JP2014158460A - 容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入り飲料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る容器入り飲料は、梅果汁を含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス値/前記酸度で6〜16.5であることを特徴とする。本発明に係る容器入り飲料の製造方法は、原料を混合する混合タンクに梅果汁を添加する添加工程S1と、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5となるように、前記梅果汁の量、前記総クエン酸量及び前記総ナトリウム量を調節する調節工程S2と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法に関する。
本発明の属する技術分野の背景技術として、特許文献1がある。この公報には、ペットボトルなどの容器に充填され、清涼飲料水化される緑茶やウーロン茶など、一般的にお茶と称される茶飲料であって、それらの茶飲料が充填されるペットボトルなどの容器内に、梅干しに加工された梅の果実を、丸ごと同時に封入することによって、茶飲料に梅干しの風味を、直接添加することを特徴とした、梅干し入り茶飲料が開示されている。
特開2003−310159号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている発明には、原料に梅干しを使用しなければ梅干しの風味が感じられない(つまり、梅干感を有しない)という問題がある。また、梅干しは、伝統的な製法によれば、生梅を塩漬けした後に天日干し、本漬けして製造されるものであるが、このような製造には時間とコストがかかる。また、梅干しを飲料に入れると飲料中の塩素イオン濃度が上昇し、金属が腐食し易くなるため金属製の容器を使用することができない。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明は、以下の構成を有する。
(1)梅果汁を含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5であることを特徴とする容器入り飲料。
(2)梅果汁を含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で8〜16.5であることを特徴とする容器入り飲料。
(3)原料を混合する混合タンクに梅果汁を添加する添加工程と、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5となるように、前記梅果汁の量、前記総クエン酸量及び前記総ナトリウム量を調節する調節工程と、を含むことを特徴とする容器入り飲料の製造方法。
(4)梅果汁とアルコールを含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5であることを特徴とする容器入りアルコール飲料。
(5)梅果汁とアルコールを含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で8〜16.5であることを特徴とする容器入りアルコール飲料。
(6)原料を混合する混合タンクに梅果汁を添加する添加工程と、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5となるように、前記梅果汁の量、前記総クエン酸量及び前記総ナトリウム量を調節する調節工程と、を含み、前記添加工程の前、前記添加工程中、前記調節工程中、及び前記調節工程の後のうちの少なくとも1つの段階でアルコールを添加することを特徴とする容器入りアルコール飲料の製造方法。
(7)梅果汁を含有する容器入り飲料又は梅果汁を含有する容器入りアルコール飲料に風味を付与する風味付与方法であって、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比を、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5とすることを特徴とする風味付与方法。
本発明によれば、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る容器入り飲料の製造方法を説明するフローチャートである。
以下、本発明に係る容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。
(容器入り飲料)
本実施形態に係る容器入り飲料は、梅果汁を含有し、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、エキス分/酸度で6〜16.5としている。
本実施形態に係る容器入り飲料は、非アルコール飲料である。非アルコール飲料とは、アルコール濃度が1容量/容量%(「v/v%」や、一般的には単に「%」とも表される。)未満のものをいう。この非アルコール飲料には、アルコールが全く含まれていない、アルコール濃度が0.00%である飲料(完全無アルコール飲料などとも呼ばれている。)も含まれる。なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
梅果汁は、梅果実から得られたものであれば好適に使用することができる。梅果汁は、例えば、ストレート梅果汁、濃縮梅果汁、濃縮還元梅果汁及び梅エキスのうちの少なくとも一種の形態で使用することができる。
ストレート梅果汁とは、梅果実を洗浄し、加熱処理し、搾汁することによって得た果汁をいう。
濃縮梅果汁とは、梅果実を洗浄し、加熱処理し、搾汁し、遠心分離し、濃縮することによって得た梅果汁をいう。
濃縮還元梅果汁とは、濃縮梅果汁に対し、計算上、ストレート梅果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。
梅エキスとは、梅果汁を加熱濃縮処理することによって得たものをいう。
なお、梅果汁の果汁率(梅果汁添加率)は、ストレート換算で、例えば、0.5〜50%とすることができる。
