JP6368485B2 - 梅干風味組成物及び梅干風味付与方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、脱塩梅酢と梅果汁とを含有することを特徴とする飲料が記載されている。
特許文献3には、モルトエキスを添加することを特徴とする、可食性製品の塩味の増強方法が記載されている。
特許文献2に記載の発明には、梅果汁とは別に脱塩梅酢を製造する必要があるため、特許文献1に記載の発明と同様、製造に手間がかかり、コストが高くなるという問題があった。
また、これらの発明においては、梅由来の成分が比較的多量に含まれているため、製品の安定性、つまり、成分や風香味の安定性が低下するという問題もあった。
そして、特許文献3に記載の発明は、モルトエキスを添加することによって塩味を増強することはできるものの、梅干の風香味(以下、「梅干感」という。)を付与するものではない。
〔1〕希釈して用いるための梅干風味組成物であって、梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、ペリラアルデヒドの含有量をx(質量%)、使用時の希釈倍率をy(倍)としたときに、ペリラアルデヒドの含有量xが、0.001y≦x≦0.01yの関係を満たし(ただし、前記yは、1以上10以下である)、クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。
〔2〕梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、ペリラアルデヒドを0.005〜0.05質量%含み、クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。
〔3〕梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、ペリラアルデヒドを0.001〜0.01質量%含み、クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。
〔4〕さらに、ベンズアルデヒドを含むことを特徴とする前記〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の梅干風味組成物。
〔5〕前記ペリラアルデヒドの含有量を1としたときに、前記ベンズアルデヒドの含有量が0.25以下であることを特徴とする前記〔4〕に記載の梅干風味組成物。
〔6〕単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つエキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5であることを特徴とする前記〔1〕から〔5〕のいずれか1つに記載の梅干風味組成物。
〔7〕飲料又は食品に前記〔1〕から〔6〕のいずれか1つに記載の梅干風味組成物を添加することを特徴とする梅干風味付与方法。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る梅干風味組成物は、希釈して用いる梅干風味組成物であって、梅果汁を含有し、ペリラアルデヒドの含有量をx(質量%)、使用時の希釈倍率をy(倍)としたときに、ペリラアルデヒドの含有量xが、0.001y≦x≦0.01yの関係を満たすというものである。かかる関係式は、0.001≦x/y≦0.01と理解することもできる。つまり、梅干風味組成物に含有されているペリラアルデヒドの含有量を使用時の希釈倍率で割った値が0.001〜0.01の間となるというものである。
ストレート梅果汁とは、梅果実を洗浄し、加熱処理し、搾汁することによって得た果汁をいう。
濃縮梅果汁とは、梅果実を洗浄し、加熱処理し、搾汁し、遠心分離し、濃縮することによって得た果汁をいう。
濃縮還元梅果汁とは、濃縮梅果汁に対し、計算上、ストレート梅果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。
梅エキスとは、梅果汁を加熱濃縮処理することによって得たものをいう。
なお、梅果汁の果汁率(梅果汁添加率)は、ストレート換算で、例えば、0.5〜50%とすることができる。
クエン酸ナトリウムとしては、例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素ナトリウムなどが挙げられる。クエン酸カリウムとしては、例えば、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素カリウムなどが挙げられる。クエン酸カルシウムとしては、例えば、クエン酸一カルシウム、クエン酸二カルシウム、クエン酸三カルシウム、クエン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
なお、総クエン酸としては、前記以外にもクエン酸マグネシウム、クエン酸レシチン、クエン酸三アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄(III)、クエン酸イソプロピル、クエン酸ステアリル、クエン酸トリエチルなども含まれ得る。
