JP2015131792A - ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 - Google Patents

ふっ素を含有する配位高分子錯体、ガス吸着材、これを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ふっ素原子を含有する配位子で合成された、二次元積層構造を有する新規な多孔性高分子金属錯体及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供すること、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供することを目的とする。【解決手段】下記式(1)[MX]n(1)(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体(配位子)である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)で表され、2価の遷移金属イオンとイソフタル酸誘導体配位子から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークが形成され、その層状構造ネットワークが積層され、それらの層の間にイソフタル酸誘導体の5位のパーフルオロアルキル基が突き出して、パーフルオロアルキル基が凝集した部分が存在する、多孔性高分子金属錯体。【選択図】なし

Description

本発明は多孔性高分子金属錯体及びガス吸着材としての利用ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置に関する。
ガス吸着材は、加圧貯蔵や液化貯蔵に比べて、低圧で大量のガスを貯蔵しうる特性を有する。このため、近年、ガス吸着材を用いたガス貯蔵装置やガス分離装置の開発が盛んである。ガス吸着材としては、活性炭やゼオライトなどが知られている。また最近は多孔性高分子金属錯体にガスを吸蔵させる方法も提案されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
多孔性高分子金属錯体は、金属イオンと有機配位子から得られる結晶性固体で、種々の金属イオン、有機配位子の組み合わせおよび骨格構造の多様性から、様々なガス吸着特性を発現する可能性を秘めている。しかしながら、これらの従来提案されてきたガス吸着材は、ガス吸着量や作業性などの点で充分に満足できるものとはいえず、より優れた特性を有するガス吸着材の開発が所望されている。
多孔性高分子金属錯体の特徴の一つが、そのネットワーク構造である。一次元の鎖状物集合体、二次元の四角格子の積層体、ジャングルジム状の三次元構造など様々な構造の多孔性高分子金属錯体が知られている(非特許文献2)。これら多様な多孔性高分子金属錯体は、ネットワーク構造及び、それを構成している金属イオン、配位子の化学的性質、物理的な形状に由来して、様々な物性を発現する。
PCP(Porous Coordination Polymer; 以下、本明細書では「多孔性高分子金属錯体」を「PCP」とも表現することがある。)のネットワーク構造が平面に広がり、それが積層しているいわゆる二次元積層型のPCPが知られている。この様な積層型PCPの一部は、ガスの吸着に際し、層と層の間でずれが生じることで、いわゆるゲート現象が生じ、結果として優れたガス貯蔵、分離特性を発現する事が知られている(非特許文献3;特許文献2)。ピラジン、4,4’−ビピリジン等の含窒素型配位子を利用して合成されたPCPは非常に多く知られている。一方、窒素原子を含まないカルボン酸型配位子からなる二次元PCPの例は少ない(非特許文献4〜6)。
カゴメ型PCPと呼ばれる一群のPCPは、銅イオンとイソフタル酸類から合成される2次元積層型PCPは含窒素配位子を含まないが、置換基の種類は極限られ、金属イオンも銅イオン、ルテニウムイオンに限定されている。一般論として、どの様な金属イオンと、どのような配位子と、どのような合成条件を組み合わせたらよいかは知られていない(非特許文献7〜9、特許文献3)。
多孔体のガス吸着特性を制御するために、配位子にふっ素原子を導入する試みが行われている(非特許文献10〜13)。ふっ素の材料への一般的な影響として、摺動性、撥水性などは知られているが、前述のふっ素を導入した多孔性高分子金属錯体の例では、ふっ素原子による水素の吸着特性の向上が述べられている。これらは、前記のふっ素原子が惹起する物性とは一致せず、またふっ素原子導入が水素の吸着特性を向上させる原理も詳しくは記載されておらず、すなわち、ふっ素原子の導入が多孔性高分子金属錯体のガス吸着特性にどのような影響を及ぼすかははっきりとはわかっていない。
二次元積層型のPCPの、層間がずれるゲート現象には、層間相互作用の強さが重要な因子であることが示唆されている(上記非特許文献3)。しかし具体的にどのような原子を配置する事でゲート現象が出るのかは知られていない。ふっ素原子同士の相互作用が弱い事から、層間にふっ素原子を導入することで、層間相互作用が弱くなる事は推測されるが、どのようなネットワーク構造の二次元PCPに、どのような形態でふっ素原子を導入すればゲート現象が生じ、さらに優れたガス分離能が発現するかは知られていない。
特開2000-109493号公報 特許第4398749号公報 特開2012-228667号公報
