JP2014166969A - 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 - Google Patents

多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014166969A
JP2014166969A JP2013039965A JP2013039965A JP2014166969A JP 2014166969 A JP2014166969 A JP 2014166969A JP 2013039965 A JP2013039965 A JP 2013039965A JP 2013039965 A JP2013039965 A JP 2013039965A JP 2014166969 A JP2014166969 A JP 2014166969A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal complex
porous polymer
gas
polymer metal
sbu
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013039965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6021691B2 (ja
Inventor
Hiroshi Kajiro
洋 上代
Hirokazu Tamai
宏和 玉井
Koichi Nose
幸一 能勢
Susumu Kitagawa
進 北川
Ryotaro Matsuda
亮太郎 松田
Hiroshi Sato
弘志 佐藤
Hyung Joon Jeon
亨濬 全
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Kyoto University
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Kyoto University
Priority to JP2013039965A priority Critical patent/JP6021691B2/ja
Publication of JP2014166969A publication Critical patent/JP2014166969A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6021691B2 publication Critical patent/JP6021691B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】新規な多孔性高分子金属錯体及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供すること。前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供すること。
【解決手段】次式(1)
[MX]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)で表され、2種類のSBUから成る三次元のネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体と、それのガス吸着材としての利用ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置。
【選択図】なし

Description

本発明は多孔性高分子金属錯体及びガス吸着材としての利用ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置に関する。
ガス吸着材は、加圧貯蔵や液化貯蔵に比べて、低圧で大量のガスを貯蔵しうる特性を有する。このため、近年、ガス吸着材を用いたガス貯蔵装置やガス分離装置の開発が盛んである。ガス吸着材としては、活性炭やゼオライトなどが知られている。また最近は多孔性高分子金属錯体にガスを吸蔵させる方法も提案されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
多孔性高分子金属錯体は、金属イオンと有機配位子から得られる結晶性固体で、種々の金属イオン、有機配位子の組み合わせおよび骨格構造の多様性から、様々なガス吸着特性を発現する可能性を秘めている。しかしながら、これらの従来提案されてきたガス吸着材は、ガス吸着量や作業性などの点で充分に満足できるものとはいえず、より優れた特性を有するガス吸着材の開発が所望されている。
多孔性高分子金属錯体の特徴の一つが、そのネットワーク構造である。一次元の鎖状物集合体、二次元の四角格子の積層体、ジャングルジム状の三次元構造など様々な構造の多孔性高分子金属錯体が知られている(非特許文献2)。これら多様な多孔性高分子金属錯体は、ネットワーク構造及び、それを構成している金属イオン、配位子の化学的性質、物理的な形状に由来して、様々な物性を発現する。
このネットワーク構造を形成するために極めて重要な概念がsecondary building unit(以下SBU)と呼ばれる、酸素などの配位子が含有する原子と金属イオンから成る金属イオンクラスターである。金属イオンの種類、個数、それらに配位する酸素などの元素の個数、角度により、様々な種類のSBUが形成される事が知られている(非特許文献3)。このSBUによりどのような多孔性高分子金属錯体のネットワーク構造が形成されるか、またどのような特性を有するかが大きく影響を受ける。
SBUとして特に有名なのがZn4Oと呼ばれる、亜鉛イオン4個と、その中心に酸素イオンが1個存在するSBUである。これは図1の如く、4個の亜鉛イオンが1個の酸素イオンを対称性高く取り囲み、さらにこの亜鉛イオンに対して配位子のカルボキシル基等が配位するため、結果として極めて対称性が高い図2の様なネットワーク構造が形成されやすいことが知られている(非特許文献4)。
また別の著名なSBUとしては所謂パドルホイール(以下pdwと略)構造がある。これは、銅や亜鉛などの2価の金属イオン2個が、それぞれカルボキシルと図3の様な構造を形成したものである。このpdw構造も極めて対称性がよく、結果として図4に示すような対称性が高い安定的な構造を形成しやすいことが知られている。
上記の二例は、これらは対称性が高い安定な構造を作りやすいとして極めてよく知られたSBUで有り、多くの場合、形成されたネットワーク構造内にガス分子を吸着しうる空間が生じるため、ガス吸着・分離材として利用可能な材料の調製に利用される。一方でこれら以外のSBU、特に対称性が低いSBUや複雑な構造をしたSBUに関しては、どのようなネットワーク構造が形成されるかを推定する事は極めて難しく、さらに複数のSBUが組み合わされて孔性高分子金属錯体が合成された例は極めて少ないため、どのような構造が形成されるかの推定は難しく、また合成法も試行錯誤する必要がある。
