JP7283892B2 - アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、香味向上方法 - Google Patents
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なお、特許文献1では、本発明によるとカルバミン酸エチルの含有量を低減できるとともに、熟成感を付与できる、と説明されている。
しかしながら、ジャム浸漬酒を含有させたアルコール飲料であっても、果実テイストのアルコール飲料に特有の問題である、果実の酸味とアルコールの香味とが相まって発生する「トゲ感」を低減する必要がある。言い換えると、ジャム浸漬酒を含有させたアルコール飲料であっても、トゲ感を低減させることによって、まるみを増強させる必要がある。
加えて、果実テイストのアルコール飲料は、フレッシュ感に優れるとともにスッキリとした香味となる一方、味に厚みやコクを感じ難く、ボディー感に乏しいという解消すべき問題も存在する。
(1)ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料であって、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計が250ppb以上であり、前記フルフリルアルコールの含有量が125ppb以上であるアルコール飲料。
(2)フルフラールの含有量が200ppb以上である前記1に記載のアルコール飲料。
(3)マルトールを含有する前記1または前記2に記載のアルコール飲料。
(4)前記ジャム浸漬酒がリンゴジャム浸漬酒である前記1から前記3のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(5)ジャム浸漬酒を含有させるとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計を250ppb以上とし、前記フルフリルアルコールの含有量を125ppb以上とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
(6)アルコール飲料のまるみとボディー感とを増強させる香味向上方法であって、前記アルコール飲料にジャム浸漬酒を含有させるとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計を250ppb以上とし、前記フルフリルアルコールの含有量を125ppb以上とする香味向上方法。
本実施形態に係るアルコール飲料は、ジャム浸漬酒を含有するとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計が所定値以上の飲料である。
ここで、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料であり、特定の種類の飲料に限定されないものの、ジャム浸漬酒が奏する果実様の香味として生かすことのできる果実風味アルコール飲料であるのが好ましい。なお、果実風味アルコール飲料とは、果実の風味(香味)を飲用者に与える飲料であり、例えば、チューハイテイスト飲料、カクテルテイスト飲料、サワーテイスト飲料等が挙げられる。
ジャム浸漬酒は、ジャムを酒類に浸漬させて得られる浸漬酒である。酒類は、特定の酒類に限定されないものの、ジャムの香味として生かすことのできる蒸留酒が好ましい。詳細には、ジャム浸漬酒は、ジャムを30v/v%以上のアルコール度数の蒸留酒に浸漬し、その後、固形分をろ過等の方法によって除去することによって得られる液体である。
なお、ジャム浸漬酒に使用するジャムと浸漬酒との比率は特に限定されないが、重量比で1:99(好ましくは1:19、より好ましくは1:5)よりもジャムの比率が多ければジャム特有の良好な香味が浸漬酒に十分に付与されるとともに、あまりジャムの比率を多くしても、香味付与の効果は飽和する。加えて、ジャムの比率を多くすると、浸漬酒の回収率が低下することで原料果実あたりの最終製品への寄与も低下し、結果として効果が減少する。また、ジャム浸漬酒の浸漬条件は特に限定されないが、常温で1時間以上という条件であれば、香味付与の効果は飽和し、得られる浸漬酒の香味(強度)は大きく変わらない。
また、ジャムは、可溶性固形分が40%以上(Brixが40°以上)であり、果実等の含有率は33%以上(マーマレードの場合は20%以上)である。
なお、ジャムに使用する果実等は特に限定されないものの、例えば、リンゴ、ブルーベリー、いちご、梨、あんず、オレンジ、夏みかん、レモン等を挙げることができる。
なお、ジャム浸漬酒の含有量の下限も特に限定されないものの、0.01%以上が好ましく、0.015%以上、0.02%以上がより好ましい。ジャム浸漬酒の含有量が所定値以上であることによって、青臭さをあまり増強させることなくフレッシュ感を付与することができる。
フルフラール(furfural)は、化学式ではC5H4O2で表される芳香族アルデヒドの一種の物質であり、2-フランカルボキシアルデヒド(2-furancarboxaldehyde)とも呼ばれる。
そして、フルフラールは、驚くべきことに、ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料の酸味とアルコールの香味とが相まって生じるトゲ感を抑制し、香味をまるみのある状態とする(まるみを増強させる)ことができる。加えて、フルフラールは、ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料にコクを付与してボディー感を増強させることができる。