北川進、集積型金属錯体、講談社サイエンティフィク、2001年214-218頁 Robsonら、Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1460 ± 1494 上代ら、Int. J. Mol. Sci. 2010, 11, 3803 Yaghiら、J. Am. Chem. Soc., Vol. 118, No. 38, 1996、9096 Zhaoら、Inorganic Chemistry, Vol. 45, No. 21, 2006 8677 Roseinskyら、Chem. Commun(2007)1532-1534) 北川ら、Chem. Commun., 2005, 865-867 Morrisら、Nature Chem., 2011 , 3, 304 Zaworotkoら、Chem. Commun., 2004, 2534-2535 Omaryら、J. Am. Chem. Soc., 2007,129, 15454 Omaryら、Angew. Chem. Int. Ed.2009,48,2500 Liら、J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 1308 Fereyら、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 1127-1136
本発明は、ふっ素原子を含有する配位子で合成された、二次元積層構造を有する新規な多孔性高分子金属錯体及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供することである。また本発明は、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供することを目的とする。
本発明者らは、前述のような問題点を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、5位に炭素数が1−10のパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸型配位子を遷移金属イオンと反応させる際に、少量の含ふっ素芳香族化合物を共存させる事で、パーフルオロアルキル基が層間に凝集した二次元積層型PCPを合成でき、さらに本PCPは特有のガス吸着能を有する事を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、5位に炭素数が1−10のパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸型配位子を遷移金属イオンと反応させて得られる、パーフルオロアルキル基が層間に凝集した二次元積層型の多孔性高分子金属錯体であり、本材料のガス吸蔵材料としての利用及び本ガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置に関する発明である。
すなわち本発明は下記にある。
(1)下記式(1)
[MX]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体(配位子)である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
で表され、ふっ素原子を含有し、二次元積層型ネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体。
(2)遷移金属イオンとイソフタル酸誘導体配位子から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークが形成され、その層状構造ネットワークが積層され、それらの層の間にイソフタル酸誘導体の5位のパーフルオロアルキル基が突き出して、パーフルオロアルキル基が凝集した部分が存在する、上記(1)に記載の多孔性高分子金属錯体。
(3)二個の遷移金属イオンに対し、4個のイソフタル酸型の配位子のそれぞれ1個のカルボキシル基が合計4個配位し、前記カルボキシル基のうち1個は、酸素原子2個ともが同一の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち2個はそれぞれ2個の酸素原子のそれぞれが別々の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち残り1個のカルボキシル基はその1個の酸素原子は一つの遷移金属イオンに配位し、もう一個の酸素原子は二個の遷移金属イオンに配位している、配位構造を有している、上記(1)又は(2)に記載の多孔性高分子金属錯体。
(4)前記2価の遷移金属イオンが、コバルトイオン、銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンから選ばれる、上記(1)〜(3)に記載の多孔性高分子金属錯体。
(5)前記パーフルオロアルキル基が、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C817,n−C1021から選ばれる、上記(1)〜(4)に記載の多孔性高分子金属錯体。
(6)上記(1)−(5)のいずれかに記載の多孔性高分子金属錯体を含むガス吸着材。
(7)上記(6)に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