総クエン酸とは、製品である容器入り飲料中に含有されている全てのクエン酸をいう。つまり、前記した梅果汁に含まれていたクエン酸と、後記する総ナトリウム量と所定の比率範囲となるように、必要に応じて添加されたクエン酸の合計をいう。クエン酸を含有させることにより、容器入り飲料中に酸味が付与される。
梅果汁に含まれていたクエン酸や必要に応じて添加されたクエン酸としては、示性式がH3(C657)で示される一般的なクエン酸のほか、クエン酸塩が挙げられる。なお、クエン酸塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウムなどが挙げられる。
クエン酸ナトリウムとしては、例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素ナトリウムなどが挙げられる。クエン酸カリウムとしては、例えば、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素カリウムなどが挙げられる。クエン酸カルシウムとしては、例えば、クエン酸一カルシウム、クエン酸二カルシウム、クエン酸三カルシウム、クエン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
なお、総クエン酸としては、前記以外にもクエン酸マグネシウム、クエン酸レシチン、クエン酸三アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄(III)、クエン酸イソプロピル、クエン酸ステアリル、クエン酸トリエチルなども含まれ得る。
そして、総ナトリウムとは、製品である容器入り飲料中に含有されている全てのナトリウムをいう。つまり、前記した梅果汁に含まれていたナトリウムと、前記した総クエン酸量と所定の比率範囲となるように、必要に応じて添加されたナトリウムの合計をいう。ナトリウムは飲料中において乖離した状態、つまりナトリウムイオンとして存在する。そのため、ナトリウムを含有させることにより、容器入り飲料中に塩味が付与される。
梅果汁に含まれていたナトリウムとしては、梅果汁に含まれていた各種物質のナトリウム塩に由来するものが挙げられる。例えば、梅果汁に含まれていたクエン酸ナトリウムから乖離したナトリウムが挙げられる。また、必要に応じて添加されたナトリウムとしては、添加された各種物質のナトリウム塩から乖離したナトリウムが挙げられる。なお、添加された各種物質のナトリウム塩としては、例えば、塩化ナトリウムやリンゴ酸二ナトリウム、コハク酸ナトリウムなどが挙げられ、クエン酸ナトリウムを添加した場合は、当該添加したクエン酸ナトリウムが挙げられる。
総クエン酸の量(総クエン酸量)は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。総ナトリウムの量(総ナトリウム量)は、例えば、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
本実施形態においては、前記した測定方法によって測定される総クエン酸量と総ナトリウム量を次のように調整する。
つまり、製品である容器入り飲料中に含まれる総クエン酸量と総ナトリウム量を単位体積当たりの総クエン酸量(例えば、ミリグラム毎100ミリリットル(mg/100mL))と単位体積当たりの総ナトリウム量(mg/100mL)の比が、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22となるようにする。
当該比が6.5〜22の範囲内にあれば、容器入り飲料に梅干感を付与することができる。一方、当該比が22を超えると、梅果汁そのものの味わいが強く、梅酢のような印象となり、梅干感を得ることができない。これに対し、当該比が6.5未満であると、塩味が強く厚みがあるため、マイルドな味となり、梅干感を得ることができない。なお、当該比は、7.0〜16とするのが好ましく、7.5〜15とするのがより好ましく、10〜14とするのがさらに好ましい。
また、本実施形態におけるエキス分とは、糖分(炭水化物)、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分などからなる不揮発性固形分をいう。エキス分を構成するこれらの成分は、梅果汁由来のほか、種々添加される添加剤(添加剤については後記する。)由来のものも含まれる。
かかるエキス分は、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出した値、すなわち、温度15℃において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数(g/100cm3)とするのがよい。
酸度とは、製品である飲料に含まれる酸の質量パーセント濃度であり、酸味を示す指標となる。なお、製品である飲料に含まれる酸であるので、当該酸は梅果汁由来のものは当然のこと、添加剤として酸味料等を添加したときには、当該酸味料等由来の酸もこれに含まれる。酸度は、飲料100mL中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(g/100mLクエン酸換算)で表すことができる。酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
本実施形態では、製品である容器入り飲料中に含まれるエキス分と酸度の比が、エキス分/酸度で6〜16.5の範囲内にあれば、容器入り飲料に梅干感を付与することができる。一方、当該比が6未満であると、酸味と甘味のバランスが悪く、梅干感を得ることができない。また、酸味が強すぎるため飲み難くなってしまう。これに対し、当該比が16.5を超えると、甘味により酸味が強くマスキングされマイルドな香味となり、梅干感が弱くなってしまう。なお、当該比は、8〜16.5とするのが好ましく、8〜13とするのがより好ましく、9〜11とするのが更に好ましい。
