JP2021016342A - 柑橘風味飲料、及び、柑橘風味飲料の香味向上方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】先味の立ち上がりと後味のキレとが増強した柑橘風味飲料、及び、柑橘風味飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係る柑橘風味飲料は、3−カレンの含有量が0.01ppm以上である。また、本発明に係る柑橘風味飲料は、アルコールを含有してもよく、ミルセンの含有量が5.00ppm以下であってもよく、アルコール度数が1〜15v/v%であってもよく、エキス分が3〜10w/v%であってもよい。本発明に係る柑橘風味飲料の香味向上方法は、柑橘風味飲料の先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させる香味向上方法であって、前記柑橘風味飲料の3−カレンの含有量を0.01ppm以上とする。【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘風味飲料、及び、柑橘風味飲料の香味向上方法に関する。
果実の中でも柑橘類果実(柑橘類に属する果実)は、爽やかな酸味と適度な甘味を呈することから、昔から多くの人々に親しまれており、現在、この柑橘類果実の香味を呈するように設計された柑橘風味飲料が数多く商品化されている。
そして、柑橘風味飲料について、消費者の嗜好により適合するような香味とするため、研究開発が進められている。
例えば、特許文献1では、シネオールまたはシス−3−ヘキセノール、あるいはそれらの両方を含み、シネオールとシス−3−ヘキセノールとを合計した濃度が0.1〜500mg/Lである、柑橘系果実の香味を有する飲料が提案されている。
特開2016−36319号公報
特許文献1では、柑橘系果実の劣化臭のマスキングという観点に基づいて発明が提案されているが、柑橘風味飲料の香味については、特許文献1以外にも様々な観点から研究開発が進められている。
本発明者らは、柑橘風味飲料の香味の特徴を検討した結果、飲みはじめに感じる柑橘様の香味(先味)の立ち上がりがよければ、飲料に対して最初に感じる香味のインパクトを強くすることができ、これまでの柑橘風味飲料とは異なる特徴的な香味とすることができるのではないかと考えた。
また、本発明者らは、柑橘風味飲料について、後味がダラダラと残ってしまうと、柑橘類の爽やかな印象を大きく損ねるのではないかと考えた。
そこで、本発明は、先味の立ち上がりと後味のキレとが増強した柑橘風味飲料、及び、柑橘風味飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)3−カレンの含有量が0.01ppm以上である柑橘風味飲料。
(2)アルコールを含有する前記1に記載の柑橘風味飲料。
(3)ミルセンの含有量が5.00ppm以下である前記1又は前記2に記載の柑橘風味飲料。
(4)アルコール度数が1〜15v/v%である前記1から前記3のいずれか1つに記載の柑橘風味飲料。
(5)エキス分が3〜10w/v%である前記1から前記4のいずれか1つに記載の柑橘風味飲料。
(6)柑橘風味飲料の先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させる香味向上方法であって、前記柑橘風味飲料の3−カレンの含有量を0.01ppm以上とする香味向上方法。
本発明に係る柑橘風味飲料は、先味の立ち上がりと後味のキレとが増強している。
本発明に係る柑橘風味飲料の香味向上方法は、先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させることができる。
以下、本発明に係る柑橘風味飲料、及び、柑橘風味飲料の香味向上方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[本実施形態に係る柑橘風味飲料]
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、3−カレンを含有する飲料であり、さらにミルセンを含有してもよい。
なお、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、柑橘類果実の風味を呈する飲料、言い換えると、柑橘類果実の風味を呈するように設計された飲料であって、例えば、柑橘類果実の果汁、柑橘フレーバー、柑橘類果実エキスのうちの少なくとも一つを含有する飲料である。そして、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、レモン風味飲料、グレープフルーツ風味飲料、シークワーサー風味飲料とするのが好ましく、レモン風味飲料とするのが特に好ましい。
また、後記するように、ミルセンは柑橘風味を呈するように飲料を設計した場合に含まれる可能性の高い成分であることから、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、ミルセンを含有する飲料と言い換えることもできる。
(3−カレン)
3−カレン(3-carene)とは、化学式C1016で示されるモノテルペンの一つである。
そして、3−カレンは、柑橘風味飲料の先味の立ち上がりを増強させるとともに、後味のキレを増強させる。また、3−カレンは、後記するミルセンが奏する金属感(金属様の香味)を低減することもできる。
3−カレンの含有量は、0.01ppm(mg/L)以上が好ましく、0.015ppm以上、0.02ppm以上、0.025ppm以上がより好ましい。3−カレンの含有量が所定値以上であることによって、先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させることができるとともに、金属感を低減することができる。
3−カレンの含有量は、10.00ppm以下が好ましく、6.00ppm以下、1.00ppm以下、0.60ppm以下、0.20ppm以下、0.05ppm以下、0.04ppm以下がより好ましい。3−カレンの含有量が所定値以下であることによって、本発明の所望の効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強、金属感の低減)をしっかりと発揮させることができる。