(8)上記(6)に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
本発明の多孔性高分子金属錯体は多量のガスを吸着、放出し、かつ、ガスの選択的吸着を行うことが可能である。また本発明の多孔性高分子金属錯体からなるガス吸着材料を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を製造することが可能になる。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、また例えば、圧力スイング吸着方式(以下「PSA方式」と略記)のガス分離装置として使用すれば、非常に効率良いガス分離が可能である。また、圧力変化に要する時間を短縮でき、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与しうるため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
本発明の多孔性高分子金属錯体の他の用途としては、ガス貯蔵装置が挙げられる。本発明のガス吸着材をガス貯蔵装置(業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど)に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。搬送時や保存中のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、保存中の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。
ガス分離装置やガス貯蔵装置に適用する場合における、容器形状や容器材質、ガスバルブの種類などに関しては、特に特別の装置を用いなくてもよく、ガス分離装置やガス貯蔵装置に用いられているものを用いることが可能である。ただし、各種装置の改良を排除するものではなく、いかなる装置を用いたとしても、本発明の多孔性高分子金属錯体を用いている限りにおいて、本発明の技術的範囲に包含されるものである。
本発明の多孔性高分子金属錯体の積層型ネットワーク構造を形成している層の構成する鎖状構造を示す。 本発明の多孔性高分子金属錯体の積層型ネットワーク構造を形成している層の構造を示す。 本発明の多孔性高分子金属錯体の積層型ネットワーク構造の積層構造を側面から見た図である。 発明の多孔性高分子金属錯体の遷移金属イオンと配位子との結合を示す図である。
本発明は、下記式(1)
[MX]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体(配位子)である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
で表され、ふっ素原子を含有し、二次元積層型ネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体を提供する。本発明の多孔性高分子金属錯体は、2価の遷移金属イオンとイソフタル酸誘導体配位子から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークが形成され、その層状構造ネットワークが積層され、それらの層の間にイソフタル酸誘導体の5位のパーフルオロアルキル基が突き出して、パーフルオロアルキル基が凝集した部分が存在する。
本発明のPCPは、二次元積層構造のネットワークを有している。その積層構造を形成する各層は、その一次元の結合を示す図1、二次元の結合を示す図2に見られる様に、2価の遷移金属イオンと配位子から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークであり、その層から層の上下方向にイソフタル酸型配位子の5位に置換したパーフルオロアルキル基が突き出している。ただし、図1、2では、見易さのために水素原子は省略し、2価の遷移金属イオンMを黒色、酸素原子を濃い灰色、炭素原子とふっ素原子は白色ないし薄い灰色で示している。フッ素原子は、イソフタル酸の5位にあるパーフルオロアルキル基に存在している。結果として、積層構造を側面から見た図3に見られるように、層と層の間には、パーフルオロアルキル基が凝集したふっ素が多い部分が存在する。なお、図3では、2価の遷移金属イオンと酸素原子及び炭素原子は図1,2と同じ色であるが、フッ素原子は、強調するために、図1,2におけるフッ素原子とは色(明度を濃く)を変えている。また、2価の遷移金属イオンには、合成時に使用した溶媒のDMFが配位している。
なお、各図は、実施例にて合成した化合物を単結晶X線回折装置により測定し、得られた電子密度のデータを専用のソフトウエアにて図版化したものである。実際の材料には結晶の格子欠陥や、分子の熱振動が存在するため、それら由来のデータの欠陥が生じ、このため、図面上は芳香環のゆがみ、官能基(特にアルキル基類)の消失等が起こりうる。しかし、仮にそうようなことがあっても、本発明の温和な合成条件においては芳香環のゆがみ、官能基の消失等は起こりえないと考えられ、あくまでも欠陥は測定上の問題であり、実化合物は、原料として使用した配位子により構成されると考えて良い。また、本発明の多孔性高分子金属錯体は、後述するように、錯体分子(結晶)内に溶媒や水分子を含む場合があるが、本発明の多孔性高分子金属錯体の構造は明らかである。
2価の遷移金属イオンと配位子との結合は、図4に示されるように、二個の2価の遷移金属イオン(M)に対し、4個のイソフタル酸型の配位子のそれぞれ1個カルボキシル基(C1−C4)が合計4個配位して、電荷が相殺されている。4個のカルボキシル基(C1−C4)のうち1個(C1)は、酸素原子2個ともが同一の2価の遷移金属イオンに配位し、4個のカルボキシル基のうち2個(C2,C3)は酸素原子が別々の2価の遷移金属イオンに配位し、4個のカルボキシル基のうち最後の1個のカルボキシル基(C4)は、その2個の酸素原子のうち1個の酸素原子が一つの2価の遷移金属イオンに配位そ、もう一つの酸素原子が二個の2価の遷移金属イオンに配位している、複雑な配位構造を有している。ただし、どの2価の遷移金属イオンに配位しているかは、配位結合の距離の定義により変化しうるため、前述はある一定の結合距離においての説明に過ぎず、結合距離の定義を変化させた場合には違った配位様式に見える場合もあるが、これらは実質的に同一である。
このような複雑なSBU4個が、4個のイソフタル酸型配位子によりそれぞれの間を架橋されることで、四隅にそれぞれSBUが配置した四角い最小単位の格子が形成され、これが連続体となる事で、平面四角格子ネットークが形成される(図2)。さらにこの平面が積層する事で積層体が形成される。この際、イソフタル酸型配位子に置換しているパーフルオロアルキル基が層の間に凝集部を形成することになる(図3)。なお、図3では、平面四角格子ネットークの層間に溶媒分子や水分子などが入り込んでいるが、これらの分子は軽い加熱により容易に除去される。
本発明の多孔性高分子金属錯体は多孔体であるため、水やアルコールやエーテルなどの有機分子に触れると孔内に水や有機溶媒を含有し、たとえば式(2)
[MX]n(G)m (2)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体配位子である。Gは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子であり、通常ゲスト分子と呼ばれる。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。mは2価の遷移金属イオン1に対して0.2から6である。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Gで表されるゲスト分子は、多孔性高分子金属錯体に弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(2)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の多孔性高分子金属錯体と同一物と見なすことができる。
また本発明の多孔性高分子金属錯体は、2価の遷移金属イオンに後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子が配位し、たとえば式(3)
[MXLz]n (3)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体配位子である。Lは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。zは2価の遷移金属イオン1に対して1または2である。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Lで表される配位性の分子は、2価の遷移金属イオンに弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(3)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の多孔性高分子金属錯体と同一物と見なすことができる。
本発明のふっ素を含有し、二次元積層型のネットワーク構造を有する新規な多孔性高分子金属錯体において、金属イオンは2価の遷移金属イオンである。2価の遷移金属イオンは上記の配位構造を安定的に形成するので好ましい。2価の遷移金属イオンの具体例としては、コバルトイオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン、銅イオンが挙げられる。得られた多孔性高分子金属錯体の化学的安定性の観点から、銅イオン、コバルトイオンが好ましく、酸素吸着性の観点からはコバルトイオンがさらに好ましい。
本発明の多孔性高分子金属錯体に用いる5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸型配位子は、5位のパーフルオロアルキル基としては直鎖状または枝分かれのある炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基のいずれでもよく、特にガス分離特性が優れる点で、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C817,n−C1021基が好ましい。ベンゼン環へのパーフルオロアルキル基の導入方法としては、たとえば、柴崎ら、Chem. Asian J. 2006, 1, 314 - 321を参照することができる。
本発明では、式(1)で表される化合物は、2価の遷移金属イオンの供給源、炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体を使用し、これらを溶媒に溶かして溶液状態で混合し、ふっ素原子を有する芳香族化合物を共存させることで製造できる。
本発明の製造方法で2価の遷移金属イオンの供給源としては遷移金属塩を使用することができる。コバルト塩としては、2価のコバルトイオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、ぎ酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルトが好ましく、反応性が高いという点で、硝酸コバルト、硫酸コバルトが特に好ましい。
本発明の製造方法で使用する他の遷移金属塩である銅塩、亜鉛塩、ニッケル塩も、コバルト塩と同様に、2価の銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、ぎ酸塩、塩化塩、臭化塩が好ましく、反応性が高いという点で、硝酸塩、硫酸塩が特に好ましい。
本発明の多孔性高分子金属錯体の製造に用いる5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸湯導体は、5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸型配位子として上記したものを用いることができる。
本発明の反応で用いられる2価の遷移金属塩と配位子(5位にパーフルオロアルキル基を有するイソフタル酸湯導)の混合比率は、金属:配位子の比が1:5〜5:1のモル比であることが好ましく、より好ましくは1:3〜3:3のモル比の範囲内である。これ以外の範囲では、目的物の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して、目的物の取り出しが困難となる恐れがある。
溶媒としては、アルコール類などのプロトン系溶媒とジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒の混合溶媒を利用すると良好な結果が得られる。アルコールなどのプロトン系溶媒及びジメチルアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒は2価の遷移金属塩をよく溶解し、さらに2価の遷移金属イオンや対イオンに配位結合や水素結合することで2価の遷移金属塩を安定化し、配位子との急速な反応を抑制することで、副反応を抑制する。アルコール類の例としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどの脂肪族系1価アルコール及びエチレングリコールなどの脂肪族系2価アルコール類を例示できる。安価でかつ2価の遷移金属塩の溶解性が高いという点でメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールが好ましい。またこれらのアルコール類は単独で用いてもよいし、複数を混合使用してもよい。アミド系溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが例示出来る。2価の遷移金属塩の溶解性が高いという点で、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドが好ましい。
アルコール類とアミ系溶媒の混合比率は1:99〜99:1(体積比)で任意である。配位子、遷移金属塩の両方の溶解性が高まり、副生成物の発生を抑制出来るという点で、混合比率は90:10〜10:90(体積比)、反応を加速できるという観点から80:20〜20:80(体積比)が好ましい。
溶媒として前記のアルコール類やアミド系溶媒の混合溶媒に別種の有機溶媒を混合して使用することも好ましい。アルコール類とアミド系溶媒からなる混合溶媒の別種の有機溶媒に対する混合比率は、30%以上にすることが、2価の遷移金属塩および配位子の溶解性を向上させる観点から好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル基を有する二次元積層型のPCPを合成するためには、反応の際に、ふっ素原子を有する芳香族化合物を共存させる事が重要である。ふっ素原子は、芳香族環を形成する炭素原子に直接結合している必要がある。環は単環でも複環でもよい。環にはふっ素原子以外の極性の低いアルキル基が置換していても良いが、極性の高い水酸基のような含酸素官能基、アミノ基の様な含窒素官能基は含まれない方がよい。ふっ素原子の数は、一つの芳香環あたり1個以上6個以下、目的化合物の収率が向上するという点で、好ましくは1個以上4個以下である。具体的に例示すると、モノフルオロベンゼン、1,2ージフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、4−フルオロトルエン、1−フルオロナフタレン、パーフルオロナフタレンなどを例示出来る。安価に入手可能という点で、モノフルオロベンゼン、1,2ージフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼンが好ましい。
ふっ素原子を有する芳香族化合物の添加量は、反応に使用する2価の遷移金属塩1モルに対し、0.001モル以上、200モル以下、目的物の収率が高い点で、0.005モル以上、20モル以下である。不純物減少の観点から、0.008モル以上、0.2モル以下である。
添加したふっ素原子を有する芳香族化合物は、添加剤としてネットワーク構造の形成に寄与するだけであり、ネットワーク構造そのものには含まれない。ただし、細孔内にゲスト分子として取込まれたり、あるいは反応終了後に目的物の粉末に不純物として含まれる可能性があるが、これは、添加したふっ素原子を有する芳香族化合物は多くの溶媒に可溶性であり、目的とするPCPは殆どの溶媒に不溶性であることから、反応後に得られた固体生成物を溶媒で洗浄することで添加したふっ素原子を有する芳香族化合物は目的PCPから除去または回収する事が可能である。
本発明の方法では、反応促進剤として塩基を添加することも可能である。塩基は、配位子のカルボキシル基を陰イオンに変換する事で、反応を加速すると推定される。塩基としてはたとえば無機塩基として水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示できる。有機塩基としては、トリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ピリジン、2,6−ルチジンなどが例示出来る。反応加速性が高いという点で、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびピリジンが好ましい。添加量としては、使用するイソフタル酸の総モルに対し、反応の加速効果が顕著であるという点で好ましくは0.1〜6.0モル、副反応少ないという点でさらに好ましくは0.5から4.0モルである。
本発明の方法では、反応制御剤として有機酸を添加することも可能である。有機酸は、配位子のカルボキシル基の酸としての解離を制御することで、反応が適切に進む事を制御していると考えられる。脂肪族の有機酸としては、酢酸、プロピオン酸などの1価の酸、シュウ酸、マロン酸などの2価の酸、ビシクロ[2,2,2」-オクタン-1,4-ジカルボン酸などの環状カルボン酸が挙げられる。芳香族の有機酸としては、安息香酸、4−メチル安息香酸などの1価の酸が挙げられる。これらの内、溶解性が高く、2価の遷移金属イオンに配位が強すぎない酢酸、安息香酸、ビシクロ[2,2,2」-オクタン-1,4-ジカルボン酸が好ましい。添加量としては、使用する配位子の総モルに対し、反応の効果が顕著であるという点で好ましくは0.1〜12.0モル、副反応が少ないという点でさらに好ましくは0.5から8.0モルである。
2価の遷移金属塩の溶液および配位子を反応させるに当たり、2価の遷移金属塩および配位子を容器に装填した後、溶媒を添加する方法以外に、2価の遷移金属塩、配位子をそれぞれ別個に溶液として調製した後、これらの溶液を混合してもよい。
2価の遷移金属塩および配位子をそれぞれの溶液として混合する場合、溶液の濃度としては、2価の遷移金属塩溶液は10μmol/L〜4mol/Lが好ましく、100μmol/L〜2mol/Lであることがより好ましい。配位子の有機溶液は10μmol/L〜3mol/Lが好ましく、100μmol/L〜2mol/Lであることがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的物は得られるが、製造効率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では、吸着能が低下する恐れがある。
溶液の混合方法は、2価の遷移金属塩溶液に配位子溶液を添加しても、その逆でもよい。また、2価の遷移金属塩溶液と配位子溶液を、積層した後に自然拡散による方法で混合してもよい。混合法としては、必ずしも溶液で行う必要はなく、例えば、2価の遷移金属塩溶液に固体の配位子を投入し、同時に溶媒を入れる方法や、反応容器に2価の遷移金属塩を装填した後に、配位子の固体または溶液を注入し、さらに2価の遷移金属塩を溶かすための溶液を注入するなど、最終的に反応が実質的に溶媒中で起こる方法であれば、種々の方法が可能である。ただし、2価の遷移金属塩の溶液と配位子の溶液を滴下混合する方法が、工業的には最も操作が簡便であり、好ましい。
いずれの方法に於いても、二次元四角格子の積層型ネットワーク構造を形成させる為には、反応溶液を調製した後に静置することで、配位子と金属イオンの反応を適切な速度に保つことが好ましい。ここで、静置する温度は、−40℃〜180℃、副生生物の発生が抑制できるという点で、−20℃〜150℃が好ましい。静置する時間は、1時間〜3ヶ月、さらには副生生物が少ないという点で4時間〜2ヶ月であることが好ましい。
反応は通常のガラスライニングのSUS製の反応容器および機械式攪拌機を使用して行うことができる。反応終了後は濾過、乾燥を行うことで目的物質と原料の分離を行い、純度の高い目的物質を製造することが可能である。
上記の反応により得られた多孔性高分子金属錯体が目的とする二次元四角格子の積層型のネットワーク構造を有しているかどうかは、単結晶X線結晶解析により得られた反射を解析することで確認することが出来る。上記の反応により得られた多孔性高分子金属錯体のガス吸着能は、市販のガス吸着装置を用いて測定が可能である。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、原料として複数種のふっ素原子を含有する側鎖を有するフタル酸誘導体配位子を混合使用して、使用した複数種の配位子を含有する多孔性高分子金属錯体を合成する、いわゆる固溶体型の多孔性高分子金属錯体を形成する事が可能であることが確認された。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、二次元積層型のネットワーク構造であり、さらにこの層の上下(層の間)には、二次元ネットワーク構造からパーフルオロアルキル基が突き出している。この層間に存在するふっ素原子の影響で、積層状態にあるネットワーク構造が、ふっ素凝集部を持たない積層型PCPと比較して容易に滑りやすく、そのために独特のガス吸着特性が発現しうると考えられる。しかし、本発明は理論に拘束されるものではなく、本発明の多孔性高分子金属錯体の特性もこの理論によって制限されるものではない。
多孔性高分子金属錯体の調製方法は種々の条件があり、一義的に決定できるものではないが、ここでは実施例に基づき説明する。
粉末X線回折測定には、ブルカーAX(株)社製粉末X線装置DISCOVER D8 with GADDSを用いた。
実施例1
硝酸コバルト3水和物0.01ミリモル、5−ペンタフルオロエチルイソフタル酸(5位にCF基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、モノフルオロベンゼン0.001ミリモル、エタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを直径5ミリのガラス試験管に入れ、蓋をして、オイルバスにて120℃で3日間加熱した。得られた単結晶を大気に暴露させないようにパラトンにてコーティングした後、(株)リガク社製単結晶測定装置(極微小結晶用単結晶構造解析装置VariMax、MoK・線(λ=0.71069Å))にて測定し(照射時間8秒、d=45ミリ、2θ=−20,温度=−180℃)、得られた回折像を解析ソフトウエア、リガク(株)製解析ソフトウエア「CrystalStructure」を使用して解析し、図1〜4に示したものとパーフルオロカーボン基を除き基本的に同じ、二次元積層型のネットワーク構造であり、層の間にはパーフルオロアルキル基が突き出していることを確認した(a=10.9, b=16.25, c=23.29; α=90, β=100.8, γ=90; 空間群=P2)。
すなわち、実施例1で得られた物質は、コバルトイオンとイソフタル酸誘導体配位子(5−ペンタフルオロエチルイソフタル酸)から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークが形成され、その層状構造ネットワークが積層され、それらの層の間にイソフタル酸誘導体の5位のパーフルオロアルキル基が突き出して、パーフルオロアルキル基が凝集した部分が存在する、多孔性高分子金属錯体であり、かつ、二個の2価の遷移金属イオンに対し、4個のイソフタル酸型の配位子のカルボキシル基がそれぞれ1個、合計4個配位し、前記カルボキシル基のうち1個は、酸素原子2個ともが同一の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち2個は酸素原子が別々の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち残りの1個のカルボキシル基は、その1個の酸素原子は一つの金属イオン、もう一個の酸素原子は二個の金属イオンに配位している、配位構造を有していた。
実施例2
硝酸コバルト3水和物0.01ミリモル、5−ヘニコサフルオロデシルイソフタル酸(5位にC10F21基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、モノフルオロベンゼン0.001ミリモル、エタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを直径5ミリのガラス試験管に入れ、蓋をして、オイルバスにて80℃で3日間加熱した。得られた単結晶からX線回折分析により、実施例1と同様の二次元積層型のネットワーク構造であることを確認した。(a=10.278(8), b=17.301(13), c=28.014(2); α=90, β=90.731, γ=90; 空間群=P2)。
実施例3
硝酸銅3水和物0.01ミリモル、5−トリフルオロメチルイソフタル酸(5位にCF3基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、ペンタフルオロベンゼン0.001ミリモル、メタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを直径5ミリのガラス試験管に入れ、蓋をして、オイルバスにて80℃で3日間加熱した。得られた単結晶からX線回折分析により、実施例1と同様の二次元積層型のネットワーク構造であることが明らかになった。(a=10.79, b=16.33, c=24.192; α=90, β=103.1, γ=90; 空間群=P2)。
実施例4
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモル、5−ウンデカフルオロペンチルイソフタル酸(5位にC5F11基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、1,3,5−トリフルオロベンゼン0.001ミリモル、エタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを直径5ミリのガラス試験管に入れ、蓋をして、オイルバスにて80℃で3日間加熱した。得られた単結晶からX線回折分析により、実施例1と同様の二次元積層型のネットワーク構造であることが明らかになった。(a=9.722(6), b=18.824(8), c=27.399(7); α=90, β=90.634, γ=90; 空間群=P2)。
