JP6091256B2 - ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置 - Google Patents

ふっ素原子を含有する多孔高分子錯体、これを用いたガス吸着材ならびにガス分離装置およびガス貯蔵装置 Download PDF

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Description

本発明は高分子金属集積体及びガス吸着材としての利用ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置に関する。
ガス吸着材は、加圧貯蔵や液化貯蔵に比べて、低圧で大量のガスを貯蔵しうる特性を有する。このため、近年、ガス吸着材を用いたガス貯蔵装置やガス分離装置の開発が盛んである。ガス吸着材としては、活性炭やゼオライトなどが知られている。また最近は高分子金属集積体にガスを吸蔵させる方法も提案されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
高分子金属集積体は、金属イオンと有機配位子から得られる結晶性固体で、種々の金属イオン、有機配位子の組み合わせおよび骨格構造の多様性から、様々なガス吸着特性を発現する可能性を秘めている。しかしながら、これらの従来提案されてきたガス吸着材は、ガス吸着量や作業性などの点で充分に満足できるものとはいえず、より優れた特性を有するガス吸着材の開発が所望されている。
高分子金属集積体の特徴の一つが、そのネットワーク構造である。一次元の鎖状物集合体、二次元の四角格子の積層体、ジャングルジム状の三次元構造など様々な構造の高分子金属集積体が知られている(非特許文献2)。これら多様な高分子金属集積体は、ネットワーク構造及び、それを構成している金属イオン、配位子の化学的性質、物理的な形状に由来して、様々な物性を発現する。
ジャングルジム状の三次元ネットワーク構造を典型とする高分子金属集積体は、比較的安定的な構造を有し、構造内にガス分子を吸着しうる細孔を有する可能性があり、金属錯体の特性を利用したガス吸着分離材としての有力なデザイン候補である(非特許文献3)。ガスの吸着分離材料を開発するのであれば、一般には、二次元または三次元の構造体を形成させ、構造体内部に細孔を形成することで、その細孔にガスを吸着せしめるのが定法である。細孔を有さない高分子金属集積体も多く知られているが、通常、当然、それらはガス吸着性を示さない。
多孔体のガス吸着特性を制御するために、配位子にふっ素原子を導入する試みが行われている(非特許文献4ー7)。これらは、いずれもネットワーク構造に細孔がある物に対してふっ素を導入しているため、ガスの吸着が生じている。ふっ素の材料への一般的な影響として、摺動性、撥水性などは知られているが、前述のふっ素を導入した高分子金属集積体の例では、ふっ素原子による水素の吸着特性の向上が述べられている。これらは、前記のふっ素原子が惹起する物性とは一致せず、またふっ素原子導入が水素の吸着特性を向上させる原理も詳しくは記載されておらず、すなわち、ふっ素原子の導入が高分子金属集積体のガス吸着特性にどのような影響を及ぼすかははっきりとはわかっていない。
ふっ素がもたらしうる特有の現象を利用したガス吸着、貯蔵材を設計する上で、前述のような高分子金属集積体にふっ素原子を導入する方法が考えられる。このような高分子金属集積体は結晶性の構造を有しており、物質の同定、解析が容易である一方で、内部に空間を有しているため、ふっ素原子の存在の有無とは関わりなくガス分子が高分子金属集積体の有する空間に内包される現象が生じ、結果として高分子金属集積体に導入したふっ素原子の特性が曖昧になる可能性がある。
特開2000−109493号公報 特許第4427236号公報
北川進、集積型金属錯体、講談社サイエンティフィク、2001年214−218頁 Robsonら、Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1460 ± 1494 Yaghi ら, , Science, 2002, 295, 469. Omaryら、J. Am. Chem. Soc., 2007,129, 15454 Omaryら、Angew. Chem. Int. Ed.2009,48,2500 Liら、J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 1308 Fereyら、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 1127-1136
本発明は、1次元構造を有する新規な高分子金属集積体及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供することである。また本発明は、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供することを目的とする。
本発明者らは、前述のような問題点を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、パーフルオロアルキル基が置換したイソフタル酸アニオンと2価の遷移金属イオンを反応させ、1次元鎖の集積構造有する高分子金属集積体は、ふっ素原子特有のガス吸着現象を発現する事を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パーフルオロアルキル基が置換したイソフタル酸アニオンと2価の遷移金属イオンの反応から得られる1次元鎖の集積構造有する高分子金属集積体であり、本材料のガス吸蔵材料としての利用及び本ガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置に関する発明である。
すなわち本発明は下記にある。
(1)下記式(1)
