JP2014159629A - 転炉による溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶銑中のSi濃度の変動があったとしても常に安定した流滓量の確保ができると共に媒溶材の使用量を抑制することができる溶銑予備処理方法を提案することにある。
【解決手段】1つの転炉を用いて脱珪処理と脱燐処理とを行なう溶銑の予備処理方法において、脱珪処理に際し、底吹きガス量を0.06〜0.30Nm/t・minの範囲内に制御しながら、上吹きランスからの酸素ガス流量を溶銑中のSi濃度に応じて制御し、その後、前記上吹きランスからの酸素ガスの供給を中断して生成スラグの少なくとも一部を転炉から排出する中間排滓を行ない、その後、上吹きランスからの精錬用酸素ガスの供給を再開して脱燐処理を行なう転炉による溶銑の予備処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、転炉を用いて脱珪処理と脱燐処理とを、途中の排滓工程を挟んで連続して行なう溶銑の予備処理方法に関する。
近年の溶銑の予備処理(脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理)技術は、進歩が著しく、転炉に装入される溶銑の燐、硫黄の濃度を、それ以上の除去は必要がないレベルにまで低減させることができる。従って、近年の製鋼精錬は、主に脱炭精錬のみを行なうようにしたプロセスになりつつある。なお、脱珪処理及び脱燐処理は、溶銑中の珪素或いは燐が溶銑に供給される酸素源(酸素ガスや酸化鉄)中の酸素によって酸化除去される反応であり、脱硫処理は、CaOなどの脱硫剤と溶銑中の硫黄とが反応して硫黄が除去される反応である。
ところで、高炉から出銑される溶銑は、0.3〜0.4mass%程度の珪素を含有している。その溶銑に酸素源を供給した場合、溶銑中の珪素は、該溶銑中の燐よりも優先的に酸化されることが、熱力学的に知られている。従って、脱燐処理前の溶銑中の珪素濃度が高い場合、つまり、脱燐処理段階においてSiOの含有量が高いと、生成スラグの塩基度を所定の値にするために、CaO含有物質の使用量が多くなるだけでなく、スラグの発生量も多くなり、製造コストの上昇を招く。
そこで、特許文献1では、脱珪処理されていない溶銑を転炉を用いて脱珪処理し、この脱珪処理に引き続いて脱燐処理するときに、前記の問題を解決するために、脱珪処理後に精錬を一旦停止し、脱珪処理時に生成した、SiOを主成分とするスラグを転炉から排出(以下、これを「中間排滓」という)する方法を提案している。このような方法によれば、炉内のスラグ量を減少させることができるので、脱燐処理時に所定の塩基度にするために必要なCaO含有物質の添加量を低減することができるとしている。
一般に、溶銑の脱燐処理を効率的に行なうためにはスラグの塩基度を所定の値に制御することが効果的である。従って、特許文献1のように、脱珪処理、中間排滓、脱燐処理を1つの転炉で連続して行なう場合、脱燐処理で使用するCaO含有物質を低減した上で、脱燐処理におけるスラグの塩基度を所定の値にするためには、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を或る特定の範囲の値とすることが必要になる。
この課題に対して、特許文献2は、溶銑中珪素濃度が0.20mass%以下になった後で、中間排滓を行なう方法を提案している。その理由は、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度が0.20mass%よりも高くなると、スラグの塩基度を2.0程度に調整するために必要なCaO含有物質の使用量が多くなりすぎて、コスト的に不利になるからであるとしている。一方、溶銑中の珪素濃度が0.03mass%より低くなると、脱珪効率が低下するので、溶銑中珪素濃度が0.03mass%以上のときに中間排滓を行なうことが好ましいとしている。
このように、脱珪処理後に中間排滓する場合、脱珪処理の終了時点を正しく判定する必要がある。しかし、脱珪処理時に用いられる酸素ガスは、脱珪反応(Si+2O→SiO)のみに供されるものではなく、溶銑中の炭素とも反応(C+O→CO)する。また、この処理中に添加された鉄鉱石などの固体酸素源は、脱珪反応以外の脱炭反応にも寄与している。従って、脱珪処理時に投入する酸素源の供給量だけから、溶銑中の珪素濃度、とくに脱珪処理の終了時点を推定するのは困難である。
