JP2021073897A - アルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法 - Google Patents

アルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法 Download PDF

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淳哉 坂口
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Abstract

【課題】アルコールの刺々しい香味が低減されたアルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るアルコール飲料は、カプロン酸エチルの含有量が0.01ppm以上であり、オクタン酸エチルの含有量が0.01ppm以上である。また、本発明に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコール飲料のアルコールの刺々しい香味を低減する香味向上方法であって、前記アルコール飲料にカプロン酸エチルとオクタン酸エチルとを含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法に関する。
アルコールを含有するアルコール飲料については、これまでにも、飲料の香味に着目した様々な発明が創出されている。
例えば、特許文献1には、(A)L−プロリン、及び(B)リモネンを含有する容器詰めアルコール飲料であって、L−プロリンの濃度が10〜700mg/Lであり、リモネンの濃度が5〜150mg/Lである、容器詰めアルコール飲料が提案されている。
特開2017−184691号公報
特許文献1に係る発明は、複雑味、コク、後味の余韻、といった観点に基づいて創出された発明である。
特許文献1に係る発明が課題として掲げるように、各種の香味の制御は非常に重要ではあるものの、本発明者らは、アルコール飲料のアルコール自体がもたらす根本的な問題点に着目した。
詳細には、本発明者らは、アルコール飲料を飲む際に感じる「アルコールの刺々しい香味」が飲料に対して悪い印象を与える可能性があると判断した。
よって、本発明者らは、この「アルコールの刺々しい香味」をできるだけ低減させることができれば、アルコール飲料の香味を向上させ、商品価値を高められるのではないかと考えた。
そこで、本発明は、アルコールの刺々しい香味が低減されたアルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)カプロン酸エチルの含有量が0.01ppm以上であり、オクタン酸エチルの含有量が0.01ppm以上であるアルコール飲料。
(2)乳酸を含む前記1に記載のアルコール飲料。
(3)酸度に対する乳酸の含有量の比率(=乳酸の含有量(w/v%)/酸度(w/v%))が0.100〜1.500である前記1又は前記2に記載のアルコール飲料。
(4)前記カプロン酸エチルの含有量が0.1〜2.0ppmである前記1から前記3のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(5)前記オクタン酸エチルの含有量が0.1〜9.0ppmである前記1から前記4のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(6)アルコール度数が3〜20v/v%である前記1から前記5のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(7)無果汁である前記1から前記6のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(8)炭酸ガスを含有する前記1から前記7のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(9)エキス分が0.1〜4.0w/v%である前記1から前記8のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(10)酸度が0.50w/v以下である前記1から前記9のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(11)アルコール飲料のアルコールの刺々しい香味を低減する香味向上方法であって、前記アルコール飲料にカプロン酸エチルとオクタン酸エチルとを含有させるアルコール飲料の香味向上方法。
本発明に係るアルコール飲料は、アルコールの刺々しい香味が低減している。
本発明に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。
以下、本発明に係るアルコール飲料、及び、アルコール飲料の香味向上方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[アルコール飲料]
本実施形態に係るアルコール飲料は、カプロン酸エチルの含有量が所定値以上であり、オクタン酸エチルの含有量が所定値以上であるアルコール飲料である。
ここで、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料であり、特定の種類の飲料に限定されないものの、例えば、チューハイテイスト飲料が挙げられる。そして、このチューハイテイスト飲料とは、チューハイのような味わいを呈する飲料、つまり、チューハイの香味が感じられるように香味設計された飲料である。なお、チューハイの香味には、サワーやカクテルといった香味も含まれる。
以下、本実施形態に係るアルコール飲料を構成する各要素について説明する。
(カプロン酸エチル)
カプロン酸エチル(Hexanoic acid, ethyl ester)とは、分子式がC16で示される化合物であって、カプロン酸のエステル化合物であり、ヘキサン酸エチルとも呼ばれる。
