JP2021078408A - アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法 - Google Patents

アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】味の厚みと余韻とが増強され、雑渋味とエグ味とが低減されたアルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るアルコール飲料は、エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料であって、オクタン酸エチルを含有する。本発明に係るアルコール飲料の製造方法は、エキス分を3.5w/v%未満とし、アルコール度数を9%未満とし、オクタン酸エチルを含有させる工程を含む。本発明に係るアルコール飲料の香味向上方法は、エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させる香味向上方法であって、前記アルコール飲料にオクタン酸エチルを含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法に関する。
アルコールを含有するアルコール飲料については、これまでにも、飲料の香味に着目した様々な発明が創出されている。
例えば、特許文献1には、高甘味度甘味料と、食塩と、食用アルコールとを含んでなり、前記食塩の添加量が、前記アルコール飲料全質量に対して、0.0011質量%以上0.1質量%以下であり、前記高甘味度甘味料の添加量が、前記アルコール飲料全質量に対して、0.0005質量%以上0.008質量%以下であり、及び/又は、甘味度が7以上45以下である、アルコール飲料が提案されている。
特開2018−186770号公報
特許文献1に係る発明は、甘味後味嫌悪性を抑制する発明であって、特許文献1の段落0027において、エキス分は6度以上が好ましいと説明されている。
本発明者らは、特許文献1とは異なり、エキス分の低いアルコール飲料の香味について、詳細な検討を実施した。
その結果、アルコール飲料のエキス分が低いと、「味の厚み」が感じ難いだけでなく、香味全体として後引くような「余韻」も感じ難いことが確認できた。
また、アルコール飲料のエキス分が低いと、アルコールに由来する「雑渋味とエグ味」が目立ってしまうことも確認できた。
よって、本発明者らは、エキス分の低いアルコール飲料について、「味の厚み」と「余韻」とを増強し、「雑渋味とエグ味」を低減することができれば、この飲料の商品価値を高められるのではないかと考えた。
そこで、本発明は、味の厚みと余韻とが増強され、雑渋味とエグ味とが低減されたアルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料であって、オクタン酸エチルを含有するアルコール飲料。
(2)前記オクタン酸エチルの含有量が10〜400ppbである前記1に記載のアルコール飲料。
(3)β−ダマセノンの含有量が5〜500ppbである前記1又は前記2に記載のアルコール飲料。
(4)エキス分を3.5w/v%未満とし、アルコール度数を9%未満とし、オクタン酸エチルを含有させる工程を含むアルコール飲料の製造方法。
(5)エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させる香味向上方法であって、前記アルコール飲料にオクタン酸エチルを含有させるアルコール飲料の香味向上方法。
本発明に係るアルコール飲料は、味の厚みと余韻とが増強し、雑渋味とエグ味とが低減している。
本発明に係るアルコール飲料の製造方法は、味の厚みと余韻とが増強し、雑渋味とエグ味とが低減したアルコール飲料を製造することができる。
本発明に係るアルコール飲料の香味向上方法は、アルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強し、雑渋味とエグ味とを低減することができる。
以下、本発明に係るアルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[アルコール飲料]
本実施形態に係るアルコール飲料は、エキス分が低く、アルコール度数が所定値未満であり、オクタン酸エチルを含有するアルコール飲料である。また、本実施形態に係るアルコール飲料は、β−ダマセノンを含有してもよい。
ここで、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料であり、特定の種類の飲料に限定されないものの、例えば、チューハイテイスト飲料が挙げられる。そして、このチューハイテイスト飲料とは、チューハイのような味わいを呈する飲料、つまり、チューハイの香味が感じられるように香味設計された飲料である。なお、チューハイの香味には、サワーやカクテルといった香味も含まれる。
以下、本実施形態に係るアルコール飲料を構成する各要素について説明する。
(オクタン酸エチル)
オクタン酸エチル(Ethyl octanoate)とは、分子式がC1020で示される化合物であって、オクタン酸のエステル化合物である。
そして、オクタン酸エチルは、エキス分の低いアルコール飲料に含有させることによって、味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させることができる。また、オクタン酸エチルは、エキス分が低く渋雑味やエグ味が目立つために味のまとまりが悪い状態のアルコール飲料を、味のまとまりが良い状態とすることもできる。
オクタン酸エチルの含有量は、5ppb以上が好ましく、6ppb以上、8ppb以上、10ppb以上、13ppb以上、15ppb以上がより好ましい。オクタン酸エチルの含有量が所定値以上であることによって、味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させることができ、さらに、味のまとまりも良くすることができる。