多孔体のガス吸着特性を制御するために、配位子にふっ素原子を導入する試みが行われている(非特許文献5ー8)。ふっ素の材料への一般的な影響として、摺動性、撥水性などは知られているが、前述のふっ素を導入した多孔性高分子金属錯体の例では、ふっ素原子による水素の吸着特性の向上が述べられている。これらは、前記のふっ素原子が惹起する物性とは一致せず、またふっ素原子導入が水素の吸着特性を向上させる原理も詳しくは記載されておらず、すなわち、ふっ素原子の導入が多孔性高分子金属錯体のガス吸着特性にどのような影響を及ぼすかははっきりとはわかっていない。
特開2000−109493号公報 特許第4427236号公報
北川進、集積型金属錯体、講談社サイエンティフィク、2001年214−218頁 Robsonら、Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1460 ± 1494 Chenら、Inorg. Chem. 2009, 4649 Yaghiら,Chem. Soc. Rev., 2009, 38, 1257-1283 Omaryら、J. Am. Chem. Soc., 2007,129, 15454 Omaryら、Angew. Chem. Int. Ed.2009,48,2500 Liら、J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 1308 Fereyら、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 1127-1136
本発明は、二種類のSBUからから形成される三次元のネットワーク構造を有している新規な多孔性高分子金属錯体及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供することである。また本発明は、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供することを目的とする。
本発明者らは、前述のような問題点を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンと2価の遷移金属イオンを反応させると、複数のSBUから成る三次元構造を有するネットワーク構造の多孔性高分子金属錯体が形成され、本多孔性高分子金属錯体はガスを多量に吸着する事を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、2価遷移金属イオンと5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンからなる三次元構造のネットワーク構造を有する多孔性高分子金属錯体であり、本材料のガス吸蔵材料としての利用及び本ガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置に関する発明である。
すなわち本発明は下記にある。
(1)下記式(1)
[MX]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
で表され、2種類のSBUから成る三次元のネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体。
(2)前記SBUの1種が、金属イオンが4個のカルボキシル基と配位結合したユニットが上下に二つ配位したpdw型SBUである、上記(1)記載の多孔性高分子金属錯体。
(3)前記SBUの1種が、金属イオン4個、酸素イオン1個から形成されるM4O(Mは上記Mと同一)で表されるゆがんだ構造のSBUである、(1)または(2)記載の多孔性高分子金属錯体。
(4)前記SBUの1種が、金属イオンが4個のカルボキシル基と配位結合したユニットが上下に二つ配位したpdw型SBUであり、もう1種が金属イオン4個、酸素イオン1個から形成されるM4O(Mは上記Mと同一)で表されるゆがんだ構造のSBUである、上記(1)記載の多孔性高分子金属錯体。
(5)前記パーフルオロアルキル基が、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C612,n−C715,n−C817基から選ばれるものである、上記(1)−(4)のいずれかに記載の多孔性高分子金属錯体。
(6)前記Mが銅イオンまたは亜鉛イオンである、上記(1)−(5)のいずれかに記載の多孔性高分子金属錯体。
(7)前記Mが亜鉛イオンである、上記(1)−(5)に記載の多孔性高分子金属錯体。
(8)上記(1)−(7)のいずれかに記載の多孔性高分子金属錯体を含むガス吸着材。
(9)上記(8)に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
(10)上記(8)に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
本発明の多孔性高分子金属錯体は多量のガスを吸蔵、放出し、かつ、ガスの選択的吸着を行うことが可能である。また本発明の多孔性高分子金属錯体からなるガス吸蔵材料を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を製造することが可能になる。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、また例えば、圧力スイング吸着方式(以下「PSA方式」と略記)のガス分離装置として使用すれば、非常に効率良いガス分離が可能である。また、圧力変化に要する時間を短縮でき、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与しうるため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
本発明の多孔性高分子金属錯体の他の用途としては、ガス貯蔵装置が挙げられる。本発明のガス吸着材をガス貯蔵装置(業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど)に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。搬送時や保存中のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、保存中の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。
ガス分離装置やガス貯蔵装置に適用する場合における、容器形状や容器材質、ガスバルブの種類などに関しては、特に特別の装置を用いなくてもよく、ガス分離装置やガス貯蔵装置に用いられているものを用いることが可能である。ただし、各種装置の改良を排除するものではなく、いかなる装置を用いたとしても、本発明の多孔性高分子金属錯体を用いている限りにおいて、本発明の技術的範囲に包含されるものである。
