JP2014166932A - 半導体単結晶棒の製造方法 - Google Patents

半導体単結晶棒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体単結晶棒の結晶成長中に、原料結晶棒の結晶直径を測定することなく、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を成長させることが可能なFZ法における半導体単結晶棒の製造方法を提供する。
【解決手段】FZ法による半導体単結晶棒の製造方法において、あらかじめ原料結晶棒の直径値を測定しておき(a)、次に原料結晶棒を成長炉に収容し(b)、該原料結晶棒の一部分を誘導加熱コイルで溶融して溶融帯域を形成し、原料結晶棒の直径値を測定せずに前記あらかじめ測定された原料結晶棒の直径値に基づいて原料結晶棒の移動速度および半導体単結晶棒の移動速度のうちいずれか1つ以上を制御し、誘導加熱コイルと、上側の原料結晶棒および下側の晶出側単結晶棒とを軸方向で相対的に移動させて溶融帯域を軸方向に移動させることで半導体単結晶棒を成長させる(e)。
【選択図】図1

Description

本発明は、浮遊溶融帯域(FZ:Floting Zone)法による半導体単結晶棒の製造方法に関し、特には、CCDカメラなどを用いて溶融帯域のゾーン長やネック径、および晶出側半導体単結晶棒の結晶直径などを制御する半導体単結晶棒の製造方法に関する。
FZ法による半導体単結晶棒の製造は、原料結晶棒の一部分を誘導加熱コイルで溶融して溶融帯域を作り、該誘導加熱コイルに対し上側の原料結晶棒および下側の単結晶棒を軸方向へ移動させる、又は、誘導加熱コイルを軸方向で移動させることにより溶融帯域を軸方向に移動させ、下側の半導体単結晶棒を成長させるという工程フローで行われる。
このような従来のFZ法による半導体単結晶棒の製造方法において、特許文献1、特許文献2、及び、特許文献3では、半導体単結晶棒の育成中に、溶融帯域およびその付近をCCDカメラで撮像し、その画像を画像処理して幾何学量を測定し、その測定値に応じて制御出力量を計算し、誘導加熱コイルに供給する電力や晶出側半導体単結晶棒や原料結晶棒の移動速度や回転速度を調節するようにして結晶成長させることが開示されている。
この際、CCDカメラにより撮像されるパラメータは、原料結晶棒や晶出側半導体単結晶棒の結晶直径、溶融帯域のゾーン長やネック径などが挙げられる。
半導体単結晶棒を所望の結晶直径で成長させることは非常に重要であり、その半導体単結晶棒の結晶径は、原料結晶棒の溶融量とのバランスで決定され、
(原料結晶径)×原料下降速度=(半導体単結晶径)×単結晶下降速度
の式が成り立ち、これを満足するように適切に制御されなければならない。
つまり、半導体単結晶棒を所望の結晶直径で成長させるには、半導体単結晶棒を育成している間、原料結晶棒の結晶直径を常に正確に測定する必要がある。
一方、近年のFZ結晶製造においては大直径を有するウェーハの需要が多くなり、シリコン結晶においては150mmあるいは200mmといった大直径化が進んでおり、これに伴って、原料結晶棒の直径も大型化の一途をたどっている。
しかしながら、これまでより大直径の原料結晶棒から大直径の半導体単結晶棒を製造するFZ結晶の製造においては、より多くの原料を溶融させ、より多くの溶融帯域のメルトを保持する必要があるため、誘導加熱コイルからの溶融パワーを増加させることが必須であった。そこで、特許文献4では、原料結晶棒の周囲に保温筒を設けることにより、高周波電力の増加を抑制し、安定的に結晶製造する方法が開示されている。
特公平5−71552号公報 特公平6−51598号公報 特公平6−57630号公報 特開2011−201718号公報
ところが、特許文献4のように誘導加熱コイルでの消費電力を抑えるために原料結晶棒の周囲を完全に覆うように保温筒を設けると(図3参照)、CCDカメラによる撮像エリアと保温筒とが干渉してしまうという問題が生じた。
つまり、保温筒を設置することにより、原料結晶棒の撮影したい部分が保温筒によりさえぎられ、原料結晶棒の結晶直径をカメラにより測定できなくなり、適切な原料下降速度で制御できず、所望の結晶直径の晶出側半導体単結晶棒が得られない場合があった。