[MXYq]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xはパーフルオロアルキルが5位に置換したイソフタル酸アニオンである第一配位子、Yは第二配位子。qは1〜3。nは、[MXYq]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
で表され、金属イオンとXのカルボキシル基及び第二配位子Yが錯形成することで形成された、パーフルオロアルキルが置換した1次元鎖状構造を有している高分子金属集積体。
(2)前記パーフルオロアルキル基が、n−C,n−C,n−C11,n−C13,n−C14,n−C17,n−C19,n−C1021基から選ばれるものである、上記(1)に記載の高分子金属集積体。
(3)前記パーフルオロアルキル基が、n−Cまたはn−C1021基である、上記(1)に記載の高分子金属集積体。
(4)qが1または2である、上記(1)−(3)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(5)2価の遷移金属イオンが銅イオンまたは亜鉛イオンである、上記(1)−(4)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(6)前記2価の遷移金属イオンが銅イオンである、上記(1)−(4)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(7)前記第二配位子が、窒素原子を芳香環内に1個または2個含有するピリジル型の化合物であり、1座または2座配位子として作用しうる化合物である、上記(1)−(6)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(8)前記第二配位子が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、4−フェニルピリジン、4,4’−ビピリジル、3,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジルから選ばれる少なくとも1種である、上記(7)に記載の高分子金属集積体。
(9)前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基の酸素4個、ピリジン環の2個の窒素の配位を受けた6配位構造をしている、上記(1)−(8)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(10)前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基2個と、2個のピラジン環の窒素2個の配位を受けた4配位構造をとっている、上記(1)−(8)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(11)前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基2個、2座配位のカルボキシル基1個、ピリジン環の窒素2個の配位を受け、6配位状態にある、上記(1)−(8)のいずれかに記載の高分子金属集積体。
(12)上記(1)−(11)のいずれかに記載の高分子金属集積体を含むガス吸着材。
(13)上記(12)に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
(14)上記(12)に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
本発明の高分子金属集積体は多量のガスを吸蔵、放出し、かつ、ガスの選択的吸着を行うことが可能である。また本発明の高分子金属集積体からなるガス吸蔵材料を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を製造することが可能になる。
本発明の高分子金属集積体は、また例えば、圧力スイング吸着方式(以下「PSA方式」と略記)のガス分離装置として使用すれば、非常に効率良いガス分離が可能である。また、圧力変化に要する時間を短縮でき、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与しうるため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
本発明の高分子金属集積体の他の用途としては、ガス貯蔵装置が挙げられる。本発明のガス吸着材をガス貯蔵装置(業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど)に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。搬送時や保存中のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、保存中の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。
ガス分離装置やガス貯蔵装置に適用する場合における、容器形状や容器材質、ガスバルブの種類などに関しては、特に特別の装置を用いなくてもよく、ガス分離装置やガス貯蔵装置に用いられているものを用いることが可能である。ただし、各種装置の改良を排除するものではなく、いかなる装置を用いたとしても、本発明の高分子金属集積体を用いている限りにおいて、本発明の技術的範囲に包含されるものである。