なお、フルフラールは、後記するフルフリルアルコールと略同様の効果を発揮する。
フルフラールの含有量は、100ppb(μg/L)以上が好ましく、130ppb以上、150ppb以上、200ppb以上、250ppb以上、300ppb以上、500ppb以上、1000ppb以上、1300ppb以上がより好ましい。フルフラールの含有量が所定値以上であることによって、本発明の効果(まるみとボディー感との増強)をより確実に発揮させることができる。
フルフラールの含有量は、12000ppb以下が好ましく、10000ppb以下、8000ppb以下、6000ppb以下、5000ppb以下がより好ましい。フルフラールの含有量が所定値以下であることによって、香味のバランスを良い状態とすることができる。
フルフリルアルコール(furfurylalcohol)は、化学式ではC5H6O2で表される物質であり、2-フランメタノール(2-furanmethanol)とも呼ばれる。
そして、フルフリルアルコールは、驚くべきことに、ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料の酸味とアルコールの香味とが相まって生じるトゲ感を抑制し、香味をまるみのある状態とする(まるみを増強させる)ことができる。加えて、フルフリルアルコールは、ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料にコクを付与してボディー感を増強させることができる。
なお、フルフリルアルコールは、前記したフルフラールと略同様の効果を発揮する。
フルフリルアルコールの含有量は、100ppb(μg/L)以上が好ましく、130ppb以上、150ppb以上、200ppb以上、250ppb以上、300ppb以上、500ppb以上、1000ppb以上、1300ppb以上がより好ましい。フルフリルアルコールの含有量が所定値以上であることによって、本発明の効果(まるみとボディー感との増強)をより確実に発揮させることができる。
フルフリルアルコールの含有量は、12000ppb以下が好ましく、10000ppb以下、8000ppb以下、6000ppb以下、5000ppb以下がより好ましい。フルフリルアルコールの含有量が所定値以下であることによって、香味のバランスを良い状態とすることができる。
フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計は、200ppb(μg/L)以上が好ましく、230ppb以上、250ppb以上、280ppb以上、300ppb以上、1300ppb以上、1500ppb以上、2800ppb以上、3000ppb以上がより好ましい。両成分の含有量の合計が所定値以上であることによって、本発明の効果(まるみとボディー感との増強)を発揮させることができる。
フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計は、20000ppb以下が好ましく、12000ppb以下、10000ppb以下、8000ppb以下、7000ppb以下、6000ppb以下がより好ましい。両成分の含有量の合計が所定値以下であることによって、本発明の効果(まるみとボディー感との増強)をしっかりと発揮させるとともに、香味のバランスを良い状態とすることができる。
なお、本実施形態に係るアルコール飲料は、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計が前記のような範囲となっていれば、両方を含有する場合だけでなく、片方を含有する場合も含まれる。
マルトール(maltol)は、化学式ではC6H6O3で表される物質であり、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン(3-hydroxy-2-methyl-4H-pyran-4-one)とも呼ばれる。
そして、マルトールは、本発明において必須の成分ではないものの、前記したフルフラールやフルフリルアルコールと相まって、ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料のまるみとボディー感とをさらに増強させることができる。
マルトールを含有させる場合、マルトールの含有量は、200ppm(mg/L)以下が好ましく、150ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、50ppm以下がさらに好ましい。マルトールの含有量を所定値以下とすることによって、当該成分に基づく効果(まるみとボディー感との増強効果)をしっかりと発揮させることができる。
また、フルフラール、フルフリルアルコール、マルトールは、由来については特に限定されず、前記したジャム浸漬酒に由来するもののほか、香料(フレーバー)に由来するものであってもよいが、各種果汁および果汁加工品に由来するものであってもよい。
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールを含有する。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
アルコール度数は特に限定されないものの、例えば、3%(v/v%)以上、4%以上、5%以上、5.5%以上であり、10%未満、9%以下、8%以下、7%未満、6.5%以下である。