この解決策としては、原料結晶棒の撮影したい部分が保温筒によりさえぎられないように、保温筒をCCDカメラの撮像範囲と干渉しない位置に遠ざけることを行ったが(図4参照)、これでは保温筒による原料結晶棒の保温効果が弱まってしまい、結局誘導加熱コイルの高周波電力が増加してしまうという問題点が浮上した。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、半導体単結晶棒の結晶成長中に、原料結晶棒の結晶直径を測定することなく、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を成長させることが可能なFZ法における半導体単結晶棒の製造方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、原料結晶棒を成長炉に収容し、該原料結晶棒の一部分を誘導加熱コイルで溶融して溶融帯域を形成し、前記誘導加熱コイルと、上側の前記原料結晶棒および下側の晶出側単結晶棒とを軸方向で相対的に移動させて前記溶融帯域を軸方向に移動させることで半導体単結晶棒を成長させて製造するFZ法による半導体単結晶棒の製造方法において、前記原料結晶棒を成長炉に収容する前に、あらかじめ前記原料結晶棒の直径値を測定し、前記半導体単結晶を成長させる際、前記原料結晶棒の直径値を測定せず、前記あらかじめ測定された原料結晶棒の直径値に基づいて前記原料結晶棒の移動速度および前記半導体単結晶棒の移動速度のうちいずれか1つ以上を制御することを特徴とする半導体単結晶棒の製造方法を提供する。
このような本発明の製造方法であれば、単結晶棒の結晶成長中に、原料結晶棒の結晶直径を測定できなくとも、あらかじめ測定された原料結晶棒の結晶直径値を利用することにより、適切な原料下降速度での制御が可能となる。その結果、半導体単結晶成長中に原料結晶棒の結晶直径を測定することなく、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を成長させることができる。
また本発明において、前記原料結晶棒の直径値を測定する際、前記原料結晶棒の軸方向の測定位置に対する前記原料結晶棒の直径値を測定することが好ましい。
このように、原料結晶棒の軸方向の測定位置に対する直径値を測定して単結晶棒の製造に利用することにより、表面の凹凸が大きい、といった軸方向で結晶直径が大きく変化している原料結晶棒を用いても、安定して半導体単結晶棒を成長させることができる。
さらに本発明において、前記半導体単結晶を成長させる際、前記誘導加熱コイルの上側にある前記原料結晶棒を保温筒で覆うことが好ましい。
このように、半導体単結晶を成長させる際、誘導加熱コイルの上側にある原料結晶棒の周囲を保温筒で覆うことにより、溶融する原料結晶棒を保温することができるので誘導加熱コイルの高周波電力の消費を抑制でき、かつ、原料結晶棒の結晶直径値はあらかじめ測定されているため、CCDカメラで原料結晶棒の直径値を測定する必要がないのでCCDカメラの撮像範囲と保温筒とが干渉することもなく、原料結晶棒を保温しながら安定的に半導体単結晶を成長させることができる。
以上のように、本発明によれば、半導体単結晶棒の結晶成長中に原料結晶棒の直径値を測定できない場合であっても、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を成長させることが可能なFZ法における半導体単結晶棒の製造方法を提供することができる。これにより、大直径の単結晶を低消費電力で製造することができる。
本発明のFZ法における半導体単結晶棒の製造方法を説明するための工程フローを示す図である。 本発明の実施形態で使用する半導体結晶棒製造装置の概略図である。 半導体結晶棒を育成する際の保温筒の位置を説明するための概略図である。 半導体結晶棒を育成する際の保温筒の位置を説明するための概略図である。
前述したように、従来のFZ法による半導体単結晶棒の製造においては、溶融帯域近傍の原料結晶を保温筒などの遮蔽物で覆うことにより、CCDカメラ等で原料結晶棒の直径を測定することができなくなり、所望の結晶直径の半導体単結晶棒が得られない場合があった。あるいは、原料結晶棒の結晶直径が測定できる位置まで遮蔽物などを誘導加熱コイルから遠ざける必要があり、その保温効果が弱くなってしまうことを見出した。そこで、本発明者らは、あらかじめ原料結晶棒の直径値を測定し、その測定値を利用して、半導体単結晶棒を成長させる製造方法を想到し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず本発明の半導体単結晶棒の製造方法を実施可能な半導体結晶棒製造装置について図2を参照して説明する。