そして、カプロン酸エチルは、後記するオクタン酸エチルと共にアルコール飲料に含有させることによって、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。また、カプロン酸エチルは、アルコール飲料のアルコール特有の苦味を抑制するとともに、酸味も抑制でき、加えて、ボディ感を増強することもできる。
カプロン酸エチルの含有量は、0.01ppm以上が好ましく、0.08ppm以上、0.1ppm以上、0.13ppm以上、0.5ppm以上、0.8ppm以上、1.0ppm以上がより好ましい。カプロン酸エチルの含有量が所定値以上であることによって、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。また、カプロン酸エチルの含有量が所定値以上であることによって、様々な効果(苦味と酸味の抑制、ボディ感の増強)を発揮することもできる。
カプロン酸エチルの含有量は、13.0ppm以下が好ましく、10.0ppm以下、6.0ppm以下、3.0ppm以下、2.0ppm以下、1.5ppm以下がより好ましい。カプロン酸エチルの含有量が所定値以下であることによって、飲料としての総合評価の低下を回避することができる。
なお、本明細書において、「ppm」という単位は「mg/L」と同義である。
(オクタン酸エチル)
オクタン酸エチル(Octanoic acid, ethyl ester)とは、分子式がC1020で示される化合物であって、オクタン酸のエステル化合物である。
そして、オクタン酸エチルは、前記したカプロン酸エチルと共にアルコール飲料に含有させることによって、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。また、オクタン酸エチルは、アルコール飲料のアルコール特有の苦味を抑制するとともに、酸味も抑制でき、加えて、ボディ感を増強することもできる。
オクタン酸エチルの含有量は、0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上、0.11ppm以上、0.4ppm以上、0.8ppm以上、1.0ppm以上がより好ましい。オクタン酸エチルの含有量が所定値以上であることによって、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。また、カプロン酸エチルの含有量が所定値以上であることによって、様々な効果(苦味と酸味の抑制、ボディ感の増強)を発揮することもできる。
オクタン酸エチルの含有量は、13.0ppm以下が好ましく、10.0ppm以下、9.0ppm以下、6.0ppm以下、3.0ppm以下、2.0ppm以下、1.5ppm以下がより好ましい。オクタン酸エチルの含有量が所定値以下であることによって、飲料としての総合評価の低下を回避することができる。
なお、カプロン酸エチルの含有量、及び、オクタン酸エチルの含有量は、例えば、ヘッドスペース−質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Head Space−Gas Chromatography−Mass Spectrometry:HS−GC−MS)法や固相マイクロ抽出−質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction−Gas Chromatography−Mass Spectrometry:SPME−GC−MS)法により測定することができる。
(酸度)
本実施形態に係るアルコール飲料の酸度は、例えば以下のとおりである。
酸度は、0.10w/v%以上が好ましく、0.13w/v%以上、0.15w/v%以上がより好ましい。酸度が所定値以上であることによって、ある程度の酸味を付与しつつも、本発明の効果(アルコールの刺々しい香味の低減など)を発揮させることができる。
酸度は、0.50w/v%以下が好ましく、0.30w/v%以下、0.25w/v%以下、0.20w/v%以下、0.18w/v%以下がより好ましい。酸度が所定値以下であることによって、飲料としての総合評価の低下を回避することができる。
なお、本明細書における酸度(クエン酸酸度:クエン酸相当量として換算した酸度の値)は、果実飲料の日本農林規格(平成28年2月24日農林水産省告示第489号)に定められた方法で求めることができる。具体的には、飲料を水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L)で中和滴定し、中和滴定において必要となった水酸化ナトリウム溶液の「滴定量(ml)」、滴定に使用した飲料の「重量(g)」、「0.0064」(0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液1mLに相当するクエン酸の重量(g))という定数などを用いて算出すればよい。
また、本明細書における酸度は、アルコール飲料に含まれる成分が明確な場合は、実施例で示すような方法で算出することもできる。
(乳酸)
本実施形態に係るアルコール飲料は、乳酸を含有してもよい。
そして、乳酸の含有量については特に限定されないが、例えば以下のとおりである。
乳酸の含有量は、0.010w/v%以上が好ましく、0.020w/v%以上、0.025w/v%以上、0.030w/v%以上、0.040w/v%以上がより好ましい。
乳酸の含有量は、0.300w/v%以下が好ましく、0.250w/v%以下、0.200w/v%以下、0.150w/v%以下、0.100w/v%以下、0.060w/v%以下がより好ましい。
乳酸の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)で既知の方法により測定することができる。