オクタン酸エチルの含有量は、400ppb以下が好ましく、350ppb以下、300ppb以下、250ppb以下、200ppb以下、160ppb以下、150ppb以下がより好ましい。オクタン酸エチルの含有量が所定値以下であることによって、飲料としての総合評価を好ましい状態とすることができる。
なお、本明細書において、「ppb」という単位は「μg/L」と同義である。
(β−ダマセノン)
β−ダマセノン(β−damascenone)とは、分子式がC1318Oで示されるケトンの一種である。
そして、β−ダマセノンは、エキス分が低いとともに前記したオクタン酸エチルを含むアルコール飲料に含有させることによって、味の厚みの増強効果、余韻の増強効果、渋雑味とエグ味の低減効果を、其々、大幅に向上させることができる。また、β−ダマセノンは、味のまとまりもさらに良くすることができる。
β−ダマセノンの含有量は、3ppb以上が好ましく、5ppb以上、8ppb以上、10ppb以上、20ppb以上、25ppb以上、30ppb以上がより好ましい。β−ダマセノンの含有量が所定値以上であることによって、各効果(味の厚みの増強効果、余韻の増強効果、渋雑味とエグ味の低減効果)を大幅に向上できるとともに味のまとまりもさらに良くすることができる。
β−ダマセノンの含有量は、500ppb以下が好ましく、450ppb以下、400ppb以下、300ppb以下、250ppb以下、200ppb以下がより好ましい。β−ダマセノンの含有量が所定値以下であることによって、味のまとまりの低下や総合評価を好ましい状態とすることができる。
なお、オクタン酸エチルの含有量、及び、β−ダマセノンの含有量は、例えば、固相マイクロ抽出−質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction−Gas Chromatography−Mass Spectrometry:SPME−GC−MS)法により測定することができる。
(エキス分)
本実施形態に係るアルコール飲料のエキス分は、3.5w/v%未満が好ましく、3.2w/v%以下、3.0w/v%以下、2.5w/v%以下、2.3w/v%以下、2.0w/v%以下、1.5w/v%以下がより好ましい。エキス分が所定値未満(又は、以下)であることによって、本発明の課題(味の厚みと余韻とを感じ難い、雑渋味とエグ味とが目立つ)がより明確に現れることとなる。
エキス分の下限は特に限定されず、例えば、0.1w/v%以上、0.2w/v%以上、0.3w/v%以上である。
なお、エキス分とは、温度15度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数である(酒税法第三条)。そして、アルコール飲料のエキス分は、例えば、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出することができる。
(アルコール)
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールを含有している。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
(アルコール度数)
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、9v/v%未満であるのが好ましく、8v/v%以下、7v/v%以下、6v/v%以下、6.5v/v%以下、5v/v%以下であるのがより好ましい。アルコール度数が所定値以下であることによって、前記したオクタン酸エチルやβ−ダマセノンに基づく効果を十分に発揮させることができる。
アルコール度数の下限は特に限定されず、例えば、1v/v%以上、2v/v%以上、3v/v%以上、4v/v%以上である。
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計・ガスクロマトグラフ分析法)に基づいて測定することができる。
(発泡性)
本実施形態に係るアルコール飲料は、発泡性のもの、つまり、炭酸飲料であるのが好ましい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧(全圧)が0.5kg/cm以上であることをいい、1.0kg/cm以上が好ましく、1.5kg/cm以上、2.0kg/cm以上がより好ましい。
(その他)
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を含有していてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトースなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、チューハイテイスト飲料とする場合、フルーツフレーバー(フルーツ様の香りを付与するフレーバー)、果汁(果実を搾った汁)、果実エキスを含有させることもできる。そして、果汁としては、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。また、果実エキスとは、果実(又は果汁)から水やアルコールなどを用いて当該果実の有効成分を抽出した抽出物である。
果汁の由来となる果実(および、果実フレーバーや果実エキスの果実種)は、柑橘類果実である、レモン、ライム、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、シークワーサー等や、バラ科果実である、梅、リンゴ、イチゴ、桃等、これら以外にも、ぶどう、プラム、ざくろ、ブルーベリー、カシス、クランベリー、マキベリー、いちご、アップル、ピーチ、マンゴー、パイナップル、キウイ、梨等といった従来公知の果実も挙げることができる。
なお、本発明の効果(味の厚みと余韻の増強、渋雑味とエグ味の低減)は、フレーバー・果汁・果実エキスの香味タイプや香味の強弱から大きな影響は受けないとともに、当該効果が消失してしまうといったことはないと考えることから、フレーバーなどによる香味タイプは前記のとおり多様であってもよく、含有量についても特に限定されない。