本発明の高分子金属集積体の1次元鎖の集積構造のモデル図を示す。 図1に示した一次元鎖の集合構造のモデル図を示す。 実施例1で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例1で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例2で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例3で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例4で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例4で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造(続き)示す。 比較例1で製造した単結晶から得られた高分子金属集積体の構造を示す。 実施例1で製造した単結晶の粉末X線回折チャートである。 実施例2で製造した単結晶の粉末X線回折チャートである。 実施例3で製造した単結晶の粉末X線回折チャートである。 実施例4で製造した単結晶の粉末X線回折チャートである。 比較例1で製造した単結晶の粉末X線回折チャートである。
本発明の高分子金属集積体は、下記式(1)で表され、かつ図1から4で模式的に示される1次元鎖状構造を有する高分子金属集積体である。
[MXYq]n (1)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xはパーフルオロアルキルが5位に置換したイソフタル酸アニオン(第一配位子)で、Yは補助配位子(「第2配位子」とも呼称する)。qは1〜3。nは、[MXYq]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
以下、本発明の高分子金属集積体の構図を、実施例で得られた高分子金属集積体のデータに基づいて作成した図面を参照して説明する。以下の説明では、簡単のために、図番を省略し枝番号を図番として表記する。たとえば、図1(1a)および図8(7d)はそれぞれ図(1a)および図(7d)と表記する。
図1に本発明の高分子金属集積体の1次元鎖の集積構造のモデル図を示す。配位子と金属イオンが配位結合で配位し、交互に並ぶことで1次元鎖を形成する。配位子や金属イオンの特性により、直線状になる場合や(図(1a))、ジグザグ構造になる場合(図1(1b))があるが、どちらもトポロジー的には同一である。
図1に示した上記の一次元鎖の集合構造のモデル図を図2に示す。図(2a−1)〜(2a−4)には、鎖の側面方向からの2通りの図を示すが、配位子や金属イオンの特性により集合形態は様々になり得るが、これらはいずれもトポロジー的に同一である。図(2b−1)〜(2b−2)には一次元鎖と平行方向に1次元鎖の集合構造を見た図を示す。この場合も集積の様態により種々の集積構造があり得るが、基本的に同一構造と見なすことができる。
以下の図面では、特に断りが無い限り、各モデルは、構造の見やすさの為にキャップドスティックモデルにて表示する。
図(3a)には、実施例1で製造した単結晶から得られた構造の1本鎖だけの抜き書きを、鎖と直交方向に眺めた図を示す。また、鎖の軸方向(鎖と平行方向)から見た図を図(3b)に示す。図(3c)には、金属イオンと配位子の配位の様態を抜き出して示す。図(3c)は見やすさの為にパーフルオロアルキル鎖を非表示としている。銅イオンは4個の1座配位のカルボキシル基の酸素、ピリジンの2個の窒素の配位を受けた6配位構造をしている。この銅イオンがイソフタル酸骨格により二重に架橋された構造の1次元鎖が形成されている。ふっ素を含有する置換基は、二重架橋の外側に伸び出し、C鎖から形成されるパーフルオロアルキルの凝集部を形成している。図(3d)に配位子の化学式を示す。
図(4a)には、図(3a)で示したのと同方向から見た1次元鎖の集合体のキャップドスティックモデル図を示し、図(4a’)には図(4a)と同じ部分の1次元鎖の集合体のスペースフィリングモデル(電子密度を考慮したモデル図で、実際の空間の有無が正しく表示される)を示す。図(4b)には、図(3b)で示したのと同方向から見た1次元鎖の集合体のキャップドスティックモデル図を示し、図(4b’)には図4(4b)のスペースフィリングモデルを示す。図(4a)、図(4b)から、図3で示された1次元鎖が集合している様子がわかる。図(4a’)、図(4b’)から、1次元鎖が緻密に集合体しており、ガスが吸着される有効な空間が存在しないことがわかる。図(4c)には、金属イオンと配位子の結合様態を示す。金属イオンは、1座配位のカルボキシル基2個と、ピラジンの窒素2個の配位を受けた4配位構造をとっている。ここで、ピラジンは、金属イオンとイソフタル酸アニオン(配位子)からなる、パーフルオロアルキル鎖を含む錯体を連結することで、パーフルオロアルキルの凝集形態の形成を補助しているという意味で補助配位子と呼称する。
図(5a)には、実施例2で製造した単結晶から得られた構造の1本鎖だけの抜き書きを、鎖と直交方向に眺めた図を示す。5位にC1021基を有するイソフタル酸2個が1座配位、さらにピラジンの窒素2個が配位することで銅イオンは4座配位となっている。その結果、銅イオンとピラジンの交互連鎖の1次元鎖の上下にC1021基が伸び、C1021鎖から形成されるパーフルオロアルキルの凝集部を形成している。図(5b)には、1次元鎖を1次元鎖と同方向(図(5a)と直交方向)方向から見た図を示す。図(5c)には、図(5a)で示したのと同方向から見た、1次元鎖の集合体の図を示す。また図(5c’)には図(5c)のスペースフィリングモデルを示す。図(5d)には、図(5b)で示したのと同方向から見た、1次元鎖の集合体の図を示す。また図(5d’)には図(5d)のスペースフィリングモデルを示す。銅イオンとピラジンから形成される一次元鎖の周囲にはC1021の鎖が緻密に集積し、パーフルオロアルキルの凝集部を形成しており、ガスが吸着しうる空間は、銅イオンの周囲の僅かな空間しか無いことが判る。ここでも、ピラジンは、金属イオンとイソフタル酸アニオンからなる錯体を連結する際に、パーフルオロアルキルの凝集形態を制御して、パーフルオロアルキルの凝集部が形成されることを補助している。