Zn4O型SBUの構造を示す。 Zn4O型SBUから形成されるネットワーク構造の典型例を示す。 pdw型SBUの構造を示す。 pdw型SBUから形成されるネットワーク構造の典型例を示す。 本発明の実施例1で生成された多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造を示す。 図5と同じ本発明の実施例1で生成された多孔性高分子金属錯体の二種類のSBUの配列を示す。 本発明の実施例1の多孔性高分子金属錯体のZn4O型SBUの構造を示す。 本発明の実施例1の多孔性高分子金属錯体のpdw型SBUの構造を示す。 本発明の実施例1で生成された多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造をパーフルオロアルキル基を省略せずに示す。 本発明の実施例2で生成された多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造をパーフルオロアルキル基を省略せずに示す。 本発明の比較例1で生成された多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造を示す。 本発明の比較例1で生成された多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造を示す。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、下記式(1)で表され、かつ図1から3で模式的にしめされる二次元四角格子の積層型ネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体である。
[MX]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
本発明の化合物の基本構造は、2種類のSBUが、イソフタル酸アニオン(配位子)により結合された3次元ネットワーク構造である。ここで重要なのはネットワークのトポロジーであり、個々の結合角は、本化合物が柔軟性を有するが故に、必ずしも常に図と同一の結合角を有するとは限らない。
以下に、本発明の多孔性高分子金属錯体の構造を、実施例で得た多孔性高分子金属錯体のデータから作成した図面を参照して説明する。なお、簡単のために、図番を省略して枝番号だけで各図面を表示する。たとえば、図5(5a)は単に図5aと表記する。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、好ましい態様として、Zn4O型SBUと、所謂パドルホイール(以下pdwと略)構造の2種類のSBUを有することができる。Zn4O型SBUについては、図1、図2を参照して先に説明したが、図2は、格子の交点にZn4O型SBUが存在し、格子の棒にあたる部分が配位子であり、内部に空間が形成されたネットワーク構造の典型例を示している。
pdw構造については、図3、図4を参照して説明した(図3では角度を変えて示している)が、このpdw構造も図4に示すような対称性が高い安定的な構造(同じ構造を角度を変えて見ている)を形成しやすい。
図5に本発明の多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造の例を、実施例1の化合物のX線結晶構造解析の結果を用いて示す(以下断りがなければキャップドスティックモデル形式にて表示した図である)。図5a,5b、5cには、それぞれ、結晶学のa軸、b軸、c軸から見た図を、結晶学の単位格子の2*2*2個分の大きさで示す。見やすさのために水素原子とパーフルオロアルキル基は省略した。図5a,5b、5cのいずれからもZn4Oクラスタおよびpdw構造が存在しており、これらのSBUをイソフタル酸骨格が結合して3次元ネットワーク構造が形成されていることが判る。参考のために、図5a,5b、5cのそれぞれにZn4Oクラスタおよびpdwの部分を丸で囲んで示すものを、図6a,6b、6cに示す。
図5に示す本発明の多孔性高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造は、簡単に述べると、Zn4Oクラスタがpdw構造2個とイソフタル酸アニオン2個で連結されることで、第二のクラスタ構造を形成し、これがさらにpdw構造によって連結されて三次元ネットワーク構造を形成している。
図7に本発明の多孔性高分子金属錯体のZn4O型SBUの構造を、実施例1の化合物のX線結晶構造解析の結果を用いて示す。酸素を中心に4個の亜鉛イオンが存在し、その亜鉛イオンに1座配位のカルボキシル基が4個、2座配位のカルボキシル基が4個配位した構造と成っている。図1に示した典型的な対称性が高いZn4O型SBUでは、全ての亜鉛イオンは2座配位のカルボキシル基に配位され、カルボキシル基は合計6個である。これと比較すると、実施例1の化合物のSBUには、1座配位と2座配位のカルボキシル基の2種類が存在し、さらに配位しているカルボキシル基の数も8個と多く、カルボキシル基がSBUから伸びる方向も対称性が低く、複雑なSBUであることが判る。図1に示した典型的な対称性が高いZn4O型SBUは、多孔性高分子金属錯体の構成因子として一般的な物であるが、本発明の対称性が低く、複雑なZn4O型SBUは多孔性高分子金属錯体の構成因子として殆ど知られていない。
図8に本発明の実施例1で得られた多孔性高分子金属錯体のpdw型SBUの構造を示す。亜鉛イオンの上下にメタノール分子が配位しているが、図2の典型的pdwと同等の構造であることが判る。
図9a,9b、9cに、図5a,5b、5cに示したa、b、c軸のそれぞれから見た図を、パーフルオロアルキル基を削除せずに表示した図をそれぞれ示す(ただし、見易さのために水素原子は省略している)。パーフルオロアルキル基のふっ素原子が、3次元ネットワーク構造の空間に存在していることがわかる。
このように、対称性が低い特殊な形をしたZn4O型SBUと、pdw型SBUの両方を含有し、さらに上記の様な複雑なネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体は過去に例が無く、パーフルオロアルキル基がネットワーク構造形成に寄与していると考えられる。
図10に実施例2の化合物のX線結晶構造解析の結果を示す。図10a,10b、10cには、それぞれ、結晶学のa軸、b軸、c軸から見た図を、結晶学の単位格子の2*2*2個分の大きさで示す。見やすさのために水素原子は削除した。図10a,10b、10cのいずれからもZn4Oクラスタおよびpdwが存在しており、これらのSBUをイソフタル酸骨格が結合して3次元ネットワーク構造が形成されていることが判る。パーフルオロアルキル基がネットワーク構造に置換していることも判る。
本発明の多孔性高分子金属錯体は多孔体であるため、水やアルコールやエーテルなどの有機分子に触れると孔内に水や有機溶媒を含有し、たとえば式(2)
[MX]n(G)m (2)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。Gは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子であり、通常ゲスト分子と呼ばれる。mは金属イオン1に対して0.2から6である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Gで表されるゲスト分子は、多孔性高分子金属錯体に弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(2)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の多孔性高分子金属錯体と同一物と見なすことができる。
また本発明の多孔性高分子金属錯体は、金属イオンに後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子が配位し、たとえば式(3)