また、本実施形態に係る容器入り飲料においては、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される着色料、酸味料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料など(以下、単に添加剤という。)を添加することもできる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸などを用いることができる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース、フルクトースなどの単糖類、ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)などの二糖類やオリゴ糖類、グリコーゲンやデンプンなどの多糖類を用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。
前記した梅果汁や添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係る容器入り飲料は、非発泡性であってもよいし、発泡性であってもよい。ここで、本発明における非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)以上であることをいう。なお、発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.235MPa(2.4kg/cm2)程度とするのが好ましい。これよりもガス圧が高くなると炭酸の刺激が強くなり過ぎてしまうので好ましくない。
容器は、密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。 なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
以上に説明した構成とすれば、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入り飲料とすることができる。
(容器入りアルコール飲料)
本実施形態に係る容器入りアルコール飲料は、アルコールを含有している点で前記した容器入り飲料と異なるが、その他の構成要素については、容器入り飲料と全く同様である。そのため、以下の説明では、これらの間で同様となる構成要素については説明が重複するので省略し、異なる構成要素について説明する。
本実施形態に係る容器入りアルコール飲料に含有させることのできるアルコールは、飲用アルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されない。例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、スピリッツ、原料用アルコールなどを1種又は複数組み合わせて含有させることができる。
本実施形態に係る容器入りアルコール飲料のアルコール度数は1〜8%であるのが好ましく、例えば、5%などとすることもできる。なお、アルコール度数はこの範囲に限定されるものではなく、8%超とすることもできる。
以上に説明した構成とすれば、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入りアルコール飲料とすることができる。
(容器入り飲料の製造方法)
図1に示すように、本実施形態に係る容器入り飲料の製造方法は、添加工程S1と、調節工程S2と、を含んでいる。
添加工程S1は、原料を混合する混合タンクに前記した梅果汁を添加する工程である。
梅果汁には、前記したようにクエン酸やナトリウム、エキス分などが含有されているので、後工程である調節工程S2で単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比(総クエン酸量/総ナトリウム量)や、エキス分と酸度の比をそれぞれ所定の範囲に調節するため、混合タンク中の各成分の含有量等を添加工程S1と調節工程S2の間に測定するのが好ましい。このようにすると、総クエン酸量/総ナトリウム量や、エキス分/酸度を正確に調節することができ、製品管理上好ましい。なお、梅果汁の納入元がこれに含有されているエキス分、すなわち、糖分(炭水化物)、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分などからなる不揮発性固形分の含有量を開示している場合には、その含有量を元に後記する調節工程S2での調節を行うこともできる。このようにすると、作業を省力化できることから、生産性の向上及びコストダウンを図ることができる。
次いで行う調節工程S2は、単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、エキス分/酸度で6〜16.5となるように、総クエン酸量、総ナトリウム量及びエキス分の量を調節する工程である。
測定した又は梅果汁の納入元が開示している梅果汁中のクエン酸、ナトリウム、及びエキス分の含有量が、本工程で規定する各要件を満たすよう、これらの含有量が不足している場合は不足分を補うべく、適宜、クエン酸、ナトリウム、及びエキス分を添加し、これらの含有量が過剰な場合は希釈するなどして調節する。
なお、添加工程S1及び/又は調節工程S2において、必要に応じて前記した添加剤を添加することもできる。これらの工程では、添加した各成分がよく混ざるよう、攪拌機などにより攪拌しながら混合するのが好ましい。
調節工程S2を行った後は、常法により処理することができる。例えば、調節工程S2を行った原料液をろ過するろ過工程と、ろ過工程でろ過したろ過液を殺菌する殺菌工程と、殺菌工程で殺菌した殺菌済みのろ過液をビンや缶、ペットボトルなどの容器に充填する充填工程と、を行う(いずれも図示せず)。なお、ろ過工程は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。充填工程は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
また、発泡性の容器入り飲料とする場合は、例えば、殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