これに対して、特許文献3では、転炉を用いて溶銑を脱珪処理する際に、炉内から排出される排ガスの組成を分析し、排ガス中の窒素ガス濃度が30〜60vol.%の範囲内のときに脱珪処理を終了することで、溶銑の珪素濃度を0.2mass%近傍に制御する方法を提案している。しかしながら、特許文献3に開示の技術は、単に脱珪処理終了時の珪素濃度の制御を行っているだけで、中間排滓時のスラグの流動性については考慮しておらず、スラグの性状によっては転炉の傾動だけでは排滓できない可能性がある。
さらに、特許文献4では、スラグの排滓性に着目して転炉内スラグのフォーミング及び滓化状況を検出する技術を提案している。しかし、この特許文献4は、スラグのフォーミング及び滓化状況を検出方法の提案であって、どのようにすればスラグのフォーミングが抑制されるのか、或いは、どのようにすれば滓化が促進されるかについてまでは言及していない。
特開平10−152714号公報 特開平11−323420号公報 特開2003−277819号公報 特開平5−255726号公報
特許文献1〜4に開示されている従来の溶銑予備処理技術は、それぞれ前述したような特徴を有し、利点と欠点とを抱えているが、特に、溶銑中のSi濃度が大きく変動した場合に、それに追随できないという課題があった。即ち、溶銑中のSi濃度が高いと、中間排滓する際のスラグ中T.Fe濃度が適正な範囲(5〜25mass%)から外れてしまい、スラグ排出量が結果的に少なくなるという問題があった。この点、スラグ排出量が少なくなると、炉内残留スラグが過大となって脱燐処理中に噴出等を招き、操業に悪影響をきたすことが考えられる。
そこで、本発明の目的は、溶銑中のSi濃度の変動があったとしても常に安定したスラグ排出量を確保することができると共に媒溶材の使用量の抑制を果すことができる溶銑の予備処理方法を提案することにある。
前述した従来技術の課題を克服することができる溶銑の予備処理方法について検討を重ねた結果、発明者らは、溶銑中のSi濃度に応じた適正な酸素源を供給することで前記目的を実現できることを見い出し、本発明を開発した。
即ち、本発明は、前チャージの脱燐処理で生成したスラグを排滓せず、上底吹き可能な転炉内に残留させた状態で次チャージの溶銑をその転炉内に装入し、転炉内の溶銑に対して酸素源を供給して脱珪処理すると共に、その脱珪処理終了後に該転炉内に生成するスラグの少なくとも一部を該転炉から排出する中間排滓を行い、その後、該転炉内にCaO系媒溶剤や酸素源を供給して脱燐処理し、その脱燐処理終了後の溶銑を転炉から出湯する、1つの転炉を用いて脱珪処理と脱燐処理とを行なう溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理時に行われる上吹きランスからの酸素ガス流量(VO(Nm/t・min))が脱珪処理前の溶銑中の珪素濃度との関係で、下記式を満足することを特徴とする転炉による溶銑の予備処理方法。

VO≧(溶銑中珪素mass%×1.2+1.00)
また、本発明では、
(1)前記脱珪処理時の酸素ガス流量の調整により、スラグ中のT.Fe濃度を5〜25mass%にすること、
(2)前記脱珪処理時のスラグ中のT.Fe濃度は、まず、上吹きランスからの酸素ガス流量、精錬中の排ガスの組成、排ガスの流量、副原料投入量及び溶銑成分から酸素バランスを逐次計算することにより求められる不明酸素量に基づいてスラグ中のFeO濃度を求め、そして、そのFeO濃度に基づいてスラグ中のT.Fe濃度に換算することによって求めること、
(3)前記不明酸素量は、炉内に供給される酸素量と炉外に排出される酸素量との差分であって、炉内に酸化物として蓄積される酸素量であること、
(4)前記脱珪処理時、転炉底吹き羽口から0.06〜0.30Nm/t・minの底吹きガスを吹き込むこと、
が、より好ましい解決手段になると考えられる。