(容器詰めアルコール飲料)
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料は、味の厚みと余韻とが増強し、雑渋味とエグ味とが低減している。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、味のまとまりが良く、飲料としての総合評価も好ましい状態となっている。
[アルコール飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
混合工程では、混合タンクに、水、オクタン酸エチル、β−ダマセノン、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程において、オクタン酸エチルやβ−ダマセノンの含有量などが前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程では、例えば、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにおいて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、RTD飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、エキス分を所定値未満とし、アルコール度数を所定値未満とし、オクタン酸エチルを含有させる工程を含むことから、味の厚みと余韻とが増強し、雑渋味とエグ味とが低減したアルコール飲料を製造することができる。
[アルコール飲料の香味向上方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、エキス分が所定値未満であり、アルコール度数が所定値未満であるアルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させる香味向上方法であって、アルコール飲料にオクタン酸エチルを含有させる方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「アルコール飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の香味向上方法は、所定のアルコール飲料に対してオクタン酸エチルを含有させることから、アルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強し、雑渋味とエグ味とを低減することができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
[サンプルの準備]
表に示す量となるように、ウォッカ、オクタン酸エチル、β−ダマセノン、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸水、レモンフレーバー(サンプル5−2のみ)、アップルフレーバー(サンプル5−3のみ)、純水を適宜配合してサンプルを準備した。
なお、表1の各サンプルは、オクタン酸エチル以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表2の各サンプルは、β−ダマセノン以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表3の各サンプルは、果糖ぶどう糖液糖以外の成分の含有量をサンプル間で統一し、表4の各サンプルは、ウォッカ以外の成分の含有量をサンプル間で統一した。また、表5の各サンプルは、表に記載の所定フレーバーを含有しているか否かの点のみで異なっていた。
そして、表の各サンプルの20℃におけるガス圧(全圧)は2.3kg/cmとした。
[試験内容]
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル6名が下記評価基準に則って「味の厚み」、「余韻」、「渋雑味・エグ味」、「まとまり」、「飲料としての総合評価」について、−2、−1、0、1、2点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
(味の厚み:評価基準)
味の厚みの評価は、サンプル1−1の−2点を基準とし、「味の厚みが非常に強い」場合を2点、「味の厚みが強い」場合を1点、「味の厚みが強いとも弱いともいえない」場合を0点、「味の厚みが弱い」場合を−1点、「味の厚みが非常に弱い(サンプル1−1と同程度である)」場合を−2点と評価した。そして、味の厚みについては、点数が高いほど好ましいと判断できる。
(余韻:評価基準)
余韻の評価は、サンプル1−1の−2点を基準とし、「余韻が非常に強い」場合を2点、「余韻が強い」場合を1点、「余韻が強いとも弱いともいえない」場合を0点、「余韻が弱い」場合を−1点、「余韻が非常に弱い(サンプル1−1と同程度である)」場合を−2点と評価した。そして、余韻については、点数が高いほど好ましいと判断できる。
ここで、「余韻」とは、全体的な香味が後を引くような後味であり、余韻が強い(増強している)とは、この後を引くレベルが強く感じる状態を示している。
(渋雑味・エグ味:評価基準)
渋雑味・エグ味の評価は、サンプル1−1の2点を基準とし、「渋雑味とエグ味とが非常に強い(サンプル1−1と同程度である)」場合を2点、「渋雑味とエグ味とが強い」場合を1点、「渋雑味とエグ味とが強いとも弱いともいえない」場合を0点、「渋雑味とエグ味とが弱い」場合を−1点、「渋雑味とエグ味とが非常に弱い」場合を−2点と評価した。そして、渋雑味・エグ味については、点数が低いほど好ましいと判断できる。
なお、「渋雑味」や「エグ味」とは、アルコールや酸味料に由来し、特にエキスの低い飲料で感じやすい味のことである。そして、「雑渋味」とは、詳細には、雑味や渋味など舌に残りネガティブに感じられる香味のことを指す。
(まとまり:評価基準)