[MXLz]n (3)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。Lは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子である。zは金属イオン1に対して1または2である。nは、[MXLz]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Lで表される配位性の分子は、金属イオンに弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(3)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の多孔性高分子金属錯体と同一物と見なすことができる。
本発明の方法では、式(1)で表される化合物は、亜鉛塩や銅塩などの金属塩、テレフタル酸型の配位子を溶媒に溶かして溶液状態で混合することで製造できる。
溶媒としては、アルコールなどのプロトン系溶媒とジメチルホルムアミドなどのホルムアミドルの混合溶媒を利用すると良好な結果が得られる。アルコールなどのプロトン系溶媒及びジメチルアミドなどのホルムアミド類は亜鉛塩をよく溶解し、さらに亜鉛イオンや対イオンに配位結合や水素結合することで亜鉛塩を安定化し、配位子との急速な反応を抑制することで、副反応を抑制する。アルコールの例としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどの脂肪族系1価アルコール及びエチレングリコールなどの脂肪族系2価アルコール類を例示できる。安価でかつニ亜鉛塩の溶解性が高いという点でメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールが好ましい。またこれらのアルコールは単独で用いてもよいし、複数を混合使用してもよい。ホルムアミド類の例としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが例示出来る。亜鉛塩の溶解性が高いという点で、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドが好ましい。
アルコール類とジメチルホルムアミド類の混合比率は1:100〜100:0(体積比)で任意である。配位子、金属塩の両方の溶解性が高まり、副生成物の発生を抑制出来るという点で、混合比率は90:10〜10:90(体積比)、反応を加速できるという観点から80:20〜20:80(体積比)が好ましい。
溶媒として前記のアルコール類やホルムアミド類の混合溶媒に別種の有機溶媒を混合して使用することも好ましい。混合比率は1:100〜100:0(体積比)で任意である。アルコール類とジメチルホルムアミド類、他の有機溶媒に対する混合比率を30%以上にすることが、金属塩および配位子の溶解性を向上させる観点から好ましい。
本発明の新規な多孔性高分子金属錯体を形成するのに必要な金属イオンとしては、2価の遷移金属イオンが挙げられる。これらは、前述の2種のSBUを形成することで、配位子を結合して三次元構造を形成する。2価の遷移金属イオンの具体例としてはコバルト、ニッケル、銅、亜鉛イオンが挙げられる。得られた多孔性高分子金属錯体の化学的安定性の観点から、銅イオン、亜鉛イオンが特に好ましい。
本発明の方法で使用する亜鉛塩としては、2価の亜鉛イオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛が好ましく、反応性が高いという点で、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛が特に好ましい。
本発明の方法で使用する銅鉛塩としては、2価の銅イオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、ぎ酸銅、塩化銅、臭化銅、ほうふっ化銅が好ましく、反応性が高いという点で、硝酸銅、硫酸銅、ほうふっ化銅が特に好ましい。
以下、5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオン(配位子)に関して説明する。5位の置換基としては直鎖状または枝分かれのある炭素数1から8であるパーフルオロアルキル基であればよいが、特にガス分離特性が優れる点で、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C817基が好ましい。ベンゼン環へのパーフルオロアルキル基の導入方法としては、たとえば、柴崎ら、Chem. Asian J. 2006, 1, 314 - 321を参照することができる。
金属塩の溶液および配位子を反応させるに当たり、金属塩および配位子を容器に装填した後、溶媒を添加する方法以外に、亜鉛塩、配位子をそれぞれ別個に溶液として調製した後、これらの溶液を混合してもよい。溶液の混合方法は、金属塩溶液に配位子溶液を添加しても、その逆でもよい。また、金属塩溶液と配位子溶液を、積層した後に自然拡散による方法で混合してもよい。混合法としては、必ずしも溶液で行う必要はなく、例えば、金属塩溶液に固体の配位子を投入し、同時に溶媒を入れる方法や、反応容器に金属塩を装填した後に、配位子の固体または溶液を注入し、さらに金属塩を溶かすための溶液を注入するなど、最終的に反応が実質的に溶媒中で起こる方法であれば、種々の方法が可能である。ただし、金属塩の溶液と配位子の溶液を滴下混合する方法が、工業的には最も操作が簡便であり、好ましい。
金属塩の溶液および配位子を反応させるに当たり、上記の如く調製した溶液は、攪拌せずに反応させる事が好ましい。ただし、金属イオンと配位子の反応を促進し、2種類のSBUから成る三次元のネットワーク構造を形成させる為には、完全な無振動状態よりは僅かに振動を与える事も好ましい。実施例では、原料を溶解した溶液を、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、ガラス管には攪拌子は入れることなく、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、マグネティックスターラーの回転数は200RPMに設定し、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度にオイルの攪拌を行った。要するに、本発明の金属錯体の反応初期状態での金属イオンと配位子の適度な反応促進のために、反応溶液の撹拌は基本的に行わず、緩やかに振盪を実施したものである。
溶液の濃度は、金属塩溶液は80mmol/L〜2mol/L、好ましくは40mmol/L〜4mol/Lであり、配位子の有機溶液は80mmol/L〜2mol/L、好ましくは60mmol/L〜3mol/Lである。これより低い濃度で反応を行っても目的物は得られるが、製造効率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では、吸着能が低下するため好ましくない。
反応温度は−20〜180℃、好ましくは25〜150℃である。これ以下の低温で行うと、原料の溶解度が下がるため好ましくない。オートクレーブなどを用いて、より高温で反応を行うことも可能であるが、加熱などのエネルギーコストの割には、収率は向上しないため実質的な意味はない。