(酸度に対する乳酸の含有量の比率)
酸度に対する乳酸の含有量の比率(=乳酸の含有量(w/v%)/酸度(w/v%))は、0.100以上が好ましく、0.140以上、0.200以上、0.250以上がより好ましい。この比率が所定値以上であることによって、酸味を付与しつつもボディ感をより増強させることができるとともに、飲料としての総合評価も好ましい状態とすることができる。
酸度に対する乳酸の含有量の比率は、1.500以下が好ましく、1.400以下、0.900以下、0.500以下、0.350以下、0.300以下がより好ましい。この比率が所定値以下であることによって、酸味を付与しつつもボディ感の増強という効果を維持することができるとともに、飲料としての総合評価の低下を回避することができる。
(アルコール)
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールを含有している。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
(アルコール度数)
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、3v/v%以上であるのが好ましく、5v/v%以上、6v/v%以上、7v/v%以上、8v/v%以上、9v/v%以上であるのがより好ましい。アルコール度数が所定値以上であることによって、前記した課題(アルコールの刺々しい香味)がより明確化する。
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、20v/v%以下であるのが好ましく、15v/v%以下、13v/v%未満、12v/v%以下、11v/v%以下、10v/v%以下であるのがより好ましい。アルコール度数が所定値以下であることによって、アルコールの刺々しい香味を十分に低減できないという事態を回避することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計・ガスクロマトグラフ分析法)に基づいて測定することができる。
(発泡性)
本実施形態に係るアルコール飲料は、発泡性のもの、つまり、炭酸飲料であるのが好ましい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧(全圧)が0.5kg/cm以上であることをいい、1.0kg/cm以上が好ましく、1.5kg/cm以上、2.0kg/cm以上がより好ましい。
(エキス分)
本実施形態に係るアルコール飲料のエキス分は、0.1w/v%以上が好ましく、0.3w/v%以上、0.4w/v%以上、0.5w/v%以上、0.6w/v%以上がより好ましい。エキス分が所定値以上であることによって、ボディ感を増強させつつ、飲料としての総合評価も好ましい状態とすることができる。
エキス分は、4.0w/v%以下が好ましく、2.8w/v%以下、2.5w/v%以下、2.0w/v%以下、1.8w/v%以下、1.5w/v%以下がより好ましい。エキス分が所定値以下であることによって、飲料としての総合評価の低下を回避することができる。
なお、エキス分とは、温度15度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数である(酒税法第三条)。そして、アルコール飲料のエキス分は、例えば、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出することができる。
(その他)
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を含有していてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトースなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、前記した乳酸以外に、例えば、クエン酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で、各種香料、各種果汁などを含有してもよいが、無果汁であってもよい。
なお、本実施形態に係るアルコール飲料は、前記した添加剤などを適宜含有させた様々な態様が挙げられる一方、例えば、リモネンを含有しない態様も挙げられる。
(容器詰めアルコール飲料)
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料は、カプロン酸エチルの含有量が所定値以上であり、オクタン酸エチルの含有量が所定値以上であることから、アルコールの刺々しい香味が低減している。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコール特有の苦味、及び、酸味が抑制されており、ボディ感は増強しており、飲料としての総合評価は好ましい状態となっている。
[アルコール飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
混合工程では、混合タンクに、水、カプロン酸エチル、オクタン酸エチル、乳酸、クエン酸(無水)、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程において、カプロン酸エチルやオクタン酸エチルの含有量などが前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程では、例えば、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにおいて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、RTD飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、カプロン酸エチルの含有量を所定値以上とするとともにオクタン酸エチルの含有量を所定値以上とする工程を含むことから、アルコールの刺々しい香味が低減されたアルコール飲料を製造することができる。