(ミルセン)
ミルセン(myrcene)とは、化学式C1016で示されるモノテルペンの一つである。
そして、ミルセンは、飲料を柑橘類果実の風味を呈するように設計した場合に含まれる可能性の高い成分である。
加えて、本発明者らは、ミルセンを含有した柑橘風味飲料の香味について鋭意検討した結果、ミルセンは飲料に好ましくない金属感を付与してしまうことを確認した。
ミルセンの含有量は、5.00ppm(mg/L)以下が好ましく、2.50ppm以下、2.00ppm以下、1.80ppm以下、1.60ppm以下、1.50ppm以下がより好ましい。ミルセンの含有量が所定値以下であることによって、前記した3−カレンに基づく効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強、金属感の低減)が阻害されることなく、しっかりと発揮されることとなる。
なお、ミルセンの含有量の下限値は特に限定されず、0ppmでもよいものの、例えば、0.01ppm以上、0.03ppm以上、0.04ppm以上、0.10ppm以上、0.40ppm以上である。
なお、飲料中の3−カレン、ミルセンの含有量は、溶媒抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法(溶媒抽出−GC−MS法)により測定することができる。
(アルコール)
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、アルコールを含有してもよい。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
柑橘風味飲料のアルコール度数が所定範囲内となる場合に、本発明の効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強)が十分に発揮されることを実験によって確認している。
具体的には、アルコール度数は、1%(v/v%)以上が好ましく、3%以上、5%以上、7%以上、8%以上、8%以上、9%以上がより好ましい。
また、アルコール度数は、23%以下が好ましく、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下がより好ましい。
なお、アルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
(エキス分)
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、エキスを含有している。
エキスとは、飲料中に含まれる不揮発性成分である。そして、エキス分とは、温度15度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数である(酒税法第三条)。
柑橘風味飲料のエキス分が所定範囲内となる場合に、本発明の効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強)が十分に発揮されることを実験によって確認している。
具体的には、エキス分は、3.0w/v%(度)以上が好ましく、3.5w/v%以上、3.75w/v%以上、4.0w/v%以上、5.0w/v%以上、6.0w/v%以上がより好ましい。
エキス分は、10.0w/v%以下が好ましく、9.8w/v%以下、9.75w/v%以下、9.0w/v%以下、8.0w/v%以下、7.0w/v%以下がより好ましい。
なお、発泡性アルコール飲料のエキス分は、例えば、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出することができる。
(発泡性)
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、非発泡性のものでも、発泡性のものでもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm未満であることをいう。
(その他)
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
また、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、柑橘類果実の果汁、柑橘フレーバー、柑橘類果実エキス以外にも、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で別の果汁、果実フレーバー、果実エキスを含有させることもできる。そして、果汁としては、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。また、果実エキスとは、果実(又は果汁)から水やアルコールなどを用いて当該果実の有効成分を抽出した抽出物である。
果汁の由来となる果実(および、果実フレーバーや果実エキスの果実種)は、柑橘類果実である、レモン、ライム、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、シークワーサー等や、これらの柑橘類果実以外にも、ぶどう、プラム、ざくろ、ブルーベリー、カシス、クランベリー、マキベリー、いちご、アップル、ピーチ、マンゴー、パイナップル、キウイ、梨等といった従来公知の果実も挙げることができる。
ただ、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、「果汁、果実フレーバー、果実エキス」を含有させる場合、これらの由来となる果実は、柑橘類果実が好ましく、その中でもレモン、グレープフルーツ、シークワーサーがより好ましく、レモンが特に好ましい。
また、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、3−カレンを含有させる態様として、ペッパー、ペッパーエキス、ペッパー浸漬酒、ペッパーフレーバー(例えば、ブラックペッパーフレーバー)の一成分として含有させてもよい。この場合、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、ペッパー風味となる。