反応時間は、限定されるものではないが、5分以上、20日以下、反応を十分に完結させ、副反応を抑制する意味で3時間以上、7日以内が好ましい。
本発明の反応で用いられる金属塩と配位子の混合比率は、金属:配位子の比が1:5〜5:1のモル比、好ましくは1:3〜3:3のモル比の範囲内である。これ以外の範囲では、目的物の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して、目的物の取り出しが困難となる。
反応は通常のガラスライニングのSUS製の反応容器を使用して行うことができる。反応終了後は濾過、乾燥を行うことで目的物質と原料の分離を行い、純度の高い目的物質を製造することが可能である。
上記の反応により得られた多孔性高分子金属錯体が目的とする三次元のネットワーク構造を有しているかどうかは、単結晶X線結晶解析により得られた反射を解析することで確認することが出来る。上記の反応により得られた多孔性高分子金属錯体のガス吸着能は、市販のガス吸着装置を用いて測定が可能である。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、原料として複数種のパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸配位子を混合使用して、使用した複数種の配位子を含有する多孔性高分子金属錯体を合成する、いわゆる固溶体型の多孔性高分子金属錯体を形成する事が可能であることが確認された。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンと2価の遷移金属イオンを反応させて得られる、1座配位と2座配位の二通りの配位形式によって形成される複雑なZn4O型SBUと、pdw型SBUの両方のSBUを含む3次元ネットワーク構造をしている。
本発明の多孔性高分子金属錯体に含まれるZn4O型SBUは上述の如く複雑な構造をしており、それだけでは安定的なネットワーク構造を作りがたいと想像されるが、安定な構造であるpdwと組み合わされて3次元化しているために安定なネットワーク構造が形成されたと推定される。またこの構造形成に於いて、4,4’−ビピリジンが、重要な役割を形成していると考えられる。4,4’−ビピリジンは、最終的な構造には含まれないため、添加剤として構造体の形成に寄与すると推定される。4,4’−ビピリジンは、原料であるイソフタル酸アニオンと同程度の大きさで、芳香環を2個含有しており、さらに、塩基性を有しているため、イソフタル酸アニオンと相互作用をすることで添加剤として作用していると考えられる。同じく芳香環を2個含有し、塩基性を有する化合物としては、2,2’−ビピリジンが挙げられるが、2,2’−ビピリジンは強いキレート配位子として作用し、金属イオンと強い相互作用をするために好ましくない。すなわち、4,4’−ビピリジンあるいは、3,4’−ビピリジン、4−フェニルピリジンのように、キレート型の配位をしない芳香環を含有する塩基性化合物が添加剤として優れていると考えられる。この塩基性添加剤の含有量は、金属イオンに対し、0.01モル当量以上、28モル以下、副反応抑制の観点から、0.1モル当量以上、12モル以下が好ましい。さらに、置換基であるパーフルオロアルキル基も構造形成及びガスの吸着特性に大きな影響を与えていると考えられる。しかし、本発明は理論に拘束されるものではなく、本発明の多孔性高分子金属錯体の特性もこの理論によって制限されるものではない。
多孔性高分子金属錯体の調製方法は種々の条件があり、一義的に決定できるものではないが、ここでは実施例に基づき説明する。
粉末X線回折測定には、ブルカーAX(株)社製粉末X線装置DISCOVER D8 with GADDSを用いた。
実施例1
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、5−ノルマルヘプタフルオロプロピルイソフタル酸(5位にノルマルC37基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、マグネティックスターラーの回転数は200RPMに設定し、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度にオイルの攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れてない)。得られた無色の単結晶を大気に暴露させないようにパラトンにてコーティングした後、(株)リガク社製単結晶測定装置(極微小結晶用単結晶構造解析装置VariMax、MoK・線(λ=0.71069Å))にて測定し(照射時間32秒、d=45ミリ、2θ=−20,温度=−103℃)、得られた回折像を解析ソフトウエア、リガク(株)製解析ソフトウエア「CrystalStructure」を使用して解析し、図5、図9に示すような三次元構造を有していることを確認した(a=17.209,b=17.209,c=21.546; α=90.00、β=90.00,γ=90.00; 空間群=P42/m)。
解析により、細孔内に存在するジメチルホルムアミド分子の存在が明らかになったが、図の見やすさの為に図9からは削除した。本ジメチルホルムアミド分子(ゲスト分子)は、後述の吸着のための前処理により細孔から除かれる。
実施例2
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、5−ノルマルノナフルオロブチルイソフタル酸(5位にノルマルC49基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、実施例1と同様に、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度に攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れない)。得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図10に示す三次元構造を有していることを確認した(a=17.567,b=17.567,c=21.423; α=90.00、β=90.00,γ=90.00; 空間群=P42/m))。
実施例3
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、5−トリフルオロメチルイソフタル酸(5位にC37基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、実施例1と同様に、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度に攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れない)。得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図5、9に示すのと同等の三次元構造を有していることを確認した。
実施例4
