JP7033434B2 - アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール感抑制方法 - Google Patents
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また、本発明者は、クエン酸とアルコールとが相乗的に作用することで生まれるアルコール感の突出した香味は、特許文献1や特許文献2に記載の甘味料では抑制し難いことも確認した。
(1)クエン酸と酢酸とを含有し、前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aが3以上20以下であり、前記クエン酸の含有量が0.15~0.50w/v%であり、前記酢酸の含有量が0.05~0.15w/v%であるアルコール飲料。
(2)クエン酸と酢酸とを含有させるとともに、前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを3以上20以下とし、前記クエン酸の含有量を0.15~0.50w/v%とし、前記酢酸の含有量を0.05~0.15w/v%とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
(3)アルコール飲料のアルコール感を抑制するアルコール感抑制方法であって、前記アルコール飲料にクエン酸と酢酸とを含有させるとともに、前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを3以上20以下とし、前記クエン酸の含有量を0.15~0.50w/v%とし、前記酢酸の含有量を0.05~0.15w/v%とするアルコール感抑制方法。
本実施形態に係るアルコール飲料は、クエン酸を含有するとともに酢酸を含有する飲料である。
ここで、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料であり、特定の種類の飲料に限定されないものの、クエン酸や酢酸が奏する酸味を果実様または野菜様の香味として生かすことのできる果実風味アルコール飲料または野菜風味アルコール飲料であるのが好ましく、果実風味アルコール飲料であるのが特に好ましい。なお、果実風味アルコール飲料とは、果実の風味(香味)を飲用者に与える飲料であり、野菜風味アルコール飲料とは、野菜の風味(香味)を飲用者に与える飲料であり、例えば、チューハイテイスト飲料、カクテルテイスト飲料、サワーテイスト飲料等が挙げられる。
クエン酸は、ヒドロキシ酸の一種であり、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸(2-Hydroxy-1,2,3-propanetricarboxylic acid)とも呼ばれる。
そして、クエン酸は、アルコール飲料に酸味を付与するが、アルコールの香味と相乗的に作用することによってアルコール感が突出してしまい、アルコール飲料を飲み難くさせてしまう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、このクエン酸を含有することを前提としている。
酢酸は、カルボン酸の一種であり、エタン酸(ethanoic acid)とも呼ばれる。
そして、酢酸は、一般的には独特なツンとした香味で知られているが、アルコール飲料に酸味を付与するだけでなく、驚くべきことに、前記したクエン酸とアルコールが相乗的に作用して生まれるアルコール感を抑制することができる。
アルコール飲料の酢酸の含有量をAw/v%とし、クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを特定することによって、前記したクエン酸とアルコールが相乗的に作用して生まれるアルコール感を抑制することができる。さらに、酢酸とクエン酸とをB/Aが所定範囲となるようにアルコール飲料内で共存させることにより、酢酸特有のツンとした香味も抑えられ、アルコール感と酸味とのバランスが良くなる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールを含有する。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、6v/v%以上であるのが好ましく、7v/v%以上であるのがより好ましく、8v/v%以上であるのがさらに好ましく、9v/v%以上であるのが特に好ましい。アルコール度数が所定値以上となる高アルコール飲料であることにより、アルコール感の抑制という効果をよりしっかりと発揮することができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、12v/v%以下であってもよく、10v/v%未満であってもよい。
そして、アルコール度数は、前記したアルコールの含有量によって調節することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性のものでも、発泡性のものでもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、前記した果実風味アルコール飲料または野菜風味アルコール飲料とするために、果汁を含んでいてもよいが、果実フレーバーまたは野菜フレーバーによって飲料の香味のタイプが果実様または野菜様となるように調製されていれば、無果汁又は低果汁であってもよい。
果汁の含有量(果汁率換算)は、「含有量(果汁率換算)%(詳細には、w/w%)」=「果汁配合量(g)」×「濃縮倍率」/100g×100により算出することができる。なお、「濃縮倍率」(ストレート果汁を100%としたときの果汁の相対的濃縮倍率)を算出するにあたり、JAS規格に準ずるものとし、各果実に特有の糖用屈折指示度の基準(Bx)又は酸度の基準(%)に基づいて換算できる。
また、「果実フレーバー」とは、果実様の香味を飲料に付加する香料であり、例えば、柑橘フレーバー(レモン、ライム、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、キノット、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン、ポンカン(マンダリンオレンジ)等の柑橘類のフレーバー)、ぶどうフレーバー、りんごフレーバー、ピーチフレーバー、マンゴーフレーバー等が挙げられる。
また、「野菜フレーバー」とは、野菜様の香味を飲料に付加する香料であり、例えば、トマト、ニンジン、ピーマン、サツマイモ、ショウガ等のフレーバーが挙げられる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
この混合工程において、酢酸の含有量、クエン酸の含有量、B/A等が前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
次に、本実施形態に係るアルコール感抑制方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール感抑制方法は、クエン酸を含有するアルコール飲料について、酢酸を含有させるとともに、酢酸の含有量をAw/v%とし、クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを所定範囲とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「アルコール飲料」において説明した値と同じである。
表に示す量となるように、クエン酸、酢酸、飲用アルコール、アセスルファムK、炭酸水を混合してサンプルを準備した。
なお、サンプルの20℃におけるガス圧は約2.0kg/cm2であった。
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル6名が下記評価基準に則って「アルコール感」、「アルコール感と酸味とのバランスの良さ」について、1~5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
5点:アルコール感が非常に強い。
4点:アルコール感が強い。
3点:アルコール感が感じられる。
2点:アルコール感が弱い。
1点:アルコール感が非常に弱い。
5点:アルコール感と酸味とのバランスが非常に良い。
4点:アルコール感と酸味とのバランスがかなり良い。
3点:アルコール感と酸味とのバランスが良い。
2点:アルコール感と酸味とのバランスが悪い。
1点:アルコール感と酸味とのバランスが非常に悪い。
サンプル1-1~1-5の結果から、クエン酸だけでなく酢酸を含有するとともにB/Aの値(クエン酸の含有量/酢酸の含有量)が所定範囲であるとアルコール感が抑制(アルコール感:4.0未満)されていることが確認できた。
また、サンプル1-2~1-4の結果から、クエン酸が所定量含有するとともに酢酸が所定量含有する場合は、アルコール感と酸味とのバランスがよい(アルコール感と酸味とのバランスの良さ:3.0以上)ことが確認できた。
また、サンプル2-2~2-3の結果から、クエン酸が所定量含有するとともに酢酸が所定量含有する場合は、アルコール感と酸味とのバランスがよい(アルコール感と酸味とのバランスの良さ:3.0以上)ことが確認できた。
Claims (3)
- クエン酸と酢酸とを含有し、
前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aが3以上20以下であり、
前記クエン酸の含有量が0.15~0.50w/v%であり、
前記酢酸の含有量が0.05~0.15w/v%であるアルコール飲料。 - クエン酸と酢酸とを含有させるとともに、前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを3以上20以下とし、前記クエン酸の含有量を0.15~0.50w/v%とし、前記酢酸の含有量を0.05~0.15w/v%とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
- アルコール飲料のアルコール感を抑制するアルコール感抑制方法であって、
前記アルコール飲料にクエン酸と酢酸とを含有させるとともに、前記酢酸の含有量をAw/v%とし、前記クエン酸の含有量をBw/v%とした場合、B/Aを3以上20以下とし、前記クエン酸の含有量を0.15~0.50w/v%とし、前記酢酸の含有量を0.05~0.15w/v%とするアルコール感抑制方法。
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