[アルコール飲料の香味向上方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコール飲料のアルコールの刺々しい香味を低減する香味向上方法であって、アルコール飲料にカプロン酸エチルとオクタン酸エチルとを含有させるという方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「アルコール飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコール飲料にカプロン酸エチルとオクタン酸エチルとを含有させることから、アルコールの刺々しい香味を低減することができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
[サンプルの準備]
表に示す量となるように、ウォッカ、カプロン酸エチル、オクタン酸エチル、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸(無水)、乳酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸水、純水を適宜配合してサンプルを準備した。
そして、表1の各サンプルは、カプロン酸エチル以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表2の各サンプルは、オクタン酸エチル以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表3の各サンプルは、果糖ぶどう糖液糖以外の成分の含有量をサンプル間で統一した。また、表4の各サンプルは、クエン酸(無水)と乳酸以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表5の各サンプルも、クエン酸(無水)と乳酸以外の成分の含有量をサンプル間で統一した。なお、表4の各サンプルは、乳酸の含有量が異なっているにもかかわらず酸度が一定になっているが、これは、各サンプルのクエン酸(無水)の含有量によって調製したものである。
そして、表の各サンプルの20℃におけるガス圧(全圧)は2.4kg/cmとした。
[試験内容]
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル7名が下記評価基準に則って「酸味」、「苦味」、「アルコールの刺々しい香味」、「ボディ感」、「飲料としての総合評価」について、−2、−1、0、1、2点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
(酸味:評価基準)
酸味の評価は、サンプル1−1の2点を基準とし、「酸味が非常に強い(サンプル1−1と同程度である)」場合を2点、「酸味が強い」場合を1点、「酸味が強いとも弱いともいえない」場合を0点、「酸味が弱い」場合を−1点、「酸味が非常に弱い」場合を−2点と評価した。そして、酸味については、点数が低いほどダイレクトに感じる強い酸味が低減されており、好ましいと判断できる。
ここで、「酸味」とは、添加した酸味料(クエン酸(無水)、乳酸)に基づく酸味である。
(苦味:評価基準)
苦味の評価は、サンプル1−1の2点を基準とし、「苦味が非常に強い(サンプル1−1と同程度である)」場合を2点、「苦味が強い」場合を1点、「苦味が強いとも弱いともいえない」場合を0点、「苦味が弱い」場合を−1点、「苦味が非常に弱い」場合を−2点と評価した。そして、苦味については、点数が低いほど苦味が低減されており、好ましいと判断できる。
ここで、「苦味」とは、アルコールに基づく苦味である。
(アルコールの刺々しい香味:評価基準)
アルコールの刺々しい香味の評価は、サンプル1−1の2点を基準とし、「アルコールの刺々しい香味が非常に強い(サンプル1−1と同程度である)」場合を2点、「アルコールの刺々しい香味が強い」場合を1点、「アルコールの刺々しい香味が強いとも弱いともいえない」場合を0点、「アルコールの刺々しい香味が弱い」場合を−1点、「アルコールの刺々しい香味が非常に弱い」場合を−2点と評価した。そして、アルコールの刺々しい香味については、点数が低いほど刺々しい香味が低減されており、好ましいと判断できる。
(ボディ感:評価基準)
ボディ感の評価は、サンプル1−1の−2点を基準とし、「ボディ感が非常に強い」場合を2点、「ボディ感が強い」場合を1点、「ボディ感が強いとも弱いともいえない」場合を0点、「ボディ感が弱い」場合を−1点、「ボディ感が非常に弱い(サンプル1−1と同程度である)」場合を−2点と評価した。そして、ボディ感については、点数が高いほどボディ感が増強されており、好ましいと判断できる。
ここで、「ボディ感」とは、味の厚みである。
(飲料としての総合評価:評価基準)
飲料としての総合評価は、「アルコール飲料の香味として非常に良いと感じる」場合を2点、「アルコール飲料の香味として良いと感じる」場合を1点、「アルコール飲料の香味として良いとも悪いともいえない」場合を0点、「アルコール飲料の香味として悪いと感じる」場合を−1点、「アルコール飲料の香味として非常に悪いと感じる」場合を−2点と評価した。
表に、サンプルの各成分の含有量等を示すとともに、各評価の結果を示す。そして、表に示す各成分の数値は、最終製品における含有量および指標である。
なお、各サンプルにおいて、酸度に影響する酸味料はクエン酸(無水)と乳酸のみであったことから、表の酸度(w/v%)については、「クエン酸(無水)の含有量(w/v%)」×1+「乳酸の含有量(w/v%)」×0.71で算出した理論値を示した。この0.71の定数は、酸度を算出する際に一般的に使用されるクエン酸(無水)の係数と乳酸の係数を用い、0.0064/0.0090で算出した値である。