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、5−ノルマルヘプタデカフルオロオクチルイソフタル酸(5位にC817基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、実施例1と同様に、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度に攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れない)。得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図5,9に示すのと同等の三次元構造を有していることを確認した。
比較例1
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、パーフルオロアルキル基を含まない配位子として、5位置に置換基を有さないイソフタル酸0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度に攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れない)。得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、パーフルオロアルキル基を含む配位子を使用した時とは異なる、図11に示す2元構造の積層を有しており、3次元構造は得られなかった(a=a(3),b=11.376(3),c=15.738(5); α=90,β=103.895(4),ガンマ=90; 空間群=P2/C)。図11a、11b、11cは、それぞれ結晶学のa、b、c軸から見た図である。特に図11aを見ると、2元構造の積層であることが明らかである。また、SBUは図11dに示す構造1種類のみであり、Zn4O型でもpdw型でも無かった。
比較例2
硝酸亜鉛6水和物0.01ミリモル、パーフルオロアルキル基を含まない配位子として、5位置にノルマルブチルオキシ基(n−BuO基)を有するイソフタル酸0.01ミリモル、4,4’−ビピリジン0.01ミリモルをジメチルホルムアミド(1mL)とエタノール(1mL)の混合溶媒に溶解し、直径8ミリのガラス管に入れて、オイルバスに入れて80℃で3日間保持した。この際、オイルバスには攪拌子を入れ、オイルバスはマグネティックスターラーの上に設置し、手で触れた際に微かに振動が感じられる程度に攪拌を行った(ガラス管には攪拌子は入れない)。得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、パーフルオロアルキル基を含む配位子を使用した時とは異なる、比較例1で得られた図11に示されたのと同一構造であり、3次元構造は得られないことを確認した、(a=10.025(2),b=11.381(2),c=17.299(4); α=90,β=103.404,ガンマ=90; 空間群=Pc)。
<ガス吸着の結果>
得られたガス吸着材の二酸化炭素吸着性および窒素の吸着性をBET自動吸着装置(日本ベル株式会社製ベルミニII)を用いて評価した(測定温度:二酸化炭素は195K、酸素は90K、窒素は77K)。測定に先立って試料を393Kで6時間真空乾燥して、微量残存している可能性がある溶媒分子などを除去した。
表1に、実施例1ー4で得られた多孔性高分子金属錯体の二酸化炭素、酸素、窒素の吸着量を示す。
実施例の材料はいずれも二酸化炭素と酸素の吸着量が窒素と比較して多く、三次元ネットワーク構造に置換しているふっ素原子を含む官能基及び、2種類のSBUが存在する複雑な構造体が二酸化炭素分子や酸素分子と相互作用することで特異的な吸着能が発現している事が示唆された。
表2に、比較例2で得られた多孔性高分子金属錯体の二酸化炭素、酸素、窒素の吸着量を示す。
比較例の材料では二酸化炭素と酸素と窒素の吸着量の差が少なく、選択性が発現していないことが明らかになった。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、配位子の整列によって形成される多数の微細孔が物質内部に存在する。この多孔性を生かして二酸化炭素や酸素などのふっ素原子と親和性を有するガスの特異的な吸着が可能であり、これらのガスの分離、貯蔵に好適に使用出来る。

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    [MX]n (1)
    (式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸アニオンである。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
    で表され、2種類のSBUから成る三次元のネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体。
  2. 前記SBUの1種が、金属イオンが4個のカルボキシル基と配位結合したユニットが上下に二つ配位したpdw型SBUである、請求項1記載の多孔性高分子金属錯体。
  3. 前記SBUの1種が、金属イオン4個、酸素イオン1個から形成されるM4O(Mは上記Mと同一)で表されるゆがんだ構造のSBUである、請求項1又は2記載の多孔性高分子金属錯体。
  4. 前記SBUの1種が、金属イオンが4個のカルボキシル基と配位結合したユニットが上下に二つ配位したpdw型SBUであり、もう1種が金属イオン4個、酸素イオン1個から形成されるM4O(Mは上記Mと同一)で表されるゆがんだ構造のSBUである、請求項1記載の多孔性高分子金属錯体。
  5. 前記パーフルオロアルキル基が、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C612,n−C715,n−C817基から選ばれるものである上記請求項1−4のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体。
  6. 前記Mが銅イオンまたは亜鉛イオンである上記請求項1−5のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体。
  7. 前記Mが亜鉛イオンである上記請求項1−5のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体。
  8. 請求項1−7のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体を含むガス吸着材。
  9. 請求項8に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
  10. 上求項8に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