図(6a)には、実施例3で製造した単結晶から得られた構造の1本鎖だけの抜き書きを、鎖と直交方向に眺めた図を示す。銅イオンは、2座配位のカルボキシル基1個、1座配位のカルボキシル基2個、ピリジンの窒素2個から配位を受け、6配位と成っている(図(6c))。銅イオンはイソフタル酸アニオンにより二重に架橋されることで、二重架橋の1次元鎖が形成され、イソフタル酸の5位に置換したC1021基は鎖の両側に伸び出し、C1021鎖から形成されるパーフルオロアルキルの凝集部を形成している。図6(6b)には、1次元鎖を1次元鎖と同方向(図(6a)と直交方向)方向から見た図を示す。図(6c)には、金属イオンと配位子の結合様態を示す。図の見やすさのために、パーフルオロアルキルは非表示としている。銅イオンは、1座配位のカルボキシル基2個、2座配位のカルボキシル基1個、ピリジン環の窒素2個の配位を受け、6配位状態にある。さらにこの銅イオンがカルボキシル基で架橋されることで銅イオンの2核クラスターを形成されている。図(6a)および図(6b)で示したのと同方向から見た、1次元鎖の集合体のスペースフィリングモデルによれば、銅イオンとイソフタル酸アニオンから形成される二重構造の一次元鎖の周囲にはC1021の鎖が緻密に集積し、パーフルオロアルキルの凝集部を形成しており、ガスが吸着しうる空間は、ほぼ全く無い。ここでは、ピリジンは金属イオンどうしを連結する配位子ではないが、金属イオンに配位して、金属イオンとイソフタル酸アニオンからなる錯体の結合様式を制御することにより、パーフルオロアルキルの凝集形態を制御して、パーフルオロアルキルの凝集部が形成されることを補助している点で、補助配位子と見なすことができる。
図(7a)には、実施例4で製造した単結晶から得られた構造の1本鎖だけの抜き書きを、鎖と直交方向に眺めた図を示す。銅イオンは、2座配位のカルボキシル基1個、1座配位のカルボキシル基2個、ピリジンの窒素2個から配位を受け、6配位と成っている(図(7c))。銅イオンはイソフタル酸アニオンにより二重に架橋されることで、二重架橋の1次元鎖が形成され、イソフタル酸の5位に置換したC1021基は鎖の両側に伸び出し、C1021鎖から形成されるパーフルオロアルキルの凝集部を形成している。すなわち、基本的なネットワーク構造、及びそのネットワーク構造を形成している金属イオン、配位子は図6の化合物と同一であることが判る。図(7b)には、1次元鎖を1次元鎖と同方向(図(6a)と直交方向)方向から見た図を示す。図(7c)には金属イオンと配位心の結合様態を示す。図(7c)から、実施例4の物質も、実施例3の物質と同様の金属イオン配位子の結合様態であることが判る。図(7d)には、図(7a)で示したのと同方向から見た、1次元鎖の集合体の図を示す。また図(7d’)には図7(7d)のスペースフィリングモデルを示す。図(7e)には、図(7b)で示したのと同方向から見た、1次元鎖の集合体の図を示す。また図(7e’)には図(7e)のスペースフィリングモデルを示す。図6の化合物と図7〜8の化合物の唯一の差異は、イソフタル酸分子から伸びるC1021鎖とイソフタル酸分子のベンゼン環の角度の違いだけであり、要するに置換基の回転角が異なるだけである。結果としてパーフルオロアルキルの凝集形態が異なり、図(6b)の化合物では、上下の配位子から伸びているC1021鎖が互い違いの入れ子構造担っているのに対し、図(7b)の化合物では上側の配位子に置換するC1021基は上側のC1021基だけでパーフルオロアルキルの凝集部を形成し、下側のC1021基は下側のC1021基だけで凝集部を形成し、すなわち上側のC1021基と下側のC1021基は入れ子構造になっていない。図7〜8の化合物にあっても、銅イオンとイソフタル酸アニオンから形成される二重構造の一次元鎖の周囲にはC1021の鎖が緻密に集積しており、図6の化合物同様、ガスが吸着しうる空間は、ほぼ全く無いことが判る。ここでも、ピリジンは金属イオンどうしを連結する配位子ではないが、金属イオンに配位して、金属イオンとイソフタル酸アニオンからなる錯体の結合様式を制御することにより、パーフルオロアルキルの凝集形態を制御して、パーフルオロアルキルの凝集部が形成されることを補助している点で、補助配位子と見なすことができる。
図(9a)には、比較例1で製造した単結晶から得られた構造を平面格子と直交方向に眺めた図を示す。
本発明の化合物の基本構造は、イソフタル酸型の第一配位子と、場合によっては補助配位子により構成される1次元鎖状構造が集積した構造である。ここで重要なのは1次元鎖が集合しているという形態であるため、個々の結合角や集積状況は、本化合物が柔軟性を有するが故に、必ずしも常に図と同一の結合角を有するとは限らない。たとえば図6と図7の化合物では、基本的には同一の1次元鎖に対して、C1021の置換基がこの1次元鎖に異なる角度で結合している異性体であるが、いずれも本願発明の1次元鎖が集合した高分子金属集積体と見なすことができる。
本発明の高分子金属集積体は多孔体であるため、水やアルコールやエーテルなどの有機分子に触れると孔内に水や有機溶媒を含有し、たとえば式(2)
[MXYq](G)m (2)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xはパーフルオロアルキルが5位に置換したイソフタル酸アニオン(配位子)で、Yは補助配位子。qは1〜3。Gは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子であり、通常ゲスト分子と呼ばれる。mは金属イオン1に対して0.2から6である。nは、[MXYq]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Gで表されるゲスト分子は、高分子金属集積体に弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(2)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の高分子金属集積体と同一物と見なすことができる。
また本発明の高分子金属集積体は、金属イオンに後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子が配位し、たとえば式(3)
[MXYqLz] (3)
(式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xはパーフルオロアルキルが5位に置換したイソフタル酸アニオンで、Yは補助配位子。qは1〜3。Lは後述のような合成に使用した溶媒分子や空気中の水分子である。zは金属イオン1に対して1または2である。nは、[MXYqL]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)であるような複合錯体に変化する場合がある。
しかし、これらの複合錯体中の上記Lで表される配位性の分子は、金属イオンに弱く結合しているだけであり、ガス吸着材として利用する際の減圧乾燥などの前処理によって除かれ、元の式(1)で表される錯体に戻る。そのため、式(3)で表されるような錯体であっても、本質的には本発明の高分子金属集積体と同一物と見なすことができる。
本発明の方法では、式(1)で表される化合物は、亜鉛塩や銅塩などの金属塩、テレフタル酸型一配位子、ピラジン、ピリジンなどの第二配位子を溶媒に溶かして溶液状態で混合することで製造できる。
溶媒としては、アルコールなどのプロトン系溶媒とジメチルホルムアミドなどのホルムアミドルの混合溶媒を利用すると良好な結果が得られる。アルコールなどのプロトン系溶媒及びジメチルアミドなどのホルムアミド類は亜鉛塩をよく溶解し、さらに亜鉛イオンや対イオンに配位結合や水素結合することで亜鉛塩を安定化し、配位子との急速な反応を抑制することで、副反応を抑制する。アルコールの例としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどの脂肪族系1価アルコール及びエチレングリコールなどの脂肪族系2価アルコール類を例示できる。安価でかつニ亜鉛塩の溶解性が高いという点でメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールが好ましい。またこれらのアルコールは単独で用いてもよいし、複数を混合使用してもよい。ホルムアミド類の例としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが例示出来る。亜鉛塩の溶解性が高いという点で、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドが好ましい。
アルコール類とジメチルホルムアミド類の混合比率は1:100〜100:0(体積比)で任意である。配位子、金属塩の両方の溶解性が高まり、副生成物の発生を抑制出来るという点で、混合比率は90:10〜10:90(体積比)、反応を加速できるという観点から80:20〜20:80(体積比)が好ましい。
溶媒として前記のアルコール類やホルムアミド類の混合溶媒に別種の有機溶媒を混合して使用することも好ましい。混合比率は1:100〜100:0(体積比)で任意である。アルコール類とジメチルホルムアミド類、他の有機溶媒に対する混合比率を30%以上にすることが、金属塩および配位子の溶解性を向上させる観点から好ましい。
本発明の新規な高分子金属集積体を形成するのに必要な金属イオンとしては、2価の遷移金属イオンが挙げられる。これらは、イソフタル酸アニオンや補助配位子と容易に反応して1次元鎖を形成する。2価の遷移金属イオンの具体例としてはコバルト、ニッケル、銅、亜鉛イオンが挙げられる。得られた高分子金属集積体の化学的安定性の観点から、銅イオン、亜鉛イオンが特に好ましい。
本発明の方法で使用する亜鉛塩としては、2価の亜鉛イオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛が好ましく、反応性が高いという点で、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛が特に好ましい。
本発明の方法で使用する銅鉛塩としては、2価の銅イオンを含有している塩類であればよく、溶媒への溶解性が高いという点で、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、ぎ酸銅、塩化銅、臭化銅、ほうふっ化銅が好ましく、反応性が高いという点で、硝酸銅、硫酸銅、ほうふっ化銅が特に好ましい。
以下、イソフタル酸アニオン(配位子)に関して説明する。本願発明のイソフタル酸アニオンは5位にパーフルオロアルキル基を置換したイソフタル酸アニオンであり、置換基としては直鎖状または枝分かれのある炭素数1から16であるパーフルオロアルキル基が好ましく、特にガス分離特性が優れる点で、n−C,n−C,n−C11基、n−C17基、n−C1021基が好ましい。ベンゼン環へのパーフルオロアルキル基の導入方法としては、たとえば、柴崎ら、Chem. Asian J. 2006, 1, 314 - 321を参照することができる。
以下、補助配位子に関して説明する。補助配位子は、窒素原子を芳香環内に1個または2個含有する、パーフルオロアルキル基を有さない、ピリジル型の化合物であり、1座または2座配位子として作用しうる化合物である。本発明の材料に於いては、イソフタル酸アニオンに置換したパーフルオロアルキル基の凝集部が形成されることが重要である。このためには、イソフタル酸アニオン同士の距離、配向が適切に制御される事が必要である。補助配位子は、金属イオンに配位して、イソフタル酸アニオン同士の距離、配向を適切に制御することで、パーフルオロアルキルの凝集形態を制御していると考えられる。この目的として、芳香環を1個含み、パーフルオロアルキル基を含まない、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、芳香環を2個含む4−フェニルピリジン、4,4’−ビピリジル、3,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、などが挙げられる。これらの内、化学的に安定的な高分子金属集積体が得られるという点で、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、4,4’−ビピリジルが好ましい。