このようにすると、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入り飲料を製造することができる。
(容器入りアルコール飲料の製造方法)
本実施形態に係る容器入りアルコール飲料の製造方法は、アルコールを含有している点で前記した容器入り飲料の製造方法と異なるが、その他の構成要素については、容器入り飲料の製造方法と全く同様である。そのため、以下の説明では、これらの間で同様となる構成要素については説明が重複するので省略し、異なる構成要素について説明する。
容器入りアルコール飲料とするためのアルコールの添加は、添加工程S1の前、添加工程S1中、添加工程S1と調節工程S2の間、調節工程S2中、及び調節工程S2の後のうちの少なくとも1つの段階で行うのが好ましい。なお、調節工程S2の後にアルコールを含有させる場合は、殺菌工程の前に行うのが好ましい。このようにすると、容器入りアルコール飲料に対する殺菌効果をより確実に得ることができる。
このようにすると、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有することのできる容器入りアルコール飲料を製造することができる。
(風味付与方法)
本実施形態に係る風味付与方法は、梅果汁を含有する容器入り飲料や梅果汁を含有する容器入りアルコール飲料の単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比を、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5とすることによって、これらの飲料に対して梅干しを使用しないでも梅干感を付与することができる。
単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比を、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22の範囲内とすることによって、容器入り飲料や梅果汁を含有する容器入りアルコール飲料に梅干感を付与することができる。一方、当該比が22を超えると、梅果汁そのものの味わいが強く、梅酢のような印象となり、梅干感を得ることができない。これに対し、当該比が6.5未満であると、塩味が強く厚みがあるため、マイルドな味となり、梅干感を得ることができない。なお、当該比は、7.0〜16とするのが好ましく、7.5〜15とするのがより好ましく、10〜14とするのがさらに好ましい。
エキス分と酸度の比を、エキス分/酸度で6〜16.5の範囲内とすることによって、容器入り飲料や梅果汁を含有する容器入りアルコール飲料に梅干感を付与することができる。一方、当該比が6未満であると、酸味と甘味のバランスが悪く、梅干感を得ることができない。また、酸味が強すぎるため飲み難くなってしまう。これに対し、当該比が16.5を超えると、甘味により酸味が強くマスキングされマイルドな香味となり、梅干感が弱くなってしまう。なお、当該比は、8〜16.5とするのが好ましく、8〜13とするのがより好ましく、9〜11とするのが更に好ましい。
以上に説明したように、本実施形態に係る容器入り飲料、容器入り飲料の製造方法、容器入りアルコール飲料、容器入りアルコール飲料の製造方法及び風味付与方法によれば、梅干しを使用していないにも関わらず、容器入り飲料や容器入りアルコール飲料に梅干感を付与することができる。そのため、梅干しを製造する必要がなくなることから、時間とコストを削減することができる。また、梅干しを飲料に入れなくてもよくなるため、飲料中の塩素イオン濃度が上昇して金属を腐食するおそれもない。つまり、従来は行うことができなかった、梅干感が付与された飲料を金属製の缶容器に入れてユーザに提供することが可能となる。
次に、本発明の所望の効果を奏する実施例と、そうでない比較例とにより、本発明の内容について具体的に説明する。
梅果汁として5倍に濃縮した梅果汁を用い、これをストレート換算で、表1のNo.1〜21に示す梅果汁添加率(%)となるように添加した。なお、この梅果汁の単位体積当たりの総クエン酸量(mg/100mL)と、単位体積当たりの総ナトリウム(Na)量(mg/100mL)と、エキス分(g/100cm3)と、酸度(g/100mLクエン酸換算)と、を予め下記手法により測定しておいた。そして、測定された単位体積当たりの総クエン酸量及び単位体積当たりの総Na量をもとに、表1に示す総クエン酸量/総Na量となるようにクエン酸(結晶)、クエン酸三ナトリウム、塩化ナトリウム、及び果糖ぶどう糖液糖を適宜添加して所定の容量になるように水でメスアップし、アルミ製缶に容器詰めすることで、No.1〜21に係るサンプルを製造した。なお、No.16に係るサンプルは、アルコール濃度が5%となるように原料用アルコールを添加した。
梅果汁の単位体積当たりの総クエン酸量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(測定機器:島津製作所社有機酸分析システム)を用いて測定した。
<条件>
カラム :RSpak KC811(昭光通商株式会社製)。試料によっては2本直列に接続して使用した。また、必要に応じて対応するガードカラム、例えばRSpak KC−LG(昭光通商株式会社製)を装着した。
カラム温度 :55℃
移動相 :4.8mM 過塩素酸溶液
pH緩衝化試薬 :0.2mM BTB/24mM Na2HPO4・2H2O溶液
流速 :1.0mL/分
当該条件で455nmにおける吸光度を測定した。
梅果汁の単位体積当たりの総Na量は、イオンクロマトグラフィー(測定機器:DIONEX社ICS−90システム)を用いて測定した。
<条件>
遊離液 :20mM メタンスルホン酸溶液
カラム :CS−12A(DIONEX社)
流速 :1.0mL/分
当該条件で電気伝導度を測定した。
エキス分の測定は、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出した値とした。すなわち、温度15℃において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数(g/100cm3)とした。
なお、エキス分の測定を行うにあたり、各サンプルの比重は、密度比重計(京都電子工業社製DA645)を用いて測定した。