前記のような構成を有する本発明に係る溶銑の予備処理方法によれば、この脱珪処理時のスラグ中T.Fe濃度を、たとえ溶銑中のSi濃度が大きく変動するような場合であったとしても、適正にコントロールすることができるようになるので、脱珪スラグの中間排滓量の安定化が図れる。そして、このことにより必要以上の媒溶材の使用量を抑制することができ、脱燐処理時の炉内スラグ量が安定するため、転炉による溶銑予備処理操業の安定化が図れる。
転炉設備の一例の略線図である。 溶銑中Si濃度と送酸速度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適実施態様についてその一例を具体的に説明する。例えば、図1は、本発明方法を適用するのに好適な転炉設備の一例である。この図1に示すとおり、溶銑を収容した転炉1の内部には、上方から上吹きランス2が昇降可能に挿入される。そして、この上吹きランス2からは、精錬用酸素ガスを浴面(溶銑16)に向けて吹き付けることができると共に、転炉1の底部に配設した複数の底吹き羽口3からは、Arガスや窒素ガスなどの不活性ガスからなる攪拌用底吹きガスを吹き込むことができ、これらの手段を介して溶銑16とスラグ17との攪拌が行なわれる。
なお、上吹きランス2への酸素ガスは、上吹きランス2への供給前に分岐され、生石灰(CaO)や石灰石(CaCO)、焼成ドロマイト(MgO−CaO)などのCaO含有物質19を収容するディスペンサー18にも分配され、該ディスペンサー18に導入された酸素ガスは、上吹きランス2の酸素ガス供給用主流路に合流する。なお、該ディスペンサー18に収容されたCaO含有物質19は、上記酸素ガスを搬送用ガスとして、上吹きランス2を介して溶銑16に向けて吹き付け添加するように構成されている。即ち、転炉による酸素吹錬の任意の期間に、任意の量のCaO含有物質19を溶銑16に投射しながら酸素吹錬ができるように構成されている。
前記CaO含有物質19は、脱珪処理時には生成するスラグ17の塩基度調整用として用いられ、脱燐処理時には生成する燐酸化物(P)を吸収する脱燐精錬剤として機能するものである。なお、溶銑16の脱珪処理時及び脱燐処理時に炉内からCOガスを含有する排ガスが発生する。
転炉1の本体上方には煙道4が配置されており、この煙道4の後方(下流)には、一次集塵機8、二次集塵機9、排ガス流量計11、誘引送風機12が順次に設置されている。こうした排ガス処理設備は、排ガス中のCOガスを、冷却して除塵し未燃焼のまま回収する非燃焼方式の排ガス処理設備を備えている。この排ガス回収設備では、誘引送風幾12の下流側に、さらに、図示しない三方弁や煙突、回収弁、ガスホルダーなどが配置される。前記二次集塵機9として設置したPAベンチュリーには、PAダンパー10が設置されており、PAダンパー10の開度調整により転炉本体1の炉内圧が制御される。つまり、脱珪処理時及び脱燐処理時に、転炉1の内部で発生した排ガスは、PAダンパー10によって流量制御されながら、電動機(図示せず)によって駆動される誘引送風機12によって吸引され、ガスホルダーに回収される。排ガス中のCOガス濃度が低い場合には、ガスホルダーで回収せず、煙突先端部で燃焼された後に大気に放出される。
煙道4と転炉炉口との接続部には、上下動可能なスカート5が配置されており、とくに排ガスを回収する場合、スカート5と転炉炉口とは原則的には密着した状態になる。また、煙道4には、CaO含有物質19としての生石灰や焼成ドロマイトの他は、鉄鉱石やミルスケール、マンガン鉱石、コークス、黒鉛及び合金鉄(Fe−Mn、Fe−Siなど)などの副原料を炉内に投入添加するための、炉上ホッパー6及び投入シュート7などからなる副原料投入装置が設置されている。この副原料投入装置から炉内に投入される生石灰や焼成ドロマイト、鉄鉱石、ミルスケールなどによってスラグ17が形成される。
前記煙道4には、脱珪処理及び脱燐処理によって転炉1の内部で発生する排ガスを採取するためのガス採取プローブ13が配設されており、このガス採取プローブ13で採取された排ガスはガス分析装置14に送られ、ガス分析装置14に、排ガス中のCOガス濃度、COガス濃度、水素ガス濃度及び酸素ガス濃度が測定される。これらの合計値と100mass%との差分が窒素ガスとして求められる。この場合において、底吹き羽口3から攪拌用底吹きガスとしてArガスを吹き込むときには、さらにArガス濃度を差し引いて窒素ガス濃度が求められる。