金属塩の溶液および配位子を反応させるに当たり、金属塩および配位子を別々の溶液にし、反応容器内に別々に装填することで、金属塩溶液及び配位子溶液の積層構造を形成させることが、パーフルオロアルキルが凝集部を有する高分子金属集積体を製造するためには好ましい。金属塩および配位子を溶解する溶媒は同じであっても異なっていてもかまわない。異なる場合は、溶液比重が大きい方を先に容器に装填し、次いで溶液比重が小さい方をゆっくり装填することで溶液の積層構造を形成させることができる。金属塩および配位子を溶解する溶媒が同じ場合でも、金属塩や配位子の添加量、分子量などによっては、調製した2種類の溶液の比重が異なる場合がある。この場合は、上記の様に、比重が大きい溶液を先に、小さい溶液を後に容器に装填する。2種類の溶液の比重がほぼ同一の場合は、金属塩溶液、配位子溶液のいずれを先に容器に装填してもよい。後に入れる溶液をゆっくり装填することで溶液の積層構造を形成させることができる。
金属塩の溶液および配位子を反応させるに当たり、金属塩および配位子を容器に装填した後、溶媒を添加する方法以外に、亜鉛塩、配位子をそれぞれ別個に溶液として調製した後、これらの溶液を混合してもよい。溶液の混合方法は、金属塩溶液に配位子溶液を添加しても、その逆でもよい。また、金属塩溶液と配位子溶液を、積層した後に自然拡散による方法で混合してもよい。混合法としては、必ずしも溶液で行う必要はなく、例えば、金属塩溶液に固体の配位子を投入し、同時に溶媒を入れる方法や、反応容器に金属塩を装填した後に、配位子の固体または溶液を注入し、さらに金属塩を溶かすための溶液を注入するなど、最終的に反応が実質的に溶媒中で起こる方法であれば、種々の方法が可能である。ただし、金属塩の溶液と配位子の溶液を滴下混合する方法が、工業的には最も操作が簡便であり、好ましい。
溶液の濃度は、金属塩溶液は80mmol/L〜2mol/L、好ましくは40mmol/L〜4mol/Lであり、配位子の有機溶液は80mmol/L〜2mol/L、好ましくは60mmol/L〜3mol/Lである。これより低い濃度で反応を行っても目的物は得られるが、製造効率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では、吸着能が低下するため好ましくない。
反応温度は−20〜180℃、好ましくは0〜150℃である。これ以下の低温で行うと、原料の溶解度が下がるため好ましくない。オートクレーブなどを用いて、より高温で反応を行うことも可能であるが、加熱などのエネルギーコストの割には、収率は向上しないため実質的な意味はない。
本発明の反応で用いられる金属塩と配位子の混合比率は、金属:配位子(イソフタル酸アニオンを提供する配位子と補助配位子を合わせて)の比が1:5〜5:1のモル比、好ましくは1:3〜3:3のモル比の範囲内である。これ以外の範囲では、目的物の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して、目的物の取り出しが困難となる。
本発明の反応で用いられる金属塩とイソフタル酸型配位子(イソフタル酸アニオンを提供する配位子)と補助配位子の混合比率は、金属:2種配位子の合計の比が1:5〜5:1のモル比、好ましくは1:3〜3:3のモル比の範囲内である。さらに、イソフタル酸型配位子と補助配位子の比が1:3〜3:1のモル比、好ましくは1:2〜2:1のモル比の範囲内である。これ以外の範囲では、目的物の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して、目的物の取り出しが困難となる。
反応は通常のガラスライニングのSUS製の反応容器を使用して行うことができる。反応終了後は濾過、乾燥を行うことで目的物質と原料の分離を行い、純度の高い目的物質を製造することが可能である。
上記の反応により得られた高分子金属集積体が目的とする1次元のネットワーク構造を有しているかどうかは、単結晶X線結晶解析により得られた反射を解析することで確認することが出来る。上記の反応により得られた高分子金属集積体のガス吸着能は、市販のガス吸着装置を用いて測定が可能である。
本発明の高分子金属集積体は、原料として複数種のふっ素原子を含有するイソフタル酸型配位子(アニオン)を混合使用して、使用した複数種の配位子を含有する高分子金属集積体を合成する、いわゆる固溶体型の高分子金属集積体を形成する事が可能であることが確認された。
本発明の高分子金属集積体は、1次元のネットワーク構造であり、本ネットワーク構造がふっ素を含む官能基を有する構造をしている。1次元のネットワーク構造は緻密に集積した構造を形成しており、X線回折からはガスが吸着しうる有効な細孔を有して居らず、常識的にはガスを吸着する事は考えにくい。しかし、この格子内に存在するパーフルオロアルキルの凝集部がガス分子に何らかの親和性を示すと考えられ、本願発明の化合物はガスを吸着する。しかし、本発明は理論に拘束されるものではなく、本発明の高分子金属集積体の特性もこの理論によって制限されるものではない。
高分子金属集積体の調製方法は種々の条件があり、一義的に決定できるものではないが、ここでは実施例に基づき説明する。
粉末X線回折測定には、ブルカーAX(株)社製粉末X線装置DISCOVER D8 with GADDSを用いた。
実施例1