JP2013039965A 2013-02-28 2013-02-28 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 Expired - Fee Related JP6021691B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013039965A JP6021691B2 (ja) 2013-02-28 2013-02-28 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013039965A JP6021691B2 (ja) 2013-02-28 2013-02-28 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014166969A true JP2014166969A (ja) 2014-09-11
JP6021691B2 JP6021691B2 (ja) 2016-11-09

Family

ID=51616879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013039965A Expired - Fee Related JP6021691B2 (ja) 2013-02-28 2013-02-28 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6021691B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014166970A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2014169248A (ja) * 2013-03-04 2014-09-18 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2015131793A (ja) * 2013-12-12 2015-07-23 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位性錯体又はその塩、ガス吸着材とその製法、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2015131792A (ja) * 2013-12-12 2015-07-23 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2016196417A (ja) * 2015-04-02 2016-11-24 新日鐵住金株式会社 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2017149683A (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 新日鐵住金株式会社 三次元多孔高分子金属錯体、これを用いたガス吸着材、ガス分離装置、ガス貯蔵装置、触媒、導電性材料、センサー
WO2018155260A1 (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 株式会社Ihi Ohラジカル検出プローブ、ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
WO2020040224A1 (ja) * 2018-08-23 2020-02-27 株式会社Ihi Ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6425378B2 (ja) * 2013-12-18 2018-11-21 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6422211B2 (ja) * 2013-12-18 2018-11-14 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012017268A (ja) * 2010-07-06 2012-01-26 Kuraray Co Ltd 金属錯体及びその製造方法
JP2012228667A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Japan Science & Technology Agency 金属錯体及びそれからなる分離材
JP2014166971A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2014166970A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012017268A (ja) * 2010-07-06 2012-01-26 Kuraray Co Ltd 金属錯体及びその製造方法
JP2012228667A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Japan Science & Technology Agency 金属錯体及びそれからなる分離材
JP2014166971A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2014166970A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014166970A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2014169248A (ja) * 2013-03-04 2014-09-18 Nippon Steel & Sumitomo Metal ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2015131793A (ja) * 2013-12-12 2015-07-23 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位性錯体又はその塩、ガス吸着材とその製法、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2015131792A (ja) * 2013-12-12 2015-07-23 新日鐵住金株式会社 ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2016196417A (ja) * 2015-04-02 2016-11-24 新日鐵住金株式会社 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2017149683A (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 新日鐵住金株式会社 三次元多孔高分子金属錯体、これを用いたガス吸着材、ガス分離装置、ガス貯蔵装置、触媒、導電性材料、センサー
JPWO2018155260A1 (ja) * 2017-02-23 2019-11-21 株式会社Ihi Ohラジカル検出プローブ、ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
CN110291383A (zh) * 2017-02-23 2019-09-27 株式会社Ihi Oh自由基检测探测器、oh自由基测定装置以及oh自由基测定方法