なお、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、前記した添加剤などを適宜含有させた様々な態様が挙げられる一方、例えば、レモン果汁、レモンフレーバー、ペッパーフレーバーのうちの少なくとも一つを含有しない態様、アルコールとして焼酎を使用しない態様、シナモン、レモンペースト(レモン果実を丸ごとすりつぶしたもの)のうちの少なくとも一つを含有しない態様も挙げられる。また、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、プリン体が0mg/Lでもよいが、0mg/Lを超えて含んでいてもよい。
(容器詰め飲料)
本実施形態に係る柑橘風味飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る柑橘風味飲料は、3−カレンの含有量が所定値以上であることから、先味の立ち上がりと後味のキレとが増強しているとともに、金属感が低減している。
[本実施形態に係る柑橘風味飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係る柑橘風味飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係る柑橘風味飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
混合工程では、混合タンクに、水、3−カレン、ミルセン、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程において、各成分の含有量等が前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程では、例えば、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、RTD飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係る柑橘風味飲料の製造方法は、3−カレンの含有量を所定値以上とする工程を含むことから、先味の立ち上がりと後味のキレとが増強しているとともに、金属感が低減している柑橘風味飲料を製造することができる。
[本実施形態に係る柑橘風味飲料の香味向上方法]
次に、本実施形態に係る柑橘風味飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係る柑橘風味飲料の香味向上方法は、先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させる香味向上方法であって、3−カレンの含有量を所定値以上とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「本実施形態に係る柑橘風味飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本実施形態に係る柑橘風味飲料の香味向上方法は、柑橘風味飲料の3−カレンの含有量を所定値以上とすることから、先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させるとともに、金属感を低減させることができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
[サンプルの準備]
表1〜5に示す値となるように、3−カレン、ミルセン、ウォッカ、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、レモン果汁、L−アスコルビン酸ナトリウム、水、炭酸水を適宜配合してサンプルを準備した。
サンプル6−1のみ、製品を模擬した態様とするために、他のサンプルに添加した3−カレン、ミルセンの代わりに、レモンフレーバー、ブラックペッパーフレーバー、エンジュフレーバーを添加することによって、表6に示す値とした。
なお、各サンプルのクエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、レモン果汁、L−アスコルビン酸ナトリウムの含有量は、各サンプル間において一定量に揃えた。また、果糖ぶどう糖液糖の含有量は、エキス分の数値の調製のためにサンプル4−1、4−3については変化させたものの、その他のサンプルについては、各サンプル間において一定量に揃えた。また、サンプル3−1、3−3のウォッカの含有量については、表3に示すアルコール度数となるように変化させたものの、その他のサンプルのウォッカの含有量は各サンプル間において一定量に揃えた。
そして、各サンプルの20℃におけるガス圧は約2.0kg/cmであった。
[試験内容]
前記方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル6名が下記評価基準に則って「先味の立ち上がり」、「後味のキレ」、「酸味」、「金属感」、「飲料としての味のバランス」について、1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。そして、これらの評価は、サンプルを飲んで評価した。
なお、サンプル5−2のみ、パネル1名によって各評価を行った。
(先味の立ち上がり)
先味の立ち上がりの評価については、サンプル1−1の1点を基準とし、「先味の立ち上がりが非常に良い」場合を5点、「先味の立ち上がりが良い」場合を4点、「先味の立ち上がりは普通である」場合を3点、「先味の立ち上がりが悪い」場合を2点、「先味の立ち上がりが非常に悪い(サンプル1−1と同レベルである)」場合を1点として、5段階で評価した。そして、先味の立ち上がりの評価は点数が高いほど好ましいと判断できる。
なお、「先味の立ち上がり」とは、詳細には、横軸を時間とし縦軸を柑橘類の香味(レモン様の香味)の強さとした場合における香味曲線の立ち上がり部分(飲みはじめ部分)の傾きの大きさであり、この傾きが大きいと感じるほど、先味の立ち上がりが良い(先味の立ち上がりが増強している)と判断できる。