そして、測定された排ガス組成は演算装置15に送信される。この演算装置15には、上吹きランス2から炉内に供給される酸素ガスの流量、副原料投入装置によって投入される副原料の投入量、及び、排ガス流量計11で測定される排ガスの流量が送信される。
この演算装置15は、脱珪処理中の酸素バランスを逐次計算し、計算した酸素バランスから求められる不明酸素量に基づいて、炉内のスラグ17のFeO濃度を推定し、推定したFeO濃度の推移を表示する装置である。
ところで、発明者らの知見によると、適当なスラグフォーミングを生じさせて中間排滓時の排滓性を良好に維持することができるスラグ中T.Fe濃度というのは、スラグ中のT.Fe濃度にして5mass%以上にすることである。そして、このようなT.Fe濃度にするための脱珪吹錬送酸速度、即ち、上吹きランス2からの酸素ガス流量は、溶銑中の珪素濃度に応じて変化させることが必要である。そして、脱珪処理前の溶銑中の珪素濃度(Simass%)と脱Si吹錬送酸速度(Nm/t・min)との関係は、図2に示すように、図中において、y=1.20X+1.00の関係であることがわかる。
なお、図2に示す結果が得られた転炉による溶銑の予備処理方法において、このときの脱珪処理及び脱燐処理の条件を表1に、また、これらの試験操業における溶銑の化学成分の変化(平均値)を表2に示す。
Figure 2014159629
Figure 2014159629
このように、脱珪処理終了時の脱珪スラグの中間排滓を安定的に行い、以後の脱燐処理を円滑に行って媒溶材の使用量を抑制するには、図2に示す前記の関係から、上吹きランスからの酸素ガス流量VO(Nm/t・min)が、下記式(1);
VO≧(溶銑珪素mass%×1.2+1.00) −(1)
の関係を満足する条件での酸素吹錬が有効であるがわかる。
上述したように、T.Fe濃度を高くすると、適当なスラグフォーミングが生じて排滓性が良好となる。その理由は、スラグ中に所定量(5mass%以上)のT.Feが生成することにより、脱珪反応に合わせて脱炭反応が起こり、COガスを発生してスラグフォーミングが生じるからであり、このことがスラグの排出を促すのである。なお、スラグフォーミングの高さは、生成するCO気泡径に依存しCO気泡径が小さい程、急速に高くなる(特に、CO気泡径が2mm以下で顕著である。)。
この点、(T.Fe)<5mass%だと、スラグとメタルとの界面から発生するCO気泡径が大きく、この場合、スラグとメタルの濡れ性が悪く(スラグとメタルの接触角が小)CO気泡のスラグ−メタル界面からの離脱が抑えられることにより、スラグフォーミングが不十分になる。その結果、転炉を傾動することによりスラグを排出しようとするときの駆動力が小さくなって、十分な排出が困難になるのである。一方、(T.Fe)≧25mass%の場合、排滓中のCO気泡発生が急激に進行して突沸現象が生じるため、スラグ排出作業を中断するなどの問題が生じる。
以上のことから、脱珪終了時、即ち、排滓工程におけるスラグ中のT.Fe濃度の適正範囲は、(T.Fe)=5〜25mass%とすることが好ましく、このT.Fe濃度にするために、溶銑中の珪素濃度に応じて、前記脱珪吹錬送酸速度(VO)を制御すればよいことがわかる。
なお、本発明において、中間排滓時の排滓性を向上させるために行う、前述の上吹きランスからの酸素ガス流量(VO)に加えて、底吹きガスを0.06〜0.30Nm/t・min程度、吹き込むことが好ましい。その理由は、底吹きガス流量が0.06Nm/t・min未満は前記上吹き酸素ガス流量が前述の範囲であっても、攪拌不足によって冷鉄源の未溶解が発生する。一方、0.30Nm/t・min超では、攪拌力が大きくなりすぎて、溶銑中の炭素(C)の移動が必要以上に大きくなり、T.Feの生成が起こらなくなる。即ち、酸素との反応サイトにCが増大してCO化反応が優先して溶銑中のFeと酸素との反応が抑制されてしまうからである。
以下、脱珪処理時に発生するスラグ中のT.Fe濃度を制御する方法および、そのためのFeO濃度を算出する方法について説明する。以下に、まず前記演算装置15によって、スラグ17のFeO濃度を推定する方法について説明する。