Figure 2021073897
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(結果の検討)
表1の結果から、カプロン酸エチルの含有量が増加するにしたがい、「アルコールの刺々しい香味」が低減することが確認できた。また、カプロン酸エチルの含有量が増加するにしたがい、「酸味」と「苦味」とが抑制されるとともに、「ボディ感」が増強されることも確認できた。
なお、表1のサンプル1−5に対しては、パネルから、ややケミカルとのコメント、エステルの味が強いとのコメントなどが得られ、その結果、若干、飲料としての総合評価の点数が低くなったと思われる。
表2の結果から、カプロン酸エチルを所定量以上含有した状態において、オクタン酸エチルの含有量が所定値以上となると、「アルコールの刺々しい香味」が大きく低減することが確認できた。そして、「アルコールの刺々しい香味」の低減効果に焦点をあてると、サンプル2−2〜2−5(特に、サンプル2−3〜2−5)の場合に、非常に好ましい結果が得られた。
また、表2の結果から、カプロン酸エチルを所定量以上含有した状態において、オクタン酸エチルの含有量が所定量以上となると、「酸味」と「苦味」とがかなり抑制されるとともに、「ボディ感」が大きく増強され、「飲料としての総合評価」も向上することも確認できた。
そして、全ての評価を考慮すると、サンプル2−2〜2−4(特に、サンプル2−2〜2−3)について非常に好ましい結果が得られた。
なお、表2のサンプル2−5に対しては、パネルから、発酵感が強く飲み難いとのコメント、シャープな苦味で飲みづらいとのコメント、苦味が残るとのコメント、ケミカル感が強いとのコメントなどが得られ、その結果、飲料としての総合評価の点数が低くなったと思われる。また、前記のコメントから、オクタン酸エチルの含有量が多すぎると、カプロン酸エチルとオクタン酸エチルとで抑制されていた苦味が逆に強くなってしまうことがわかった。
表3の結果から、エキス分が所定値以上となると、「アルコールの刺々しい香味」が確実に低減することが確認できた。また、エキス分が所定値以上となると、「酸味」と「苦味」とがしっかりと抑制されるとともに、「ボディ感」が増強され、「飲料としての総合評価」も向上することが確認できた。
そして、全ての評価を考慮すると、サンプル3−2〜3−3について非常に好ましい結果が得られた。
なお、表3のサンプル3−4に対しては、パネルから、甘味がべたつくとのコメント、甘すぎるとのコメントなどが得られ、その結果、飲料としての総合評価の点数が若干低くなったと思われる。
表4の結果から、酸度に対する乳酸の含有量の比率が所定範囲内となると、「アルコールの刺々しい香味」の低減、「苦味」の低減、「ボディ感」の増強、「飲料としての総合評価」の向上、という効果についてより確実に発揮できることがわかった。
そして、全ての評価を考慮すると、サンプル4−2〜4−4(特に、サンプル4−2〜4−3)について非常に好ましい結果が得られた。
なお、表4のサンプル4−5に対しては、パネルから、重たいとのコメント、酸味が弱く塩味感がするとのコメントなどが得られ、その結果、飲料としての総合評価の点数が低くなったと思われる。
表5の結果から、酸度が所定範囲内となると、「アルコールの刺々しい香味」の低減、「苦味」の低減、「ボディ感」の増強、「飲料としての総合評価」の向上、という効果がさらに確実に発揮できることがわかった。
そして、全ての評価を考慮すると、サンプル5−1について非常に好ましい結果が得られた。
なお、表5のサンプル5−2に対しては、酸が立っていて飲み難いとのコメントなどが得られ、その結果、僅かであるがサンプル5−1よりも、飲料としての総合評価の点数が低くなったと思われる。

Claims (11)

  1. カプロン酸エチルの含有量が0.01ppm以上であり、
    オクタン酸エチルの含有量が0.01ppm以上であるアルコール飲料。
  2. 乳酸を含む請求項1に記載のアルコール飲料。
  3. 酸度に対する乳酸の含有量の比率(=乳酸の含有量(w/v%)/酸度(w/v%))が0.100〜1.500である請求項1又は請求項2に記載のアルコール飲料。
  4. 前記カプロン酸エチルの含有量が0.1〜2.0ppmである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  5. 前記オクタン酸エチルの含有量が0.1〜9.0ppmである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  6. アルコール度数が3〜20v/v%である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  7. 無果汁である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  8. 炭酸ガスを含有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  9. エキス分が0.1〜4.0w/v%である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  10. 酸度が0.50w/v以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
  11. アルコール飲料のアルコールの刺々しい香味を低減する香味向上方法であって、
    前記アルコール飲料にカプロン酸エチルとオクタン酸エチルとを含有させるアルコール飲料の香味向上方法。
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