、本発明は、哺乳動物における免疫応答を誘導して、上述の動物を保護する方法に関する。当該方法は、抗体および/またはT細胞免疫応答(例えば、サイトカイン産生T細胞または細胞毒性T細胞が挙げられる)を生じさせるに十分な本発明のポリペプチドを哺乳動物に接種することを包含する。ここで、当該疾患は、個体においてすでに成立されているか、または成立していない。また、哺乳動物における免疫応答は、ベクターを介して本発明のポリペプチドを送達することを包含する方法によって誘導され得る。当該ベクターは、本発明の疾患から上述の動物を保護する抗体を産生するような免疫応答をin vivoにおいて誘導するために、ポリヌクレオチドの発現を導き、上記ポリペプチドをコードしている。上記ベクターを投与する1つの方法は、粒子またはその他のものにベクターを入れた皮膜物として、所望の細胞への投与を促進することである。そのような核酸ベクターは、DNA、RNA、修飾された核酸、またはDNA/RNAの混成物を含み得る。ワクチンとしての使用に関して、ポリペプチドまたは核酸ベクターは、ワクチン調合物(組成物)として通常に提供される。調合物は、安定な担体をさらに含み得る。ポリペプチドが胃において分解され得るので、ポリペプチドは非経口的に投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または皮内注射)され得る。非経口的投与に好適な調合物は、水性および非水性の無菌の注射溶液剤;ならびに水性および非水性の無菌の懸濁物を含んでいる。当該注射溶液剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および調合物を受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る。当該懸濁物は、懸濁剤または増粘剤を含み得る。また、ワクチン調合物は、当該調合物の免疫原性を増強させる当業者に公知の免疫賦活系を含み得る。投与量は、ワクチンの特定の活性に依存し、通常の実験によって容易に決定され得る。
<代替系における発現>
いくつかの方策が、非組み換え宿主細胞、突然変異を起こした宿主細胞、または無細胞系においてタンパク質に天然でないアミノ酸を組み込むために採用されている。また、これらの代替系は、本発明のインスリンポリペプチドの製造に好適に使用される。一例として、例えば、Lys、CysおよびTyrなどの反応性側鎖を有するアミノ酸を誘導体化することによって、リジンがN−アセチル−リジンに変化する。また、化学的な合成は、天然でないアミノ酸を組み込むための簡易な方法を提供する。ペプチドフラグメントの酵素ライゲーションおよび天然の化学ライゲーションにおける近年の発展によれば、より大きなタンパク質を作ることが可能である。例えば、「P.E.Dawson and S.B.H.Kent,Annu.Rev.Biochem.,69:923(2000)」を参照のこと。化学的ペプチドライゲーションおよび天然の化学ライゲーションは、米国特許出願6,184,344号明細書、米国特許出願公開第2004/0138412号明細書、米国特許出願公開第2003/0208046号明細書、国際公開第02/098902号パンフレットおよび国際公開第03/042235号パンフレットに記載されており、これらは本明細書において参考として援用される。所望の天然でないアミノ酸によって化学的にアセチル化されるサプレッサーtRNAが、タンパク質合成を補助することが可能な抽出物に、in vitroにおいて付加されるような、一般的なin vitroにおける生合成方法は、実質的にあらゆるサイズの様々なタンパク質に100を超える天然でないアミノ酸を部位特異的に組み込むために利用されている。例えば、「V.W.Cornish,D.Mendel and P.G.Schultz,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1995,34:621-633(1995)」、「C.J.Noren,S.J.Anthony-Cahill,M.C.Griffith,P.G.Schultz, A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acidsinto proteins, Science 244 182-188(1989)」および「J.D.Bain,C.G.Glabe,T.A.Dix,A.R.Chamberlin,E.S.Diala,Biosynthetic site-specific incorporation of a non-naturalamino acid into a polypeptide,J.Am.Chem.Soc.111 8013-8014(1989)」を参照のこと。広範囲の官能基が、タンパク質の安定性、タンパク質の折りたたみ、酵素機序、およびシグナル伝達の研究用のタンパク質に導入される。
本明細書に言及されている他の参考文献に加えて、様々な精製/タンパク質折りたたみ方法は、当該分野においてよく知られている(例えば、「R. Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y. (1982)」、「Deutscher, Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification. Academic Press, Inc. N.Y. (1990) 」、「Sandana, (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.」、「Bollagら (1996) Protein Methods, 2nd Edition Wiley-Liss, NY」、「Walker, (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal, (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England」、「Harris and Angal, Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England」、「Scopes, (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3rd Edition Springer Verlag, NY」、「Janson and Ryden, (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley-VCH, NY」、および「Walker (1998), Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, NJ」ならびにこれらに引用されている参考文献に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない)。
真核生物宿主細胞または非真核生物宿主細胞において、少なくとも1個の天然でないアミノ酸を含んでいる目的のタンパク質またはポリペプチドを産生することの1つの利点は、通常、タンパク質またはポリペプチドがそれらの本来の立体構造に折りたたまれることである。しかし、本発明のある実施形態では、合成、発現および/または精製の後に、タンパク質またはペプチドが、適切なポリペプチドの所望の立体構造とは異なる立体構造を有することがあることを、当業者であれば認識する。本発明の一態様では、発現されるタンパク質またはポリペプチドは必要に応じて変性され、その後復元される。これは、当該分野において公知の方法によって成し遂げられるものであり、特に限定されないが、目的のタンパク質またはポリペプチドに対するシャペロニンの添加によって、およびカオトロピック剤(例えば塩酸グアニジン)においてタンパク質を可溶化し、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼを用いることなどによって成し遂げられる。
通常、発現したポリペプチドを変性および還元し、次いで、ポリペプチドを好ましい立体構造にリフォールディングさせることが望ましいことがある。例えば、このリフォールディングは、グアニジン、尿素、DTT、DTEおよび/またはシャペロニンを目的の翻訳産物に添加することによって成し遂げられ得る。タンパク質の還元、変性および復元の方法は、当業者によく知られている(上述した参考文献、「Debinskiら(1993)J.Biol.Chem.,268:14065-14070」、「Kreitman an Pastan(1993)Bioconjug.Chem.,4:581-585」、および「Bucherら(1992)Anal.Biochem.,205:263-270」を参照のこと)。Debinskiらは、例えば、グアニジン−DTEにおける封入体タンパク質の変性および還元について記載している。タンパク質は、還元剤(例としては、酸化型グルタチオンおよびL−アルギニンを含有する還元剤が挙げられるが、これらに限定されない)においてリフォールディングされ得る。リフォールディング剤は、流されてもよいし、またはそうでなければ、1個以上のポリペプチドもしくは他の発現産物と接触するように移動させられてもよい。また、他の実施形態では、1個以上のポリペプチド、または他の発現産物は、流されてもよいし、またはそうでなければリフォールディング剤と接触するように移動させられる。
インスリンポリペプチドを原核生物において産生する場合、そのように産生されるインスリンポリペプチドは、誤って折りたたまれることがある。このため、ポリペプチドの生物学的な活性が、欠如または低下していることがあり得る。タンパク質の生物学的な活性は、「リフォールディング」によって回復され得る。一実施形態では、誤って折りたたまれたインスリンポリペプチドは、例えば、1つ以上のカオトロピック剤(例えば、尿素および/またはグアニジン)ならびにジスルフィド結合を還元可能な還元剤(例えば、ジチオスレイトール(DTT)、または2メルカプトエタノール(2−ME))を用いて、ポリペプチド鎖を可溶化(ポリペプチドも不溶性である場合に)、アンフォールディング、ならびに還元することによってリフォールディングされる。穏やかなカオトロープ濃度において、ジスルフィド結合の再構築を可能にする、酸化剤(例えば、酸素、クリスチン(crystine)またはクリスタミン(crystamine))が続いて添加される。インスリンポリペプチドは、当該技術において公知の標準的な方法を用いてリフォールディングされ得る。当該方法は、例えば、それぞれ引用によって本明細書に援用される米国特許出願第4,511,502号明細書、米国特許出願第4,511,503号明細書、および米国特許出願第4,512,922号明細書に開示されている。また、ポリペプチドは、他のタンパク質と共同して折りたたまれて、ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーを形成し得る。
リフォールディングまたは共同折りたたみの後に、ポリペプチドは、さらに精製されてもよい。インスリンポリペプチドの精製は、本明細書に記載された様々な技術(例として、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどが挙げられ、またそれらのいずれかの組合せであってもよいが、これら技術に限定されない)を用いて達成され得る。また、さらなる精製は、精製されたタンパク質の乾燥工程または沈殿工程を含んでいてもよい。
精製の後、インスリンポリペプチドは、当該分野において公知の様々な方法(例として、ダイアフィルトレーションおよび透析が挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかによって異なる緩衝液の中で交換されてもよく、および/または濃縮されてもよい。いくつかの実施形態では、単一の精製されたタンパク質として提供されるインスリンは、凝集しやすく、かつ沈殿しやすくてもよい。
いくつかの実施形態では、精製されたインスリンポリペプチドは少なくとも90%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、またはそれ以上の純度であればよい(逆相高速液体クロマトグラフィー、RP−HPLC、またはドデシル硫酸−ポリアクリルアミドナトリウムゲル電気泳動、SDS−PAGEによって測定される)。インスリンポリペプチドの純度の正確な数値にかかわらず、インスリンポリペプチドは、医薬品として利用するために十分な純度であるか、またはさらなる処理(例えば、PEGのような水溶性ポリマーとの結合)にとって十分な純度である。
あるインスリン分子は、他の活性な成分またはタンパク質(賦形剤、担体および安定化剤、ならびに血清アルブミンなどを除く)の非存在下において、治療剤として使用され得るか、またはそれらは、他のタンパク質もしくはポリマーと複合化され得る。
(一般的な精製方法)
様々な単離工程のうちのいずれか1つは、インスリンポリペプチドを含んでいる細胞溶解物抽出、培地、封入体、宿主細胞の周辺孔、宿主細胞の細胞質、または所望のポリペプチドを含む他の材料であるか、またはいずれかの単離工程から得られるインスリンポリペプチドの混合物について実施され得る。この単離工程としては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、逆相HPLC(「RP−HPLC」)、発泡床吸収(expanded bed absorption)が挙げられるが、これらには特に限定されない。これらは、いずれかの方法の組合せおよび/またはいずれかの方法の繰り返しであってもよく、いずれかの適切な順序において行われればよい。
本明細書に記載されている技術の実施に使用される設備、および他の必要な材料は、市販されている。ポンプ、フラクションコレクター、モニター、記録器、および全体のシステムは、Applied Biosystems(Foster City, CA)、Bio-Rad Laboratories, Inc.(Hercules, CA)、およびAmersham Biosciences, Inc.(Piscataway, NJ)から市販されている。クロマトグラフィーの材料(例としては、交換基質材料、溶剤および緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない)は、そのような企業から入手可能である。
本明細書に記載されているカラムクロマトグラフィー処理における平衡および他の工程(例えば、洗浄および溶出)は、特殊な設備(例えば、ポンプ)を用いてより速く実施され得る。市販のポンプの例としては、ハイロードポンプP−50(HILOAD(登録商標) Pump P−50)、ペリスタルティックポンプP−1(Peristaltic Pump P-1)、ポンプP−901(Pump P-901)、およびポンプP−903(Pump P-903)(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。
フラクションコレクターとしては、例えばレディフラック フラクションコレクター(REDIFRAC Fraction Collector)、FRAC−100およびFRAC−200フラクションコレクター、ならびにスーパーフラック フラクションコレクター(SUPERFRAC(登録商標) Fraction Collector)(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。また、ミキサーはpHまたは直線濃度勾配を形成するために利用可能である。工業的に利用可能なミキサーとしては、勾配ミキサーGM−1およびIN−Lineミキサー(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。
クロマトグラフィー処理は、あらゆる市販のモニターを用いて観察され得る。当該モニターは、UV、pH、および導電率のような情報を集めるために用いればよい。検出器の例としては、モニターUV−1(Monitor UV-1)、ユニコードS II(UVICORD(登録商標) S II)、モニターUV−M II(Monitor UV-M II)、モニターUV−900(Monitor UV-900)、モニターUPC−900(Monitor UPC-900)、モニターpH/C−900(Monitor pH/C-900)、およびコンダクティビティーモニター(Conductivity Monitor)(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)が挙げられる。実際に、全体のシステムは、市販されており、例えばアクタシステムズ(AKTA(登録商標) systems)などは、Amersham Biosciences(Piscataway, NJ)から市販されている。
本発明の一実施形態では、例えばポリペプチドを、得られた精製インスリンポリペプチドを尿素中で第1変性させることによって、還元および変性させ、続いて、適切なpHにおいて還元剤(例えば、DTT)を含むTRIS緩衝液に希釈させてもよい。別の実施形態では、インスリンポリペプチドを約2M〜約9Mの範囲の濃度の尿素中において変性させ、続いて、pH約5.0〜約8.0の範囲のTRIS緩衝液において希釈する。その後、この実施形態のリフォールディング混合物を、インキュベートする。一実施形態では、リフォールディング混合物を、室温で4時間〜24時間、インキュベートする。還元され、かつ変性されたインスリンポリペプチド混合物を、その後さらに単離または精製してもよい。
本明細書に述べられているように、第1のインスリンポリペプチド混合物のpHは、次のあらゆる単離工程を実施する前に調節されればよい。また、第1のインスリンポリペプチド混合物、またはあらゆるその後の混合物は、当該分野において公知の技術を用いて濃縮されてもよい。さらに、第1のインスリンポリペプチド混合物、またはあらゆるその後の混合物を含む溶出緩衝液は、当業者に公知の技術を用いて、次の単離工程に好適な緩衝液に交換され得る。
(イオン交換クロマトグラフィー)
一実施形態では、必要に応じて工程を追加するのであれば、イオン交換クロマトグラフィーは第1のインスリンポリペプチド混合物について実施されればよい。一般的に、「ION EXCHANGE CHROMATOGRAPHY:PRINCIPLES AND METHODS(カタログ番号18-1114-21, Amersham Biosciences(Piscataway,NJ))」を参照のこと。市販のイオン交換カラムとしては、ハイトラップ(HITRAP(登録商標))カラム、ハイプレップ(HIPREP(登録商標))カラム、およびハイロード(HILOAD(登録商標))カラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。そのようなカラムは、強い陰イオン交換体(例えば、Qセファロースファーストフロウ(Q SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow),Qセファロースハイパフォーマンス(Q SEPHAROSE(登録商標) High Performance)、およびQセファロースXL(Q SEPHAROSE(登録商標) XL));強い陽イオン交換体(例えば、SPセファロースハイパフォーマンス(SP SEPHAROSE(登録商標) High Performance),SPセファロースファーストフロウ(SP SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow)、およびSPセファロースXL(SP SEPHAROSE(登録商標) XL));弱い陰イオン交換体(例えば、デアエセファロースファーストフロウ(DEAE SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow));および弱い陽イオン交換体(例えば、CMセファロースファーストフロウ(CM SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow))(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を利用している。陰イオン交換カラムクロマトグラフィーまたは陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、実質的に精製されたポインスリンリペプチドを単離するために、精製過程のあらゆる工程において、インスリンポリペプチドに対して実施されてもよい。陽イオン交換クロマトグラフィー工程は、任意の適切な陽イオン交換基質を用いて実施され得る。有用な陽イオン交換基質としては、例えば、繊維質の、多孔質の、非多孔質の、微小粒状の、ビーズ状の、または架橋された陽イオン交換基質材料が挙げられるが、これらに限定されない。
陽イオン交換基質は、強いまたは弱い陽イオン交換体を含む、任意の適切な陽イオン交換体であり得る。強い陽イオン交換体は、広いpH範囲にわたってイオン化を維持し得、このようにして、広いpH範囲にわたってインスリンポリペプチドと結合可能であり得る。しかし、弱い陽イオン交換体は、pHに応じてイオン化を失い得る。例えば、弱い陽イオン交換体は、pHが約pH4またはpH5より下に低下すると、電荷を失い得る。適切な陽イオン交換体としては、荷電した官能基(例えば、スルホプロピル(SP)、メチルスルホネート(S)、またはスルホエチル(SE))が挙げられるが、これに限定されない。陽イオン交換基質は、好ましくは約2.5〜約6.0のインスリン結合pH範囲を有する、強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、強い陽イオン交換体は、約2.5〜約5.5のインスリン結合pH範囲を有し得る。陽イオン交換基質は、約3.0のインスリン結合pHを有する強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、陽イオン交換基質は、好ましくは約6.0〜約8.0のインスリン結合pH範囲を有する、強い陽イオン交換体であり得る。陽イオン交換基質は、好ましくは約8.0〜約12.5のインスリン結合pH範囲を有する強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、陽イオン交換体は、好ましくは約8.0〜約12.0のインスリン結合pH範囲を有する強い陽イオン交換体であり得る。
インスリンを装填する前に、陽イオン交換基質は、例えば、カラム容積の数倍の希釈液、弱酸(例えば、カラム容積の4倍のpH3、20mMの酢酸)を用いて、平衡化され得る。平衡化に続いて、インスリンが加えられてもよく、カラムは、やはり弱酸(例えば、弱い酢酸溶液またはリン酸溶液)を用いた実質的に精製されたインスリンの溶出前に、1回から数回ほど洗浄されてもよい。例えば、カラム容積のおよそ2〜4倍のpH3、20mMの酢酸は、カラムの洗浄に使用され得る。また、例えば、カラム容積の2〜4倍の、pH5.5、0.05Mの酢酸ナトリウム、または0.1Mの塩化ナトリウムと混合されたpH5.5、0.05Mの酢酸ナトリウムを用いた付加的な洗浄が、使用され得る。代替可能に、当該分野において公知の方法を用いて、陽イオン交換基質は、カラム容積の数倍の希釈液、弱塩基を用いて平衡化され得る。
代替可能に、実質的に精製されたインスリンは、基質からインスリンポリペプチドを移動させるほど十分に低いpHまたはイオン強度を有する緩衝液と、陽イオン交換基質とを接触させることによって、溶出され得る。溶出緩衝液のpHは、約pH2.5〜約pH6.0の範囲であり得る。より詳細には、溶出緩衝液のpHは、約pH2.5〜約pH5.5、約pH2.5〜約pH5.0の範囲であり得る。溶出緩衝液は約3.0のpHを有し得る。また、溶出緩衝液の量は、広範に変化してもよく、通常、カラム容積の約2倍〜約10倍の範囲にある。
陽イオン交換基質に対するインスリンポリペプチドの吸着に続いて、実質的に精製されたインスリンポリペプチドは、当該基質からインスリンポリペプチドを移動させるほど十分に高いpHまたはイオン強度を有する緩衝液と、基質を接触させることによって溶出され得る。実質的に精製されたインスリンポリペプチドの高pH溶出における使用に適した緩衝液としては、少なくとも約5mMから少なくとも約100mMの濃度範囲にある、クエン酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、HEPESおよびMES緩衝液が挙げられ得るが、これらに限定されない。
(逆相クロマトグラフィー)
RP−HPLCは、当業者に公知の適切なプロトコールにしたがって、タンパク質を精製するために、実施され得る。例えば、Pearsonら, ANAL BIOCHEM. (1982) 124:217-230 (1982)、Rivierら, J. CHROM. (1983) 268:112-119、Kunitaniら, J. CHROM. (1986) 359:391-402を参照のこと。RP−HPLCをインスリンポリペプチドに対して実施して、実質的に精製されたインスリンポリペプチドを単離し得る。この点に関して、多種多様な長さ(少なくともC〜少なくともC30、少なくともC〜少なくともC20、または少なくともC〜少なくともC18の長さが挙げられるが、これらに限定されない)を有するアルキル官能基を用いた、シリカ誘導体化樹脂が使用され得る。代替可能に、ポリマー化樹脂が使用され得る。例えば、スチレンポリマー樹脂である、トソハースアンバークローム(TosoHaas Amberchrome)CG1000sd樹脂が使用され得る。また、多種多様なアルキル鎖を有するシアノ樹脂またはポリマー化樹脂が、使用され得る。さらに、RP−HPLCカラムは、溶媒(例えば、エタノール)を用いて洗浄され得る。ソース(Source)RPカラムは、RP−HPLCカラムの他の例である。
イオン対化剤および有機緩和剤(例えば、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、またはエタノール)を含む適切な溶出緩衝液が、インスリンポリペプチドをPR−HPLCカラムから溶出するために、使用され得る。最も一般的に使用されるイオン対化剤の例としては、酢酸、蟻酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロブチル酸、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。溶出は、分離時間の短縮、およびピーク幅の縮小に好ましい勾配条件を有する、1つ以上の勾配条件または定組成条件を用いて実施され得る。他の方法は、異なる溶媒濃度範囲を有する2の勾配の使用に関する。本明細書における使用に適した溶出緩衝液の例としては、酢酸アンモニウム溶液およびアセトニトリル溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
(疎水性相互作用クロマトグラフィー精製技術)
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、インスリンポリペプチドに対して実施されてもよい。一般的に、HYDROPHOBIC INTERACTION CHROMATOGRAPHY HANDBOOK: PRINCIPLES AND METHODS (カタログ番号18−1020−90、アマシャムバイオサイエンス、(ピスカタウェイ、NJ))を参照すればよく、これは参考として本明細書に援用される。適切なHIC基質としては、アルキル置換基質もしくはアリール置換基質(例えば、ブチル置換基質、ヘキシル置換基質、オクチル置換基質、またはフェニル置換基質(アガロース基質、架橋アガロース基質、セファロース基質、セルロース基質、シリカ基質、デキストラン基質、ポリスチレン基質、ポリ(メタクリレート)基質が挙げられる))、および混合形式基質(ポリエチレンアミン樹脂基質、またはブチル置換ポリ(メタクリレート)基質もしくはフェニル置換ポリ(メタクリレート)基質が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。疎水性相互作用クロマトグラフィーに関する市販の原料としては、ハイトラップ(登録商標)、ハイプレップ(登録商標)およびハイロード(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
簡単に説明すると、装填の前に、HICカラムは、当業者に公知の標準的な緩衝液(例えば、酢酸溶液/塩化ナトリウム溶液、または硫酸アンモニウムを含むHEPES)を用いて、平衡化され得る。硫酸アンモニウムは、HICカラム装填用の緩衝液として使用され得る。それから、インスリンポリペプチドの装填した後に、カラムは、不要な物質を取り除くための標準的な緩衝液と条件とを用いて洗浄され得るが、インスリンポリペプチドはカラムに保持されている。インスリンポリペプチドは、カラム容積の約3倍〜約10倍の標準的な緩衝液(例えば、とりわけ、EDTAと平衡化緩衝液より低濃度の硫酸アンモニウムとを含むHEPES緩衝液、または酢酸/塩化ナトリウム緩衝液)を用いて溶出され得る。また、例えば、リン酸カルシウムを用いた減少直線塩勾配は、インスリン分子の溶出に使用され得る。それから、この溶出物は、例えば、ダイアフィルトレーション、または限外ろ過といったろ過によって濃縮されてもよい。ダイアフィルトレーションは、インスリンポリペプチドの溶出に使用される塩を除くために利用され得る。
(他の精製技術)
例えば、ゲルろ過(参考として本明細書に援用されるGEL FILTRATION: PRINCIPLES ANDMETHODS(カタログ番号18−1022−18、アマシャムバイオサイエンス(ピスカタウェイ、NJ))、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(好適な基質としては、HAウルトロゲル(HA−Ultrogel)、ハイリソリューション(High Resolution)(カルバイオケム(Calbiochem))、CHT セラミックヒドロキシアパタイト(Ceramic Hydroxyapatite(バイオラッド))、バイオ−ゲルHTPヒドロキシアパタイト(Bio-Gel HTP Hydroxyapatite(バイオラッド))が挙げられるが、これらに限定されない)、HPLC、発泡床吸着、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、および凍結乾燥などを用いたさらに他の単離工程は、任意の過剰の塩を除去するために、および次の単離工程もしくは最終的な製剤の調合でさえ好適な緩衝液に交換するために、第1のインスリンポリペプチド混合物、または続くこれらの混合物のいずれかに対して実施され得る。
インスリンポリペプチド(実質的に精製されたインスリンポリペプチドを含む)の収率は、当業者に公知の技術を用いて、本明細書に記載されている各工程において、観察されてもよい。また、そのような技術は、最後の単離工程の後に、実質的に精製されたインスリンポリペプチドの収率を評価するために使用され得る。例えば、インスリンポリペプチドの収率は、陽イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過だけでなく、様々なアルキル鎖長を有する様々な逆相高圧液体クロマトグラフィーのいずれか(例えば、シアノPR−HPLC、C18RP−HPLC)を用いて、観察されてもよい。
本発明の特定の実施形態において、各精製工程の後におけるインスリンの収率は、各精製工程にとっての開始物質におけるインスリンの、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%であり得る。
精製は、標準的な技術(例えば、SDS−PAGE)を用いてか、ウエスタンブロットおよびELISAアッセイを用いた、インスリンポリペプチドの測定によって、判定され得る。例えば、ポリクローナル抗体は、陰性対照酵母発酵および陽イオン交換回収から単離されたタンパク質に対して生成され得る。また、抗体は、宿主細胞タンパク質の汚染の存在に対するプローブに使用され得る。
PR−HPLC材料であるVydac C4(ビダック(Vydac))は、シリカゲル粒子、C4−アルキル鎖を支持する表面からなる。タンパク質性不純物からのインスリンポリペプチドの分離は、疎水性相互作用の強度における差に基づいている。溶出は、希釈されたトリフルオロ酢酸におけるアセトニトリル勾配を用いて実施される。調製用HPLCは、ステンレス鋼カラム(2.8〜3.2リットルのVydac C4シリカゲルを用いて充填されている)を用いて実施される。ヒドロキシアパタイトウルトロゲルの溶出物は、トリフルオロ酢酸を加えることによって酸性化され、Vydac C4カラム上に装填される。洗浄および溶出について、希釈されたトリフルオロ酢酸におけるアセトニトリル勾配が使用される。画分は、回収され、ただちにリン酸緩衝液を用いて中性化される。IPC限界内にあるインスリンポリペプチド画分は、プールされる。
デアエセファロース(ファルマシア)材料は、セファロースビーズの表面と共有的に結合されるジエチルアミノエチル(DEAE)基からなる。DEAE基に対するインスリンポリペプチドの結合は、イオン性相互作用によって媒介される。アセトニトリルおよびトリフルオロ酢酸は、保持されることなくカラムを通過する。これらの物質が洗い流された後に、微量の不純物は、低pHの酢酸緩衝液を用いてカラムを洗浄することによって除去される。それから、カラムは、中性のリン酸緩衝液を用いて洗浄され、インスリンポリペプチドは、向上されたイオン強度を有する緩衝液を用いて溶出される。カラムは、デアエセファロースファーストフロウを用いて充填されている。カラム容積は、3〜10mgのインスリンポリペプチド/1mlのゲルの範囲におけるインスリンポリペプチドの装填を保障するために調節される。カラムは、水および平衡化緩衝液(リン酸ナトリウム/カリウム)を用いて洗浄される。HPLC溶出物のプールされた画分は装填され、カラムは平衡化緩衝液を用いて洗浄される。それから、カラムは、洗浄緩衝液(酢酸ナトリウム緩衝液)により洗浄された後に、平衡化緩衝液により洗浄される。続いて、インスリンポリペプチドは、溶出緩衝液(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム/カリウム)を用いてカラムから溶出され、主要な溶出プロファイルにしたがって、単一の画分に回収される。デアエセファロースカラムの溶出物は、特定の伝導性に調節される。結果として生じる製剤原料は、テフロン(登録商標)(Teflon)ボトルの中に無菌的にろ過され、−70℃において保存される。
採用され得る付加的な方法としては、エンドトキシンを除去する工程が挙げられるが、これに限定されない。エンドトキシンは、例えば、Escherichia coliといったグラム陰性の宿主細胞の外膜に見られるリポ多糖(LPSs)である。エンドトキシンレベルを低減する方法は、当業者に公知であり、当該方法としては、シリカ支持体、ガラス粉末、またはヒドロキシアパタイトを用いた精製技術、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ならびにこれらの方法の組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。修飾および付加的な方法は、汚染物(例えば、目的のポリペプチドからの共遊走タンパク質)を除去するために要求され得る。エンドトキシンレベルを測定する方法は、当業者に公知であり、カブトガニ血球抽出液(LAL)アッセイを含むが、これに限定されない。エンドセーフ(Endosafe(商標))−PTSアッセイは、LAL試薬、発色体基質、および対照標準エンドトキシンを用いて前装填されたカートリッジを利用する、手持ち式の分光光度計を伴う比色分析の単一チューブ系である。代替可能な方法としては、比濁法であり、96ウェル形式を使用する動力学的(Kinetic)LAL法が挙げられる。
多種多様な方法および手法は、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいるインスリンポリペプチドの収率および純度を評価するために使用されてもよく、当該方法および手法としては、ブラッドフォードアッセイ、SDS−PAGE、銀染色SDS−PAGE、クーマシーブルー染色SDS−PAGE、質量分析(MALDI−TOFが挙げられるが、これに限定されない)、および当業者に公知のタンパク質性質決定に関する他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
付加的な方法としては、タンパク質染色法と伴った、SDS−PAGE、免疫ブロッティング、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化−質量分析(MALDI−MS)、液体クロマトグラフィー/質量分析、等電点電気泳動、分析陰イオン交換、等電点電気泳動、および円偏光二色性が挙げられるが、これらに限定されない。
選択圧(selective pressure)組み込みと呼ばれる、in vivoの方法が、野生型シンセターゼの乱交雑を活用するために開発された。例えば、「N. Budisa, C. Minks, S. Alefelder, W. Wenger, F. M. Dong, L. Moroder and R. Huber, FASEB J., 13:41 (1999)」を参照のこと。特定の天然アミノ酸を供給する関連代謝経路が断たれている栄養要求株は、天然アミノ酸の制限された濃度を含有する最小培地において増殖される一方において、標的遺伝子の転写が抑制されている。増殖定常期に入ると、天然アミノ酸が枯渇して、天然でないアミノ酸の類似体と置換される。組換えタンパク質の発現の誘導は、非天然の類似体を含有するタンパク質の蓄積を生じる。例えば、この戦略を用いて、o、mおよびp−フルオロフェニルアラニンが、タンパク質に組み込まれており、容易に同定され得るUVスペクトルにおける2つの特性の肩を示し(例えば、「C. Minks, R. Huber, L. Moroder and N. Budisa, Anal. Biochem., 284:29 (2000)」を参照のこと);トリフルオロメチオニンは、19F NMRによってチトオリゴ糖との相互作用を研究するための、バクテリオファージのT4ライソザイムにおいてメチオニンを置換するために使用されており(例えば、「H. Duewel, E. Daub, V. Robinson and J. F. Honek, Biochemistry, 36:3404 (1997)」を参照のこと);かつトリフルオロロイシンは、ロイシンの代わりに組み込まれて、ロイシンジッパータンパク質の増強された熱的および化学的な安定性を生じている。例えば、「Y. Tang, G. Ghirlanda, W. A. Petka, T. Nakajima, W. F. DeGrado and D. A. Tirrell, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 40:1494 (2001)」を参照のこと。さらに、セレノメチオニンおよびテルルメチオニンが、種々の組換えタンパク質に組み込まれて、X線結晶解析における位相の解像を容易にしている。例えば、「W. A. Hendrickson, J. R. Horton and D. M. Lemaster, EMBO J., 9:1665 (1990)」 ;「J. O. Boles, K. Lewinski, M. Kunkle, J. D. Odom, B. Dunlap, L. Lebioda and M. Hatada, Nat. Struct. Biol., 1:283 (1994)」 ;「N. Budisa, B. Steipe, P. Demange, C. Eckerskorn, J. Kellermann and R. Huber, Eur. J. Biochem., 230:788 (1995)」;および「N. Budisa, W. Karnbrock, S. Steinbacher, A. Humm, L. Prade, T. Neuefeind, L. Moroder and R. Huber, J. Mol. Biol., 270:616 (1997)」 を参照のこと。また、アルケンまたはアルキン官能基を有するメチオニン類似体は、効率的に組み込まれて、化学的手段によるタンパク質の付加的な修飾を可能にしている。例えば、「J. C. van Hest and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 428:68 (1998)」;「J. C.. van Hest, K. L. Kiick and D. A. Tirrell, J. Am. Chem. Soc., 122:1282 (2000)」;および「K. L. Kiick and D. A. Tirrell, Tetrahedron, 56:9487 (2000)」;参考として本明細書に援用される、米国特許第6,586,207号明細書;米国特許出願公開第2002/0042097号明細書を参照のこと。
この方法の成功は、タンパク質翻訳の忠実度を保証するために一般的に必要とする、天然でないアミノ酸の類似体のアミノアシルtRNAによる認識に依存する。この方法の有効範囲を拡張するための1つの方法は、制限された数の場合に達成されている、アミノアシルtRNAの基質特異性を緩和することである。例えば、Escherichia coliのフェニルアラニルシンセターゼ(PheRS)におけるGlyによるAla294の置換が、基質結合ポケットの大きさを増し、p−Cl−フェニルアラニン(p−Cl−Phe)によるtRNAPheのアシル化を生じる。「M. Ibba, P. Kast and H. Hennecke, Biochemistry, 33:7107 (1994)」を参照のこと。この変異PheRSを内部に有するEscherichia coli株は、フェニルアラニンの代わりに、p−Cl−フェニルアラニンまたはp−Br−フェニルアラニンの組み込みを可能にする。例えば、「M. Ibba and H. Hennecke, FEBS Lett., 364:272 (1995)」;および「N. Sharma, R. Furter, P. Kast and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 467:37 (2000)」を参照のこと。同様に、Escherichia coliのチロシル−tRNAシンセターゼのアミノ酸結合部位付近の点変異Phe130Serは、アザチロシンがチロシンよりも効率的に組み込まれることを可能にすることを、示された。「F. Hamano-Takaku, T. Iwama, S. Saito-Yano, K. Takaku, Y. Monden, M. Kitabatake, D. Soll and S. Nishimura, J. Biol. Chem., 275:40324 (2000)」を参照のこと。
in vivoにおける天然でないアミノ酸を組み込むための他の戦略は、校正機序を有するシンセターゼを修飾することである。これらのシンセターゼは、同種のアミノ酸と構造的に類似するアミノ酸を、区別できず、それゆえ当該類似するアミノ酸を活性化する。この誤りは、tRNAから誤って荷電されたアミノ酸を脱アシル化する別の部位において補正されて、タンパク質翻訳の忠実度を維持している。シンセターゼの校正活性が無効にされると、誤って活性化される構造的類似体が、編集機能を免れ得、組み込まれ得る。この方法は、バリル−tRNAシンセターゼ(ValRS)を用いて最近に証明されている。「V. Doring, H. D. Mootz, L. A. Nangle, T. L. Hendrickson, V. de Crecy-Lagard, P. Schimmel and P. Marliere, Science, 292:501 (2001)」を参照のこと。ValRSは、Cys、Thr、アミノブチレート(Abu)と共にtRNAValを誤ってアシル化でき;その後に、これらの非同種のアミノ酸が編集ドメインによって加水分解される。Escherichia coliの染色体の無作為変異生成の後に、ValRSの編集部位に変異を有している変異体Escherichia coli株が、選択された。この編集欠損ValRSは、Cysと共にtRNAValを不正確に荷電する。また、AbuがCys(Cysの−SH基がAbuにおいて−CH3に置換される)を立体的に集合させるので、変異体ValRSは、この変異体Escherichia coli株がAbuの存在下において増殖されると、タンパク質にAbuを組み込む。質量分析解析は、バリンのやく24%が本来のタンパク質におけるバリンの位置のそれぞれにおいて、Abuに置換されることを示している。
また、固相合成法および固相半合成法は、新規のアミノ酸を含有する多くの他の合成を可能にしている。例えば、以下の刊行物および引用される参考文献:「Crick, F.H.C., Barrett, L. Brenner, S. Watts-Tobin, R. General nature of the genetic code for proteins. Nature, 192:1227-1232 (1961)」; 「Hofmann, K., Bohn, H. Studies on polypeptides. XXXVI. The effect of pyrazole-imidazole replacements on the S-proteinactivating potency of an S-peptide fragment, J. Am Chem, 88(24):5914-5919 (1966)」; 「Kaiser, E.T. Synthetic approaches to biologically active peptides and proteins including enyzmes, Acc Chem Res, 22:47-54 (1989)」; 「Nakatsuka, T., Sasak
i, T., Kaiser, E.T. Peptide segment coupling catalyzed by the semisynthetic enzyme thiosubtilisin, J Am Chem Soc, 109:3808-3810 (1987)」; 「Schnolzer, M., Kent, S B H. Constructing proteins by dovetailing unprotected synthetic peptides: backbone-engineered HIV protease, Science, 256(5054):221-225 (1992)」; 「Chaiken, I.M. Semisynthetic peptides and proteins, CRC Crit Rev Biochem, 11(3):255-301 (1981)」; 「Offord, R.E. Protein engineering by chemical means? Protein Eng., 1(3):151-157 (1987)」; 及び、「Jackson, D.Y., Burnier, J., Quan, C., Stanley, M., Tom, J., Wells, J.A. A Designed Peptide Ligase for Total Synthesis of RibonucleaseA with Unnatural Catalytic Residues, Science, 266(5183):243 (1994)」を参照のこ
と。
化学的修飾は、in vitroにおいてタンパク質に種々の非天然の側鎖(補助因子、スピン標識およびオリゴヌクレオチドが挙げられる)を導入するために、使用されている。例えば、「Corey, D.R., Schultz, P.G. Generation of a hybrid sequence-specific single-stranded deoxyribonuclease, Science, 238(4832):1401-1403 (1987)」; 「Kaiser, E.T., Lawrence D.S., Rokita, S.E. The chemical modification of enzymatic specificity, Annu Rev Biochem, 54:565-595 (1985)」; 「Kaiser, E.T., Lawrence, D.S. Chemical mutation of enyzme active sites, Science, 226(4674):505-511 (1984)」;「Neet, K.E., Nanci A, Koshland, D.E. Properties of thiol-subtilisin, J Biol. Chem, 243(24):6392-6401 (1968)」; 「Polgar, L. et M.L. Bender. A new enzyme containing a synthetically formed active site. Thiol-subtilisin. J. Am Chem Soc, 88:3153-3154 (1966)」; 及び、「Pollack, S.J., Nakayama, G. Schultz, P.G. Introduction of nucleophiles and spectroscopic probes into antibody combining sites, Science, 242(4881):1038-1040 (1988)」を参照のこと。
代替可能に、化学的に修飾されたアミノアシル−tRNAを採用する生合成方法は、in vitroにおいて合成されるタンパク質に種々の生物物理学的なプローブを組み込むために使用されている。以下の刊行物および引用される参考文献:「Brunner, J. New Photolabeling and crosslinking methods, Annu. Rev Biochem, 62:483-514 (1993)」; 及び、 「Krieg, U.C., Walter, P., Hohnson, A.E. Photocrosslinking of the signal sequence of nascent preprolactin of the 54-kilodalton polypeptide of the signal recognition particle, Proc. Natl. Acad. Sci, 83(22):8604-8608 (1986)」を参照のこと。
これまでに、所望のアンバーナンセンス変異を含有する遺伝子を用いて計画されたタンパク質合成反応に対して、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを加えることによって、天然でないアミノ酸がin vitroにおいて部位特異的に組み込まれ得ることは、示されている。これらの方法を用いて、特定のアミノ酸に対して栄養要求性株を用いて、一般的な20個のアミノ酸の多くを構造的に近い相同物(例えば、フェニルアラニンに対するフルオロフェニルアラニン)に置換することができる。例えば、「Noren, C.J., Anthony-Cahill, Griffith, M.C., Schultz, P.G. A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science, 244: 182-188 (1989)」; 「M.W. Nowak,ら, Science 268:439-42 (1995)」; 「Bain, J.D., Glabe, C.G., Dix, T.A., Chamberlin, A.R., Diala, E.S. Biosynthetic site-specific Incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J. Am Chem Soc, 111:8013-8014 (1989)」; 「N. Budisaら, FASEB J. 13:41-51 (1999); Ellman, J.A., Mendel, D., Anthony-Cahill, S., Noren, C.J., Schultz, P.G. Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site-specifically into proteins, Methods in Enz., vol. 202, 301-336 (1992)」; 及び、 「Mendel, D., Cornish, V.W. & Schultz, P.G. Site-Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code, Annu Rev Biophys. Biomol Struct. 24, 435-62 (1995)」を参照のこと。
例えば、UAGストップコドンを認識するサプレッサーtRNAが、調製され、天然でないアミノ酸と共に化学的にアミノアシル化された。従来の部位特異的変異生成が、タンパク質遺伝子における目的の部位に、ストップコドンTAGを導入するために使用された。例えば、「Sayers, J.R., Schmidt, W. Eckstein, F. 5'-3' Exonucleases in phosphorothioate-based olignoucleotide-directed mutagensis, Nucleic Acids Res, 16(3):791-802 (1988)」を参照のこと。アミノアシル化サプレッサーtRNAおよび変異体遺伝子が、in vitroの転写/翻訳系において組み合わせられる場合に、特定の位置においてアミノ酸を含有するタンパク質を生じさせる、天然でないアミノ酸がUAGコドンに応じて組み込まれた。[H]−Pheを用いた実験およびα−ヒドロキシ酸を用いた実験は、所望のアミノ酸のみがUAGコドンによって特定される位置に組み込まれ、このアミノ酸が、タンパク質における任意の他の部位に組み込まれないことを証明した。例えば、「Noren,ら, supra; Kobayashiら, (2003) Nature Structural Biology 10(6):425-432」; 及び、「Ellman, J.A., Mendel, D., Schultz, P.G. Site-specific incorporation of novel backbone structures into proteins, Science, 255(5041):197-200 (1992)」を参照のこと。
tRNAは、任意の方法または技術(これらに限定されないが、化学的または酵素的なアミノアシル化が挙げられる)よって所望のアミノ酸と共にアミノアシル化され得る。
アミノアシル化は、アミノアシルtRNAシンセターゼによってか、または他の酵素的分子(限定されないが、リボザイムが挙げられる)によって達成され得る。「リボザイム」という用語は、「触媒RNA」と交換可能である。Cechおよび共同研究者(「Cech, 1987, Science, 236:1532-1539; McCorkleら, 1987, Concepts Biochem. 64:221-226」)は、触媒としての役割を果たす天然に存在するRNA(リボザイム)の存在を証明した。しかし、これらの天然RNA触媒は、切断およびスプライシングに関してリボ核酸基質に対してのみ役割を果たすことを示されているが、リボザイムの人工的発展の最近の成果は、種々の化学反応に対する触媒の能力範囲を拡張している。研究によって、それら自身の(2’)3’末端におけるアミノアシル−RNAを触媒することができるRNA分子(「Illangakekareら, 1995 Science 267:643-647」)、および1つのRNA分子から他のRNA分子までアミノ酸を運ぶことができるRNA分子(「Lohseら, 1996, Nature 381:442-444」)が同定されている。
参考として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書は、リボザイムの構築方法、ならびに天然にコードされるアミノ酸および天然にコードされていないアミノ酸を伴うtRNAのアミノアシル化における、それらの使用に関して記載している。tRNAをアミノアシル化できる酵素分子(限定されないが、リボザイムが挙げられる)の基材に固定化された形態は、アミノアシル化産物の効率的なアフィニティー精製を可能にし得る。好適な基材の例としては、アガロースビーズ、セファロースビーズ、および磁性ビーズが挙げられる。アミノアシル化用の基材固定化形態の製造および利用について、参考として本明細書に援用される、「Chemistry and Biology 2003, 10:1077-1084」および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている。
化学的アミノアシル化法としては、これらに限定されないが、アミノアシル化においてシンセターゼの利用を避けるために、Hechtおよび共同研究者(「Hecht, S. M. Acc. Chem. Res. 1992, 25, 545」; 「Heckler, T. G.; Roesser, J. R.; Xu, C.; Chang, P.; Hecht, S. M. Biochemistry 1988, 27, 7254」; 「Hecht, S. M.; Alford, B. L.; Kuroda, Y.; Kitano, S. J. Biol. Chem. 1978, 253, 4517」)によって、Schultz, Chamberlin, Dougherty及びその他 (「Cornish, V. W.; Mendel, D.; Schultz, P. G. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 621」; 「Robertson, S. A.; Ellman, J. A.; Schultz, P. G. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722」; 「Noren, C. J.; Anthony-Cahill, S. J.; Griffith, M. C.; Schultz, P. G. Science 1989, 244, 182」; 「Bain, J. D.; Glabe, C. G.; Dix, T. A.; Chamberlin, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 8013」; 「Bain, J. D.ら Nature 1992, 356, 537」; 「Gallivan, J. P.; Lester, H. A.; Dougherty, D. A. Chem. Biol. 1997, 4, 740」; 「Turcatti,ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 19991」; 「Nowak, M. W.らScience, 1995, 268, 439」; 「Saks, M. E.ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 23169」; 「Hohsaka, T.ら J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 34」)によって紹介された方法が挙げられる。当該方法または他の化学的アミノアシル化方法が、tRNA分子をアミノアシル化するために使用され得る。
触媒RNAを生成する方法は、無作為化されたリボザイム配列の別々のプールを生成すること、定方向の進化を実施すること、所望のアミノアシル化活性に関してプールをスクリーニングすること、および所望のアミノアシル化活性を示すこれらのリボザイムの配列を選択することを含み得る。
リボザイムは、アシル化活性を容易にするモチーフおよび/または領域(例えば、GGUモチーフおよびUが豊富な領域)を備えることができる。例えば、Uが豊富な領域がアミノ酸基質の認識を容易にできること、およびGGUモチーフがtRNAの3’末端と塩基対を形成できることは、報告されている。組み合わせて、GGUモチーフおよびUが豊富な領域は、アミノ酸およびtRNAの両方の同時認識を容易にし、同時にこれによって、tRNAの3’末端のアミノアシル化を容易にする。
リボザイムは、tRNAAsn CCCGと抱合され、部分的に無作為化されたr24miniを用いたin vitroにおける選択に続いて、活性なクローンに見出されるコンセンサス配列の体系的な改変によって生成され得る。この方法によって得られる例示的なリボザイムは、「Fx3 リボザイム」と呼ばれ、その内容が参考として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されており、同種の非天然アミノ酸と共に荷電される、種々のアミノアシルtRNAの合成にとっての多方面な触媒としての機能を果たす。
基板上に対する固定化は、tRNAの効率的なアフィニティー精製を可能にするために使用され得る。好適な基盤の例としては、アガロース、セファロース、および磁性ビーズが挙げられる。リボザイムは、RNAのリボソーム上における3’シス−ジオールが対応するジアルデヒドを産生するために過ヨウ素酸塩を用いて酸化されて、樹脂上のRNAの固定化を容易にし得るように、RNAの化学構造を利用することによって樹脂上に固定され得る。多様な種類の樹脂(安価なヒドラジド樹脂が挙げられる)が、使用され得、ここで、還元的なアミノ化が、還元的アミン化が樹脂とリボザイムとの間における相互作用を不可逆的な結合にさせる。アミノアシルtRNAは、このカラム上(on-column)の技術によって非常に容易にされ得る。「Kourouklisら Methods 2005; 36:239-4」には、カラムに基づいたアミノアシル化系について記載されている。
アミノアシル化されたtRNAの単離は、種々の方によって達成され得る。1つの好適な方法は、緩衝液(例えば、10mMのEDTAを有する酢酸ナトリウム、50mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、12.5mMのKCl、pH7.0、10mMEDTAを含有する緩衝液、または単にEDTA緩衝化水(pH7.0))を用いてカラムからアミノアシル化されたtRNAを溶出することである。
アミノアシル化されたtRNAは、tRNAが翻訳反応によって作製されるポリペプチドにおける最適な位置においてアミノアシル化されるアミノ酸を組み込むために、翻訳反応に加えられ得る。本発明のアミノアシル化されたtRNAが使用され得る翻訳系の例としては、限定されないが、細胞溶解物が挙げられる。細胞溶解物は、投入するmRNAから得られるポリペプチドのin vivoでの翻訳に必要な反応成分を提供する。当該反応成分の例としては、これらに限定されないが、rRNA、アミノ酸、tRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子および延長因子、ならびに翻訳に関連する付加的な因子が挙げられる。付加的に、翻訳系は、処理単位(batch)翻訳または区画化翻訳であり得る。処理単位翻訳の系は、単一の区画において反応成分を組み合わせる一方において、区画化翻訳の系は、翻訳効率を抑制し得る反応産物から翻訳反応成分を分ける。当該翻訳系は、市販されている。
さらに、複合された転写/翻訳系が、使用され得る。複合された転写/翻訳系は、反応成分によって次々に翻訳される対応するmRNAへの、投入するDNAの転写の両方を可能にする。市販の複合された転写/翻訳の例は、ラピッドトランスレーションシステム(Rapid Translation System)(RTS、Rche(ロシュ))である。系としては、リボソームおよび翻訳因子といった翻訳の成分を供給するE. coilの溶菌液を含有する混合物が挙げられる。付加的に、RNAポリメラーゼは、翻訳において使用するmRNA鋳型への、挿入するDNAの転写に含められる。RTSは、反応区画(供給/排泄区画および転写/翻訳区画が挙げられる)の間に挿入される膜を用いて反応成分の区画化を使用できる。
tRNAのアミノアシル化は、他の物質(これらに限定されないが、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、触媒抗体、および多機能タンパク質などが挙げられる)によって実施され得る。
「Stephan in Scientist 2005 Oct 10; pages 30-33 」には、タンパク質に天然にコードされていないアミノ酸を組み込む方法について記載されている。「Luら in Mol Cell. 2001 Oct;8(4):759-69」には、タンパク質が、天然でないアミノ酸を含有する合成ペプチドに対して化学的に連結される方法(タンパク質連結と言われる)について記載されている。
また、微量注入技術は、タンパク質への天然でないアミノ酸の組み込みに使用されている。例えば、「M. W. Nowak, P. C. Kearney, J. R. Sampson, M. E. Saks, C. G. Labarca, S. K. Silverman, W. G. Zhong, J. Thorson, J. N. Abelson, N. Davidson, P. G. Schultz, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Science, 268:439 (1995)」;および「D. A. Dougherty, Curr. Opin. Chem. Biol., 4:645 (2000)」 を参照のこと。アフリカツメガエルの卵母細胞は、in vitroにおいて作製された2つのRNA種:目的のアミノ酸の位置にUAGストップコドンを有する標的タンパク質をコードするmRNA、および所望の天然でないアミノ酸と共にアミノアシル化されたアンバーサプレッサーtRNAを用いて共注入された。それから、卵母細胞の翻訳機構は、UAGによって特定される位置に天然でないアミノ酸を挿入する。この方法は、一般的にin vitroの系に受け容れられない、内在性膜タンパク質(integral membrane protein)の構造−機能研究を可能にしている。例としては、蛍光共鳴エネルギー転移によって距離を測定するための、タキキニン ニューロキニン−2受容体への蛍光アミノ酸の組み込み(例えば、「G. Turcatti, K. Nemeth, M. D. Edgerton, U. Meseth, F. Talabot, M. Peitsch, J. Knowles, H. Vogel and A. Chollet, J. Biol. Chem., 271:19991 (1996)」を参照のこと);イオンチャネルにおける表面露出残基を同定するための、ビオチン化アミノ酸の使用(例えば、「J. P. Gallivan, H. A. Lester and D. A. Dougherty, Chem. Biol., 4:739 (1997)」を参照のこと);実時間におけるイオンチャネルの立体配置の変化を観察するための
、閉じ込めたチロシン類似体の使用(例えば、「J. C. Miller, S. K. Silverman, P. M. England, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Neuron, 20:619 (1998)」を参照のこと);およびそれらのゲート機構を調べるためにイオンチャネル骨格を変更するための、αヒドロキシアミノ酸の使用が挙げられる。例えば、「P. M. England, Y. Zhang, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Cell, 96:89 (1999)」;および「T. Lu, A. Y. Ting, J. Mainland, L. Y. Jan, P. G. Schultz and J. Yang, Nat. Neurosci., 4:239 (2001)」を参照のこと。
in vivoにおいてタンパク質に天然でないアミノ酸を組み込む能力は、広範な利点(これらに限定されないが、変異タンパク質の高い収率、技術的な容易さ、細胞またはおそらくは生体における変異タンパク質を研究する見込み、ならびに治療的な処置および診断的な利用におけるこれらのタンパク質の利用が挙げられる)を提供する。種々の大きさ、酸性度、求核性、疎水性および他の特性を有する天然でないアミノ酸をタンパク質に含める能力は、タンパク質の機能を調べること、および新規の性質を有する新たなタンパク質もしくは生体を作り出すことの両方を目的として、タンパク質の構造を合理的かつ体系的に操作するわれわれの能力を非常に拡張できる。
パラ−F−Pheを部位特異的に組み込むための1つの試みにおいて、酵母アンバーサプレッサーtRNAPheCUA/フェニルアラニル−tRNA対は、p−F−Phe耐性の、Phe要求性のEscherichia coli株において使用された。例えば、「R. Furter, Protein Sci., 7:419 (1998)」を参照のこと。
また、無細胞(in vitro)翻訳系を用いて、本発明のインスリンポリペプチドの発現を得ることは、可能であり得る。翻訳系は、細胞性および無細胞であり得、原核生物および真核生物であり得る。細胞性翻訳系としては、限定されないが、所望の核酸配列が、mRNAに転写され得、mRNAが翻訳され得る透過処理された細胞および培養細胞といった、全細胞調製物が挙げられる。無細胞翻訳系は、市販されており、多くの異なる種類および系がよく知られている。無細胞翻訳系の例としては、これらに限定されないが、Escherichia coliの溶解物といった原核生物の溶解物、ならびに大麦抽出物、昆虫細胞の溶解物、ウサギの網赤血球の溶解物、ウサギの卵母細胞の溶解物およびヒト細胞の溶解物といった真核生物の溶解物が挙げられる。真核細胞の抽出物または溶解物は、生じたタンパク質がグリコシル化されるか、リン酸化されるか、またはそれとは別に修飾される場合に、当該修飾が真核生物の系においてのみ可能であるため、好ましくあり得る。これらの抽出物および溶解物のいくつかは、市販されている(プロメガ(Promega)、マディソン(Madison)、Wis.;ストラタジーン、ラ ジョラ(La Jolla)、 Calif.;アマシャム(Amersham)、アーリントン ハイト(Arlington Heights)、Ill.;ギブコ(GIBCO)/BRL、グランド アイランド(Grand Island)、N.Y)。また、ミクロソーム膜を含有するイヌの膵臓抽出物といった膜性抽出物は、分泌型タンパク質の翻訳にとって有用に、利用可能である。鋳型としてmRNA(in vitroでの翻訳)または鋳型としてDNA(in vitroでの転写および翻訳を組み合わせた)のいずれかを含み得るこれらの系において、in vitroでの合成は、リボソームによって指揮される。相当な努力が、無細胞タンパク質発現系の発展に対して注がれている。例えば、参考として本明細書に援用される、「Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnologyand Bioengineering, 74 :309-316 (2001)」;「Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology Letters, 22, 1537-1542, (2000)」;「Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology Progress, 16, 385-390, (2000)」;「Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnologyand Bioengineering, 66, 180-188, (1999)」;および「Patnaik, R. and J.R. Swartz, Biotechniques 24, 862-868, (1998)」;米国特許第6,337,191号明細書;米国特許出願公開第2002/0081660号明細書;国際公開第00/55353号パンフレット国際公開第90/05785号パンフレットを参照のこと。天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドの発現に適用され得る他の方法としては、mRNA−ペプチド融合技術が挙げられる。例えば、「R. Roberts and J. Szostak, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 94:12297-12302 (1997)」;「A. Frankel,ら, Chemistry & Biology 10:1043-1050 (2003)」を参照のこと。この方法において、ピューロマイシンに対して連結されたmRNAの鋳型は、リボソーム上において翻訳される。1つ以上のtRNA分子が修飾されると、非天然アミノ酸が、同様にペプチドに組み込まれ得る。最後のmRNAコドンが読まれた後に、ピューロマイシンは、ペプチドのC末端を捕捉する。結果のmRNA−ペプチド抱合物は、in vitroのアッセイにおいて興味深い性質を有することを見出されている場合に、その同一性は、mRNA配列から容易に明らかにされ得る。この方法において、所望の性質を有するポリペプチドを同定するために、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいるインスリンポリペプチドのライブラリーをスクリーニングし得る。より最近に、精製成分を用いたin vitroでのリボソームによる翻訳は、天然にコードされていないアミノ酸に置換されたペプチドの合成を可能にすることを、報告されている。例えば、「A. Forsterら, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 100:6353 (2003)」を参照のこと。
また、再生翻訳系が使用され得る。また、精製翻訳因子の混合物だけでなく、溶解物の組合せ、または開始因子−1(IF−1)、IF−2、IF−3(αまたはβ)、伸張因子 T(EF−Tu)、もしくは終結因子といった精製翻訳因子を補った溶解物が、mRNAをタンパク質に翻訳するために上手く使用されている。また、無細胞系は、転写/翻訳系と組合せら得る(ここで、参考として本明細書によって特に援用される、「Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubelら editors, Wiley Interscience, 1993)」に記載されているように、DNAが系に導入され、mRNAに転写され、mRNAが翻訳される)。真核生物転写系において転写されるRNAは、ある特定の翻訳系において有利であり得る、異核RNA(hnRNA)の形態であり得るか、または5’末端キャップ(7−メチルグアノシン)および3’末端ポリAを尾部につないだRNAの形態であり得る。例えば、キャップつきのmRNAは、網赤血球溶解物の系において高い効率を有して翻訳される。
<インスリンポリペプチドに連結される巨大分子ポリマー>
本明細書に記載されている非天然アミノ酸ポリペプチドの種々の修飾は、本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略を用いてもたらされ得る。これらの修飾は、ポリペプチドに対する非天然アミノ酸に対するさらなる機能性(限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;放射性核種;細胞毒性化合物;薬物;アフィニティー標識;フォトアフィニティー標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似体;抗体もしくは抗体フラグメント;金属キレート剤;補助因子;脂肪酸;炭水化物;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;糖;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;阻害性リボ核酸;生体材料;ナノ粒子;スピン標識;蛍光団;金属を含有する部分;放射性部分;新規官能基;他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基;光でケージ化する部分;化学線によって励起可能な部分;光で異性化可能な部分;ビオチン;ビオチンの誘導体;ビオチンの類似体;重原子を組み込んでいる部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;延長された側鎖;炭素に結合される糖;酸化還元活性のある剤;アミノチオ酸;毒性部分;同位体で標識された部分;生物物理学的なプローブ;燐光性の基;化学発光性の基;電子密度の高い基;磁性の基;インターカレートする基;発色団;エネルギーを伝達する剤;生物学的に活性な物質;検出可能な標識;小分子;量子ドット;ナノトランスミッター;放射性ヌクレオチド;放射性伝達物質;中性子を捕獲する剤;または上述のものの任意の組合せ、もしくは他に所望される任意の化合物もしくは物質が挙げられる)の組込みを含む。本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略の具体的な、非限定的な例として、以下の記載は、それらに関して本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略が、他の機能性(これらに限定されないが、上記に挙げたそれらが挙げられる)を加えることにも適用可能である(必要に応じて、当業者が本明細書における開示を用いてなし得る適切な改変を伴って)という理解を含めて、非天然アミノ酸ポリペプチドに対する巨大分子を加えることを中心に扱う。
広範な巨大分子ポリマーおよび他の分子は、インスリンポリペプチドの生物学的な性質を調節するためか、および/またはインスリン分子に対して新たな生物学的な性質を与えるために、本発明のインスリンポリペプチドに対して連結され得る。これらの巨大分子ポリマーは、天然にコードされるアミノ酸を介してか、天然にコードされていないアミノ酸、または天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸の任意の置換基、または天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸に対して加えられる任意の置換基もしくは官能基を介して、インスリンポリペプチドに対して連結され得る。ポリマーの分子量は、約100Da〜約100,000Daまたはそれ以上の間の広い範囲(限定されないが、これらが挙げられる)であり得る。ポリマーの分子量は、約100Da〜約100,000Da(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da,5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約100Da〜約50,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約100Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約1,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約5,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約10,000Da〜約40,000Daである。
本発明は、ポリマー:タンパク質の抱合物の実質的に均質な調整物を提供する。本明細書において使用される場合、「実質的に均質な」は、ポリマー:ポリペプチドの抱合物がタンパク質の総量の半分より多く観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質の抱合物は、生物活性を有し、本明細書において規定される「実質的に同質な」ペグ化されたインスリンポリペプチド調製物は、均質な調製物の利点(例えば、ロット間の薬物動態学的性質の予測可能性への臨床的な応用を容易にすること)を示すために十分に均質なものである。
また、ポリマー:タンパク質の抱合物分子の混合物を調製するために選択し得、本明細書に規定されている利点は、混合物に含まれるモノ−ポリマー:タンパク質の抱合物の比率を選択し得ることである。したがって、必要に応じて、種々の数(すなわち、ジ−、トリ−、テトラ−など)のポリマー部分に連結した状態の様々なタンパク質の混合物を調製し得、本発明の方法を用いて調製されたモノ−ポリマー:タンパク質の抱合物と上記抱合物を組み合わせ得、所定の割合のモノ−ポリマー:タンパク質の抱合物を有する混合物を有し得る。
選択されるポリマーは、ポリマーが連結されるタンパク質が水性環境(例えば、生理学的環境)において沈殿しないように、水溶性ポリマーであり得る。ポリマーは、枝分かれポリマーであってもよいし、枝分かれしていないポリマーであってもよい。最終産物の調製物の治療的利用に関して、ポリマーは薬学的に受容可能である。
ポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリエーテルおよびアルコキシキャップしたこれらの類似体(例えば、ポリオキシエチレン グリコール、ポリオキシエチレン/プロピレン グリコール、およびメトキシもしくはエトキシキャップしたこれらの類似体、特にポリオキシエチレン グリコール、また後者は、ポリエチレングリコールまたはPEGとして知られる);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルキル エーテル;ポリオキサゾリン、ポリアルキル オキサゾリンおよびポリヒドロキシアルキル オキサゾリン;ポリアクリルアミド、ポリアルキル アクリルアミド、およびポリヒドロキシアルキル アクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシアルキルメタクリルアミドおよびこれらの誘導体);疎水性ペプチド配列;多糖およびこれらの誘導体(デキストランおよびデキストラン誘導体(例えば、カルボキシメチルデキストラン、硫酸デキストラン、アミノデキストラン)が挙げられる);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシアルキル セルロース);キチンおよびその誘導体(例えば、キトサン、スクシニル キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン);ヒアルロン酸およびその誘導体;スターチ;アルギン酸塩;硫酸コンドロイチン;アルブミン;プルランおよびカルボキシメチル プルラン;ポリアミノ酸およびこれらの誘導体(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパルトアミド);マレイン酸無水物共ポリマー(例えば、スチレン マレイン酸無水物共ポリマー、ジビニルエチルエーテル マレイン酸無水物共ポリマー);ポリビニル アルコール;これらのコポリマー;これらの三元ポリマー;これらの混合物;ならびに上述の誘導体が挙げられる。
タンパク質分子に対するポリエチレングリコールの比率は、反応混合物におけるそれらの濃度のように、変化する。一般的に、最適な比率(余剰の未反応のタンパク質またはポリマーが最小である反応の効率に関する)は、選択されるポリエチレングリコールの分子量によって、有用な反応性基の利用可能な数に基づいて決定され得る。分子量に関連するときに、タンパク質に対して連結されるのは、典型的により分子量の高いポリマー、より少ない数のポリマー分子である。同様に、ポリマーの枝分かれは、これらの要素を最適化する場合に、計算に入れられるべきである。一般的に、分子量が高いほど(枝が多いほど)、ポリマー:タンパク質の割合が高くなる。
本明細書において使用されるとき、およびPEG:インスリンポリペプチドの抱合物について検討される場合に、「治療有効量」は、患者に対して所望の利益を与える量を指す。当該量は、個体間において変わり、要素(これらに限定されないが、患者の全体的な体調および処置されるべき健康状態の根本的な原因が挙げられる)の数に依存する。インスリンポリペプチドの治療に使用する量は、受容可能な変化の割合を示し、有益な水準において所望の応答を維持する。本組成物の治療有効量は、公然に利用可能な材料および手法を用いて当業者によって容易に確かめられ得る。
水溶性ポリマーは、任意の構造的な形態(これらに限定されないが、線状の形態、分岐した形態または枝分かれの形態が挙げられる)であり得る。水溶性ポリマーは、典型的にポリ(エチレングリコール)(PEG)といったポリ(アルキレングリコール)であるが、他の水溶性ポリマーもまた採用され得る。ほんの一例として、PEGは、本発明のある特定の実施形態を説明するために使用される。
PEGは、市販されているか、または当業者に公知の方法「Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York, Vol. 3, pages 138-161」にしたがって、エチレングリコールの開環重合によって調製され得る、よく知られている水溶性ポリマーである。「PEG」という用語は、PEGの大きさまたは末端における修飾に関係なく、任意のポリエチレングリコール分子を包含するために広く使用され、インスリンポリペプチドに対して連結されるときに、式:
XO−(CHCHO)−CHCH−Y
(ここで、nは2〜10,000であり、Xは、Hまたは末端を修飾する(これらに限定されないが、C1−4アルキル、保護基、または末端官能基が挙げられる)である)
によって表され得る。
いくつかの場合において、本発明において使用されるPEGは、ヒドロキシまたはメトキシを有する末端において終結する(すなわち、XはHかCHである(「メトキシPEG」))。代替可能に、PEGは、これによって二官能性ポリマーを形成する、反応性基を有して終結できる。典型的な反応性基は、通常に見られる20個のアミノ酸における官能基と反応するために通常に使用されるこれらの反応性基(これらに限定されないが、マレイミド基、活性化カルボン酸塩(限定されないが、p−ニトロフェニルエステルが挙げられる)、活性化エステル(これらに限定されないが、N−ヒドロキシスクシニミド、p−ニトロフェニルエステルが挙げられる)、およびアルデヒドが挙げられる)だけでなく、一般的な20個のアミノ酸に対して不活性であるが、天然にコードされていないアミノ酸に存在する補完的な官能基と特に反応する官能基(これらに限定されないが、アジド基、アルキン基が挙げられる)を含むことができる。ここで留意すべきは、上記式においてYによって示されているPEGの他の末端が、天然に存在するアミノ酸または天然にコードされていないアミノ酸を介してインスリンポリペプチドに対して直接にかまたは間接的に連結していることである。実際に、Yは、ポリペプチドのアミン基(これらに限定されないが、リジンまたはN末端のイプシロンアミンが挙げられる)に対する、アミド結合、カルバメート結合または尿素結合であり得る。代替可能に、Yは、チオール基(限定されないが、システインのチオール基が挙げられる)に対するマレイミド結合であり得る。代替可能に、Yは、一般的な20個のアミノ酸を介して通常には接近できない残基に対する結合であり得る。例えば、PEGにおけるアジド基は、インスリンポリペプチドのけるアルキン基と反応して、ヒュスゲン[3+2]付加環化の産物を形成し得る。代替可能に、PEGにおけるアルキン基は、天然にコードされていないアミノ酸に存在するアジド基と反応して、同様の産物を形成し得る。いくつかの実施形態において、強い求核基(これらに限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、セミカルバジドが挙げられる)は、天然にコードされていないアミノ酸に存在するアルデヒド基またはケトン基と反応して、必要に応じていくつかの場合において適切な還元剤を用いた処理によってさらに還元される、ヒドラゾン、オキシムまたはセミカルバゾンを形成し得る。代替可能に、強い求核基は、天然にコードされていないアミノ酸を介してインスリンポリペプチドに組み込まれ得、水溶性ポリマーに存在するケトン基またはアルデヒド基と好適に反応するために使用され得る。
PEGに関する任意の分子量が、実際に所望されるように、約100ダルトン(Da)〜100,000Daまたは必要に応じてそれ以上(これらに限定されないが、0.1〜50kDaまたは10〜40kDaが挙げられる)まで(これらが挙げられるが、限定されない)、使用され得る。PEGの分子量は、広範(これらに限定されないが、約100Da〜約100,000Daの間が挙げられる)であり得る。PEGは、約100Da〜約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、PEGは、約100Da〜約50,000Daである。いくつかの実施形態において、PEGは、約100Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、PEGは、約1,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、PEGは、約5,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、PEGは、約10,000Da〜約40,000Daである。また、枝分かれ鎖のPEG(限定されないが、1〜100kDa(これらに限定されないが、1〜50kDaまたは5〜20kDaが挙げられる)の範囲の分子量を有する鎖のそれぞれを有するPEG分子が挙げられる)が、使用され得る。枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Da〜約100,000Daまたはそれ以上の間(これらが挙げられるが、限定されない)であり得る。枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Da〜約100,000Da(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、および1,000Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Da〜約50,000Daである。いくつかの実施形態において、枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約5,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、枝分かれ鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約5,000Da〜約20,000Daである。広範なPEGが、参考として本明細書に援用される、「Shearwater Polymers, Inc. catalog, Nektar Therapeuticscatalog」(これが挙げられるが、限定されない)に記載されている。
一般的に、PEGの少なくとも1つの末端は、天然にコードされていないアミノ酸との反応に利用可能である。例えば、アミノ酸側鎖との反応にとってのアルキン部分およびアジド部分は、本明細書に記載されるような天然にコードされていないアミノ酸に対してPEGを連結させるために使用され得る。天然にコードされていないアミノ酸がアジドを備える場合に、そのときPEGは、ヒュスゲン[3+2]付加環化の産物の形成をもたらすためのアルキン部分、またはアミド結合の形成をもたらすための活性化PEG種(すなわち、エステル、カルボン酸塩)のいずれかを典型的に含有する。代替可能に、天然にコードされていないアミノ酸がアルキンを含んでいる場合に、そのときPEGは、[3+2]ヒュスゲン付加環化の産物の形成をもたらすためのアジド部分を典型的に含有する。天然にコードされていないアミノ酸がカルボニル基を含んでいる場合に、PEGは、対応するヒドラゾン結合、オキシム結合、またはセミカルバゾン結合のそれぞれを形成させるために、強力な求核基(これらに限定されないが、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、またはセミカルバジドの官能基が挙げられる)を典型的に含んでいる。他の代替物において、上記において説明される反応性基の逆の方向性が、使用され得る(すなわち、天然にコードされていないアミノ酸におけるアジド基が、アルキンを含有するPEG誘導体と反応され得る)。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体を有するインスリンポリペプチドのバリアントは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖に存在する化学的な官能基と反応性である、化学的な官能基を含有する。
本発明は、いくつかの実施形態において、約800Da〜約100,000Daの平均分子量を有する水溶性ポリマーの主鎖を含んでいる、アジドを含有するポリマー誘導体およびアセチレンを含有するポリマー誘導体を提供する。水溶性ポリマーのポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール)であり得る。しかし、広範な水溶性ポリマー(これらに限定されないが、ポリ(エチレン)グリコールおよび他の関連するポリマー(ポリ(デキストラン)およびポリ(プロピレングリコール))が挙げられる)がまた、本発明の実践における使用に好適であること、PEGまたはポリ(エチレングリコール)という用語が、そのような分子のすべてを包含しかつ含むことを意図されることは、理解されるべきである。PEGという用語としては、限定されないが、その形態のいずれか(これらに限定されないが、二官能性のPEG、多腕のPEG、誘導体化されたPEG、分岐したPEG、枝分かれPEG、吊り下げ式のPEG(すなわち、ポリマー骨格に対して釣り下がっている1つ以上の官能基を有するPEGまたは関連するポリマー)、またはこれらに分解可能な結合を有するPEGが挙げられる)であるポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
PEGは、典型的に、透明であり、無色であり、無臭であり、水溶性であり、熱に安定であり、多くの化学物質に対して不活性であり、加水分解されないかまたは劣化されず、かつ一般的に無毒である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性である(PEGが、損傷の原因になることなく、生きている組織または生体と共存可能であることを意味する)と見做される。より詳細には、PEGは、実質的に非免疫原性である(PEGが身体に免疫応答を生じさせる傾向を示さないことを意味する)。身体においていくつかの所望の機能を有する分子(例えば、生物学的に活性な分子)に対して連結される場合に、PEGは、物質をマスクする傾向にあり、かつ生体が物質の存在に寛容であり得るように任意の免疫応答を低減可能か、または除去できる。PEG抱合物は、実質的な免疫応答を生じないか、または凝固もしくは他の好ましくない影響の原因にならない傾向を示す。式−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−(ここでnは約3〜4000、典型的に約20〜約2000である)を有するPEGは、本発明における使用に好適である。約800Da〜約100,000Daまでの分子量を有するPEGは、本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー骨格として特に有用である。PEGの分子量は、広範(限定されないが、約100Da〜約100,000Daまたはそれ以上の間が挙げられる)であり得る。PEGの分子量は、約100Da〜約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約100Da〜約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約100Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約1,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約5,000Da〜約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約10,000Da〜約40,000Daの間である。
ポリマー骨格は、線状または枝分かれであり得る。枝分かれポリマーの骨格は、一般的に当該技術において公知である。典型的に、枝分かれポリマーは、中心の分枝核部分および中心の分枝核に対して連結された複数の線状ポリマー鎖を有する。PEGは、種々のポリオール(例えば、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトールおよびソルビトール)に対するエチレンオキシドの付加によって調製され得る、枝分かれの形態において通常に使用される。また、中心の分枝核部分は、リジンといった種々のアミノ酸から誘導体化され得る。枝分かれポリ(エチレングリコール)は、R(−PEG−OH)(Rは、グリセロール、グリセロールオリゴマー、またはペンタエリスリトールといった核部分から誘導体化され、かつmは腕の数を表す)として通常の形態において表され得る。また、多腕のPEG分子(例えば、言及によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;米国特許第5,229,490号明細書;米国特許第4,289,872号明細書;米国特許出願公開第2003/0143596号明細書;国際公開第96/21469号パンフレット;および国際公開第93/21259に号パンフレットに記載されるようなそれら)は、ポリマー骨格として使用され得る。
また、枝分かれPEGは、PEG(−YCHZ(ここで、Yは結合基であり、かつZは所定の長さの原子の鎖によってCHに対して連結される活性化末端基である)によって表される分岐したPEGの形態であり得る。
さらなる枝分かれの形態、吊り下がり式のPEGは、PEGの鎖の末端ではなくPEG骨格に沿ってある、カルボキシルといった反応性基を有する。
またPEGのこれらの形態に加えて、ポリマーは、骨格において弱い結合または分解可能な結合を有して、調製され得る。例えば、PEGは、ポリマー骨格に加水分解を受けやすいエステル結合を有して調製され得る。以下に示すように:
−PEG−CO−PEG− + HO → PEG−COH + HO−PEG−
この加水分解は、ポリマーのより低い分子量のフラグメントへの切断を結果として生じる。ポリ(エチレングリコール)またはPEGという用語が、当該技術において公知の形態のすべて(これらに限定されないが、本明細書に開示されるそれらが挙げられる)を表すか、または含むことは、当業者によって理解される。
また、他のポリマーは、本発明における使用にとって好適である。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーであり、2〜約300の末端を有するポリマー骨格は、本発明において特に有用である。好適なポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリ(プロピレングリコール)(“PPG”)、これらの共ポリマー(限定されないが、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの共ポリマーが挙げられる)、これらの三元ポリマー、およびこれらの混合物などといった、他のポリ(アルキレングリコール)が挙げられる。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、変えることができるが、典型的に約800Da〜約100,000Da、しばしば約6,000Da〜約80,000Daの範囲である。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約800Da〜約100,000Daまでの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約100Da〜約50,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約100Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約1,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約5,000Da〜約40,000Daである。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約10,000Da〜約40,000Daである。
当業者は、水溶性ポリマーに関して上記に挙げたものが、決して網羅的なものではなく、かつ単に例示であること、および上述のような品質を有するポリマー材料のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー誘導体は、ポリマー骨格が、官能基を用いて官能性化されたか、または活性化された少なくとも2つの末端、おそらく約300もの末端を有することを意味する、“多官能性”である。多官能性ポリマー誘導体としては、限定されないが、2つの末端(末端のそれぞれが、同じであり得るか、または異なり得る官能基に対して結合されている)を有する線状ポリマーが挙げられる。
1つの実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−POLY−B−N=N=N
(ここで、
N=N=Nはアジド部分であり;
Bは、存在し得るかまたは存在し得ない連結部分であり;
POLYは、水溶性の非抗原性のポリマーであり;
Aは、存在し得るかまたは存在し得ず、かつBと同じであり得るか、または異なり得る連結部分であり;かつ
Xは第2の官能基である)
を有する。
AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、18個まで含有する多重官能性化アルキル基を含み、かつ1〜10個の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素または硫黄といったヘテロ原子は、アルキル鎖に含まれ得る。また、アルキル鎖は、ヘテロ原子において枝分かれしてもよい。AおよびBに関する結合部分の他の例は、限定されないが、10個まで含有する多重官能性化アリール基を含み、かつ5〜6個の炭素原子を含有し得る。アリール基は、1個以上の炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を用いて置換され得る。好適な連結基の他の例としては、言及によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;および米国特許出願公開第2003/0143596号明細書に記載されているこれらの連結基が挙げられる。当業者は、連結部分に関して上記に挙げたものが、決して網羅的ではなく、かつ単に例示であること、および上述の品質を有する結合部分のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
Xとしての使用に好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、活性エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステル)、活性化カルボネート(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカルボネート)、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、トレシレート、アルケン、ケトンおよびアジドなどが挙げられる。当業者によって理解されるように、選択されるX部分は、アジド基との反応が生じないように、アジド基とコンパティブル(compatible)であるべきである。アジドを含有するポリマー誘導体は、第2の官能基(すなわち、X)がまた、アジド部分であることを意味する同種二官能性であり得るか、または第2の官能基が異なる官能基であることを意味する異種二官能性であり得る。
“保護された”という用語は、特定の反応条件下における化学的に反応性の官能基の反応を妨げる保護基または保護部分の存在を指す。保護基は、保護される化学的に反応性の基の種類に依存して変わる。例えば、化学的に反応性の基がアミンまたはヒドラジドである場合に、保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)の群から選択され得る。化学的に反応性の基がチオールである場合に、保護基は、オルトピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性の基がカルボキシル酸(例えば、ブタン酸またはプロピオン酸)またはヒドロキシル基である場合に、保護基は、ベンジル基またはメチル、エチルもしくはtert−ブチルといったアルキル基であり得る。また、当該技術において公知の他の保護基は、本発明に使用され得る。
文献における特定の末端官能基の例としては、これらに限定されないが、N−スクシニミジルカルボネート(例えば、米国特許第5,281,698号明細書、米国特許第5,468,478号明細書を参照すればよい)、アミン(例えば、Buckmannら Makromol. Chem. 182:1379 (1981), Zalipskyら Eur. Polym. J. 19:1177 (1983)を参照すればよい)、ヒドラジド(例えば、AndreszらMakromol. Chem. 179:301 (1978) を参照すればよい)、スクシニミジルプロピオネートおよびスクシニミジルブタノエート(例えば、Olsonら in Poly(ethylene glycol) Chemistry & Biological Applications, pp 170-181, Harris& Zalipsky Eds., ACS, Washington, D.C., 1997を参照すればよく;また、米国特許第
5,672,662号明細書を参照すればよい)、スクシニミジルスクシネート(例えば、AbuchowskiらCancer Biochem. Biophys. 7:175 (1984)およびJoppichら Makromol. Chem. 180:1381 (1979)を参照すればよい)、スクシニミジルエステル(例えば、米国特許第4,670,417号明細書を参照すればよい)、ベンゾトリアゾールカルボネート(例えば、米国特許第5,650,234号明細書を参照すればよい)、グリシジルエステル(例えば、Pithaら Eur. J Biochem. 94:11 (1979)、Ellingら, Biotech. Appl. Biochem. 13:354 (1991)を参照すればよい)、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、Beauchamp,ら, Anal. Biochem. 131:25 (1983), Tondelliら J. Controlled Release 1:251 (1985) を参照すればよい)、p−ニトロフェニルカルボネート(例えば、Veronese,ら, Appl. Biochem. Biotech., 11: 141 (1985);およびSartoreら, Appl. Biochem. Biotech., 27:45 (1991)を参照すればよい)、アルデヒド(例えば、Harrisら J. Polym. Sci. Chem. Ed. 22:341 (1984) 、米国特許第5,824,784号明細書、米国特許第5,252,714号明細書を参照すればよい)、マレイミド(例えば、Goodsonら Biotechnology (NY) 8:343 (1990) 、Romaniら in Chemistry of Peptides and Proteins 2:29 (1984)を参照すればよい)、オルトピリジル−ジスルフィド(例えば、Woghiren,ら Bioconj. Chem. 4:314(1993) を参照すればよい)、アクリロール(例えば、Sawhneyら, Macromolecules, 26:581 (1993) を参照すればよい)、ビニルスルホン(例えば、米国特許第5,900,461号明細書を参照すればよい)が挙げられる。上述の参考文献および特許文献のすべては、言及によって本明細書に組み込まれる。
本発明のある特定の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−N=N=N
(ここで、
Xは上述のような官能基であり;かつ
nは約20〜約4000までである)
を有するポリマー骨格を含む。
他の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−O−(CH−W−N=N=N
(ここで、
Wは1〜10個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族の連結部分であり;
nは約20〜約4000であり;かつ
Xは上述のような官能基である)
を有するポリマー骨格を含む。mは1〜10である。
本発明のアジドを含有するPEG誘導体は、当該技術において公知の種々の方法および/または本明細書に開示されている種々の方法によって調製され得る。以下に示されている1つの方法において、約800Da〜約100,000Daまでの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格であり、第1の官能基に対して結合される第1の末端および好適な脱離基に対して結合される第2の末端を有するポリマー骨格は、アジドアニオン(好適な対イオン(ナトリウム、カリウム、およびtertブチルアンモニウムなどが挙げられる)と一対にされ得る)と反応させられる。脱離基は、求核置換を受け、かつアジド部分によって置換され、所望のアジドを含有するPEGポリマーを生じる。
X−PEG−L + N → X−PEG−N
に示されているように、本発明における使用に好適なポリマー骨格は、式X−PEG−L(ここで、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、かつXはアジド基と反応しない官能基であり、かつLは好適な脱離基である)を有する。好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アセタール、アルケニル、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、マレイミド、ジチオピリジン、およびビニルピリジン、およびケトンが挙げられる。好適な脱離基の例としては、これらに限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート、およびトシレートが挙げられる。
本発明のアジドを含有するポリマー誘導体を調製する他の方法において、アジド官能基をを有する結合剤は、約800Da〜約100,000Daの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格と接触され、ここで、上記結合剤は、PEGポリマーにおける化学的な官能基と選択的に反応してアジドを含有するポリマー誘導体産物を形成する化学的な官能基を有し、ここで、アジドは、結合剤よってポリマー骨格から離されている。
例示的な反応手順が、以下に示されている:
X−PEG−M + N−リンカー−N=N=N → PG−X−PEG−リンカー−N=N=N
(ここで、
PEGは、ポリ(エチレングリコール)であり、かつXはアルコキシまたは上述のような官能基といったキャップ形成基であり;かつ
Mはアジド官能基と反応しないが、Nの官能基と効率的かつ選択的に反応する官能基である)。
好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、Nがアミンである場合にカルボキシル酸、カルボネートまたは活性エステルであるM;Nがヒドラジドまたはアミノオキシ部分である場合にケトンであるM;Nが求核基である場合に脱離基であるMが挙げられる。
粗製産物の精製は、公知の方法(限定されないが、必要に応じてクロマトグラフィーに続く産物の沈殿が挙げられる)によって達成され得る。
より詳細な例は、アミンの1個がtert−ブチル−Bocといった保護基部分によって保護され、かつ結果として生じる1保護されたPEGジアミンがアジド官能基を有する連結部分と反応される、PEGジアミンの場合に関して、以下に示されている:
BocHN−PEG−NH+ HOC−(CH−N=N=N。
この場合には、アミン基は、チオニル塩化物もしくはカルボジイミド試薬、およびN−ヒドロキシスクシニミドもしくはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールといった種々の活性剤を用いて、カルボキシル酸基に対して結合されて、モノアミンPEG誘導体とアジド担持連結部分との間にアミド結合を作り出し得る。アミド結合の形成が上手く行った後に、結果として生じるN−tert−ブチル−Boc−保護されたアジドを含有する誘導体は、生体活性分子を修飾するために直接に使用され得るか、または他の有用な官能基を組み込むために、さらに合成され得る。例えば、N−t−Boc基は、強酸を用いた処理によて加水分解されて、オメガ−アミノ−PEG−アジドを生成する。結果として生じるアミンは、合成の手がかりとして使用されて、有益な異種二官能性試薬にとっての、マレイミド基、活性化ジスルフィド、および活性化エステルなどといった他の有用な官能基を組み込み得る。
異種二官能性誘導体は、ポリマーの末端のそれぞれに対して異なる分子を連結させることが所望される場合に、特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アジドPEGは、活性化された求核基(例えば、アルデヒド、ケトン、および活性化カルボネートなど)を有する分子の、PEGの1つの末端に対する連結、およびアセチレン基を有する分子の、PEGの他の末端に対する連結を可能にする。
本発明の他の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−POLY−B−C≡C−R
(ここで、
RはHもしくはアルキル、アルキレン、アルコキシ、またはアリールもしくは置換アリールであり得;
Bは、存在し得るか、または存在し得ない連結部分であり;
POLYは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、存在し得るか、または存在し得ず、かつBと同じであり得るか、または異なり得る連結部分であり;かつ
Xは第2の官能基である)
を有する。
AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、18まで含有する多機能化アルキル基を含み、かつ1〜10個の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素または硫黄といったヘテロ原子は、アルキル鎖と共に含まれ得る。また、アルキル鎖は、ヘテロ原子において枝分かれし得る。AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、10個まで含有する多機能化アルキル基を含み、かつ5〜6個の炭素原子を含有し得る。アリール基は、1個以上の炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を用いて置換され得る。好適な連結基の他の例としては、言及によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書および米国特許第5,643,575号明細書および米国特許出願公開第2003/0143596号明細書に記載されているそれらが挙げられる。当業者は、連結部分に関して上記に挙げたものが、決して網羅的なものではなく、かつ単に例示であること、および上述のような品質を有する連結部材料のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
Xとしての利用に好適な官能基の例としては、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステル)、活性なカルボネート(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカルボネート)、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレート、アルケン、ケトン、およびアセチレンが挙げられる。理解されるように、選択されるX部分は、アセチレン基との反応が生じないように、アセチレン基とコンパティブルであるべきである。アセチレンを含有するポリマー誘導体は、第2の官能基(すなわち、X)がまた、アセチレン部分であることを意味する同種二官能性であり得るか、または第2の官能基が異なる官能基であることを意味する異種二官能性であり得る。
本発明の他の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−O−(CH−C≡CH
(ここで、
Xは上述のような官能基であり;
nは約20〜約4000であり;かつ
mは1〜10である)
を有するポリマー骨格を含む。異種二官能性PEGポリマーのそれぞれの詳細な例が以下に示される。
本発明のアセチレンを含有するPEG誘導体は、当業者に公知の方法および/または本明細書に開示されている方法を用いて調製され得る。1つの方法において、約800Da〜約100,000Daの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格であり、第1の官能基に対して結合される第1の末端および好適な求核基に対して結合される第2の末端を有するポリマー骨格は、PEGにおける求核基との反応に好適であるアセチレン基および脱離基の両方を有する化合物と反応される。求核部分を有するPEGポリマーおよび脱離基を有する分子が組み合わせられると、脱離基は、求核置換を受け、かつ求核部分によって置換され、所望のアセチレンを含有するポリマーを生じる。
X−PEG−Nu + L−A−C → X−PEG−Nu−A−C≡CR’
に示されるように、反応における使用に好ましいポリマー骨格は、式X−PEG−Nu(ここで、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Nuは求核部分であり、かつXはNu、Lまたはアセチレン官能基と反応しない官能基である)を有する。
Nuの例としては、これらに限定されないが、SN2−型機序を介して主に反応する、アミン、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィドリル、イミノ、カルボキシレート、ヒドラジド、アミノオキシ基が挙げられる。Nuの付加的な例としては、求核付加反応を介して主に反応する、これらの官能基が挙げられる。L基の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート、およびトシレートおよび求核置換を受けると予想される他の基、これらと同様にケトン、アルデヒド、チオエステル、オレフィン、アルファ−ベータ不飽和カルボニル基、カルボネートおよび求核基によって付加を受けると予想される他の求核性基が挙げられる。
本発明の他の実施形態において、Aは、1〜10個の炭素原子の脂肪酸リンカー、または6〜14個の炭素原子の置換アリール環である。Xはアジド基と反応しない官能基であり、かつLは好適な脱離基である。
本発明のアセチレンを含有するポリマー誘導体を調製する他の方法において、約800Da〜約100,000Daまでの平均分子量を有し、1つの末端に保護された官能基もしくはキャップ形成剤のいずれかを有し、かつもう一方の末端に好適な脱離基を有するPEGポリマーは、アセチレンアニオンによって接触される。
例示的な反応手順は、以下に示される:
X−PEG−L + −C≡CR’ → X−PEG−C≡CR’
(ここで、
PEGはポリ(エチレングリコール)であり、かつXはキャップ形成基(例えば、アルコキシまたは上述のような官能基)であり;かつ
R’はH、アルキル、アルコキシ、アリールもしくはアリールオキシ基、または置換アルキル、置換アルコキシル、置換アリールもしくは置換アリールオキシ基のいずれかである)。
上述の例において、脱離基Lは、十分な濃度のアセチレンアニオンと接触されれる場合に、SN2−型置換を受けるために十分に反応性でなければならない。アセチレンアニオンによる脱離基のSN2置換の達成に要求される反応条件は、当業者に公知である。
粗製産物の精製は、当該分野に公知の方法(限定されないが、必要に応じて、クロマトグラフィーに続く沈殿が挙げられる)によって通常に達成され得る。
水溶性ポリマーは、本発明のインスリンポリペプチドに対して連結され得る。水溶性ポリマーは、インスリンポリペプチドに組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸、もしくは天然にコードされていないアミノ酸もしくは天然にコードされるアミノ酸の任意の官能基もしくは置換基か、または天然にコードされていないアミノ酸もしくは天然にコードされるアミノ酸に付加された任意の官能基もしくは置換基、を介して連結され得る。代替可能に、水溶性ポリマーは、天然に存在するアミノ酸(これらに限定されないが、システイン、リジンまたはN末端残基のアミノ酸が挙げられる)を介して、天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいる、インスリンポリペプチドに対して連結され得る。いくつかの場合において、本発明のインスリンポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の非天然アミノ酸を含んでおり、ここで、天然にコードされていないアミノ酸の1個以上は、(複数の)水溶性ポリマー(これらに限定されないが、PEGおよび/またはオリゴ糖が挙げられる)に対して連結される。いくつかの場合において、本発明のインスリンポリペプチドは、水溶性ポリマーに対して連結された1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸を、さらに含んでいる。いくつかの場合において、本発明のインスリンポリペプチドは、水溶性ポリマーに対して連結された天然にコードされていないアミノ酸の1個以上、および水溶性ポリマーに対して連結された天然に存在するアミノ酸の1個以上を含んでいる。いくつかの場合において、本発明に使用される水溶性ポリマーは、その非抱合形態と比べて、インスリンポリペプチドの半減期を増強する。
本発明のインスリンポリペプチドに対して連結される水溶性ポリマーの数(すなわち、ペグ化またはグリコシル化の程度)は、変更された(これらに限定されないが、増強されたか、または低減された、が挙げられる)薬理学的特性、薬物動態学的特性、または薬力学特性(例えば、in vivoにおける半減期)を与えるために、調節され得る。いくつかの実施形態において、インスリンの半減期は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90パーセント、2倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、50倍、または少なくとも約100倍に、非修飾のポリペプチドを超えて増強される。
(強い求核基(すなわち、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンまたはセミカルバジド)を含有するPEG誘導体)
本発明の一実施形態において、カルボニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、PEG骨格に対して直接に連結されている末端のヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジドまたはセミカルバジドの部分を含有するPEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である(すなわち、平均分子量は5〜40kDaの間である))
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドラジンを含有するPEG誘導体またはヒドラジドを含有するPEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、nは100〜1,000であり、かつXは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジドを含有するPEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、アミド結合を用いてPEG骨格に連結される、末端のヒドロキシルアミン、ヒドラジド、ヒドラジン、またはセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である(すなわち、平均分子量は5〜40kDaの間である))
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドラジンを含有するPEG誘導体またはヒドラジドを含有するPEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、nは100〜1,000であり、かつXは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジドを含有するPEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、末端のヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジドまたはセミカルバジド部分を含有する枝分かれPEG(10〜40kDa(そして5〜20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する枝分かれPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。
本発明の他の実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、枝分かれ構造を有するPEG誘導体を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、ヒドラジン末端PEG誘導体またはヒドラジド末端PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)]CH(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、nは100〜1,000であり、かつXは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジド基を含有するPEG誘導体は、構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−NH−CH−CHCH−X−(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である)
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルアミン基を含有するPEG誘導体は、構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−NH−CH−CHCH−X−(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である)
水溶性ポリマーがインスリンポリペプチドに対して連結される程度および部位は、インスリンポリペプチド受容体に対するインスリンポリペプチドの結合を調節できる。いくつかの実施形態において、連結は、インスリンポリペプチドが、インスリンポリペプチド受容体を、平衡化結合アッセイ(例えば、Spencerら, J. Biol. Chem., 263:7862-7867 (1988) に記載されているとおりである)によって測定されるときに約400nM以下のKを有して、150nM以下のKを有して、そしていくつかの場合において100nM以下のKを有して、結合するように配置される。
ポリマーの活性化およびペプチドの抱合に関する、方法および化学反応は、文献に記載され、かつ当該技術において公知である。ポリマーの活性化に通常に使用される方法としては、これらに限定されないが、シアン、臭化物、過ヨウ素酸塩、グルタルアルデヒド、ビエポキシド、エピクロロヒドリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニル、トリクロロトリアジンなどを有する官能基の活性化が挙げられる(R. F. Taylor, (1991), Protein Immobilisation. Fundamental and Applications, Marcel Dekker, N.Y.; S. S. Wong, (1992), Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking, CRC Press, Boca Raton; G. T. Hermansonら, (1993), Immobilized Affinity Ligand Techniques, Academic Press, N.Y.; Dunn, R.L.,ら, Eds. POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, ACS Symposium Series Vol. 469, American Chemical Society, Washington, D.C. 1991を参照すればよい)。
PEGの官能性化および抱合に関する種々の概説および研究論文が利用可能である。例えば、Harris, Macromol. Chem. Phys. C25: 325-373 (1985); Scouten, Methods in Enzymology 135: 30-65 (1987); Wongら, Enzyme Microb. Technol. 14: 866-874 (1992); Delgadoら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9: 249-304 (1992); Zalipsky, Bioconjugate Chem. 6: 150-165 (1995) を参照すればよい。
また、ポリマーを活性化する方法は、国際公開第94/17039号パンフレット、米国特許第5,324,844号明細書、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット、米国特許第5,219,564号明細書、米国特許第5,122,614号明細書、国際公開第90/13540号パンフレット、米国特許第5,281,698号明細書、および国際公開第93/15189号パンフレットに見出され得、かつ活性化ポリマーと酵素(これらに限定されないが、凝結因子VIII(国際公開第94/15625号パンフレット)、ヘモグロビン(国際公開第94/09027号パンフレット)、酸素運搬タンパク質(米国特許第4,412,989号明細書)、リボヌクレアーゼおよび超酸化物不均化酵素(Veronese at al., App. Biochem. Biotech. 11: 141-52 (1985))が挙げられる)との間における抱合に関して見出され得る。引用された参考文献および特許文献のすべては、言及によって本明細書に組み込まれる。
天然にコードされていないアミノ酸(例えば、p−アジド−L−フェニルアラニン)を含有するインスリンポリペプチドのペグ化(すなわち、任意の水溶性ポリマーの付加)は、任意の従来の方法によって実施される。例えば、インスリンポリペプチドは、アルキン末端化mPEG誘導体を用いてペグ化される。簡単に言うと、過剰のmPEG(5000)−O−CH−C≡CHが、室温において攪拌しながら、p−アジド−L−Pheを含有するインスリンポリペプチドの水性溶液に対して加えられる。典型的に、水性溶液は、反応が実施されるべきpH(一般的に約pH4〜10)に近いpKを有する緩衝液を用いて、緩衝化される。pH7.5におけるペグ化に好適な緩衝液の例としては、例えば、これらに限定されないが、HEPES、リン酸塩、ホウ酸塩、TRIS−HCl、EPPS、およびTESが挙げられる。pHは、継続的に観察され、かつ必要に応じて調節される。反応は放置されて、1〜48時間に渡って典型的に続けられる。
反応産物は、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられて、遊離mPEG(5000)−O−CH−C≡CH、ならびにブロックされていないPEGが分子の両方の末端において活性化される場合に形成し、これによってインスリンバリアント分子を架橋し得る、ペグ化されたインスリンポリペプチドのバリアントの任意の高分子量複合体から、ペグ化されたインスリンポリペプチドを分離する。疎水性相互作用クロマトグラフィーの条件は、遊離mPEG(5000)−O−CH−C≡CHがカラムをとおり抜ける一方において、ペグ化されたインスリンポリペプチドのバリアント複合体が、1つ以上のPEG基に対して抱合された1つのインスリンポリペプチドのバリアント分子を含有する所望の形態の後に、溶出するような条件である。好適な条件は、所望の抱合物に対する架橋化複合体の相対的な大きさに依存して変わり、かつ当業者によって容易に決定される。所望の抱合物を含有する溶出物は、限外ろ過によって濃縮され、かつダイアフィルトレーションによって脱塩化される。
必要に応じて、疎水性相互作用クロマトグラフィーから得られたペグ化されたインスリンポリペプチドは、当業者に公知の1つ以上の手法(これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー;アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー(限定されないが、デアエ セファロース(DEAE SEPHAROSE)を用いる、が挙げられる);シリカ上におけるクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(限定されないが、セファデックス(SEPHADEX) G−75を用いる、が挙げられる);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;等電点電気泳動;置換クロマトグラフィー;電気泳動手法(限定されないが、分離用の等電点電気泳動が挙げられる)、差異的可溶性(限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿が挙げられる)、または抽出が挙げられる)によってさらに精製され得る。見かけの分子量は、球状タンパク質標準との比較によるGPCによって、見積モル濃度れ得る(Preneta, AZ in Protein purification methods, a practical approach (Harris & Angal, Eds.) IRL Press 1989, 293-306)。インスリン−PEG抱合物は、タンパク質分解(限定されないが、トリプシン切断が挙げられる)に続く質量分析によって評価され得る。Pepinsky RB.,ら, J. Pharmcol. & Exp. Ther. 297(3):1059-66 (2001)。
本発明のインスリンポリペプチドのアミノ酸に対して連結された水溶性ポリマーは、制限されることなく、さらに誘導体化され得るか、または置換され得る。
(アジドを含有するPEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、インスリンポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖に存在するアルキン部分と反応するアジド部分を含有するPEG誘導体を用いて、修飾される。一般的に、PEG誘導体は、1〜100kDaを有し、かついくつかの実施形態において10〜40kDaの範囲にある平均分子量を有する。
いくつかの実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−N
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である(すなわち、平均分子量は5〜40kDaの間である))
を有する。
他の実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−N(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、pは2〜10であり、かつnは100〜1,000である(すなわち、平均分子量は5〜40kDaの間である))
を有する。
本発明の他の実施形態において、アルキンを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、末端アジド部分を含有する枝分かれPEG誘導体(10〜40kDa(そして5〜20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する枝分かれPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)]CH(CH−X−(CH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、pは2〜10であり、nは100〜1,000であり、かつXは任意に、いずれの場合においても存在し得るかまたは存在し得ない、O、N、Sまたはカルボニル基(C=O)である)
を有する。
(アルキンを含有するPEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、インスリンポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアルキン部分を含有する、PEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
Figure 2014169313
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、かつnは100〜1,000である(すなわち、平均分子量は5〜40kDaの間である))
を有する。
本発明の他の実施形態において、アルキンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、アミド結合を用いてPEGに対して連結される末端のアジドまたは末端のアルキン部分を含有する、PEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
Figure 2014169313
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、pは2〜10であり、かつnは100〜1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、アジドを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、末端のアルキン部分を含有する枝分かれPEG誘導体(10〜40kDa(そして5〜20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する枝分かれPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
Figure 2014169313
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2〜10であり、pは2〜10であり、nは100〜1,000であり、かつXはO、N、Sまたはカルボニル基(C=O)であるか、または存在しない)
を有する。
(ホスフィンを含有するPEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、インスリンポリペプチドは、活性化官能基(これらに限定されないが、エステル、カルボネートが挙げられる)を含有し、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアリールホスフィン基をさらに含んでいる、PEG誘導体を用いて修飾される。一般的に、PEG誘導体は、1〜100kDa、そしていくつかの実施形態において10〜40kDaの範囲の平均分子量を有する。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
Figure 2014169313
(ここで、nは1〜10であり、XはO、NまたはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、かつWは水溶性ポリマーである)
を有する。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
Figure 2014169313
(ここで、XはO、NまたはSであるか、または存在せず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、かつRはH、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリール基であり得る)。例示的なR基としては、これらに限定されないが、−CH、−C(CH、−OR’,−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−C(O)R’、−CONR’R’’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CNおよび−NOが挙げられる。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は互いに独立して、水素、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール(これらに限定されないが、1〜3個のハロゲンを用いて置換されているアリールが挙げられる)、置換もしくは非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ、またはアルキルアリール基を指す。本発明の化合物が1つ以上のR基を含む場合に、例えば、R基のそれぞれは独立して、これらの基が2個以上存在する場合に、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれであるように選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に連結される場合に、それらは、窒素原子と組み合わさって、5−、6−または7−員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、これらに限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニル含むことを意図される。置換基の上述の議論から、当業者は、“アルキル”という用語が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(これらに限定されないが、−CFおよび−CHCFが挙げられる)およびアシル(これらに限定されないが、−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなどが挙げられる))に対して結合される炭素原子を含めた基を包含することを意図される。
(他のPEG誘導体および一般的なペグ化の技術)
インスリンポリペプチドに対して連結され得る他の例示的なPEG分子だけでなく、ペグ化の方法としては、例えば、言及によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2004/0001838号明細書;米国特許出願公開第2002/0052009号明細書;米国特許出願公開第2003/0162949号明細書;米国特許出願公開第2004/0013637号明細書;米国特許出願公開第2003/0228274号明細書;米国特許出願公開第2003/0220447号明細書;米国特許出願公開第2003/0158333号明細書;米国特許出願公開第2003/0143596号明細書;米国特許出願公開第2003/0114647号明細書;米国特許出願公開第2003/0105275号明細書;米国特許出願公開第2003/0105224号明細書;米国特許出願公開第2003/0023023号明細書;米国特許出願公開第2002/0156047号明細書;米国特許出願公開第2002/0099133号明細書;米国特許出願公開第2002/0086939号明細書;米国特許出願公開第2002/0082345号明細書;米国特許出願公開第2002/0072573号明細書;米国特許出願公開第2002/0052430号明細書;米国特許出願公開第2002/0040076号明細書;米国特許出願公開第2002/0037949号明細書;米国特許出願公開第2002/0002250号明細書;米国特許出願公開第2001/0056171号明細書;米国特許出願公開第2001/0044526号明細書;米国特許出願公開第2001/0021763号明細書;米国特許第6,646,110号明細書;米国特許第5,824,778号明細書;米国特許第5,476,653号明細書;米国特許第5,219,564号明細書;米国特許第5,629,384号明細書;米国特許第5,736,625号明細書;米国特許第4,902,502号明細書;米国特許第5,281,698号明細書;米国特許第5,122,614号明細書;米国特許第5,473,034号明細書;米国特許第5,516,673号明細書;米国特許第5,382,657号明細書;米国特許第6,552,167号明細書;米国特許第6,610,281号明細書;米国特許第6,515,100号明細書;米国特許第6,461,603号明細書;米国特許第6,436,386号明細書;米国特許第6,214,966号明細書;米国特許第5,990,237号明細書;米国特許第5,900,461号明細書;米国特許第5,739,208号明細書;米国特許第5,672,662号明細書;米国特許第5,446,090号明細書;米国特許第5,808,096号明細書;米国特許第5,612,460号明細書;米国特許第5,324,844号明細書;米国特許第5,252,714号明細書;米国特許第6,420,339号明細書;米国特許第6,201,072号明細書;米国特許第6,451,346号明細書;米国特許第6,306,821号明細書;米国特許第5,559,213号明細書;米国特許第5,747,646号明細書;米国特許第5,834,594号明細書;米国特許第5,849,860号明細書;米国特許第5,980,948号明細書;米国特許第6,004,573号明細書;米国特許第6,129,912号明細書;国際公開第97/32607号パンフレット、欧州特許出願公開第229,108号明細書、欧州特許出願公開第402,378号明細書、国際公開第92/16555号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット、国際公開第94/14758号パンフレット、国際公開第94/17039号パンフレット、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/28024号パンフレット、国際公開第95/00162号パンフレット、国際公開第95/11924, WO95/13090号パンフレット、国際公開第95/33490号パンフレット、国際公開第96/00080号パンフレット、国際公開第97/18832号パンフレット、国際公開第98/41562号パンフレット、国際公開第98/48837号パンフレット、国際公開第99/32134号パンフレット、国際公開第99/32139号パンフレット、国際公開第99/32140号パンフレット、国際公開第96/40791号パンフレット、国際公開第98/32466号パンフレット、国際公開第95/06058号パンフレット、欧州特許出願公開第439 508号明細書、国際公開第97/03106号パンフレット、国際公開第96/21469号パンフレット、国際公開第95/13312号パンフレット、欧州特許出願公開第921 131号明細書、国際公開第98/05363号パンフレット、欧州特許出願公開第809 996号明細書、国際公開第96/41813号パンフレット、国際公開第96/07670号パンフレット、欧州特許出願公開第605 963号明細書、欧州特許出願公開第510 356号明細書、欧州特許出願公開第400 472号明細書、欧州特許出願公開第183 503号明細書および欧州特許出願公開第154 316号明細書に記載されているそれらが挙げられる。本明細書に記載されているPEG分子のいずれもが、任意の形態(これらに限定されないが、単鎖、枝分かれ鎖、多腕鎖、単官能性、二官能性、多官能性、またはこれらの組合せが挙げられる)において使用され得る。
付加的なポリマー、および、これに限定されるものではないが、ヒドロキシルアミン(アミノオキシ)PEG誘導体を含むPEG誘導体が、参考としてその全体が本明細書に援用される以下の特許出願:米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、米国仮特許出願第60/755,338号明細書、米国仮特許出願第60/755,711号明細書、米国仮特許出願第60/755,018号明細書、国際特許出願番号第PCT/US06/49397号明細書、国際公開第2006/069246号パンフレット、米国仮特許出願第60/743,041号明細書、米国仮特許出願第60/743,040号明細書、国際特許出願番号第PCT/US06/47822号明細書、米国仮特許出願第60/882,819号明細書、米国仮特許出願第60/882,500号明細書、および米国仮特許出願第60/870,594号明細書。に説明されている。
(異種Fc融合タンパク質)
上述したインスリン化合物は、直接、または、ペプチドリンカーを介して、免疫グロブリンのFcタンパク質に融合し得る。免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって連結されたポリペプチド鎖を含む分子であり、典型的には、二つの軽鎖および二つの重鎖を有する。それぞれの鎖において、一つのドメイン(V)は、当該分子の抗体特異性に応じた可変なアミノ配列を有する。他のドメイン(C)は、同じクラスの分子において共通なより定常的な配列を有する。
本明細書において使用されるときに、免疫グロブリンのFc部分は、免疫学の分野における用語に共通して与えられている意味を有する。特にこの用語は、抗体から2つの抗原結合領域(Fabフラグメント)を除去することによって得られる抗体フラグメントを指す。Fabフラグメントを除去する1つの方法は、パパインプロテアーゼを用いて免疫グロブリンを消化することである。したがって、Fc部分は、両方の重鎖に由来する定常領域のおおよそ等しい大きさのフラグメントから形成され、これらのフラグメントは非共有結合的な相互作用およびジスルフィド結合を介して会合している。Fc部分は、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを介した抗体に対する伸張を有する。ヒトおよびマウスにおける代表的なヒンジ領域は、その教示内容が参考として本明細書に援用される、Antibody Engineering, A Practical Guide, Borrebaeck, C. A. K., ed., W. H. Freeman and Co., 1992に見出され得る。Fc部分は、1つ以上のグリコシル化の部位をさらに含んでいる。ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでいる多くの代表的なFc部分のアミノ酸配列は、当該分野において公知である。
異なるエフェクター機能および薬物動態を有するヒト免疫グロブリンのFc部分には5種類:IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEが存在する。IgGは血清中に豊富な免疫グロブリンである。また、IgGは免疫グロブリンのいずれよりも血清中において最も長い半減期(23日)を有する。他の免疫グロブリンとは異なり、IgGは、Fc受容体との結合後に効率的に再循環される。4つのIgGサブクラス:G1、G2、G3およびG4があり、それぞれが異なるエフェクター機能を有している。G1、G2およびG3はC1qおよび結合補体と結合するが、G4は結合できない。G3はG1よりもC1qと効率的に結合できるが、G1は補体指向性の細胞溶解の媒介により有能である。G2は補体との結合効率が非常に悪い。IgGにおける結合部位はCH2ドメインのカルボキシル末端に位置している。
IgGサブクラスのすべては、Fc受容体(CD16、CD32、CD64)と結合可能であり、G1およびG3がG2およびG4よりも効率的である。IgGのFc受容体結合領域は、CH2ドメインのヒンジ領域およびカルボキシル末端領域の両方に位置する残基によって形成されている。
IgAは、J鎖によってともに保持されているモノマーおよびダイマーの形態の両方において存在する。IgAは血清中に最も豊富に存在するが、その半減期はわずか6日に過ぎない。IgAは3つエフェクター機能を有している。IgAは、食作用および脱顆粒のそれぞれを促進する、マクロファージおよび好酸球上のIgA特異的受容体と結合する。また、IgAは未知の代替経路を介して補体と結合する。
IgMは、ペンタマーまたはヘキサマーのいずれか(いずれもJ鎖によって保持されている)として発現される。IgMの半減期は5日である。IgMはCH3ドメインに位置する結合部位を介してC1qと弱く結合する。IgDは血清中における半減期が3日である。IgDは、このIgが担っているエフェクター機能が何であるか明確になっていない。IgEは2.5日の半減期を有するモノマーIgである。IgEは脱顆粒を促進し、炎症誘発性物質の放出を生じる2つのFc受容体と結合する。
所望のin vivoにおける効果に依存して、本発明の異種融合タンパク質は、上述のアイソタイプのいずれかを含み得るか、または変異Fc領域を含み得る。ここで、補体および/またはFc受容体との結合機能が改変されている。したがって、本発明の異種融合タンパク質は、インスリン化合物と融合された、免疫グロブリンのFc部分全体、免疫グロブリンのFc部分のフラグメント、またはこれらの類似体を含み得る。
本発明の融合タンパク質は、短鎖タンパク質または重鎖ポリペプチドからなり得る。2つ以上のFc融合タンパク質は、それらがFc領域の間に天然に形成されるジスルフィド結合を介して相互作用するように、作製され得る。これらのマルチマーは、インスリン化合物に対して異種であり得るか、またはそれらが融合タンパク質のFc部分のC末端に融合される異なるインスリン化合物を含み得る。
融合タンパク質の最終的な構造とは関係なく、Fc領域またはFc様領域はN末端において融合されたインスリン化合物のin vivoにおける血漿半減期を延長するために機能する。また、本発明のインスリン化合物は、インスリンの生物学的活性を少なくとも1つ維持しているべきである。治療半減期または循環半減期の向上は、本明細書に記載の方法または当該分野において公知の方法を用いて証明され得る。ここで、融合タンパク質の半減期は、インスリン化合物単独の半減期と比較されている。生物学的活性は、当該分野において公知のin vitroの方法およびin vivoの方法によって決定される。
タンパク質文化によって産生されるIgGのFc領域は、IgG分子およびFabフラグメントが急速に分解されるのと同様のin vivoにおける半減期を有しているので、延長した半減期と関連する配列がCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに存在すると考えられる。さらに、アフィニティーの高いFc受容体まC1qとを有して結合しないIgGバリアントの分解速度は、親の野生型抗体の排除速度と識別できないことが、文献において示されている。これは、分解部位がFc受容体またはC1q結合と関連する部位とは異なることを示しいる(Wawrzynczakら, (1992) Molecular Immunology 29:221]. )。マウスIgG領域を用いた部位特異的変異生成の研究によって、分解速度を制御するIgG1のFc領域の部位がCH2−CH3ドメインの抱合域に位置していることが示唆された。Fc領域は、癒合タンパク質の半減期を最適化するために分解部位において修飾され得る。本発明の融合タンパク質に使用されるFc領域は、IgG1またはIgG4のFc領域に由来し得、ヒンジ領域を含むCH2ドメインCH3ドメインの両方を含み得る。
(異種のアルブミン融合タンパク質)
本明細書に記載のインスリンは、アルブミンまたはこれらの類似体、フラグメント、もしくは誘導体と、直接に融合され得るか、またはペプチドリンカー、水溶性リンカー、もしくはプロドラッグリンカーを介して融合され得る。一般的に、本発明の融合タンパク質の一部であるアルブミンタンパク質は、任意の種(ヒトが挙げられる)からクローン化されたアルブミンに由来し得る。ヒト血清アルブミン(HSA)は、66500の分子量を有する、585アミノ酸のグリコシル化されていないポリペプチドの一本鎖からなる。ヒトHSAのアミノ酸配列は公知である(参考として本明細書に援用される、Meloun,ら (1975) FEBS Letters 58:136; Behrens,ら (1975) Fed. Proc. 34:591; Lawn,ら (1981) Nucleic Acids Research 9:6102-6114; Minghetti,ら (1986) J. Biol. Chem. 261 :6747を参照すればよい)。アルブミンの種々の多形バリアントならびに類似体およびフラグメントについて、Weitkamp,ら, (1973) Ann. Hum. Genet. 37:219に記載されている。例えば、欧州特許第322,094号明細書におけるHSAの短鎖形態。HSAのこれらのフラグメントのいくつか(HSA(1−338)、HSA(1−389)、ならびにHSA(1−419)および1−369と1−419との間のフラグメントが挙げられる)が開示されている。欧州特許第399,666号明細書には、HSA(1−177)、ならびにHSA(1−200)および1−177と1−200との間のフラグメントを含むアルブミンフラグメントが開示されている。
本発明の異種融合タンパク質が、任意のアルブミンタンパク質(フラグメント、類似体および誘導体が挙げられる)と結合されているインスリン化合物を含んでいることについて理解される。ここで、当該融合タンパク質が生物学的に活性であり、インスリン化合物単独より長い血漿半減期を有している。したがって、融合タンパク質のアルブミン部分は、未処理のヒトアルブミンの半減期と等しい半減期を有している必要はない。所定の未処理のヒトアルブミンおよびインスリン化合物の半減期に対して、より長い半減期または中間の半減期を有しているフラグメント、類似体および誘導体は、公知であるか、または生成され得る。
本発明の異種融合タンパク質は、融合タンパク質のインスリン化合物および/またはFc部分もしくはアルブミン部分に保存的なアミノ酸置換を有している、タンパク質を包含する。“保存的な置換”は、同じ正味の電荷ならびにおおよそ同じ大きさおよび形状を有する、他のアミノ酸を用いたアミノ酸の置換である。脂肪族または置換脂肪族のアミノ酸側鎖を有するアミノ酸は、炭素原子およびヘテロ原子の総数が約4以下だ異なる場合に、おおよそ同じ大きさを有する。それらは、それらの側鎖における分枝の数が1以下だけ異なる場合に、おおよそ同じ形状を有する。それらの側鎖にフェニル基または置換フェニル基を有するアミノ酸は、おおよそ同じ大きさおよび形状を有すると考えられる。本明細書において特に断りがなければ、保存的な置換は天然アミノ酸に対して好ましくなされる。
野生型のアルブミンタンパク質および免疫グロブリンタンパク質は、種々の供給源から取得され得る。例えば、これらのタンパク質は、検出可能なレベルにおいて布袋のmRNAを発現する組織または細胞から調製されたcDNAライブラリーから取得され得る。ライブラリーは、特に所望されるタンパク質の公開されたDNA配列またはタンパク質を用いて設計されたプローブを用いてスクリーニングされ得る。例えば、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の定常領域について、Adams,ら (1980) Biochemistry 19:2711-2719; Goughet,ら (1980) Biochemistry 19:2702-2710; Dolby,ら (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6027-6031 ; Riceら (1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7862-7862; Falkner,ら (1982) Nature 298:286-288; and Morrison,ら(1984) Ann. Rev. Immunol. 2:239-256に記載されている。アルブミンのタンパク質配列およびDNA配列を開示しているいくつかの文献としては、Meloun,ら (1975) FEBS Letters 58: 136; Behrens,ら (1975) Fed. Proc. 34:591 ; Lawn,ら (1981) Nucleic Acids Research 9:6102-6114; and Minghetti,ら (1986) J. Biol. Chem. 261 :6747が挙げられる。
(本発明の異種融合タンパク質の特性)
本発明の融合タンパク質を性質決定するための多くの方法が存在する。これらの方法のいくつかとしては、これらに限定されないが、タンパク質染色法と組み合わせたSDS−PAGEまたは抗IgG抗体もしくは抗HSA抗体を用いた免疫ブロットが挙げられる。他の方法としては、例えば、マトリックス支援レーザイオン化質量分析(MALDI−MS)、液体クロマトグラフィー/質量分析、等電点電気泳動、分析陰イオン交換クロマトグラフィー、円偏向二色性が挙げられる。
(血清アルブミンに対する向上したアフィニティー)
また、種々の生物学的に活性な分子が本発明のインスリンポリペプチドに対して融合されて、生物学的に活性な分子の半減期を調節し得る。いくつかの実施形態において、分子が本発明のインスリンポリペプチドに対して連結されるか、または融合されて、動物における内因性の血清アルブミンに対するアフィニティーを増強し得る。
例えば、いくつかの場合において、インスリンおよびアルブミン結合配列の組換え融合体が作製される。例示的なアルブミン結合配列としては、これらに限定されないが、ストレプトコッカスのタンパク質Gから得られるアルブミン結合ドメイン(例えば、Makridesら, J. Pharmacol. Exp. Ther. 277:534-542 (1996)およびSjolanderら, J, Immunol. Methods 201:115-123 (1997)を参照すればよい)、または例えば、Dennis,ら, J. Biol. Chem. 277:35035-35043 (2002) に記載されているペプチドといったアルブミン結合ペプチドが挙げられる。
他の実施形態において、本発明のインスリンポリペプチドは、脂肪酸を用いてアシル化される。いくつかの場合において、脂肪酸は血清アルブミンに対する結合を促進する。例えば、Kurtzhals,ら, Biochem. J. 312:725-731 (1995) を参照すればよい。
他の実施形態において、本発明のインスリンポリペプチドは、血清アルブミン(限定されないが、ヒトアルブミンが挙げられる)と直接に融合される。当業者であれば、広範な生物学的に活性な分子がまた、本発明におけるインスリンに対して連結されて、血清アルブミンまたは他の血清成分との結合を調節し得ることを認識する。
(インスリンポリペプチドのグリコシル化)
本発明は、糖の残基を有する天然にコードされていないアミノ酸を1個以上組み込んでいる、インスリンポリペプチドを包含する。糖の残基は、天然(限定されないが、N−アセチルグルコサミンが挙げられる)、または非天然(限定されないが、3−フルオロガラクトースが挙げられる)であり得る。糖は、N型もしくはO型のグリコシド結合(限定されないが、N−アセチルガラクトース−L−セリンが挙げられる)、または非天然の結合(これらに限定されないが、オキシムまたは対応するC型−またはS型のグリコシドが挙げられる)のいずれかによって、天然にコードされていないアミノ酸に対して連結され得る。
糖部分(限定されないが、グリコシル部分が挙げられる)は、in vivoまたはin vitroにおいて、インスリンポリペプチドに対して付加され得る。本発明のいくつかの実施形態において、カルボニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、アミノオキシ基によって誘導体化された糖誘導体を用いて修飾されて、オキシム結合を介して対応するグリコシル化されたポリペプチドを生成する。天然にコードされていないアミノ酸に結合されると、糖は、インスリンポリペプチドに結合されるオリゴ糖を生成するためのグリコシルトランスフェラーゼおよび他の酵素を用いた処理によって、さらに合成され得る。例えば、H. Liu,ら J. Am. Chem. Soc. 125: 1702-1703 (2003) を参照すればよい。
本発明のいくつかの実施形態において、カルボニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、アミノオキシ誘導体として調製される所定の構造を有するグリカンを用いて、直接に修飾される。当業者は、他の官能基(これらに限定されないが、アジド、ヒドラジド、ヒドラジン、およびセミカルバジドが挙げられる)が、天然にコードされていないアミノ酸に対する糖の連結に対して使用され得ることを認識する。
本発明のいくつかの実施形態において、アジドまたはアルキニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドは、それから、アルキニルまたはアジド誘導体のそれぞれ(これらに限定されないが、が挙げられる)を用いた、ヒュスゲン[3+2]付加環化反応によって(限定されないが、これが挙げられる)、修飾される。この方法は、タンパク質が非常に高い選択性を有して修飾されることを可能にする。
(インスリンのダイマーおよびマルチマー)
また、本発明は、インスリンおよびインスリン類似体の組合せ(例えば、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはへテロマルチマー(すなわち、トリマー、テトラマーなど))を提供する。ここで、天然にコードされていないアミノ酸を含有するインスリンは、インスリンまたはこれらのインスリンバリアントではない他のインスリンもしくはインスリンバリアントまたは任意の他のポリペプチドと、直接にか、またはリンカーを介して結合されている。モノマーと比べて増大した分子量に起因して、インスリンのダイマーまたはマルチマーの抱合物は、新たなまたは所望の特性を示し得る。当該特性としては、これらに限定されないが、モノマーのインスリンと比べて異なる薬物動態、異なる薬力学、調節された治療半減期、または調節された血清中半減期が挙げられる。モノマーのインスリン類似体の例としては、例えば、Balschmidt, P.らの米国特許第5,164,366号明細書(1992年11月17日登録)、Brange, J. らの米国特許第5,618,913号明細書(1997年4月8日登録)、Chance, R. E. らの米国特許第5,514,646号明細書(1996年5月7日登録)、およびErtl, J. らの欧州特許公開番号885,961号明細書(1998年12月23日登録)が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態は、一つかそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸残基を含むモノマーのインスリン類似体を提供し、いくつかの実施形態において、これらは、B28位がAsp、Lys、Ile、Leu、ValまたはAlaであり、B29位のアミノ酸残基がLysまたはProであるモノマーのインスリン類似体;ヒトインスリンに対してLys(B28)Pro(B29)を伴うモノマーのインスリン類似体;ヒトインスリンに対してAsp(B28)を伴うモノマーのインスリン類似体;および、ヒトインスリンに対してLys(B3)Ile(B28)を伴うモノマーのインスリン類似体、を含む。いくつかの実施形態において、本発明のインスリンのダイマーは、インスリン受容体のシグナル伝達を調節する。他の実施形態において、本発明のインスリンのダイマーまたはマルチマーは、インスリン受容体のアンタゴニスト、アゴニストまたは調節因子として機能する。
いくつかの実施形態において、インスリンを含有するダイマーまたはマルチマーに存在する1個以上のインスリン分子は、水溶性ポリマーに連結された天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる。
いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチドは、これらに限定されないが、Asn−Lysアミド結合またはCys−Cysジスルフィド結合を介して直接に連結されている。いくつかの実施形態において、インスリンポリペプチド、および/または連結されたインスリン以外の分子は、異なる天然にコードされていないアミノ酸を含んでいて、ダイマー化を容易にする。限定されないが、第1のインスリンポリペプチドの天然にコードされていないアミノ酸におけるアルキンおよび第2の分子の天然にコードされていないアミノ酸におけるアジドが、ヒュスゲン[3+2]付加環化を介して抱合されることによって、ダイマー化を容易にすることが挙げられる。代替可能に、ケトン含有天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチド、および/または連結されたインスリン以外の分子は、ヒドロキシルアミンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含んでいる第2のポリペプチドに対して抱合される。これらのポリペプチドは、対応するオキシムの形成を介して反応させられる。
代替可能に、2つのインスリンポリペプチド、および/またはインスリン以外の分子はリンカーを介して連結される。任意のヘテロ−またはホモ−二官能性リンカーが使用されて、同じか、または異なる1次配列を有する2つの分子、および/またはインスリン以外の分子を連結する。いくつかの場合において、インスリンおよび/または連結されたインスリン以外の分子をつなぐためにともに使用されるリンカーは、二官能性のPEG試薬であり得る。高分子量または低分子量のリンカーが使用されて、インスリンに連結された全体との間、またはもしあれば連結された全体とその結合パートナーとの間における所望の空間的関係ならびに立体配置を提供し得る。また、より長い分子長または短い分子長を有するリンカーが使用されて、インスリンに連結された全体との間、またはもしあれば連結された全体とその結合パートナーとの間の所望の空間または自由度を提供し得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、ダンベル構造を有する水溶性の二官能性リンカーを提供する。当該ダンベル構造は、(a)ポリマー骨格の少なくとも第1の末端にあるアジド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミンまたはカルボニルを含有する部分;(b)ポリマー骨格の第2の末端にある少なくとも1つの第2の官能基を含んでいる。第2の官能基は、第1の官能基と同じであり得るか、または異なり得る。いくつかの実施形態において、第2の官能基は、第1の官能基と反応性ではない。いくつかの実施形態において、本発明は、枝分かれ分子構造の少なくとも1つの腕を含んでいる水溶性化合物を提供する。例えば、枝分かれ分子構造は樹状であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、1個以上のインスリンポリペプチドを含んでいるマルチマーを提供する。当該インスリンポリペプチドは、以下の構造:
R−(CHCHO)−O−(CH−X
(ここで、nは約5〜3000であり、mは2〜10であり、Xは、アルキン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ基、ヒドロキシルアミン、アセチルまたはカルボニルを含有する部分であり得、Rは、Xと同じであるか、または異なるキャップ形成基、官能基または脱離基である)
を有する水溶性活性化ポリマーと反応させることによって形成される。Rは、例えば、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネート、1−ベンゾイミダゾリルカルボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボン酸、保護されたカルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレート、アルケン、およびケトンからなる群より選択される官能基であり得る。
(インスリンポリペプチド活性およびインスリンポリペプチドのインスリン受容体に対するアフィニティーの測定)
インスリンポリペプチド活性は、標準的なin vitroのアッセイもしくはin vivoのアッセイ、または公知のin vitroのアッセイもしくはin vivoのアッセイを用いて測定され得る。インスリンポリペプチドは、当該分野において公知の好適な方法によって生物活性について分析され得る。そのようなアッセイとしては、これらに限定されないが、インターフェロン応答性遺伝子の活性化、受容体結合アッセイ、抗ウイルス活性アッセイ、細胞変性作用阻害アッセイ(Familletti et. al., Meth. Enzymol. 78:387-394)、抗増殖性アッセイ(Aebersold and Sample, Meth. Enzymol. 119:579-582)、免疫調節性アッセイ(米国特許第4,914,033号明細書;米国特許第4,735,795号明細書)およびJ Meager, J. Immunol. Meth., 261:21-36 (2002)に記載のように、MHC分子の誘導を評価するアッセイ(例えば、Hoklandら, Meth. Enzymol. 119:688-693)が挙げられる。
3T3−1脂肪細胞におけるグルコース取り込みは、以下の方法を用いて評価され得る。3T3−L1細胞は、the American Type Culture Collection(ATCC、ロックヴィル、Md)から得られる。細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地に10%の鉄富化ウシ胎児血清を含有する成長培地(GM)において培養される。標準的な脂肪細胞の分化について、細胞が密集状態(0日を基準にして)に達してから2日後に、細胞は、10%のウシ胎児血清、10μg/mLのインスリン、1μMののデキサメタゾン、および0.5μMのイソブチルメチルキサンチンを含有する分化培地(DM)に、48時間にわたってさらされる。それから、細胞は、10%のウシ胎児血清および10μg/mLのインスリンを含有する分化後培地に維持される。in vitroにおける作用強度は、当業者に公知であるグルコース取り込みアッセイを用いて測定され得る。in vitroにおける作用強度は、細胞を用いたアッセイにおけるインスリン化合物のグルコース取り込みの度合いと定義され得、かつインスリン化合物の生物学的作用強度の度合いである。in vitroにおける作用強度は、単回投与応答実験において50%の活性を生じる化合物の有効濃度であるEC50と表され得る。
グルコース輸送アッセイ−インスリン依存性−
ヘキソース取り込みは、0.1mMの2−デオキシ−D−[14C]グルコースの蓄積によって定量され、以下のように測定される。12ウェルプレートにおける3T3−L1脂肪細胞が、37℃に温められ、0.2%のBSAを含有するKRP緩衝液(136mMのNaCl、4.7mMのKCl、10mMのNaPO、0.9mMのCaCl、0.9mMのMgSO、pH7.4)を用いて2回にわたって洗浄される。細胞は、0.2%のBSAを含有するリーボビッツL−15培地において、大気、37℃において2時間にわたってインキュベートされる。細胞は、ふたたび0.2%のBSAを含有するKRPを用いて2回にわたって洗浄され、ワートマニンの存在または非存在(MeSOのみ)の0.2%のBSAを含有するKRPにおいて、大気、37℃において30分にわたってインキュベートされる。それから、インスリンが15分にわたって最終濃度100nMまで加えられ、2−デオキシ−D−[14C]グルコースの取り込みが最後の4分間にわたって測定される。10μMのサイトカラシンの存在において測定される非特異的な取り込みが、すべての値から引かれる。タンパク質濃度は、ピアス社のビシンコニン酸アッセイを用いて測定される。取り込みは、各実験について3とおりまたは4とおりにおいて通常に測定される。インスリンの存在下においてインスリンを用いた、3T3−L1脂肪細胞の急激な前処理および持続的な前処理の影響が調査され得る。
グルコース輸送アッセイ−インスリン非依存性
3T3−L1線維芽細胞は、96ウェルプレートに播かれ、2週間にわたって脂肪細胞(脂肪細胞(adipocyte))に分化させられる。分化の後に、細胞は、無血清培地において飢餓状態にされ、24時間にわたって本発明の様々なインスリン分子を用いて処理される。処理の後に、細胞は0.1%のBSAを含有するKRBH緩衝液を用いて2回にわたって洗浄される。グルコース取り込みは、KPBH緩衝液における標識グルコースの存在下において実施される。これにより、本発明の方法を用いて生産される様々なインスリンポリペプチドおよび類似体ならびにそれらのペグ化されているもの(ペグ化は天然の分子の有効性を低減することが知られている)の質的な評価が可能となり、様々なインスリンの有効性を比較することができる。さらに、本発明のインスリンポリペプチドは、エクスビボモデルにおいてグルコース取り込みを刺激することについて示され得る。
エクスビボのグルコース輸送モデルにおいて、グルコース輸送アッセイについて以下のように記載されている。クレブス−ヘンゼルリート緩衝液ストック溶液−ストック1:NaCl(1.16M);KCl(0.046M);KHPO(0.0116)NaHCO(0.0253M)。ストック2:CaCl(0.025M);MgSO(2HO)(0.0116M)。BSA:ICNコーンフラクションVを使用(透析せずにそのまま脂肪酸なしのBSA)。培地調製:50mLのクレブスのストック1を395mLのdHOに加え、1時間にわたって95%のO/5%のCOのガスを供給する。50mLのストック2を加えて、dHOを用いて500mLにする。ICNの脂肪酸無しのBSAを500mg加える。プレインキュベーションおよびインキュベーション用の培地:32mMのマンニトール、8mMのグルコース。洗浄培地:40mMのマンニトール、2mMのピルビン酸塩。輸送培地:39mMのマンニトール、1mMの2−DG;32mMのマンニトール。8mMの3−O−MG。インスリン溶液:2000μU/mLまたは13.3nMの最終濃度おける(100,000,000μU/mLのブタインスリン[リリー])。放射線標識培地調製:特定の活性(2DG=1.5mCi/mL;3−O−MG=437μCi/mL;またはマンニトール=8μCi/mL)。ラットは、体重100gにつき0.1ccのネンブタールを用いて麻酔される。筋組織が切除され、0.9%の生理食塩水において洗浄され、それからプレインキュベート培地(2mL)に29℃において1時間にわたって置かれる。筋組織は、インキュベーション培地(2mL;インスリンまたは試験化合物を含むことを除いてプレインキュベーション培地と同じ)に移されて、30分にわたって(実験条件に依存する)インキュベートされる。それから、筋組織は、洗浄培地(2mL)に移されて29℃において10分間にわたってインキュベートされる。筋組織は、標識培地(1.5mL)に移されて29℃において10分間(3−O−MG)または20分(2DG)にわたってインキュベートされる。筋組織は、取り除かれ、重さを量られ、それからドライアイス上のポリプロピレンチューブに収納される。10分間から15分間にわたって70℃のウォーターバスに置かれて、チューブごとに数分間にわたってボルテックスにかけた後、1規定のKOHがチューブに加えられる。チューブは、氷上において冷却され、1規定のHClが加えられてから、よく混合される。それから、200μLの上清が、3つのシンチレーションバイアルに入れられて、公知の放射性と比べてシンチレーションカウンターにおいて測定される。
収縮に関して、筋組織は、プレインキュベーション/インキュベーション培地において1時間にわたって、最初にインキュベーションされる。1時間後に、各対(ラットごとに1対)の1つの筋は刺激装置にピン固定され、他の筋はインキュベーション培地の入った新しいフラスコに移される。収縮した筋は、0.1m秒間にわたって連続する各刺激を有する70Hzの200m秒間にわたるパルス列によって刺激される。パルス列は、2×10分間(間に1分間の休憩を挟む)にわたって10〜15V、1/秒において送られる。刺激期間の終了時に、筋は、刺激装置から取り除かれ、10分間にわたって洗浄培地に置かれる。それから、概略について上述したように、標識培地に続く。
本発明のインスリン類似体を作製するために使用される方法にかかわらず、当該インスリン類似体は生物活性に関するアッセイにかけられる。トリチウム化チミジンアッセイが細胞分裂の程度を確認するために採用され得る。しかし、他の生物学的アッセイが所望の活性を確かめるために使用され得る。インスリンポリペプチドは、抗ウイルス活性および/または抗増殖性活性について分析され得る。抗増殖性アッセイは当業者にとって公知である。Basuら in Bioconjugate Chem (2006) 17:618-630には、増殖を調べるためにA549細胞およびMTTを用いた抗増殖性アッセイについて記載されている。また、生物学的アッセイ(例えばウイルスの複製の阻害能を評価するアッセイ)によって、インスリン活性の指標が提供される。また、当業者に公知のアッセイが、本発明のインスリンポリペプチドの生物活性および起こり得る副作用を評価するために使用され得る。
本発明の、インスリン、インスリンポリペプチド、および/またはインスリン類似体の平均量は、変化し得、特に有資格医師の推奨および処方に基づくべきである。インスリン、インスリンポリペプチド、および/またはインスリン類似体の正確な量は、処置される障害の正確なタイプおよび/または重症性、処置される患者の状態、および組成物における他の成分のような要因に影響を受ける優先度の問題である。また、本発明は他の活性薬の治療有効量の投与を提供する。投与されるべき量は、インスリン、可能なインスリン療法、および/またはインスリン類似体をを用いた療法に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。
本発明の薬学的組成物は、従来の手法において製造され得る。
〔実施例〕
以下の実施例は、例示のために提示されており、請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
(実施例1)
本実施例において、天然にコードされていないアミノ酸のインスリンへの組込み部位を選択する基準の見込みのある多くのセットの一つについて説明する。
図1は、インスリン(NP_000198―ヒトタンパク質アクセッション番号)の構造および配列を示し、後記の表は、ヒトインスリンの全長配列を示す配列番号13、ヒトインスリンのリーダー配列を含まない全長配列を示す配列番号14、インスリン、リスプロ、アスパルト、グルリシン、デテミルおよびグラルギンのA鎖およびB鎖を含む配列番号1〜12を含んでいる。インスリンポリペプチドは、天然にコードされたアミノ酸を、天然にコードされていないアミノ酸で置換することにより、作り出すことができる。各ポリペプチドは、パラ−アセチルフェニルアラニンまたはパラ−アミノフェニルアラニンによって置換された一つのアミノ酸を有している。作り出されたポリペプチドは、リーダー配列を欠いており、A/B鎖インスリンポリペプチドであった(配列番号1〜14)。作り出された各ポリペプチドは、以下の何れかの位置で置換された天然にコードされていないアミノ酸を有していた:配列番号1の1位、5位、8位、9位、10位、12位、14位、15位、18位、19位および21位、配列番号2の1位、2位、3位、4位、17位、20位、21位、22位、25位、28位および29位。
図2は、PyMOLソフトウェア(Delano Scientific;パロアルト、カリフォルニア)を用いて標識したヒトインスリンの構造、および、本発明のインスリンポリペプチドにおいてパラ−アセチルフェニルアラニンによって置換されているアミノ酸に対応するアミノ酸を示している。図6は、インスリンと、公知のインスリン類似体の間の配列相同性を示す。
天然にコードされていないアミノ酸の好適な組み込み部位を選択する基準の他のセットは、プロテインデータバンク(Protein Data Bank)または他のデータバンクからの結晶構造を用い、比較することを含んでおり、インスリンの構造をモデリングするために用いられ、残基が(1)FGF受容体またはヘパリンの結合を妨げず、(2)タンパク質の内部に存在しないことが同定され得る。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号1の1位、5位、8位、9位、10位、12位、14位、15位、18位、19位および21位、配列番号2の1位、2位、3位、4位、17位、20位、21位、22位、25位、28位および29位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号1(または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)の1位、5位、8位、9位、10位、12位、14位、15位、18位、19位および21位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号2(または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)の1位、2位、3位、4位、17位、20位、21位、22位、25位、28位および29位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号1(または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)の1位、5位、8位、9位、10位および12位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号2(または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)の1位、2位、3位、4位、17位および20位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号1(または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)の14位、15位、18位、19位および21位。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、これに限定するものではないが、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:配列番号2(または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)の21位、22位、25位、28位および29位。
以下の基準は、天然にコードされていないアミノ酸の導入のために、インスリンおよびインスリン類似体の各位置を評価するために用いられている:残基は、(a)構造的な分析に基づき、インスリン受容体の結合を妨げず、(b)アラニンまたは相同体走査突然変異を妨げず、(c)表面が露出しており、周囲の残基との間で最小限のファンデルワールス結合または水素結合の相互作用を示し、(d)インスリンバリアントにおいて削除されているか、可変であり、(e)天然にコードされていないアミノ酸による置換の結果、保存的に変異し、(f)高度にフレキシブルな領域または構造的に堅固な領域のいずれかに見出され得る。加えて、Cxプログラム(Pintarら (2002) Bioinformatics, 18, pp 980)を用いた各タンパク質原子の突出の範囲を評価するためのさらなる計算が、インスリン分子に対して実施され得る。
いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号1または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:1位の前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号2または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:8位、9位、10位、14位(配列番号1または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、一つまたはそれ以上の天然にコードされていないアミノ酸が、インスリンにおける以下の位置の一つかそれ以上に組み込まれる:1位、17位、25位、28位(配列番号2または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)。
(実施例2)
本実施例は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのE. coilにおけるクローニングおよび発現について詳述する。
インスリンをクローニングする方法は当業者に公知である。インスリンのポリペプチド配列およびポリヌクレオチド配列、ならびに宿主細胞におけるインスリンのクローニングは、参考としてその全体が本明細書に援用される、米国特許第5,962,267号明細書;アニバリによる“Expression of a human insulin precursor in P. pastoris”と題された米国特許第4,751,180号、第7,105,314号、第6,630,348号明細書、米国特許第6,777号明細書、および米国特許第7,091,032号明細書;ならびに米国特許公開第20080268519号、第20080255045号、第20080227205号、第20080207877号、第20080207877号、20080213828号、20080261311号、および20080227195号明細書に詳述されている。
リスプロ型のインスリンをコードするcDNAは、配列番号34、35、36および37に示されている。その成熟したポリペプチドは、配列番号3および4に示されている。
直交性のt−RNA(O−tRNA)および直交性のアミノアシルtRNAシンセターゼ(O−RS)を含んでいる導入された翻訳系は、天然にコードされていないアミノ酸を含有するインスリンまたはインスリン類似体を発現するために使用される。O−RSは、天然にコードされていないアミノ酸とともにO−tRNAを好ましくアミノアシル化する。翻訳系は、コードされるセレクターコドンに応じて、天然にコードされていないアミノ酸をインスリンに順々に挿入する。好適なO−RS配列およびO−tRNA配列は、参考としてその全体が本明細書に援用される、国際公開第2006/068802号パンフレット(発明の名称“Compositions of Aminoacyl- tRNA Synthetase and Uses Thereof”)(E9;配列番号15)および国際公開第2007/021297号パンフレット(発明の名称“Compositions of tRNA and Uses Thereof ”)(F13;配列番号16)に記載されている。
Figure 2014169313
修飾されたインスリンまたはインスリン類似体の遺伝子および直交性のアミノアシルtRNA/tRNA対(所望の天然にコードされていないアミノ酸に対して特異的な)を含んでいるプラスミドを用いたE. coilの形質転換は、天然にコードされていないアミノ酸のインスリンポリペプチドに対する部位特異的な組み込みを可能にする。
野性体の成熟インスリンは、標準的な手順を用いたcDNA合成反応からPCRによって増幅され、かつpET30(NcoI−BamHI)にクローン化された。配列確認の前、あるいは後に、N末端にHHHHHHSGG配列を含むインスリンが、E. coilリポタンパク質プロモーター配列(Miller, J.H., Gene, 1986)に由来する合成プロモーターの構成的な制御下にあるMethanococcus jannaschii(Mi tRNATyr/CUA)に由来するアンバーサプレッサーチロシルtRNATyr/CUA、およびE. coilのGlnRSプロモーターの制御下にある直交性のチロシルtRNAシンセターゼ(MjTyrRS)を含んでいるサプレッションベクターにサブクローニングされた。インスリンの発現は、T7プロモーターの制御下で行われた。アンバー変異はクイックチェンジ変異生成手順(ストラタジーン;ラ ホーヤ、カリフォルニア)を用いて導入された。構築物は確認済の配列であった。
長時間作用性のインスリン化合物の試験は、STZ糖尿病ラットモデル(PCO 08-400-209)を用いて行い得る。
(パラアセチルフェニルアラニン(pAcF)を用いた抑圧)
プラスミド(pVK6−LisPro Insulin)は、E. coilのW3110 B2株に形質導入された。当該プラスミドにおいて、T7ポリメラーゼの発現がラビノース誘導性プロモーターの制御下にある。一昼夜培養した細菌培養物は、2X YT培養培地が入っている振とうフラスコにおいて1:100に希釈され、OD600が0.8になるまで37℃において培養された。タンパク質発現は、アラビノース(最終濃度0.2%)および最終濃度が4mMのパラ−アセチル−フェニルアラニン(pAcF)の添加によって誘導された。培養物は、37℃において5時間にわたってインキュベートされた。細胞はペレット化され、100μL/OD/mLのB−PER溶解緩衝液(ピアス)および10μg/mLのDNaseに再懸濁され、37℃において30分間にわたってインキュベートされた。細胞性物質は、遠心分離によって除去され、上清が除去された。ペレットは等量のSDSタンパク質ローディング緩衝液に再懸濁された。すべてのサンプルは、MESおよびDTTを有する4〜12%のPAGEゲルにロードされた。インスリンの精製方法は、当業者に公知であり、SDS−PAGE、ウエスタンブロッティング、またはエレクトロスプレーイオン化質量分析などによって確認される。
用いられるプラスミドおよび配列は、図5に示されており、N末端にHisタグをつけたインスリンの発現および7つのアンバー部位における抑圧については、図6に示されている。プロインスリンポリペプチドには矢印によって印が付けられている。図6は、BーPERペレットサンプルを示す―レーン1の左:マーカー;レーン1:VK6−プロインスリン−pAF−Q15;レーン2:VK6−プロインスリン−pAF−Y14;レーン3:VK6−プロインスリン−pAF−R22;レーン4:VK6−プロインスリン−pAF−F1;レーン5:VK6−プロインスリン−pAF−G1;レーン6:VK6−プロインスリン−pAF−S9、0.2%アラビノース;レーン7:VK6−プロインスリン−pAF−K28。レーン1、2、5および6においてアミノ酸置換について表示した位置番号は、リスプロ(LisPro)インスリンA鎖(配列番号3)に基づいており、レーン3、4および7においてアミノ酸置換について表示した位置番号は、リスプロインスリンB(配列番号4)に基づいている。
Hisタグつきの変異体インスリンタンパク質は、当業者に公知の方法を用いて精製され得る。ProBond Nickel−Chelating Resin(インビトロジェン、チャールズバッド、CA)は、製造者によって提供された標準的なHisタグつきタンパク質の精製手法を介して使用され得る。上記タンパク質の機能面の測定は、公知の方法、本出願および援用された参考文献において提供される方法を用いて行い得、また、代替的に、生細胞上でのELISA法が、本発明のインスリンポリペプチドを評価するために開発され得る。
(実施例3)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ5000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、配列番号1のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)の各残基、および、1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位(すなわち、配列番号2のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アセチル−フェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、上述の実施例2に記載の、配列番号1および2(インスリンのA鎖およびB鎖)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに配列番号15、29、30もしくは31(TyrRS LW1、5または6)である。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ5000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例4)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ20000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位(すなわち、配列番号1のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号3、5、7、9、11における対応するアミノ酸)の各残基、および、1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位(すなわち、配列番号2のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号4、6、8、10、12における対応するアミノ酸)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号1および2(インスリンのA鎖およびB鎖)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ20000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例5)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ20000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号13、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ20000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例6)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ20000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位(すなわち、配列番号14のタンパク質のカルボキシル末端)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号14、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ20000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例7)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ30000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号13(または、配列番号1、2、もしくは14)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ40000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例8)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ30000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号13(または、配列番号1、2、もしくは14)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ40000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例9)
本実施例において、カルボニルを含有するアミノ酸の導入および続くアミノオキシを含有するPEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドを生成する方法を示す。当該天然にコードされていないアミノ酸は、後におおよそ10000MWの、アミノオキシを含有するPEGと反応させられる。1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)の各残基は、以下の構造:
Figure 2014169313
を有する天然にコードされていないアミノ酸と個々に置換される。
p−アミノフェニルアラニンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、配列番号13(または、配列番号1、2、もしくは14の対応する位置)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、ならびに上述した配列であり、p−アミノフェニルアラニンの部位特異的な組み込みにより、組み込まれる。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおよそ10000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられる。p−アミノフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において、10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、10〜100倍量の、アミノオキシを含有するPEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks、W. J Am. Chem. Soc. 1959、81、pp 475)。それから、PEG−インスリンは、直後の精製および分析にとって適切な緩衝液に希釈される。
(実施例10)
アミド結合を介してPEGに連結されているヒドロキシルアミン基からなる、PEGとの抱合。
以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−O−NH
(ここで、R=メチル、n=4、N=およそ5000MW〜40000MW)
を有するPEG試薬は、実施例3〜9に記載の手法を用いてケトンを含有する天然にコードされていないアミノ酸と結合される。反応、精製および分析の条件は公知技術のとおりである。
(実施例11)
本実施例において、2つの異なる天然にコードされていないアミノ酸のインスリンポリペプチドおよびインスリン類似体ポリペプチドに対する導入について詳述する。
本実施例は、ケトンの反応性基を含んでいる天然にコードされていないアミノ酸を2つ以上の位置に組み込んでいるインスリンポリペプチドの生成方法を示す。天然にコードされていないアミノ酸は、インスリンポリペプチドにおける以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)のうち2つ以上の位置に組み込まれている。セレクターコドンが核酸内の2つの異なる部位に導入されていることを除いて、インスリンポリペプチドは上述のとおりに調製される。
(実施例12)
本実施例において、ヒドラジドを含有するPEGに対するインスリンポリペプチドおよびインスリン類似体ポリペプチドの抱合および続くin situでの還元について詳述する。
カルボニルを含有するアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドは、上述した手法にしたがって調製される。修飾を受けると、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−X−NH−NH(ここで、R=メチル、n=2、N=5000;10000;20000;30000;または40000MW、X=カルボニル(C=O)基)
を有する、ヒドラジドを含有するPEGは、インスリンポリペプチドに対して抱合される。p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH4.5において、0.1〜10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、1〜100倍量のヒドラジドを含有するPEGと反応させられる。対応するヒドラゾンは、1MのNaCMBHストック(シグマケミカル、セントルイス、MO)(10〜50mMの最終濃度まで水に溶解される)の添加によって、in situにおいて還元される。反応は、Trisの最終濃度が50mMになるまで、約pH7.6において1MのTris(シグマケミカル、セントルイス、MO)を添加すること、または直後の精製にとって適切な緩衝液に希釈されることによって停止させられる。
(実施例13)
本実施例において、ヒドラジドを含有するPEGに対するインスリンポリペプチドおよびインスリン類似体ポリペプチドの抱合および続くin situでの還元について詳述する。
カルボニルを含有するアミノ酸を組み込んでいるインスリンポリペプチドは、上述した手法にしたがって調製される。修飾を受けると、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−X−NH−NH(ここで、R=メチル、n=2、N=20000MW、X=カルボニル(C=O)基)
を有する、ヒドラジドを含有するPEGは、インスリンポリペプチドに対して抱合される。p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製インスリンは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH6.0、25mMのHepes(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH7.0、または酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO) pH4.5において、0.1〜10mg/mLの濃度に溶解される。溶解された精製インスリンは、1〜100倍量のヒドラジドを含有するPEGと反応させられる。対応するヒドラゾンは、1MのNaCMBHストック(シグマケミカル、セントルイス、MO)(10〜50mMの最終濃度まで水に溶解される)の添加によって、in situにおいて還元される。反応は、Trisの最終濃度が50mMになるまで、約pH7.6において1MのTris(シグマケミカル、セントルイス、MO)を添加すること、または直後の精製にとって適切な緩衝液に希釈されることによって停止させられる。
(実施例14)
本実施例において、インスリンポリペプチドおよびインスリン類似体ポリペプチドに対するアルキンを含有するアミノ酸の導入およびmPEG−アジドとの誘導体化について詳述する。
以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)は、以下の天然にコードされていないアミノ酸:
Figure 2014169313
を用いてそれぞれ置換される。
p−プロパルギル−チロシンのインスリンに対する部位特異的組み込みに利用される配列は、上述の、配列番号13(または、配列番号1、2もしくは14における対応する位置)、配列番号16もしくは17(muttRNA、M.jannaschii)、および配列番号22、23もしくは24である。プロパルギルチロシンを含有するインスリンポリペプチドはE. coilにおいて発現され、上述した条件を用いて精製される。
プロパルギルチロシンを含有するインスリンポリペプチドは、PB緩衝液(100mMのリン酸ナトリウム、0.15MのNaCl、pH=8)において0.1〜10mg/mLの濃度に溶解される。そして、10〜100倍量のアジドを含有するPEGが反応混合物に加えられる。それから、触媒量のCuSOおよびCuワイヤが反応混合物に加えられる。混合物がインキュベート(これらに限定されないが、室温もしくは37℃において約4時間、または4℃における一昼夜のインキュベートが挙げられる)された後に、HOが加えられ、かつ混合物は透析膜を通してろ過される。これらに限定されないが、実施例3に記載の類似の手法によって、サンプルは付加に関して分析され得る。
本実施例において、PEGは、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−N
(ここで、Rはメチルであり、nは4であり、かつNは5000;10000;20000;30000;または40000WMである)
を有している。
(実施例15)
本実施例において、インスリンポリペプチドにおける巨大な疎水性アミノ酸のプロパルギルチロシンを用いた置換について詳述する。
インスリンポリペプチドの以下の領域:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)に存在するPhe残基、Trp残基またはTyr残基は、実施例7に記載の以下の天然にコードされていないアミノ酸:
Figure 2014169313
を用いて置換される。
PEGは、アルキルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントに対して結合される。PEGは、以下の構造:
Me−PEG(N)−O−(CH−N
を有している。結合手順は上述した実施例に記載の手順に従う。これによって、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントが生成される。この天然にコードされていないアミノ酸は、天然に存在する巨大な疎水性アミノ酸の1個と等電子配置性であり、上記ポリペプチド内の異なる部位においてPEG誘導体を用いて修飾される。
(実施例16)
本実施例において、PEGリンカーによって隔てられたインスリンポリペプチドのホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはへテロマルチマーの生成について詳述する。
インスリンポリペプチドマルチマーは、プロインスリン同士または本発明のインスリンポリペプチドのA鎖およびB鎖の間で形成され得る。
上述した実施例において生成されたアルキンを含有するインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の構造:
−(CH−C(O)−NH−(CH−O−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−N
(ここで、nは4であり、PEGはおおよそ5000;10000;20000;30000;または40000MWの平均分子量を有する)
を有するPEG誘導体と反応させられて、対応するインスリンポリペプチドのホモダイマーを生成する。ここで、2つのインスリン分子はPEGによって物理的に隔てられている。類似の手法において、インスリンポリペプチドは、1個以上の他のポリペプチドと結合されて、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーを形成する。結合、精製および分析は、上述の実施例に記載のとおりに実施される。
(実施例17)
本実施例において、PEGリンカーによって隔てられたインスリンポリペプチドのホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはへテロマルチマーの生成について詳述する。
インスリンポリペプチドのマルチマーは、A鎖および他のA鎖の間またはB鎖および他のB鎖の間で形成され得る。
上述した実施例において生成されたアルキンを含有するインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の構造:
−(CH−C(O)−NH−(CH−O−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−N
(ここで、nは4であり、PEGはおおよそ5000;10000;20000;30000;または40000MWの平均分子量を有する)
を有するPEG誘導体と反応させられて、対応するインスリンポリペプチドのホモダイマーを生成する。ここで、2つのインスリン分子はPEGによって物理的に隔てられている。類似の手法において、インスリンポリペプチドは、1個以上の他のポリペプチドと結合されて、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーを形成する。結合、精製および分析は、上述の実施例に記載のとおりに実施される。
(実施例18)
本実施例では、インスリンポリペプチドと糖部分と結合について詳述する。
実施例3に記載のように、以下の位置:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位(すなわち、配列番号13のタンパク質のカルボキシル末端、または配列番号1〜12および14における対応する位置)の1つの残基は、以下の天然にコードされていないアミノ酸:
Figure 2014169313
を用いて置換される。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)のβ結合されたアミノオキシ類似体と反応させられる。インスリンポリペプチドのバリアント(10mg/mL)およびアミノオキシ糖(21mM)は、100mMの水性酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)において混合され、かつ7〜26時間にわたって37℃においてインキュベートされる。第2の糖は、糖と抱合されたインスリンポリペプチド(5mg/mL)をインキュベートすることによって、第1の糖に対して酵素的に結合される。このインキュベートは、UDP−ガラクトース(16mM)およびβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(0.4unit/mL)の150mMのHEPES緩衝液(pH7.4)溶液を用いて48時間にわたって周囲温度にて実施される(Schanbacherら J Biol. Chem. 1970, 245, 5057-5061)。
(実施例19)
本実施例において、ペグ化されたインスリンポリペプチドのアンタゴニストの生成について詳述する。
残基(これらに限定されないが、インスリン受容体結合に関与する残基が挙げられる)は、上述した実施例に記載のような以下の天然にコードされていないアミノ酸を用いて置換される。
修飾を受けると、カルボニルを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rがメチルであり、nは4であり、Nは、5000;10000;20000;30000;または40000MWである)
の、アミノオキシを含有するPEG誘導体と反応させられて、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチドのアンタゴニストを生成する。当該アンタゴニストは、ポリペプチド内の単一の部位においてPEG誘導体を用いて修飾されている。結合、精製および分析は上述した実施例のように実施される。
(実施例20)
インスリン分子が直接に連結されているインスリンポリペプチドのホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマー、またはへテロマルチマーの生成。
アルキンを含有するアミノ酸を含んでいるインスリンポリペプチバリアントは、アジドを含有するアミノ酸を含んでいる他のインスリンポリペプチドのバリアントに対して直接に結合され得る。類似の様式において、インスリンポリペプチドは、1個以上のポリペプチドと結合されて、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーを形成し得る。形成され得るマルチマーについてのさらなる詳細は、実施例16および17において既に提供されており、結合、精製および分析は上述したように実施される。
(実施例21)
PEG−OH + Br−(CH−C≡CR’(A) → PEG−O−(CH−C≡CR’(B)
ポリアルキレングリコール(P−OH)は、ハロゲン化アルキル(A)と反応させられて、エーテル(B)を形成する。これらの化合物において、nは1〜9の整数であり、かつR’は、直鎖状のまたは枝分かれした飽和または不飽和の、C1〜C20のアルキル基またはヘテロアルキル基である。また、R’は、C3〜C7の飽和もしくは不飽和の環状アルキル基もしくは環状ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基もしくはヘテロアリール基、または置換もしくは非置換のアルカリル基(アルキルはC1〜C20の飽和または不飽和のアルキルである)もしくはヘテロアルカリル基であり得る。典型的にPEG−OHは、800〜40000ダルトン(Da)の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)またはモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
(実施例22)
mPEG−OH + Br−CH−C≡CH → mPEG−O−CH−C≡CH
20000kDaの分子量を有するmPEG(mPEG−OH 20kDa;2.0g、0.1mmol、サンバイオ)は、NaH(12mg、0.5mmol)のTHF(35mL)溶液を用いて処理された。プロパルギルブロマイドの溶液は、キシレン(0.56mL、5mmol、50当量、アルドリッチ)における80重量%溶液として溶解され、それから、触媒量のKIが当該溶液に加えられ、生じた混合物が加熱されて、2時間にわたって還流された。それから、水(1mL)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25mL)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積がおよそ2mLまで減らされた。このCHCl溶液は、ジエチルエーテル(150mL)に滴下して加えられた。生じた沈殿物が回収され、数回に分けて冷やしたジエチルエーテルを用いて洗浄され、かつ乾燥されてプロパルギル−O−PEGを生じた。
(実施例23)
mPEG−OH + Br−(CH−C≡CH → PEG−O−(CH−C≡CH
20000kDaの分子量を有するmPEG(mPEG−OH;2.0g、0.1mmol、サンバイオ)は、NaH(12mg、0.5mmol)のTHF(35mL)溶液を用いて処理された。それから、50当量の5−ブロモ−1−ペンチン(0.53mL、5mmol、アルドリッチ)および触媒量のKIが混合物に加えられた。生じた混合物は、加熱されて16時間にわたって還流された。それから、水(1mL)が加えられ、かつ溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25mL)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積がおよそ2mLまで減らされた。このCHCl溶液は、ジエチルエーテル(150mL)に滴下して加えられた。生じた沈殿物が回収され、数回に分けて冷やしたジエチルエーテルを用いて洗浄され、かつ乾燥されて対応するアルキンを生じた。5−クロロ−1−ペンチンは類似の反応に使用され得る。
(実施例24)
(1)m−HOCHOH + NaOH + Br−CH−C≡CH → m−HOCHO−CH−C≡CH
(2)m−HOCHO−CH−C≡CH + MsCl + N(Et)
m−MsOCHO−CH−C≡CH
(3)m−MsOCHO−CH−C≡CH + LiBr → m−Br−CHO−CH−C≡CH
(4)mPEG−OH + m−Br−CHO−CH−C≡CH → mPEG−O−CH−CO−CH−C≡CH。
THF(50mL)および水(2.5mL)における3−ヒドロキシベンジルアルコール(2.4g、20mmol)の溶液に対して、まず粉末の水酸化ナトリウム(1.5g、37.5mmol)が加えられ、それからキシレン(3.36mL、30mmol)における80重量%の溶液として溶解されたプロパルギルブロマイドの溶液が加えられた。反応混合物は加熱されて6時間にわたって還流された。混合物に対して10%のクエン酸(2.5mL)が加えられ、かつ溶媒が真空条件において除去された。残余物は、酢酸エチル(3×15mL)を用いて抽出され、混合性の有機層が飽和NaCl溶液(10mL)を用いて洗浄され、MgSO4に通して乾燥され、濃縮されて3−プロパルギロキシベンジルアルコールを生じた。
塩化メタンスルフォニル(2.5g、15.7mmol)およびトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)は、0℃において化合物3(2.0g、11.0mmol)の溶液に加えられ、反応物は16時間にわたって冷却装置に収納された。通常の試案によって淡黄色の油状物としてメシレートがじた。この油状物(2.4g、9.2mmol)は、THF(20mL)に溶解され、LiBr(2.0g、23.0mmol)が加えられた。反応混合物は加熱されて1時間にわたって還流され、それから室温まで冷却された。混合物に対して水(2.5mL)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余b通は、酢酸エチル(3×15mL)を用いて抽出され、混合性の有機層が飽和NaCl溶液(10mL)を用いて洗浄され、無水NaSOに通して乾燥され、濃縮されて所望の臭化物を生じた。
mPEG−OH 20kDa(1.0g、0.05mmol、サンバイオ)はTHF(20mL)に溶解され、溶液はアイスバスにおいて冷却された。NaH(6mg、0.25mmol)は、上述の臭化物(2.55g、11.4mmol)および触媒量のKIの添加に続いて、激しく攪拌しながら数分間にわたって加えられた。冷却バスが取り除かれ、生じた混合物は加熱されて12時間にわたって還流された。水(0.1mL)が混合物に対して加えられ、かつ溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25mL)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積が2mLまで減らされた。エーテル溶液(150mL)に対して滴下して加えることによって、白色の沈殿物を生じた。白色の沈殿物が回収されて、PEG誘導体を生じた。
(実施例25)
mPEG−NH+ X−C(O)−(CH−C≡CR’ → mPEG−NH−C(O)−(CH−C≡CR’
また、末端にアルキンを含有するポリ(エチレングリコール)ポリマーは、上記のようにアルキン官能基を含有する反応性分子に対して、末端に官能基を含有するポリ(エチレングリコール)ポリマーを結合させることによって取得され得る。nは1〜10である。R’はHまたはC1〜C4の小さなアルキル基であり得る。
(実施例26)
(1)HOC−(CH−C≡CH + NHS + DCC → NHSO−C(O)−(CH−C≡CH
(2)mPEG−NH+ NHSO−C(O)−(CH−C≡CH → mPEG−NH−C(O)−(CH−C≡CH
ペンチン酸(2.943g、3.0mmol)はCHCl(25mL)に溶解された。N−ヒドロキシスクシニミド(3.80g、3.3mmol)およびDCC(4.66g、3.0mmol)が加えられ、溶液は室温において一昼夜にわたって攪拌された。生じた粗製NHSエステル7は、さらなる精製を行わずに以下の反応に使用された。
5000Daの分子量を有するmPEGd−NH(mPEG−NH、1g、サンバイオ)は、THF(50mL)に溶解され、混合物が4℃まで冷却された。NHSエステル7(400mg、0.4mmol)は、激しく攪拌しながら数回に分けて加えられた。混合物は、3時間にわたって攪拌しながら放置され、室温まで温められた。それから、水(2mL)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(50mL)が加えられ、有機層が分離され、NaSOに通して乾燥され、容積がおおよそ2mLまで減らされた。このCHCl溶液はエーテル(150mL)に対して滴下して加えられた、生じた沈殿物が回収され、真空条件下において乾燥された。
(実施例27)
本実施例において、ポリ(エチレングリコール)のメタンスルフォニルエステルの調製について代表例を説明する。ポリ(エチレングリコール)のメタンスルフォニルエステルは、ポリ(エチレングリコール)のメタンスルフォネートまたはメシレートとも呼ばれ得る。対応するトシレートおよびハロゲン化物は、類似の手法によって調製され得る。
mPEG−OH + CHSOCl + N(Et) → mPEG−O−SOCH→ mPEG−N
150mLのトルエンにおけるmPEG−OH(MW=3400、25g、10mmol)は、窒素雰囲気において2時間にわたって共沸的に蒸留され、溶液は室温まで冷却された。40mLの乾燥CHClおよび2.1mLの無水トリエチルアミン(15mmol)が溶液に対して加えられた。溶液はアイスバスにおいて冷却され、1.2mの蒸留した塩化メタンスルフォニル(15mmol)が滴下して加えられた。溶液は、室温の窒素雰囲気において一昼夜にわたって攪拌され、反応は2mLの無水エタノールを加えることによって抑制された。混合物は真空条件おいて蒸発させられて、主にトルエン以外の溶媒を除去し、ろ過され、ふたたび真空条件において濃縮され、それから100mLのジエチルエーテルに入れて沈殿させられた。ろ過物は、数回にわたって冷やしたジエチルエーテルを用いて洗浄され、真空条件において乾燥されてメシレートを生じた。
メシレート(20g、8mmol)は75mLのTHFに溶解され、溶液は4℃まで冷却された。冷却した溶液に対してアジ化ナトリウム(1.56g、24mmol)が加えられた。反応物は過熱されて窒素雰囲気において2時間にわたって還流された。それから、溶媒が蒸発させられ、残余物がCHCl(50mL)を用いて希釈された。有機画分がNaClを用いて洗浄され、無水MgSOに通して乾燥された。容積が20mLまで減らされ、150mLの冷やした無水エーテルに加えることによって、生成物が沈殿させられた。
(実施例28)
(1)N−C−COH → N−CCHOH
(2)N−CCHOH → Br−CH−C−N
(3)mPEG−OH + Br−CH−C−N → mPEG−O−CH−C−N
4−アジドベンジルアルコールは、参考として本明細書に援用される米国特許第5,998,595号明細書に記載の方法を用いて生成され得る。塩化メタンスルフォニル(2.5g、15.7mmol)およびトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)が、CHClにおける4−アジドベンジルアルコールの溶液に対して0℃において加えられ、反応物は16時間にわたって冷却装置に収納された。通常の試案によって、淡黄色の油状物としてメシレート生じた。この油状物(9.2mmol)はTHF(20mL)に溶解され、LiBr(2.0g、23.0mmol)が加えられた。反応混合物は、加熱されて1時間にわたって還流され、それから室温まで冷却された。混合物に対して水(25mL)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物は酢酸エチル(3×15mL)を用いて抽出され、混合性の有機層が飽和NaCl溶液(10mL)を用いて洗浄され、無水NaSOに通して乾燥され、濃縮されて所望の臭化物を生じた。
mPEG−OH 20kDa(2.0g、0.1mmol、サンバイオ)は、THF(35mL)におけるNaH(12mg、0.5mmol)を用いて処理され、臭化物(3.32g、15mmol)が触媒量のKIとともに混合物に対して添加された。生じた混合物が加熱されて12時間にわたって還流された。水(1.0mL)が混合物に加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25mL)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積がおおよそ2mLまで減らされた。エーテル溶液(150mL)に対して滴下して加えることによって沈殿物が生じた。沈殿物が回収されてmPEG−O−CH−C−Nを生じた。
(実施例29)
NH−PEG−O−CHCHCOH + N−CHCHCO−NHS →
−CHCH−C(O)NH−PEG−O−CHCHCOH。
NH−PEG−O−CHCHCOH(MW 3400Da、2.0g)は、NaHCOの飽和水溶液(10mL)に溶解され、0℃まで冷却された。3−アジド−1−N−ヒドロキシスクシニミドプロピオネート(5当量)が激しく攪拌しながら加えられた。3時間後に20mLのHOが加えられ、混合物はさらに45分間にわたって室温において攪拌された。pHは0.5規定のHSOを用いて3に調節され、NaClがおおよそ15重量%の濃度まで加えられた。反応混合物はCHCl(100mL×3)を用いて抽出され、NaSOに通して乾燥され、濃縮された。
(実施例30)
mPEG−OMs + HC≡CLi → mPEG−O−CH−CH−C≡C−H
公知の方法によって調製され、THFにおいて−78℃まで冷却されたリチウムアセチリドの溶液(4当量)に対して、THFに溶解させたmPEG−OMsの溶液が、激しく攪拌しながら滴下して加えられる。3時間後に反応物が室温まで温められ、反応は1mLのブタノールの添加によって抑制された。それから、20mLのHOが加えられ、混合物が室温において45分間にわたって攪拌された。pHは0.5規定のHSOを用いて3に調整され、NaClがおおよそ15%の濃度まで加えられた。反応混合物はCHCl(100mL×3)を用いて抽出され、NaSOに通して乾燥され、濃縮された。冷却したジエチルエーテルを用いて沈殿させた後に、生成物がろ過および真空条件における乾燥によって回収されて、1−(but−3−イニロキシ)−メトキシポリエチレングリコール(mPEG)を生じた。
(実施例31)
アジドを含有するアミノ酸およびアセチレンを含有するアミノ酸は、L. Wang,ら, (2001), Science 292:498-500, J. W. Chinら, Science 301 :964-7 (2003)), J. W. Chinら, (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027; J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), Chem Bio Chem 3(11):1135-1137; J. W. Chin,ら, (2002), PNASUnited States of America 99:11020-11024: and, L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1 :1-11に記載の方法を用いてタンパク質に対して部位特異的に組み込まれ得る。アミノ酸が組み込まれると、2mMのPEG誘導体、1mMのCuSOおよび1mg未満のCuワイヤの存在下において、pH8のリン酸緩衝液(PB)における0.01mMのタンパク質を用いて、37℃において4時間にわたって付加環化反応が実施される。
(実施例32)
本実施例において、p−アセチル−D,L−フェニルアラニン(pAF)およびm−PEG−ヒドロキシルアミン誘導体の合成について詳述する。
pAFのラセミ体は、Zhang, Z., Smith, B. A. C, Wang, L., Brock, A., Cho, C. & Schultz, P. G., Biochemistry, (2003) 42, 6735-6746 においてこれまでに説明されている手法を用いて合成される。
m−PEGヒドロキシルアミン誘導体を合成するために、以下の手法が実施された。(N−t−Boc−アミノオキシ)酢酸(0.382g、2.0mmol)およびジイソプロピルカルボジイミド(0.16mL、1.0mmol)のジクロロメタン(DCM、70mL)における溶液に対して、メトキシ−ポリエチレングリコールアミン(m−PEG−NH、7.5g、0.25mmol、Mt 30K、バイオベクトラ)およびジイソプロピルアミン(0.1mL、0.5mmol)が加えられた。上記溶液は、室温(RT)において1時間にわたって攪拌されている。反応物が、RTにおいて48時間にわたって攪拌され、それから約100mLまで濃縮される。混合物は冷やしたエーテル(800mL)に対して滴下して加えられた。t−Boc−保護された生成物が沈殿し、ろ過、3×100mLのエーテルによる洗浄によって回収される。DCM(100mL)に再溶解し、かつエーテル(800mL)において2回にわたって沈殿させることによって、さらに精製される。生成物は、真空条件において乾燥されて7.2gが生じ、NMRおよびニンヒドリン試験によって確認された。
上述の保護された生成物(7.0g)の脱Bocは、50%のTFA/DCM(40mL)において、0℃において1時間にわたって、それからRTにおいて1.5時間にわたって実施された。ほとんどのTFAが真空条件において除去された後に、ヒドロキシルアミン誘導体のTFA塩は、ジオキサン(1mL)における4規定のHClを残余物に加えることによってHCl塩に転換される。沈殿物は、DCM(50mL)に溶解され、エーテル(800mL)において再沈殿させられる。最終生成物(6.8g、97%)は、ろ過、3×100mLのエーテルを用いた洗浄、真空条件において乾燥によって回収され、窒素雰囲気において貯蔵された。他のPEG(5K、20K)のヒドロキシルアミン誘導体は、同じ手法を用いて合成される。
(実施例33:ペグ化されたインスリンのin vivoにおける研究)
PEG−インスリン、非修飾のインスリンおよび緩衝溶液がマウスまたはラットに投与される。非修飾のインスリンに比べて、本発明のペグ化されたインスリンの優れた活性および延長された半減期が結果として示されるだろう。修飾したインスリン、非修飾のインスリンおよび緩衝溶液が、同様にして、マウスまたはラットに投与される。
(薬物動態試験)
本発明のインスリンポリペプチドは、血管内経路または皮下経路によってマウスに投与される。動物は投与前および投与後の複数の時点において採血される。血漿は各サンプルから回収され、放射線免疫アッセイによって分析される。排出半減期が算出されて、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるインスリンと野生型インスリンまたは本発明の様々なインスリン類似体ポリペプチドとの間において比較される、同様に、本発明のインスリンポリペプチドはカニクイザルに投与され得る。動物は投与前および投与後の複数の時点において採血される。血漿は各サンプルから回収され、放射線免疫アッセイによって分析される。
本発明のポリペプチドは、オスのZDFラット(糖尿病性の肥満したラット;研究開始時点において8週齢、チャールズリバー−GMI)に投与され得る。ラットには無制限にピューリナ5008餌が与えられる。以下の試験群が準備される:生理食塩水:1日につき4Uのインスリン;1日につき8Uの本発明のインスリンポリペプチド 多量(多量投与群は1回に投与され、T=投与後の0、2、4、8および24時間目に採血される);1日につき6Uの本発明のインスリンポリペプチド;1日につき4Uの本発明のインスリンポリペプチド;1日につき3Uの本発明のインスリンポリペプチド;1日につき2Uの本発明のインスリンポリペプチド;非肥満、生理食塩水;非肥満、1日につき4Uのインスリン;ならびに、非糖尿病マウスにおいて、1日につき、それぞれ6U、4U、および2Uのインスリンポリペプチドを投与されるグループ。非肥満群は糖尿病性ではない痩せているZDFラットを表す。
化合物は、1日につき1回、皮下注射され、同量の投与を受ける第2のグループは、一日おきの注射が維持される。対照ラットは、ビヒクル(0.1mLのPBS)を注射される。投与から7日後に、動物は経口の糖耐性試験に供される。グルコースおよびトリグリセリドのために、血液は麻酔なしでテイルクリップ採血によって回収される。インスリンポリペプチドは、用量依存的に血漿グルコースを低下させ得る。また、痩せているZDFラットは、野生型のインスリンを投与されたラットと比べたときの、本発明のインスリンポリペプチドのばくろ後における高血糖症が、試験され得る。
(ob/ob肥満症モデル)
ob/obマウスモデルは、高血糖症、インスリン抵抗性および肥満症用の動物モデルである。ビヒクルおよびインスリンの対照群と比較した、インスリンポリペプチドを用いた処理後に血漿グルコースレベルが、ob/obマウスにおいて測定され得る。この肥満症モデルにおいて、オスのob/obマウス(7週齢)の試験群は、ビヒクルのみ(PBS)、インスリン(4U/日)、または上述したようなインスリンポリペプチドを用いて、14日間にわたって皮下注射される(0.1mL、1日につき1回、また、他の試験群において1日おきに、さらに他の試験群において1週間に1回)。血液は、最初の化合物の注射から1日目、3日目、7日目、9日目、11日目、14日目、1時間後に、テイルクリップ採血によって回収され、血漿グルコースレベルが標準的な手順を用いて測定される。本発明のインスリンポリペプチドは、ビヒクル対照群と比較すると、血漿グルコースレベルを低下させる場合にブルコース取り込みを刺激する。トリグリセリドレベルは、他の分子と比べて、本発明のインスリンを用いた処理後において比較され得る。ポリペプチドは、複数回投与、継続的な注入または単回投与を介してマウスに投与され得る。
(実施例34)
ノバジェン(Novagen)を用いたインスリン発現系(誘導性T7プロモーター;本明細書に参照として援用される、pETシステムマニュアルバージョン9に詳述されている)、発現ベクターpET30aおよび発現株BL21(DE3)。
2mLのLB/カナマイシン(10mg/mL)培養液が、好適な類似体によって形質転換されたBL(DE3)のプレートからの一撫でにより予備接種される。このとき、コロニー間の発現レベルの多様性のために、効果は低くなる。この培養液を、37℃において1晩にわたって激しく振とうし、翌日、10mLのLB/カナマイシン培養液が1晩培養した上記培養液(OD600はおおよそ0.4〜0.5)の1mLにより予備接種される。1晩培養した上記培養液の残りは、グリセロールストックとして凍結され得る。
10mLの繁殖した培養液は、250rpmの回転速度で、30〜45分間にわたって、ODが0.8〜0.9に達するまで、37℃に置かれる。続いて、これに対し、1mMのIPTGによる誘導を行い(1mLについては、非誘導性の対照培養液として取り置くことができる)、誘導後、通常3〜4時間後に回収し、SDS−PAGEにより分析し得る。
蓄積速度、タンパク質の安定性等を測定するために、発現の時間的経過(例えば、誘導後および1晩培養後の1、2、4、6時間目の時点)を追うことも可能である。
(ゲル分析)
誘導後の好適な時点において、上記培養液から1mLを回収し、細胞を遠心沈殿させ、100mLの2×SDS−PAGEに再懸濁し、粘度を低減させるために超音波処理し、10mLをSDS−PAGE上で泳動させる。所望により、非誘導性の対照または対照群、および/または、既知の陽性対照、または標品と、比較することができ、発現レベルを推定することができる(例えば、良好な発現は、@>100μg/mLであり得る)。ウエスタンブロット分析もまた用い得る。また、上記培養液の4mLを取り置き、封入体を調製し(不溶性の類似体を発現している場合)、過剰発現したタンパク質の同一性を確認するために、その質量分析結果を取得することも可能である。
さらに大量のタンパク質発現のために、250mLを超えるLB/カナマイシン(10mg/mL)が、250mLの凍結されたグリセロールストックにより予備接種され、1晩培養される。翌日、10×1LのLB/カナマイシン培養液が、25mLの1晩培養の培養液(OD600は、おおよそ0.1)により予備接種される。
1Lの培養液は、37℃において、250rpmの回転速度で、2時間にわたって、OD600が0.8〜0.9に達するまで培養される。その後、1mMのIPTGにより誘導され、誘導の4時間後または翌朝に回収される(回収は、4000rpmの回転速度における15分間の遠心を用いることができる)。エンドトキシンを低減させ、精製を容易にすることが好ましい場合、ペレットは、50mM Tris−HCl、pH8.0(ペレット当たり50mLに加えて、ボトルのリンスのために50mL)によってリンスされる。ペレットはまとめられ、再度遠心される。
(実施例35)
(Pichiaにおける発現の研究―DNA調製、エレクトロポレーション、発現のプロトコール)
本実施例は、Pichiaにおいて、本発明のインスリンポリペプチドを調製するためのプロトコールを提供する。配列番号34、35、36および37が用いられ、図8は、Pichiaへのクローニングのために用いられたプラスミドを示し、このプラスミドまたは他の修飾されたプラスミドが、Pichiaにおいて、インスリンポリペプチドのタンパク質発現を得るために用いられ得、プラスミドに施される修飾は、公知の方法によりなされる。
プロトコールの1日目、典型的には、分解されるDNA1μg当たり2Uの酵素を用いて、1晩にわたる分解が行われ、10mLのYPhyD培養液が、1晩にわたって、50mLフラスコ内で、260rpmの回転速度で、30℃において、グリセロールストックからの予備接種を受ける。
(DNA調製)
DNAは、まず、10分の1量の滅菌した3M NaOAcを、続いて、0.7倍量の滅菌したIPAを加えることにより沈殿する。サンプルは続いて激しく混合され、凍結するまで−20℃または−70℃において、1晩沈殿が継続される。上記DNAは、遠心分離(ベンチトップ式、14000rpm/10分間)によりペレット化され、上清は廃棄され、上記ペレットは、500μLの滅菌された70%EtOHにより洗浄される。そして、上記ペレットを、遠心(ベンチトップ式、14000rpm/10分間)し、上清を廃棄し、15〜20分間の空気乾燥する。DNAペレットを1mg/mLになるように滅菌水に再懸濁し、10mgのDNAを用いてPichiaを形質転換する。
(エレクトロポレーション)
OD600が0.2になるようにYPhyDに希釈した1晩培養の培養液を用いる。培養液を、30℃において、260rpmの回転速度で、OD600が0.8〜1.0に達するまで振とうする。遠心により細胞を回収する(4000rpm/5分間)。培地を廃棄し、20mLの滅菌した氷水で細胞を洗浄し、培地を再度廃棄し、繰り返す。洗浄後、20mLの滅菌した1Mソルビトール氷水でペレットを洗浄し、液体を廃棄し、洗浄した細胞ペレットを600μLの冷却した1Mソルビトールに再懸濁する。これは、氷上に保存することができる。
滅菌した1.5mLエッペンドルフチューブ内で、洗浄した細胞に、10μgのリニア化されたDNA50μLを混合し、穏やかに混合して、氷上で25分間インキュベートする。細胞/DNA混合物を、長いピペットチップを用いて予め冷却した0.2cmキュベットに移す。BioRad GenePulsar IIユニットを、2000V、200Ohms、25μFd(単一パルスを使用)という設定で使用して細胞に対してエレクトロポレーションを行い、直後、キュベットに0.5mLのYPhyD培地を加え、ピペッティングにより混合する。全容量を滅菌した丸ボトルチューブに移し、30分間にわたって、30℃において穏やかに振とうする(200rpm)。プレートに細胞を均一に広げ、逆さにして3日間にわたって、30℃においてインキュベートする。
3日間のインキュベート後、輪によりコロニーを拾い、50mLフラスコ内の10mLのBYPhyD培地に予備接種し、3日間にわたって、30℃においてインキュベートする。20mLプレート上においてコロニーを数え、平均数を記録し、菌株名、クローン番号、インスリン(すなわち発現されたタンパク質)および日付を標識した2セットのクライオバイアルを準備して、細胞を回収する。培養液を、15mLのコニカルチューブに移し、各培養液のOD600を取得し、培養液を、YPhyD培地に、1:50または1:20の比で希釈する。培養液の一部をグリセロールストックのために保存する。続いて、酵母を、4000rpmの回転速度で、5分間にわたって、室温においてペレット化し、上清を、新しい、標識された15mLコニカルチューブに移し、分析データが必要となるまで−20℃または−80℃において保存する。
(タンパク質の発現分析)
サンプルを4〜12%のNuPAGE TBゲル(Novex)上で泳動する。SDS−PAGE試薬は、Invitrogenのものを用い、ウエスタンブロット法または染色ゲル分析により分析する。
(培地の処方)
緩衝化した酵母ファイトンデキストロース(BYPhyD)
酵母抽出物 10g/L
ファイトンペプトン 20g/L
1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6) 100mL/L
10×YNB 100mL/L
20%デキストロース 100mL/L

酵母ファイトンデキストロース(YPhyD)
酵母抽出物 10g/L
ファイトンペプトン 20g/L
20%デキストロース 100mL/L

10×YNB(硫酸アンモニウムを含み、アミノ酸を含まない13.4%酵母ナイトロゲンベース)
酵母ナイトロゲンベース 134g/L。
(実施例36)
(インスリンA21G製造)
本実施例において、4.0Lの培養液は、13.4gの湿った細胞ペーストを製造するために発酵され、Triton−X10を用いて、または用いずに封入体の調製が行われた。このように、2.07gの湿った封入体が製造され、可溶化され、リフォールディングされた。封入体は、湿った封入体(IBs)1グラム当たり200mLのHOに、最終的な濃度が3mMになるように再懸濁され、懸濁液にシステインが加えられた。IB’sは、1時間にわたって、室温において、pHを11.5に上げることにより、可溶化される。リフォールディングは、可溶化した素材のpHを10.6±0.1に落とすことによりなされ得、2〜8℃において、72時間にわたって保存した。結果は図10に示す。リフォールディング反応は、HClを加え、最終的なpHを3.0にすることにより停止された。0.45μMにろ過し、2〜8℃においてさらなる処理まで保存した。
リフォールディングされたタンパク質は、急冷されたリフォールディング物のpHをTrisベースを用いて8.0に上昇させることにより(図11に示すように)精製され、Q HPカラムにロードされる。一例において、ロードされたものの電導度は3.5mS/cmを超えた。実施の条件は、(A)20mMTris、8.0;(B)20mMTris、8.0;200mMNaCl、および30カラム容量(CV)に対して0〜100%B。正しくリフォールディングしたプロインスリンは貯められ、79mgのプロインスリンが回収された。
限外ろ過/ディアフィルトレーション(UF/DF)が行われ、25mM亜鉛を用いて沈殿が実施され、沈殿したタンパク質は、20mM NaOAc、4.0、30%ACN、5mMEDTAに濃度が2mg/mLになるように再懸濁された。そして、20K PEGが最終的なPEGに対するタンパク質のモル比が、10:1になるように加えられ、48〜72時間にわたって、28℃において、インキュベートされた。
PEG反応は、0.5×PEG緩衝液Aによって1:10に希釈され、0.22μMにろ過されて、SP 650Sカラムにおいて実施された。実施の条件は、(A)10mM
NaOAc、4.0、1mM EDTA;(B)10mM NaOAc、4.0、1mM EDTA、0.4M NaCl;20カラム容量に対して0〜50%Bであった。PEGサンプルは、10mM クエン酸Na、6.5;150mM NaClにおいて処方された。これを図12に示す。
これらの方法は、精製され、ペグ化されたバリアントの最終的なタンパク質の量が0.1〜22mgであり、非天然アミノ酸を有する様々なインスリンポリペプチドを製造するために用いられた。ACNは、PEG反応において、PEG/タンパク質混合物の可溶化を促進することが見出された。等電点(pI)における亜鉛による沈殿は、CANの存在化における濃縮により促進された。
(実施例37)
(STZ糖尿病ラットモデルにおけるインスリンポリペプチドの試験)
ラットは、本発明の異なる二つのインスリンポリペプチド(A14pAF−PEG−A21N リスプロインスリン、およびA14pAF−PEG−A21G リスプロインスリン)の単一の注射により処理された。それぞれのインスリンポリペプチドは、4つの異なるレベルで注射された:568nmol/kg;94nmol/kg;56.8nmol/kg;および9.4nmol/kg(インスリン含量として3、0.5、0.3、0.05mg/kg)。
血糖値は、投与の、1、2、4、8、12、24、48、72、96、120時間後に測定され、曲線下の平均領域、各々の場合における0〜120時間後での血糖値の測定、およびビヒクルのみの対照の注射を含む測定結果が、図9に示されている。
(実施例38)
天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンの安全性および/または有効性の人間に対する臨床試験。
(目的)
皮下投与された、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたヒトインスリンの安全性および薬物動態を観察すること。
(患者)
20〜40歳および体重60〜90kgの範囲にある健康な18人の有志者が研究に加えられる。被験者は、血液学、血液生化学検査、および陰性の尿の毒物スクリーン、HIVスクリーン、およびB型肝炎表面抗原に関して、臨床的に有為に異常な検査値を有していない。彼らは、以下の任意の徴候:高血圧;任意の主要な血液疾患の既往歴;深刻な肝疾患、腎疾患、心疾患、胃腸疾患、代謝疾患、神経疾患の既往歴;貧血またはてんかん発作の既往歴;細菌または哺乳動物由来の産物、PEGまたはヒト血清アルブミンに対する公知の感受性;カフェイン含有飲料の習慣的かつ大量の消費家;任意の他の臨床試験への関与、または試験開始までの30日以内において輸血されたかもしくは献血された血液を有すること;試験開始までの3ヶ月以内にインスリンのばくろを受けたこと;試験開始までの7日以内に病気にかかったこと;ならびに試験開始までの14日以内に試験前の身体検査または臨床検査の評価に対して有為な異常を有していることを有しているべきではない。すべての被験者は、安全性に関して評価可能であり、薬物動態分析にとってのすべての血液採取物が予定通りに採取される。すべての試験は、制度上の倫理委員会の承認および患者の同意のもとに実施される。
(研究計画)
これは、健康な男性の有志者における、第I相試験(Phase I)であり、単一施設における、非盲検の、無作為化された、2期にわたる交差試験である。18人の被験者は、2つの処理系列群(9人の被験者/群)の1つに無作為に割り当てられる。インスリンは、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンおよび市販の製品から選択されたものの等量を用いて、太股の上部に対して皮下注射による大量瞬時投与として、2つの別々の投与期間にわたって投与される。市販製品の投与の量および頻度は包装の表示に従う。市販緒製品を用いた付加的な投与、投与頻度または所望される他の要因は、被験者の付加的な群に含むことによって試験に加えられ得る。各投与期間は14日間の洗い流し期間をによって分けられる。被験者は、2つの投与期間のそれぞれ(2つの投与期間に挟まれた期間ではない)について、投与前の少なくとも12時間、および投与後の少なくとも72時間にわたって試験施設に留めおかれる。ペグ化されたインスリンについても同様に試験されるべき、付加的な投与、頻度または他の要因がある場合に、被験者の付加的な群が加えられ得る。インスリンの試験調合物は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンである。
(血液採取)
血液の系列は、インスリン投与の前および後に、直接に血管に穿刺することによって引き出される。血清中のインスリン濃度の決定するための静脈血サンプル(5mL)は、投与の約30、20および10分前(3つの基準サンプル);投与の30分後、1、2、5、8、12、15、18、24、30、36、48、60、および72時間後に得られる。各血清サンプルは2つに等分される。すべての血清サンプルは−20℃において保存される。血清サンプルはドライアイス上に乗せられる。空腹時の臨床検査試験(血液学、血清生化学、尿検査)が、1日目における初回投与の直前、4日目の朝、16日目における投与の直前、および19日目の朝に実施される。
(生物分析法)
ELISAキットが血清中のインスリン濃度の決定に使用される。
(安全性測定)
生命徴候は、各投与(1日目および16日目)の直前、各投与から6、24、48、および72時間目に記録される。安全性の決定は、有害事象の発生および種類ならびに臨床検査試験の基準線からの変化に基づいている。さらに、試験前における生命徴候(血圧および身体検査の結果が挙げられる)の測定からの変化が評価される。
(データ分析)
投与後の血清中濃度値は、投与後の値のそれぞれから基準線のインスリン濃度の平均値を引くことによって、投与前のインスリン濃度の基準値に関して補正される。基準線のインスリン濃度の平均値は、投与までの10、20および30分前において回収された3つのサンプルからインスリンレベルを平均化することによって得られる。投与前のインスリン濃度は、それらがアッセイの定量レベルよりも下回っている場合、平均値の算出に含められない。薬物動態パラメーターは、基準線のインスリン濃度に関して補正された血清濃度のデータから決定される。薬物動態パラメーターは、バイオバルソフト最新バージョンを用いたディジタルイクイップメントコーポレーション VAX8600コンピュータシステムにおけるモデル独立法によって算出される。以下の薬物動態パラメーター:ピーク血清濃度(Cmax)、ピーク血清濃度までの時間(tmax);直線台形法を用いて算出された時点0から最後の血液サンプリング時点まで(AUC0−72)の濃度−時間曲線の下にある領域(AUC);および末梢排泄半減期(t1/2)が決定された。排泄速度定数は、ログ−リニアの濃度−時間プロットの末端の直線領域における連続的な複数のデータ点の直線回帰のよって見積もられる。薬物動態学的なパラメーターの平均値、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)が各処置について算出される。パラメーターの平均の割合(保存した調合物/保存していない調合物)が算出される。
(安全性の結果)
有害事象の発生は、処置群を越えて等しく分配される。基準線、試験前の臨床検査試験または血圧からの臨床的に有為な変化はなく、試験前の身体検査結果および生命徴候の測定から顕著な変化はない。2つの処置群に関する安全性の特性は同様と思われる。
(薬物動態の結果)
天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンを受けた後の18人の被験者全員における、各時点の血清中のインスリン濃度の平均−時間特性(基準線のインスリンレベルに関して補正されていない)が測定された。すべての被験者は、正常な生理学的範囲内の、投与前の基準線のインスリン濃度を有しているはずである。薬物動態パラメーターは、基準線のインスリン濃度の平均値に関して補正された血清データから決定され、Cmaxおよびtmaxが決定される。選択された任意の(複数の)臨床比較対象に関するtmaxの平均は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンに関するtmaxよりも有為に短い。前臨床の(複数の)比較対象に関する末梢半減期の値は、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンに関する末梢半減期より有為に短い。
本試験は健康な男性の被験者において実施されているが、同様の吸収特性および安全性が、他の患者の集団において見込まれる。他の患者の集団は、例えば、糖尿病の男性または女性の患者、がんまたは慢性腎不全の男性または女性の患者、小児腎不全患者、自家の先天的な生体プログラムを有する患者、緊急を要しない手術を予定している患者である。
結論として、天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンの皮下投与される単回投与は、安全であり、かつ男性の健康な被検体によって十分に許容される。有害事象の相対的な発生、臨床検査値、生命徴候および身体検査の結果に基づいて、インスリンの市販の形態の安全性および天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンの安全性は、同等である。天然にコードされていないアミノ酸を含んでいるペグ化されたインスリンは、患者および保健医療提供者に対して大きな臨床有用性を提供し得る。
本明細書に記載の実施例および実施形態は、これらに鑑みて種々の改善および変更が当業者に示唆されるような単なる例示を目的としており、かつ本願および添付の特許請求の範囲の精神および範囲の範囲内に含まれると理解される。個々の公開物、特許、特許出願、および/または他の文献のそれぞれについて、すべての目的において言及によって組み込まれることがあたかも記載されているのと同様に、本明細書において言及されているすべての公開物、特許、特許出願、および/または他の文献は、すべての目的において言及によってその全体が組み込まれる。
Figure 2014169313
Figure 2014169313
図1は、インスリンのアミノ酸配列と一緒に示された、インスリンの結晶構造の2つのモデルを示す図である。 図2は、インスリンの結晶構造のモデルを示す図である。 図3は、プロインスリンの一次構造を示す図である。 図4は、インスリン、ヒューマログ、ノボログ、グラルギン、およびデテミルを示す図である。 図5は、プロインスリンの発現プラスミドであるpVK6−リスプロインスリン、およびリスプロインスリンのインサートの配列を示す図である。 図6は、本発明のインスリンポリペプチドを用いたSDS−PAGEのゲル分析を示す図である。 図7は、ペグ化されたインスリンポリペプチド、およびペグ化されていないインスリンポリペプチドのSEC−HPLCを示す図である。 図8は、Pichiaにクローン化するために使用されるプラスミドの略図である。 図9は、本発明の2つのインスリンポリペプチド(A14pAF−PEG−A21NおよびA14pAF−PEG−A21G)に関する、曲線下面積のバーグラフである。 図10は、実施例36にてさらに検討されるような、A21Gのインスリンポリペプチドに対するリフォールディング反応の結果のゲルを示す図である。 図11は、実施例36から、QHPによって精製され、リフォールディングされたプロインスリンのHPLCを示す図である。 図12は、実施例36に記載のペグ化反応のHPLCを示す図である。

Claims (5)

  1. 天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる、インスリンポリペプチド。
  2. A鎖が、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる、インスリンポリペプチド。
  3. B鎖が、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる、インスリンポリペプチド。
  4. 天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる、インスリン類似体。
  5. 代謝性障害に罹患した患者を治療するための方法であって、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいる、治療的に有効な量のインスリンポリペプチドを該患者に投与する、方法。
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