前記演算装置15では、まず、下記式(2)を用いて精錬中にオンラインで不明酸素量を逐次に算出する。但し、この式(2)において、△WOは、酸素吹錬開始時から時刻ti(秒)までの不明酸素量(Nm/溶銑t)、Aは、上吹きランス2からの酸素ガス流量(Nm/溶銑t)、Bは、投入副原料中の酸素ガス流量(Nm/溶銑t)、Cは、転炉炉口での巻き込み空気中の酸素ガス流量(Nm/溶銑t)、Dは、排ガス中のCOガス流量(Nm/溶銑t)、Eは、排ガス中のCOガス流量(Nm/溶銑t)、Fは、溶銑成分、具体的には溶銑中の珪素、マンガン、燐の酸化に消費される酸素ガス流量(Nm/溶銑t)、Gは排ガス中の酸素ガス流量(Nm/溶銑t)、tは時刻(秒)であり、時刻の添え字iは、吹錬開始時からi番目の計算であることを示している。ここで、不明酸素量(△WO)とは、炉内に供給される酸素量と炉外に排出される酸素量との差分であって、炉内に酸化物として蓄積される酸素量を意味する。

Figure 2014159629
なお、溶銑成分(Si、Mn、P)の変化は、予め脱珪処理中に求めた実績値に基づいて作成したモデル式を利用することができる。たとえば、化学分析により求めた脱珪処理前の溶銑16の化学組成を初期値とし、脱珪処理中のSi、Mn、Pの濃度推移を実績値に基づいて設定する。また、投入副原料中の酸素ガス流量(B)は、酸化鉄形態の副原料によって炉内に供給される酸素を酸素ガスに換算したものであり、例えば、酸化鉄形態の副原料が鉄鉱石の焼結鉱の場合には、「B(Nm/溶銑t)=焼結鉱投入量(kg/溶銑t)×0.15」、鉄鉱石の場合には、「B(Nm/溶銑t)=鉄鉱石投入量(kg/溶銑t)×0.20」で求めることができる。つまり、酸素ガス流量(B)は、酸化鉄形態の副原料中の酸素含有量とその添加量とから求めることができる。また、巻き込み空気中の酸素ガス流量(C)は、排ガス中の窒素ガス濃度から求めることができる。つまり、攪拌用底吹きガスが窒素ガスでない場合には、酸素ガス流量(C)は排ガス中の窒素ガス流量(Nm/溶銑t)の1/4とすればよく、攪拌用底吹きガスが窒素ガスの場合には、排ガス中の窒素ガス流量から攪拌用窒素ガス流量を差し引いた値を巻き込み空気中の窒素ガス流量とし、この窒素ガス流量から酸素ガス流量(C)を求めればよい。
次いで、演算装置15は、上記のようにして求めた不明酸素量(△WO)に基づき、下記の式(3)を用いて、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに炉内で生成したFeO量を推定する。
Figure 2014159629
ただし、式(3)において、FeOは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに炉内で生成したFeO量(kg/溶銑t)である。なお、式(3)では、「不明酸素量(△WO)は、全てFeOの生成に使用される」という考え方で導き出したものである。
一方、精錬中のスラグ17の質量は、下記の式(4)から求められる。但し、式(4)において、WSiは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点での炉内のスラグ量(kg/溶銑t)、T.CaOは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のCaO量(kg/溶銑t)、T.SiO2iは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のSiO量(kg/溶銑t)と、溶銑中の珪素の酸化により生じるSiO量(kg/溶銑t)との合計値、T.MgOは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のMgO量(kg/溶銑t)、T.A13iは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のA1量(kg/溶銑t)、T.MnOは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のMnO量(kg/溶銑t)と、溶銑中マンガンの酸化により生じるMnO量(kg/溶銑t)との合計値、T.P5iは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに投入された副原料中のP量(kg/溶銑t)と、溶銑中の燐の酸化により生じるP量(kg/溶銑t)との合計値である。