酸度の測定は、日本農林規格(JAS)の酸度測定法に準拠して行った。酸度の測定には、電位差自動滴定装置(京都電子工業社製ATF500)を用いた。
製造したNo.1〜21に係るサンプルの梅干感について、よく訓練された専門のパネル5名が下記評価基準に則って0〜4点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。梅干感は、この平均値が2.0点以上のものを効果がある(合格)と判断した。
(梅干感の評価)
4点:極めて強い梅干感があった。
3点:強い梅干感があった。
2点:梅干感があった。
1点:弱い梅干感があった。
0点:全く梅干感がなかった。
表1に、No.1〜21に係るサンプルの成分組成とともに、すなわち、梅果汁添加率(ストレート換算)(%)と、果糖ぶどう糖液糖の添加率(%)と、総クエン酸量(mg/100mL)と、総Na量(mg/100mL)と、総クエン酸量/総Na量と、エキス分(g/100cm3)と、酸度(g/100mLクエン酸換算)と、エキス分/酸度とともに、梅干感の評価も併せて示した。
Figure 2014158460
表1に示すように、No.3〜6、10〜12、16〜21に係るサンプルは、本発明の要件を満たしていたので、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有していることが確認された。中でも、No.4、17、18、21に係るサンプルは梅干感の評価が高く、好ましい態様であることが確認され、No.5、6、11、12、16、19、20に係るサンプルもこれらに次いで梅干感の評価が高く、好ましい態様であることが確認された。また、No.16に係るサンプルのように、アルコールを含んでいる場合であっても、No.3〜6、10〜12、17〜21に係るサンプルと同様、梅干しを使用していないにも関わらず、梅干感を有していることが確認された。また、梅果汁添加率をストレート換算で12.5%に変更したNo.19に係るサンプルや、ストレート換算で50%に変更したNo.20に係るサンプルも梅干感を有していることが確認された。
これに対し、No.1、2、7〜9、13〜15に係るサンプルは、本発明の要件を満たしていなかったので、梅干感を有しているという評価を得ることができなかった。
具体的には、No.1、2に係るサンプルは、総クエン酸量/総ナトリウム量が22を超えていたため、梅果汁そのものの味わいが強い結果となった。これらのサンプルは、梅干とは異なる風味になり、梅干というよりは梅酢のような印象であり、梅干感の評価が低くなってしまうことが確認された。また、酸味が強すぎるので飲み難かった。
No.7に係るサンプルは、総クエン酸量/総Na量が6.5未満であったため、塩味が強く厚みがあり、マイルドな味となった。そのため、梅干感の評価が低いものとなった。
No.8、9に係るサンプルは、エキス分/酸度が6未満であったため、酸味と甘味のバランスが悪かった。そのため、梅干感の評価が低くなった。また、酸味が強すぎるため飲み難かった。
No.13〜15に係るサンプルは、エキス分/酸度が16.5を超えていたので、甘味により酸味が強くマスキングされマイルドな香味となった。そのため、梅干感の評価が低くなった。
以上に説明したように、単位体積当たりの総クエン酸量/総Na量と、エキス分/酸度をそれぞれ所定の数値範囲に調節することによって、非アルコール飲料であると、アルコール飲料であるとを問わず、これらに、梅干しを使用することなく梅干感を付与できることが確認された。
S1 添加工程
S2 調節工程

Claims (7)

  1. 梅果汁を含有し、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5
    であることを特徴とする容器入り飲料。
  2. 梅果汁を含有し、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で8〜16.5
    であることを特徴とする容器入り飲料。
  3. 原料を混合する混合タンクに梅果汁を添加する添加工程と、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5となるように、前記梅果汁の量、前記総クエン酸量及び前記総ナトリウム量を調節する調節工程と、
    を含むことを特徴とする容器入り飲料の製造方法。
  4. 梅果汁とアルコールを含有し、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5
    であることを特徴とする容器入りアルコール飲料。
  5. 梅果汁とアルコールを含有し、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で8〜16.5
    であることを特徴とする容器入りアルコール飲料。
  6. 原料を混合する混合タンクに梅果汁を添加する添加工程と、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5となるように、前記梅果汁の量、前記総クエン酸量及び前記総ナトリウム量を調節する調節工程と、
    を含み、
    前記添加工程の前、前記添加工程中、前記調節工程中、及び前記調節工程の後のうちの少なくとも1つの段階でアルコールを添加する
    ことを特徴とする容器入りアルコール飲料の製造方法。
  7. 梅果汁を含有する容器入り飲料又は梅果汁を含有する容器入りアルコール飲料に風味を付与する風味付与方法であって、
    単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比を、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
    エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5とする
    ことを特徴とする風味付与方法。
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