FZ法による半導体単結晶棒の製造装置1は、原料結晶棒2を収容する成長炉3と、原料結晶棒2を溶融して溶融帯域4を形成する熱源となる誘導加熱コイル5とを有する。さらには、晶出側の半導体単結晶棒6の結晶直径などを検出して自動制御する手段を有する。
原料結晶棒2の結晶径Dpや晶出側の半導体結晶棒6の結晶径Ds、溶融帯域4におけるゾーン長Lやネック径Dn等のパラメータに基づいて自動制御が可能な構成となっている。その他、さらにこの例では晶出側の融液肩部の直径Dmについても自動制御を行う構成となっている。
なお、晶出側の融液肩部直径Dmは、融液部4と単結晶6の界面から一定距離はなれた位置における融液直径とすることができる。また、溶融帯域4のゾーン長Lは誘導加熱コイル5の下面と晶出側の単結晶6の界面との距離とすることができる。
そして上記製造装置1の構成についてさらに詳述する。
主に、各パラメータの測定のためのCCDカメラ7や画像処理装置8、得られた測定値から制御機器への制御値を計算するための制御コンピュータ9、制御値に基づき、誘導加熱コイル5に供給する電力を制御するための高周波発振機10、原料結晶棒2や半導体単結晶棒6の移動速度を制御する可変速モーター11、12が挙げられる。
CCDカメラ7は、各パラメータの値を検出するにあたって溶融帯域4およびその周辺部を撮影するためのものであるが、当然これに限定されず、適切な撮像手段を用いることができる。
画像処理装置8は、CCDカメラ7により撮影された映像信号の処理を行い、各パラメータの値を検出するためのものである。
制御コンピュータ9は、内部にあらかじめ設定された半導体単結晶棒2の結晶径Ds、融液肩部の直径Dm、溶融帯域4のゾーン長Lとネック径Dnパターンを格納しているパターン設定器13と、該パターンと測定された各パラメータの検出値を比較する比較器15と、その比較器15での比較演算を基にして、発振機10や可変速モーター11、12等の各制御機器へ送る制御値を計算する調節器16を有する。ここで、測定された各パラメータのデータを演算処理するデータ演算器14を用いる場合もある。
そして、調節器16からの制御値に基づいて、発振機制御回路17で制御された高周波発振機10によって、誘導加熱コイル5へ電力を供給するようになっている。
また、調節器16からの制御値に基づいて、移動速度調整・駆動回路18、19で制御された可変速モーター11、12のそれぞれによって、原料結晶棒2、半導体結晶棒6の移動速度を制御できるようになっている。
ここで、半導体単結晶棒6は、不図示の下軸によって鉛直方向に保持することができ、昇降用可変速モーター12により下軸を移動させることで、下方へ移動速度Vsで育成された半導体単結晶棒6を移動することができる。また、図示されない回転用可変速モーターにより、回転可能である。
一方、原料結晶棒2は、不図示の上軸によって鉛直方向に保持することができ、昇降用可変速モーター11により上軸を移動させることで、下方へ移動速度Vpで原料結晶棒2を移動することができる。また、図示されない回転用可変速モーターにより、回転可能である。
なお、制御コンピュータ9は、図示されていないが、製造装置1の可変速モーター11、12等の各駆動部の速度や回転数、高周波発振機10の出力データ等もあわせて入力され、各駆動部、高周波発振機10の出力状態も同時に監視できる算出機器を有している。これにより、例えば原料結晶棒2や半導体単結晶棒6の長さなどを算出することが可能である。
次に、上記のような半導体単結晶棒の製造装置1を用い、図1を参照しながら本発明における半導体単結晶の製造方法の実施形態について説明する。
まず、原料結晶棒の直径値を測定する(図1の工程(a))。
原料結晶棒2の結晶直径Dpは、FZ結晶製造のために成長炉3にセットする前に、あらかじめ測定される。この際、結晶直径測定方法は特に限定されず、ノギスのような接触式測定器を使用してもよいし、レーザー変位計のような非接触式の測定器を用いてもよい。