総ナトリウムの量(総ナトリウム量)は、例えば、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
例えば、製品である梅干風味組成物中に含まれる総クエン酸量と総ナトリウム量を単位体積当たりの総クエン酸量(例えば、ミリグラム毎100ミリリットル(mg/100mL))と単位体積当たりの総ナトリウム量(mg/100mL)の比が、総クエン酸量/総ナトリウム量で6.5〜22となるようにする。
当該比が6.5〜22の範囲内にあれば、梅干風味組成物が飲料や食品に付与する梅干感を確実に向上させることができる。なお、当該比が22を超えると、梅果汁そのものの味わいが強く、梅酢のような印象となり、梅干感を得ることができない。また、当該比が6.5未満であると、塩味が強く厚みがあるため、マイルドな味となり、梅干感を得ることができない。当該比は、7.0〜20とするのが好ましく、7.5〜18とするのがより好ましく、10〜16とするのがさらに好ましい。
前記した梅果汁や添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
従って、本実施形態に係る梅干風味組成物は、飲料又は食品に対して簡便、確実且つ安価に梅干感を付与することができる。
第2実施形態に係る梅干風味組成物は、梅果汁を含有し、ペリラアルデヒドを0.005〜0.05質量%含むというものである。
この第2実施形態に係る梅干風味組成物は、希釈して用いることを要件とせず、ペリラアルデヒドの含有量が特定の数値範囲に特定されている点で第1実施形態に係る梅干風味組成物と相違しているが、その他の構成は第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と同じ構成については説明が重複するためその説明を省略し、異なる構成について説明する。
また、第3実施形態に係る梅干風味組成物は、梅果汁を含有し、ペリラアルデヒドを0.001〜0.01質量%含むというものである。
この第3実施形態に係る梅干風味組成物は、第2実施形態と同様、希釈して用いることを要件とせず、ペリラアルデヒドの含有量が特定の数値範囲に特定されている点で第1実施形態に係る梅干風味組成物と相違しているが、その他の構成は第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と同じ構成については説明が重複するためその説明を省略し、異なる構成について説明する。
つまり、この第3実施形態に係る梅干風味組成物は、当該梅干風味組成物を希釈しないでそのまま飲用することができる。本実施形態においてペリラアルデヒドの含有量が0.001質量%未満になると、ペリラアルデヒドの含有量が少ないため飲料に梅干感を付与することができないおそれがある。その一方で、本実施形態においてペリラアルデヒドの含有量が0.01質量%を超えると、飲料に梅干感を付与することはできるが、梅干感が強すぎたり、苦味がでたりするなどしてバランスが悪くなるおそれがある。
本実施形態に係る梅干風味組成物は、次のようにして製造することができる。
例えば、図1に示すように、本実施形態に係る梅干風味組成物の製造方法は、添加工程S1と、調節工程S2と、を含んでいる。
測定した又は梅果汁の納入元が開示している梅果汁中のクエン酸、ナトリウム、及びエキス分の含有量が、本工程で規定する各要件を満たすよう、これらの含有量が不足している場合は不足分を補うべく、適宜、クエン酸、ナトリウム、及びエキス分を添加し、これらの含有量が過剰な場合は希釈するなどして調節する。
従って、前記した製造方法によれば、飲料又は食品に対して簡便、確実且つ安価に梅干感を付与することのできる梅干風味組成物を製造することができる。
本実施形態に係る梅干風味付与方法は、飲料又は食品に前記した本実施形態に係る梅干風味組成物を添加するというものである。なお、飲料又は食品に梅干風味組成物を添加した後は、必要に応じて混和等するとよい。混和等を行うことによって、梅干感を飲料や食品全体に、均一に付与することができる。
また、本実施形態に係る梅干風味付与方法の適用例としては、例えば、飲料の製造工場等にて、本実施形態に係る梅干風味組成物を用いて飲料を製造することが挙げられる。
また、本実施形態に係る梅干風味付与方法としては、例えば、菓子類の製造工場にて、本実施形態に係る梅干風味組成物を用いて菓子を製造することなども挙げられる。
はじめに、下記に示す原材料と使用量にてシロップのベースを製造した。
うめ5倍濃縮果汁 52.5g/L
果糖ぶどう糖液糖 229.8g/L
無水クエン酸 20.3g/L
クエン酸3ナトリウム 10g/L
赤色色素 2g/L
カラメル色素 0.5g/L
防腐剤 0.66g/L
◎:強い梅干感があった。
○:梅干感があった。
×:弱い梅干感があった。
◎:非常に良い。
○:良い。
×:悪く、飲用に適さない。
具体的には、試料1は、シロップ時のペリラアルデヒドの濃度が低かったので、5倍に希釈した飲用時のペリラアルデヒドの濃度も低くなった。そのため、梅干感がかなり弱く、全体のバランスも悪いという結果となった。