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性のものでも、発泡性のものでもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が49kPa以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が49kPa未満であることをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を含有していてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトースなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸、フィチン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で、各種果汁、果実の香料(フレーバー)等を含有していてもよい。
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
この混合工程において、フルフラール、フルフリルアルコール、マルトール等の含有量が前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
また、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程の前に、ジャム浸漬酒を製造する工程(ジャム浸漬酒製造工程)を設けてもよい。
次に、本実施形態に係る香味向上方法を説明する。
本実施形態に係る香味向上方法は、アルコール飲料にジャム浸漬酒を含有させるとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計を所定値以上とする方法であって、アルコール飲料のまるみとボディー感とを増強させる方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「アルコール飲料」において説明した値と同じである。
表に示す量となるように、生果実浸漬酒(リンゴ浸漬酒又はオレンジ浸漬酒)、ジャム浸漬酒(リンゴジャム浸漬酒又はオレンジマーマレード浸漬酒)、フルフラール、フルフリルアルコール、蒸留アルコール、炭酸水を適宜混合してサンプルを準備した。
また、表には記載していないが、各サンプルにはクエン酸、クエン酸ナトリウム、グラニュー糖を含有させているが、これらの含有量は、各サンプル間において一定量に揃えた。
そして、各サンプルの20℃におけるガス圧は約0.21MPaであり、アルコール度数は6v/v%であった。
王林種りんごの約半分を裁断し、残りを擦りおろし、りんごの半量のグラニュー糖を加えた。これを沸騰させ、さらにかき混ぜながら30分間煮込み、最終的にはBrix58°のリンゴジャムを得た。
そして、リンゴジャム563gに、ジャム煮込み時に蒸発した水分量を加味し、果実:アルコール重量比が1:1.6になるよう65.5v/v%アルコールを加え、かき混ぜた後20℃で7日間静置した。その後、グラスフィルター(孔径:約1μm)で固形分を除去し、アルコール分40v/v%、エキス分25%の浸漬酒を得た。
ミキサーで粉砕した王林種りんご462gに、65.5v/v%アルコール750gを加え、撹拌した後20℃で7日間静置した。その後、リンゴジャム浸漬酒と同様の条件にするため、グラニュー糖をりんごの半量加え溶解した後、グラスフィルター(孔径:約1μm)で固形分を除去し、アルコール分39v/v%、エキス分14%の浸漬酒を得た。
ネーブル種オレンジの果肉および果皮を裁断し、オレンジの半量のグラニュー糖を加えた。これを沸騰させ、さらにかき混ぜながら30分間煮込み、最終的にはBrix56°のオレンジマーマレードを得た。
そして、オレンジマーマレード375gに、マーマレード煮込み時に蒸発した水分量を加味し、果実:アルコール重量比が1:2.5になるよう65.5v/v%アルコールを加え、撹拌した後20℃で7日間静置した。その後、グラスフィルター(孔径:約1μm)で固形分を除去し、アルコール分46v/v%、エキス分18%の浸漬酒を得た。
ミキサーで粉砕したネーブル種オレンジ421gに、65.5v/v%アルコール1048gを加え、撹拌した後20℃で7日間静置した。その後、オレンジマーマレード浸漬酒と同様の条件にするため、グラニュー糖をオレンジの半量加え溶解した後、グラスフィルター(孔径:約1μm)で固形分を除去し、アルコール分48v/v%、エキス分7.5%の浸漬酒を得た。
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネルが下記評価基準に則って「フレッシュ感」、「青臭さ」、「まるみ」、「ボディー感」、「総合評価」について、1点~5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、サンプル1-1~1-3、3-1~3-7はパネル7名で評価を実施し、サンプル2-2~2-3、4-1~4-8、5-1~5-3、6-3~6-7はパネル8名で評価を実施した。
また、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