硝酸銅3水和物0.01ミリモルを水2mLに溶解し、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れ、層を形成し、蓋をした。2週間静置し、得られた青色の単結晶を大気に暴露させないようにパラトンにてコーティングした後、(株)リガク社製単結晶測定装置(極微小結晶用単結晶構造解析装置VariMax、MoK・線(λ=0.71069Å))にて測定し(照射時間32秒、d=45ミリ、2θ=−20,温度=−103℃)、得られた回折像を解析ソフトウエア、リガク(株)製解析ソフトウエア「CrystalStructure」を使用して解析し、図3〜4に示すような1次元鎖の集積構造を有していることを確認した(a=10.628, b=10.726, c=16.472; α=91.084、β=97.583, γ=107.313; 空間群=P1))。また得られた単結晶を軽くすりつぶして得られた粉末を測定した、粉末X線回折チャートを図10に示す。
実施例2
硝酸銅3水和物0.01ミリモルをメタノール(2mL)に溶かし、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピラジン(0.01mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れ、層を形成し、蓋をした。室温で2週間静置した後、蓋を除きさらに1週間静置し、得られた青色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図5に示すような1次元鎖の集積構造を有していることを確認した(a=6.8159(11), b=18.843(2), c=25.660(4); α=90、β=97.512(7), γ=90; 空間群=P21/n))。また得られた単結晶を軽くすりつぶして得られた粉末を測定した、粉末X線回折チャートを図11に示す。
実施例3
硝酸銅3水和物0.01ミリモルをメタノール2mLに溶かし、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れて層を形成し、蓋をした。室温で2週間静置した後、得られた青色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図6に示すような1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。a=16.641(7), b=10.127(4), c=22.973(10); α=90、β=110.231, γ=90; 空間群=Pa))。また得られた単結晶を軽くすりつぶして得られた粉末を測定した、粉末X線回折チャートを図12に示す。
実施例4
硝酸銅3水和物0.01ミリモルをメタノール2mLに溶かし、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をエタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れて層を形成し、蓋をした。室温で2週間静置した後、得られた青色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図7に示すような1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。a=9.1992, b=9.2470, c=20.921; α=101.512、β=93.321, γ=112.844; 空間群=P1))。また得られた単結晶を軽くすりつぶして得られた粉末を測定した、粉末X線回折チャートを図13に示す。
実施例5
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモルを水2mLに溶解し、直径8ミリのガラス管に入れる。5位にn−C基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れ、層を形成し、蓋をした。2週間静置し、得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図3と同様の1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。
実施例6
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモル、5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピラジン(0.01mmol)をメタノール(4mL)に溶かし、直径8ミリのガラス管に入れ、室温で2週間静置した後、蓋を除きさらに1週間静置し、得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図4と同様の1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。
実施例7
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモルをメタノール2mLに溶かし、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れて層を形成し、蓋をした。室温で2週間静置した後、得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図5と同様の1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。
実施例8
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモルをメタノール2mLに溶かし、直径8ミリのガラス管に入れた。5位にn−C1021基が置換したイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をエタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れて層を形成し、蓋をした。室温で2週間静置した後、得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図6と同様の1次元鎖の集積構造を有していることを確認した。