原料結晶棒2が、直胴部において例えば円筒研削されているような一定直径の形状であれば直胴部の一点、あるいは数点の測定値の平均値などを用いてもよい。さらには、原料結晶棒2の直胴部において表面に凹凸があるなど、長さ方向で結晶径が変化しているような場合には、原料結晶棒の軸方向の長さにあわせて、その長さ方向の位置情報と共に、原料単結晶棒の直径値を測定することが好ましい。
このように、原料結晶棒の軸方向の測定位置に対する直径値を測定して単結晶棒の製造に利用することにより、表面の凹凸が大きい、といった軸方向で結晶直径が大きく変化している原料結晶棒を用いても、安定して半導体単結晶棒を成長させることができる。
尚、原料結晶棒の直胴部においてその直径を測定することを説明したが、当然、必要であれば原料結晶棒のコーン部やテール部においても軸方向の長さに対する直径を測定しておいてもよく、当業者が適宜測定部分を決定すればよい。
そして、上記あらかじめ測定された原料結晶棒の直径値を図2のパターン設定器13に登録する。この際、原料結晶棒の測定した直径値と合わせて、必要に応じて原料結晶棒の直径値を測定した位置も合わせて登録する。
次に、図1の工程(b)において、原料結晶棒2を上軸(不図示)の原料結晶棒保持治具(不図示)に垂直に保持させることで成長炉3に収容する。
また、種結晶(不図示)を下軸(不図示)のホルダー(不図示)に取り付ける。
図1の工程(c)において、上軸に取り付けた原料結晶棒2の先端を誘導加熱コイル5で溶融した後、下軸に取り付けた種結晶に融着させる。そして融着の際に結晶に生じた転位を抜くために絞り部の形成を行う。
図1の工程(d)において、原料結晶棒を保持している上軸および単結晶棒を支えている下軸を回転させながら原料結晶棒と単結晶棒を所望の移動速度で下降させ、溶融帯域4を原料結晶棒2に対して相対的に移動させながら半導体単結晶棒6を成長させる。この時、絞り部の形成後、所望の直径まで半導体単結晶棒6の直径を徐々に拡大させてコーン部を形成する。
図1の工程(e)において、半導体単結晶のコーン部が所望の直径まで達したその後は所望直径で一定に保ったまま半導体単結晶の直胴部の成長を行う。
この時、工程(a)でパターン設定器13に登録した原料結晶棒の直径値と、原料結晶棒2の移動速度Vpなどから算出される原料結晶棒2の長さ方向の位置情報を基に、原料結晶棒2の結晶直径Dpを算出する。
さらに、画像処理装置8によって得られた半導体単結晶棒の結晶直径Dsあるいは融液肩部直径Dmを用いることにより、適切な原料結晶棒2の移動速度Vpで制御することが可能となり、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を得ることが可能となる。
この際、半導体単結晶棒を所望の形状に成長させることが必要である。つまり、上述のように種結晶の径から所望の直径へ徐々に大きくさせていき、直胴部の結晶直径となったのち、一定直径で結晶成長させる際、原料結晶棒を溶融させる量と、単結晶を結晶成長させる量をコントロールすることが必要である。
そのためここでは、半導体単結晶棒6の結晶径Dsと原料結晶棒2の結晶径Dp、および該半導体単結晶の移動速度Vsと該原料結晶棒の移動速度Vpの関係について詳しく説明する。
FZ法においては、原料結晶棒からのメルト供給量と半導体単結晶の結晶化量が均衡することより、以下の式が示される。
(Ds)×Vs=(Dp)×Vp
つまり、FZ法における半導体単結晶棒の成長においては、所望の結晶直径の単結晶棒を得るために、原料結晶棒の結晶直径Dpを測定し、原料結晶棒の移動速度Vpおよび半導体単結晶の移動速度Vsのいずれか1つ以上を適切に制御することにより、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を得ることができる。例えば、上記関係式において、Vsを一定とし、Vpを速くすれば、単結晶棒の結晶直径は太くなり、逆にVpを遅くすれば、単結晶棒の結晶直径は細くなる。
そして所望の長さの直胴部を得た後は、図1の工程(f)において、原料の供給を止めて半導体単結晶棒6の直径を縮小させ(テール部の成長)、原料結晶棒2から切り離す。
これにより半導体単結晶棒6が製造される。