また、試料2もシロップ時のペリラアルデヒドの濃度が低かったので、5倍に希釈した飲用時のペリラアルデヒドの濃度も低くなった。そのため、わずかな梅干感はあったものの十分ではない結果となった。
試料7は、シロップ時のペリラアルデヒドの濃度が高かったので、5倍に希釈した飲用時のペリラアルデヒドの濃度も高くなった。そのため、梅干感は高かったものの、飲料としては全体のバランスが悪いという結果となった。
第1実施例に記載したシロップのベースに、第1実施例で評価の高かった試料4と試料5の間の含有量となるように、具体的には0.0250質量%となるようにペリラアルデヒドを添加するとともに、表2の試料8〜14に示す濃度となるようにベンズアルデヒドを添加し、純水で1Lにゲージアップを行った。そして、第1実施例と同様、110.5℃、30秒の超高温殺菌(UHT殺菌)を行った後、紙容器にホットパック充填を行い、それぞれの試料のシロップを調製した。なお、試料8はベンズアルデヒドを添加していない対照区である。調製した試料8〜14に係るシロップと純水を体積比で1:4の割合で加え(5倍希釈)、試飲用の試料8〜14を調製した。そして、よく訓練された専門のパネル5名が対照区である試料8と比較して梅干感及び全体のバランスについて評価した。また、評価については各パネルがディスカッションを行い決定した。
試料12、13は、対照区である試料8と比較して、梅干感が強くなり、全体のバランスもやや良好になった。
また、試料14は、対照区である試料8と比較して、梅干感が強くなったが、全体のバランスが悪くなり、梅干としての自然感にやや劣る印象を受けた。そのため、嗜好によっては好まれない場合も想定され、これ以上のベンズアルデヒドの添加は控えた方が好ましいと考えられた。
第1実施例に記載したシロップのベースに、第2実施例で評価の高かった試料10の含有量となるように、具体的にはペリラアルデヒドが0.0250質量%、ベンズアルデヒドが0.00025質量%となるように添加し、さらにクミンアルデヒドが0.00025質量%となるように添加し、純水で1Lにゲージアップを行った。そして、第1実施例と同様、110.5℃、30秒の超高温殺菌(UHT殺菌)を行った後、紙容器にホットパック充填を行い、試料16のシロップを調製した。なお、試料15はクミンアルデヒドを添加していない対照区である。調製した試料15、16に係るシロップと純水を体積比で1:4の割合で加え(5倍希釈)、試飲用の試料15、16を調製した。そして、よく訓練された専門のパネル5名が対照区である試料15と比較して梅干感及び全体のバランスについて評価した。また、評価については各パネルがディスカッションを行い決定した。
第1実施例の試料4を用いて、ハクサイの一夜漬けとスライスした生のきゅうりに、そのまま、又は2倍に希釈して添加し、試食評価した。その結果、いずれも梅干感が感じられ良好な味覚を有していることが確認された。
S2 調節工程
Claims (7)
- 希釈して用いるための梅干風味組成物であって、
梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、
ペリラアルデヒドの含有量をx(質量%)、使用時の希釈倍率をy(倍)としたときに、ペリラアルデヒドの含有量xが、0.001y≦x≦0.01yの関係を満たし(ただし、前記yは、1以上10以下である)、
クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。 - 梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、ペリラアルデヒドを0.005〜0.05質量%含み、クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。
- 梅果汁をストレート換算で0.5〜50%含有し、ペリラアルデヒドを0.001〜0.01質量%含み、クミンアルデヒドを含むことを特徴とする梅干風味組成物。
- さらに、ベンズアルデヒドを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の梅干風味組成物。
- 前記ペリラアルデヒドの含有量を1としたときに、前記ベンズアルデヒドの含有量が0.25以下であることを特徴とする請求項4に記載の梅干風味組成物。
- 単位体積当たりの総クエン酸量と単位体積当たりの総ナトリウム量の比が、前記総クエン酸量/前記総ナトリウム量で6.5〜22、且つ
エキス分と酸度の比が、前記エキス分/前記酸度で6〜16.5
であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の梅干風味組成物。 - 飲料又は食品に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の梅干風味組成物を添加することを特徴とする梅干風味付与方法。
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