(後味のキレ)
後味のキレの評価については、サンプル1−1の1点を基準とし、「後味のキレが非常に良い」場合を5点、「後味のキレが良い」場合を4点、「後味のキレは普通である」場合を3点、「後味のキレが悪い」場合を2点、「後味のキレが非常に悪い(サンプル1−1と同レベルである)」場合を1点として、5段階で評価した。そして、後味のキレの評価は点数が高いほど好ましいと判断できる。
なお、「後味のキレが良い」(後味のキレが増強している)とは、具体的には、飲み終わりに感じる香味が迅速に消失する様子を示している。
(酸味)
酸味の評価については、サンプル1−1の3点を基準とし、「酸味を非常に強く感じる」場合を5点、「酸味を強く感じる」場合を4点、「酸味を感じる(サンプル1−1と同レベルである)」場合を3点、「酸味を弱く感じる」場合を2点、「酸味を非常に弱く感じる」場合を1点として、5段階で評価した。
(金属感)
金属感の評価については、サンプル1−3の1点を基準とし、「金属感を非常に強く感じる」場合を5点、「金属感を強く感じる」場合を4点、「金属感を感じる」場合を3点、「金属感を弱く感じる」場合を2点、「金属感を非常に弱く感じる(サンプル1−3と同レベルである)」場合を1点として、5段階で評価した。そして、金属感の評価は点数が低いほど好ましいと判断できる。
なお、「金属感」とは、金属様の好ましくない香味であり、ミルセンに由来する香味である。
(飲料としての味のバランス)
飲料としての味のバランスの評価については、「味のバランスが非常に良い」場合を5点、「味のバランスが良い」場合を4点、「味のバランスは普通である」場合を3点、「味のバランスが悪い」場合を2点、「味のバランスが非常に悪い」場合を1点として、5段階で評価した。そして、飲料としての味のバランスの評価は点数が高いほど好ましいと判断できる。
以下の表に示す各成分の含有量や指標は、最終製品における含有量や指標である。
Figure 2021016342
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なお、表6のサンプル6−1について、香気分析を実施した結果(測定装置:アジレントテクノロジー社製Agilent 6890GC 5973MSD)、テルピノレンは1.0ppm以上、リナロールは0.5ppm以上、α−テルピネンは0.5ppm以上、リモネンは25ppm以上、γ−テルピネンは1.0ppm以上、ノナナールは0.5ppm以上であるとのデータが得られた。
(結果の検討)
表1の結果は、3−カレンの含有量を変化させたサンプルの結果である。
表1の結果から、飲料に3−カレンを含有させることによって、先味の立ち上がりが増強されることが確認できた。また、飲料に3−カレンを含有させることによって、後味のキレが増強されることが確認できた。加えて、飲料に3−カレンを含有させることによって、飲料としての味のバランスも良くなることが確認できた。
そして、サンプル1−2〜1−6(特に、サンプル1−3〜1−5)について好ましい結果が得られた。
表2の結果は、ミルセンの含有量を変化させたサンプルの結果である。
表2の結果から、飲料にミルセンが含有していても、3−カレンに基づく効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強)が発揮されることが確認できた。
特に、飲料におけるミルセンの含有量を所定値以下に規制されているサンプルについて良い結果が得られており、具体的には、サンプル2−1〜2−5(特に、サンプル2−1〜2−3)についてより好ましい結果が得られた。
表3の結果は、アルコール度数を変化させたサンプルの結果である。
表3の結果から、飲料のアルコール度数を変化させても、所望の効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強)が発揮されることが確認できた。
そして、サンプル3−1〜3−3(特に、サンプル3−2)について好ましい結果が得られた。
表4の結果は、エキス分を変化させたサンプルの結果である。
表4の結果から、飲料のエキス分を変化させても、所望の効果(先味の立ち上がりの増強、後味のキレの増強)が発揮されることが確認できた。
そして、サンプル4−1〜4−3(特に、サンプル4−2)について好ましい結果が得られた。
表5の結果は、金属感への影響を確認した結果である。
表5のサンプル5−2によると、飲料にミルセンが含有されていることによって、金属感が強く感じられることが確認できた。一方、サンプル5−1によると、ミルセンに基づく金属感が3−カレンによって低減されることが確認できた。
なお、サンプル5−1と5−2とを比較すると明らかなように、3−カレンを含有させたサンプル5−1の方が先味の立ち上がりと後味のキレが増強していることも確認できた。
サンプル6−1は、実際の柑橘風味飲料の製品を想定したサンプルであるが、このサンプルの結果から、実際の製品に本発明を適用した場合であっても、各効果が発揮されることが確認できた。

Claims (6)

  1. 3−カレンの含有量が0.01ppm以上である柑橘風味飲料。
  2. アルコールを含有する請求項1に記載の柑橘風味飲料。
  3. ミルセンの含有量が5.00ppm以下である請求項1又は請求項2に記載の柑橘風味飲料。
  4. アルコール度数が1〜15v/v%である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の柑橘風味飲料。
  5. エキス分が3〜10w/v%である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の柑橘風味飲料。
  6. 柑橘風味飲料の先味の立ち上がりと後味のキレとを増強させる香味向上方法であって、
    前記柑橘風味飲料の3−カレンの含有量を0.01ppm以上とする香味向上方法。
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