実施例5
硝酸ニッケル3水和物0.01ミリモル、5−ノナフルオロブチルイソフタル酸(5位にC4F9基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、モノフルオロベンゼン0.001ミリモル、エタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを直径5ミリのガラス試験管に入れ、蓋をして、オイルバスにて80℃で3日間加熱した。得られた単結晶からX線回折分析により、実施例1と同様の二次元積層型のネットワーク構造を有していることが明らかになった。(a=11.585(7), b=19.041(6), c=27.264(5); α=90, β=94.613, γ=90; 空間群=P2)。
比較例1
実施例1と同様の方法で、硝酸コバルト3水和物0.01ミリモル、5−ペンタフルオロエチルイソフタル酸(5位にCF基を有するイソフタル酸)0.01ミリモル、エタノール1mL、ジメチルホルムアミド1mLを用い、ただし含ふっ素芳香族化合物を添加せずに、合成した。得られた粉末を粉末X線装置により測定したところ、実施例1で得られた単結晶X線データからの粉末パターンシミュレーション結果とは異なっており、二次元積層構造が得られなかった事が判った。
<ガス吸着の結果>
得られたガス吸着材の二酸化炭素、酸素、窒素および一酸化炭素の吸着性をBET自動吸着装置(日本ベル株式会社製ベルミニII)をもちいて評価した(測定温度:二酸化炭素は195K、および273K、酸素及び窒素は77K、一酸化炭素は273K)。測定に先立って試料を423Kで6時間真空乾燥して、微量残存している可能性がある溶媒分子などを除去した。
表1に、実施例1〜5で得られた多孔性高分子金属錯体のガス吸着特性吸を示す。いずれも二酸化炭素を良く吸着し、ガス貯蔵材として利用可能であることが判った。ふっ素原子を含んでいる物は、273Kでの二酸化炭素の吸着量及び酸素ガス吸着量が特に多いと言う優れた特性を有しており、これらはふっ素原子の特性が反映された物と考えられる。また、一酸化炭素の吸着性もよかった。また、いずれもゲート現象を示しており、層間に存在するパーフルオロアルキル基の効果と考えられる。
本発明の多孔性高分子金属錯体は、配位子の整列によって形成される多数の微細孔が物質内部に存在する。この多孔性を生かして二酸化炭素や特に酸素などのふっ素原子と親和性を有するガスの特異的な吸着が可能であり、これらのガスの分離、貯蔵に好適に使用出来る。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    [MX]n (1)
    (式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xは炭素数1から10であるパーフルオロアルキル基を5位に有するイソフタル酸誘導体(配位子)である。nは、[MX]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
    で表され、ふっ素原子を含有し、二次元積層型ネットワーク構造を有している多孔性高分子金属錯体。
  2. 遷移金属イオンとイソフタル酸誘導体配位子から構成される四角い格子から成る層状構造ネットワークが形成され、その層状構造ネットワークが積層され、それらの層の間にイソフタル酸誘導体の5位のパーフルオロアルキル基が突き出して、パーフルオロアルキル基が凝集した部分が存在する、請求項1に記載の多孔性高分子金属錯体。
  3. 二個の2価の遷移金属イオンに対し、4個のイソフタル酸型の配位子のそれぞれ1個のカルボキシル基が合計4個配位し、前記カルボキシル基のうち1個は、酸素原子2個ともが同一の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち2個はそれぞれ2個の酸素原子がそれぞれ別々の遷移金属イオンに配位し、前記カルボキシル基のうち残りの1個のカルボキシル基はその1個の酸素原子は一つの遷移金属イオンに配位し、もう一個の酸素原子は二個の遷移金属イオンに配位している、配位構造を有している、請求項1または2に記載の多孔性高分子金属錯体。
  4. 前記遷移金属イオンが、コバルトイオン、銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンから選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体。
  5. 前記パーフルオロアルキル基が、CF3,C25,n−C37,n−C49,n−C511,n−C817,n−C1021から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔性高分子金属錯体を含むガス吸着材。
  7. 請求項6に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
  8. 請求項6に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
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