特許文献4のように、原料結晶棒を成長炉にセットする前にあらかじめ原料結晶棒の直径を測定しない場合、半導体単結晶の直胴部の成長中にCCDカメラ7を用いて溶融帯域4やその周辺の半導体単結晶棒6はもちろん、原料結晶棒の直径値を得るために原料結晶棒2まで撮影する必要があった。そして、撮影によって得られた映像信号を画像処理装置8によって処理し、半導体単結晶棒6の結晶直径Ds、溶融帯域4のネック径Dn、溶融帯域4のゾーン長L、原料結晶棒2の結晶肩部直径Dsや融液肩部直径Dm等のパラメータの値を測定する。
ここで、得られた画像の輝度信号を演算処理することにより、半導体単結晶の直径Dsや原料結晶棒の直径Dp等を測定していたが、当然ながら、CCDカメラ7の撮像範囲に捕らえられるものしか測定できなかった。従って、原料結晶棒が保温筒等により完全に覆われてしまった場合、原料結晶棒をCCDカメラで撮影することができず、原料結晶棒の直径Dpを測定することができなかった。
これに対して、本発明では、半導体単結晶棒6の結晶成長中に、上記原料結晶径Dpをあらかじめ測定された直径値を用いるため、単結晶成長中に原料単結晶の直径Dpを測定する必要がないため、単結晶棒の成長中に原料結晶棒の結晶直径を測定できない場合であっても、適切な原料結晶棒の移動速度で制御が可能となる。その結果、半導体単結晶成長中に原料結晶棒の結晶直径を測定することなく、所望の結晶直径の半導体単結晶棒を成長させることができる。
例えば原料結晶棒の周囲を保温筒のようなもので完全に覆ってしまい、原料結晶棒の結晶直径が測定できなくとも、本発明の方法であれば、原料結晶棒の移動速度Vpを適切に制御することが可能となり、所望の直径の半導体単結晶棒を得ることができる。
そのため、本発明においては、図3のように、保温筒20を原料結晶棒2の周囲を完全に覆うように設置することが好ましい。
このように、半導体単結晶を成長させる際、誘導加熱コイルの上側にある原料結晶棒2の周囲を保温筒20で覆うことにより、溶融する原料結晶棒を保温することができるので誘導加熱コイル5の高周波電力の消費を抑制でき、かつ、原料結晶棒の直径値はあらかじめ測定されているため、CCDカメラで原料結晶棒の直径値を測定する必要がないのでCCDカメラの撮像範囲と保温筒とが干渉することもなく、原料結晶棒を保温しながら安定的に半導体単結晶を製造することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示したFZ法による半導体単結晶の製造装置1を用いて、直径155mmのシリコン単結晶棒を製造する。
まず、原料シリコン結晶棒の結晶直径Dpをあらかじめ、ノギスにて測定した。なお、この原料結晶棒は円筒研削されており、直径の軸方向の変化はほとんど無いため、3箇所(両端、中央)の直径値の平均値を利用した(工程(a))。
次に、原料シリコン結晶棒を成長炉に収容し(工程(b))、図3に示すように誘導加熱コイル5の直上に、保温筒20を設置した。
続いて原料結晶棒2を溶融して種結晶に融着させ、さらにこの種付けの際に結晶に生じた転位を抜くための絞りを行う工程(c)の後、シリコン単結晶を155mmの直径まで拡げながら成長させるコーン部成長工程(d)、シリコン単結晶棒を155mmの一定の直径に制御しつつ成長させていく直胴部成長工程(e)を経ながらシリコン単結晶を成長させた。
この工程(e)において、原料結晶棒の結晶直径を測定せずに、ゾーン長、晶出側の融液肩部の直径、単結晶直径のみをCCDカメラ7で撮像して測定しつつ、シリコン単結晶棒の結晶成長を行った。
このような条件の下、結晶製造を行ったところ、得られたシリコン単結晶棒の結晶直径は、長さ1500mmの全長において、狙い値155mmに対して、±1mmの範囲であった。また、誘導加熱コイル5に接続されてる発振機10の溶融パワーは112kWであった。
(実施例2)
シリコン単結晶製造の際、円筒研削されておらず表面に凹凸のある原料シリコン結晶棒を用い、原料シリコン結晶棒の長さ10mmごとに結晶直径をあらかじめ測定した(工程(a))。測定には、レーザー変位計を用い、それぞれの長さ位置における原料結晶棒の直径を測定した。この得られたデータを、パターン設定器に登録し、原料結晶棒の直径値とした。なお、シリコン単結晶製造中の原料結晶棒の長さ(位置)は、原料下降速度Vpから算出し、求めた。
それ以外は、実施例1と同様にして製造を行った。
その結果、得られた単結晶棒の結晶直径は、長さ1500mmの全長において、狙い値155mmに対して、±1mmの範囲であった。また、誘導加熱コイル5に接続されてる発振機10の溶融パワーは112kWであった。
(比較例1)
実施例1と同様な原料シリコン結晶棒を用い、あらかじめ原料シリコン結晶棒の結晶直径Dpを測定せず、シリコン単結晶の直胴部を育成する際、実施例1とは異なり、原料結晶棒の結晶直径値を、他のパラメータと同様にCCDカメラにて撮像することにより測定した。
それ以外は、実施例1と同様にして製造を行った。
その結果、シリコン単結晶棒の直胴部成長中に、誘導加熱コイル直上の保温筒とCCDカメラの撮像範囲が干渉してしまい、原料シリコン結晶の直径値が測定できなくなり、晶出側のシリコン単結晶棒の結晶直径制御が不能となり、FZ結晶成長を中止させなければならなかった。
(比較例2)
シリコン単結晶製造の際、実施例2と同様な原料シリコン結晶棒を用い、比較例1とは異なり、誘導加熱コイル直上の保温筒20を図4に示すように、CCDカメラの撮像範囲と干渉しないところまで離した。
それ以外は、比較例1と同様にして製造を行った。
その結果、得られたシリコン単結晶棒の結晶直径は、長さ1500mmの全長において、狙い直径155mmに対し、±1mmの範囲であったが、誘導加熱コイルに接続されている発振機の溶融パワーは115kWであった。
ここで、上記実施例1、2と比較例1、2との結果を表1に記す。
Figure 2014166932
上記表1から明らかなように、本発明の方法によれば、実施例1に示すように保温筒を誘導加熱コイル直上に配置しても、所望のシリコン単結晶棒の結晶製造が可能である。さらには、比較例2のようにCCDカメラの撮像範囲を避けるために誘導加熱コイルから保温筒を離した場合に比べて、発振機溶融パワーを低減させることができ、省エネを計ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、本実施形態では半導体結晶棒の直胴部を成長させる際に、あらかじめ測定された原料結晶棒の直胴部における直径値を利用したが、原料結晶棒のコーン部やテール部においても原料結晶棒の軸方向での位置に対する直径値をあらかじめ測定することで、半導体単結晶棒のコーン部やテール部を育成する際に、あらかじめ測定されたコーン部やテール部の原料結晶棒の直径値を利用して、半導体単結晶棒のコーン部やテール部の成長を行うことも可能である。
1…半導体単結晶棒製造装置、 2…原料結晶棒(シリコン結晶棒)、 3…成長炉、
4…溶融帯域、 5…誘導加熱コイル、 6…半導体単結晶棒(シリコン単結晶棒)、
7…CCDカメラ、 8…画像処理装置、 9…制御コンピュータ、
10…高周波発振機、 11、12…可変速モーター、 13…パターン設定器、
14…データ演算器、 15…比較器、 16…調節器、 17…発振機制御回路、
18、19…移動速度調整・駆動回路、 20…保温筒、 Dm…融液肩部の直径、
Dn…ネック径、 Dp…原料結晶棒の直径、 Ds…半導体結晶棒の直径、
L…ゾーン長、 Vs…半導体単結晶の移動速度、 Vp…原料結晶棒の移動速度。

Claims (3)

  1. 原料結晶棒を成長炉に収容し、該原料結晶棒の一部分を誘導加熱コイルで溶融して溶融帯域を形成し、前記誘導加熱コイルと、上側の前記原料結晶棒および下側の晶出側単結晶棒とを軸方向で相対的に移動させて前記溶融帯域を軸方向に移動させることで半導体単結晶棒を成長させて製造するFZ法による半導体単結晶棒の製造方法において、
    前記原料結晶棒を成長炉に収容する前に、あらかじめ前記原料結晶棒の直径値を測定し、
    前記半導体単結晶を成長させる際、前記原料結晶棒の直径値を測定せず、前記あらかじめ測定された原料結晶棒の直径値に基づいて前記原料結晶棒の移動速度および前記半導体単結晶棒の移動速度のうちいずれか1つ以上を制御することを特徴とする半導体単結晶棒の製造方法。
  2. 前記原料結晶棒の直径値を測定する際、前記原料結晶棒の軸方向の測定位置に対する前記原料結晶棒の直径値を測定することを特徴とする請求項1に記載の半導体単結晶棒の製造方法。
  3. 前記半導体単結晶を成長させる際、前記誘導加熱コイルの上側にある前記原料結晶棒を保温筒で覆うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体単結晶棒の製造方法。
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