Figure 2014159629
なお、T.SiO2iを計算するにあたり、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点までに、溶銑中の珪素の酸化により生じるSiO量(k
g/溶銑t)に関しては、下記の式(5)によって算出する。但し、式(5)において、kSiO2は、個々の転炉設備で決定される反応速度定数、InputOは、上吹き酸素量(Nm/溶銑t)である。
Figure 2014159629
演算装置15は、式(3)から求められるFeOと式(4)から求められるWSiとから、下記の式(6)を用いて、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点でのスラグ17のFeO濃度を算出する。但し、式(6)において、(mass%FeO)iは、酸素吹錬開始時からti時間経過した時点でのスラグ17のFeO濃度(mass%)である。即ち、演算装置15は、入力された、上吹きランス2からの酸素ガス流量、精錬中の排ガスの組成、排ガスの流量、副原料投入量及び溶銑成分(Si、Mn、P)から、酸素バランスを逐次計算して不明酸素量(△WO)を求め、求めた不明酸素量(△WO)に基づいて炉内のスラグ17のFeO濃度を推定し、推定した値をその都度表示することで、推定したFeO濃度の推移を表示する。
Figure 2014159629
演算装置15によるスラグ中FeO濃度の推定値の精度を確認するべく、脱珪処理中及び脱珪処理終了後にスラグ17を採取し、採取したスラグ17の化学分析値と、演算装置15によるFeO濃度の推定値とを比較した結果、両者は±5%以内の精度で一致した。
次に、本発明では、前述のようにして求めた演算装置15によって算出されたスラグ中のFeO濃度に基づいて、さらに脱珪処理時のスラグ中のT.Fe濃度(mass%)を換算して求め、そのT.Fe濃度が5〜25mass%となるように、前記上吹きランスからの酸素ガス流量(VO)を、溶銑中珪素濃度に応じて制御する。この制御時に、該上吹きランスからの酸素ガス流量VOと共に、該上吹きランスから湯面までの高さを1800mm〜2700mmの範囲内で併せて調整することが好ましい。
なお、演算装置15によって求められたFeO濃度に基づくスラグ中のT.Fe濃度の算出のための計算は、当該演算装置15によって行う。そのFeO濃度からT.Feへの換算は下記式(7)に基づいて計算する。
Figure 2014159629
また、中間排滓の実施時期がばらつくと、脱珪処理及び脱燐処理の時間のばらつきを招くので、生産性向上の観点から、脱珪処理開始時から一定の時間経過した時点で中間排滓することが好ましい。具体的には、脱珪処理開始時から望ましくは7分間経過した時点、或いは、少なくとも9分間経過した時点には中間排滓することが好ましい。
この実施例は、図1に示す転炉設備を用いて種々の条件で、溶銑の予備処理を行なった例を説明するものである。この処理において、脱珪処理に関しては、酸素源として、上吹きランス2から酸素ガスを供給すると共に、副原料投入装置から酸化鉄(鉄鉱石)を供給し、そして、脱珪処理中のスラグ17の塩基度(=(mass%CaO)/(mass%SiO))を調整した。なお、この脱珪処理時におけるスラグ中のFeO濃度は上記式(6)により算出した。また、脱珪処理終了後の中間排滓は、転炉1をほぼ水平となるまで傾動させて炉口よりスラグ17を炉外に排出した。次に、脱燐処理に関しては、酸素源として、上吹きランス2から酸素ガスを供給すると共に、副原料投入装置からは酸化鉄(鉄鉱石)を供給し、かつ該上吹きランス2から粒径1mm以下のCaO含有物質19を供給するか、副原料投入装置から石灰石を上置き供給する方法で行なった。