WO2018155260A1 (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 株式会社Ihi Ohラジカル検出プローブ、ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
EP3588064A4 (en) * 2017-02-23 2020-12-16 IHI Corporation OH RADICAL DETECTION PROBE, OH RADICAL MEASUREMENT DEVICE AND OH RADICAL MEASUREMENT PROCESS
CN110291383B (zh) * 2017-02-23 2021-12-28 株式会社Ihi Oh自由基检测探测器、oh自由基测定装置以及oh自由基测定方法
US11313803B2 (en) 2017-02-23 2022-04-26 Ihi Corporation OH radical measurement device and method using an OH radical detection probe
WO2020040224A1 (ja) * 2018-08-23 2020-02-27 株式会社Ihi Ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
JPWO2020040224A1 (ja) * 2018-08-23 2021-09-09 株式会社Ihi Ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
JP7131614B2 (ja) 2018-08-23 2022-09-06 株式会社Ihi Ohラジカル測定装置、および、ohラジカル測定方法
US11585761B2 (en) 2018-08-23 2023-02-21 Ihi Corporation OH radical measuring device and OH radical measuring method

Also Published As

Publication number Publication date
JP6021691B2 (ja) 2016-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6021691B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6080616B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
Zhu et al. Isomeric zinc (II) triazolate frameworks with 3-connected networks: syntheses, structures, and sorption properties
Reinsch “Green” synthesis of metal‐organic frameworks
Bosch et al. Increasing the stability of metal-organic frameworks
JP6132596B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP5988896B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6091256B2 (ja) ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP5646789B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
Zhang et al. A hydrophobic metal–Organic framework based on cubane‐type [Co4 (μ3‐F) 3 (μ3‐SO4)] 3+ clusters for gas storage and adsorption selectivity of benzene over cyclohexane
JP6456076B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
Yang et al. Proton-conductive Keggin-type clusters decorated by the complex moieties of Cu (II) 2, 2′-bipyridine-4, 4′-dicarboxylate/diethyl analogues
JP6456075B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6555861B2 (ja) ふっ素を含有する配位性錯体又はその塩、ガス吸着材とその製法、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6452357B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
Wei et al. Five-fold interpenetrating diamondlike 3D metal-organic frameworks constructed from the rigid 1, 2-di (pyridin-4-yl) ethane-1, 2-diol ligand and aromatic carboxylate
JP6422211B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP2015117203A (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6525686B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6591728B2 (ja) 屈曲配位子を含有する高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置
JP6671128B2 (ja) 多孔性高分子金属錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置及びガス貯蔵装置
JP6338476B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置
Hamza et al. Metal–organic frameworks (an overview)
JP6676406B2 (ja) 三次元多孔高分子金属錯体、これを用いたガス吸着材、ガス分離装置、ガス貯蔵装置、触媒、導電性材料、センサー
JP6452356B2 (ja) ふっ素を含有する配位高分子錯体、その製造方法、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20151215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6021691

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees