JP2008541766A - タンパク質中への天然にコードされないアミノ酸の取り込み - Google Patents
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Abstract
本発明は、シュードモナス種及びシュードモナス種に由来する株によって、天然にコードされないアミノ酸をインビボで取り込むための方法及び組成物を提供する。シュードモナス種及びシュードモナス種に由来する株によって作製される天然にコードされないアミノ酸を有するタンパク質を含む組成物も提供される。
Description
関連出願の相互参照
本願は、2005年6月3日に出願された米国仮出願第60/687,603号(その明細書は、その全体が、本明細書に組み込まれる。)の優先権を主張する。
本願は、2005年6月3日に出願された米国仮出願第60/687,603号(その明細書は、その全体が、本明細書に組み込まれる。)の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、翻訳生化学及び組換えタンパク質発現の分野に関する。本発明は、細菌の宿主細胞、及び1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有するタンパク質を作製する方法に関する。本発明は、オルソゴナルアミノアシル−tRNA合成酵素、オルソゴナルtRNA、天然にコードされないアミノ酸、セレクターコドン及び関連組成物を用いて、シュードモナス種及びその株の細菌性組換え宿主細胞中でタンパク質を作製する方法にも関する。
本発明は、翻訳生化学及び組換えタンパク質発現の分野に関する。本発明は、細菌の宿主細胞、及び1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有するタンパク質を作製する方法に関する。本発明は、オルソゴナルアミノアシル−tRNA合成酵素、オルソゴナルtRNA、天然にコードされないアミノ酸、セレクターコドン及び関連組成物を用いて、シュードモナス種及びその株の細菌性組換え宿主細胞中でタンパク質を作製する方法にも関する。
最近、タンパク質の部位特異的な修飾に付随する制約の多くを克服することを約束する、タンパク質科学における全く新しい技術が報告された。具体的には、原核生物であるエシェリヒア・コリ(E.コリ)(例えば、L. Wang, et al., (2001), Science 292:498−500)及び真核生物サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)(例えば、J.Chin et al.,Science 301:964−7(2003))のタンパク質生合成装置に新しい成分が付加され、これによって、遺伝的にコードされていないアミノ酸を、インビボでタンパク質に取り込むことが可能となった。光親和性標識及び光異性化可能なアミノ酸、ケトアミノ酸、グリコシル化されたアミノ酸など、新しい化学的、物理的又は生物学的特性を有する多数の新しいアミノ酸が、この方法を用いて、アンバーコドン(TAG)に応答して、E.コリ及び酵母中のタンパク質中に、効率的且つ高い精度で取り込まれている。例えば、「J. W. Chin et al., (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026−9027」;「J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), ChemBioChem 11(11):1135−1137」;「J.W.Chin, et al., (2002), PNAS United States of America 99:11020−11024」;及び「L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem.Comm., 1:−10−11」を参照されたい。これらの研究は、タンパク質中に見出されず、遺伝的にコードされた20個の共通アミノ酸中に見出される官能基の全てに対して化学的に不活性であり、並びに効率的及び選択的に反応して安定な共有結合を形成するために使用され得るケトン基、アルキン基及びアジド部分などの化学的官能基を選択的及び定型的に導入することが可能であることを示した。
遺伝的にコードされないアミノ酸をタンパク質中に取り込ませる能力によって、リジンのε−NH2、システインのスルフヒドリルーSH、ヒスチジンのイミノ基などの、天然に存在する官能基に対する価値ある代替物を提供することができる化学的官能基の導入が可能となる。ある種の化学的官能基は、遺伝的にコードされる20の共通アミノ酸中に見出される官能基に対して不活性であるが、明瞭且つ効率的に反応して安定な結合を形成することが知られている。
E.コリ組換え宿主細胞中で十分に発現され得ない組換えタンパク質が存在することが知られている。E.コリ以外に、組換えタンパク質を発現するための別の細菌宿主細胞が開発されている。E.コリ組換え宿主細胞に対する代替宿主細胞は、グラム陰性細菌であるシュードモナスの種及びこれに由来する様々な株が含まれる。従って、組換えタンパク質中へ天然にコードされないアミノ酸を取り込むために、E.コリ以外の別の組換え宿主細胞に対する要求が存在する。
本発明は、天然にコードされないアミノ酸をタンパク質中に取り込むことをできるシュードモナス翻訳系を作製及び使用するための様々な方法を提供する。本発明は、多様なシュードモナス種及びシュードモナス種に由来する株並びに関連する組成物を含む。シュードモナス種及びシュードモナス種に由来する株中のシュードモナス翻訳系によって作製された、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質も、本発明の特徴である。本発明のシュードモナス翻訳系を用いて、公知及び新規の天然にコードされないアミノ酸がタンパク質中に取り込まれ得る。従って、一態様において、本発明は、シュードモナス種及び株に由来し、又はシュードモナス種及び株において使用するためのシュードモナス翻訳系を含む組成物を提供する。シュードモナス翻訳系は、オルソゴナルtRNA(O−tRNA)及びオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)を含む。通例、O−RSは、シュードモナス翻訳系において、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸でO−tRNAを優先的にアミノアシル化し、O−tRNAは少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。従って、シュードモナス翻訳系は、セレクターコドンに応答して、天然にコードされないアミノ酸をタンパク質中に挿入する。シュードモナス翻訳系は、天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドを提供するために、本明細書中に記載されているように、シュードモナス宿主細胞中において機能し、又はシュードモナス細胞の翻訳成分とともに機能することが可能である。
本発明の典型的なシュードモナス翻訳系は、P.フルオレッセンス、P.プチダ、P.アエルギノサなど及び将来同定される新規シュードモナス種など(但し、これらに限定されない)の多様なシュードモナス種の細胞を含む。あるいは、シュードモナス翻訳系は、インビトロシュードモナス翻訳系、例えば、シュードモナス宿主細胞から得られる細胞翻訳成分を含む抽出物を含む。
O−tRNAの例には、配列番号1、2及び3に記載されているポリヌクレオチド配列及び/又はこれらの相補的ポリヌクレオチド配列が含まれるが、これらに限定されない。同様に、O−RSの例には、配列番号35から66に記載されているアミノ酸配列を含むポリペプチド並びに配列番号4から34に記載されている核酸配列及びこれらの相補的ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドが含まれているが、これらに限定されない。
O−tRNAの例には、配列番号1、2及び3に記載されているポリヌクレオチド配列及び/又はこれらの相補的ポリヌクレオチド配列が含まれるが、これらに限定されない。同様に、O−RSの例には、配列番号35から66に記載されているアミノ酸配列を含むポリペプチド並びに配列番号4から34に記載されている核酸配列及びこれらの相補的ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドが含まれているが、これらに限定されない。
本発明のシュードモナス翻訳系において使用され得る天然にコードされないアミノ酸の例には、チロシンアミノ酸の非天然類縁体;グルタミンアミノ酸の非類縁体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類縁体;セリンアミノ酸の非天然類縁体;スレオニンアミノ酸の非天然類縁体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ボラート、ボロナート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト若しくはアミノ置換されたアミノ酸又はこれらのあらゆる組み合わせ;光活性化可能な架橋剤を有するアミノ酸;スピン標識されたアミノ酸;蛍光性アミノ酸;新規官能基を有するアミノ酸;別の分子と共有結合又は非共有結合的に相互作用するアミノ酸;金属結合アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;光ケージ化された及び/又は光異性体化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類縁体含有アミノ酸;グリコシル化された又は炭水化物修飾されたアミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換されたアミノ酸;化学的に切断可能な又は光切断可能なアミノ酸;伸長された側鎖を有するアミノ酸;毒性基を含有するアミノ酸;糖置換されたアミノ酸(例えば、糖置換されたセリンなど);炭素結合された糖を含有するアミノ酸;酸化還元活性なアミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,α二置換されたアミノ酸;β−アミノ酸;及びプロリン以外の環状アミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。
例えば、天然にコードされないアミノ酸は、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ素化されたフェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン及びイソプロピル−L−フェニルアラニンであり得る。一実施形態において、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸は、O−メチル−L−チロシンである。一実施形態において、天然にコードされないアミノ酸は、L−3−(2−ナフチル)アラニンである。具体例の別の組において、天然にコードされないアミノ酸は、アミノ−、イソプロピル−又はO−アリル含有フェニルアラニン類縁体である。
ナンセンスコドン、停止コドン(アンバー、オーカー及びオパール停止コドンが含まれるが、これらに限定されない。)、レアコドン、四(又はそれ以上)塩基コドン、非天然ヌクレオシドを基礎とするコドンなど(但し、これらに限定されない。)、様々なセレクターコドンの何れをも、本発明において使用することが可能である。例えば、一実施形態において、セレクターコドンはアンバーコドンである。
本発明のシュードモナス翻訳系は、シュードモナス細胞の種において、又はシュードモナス翻訳系において、使用に十分な量の、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を合成する能力を与える。例えば、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、本発明のシュードモナス宿主細胞又は翻訳系において、少なくとも約1、5、10、50、100、500、1000又はそれ以上のmg/リットルの濃度で産生され得る。さらに、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、本発明のシュードモナス宿主細胞又は翻訳系において、少なくとも約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100又はそれ以上のg/リットルの濃度で産生され得る。
本発明の別の態様は、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含む、目的とする何れかのタンパク質に対して相同であるタンパク質の産生を提供する。例えば、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含むが、1つ又はそれ以上の他のタンパク質に対して相同である治療用タンパク質を作製することが可能である。例えば、一態様において、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、サイトカイン、成長因子、成長因子受容体、インターフェロン、インターロイキン、炎症性分子、発癌遺伝子産物、ペプチドホルモン、シグナル伝達分子、ステロイドホルモン受容体、転写活性化因子、転写抑制因子、エリスロポエチン(EPO)、インシュリン、ヒト成長ホルモン、上皮性好中球活性化ペプチド−78、GROα/MGSA、GROβ、GRO(、MIP−1α、MIP−1&、MCP−1、肝細胞増殖因子、インシュリン様増殖因子、白血病阻害因子、オンコスタチンM、PD−ECSF、PDGF、プレイオトロピン、SCF、c−kitリガンド、VEGF、G−CSF、IL−1、IL−2、IL−8、IGF−I、IGF−II、FGF(繊維芽細胞増殖因子)、PDGF、TNF、TGF−α、TGF−β、EGF(上皮増殖因子)、KGF(ケラチン生成細胞増殖因子)、SCF/c−Kit、CD40L/CD40、VLA−4/VCAM−1、ICAM−1/LFA−1、ヒアルリン/CD44、Mos、Ras、Raf、Met、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体及びコルチコステロンなどの治療用又はその他のタンパク質に対して相同である。実施形態の別の組において、タンパク質は、α−1アンチトリプシン、アンギオスタチン、抗溶血性因子、抗体、アポリポタンパク質、アポタンパク質、心房性ナトリウム利尿因子、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド、心房性ペプチド、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、Gro−a、Gro−b、Gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF4、MIG、カルシトニン、c−kitリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、単球走化性タンパク質−1、単球走化性タンパク質−2、単球走化性タンパク質−3、単球炎症性タンパク質−1α、単球炎症性タンパク質−1β、RANTES、I309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、C−kitリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体因子5a、補体阻害剤、補体受容体1、サイトカイン、上皮性好中球活性化ペプチド−78、GROα/MGSA、GROβ、GRO(、MIP−1α、MP−1&、MCP−1、上皮増殖因子(EGF)、上皮性好中球活性化ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、剥脱性毒素(exfoliating toxin)、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、第X因子、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、G−CSF、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼ、性腺刺激ホルモン、増殖因子、増殖因子受容体、ヘッジホッグタンパク質、ヘモグロビン、肝細胞増殖因子(HGF)、ヒルジン、ヒト血清アルブミン、ICAM−1、ICAM−1受容体、LFA−1、LFA−1受容体、インシュリン、インシュリン様増殖因子(IGF)、IGF−I、IGF−II、インターフェロン、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、インターロイキン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチン生成細胞増殖因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子、ルシフェラーゼ、ニュールツリン、好中球阻害因子(NIF)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、発癌遺伝子産物、副甲状腺ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、ヒト成長ホルモン、プレイオトロピン、プロテインA、プロテインG、発熱性外毒素A、B又はC、リラキシン、レニン、SCF、可溶性補体受容体I、可溶性I−CAM1、可溶性インターロイキン受容体、可溶性TNF受容体、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ストレプトキナーゼ、スーパー抗原、ブドウ球菌エンテロトキシン、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、毒素性ショック症候群毒素、チモシンα1、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA−4タンパク質、VCAM−1タンパク質、血管内皮増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ、Mos、Ras、Raf、Met、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体及びコルチコステロンなどの治療用又はその他のタンパク質に対して相同である。一態様において、本明細書中の組成物は、天然にコードされないアミノ酸と、及び医薬として許容される賦形剤と(例えば上記タンパク質の何れか、及び医薬として許容される賦形剤)を含むタンパク質を含む。
ポリペプチドに対する相同性は、例えば初期設定パラメータに設定された、例えばBLASTN又はBLASTPを用いて、配列の並置を行うことによって推測することが可能である。例えば、一実施形態において、タンパク質は、公知の治療用タンパク質(例えば、Genebank又は利用可能なその他のデータベース中に存在するタンパク質)に対して少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一である。
目的とするタンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有することが可能である。天然にコードされないアミノ酸は同一又は別異であり得、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれ以上の天然にコードされない異なるアミノ酸を含むタンパク質中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれ以上の異なる部位が存在し得る。例えば、一実施形態において、タンパク質はDHFRであり、並びに少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸は、O−メチル−L−チロシン及びL−3−(2−ナフチル)アラニンからなる群から選択される。
本発明は、タンパク質が少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を含むように、シュードモナス翻訳系において少なくとも1つのタンパク質を産生するための方法も提供する。本発明の本方法の実施形態において、シュードモナス翻訳系には、少なくとも1つのセレクターコドンを含む少なくとも1つの核酸が提供され、該核酸は前記タンパク質をコードする。少なくとも1つのセレクターコドンを認識するオルソゴナルtRNA(O−tRNA)と、及びシュードモナス翻訳系において、天然にコードされないアミノ酸でO−tRNAを優先的にアミノアシル化するオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)とを含むシュードモナス翻訳系も提供される。
一態様において、本発明において、シュードモナス翻訳系において産生される、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、細胞依存性の様式で加工及び修飾される。これは、安定に折り畳まれた、又は細胞によってその他の修飾が施されたタンパク質の産生を提供する。
天然にコードされないアミノ酸は、場合によって、シュードモナス翻訳系に対して、外来的に付与され得る。あるいは、例えば、シュードモナス翻訳系が生きた細胞である場合には、天然にコードされないアミノ酸はシュードモナス細胞によって生合成され得る。例えば、シュードモナス細胞は、細胞内の1つ又はそれ以上の炭素源から天然にコードされないアミノ酸(例えば、α−アミノフェニルアラニン)を産生するための生合成経路系を含み得る。幾つかの実施形態において、生合成経路は、天然にコードされないアミノ酸の生理学的量を産生し得、例えば、細胞は、タンパク質生合成に十分な量で、天然にコードされないアミノ酸を産生し、この量は、天然のアミノ酸の濃度を実質的に変化させ得ず、又は天然にコードされないアミノ酸の産生において、細胞資源を実質的に枯渇させ得ない。
本発明の細胞によって、場合によって産生され得るその他の天然にコードされないアミノ酸には、ドーパ、O−メチル−L−チロシン、グリコシル化されたアミノ酸、PEG化されたアミノ酸、本明細書に記載されている他の天然にコードされないアミノ酸などが含まれるが、これらに限定されない。
キットは、本発明のさらなる特徴である。例えば、キットは、例えば、適切な包装材料、キットの成分を収容するための容器、本発明の方法を実施するための指示書類などとともに、上記されているような1つ又はそれ以上のシュードモナス翻訳系(例えば、細胞、21又はそれ以上のアミノ酸細胞、細胞抽出物など)、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含むことが可能である。同様に、例えば、キットの成分を収容するための容器、本発明の方法を実施するための指示書類とともに、シュードモナス翻訳系の産物(例えば、天然にコードされないアミノ酸を含むEPOなどのタンパク質)を、キット形態で提供することが可能である。
定義
本発明は、本明細書に記載されている具体的な方法、プロトコール、細胞株、構築物及び試薬に限定されるものではなく、従って、変化し得ることを理解しなければならない。本明細書で使用されている用語は、具体的な実施形態を記載するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定する意図ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解しなければならない。
本発明は、本明細書に記載されている具体的な方法、プロトコール、細胞株、構築物及び試薬に限定されるものではなく、従って、変化し得ることを理解しなければならない。本明細書で使用されている用語は、具体的な実施形態を記載するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定する意図ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解しなければならない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている単数形(「a」、「an」及び「the」)には、文脈から別段の意味であることが明らかである場合を除き、複数表記も含まれる。従って、例えば、「hGH」という表記は、1つ又はそれ以上のこのようなタンパク質を表し、当業者に公知のこれらの均等物などを含む。
別段の定義がなければ、本明細書に使用されている全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解する意味と同一の意味を有する。本発明の実施又は検査においては、あらゆる方法、装置及び本明細書に記載されているものと類似又は均等な材料を使用可能であるが、ここでは、好ましい方法、装置及び材料が記載されている。
本明細書に挙げられている全ての公報及び特許は、例えば、公報中に記載された、本明細書に記載されている発明に関連して使用され得る構築物及び方法を記載及び開示する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に論述されている公報は、専ら、本願の出願日より前の開示に対してのみ提供される。本明細書の記載は、以前の発明に基づいて、又は何らかの理由によって、本発明者らがこのような開示の日付を先行させる権利を有することを認めるものと解釈すべきではない。
「実質的に精製された」という用語は、それが天然に存在する環境中、すなわち、野生型細胞、又は組換え的に産生されたポリペプチドの場合には宿主細胞中で通常本タンパク質を伴い、又は本タンパク質と相互作用する成分を実質的に又は本質的に含まない場合があり得るポリペプチドを表す。細胞物質を実質的に含まないことができるポリペプチドには、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満又は約1%未満(乾燥重量に対して)の莢雑タンパク質を有するタンパク質の調製物が含まれる。ポリペプチド又はそのバリアントがシュードモナス宿主細胞によって組換え的に産生される場合には、該タンパク質は、細胞の乾燥重量の、約30%又はそれ以上、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%又は約1%又はそれ以下で存在し得る。ポリペプチド又はそのバリアントが宿主細胞によって組換え的に産生される場合には、該タンパク質は、細胞の乾燥重量の、約100g/L又はそれ以上、約50g/L、約10g/L、約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L又は約1mg/L又はそれ以下で、培地中に存在し得る。従って、本発明の方法によって作製された「実質的に精製された」ポリペプチドは、SDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC及びキャピラリー電気泳動などの適切な方法によって測定された場合に、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の純度レベル、具体的には、少なくとも約75%、80%、85%の純度レベル、より具体的には、少なくとも約90%の純度レベル、少なくとも約95%の純度レベル、少なくとも約99%又はそれ以上の純度レベルを有し得る。
「組換えシュードモナス宿主細胞」又は「シュードモナス宿主細胞」とは、挿入のために使用される方法、例えば、直接取り込み、形質導入、f−接合(f−mating)又は組換え宿主細胞を作製するための本分野で公知の他の方法にかかわらず、外来ポリヌクレオチドを含むシュードモナス種又はシュードモナス種に由来する株の細胞を表す。外来ポリヌクレオチドは、組み込まれていないベクター、例えば、プラスミドとして維持されることができ、あるいは、宿主ゲノム中に組み込まれ得る。
本明細書中で使用する場合、「培地(medium)」又は「培地(media)」という用語は、何れかのシュードモナス宿主細胞を支持し得るか、又は含有し得る、あらゆる培養用培地、溶液、固体、半固体又は強固な支持体を含む。従って、本用語は、シュードモナス宿主細胞をその中で増殖させている培地、例えば、ポリペプチドがその中に分泌されている培地(増殖工程前又は後の培地を含む。)などを包含し得る。本用語は、ポリペプチドが細胞内で産生され、ポリペプチドを放出するためにシュードモナス宿主細胞が溶解又は破壊される場合など、宿主細胞可溶化液を含有する緩衝液又は試薬も包含し得る。
タンパク質の再折りたたみに関して本明細書で使用される「還元剤」は、スルフヒドリル基を還元状態に保ち、分子内又は分子間ジスルフィド結合を還元する全ての化合物又は物質として定義される。適切な還元剤には、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン、(2−アミノエタンチオール)及び還元されたグルタチオンが含まれるが、これらに限定されない。様々な還元剤が本発明の方法及び組成物における使用に適していることが、当業者に自明である。
タンパク質の再折りたたみに関して本明細書で使用される「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去することができる全ての化合物又は物質として定義される。適切な酸化剤には、酸化されたグルタチオン、シスチン、シスタミン、酸化されたジチオスレイトール、酸化されたエリスリトール及び酸素が含まれるが、これらに限定されない。様々な酸化剤が本発明の方法における使用に適していることが、当業者に自明である。
「変性剤」又は「変性試薬」とは、本明細書中で使用する場合、タンパク質の可逆的な折り畳み解除を引き起こす、あらゆる化合物又は物質として定義される。変性剤又は変性試薬の強度は、具体的な変性剤又は変性試薬の特性及び濃度の両方によって決定され得る。適切な変性剤又は変性試薬は、カオトロプ、界面活性剤、有機溶媒、水混和性溶媒、リン脂質又は2つ若しくはそれ以上のこのような薬剤の組み合わせであり得る。適切なカオトロプには、尿素、グアニジン及びチオシアン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤には、ドデシル硫酸ナトリウム、又はポリオキシエチレンエーテル(例えば、Tween又はTriton界面活性剤)、Sarkosylなどの強い界面活性剤、穏やかな非イオン性界面活性剤(例えば、ジギトニン)、N−2,3−(ジオレイルオキシ)−プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムなどの穏やかな陽イオン性界面活性剤、穏やかなイオン性界面活性剤(例えば、コール酸ナトリウム又はデオキシコール酸ナトリウム)、又はスルホベテイン(Zwittergent)、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパンサルファート(CHAPS)及び3−(3−クルルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート(CHAPSO)を含む(これらに限定されない。)双性イオン界面活性剤が含まれ得るが、これらに限定されない。アセトニトリル、低級アルカノール(特に、エタノール又はイソプロパノールなどのC2−C4アルカノール)、又は(低級アルカンジオール(特に、エチレングリコールなどのC2−C4アルカンジオール)などの水混和性有機溶媒は、界面活性剤として使用され得る。本発明において有用なリン脂質は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン及びホスファチジルイノシトールなどの天然リン脂質又は合成リン脂質誘導体又はジヘキサノイルホスファチジルコリン若しくはジヘプタノイルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質誘導体若しくはバリアント(Variants)であり得る。
本明細書に使用される「再折り畳み」は、ポリペプチドを含有するジスルフィド結合を、不適切に折りたたまれ、又は折り畳み解除された状態から、ジスルフィド結合に関して固有の高次構造又は適切に折りたたまれた高次構造へと転換する任意のプロセス、反応又は方法を記載する。
本明細書において使用される「同時折り畳み」とは、互いに相互作用して、折り畳み解除されたポリペプチド又は不適切に折り畳まれたポリペプチドを、適切に折り畳まれた固有のポリペプチドに変換させる少なくとも2つのポリペプチドを使用する再折り畳みプロセス、反応又は方法を具体的に表す。
「天然にコードされないアミノ酸」とは、20の共通アミノ酸うちの1つ又はパイロリジン(pyrrolysine)又はセレノシステインでないアミノ酸を表す。「天然にコードされないアミノ酸」という用語と同義的に使用され得る他の用語は、「非天然アミノ酸」、「天然にコードされないアミノ酸」、「天然に存在しないアミノ酸」、並びに様々にハイフンが付されたそのバージョン及びハイフンが付されていないそのバージョンである。「天然にコードされないアミノ酸」という用語には、天然にコードされているアミノ酸(20の共通アミノ酸又はパイロリジン及びセレノシステインを含むが、これらに限定されない。)の修飾(例えば、翻訳後修飾)によって生じるが、それ自体は、成長しているポリペプチド鎖中に翻訳複合体によって本来取り込まれないアミノ酸も含まれるが、これに限定されない。このような天然に存在しないアミノ酸の例には、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニン及びO−ホスホチロシンが含まれるが、これらに限定されない。
「アミノ末端修飾基」は、ポリペプチドのアミノ末端に付着させることが可能なあらゆる分子を表す。同様に、「カルボキシ末端修飾基」とは、ポリペプチドのカルボキシ末端に付着させることが可能なあらゆる分子を表す。末端修飾基には、様々な水溶性ポリマー、血清アルブミンなどのぺプチド若しくはタンパク質又はペプチドの血清半減期を増加させるその他の部分が含まれるが、これらに限定されない。
「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「脱離基」、「反応性部位」、「化学的反応基」及び「化学的反応部分」という用語が、分子の異なる、確定可能な部分又は単位を表すために、本分野及び本明細書において使用されている。前記用語は、化学の分野において若干同義的であり、何らかの機能又は活性を発揮し、他の分子と反応する分子の部分を表すために本明細書において使用される。
本明細書において「結合」又は「リンカー」という用語は、化学反応の結果として通常形成される基又は結合を表すために使用され、典型的には、共有結合である。加水分解に対して安定な結合とは、該結合が水中で実質的に安定であり、生理的条件下を含む(これに限定されない。)有用なpH値で、長期にわたって、おそらくは永久に水と反応しない結合を意味する。加水分解に対して不安定な結合又は分解可能な結合とは、該結合が、水又は例えば、血液などの水溶液中で分解可能であることを意味する。酵素的に不安定な結合又は分解可能な結合とは、該結合が1つ又はそれ以上の酵素によって分解可能であることを意味する。本分野で理解されているように、PEG及び関連ポリマーは、ポリマー骨格中に、又はポリマー骨格とポリマー分子の末端官能基の1つ又はそれ以上との間のリンカー基中に分解可能な結合を含み得る。例えば、PEGカルボン酸又は活性化されたPEGカルボン酸の、生物活性因子上のアルコール基との反応によって形成されたエステル結合は、一般的には、生理的条件下で加水分解されて、前記因子を放出する。加水分解によって分解可能な他の結合には、カルボナート結合;アミンとアルデヒドの反応から得られたイミン結合;アルコールとホスファート基との反応によって形成されたリン酸エステル結合;ヒドラジドとアルデヒドの反応産物であるヒドラゾン結合;アルデヒドとアルコールの反応産物であるアセタール結合;フォルマートとアルコールの反応産物であるオルトエステル結合;アミン基(PEGなどのポリマーの末端に位置するものを含むが、これに限定されない。)とペプチドのカルボキシル基によって形成されるペプチド結合;及びホスホルアミダイト基(ポリマーの末端に位置するものを含むが、これに限定されない。)とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基によって形成されるオリゴヌクレオチド結合が含まれるが、これらに限定されない。
「生物活性分子」、「生物活性部分」又は「生物活性因子」という用語は、本明細書中で使用する場合、以下に限定されないが、ウイルス、細菌、真菌、植物、動物及びヒトを含む(但し、これらに限定されない。)、生物の何らかの物理的又は生化学的特性に影響を与え得るあらゆる物質を意味する。特に、本明細書中で使用する場合、生物活性分子には、以下に限定されないが、ヒトもしくは他の動物における疾患の、診断、治療、緩和、処置もしくは予防のための、又は、その他、ヒトもしくは動物の身体的もしくは精神的健康を促進するためのあらゆる物質が含まれる。生物活性分子の例には、以下に限定されないが、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬物、顔料、脂質、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、細胞、ウイルス、リポソーム、微小粒子及びミセルが含まれる。本発明とともに使用するのに適した生物活性因子のクラスには、以下に限定されないが、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心血管作動薬、抗不安薬、ホルモン、増殖因子、ステロイド剤などが含まれる。
「二官能性ポリマー」とは、他の部分(アミノ酸側鎖基を含むが、これに限定されない。)と特異的に反応して、共有又は非共有結合を形成することができる2つの別個の官能基を含むポリマーを表す。第一の生物活性成分と、二官能性リンカーと、及び第二の生物活性成分とを含む抱合体を形成するために、ある生物活性成分上の基と反応する1つの官能基と、第二の生物成分上の基と反応する別の基とを有する二官能性リンカーを使用することができる。ペプチドに様々な化合物を付着するための数多くの手順及びリンカー分子が公知である。例えば、欧州特許出願第188,256号、米国特許第4,671,958号、第4,659,839号、第4,414,148号、第4,699,784号;第4,680,338号、第4,569,789号及び第4,589,071号(これらは、参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。「多官能性ポリマー」とは、他の部分(アミノ酸側鎖基を含むが、これに限定されない。)と特異的に反応して、共有又は非共有結合を形成することができる2つ又はそれ以上の別個の官能基を含むポリマーを表す。
置換基が、左から右へ書かれた慣用の化学式によって特定されている場合、それらは、右から左へ構造を書くことによって得られる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、構造−CH2O−は、構造−OCH2−と等価である。
「置換基」という用語は、以下に限定されないが、「非妨害置換基」を含む。「非妨害置換基」は、安定な化合物を生じる基である。適切な非妨害置換基又はラジカルには、以下に限定されないが、ハロ、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C1−C10アルコキシ、C1−C12アラルキル、C1−C12アルカリール、C3−C12シクロアルキル、C3−C12シクロアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニル、C2−C12アルコキシアルキル、C2−C12アルコキシアリール、C7−C12アリールオキシアルキル、C7−C12オキシアリール、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C10アルキルスルホニル、−−(CH2)m−−O−−(C1−C10アルキル)(式中、mは1から8である。)、アリール、置換されたアリール、置換されたアルコキシ、フルオロアルキル、複素環基、置換された複素環基、ニトロアルキル、−−NO2、−−CN、−−NRC(O)−−(C1−C10アルキル)、−−C(O)−−(C1−C10アルキル)、C2−−C10アルキルチオアルキル、−−C(O)O−−(C1−C10アルキル)、−−OH、−−SO2、=S、−−COOH、−−NR2、カルボニル、−−C(O)−−(C1−C10アルキル)−−CF3、−−C(O)−−CF3、−−C(O)NR2、−−(C1−C10アリール)−−S−−(C6−C10アリール)、−−C(O)−−(C1−C10アリール)、−−(CH2)m−−O−−(−−(CH2)m−−O−−(C1−C10アルキル)(式中、各mは1から8である。)、−−C(O)NR2、−−C(S)NR2、−−SO2NR2、−−NRC(O)NR2、−−NRC(S)NR2、それらの塩などが含まれる。各Rは、本明細書中で使用する場合、H、アルキルもしくは置換されたアルキル、アリールもしくは置換されたアリール、アラルキル又はアルカリールである。
「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、ヨウ素及び臭素が含まれる。
「アルキル」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、別段の断りがない限り、直鎖もしくは分枝鎖もしくは環状炭化水素基又はそれらの組合せを意味し、完全に飽和、モノ又はポリ不飽和であり得、指定の炭素原子数を有する(即ち、C1−C10は、1から10個の炭素を意味する。)、二価及び多価の基を含み得る。飽和炭化水素基の例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの相同体及び異性体などの基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1又はそれ以上の二重結合又は三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例としては、以下に限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル及びより高級な相同体及び異性体が挙げられる。「アルキル」という用語はまた、別段の注記がない限り、「ヘテロアルキル」など、下記でさらに詳細に定義するアルキルの誘導体を含むものとする。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と呼ぶ。
「アルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、アルカン由来の二価の基を意味し、例としては、以下に限定されないが、構造−CH2−CH2−及び−CH2CH2CH2CH2−が挙げられ、さらに、「ヘテロアルキレン」として下記で述べる基が含まれる。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1から24個までの炭素原子を有し得るが、10個又はそれ以下の炭素原子を有する基が、本明細書において好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、より短い鎖のアルキル又はアルキレン基であり、一般的には、8個又はそれ以下の炭素原子を有する。
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)という用語は、これらの慣用の意味で使用され、分子の残りの部分にそれぞれ酸素原子、アミノ基又は硫黄原子を介して結合するアルキル基を指す。
単独で又は別の用語と一部として組み合わされた「ヘテロアルキル」という用語は、別段の記載がなければ、表記の炭素原子数と、O、N、Si及びSからなる群から選択される少なくとも一つの複素原子とからなり、窒素原子及び硫黄原子が場合によって酸化されていてもよく、窒素複素原子が場合によって四級化されていてもよい、安定な直鎖若しくは分枝鎖若しくは環状炭化水素基又はそれらの組み合わせを意味する。複素原子O、N及びS及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置又はアルキル基が分子の残部に付着される位置に配置され得る。例には、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3及び−CH=CH−N(CH3)−CH3が含まれるが、これらに限定されるものではない。最大2個の複素原子が、例えば、−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si−(CH3)3のように、連続してもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、ヘテロアルキル由来の二価の基を意味し、例としては、以下に限定されないが、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−及び−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−が挙げられる。ヘテロアルキレン基の場合、同一又は別異の複素原子が、鎖末端の一方又は両方を占めることも可能である(アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、アミノオキシアルキレンなどを含むが、これらに限定されない。)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の式が書かれている方向によって連結基の配向は示唆されない。例えば、式−C(O)2R’−は、−C(O)2R’−及び−R’C(O)2−の両方を表す。
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、別段の断りがない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状形態を表す。従って、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルには、飽和及び不飽和の環結合が含まれる。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、複素原子は、複素環が分子の残部に付着されている位置を占めることが可能である。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、以下に限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。さらに、本用語は、二環式及び三環式の環構造を包含する。同様に、「ヘテロシクロアルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、ヘテロシクロアルキル由来の二価の基を意味し、「シクロアルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、シクロアルキル由来の二価の基を意味する。
本明細書中で使用する場合、「水溶性ポリマー」という用語は、水性溶媒中で可溶性であるあらゆるポリマーを指す。hGHポリペプチドへの水溶性ポリマーの結合は、非修飾形態に比べて、増加若しくは調節された血清半減期、又は増加若しくは調節された治療半減期、調節された免疫原性、凝集及び多量体の形成、改変された受容体結合、改変された受容体二量体化又は多量体化などの変化をもたらすことが可能である。水溶性ポリマーは、それ自身の生物活性を有していてもよく、又は有していなくてもよい。適切なポリマーとしては、以下に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、モノC1−C10アルコキシ又はそれらのアリールオキシ誘導体(米国特許第5,252,714号に記載(本明細書中に参照により組み込む。)。)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド、デキストラン、硫酸デキストランを含むデキストラン誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化されたポリオール、ヘパリン、ヘパリン断片、多糖類、オリゴ糖、グリカン、セルロース及びセルロース誘導体(以下に限定されないが、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含む。)、デンプン及びデンプン誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコール及びそれらの誘導体、ポリアルキレングリコールとそれらの誘導体とのコポリマー、ポリビニルエチルエーテル及びα−β−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルタミドなど又はそれらの混合物が挙げられる。このような水溶性ポリマーの例には、ポリエチレングリコール及び血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用する場合、「ポリアルキレングリコール」又は「ポリ(アルケングリコール)」という用語は、ポリエチレングリコール(ポリ(エチレングリコール))、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びそれらの誘導体を指す。「ポリアルキレングリコール」という用語は、直鎖及び分岐ポリマーの両方、並びに0.1kDaと100kDaの間の平均分子量を包含する。他の例示的な実施形態は、例えば、Shearwater Corporationのカタログ「“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)」など、供給業者のカタログに列記されている。
「アリール」という用語は、別段の断りがない限り、単環又は多環式(好ましくは1から3環を含むが、これらに限定されない。)であり得、一緒に縮合するか又は共有結合している、ポリ不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから選択される1から4個までの複素原子を含有し、窒素及び硫黄原子が場合によって酸化されており、並びに窒素原子が場合によって四級化されているアリール基(又は環)を表す。ヘテロアリール基は、複素原子を通じて分子の残部に付着させることが可能である。アリール及びヘテロアリール基の非限定例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル及び6−キノリルが含まれる。上記アリール及びヘテロアリール環系の各々に対する置換基は、以下に記載されている許容される置換基の群から選択される。
簡略のため、他の用語と組み合わせて使用される場合(アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルを含むが、これらに限定されない。)、「アリール」という用語は、上記定義のアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。従って、「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基(炭素原子(メチレン基を含むが、これに限定されない。)が、例えば、酸素原子によって置換されたアルキル基(フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むが、これらに限定されない。)に付着された基(ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどが含まれるが、これらに限定されない。)を含むものとする。
上記各用語(「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」を含むが、これらに限定されない。)は、表記されている基の置換された形態及び置換されていない形態の両方を含むものとする。基の各種類に対する典型的な置換基が、以下に記載されている。
アルキル及びヘテロアルキル基に対する置換基(しばしば、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルと呼ばれることが多い基を含む。)は、0から(2m’+1)(m’は、このような基の中の炭素原子の総数である。)までの範囲の数の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CN及び−NO2から選択される様々な1つ又はそれ以上の基とすることができるが、これらに限定されない。R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、各々独立に、水素、置換された又は置換されていないヘテロアルキル、置換された又は置換されていないアリール(1ないし3個のハロゲンで置換されたアリールを含むが、これに限定されない。)、置換された又は置換されていない、アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を表す。本発明の化合物が2以上のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基が2以上存在する場合には、独立に、各々R’、R’’、R’’’及びR’’’’基として選択される。R’及びR’’が同一の窒素原子に付着されている場合には、それらは、窒素原子と組み合わされて5、6又は7員環を形成することが可能である。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。置換基についての上記論述から、当業者であれば、「アルキル」という用語には、ハロアルキル(−CF3及び−CH2CF3が含まれるが、これらに限定されない。)及びアシル(−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3が含まれるが、これらに限定されない。)、水素基以外の基に結合された炭素原子を含む基が含まれることが理解できるであろう。
アルキル基に対して述べた置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基に対する置換基は、様々であり、以下に限定されないが、ハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CN及び−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ及びフルオロ(C1−C4)アルキル(0から芳香環系における開放された価数の総数の範囲の数;R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立に選択される。)から選択される。本発明の化合物が2以上のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基が2以上存在する場合には、独立に、各々R’、R’’、R’’’及びR’’’’基として選択される。
本明細書において使用される、「調節された血清半減期」という用語は、修飾されていないその形態に比した、修飾された生物活性分子の循環半減期の正又は負の変化を意味する。血清半減期は、生物活性分子の投与後の様々な時点に血液試料を採取し、各試料中のその分子の濃度を測定することによって測定される。血清濃度と時間の相関関係は、血清半減期の計算を可能とする。望ましくは、増加された血清半減期は、少なくとも約2倍を有するが、これより小幅な増加も有用であり得、例えば、これにより、満足のいく投与計画を可能とするか、又は毒性の影響を避けることができる。幾つかの実施形態では、増加は、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍である。
「調節された治療半減期」という用語は、本明細書中で使用する場合、その非修飾形態と比較して、修飾された生物活性分子の治療的有効量の半減期が正又は負に変化することを意味する。治療半減期は、投与後に、様々な時間点で分子の薬物動態及び/又は薬力学特性を測定することにより測定される。増加された治療的半減期は、望ましくは、特定の有益な投薬治療、特定の有益な総投薬を可能とし、又は所望でない効果を回避する。幾つかの実施形態において、効力の増強、その標的に対する修飾された分子の増加又は減少した結合、又は別のパラメーターの増加若しくは減少又は非修飾分子の作用機序の結果、治療半減期が延びる。
「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質に対して適用される場合、核酸若しくはタンパク質が自然の状態でそれとともに随伴している他の細胞成を実質的に含まないことを表す。これは、均質な状態であり得る。単離された物質は、乾燥若しくは半乾燥状態、又は溶液(水溶液を含むが、これに限定されない。)とすることができる。純度及び均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高性能液体クロマトグラフィーなどの分析的化学技術を用いて測定される。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製される。特に、単離された遺伝子は、該遺伝子に隣接し、対象遺伝子とは別のタンパク質をコードする読み取り枠から分離されている。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲル中で実質的に一つのバンドを生じることを表す。特に、「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が、少なくとも85%純粋、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも99%又はそれ以上純粋であることを意味し得る。
「核酸」という用語は、一本鎖又は二本鎖形態の、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド又はリボヌクレオチド及びそれらのポリマーを表す。別段の制限がなければ、本用語は、基準核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドに類似する様式で代謝される天然ヌクレオチドの公知の類縁体を含有する核酸を包含する。別段の制限がなければ、本用語は、PNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術で使用されるDNAの類縁体(ホスホロチオアート、ホスホロアミダートなど)を含む、オリゴヌクレオチド類縁体も表す。別段の記載がなければ、ある核酸配列は、保存的に修飾されたそのバリアント(縮重コドン置換を含むが、これに限定されない。)及び相補的配列並びに明示的に記されている配列も黙示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、選択された1つ又はそれ以上(又は全て)のコドンの三番目の位置が混合された塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res.19: 5081(1991);Ohtsuka et al., J.Biol.Chem.260: 2605−2608(1985);and Cassol et al.(1992);Rossolini etal., Mol.Cell.Probes 8: 91−98(1994))。
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを表すために、本明細書において互換的に使用される。すなわち、ポリペプチドに対する記載は、ペプチドという記載及びタンパク質という記載に対しても等しく適用され、逆も同様である。これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマー及び1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が天然にコードされないアミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で使用されるこれらの用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されている、あらゆる長さ(完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む。)のアミノ酸鎖を包含する。
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸並びに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類縁体及びアミノ酸模倣体を表す。天然にコードされるアミノ酸は、20の共通アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)並びにパイロリジン及びセレノシステインである。アミノ酸類縁体は、天然に存在するアミノ酸と同一の基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどのR基に結合されているα炭素を有する化合物を表す。このような類縁体は、修飾されたR基(ノルロイシンなど)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同一の基礎的化学構造を保持する。
本明細書では、アミノ酸は、一般的に知られている三文字記号によって、又はIUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨されている一文字記号の何れかによって表記され得る。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受容されている一文字コードによって表記され得る。
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸及び核酸配列の両方に対して適用される。ある核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を表し、又は核酸がアミノ酸配列をコードしていない場合には、実質的に同一の配列を表す。遺伝コードの縮重のため、機能的に同一の多数の核酸が任意の与えられたタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンによって指定されている全ての場所で、該コドンは、コードされているポリペプチドを変化させずに、任意の対応する記載されているコドンへと変化させることができる。このような核酸の変化は、保存的に修飾された変異の一種である「サイレント変異」である。本発明において、ポリペプチドをコードする全ての核酸配列は、該核酸の全ての可能なサイレント変異も記載する。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常、メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く。)、機能的に同一の分子を生成するために修飾することが可能なことを認識できる。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各記載された配列に含意される。
アミノ酸配列については、当業者であれば、コードされている配列中の単一アミノ酸又はアミノ酸の僅かな割合を変化し、付加し、又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する、各置換、欠失又は付加は、変化が、あるアミノ酸の、化学的に類似するアミノ酸との置換をもたらす「保存的に修飾されたバリアント」であることを認める。機能的に類似のアミノ酸を与える保存的置換の表が、当業者に公知である。このような保存的に修飾されたバリアントは、さらに、本発明の多型バリアント、種間相同体、及び対立遺伝子であり、これらを除外するものではない。機能的に類似のアミノ酸を与える保存的置換の表が、当業者に公知である。以下の8つの群は、それぞれ、互いに保存的な置換であるアミノ酸を含有する。
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins:Structures and Molecular Properties(W H Freeman & Co.;2nd edition(December 1993)参照)。
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins:Structures and Molecular Properties(W H Freeman & Co.;2nd edition(December 1993)参照)。
「同一の」又はパーセント「同一性」という用語は、2つ又はそれ以上の核酸又はポリペプチド配列に関して、同じである2つ又はそれ以上の配列又はサブ配列を指す。以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いて、又は手で整列し、目で調べることによって測定された場合に、比較ウィンドウ又は指定された領域にわたり、最大の一致度を比較し、並列したときに、当該配列が、同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドの一定パーセント(すなわち、指定された領域にわたって、約60%の同一性、場合によって、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の同一性)を有すれば、配列は「実質的に同一」である。この定義は、試験配列の相補物も表す。同一性は、少なくとも約50アミノ酸若しくはヌクレオチド長である領域にわたって、又は75ないし100アミノ酸若しくはヌクレオチド長である領域にわたって存在し、又は、明記されていない場合には、ポリヌクレオチド若しくはポリペプチドの配列全体わたって存在することが可能である。
配列比較の場合、典型的には、ある配列が基準配列として作用し、該配列に対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び基準配列をコンピュータに入力し、必要であれば、サブ配列座標を指定し、及び配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。初期設定プログラムパラメータを使用することが可能であり、又は別のパラメータを指定することが可能である。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、基準配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
本明細書において使用される「比較ウィンドウ」は、20から600まで、通常は約50から200まで、より一般的には約100から150までからなる群から選択される連続する位置の数の任意の1つのセグメントに対する表記を含み、その中で、2つの配列は最適に配列された後に、配列は連続位置の同数の基準配列に対して比較され得る。比較のための配列の整列方法は、当業者に周知である。以下に限定されないが、Smith及びWaterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所相同性アルゴリズム、Needleman及びWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似法の検索、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)における、GAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)又は手動でのアラインメント及び目視(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995、補遺)などによって、比較のための配列の最適アラインメントを行うことができる。
パーセント配列同一性及び配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの一例は、それぞれ、「Altschul et al.(1977) Nuc.Acids Res.25: 3389−3402」及び「Altschul et al.(1990) J.Mol.Biol.215: 403−410」に記載されているBLAST及びBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、「National Center for Biotechnology Information」を通じて、World Wide Webで公に頒布されている。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、整列の感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、11のワード長(W;wordlength)、10の予測値(E;expectation)、M=5、N=−4及び両鎖の比較を初期設定として使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、初期設定として、3のワード長、及び10の期待値(E)及び50のBLOSUM62採点マトリクス(Henikoff及びHenikoff(1989(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4及び両鎖の比較を使用する。BLASTアルゴリズムは、通常、「低複雑度」のフィルターをオフにして行う。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin及びAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照。)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の一指標は、最少合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間で一致が偶発的に生じ得る確率の指標を与える。例えば、基準核酸に対して試験核酸を比較した場合に、最少合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であれば、核酸は基準配列と類似していると考えられる。
「選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする」という用語は、その配列が複雑な混合物中に存在する場合には(全細胞又はライブラリーDNA若しくはRNAを含むが、これらに限定されない。)、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、分子が、あるヌクレオチド配列のみに結合し、二重鎖を形成し、又はハイブリダイズすることを表す。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、本分野で公知であるように、低いイオン強度と高い温度の条件を表す。典型的には、ストリンジェントな条件下では、プローブは、核酸の複雑な混合物(全細胞又はライブラリーDNA若しくはRNAが含まれるが、これらに限定されない。)中のその標的サブ配列にハイブリダイズするが、複雑な混合物中の他の配列にはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての詳しい手引きは、「Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)」に見出される。一般的に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHで、特異的な配列に対する熱融解点(Tm)より約5ないし10℃低いように選択される。Tmとは、(標的配列は過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有されるので)標的に対して相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(所定のイオン強度、pH及び核酸濃度下での)温度である。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0ないし8.3で、約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01ないし1.0Mのナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、短いプローブ(10ないし50ヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。)の場合、温度が少なくとも約30℃、長いプローブの場合(50ヌクレオチド超を含むが、これらに限定されない。)の場合、温度が少なくとも約60℃である条件であり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的又は特異的なハイブリダイゼーションの場合、陽性信号は、バックグラウンドの少なくとも2倍、場合によってバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍であり得る。典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、42℃で温置する50%ホルムアミド、5×SSC、及び1%SDS、又は65℃で温置し、0.2×SSC中で洗浄し、65℃の0.1%SDS中で洗浄する5×SSC、及び1%SDSとすることができる。このような洗浄は、5、15、30、60、120分又はそれ以上行うことが可能である。
本明細書中で使用する場合、[シュードモナスの種]又は「シュードモナス宿主細胞」又は「シュードモナス種及びシュードモナス種に由来する株」は、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)など及びその子孫並びに化学的又は遺伝学的に修飾されたこれらの形態及びそれらの子孫など(但し、これらに限定されない。)、シュードモナス属の公知の種又は将来同定されるべき種の全てを表す。
本明細書で使用される「患者」という用語は、治療、観察又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを表す。
本明細書において使用される「有効量」という用語は、治療されている、疾病、症状又は疾患の症候の1つ又はそれ以上をある程度緩和する、投与されている(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドの量を指す。本明細書に記載されている修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを含有する組成物は、予防的、強化的及び/又は治療的処置のために投与することが可能である。
「強化する」又は「強化すること」という用語は、所望の効果の強度又は持続時間の何れかを増加又は延長させることを意味する。従って、治療薬の効果を促進するということに関して、「強化すること」という用語は、系において他の治療薬の強度又は持続時間、効果を増大又は延長させる能力を表す。本明細書において使用される「強化有効量」とは、所望の系において、別の治療剤の効果を強化するのに十分な量を表す。患者に使用される場合、この使用に対して有効な量は、疾病、疾患又は症状の重度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する応答、並びに担当医の判断に依存する。
本明細書において使用される「修飾された」という用語は、ポリペプチド上の翻訳後修飾の存在を表す。「(修飾された)」形態という用語は、論述されているポリペプチドが場合によって修飾されていること、すなわち、論述されているポリペプチドは修飾されてもよく、又は修飾されなくてもよいことを意味する。
「翻訳後修飾された」という用語は、天然又は非天然アミノ酸がポリペプチド鎖に組み込まれた後、このようなアミノ酸に起こる、天然又は非天然アミノ酸のあらゆる修飾を指す。この用語は、一例に過ぎないが、インビボ翻訳時修飾、インビボ翻訳後修飾及びインビトロ翻訳後修飾を包含する。
予防的な適用では、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを含有する組成物は、ある疾病、疾患又は症状が発生しやすく、又はその他該疾病、疾患又は症状に対してリスクがある患者に投与される。このような量は、「予防的有効量」であると定義される。この使用において、正確な量は、患者の健康状態、体重などにも依存する。このような予防的有効量を定型的な実験作業(例えば、用量漸増臨床試験)によって決定することは、当業者の能力の範囲内に十分属すると考えられる。
「保護された」という用語は、ある一定の反応条件下で、化学的に反応性のある官能基の反応を妨げる、「保護基」又は部分の存在を指す。保護基は、保護されている化学的に反応性のある基のタイプにより異なる。例えば、化学的に反応性のある基がアミン又はヒドラジドである場合、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)の群から保護基を選択することができる。化学的に反応性のある基がチオールである場合、保護基は、オルトピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性のある基が酪酸もしくはプロピオン酸などのカルボン酸又はヒドロキシル基である場合、保護基は、ベンジル又はアルキル基(例えば、メチル、エチル又はtert−ブチルなど。)であり得る。本分野において公知の他の保護基も、本明細書に記載されている方法及び組成物中で又は本明細書に記載されている方法及び組成物とともに使用することができ、Nvoc及びMeNvocなどの光解離性基が含まれる。本技術分野で公知のその他の保護基もまた、本明細書に記載されている方法及び組成物において、または本明細書に記載されている方法及び組成物とともに使用し得る。
例として、ブロッキング/保護基は、以下から選択され得る。
他の保護基は、「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」に記載されている(その内容全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。)。
治療的な適用では、(修飾された)非天然アミノ酸ポリペプチドを含有する組成物は、疾病、症状又は疾患に既に罹患している患者に、該疾病、疾患又は症状の症候を治癒し、又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与される。このような量は、「治療的有効量」であると定義され、疾病、疾患又は症状の重度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する応答、並びに担当医の判断に依存する。このような治療的有効量を定型的な実験作業(例えば、用量漸増臨床試験)によって決定することは、当業者の能力の範囲内に十分属すると考えられる。
「治療する」という用語は、予防的及び/又は治療的処置の何れかを表すために使用される。
本明細書において使用される「オルソゴナル」という用語は、目的の系(例えば、翻訳系、例えば、細胞)によって、減少した効率で使用される分子(例えば、オルソゴナルtRNA(O−tRNA)及び/又はオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS))を表す。オルソゴナルとは、目的の翻訳系においてオルソゴナルtRNA及び/又はオルソゴナルRSが機能できないこと、又は減少した効率、例えば、20%未満の効率、10%未満の効率、5%未満の効率、又は例えば、1%未満の効率で機能することを表す。例えば、目的の翻訳系におけるオルソゴナルtRNAは、内在性RSによる内在性tRNAのアミノアシル化に比べて、減少した効率又はゼロの効率で、目的の翻訳系の何れかの内在性RSをアミノアシル化する。別の実施例において、オルソゴナルRSは、内在性RSによる内在性tRNAのアミノアシル化に比べて、減少した効率又はゼロの効率で、目的の翻訳系の何れかの内在性tRNAをアミノアシル化する。
優先的にアミノアシル化する:「優先的にアミノアシル化する」という用語は、天然に存在するtRNA又はO−tRNAを作製するために使用される出発材料に比べて、O−RSが、O−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する効率、例えば、約70%の効率、約71%の効率、約72%の効率、約73%の効率、約74%の効率、約75%の効率、約76%の効率、約77%の効率、約78%の効率、約79%の効率、約80%の効率、約85%の効率、約90%の効率、約95%の効率又は約99%又はそれ以上の効率を表す。次いで、非天然アミノ酸は、高い精度で、例えば、あるセレクターコドンに対して、約70%を超える効率、約71%を超える効率、72%を超える効率、約73%を超える効率、約74%を超える効率、約75%を超える効率、あるセレクターコドンに対して約80%を超える効率、あるセレクターコドンに対して約85%を超える効率、あるセレクターコドンに対して約90%を超える効率、あるセレクターコドンに対して約95%を超える効率、又はあるセレクターコドンに対して約99%又はそれ以上の効率で、成長しているポリペプチド中に取り込まれる。
セレクターコドン:「セレクターコドン」という用語は、翻訳プロセスにおいてO−tRNAによって認識され、内在性tRNAによって優先的に認識されないコドンを表す。O−tRNAアンチコドンループは、mRNA上のセレクターコドンを認識し、そのアミノ酸(例えば、非天然アミノ酸)を、ポリペプチドのこの部位に取り込む。セレクターコドンには、停止コドン(例えば、アンバー、オーカー及びオパールコドン)などのナンセンスコドン、4又はそれ以上の塩基のコドン;天然又は非天然塩基対に由来するコドンなどが含まれ得るが、これらに限定されない。ある系に対して、セレクターコドンは、天然の3塩基コドンの1つを含むことも可能であり、内在性の系は、前記天然の3塩基コドンを使用しない(天然の3塩基コドンを認識するtRNAを欠如する系、又は、例えば、天然の3塩基コドンがレアコドンである系)。
サプレッサーtRNA:サプレッサーtRNAとは、ある翻訳系において、メッセンジャーRNA(mRNA)の読み取りを変化させるtRNAである。サプレッサーtRNAは、例えば、停止コドン、4塩基コドン又はレアコドンを通じて読むことが可能である。
翻訳系:「翻訳系」という用語は、成長しているポリペプチド鎖(タンパク質)中に、天然に存在するアミノ酸を取り込むために必要な成分を表す。翻訳系の成分には、例えば、リボソーム、tRNA、合成酵素、mRNAなどが含まれ得る。本発明の成分は、インビボ又はインビトロで、翻訳系に添加することが可能である。翻訳系は、細胞(原核細胞(例えばE.コリ細胞)又は真核細胞(例えば、酵母、哺乳動物、植物又は昆虫細胞)の何れか)であり得る。
別段の記載がなければ、本分野の技術に属する質量分析、NMR、HPLC,タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の慣用法が使用される。
I.序論
本発明において、シュードモナス宿主細胞中で作製された少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチド分子が提供される。本発明のある種の実施形態において、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を有するポリペプチドは、少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。一実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾は、特定の反応基に対して適切であることが当業者に公知である化学の方法を利用した、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋リンカー、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質又はポリペプチドもしくはポリペプチド類縁体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチン類似体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、小分子、又は上記若しくは他の何れかの望ましい化合物若しくは物質のあらゆる組み合わせなどの(これらに限定されない。)、第二の反応性基を含む分子を、第一の反応性基を含む少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸へ付着することを含む。例えば、第一の反応性基はアルキニル部分(天然にコードされないアミノ酸p−プロパルギルオキシフェニルアラニン(プロパルギル基は、アセチレン部分と称される場合もある。)を含むが、これに限定されない。)であり、前記第二の反応性基はアジド部分であり、[3+2]環状付加化学方法が使用される。別の例において、第一の反応基はアジド部分であり(以下に限定されないが、非天然アミノ酸、p−アジド−L−フェニルアラニンにおいて、など。)、第二の反応基はアルキニル部分である。本発明の修飾されたhGHポリペプチドのある種の実施形態では、少なくとも一つの翻訳後修飾を含む少なくとも一つの天然にコードされないアミノ酸(ケト官能基を含有する非天然アミノ酸を含むが、これに限定されない。)が使用され、この場合、少なくとも一つの翻訳後修飾は糖質部分を含む。ある種の実施形態では、翻訳後修飾は、真核細胞又は非真核細胞中、インビボで行われる。
本発明において、シュードモナス宿主細胞中で作製された少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチド分子が提供される。本発明のある種の実施形態において、少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸を有するポリペプチドは、少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。一実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾は、特定の反応基に対して適切であることが当業者に公知である化学の方法を利用した、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋リンカー、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質又はポリペプチドもしくはポリペプチド類縁体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチン類似体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、小分子、又は上記若しくは他の何れかの望ましい化合物若しくは物質のあらゆる組み合わせなどの(これらに限定されない。)、第二の反応性基を含む分子を、第一の反応性基を含む少なくとも1つの天然にコードされないアミノ酸へ付着することを含む。例えば、第一の反応性基はアルキニル部分(天然にコードされないアミノ酸p−プロパルギルオキシフェニルアラニン(プロパルギル基は、アセチレン部分と称される場合もある。)を含むが、これに限定されない。)であり、前記第二の反応性基はアジド部分であり、[3+2]環状付加化学方法が使用される。別の例において、第一の反応基はアジド部分であり(以下に限定されないが、非天然アミノ酸、p−アジド−L−フェニルアラニンにおいて、など。)、第二の反応基はアルキニル部分である。本発明の修飾されたhGHポリペプチドのある種の実施形態では、少なくとも一つの翻訳後修飾を含む少なくとも一つの天然にコードされないアミノ酸(ケト官能基を含有する非天然アミノ酸を含むが、これに限定されない。)が使用され、この場合、少なくとも一つの翻訳後修飾は糖質部分を含む。ある種の実施形態では、翻訳後修飾は、真核細胞又は非真核細胞中、インビボで行われる。
ある一定の実施形態において、タンパク質は、ある宿主細胞によりインビボで為された少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、この翻訳後修飾は、別の宿主細胞種によっては通常行われない。ある一定の実施形態において、タンパク質は、ある真核細胞によりインビボで為された少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、この翻訳後修飾は、非真核細胞によっては通常行われない。翻訳後修飾の例には、以下に限定されないがアセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミタート付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、グリコシル化などが含まれる。ある実施形態において、翻訳後修飾は、GlcNAc−アスパラギン結合によるオリゴ糖(オリゴ糖は(GlcNAc−Man)2−Man−GlcNAc−GlcNAc)などを含むが、これに限定されない。)のアスパラギンへの付着を含む。別の実施形態において、翻訳後修飾は、GalNAc−セリン、GalNAc−スレオニン、GlcNAc−セリン又はGlcNAc−スレオニン結合による、オリゴ糖(以下に限定されないが、Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどを含む。)の、セリン又はスレオニンへの結合を含む。ある一定の実施形態において、本発明のタンパク質又はポリペプチドは、分泌又は局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、GST融合などを含むことができる。
目的のタンパク質又はポリペプチドは、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、少なくとも8つの、少なくとも9つの、又は10若しくはそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有することが可能である。天然にコードされないアミノ酸は、同一又は別異とすることが可能であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の異なる天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の異なる部位が存在することが可能である。ある種の実施形態において、タンパク質の天然に存在する様式中に存在する、少なくとも1つ、但し、全部より少ないアミノ酸が、天然にコードされないアミノ酸で置換される。
本発明は、他の物質(以下に限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋リンカー、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA及びアンチセンスポリヌクレオチド、阻害的リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチン誘導体、ビオチン類似体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレート基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、小分子又は上記のあらゆる組み合わせ若しくは他のあらゆる望ましい化合物若しくは物質などを含むが、これらに限定されない。)とともに、多様な官能基、置換基又は部分を有する物質の抱合体を提供する。本発明には、アジド又はアセチレン部分を有する物質の、対応するアセチレン又はアジド部分を有するPEGポリマー誘導体との抱合体も含まれる。例えば、アジド部分を含有するPEGポリマーは、アセチレン官能性を有する非遺伝的コードアミノ酸を含有するタンパク質中の位置において、生物活性分子へ結合することが可能である。PEGと生物活性分子を結合させる連結には、Huisgen[3+2]環化付加産物が含まれるが、これに限定されない。
PEGは、生物材料の表面を修飾するために使用できることが本分野では十分に確立されている(例えば、米国特許第6,610,281号、Mehvar, R., J.Pharm Pharm Sci., 3(1):125−136(2000)参照、これらは、参照により、本明細書に組み込まれる。)。より具体的には、少なくとも1つの活性なヒドロキシル部分を有する水溶性ポリマーは、メシラート、トレシラート、トシラート又はハロゲン脱離基などのより反応性の高い部分をその上に有する置換されたポリマーを与える反応を行う。スルホニル酸ハロゲン化物、ハロゲン原子及び他の脱離基を含有するPEG誘導体の調製物及び使用は、当業者に周知である。生じた置換されたポリマーは、次いで、ポリマーの末端に位置するより反応性の高い部分を置換する反応を行う。あるいは、少なくとも1つの活性な求核又は求電子部分を有する水溶性ポリマーは、共有結合がPEGポリマーと結合剤の間に形成され、反応性の基がポリマーの末端に位置するように、結合剤との反応を行う。アミン、チオール、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコール、カルボキシラート、アルデヒド、ケトン、チオエステルなどの求核及び求電子部分は、当業者に周知である。
本発明は、遺伝子組み換えの分野での通常の技術を利用する。本発明で役立つ一般的方法を開示する基礎的な教科書としては、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第3版、2001);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1994)が挙げられる。
分子生物学技術を記載する一般的教科書としては、Berger及びKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.,San Diego,CA(Berger);Sambrookら、Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第2版)、Vol.1−3、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989(「Sambrook」)及びCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら、編、Current Protocols,Greene Publishing Associates.IncとJohn Wiley & Sons,Inc.との合同出版(1999まで補充あり。)(「Ausbel」)が挙げられる。これらの教科書は、突然変異誘発法、ベクターの使用、プロモーター及び、以下に限定されないが、天然にコードされないアミノ酸、オルソゴナルtRNA、オルソゴナルシンテターゼ及びこれらの組合せなどのタンパク質産生のためのセレクターコドンを含む遺伝子の生成など、多くのその他の関連のある話題を記載している。
様々な目的のために(以下に限定されないが、tRNAのライブラリーを作製するため、合成酵素のライブラリーを作製するため、セレクターコドンを作製するため、関心のあるタンパク質又はポリペプチド中に天然にコードされないアミノ酸をコードするセレクターコドンを挿入するためなど)、突然変異誘発法の様々なタイプが本発明において使用される。これらには、以下に限定されないが、部位特異的、ランダム点突然変異誘発法、相同的組み換え、DNAシャッフル又はその他の繰り返し用いられる突然変異誘発法、キメラ構築、ウラシル含有テンプレートを用いた突然変異誘発法、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発法、ホスホロチオアート修飾されたDNA突然変異誘発法、ギャップのある二本鎖DNAなどを用いた突然変異誘発法又はそれらの何らかの組合せが含まれる。さらなる適切な方法としては、ポイントミスマッチ修復(point mismatch repair)、修復欠損宿主株を用いた突然変異誘発法、制限選択及び制限精製、欠失突然変異誘発法、トータル遺伝子合成による突然変異誘発法、二本鎖切断修復などが挙げられる。以下に限定されないがキメラ構築物を含むものなどの、突然変異誘発法もまた本発明に含まれる。一実施形態において、天然に存在する分子又は変更もしくは突然変異を施された天然に存在する分子の既知の情報(以下に限定されないが配列、配列比較、物理特性、結晶構造などを含む。)により、突然変異誘発を導くことができる。
本明細書中で見出される教科書及び例は、これらの手段を記載する。さらなる情報は、以下の文献中で引用される次の刊行物及び参考文献において見出すことができる:Lingら、Approaches to DNA mutagenesis:an overview,Anal Biochem.254(2):157−178(1997);Daleら、Oligonucleotide−directed random mutagenesis using the phosphorothioate method,Methods Mol.Biol.57:369−374(1996);Smith,in vitro mutagenesis,Ann.Rev.Genet.19:423−462(1985);Botstein及びShortle,Strategies and applications of in vitro mutagenesis,Science229:1193−1201(1985);Carter,Site−directed mutagenesis,Biochem.J.237:1−7(1986);Kunkel,The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis,Nucleic acids & Molecular Biology(Eckstein,F.及びLilley,D.M.J.編、Springer Verlag,Berlin)(1987);Kunkel,Rapid and efficient site directed mutagenesis wituout phenotypic selection,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492(1985);Kunkelら、Rapid and efficient site−directed mutagenesis without phenotypic selection,Methods in Enzymol.154、367−382(1987);Bassら、Mutant Trp repressor with new DNA−binding specificities,Science 242:240−245(1988);Methods in Enzymol.100:468−500(1983);Methods in Enzymol.154:329−350(1987);Zoller及びSmith、Oligonucleotide−directed mutagenesis using M13−derived vectors:an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment,Nucleic acids Res.10:6487−6500(1982);Zoller及びSmith、Oligonucleotide−directed mutagenesis of DNA fragment cloned into M13 vectors,Methods in Enzymol.100:468−500(1983);Zoller及びSmith、Oligonucleotide−directed mutagenesis:a simple method using two oligonucleotide primers and a single−stranded DNA template,Methods in Enzymol.154:329−350(1987);Taylorら、The use of phosphorothioate−modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nick DNA,Nucl.Acids Res.13:8749−8764(1985);Taylorら、The rapid generation of oligonucleotide−directed mutations at high frequency using phosphorothioate−modified DNA,Nucl.Acids Res.13:8765−8787(1985);Nakamaye及びEckstein,Inhibition of restriction endonuclease NciI cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide−directed mutagenesis,Nucl.Acids Res.14:9679−9698(1986);Sayersら、5’−3’Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis、Nucl.Acids Res.16:791−802(1988);Sayersら、Strand specific cleavage of phosphorothioate−containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide,(1988)Nucl.Acids Res.16:803−814;Kramerら、The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed mutation construction,Nucl.Acids Res.12:9441−9456(1984);Kramer及びFritz Oligonucleotide−directed construction of mutations via gapped duplex DNA,Methods in Enzymol.154:350−367(1987);Kramerら、Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed construction of mutations,Nucl.Acids Res.16:7207(1988);Fritzら、Oligonucleotide−directed construction of mutations:gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro,Nucl.Acids Res.16:6987−6999(1988);Kramerら、Point Mismatch Repair,Cell 38:879−887(1984);Carterら、Improved oligonucleotide site−directed mutagenesis using M13 vectors,Nucl.Acids Res.13:4431−4443(1985);Carter,Improved oligonucleotide−directed mutagenesis using M13 vectors,Methods in Enzymol.154:382−403(1987);Eghtedarzadeh及びHenikoff,Use of oligonucleotides to generate large deletions,Nucl.Acids Res.14:51(1986);Wellsら、Importance of hydrogen−bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin,Phil.Trans.R.Soc.Lond.A317:415−423(1986);Nambiarら、Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein,Science 223:1299−1301(1984);Sakmar及びKhorana,Total syntehsis and expression of a gene for the alpha−subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide−binding protein(transducin),Nucl.Acids Res.14:6361−6372(1988);Wellsら、Cassette mutagenesis:an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites,Gene 34:315−323(1985);Grundstomら、Oligonucleotide−directed mutagenesis by microscale 「shot−gun」gene synthesis,Nucl.Acids Res.13:3305−3316(1985);Mandecki,Oligonucleotide−directed double−strand break repair in plasmids of Escherichia coli:a method for site−specific mutagenesis,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.83:7177−7181(1986);Arnold,Protein engineering for unusual environments,Current Opinion in Biotechnology 4:450−455(1993);Sieberら、Nature Biotechnology,19:456−460(2001);W.P.C.Stemmer,Nature 370,389−91(1994);及びI.A.Lorimer,I.Pastan,Nucleic Acids Res.23,3067−8(1995)。上記の方法の多くにおけるさらなる詳細は、Methods in Enzymology 第154巻(これも、様々な突然変異誘発法に伴うトラブルシューティング問題に対する有用な対照について述べている。)。で見出すことができる。
本発明は、真核宿主細胞、非真核宿主細胞及びオルソゴナルtRNA/RSペアを介した天然にコードされないアミノ酸のインビボ取り込みのためのシュードモナス宿主細胞に関する。シュードモナス宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド又は、以下に限定されないが本発明のベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクターであり得る。)などの、本発明のポリヌクレオチドを含む構築物を用いて遺伝子操作(以下に限定されないが、形質転換、形質導入又は形質移入など。)されている。ベクターは、例えば、プラスミド、微生物、ウイルス、裸のポリヌクレオチド又は抱合されたポリヌクレオチドの形態であり得る。電気穿孔(Fromm et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82、5824(1985))、ウイルスベクターによる感染、小さなビーズもしくは粒子のマトリクス内又は表面上の何れかに核酸を有する小粒子による高速弾丸貫入(Klein et al.,Nature 327,70−73(1987))などを含む標準的方法により、細胞及び/又は微生物中にベクターを導入する。
例えば、スクリーニング段階、プロモーター活性化又は形質転換細胞の選択などの作業に対して適切なように改変された従来の栄養培地中で、操作されたシュードモナス宿主細胞を培養することができる。その他の有用な参考文献としては(以下に限定されないが細胞単離及び培養に関する(例えば続く核酸単離に関する)ものなどを含む。)、Freshney(1994)Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique,第3版、Wiley−Liss,New York及びそこで引用されている文献;Payneら、(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons,Inc.New York,NY;Gamborg及びPhillips(編)(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual,Springer−Verlag(Berlin Heidelberg New York)ならびに、Atlas及びParks(編)The Handbook of Microbiological Media(1993)CRC Press,Boca Raton,FL.が挙げられる。
標的核酸を細胞に導入するいくつかの周知の方法を利用可能であり、そのいずれも本発明で使用することができる。これらには、DNAを含有する細菌プロトプラストとの受容細胞の融合、電気穿孔、発射体射撃法(projectile bombardment)及びウイルスベクターによる感染(下記でさらに述べる。)などが含まれる。細菌細胞は、本発明のDNA構築物を含有するプラスミドの数を増幅するために使用することが可能である。対数増殖期まで細菌を増殖させ、細菌内のプラスミドを当技術分野で公知の様々な方法により単離することができる(例えば、Sambrookを参照のこと。)。さらに、細菌からのプラスミド精製のために、多数のキットが市販されている(例えば、EasyPrepTM、FlexiPrepTM、何れもPharmacia Biotechより;StratageneからStrataCleanTM;及びQiagenからQIAprepTM)。次に、単離され精製されたプラスミドをさらに操作して、他のプラスミドを生成させ、細胞を形質移入するか、又は生物に感染させるために関連ベクターに組み込むために使用する。典型的なベクターは、転写及び翻訳ターミネーター、転写及び翻訳開始配列、ならびに特定の標的核酸の発現制御に有用なプロモーターを含有する。ベクターは、場合によっては、少なくとも1個の独立したターミネーター配列、真核もしくは原核生物又は両方においてカセットの複製を可能にする配列(以下に限定されないが、シャトルベクターを含む。)及び原核生物及び真核細胞系両方に対する選択マーカーを含有する一般的発現カセットを含む。ベクターは、原核細胞、真核細胞又は好ましくはこの両方での複製及び組み込みに適切である。Giliman及びSmith,Gene 8:81(1979);Robertsら、Nature,328:731(1987);Schneider,B,ら、Protein Expr.Purif.6435:10(1995);Ausubel,Sambrook,Berger(全て先述)を参照のこと。クローニングに有用な、細菌及びバクテリオファージのカタログは、例えば、ATCCにより与えられている(例えば、The ATCC Catalogue of Bacteria and Bacteriophage(1992)Ghernaら(編)、ATCCにより出版。)。配列決定、クローニング及び分子生物学のその他の態様に対するさらなる基本的手段ならびに基礎となる理論的考察はまた、Watsonら(1992)Recombinant DNA 第2版、Scientific American Books,NYで見出すことができる。さらに、基本的にあらゆる核酸(及び標準的又は非標準的であれ、実際にはあらゆる標識された核酸)を、Midland Certified Reagent Company(Midland,TX、mcrc.comのWorld Wide Webで利用可能。)、The Great American Gene Company(Ramona,CA、genco.comのWorld Wide Webで利用可能。)、ExpressGen Inc.(Chicago,IL、expressgen.comのWorld Wide Webで利用可能。)、Operon Technologies Inc.(Alameda,CA)及びその他の多くの業者などの、あらゆる様々な市販ソースから特別注文又は通常注文することができる。
セレクターコドン
本発明のセレクターコドンは、タンパク質生合成機構の遺伝子コドンフレームワークを広げる。例えば、セレクターコドンには、以下に限定されないが、ユニークな3個の塩基コドン、ナンセンスコドン、例えば、停止コドン(以下に限定されないが、アンバーコドン(UAG)、オパールコドン(UGA)又はオーカーコドン(UAA)などを含む。)、非天然ヌクレオシド含有コドン、4又はそれ以上の塩基コドン、レアコドンなどが含まれる。当業者にとって当然のことながら、少なくともポリペプチドの一部をコードする1つのポリヌクレオチド中に、以下に限定されないが、1つ又はそれ以上、2又はそれ以上、3又はそれ以上、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上など、所望する遺伝子又はポリヌクレオチド中に導入することができる、セレクターコドンの様々な数が存在する。
本発明のセレクターコドンは、タンパク質生合成機構の遺伝子コドンフレームワークを広げる。例えば、セレクターコドンには、以下に限定されないが、ユニークな3個の塩基コドン、ナンセンスコドン、例えば、停止コドン(以下に限定されないが、アンバーコドン(UAG)、オパールコドン(UGA)又はオーカーコドン(UAA)などを含む。)、非天然ヌクレオシド含有コドン、4又はそれ以上の塩基コドン、レアコドンなどが含まれる。当業者にとって当然のことながら、少なくともポリペプチドの一部をコードする1つのポリヌクレオチド中に、以下に限定されないが、1つ又はそれ以上、2又はそれ以上、3又はそれ以上、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上など、所望する遺伝子又はポリヌクレオチド中に導入することができる、セレクターコドンの様々な数が存在する。
ある実施形態において、本方法は、インビボで、天然にコードされないアミノ酸を真核細胞中に取り込むための停止コドンであるセレクターコドンの使用を含む。例えば、以下に限定されないが、UAGを含む停止コドンを認識するO−tRNAを作製し、所望する天然にコードされないアミノ酸を用いてO−RSによりアミノアシル化する。このO−tRNAは、天然に存在する宿主のアミノアシル−tRNAシンテターゼにより認識されない。以下に限定されないがTAGを含む停止コドンを関心のあるポリペプチドの関心のある部位に導入するために、従来の部位特異的突然変異誘発法を使用することができる。例えば、Sayers,J.R.et al.,(1988)、5’,3’Exonuclease in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis、Nucleic acids Res.,791−802を参照。O−RS、O−tRNA及び関心のあるポリヌクレオチドをコードする核酸をインビボで組み合せる場合、天然にコードされないアミノ酸をUAGコドンに反応して取り込み、特定の位置に天然にコードされないアミノ酸を含有するポリペプチドを与える。
シュードモナス宿主細胞を顕著に撹乱することなく、インビボでの天然にコードされないアミノ酸の取り込みを行うことができる。例えば、UAGコドンに対する抑制効率は、O−tRNA(以下に限定されないが、アンバーサプレッサーtRNAを含む。)と放出因子(これは、停止コドンに結合し、リボソームからの成長しているペプチドの放出を開始させる。)との間の競合に依存するので、以下に限定されないが、O−tRNA及び/又はサプレッサーtRNAの発現レベルを向上させることなどにより、抑制効率を調節することができる。
セレクターコドンはまた、延長したコドン(以下に限定されないが、4又はそれ以上の塩基コドン、例えば、4、5、6又はそれ以上の塩基コドンを含む。)も含有する。4塩基コドンの例としては、以下に限定されないが、AGGA、CUAG、UAGA、CCCUなどが挙げられる。5個の塩基コドンの例としては、以下に限定されないが、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、UAGGCなどが挙げられる。本発明の特性には、フレームシフト抑制に基づく、延長されたコドンを用いることが含まれる。4又はそれ以上の塩基コドンは、以下に限定されないが1又は複数の天然にコードされないアミノ酸などを同じタンパク質に挿入することができる。例えば、以下に限定されないがアンチコドンループ(例えば少なくとも8−10ntのアンチコドンループ)を有する特別なフレームシフトサプレッサーtRNAを含む、変異されたO−tRNAの存在下で、4又はそれ以上の塩基コドンを1個のアミノ酸として読む。他の実施形態において、以下に限定されないが、少なくとも4塩基のコドン、少なくとも5塩基のコドン又は少なくとも6塩基以上のコドンなどの、アンチコドンループを解読できる。256個の可能な四塩基コドンが存在するので、4又はそれ以上の塩基コドンを用いて、同じ細胞において複数の非天然アミノ酸をコードすることができる。Anderson et al.,(2002)Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size,Chemistry and Biology,9:237−244;Magliery,(2001)Expanding the Genetic Code:Selection of Efficient Suppressors of Four−base Codons and Identification of 「Shifty」Four−base Codons with a Library Approach in Escherichia coli,J.Mol.Biol.307:755−769を参照のこと。
例えば、インビトロ生合成法を用いて天然にコードされないアミノ酸をタンパク質に取り込むために、四塩基コドンが使用されてきた。例えば、Ma et al.,(1993)Biochemistry,32:7939;及びHohsaka et al.,(1999)J.Am.Chem.Soc.121:34を参照のこと。CGGG及びAGGUを使用して、2個の化学的にアシル化したフレームシフトサプレッサーtRNAを用いて、インビトロでストレプトアビジンに2−ナフチルアラニン及びリジンのNBD誘導体を同時に取り込ませた。例えば、Hohsaka et al.,(1999)J.Am.Chem.Soc.121:12194を参照のこと。インビボ実験において、Mooreらは、NUCAアンチコドンを伴うtRNA Leu誘導体がUAGNコドンを抑制する能力を調べ(Nは、U、A、G又はCであり得る。)、0又は−1フレームでの解読がほとんどなく、13%から26%の効率で、クアドルプレット(quadruplet)UAGAが、UCUAアンチコドンを伴うtRNA Leuにより解読され得ることが分かった。Moore et al.,(2000)J.Mol.Biol.,298:195を参照のこと。ある実施形態において、本発明にて、レアコドン又はナンセンスコドンに基づく延長コドンを使用することができ、他の不必要な部位で、ミスセンス、リードスルー及びフレームシフト抑制を減少させることができる。
ある一定の系に対して、セレクターコドンはまた、天然の3塩基コドンのうち1個を含み得、内在性の系は、天然塩基コドンを使用しない(又は稀にしか使用しない。)。例えば、これには、天然の3塩基コドンを認識するtRNAを欠いている系及び/又は3塩基コドンがレアコドンである系が含まれる。
セレクターコドンは、場合によっては、非天然塩基対を含む。これらの非天然塩基対はさらに、既存の遺伝子アルファベットを拡張する。1つの余分な塩基対により、64から125にトリプレットコドン数が増加する。第三の塩基対の特性には、安定で、選択的な塩基対形成、ポリメラーゼによる、DNAへの高忠実度の効率的な酵素的取り込み及び新生非天然塩基対の合成後の効率的な連続したプライマー伸長が含まれる。方法及び組成物に対して適応させることができる非天然塩基対の記述としては、例えば、「Hirao et al.,(2002) An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein,Nature Biotechnology,20:177−182」が挙げられる。他の関連する刊行物は、下記に列記されている。
インビボ利用の場合、非天然ヌクレオシドは膜透過性であり、リン酸化されて対応するトリホスファートを形成する。さらに、増加した遺伝情報は安定であり、細胞性酵素により破壊されない。Bennerら及びその他による以前の研究は、標準的なWatson−Crickペアにおけるものとは異なる水素結合パターンを利用しており、最も価値ある例は、iso−C:iso−Gペアである。例えば、Switzer et al.,(1989)J.Am.Chem.Soc.111:8322;及びPiccirilli et al.,(1990)Nature,343:33;Kool,(2000)Curr.Opin.Chem.Biol.,4:602を参照のこと。これらの塩基は通常、ある程度天然塩基と誤対合し、酵素的に複製することはできない。Kool及び共同研究者らは、塩基間の疎水性パッキング相互作用が水素結合を置換して、塩基対の形成を推進できることを明らかにした。Kool(2000)Curr.Opin.Chem.Biol.,4:602;及びGuckian及びKool、(1998)AngewChem.Int.Ed.Engl.36,2825を参照のこと。上記の要求全てを満足させる非天然塩基対を開発する目的で、Schultz、Romesberg及び共同研究者らは、一連の非天然疎水性塩基を体系的に合成し、研究を行った。PICS:PICS自己対合が、天然塩基対よりも安定で、E.コリ DNAポリメラーゼI(KF)のKlenow断片により、DNAに効率的に取り込まれ得ることが分かっている。例えば、McMinn et al.,(1999)J.Am.Chem.Soc,121:11586;及びOgawa et al.,(2000)J.Am.Chem.Soc,122:3274を参照のこと。KFにより、生物機能に十分効率的かつ選択的に、3MN:3MN自己対合を合成することができる。例えば、Ogawa et al.,(2000)J.Am.Chem.Soc,122:8803を参照のこと。しかし、両塩基とも、さらなる複製に対して連鎖停止剤として作用する。突然変異DNAポリメラーゼは最近、PICS自己対合を複製するために使用できることが分かった。さらに、7AI対合を複製することができる。例えば、Tae et al.,(2001) J.Am.Chem Soc, 123:7439を参照されたい。Cu(II)を結合した際に安定なペアを形成する、新規メタロ塩基対、Dipic:Pyもまた開発されている。Meggers et al.,(2000)J.Am.Chem.Soc,122:10714を参照のこと。延長コドン及び非天然コドンは、天然コドンに対して本質的にオルソゴナルなので、本発明の方法は、それらに対するオルソゴナルtRNAを生成させるためにこの特性の長所を利用することができる。
所望するポリペプチド中に天然にコードされないアミノ酸を取り込むために、翻訳回避系を使用することもできる。翻訳回避系では、大きな配列を遺伝子中に取り込むが、タンパク質に翻訳されない。この配列は、リボソームがその配列を跳び越すよう誘発し、挿入の下流で翻訳を開始するきっかけとして働く構造を含有する。
ある一定の実施形態において、本発明の方法及び/又は組成物における、関心のあるタンパク質又はポリペプチド(又はその一部)が核酸によりコードされる。典型的には、核酸は、少なくとも1個のセレクターコドン、少なくとも2個のセレクターコドン、少なくとも3個のセレクターコドン、少なくとも4個のセレクターコドン、少なくとも5個のセレクターコドン、少なくとも6個のセレクターコドン、少なくとも7個のセレクターコドン、少なくとも8個のセレクターコドン、少なくとも9個のセレクターコドン、10個又はそれ以上のセレクターコドンを含有する。
当業者にとって周知であり、本明細書中に記載の方法を用いて、関心のあるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子に対して突然変異誘発を行い、例えば、天然にコードされないアミノ酸の取り込みのための1つ又はそれ以上のセレクターコドンを含むようにすることができる。例えば、関心のあるタンパク質に対する核酸に対して突然変異誘発を行い、1又は複数のセレクターコドンを含むようにし、それにより1又は複数の天然にコードされないアミノ酸が取り込まれるようにする。本発明は、あらゆるこのようなバリアント(以下に限定されないが、突然変異体、例えば少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸を含むあらゆるタンパク質の型など)を含む。同様に、本発明はまた、対応する核酸、即ち、1又は複数の天然にコードされないアミノ酸をコードする1又は複数のセレクターコドンを有する何らかの核酸も含む。
目的タンパク質をコードする核酸分子に対して容易に突然変異誘発を行い、ポリペプチドの何れかの所望の位置にシステインを導入し得る。反応性分子、水溶性ポリマー、タンパク質又は多岐にわたるその他の分子を関心のあるタンパク質に導入するために、システインは広く使用されている。ポリペプチドの所望の位置にシステインを取り込むのに適切な方法は、米国特許第6,608,183号(参照により本明細書中に組み込む。)に記載のもの及び標準的突然変異誘発技術など、当業者に周知である。
IV.天然にコードされないアミノ酸
非常に多岐にわたる天然にコードされないアミノ酸が本発明における使用に適切である。天然にコードされないアミノ酸のあらゆる数を、ポリペプチド中に導入することができる。一般に、導入された天然にコードされないアミノ酸は、20種類の一般的な遺伝子コードアミノ酸(即ち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)に対して実質的に化学的に不活性である。幾つかの実施形態において、天然にコードされないアミノ酸は、効率的かつ選択的に20種類の一般的なアミノ酸では見られない官能基(以下に限定されないが、アジド、ケトン、アルデヒド及びアミノオキシ基など)と反応し、安定な抱合体を形成する側鎖官能基を含む。例えば、アジド官能基を含有する天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドは、ポリマー(以下に限定されないが、ポリ(エチレングリコール)、あるいは、アルキン部分を含有する第二のポリペプチドを含む。)と反応し、アジド及びアルキン官能基の選択的反応を引き起こす安定な抱合体を形成し、Huisgen[3+2]付加環化生成物を形成することができる。
非常に多岐にわたる天然にコードされないアミノ酸が本発明における使用に適切である。天然にコードされないアミノ酸のあらゆる数を、ポリペプチド中に導入することができる。一般に、導入された天然にコードされないアミノ酸は、20種類の一般的な遺伝子コードアミノ酸(即ち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)に対して実質的に化学的に不活性である。幾つかの実施形態において、天然にコードされないアミノ酸は、効率的かつ選択的に20種類の一般的なアミノ酸では見られない官能基(以下に限定されないが、アジド、ケトン、アルデヒド及びアミノオキシ基など)と反応し、安定な抱合体を形成する側鎖官能基を含む。例えば、アジド官能基を含有する天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドは、ポリマー(以下に限定されないが、ポリ(エチレングリコール)、あるいは、アルキン部分を含有する第二のポリペプチドを含む。)と反応し、アジド及びアルキン官能基の選択的反応を引き起こす安定な抱合体を形成し、Huisgen[3+2]付加環化生成物を形成することができる。
天然にコードされないアミノ酸は、典型的には、上記で挙げた式(式中、R基は、20種類の天然アミノ酸で使用されるもの以外の何らかの置換基であり、本発明での使用に適切であり得る。)を有するあらゆる構造である。本発明の天然にコードされないアミノ酸は、典型的には、側鎖の構造のみが天然アミノ酸と異なるので、天然にコードされないアミノ酸は、天然に存在するポリペプチドにおいてアミド結合が形成されるのと同様にして、以下に限定されないが天然又は天然にコードされないのものを含む他のアミノ酸とアミド結合を形成する。しかし、天然にコードされないアミノ酸は、天然アミノ酸と非天然アミノ酸とを区別する側鎖基を有する。例えば、Rは、場合によっては、アルキル−、アリール−、アシル−、ケト−、アジド−、ヒドロキシル−、ヒドラジン、シアノ−、ハロ−、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、セレノ−、スルホニル−、ボラート、ボロナート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、アミノ基など又はこれらのあらゆる組合せを含む。本発明での使用に適切であり得る関心のあるその他の天然に存在しないアミノ酸には、以下に限定されないが、光活性化可能な架橋を含むアミノ酸、スピン標識されたアミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有又は非共有相互作用するアミノ酸、フォトケージ(photocaged)及び/又は光異性化可能なアミノ酸、ビオチン又はビオチン類縁体を含むアミノ酸、糖置換されたセリンなどグリコシル化されたアミノ酸、その他の炭水化物修飾アミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸、重原子置換されたアミノ酸、化学切断可能及び/又は光切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比較して伸長された側鎖を有するアミノ酸(以下に限定されないが、ポリエーテル又は、約5を超える、又は約10炭素を超える(これらに限定されない。)長鎖炭化水素など)、炭素結合された糖含有アミノ酸、酸化還元活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸及び1又は複数の毒性部分を含むアミノ酸が含まれる。
本発明における使用に適切であり得、水溶性ポリマーとの反応に有用である天然にコードされないアミノ酸の例としては、以下に限定されないが、カルボニル、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、アジド及びアルキン反応基を有するものが挙げられる。幾つかの実施形態において、天然にコードされないアミノ酸は、糖部分を含む。このようなアミノ酸の例としては、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−ガラクトサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−スレオニン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−アスパラギン及びO−マンノサミニル−L−セリンが挙げられる。このようなアミノ酸の例としては、また、アミノ酸と糖との間の天然に存在するN−又はO−結合が、一般に天然では見られない共有結合(以下に限定されないが、アルケン、オキシム、チオエーテル、アミドなどを含む。)により置換されている例が挙げられる。このようなアミノ酸の例としてはまた、天然に存在するタンパク質では一般に見られない糖、例えば、2−デオキシ−グルコース、2−デオキシガラクトースなどが挙げられる。
本明細書中で与えられる天然にコードされないアミノ酸の多くは、例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)、Novabiochem(EMD BioSciencesの部門、Darmstadt,Germany)又はPeptech(Burlington,MA,USA)から市販されている。場合によっては、本明細書中で与えるように、又は当業者にとって公知の標準的方法を用いて、市販されていないものを合成する。有機合成技術に関しては、例えば、Fessedon及びFessedonによるOrganic Chemistry(1982、第二版、Willard Grant Press,Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York);及びCarey及びSunbergによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、パートA及びB、1990、Plenum Press,New York)を参照のこと。また、米国特許出願公開2003/0082575及び2003/0108885(参照により本明細書中に組み込む。)も参照のこと。新規側鎖を含有する天然にコードされないアミノ酸に加えて、本発明での使用に適切であり得る天然にコードされないアミノ酸もまた、場合によっては、以下に限定されないが、式II及びIIIの構造で示されるような修飾された骨格構造を含む:
多くの天然にコードされないアミノ酸は、チロシン、グルタミン、フェニルアラニンなどの天然アミノ酸に基づいており、本発明での使用に適切である。チロシン類縁体としては、以下に限定されないが、パラ−置換されたチロシン、オルト−置換されたチロシン及びメタ置換されたチロシンが挙げられ、置換されたチロシンとしては、以下に限定されないが、ケト基(以下に限定されないが、アセチル基など)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C6−C20直鎖もしくは分枝炭化水素、飽和もしくは不飽和炭化水素、O−メチル基、ポリエーテル基、ニトロ基、アルキニル基などが挙げられる。さらに、多置換されたアリール環も想定される。本発明での使用に適切であり得るグルタミン類縁体としては、以下に限定されないが、α−ヒドロキシ誘導体、γ−置換された誘導体、環状誘導体及びアミド置換されたグルタミン誘導体が挙げられる。本発明での使用に適切であり得るフェニルアラニン類縁体の例としては、以下に限定されないが、パラ−置換されたフェニルアラニン、オルト−置換されたフェニルアラニン及びメタ−置換されたフェニルアラニンが挙げられ、置換基としては、以下に限定されないが、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリル基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(以下に限定されないがアセチル基を含む。)、ベンゾイル、アルキニル基などが挙げられる。本発明での使用に適切であり得る天然にコードされないアミノ酸の具体例としては、以下に限定されないが、p−アセチル−L−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ素化されたフェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニ、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン及びp−プロパルギルオキシ−フェニルアラニンなどが挙げられる。本発明での使用に適切であり得る様々な天然にコードされないアミノ酸の構造の例は、例えば、「In vivo incorporation of non−naturally amino acids」と題されたWO2002/085923に記載されている。また、さらなるメチオニン類縁体について、Kiick et al.,(2002)Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation,PNAS 99:19−24も参照のこと。
ある実施形態において、天然にコードされないアミノ酸(p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンなど)を含むポリペプチドの組成物が提供される。p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン及び、以下に限定されないが、タンパク質及び/又は細胞などを含む様々な組成物も提供される。ある態様において、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン天然にコードされないアミノ酸を含む組成物は、さらにオルソゴナルtRNAを含む。以下に限定されないが、オルソゴナルtRNAに対してアミノアシル結合を介して共有結合で、オルソゴナルtRNAの末端リボース糖の3’OH又は2’OHに対して共有結合で、など、オルソゴナルtRNAに天然にコードされないアミノ酸を(以下に限定されないが、共有結合により)結合させることができる。
タンパク質に取り込むことができる天然にコードされないアミノ酸を介した化学部分は、様々な長所を提供し、タンパク質の様々な操作が可能となる。例えば、ケト官能基はユニークな反応性を有するので、これによりヒドラジン−又はヒドロキシルアミン含有試薬のあらゆる数を用いて、タンパク質をインビトロ及びインビボで選択的に修飾することができるようになる。重原子非天然コードアミノ酸は、例えば、X線構造データを位相整合するのに有用であり得る。天然にコードされないアミノ酸を用いた重原子の部位特異的導入によっても、重原子の位置を選択的かつ柔軟に選択できる。光反応性天然にコードされないアミノ酸(以下に限定されないが、ベンゾフェノン及びアリールアジド(以下に限定されないがフェニルアジドなど)側鎖を有するアミノ酸など)により、例えば、タンパク質の効率的なインビボ及びインビトロ光架橋連結が可能になる。光反応性天然にコードされないアミノ酸の例としては、以下に限定されないが、p−アジド−フェニルアラニン及びp−ベンゾイル−フェニルアラニンが挙げられる。次に、光反応基を与える時間的制御の励起により、光反応性非天然コードアミノ酸を有するタンパク質を随意に架橋することができる。一つの例において、以下に限定されないが、核磁気共鳴及び振動分光法などを使用した、局所構造及びダイナミクスのプローブとして、同位体標識したもの(以下に限定されないがメチル基など)で、非天然アミノのメチル基を置換することができる。アルキニル又はアジド官能基により、例えば、[3+2]付加環化反応を介して、分子を用いてタンパク質を選択的に修飾できるようになる。
アミノ末端でポリペプチドに組み込まれる非天然アミノ酸は、20種類の天然アミノ酸において使用されるもの以外の何れかの置換基であるR基及び、α−アミノ酸に通常存在するNH2基とは異なる第二の反応性基から構成され得る(式I参照。)。同様の非天然アミノ酸を、α−アミノ酸に通常存在するCOOH基とは異なる第二の反応性基とともに、カルボキシル末端で取り込むことができる(式I参照。)。
天然にコードされないアミノ酸の化学合成
本発明での使用に適切な、市販されていない天然にコードされないアミノ酸の多くは、本明細書に記載されているとおりに、又は様々な公報に記載されているとおりに、又は当業者に公知の標準的な方法を用いて、場合によって合成される。有機合成技術に関しては、例えば、Fessedon及びFessedonによるOrganic Chemistry(1982、第二版、Willard Grant Press,Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York);及びCarey及びSunbergによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、パートA及びB、1990、Plenum Press,New York)を参照のこと。有機合成技術に関しては、例えば、Fessedon及びFessedonによるOrganic Chemistry(1982、第二版、Willard Grant Press,Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York);及びCarey及びSunbergによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、パートA及びB、1990、Plenum Press,New York)を参照のこと。天然にコードされないアミノ酸の合成について述べているさらなる刊行物としては、例えばWO2002/085923(題名「In vivo incorporation of non−naturally encoded amino acids」;Matsuokaら、(1995)J.Med.Chem.,38,4660−4669;King,F.E.及びKidd,D.A.A.(1949)A New Synthesis of Glutamine and of γ−Dipeptides of Glutamic Acid from Phthylated Intermediates.J.Chem.Soc.,3315−3319;Friedman,O.M.及びChatterrji,R.(1959)Syntehsis of Derivatives of Glutamine as Model Substrates for Anti−Tumor Agents.J.Am.Chem.Soc.81,3750−3752;Craig,J.C.ら、(1988)Absolute Configuration of the Enantiomers of 7−Chloro−4[[4−(diethylamino)−1−methylbutyl]amino]quinoline(Chloroquine).J.Org.Chem.53、1167−1170;Azoulay,M.,Vilmont,M.及びFrappier,F.(1991)Glutamine analogues as Potential Antimalarials,Eur.J.Med.Chem.201,201−5;Koskinen,A.M.P.及びRapoport,H.(1989)Synthesis of 4−Substituted Prolines as Conformationally Constrained Amino acids Analogues.J.Org.Chem.54、1859−1866;Christie,B.D.及びRapoport,H.(1985)Synthesis of Optically Pure Pipecolates from L−Asparagine.Application to the Total Synthesis of(+)−Apovincamine through Amino Acids Decarbonylation and Iminium Ion Cyclization.J.Org.Chem.50:1239−1246;Bartonら、(1987)Synthesis of Novel a−Amino−Acids and Derivatives Using Radical Chemistry:Synthesis of L−and D−a−Amino−Adipic Acids,L−a−aminopimelic Acid and Appropriate Unsaturated derivatives.Tetrahedron Lett.43:4297−4308;及びSubasingheら、(1992)Quisqualic acid analogues:syntehsis of beta−heterocyclic 2−aminopropanoic acid derivatives and their activity at a novel quisqualate−sensitized site.J.Med.Chem.35:4602−7が挙げられる。また、2003年12月22日に出願された「Protein Arrays」と題された特許出願10/744,899及び2002年12月22日に出願された60/435,821も参照のこと。
本発明での使用に適切な、市販されていない天然にコードされないアミノ酸の多くは、本明細書に記載されているとおりに、又は様々な公報に記載されているとおりに、又は当業者に公知の標準的な方法を用いて、場合によって合成される。有機合成技術に関しては、例えば、Fessedon及びFessedonによるOrganic Chemistry(1982、第二版、Willard Grant Press,Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York);及びCarey及びSunbergによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、パートA及びB、1990、Plenum Press,New York)を参照のこと。有機合成技術に関しては、例えば、Fessedon及びFessedonによるOrganic Chemistry(1982、第二版、Willard Grant Press,Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York);及びCarey及びSunbergによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、パートA及びB、1990、Plenum Press,New York)を参照のこと。天然にコードされないアミノ酸の合成について述べているさらなる刊行物としては、例えばWO2002/085923(題名「In vivo incorporation of non−naturally encoded amino acids」;Matsuokaら、(1995)J.Med.Chem.,38,4660−4669;King,F.E.及びKidd,D.A.A.(1949)A New Synthesis of Glutamine and of γ−Dipeptides of Glutamic Acid from Phthylated Intermediates.J.Chem.Soc.,3315−3319;Friedman,O.M.及びChatterrji,R.(1959)Syntehsis of Derivatives of Glutamine as Model Substrates for Anti−Tumor Agents.J.Am.Chem.Soc.81,3750−3752;Craig,J.C.ら、(1988)Absolute Configuration of the Enantiomers of 7−Chloro−4[[4−(diethylamino)−1−methylbutyl]amino]quinoline(Chloroquine).J.Org.Chem.53、1167−1170;Azoulay,M.,Vilmont,M.及びFrappier,F.(1991)Glutamine analogues as Potential Antimalarials,Eur.J.Med.Chem.201,201−5;Koskinen,A.M.P.及びRapoport,H.(1989)Synthesis of 4−Substituted Prolines as Conformationally Constrained Amino acids Analogues.J.Org.Chem.54、1859−1866;Christie,B.D.及びRapoport,H.(1985)Synthesis of Optically Pure Pipecolates from L−Asparagine.Application to the Total Synthesis of(+)−Apovincamine through Amino Acids Decarbonylation and Iminium Ion Cyclization.J.Org.Chem.50:1239−1246;Bartonら、(1987)Synthesis of Novel a−Amino−Acids and Derivatives Using Radical Chemistry:Synthesis of L−and D−a−Amino−Adipic Acids,L−a−aminopimelic Acid and Appropriate Unsaturated derivatives.Tetrahedron Lett.43:4297−4308;及びSubasingheら、(1992)Quisqualic acid analogues:syntehsis of beta−heterocyclic 2−aminopropanoic acid derivatives and their activity at a novel quisqualate−sensitized site.J.Med.Chem.35:4602−7が挙げられる。また、2003年12月22日に出願された「Protein Arrays」と題された特許出願10/744,899及び2002年12月22日に出願された60/435,821も参照のこと。
A.カルボニル反応基
カルボニル反応基を有するアミノ酸により、特に求核付加又はアルドール縮合反応を介して分子(以下に限定されないが、PEG又はその他の水溶性分子など。)を連結するための様々な反応が可能となる。
カルボニル反応基を有するアミノ酸により、特に求核付加又はアルドール縮合反応を介して分子(以下に限定されないが、PEG又はその他の水溶性分子など。)を連結するための様々な反応が可能となる。
典型的なカルボニル含有アミノ酸は、次のように表すことができる。
p−アセチル−(+/−)−フェニルアラニン及びm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンの合成は、Zhang,Z.ら、Biochemistry 42:6735−6746(2003)に記載されている(参照により、本明細書中に組み込む。)。当業者は、その他のカルボニル含有アミノ酸を同様に調製することができる。
幾つかの実施形態において、天然にコードされないアミノ酸を含有するポリペプチドを化学的に修飾して、反応性カルボニル官能基を生じさせる。例えば、隣接アミノ及びヒドロキシル基を有する官能基から、共役反応に有用なアルデヒド官能基を生じさせることができる。生物活性分子がポリペプチドである場合、例えば、N末端セリン又はスレオニン(通常存在するか、又は化学的もしくは酵素的消化により曝露され得る。)を使用し、過ヨウ素酸を用いて穏やかな酸化的開裂条件下で、アルデヒド官能基を生じさせることができる。例えば、Gaertnerら、Bioconjug.Chem.3:262−268(1992);Geoghegan,K.及びStroh,J.,Bioconjug.Chem.3:138−146(1992);Gaertnerら、J.Biol.Chem.269:7224−7230(1994)を参照のこと。しかし、当技術分野で公知の方法は、ペプチド又はタンパク質のN末端のアミノ酸に限定されている。
本発明において、隣接ヒドロキシル及びアミノ基を有する天然にコードされないアミノ酸を「マスクされた」アルデヒド官能基として、ポリペプチドに取り込むことができる。例えば、5−ヒドロキシリジンは、εアミンに隣接したヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成させるための反応条件は、典型的には、ポリペプチド内の他の部位で酸化を避けるために穏やかな条件下でメタ過ヨウ素酸ナトリウムのモル過剰を添加することを含む。酸化反応のpHは、典型的には、約7.0である。典型的な反応は、ポリペプチドの緩衝化溶液にメタ過ヨウ素酸ナトリウム約1.5モル濃度過剰量を添加し、続いて、暗所で約10分間温置することを含む。例えば、米国特許第6,423,685号(参照により、本明細書中に組み込まれる。)を参照されたい。
水溶液中で、穏やかな条件下にて、カルボニル官能基を選択的にヒドラジン−、ヒドラジド−、ヒドロキシルアミン−又はセミカルバジド含有物質と反応させて、生理的条件下で安定な、対応するヒドラゾン、オキシム又はセミカルバゾン結合をそれぞれ形成させることができる。例えば、Jencks,W.P.,J.Am.Chem.Soc.81,475−481(1959);Shao,J.及びTam,J.P.,J.Am.Chem.Soc.1:3893−3899(1995)を参照のこと。さらに、カルボニル基のユニークな反応性により、他のアミノ酸側鎖の存在下での選択的な修飾が可能となる。例えば、Cornish,V.W.ら、J.Am.Chem.Soc.118:8150−8151(1996);Geoghegan,K.F.及びStroh,J.G.,Bioconjug.Chem.3:138−146(1992);Mahal,L.K.ら、Science 276:1125−1128(1997)を参照のこと。
B.ヒドラジン、ヒドラジド又はセミカルバジド反応基
ヒドラジン、ヒドラジド又はセミカルバジドなどの求核基を含有する天然にコードされないアミノ酸により、(以下に限定されないが、PEG又はその他の水溶性ポリマーを用いたものなど)抱合体を形成させるための様々な求電子基との反応が可能となる。
ヒドラジン、ヒドラジド又はセミカルバジドなどの求核基を含有する天然にコードされないアミノ酸により、(以下に限定されないが、PEG又はその他の水溶性ポリマーを用いたものなど)抱合体を形成させるための様々な求電子基との反応が可能となる。
ヒドラジン、ヒドラジド又はセミカルバジド含有アミノ酸の例は、以下のように表すことができる:
幾つかの実施形態において、nは4であり、R1存在せず、及びXはNである。幾つかの実施形態において、nは2であり、R1は存在せず、及びXは存在しない。幾つかの実施形態において、nは1であり、R1はフェニルであり、XはOであり、及び酸素原子は、アリール環上のアルファティック(alphatic)基に対してパラ位にある。
ヒドラジド−、ヒドラジン−及びセミカルバジド含有アミノ酸が市販されている。例えば、L−グルタメート−γ−ヒドラジドは、Sigma Chemical(St.Louis,MO)から入手可能である。市販されていない他のアミノ酸は、当業者によって調製することが可能である。例えば、米国特許第6,281,211号(参照により、本明細書中に組み込まれる。)を参照されたい。
アルデヒド又は同様の化学反応性を有する他の官能基を含有する様々な分子と、ヒドラジド、ヒドラジン又はセミカルバジド官能基を有する天然にコードされないアミノ酸を含有するポリペプチドを効率的かつ選択的に反応させることができる。例えば、Shao,J.及びTarn,J.,J.Am.Chem.Soc.117:3893−3899(1995)を参照のこと。ヒドラジド、ヒドラジン及びセミカルバジド官能基のユニークな反応性により、20種類の一般的アミノ酸上に存在する求核基(以下に限定されないが、セリンもしくはスレオニンのヒドロキシル基又はリジン及びN末端のアミノ基を含む。)と比較して、アルデヒド、ケトン及びその他の求電子基に対するそれらの反応性が顕著に高くなる。
C.アミノオキシ含有アミノ酸
アミノオキシ(ヒドロキシルアミンとも呼ばれる。)基を含有する天然にコードされないアミノ酸により、(以下に限定されないが、PEGはその他の水溶性ポリマーなどとの)抱合体を形成するための、様々な求電子基との反応が可能となる。ヒドラジン、ヒドラジド及びセミカルバジドのように、アミノオキシ基の求核性が高まることにより、アルデヒド又は同様の化学反応性を有する他の官能基を含有する様々な分子と効率的かつ選択的に反応できるようになる。例えば、Shao,J.及びTarn,J.,J.Am.Chem.Soc.117:3839−3899(1995);H.Hang及びC.Bertozzi.Ace.Chem.Res.34:727−736(2001)を参照のこと。しかし、ヒドラジン基との反応により生じるものが対応するヒドラゾンである一方、オキシムは、通常、ケトンなどのカルボニル含有基とアミノオキシ基との反応に由来するものである。
アミノオキシ(ヒドロキシルアミンとも呼ばれる。)基を含有する天然にコードされないアミノ酸により、(以下に限定されないが、PEGはその他の水溶性ポリマーなどとの)抱合体を形成するための、様々な求電子基との反応が可能となる。ヒドラジン、ヒドラジド及びセミカルバジドのように、アミノオキシ基の求核性が高まることにより、アルデヒド又は同様の化学反応性を有する他の官能基を含有する様々な分子と効率的かつ選択的に反応できるようになる。例えば、Shao,J.及びTarn,J.,J.Am.Chem.Soc.117:3839−3899(1995);H.Hang及びC.Bertozzi.Ace.Chem.Res.34:727−736(2001)を参照のこと。しかし、ヒドラジン基との反応により生じるものが対応するヒドラゾンである一方、オキシムは、通常、ケトンなどのカルボニル含有基とアミノオキシ基との反応に由来するものである。
典型的なアミノオキシ基含有アミノ酸は、次のように表すことができる:
容易に入手できるアミノ酸前駆体(ホモセリン、セリン及びスレオニン)からアミノオキシ含有アミノ酸を調製することができる。例えば、M.Carrasco及びR.Brown、J.Org.Chem.68:8853−8858(2003)を参照。L−2−アミノ−4−(アミノオキシ)酪酸などのある一定のアミノオキシ含有アミノ酸が天然源から単離された(Rosenthal,G.ら、Life Sci.60:1635−1641(1997)。当業者は、その他のアミノオキシ含有アミノ酸を調製することができる。
D.アジド及びアルキン反応基
アジド及びアルキン官能基のユニークな反応性により、ポリペプチド及び他の生物分子の選択的修飾にこれらの官能基が非常に有用となる。有機アジド、特にアルファティック(alphatic)アジド及びアルキンは、一般に、通常の反応化学状態に対して安定である。特に、アジド及びアルキン官能基の両者とも、天然に存在するポリペプチドで見られる20種類の一般的アミノ酸の側鎖(即ちR基)に対して不活性である。しかし、近接近させた場合、アジド及びアルキン基の「バネ仕掛け」のような性質が現れ、それらは、Huisgen[3+2]付加環化反応を介して選択的かつ効率的に反応し、対応するトリアゾールを生成させる。例えば、Chin,J.ら、Science 301:964−7(2003);Wang,Q.ら、J.Am.Chem.Soc.125、3192−3193(2003);Chin,J.W.ら、J.Am.Chem.Soc.124:9026−9027(2002)を参照のこと。
アジド及びアルキン官能基のユニークな反応性により、ポリペプチド及び他の生物分子の選択的修飾にこれらの官能基が非常に有用となる。有機アジド、特にアルファティック(alphatic)アジド及びアルキンは、一般に、通常の反応化学状態に対して安定である。特に、アジド及びアルキン官能基の両者とも、天然に存在するポリペプチドで見られる20種類の一般的アミノ酸の側鎖(即ちR基)に対して不活性である。しかし、近接近させた場合、アジド及びアルキン基の「バネ仕掛け」のような性質が現れ、それらは、Huisgen[3+2]付加環化反応を介して選択的かつ効率的に反応し、対応するトリアゾールを生成させる。例えば、Chin,J.ら、Science 301:964−7(2003);Wang,Q.ら、J.Am.Chem.Soc.125、3192−3193(2003);Chin,J.W.ら、J.Am.Chem.Soc.124:9026−9027(2002)を参照のこと。
Huisgenの付加環化反応は、求核置換ではなく、選択的付加環化反応を含むので(例えば、Padwa,A.,COMPREHENSIVE ORGANIC SYNTHESIS,Vol.4,(Trost,B.M.,ら編、1991)、p.1069−1109;Huisgen,R.,1,3−DiPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY(Padwa,A.編、1984)、p.1−176)、アジド及びアルキン含有側鎖を有する天然にコードされないアミノ酸の取り込みによって、生じるポリペプチドが天然にコードされないアミノ酸の位置で選択的に修飾を受けることができるようになる。アジド又はアルキン含有hGHポリペプチドを含む付加環化反応は、Cu(II)をCu(I)に還元するための還元剤の存在下で、インシトゥ、触媒量で、Cu(II)(以下に限定されないが、CuSO4の触媒量の形態など)を添加することにより、室温にて、水性条件下で行うことができる。例えば、Wang,Q.ら、J.Am.Chem.Soc.125、3192−3193(2003);Tornoe,C.W.ら、J.Org.Chem.67:3057−3064(2002);Rostovtsevら、Angew.Chem.Int.Ed.41:2596−2599(2002)を参照のこと。典型的な還元剤としては、以下に限定されないが、アスコルビン酸塩、金属銅、キニーネ、ヒドロキノン、ビタミンK、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+及び加電圧などが挙げられる。
ある場合においては、アジドとアルキンとの間のHuisgen[3+2]付加環化反応が所望とされる場合、ポリペプチドは、アルキン部分を含有する天然にコードされないアミノ酸を含み、アミノ酸に付着させる水溶性ポリマーは、アジド部分を含む。あるいは、逆の反応を行うこともできる(即ち、アミノ酸上のアジド部分及び水溶性ポリマー上に存在するアルキン部分を用いる。)。
アリールエステルを含有し、アリールホスフィン部分で適切に官能化された水溶性ポリマーとアジド官能基とを選択的に反応させて、アミド結合を生成させることもできる。アリールホスフィン基は、インシトゥでアジドを還元し、次に、生じたアミンが隣接するエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成させる。例えば、E.Saxon及びC.Bertozzi,Science 287、2007−2010(2000)を参照のこと。アジド含有アミノ酸は、アルキルアジド(以下に限定されないが、2−アミノ−6−アジド−L−ヘキサン酸を含む。)又はアリールアジド(p−アジド−フェニルアラニン)の何れかであり得る。
アリールエステル及びホスフィン部分を含有する典型的な水溶性ポリマーの例は、次のように表すことができる。
チオエステルを含有し、及びアリールホスフィン部分で適切に官能化されている水溶性ポリマーとアジド官能基を選択的に反応させて、アミド結合を生成させることもできる。アリールホスフィン基は、インシトゥでアジドを還元し、次に、生じたアミンがチオエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成させる。チオエステル及びホスフィン部分を含有する典型的な水溶性ポリマーは、次のように表すことができる。
典型的なアルキン含有アミノ酸は、次のように表すことができる。
アルキン含有アミノ酸は市販されている。例えば、プロパルギルグリシンは、Peptech(Burlington,MA)から市販されている。あるいは、アルキン含有アミノ酸を標準的方法に従い調製することができる。例えば、Deiters,A.ら、J.Am.Chem.Soc.125:11782−11783(2003)に記載のようにして、例えば、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンを合成することができ、Kayser,B.ら、Tetrahedron 53(7):2475−2484(1997)に記載のようにして、4−アルキニル−L−フェニルアラニンを合成することができる。当業者は、その他のアルキン含有アミノ酸を調製することができる。
典型的なアジド含有アミノ酸は、次のように表すことができる。
アジド含有アミノ酸は市販されている。例えば、Chem−Impex International,Inc.(Wood Dale,IL)から4−アジドフェニルアラニンを入手することができる。市販されていないアジド含有アミノの場合、以下に限定されないが、適切な脱離基(以下に限定されないが、ハロゲン化物、メシラート、トシラートなど。)の置換を介するか、又は適切に保護化ラクトンの開環を介するなど、当業者にとって公知の標準的方法を用いて、比較的容易にアジド基を調製することができる。例えば、MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第三版、1985、Wiley and Sons,New York)を参照のこと。
E.アミノチオール反応基
β−置換されたアミノチオール官能基のユニークな反応性により、チアゾリジンの形成を介した、ポリペプチド及びアルデヒド基を含有する他の生物分子の選択的修飾に、これらの官能基が非常に有用となる。例えば、J.Shao及びJ.Tam,J.Am.Chem.Soc.1995,117(14)3839−3899を参照のこと。幾つかの実施形態において、β−置換されたアミノチオールアミノ酸をポリペプチド中に取り込み、次いで、アルデヒド官能基を含む水溶性ポリマーと反応させることができる。幾つかの実施形態において、チアゾリジンの形成を介して、水溶性ポリマー、薬物抱合体又はその他のペイロードをβ−置換されたアミノチオールアミノ酸を含むポリペプチドにカップリングさせることができる。
β−置換されたアミノチオール官能基のユニークな反応性により、チアゾリジンの形成を介した、ポリペプチド及びアルデヒド基を含有する他の生物分子の選択的修飾に、これらの官能基が非常に有用となる。例えば、J.Shao及びJ.Tam,J.Am.Chem.Soc.1995,117(14)3839−3899を参照のこと。幾つかの実施形態において、β−置換されたアミノチオールアミノ酸をポリペプチド中に取り込み、次いで、アルデヒド官能基を含む水溶性ポリマーと反応させることができる。幾つかの実施形態において、チアゾリジンの形成を介して、水溶性ポリマー、薬物抱合体又はその他のペイロードをβ−置換されたアミノチオールアミノ酸を含むポリペプチドにカップリングさせることができる。
天然にコードされないアミノ酸の細胞性取り込み
細胞による天然にコードされないアミノ酸取り込みは、以下に限定されないが、タンパク質への取り込みなど、天然にコードされないアミノ酸を設計し選択する際に通常考慮される1つの問題である。例えば、α−アミノ酸の電荷密度は高いので、これらの化合物は細胞透過性である可能性は少ないことが示唆される。天然アミノ酸は、タンパク質を利用した輸送系の回収を介して真核細胞に取り込まれる。もしあれば、どの非天然アミノ酸が細胞により取り込まれるかを評価するスクリーニングを迅速に行うことができる。例えば、2003年12月22日に出願され、「Protein Arrays」と題された出願10/744,899号及び2002年12月22日に出願された60/435,821号;及びLiu,D.R.及びSchultz,P.G.(1999)Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code.PNAS United States 96:4780−4785における毒性アッセイを参照のこと。取り込みは様々なアッセイを用いて容易に分析できるが、細胞への取り込み経路に適した非天然アミノ酸の設計に対する代替手段は、インビボでアミノ酸を生成させるために生合成経路を与えることである。
細胞による天然にコードされないアミノ酸取り込みは、以下に限定されないが、タンパク質への取り込みなど、天然にコードされないアミノ酸を設計し選択する際に通常考慮される1つの問題である。例えば、α−アミノ酸の電荷密度は高いので、これらの化合物は細胞透過性である可能性は少ないことが示唆される。天然アミノ酸は、タンパク質を利用した輸送系の回収を介して真核細胞に取り込まれる。もしあれば、どの非天然アミノ酸が細胞により取り込まれるかを評価するスクリーニングを迅速に行うことができる。例えば、2003年12月22日に出願され、「Protein Arrays」と題された出願10/744,899号及び2002年12月22日に出願された60/435,821号;及びLiu,D.R.及びSchultz,P.G.(1999)Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code.PNAS United States 96:4780−4785における毒性アッセイを参照のこと。取り込みは様々なアッセイを用いて容易に分析できるが、細胞への取り込み経路に適した非天然アミノ酸の設計に対する代替手段は、インビボでアミノ酸を生成させるために生合成経路を与えることである。
天然にコードされないアミノ酸の生合成
アミノ酸及び他の化合物の産生に対して、多くの生合成経路が細胞において既に存在する。特定の天然にコードされないアミノ酸に対する生合成法が天然には(以下に限定されないが、真核細胞においてなど)存在し得ないが、本発明はこのような方法を提供する。例えば、新しい酵素を添加するか、又は既存の宿主経路を改変することにより、場合によっては天然にコードされないアミノ酸に対する生合成経路を宿主細胞において生じさせる。さらなる新しい酵素は、場合によっては天然に存在する酵素又は人工的に生じさせた酵素である。例えば、p−アミノフェニルアラニンの生合成(WO2002/085923、題名「In vivo incorporation of non−naturally encoded amino acids」における実施例で与えられるように。)は、他の生物からの既知の酵素の組合せの添加に依存する。これらの酵素に対する遺伝子を含むプラスミドを用いて細胞の形質転換を行うことによって、これらの酵素に対する遺伝子を真核細胞中に導入することができる。細胞中で発現させる場合、遺伝子は、所望する化合物を合成するための酵素的経路を与える。場合によっては添加される酵素のこのタイプの例は、下記の実施例で与える。例えばGenbankにおいて、さらなる酵素の配列が記載されている。人工的に生じさせた酵素もまた、場合によっては同様に細胞中に添加される。このようにして、細胞の機構及び細胞のリソースを操作して天然にコードされないアミノ酸を産生させる。
アミノ酸及び他の化合物の産生に対して、多くの生合成経路が細胞において既に存在する。特定の天然にコードされないアミノ酸に対する生合成法が天然には(以下に限定されないが、真核細胞においてなど)存在し得ないが、本発明はこのような方法を提供する。例えば、新しい酵素を添加するか、又は既存の宿主経路を改変することにより、場合によっては天然にコードされないアミノ酸に対する生合成経路を宿主細胞において生じさせる。さらなる新しい酵素は、場合によっては天然に存在する酵素又は人工的に生じさせた酵素である。例えば、p−アミノフェニルアラニンの生合成(WO2002/085923、題名「In vivo incorporation of non−naturally encoded amino acids」における実施例で与えられるように。)は、他の生物からの既知の酵素の組合せの添加に依存する。これらの酵素に対する遺伝子を含むプラスミドを用いて細胞の形質転換を行うことによって、これらの酵素に対する遺伝子を真核細胞中に導入することができる。細胞中で発現させる場合、遺伝子は、所望する化合物を合成するための酵素的経路を与える。場合によっては添加される酵素のこのタイプの例は、下記の実施例で与える。例えばGenbankにおいて、さらなる酵素の配列が記載されている。人工的に生じさせた酵素もまた、場合によっては同様に細胞中に添加される。このようにして、細胞の機構及び細胞のリソースを操作して天然にコードされないアミノ酸を産生させる。
生合成経路での使用のための、又は既存経路を進化させるための新規酵素を産生させるために、様々な方法を利用できる。例えば、以下に限定されないが、Maxygen,Inc.(maxygen.comのWorld Wide Webで入手可能)により開発されたものなど、繰り返して用いられる組み換えを場合によっては使用して、新規酵素及び経路を開発する。例えば、Stemmer(1994)、Rapid evolution of a Protein in vitro by DNA shuffling,Nature 370(4):389−391;及びStemmer(1994)、DNA shuffling by random fractionation and reassembly:In vitro recombination for molecular evolution,Proc.Natl.Acad.Sci USA.,91:10747−10751を参照のこと。同様に、Genencor(genencor.comのWorld Wide Webで入手可能)により開発されたDesignPathTMを、場合によっては、以下に限定されないが、細胞中にO−メチル−L−チロシンを生成させるために経路を操作することなど、代謝経路操作のために使用する。この技術により、以下に限定されないが機能的ゲノム科学並びに分子進化及び設計などにより同定されたものなどの新しい遺伝子及び組合せを用いて、宿主生物において既存の経路を再構築する。Diversa Corporation(diversa.comのWorld Wide Webで入手可能)もまた、以下に限定されないが新しい経路を作るためなど、遺伝子ライブラリ及び遺伝子経路の迅速なスクリーニングのための技術を提供する。
典型的には、操作を行った本発明の生合成経路を用いて産生される天然にコードされないアミノ酸は、効率的なタンパク質生合成に十分な濃度(以下に限定されないが、天然の細胞量など)であるが、他のアミノ酸の濃度に影響を与えない、又は細胞リソースを枯渇させない程度に産生される。このようにしてインビボで産生される典型的な濃度は、約10mMから約0.05mMである。特定の経路対して所望される酵素を産生させるのに使用される遺伝子を含むプラスミドを用いて細胞を形質転換し、天然にコードされないアミノ酸が生成されたら、リボソームタンパク質合成及び細胞増殖の両方に対して天然にコードされないアミノ酸の産生をさらに最適化するために、インビボ選択を場合によっては使用する。
天然にコードされないアミノ酸を有するポリペプチド
以下に限定されないが、タンパク質構造及び/又は機能の変化の適合化、サイズ、酸性度、求核性、水素結合、疎水性、プロテアーゼ標的部位の接近可能性の変更、部分(以下に限定されないが、タンパク質アレイに対してなど)への標的化など、様々な目的で天然にコードされないアミノ酸の取り込みを行うことができる。天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、増強された特性、又は完全に新しい触媒若しくは生物物理学的特性を有することが可能である。例えば、タンパク質に天然にコードされないアミノ酸を取り込ませることにより、次の特性を場合によっては変更する:毒性、生体内分布、構造特性、分光学的特性、化学及び/又は光化学的特性、触媒能、半減期(以下に限定されないが、血清半減期など)、他の分子との反応能(以下に限定されないが、共有又は非共有的な反応など)など。少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を含む組成物は、以下に限定されないが、新規治療、診断、触媒酵素、工業用酵素、結合タンパク質(以下に限定されないが、抗体など)及び、以下に限定されないが、タンパク質構造及び機能の研究などに有用である。例えば、Dougherty,(2000)Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function,Current Opinion in Chemical Biology,4:645−652を参照のこと。
以下に限定されないが、タンパク質構造及び/又は機能の変化の適合化、サイズ、酸性度、求核性、水素結合、疎水性、プロテアーゼ標的部位の接近可能性の変更、部分(以下に限定されないが、タンパク質アレイに対してなど)への標的化など、様々な目的で天然にコードされないアミノ酸の取り込みを行うことができる。天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質は、増強された特性、又は完全に新しい触媒若しくは生物物理学的特性を有することが可能である。例えば、タンパク質に天然にコードされないアミノ酸を取り込ませることにより、次の特性を場合によっては変更する:毒性、生体内分布、構造特性、分光学的特性、化学及び/又は光化学的特性、触媒能、半減期(以下に限定されないが、血清半減期など)、他の分子との反応能(以下に限定されないが、共有又は非共有的な反応など)など。少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を含む組成物は、以下に限定されないが、新規治療、診断、触媒酵素、工業用酵素、結合タンパク質(以下に限定されないが、抗体など)及び、以下に限定されないが、タンパク質構造及び機能の研究などに有用である。例えば、Dougherty,(2000)Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function,Current Opinion in Chemical Biology,4:645−652を参照のこと。
本発明の一態様において、組成物は、少なくとも1個の、以下に限定されないが、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個又は少なくとも10若しくはそれ以上などの、天然にコードされないアミノ酸を有する少なくとも1個のタンパク質を含む。天然にコードされないアミノ酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の異なる天然にコードされないのアミノ酸を含むタンパク質中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の異なる部位が存在することが可能であるなど(これに限定されない。)、同一又は別異とすることが可能である。別の態様において、組成物は、少なくとも1個の、しかし、総数より少ない、タンパク質に存在する特定のアミノ酸が天然にコードされないアミノ酸で置換されているタンパク質を含む。2以上の天然にコードされないアミノ酸を有するある一定のタンパク質の場合、天然にコードされないアミノ酸は、同じ又は異なるものであり得る(以下に限定されないが、タンパク質は、天然にコードされないアミノ酸の2つ又はそれ以上の異なる型を含むか、又は同じ天然にコードされないアミノ酸2個を含み得る。)。3以上の天然にコードされないアミノ酸を有するある一定のタンパク質の場合、天然にコードされないアミノ酸は、同じもの、異なるもの、又は、同じ種の複数の天然にコードされないアミノ酸と少なくとも1個の異なる天然にコードされないアミノ酸との組合せであり得る。
少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸を有する目的のタンパク質又はポリペプチドは、本発明の特徴である。本発明はまた、本発明の組成物及び方法を用いて産生された少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸を有する、ポリペプチド又はタンパク質も含む。賦形剤(以下に限定されないが、医薬として許容される賦形剤を含む。)もまた、タンパク質とともに存在し得る。
ある一定の実施形態において、タンパク質は、少なくとも1個の天然にコードされないアミノ酸及び少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。例えば、翻訳後修飾には、以下に限定されないが、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミタート付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、グリコシル化などが含まれる。ある態様において、翻訳後修飾は、GlcNAc−アスパラギン結合によるオリゴ糖(以下に限定されないが、(GlcNAc−Man)2−Man−GlcNAc−GlcNAc)など)のアスパラギンへの結合を含む。真核生物タンパク質のN結合型オリゴ糖の幾つかの例を列挙する表1を参照(図示されていないさらなる残基も存在し得る。)別の態様において、翻訳後修飾は、GalNAc−セリン若しくはGalNAc−スレオニン結合による、又はGlcNAc−セリン若しくはGlcNAc−スレオニン結合による、オリゴ糖(以下に限定されないが、Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどを含む。)の、セリン又はスレオニンへの結合を含む。
さらに別の態様において、翻訳後修飾は、前駆体(カルシトニン前駆体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド前駆体、プレプロ副甲状腺ホルモン、プレプロインシュリン、プロインシュリン、プレプロオピオメラノコルチン、プロ−オピオメラノコルチンなどが含まれるが、これらに限定されない。)のタンパク質分解プロセシング、マルチサブユニットタンパク質へのアセンブリーもしくは巨大分子アセンブリー、細胞の別の部位(以下に限定されないが、小胞体、ゴルジ装置、核、リソソーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、葉緑体、液胞などの細胞小器官へ、又は分泌経路を通じて、などを含む。)への変換を含む。ある一定の実施形態において、タンパク質は、分泌又は局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、GST融合などを含む。米国特許第4,963,495号及び第6,436,674号(参照により、本明細書中に組み込まれる。)は、hGHポリペプチドの分泌を改善するように設計された構築物を詳述している。
天然にコードされないアミノ酸の1つの長所は、これが、さらなる分子を付加するために使用できるさらなる化学部分を与えることである。真核又は非真核細胞においてインビボで、又はインビトロで、これらの修飾を行い得る。したがって、ある一定の実施形態において、翻訳後修飾は、天然にコードされないアミノ酸によるものである。例えば、翻訳後修飾は、求核−求電子反応によるものであり得る。タンパク質の選択的修飾のために現在使用されている殆どの反応は、以下に限定されないが、ヒスチジン又はシステイン側鎖とのα−ハロケトンの反応など、求核反応パートナーと求電子反応パートナーとの間での共有結合形成を含む。これらの事例での選択性は、タンパク質中の求核残基の数及び接近可能性により決定される。本発明のタンパク質において、非天然ケト−アミノ酸とヒドラジド又はアミノオキシ化合物とのインビトロ及びインビボでの反応など、より選択的な他の反応を使用することができる。例えば、Cornish et al.,(1996)J.Am.Chem.Soc.,118:8150−8151;Mahal et al.,(1997)Science,276:1125−1128;Wang et al.,(2001)Science 292:498−500;Chin et al.,(2002)J.Am.Chem.Soc.,124:9026−9027;Chin et al.,(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.,99:11020−11024;Wang et al.,(2003)Proc.Natl.Acad.Sci100:56−61;Zhang et al.,(2003)Biochemistry,42:6735−6746;及びChin et al.,(2003)Science 301:964−7、出版中を参照のこと(これらは全て、参照により、本明細書に組み込まれる。)。これにより、フルオロフォア、架橋剤、糖誘導体及び細胞毒性分子を含む多数の試薬による、事実上あらゆるタンパク質の選択的標識が可能となる。2003年1月16日に出願され、「Glycoprotein Synthesis」と題された米国特許出願10/686,944(参照により、本明細書中に組み込まれる。)も参照されたい。アジドアミノ酸を通じた(これを含むが、これに限定されない。)翻訳後修飾は、Staudinger連結(トリアリールホスフィン試薬を用いることを含むが、これに限定されない。)を通じて行うことも可能である。例えば、「Kiick et al.,(2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99:19−24」を参照されたい。
本発明は、タンパク質の選択的修飾のための別の高効率の方法を提供するが、この方法は、以下に限定されないが、セレクターコドンに反応してアジド又はアルキニル部分をタンパク質に含有させるなど、天然にコードされないアミノ酸の遺伝的取り込みを含む。次に、以下に限定されないが、Huisgen[3+2]付加環化反応(例えば、Padwa,A.,Comprehensive Organic Synthesis,Vol.4,(1991)Trost,B.M.,Pergamon編、Oxford,p.1069−1109;及びHuisgen,R.,1,3−Dipolar Cycloaddition Chemistry(1984)Padwa,A.編、Wiley,New York、p.1−176を参照。)などにより、以下に限定されないが、アルキニル又はアジド誘導体などをそれぞれ用いて、これらのアミノ酸側鎖を修飾することができる。この方法は、求核置換ではなく付加環化を含むので、非常に高い選択性でタンパク質を修飾することができる。Cu(I)塩の触媒量を反応混合物に添加することにより、優れた位置選択性(1,4>1,5)で、水性条件下、室温にてこの反応を行うことができる。例えば、「Tornoe, et al.,(2002) J.Org.Cham.67:3057−3064; and, Rostovtsev, et al.,(2002) Angew.Chem Int.Ed.41 :2596−2599」を参照されたい。使用できる別の方法は、テトラシステインモチーフを用いた、ビスヒ素化合物における配位子交換である(例えば、Griffinら、(1998)Science 281:269−272を参照のこと。)。
本発明のタンパク質に付加され得る分子には、アジド又はアルキニル誘導体を有する実質的にあらゆる分子が含まれる。分子には、以下に限定されないが、色素、蛍光、架橋剤、糖誘導体、ポリマー(以下に限定されないが、ポリエチレングリコールの誘導体など)、光架橋リンカー、細胞毒性化合物、親和性標識、ビオチンの誘導体、レジン、ビーズ、第二のタンパク質又はポリペプチド(又はさらなるもの。)、ポリヌクレオチド(以下に限定されないが、DNA、RNAなど)、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物などが含まれる。これらの分子は、アルキニル基を有する天然にコードされないアミノ酸(p−プロパルギルオキシフェニルアラニンが含まれるが、これに限定されない。)又はアジド基を有する非天然アミノ酸(それぞれ、p−アジド−フェニルアラニンが含まれるが、これに限定されない。)に付加することが可能である。
本発明のポリペプチドは、天然に存在する系ではコードされていないアミノ酸を付加し、又は置換するために修飾されたtRNA及びtRNAシンテターゼを用いて、インビボで、シュードモナス宿主細胞中において生成することが可能である。
天然に存在する系でコードされていないアミノ酸を使用する、tRNA及びアミノアシルtRNA合成酵素を生成させるための方法は、例えば、米国特許公報2003/0082575(第10/126,927号)及び2003/0108885号(第10/126,931号)(これらを参照により本明細書中に組み込む。)で述べられている。これらの方法は、翻訳系に対して内在性である、シンテターゼ及びtRNAとは独立に機能する(したがって、「オルソゴナル」と呼ばれることがある。)翻訳機構を生成させることを含む。通例、このシュードモナス翻訳系は、オルソゴナルtRNA(O−tRNA)及びオルソゴナルアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含む。通例、O−RSは、このシュードモナス翻訳系中に少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸を有するO−tRNAを優先的にアミノアシル化し、O−tRNAは、この系において他のtRNAにより認識されない少なくとも1個のセレクターコドンを認識する。したがって、この翻訳系は、コードされたセレクターコドンに反応して、この系で産生されたタンパク質に天然にコードされないアミノ酸を挿入し、それにより、コードされたポリペプチドの位置においてアミノ酸を「置換」する。
特定の合成アミノ酸をポリペプチド中に挿入するために、多岐にわたるオルソゴナルtRNA及びアミノアシルtRNAシンテターゼが当技術分野で述べられており、これらは一般に本発明での使用に適切である。例えば、ケト特異的O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼが、Wang,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 100:56−61(2003)及びZhang,Z.et al.,Biochem.42(22):6735−6746(2003)で述べられている。代表的なO−RS又はその一部はポリヌクレオチド配列によりコードされ、米国特許公報2003/0082575及び2003/0108885号(それぞれ、参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されているアミノ酸配列を含む。O−RSとともに使用するための対応するO−tRNA分子もまた、米国特許公報2003/0082575(第10/126,927号)及び2003/0108885号(第10/126,931号)(参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
アジド特異的O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼ系の例は、Chin,J.W.et al.,J.Am.Chem.Soc.124:9026−9027(2002)に記載されている。p−アジド−L−Pheに対するO−RS配列の代表例としては、米国特許第出願公開第2003/0108885(第10/126,931号)(参照により本明細書中に組み込む。)に開示されているように、以下に限定されないが、ヌクレオチド配列、配列番号:14から16及び29から32、並びにアミノ酸配列、配列番号:46から48及び61から64が挙げられる。本発明での使用に適切なO−tRNA配列の代表例としては、米国特許第出願公開第2003/0108885(第10/126,931号)(参照により本明細書中に組み込む。)に開示されているように、以下に限定されないが、ヌクレオチド配列、配列番号:1から3が挙げられる。特定の天然にコードされないアミノ酸に特異的なO−tRNA/アミノアシルL−tRNAシンテターゼペアのその他の例は、米国特許公報2003/0082575(第10/126,927号)(参照により本明細書中に組み込む。)で記載されている。S.セレビシエにおいてケト及びアジド含有アミノ酸の両方を取り込む、O−RS及びO−tRNAは、Chin,J.W.et al.,Science 301:964−967(2003)に記載されている。
O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼの使用は、天然にコードされないアミノ酸をコードする特定のコドンの選択を含む。あらゆるコドンを使用できるが、一般的には、O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼが発現される細胞において殆ど使用されないか、又は全く使用されないコドンを選択することが望ましい。例えば、代表的なコドンには、停止コドン(アンバー、オーカー及びオパール)などのナンセンスコドン、4又はそれ以上の塩基のコドン及び、殆ど使用されないか又は全く使用されないその他の天然の3塩基コドンが含まれる。
当技術分野で公知の突然変異誘発法(以下に限定されないが、部位特異的突然変異誘発法、カセット突然変異誘発法、制限選択突然変異誘発法などを含む。)を用いて、配列をコードするポリヌクレオチド中の適切な位置に特異的セレクターコドンを導入することができる。
天然にコードされないアミノ酸を取り込むために使用できる、O−RS、O−tRNA及びオルソゴナルO−tRNA/O−RSペアなどのタンパク質生合成機構の成分を生成させるための方法は、Wang,L.et al.,Science 292:498−500(2001);Chin,J.W.et al.,J.Am.Chem.Soc.124:9026−9027(2002);Zhang,Z.et al.,Biochemistry 42:6735−6746(2003)に記載されている。天然にコードされないアミノ酸のインビボ取り込みのための方法及び組成物は、米国特許公報2003/0082575(第10/126,927号)(参照により本明細書中に組み込む。)に記載されている。生物のインビボ翻訳系での使用のためのオルソゴナルtRNA−tRNAシンテターゼペアを選択する方法もまた、米国特許公報2003/0082575(第10/126,927号)及び2003/0108885(第10/126,931号)(参照により本明細書中に組み込む。)に記載されている。
少なくとも1つの組み換えオルソゴナルアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)を作製する方法は、(a)以下に限定されないが、メタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotorophicum)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、A.フルギドゥス(A.fulgidus)、P.フリオサス(P.furiosus)、P.ホリコシ(P.horikoshii)、A.ペルニクス(A.pernix)、T.サーモフィリス(T.thermophilus)などの原核生物又は真核生物などを含む、第一の生物から、少なくとも1つのアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)由来の(場合によっては突然変異体の)RSのライブラリを作製すること、(b)天然にコードされないアミノ酸及び天然アミノ酸の存在下で、オルソゴナルtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化するメンバーに対してRS(場合によっては突然変異体RS)のライブラリを選択(及び/又はスクリーニング)し、それにより活性のある(場合によっては突然変異体)RSのプールを提供することと;及び/又は(c)(場合によってはネガティブ選択によって)天然にコードされないアミノ酸の非存在下でO−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性RS(以下に限定されないが、突然変異体RSを含む。)に対するプールを選択して、それにより少なくとも1つの組み換えO−RSを提供すること、を含み;少なくとも1つの組み換えO−RSが天然にコードされないアミノ酸を伴うO−tRNAを優先的にアミノアシル化する。
ある実施形態において、RSは、不活性なRSである。活性RSに対して突然変異誘発を行うことにより、不活性RSを生成させることができる。例えば、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6又は少なくとも約10若しくはそれ以上のアミノ酸に対して、以下に限定されないがアラニンなどの、異なるアミノ酸へと突然変異誘発を行うことにより不活性RSを生成させることができる。
以下に限定されないが、タンパク質三次元RS構造に基づいた合理的設計又は、無作為もしくは合理的設計技術でのRSヌクレオチドの突然変異誘発などの当技術分野で公知の様々な技術を用いて、突然変異体RSのライブラリを作製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、多様性を生成する組み換え突然変異誘発、キメラ構築、合理的設計により、及び本明細書中に記載の、又は当技術分野で公知のその他の方法により、突然変異体RSを生成させることができる。
ある実施形態において、以下に限定されないが、天然にコードされないアミノ酸及び天然アミノ酸の存在下でオルソゴナルtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化するものなど、活性のあるメンバーに対してRS(場合によっては突然変異体RS)のライブラリを選択(及び/又はスクリーニング)することには、ポジティブ選択及びスクリーニングマーカー(以下に限定されないが抗生物質耐性遺伝子など)、RS(場合によっては突然変異体)のライブラリを複数の細胞に導入すること(ポジティブ選択及び/又はスクリーニングマーカーは、少なくとも1個の、以下に限定されないがアンバー、オーカー又はオパールコドンなどの、セレクターコドンを含む。);選択物質の存在下で複数の細胞を増殖させること;ポジティブ選択もしくはスクリーニングマーカーにおいて少なくとも1個のセレクターコドンを抑制することにより、選択及び/又はスクリーニング物質の存在下で生存している(又は特異的反応を示す)細胞を同定すること(これにより、活性(場合によっては突然変異体)RSのプールを含有するポジティブに選択された細胞のサブセットを提供する。)を含む。場合によっては、選択及び/又はスクリーニング物質濃度を変化させることができる。
ある態様において、ポジティブ選択マーカーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子であり、セレクターコドンは、CAT遺伝子におけるアンバー停止コドンである。場合によっては、ポジティブ選択マーカーは、β−ラクタマーゼ遺伝子であり、セレクターコドンは、β−ラクタマーゼ遺伝子におけるアンバー停止コドンである。別の態様において、正のスクリーニングマーカーは、蛍光又は発光性のスクリーニングマーカー又は親和性を利用したスクリーニングマーカー(以下に限定されないが、細胞表面マーカーなど)を含む。
ある実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の非存在下でO−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性RS(場合によっては突然変異体)に対するプールをネガティブに選択又はスクリーニングすることには、ネガティブ選択又はスクリーニングマーカーを、ポジティブ選択又はスクリーニングからの活性(場合によっては突然変異体)RSのプールとともに、第二の生物の複数の細胞に導入すること(このネガティブ選択又はスクリーニングマーカーは、少なくとも1個のセレクターコドンを含む(以下に限定されないが抗生物質耐性遺伝子(以下に限定されないが、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子など)を含む。)。);並びに天然にコードされないアミノ酸及びスクリーニング又は選択物質を補充した第一の培地において生存しているか又は特異的スクリーニング反応を示すが、天然にコードされないアミノ酸及び選択又はスクリーニング物質を補充しない第二の培地中で生存できないか又は特異的反応を示さない細胞を同定すること、を含み、それにより、少なくとも1つの組み換えO−RSを伴う、生存細胞又はスクリーニングされた細胞を与える。例えば、適切なO−RS組み換え体の決定において、CAT同定プロトコールは、場合によっては、ポジティブ選択及び/又はネガティブスクリーニングとして機能する。例えば、1又は複数の天然にコードされないアミノ酸の存在下、又は非存在下の何れかで、場合によっては、CATを含有する(少なくとも1個のセレクターコドンを含む)クローンのプールを増殖プレート上に複製する。したがって、天然にコードされないアミノ酸を含有するプレート上で専ら増殖するコロニーは、組み換えO−RSを含有するとみなされる。ある態様において、選択(及び/又はスクリーニング)物質の濃度が変化する。ある態様において、第一及び第二の生物は異なる。したがって、第一及び/又は第二の生物には、場合によっては、原核、真核、哺乳動物、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、真菌、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などが含まれる。他の実施形態において、スクリーニングマーカーは、蛍光もしくは発光性スクリーニングマーカー又は親和性に基づくスクリーニングマーカーを含む。
別の実施形態において、活性(場合によっては突然変異体)RSに対するプールをスクリーニング又は選択(以下に限定されないが、ネガティブ選択など)することは、活性のある突然変異体RSのプールをポジティブ選択段階(b)から単離すること;ネガティブ選択又はスクリーニングマーカー(ネガティブ選択又はスクリーニングマーカーは、少なくとも1個のセレクターコドンを含有する(以下に限定されないが、毒性マーカー遺伝子(以下に限定されないが、少なくとも1個のセレクターコドンを含む、リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子など)を含む。)。)及び活性のある(場合によっては突然変異体)RSのプールを第二の生物の複数の細胞に導入すること;並びに天然にコードされないアミノ酸が補充されていない第一の培地中で生存しているか又は特異的スクリーニング反応を示すが、天然にコードされないアミノが補充されている第二の培地中で生存できないか又は特異的スクリーニング反応を示さない細胞を同定すること、を含み、それにより、少なくとも1つの組み換えO−RS(この少なくとも1つの組み換えO−RSは、天然にコードされないアミノ酸に対して特異的である。)を伴う、生存細胞又はスクリーニングされた細胞を提供する。ある態様において、少なくとも1個のセレクターコドンとは、約2又はそれ以上のセレクターコドンを含む。このような実施形態には、場合によっては、少なくとも1個のセレクターコドンが2又はそれ以上のセレクターコドンを含む場合並びに第一及び第二の生物が異なる(以下に限定されないが、各生物には、場合によっては、原核、真核、哺乳動物、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、真菌、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などが含まれる。)場合が含まれ得る。また、いくつかの態様には、ネガティブ選択マーカーが、(少なくとも1個のセレクターコドンを含む)リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子を含む場合も含まれる。他の態様には、スクリーニングマーカーが、場合によっては、蛍光もしくは発光性スクリーニングマーカー又は親和性に基づくスクリーニングマーカーを含む場合が含まれる。本明細書中の実施形態において、スクリーニング及び/又は選択には、場合によっては、スクリーニング及び/又は選択ストリンジェンシーの変更が含まれる。
ある実施形態において、少なくとも1つの組み換えオルソゴナルアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)を生成させるための方法はさらに、(d)少なくとも1つの組み換えO−RSを単離すること;(e)少なくとも1つの組み換えO−RS由来の第二のO−RSのセット(場合によっては突然変異)を生成させること;並びに(f)O−tRNAを優先的にアミノアシル化する能力を含む突然変異O−RSが得られるまで段階(b)及び(c)を繰り返すこと、を含み得る。場合によっては、以下に限定されないが少なくとも約2回など、段階(d)−(f)を繰り返す。ある態様において、以下に限定されないがランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、組み換え又はそれらの組合せなどの、突然変異誘発により、少なくとも1つの組み換えO−RS由来の第二の突然変異O−RSのセットを生成させることができる。
上述の方法における、以下に限定されないが、ポジティブ選択/スクリーニング段階(b)、ネガティブ選択/スクリーニング段階(c)又はポジティブ及びネガティブ選択/スクリーニング段階(b)及び(c)の両方などの、選択/スクリーニング段階のストリンジェンシーは、場合によっては、選択/スクリーニングストリンジェンシーを変更することを含む。別の実施形態において、ポジティブ選択/スクリーニング段階(b)、ネガティブ選択/スクリーニング段階(c)又はポジティブ及びネガティブ選択/スクリーニング段階(b)及び(c)の両方は、レポーターを使用することを含み、この場合、蛍光活性化細胞分類(FACS)によりレポーターを検出するか、又は発光によりレポーターを検出する。場合によっては、ファージディスプレイなどで、レポーターを細胞表面に提示し、天然にコードされないアミノ酸又は類縁体に関する親和性又は触媒活性に基づき、選択する。ある実施形態において、ファージディスプレイなどで、突然変異されたシンテターゼを細胞表面に表示する。
組み換えオルソゴナルtRNA(O−tRNA)を生成させるための方法は、(a)第一の生物から、以下に限定されないがサプレッサーtRNAなどの少なくとも1つのtRNA由来の突然変異体tRNAのライブラリを作製すること;(b)第一の生物からのRSの非存在下で、第二の生物由来のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化される(場合によっては突然変異体)tRNAに対してライブラリの、選択(以下に限定されないが、ネガティブ選択など)又はスクリーニングを行うことと(これにより、tRNA(場合によっては突然変異体)のプールが与えられる。);並びに(c)導入されたオルソゴナルRS(O−RS)によりアミノアシル化されるメンバーに対してtRNA(場合によっては突然変異体)のプールを選択又はスクリーニングすることと(これにより、少なくとも1つの組み換えO−tRNAが与えられる。)を含み;この少なくとも1つの組み換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第二の生物由来のRSにより効率的に認識されず、O−RSにより優先的にアミノアシル化される。ある実施形態において、少なくとも1つのtRNAは、サプレッサーtRNAであり、及び/又は、天然及び/又は非天然塩基のユニークな3塩基コドンを含むか、又はナンセンスコドン、レアコドン、非天然コドン、少なくとも4塩基を含むコドン、アンバーコドン、オーカーコドンもしくはオパール停止コドンである。ある実施形態において、組み換えO−tRNAは、オルソゴナルが向上している。当然のことながら、ある実施形態において、O−tRNAは、改変の必要なく、場合によっては、第二の生物から第一の生物に持ち込まれる。様々な実施形態において、第一及び第二の生物は、同じであるか又は異なり、場合によっては、以下に限定されないが、原核生物(以下に限定されないが、メタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、ハロバクテリウム(Halobacterium)など)、真核生物、哺乳動物、真菌、酵母、古細菌、真正細菌、植物、昆虫、原生生物などから選択される。さらに、組み換えtRNAは、場合によっては、天然にコードされないアミノ酸によりアミノアシル化され、この場合、この天然にコードされないアミノ酸は、天然に又は遺伝子操作によりインビボで生合成される。天然にコードされないアミノ酸は、場合によっては、少なくとも第一又は第二の生物用の増殖培地に添加される。
ある態様において、アミノアシル−tRNAシンテターゼによりアミノアシル化される(場合によっては突然変異体)tRNAに対してライブラリの選択(以下に限定されないが、ネガティブ選択を含む)又はスクリーニングを行うこと(段階(b))は、第二の生物由来の複数の細胞に毒性マーカー遺伝子(この場合、この毒性マーカー遺伝子は、セレクターコドンの少なくとも1つ(又は毒性もしくはスタティック(static)物質の産生を導く遺伝子又は生物にとって必須の遺伝子(このようなマーカー遺伝子は少なくとも1個のセレクターコドンを含む。))を含む。)及び(場合によっては突然変異体)tRNAのライブラリを導入すること;生存細胞を選択すること(この場合、生存細胞は、少なくとも1つのオルソゴナルtRNA又は非機能的tRNAを含む(場合によっては突然変異体)tRNAのプールを含有する。)を含む。例えば、比較比率細胞密度アッセイを用いて、生存細胞を選択することができる。
別の態様において、毒性マーカー遺伝子は、2又はそれ以上のセレクターコドンを含み得る。この方法の別の実施形態において、毒性マーカー遺伝子は、リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子であり、このリボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子は、少なくとも1つのアンバーコドンを含む。場合によっては、リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子は、2つ又はそれ以上のアンバーコドンを含み得る。
ある実施形態において、導入されたオルソゴナルRS(O−RS)によりアミノアシル化されるメンバーに対して(場合によっては突然変異体)tRNAのプールを選択又はスクリーニングすることは、ポジティブ選択又はスクリーニングマーカー遺伝子(この正のマーカー遺伝子は、薬物耐性遺伝子(以下に限定されないが、O−RSとともに、少なくとも1つのアンバー停止コドンなどのセレクターコドンの少なくとも1つを含むβ−ラクタマーゼ遺伝子など)又はその生物に必須の遺伝子又は毒性物質の解毒を導く遺伝子を含む。)及び(場合によっては突然変異体)tRNAのプールを第二の生物由来の複数の細胞に導入することと;以下に限定されないが抗生物質を含む、選択又はスクリーニング物質存在下で増殖させた、生存している又はスクリーニングされた細胞を同定することと(これにより少なくとも1つの組み換えtRNAを有する細胞のプールを与える。)を含み、この少なくとも1つの組み換えtRNAは、O−RSによりアミノアシル化され、少なくとも1個のセレクターコドンに応答して、正のマーカー遺伝子によりコードされる翻訳産物にアミノ酸を挿入する。別の実施形態において、選択及び/又はスクリーニング物質の濃度が変更される。
特異的なO−tRNA/O−RSのペアを生成させるための方法が与えられる。方法は、(a)第一の生物からの少なくとも1つのtRNA由来の突然変異体tRNAのライブラリを作製することと;(b)第一の生物由来のRS非存在下で、第二の生物由来のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化される(場合によっては突然変異体)tRNAに対してライブラリをネガティブに選択又はスクリーニングすることと(これにより、(場合によっては突然変異体)tRNAのプールが与えられる。);(c)導入されたオルソゴナルRS(O−RS)によりアミノアシル化されるメンバーに対して(場合によっては突然変異体)tRNAのプールを選択又はスクリーニングすること(これにより、少なくとも1つの組み換えO−tRNAが与えられる。)を含む。少なくとも1つの組み換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第二の生物由来のRSにより効率的に認識されず、O−RSにより優先的にアミノアシル化される。この方法はまた、(d)第三の生物からの少なくとも1つのアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)由来の(場合によっては突然変異体)RSのライブラリを作製することと;(e)天然にコードされないアミノ酸及び天然アミノ酸の存在下で、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化するメンバーに対して突然変異体RSのライブラリを選択又はスクリーニングすること(これにより、活性(場合によっては突然変異体)RSのプールが与えられる。);(f)天然にコードされないアミノ酸非存在下で、少なくとも1つの組み換えO−tRNAを優先的にアミノアシル化する活性な(場合によっては突然変異体の)RSに対して前記プールをネガティブに選択又はスクリーニングすること(これにより、少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSペアが与えられる。)を含み、少なくとも1つの特異的O−tRNA/O−RSペアは、天然にコードされないアミノ酸に対して特異的な少なくとも1つの組み換えO−RS及び少なくとも1つの組み換えO−tRNAを含む。この方法により生成された特異的なO−tRNA/O−RS対が含まれる。例えば、特異的O−tRNA/O−RSペアには、以下に限定されないが、mutRNATyr−mutTyrRSペア、例えばmutRNATyr−SS12TyrRSペア、mutRNALeu−mutLeuRSペア、mutRNAThr−mutThrRSペア、mutRNAGlu−mutGluRSペアなどが含まれ得る。さらに、このような方法は、第一及び第三の生物が同じである(以下に限定されないが、Methanococcus jannaschii(メタノコッカス・ジャナシ)など)場合を含む。
第二の生物のインビボでの翻訳系において使用するためのオルソゴナルtRNA−tRNAシンテターゼペアを選択するための方法もまた本発明に含まれる。この方法は、マーカー遺伝子、tRNA及び、第一の生物から単離された、又はこれに由来する、アミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)を第二の生物由来の細胞の第一のセットに導入すること;マーカー遺伝子及びtRNAを第二の生物由来の2つ組の細胞セットに導入すること;2つ組の細胞セットにおいて生存できない第一のセットにおける生存細胞に対する選択を行うか、又は2つ組の細胞セットにおいてこのような反応を与えられない、特異的なスクリーニング応答を示す細胞に対するスクリーニングを行うこと、を含み、この場合、第一のセット及び2つ組の細胞セットを選択又はスクリーニング物質存在下で増殖させ、生存細胞又はスクリーニングされた細胞は、第二の生物のインビボでの翻訳系での使用のためのオルソゴナルtRNA−tRNAシンテターゼペアを含む。ある実施形態において、比較及び選択又はスクリーニングを行うことは、インビボ相補性アッセイを含む。選択又はスクリーニング物質の濃度は変更することができる。
本発明の生物は、様々な生物及び様々な組合せを含む。例えば、本発明の方法の第一及び第二の生物は、同じであるか又は異なり得る。ある実施形態において、生物は、場合により、メタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、エシェリヒア・コリ(Esherichia coli)、A.フルギドゥス(A.fulgidus)、P.フリオサス(P.furiosus)、P.ホリコシ(P.horikoshii)、A.ペルニクス(A.pernix)、T.サーモフィラス(T.thermophilus)などの(これらに限定されない。)原核生物である。あるいは、生物は、場合によって、植物(単子葉植物又は双子葉植物などの複雑な植物を含むが、これらに限定されない。)、藻類、原生生物、真菌(酵母などを含むが、これに限定されない。)、動物(哺乳動物、昆虫、節足動物などを含むが、これらに限定されない。)などを含む(これらに限定されない。)真核生物を含む。別の実施形態において、第二の生物は、メタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、エシェリヒア・コリ(Esherichia coli)、A.フルギドゥス(A.fulgidus)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、P.フリオサス(P.furiosus)、P.ホリコシ(P.horikoshii)、A.ペルニクス(A.pernix)、T.サーモフィラス(T.thermophilus)などの(これらに限定されない。)原核生物である。あるいは、第二の生物は、酵母、動物細胞、植物細胞、真菌、哺乳動物細胞などを含む(これらに限定されない。)真核生物とすることが可能である。様々な実施形態において、第一及び第二の生物は異なる。
天然にコードされない多様なアミノ酸が、ポリペプチド中の所定の位置に対して置換され、又はポリペプチド中の所定の位置に取り込まれることが可能である。一般に、具体的な天然にコードされないアミノ酸は、その受容体又は適宜その他の結合対を伴うポリペプチドの三次元結晶構造の調査、保存的置換に対する選好性(すなわち、Phe、Tyr又はTrpを置換するp−アセチルフェニルアラニン又はO−プロパルギルチロシンなど、アリールをベースとした天然にコードされないアミノ酸)及びポリペプチド中への導入を希望する特異的な抱合化学(例えば、アルキン部分を有する水溶性ポリマーを用いたHuisgen[3+2]環化付加、又はアリールエステルを有し、続いて、ホスフィン部分を取り込む水溶性ポリマーを用いたアミド結合形成を実施することを望む場合には、4−アジドフェニルアラニンの導入)に基づいて、取り込みのために選択される。
ある実施形態において、本発明はさらに、タンパク質中に天然にコードされないアミノ酸を取り込むこと(この非天然アミノ酸は、第一の反応基を含む。);及び第二の反応性基を含む分子(以下に限定されないが、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋リンカー、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質又はポリペプチドもしくはポリペプチド類縁体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、阻害的リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチン誘導体、ビオチン誘導体、ビオチン類縁体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレート基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、小分子又は上記のあらゆる組み合わせ又は他のあらゆる望ましい化合物若しくは物質を含む。)と、タンパク質を接触させること、を含む。第一の反応性基が第二の反応性基と反応して、[3+2]付加環化を介して天然にコードされないアミノ酸に分子を付着させる。ある実施形態において、第一の反応基は、アルキニル又はアジド部分であり、第二の反応性基はアジド又はアルキニル部分である。例えば、第一の反応性基は、アルキニル部分(以下に限定されないが、天然にコードされないアミノ酸、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンにおいて、など)であり、第二の反応性基はアジド部分である。別の例において、第一の反応性基はアジド部分であり(以下に限定されないが、非天然アミノ酸、p−アジド−L−フェニルアラニンにおいて、など)、第二の反応性基はアルキニル部分である。
ある場合において、天然にコードされないアミノ酸置換は、ポリペプチド内の他の付加、置換又は欠失と組み合わされて、ポリペプチドの他の生物学的特性に影響を与える。ある場合において、他の、付加、置換又は欠失により、ポリペプチドの安定性(以下に限定されないが、タンパク質分解性の分解に対する抵抗性など。)が向上するか、又はポリペプチド受容体に対するポリペプチドの親和性が向上し得る。ある場合において、他の、付加、置換又は欠失により、ポリペプチドの溶解性(以下に限定されないが、シュードモナス宿主細胞で発現させた場合など。)が増加し得る。幾つかの実施形態において、付加、置換又は欠失により、E.コリ又はその他の組み換え宿主細胞での発現後、ポリペプチド溶解性が増加し得る。幾つかの実施形態において、シュードモナス組み換え宿主細胞での発現後、ポリペプチド溶解性の増加をもたらす非天然アミノ酸取り込みのための別の部位に加えて、天然コードアミノ酸又は非天然アミノ酸での置換のために部位を選択する。幾つかの実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチド受容体に対する親和性を調節する、受容体二量体化を調節する(増加又は減少が含まれるが、これらに限定されない。)、受容体二量体を安定化する、循環半減期を調節する、放出もしくは生物利用可能性を調節する、精製を促進するか、又は特定の投与経路を改善するかもしくは変更する、別の付加、置換又は欠失を含む。同様に、ポリペプチドは、プロテアーゼ切断配列、反応基、抗原結合ドメイン(以下に限定されないが、FLAG又はポリ−Hisなど)又はその他の親和性ベースの配列(以下に限定されないが、FLAG、ポリ−His、GSTなど)又は、検出(以下に限定されないが、GFPなど)、精製又はポリペプチドのその他の特性を改善する連結された分子(以下に限定されないが、ビオチンなど。)を含むことが可能である。
VII.シュードモナス種及びその株中での発現
クローニングしたポリヌクレオチドの高レベル発現を得るために、通例、転写、転写/翻訳ターミネーターを支配するための強力なプロモーターを含有し、タンパク質をコードする核酸に対する場合は、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクター中に、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをサブクローニングする。適切な細菌プロモーターは、当業者に公知であり、例えば、Sambrookら及びAusubel et al.,に記載されている。
クローニングしたポリヌクレオチドの高レベル発現を得るために、通例、転写、転写/翻訳ターミネーターを支配するための強力なプロモーターを含有し、タンパク質をコードする核酸に対する場合は、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクター中に、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをサブクローニングする。適切な細菌プロモーターは、当業者に公知であり、例えば、Sambrookら及びAusubel et al.,に記載されている。
本発明のポリペプチドを発現させるための細菌発現系は、以下に限定されないが、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・ジミヌタ(diminuta)、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)並びにその他のシュードモナス種及びこれらに由来する株において利用可能である。O−tRNA/O−RS対を含むシュードモナス細胞は、本明細書に記載されているように使用することが可能である
本発明の真核宿主細胞又は非真核宿主細胞により、培養されているシュードモナス細胞から、大量の有用な量で天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を合成することができるようになる。ある態様において、前記組成物は、場合によっては、以下に限定されないが、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を少なくとも10マイクログラム、少なくとも50マイクログラム、少なくとも75マイクログラム、少なくとも100マイクログラム、少なくとも200マイクログラム、少なくとも250マイクログラム、少なくとも500マイクログラム、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも100ミリグラム、少なくとも1グラム、少なくとも10グラム、少なくとも50グラム若しくはそれ以上含むか、又はインビボタンパク質産生方法により大規模で達成され得る量を含む(組み換えタンパク質産生及び精製に対する詳細は本明細書中に記載されている。)。別の態様において、このタンパク質は、場合によっては、以下に限定されないが、例えば、細胞可溶化液、緩衝液、医薬緩衝液、培地又はその他の懸濁液などの中で(以下に限定されないが、約1nLから約100L又はそれ以上などの何れかの体積で)、以下に限定されないが、1Lあたり少なくともタンパク質10マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質50マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質75マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク100マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質200マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質250マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質500マイクログラム、1Lあたり少なくとも1ミリグラム又は1Lあたり少なくともタンパク質10ミリグラム、1Lあたり少なくともタンパク質50ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質100ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質500ミリグラム、1Lあたり少なくともタンパク質1000ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質1グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質5グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質10グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質20グラム若しくはそれ以上の濃度で、組成物中に存在する。少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む真核細胞中でのタンパク質の大量産生(以下に限定されないが、他の方法(以下に限定されないが、インビトロ翻訳など)で通常可能なものを超える量など)は、本発明の特徴である。
本発明の真核宿主細胞又は非真核宿主細胞により、培養されているシュードモナス細胞から、大量の有用な量で天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を合成することができるようになる。ある態様において、前記組成物は、場合によっては、以下に限定されないが、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を少なくとも10マイクログラム、少なくとも50マイクログラム、少なくとも75マイクログラム、少なくとも100マイクログラム、少なくとも200マイクログラム、少なくとも250マイクログラム、少なくとも500マイクログラム、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも100ミリグラム、少なくとも1グラム、少なくとも10グラム、少なくとも50グラム若しくはそれ以上含むか、又はインビボタンパク質産生方法により大規模で達成され得る量を含む(組み換えタンパク質産生及び精製に対する詳細は本明細書中に記載されている。)。別の態様において、このタンパク質は、場合によっては、以下に限定されないが、例えば、細胞可溶化液、緩衝液、医薬緩衝液、培地又はその他の懸濁液などの中で(以下に限定されないが、約1nLから約100L又はそれ以上などの何れかの体積で)、以下に限定されないが、1Lあたり少なくともタンパク質10マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質50マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質75マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク100マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質200マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質250マイクログラム、1Lあたり少なくともタンパク質500マイクログラム、1Lあたり少なくとも1ミリグラム又は1Lあたり少なくともタンパク質10ミリグラム、1Lあたり少なくともタンパク質50ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質100ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質500ミリグラム、1Lあたり少なくともタンパク質1000ミリグラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質1グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質5グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質10グラム、又は1Lあたり少なくともタンパク質20グラム若しくはそれ以上の濃度で、組成物中に存在する。少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む真核細胞中でのタンパク質の大量産生(以下に限定されないが、他の方法(以下に限定されないが、インビトロ翻訳など)で通常可能なものを超える量など)は、本発明の特徴である。
本発明のシュードモナス宿主細胞により、大量の有用な量で天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を生合成することができるようになる。例えば、細胞抽出液、細胞可溶化液、培養液、緩衝液などの中で、以下に限定されないが、少なくとも、タンパク質10μg/リットル、少なくとも50μg/リットル、少なくとも75μg/リットル、少なくとも100μg/リットル、少なくとも200μg/リットル、少なくとも250μg/リットル又は少なくとも500μg/リットル、少なくとも1mg/リットル、少なくとも2mg/リットル、少なくとも3mg/リットル、少なくとも4mg/リットル、少なくとも5mg/リットル、少なくとも6mg/リットル、少なくとも7mg/リットル、少なくとも8mg/リットル、少なくとも9mg/リットル、少なくとも10mg/リットル、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900mg/リットル、1g/リットル、5g/リットル、10g/リットル又はそれ以上などの濃度で、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質を産生させることができる。
細菌発現技術は、当業者に公知である。細菌宿主での使用に対して多岐にわたるベクターが利用可能である。ベクターは、シングルコピー又は低コピーもしくは高多コピーベクターであり得る。ベクターは、クローニング及び/又は発現に役立ち得る。ベクターに関する豊富な文献、多くのベクターが市販されていること、並びにベクター及びそれらの制限地図及び特性を記載するマニュアルを考慮すると、本明細書中で幅広い考察を行う必要はない。周知のとおり、ベクターは通常、選択を可能にするマーカーを含み、このマーカーは、細胞毒性物質耐性、原栄養性又は免疫性を規定し得る。しばしば、複数のマーカーが存在し、これらが様々な特性を提供する。
細菌性プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼを結合し、コード配列(例えば構造遺伝子)のmRNAへの下流(3’)転写を開始することができる何らかのDNA配列である。プロモーターは、通常、コード配列の5’末端に近接して配置される転写開始領域を有する。この転写開始領域は、典型的には、RNAポリメラーゼ結合部位及び転写開始部位を含む。細菌プロモーターはまた、オペレーターと呼ばれる第二のドメインも有し得、これは、RNA合成が開始される隣接するRNAポリメラーゼ結合部位と重複し得る。遺伝子リプレッサータンパク質がオペレーターに結合し得、それにより特異的遺伝子の転写が抑制されるので、オペレーターにより、負に制御された(誘導型)転写が可能となる。オペレーターなどの負の制御エレメントの非存在下で恒常的発現が起こり得る。さらに、遺伝子活性化タンパク質結合配列により、正の制御を行い得、これは、存在する場合、通常、RNAポリメラーゼ結合配列に対して近位(5’)にある。遺伝子活性化タンパク質の一例は、カタボライト活性化タンパク質(CAP)であり、これは、エシェリヒア・コリ(Eschericia coli)において、lacオペロンの転写開始を補助する(Raibaud et al.,ANNU.REV.GENET.(1984)18:173)。したがって、制御された発現は、正又は負の何れかのものであり得、それにより、転写が促進されるか又は抑制させる。
代謝経路酵素をコードする配列は、特に、有用なプロモーター配列を与える。一例として、ガラクトース、ラクトース(lac)(Chang et al.,NATURE(1977)198:1056)及びマルトースなどの糖代謝酵素由来のプロモーター配列が挙げられる。さらなる例としては、トリプトファン(trp)(Goeddel et al.,NUC.ACIDS RES.(1980)8:4057;Yelverton et al.,NUCL.ACIDS RES.(1981)9:731;米国特許第4,738,921号;EPO公開第036776号及び同第121775号(参照により本明細書中に組み込む。))などの生合成酵素由来のプロモーター配列が挙げられる。β−ラクタマーゼ(bla)プロモーター系(Weissmann(1981)「The cloning of interferon and other mistakes.」Interferon3(I.Gresser編))、バクテリオファージλPL[Shimatake et al.,NATURE(1981)292:128]及びT5[米国特許第4,689,406号、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。]プロモーター系もまた有用なプロモーター配列を与える。本発明の好ましい方法は、T7プロモーターなどの強力なプロモーターを利用して、高レベルでhGHポリペプチドを誘導する。このようなベクターの例は当業者に公知であり、NovagenからのpET29シリーズ及びWO99/05297(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載のpPOPベクターが含まれる。このような発現系は、宿主細胞生存能又は増殖パラメータを害することなく宿主においてポリペプチドの高いレベルを産生する。
さらに、天然にはない合成プロモーターもまた、細菌プロモーターとして機能する。例えば、ある細菌又はバクテリオファージプロモーターの転写活性化配列を別の細菌又はバクテリオファージプロモーターのオペロン配列と連結させて、合成ハイブリッドプロモーターを作製し得る(米国特許第4,551,433号(参照により本明細書中に組み込む。))。例えば、tacプロモーターは、trpプロモーターと、lacリプレッサーにより制御されるlacオペロン配列の両方からなる、ハイブリッドtrp−lacプロモーターである(Amann et al.,GENE(1983)25:167;de Boer et al.,PROC.NATL.ACAD.SCI.(1983)80:21)。さらに、細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼに結合し、転写を開始させることができる非細菌由来の天然プロモーターを含み得る。原核生物におけるいくつかの遺伝子を高レベルで発現させるために、非細菌由来の天然プロモーターを適合するRNAポリメラーゼと組み合わせることもできる。バクテリオファージT7RNAポリメラーゼ/プロモーター系は、組み合わされたプロモーター系の一例である(Studier et al.,J.MOL.BIOL.(1986)189:113;Tabor et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1985)82:1074)。さらに、ハイブリッドプロモーターはまた、バクテリオファージプロモーター及びE.コリオペレーター領域から構成され得る(EPO公開第267851)。
機能するプロモーター配列に加え、原核細胞での外来遺伝子の発現に対しては効率的なリボソーム結合部位も有用である。E.コリにおいて、リボソーム結合部位は、Shihe−Dalgarno(SD)配列と呼ばれ、開始コドン(ATG)及び開始コドンの3から11ヌクレオチド上流に位置する3−9ヌクレオチド長の配列を含む(Shihe et al.,NATURE(1975)254:34)。SD配列は、SD配列とE.コリ16S rRNAの3’末端との間の塩基の対合によりmRNAのリボソームへの結合を促進すると考えられる(Steitz et al.,「Genetic signals and nuceltide sequenses in messenger RNA」、Biological Regulation and Development:Gene Expression(R.F.Goldberger編、1797))。弱いリボソーム結合部位を有する真核遺伝子及び原核遺伝子を発現させるために(Sambrook et al.,「Expression of cloned genes in Escherichia coli」、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.1989)。
「シュードモナス宿主」又は「シュードモナス宿主細胞」という用語は、組み換えベクター又はその他のトランスファーDNAに対するレシピエントとして使用することができる、又は使用されてきたシュードモナス種又はシュードモナス種に由来する株を指す。この用語は、形質移入されたオリジナルの細菌宿主細胞の子孫を含む。偶然又は意図的な突然変異のために、単一の親細胞の子孫は、オリジナルの親に対して形態もしくはゲノムDNAもしくはトータルDNA相補体が必ずしも完全に同一である必要はない事を理解されたい。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在など適切な特性を特徴とする親と十分に類似している親細胞の子孫は、この定義により意図される子孫に含まれる。
ポリペプチドの発現に適切なシュードモナス宿主細菌の選択は、当業者にとって公知である。発現のための細菌宿主の選択において、適切なシュードモナス宿主は、とりわけ、優れた封入体形成能、低タンパク質分解活性及び全体的な頑強性を有することを示すものを含み得る。シュードモナス宿主は通常、以下に限定されないが、Bacterial Genetic Stock Center,Department of Biophysics and Medical Physics,University of California(Berkeley,CA)及びAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)(Manassas、VA)などの様々なソースから入手可能である。本発明の方法の別の実施形態において、宿主細胞は、以下に限定されないがOMP−及びLON−などの、プロテアーゼマイナス株である。宿主細胞株は、以下に限定されないが、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エアルギノサ(Pseudomonas aeruginos)及び(シュードモナス・プチダ)Pseudomonas putida)などのシュードモナスの種である。シュードモナス・フルオレセンス次亜種(MB101と表記される。)が、タンパク質産生のために使用可能である。シュードモナス・フルオレセンスのある種の株が、The Dow Chemical Company(Midland,MI、dow.comにおいてWorld Wide Webで利用可能。)によって、宿主株として記載されている。米国特許第4,755,465号及び同第4,859,600号(本明細書中に参照により組み込む。)は、ポリペプチド産生のための宿主細胞としてのシュードモナス株の使用について述べている。
シュードモナス宿主細胞株を確立(即ち、発現構築物を宿主細胞に導入し、正しい発現構築物を有する宿主細胞を単離する。)した後、ポリペプチドの産生に適切な条件下でその組み換え宿主細胞株を培養する。当業者にとって当然のことながら、組み換え宿主細胞株の培養方法は、利用する発現構築物の性質及び宿主細胞の種類に依存する。当業者にとって公知である方法を用いて組み換え宿主株を普通に培養する。組み換え宿主細胞は、典型的には、炭素、窒素及び無機塩の同化可能なソースを含有し、場合によっては、当業者にとって周知である、ビタミン、アミノ酸、増殖因子及びその他のタンパク性の培地補助物質を含有する液体培地中で培養する。宿主細胞培養用の液体培地は、望ましくない微生物の増殖を防ぐために抗生物質又は抗真菌剤を場合によっては含有し得、及び/又は、発現ベクターを含有する宿主細胞を選択するために、以下に限定されないが抗生物質などの化合物を含有し得る。
組み換え宿主細胞をバッチ又は連続様式の何れかで培養し、細胞を回収するか(ポリペプチドが細胞内に蓄積する場合。)、又はバッチ又は連続様式で培養上清を回収し得る。原核生物宿主細胞で産生を行う場合、バッチ培養及び細胞回収が好ましい。原核生物宿主細胞で産生を行う場合、バッチ培養及び細胞回収が好ましい。
組換えポリペプチドは、通常、組換え系での発現後に精製される。ポリペプチドは、本分野で公知の様々な方法によって、宿主細胞又は培地から精製され得る。シュードモナス宿主細胞中で産生されたポリペプチドは、溶解性が低いか、又は不溶性である(封入体形態において)。不溶性タンパク質の場合、遠心分離により宿主細胞可溶化液からタンパク質を回収し得、さらに続いて、細胞のホモジェナイズを行い得る。溶解性の乏しいタンパク質の場合、化合物(以下に限定されないが、ポリエチレンイミン(PEI)を含む。)を添加して、ある程度可溶性のタンパク質の沈殿を誘導し得る。次に、沈殿したタンパク質を従来どおり遠心分離により回収し得る。当業者にとって公知である様々な方法を用いて、組換え宿主細胞を破壊又はホモジェナイズして細胞内から封入体を放出させ得る。以下に限定されないが、酵素的細胞破壊、超音波破砕、ダウンス型ホモジェナイズ又は高圧放出破壊法などの周知の技術を用いて、宿主細胞破壊又はホモジェナイズを行い得る。本発明の方法の一実施形態において、高圧放出技術を使用して、シュードモナス宿主細胞を破壊し、hIFNポリペプチドの封入体を放出させ得る。
次に、当技術分野で公知の多くの適切な可溶化剤の何れかを用いて、不溶性のポリペプチド又は沈殿したポリペプチドを可溶化し得る。好ましくは、ポリペプチドは、尿素又は塩酸グアニジンを用いて可溶化し得る。都合よく操作できるバッチサイズを用いて大きなバッチを産生できるように、可溶化されたポリペプチド−BPの体積は最少に抑えるべきである。数千リットルもの体積であるバッチにおいて組み換え宿主を増殖させ得る大規模な工業的設定において、この要素は重要であり得る。さらに、大規模な工業的設定でポリペプチドを製造する場合、特にヒトの医薬品の用途の場合、機械類もしくは容器類又はタンパク質産物そのものに損傷を与え得る強い化学物質の回避は、可能であれば避けるべきである。
融合タンパク質としてが産生される場合には、好ましくは、融合配列は除去され得る。酵素的又は化学的切断によって、好ましくは酵素的切断によって、融合配列の除去を行い得る。当業者にとって周知の方法を用いて、融合配列の酵素的除去を行い得る。融合配列を除去するための酵素の選択は、融合物が何であるかによって決まり、当業者にとって当然のことながら、反応条件は選択した酵素によって特定される。切断されたポリペプチドは、好ましくは、切断された融合配列から、当業者に周知の方法により精製され得る。当業者にとって当然のことながら、融合配列及びポリペプチドが何であるか及びそれらの特性により、このような方法が決定される。精製方法には、以下に限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーもしくは透析又はそれらの何らかの組合せが含まれ得る。
タンパク質溶液からDNAを除去するために、好ましくは、ポリペプチドも精製され得る。沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーなど、何らかの適切な当技術分野で公知の方法により、DNAを除去し得るが、以下に限定されないが硫酸プロタミンなどの、核酸沈殿剤を用いた沈殿により、好ましくは除去され得る。以下に限定されないが遠心分離又はろ過などの、標準的な周知の方法を用いて、沈殿されたDNAからポリペプチドを分離し得る。ヒトを治療するためにポリペプチドを使用すべき状況において、宿主核酸分子の除去は重要な要素であり、本発明の方法により、宿主細胞DNAが医薬として許容されるレベルに低下する。
小規模又は大規模発酵の方法はまた、以下に限定されないが、発酵槽、振盪フラスコ、流動層バイオリアクター、中空ファイバーバイオリアクター、ローラーボトル培養系及び撹拌タンクバイオリアクター系など、タンパク質発現において使用することもできる。バッチ、半回分式又は連続様式過程において、これらの方法のそれぞれを行うことができる。
次の代表的な操作の何れかを本発明のポリペプチドの精製に用いることができる:アフィニティークロマトグラフィー;陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー以下に限定されないが、DEAE SEPHAROSEなどを用いる。);シリカにおけるクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(以下に限定されないが、SEPHADEX G−75などを用いる。);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/透析ろ過;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;等電点電気泳動;置換クロマトグラフィー;電気泳動操作(以下に限定されないが、分取等電点電気泳動を含む。)、異なる溶解度(differential solubility)(以下に限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿を含む。)、SDS−PAGE又は抽出。
当業者にとって公知であり、当業者により使用されている標準的手段に従い、以下に限定されないが天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質に対する抗体、天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質に対する結合対などを含む、本発明のタンパク質を、部分的に又は実質的に均一になるように精製することができる。したがって、以下に限定されないが硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸もしくは塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法などを含む、当業者に公知の多くの方法の何れかにより、本発明のポリペプチドを回収及び精製することができる。正しく折り畳まれた成熟タンパク質の生成において、所望のとおりに、タンパク質再折り畳み段階を使用することができる。高純度が望まれる最終精製段階において、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー又はその他の適切な方法を利用することができる。一実施形態において、以下に限定されないが、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質又の親和性を利用した精製のためなど、天然にコードされないアミノ酸(又は天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質)に対して作製された抗体を精製試薬として使用する。望みどおり、ある程度又は均一になるまで精製した後、以下に限定されないがアッセイ成分、治療剤、予防剤、診断薬、研究試薬及び/又は抗体産生のための免疫原などとして、ポリペプチドを多岐にわたる用途に場合によっては使用する。
本明細書で示した他の参考文献に加えて、様々な精製/タンパク質折り畳み法が当業者に公知であり、これには、以下に限定されないが、R.Scopes、Protein Purification、Springer−Verlag、N.Y.(1982);Deutscher、Methods in Enzymology Nol.182:Guide to Protein Purification、Academic Press,Inc.N.Y.(1990);Sandana、(1997)Bioseparation of Protein,Academic Press,Inc.;Bollag et al.,(1996)Protein Methods.第2版 Wiley−Liss,NY;Walker、(1996)The Protein Protocols Handbook Humana Press,NJ,Harris及びAngal、(1990)Protein Purification Application:A Practical Approach IRL Press at Oxford,Oxford,England;Harris及びAngal,Protein Purification Methods:A Practical Approach IRL Press at Oxford,Oxford,England;Scopes,(1993)Protein Purification:Principles and Practice 第3版 Springer−Verlag,NY;Janson及びRyden,(1988)Protein Purification:Principles,High Resolution Methods and Applications,第2版.Wiley−VCH,NY;及びWalker(1988),CD−ROMのProtein Protocols Humana Press,NJ;及び上記文献で引用されている参考文献が含まれる。
合成、発現及び/又は精製後、タンパク質が、適切なポリペプチドの所望の立体構造とは異なる立体構造を有し得ることを当業者は認識することができる。本発明の一態様において、発現されたタンパク質を場合によっては変性させ、次いで再生する。以下に限定されないが、関心のあるタンパク質又はポリペプチドへのシャペロニンの添加によるもの、グアニジンHClなどのカオトロピック剤中でタンパク質を可溶化することによるもの、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼを利用することなど、当技術分野で公知の方法を利用してこれを行う。
一般に、発現されたポリペプチドを変性及び還元し、次いで好ましい立体構造にポリペプチドを再折り畳みすることが望ましい場合がある。例えば、グアニジン、尿素、DTT、DTE及び/又はシャペロニンを関心のある翻訳産物に添加することができる。タンパク質を還元、変性及び再生する方法は、当業者にとって周知である(上記の参考文献及び、Debinski et al.,(1993)J.Biol.Chem.,268:14065−14070;Kreitman及びPastan(1993)Bioconjug.Chem.,4:581−585;及びBuchner et al.,(1992)Anal Biochem.205:263−270を参照のこと。)。例えば、Debinskiらは、グアニジンDTE中での封入体タンパク質の変性及び還元を記載している。以下に限定されないが、酸化されたグルタチオン及びL−アルギニンなどを含有するレドックス緩衝液中でタンパク質を再折り畳みすることができる。再折り畳み剤を流動させるか、あるいは1もしくはそれ以上のポリペプチド又はその他の発現産物と接触させるように移動させるか、又はその逆を行うことができる。
一般的な精製方法 ポリペプチドを含む細胞可溶化液、又は何らかの単離段階(以下に限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、逆相HPLC(「RP−HPLC」)、膨張層吸着又はこれらの何らかの組合せ及び/又は繰り返し(あらゆる適切な順番で)など)の結果生じるあらゆるhIFNポリペプチド混合物に対して、様々な単離段階のうち何れかを行い得る。
本明細書中に記載の技術を行う際に使用する装置及びその他の必要な材料は市販されている。ポンプ、フラクションコレクター、モニター、レコーダー及びシステム全体は、例えば、Applied Biosystems(Foster City、CA)、Bio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules、CA)及びAmersham Biosciences,Inc.(Piscataway,NJ)から入手できる。以下に限定されないが、交換マトリックス材料、溶液及び緩衝液を含むクロマトグラフィーの材料もまた、このような会社から入手可能である。
ポンプなどの特別に設計された装置を用いて、平衡化並びに洗浄及び溶出などの本明細書中に記載のカラムクロマトグラフィー過程におけるその他の段階をより迅速に行うことができる。市販のポンプとしては、以下に限定されないが、HILOAD(R)ポンプP−50、Peristaltic Pump P−1、Pump P−901及びPump P−903(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。
フラクションコレクターの例としては、RediFracフラクションコレクター、FRAC−100及びFRAC−200フラクションコレクター及びSUPERFRAC(R)フラクションコレクター(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。ミキサーはまた、pH及び直線的な濃度勾配を形成するために利用できる。市販されているミキサーとしては、Gradient Mixer GM−1及びIn−Line Mixers(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。
何らかの市販のモニターを使用してクロマトグラフィー過程をモニタリングし得る。このようなモニターを使用して、UV、pH及び伝導度などの情報を収集し得る。検出器の例としては、Monitor UV−1、UVICORD(R)S II、Monitor UV−M II、Monitor UV−900、Monitor UPC−900、Monitor pH/C900及びConductivity Monitor(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。実際に、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)から得られる様々なAKTA(R)システムなど、全体的なシステムが市販されている。
本発明の一実施形態において、まず、例えば、得られた精製ポリペプチドを尿素中で変性させ、次いで、適切なpHにて還元剤(DTTなど)を含有するTRIS緩衝液中に希釈することにより、ポリペプチドを還元及び変性させ得る。別の実施形態において、約2Mから約9Mの間の濃度範囲の尿素中でポリペプチドを変性させ、次いで、約5.0から約8.0の範囲のpHにてTRIS緩衝液中で希釈する。次に、この実施形態の再折り畳み混合物を温置する。一実施形態において、室温にて4時間から24時間、再折り畳み混合物を温置する。次いで、還元及び変性されたポリペプチド混合液をさらに単離するか又は精製することができる。
本明細書中で述べるように、何らかの以降の単離段階を行う前に、第一のポリペプチド混合液のpHを調整し得る。さらに、当技術分野で公知の技術を用いて、第一のポリペプチド混合物又は何らかのその後のそれらの混合物を濃縮し得る。さらに、当業者にとって公知である技術を用いて、第一のポリペプチド混合物又は何らかのその後のそれらの混合物を含む溶出緩衝液を、次の単離段階に適切な緩衝液に交換し得る。
イオン交換クロマトグラフィー 一実施形態において、及び場合により実施されるさらなる段階として、第一のhGHポリペプチド混合物に対してイオン交換クロマトグラフィーを行い得る。全般的に、ION EXCHANGE CHROMATOGRAPHY:PRINCIPLES AND METHODS(Cat.No.18−1114−21、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)を参照のこと。市販されているイオン交換カラムとしては、HITRAP(R)、HIPREP(R)及びHILOAD(R)カラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)が挙げられる。このようなカラムは、Q SEPHAROSE(R)Fast Flow、Q SEPHAROSE(R)High Performance及びQ SEPHAROSE(R)XLなどの強力な陰イオン交換体;SP SEPHAROSE(R)High Performance、SP SEPHAROSE(R)Fast Flow及びSP SEPHAROSE(R)XLなどの強力な陽イオン交換体;DEAE SEPHAROSE(R)Fast Flowなどの弱い陰イオン交換体;及びCM SEPHAROSE(R)Fast Flowなどの弱い陽イオン交換体(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)を利用する。精製過程の何れかの段階でポリペプチドに対して陽イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い、実質的に精製されたポリペプチドを単離し得る。何らかの適切な陽イオン交換マトリクスを用いて、陽イオン交換クロマトグラフィー段階を行い得る。有用な陽イオン交換マトリクスとしては、以下に限定されないが、繊維状、多孔性、非多孔性、微小顆粒、ビーズ状又は架橋された陽イオン交換マトリクス材料が挙げられる。このような陽イオン交換マトリクス材料としては、以下に限定されないが、セルロース、アガロース、デキストラン、ポリアクリラート、ポリビニル、ポリスチレン、シリカ、ポリエーテル又は前出のものの何れかの複合物が挙げられる。陽イオン交換マトリクスへのポリペプチドの吸着後、十分に高いpH又はイオン強度を有する緩衝液とマトリクスを接触させてマトリクスからポリペプチドを排除することにより、実質的に精製されたポリペプチドを溶出し得る。実質的に精製されたポリペプチドの高pH溶出での使用に適切な緩衝液としては、以下に限定されないが、少なくとも約5mMから少なくとも約100mMの濃度範囲の、クエン酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、HEPES及びMES緩衝液が含まれ得る。
逆相クロマトグラフィー 当業者にとって公知である適切なプロトコールに従い、RP−HPLCを行って、タンパク質を精製し得る。例えば、Pearson et al.,ANAL BIOCHEM.(1982)124:217−230(1982);Rivier et al.,J.CHROM.(1983)268:112−119;Kunitani et al.,J.CHROM.(1986)359:391−402を参照のこと。hGHポリペプチドに対してRP−HPLCを行って、実質的に精製されたhGHポリペプチドを単離し得る。この場合、以下に限定されないが、少なくとも約C3から少なくとも約C30、少なくとも約C3から少なくとも約C20又は少なくとも約C3から少なくとも約C18など、様々な長さのアルキル官能基によるシリカ誘導体化樹脂を使用し得る。あるいは、ポリマー性樹脂を使用し得る。例えば、TosoHaas Amberchrome CG1000sd樹脂を使用し得る(これは、スチレンポリマー樹脂である。)。様々なアルキル鎖長を有するシアノ又はポリマー性樹脂も使用し得る。さらに、エタノールなどの溶媒を用いて、RP−HPLCカラムを洗浄し得る。イオン対合剤及びメタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はエタノールなどの有機変性剤を含有する適切な溶出緩衝液を使用して、RP−HPLCカラムからポリペプチドを溶出し得る。最も一般的に使用されるイオン対合剤としては、以下に限定されないが、酢酸、ギ酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウムが挙げられる。分離時間を短くし、ピーク幅を狭めるのに好ましい勾配条件を用い、1つ又はそれ以上の勾配もしくは定組成条件を用いて、溶出を行い得る。別の方法は、異なる溶媒濃度範囲の2種類の勾配を使用することを含む。本明細書中での使用に適切な溶出緩衝液の例としては、以下に限定されないが、酢酸アンモニウム及びアセトニトリル溶液が挙げられ得る。
疎水性相互作用クロマトグラフィー精製技術 ポリペプチドに対して疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を行い得る。全般的に、HYDROPHOBIC INTERACTION CHROMATOGRAPHY HANDBOOK:PRINCIPLES AND METHODS(Cat.No.18−1020−90、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ))を参照のこと(参照により本明細書中に組み込む。)。適切なHICマトリクスとしては、以下に限定されないが、アガロース、架橋されたアガロース、セファロース、セルロース、シリカ、デキストラン、ポリスチレン、ポリ(メタクリラート)マトリクス及び混合された様式の樹脂(以下に限定されないが、ポリエチレンアミン樹脂又はブチルもしくはフェニル置換されたポリ(メタクリラート)マトリクスなど)を含む、アルキル又はアリール置換されたマトリクス、例えばブチル、ヘキシル、オクチル又はフェニル置換されたマトリクスなどが含まれ得る。疎水性相互作用カラムクロマトグラフィーのための市販ソースとしては、以下に限定されないが、HITRAP(R)、HIPER(R)及びHILOAD(R)カラム(Amersham Biosciences,NJ)が挙げられる。簡単に述べると、酢酸/塩化ナトリウム溶液又は硫酸アンモニウムを含有するHEPESなどの、当業者にとって公知の標準的緩衝液を用いて、試料添加前にHICカラムを平衡化し得る。ポリペプチドを添加した後、次に、標準的緩衝液及び不必要な物質を除去するが、ポリペプチドはHICカラムに保持し続ける条件を用いてカラムを洗浄し得る。特に、EDTA及び平衡化緩衝液より低濃度の硫酸アンモニウムを含有するHEPES緩衝液又は酢酸/塩化ナトリウム緩衝液などの標準的緩衝液の約3から約10カラム体積でポリペプチドを溶出し得る。例えばリン酸カリウムの勾配を用いて、塩を直線的に低下させる勾配を使用して、分子を溶出することもできる。次に、例えば透析ろ過又は限外ろ過などのろ過により、溶出物を濃縮し得る。透析ろ過を利用して、ポリペプチドを溶出するために用いた塩を除去し得る。
その他の精製技術 例えば、ゲルろ過(GEL FILTRATION:PRINCIPLES AND METHODS(Cat.No.18−1022−18、Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)(参照により本明細書中に組み込む。)、HPLC、膨張層吸着、限外ろ過、透析ろ過、凍結乾燥などを用いて、第一のhGHポリペプチド混合物又は何らかのその後のそれらの混合物に対してさらに別の単離段階を行い、あらゆる過剰な塩を除去し、緩衝液を次の単離段階もしくは最終薬剤産物の処方にも適した緩衝液で置換することができる。当業者にとって公知の技術を用いて、本明細書中に記載されている各段階で、実質的に精製されたポリペプチドを含むポリペプチドの収率をモニタリングし得る。最後の単離段階後に、このような技術を用いて、実質的に精製されたポリペプチドの収率を評価することもできる。例えば、シアノRP−HPLC、C18RP−HPLC;ならびに陽イオン交換HPLC及びゲルろ過HPLCなどの、様々なアルキル鎖長を有する幾つかの逆相高圧液体クロマトグラフィーカラムの何れかを用いて、ポリペプチドの収率をモニタリングし得る。
SDS−PAGEなどの標準的技術を用いて、又はウェスタンブロット及びELISAアッセイを用いてポリペプチドを測定することにより、純度を決定し得る。例えば、ネガティブ対照の酵母発酵及び陽イオン交換回収から単離したタンパク質に対してポリクローナル抗体を生成させ得る。この抗体を使用して、混入宿主細胞タンパク質の存在を調べることもできる。
RP−HPLC物質、Vydac C4(Vydac)は、シリカゲル粒子、C4−アルキル鎖を有する表面からなる。タンパク質性不純物からのポリペプチドの分離は、疎水性相互作用の強度の相違に基づく。希釈されたトリフルオロ酢酸中のアセトニトリル勾配を用いて溶出を行う。ステンレス鋼カラムを用いて分取HPLCを行う(Vydac C4シリカゲル2.8から3.2Lで満たす。)。トリフルオロ酢酸を添加することにより、Hydroxyapatite Ultrogel溶出液を酸性化し、Vydac C4カラムに添加する。洗浄及び溶出のために、希釈されたトリフルオロ酢酸中のアセトニトリル勾配を用いる。画分を回収し、すぐにリン酸緩衝液で中和する。IPC限界内のポリペプチド画分をプールする。
DEAE Sepharose(Pharmacia)物質は、セファロースビーズの表面に共有結合されたジエチルアミノエチル(DEAE)基からなる。DEAE基への選択したポリペプチドの結合は、イオン性相互作用によって媒介される。保持されることなく、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸がカラムを通過する。これらの物質を洗い流した後、低pHの酢酸緩衝液でカラムを洗浄することにより、微量の不純物を除去する。次に、このカラムを中性リン酸緩衝液で洗浄し、イオン強度が上昇していく緩衝液を用いてポリペプチドを溶出する。カラムにDEAE Sepharose Fast flowを充填する。3から10mgのポリペプチド/mlゲルの範囲でポリペプチドを添加することができるようにするために、カラム体積を調整する。水及び平衡化緩衝液(リン酸ナトリウム/カリウム)でカラムを洗浄する。HPLC溶出の画分をプールしたものを添加し、カラムを平衡化緩衝液で洗浄する。次に、カラムを洗浄緩衝液(酢酸ナトリウム緩衝液)で洗浄し、続いて平衡化緩衝液で洗浄する。続いて、溶出緩衝液(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム/カリウム)を用いてカラムからポリペプチドを溶出し、主たる溶出プロファイルに従い、単一の画分中に回収する。DEAE Sepharoseカラムの溶出液を指定の伝導度に調整する。得られた薬物物質をろ過滅菌してTeflonボトルに入れ、−70℃で保管する。
以下に限定されないが、ブラッドフォードアッセイ、SDS−PAGE、銀染色SDS−PAGE、クーマシー染色SDS−PAGE、マススペクトロメトリー(以下に限定されないが、MALDI−TOFを含む。)及び当業者にとって公知の、タンパク質の特徴を調べるためのその他の方法など、多岐にわたる方法及び手段を使用して、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含むタンパク質の収率及び純度を評価することができる。
VIII.代替系での発現
E.コリ中での組換えタンパク質発現のために、本明細書に開示されているものなど(但し、これらに限定されるものではない。)、様々な代替発現系が記載されており、これらの系は、類似の様式で、本発明のシュードモナス翻訳系において使用され得る。野生型シンテターゼの乱雑性(promiscuity)を利用するために、選択圧取り込みと呼ばれるインビボ法が開発された。例えば、N.Budisa、C.Minks、S.Alefelder、W.Wenger、F.M.Dong、L.Moroder及びR.Huber、FASEB J.,13:41(1999)を参照のこと。天然アミノ酸の限定濃度を含有する最小培地で、特定の天然アミノ酸を細胞に供給する関連代謝経路のスイッチがオフになっている栄養要求性株を増殖させ、同時に標的遺伝子の転写を抑制する。定常増殖期の開始時に、天然アミノ酸を枯渇させ、非天然にコードされないアミノ酸類縁体で置き換える。組み換えタンパク質の発現の誘発により、非天然類縁体を含有するタンパク質の蓄積が起こる。例えば、この戦略を用いて、o、m及びp−フルオロフェニルアラニンをタンパク質に取り込み、容易に同定できる、UVスペクトルの2つの特徴的な肩が示され(例えば、C.Minks、R.Huber,L.Moroder及びN.Budisa、Anal.Biochem.,284:29(2000)を参照。);トリフルオロメチオニンを使用して、バクテリオファージT4ライソザイムにおいてメチオニンを置換し、19F NMRによりチトオリゴ糖リガンドとのその相互作用が調べられ(例えば、H.Duewel,E.Daub,V.Robinson及びJ.F.Honek,Biochemistry,36:3404(1997);及びトリフルオロロイシンをロイシンの代わりに取り込み、その結果、ロイシンジッパ―タンパク質の温度及び化学安定性が高まった。例えば、Y.Tang、G.Ghirlanda、W.A.Petka、T.Nakajima、W.F.DeGrado及びD.A.Tirrell、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,40:1494(2001)を参照のこと。さらに、セレノメチオニン及びテルロメチオニンを様々な組み換えタンパク質に取り込み、X線結晶解析での相の溶解を促進させる。例えば、W.A.Hendrickson、J.R.Horton及びD.M.Lemaster,EMBO J.,9:1665(1990);J.O.Boles,K.Lewinski、M.Kunkel、J.D.Odom、B.Dunlap、L.Lebioda及びM.Hatada、Nat.Struct.Biol.,1:283(1994);N.Budisa、B.Steipe、P.Demange、C.Eckerskorn、J.Kellermann及びR.Huber、Eur.J.Biochem.,230:788(1995);及びN.Budisa、W.Karnbrock、S.Steinbacher、A.Humm、L.Prade、T.Neuefeind、L.Moroder及びR.Huber、J.Mol.Biol.270:616(1997)を参照のこと。アルケン又はアルキン官能基を有するメチオニン類縁体もまた効率的に取り込まれ、これにより、化学的手段によるタンパク質のさらなる修飾が可能となった。例えば、J.C.van Hest及びD.A.Tirrell、FEBS Lett,428:68(1998);J.C.M.van Hest、K.L.Kiick及びD.A.Tirrell、J.Am.Chem.Soc.,122:1282(2000);及びK.L.Kiick及びD.A.Tirrell、Tetrahedron、56:9487(2000);米国特許第6,586,207号;米国特許公開2002/0042097(参照により本明細書中に組み込む。)を参照のこと。
E.コリ中での組換えタンパク質発現のために、本明細書に開示されているものなど(但し、これらに限定されるものではない。)、様々な代替発現系が記載されており、これらの系は、類似の様式で、本発明のシュードモナス翻訳系において使用され得る。野生型シンテターゼの乱雑性(promiscuity)を利用するために、選択圧取り込みと呼ばれるインビボ法が開発された。例えば、N.Budisa、C.Minks、S.Alefelder、W.Wenger、F.M.Dong、L.Moroder及びR.Huber、FASEB J.,13:41(1999)を参照のこと。天然アミノ酸の限定濃度を含有する最小培地で、特定の天然アミノ酸を細胞に供給する関連代謝経路のスイッチがオフになっている栄養要求性株を増殖させ、同時に標的遺伝子の転写を抑制する。定常増殖期の開始時に、天然アミノ酸を枯渇させ、非天然にコードされないアミノ酸類縁体で置き換える。組み換えタンパク質の発現の誘発により、非天然類縁体を含有するタンパク質の蓄積が起こる。例えば、この戦略を用いて、o、m及びp−フルオロフェニルアラニンをタンパク質に取り込み、容易に同定できる、UVスペクトルの2つの特徴的な肩が示され(例えば、C.Minks、R.Huber,L.Moroder及びN.Budisa、Anal.Biochem.,284:29(2000)を参照。);トリフルオロメチオニンを使用して、バクテリオファージT4ライソザイムにおいてメチオニンを置換し、19F NMRによりチトオリゴ糖リガンドとのその相互作用が調べられ(例えば、H.Duewel,E.Daub,V.Robinson及びJ.F.Honek,Biochemistry,36:3404(1997);及びトリフルオロロイシンをロイシンの代わりに取り込み、その結果、ロイシンジッパ―タンパク質の温度及び化学安定性が高まった。例えば、Y.Tang、G.Ghirlanda、W.A.Petka、T.Nakajima、W.F.DeGrado及びD.A.Tirrell、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,40:1494(2001)を参照のこと。さらに、セレノメチオニン及びテルロメチオニンを様々な組み換えタンパク質に取り込み、X線結晶解析での相の溶解を促進させる。例えば、W.A.Hendrickson、J.R.Horton及びD.M.Lemaster,EMBO J.,9:1665(1990);J.O.Boles,K.Lewinski、M.Kunkel、J.D.Odom、B.Dunlap、L.Lebioda及びM.Hatada、Nat.Struct.Biol.,1:283(1994);N.Budisa、B.Steipe、P.Demange、C.Eckerskorn、J.Kellermann及びR.Huber、Eur.J.Biochem.,230:788(1995);及びN.Budisa、W.Karnbrock、S.Steinbacher、A.Humm、L.Prade、T.Neuefeind、L.Moroder及びR.Huber、J.Mol.Biol.270:616(1997)を参照のこと。アルケン又はアルキン官能基を有するメチオニン類縁体もまた効率的に取り込まれ、これにより、化学的手段によるタンパク質のさらなる修飾が可能となった。例えば、J.C.van Hest及びD.A.Tirrell、FEBS Lett,428:68(1998);J.C.M.van Hest、K.L.Kiick及びD.A.Tirrell、J.Am.Chem.Soc.,122:1282(2000);及びK.L.Kiick及びD.A.Tirrell、Tetrahedron、56:9487(2000);米国特許第6,586,207号;米国特許公開2002/0042097(参照により本明細書中に組み込む。)を参照のこと。
この方法の成功は、アミノアシル−tRNAシンテターゼによる天然にコードされないアミノ酸類縁体の認識に依存し、一般に、これにはタンパク質翻訳の忠実度を確実にする高い選択性が必要である。本方法の範囲を広げるある方法は、アミノアシル−tRNAシンテターゼの基質特異性を緩めることであり、これが遂行されたのは限られたケースである。例えば、エシェリヒア.コリのフェニルアラニル−tRNAシンテターゼ(PheRS)においてAla294をGlyで置換することにより、基質結合ポケットが大きくなり、その結果、p−Cl−フェニルアラニン(p−Cl−Phe)によるtRNAPheのアシル化が起こる。M.Ibba、P.Kast及びH.Hennecke、Biochemistry、33:7107(1994)を参照のこと。この突然変異PheRSを有するエシェリヒア・コリ株により、フェニルアラニンの代わりに、p−Cl−フェニルアラニン又はp−Br−フェニルアラニンの取り込みが可能となる。例えば、M.Ibba及びH.Hennecke、FEBS.Lett.364:272(1995);及びN.Sharma、R.Furter、P.Kast及びD.A.Tirrell、FEBS.Lett.,467:37(2000)を参照のこと。同様に、エシェリヒア.コリのチロシル−tRNAシンテターゼのアミノ酸結合部位付近の点突然変異Phe130Serにより、アザチロシンがチロシンよりも効率的に取り込まれることが分かった。F.Hamano−Takaku、T.Iwama、S.Saito−Yano、K.Takaku、Y.Monden、M.Kitabatake、D.Soll及びS.Nishimura、J.Biol.Chem.,275:40324(2000)を参照のこと。
天然にコードされないアミノ酸をタンパク質にインビボで取り込むための別の戦略は、校正機構を有するシンテターゼを改変することである。これらのシンテターゼは識別することができず、したがって、同種の天然アミノ酸と構造的に類似のアミノ酸を活性化する。このエラーは別の部位で補正され、タンパク質翻訳の忠実度を維持するために、tRNAからのミスチャージアミノ酸が脱アシル化される。シンテターゼの校正活性が機能しない場合、間違って活性化された構造類縁体が編集機能を逃れ、取り込まれる。バリル−tRNAシンテターゼ(ValRS)により、このアプローチが近年明らかにされた。V.Doring、H.D.Mootz、L.A.Nangle、T.L.Hendrickson、V.de Crecy−Lagard、P.Schimmel及びP.Marliere、Science、292:501(2001)を参照のこと。ValRSは、tRNAValをCys、Thr又はアミノブチラート(Abu)で間違ってアミノアシル化し得;続いて、編集ドメインによりこれらの非同種アミノ酸を加水分解する。エシェリヒア・コリ染色体のランダム突然変異誘発後、ValRSの編集部位に突然変異を有する突然変異エシェリヒア・コリ株を選択した。この編集機能欠損ValRSは、CysによりtRNAValを不正確に処理する。Abuは立体的にCysに類似しているので(Cysの−SH基はAbuにおいて−CH3に置き換えられている。)、この突然変異エシェリヒア・コリ株をAbu存在下で増殖させた場合、突然変異ValRSもまたタンパク質にAbuを取り込む。質量分析から、ネイティブタンパク質中の各バリン位置においてバリンの約24%がAbuにより置換されることが示される。
以前、所望のアンバーナンセンス突然変異を含有する遺伝子を用いてプログラムされたタンパク質合成反応に化学的アミノアシル化サプレッサーtRMAを加えることにより、天然にコードされないアミノ酸がインビトロでタンパク質に部位特異的に取り込まれ得ることが示された。これらのアプローチを用いて、特定のアミノ酸に対して栄養要求性である株を使用し、多くの一般的な20種類のアミノ酸を構造が近い相同体で、例えばフェニルアラニンに対してフルオロフェニルアラニンで、置換することができる。例えば、Noren,C.J.,Anthony−Cahill,Griffith,M.C.,Schultz,P.G.A general method for site−specific incorporation of non−naturally encoded amino acids into proteins,Science,244:182−188(1989);M.W.Nowak et al.,Science268:439−42(1995);Bain,J.D.,Glabe,C.G.,Dix,T.A.,Chamberlin,A.R.,Diala、E.S.Biosynthetic site−specific Incorporation of a non−natural amino acid into a polypeptide,J.Am Chem Soc,111:8013−8014(1989);N.Budisa et al.,FASEB J.13:41−51(1999);Ellman,J.A.,Mendel,D.,Anthony−Cahill,S.,Noren,C.J.,Schultz,P.G.Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site−specifically into proteins,Methods in Enz.,vol.202 301−336(1992);及びMendel,D.,Cornish,V.W.及びSchultz,P.G.Site−Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code,Annu Rev Biophys.Biomol Struct.24、435−62(1995)を参照のこと。
例えば、停止コドンUAGを認識するサプレッサーtRNAを調製し、天然にコードされないアミノ酸を用いて化学的にアミノアシル化した。従来の部位特異的突然変異誘発を使用して、タンパク質遺伝子の関心のある部位に停止コドンTAGを導入した。例えば、Sayers,J.R.,Schmidt,W.Eckstein,F.5’−3’Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotid−directed mutagenesis,Nucleic Acids Res,16(3):791−802(1988)を参照のこと。アシル化されたサプレッサーtRNA及び突然変異遺伝子をインビトロ転写/翻訳系において組合せた場合、指定の位置にそのアミノ酸を含有するタンパク質を与えるUAGコドンに反応して天然にコードされないアミノ酸が取り込まれた。[3H]−Pheを用いた実験及びα−ヒドロキシ酸を用いた実験から、所望するアミノ酸のみがUAGコドンにより指定された位置に取り込まれること、及びこのアミノ酸がタンパク質中の他の何れの位置にも取り込まれないことが分かった。例えば、Noren et al.,前出;Kobayashi et al.,(2003)Nature Structural Biology 10(6):425−432;及びEllman,J.A.,Mendel,D.,Schultz,P.G.Site−specific incorporation of novel backbone structures into proteins,Science,255(5041):197−200(1992)を参照のこと。
インビボで、天然にコードされないアミノ酸をタンパク質に直接取り込むことができることから、突然変異タンパク質の収率が高くなること、技術が容易であること、細胞もしくは可能であれば生きている生物での突然変異タンパク質の研究の可能性、ならびに、治療処置でのこれらの突然変異タンパク質の使用などの(これらに限定されない。)長所が得られる。様々な大きさ、酸性度、求核性、疎水性及びその他の特性を有する天然にコードされないアミノ酸をタンパク質に含有させることができれば、タンパク質機能を調べ、かつ新規の特性を有する新しいタンパク質又は生物を作製するための、タンパク質構造に対する合理的かつ体系的な操作能が飛躍的に拡大し得る。しかしながら、タンパク質翻訳中の精度の高い程度を達成するために必要とされるtRNA−合成酵素相互作用の複雑な性質のために、このプロセスは困難である。
部位特異的にパラ−F−Pheを取り込むある試みにおいて、p−F−Phe耐性の、Phe栄養要求性エシェリヒア.コリ株で、酵母アンバーサプレッサーtRNA PheCUA/フェニルアラニル−tRNAシンテターゼペアが使用された。例えば、R.Furter,Protein Sci.,7:419(1998)を参照のこと。
無細胞(インビトロ)翻訳系を用いて本発明のポリヌクレオチドの発現を得ることも可能であり得る。これらの系では(テンプレートとしてのmRNA(インビトロ翻訳)又はテンプレートとしてのDNA(組み合わされたインビトロ転写と翻訳)の何れかを含むことができる。)、インビトロ合成は、リボソームによって誘導される。無細胞タンパク質発現系の開発に対して多大な努力が行われてきた。例えば、Kim,D.M.及びJ.R.Swartz、Biotechnology and Bioengineering、74:309−316(2001);Kim,D.M.及びJ.R.Swartz、Biotechnology Letters,22,1537−1542(2000);Kim,D.M.及びJ.R.Swartz,Biotechnology Progress,16,385−390(2000);Kim,D.M.及びJ.R.Swartz、Biotechnology and Bioengineering,66,180−188(1999);及びPatnaik,R.及びJ.R.Swartz,Biotechniques 24,862−868(1998);米国特許第6,337,191号;米国特許公開2002/0081660;WO00/55353;WO90/05785(参照により本明細書中に組み込む。)を参照のこと。天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドの発現に対して適用し得る別のアプローチとしては、mRNA−ペプチド融合技術が含まれる。例えば、R.Roberts及びJ.Szostak、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)94:12297−12302(1997);A.Frankel et al.,Chemistry & Biology 10:1043−1050(2003)を参照のこと。このアプローチにおいて、ピューロマイシンに連結されているmRNAテンプレートがリボソーム上でペプチドに翻訳される。1つ又はそれ以上のtRNA分子が改変されている場合、非天然アミノ酸もそのペプチドに取り込ませることができる。最後のmRNAコドンが読まれた後、ピューロマイシンがペプチドのC末端を捕獲する。生じたmRNA−ペプチド抱合体が関心のある特性を有することがインビトロアッセイにおいて分かった場合、mRNA配列からそれが何であるかを容易に明らかにすることができる。このようにして、1つ又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドのライブラリをスクリーニングして、所望の特性を有するポリペプチドを同定し得る。さらに最近、精製された成分を用いたインビトロリボソーム翻訳により、天然にコードされないアミノ酸で置換されたペプチドの合成が可能となることが報告された。例えば、A.Foster et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)100:6353(2003)を参照のこと。
IX.ポリペプチドに連結された巨大分子ポリマー
本明細書に記載されている組成物、方法、技術及び戦略を用いて、本明細書に記載されている非天然アミノ酸ポリペプチドに対する様々な修飾を為すことができる。これらの修飾には、ポリペプチドの非天然アミノ酸成分へのさらなる官能基の取り込み(以下に限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋リンカー、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類縁体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA及びアンチセンスポリヌクレオチド、阻害的リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチン誘導体、ビオチン類縁体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレート基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、又は上記のあらゆる組み合わせ又は他のあらゆる望ましい化合物若しくは物質が含まれる。)を含む。本明細書に記載されている、組成物、方法、技術及び戦略の例示的な非限定例として、本明細書に記載の組成物、方法、技術及び戦略がまた、他の官能基(以下に限定されないが上記で挙げたものなど)を添加するのに適用可能(必要に応じて適切な改変を行い、これは当業者が本明細書中開示を用いて行い得る。)であるという了解のもと、以下の記述は、非天然アミノ酸ポリペプチドに巨大分子ポリマーを添加することに焦点を当てる。
本明細書に記載されている組成物、方法、技術及び戦略を用いて、本明細書に記載されている非天然アミノ酸ポリペプチドに対する様々な修飾を為すことができる。これらの修飾には、ポリペプチドの非天然アミノ酸成分へのさらなる官能基の取り込み(以下に限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋リンカー、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、レジン、第二のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類縁体、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA及びアンチセンスポリヌクレオチド、阻害的リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合又は非共有結合により相互作用する基、フォトケージ(photocaged)部分、光異性化可能部分、ビオチン、ビオチン誘導体、ビオチン類縁体、重原子を組み込む部分、化学的切断可能な基、光切断可能な基、伸長側鎖、炭素結合型糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学的プローブ、リン光性の基、化学発光基、高電子密度基、磁性の基、インターカレート基、発色団、エネルギー転移剤、生物活性剤、検出可能標識、又は上記のあらゆる組み合わせ又は他のあらゆる望ましい化合物若しくは物質が含まれる。)を含む。本明細書に記載されている、組成物、方法、技術及び戦略の例示的な非限定例として、本明細書に記載の組成物、方法、技術及び戦略がまた、他の官能基(以下に限定されないが上記で挙げたものなど)を添加するのに適用可能(必要に応じて適切な改変を行い、これは当業者が本明細書中開示を用いて行い得る。)であるという了解のもと、以下の記述は、非天然アミノ酸ポリペプチドに巨大分子ポリマーを添加することに焦点を当てる。
本発明のポリペプチドに多岐にわたる巨大分子ポリマー及びその他の分子を連結してポリペプチドの生物学的特性を調節する、及び/又は分子に新しい生物学的特性を与えることができる。天然コードアミノ酸を介して、天然にコードされないアミノ酸を介して、又は天然もしくは非天然アミノ酸の何らかの官能置換基又は、天然もしくは非天然アミノ酸に付加されている何らかの置換基もしくは官能基を介して、これらの巨大分子ポリマーをポリペプチドに連結することができる。
本発明は、ポリマー:タンパク質抱合体の実質的に均一な調製物を与える。「実質的に均一な」とは、本明細書中で使用する場合、ポリマー:タンパク質抱合体分子がタンパク質全体の半分よりも多いことが観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質抱合体は、生物活性を有し、本明細書中で提供される本発明の「実質的に均一な」PEG化されたポリペプチド調製物は、均一な調製物の長所(例えば、ロットの異なるものの薬物動態の予測可能性において臨床適用が容易であるなど)を示すよう十分均一であるものである。
ポリマー:タンパク質抱合体分子の混合物を調製することを選択することもでき、それにより与えられる長所とは、混合物に含めるためのモノポリマー:タンパク質抱合体の比を選択し得るということである。したがって、所望であれば、様々な数の結合されたポリマー部分を有する(即ち、ジ−、トリ−、テラ−など)様々なタンパク質の混合物を調製し、本発明の方法を用いて調製されたモノ−ポリマー:タンパク質抱合体と前記抱合体を組み合わせ、モノ−ポリマー:タンパク質抱合体の前もって決定された比率を有する混合物を有することができる。
選択されたポリマーは、これに結合させるタンパク質が水性環境(生理的環境など)で沈殿しないように水溶性であり得る。好ましくは、このポリマーは、分枝又は非分枝であり得る。最終産物調製物の治療用途の場合、このポリマーは医薬として許容される。
反応混合物中におけるそれらの濃度のように、タンパク質分子に対するポリエチレングリコール分子の比率は変化する。一般に、最適な比率(過剰な非反応タンパク質又はポリマーが最小限となる反応効率の観点で)は、選択したポリエチレングリコールの分子量により、及び利用可能な反応性基の数において決定され得る。分子量に関連して、典型的には、ポリマーの分子量が高いほど、タンパク質に結合させ得るポリマー分子の数は少なくなる。同様に、これらのパラメータを最適化する場合、ポリマーの分枝を考慮すべきである。一般に、分子量が高いほど(又は分枝が多いほど)、ポリマー:タンパク質の比率が高くなる。
水溶性ポリマーは、以下に限定されないが、直鎖状、フォーク状又は分枝状を含む、あらゆる構造形態であり得る。典型的には、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などであるが、その他の水溶性ポリマーも利用できる。一例として、PEGを使用して、本発明のある一定の実施形態を説明する。
PEGは、市販されている周知の水溶性ポリマーであるか、又は、当業者に公知の方法に従い、エチレングリコールの開環ポリマー化により調製することができる(Sandler及びKaro,Polymer Synthesis,Academic Press,New York,Vol.3,138−161頁)。「PEG」という用語は、大きさ又はPEGの末端の修飾に関わらずあらゆるポリエチレングリコール分子を包含するように広く使用され、hGHポリペプチドに連結される場合、式:
XO−(CH2CH2O)n−CH2CH2−Y
により表すことができる
(式中、nは、2から10,000であり、及びXはHであり、又は、以下に限定されないがC1−4アルキルなどの末端修飾である。)。
XO−(CH2CH2O)n−CH2CH2−Y
により表すことができる
(式中、nは、2から10,000であり、及びXはHであり、又は、以下に限定されないがC1−4アルキルなどの末端修飾である。)。
ある場合において、本発明で使用されるPEGは、一方の末端がヒドロキシ又はメトキシで終わっている(即ち、Xは、H又はCH3(「メトキシPEG」)である。)。あるいは、PEGは反応性基で終結することができ、これにより、二官能性ポリマーが形成される。典型的な反応性基には、20種類の一般的アミノ酸で見られる官能基(以下に限定されないが、マレイミド基、活性化されたカーボナート(以下に限定されないが、p−ニトロフェニルエステルなど)、活性化されたエステル(以下に限定されないが、N−ヒドロキシスクシンイミド、p−ニトロフェニルエステルなど)及びアルデヒドなど)ならびに、20種類の一般的アミノ酸に対して不活性であるが天然にコードされないアミノ酸(アジド基、アルキン基が含まれるが、これらに限定されない。)中に存在する相補的官能基と特異的に反応する官能基と反応させるために一般に使用される反応性基が含まれ得る。PEGの他方の末端(上記式中では、Yによって示される。)は、天然又は天然にコードされないアミノ酸を介して、ポリペプチドに直接又は間接的に結合することに留意されたい。例えば、Yは、アミド、カルバマート又はポリペプチドのアミン基(以下に限定されないが、リジンのεアミン又はN末端など。)への尿素結合であり得る。あるいは、Yは、チオール基(以下に限定されないが、システインのチオール基など。)へのマレイミド結合であり得る。あるいは、Yは、20種類の一般的アミノ酸を介して通常は接近可能ではない残基への結合であり得る。例えば、PEG上のアジド基をポリペプチド上のアルキン基と反応させて、Huisgen[3+2]付加環化産物を形成させることができる。あるいは、PEG上のアルキン基を天然にコードされないアミノ酸中に存在するアジド基と反応させて、同様の産物を形成させることができる。幾つかの実施形態において、強い求核試薬(以下に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、セミカルバジドなど)を天然にコードされないアミノ酸中に存在するアルデヒド又はケトン基と反応させて、適宜、ヒドラゾン、オキシム又はセミカルバゾンを形成させることができ、ある場合においては、適切な還元剤を用いた処理によりそれをさらに還元することができる。あるいは、天然にコードされないアミノ酸を介して強い求核試薬をポリペプチドに取り込み、これを使用して水溶性ポリマーに存在するケトン又はアルデヒド基と優先的に反応させることができる。
実際に所望される場合は、以下に限定されないが、要望どおり、約100ダルトン(Da)から100,000Da又はそれ以上(以下に限定されないが、時には、0.1から50kDa又は10から40kDaなど)など、PEGに対するあらゆる分子量を使用することができる。各分子が1から100kDa(1から50kDa又は5から20kDaを含むが、これらに限定されない。)の範囲の分子量を有するPEG分子など(但し、これらに限定されない。)、分岐鎖PEGも使用することが可能である。Shearwater Polymers,Inc.catalog,Nektar Therapeutics catalogなど(但し、これに限定されない。)(参照により、本明細書に組み込まれる。)に、多岐にわたるPEG分子が記載されている。
一般に、天然にコードされないアミノ酸との反応に、少なくとも1つのPEG分子の末端を利用できる。例えば、アミノ酸側鎖との反応のためのアルキン及びアジド部分を有するPEG誘導体を使用して、本明細書に記載のとおり、天然にコードされないアミノ酸にPEGを連結させることができる。天然にコードされないアミノ酸がアジドを含有する場合、PEGは通常、[3+2]付加環化産物の形成を実現するためのアルキン部分又は、アミド結合の形成を実現するためのホスフィン基を含有する活性化PEG種(即ち、エステル、カーボネート)の何れかを含有する。あるいは、天然にコードされないアミノ酸がアルキンを含有する場合、PEGは通常、[3+2]Huisgen付加環化産物の形成を実現するためのアジド部分を含有する。天然にコードされないアミノ酸がカルボニル基を含有する場合、PEGは通常、対応するヒドラゾン、オキシム及びオキシム及びセミカルバゾン結合の形成をそれぞれ実現するために、強力な求核試薬(以下に限定されないが、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン又はセミカルバジド官能基など。)を含有する。あるいは、上述の反応基の方向が逆であるものを使用することができ、即ち、アルキンを含有するPEG誘導体と天然にコードされないアミノ酸中のアジド部分を反応させることができる。
幾つかの実施形態において、PEG誘導体を有するポリペプチドは、天然にコードされないアミノ酸の側鎖上に存在する化学官能基と反応性がある化学官能基を含有する。
本発明は、ある実施形態において、平均分子量が約800Daから約100,000Daである水溶性ポリマー骨格を含有する、アジド−及びアセチレン−含有ポリマー誘導体を提供する。水溶性ポリマーのポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール)であり得る。しかし、以下に限定されないが、ポリ(エチレン)グリコール及びその他の関連ポリマーを含む(ポリ(デキストラン)及びポリ(プロピレングリコール)など)多岐にわたる水溶性ポリマーもまた、本発明の実施における使用に適切であり、PEG又はポリ(エチレングリコール)という用語の使用は、このような分子全てを包含し、含むものとすることを理解すべきである。PEGという用語は、以下に限定されないが、そのあらゆる形態でのポリ(エチレングリコール)(二官能性PEG、複数アーム化されたPEG、誘導体化PEG、フォーク状PEG、分枝PEG、懸垂PEG(即ち、ポリマー骨格に垂れ下がった、1つ又はそれ以上の官能基を有する、PEG又は関連ポリマー)又はその中に分解性の結合を有するPEGなど)を含む。
PEGは、典型的には、透明で無色、無臭、水溶性、熱安定性、多くの化学物質に対して不活性であり、加水分解又は分解せず、通常は無毒性である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性であるとみなされ、つまり、PEGは、害を与えることなく生体組織又は生物と共存可能である。より具体的には、PEGは、実質的に非免疫原性であり、つまり、PEGは、身体において免疫反応を生じさせる傾向がない。生物活性物質など、身体においていくつかの望ましい機能を有する分子に付着させる場合、PEGは、その物質をマスクする傾向があり、生物がその物質の存在を耐容できるように、あらゆる免疫反応を低下させるか、又は取り除くことができる。PEG抱合体は実質的な免疫反応を引き起こさないか、又は凝固もしくはその他の不必要な影響を生じさせない傾向がある。式:−−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−−を有するPEG(式中、nは約3から約4000、典型的には約20から2000である。)は、本発明での使用に適切である。約800Daから約100,000Daの分子量を有するPEGは、本発明の幾つかの実施形態において、ポリマー骨格として特に有用である。
ポリマー骨格は、直鎖又は分岐であり得る。分枝ポリマー骨格は、一般的には、当技術分野において公知である。典型的には、分枝ポリマーは、中央分枝コア部分を有し、直鎖状ポリマー鎖の複数が中央分枝コアに連結されている。PEGは、一般に、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトール及びソルビトールなどの様々なポリオールへのエチレンオキシドの添加により調製することができる分枝形態で使用される。中央分枝部分はまた、リジンなどのいくつかのアミノ酸由来であり得る。R(−PEG−OH)m(式中、Rはグリセロール、グリセロールオリゴマー又はペンタエリスリトールなどのコア部分由来であり、mは腕部分の数を表す。)のような一般式で分枝ポリ(エチレングリコール)を表すことができる。米国特許第5,932,462号、同第5,643,575号;同第5,229,490号;同第4,289,872号;米国特許公開2003/0143596;WO96/21469;及びWO93/21259(それぞれ本明細書中にその全体を参照により組み込む。)に記載のものなどの、マルチアーム化されたPEG分子もまたポリマー骨格として使用できる。
分枝PEGは、PEG(−−YCHZ2)n(式中、Yは、連結基であり、Zは指定された長さの原子鎖によりCHに連結された活性化末端基である。)によって表されるフォーク状PEGの形態であり得る。
さらに別の分枝形態である懸垂PEGは、PEG鎖の末端ではなく、PEG骨格に沿ってカルボキシルなどの反応基を有する。
PEGのこれらの形態に加えて、骨格中の弱い又は分解性結合を用いて、ポリマーを調製することもできる。例えば、加水分解に供されるポリマー骨格中のエステル結合を用いてPEGを調製できる。下記で示すように、この加水分解の結果、ポリマーがより低分子量の断片に切断される:
−PEG−CO2−PEG−+H2O→PEG−CO2H+HO−PEG−
ポリ(エチレングリコール)又はPEGという用語が、以下に限定されないが、本明細書中に開示されているものなど、当技術分野で公知の形態全てを表すか又は含むことが、当業者により理解される。
−PEG−CO2−PEG−+H2O→PEG−CO2H+HO−PEG−
ポリ(エチレングリコール)又はPEGという用語が、以下に限定されないが、本明細書中に開示されているものなど、当技術分野で公知の形態全てを表すか又は含むことが、当業者により理解される。
多くの他のポリマーもまた本発明での使用に適切である。幾つかの実施形態において、水溶性であり、2から約300の末端を有するポリマー骨格は本発明において特に有用である。適切なポリマーの例としては、以下に限定されないが、その他のポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)など、そのコポリマー(以下に限定されないが、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーなど)、そのターポリマー、それらの混合物などが挙げられる。ポリマー骨格の各鎖の分子量は様々であり得るが、典型的には、約800Daから約100,000Da、多くの場合、約6,000Daから約80,000Daの範囲である。 実質的に水溶性の骨格に対する前述の一覧は、網羅的なものではなく、単なる例示に過ぎず、上述の質を有する全てのポリマー性物質が本発明での使用に適切なものとして想定されることを、当業者は認識する。
本発明の幾つかの実施形態において、ポリマー誘導体は、「多官能性」であり、これは、つまり、ポリマー骨格が少なくとも2つの末端を有し、官能基により官能化又は活性化された、約300末端にのぼる末端を有する可能性があることを意味する。多官能性ポリマー誘導体としては、以下に限定されないが、2つの末端(各末端は同じもしくは異なり得る官能基に結合されている。)を有する直鎖状ポリマーが挙げられる。
ある実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−ポリ−B−N=N=N
(N=N=Nはアジド部分であり;
Bは連結部分(存在してもよく、存在しなくてもよい。)であり;
ポリは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、連結部分(存在してもよく存在しなくてもよく、Bと同じであるか、又は異なっていてもよい。)であり;
Xは、第二の官能基である。)
を有する。
X−A−ポリ−B−N=N=N
(N=N=Nはアジド部分であり;
Bは連結部分(存在してもよく、存在しなくてもよい。)であり;
ポリは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、連結部分(存在してもよく存在しなくてもよく、Bと同じであるか、又は異なっていてもよい。)であり;
Xは、第二の官能基である。)
を有する。
A及びBに対する連結部分の例としては、以下に限定されないが、18個以下の炭素原子を含有する多官能性アルキル基が挙げられ、好ましくは1個から10個の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素又はイオウなどのヘテロ原子がこのアルキル鎖に含まれ得る。アルキル鎖はまた、ヘテロ原子において分枝され得る。A及びBに対する連結部分の例としては、以下に限定されないが、10個以下の炭素原子を含有する多官能性アリール基が挙げられ、より好ましくは5個から6個の炭素原子を含有し得る。このアリール基は、もう1つの炭素原子、窒素、酸素又はイオウ原子により置換され得る。適切な連結基のその他の例としては、米国特許第5,932,4462号;同第5,643,575号;及び米国特許公開2003/0143596(それぞれを本明細書中に参照により組み込む。)に記載の連結基が挙げられる。連結部分に対する前述の一覧は、他のものを除外するものではなく、ただ説明を目的としたものであり、上述の質を有する全ての連結部分が本発明での使用に適切なものとしてもくろまれることを、当業者は認識するであろう。
Xとしての使用に適切な官能基の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル、保護化ヒドロキシル、アルコキシル、活性エステル、例えばN−ヒドロキシスクシニミジルエステル及び1−ベンゾトリアゾリルエステルなど、活性カーボネート、例えばN−ヒドロキシスクシニミジルカーボネート及び1−ベンゾトリアゾリルカーボネートなど、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、アミノオキシ、保護化アミン、ヒドラジド、保護化ヒドラジド、保護化チオール、カルボン酸、保護化カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨウ化アセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシラート、トシラート、トレシラート、アルケン、ケトン及びアジドが挙げられる。当業者により理解されるように、選択されたX部分は、アジド基との反応が起こらないよう、アジド基と適合可能であるべきである。アジド含有ポリマー誘導体は、ホモ二官能性であり得、これは、第二の官能基(即ちX)もアジド部分であることを意味するか、又はヘテロ二官能性であり、つまり、第二の官能基が異なる官能基であることを意味する。
「保護された」という用語は、ある一定の反応条件下で、化学的に反応性のある官能基の反応を妨げる、保護基又は部分の存在を指す。保護基は、保護する化学的に反応性のある反応基のタイプにより異なる。例えば、化学的に反応性のある基がアミン又はヒドラジドである場合、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)の群から保護基を選択することができる。化学的に反応性のある基がチオールである場合、保護基は、オルトピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性のある基が酪酸もしくはプロピオン酸などのカルボン酸又はヒドロキシル基である場合、保護基は、ベンジル又はアルキル基(例えば、メチル、エチル又はtert−ブチルなど。)であり得る。当技術分野で公知のその他の保護基もまた、本発明において使用し得る。
文献中の末端官能基の具体例としては、以下に限定されないが、N−スクシニミジルカーボナート(例えば、米国特許第5,281,698号、同第5,468,478号を参照。)、アミン(例えば、Buckmann et al.,Makromol.Chem.182:1379(1981)、Zaplipski et al.,Eur.Polym.J.19:1177(2)を参照。)、ヒドラジド(例えば、Andrez et al.,Makromol.Chem.179:301(1978)を参照。)、スクシニミジルプロピオナート及びスクシニミジルブタノアート(例えば、Olson et al.,Poly(ethylene glycol)Chemistry & Biological Applications、pp.170−181、Harris及びZaplipsky編、ACS、Washington,D.C.1997を参照。;米国特許第5,672,662号も参照のこと。)、スクシニミジルスクシナート(例えば、Abuchowski et al.,Cancer Biochem.Biophys,7:175(1984)及びJoppich et al.,Macrolol.Chem.180:1381(1979)を参照。)、スクシニミジルエステル(例えば、米国特許第4,670,417号参照。)、ベンゾトリアゾールカーボナート(例えば、米国特許第5,650,234号参照。)、グリシジルエーテル(例えば、Pitha et al.,Eur.J.Biochem.94:11(1979)、Elling et al.,Biotech.Appl.Biochem.13:354(1991)を参照。)、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、Beauchamp et al.,Anal.Biochem.131:25(1983)、Tondelli et al.,J.Controlled Release 1:251(1985)を参照。)、p−ニトロフェニルカーボナート(例えば、Veronese et al.,Appl.Biochem.Biotech.,11:141(1985);及びSartore et al.,Appl.Biochem.Biotech.,27:45(1991)を参照。)、アルデヒド(例えば、Harris et al.,J.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)、米国特許第5,824,784号、米国特許第5,252,714号を参照。)、マレイミド(例えば、Goodson et al.,BioTechnology(NY)8:343(1990)、Romani et al.,Chemistry of Peptides and Proteins2:29(1984)及びKogan,Synthesis Comm.22:2417(1992)を参照。)、オルトピリジル−ジスルフィド(例えば、Woghirem et al.,Bioconj.Chem.4:314(1993)を参照。)、アクリロール(例えば、Sawhney et al.,Macromolecules,26:581(1993)を参照。)、ビニルスルホン(例えば、米国特許第5,900,461号を参照。)が挙げられる。上記の参考文献及び特許の全てを本明細書中に参照により組み込む。
本発明のある一定の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−N=N=N
(式中、Xは、上述のような官能基であり、nは約20から約4000である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−N=N=N
(式中、Xは、上述のような官能基であり、nは約20から約4000である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
別の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−O−(CH2)m−W−N=N=N
(式中、Wは、1個から10個の炭素原子を含有する、脂肪族又は芳香族リンカー部分であり;nは約20から約4000であり;
Xは上述のような官能基であり、mはmは1から10である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−O−(CH2)m−W−N=N=N
(式中、Wは、1個から10個の炭素原子を含有する、脂肪族又は芳香族リンカー部分であり;nは約20から約4000であり;
Xは上述のような官能基であり、mはmは1から10である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
当技術分野で公知及び/又は本明細書中で開示されている様々な方法により、本発明のアジド含有PEG誘導体を調製することができる。下記で示すある方法において、平均分子量が約800Daから約100,000Daである水溶性ポリマー骨格(第一の官能基に第一の末端が結合し、適切な脱離基に第二の末端が結合するポリマー骨格)をアジド陰イオン(ナトリウム、カリウム、tert−ブチルアンモニウムなどの適切な対イオンの何れかの数と対合し得る。)と反応させる。脱離基は求核置換され、アジド部分により置換され、これにより、所望のアジド含有PEGポリマーが生じる。
X−PEG−L+N3→X−PEG−N3
示されるように、本発明での使用に適切なポリマー骨格は、式:X−PEG−L(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xは、アジド基と反応しない官能基であり、Lは適切な脱離基である。)を有する。適切な官能基の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル、保護化ヒドロキシル、アセタール、アルケニル、アミン、アミノオキシ、保護化アミン、保護化ヒドラジド、保護化チオール、カルボン酸、保護化カルボン酸、マレイミド、ジチオピリジン及びビニルピリジンならびにケトンが挙げられる。適切な脱離基の例としては、以下に限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシラート、トレシラート及びトシラートが挙げられる。
示されるように、本発明での使用に適切なポリマー骨格は、式:X−PEG−L(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xは、アジド基と反応しない官能基であり、Lは適切な脱離基である。)を有する。適切な官能基の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル、保護化ヒドロキシル、アセタール、アルケニル、アミン、アミノオキシ、保護化アミン、保護化ヒドラジド、保護化チオール、カルボン酸、保護化カルボン酸、マレイミド、ジチオピリジン及びビニルピリジンならびにケトンが挙げられる。適切な脱離基の例としては、以下に限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシラート、トレシラート及びトシラートが挙げられる。
本発明のアジド含有ポリマー誘導体の調製のための別の方法において、アジド官能基を含有する連結剤を平均分子量が約800Daから約100,000Daである水溶性ポリマー骨格(ここで、この連結剤は、連結基によりアジドがポリマー骨格から離されているアジド含有ポリマー誘導体産物を形成するために、PEGポリマー上の化学官能基と選択的に反応する化学官能基を有する。)に接触させる。
例となる反応スキームを以下に示す:
X−PEG−M+N−リンカー−N=N=N→PG−X−PEG−リンカー−N=N=N
(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xは、アルコキシなどのキャッピング基又は上述のような官能基であり;Mは、アジド官能基と反応性がないが、N官能基と効率的かつ選択的に反応する官能基である。)
を有する。
X−PEG−M+N−リンカー−N=N=N→PG−X−PEG−リンカー−N=N=N
(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xは、アルコキシなどのキャッピング基又は上述のような官能基であり;Mは、アジド官能基と反応性がないが、N官能基と効率的かつ選択的に反応する官能基である。)
を有する。
適切な官能基の例としては、以下に限定されないが、Nがアミンである場合、Mが、カルボン酸、カーボネート又は活性エステルである;Nがヒドラジド又はアミノオキシ部分である場合、Mがケトンである;Nが求核試薬である場合、Mが脱離基であるものが挙げられる。以下に限定されないが、生成物の沈殿とその後のクロマトグラフィー(必要に応じて)など、公知の方法により、粗製生成物の精製を行い得る。
PEGジアミンの場合のより具体的な例を下記に示すが、この場合、アミンのうち1個がtert−ブチル−Bocなどの保護基部分により保護され、アジド官能基を有する連結部分と、生じたモノ保護化PEGジアミンとを反応させる:
BocHN−PEG−NH2+HO2C−(CH2)3−N=N=N
この例において、塩化チオニル又はカルボジイミド剤及びN−ヒドロキシスクンイミド又はN−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの様々な活性化剤を用いて、アミン基をカルボン酸基とカップリングさせ、モノアミンPEG誘導体とアジド含有リンカー部分との間にアミド結合を形成させることができる。アミド結合をうまく形成させた後、生じたN−tert−ブチル−Boc−保護化アジド含有誘導体を直接用いて、生物活性分子を修飾するか、又はこれをさらに変化させて、その他の有用な官能基を取り込むことができる。例えば、強酸での処理によりN−t−Boc基を加水分解して、オメガ−アミノ−PEG−アジドを生成させることができる。生じたアミンを合成ハンドルとして使用して、有用なヘテロ二官能性物質を生成させるための、マレイミド基、活性化ジスルフィド、活性化エステルなどのその他の有用な官能基を取り込むことができる。
ヘテロ二官能性誘導体は、ポリマーの各末端に異なる分子を結合させたい場合、特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アジドPEGにより、PEGの一方の末端への、アルデヒド、ケトン、活性化エステル、活性化カーボネートなどの活性化された求電子基を有する分子の結合及びPEGの他方の末端へのアセチレン基を有する分子の結合が可能となる。
BocHN−PEG−NH2+HO2C−(CH2)3−N=N=N
この例において、塩化チオニル又はカルボジイミド剤及びN−ヒドロキシスクンイミド又はN−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの様々な活性化剤を用いて、アミン基をカルボン酸基とカップリングさせ、モノアミンPEG誘導体とアジド含有リンカー部分との間にアミド結合を形成させることができる。アミド結合をうまく形成させた後、生じたN−tert−ブチル−Boc−保護化アジド含有誘導体を直接用いて、生物活性分子を修飾するか、又はこれをさらに変化させて、その他の有用な官能基を取り込むことができる。例えば、強酸での処理によりN−t−Boc基を加水分解して、オメガ−アミノ−PEG−アジドを生成させることができる。生じたアミンを合成ハンドルとして使用して、有用なヘテロ二官能性物質を生成させるための、マレイミド基、活性化ジスルフィド、活性化エステルなどのその他の有用な官能基を取り込むことができる。
ヘテロ二官能性誘導体は、ポリマーの各末端に異なる分子を結合させたい場合、特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アジドPEGにより、PEGの一方の末端への、アルデヒド、ケトン、活性化エステル、活性化カーボネートなどの活性化された求電子基を有する分子の結合及びPEGの他方の末端へのアセチレン基を有する分子の結合が可能となる。
本発明の別の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−ポリ−B−C≡C−R
(Rは、H、又はアルキル、アルケン、アルキオキシ又はアリール又は置換されたアリール基の何れかであり得;
Bは連結部分(存在してもよく、存在しなくてもよい。)であり;
ポリは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、連結部分(存在してもよく存在しなくてもよく、Bと同じであるか、又は異なっていてもよい。)であり;
Xは、第二の官能基である。)
を有する。
X−A−ポリ−B−C≡C−R
(Rは、H、又はアルキル、アルケン、アルキオキシ又はアリール又は置換されたアリール基の何れかであり得;
Bは連結部分(存在してもよく、存在しなくてもよい。)であり;
ポリは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、連結部分(存在してもよく存在しなくてもよく、Bと同じであるか、又は異なっていてもよい。)であり;
Xは、第二の官能基である。)
を有する。
A及びBに対する連結部分の例としては、以下に限定されないが、18個以下の炭素原子を含有する多官能性アルキル基が挙げられ、1個から10個の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素又はイオウなどのヘテロ原子がこのアルキル鎖に含まれ得る。
アルキル鎖はまた、ヘテロ原子において分枝され得る。A及びBに対する連結部分の例としては、以下に限定されないが、10個以下の炭素原子を含有する多官能性アリール基が挙げられ、より好ましくは5個から6個の炭素原子を含有し得る。このアリール基は、もう1つの炭素原子、窒素、酸素又はイオウ原子により置換され得る。適切な連結基のその他の例としては、米国特許第5,932,4462号及び同第5,643,575号及び米国特許公開2003/0143596(それぞれを本明細書中に参照により組み込む。)に記載の連結基が挙げられる。連結部分に対する前述の一覧は、他のものを除外するものではなく、ただ説明を目的としたものであり、上述の質を有する多様な連結部分が本発明での使用に有用なものとしてもくろまれることを、当業者は認識するであろう。
アルキル鎖はまた、ヘテロ原子において分枝され得る。A及びBに対する連結部分の例としては、以下に限定されないが、10個以下の炭素原子を含有する多官能性アリール基が挙げられ、より好ましくは5個から6個の炭素原子を含有し得る。このアリール基は、もう1つの炭素原子、窒素、酸素又はイオウ原子により置換され得る。適切な連結基のその他の例としては、米国特許第5,932,4462号及び同第5,643,575号及び米国特許公開2003/0143596(それぞれを本明細書中に参照により組み込む。)に記載の連結基が挙げられる。連結部分に対する前述の一覧は、他のものを除外するものではなく、ただ説明を目的としたものであり、上述の質を有する多様な連結部分が本発明での使用に有用なものとしてもくろまれることを、当業者は認識するであろう。
Xとしての使用に適切な官能基の例としては、ヒドロキシル、保護化ヒドロキシル、アルコキシル、活性エステル、例えばN−ヒドロキシスクシニミジルエステル及び1−ベンゾトリアゾリルエステルなど、活性カーボナート、例えばN−ヒドロキシスクシニミジルカーボナート及び1−ベンゾトリアゾリルカーボナートなど、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリラート、メタクリラート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、アミノオキシ、保護化アミン、ヒドラジド、保護化ヒドラジド、保護化チオール、カルボン酸、保護化カルボン酸、イソシアナート、イソチオシアナート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨウ化アセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシラート、トシラート、トレシラート、アルケン、ケトン及びアセチレンが挙げられる。当業者により理解されるように、選択されるX部分は、アセチレン基との反応が起こらないよう、アセチレン基と適合可能であるべきである。アセチレン含有ポリマー誘導体は、ホモ二官能性であり得、これは、第二の官能基(即ちX)もアセチレン部分であることを意味するか、又はヘテロ二官能性であり、つまり、第二の官能基が異なる官能基であることを意味する。
本発明の別の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−O−(CH2)m−C=CH:
(式中、Xは、上述のような官能基であり、nは約20から約4000であり、及びmは1から10である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
ヘテロ二官能性PEGポリマーのそれぞれの具体例を下記に示す。当業者にとって公知の方法及び/又は本明細書中で開示する方法を用いて、本発明のアセチレン−含有PEG誘導体を調製することができる。ある方法において、平均分子量が約800Daから約100,000Daである水溶性ポリマー骨格(第一の官能基に第一の末端が結合し、適切な求核基に第二の末端が結合するポリマー骨格)を、アセチレン官能基と、PEG上の求核基との反応に適切な脱離基と、の両方を有する化合物と反応させる。求核部分を有するPEGポリマー及び脱離基を有する分子を組み合わせた場合、脱離基において求核置換が起こり、求核部分により置換され、これにより、所望のアセチレン含有PEGポリマーが生じる。
X−CH2CH2O−−(CH2CH2O)n−−CH2CH2−O−(CH2)m−C=CH:
(式中、Xは、上述のような官能基であり、nは約20から約4000であり、及びmは1から10である。)
を有するポリマー骨格を含有する。
ヘテロ二官能性PEGポリマーのそれぞれの具体例を下記に示す。当業者にとって公知の方法及び/又は本明細書中で開示する方法を用いて、本発明のアセチレン−含有PEG誘導体を調製することができる。ある方法において、平均分子量が約800Daから約100,000Daである水溶性ポリマー骨格(第一の官能基に第一の末端が結合し、適切な求核基に第二の末端が結合するポリマー骨格)を、アセチレン官能基と、PEG上の求核基との反応に適切な脱離基と、の両方を有する化合物と反応させる。求核部分を有するPEGポリマー及び脱離基を有する分子を組み合わせた場合、脱離基において求核置換が起こり、求核部分により置換され、これにより、所望のアセチレン含有PEGポリマーが生じる。
X−PEG−Nu+L−A−C→X−PEG−Nu−A−C≡CR’
示されるように、本反応での使用に適切なポリマー骨格は、式:X−PEG−Nu(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Nuは求核部分であり、Xは、Nu、L又はアセチレン官能基と反応しない官能基である。)を有する。Nuの例としては、以下に限定されないが、アミン、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、イミノ、カルボキシレート、ヒドラジド、アアミンオキシ基(主にSN2型の機構を介して反応する。)が挙げられる。Nu基のさらなる例としては、求核付加反応を介して主に反応する官能基が挙げられる。L基の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート及びトシレート及び、求核置換が行われると予想されるその他の基ならびに、ケトン、アルデヒド、チオエステル、オレフィン、α−β−不飽和カルボニル基、カーボネート及び、求核試薬により付加が起こると予想されるその他の求電子基が挙げられる。
示されるように、本反応での使用に適切なポリマー骨格は、式:X−PEG−Nu(式中、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Nuは求核部分であり、Xは、Nu、L又はアセチレン官能基と反応しない官能基である。)を有する。Nuの例としては、以下に限定されないが、アミン、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、イミノ、カルボキシレート、ヒドラジド、アアミンオキシ基(主にSN2型の機構を介して反応する。)が挙げられる。Nu基のさらなる例としては、求核付加反応を介して主に反応する官能基が挙げられる。L基の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート及びトシレート及び、求核置換が行われると予想されるその他の基ならびに、ケトン、アルデヒド、チオエステル、オレフィン、α−β−不飽和カルボニル基、カーボネート及び、求核試薬により付加が起こると予想されるその他の求電子基が挙げられる。
本発明の別の実施形態において、Aは、1個から10個の間の炭素原子の脂肪族リンカー又は6個から14個の間の炭素原子の置換アリール環である。Xは、アジド基と反応しない官能基であり、Lは、適切な脱離基である。
本発明のアセチレン含有ポリマー誘導体の調製のための別の方法において、平均分子量が約800Daから約100,000Daであり、一方の末端に保護化官能基又はキャッピング剤の何れかを有しており、他方の末端に適切な脱離基を有するPEGポリマーをアセチレ陰イオンと接触させる。
例となる反応スキームを以下に示す:
X−PEG−L+−C≡CR’→X−PEG−C≡CR’
(PEGはポリ(エチレングリコール)であり、及びXは、アルコキシ又は上記官能基などのキャップ基であり、及び
R’は、H、アルキル、アルコキシ、アリール又はアリールオキシ基又は置換されたアルキル、アルコキシル、アリール又はアリールオキシ基の何れかであり得る。)
を有する。
X−PEG−L+−C≡CR’→X−PEG−C≡CR’
(PEGはポリ(エチレングリコール)であり、及びXは、アルコキシ又は上記官能基などのキャップ基であり、及び
R’は、H、アルキル、アルコキシ、アリール又はアリールオキシ基又は置換されたアルキル、アルコキシル、アリール又はアリールオキシ基の何れかであり得る。)
を有する。
上記の例において、脱離基Lは、十分な濃度のアセチレン陰イオンと接触させた場合に、SN2型の置換を起こすよう十分に反応性があるべきである。アセチレン陰イオンによる脱離基のSN2型の置換を遂行するのに必要な反応条件は、当技術分野で周知である。
未精製産物の精製は、通常、産物の沈殿後、必要に応じて行われるクロマトグラフィーなど(これらに限定されない。)本分野で公知の方法によって達成することが可能である。
本発明のポリペプチドに連結された水溶性ポリマーのポリペプチド鎖の数及び位置(すなわち、PEG化又はグリコシル化の程度)は、インビボ半減期などの変化された(増加又は減少を含むが、これらに限定されない。)薬理学的、薬物動態的又は薬力学的特性を提供するように調整することが可能である。幾つかの実施形態において、hIFNの半減期は、修飾されていないポリペプチドに対して、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90%、2倍、5倍、10倍、50倍又は少なくとも約100倍増加される。
強い求核基(すなわち、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン又はセミカルバジド)を含有するPEG誘導体
本発明のある実施形態において、カルボニル含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドをPEG骨格と直接連結される、末端ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジド又はセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体で修飾する。
本発明のある実施形態において、カルボニル含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドをPEG骨格と直接連結される、末端ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジド又はセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体で修飾する。
ある実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−O−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−O−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
ある実施形態において、ヒドラジン含有又はヒドラジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−X−NH−NH2
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−X−NH−NH2
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
ある実施形態において、セミカルバジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
本発明の別の実施形態において、アミド結合によりPEG骨格に連結している、末端ヒドロキシルアミン、ヒドラジド、ヒドラジン又はセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体により、カルボニル含有アミノ酸を含むhGHポリペプチドを修飾する。
ある実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−NH−(C(O)−NH−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−NH−(C(O)−NH−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
ある実施形態において、ヒドラジン含有又はヒドラジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−X−NH−NH2
(Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−X−NH−NH2
(Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
ある実施形態において、セミカルバジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
本発明の別の実施形態において、カルボニル含有アミノ酸を含むポリペプチドは、末端ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジド又はセミカルバジド部分を含有し、分枝PEGで修飾され、分枝PEGの各鎖は10から40kDaの範囲のMWを有し、より好ましくは5−20kDaの範囲のMWであり得る。
本発明の別の実施形態において、非天然のコードアミノ酸を含むポリペプチドは、分枝構造を有するPEG誘導体で修飾される。
例えば、ある実施形態において、ヒドラジン含有又はヒドラジド含有PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−NH−NH2
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−NH−NH2
Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは場合によっては、存在しても存在しなくてもよい、カルボニル基(C=O)である。)
を有する。
ある実施形態において、セミカルバジド基を含有するPEG誘導体は、次の構造:
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−C(O)−NH−CH2−CH2]2CH−X−(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、Xは場合によってはNH、O、S、C(O)であるか又は存在せず、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−C(O)−NH−CH2−CH2]2CH−X−(CH2)m−NH−C(O)−NH−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、Xは場合によってはNH、O、S、C(O)であるか又は存在せず、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
ある実施形態において、ヒドロキシルアミン基を含有するPEG誘導体は、次の構造:
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−C(O)−NH−CH2−CH2]2CH−X−(CH2)m−O−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、Xは場合によってはNH、O、S、C(O)であるか又は存在せず、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−C(O)−NH−CH2−CH2]2CH−X−(CH2)m−O−NH2
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、Xは場合によってはNH、O、S、C(O)であるか又は存在せず、mは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
ポリマーの活性化のための、ならびに、ペプチドの共役のための、方法及び化学反応は、文献中に記載されており、当技術分野で公知である。ポリマーの活性化のために一般的に使用されている方法には、臭化シアン、過ヨウ素酸塩、グルタルアルデヒド、ビエポキシド、エピクロロヒドリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニル、トリクロロトリアジンなどでの官能基の活性化が含まれるが、これらに限定されない。(R.F.Taylor,(1991), PROTEIN IMMOBILISATION.FUNDAMENTAL AND APPLICATIONS, Marcel Dekker, N.Y.;S.S.Wong,(1992), CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSSLINKING, CRC Press, Boca Raton;G.T.Hermanson et al,(1993), IMMOBILIZED AFFINITY LIGAND TECHNIQUES, Academic Press, N.Y.;Dunn, R.L., et al, Eds.POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, ACS Symposium Series Vol.469, American Chemical Society, Washington, D.C.1991を参照されたい。)。PEGの官能化及び共役のいくつかの概説及び論文が利用可能である。例えば、Harris,Macronol.Chem.Phys.C25:325−373(1985);Scouten,Methods in Enzymology 135:30−65(1987);Wongら、Enzyme Microb.Technol.14:866−874(1992);Delgadoら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems9:249−304(1992);Zalipsky,Bioconjugate Chem.6:150−165(1995)を参照のこと。
ポリマーの活性化のための方法はまた、WO94/17039、米国特許第5,324,844号、WO94/18247、WO94/04193、米国特許第5,219,564号、米国特許第5,122,614号、WO90/13540、米国特許第5,281,698号及びWO93/15189においても、及び、活性化されたポリマーと、以下に限定されないが、凝固因子VIII(WO94/15625)、ヘモグロビン(WO94/09027)、酸素運搬分子(米国特許第4,412,989)、リボヌクレアーゼ及びスーパーオキシドジムスターゼ(Veronese et al.,App.Biochem.Biotech.11:141−45(1985))を含む酵素との間の共役に対するものも見出すことができる。引用する参考文献及び特許を全て、本明細書中に参照により組み込む。
何らかの従来法により、p−アジド−L−フェニルアラニンなどの天然にコードされないアミノ酸を含有するポリペプチドのPEG化(即ち、何らかの水溶性ポリマーの付加)を行う。例えば、アルキン末端PEG誘導体によりポリペプチドをPEG化する。簡潔に述べると、室温にて、撹拌しながら、p−アジド−L−Phe−含有ポリペプチドの水溶液に固体mPEG(5000)−O−CH2−C≡CHの過剰量を添加する。通常、反応を行うpH付近(通常約pH4から10)のpKaを有する緩衝液で水溶液を緩衝化する。pH7.5でのPEG化のための適切な緩衝液の例としては、例えば、以下に限定されないが、HEPES、リン酸塩、ホウ酸塩、TRIS−HCl、EPPS及びTESが挙げられる。pHを連続してモニタリングし、必要に応じて調整する。反応は通常、約1時間から48時間連続して行う。
続いて反応産物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供して、遊離のmPEG(5000)−O−CH2−C≡CH及び、ブロックされていないPEGが分子の両末端で活性化されている場合に形成され得、それによりhGHポリペプチドバリアント分子を架橋する、PEG化されたhGHポリペプチドの全ての高分子量複合体から、PEG化されたポリペプチドを分離する。疎水性相互作用クロマトグラフィーの際の条件は、遊離のmPEG(5000)−O−CH2−C≡CHがカラムから流出し、一方であらゆる架橋PEG化hGHポリペプチドバリアント複合体が、1又はそれ以上のPEG基と共役させられている1個のhGHポリペプチドバリアント分子を含有する所望の形態の後に、溶出するようなものである。適切な条件は、架橋複合体対所望の抱合体の相対サイズにより異なり、当業者は容易にこれを決定する。所望の抱合体を含有する溶出物を限外ろ過により濃縮し、透析ろ過により脱塩する。
必要に応じて、以下に限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー;陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー(以下に限定されないが、DEAE SEPHAROSEなどを使用する。);シリカでのクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(以下に限定されないが、SEPHADEX G−75などを使用する。);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/透析ろ過;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマト分画;置換クロマトグラフィー;電気泳動手法(以下に限定されないが、分取等電点電気泳動など)、異なる溶解性(differential solubility)(以下に限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿など)又は抽出などの、当業者に公知の1つ又はそれ以上の手段により、疎水性クロマトグラフィーから得たPEG化されたポリペプチドをさらに精製することが可能である。球状タンパク質標準(Preneta,AZ in Protein Purification Methods,A Practical Approach(Harris及びAngal編)IRL Press 1989,293−306)と比較することによるGPCによって、見かけの分子量を推定し得る。タンパク質分解(以下に限定されないが、トリプシン切断など。)を行い、次いでマススペクトロメトリー分析を行うことにより、hGH−PEG抱合体の純度を評価することができる。Pepinsky B.,et al.,J.Pharmacol.& Exp.Ther.297(3):1059−66(2001)。
限定なしに、本発明のポリペプチドのアミノ酸に連結している水溶性ポリマーをさらに誘導体化するか、又は置換することができる。
アジド含有PEG誘導体
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアルキン部分と反応するアジド部分を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。一般に、PEG誘導体は、1から100kDaの平均分子量を有し、ある実施形態においては、10から40kDaの平均分子量を有する。
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアルキン部分と反応するアジド部分を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。一般に、PEG誘導体は、1から100kDaの平均分子量を有し、ある実施形態においては、10から40kDaの平均分子量を有する。
ある実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−N3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−N3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
別の実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−(CH2)p−N3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−(CH2)p−N3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
本発明の別の実施形態において、末端アジド部分を含有し、分枝PEGの各鎖が10から40kDaの範囲のMW、及び5から20kDaであり得る範囲のMWを有する分枝PEG誘導体により、アルキン含有アミノ酸を含むhIFNポリペプチドを修飾する。例えば、幾つかの実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、次の構造:
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−((CH2)pN3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及びXは、それぞれの場合において、存在しても存在しなくてもよい、O、N、S又はカルボニル基(C=O)である。)
を有する。
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−((CH2)pN3
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及びXは、それぞれの場合において、存在しても存在しなくてもよい、O、N、S又はカルボニル基(C=O)である。)
を有する。
アルキン含有PEG誘導体
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアルキン部分を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアルキン部分を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。
幾つかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、次の構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、及びnは100から1,000である(即ち、平均分子量は5から40kDaの間である。)。)
を有する。
本発明の別の実施形態において、アミド結合によりPEG骨格に連結している末端アジド又は末端アルキン部分を含有するPEG誘導体により、アルキン含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドを修飾する。
幾つかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、次の構造:
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−(CH2)p−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)m−NH−C(O)−(CH2)p−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、nは100から1,000である。)
を有する。
本発明の別の実施形態において、末端アルキン部分を含有し、分枝PEGの各鎖が10から40kDa、及び5から20kDaであり得る範囲のMWを有する分枝PEG誘導体により、アジド含有アミノ酸を含むポリペプチドを修飾する。例えば、幾つかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、次の構造:
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−(CH2)p−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは、場合によっては、O、N、S若しくはカルボニル基(C=O)又は不存在である。)を有する。
[RO−(CH2CH2O)n−O−(CH2)2−NH−C(O)]2CH(CH2)m−X−(CH2)p−C≡CH
(式中、Rは単純アルキル(メチル、エチル、プロピルなど。)であり、mは2から10であり、pは2から10であり、及びnは100から1,000であり、及び、Xは、場合によっては、O、N、S若しくはカルボニル基(C=O)又は不存在である。)を有する。
ホスフィン含有PEG誘導体
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアリールホスフィン基をさらに含む活性化された官能基(以下に限定されないが、エステル、カーボナートなど。)を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。一般に、PEG誘導体は、1から100kDaの平均分子量を有し、幾つかの実施形態においては、10から40kDaの平均分子量を有する。
本発明の別の実施形態において、天然にコードされないアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアリールホスフィン基をさらに含む活性化された官能基(以下に限定されないが、エステル、カーボナートなど。)を含有するPEG誘導体により、ポリペプチドを修飾する。一般に、PEG誘導体は、1から100kDaの平均分子量を有し、幾つかの実施形態においては、10から40kDaの平均分子量を有する。
幾つかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
幾つかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
を有する。R基の例としては、以下に限定されないが、−CH2、−C(CH3)3、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−C(O)R’、−CONR’R’’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−CN及び−NO2が挙げられる。R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、各々独立に、水素、置換された又は置換されていないヘテロアルキル、置換された又は置換されていないアリール(1ないし3個のハロゲンで置換されたアリールを含むが、これに限定されない。)、置換された又は置換されていない、アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を表す。本発明の化合物が2以上のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基が2以上存在する場合には、独立に、各々R’、R’’、R’’’及びR’’’’基として選択される。R’及びR’’が同一の窒素原子に付着されている場合には、それらは、窒素原子と組み合わされて5、6又は7員環を形成することが可能である。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。置換基についての上記論述から、当業者であれば、「アルキル」という用語には、ハロアルキル(−CF3及び−CH2CF3が含まれるが、これらに限定されない。)及びアシル(−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3が含まれるが、これらに限定されない。)など、水素基以外の基に結合された炭素原子を含む基が含まれるものとする。
他のPEG誘導体及び一般的なPEG化技術
ポリペプチドへ連結され得るその他の典型的なPEG分子及びPEG化方法には、米国特許公開2004/0001838;2002/0052009;2003/0162949;2004/0013637;2003/0228274;2003/0220447;2003/0158333;2003/0143596;2003/0114647;2003/0105275;2003/0105224;2003/0023023;2002/0156047;2002/0099133;2002/0086939;2002/0082345;2002/0072573;2002/0052430;2002/0040076;2002/0037949;2002/0002250;2001/0056171;2001/0044526;2001/0027217;2001/0021763;米国特許第6,646,110号;同第5,824,778号;同第5,476,653号;同第5,219,564号;同第5,629,384号;同第5,736,625号;同第4,902,502号;同第5,281,698号;同第5,122,614号;同第5,473,034号;同第5,516,673号;同第5,382,657号;同第6,552,167号;同第6,610,281号;同第6,515,100号;同第6,461,603号;同第6,436,386号;同第6,214,966号;同第5,990,237号;同第5,900,461号;同第5,739,208号;同第5,672,662号;同第5,446,090号;同第5,808,096号;同第5,612,460号;同第5,324,844号;同第5,252,714号;同第6,420,339号;同第6,201,072号;同第6,451,346号;同第6,306,821号;同第5,559,213号;同第5,612,460号;同第5,747,646号;同第5,834,594号;同第5,849,860号;同第5,980,948号;同第6,004,573号;同第6,129,912号;WO97/32607、EP229,108、EP402,378、WO92/16555、WO94/04193、WO94/14758、WO94/17039、WO94/18247、WO94/28024、WO95/00162、WO95/11924、WO95/13090、WO95/33490、WO96/00080、WO97/18832、WO98/41562、WO98/48837、WO99/32134、WO99/32139、WO99/32140、WO96/40791、WO98/32466、WO95/06058、EP439508、WO97/03106、WO96/21469、WO95/13312、EP921131、WO98/05363、EP809996、WO96/41813、WO96/07670、EP605963、EP510356、EP400472、EP183503及びEP154316(これらを参照により本明細書中に組み込む。)に記載されているものが含まれる。本明細書に記載されているPEG分子の何れも、一本鎖、分枝鎖、マルチアーム鎖、単一官能性、二官能性、多官能性又はこれらのあらゆる組み合わせを含む(これらに限定されない。)あらゆる形態で使用され得る。
ポリペプチドへ連結され得るその他の典型的なPEG分子及びPEG化方法には、米国特許公開2004/0001838;2002/0052009;2003/0162949;2004/0013637;2003/0228274;2003/0220447;2003/0158333;2003/0143596;2003/0114647;2003/0105275;2003/0105224;2003/0023023;2002/0156047;2002/0099133;2002/0086939;2002/0082345;2002/0072573;2002/0052430;2002/0040076;2002/0037949;2002/0002250;2001/0056171;2001/0044526;2001/0027217;2001/0021763;米国特許第6,646,110号;同第5,824,778号;同第5,476,653号;同第5,219,564号;同第5,629,384号;同第5,736,625号;同第4,902,502号;同第5,281,698号;同第5,122,614号;同第5,473,034号;同第5,516,673号;同第5,382,657号;同第6,552,167号;同第6,610,281号;同第6,515,100号;同第6,461,603号;同第6,436,386号;同第6,214,966号;同第5,990,237号;同第5,900,461号;同第5,739,208号;同第5,672,662号;同第5,446,090号;同第5,808,096号;同第5,612,460号;同第5,324,844号;同第5,252,714号;同第6,420,339号;同第6,201,072号;同第6,451,346号;同第6,306,821号;同第5,559,213号;同第5,612,460号;同第5,747,646号;同第5,834,594号;同第5,849,860号;同第5,980,948号;同第6,004,573号;同第6,129,912号;WO97/32607、EP229,108、EP402,378、WO92/16555、WO94/04193、WO94/14758、WO94/17039、WO94/18247、WO94/28024、WO95/00162、WO95/11924、WO95/13090、WO95/33490、WO96/00080、WO97/18832、WO98/41562、WO98/48837、WO99/32134、WO99/32139、WO99/32140、WO96/40791、WO98/32466、WO95/06058、EP439508、WO97/03106、WO96/21469、WO95/13312、EP921131、WO98/05363、EP809996、WO96/41813、WO96/07670、EP605963、EP510356、EP400472、EP183503及びEP154316(これらを参照により本明細書中に組み込む。)に記載されているものが含まれる。本明細書に記載されているPEG分子の何れも、一本鎖、分枝鎖、マルチアーム鎖、単一官能性、二官能性、多官能性又はこれらのあらゆる組み合わせを含む(これらに限定されない。)あらゆる形態で使用され得る。
X.ポリペプチドのグリコシル化
本発明は、糖残基を有する1又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を取り込んでいるポリペプチドを含む。糖残基は、天然(以下に限定されないが、N−アセチルグルコサミンなど)又は非天然(以下に限定されないが、3−フルオロガラクトースなど)の何れかであり得る。糖はN−又はO−結合型グリコシド結合(以下に限定されないが、N−アセチルガラクトース−L−セリンなど)又は非天然結合(以下に限定されないが、オキシム又は対応するC−もしくはS−結合型グリコシドなど)の何れかにより、天然にコードされないアミノ酸に連結し得る。
本発明は、糖残基を有する1又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を取り込んでいるポリペプチドを含む。糖残基は、天然(以下に限定されないが、N−アセチルグルコサミンなど)又は非天然(以下に限定されないが、3−フルオロガラクトースなど)の何れかであり得る。糖はN−又はO−結合型グリコシド結合(以下に限定されないが、N−アセチルガラクトース−L−セリンなど)又は非天然結合(以下に限定されないが、オキシム又は対応するC−もしくはS−結合型グリコシドなど)の何れかにより、天然にコードされないアミノ酸に連結し得る。
糖(以下に限定されないが、グリコシルなど)部分をインビボ又はインビトロの何れかでポリペプチドに付加し得る。本発明の幾つかの実施形態において、アミノオキシ基により誘導体化された糖を用いてカルボニル含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドを修飾し、オキシム結合を介して連結された対応するグリコシル化されたポリペプチドを生成させる。天然にコードされないアミノ酸に付着させた後、グリコシルトランスフェラーゼ及びその他の酵素を用いた処理を行ってポリペプチドに結合したオリゴ糖を生成させることにより、糖をさらに加工し得る。例えば、H.Liu et al.,J.Am.Chem.Soc.125:1702−1703(2003)を参照のこと。
本発明のある実施形態において、アミノオキシ誘導体として調製された規定の構造を有するグリカンを用いて、カルボニル含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドを直接修飾する。アジド、アルキン、ヒドラジド、ヒドラジン及びセミカルバジドなどの他の官能基を使用して、天然にコードされないアミノ酸に糖を連結させることができることを、当業者は認識するであろう。
本発明のある実施形態において、以下に限定されないが、Huisgen[3+2]付加環化反応(以下に限定されないが、それぞれ、アルキニル又はアジド誘導体などを用いて。)などにより、アジド又はアルキニル含有天然にコードされないアミノ酸を含むポリペプチドを修飾することができる。この方法により、タンパク質を非常に高い選択性で修飾することができるようになる。
XIV.投与及び医薬組成物
以下に限定されないが、適切な医薬担体と組み合わせるなどして、治療用途のために、本発明の、ポリペプチド又はタンパク質(以下に限定されないが、1又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有するタンパク質など)を場合によって使用することができる。このような組成物は、例えば、化合物の治療的有効量と医薬として許容される担体又は賦形剤とを含む。このような担体又は賦形剤としては、以下に限定されないが、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール及び/又はそれらの組合せが挙げられる。投与様式に適切となるように製剤を作製する。一般に、タンパク質の投与方法は、当業者に周知であり、本発明のポリペプチドの投与に適用することができる。
以下に限定されないが、適切な医薬担体と組み合わせるなどして、治療用途のために、本発明の、ポリペプチド又はタンパク質(以下に限定されないが、1又はそれ以上の天然にコードされないアミノ酸を含有するタンパク質など)を場合によって使用することができる。このような組成物は、例えば、化合物の治療的有効量と医薬として許容される担体又は賦形剤とを含む。このような担体又は賦形剤としては、以下に限定されないが、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール及び/又はそれらの組合せが挙げられる。投与様式に適切となるように製剤を作製する。一般に、タンパク質の投与方法は、当業者に周知であり、本発明のポリペプチドの投与に適用することができる。
当業者に公知の方法に従い、本発明の1つ又はそれ以上のポリペプチドを含む治療用組成物を、場合によっては1つ又はそれ以上の適切なインビトロ及び/又はインビボ疾患動物モデルにおいて試験し、有効性、組織代謝を確認し、投与量を推定する。特に、投薬量は最初、天然アミノ酸相同体に対する本明細書中の非天然物(以下に限定されないが、天然アミノ酸ポリペプチドに対する、1つ又はそれ以上の非天然アミノ酸を含むように修飾されたポリペプチドの比較など)の、活性、安定性又はその他の適切な指標により、即ち、適切なアッセイにおいて、決定することができる。
投与は、血液又は組織細胞と最終的に接触するように分子を導入するために通常使用されるあらゆる経路による。何らかの適切な様式で、場合により、医薬として許容される1又はそれ以上の担体とともに、本発明の天然にコードされないアミノ酸ポリペプチドを投与する。本発明の関連におけるこのようなポリペプチドを患者に投与する適切な方法が利用可能であるが、2以上の経路を用いて特定の組成物を投与することができ、特定経路によって、別の経路よりも迅速かつ効果的な作用又は反応を得られることが多い。
一部、投与される特定の組成物によって、ならびに、組成物を投与するのに使用される特定の方法によって、医薬として許容される担体を決定する。したがって、本発明の医薬組成物の多岐にわたる適切な製剤が存在する。
ポリペプチド組成物は、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、経皮、皮下、局所、舌下又は直腸手段を含む(これらに限定されない。)多数の経路によって投与することが可能である。リポソームを介して修飾又は非修飾の非天然アミノ酸ポリペプチドを含む組成物を投与することもできる。このような投与経路及び適切な製剤は通常、当業者にとって公知である。
単独又はその他の適切な成分と組み合わせて非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、エアロゾル製剤に調製して(即ち、これらは「霧状」にすることができる。)、吸入により投与することもできる。加圧された許容可能なプロペラント(ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)にエアロゾル製剤を入れることができる。
例えば、関節内投与(関節中に)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内及び皮下経路などの非経口投与に適切な製剤としては、水性及び非水性の等張滅菌注射溶液(抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬及び製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る。)並びに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。アンプル及びバイアルなど、単位用量又は複数回用量の密封容器において、パッケージされた核酸の製剤を提供することができる。
非経口投与及び静脈内投与は好ましい投与方法である。特に、現在使用されている製剤とともに、天然アミノ酸相同体治療薬に対して既に使用されている投与経路(以下に限定されないが、EPO、GH、G−CSF、GM−CSF、IFN、インターロイキン、抗体及び/又は医薬として送達される何らかの他のタンパク質に対して典型的に使用されるものなど)は、本発明のポリペプチドに対する好ましい投与経路及び処方を与える。
本発明において、患者に投与される用量は、時間とともに患者において有効な治療応答(病原体による感染を阻害することなど(但し、これに限定されない。))を有するのに十分なものであるか、又は、適用に応じて、その他の適切な活性を有するのに十分なものである。特定のベクターもしくは処方の効率及び使用される天然にコードされないアミノ酸ポリペプチドの活性、安定性もしくは血清半減期及び患者の状態、ならびに処置される患者の、体重もしくは表面積により、用量を決定する。特定の患者における、特定のベクター、処方などの投与に付随する何らかの不都合な副作用の、存在、性質及び程度によっても、用量サイズが決定される。
疾患(以下に限定されないが、癌、遺伝性疾患、糖尿病、AIDSなど)の治療又は予防において投与されるべきベクター又は製剤の有効量を決定する場合、医師は、循環血漿レベル、製剤の毒性、疾患の進行及び/又は適切な場合は、抗非天然コードアミノ酸ポリペプチド抗体の産生を評価する。
例えば、70kgの患者に投与する用量は、典型的には、現在使用されている治療用タンパク質の投薬量と等しい範囲であり、関連組成物の変化した活性又は血清半減期に対して調節される。本発明のベクター又は医薬製剤は、抗体投与、ワクチン投与、細胞毒性物質、天然アミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチド類似体、生物反応調節物質などの投与など、何らかの公知の従来の治療による治療状態を補完することができる。
投与に対して、以下に限定されないが大部分及び全体的な患者の健康に対して適用する場合を含め、適切な製剤のLD−50又はED−50及び/又は様々な濃度での天然にコードされないアミノ酸の何らかの副作用の観察により決定される速度で本発明の製剤を投与する。単回投与又は分割投与で投与を行うことができる。単回投与又は分割投与で投与を行うことができる。
製剤の注入を行っている患者が発熱、悪寒又は筋肉痛を発症した場合、その患者にアスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン又はその他の疼痛/発熱制御薬の適量を与える。発熱、筋肉痛及び悪寒など、注入に対する反応が出たことがある患者には、それ以降の注入の30分前に、アスピリン、アセトアミドフェン又は以下に限定されないがジフェンヒドラミンなどの何れかを前もって与える。解熱剤及び抗ヒスタミン剤に対して迅速に応答しないより重度の悪寒及び筋肉痛には、メペリジンを使用する。反応の重症度によって、細胞注入の速度を遅くするか、又は中断する。
哺乳動物対象に、本発明のポリペプチドを直接投与することができる。投与は、ポリペプチドを対象に導入するために通常使用される何れかの経路による。本発明の実施形態によるポリペプチド組成物には、経口、直腸、局所、吸入(以下に限定されないが、エアロゾルを介したものなど)、口腔内(以下に限定されないが、舌下など)、膣内、非経口(以下に限定されないが、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜内、腹腔内、脳内、動脈内又は静脈内など)、局所(即ち、皮膚及び粘膜表面の両方、気道表面を含む。)及び経皮投与に適切なものが含まれるが、いかなる場合も、最適な経路は、治療されている状態の性質及び重症度に依存する。投与は局所又は全身投与の何れかであり得る。アンプル及びバイアルなど、単位用量又は複数回用量の密封容器中に、化合物の製剤を提供することができる。単位用量の注射用形態(以下に限定されないが、溶液、懸濁液又はエマルジョンなど)での医薬として許容される担体との混合物において本発明のポリペプチドを調製することができる。持続注入(以下に限定されないが、浸透圧ポンプなどのミニポンプなどを用いる。)、単一ボーラス又は徐放デポー製剤により、本発明のポリペプチドを投与することもできる。
投与に適切な製剤としては、水性及び非水性の溶液、等張滅菌注射溶液(抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬及び製剤を等張にする溶質を含有し得る。)並びに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。既に述べられた種類の、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から、溶液及び懸濁液を調製し得る。
本発明の医薬組成物及び製剤は、医薬として許容される担体を含み得る。一部、投与する特定の組成物によって、ならびに、組成物を投与するのに使用される特定の方法によって、医薬として許容される担体を決定する。したがって、本発明の医薬組成物(場合により、医薬として許容される担体、賦形剤又は安定化剤を含む。)の多岐にわたる適切な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed.1985参照。)。
適切な担体には、ホスファート、ボラート、HEPES、シトラート及びその他の有機酸を含有する緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量ポリペプチド(約10残基未満);血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンなどの単糖類、二糖類及びその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;亜鉛、コバルト又は銅などの二価金属イオン;マンニトール又はソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はTweenTM、PluronicsTM又はPEGなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。
徐放システムにより、又は徐放システムの一部として、PEGなどの水溶性ポリマーに連結されているものを含む、本発明のポリペプチドを投与することもできる。徐放組成物としては、以下に限定されないがフィルム又はマイクロカプセルなどの(これらに限定されない。)、造形品の形態の半透性ポリマーマトリクスなど(これに限定されない。)が挙げられる。徐放マトリクスには、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981);Langer、Chem.Tech.,12:98−105(1982)、エチレンビニルアセタート(Langer et al.,前出)又はポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)、ポリラクチド(ポリ乳酸)(米国特許第3,773,919号;EP58,481)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチド共グリコリド(乳酸とグリコール酸とのコポリマー)ポリ無水物、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートとのコポリマー(U.Sidman et al.,Biopolymers,22,547−556(1983)、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖類、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンなどのアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドン及びシリコーンなどの生体適合性の物質由来のものが含まれる。徐放組成物にはまた、リポソームに封入された化合物が含まれる。それ自身公知の方法により、化合物を含有するリポソームを調製する:DE3,218,121;Epstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82:3688−3692(1985);Hwang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本特許公開83−118008;米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号;及びEP102,324。引用する参考文献及び特許を全て、参照により本明細書中に組み込む。
例えばDE3,218,121;Epstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82:3688−3692(1985);Hwang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;及びEP102,324;日本特許出願83−118008;米国特許第4,485,045号;及び同第4,544,545号;及びEP102,324に記載の方法により、リポソーム中に封入されたポリペプチドを調製することができる。組成物及びリポソームサイズは周知であるか、又は当業者により経験的に容易に決定可能である。リポソームのいくつかの例が、例えばPark JW et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:1327−1331(1995);Lasic D及びPapahadjopoulos D(編):MEDICAL APPLICATIONS OF LYPOSOMES(1998);Drummond DC et al.,Liposomal drug delivery systems for cancer therapy,Teicher B(編):CANCER DRUG DISCOVERY AND DEVELOPMENT(2002);Park JW et al.,Clin.Cancer.Res.8:1172−1181(2002);Nielsen UB et al.,Biochim.Biophys.Acta 1591(1−3):109−118(2002);Mamot C et al.,Cancer Res.63:3154−3161(2003)に記載されている。引用する参考文献及び特許を全て、参照により本明細書中に組み込む。
本発明に関連して、患者へ投与される用量は、時間とともに対象において有効な応答を生じさせるのに十分な用量とすべきである。一般に、非経口的に投与される本発明のポリペプチドの、投与あたりの総医薬的有効量は、約0.01μg/kg/日から約100μg/kg、又は約0.05mg/kgから約1mg/kg(患者体重)の範囲であるが、これは治療での判断に委ねられる。投与頻度もまた、治療での判断に委ねられ、ヒトでの使用が認可されている市販のポリペプチド製品よりも多い又は少ない頻度であり得る。一般に、上述の何れかの投与経路により、本発明のPEG化されたポリペプチドを投与することができる。
実施例
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載されている本発明を例示するために記載されており、本発明を限定するものではない。
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載されている本発明を例示するために記載されており、本発明を限定するものではない。
天然にコードされないアミノ酸を含有するhGHを発現するために、オルソゴナルtRNA(O−tRNA)及びオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)を含むシュードモナス種宿主細胞翻訳系を使用する。O−RSは、O−tRNAを、天然にコードされないアミノ酸で優先的にアミノアシル化する。次いで、シュードモナス翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応答して、天然にコードされないアミノ酸をhGH中に挿入する。シュードモナス種のためのポリペプチド発現系は、本分野で記載されているとおりに構築する(Production of Recombinant Proteins:Novel Microbial and Eukaryotic Expression Systems, Gellissen (editor), John Wiley & Sons, Inc.publisher, 2005参照)。シュードモナス・フルオレセンス次亜種株MB101を使用する。
修飾されたhGH遺伝子及びオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素/tRNA対(所望の天然にコードされないアミノ酸に対して特異的)を含有するプラスミドで、P.フルオレセンスを形質転換することによって、天然にコードされないアミノ酸のhGHポリペプチド中への部位特異的取り込みが可能となる。形質転換されたP.フルオレセンスは、特定の天然にコードされないアミノ酸の0.01から100mMを含有する培地中、37℃で増殖され、高い精度と効率で、修飾されたhGHを発現する。天然にコードされないアミノ酸を含有するHisタグが付加されたhGHは、可溶性タンパク質、封入体又は凝集体として、シュードモナス宿主細胞によって産生される。hHGの精製方法は本分野において周知であり、SDS−PAGE、ウェスタンブロット又はエレクトロスプレーイオン化イオントラップ質量分析法などによって確認される。
Hisタグ付加されたhGHタンパク質は、製造業者によって提供された標準的なHisタグ付加されたタンパク質精製手順に続き、ゲル上への負荷の前に陰イオン交換カラムを介して、ProBond Nickel−Chelating Resin (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて精製される。
修飾されたhGHポリペプチドの生物活性をさらに評価するために、hGH受容体とのhGHの相互作用の下流マーカーを測定するアッセイが使用される。内在的に産生されたhGHの受容体とのhGHの相互作用は、ヒトIM−9リンパ球細胞株中で、シグナル伝達性転写活性因子ファミリーメンバーであるSTAT5のチロシンリン酸化をもたらす。