上記脱珪処理および脱燐処理の操業条件を前掲の表1に、また、実施例(発明例1〜10、比較例1〜5)における溶銑の化学成分の変化(平均値)を前掲の表2に示す。また、表3には、これらの実施例の排滓性を評価した結果を示す。表中の排滓性の評価基準は、◎、○印は排滓性が良好であることを示し、そのうち◎印は排滓率が70〜100%、○印は排滓率が40〜70%未満である。また、×印は排滓不良の例であり、この場合の排滓率は40%未満を示す。この排滓率は、中間排滓での発生スラグに対する排滓量の比率である。
Figure 2014159629
表3に示す結果からわかるように、発明例1〜8は、T.Fe濃度が11.6〜22.7mass%で、適当なスラグフォーミングが生じて排滓性は70%以上と良好であった。但し、発明例1、2は、T.Feの生成は良好であるが、底吹き流量が0.06Nm/t・min未満で攪拌力が不足し、冷鉄源の溶解が十分でない。これに対し、底吹き流量が0.060Nm/t・min超から0.300Nm/t・minの範囲である発明例3〜8は、攪拌力も十分であり、冷鉄源の溶解も十分である。また、発明例9、10は、底吹き流量が0.30Nm/t・min超であり、攪拌力が大きくなりすぎて、溶銑中の炭素(C)の移動が必要以上に大きくなり、T.Feの生成が少なくなって排滓率も40〜70%未満となって発明例1〜8に比べて幾分劣っている。また、発明例11〜12は、底吹ガス流量が少ないか逆に多い場合でかつ計算FeO濃度に応じて送酸量を調整しなかった場合であり、発明例1〜8に比べると排滓性がやや劣る。これに対し、比較例1〜5は、送酸量が本発明の上記式値(VO)以下であり、排滓性が悪い。
本発明に係る溶銑の予備処理技術は、転炉の脱炭精錬にあわせて実施されることから、転炉製鋼方法として有効である。
1 転炉
2 上吹きランス
3 底吹き羽口
4 煙道
5 スカート
6 炉上ホッパー
7 投入シュート
8 一次集塵機
9 二次集塵機
10 PAダンパー
11 排ガス流量計
12 誘引送風機
13 ガス採取プローブ
14 ガス分析装置
15 演算装置
16 溶銑
17 スラグ
18 ディスペンサー
19 CaO含有物質

Claims (5)

  1. 前チャージの脱燐処理で生成したスラグを排滓せず、上底吹き可能な転炉内に残留させた状態で次チャージの溶銑をその転炉内に装入し、転炉内の溶銑に対して酸素源を供給して脱珪処理すると共に、その脱珪処理終了後に該転炉内に生成するスラグの少なくとも一部を該転炉から排出する中間排滓を行い、その後、該転炉内にCaO系媒溶剤や酸素源を供給して脱燐処理し、その脱燐処理終了後の溶銑を転炉から出湯する、1つの転炉を用いて脱珪処理と脱燐処理とを行なう溶銑の予備処理方法において、前記脱珪処理時に行われる上吹きランスからの酸素ガス流量(VO(Nm/t・min))が脱珪処理前の溶銑中の珪素濃度との関係で、下記式を満足することを特徴とする転炉による溶銑の予備処理方法。

    VO≧(溶銑中珪素mass%×1.2+1.00)
  2. 前記脱珪処理時の酸素ガス流量の調整により、スラグ中のT.Fe濃度を5〜25mass%にすることを特徴とする請求項1に記載の転炉による溶銑の予備処理方法。
  3. 前記脱珪処理時のスラグ中のT.Fe濃度は、まず、上吹きランスからの酸素ガス流量、精錬中の排ガスの組成、排ガスの流量、副原料投入量及び溶銑成分から酸素バランスを逐次計算することにより求められる不明酸素量に基づいてスラグ中のFeO濃度を求め、そして、そのFeO濃度に基づいてスラグ中のT.Fe濃度に換算することによって求めることを特徴とする請求項1または2に記載の転炉による溶銑の予備処理方法。
  4. 前記不明酸素量とは、炉内に供給される酸素量と炉外に排出される酸素量との差分であって、炉内に酸化物として蓄積される酸素量であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の転炉による溶銑の予備処理方法。
  5. 前記脱珪処理時、転炉底吹き羽口から0.06〜0.30Nm/t・minの底吹きガスを吹き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の転炉による溶銑の予備処理方法。
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