比較例1
硝酸亜鉛3水和物0.01ミリモルを水2mLに溶解し、直径8ミリのガラス管に入れる。5位にふっ素を含まないアルキル基が置換した5−n−プロピルイソフタル酸(0.01mmol)及びピリジン(0.20mmol)をメタノール(2mL)に溶かし、上記のガラス管に静かに入れ、層を形成し、蓋をした。2週間静置し、得られた無色の単結晶を実施例1と同様に測定、解析を行い、図8に示すような、1次元鎖の集積構造とは異なる、2次元積層構造を有していることを確認した。(a=10.025(2), b=11.381(2), c=17.299(4); α=90, β=103.404, ガンマ=90; 空間群=Pc)また得られた単結晶を軽くすりつぶして得られた粉末を測定した、粉末X線回折チャートを図14に示す。実施例1−4とは異なるパターンであり、別物質であることがわかる。
<ガス吸着の結果>
得られたガス吸着材の二酸化炭素吸着性および窒素の吸着性をBET自動吸着装置(日本ベル株式会社製ベルミニII)を用いて評価した(測定温度:二酸化炭素は195K、酸素は90K、窒素は77K)。測定に先立って試料を393Kで6時間真空乾燥して、微量残存している可能性がある溶媒分子などを除去した。
表1に、実施例1−8で得られた高分子金属集積体の二酸化炭素と酸素と窒素の吸着量を示す。
いずれも二酸化炭素、酸素の吸着量が窒素と比較して多く、1次元鎖状構造に置換しているふっ素原子を含む官能基が二酸化炭素や酸素分子と相互作用することで特異的な吸着能が発現している事が示唆された。
表2に、比較例1で得られた高分子金属集積体の二酸化炭素と酸素と窒素の吸着量を示す。
二酸化炭素、酸素、窒素の吸着量の差が少なく、特異的な吸着能がない事が確認された。
本発明の高分子金属集積体は、配位子の整列によって形成される多数の微細孔が物質内部に存在する。この多孔性を生かして二酸化炭素などのふっ素原子と親和性を有するガスの特異的な吸着が可能であり、これらのガスの分離、貯蔵に好適に使用出来る。

Claims (14)

  1. 下記式(1)
    [MXYq]n (1)
    (式中、Mは2価の遷移金属イオン、Xはパーフルオロアルキルが5位に置換したイソフタル酸アニオンである第一配位子、Yは第二配位子。qは1〜3。nは、[MXYq]から成る構成単位が多数集合しているという特性を示すもので、nの大きさは特に限定されない。)
    で表され、金属イオンと、Xのカルボキシル基及び第二配位子Yが錯形成することで形成された、パーフルオロアルキルが置換した1次元鎖状構造を有している高分子金属集積体。
  2. 前記パーフルオロアルキル基が、n−C37,n−C49,n−C511,n−C613,n−C714,n−C817,n−C919,n−C1021基から選ばれるものである上記請求項1に記載の高分子金属集積体。
  3. 前記パーフルオロアルキル基が、n−C37またはn−C1021基である、請求項1に記載の高分子金属集積体。
  4. qが1または2である、請求項1−3のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  5. 前記2価の遷移金属イオンが銅イオンまたは亜鉛イオンである、請求項1−4のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  6. 前記2価の遷移金属イオンが銅イオンである、請求項1−4のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  7. 前記第二配位子が、窒素原子を芳香環内に1個または2個含有するピリジル型の化合物であり、1座または2座配位子として作用しうる化合物である、請求項1−6のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  8. 前記第二配位子が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、4−フェニルピリジン、4,4’−ビピリジル、3,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジルから選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の高分子金属集積体。
  9. 前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基の酸素4個、ピリジン環の2個の窒素の配位を受けた6配位構造をしている、請求項1−8のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  10. 前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基2個と、2個のピラジン環の窒素2個の配位を受けた4配位構造をとっている、請求項1−8のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  11. 前記2価の遷移金属イオンが、1座配位のカルボキシル基2個、2座配位のカルボキシル基1個、ピリジン環の窒素2個の配位を受け、6配位状態にある、請求項1−8のいずれか1項に記載の高分子金属集積体。
  12. 請求項1−11のいずれか1項に記載の高分子金属集積体を含むガス吸着材。
  13. 請求項12に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
  14. 請求項12に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
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