フレッシュ感の評価については、「果汁感が全く感じられず、フレッシュ感が全くない」場合を1点、「果汁感が非常に強く感じられ、フレッシュ感が非常に強い」場合を5点として5段階で評価した。そして、フレッシュ感の評価については、点数が高いほどフレッシュに感じられ、好ましいと判断できる。
青臭さの評価については、「青草的で生臭いような香味が全く感じられず、青臭さが全くない」場合を1点、「青草的で生臭いような香味が非常に強く感じられ、青臭さを非常に強く感じる」場合を5点として5段階で評価した。そして、青臭さの評価については、点数が低いほど青臭さが抑制されており、好ましいと判断できる。
まるみの評価については、「果実の酸味とアルコールの香味とが相まって発生する味覚的な刺激感、いわゆるトゲ感を非常に強く感じ、香味にまるみがあるとは全く感じない」場合を1点、「果実の酸味とアルコールの香味とが相まって発生する味覚的な刺激感、いわゆるトゲ感を全く感じず、香味がまるいと非常に強く感じる」場合を5点として5段階で評価した。そして、まるみの評価については、点数が高いほどまるみが増強されており、好ましいと判断できる。
ボディー感の評価については、「コクを全く感じず、ボディー感(味の厚み)を全く感じない」場合を1点、「コクを非常に強く感じ、ボディー感(味の厚み)を非常に強く感じる」場合を5点として5段階で評価した。そして、ボディー感の評価については、点数が高いほどボディー感が増強されており、好ましいと判断できる。
総合評価については、「香味のバランスが非常に悪く、果実風味のアルコール飲料として不適な香味である」場合を1点、「香味のバランスが非常に良く、果実風味のアルコール飲料として好適な香味である」場合を5点として5段階で評価した。そして、総合評価については、点数が高いほど、好ましいと判断できる。
また、表中に示した各評価の結果について、サンプル2-1の各評価の結果は、同じ配合であるサンプル1-1の各評価の結果を使用し、同様に、サンプル6-1はサンプル3-1、サンプル6-2はサンプル3-5、サンプル6-7はサンプル5-1の各評価の結果を使用した。
なお、使用した各種浸漬酒にはフルフラールやフルフリルアルコールが微量含まれていたが、フルフラールやフルフリルアルコールの添加に基づく含有量と比較すると、各種浸漬酒に由来するこれらの含有量は、オーダーが明確に異なるほど極少量であったため(誤差程度の含有量であったため)、表1、2では、これらの量を表していない。
表1、2の結果から明らかなように、生果汁浸漬酒であるリンゴ浸漬酒やオレンジ浸漬酒を使用した場合(サンプル1-2、2-2)は、浸漬酒を使用しない場合(サンプル1-1、2-1)と比較すると、フレッシュ感は増強するが、併せて、青臭さも大きく増強してしまうことがわかった。
一方、ジャム浸漬酒であるリンゴジャム浸漬酒やオレンジマーマレード浸漬酒を使用した場合(サンプル1-3、2-3)は、フレッシュ感を増強させつつも、生果汁浸漬酒を使用した場合(サンプル1-2、2-2)と比較すると、青臭さの大幅な増強は抑制されることがわかった。
また、表2には表さなかったが、「まるみ」の評価の点数については、サンプル2-3>サンプル2-2>サンプル2-1という結果が得られ、「ボディー感」の評価の点数についても、サンプル2-3>サンプル2-2>サンプル2-1という結果が得られた。
これらの結果から、ジャム浸漬酒であるリンゴジャム浸漬酒やオレンジマーマレード浸漬酒を使用した場合(サンプル1-3、2-3)の方が、生果汁浸漬酒であるリンゴ浸漬酒やオレンジ浸漬酒を使用した場合(サンプル1-2、2-2)よりも、「まるみ」や「ボディー感」が増強されることがわかった。
Claims (6)
- ジャム浸漬酒を含有するアルコール飲料であって、
フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計が250ppb以上であり、
前記フルフリルアルコールの含有量が125ppb以上であるアルコール飲料。 - フルフラールの含有量が200ppb以上である請求項1に記載のアルコール飲料。
- マルトールを含有する請求項1または請求項2に記載のアルコール飲料。
- 前記ジャム浸漬酒がリンゴジャム浸漬酒である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- ジャム浸漬酒を含有させるとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計を250ppb以上とし、前記フルフリルアルコールの含有量を125ppb以上とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
- アルコール飲料のまるみとボディー感とを増強させる香味向上方法であって、
前記アルコール飲料にジャム浸漬酒を含有させるとともに、フルフラールとフルフリルアルコールとの含有量の合計を250ppb以上とし、前記フルフリルアルコールの含有量を125ppb以上とする香味向上方法。
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美的に ダブルりんご焼酎 レシピ・作り方,楽天レシピ,2017年06月21日,[online]レシピID:1750043659,[2022年12月14日検索] |
麦焼酎製造中に生成されるフルフラールの官能特性とその生成要因について,J. Brew. Soc. Japan.,2008年,Vol.103, No.9,p.730-734 |
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