まとまりの評価は、「味のまとまりが非常に良い」場合を2点、「味のまとまりが良い」場合を1点、「味のまとまりが良いとも悪いともいえない」場合を0点、「味のまとまりが悪い」場合を−1点、「味のまとまりが非常に悪い」場合を−2点と評価した。そして、まとまりについては、点数が高いほど好ましいと判断できる。
(飲料としての総合評価:評価基準)
飲料としての総合評価は、「アルコール飲料の香味として非常に良いと感じる」場合を2点、「アルコール飲料の香味として良いと感じる」場合を1点、「アルコール飲料の香味として良いとも悪いともいえない」場合を0点、「アルコール飲料の香味として悪いと感じる」場合を−1点、「アルコール飲料の香味として非常に悪いと感じる」場合を−2点と評価した。
表に、サンプルの各成分の含有量等を示すとともに、各評価の結果を示す。そして、表に示す各成分の数値は、最終製品における含有量および指標である。
Figure 2021078408
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Figure 2021078408
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(結果の検討)
表1の結果から、オクタン酸エチルの含有量が増加するにしたがい、「味の厚み」と「余韻」が増強し、「渋雑味・エグ味」が低減することが確認できた。また、表1の結果から、オクタン酸エチルの含有量が増加するにしたがい、「まとまり」が良くなり、「飲料としての総合評価」も良くなった。
具体的には、「味の厚み」と「余韻」について、サンプル1−1の−2点を基準として判断すると、オクタン酸エチルを含有させたサンプル1−2〜1−5(特に、サンプル1−3〜1−5)が大きく点数を上昇させる結果となった。
また、「渋雑味・エグ味」について、サンプル1−1の2点を基準として判断すると、オクタン酸エチルを含有させたサンプル1−2〜1−5(特に、サンプル1−3〜1−5)が大きく点数を低下させる結果となった。
また、「まとまり」と「飲料としての総合評価」について、0点を基準として判断すると、オクタン酸エチルを所定量以上含有させたサンプル1−3〜1−5(特に、サンプル1−3、1−4)が好ましい結果となった。
表2の結果から、オクタン酸エチルを含有させた状態で、さらにβ−ダマセノンの含有量が増加するにしたがい、「味の厚み」と「余韻」がさらに増強し、「渋雑味・エグ味」がさらに低減することが確認できた。また、表2の結果から、β−ダマセノンの含有量が増加するにしたがい、「まとまり」がさらに良くなり、「飲料としての総合評価」もさらに良くなった。
具体的には、「味の厚み」と「余韻」について、サンプル2−1の点数を基準として判断すると、β−ダマセノンを含有させたサンプル2−2〜2−5(特に、サンプル2−3〜2−5)が大きく点数を上昇させる結果となった。
また、「渋雑味・エグ味」について、サンプル2−1の点数を基準として判断すると、β−ダマセノンを含有させたサンプル2−2〜2−5(特に、サンプル2−3〜2−5)が大きく点数を低下させる結果となった。
また、「まとまり」と「飲料としての総合評価」について、0点を基準として判断すると、サンプル2−1〜2−5の全てが好ましい結果となったが、「まとまり」に着目すると、これらの中でもサンプル2−2〜2−4(特に、サンプル2−2〜2−3)が非常に好ましい結果となった。
表3の結果から、エキス分が所定値以下であれば、オクタン酸エチルとβ−ダマセノンに基づく効果(「味の厚み」と「余韻」の増強、「渋雑味・エグ味」の低減、「まとまり」の良化、「飲料としての総合評価」の良化)が発揮されることが確認できた。
なお、表3のサンプル3−1と3−2とは、「味の厚み」と「余韻」については若干低い点数を示したものの、これは、エキス分が非常に少なかったという理由に基づくものである。そして、サンプル3−1と3−2よりもエキス分の高いサンプル1−1と比較すると、サンプル3−1と3−2とは「味の厚み」と「余韻」の増強、および、「渋雑味・エグ味」の低減について十分な効果を発揮していると判断できる。
表4の結果から、アルコール度数が所定値未満であれば、オクタン酸エチルとβ−ダマセノンに基づく効果(「味の厚み」と「余韻」の増強、「渋雑味・エグ味」の低減、「まとまり」の良化、「飲料としての総合評価」の良化)が発揮されることが確認できた。
そして、表4のサンプルの中でも、アルコール度数の低いサンプル4−1〜4−3(特に、サンプル4−1〜4−2)は、全ての評価項目で非常に好ましい結果が得られた。
表5の結果によると、フレーバーを含有させていないサンプル5−1と、レモンフレーバーを含有させたサンプル5−2、アップルフレーバーを含有させたサンプル5−3とは、全ての評価項目において、同じような点数が得られた。
この結果から、オクタン酸エチルやβ−ダマセノンに基づく本発明の各効果は、フレーバーの影響をほとんど受けることなく発揮されることが確認でき、様々な香味タイプのアルコール飲料に適用できることがわかった。

Claims (5)

  1. エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料であって、
    オクタン酸エチルを含有するアルコール飲料。
  2. 前記オクタン酸エチルの含有量が10〜400ppbである請求項1に記載のアルコール飲料。
  3. β−ダマセノンの含有量が5〜500ppbである請求項1又は請求項2に記載のアルコール飲料。
  4. エキス分を3.5w/v%未満とし、アルコール度数を9%未満とし、オクタン酸エチルを含有させる工程を含むアルコール飲料の製造方法。
  5. エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料の味の厚みと余韻とを増強させ、渋雑味とエグ味とを低減させる香味向上方法であって、
    前記アルコール飲料にオクタン酸エチルを含有させるアルコール飲料の香味向上方法。
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