本発明のhGHポリペプチドで、IM−9細胞を刺激する。ヒトIM−9リンパ球は、ATCC(Manassas, VA)から購入し、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、ストレプトマイシン(Invitrogen, Carlsbad, San Diego)及び10%の熱不活化されたウシ胎児血清(Hyclone,Logan,UT)が補充されたRPMI1640中で増殖することが可能である。IM−9細胞を一晩、アッセイ培地(フェノール赤を含まないRPMI、10mM Hepes、1%熱不活化木炭/デキストランで処理されたFBS、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、及びストレプトマイシン)中で一晩飢餓状態にした後、37℃で10分間、hGHポリペプチドの12地点用量範囲で刺激する。刺激された細胞を1%ホルムアルデヒドで固定した後、90%氷冷メタノールにより氷上で1時間透過処理する。STAT5のリン酸化レベルを、一次ホスホ−STAT5抗体(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)とともに室温で30分間の後、PE抱合二次抗体で細胞内染色することによって検出する。試料の獲得は、Flowjoソフトウェア(Tree Star Inc., Ashland, OR)上で分析された獲得されたデータを使用して、FACSアレイ上で実施する。SigmaPlotを利用して、タンパク質濃度に対して平均蛍光強度(MFI)でプロットされた用量反応曲線からEC50値を得る。
本実施例は、カルボニル含有アミノ酸の導入及びその後のアミノオキシ含有PEGとの反応について詳述する。
本実施例は、続いて、約5000分子量のアミノオキシ含有PEGと反応される天然にコードされないケトン含有アミノ酸を取り込むhGHポリペプチドの作製方法を示す。選択されたアミノ酸位置は、以下の構造:
一旦修飾されたら、カルボニル含有アミノ酸を含むhGHポリペプチドバリアントを、形態:
R−PEG(N)−O−(CH2)n−NH2
(Rは、メチルであり、nは3であり、Nは約5,000MWである。)
のアミノオキシ含有PEGと反応させる。次いで、直ちに精製及び分析するために、適切な緩衝液中にPEG−hGHを希釈する。
R−PEG(N)−O−(CH2)n−NH2
(Rは、メチルであり、nは3であり、Nは約5,000MWである。)
のアミノオキシ含有PEGと反応させる。次いで、直ちに精製及び分析するために、適切な緩衝液中にPEG−hGHを希釈する。
アミド結合を介してPEGに連結されたヒドロキシルアミン基からなるPEGとの抱合。
実施例3に記載されている手順を用いて、天然にコードされないケトン含有アミノ酸へ、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−O−NH2
(R=メチル、n=4及びNは約20,000MWである。)を有するPEG試薬を結合する。反応、精製及び分析条件は、実施例3に記載されているとおりである。
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−O−NH2
(R=メチル、n=4及びNは約20,000MWである。)を有するPEG試薬を結合する。反応、精製及び分析条件は、実施例3に記載されているとおりである。
本実施例は、hGHポリペプチド中への、天然にコードされない2つの異なるアミノ酸の導入について詳述する。
本実施例は、2つの位置にケトン官能基を含む天然にコードされないアミノ酸を取り込むhGHポリペプチドの作製方法を示す。サプレッサーコドンが核酸内の2つの異なる部位に導入されていることを除き、本明細書に記載されているとおりに、hGHポリペプチドを調製する。
本実施例は、ヒドラジド含有PEGへのhGHポリペプチドの抱合及びこれに続くインサイチュ還元について詳述する。
実施例2及び3に記載されている手順に従って、カルボニル含有アミノ酸を取り込むhGHポリペプチドを調製する。一旦修飾されたら、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−X−NH−NH2
(R=メチル、n=2及びN=10,000MW及びXはカルボニル(C=O)基である。)を有するヒドラジド含有PEGをhGHポリペプチドに抱合する。25mMMES(SIgma Chemical,St.Louis,MO)pH6.0、25mMHepes(Sigma Chemical,St. Louis,MO)pH7.0又は10mM酢酸ナトリウム(Sigma Chemical, St. Louis,MO)pH4.5中に、p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製されたhGHを、0.1から10mg/mLの間で溶解し、ヒドラジド含有PEGの1から100倍過剰と反応させ、原液1MNaCNBH3(Sigma Chemical, St. Louis,MO)の添加によって、対応するヒドラゾンをインシチュで還元し、10から50mMの最終濃度になるようにH2O中に溶解する。暗所、4℃から室温で、18から24時間にわたって反応を実施する。50mMの最終Tris濃度になるように、約pH7.6の1MTris(Sigma Chemical,St.Louis,MO)の添加によって反応を停止させ、又は直ちに精製するために適切な緩衝液中に希釈する。
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−X−NH−NH2
(R=メチル、n=2及びN=10,000MW及びXはカルボニル(C=O)基である。)を有するヒドラジド含有PEGをhGHポリペプチドに抱合する。25mMMES(SIgma Chemical,St.Louis,MO)pH6.0、25mMHepes(Sigma Chemical,St. Louis,MO)pH7.0又は10mM酢酸ナトリウム(Sigma Chemical, St. Louis,MO)pH4.5中に、p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製されたhGHを、0.1から10mg/mLの間で溶解し、ヒドラジド含有PEGの1から100倍過剰と反応させ、原液1MNaCNBH3(Sigma Chemical, St. Louis,MO)の添加によって、対応するヒドラゾンをインシチュで還元し、10から50mMの最終濃度になるようにH2O中に溶解する。暗所、4℃から室温で、18から24時間にわたって反応を実施する。50mMの最終Tris濃度になるように、約pH7.6の1MTris(Sigma Chemical,St.Louis,MO)の添加によって反応を停止させ、又は直ちに精製するために適切な緩衝液中に希釈する。
本実施例は、hGHポリペプチド中へのアルキン含有アミノ酸の導入及びmPEG−アジドでの誘導体化について詳述する。
以下の天然にコードされないアミノ酸:
本明細書に記載されている条件を用いて、プロパルギルチロシンを含有するhGHポリペプチドをP.フルオレセンス中で発現し、精製する。
プロパルギル−チロシンを含有する精製されたhGHは、PB緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、0.15MNaCl、pH=8)中に、0.1から10mg/mLの間で溶解し、アジド含有PEGの10から1000倍過剰を、反応混合物に添加する。次いで、反応混合物にCuSO4及びCuワイヤーの触媒量を添加する。混合物を温置(室温若しくは37℃で約4時間又は4℃で一晩など(但し、これらに限定されない。))した後、H2Oを添加し、透析膜を通じて混合物をろ過する。本明細書に記載されている類似の手順などによる(これに限定されない。)PEGの付加について、試料を分析することが可能である。
本実施例では、PEGは、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−N3
(Rはメチル、nは4であり、及びNは10,000MWである。)
を有する。
R−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)(CH2)n−N3
(Rはメチル、nは4であり、及びNは10,000MWである。)
を有する。
本実施例は、hGHポリペプチド中の大きな疎水性アミノ酸の、プロパルギルチロシンでの置換について詳述する。
hGHの以下の領域:領域1−5(N末端)、6−33(Aヘリックス)、34−74(AヘリックスとBヘリックスの間の領域、A−Bループ)、75−96(Bヘリックス)、97−105(BヘリックスとCヘリックスの間の領域、B−Cループ)、106−129(Cヘリックス)、130−153(CヘリックスとDヘリックスの間の領域、C−Dループ)、154−183(Dヘリックス)、184−191(C末端)の1つ内に存在するPhe、Trp又はTyr残基を、実施例7に記載されている、天然にコードされない以下のアミノ酸で置換する。
本実施例は、1つ又はそれ以上のPEGリンカーによって隔てられたhGHポリペプチドホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体の作製について詳述する。
実施例7で作製されたアルキン含有hGHポリペプチドバリアントを、形態:
N3−(CH2)n−C(O)−NH−(CH2)2−O−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)−(CH2)n−N3
(nは4であり、及びPEGは約5,000の平均分子量を有する。)
の二官能性PEG誘導体と反応させて、2つのhGH分子がPEGによって物理的に隔てられた対応するhGHポリペプチドホモ二量体を得る。類似の様式で、hGHポリペプチドを、1つ又はそれ以上の他のポリペプチドに結合させて、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体を形成させ得る。実施例7及び3のとおりに、カップリング、精製及び分析を行う。
N3−(CH2)n−C(O)−NH−(CH2)2−O−PEG(N)−O−(CH2)2−NH−C(O)−(CH2)n−N3
(nは4であり、及びPEGは約5,000の平均分子量を有する。)
の二官能性PEG誘導体と反応させて、2つのhGH分子がPEGによって物理的に隔てられた対応するhGHポリペプチドホモ二量体を得る。類似の様式で、hGHポリペプチドを、1つ又はそれ以上の他のポリペプチドに結合させて、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体を形成させ得る。実施例7及び3のとおりに、カップリング、精製及び分析を行う。
本実施例は、hGHポリペプチドへの、糖部分のカップリングについて詳述する。
実施例3に記載されているように、天然にコードされない以下のアミノ酸で、hGHの1つの残基を置換する。
hGH分子が直接連結されているhGHポリペプチドホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体の作製
アルキン含有アミノ酸を含むhGHポリペプチドバリアントを、アジド含有アミノ酸を含む別のhGHポリペプチドバリアントへ直接結合することが可能であり、hGHポリペプチドバリアントの各々は、実施例10(これに限定されない。)に記載されている部位に、天然にコードされないアミノ酸置換を含む。これは、2つのhGHポリペプチドバリアントが、部位II結合境界面において物理的に連結されている対応するhGHポリペプチドホモ二量体を与える。類似の様式で、hGHポリペプチドポリペプチドを、1つ又はそれ以上の他のポリペプチドに結合させて、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体を形成させ得る。実施例3、6及び7のとおりに、カップリング、精製及び分析を行う。
アルキン含有アミノ酸を含むhGHポリペプチドバリアントを、アジド含有アミノ酸を含む別のhGHポリペプチドバリアントへ直接結合することが可能であり、hGHポリペプチドバリアントの各々は、実施例10(これに限定されない。)に記載されている部位に、天然にコードされないアミノ酸置換を含む。これは、2つのhGHポリペプチドバリアントが、部位II結合境界面において物理的に連結されている対応するhGHポリペプチドホモ二量体を与える。類似の様式で、hGHポリペプチドポリペプチドを、1つ又はそれ以上の他のポリペプチドに結合させて、ヘテロ二量体、ホモ多量体又はヘテロ多量体を形成させ得る。実施例3、6及び7のとおりに、カップリング、精製及び分析を行う。
PEG−OH +Br−(CH2)n−C≡CR’−>PEG−O−(CH2)n−C≡CR’
ポリアルキレングリコール(P−OH)を、ハロゲン化アルキルと反応させてエーテル(B)と形成させる。これらの化合物において、nは0から9までの整数であり、R’は、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C1からC20アルキル又はヘテロアルキル基であり得る。R’は、C3からC7の飽和又は不飽和環状アルキル若しくは環状へテロアルキル、置換された若しくは置換されていないアリール若しくはヘテロアリール基又は置換された若しくは置換されていないアルカリール(アルキルが、C1からC20の飽和又は不飽和アルキルである。)又はヘテロアルカリール基でもあり得る。典型的には、PEG−OHは、800から40,000ダルトン(Da)の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)であり、又はモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
ポリアルキレングリコール(P−OH)を、ハロゲン化アルキルと反応させてエーテル(B)と形成させる。これらの化合物において、nは0から9までの整数であり、R’は、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C1からC20アルキル又はヘテロアルキル基であり得る。R’は、C3からC7の飽和又は不飽和環状アルキル若しくは環状へテロアルキル、置換された若しくは置換されていないアリール若しくはヘテロアリール基又は置換された若しくは置換されていないアルカリール(アルキルが、C1からC20の飽和又は不飽和アルキルである。)又はヘテロアルカリール基でもあり得る。典型的には、PEG−OHは、800から40,000ダルトン(Da)の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)であり、又はモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
mPEG−OH +Br−CH2 −C≡CH−>mPEG−O−CH2−C≡CH
20,000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH20KDa;2.0g、0.1mmol、Sunbio)を、THF(35μL)中のNaH(12mg、0.5mmol)で処理した。次いで、キシレン(0.56mL、5mmol、50当量、Aldrich)中の80%重量溶液として溶解された臭化プロパルギルの溶液及びKIの触媒量を溶液に添加し、得られた混合物を加熱して2時間還流した。次いで、水(1mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。このCH2Cl2溶液を、ジエチルエーテル(150mL)に滴加した。得られた沈殿を収集し、冷ジエチルエーテルの数部で洗浄し、乾燥させてプロパルギル−O−PEGを得た。
20,000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH20KDa;2.0g、0.1mmol、Sunbio)を、THF(35μL)中のNaH(12mg、0.5mmol)で処理した。次いで、キシレン(0.56mL、5mmol、50当量、Aldrich)中の80%重量溶液として溶解された臭化プロパルギルの溶液及びKIの触媒量を溶液に添加し、得られた混合物を加熱して2時間還流した。次いで、水(1mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。このCH2Cl2溶液を、ジエチルエーテル(150mL)に滴加した。得られた沈殿を収集し、冷ジエチルエーテルの数部で洗浄し、乾燥させてプロパルギル−O−PEGを得た。
mPEG−OH +Br−(CH2)3−C≡H−>mPEG−O−(CH2)3−C≡CH
20,000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH20KDa;2.0g、0.1mmol、Sunbio)を、THF(35mL)中のNaH(12mg、0.5mmol)で処理した。次いで、5−ブロモ−1−ペンチン(0.53mL、5mmol、Aldrich)の50当量及びKIの触媒量を混合物に添加した。得られた混合物を加熱して、16時間還流した。次いで、水(1mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。このCH2Cl2溶液を、ジエチルエーテル(150mL)に滴加した。得られた沈殿を収集し、冷ジエチルエーテルの数部で洗浄し、乾燥させて対応するアルキンを得た。同様の反応において、5−クロロ−1−ペンチンを使用し得る。
20,000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH20KDa;2.0g、0.1mmol、Sunbio)を、THF(35mL)中のNaH(12mg、0.5mmol)で処理した。次いで、5−ブロモ−1−ペンチン(0.53mL、5mmol、Aldrich)の50当量及びKIの触媒量を混合物に添加した。得られた混合物を加熱して、16時間還流した。次いで、水(1mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。このCH2Cl2溶液を、ジエチルエーテル(150mL)に滴加した。得られた沈殿を収集し、冷ジエチルエーテルの数部で洗浄し、乾燥させて対応するアルキンを得た。同様の反応において、5−クロロ−1−ペンチンを使用し得る。
(1)m−HOCH2C6H4OH+NaOH+Br−CH2−C≡CH−>m−HOCH2C6H4O−CH2−C≡CH
(2)m−HOCH2C6H4O−CH2−C≡CH+MsCl+N(Et)3−>m−MsOCH2C6H4O−CH2−C≡CH
(3)m−MsOCH2C6H4O−CH2−C≡CH +LiBr−>m−Br−CH2C6H4O−CH2−C≡CH
(4)mPEG−OH+m−Br−CH2C6H4O−CH2−C≡CH−>mPEG−O−CH2−C6H4O−CH2−C≡CH
THF(50mL)及び水(2.5mL)中の3−ヒドロキシベンジルアルコール(2.4g、20mmol)の溶液に、まず、粉末化された水酸化ナトリウム(1.5g、37.5mmol)を添加し、次いで、臭化プロパルギルの溶液を添加し、キシレン(3.36mL、30mmol)中の80%重量の溶液として溶解した。反応混合物を加熱して、6時間加熱した。混合物に、10%クエン酸(2.5mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。酢酸エチル(3×15mL)で残留物を抽出し、飽和NaCl溶液(10mL)で、合わせた有機層を洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮して3−プロパルギルオキシベンジルアルコールを得る。
(2)m−HOCH2C6H4O−CH2−C≡CH+MsCl+N(Et)3−>m−MsOCH2C6H4O−CH2−C≡CH
(3)m−MsOCH2C6H4O−CH2−C≡CH +LiBr−>m−Br−CH2C6H4O−CH2−C≡CH
(4)mPEG−OH+m−Br−CH2C6H4O−CH2−C≡CH−>mPEG−O−CH2−C6H4O−CH2−C≡CH
THF(50mL)及び水(2.5mL)中の3−ヒドロキシベンジルアルコール(2.4g、20mmol)の溶液に、まず、粉末化された水酸化ナトリウム(1.5g、37.5mmol)を添加し、次いで、臭化プロパルギルの溶液を添加し、キシレン(3.36mL、30mmol)中の80%重量の溶液として溶解した。反応混合物を加熱して、6時間加熱した。混合物に、10%クエン酸(2.5mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。酢酸エチル(3×15mL)で残留物を抽出し、飽和NaCl溶液(10mL)で、合わせた有機層を洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮して3−プロパルギルオキシベンジルアルコールを得る。
塩化メタンスルホニル(2.5g、15.7mmol)及びトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)を、0℃のCH2Cl2中の化合物3(2.0g、11.0mmol)の溶液に添加し、反応物を、16時間、冷蔵庫中に入れた。通常の作業によって、淡黄色の油としてメシラートが得られた。THF(20mL)中にこの油(2.4g、9.2mmol)を溶解し、LiBr(2.0g、23.0mmol)を添加した。反応混合物を加熱して1時間還流し、次いで、周囲温度まで冷却した。混合物に、水(2.5mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。酢酸エチル(3×15mL)で残留物を抽出し、飽和NaCl溶液(10mL)で、合わせた有機層を洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して所望の臭化物を得た。
THF(20mL)中に、mPEG−OH20kDa(1.0g、0.05mmol、Sunbio)を溶解し、溶液を氷槽中で冷却した。数分間にわたって、激しく撹拌しながら、NaH(6mg、0.25mmol)を添加した後、上で得られた臭化物(2.55g、11.4mmol)及びKIの触媒量を添加した。冷却槽を除去し、得られた混合物を加熱して12時間還流した。水(1.0mL)を混合物に添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。エーテル溶液(150mL)への滴加によって、白い沈殿が生じ、これを集めてPEG誘導体を得た。
mPEG−NH2 +X−C(O)−(CH2)n−C≡CR’−>mPEG−NH−C(O)−(CH2)n−C≡・R’
末端のアルキン含有ポリ(エチレングリコール)ポリマーは、末端官能基を含有するポリ(エチレングリオール)ポリマーを、上に示されているアルキン官能基を含有する反応性分子(nは、1と10の間である。)に結合することによって取得することも可能である。R’は、H又はC1からC4までの小さなアルキル基であり得る。
末端のアルキン含有ポリ(エチレングリコール)ポリマーは、末端官能基を含有するポリ(エチレングリオール)ポリマーを、上に示されているアルキン官能基を含有する反応性分子(nは、1と10の間である。)に結合することによって取得することも可能である。R’は、H又はC1からC4までの小さなアルキル基であり得る。
(1)HO2C−(CH2)2−C≡CH +NHS+DCC−>NHSO−C(O)−(CH2)2−C≡CH
(2)mPEG−NH2+NHSO−C(O)−(CH2)2−C≡CH−>mPEG−NH−C(O)−(CH2)2−C≡CH
4−ペンチン酸(2.943g、3.0mmol)を、CH2Cl2(25mL)中に溶解した。N−ヒドロキシスクシンイミド(3.80g、3.3mmol)及びDCC(4.66g、3.0mmol)を添加し、この溶液を、室温で一晩撹拌した。さらなる精製を行わずに、得られた未精製NHSエステル7を以下の反応で使用した。
(2)mPEG−NH2+NHSO−C(O)−(CH2)2−C≡CH−>mPEG−NH−C(O)−(CH2)2−C≡CH
4−ペンチン酸(2.943g、3.0mmol)を、CH2Cl2(25mL)中に溶解した。N−ヒドロキシスクシンイミド(3.80g、3.3mmol)及びDCC(4.66g、3.0mmol)を添加し、この溶液を、室温で一晩撹拌した。さらなる精製を行わずに、得られた未精製NHSエステル7を以下の反応で使用した。
5,000Da(mPEG−NH2、1g、Sunbio)の分子量を有するmPEG−NH2をTHF(50mL)中に溶解し、混合物を4℃まで冷却した。激しく撹拌しながら、少しずつ、NHSエステル7(400mg、0.4mmol)を添加した。室温まで加温しながら、混合物を3時間撹拌させた。次いで、水(2mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(50mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。このCH2Cl2溶液を、エーテル(150mL)に滴加した。得られた沈殿を集めて、真空中で乾燥させた。
本実施例は、ポリ(エチレングリコール)のメタンスルホニルエステル(ポリ(エチレングリコール)のメタンスルホナート又はメシラートと称することも可能である。)の調製を表す。類似の手順によって、対応するトシラート及びハロゲン化物を調製することが可能である。
mPEG−OH + CH3SO2Cl +N(Et)3−>mPEG−O−SO2CH3−>mPEG−N3
トルエン150mL中のmPEG−OH(MW=3,400、25g、10mmol)を、窒素下で2時間、共沸的に蒸留し、溶液を室温まで冷却した。無水CH2Cl240mL及び無水トリエチルアミン2.1mL(15mmol)を溶液に添加した。氷槽中で溶液を冷却し、蒸留された塩化メタンスルホニル(15mmol)1.2mLを滴加した。室温、窒素下で一晩、溶液を撹拌し、無水エタノール2mLを添加することによって反応を停止させた。真空下で混合物を蒸発させて溶媒(主に、トルエン以外の溶媒)を除去し、ろ過し、真空下で再度濃縮した後、ジエチルエーテル100mL中に沈殿させた。冷ジエチルエーテルの数部でろ液を洗浄し、真空中で乾燥させてメシラートを得た。
トルエン150mL中のmPEG−OH(MW=3,400、25g、10mmol)を、窒素下で2時間、共沸的に蒸留し、溶液を室温まで冷却した。無水CH2Cl240mL及び無水トリエチルアミン2.1mL(15mmol)を溶液に添加した。氷槽中で溶液を冷却し、蒸留された塩化メタンスルホニル(15mmol)1.2mLを滴加した。室温、窒素下で一晩、溶液を撹拌し、無水エタノール2mLを添加することによって反応を停止させた。真空下で混合物を蒸発させて溶媒(主に、トルエン以外の溶媒)を除去し、ろ過し、真空下で再度濃縮した後、ジエチルエーテル100mL中に沈殿させた。冷ジエチルエーテルの数部でろ液を洗浄し、真空中で乾燥させてメシラートを得た。
THF75mL中にメシラート(20g、8mmol)を溶解し、溶液を4℃まで冷却した。冷却された溶液に、アジ化ナトリウム(1.56g、24mmol)を添加した。反応を加熱して、窒素下で2時間還流した。次いで、溶媒を蒸発させ、CH2Cl2(50mL)で残留物を希釈した。NaCl溶液で有機画分を洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させた。容積を20mLまで減少させ、冷無水エーテル150mLに添加することによって、生成物を沈殿させた。
(1)N3−C6H4−CO2H−>N3−C6H4CH2OH
(2)N3−C6H4CH2OH−>Br−CH2−C6H4−N3
(3)mPEG−OH + Br−CH2−C6H4−N3−>mPEG−O−CH2−C6H4−N3
米国特許5,998,595号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている方法を用いて、4−アジドベンジルアルコールを作製することが可能である。塩化メタンスルホニル(2.5g、15.7mmol)及びトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)を、0℃のCH2Cl2中の4−アジドベンジルアルコール(1.75g、11.0mmol)の溶液に添加し、反応物を、16時間、冷蔵庫中に入れた。通常の作業によって、淡黄色の油としてメシラートが得られた。THF(20mL)中にこの油(9.2mmol)を溶解し、LiBr(2.0g、23.0mmol)を添加した。反応混合物を加熱して1時間還流し、次いで、室温まで冷却した。混合物に、水(2.5mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。酢酸エチル(3×15mL)で残留物を抽出し、飽和NaCl溶液(10mL)で、合わせた有機層を洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して所望の臭化物を得た。
(2)N3−C6H4CH2OH−>Br−CH2−C6H4−N3
(3)mPEG−OH + Br−CH2−C6H4−N3−>mPEG−O−CH2−C6H4−N3
米国特許5,998,595号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている方法を用いて、4−アジドベンジルアルコールを作製することが可能である。塩化メタンスルホニル(2.5g、15.7mmol)及びトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)を、0℃のCH2Cl2中の4−アジドベンジルアルコール(1.75g、11.0mmol)の溶液に添加し、反応物を、16時間、冷蔵庫中に入れた。通常の作業によって、淡黄色の油としてメシラートが得られた。THF(20mL)中にこの油(9.2mmol)を溶解し、LiBr(2.0g、23.0mmol)を添加した。反応混合物を加熱して1時間還流し、次いで、室温まで冷却した。混合物に、水(2.5mL)を添加し、真空下で溶媒を除去した。酢酸エチル(3×15mL)で残留物を抽出し、飽和NaCl溶液(10mL)で、合わせた有機層を洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して所望の臭化物を得た。
THF(35mL)中のNaH(12mg,0.5mmol)で、mPEG−OH20kDa(2.0g、0.1mmol、Sunbio)を処理し、KIの触媒量とともに、臭化物(3.32g、15mmol)を混合物に添加した。得られた混合物を加熱して、12時間加熱した。水(1.0mL)を混合物に添加し、真空下で溶媒を除去した。残留物に、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、約2mLまで容積を低下させた。エーテル溶液(150mL)への滴加によって、沈殿が生じ、これを集めてmPEG−O−CH2−C6H4−N3を得た。
NH2−PEG−O−CH2CH2CO2H+N3−CH2CH2CO2−NHS−>N3−CH2CH2−C(O)NH−PEG−O−CH2CH2CO2H
NaHCO3(10mL)の飽和水溶液中に、NH2−PEG−O−CH2CH2CO2H(MW3,400Da、2.0 g)を溶解し、溶液を0℃まで冷却した。激しく撹拌しながら、3−アジド−1−N−ヒドロキシスクシンアミドプロピオナート(5当量)を添加した。3時間後、H2O20mLを添加し、室温でさらに45分間、混合物を撹拌した。0.5NH2SO4でpHを3に調整し、約15重量%の濃度になるようにNaClを添加した。CH2Cl2(100mL×3)で反応混合物を抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。冷ジエチルエーテルでの沈殿後、ろ過によって生成物を収集し、真空下で乾燥させて、ω−カルボキシ−アジドPEG誘導体を得る。
NaHCO3(10mL)の飽和水溶液中に、NH2−PEG−O−CH2CH2CO2H(MW3,400Da、2.0 g)を溶解し、溶液を0℃まで冷却した。激しく撹拌しながら、3−アジド−1−N−ヒドロキシスクシンアミドプロピオナート(5当量)を添加した。3時間後、H2O20mLを添加し、室温でさらに45分間、混合物を撹拌した。0.5NH2SO4でpHを3に調整し、約15重量%の濃度になるようにNaClを添加した。CH2Cl2(100mL×3)で反応混合物を抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。冷ジエチルエーテルでの沈殿後、ろ過によって生成物を収集し、真空下で乾燥させて、ω−カルボキシ−アジドPEG誘導体を得る。
mPEG−OMs +HC≡CLi−>mPEG−O−CH2−CH2−C≡C−H
本分野で公知のとおりに調製され、THF中で−78℃に冷却されたリチウムアセチリド(4当量)の溶液に、激しく撹拌しながら、THF中に溶解されたmPEG―OMsの溶液を滴加する。3時間後、反応を室温まで加温させ、ブタノール1mLの添加により停止させる。次いで、H2O20mLを添加し、室温でさらに45分間、混合物を撹拌した。0.5NH2SO4でpHを3に調整し、約15重量%の濃度になるようにNaClを添加した。CH2Cl2(100mL×3)で反応混合物を抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。冷ジエチルエーテルでの沈殿後、ろ過によって生成物を収集し、真空下で乾燥させて、1−(ブト−3−イニルオキシ)−メトキシポリエチレングリコール(mPEG)を得る。
本分野で公知のとおりに調製され、THF中で−78℃に冷却されたリチウムアセチリド(4当量)の溶液に、激しく撹拌しながら、THF中に溶解されたmPEG―OMsの溶液を滴加する。3時間後、反応を室温まで加温させ、ブタノール1mLの添加により停止させる。次いで、H2O20mLを添加し、室温でさらに45分間、混合物を撹拌した。0.5NH2SO4でpHを3に調整し、約15重量%の濃度になるようにNaClを添加した。CH2Cl2(100mL×3)で反応混合物を抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。冷ジエチルエーテルでの沈殿後、ろ過によって生成物を収集し、真空下で乾燥させて、1−(ブト−3−イニルオキシ)−メトキシポリエチレングリコール(mPEG)を得る。
「L. Wang, et al.,(2001), Science 292:498−500, J. W. Chin et al., Science 301 :964−7(2003)), J. W. Chin et al.,(2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026−9027;J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), Chem Bio Chem 11:1135−1137;J. W. Chin, et al., (2002), PNAS United States of America 99:11020−11024:and, L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem.Comm.1−10」に記載されている方法を用いて、アジド及びアセチレン含有アミノ酸を、タンパク質中に、部位選択的に取り込んだ。アミノ酸が取り込まれたら、2mMPEG誘導体、1mMCuSO4及び約1mgCuワイヤーの存在下、37℃で4時間、リン酸緩衝液(PB)、pH8中の0.01mMタンパク質を用いて、環付加反応を行った。
本実施例は、p−アセチル−D,L−フェニルアラニン(pAF)及びm−PEG−ヒドロキシルアミン誘導体の合成について述べる。
「Zhang, Z., Smith, B. A. C, Wang, L., Brock, A., Cho, C. & Schultz, P. G., Biochemistry, (2003) 42, 6735−6746」中に以前に記載されている手順を用いて、ラセミpAFを合成した。m−PEG−ヒドロキシルアミン誘導体を合成するために、以下の手順を完了した。室温(RT)で1時間撹拌された、ジクロロメタン(DCM、70mL)中の、(N−t−Boc−アミノオキシ)酢酸(0.382g、2.0mmol)及び1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(0.16mL、1.0mmol)の溶液に、メトキシ−ポリエチレングリコールアミン(m−PEG−NH2、7.5g、0.25mmol、Mt.30K、BioVectraより)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.5mmol)を添加した。室温で48時間、反応を撹拌した後、約100mLまで濃縮した。冷エーテル(800mL)に混合物を滴加した。t−Boc保護された産物を沈殿させ、ろ過によって集め、エーテル3×100mLによって洗浄した。DCM(100mL)中に再溶解し、エーテル(800mL)中に2回沈殿させることによってさらに精製した。産物を真空中で乾燥させ、7.2g(96%)を得、NMR及びニンヒドリン試験によって確認した。1時間0℃で、次いで1.5時間室温で、50%TFA/DCM(40mL)中で、上で得られた保護された産物(7.0g)の脱Bocを行った。真空中でTFAの多くを除去した後、ジオキサン(1mL)中の4NHClを残留物に添加することにより、ヒドロキシルアミン誘導体のTFA塩をHCl塩へと変換した。DCM(50mL)中に沈殿を再溶解し、エーテル(800mL)中に再沈殿させた。ろ過によって最終生成物(6.8g、97%)を収集し、エーテル3×100mLで洗浄し、真空中で乾燥させ、窒素下で保存した。同一の手順を用いて、他のPEG(5K、20K)ヒドロキシルアミン誘導体を合成した。
本実施例は、非天然アミノ酸を含むhGHポリペプチドに対して使用される発現及び精製方法について記載する。オルソゴナルtRNA、オルソゴナルアミノアシル合成酵素及びhGH構築物で、宿主細胞を形質転換した。
100μg/mLアンピシリンを加えた2mLの所定の培地(ロイシン、イソロイシン、微量金属及びビタミンが補充されたグルコース最小培地)中、37℃で、まず、形質転換されたDH10B(fis3)細胞の凍結されたグリセロール原液から得た小さな穿刺を増殖させた。OD600が2から5に達した時点で、100μg/mLアンピシリンを加えた新鮮な所定の培地60mLに60μLを移し、2から5のOD600になるまで、37℃で再度増殖させた。5Lの醗酵装置(SartoriusBBI)中の、100μg/mLアンピシリンを加えた所定の培地2Lに、培養物50mLを移した。炭酸カリウムで、醗酵装置pHをpH6.9に調節し、温度を37℃、気流速度を5Lpm、ポリアルキレン消泡剤KFOF119(Lubrizol)で発泡を調節した。撹拌器の速度は、30%以上の溶解酸素レベルを維持するために自動的に調整され、撹拌器の速度が最大値に達したら、空気散布を補充するために純粋な酸素を使用した。37℃で8時間後、0.15時間−1の比増殖速度を維持するために、指数関数的に増加する速度で、所定の培地の50×濃縮物を培養物に与えた。OD600が約100に達したら、3.3mMの最終濃度になるようにp−アセチル−フェニルアラニンのラセミ混合物を添加し、温度を28℃に下げた。0.75時間後、0.25mMの最終濃度になるように、イソプロピル−b−D−チオガラクトピラノシドに添加した。28℃でさらに8時間、細胞を増殖させ、沈降させ、さらなる処理まで、−80℃で凍結した。
Invitrogenの指示マニュアルによって提供された、Hisタグ付加されたタンパク質の標準精製手順に続き、陰イオン交換カラムを介して、ProBond Nickel−Chelating Resin (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、Hisタグ付加された変異hGHタンパク質を精製した。
精製されたhGHを8mg/mLまで濃縮し、反応緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、150mM、NaCl、1mMEDTA、pH4.0)へ緩衝液を交換した。PEG:hGHの20:1モル比で、hGH溶液にMEPG−オキシアミン粉末を添加した。28℃で2日間、穏やかに震盪しながら反応を実施した。陰イオン交換カラムを介して、反応していないPEG及びhGHからPEG−hGHを精製した。
動物実験に入る前に、3つのアッセイによって、各PEG化された変異hGHの品質を評価した。非還元条件下でMESSDS走行緩衝液とともに、4から12%アクリルアミドNuPAGE Bis−Trisゲル(Invitrogen)を走行させることによって、PEG−hGHの純度を調べた。Coomassieブルーでゲルを染色した。PEG−hGHバンドは、濃度測定スキャンに基づくと、95%超純粋であった。Charles River Laboratories(Wilmington, MA)のKTA2キットを用いた速度論的LALアッセイによって、各PEG−hGH中のエンドトキシンレベルを検査し、5EU/投薬未満であった。IM−9pSTAT5バイオアッセイ(実施例2に記載)を用いてPEG−hGHの生物学的活性を評価し、EC50値は15nM未満であった。
本実施例は、PEG化されたhGHのインビトロ及びインビボ活性を測定するための方法について記載する。
細胞結合アッセイ
標識されていないGH、hGH又はGM−CSFの様々な濃度(容量:10μL)の不存在下又は存在下、及び125I−GH(約100,000cpm又は1ng)の存在下、0℃で90分間(総容量:120μL)、PBS/1%BSA(100μL)中、2つ組みで、細胞(3×106)を温置する。次いで、細胞を再懸濁し、350μLのプラスチック遠心管中の200μLの氷冷FCS上に重層し、遠心した(1000g;1分)。管の末端を切除することによって沈降物を集め、γカウンタp(Packard)中で、別個に、沈降物及び上清をカウントした。
標識されていないGH、hGH又はGM−CSFの様々な濃度(容量:10μL)の不存在下又は存在下、及び125I−GH(約100,000cpm又は1ng)の存在下、0℃で90分間(総容量:120μL)、PBS/1%BSA(100μL)中、2つ組みで、細胞(3×106)を温置する。次いで、細胞を再懸濁し、350μLのプラスチック遠心管中の200μLの氷冷FCS上に重層し、遠心した(1000g;1分)。管の末端を切除することによって沈降物を集め、γカウンタp(Packard)中で、別個に、沈降物及び上清をカウントした。
競合物質の不存在下での総結合(2つ組みの平均)から非標識GHの100倍過剰の存在下での結合(cpm)(非特異的結合)を差し引いて、特異的結合(cpm)を求める。使用した細胞種の各々に対して非特異的結合を測定する。125I−GHの同じ調製物を用いて、別の日に実験を行い、内部の一貫性を示すはずである。125I−GHは、GH受容体産生細胞への結合を示す。非標識天然GH又はhGHによって、用量依存的様式で結合が阻害されるが、GM−CSF又は他の陰性対照によっては阻害されない。天然のGHと同様に、天然の125I−GHの結合についてhGHが競合する能力は、受容体が両形態を等しく良好に認識することを示唆する。
Claims (15)
- シュードモナス種又はシュードモナス種由来の株中の翻訳系を含む組成物であり、前記翻訳系がオルソゴナルtRNA(O−tRNA)及びオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)を含み、前記O−RSが、前記翻訳系において、少なくとも1つの非天然アミノ酸で前記O−tRNAを優先的にアミノアシル化し、及び前記O−tRNAが少なくとも1つのセレクターコドンを認識する、前記組成物。
- 翻訳系がシュードモナス種又はその株に由来するインビトロ翻訳系を含む、請求項1に記載の組成物。
- 翻訳系がシュードモナス種又はその株の細胞抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
- O−tRNAが、配列番号1から3及びその相補的ポリヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む核酸を含む、請求項1に記載の組成物。
- O−RSが、配列番号4から34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号35から66からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列及びこれらの相補的ポリヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされるポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
- 少なくとも1つの非天然アミノ酸が、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ素化されたフェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類縁体;グルタミンアミノ酸の非類縁体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類縁体;セリンアミノ酸の非天然類縁体;スレオニンアミノ酸の非天然類縁体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ボラート、ボロナート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト若しくはアミノ置換されたアミノ酸又はこれらのあらゆる組み合わせ;光活性化可能な架橋剤を有するアミノ酸;スピン標識されたアミノ酸;蛍光性アミノ酸;新規官能基を有するアミノ酸;別の分子と共有結合又は非共有結合的に相互作用するアミノ酸;金属結合アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;光ケージ化された及び/又は光異性体化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類縁体含有アミノ酸;グリコシル化された又は炭水化物修飾されたアミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換されたアミノ酸;化学的に切断可能な又は光切断可能なアミノ酸;伸長された側鎖を有するアミノ酸;毒性基を含有するアミノ酸;糖置換されたアミノ酸(例えば、糖置換されたセリンなど);炭素結合された糖を含有するアミノ酸;酸化還元活性なアミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸含有アミノ酸;α,α二置換されたアミノ酸;β−アミノ酸;及びプロリン以外の環状アミノ酸からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
- 少なくとも1つのセレクターコドンがナンセンスコドン、レアコドン又は四塩基コドンである、請求項1に記載の組成物。
- 少なくとも1つのセレクターコドンがアンバーコドンである、請求項1に記載の組成物。
- シュードモナス翻訳系において、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む少なくとも1つのタンパク質を作製する方法であって、
前記翻訳系に、少なくとも1つのセレクターコドンを含む少なくとも1つの核酸を与えること(前記核酸は、前記少なくとも1つのタンパク質をコードする。);
前記翻訳系にオルソゴナルtRNA(O−tRNA)を与えること(前記O−tRNAは前記翻訳系中において機能し、及び前記O−tRNAは前記少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。);前記翻訳系にオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)を与えること(前記O−RSは、前記翻訳系において、前記少なくとも1つの非天然アミノ酸で前記O−tRNAを優先的にアミノアシル化する。);並びに前記翻訳系に前記少なくとも1つの非天然アミノ酸を提供することにより、前記翻訳系において、前記少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む前記少なくとも1つのタンパク質を産生すること、
を含む前記方法。 - 請求項9に記載の方法によって作製された少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むタンパク質であって、細胞依存的様式で加工及び修飾される前記タンパク質。
- タンパク質が、サイトカイン、成長因子、成長因子受容体、インターフェロン、インターロイキン、炎症性分子、発癌遺伝子産物、ペプチドホルモン、シグナル伝達分子、ステロイドホルモン受容体、転写活性化因子、転写抑制因子、エリスロポエチン(EPO)、インシュリン、ヒト成長ホルモン、上皮性好中球活性化ペプチド−78、GROα/MGSA、GROβ、GRO(、MIP−1α、MIP−1&、MCP−1、肝細胞増殖因子、インシュリン様増殖因子、白血病阻害因子、オンコスタチンM、PD−ECSF、PDGF、プレイオトロピン、SCF、c−kitリガンド、VEGF、G−CSF、IL−1、IL−2、IL−8、IGF−I、IGF−II、FGF(繊維芽細胞増殖因子)、PDGF、TNF、TGF−α、TGF−β、EGF(上皮増殖因子)、KGF(ケラチン生成細胞増殖因子)、SCF/c−Kit、CD40L/CD40、VLA−4/VCAM−1、ICAM−1/LFA−1、ヒアルリン/CD44、Mos、Ras、Raf、Met、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体及びコルチコステロンからなる群から選択される治療用タンパク質に対して相同である、請求項10に記載のタンパク質。
- タンパク質が、α−1アンチトリプシン、アンギオスタチン、抗溶血性因子、抗体、アポリポタンパク質、アポタンパク質、心房性ナトリウム利尿因子、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド、心房性ペプチド、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、Gro−a、Gro−b、Gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF4、MIG、カルシトニン、c−kitリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、単球走化性タンパク質−1、単球走化性タンパク質−2、単球走化性タンパク質−3、単球炎症性タンパク質−1α、単球炎症性タンパク質−1β、RANTES、I309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、C−kitリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体因子5a、補体阻害剤、補体受容体1、サイトカイン、上皮性好中球活性化ペプチド−78、GROα/MGSA、GROβ、GRO(、MIP−1α、MP−1&、MCP−1、上皮増殖因子(EGF)、上皮性好中球活性化ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、剥脱性毒素(exfoliating toxin)、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、第X因子、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、G−CSF、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼ、性腺刺激ホルモン、増殖因子、増殖因子受容体、ヘッジホッグタンパク質、ヘモグロビン、肝細胞増殖因子(HGF)、ヒルジン、ヒト血清アルブミン、ICAM−1、ICAM−1受容体、LFA−1、LFA−1受容体、インシュリン、インシュリン様増殖因子(IGF)、IGF−I、IGF−II、インターフェロン、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、インターロイキン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチン生成細胞増殖因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子、ルシフェラーゼ、ニュールツリン、好中球阻害因子(NIF)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、発癌遺伝子産物、副甲状腺ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、ヒト成長ホルモン、プレイオトロピン、プロテインA、プロテインG、発熱性外毒素A、B又はC、リラキシン、レニン、SCF、可溶性補体受容体I、可溶性I−CAM1、可溶性インターロイキン受容体、可溶性TNF受容体、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ストレプトキナーゼ、スーパー抗原、ブドウ球菌エンテロトキシン、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、毒素性ショック症候群毒素、チモシンα1、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA−4タンパク質、VCAM−1タンパク質、血管内皮増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ、Mos、Ras、Raf、Met、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体及びコルチコステロンからなる群から選択される治療用タンパク質に対して相同である、請求項10に記載のタンパク質。
- (a)細胞内の1つ又はそれ以上の炭素源から非天然アミノ酸を産生するための生合成経路系と;及び
(b)オルソゴナルtRNA(O−tRNA)及びオルソゴナルアミノアシルtRNA合成酵素(O−RS)を含む翻訳系と(前記O−RSは、前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、及び前記O−tRNAは、セレクターコドンに応答して前記非天然アミノ酸をタンパク質中に取り込む。)、
を含むシュードモナス細胞。 - セレクターコドンが、ナンセンスコドン、四塩基コドン、オーカーコドン、オパールコドン又はアンバーコドンを含む、請求項13に記載の細胞。
- 生合成経路系が、ポリペプチド中への取り込みに十分な量で、天然にコードされないアミノ酸を産生する、請求項13に記載の細胞。
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