JP6931564B2 - 梅香味飲料、梅香味飲料ベース、梅香味飲料の製造方法、梅香味飲料ベースの製造方法、及び、梅香味飲料の香味向上方法 - Google Patents
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そして、梅香味飲料に関し、より消費者のニーズに合致した商品を創出すべく、様々な研究開発が進められている。
また、本発明者は、梅香味飲料の梅らしいフルーティーで爽やかな香りをより強くすることによって、梅香味飲料の長所を伸ばすことができるのではないかと考えた。
(1)1−オクテン−3−オールの含有量が0.95〜3.25μg/Lであり、酢酸ヘキシルの含有量が0.023〜1.00μg/Lであり、アルコール度数が1〜10v/v%である梅香味飲料。
(2)梅果汁を含有する前記1に記載の梅香味飲料。
(3)前記1−オクテン−3−オールの含有量が1.35〜2.00μg/Lである前記1又は前記2に記載の梅香味飲料。
(4)前記酢酸ヘキシルの含有量が0.05〜0.40μg/Lである前記1から前記3のいずれか1つに記載の梅香味飲料。
(5)1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料ベースであって、前記1−オクテン−3−オールの含有量をXμg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量をYμg/Lとし、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dが0.95〜3.25であり、Y/Dが0.023〜1.00であり、A/Dが1〜10である梅香味飲料ベース。
(6)1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料の製造方法であって、前記1−オクテン−3−オールの含有量を0.95〜3.25μg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量を0.023〜1.00μg/Lとし、アルコール度数を1〜10v/v%とする工程を含む梅香味飲料の製造方法。
(7)1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料ベースの製造方法であって、前記1−オクテン−3−オールの含有量をXμg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量をYμg/Lとし、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dを0.95〜3.25とし、Y/Dを0.023〜1.00とし、A/Dを1〜10とする工程を含む梅香味飲料ベースの製造方法。
(8)梅香味飲料の後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、を増強させる香味向上方法であって、前記梅香味飲料について、1−オクテン−3−オールの含有量を0.95〜3.25μg/Lとし、酢酸ヘキシルの含有量を0.023〜1.00μg/Lとし、アルコール度数を1〜10v/v%とする梅香味飲料の香味向上方法。
本発明に係る梅香味飲料ベースは、X/D、Y/Dが所定範囲内となっていることから、希釈後の梅香味飲料は後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、が増強している。
本発明に係る梅香味飲料ベースの製造方法は、X/D、Y/Dを所定範囲内とする工程を含むことから、希釈後の梅香味飲料について、後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、が増強された梅香味飲料ベースを製造することができる。
本実施形態に係る梅香味飲料は、1−オクテン−3−オールと、酢酸ヘキシルと、を含有する。また、本実施形態に係る梅香味飲料は、梅果汁、アルコール等を含有してもよい。
以下、梅香味飲料を構成する各成分について説明する。
1−オクテン−3−オール(1−octen−3−ol)とは、分子式がC8H16Oで示される不飽和アルコールの一種であり、キノコ類に含まれる香気成分である。この1−オクテン−3−オールは、マッシュルーム臭やカビ臭を発する成分として知られているが、驚くべきことにこの物質が酢酸ヘキシルと組み合わさることによって梅香味飲料の後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、を増強させることを本発明者は見出した。
1−オクテン−3−オールの含有量は、3.25μg/L以下が好ましく、2.00μg/L以下がより好ましく、1.90μg/L以下がさらに好ましい。1−オクテン−3−オールの含有量が所定値以下であることにより、マッシュルーム臭やカビ臭が強く感じてしまうといった事態を回避し、味や香りの評価の低下を抑制することができる。
酢酸ヘキシル(Acetic acid, hexyl ester)とは、分子式がC8H16O2で示される芳香化合物の一種であり、フレッシュグリーンノート、グリーンアップル様の香気を呈する成分として知られている。そして、前記した1−オクテン−3−オールと組み合わさることによって梅香味飲料の後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、をより増強させる。
酢酸ヘキシルの含有量は、1.00μg/L以下が好ましく、0.40μg/L以下がより好ましく、0.30μg/L以下がさらに好ましい。酢酸ヘキシルの含有量が所定値以下であることにより、酸味がべたつくように後味として残ってしまったり、香りの梅らしさが低減してしまったりするといった事態を回避し、味や香りの評価の低下を抑制することができる。
試料8mlを10ml容量のバイアル瓶に入れ、気相部に固相マイクロ抽出ファイバーを挿入し、50℃下30分間加熱し、攪拌した後に、揮発した成分を捕集し、GC/MS測定に供する。
装置 :GC 7890B(Agilent Technologies)
MS 5977B(Agilent Technologies)
カラム :HP-1MS 30 m × 0.25 mm, 1 μm(Agilent Technologies)
SPMEファイバー:65μm PDMS/DVB(Supelco)
注入方法 :スプリットレス、 パージ流量40 ml/min 3 min
注入口温度 :270 ℃
キャリアガス:1 ml/min
昇温条件 :40 ℃(3 min)-5 ℃/min-200 ℃-8 ℃/min-320 ℃
AUX温度 :320 ℃
モニターイオン:1-オクテン-3-オール(m/z=99,85)、酢酸ヘキシル(m/z=84,69)
本実施形態に係る梅香味飲料は、梅果汁を含有してもよい。
梅果汁は、梅果実を搾った汁である。そして、梅果汁は、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
果汁の含有量は、果汁率換算で17%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。梅果汁の含有量が所定値以下であることにより、酸味が強過ぎるといった事態を回避することができる。
ここで、「濃縮倍率」(ストレート果汁を100%としたときの果汁の相対的濃縮倍率)を算出するにあたり、JAS規格に準ずるものとし、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
詳細には、ストレート果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度の値は、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)によって、各果実に固有の基準値が定められている(果実飲料品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)の別表3において「糖用屈折計示度の基準(Bx)」、別表4において「酸度の基準(%)」)。したがって、使用する果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度を測定し、その果実に固有の糖用屈折計示度あるいは酸度の基準値で割れば、果汁の濃縮倍率を求めることができる。
本実施形態に係る梅香味飲料は、アルコールを含有してもよい。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
そして、梅香味飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
梅香味飲料のアルコール度数は、特に限定されないが、アルコール飲料とする場合は、1v/v%以上であることが好ましく、3v/v%以上であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以上であることにより、後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りとの増強効果をさらに明確にすることができる。
梅香味飲料のアルコール度数は、20v/v%以下であることが好ましく、10v/v%以下であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以下であることにより、後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りとの増強効果が確認し難くなるという事態を回避することができる。
酸度とは、製品である飲料に含まれる酸の濃度であり、酸味を示す指標となる。なお、製品である飲料に含まれる酸であるので、当該酸は梅果汁由来のものは当然のこと、添加剤として酸味料等を添加したときには、当該酸味料等由来の酸もこれに含まれる。酸度は、飲料100mL中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(g/100mLクエン酸換算、w/v%)で表すことができる。
そして、酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
梅香味飲料の酸度は、1.00w/v%以下が好ましく、0.90w/v%以下がより好ましく、0.80w/v%以下がさらに好ましい。酸度が所定値以下であることにより、酸味が強過ぎるという事態を回避することができる。
エキス分とは、糖分(炭水化物)、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分などからなる不揮発性固形分をいう。エキス分を構成するこれらの成分は、梅果汁由来のほか、種々添加される添加剤(添加剤については後記する)由来のものも含まれる。
かかるエキス分は、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出した値、すなわち、温度15℃において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数(g/100cm3)とするのがよい。
梅香味飲料のエキス分は、12.00g/100cm3以下が好ましく、10.00g/100cm3以下がより好ましく、7.00g/100cm3以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る梅香味飲料は、非発泡性であっても、発泡性であってもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいう。
本実施形態に係る梅香味飲料は、梅エキスを含有しないのが好ましい。
梅エキスは、通常、ろ過した梅果汁を加熱しながら時間をかけて練り上げる処理(蒸練処理)を行って製造されるが、当該蒸練処理によって砂糖を焦がしたような臭いが生じるおそれがある。したがって、梅香味飲料は梅エキスを含有しないことにより、砂糖を焦がしたような臭いが付与されるのを回避することができる。
本実施形態に係る梅香味飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維、着色料など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。
そして、前記した1−オクテン−3−オール、酢酸ヘキシルについては、化合物、香料等として一般に市販されているものを使用することができ、また、梅果汁、アルコール、添加物も、一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係る梅香味飲料ベースは、後記する割り材で希釈されることにより前記の梅香味飲料とすることができる。
なお、本実施形態に係る梅香味飲料ベースは、消費者や飲食店などに提供されるに際して、飲料ベースの状態(RTS:Ready To Serve)で提供された後に割り材で希釈されてもよいし、飲料ベースを割り材で希釈した後に飲料の状態(RTD:Ready To Drink)で提供されてもよい。
梅香味飲料ベースの1−オクテン−3−オールの含有量をXμg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合、X/Dは、0.95以上が好ましく、1.35以上がより好ましく、1.55以上がさらに好ましい。また、X/Dは、3.25以下が好ましく、2.00以下がより好ましく、1.90以下がさらに好ましい。
梅香味飲料ベースの酢酸ヘキシルの含有量をYμg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合、Y/Dは、0.023以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.06以上がさらに好ましい。また、Y/Dは、1.00以下であり、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。
梅香味飲料ベースの果汁の含有量の果汁率換算をZ%とし、希釈倍率をD倍とした場合、Z/Dは、2以上が好ましく、4以上がより好ましい。また、Z/Dは、17以下が好ましく、10以下がより好ましい。
梅香味飲料ベースのアルコール度数は特に限定されないが、梅香味飲料ベースのアルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1以上であることが好ましく、3以上であることがさらに好ましい。また、A/Dは、20以下であることが好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
梅香味飲料ベースの酸度は特に限定されないが、梅香味飲料ベースの酸度をCw/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、C/Dは、0.20以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.30以上がさらに好ましい。また、C/Dは、1.00以下が好ましく、0.90以下がより好ましく、0.80以下がさらに好ましい。
梅香味飲料ベースのエキス分の値は特に限定されないが、梅香味飲料ベースのエキス分をBg/100cm3とし、希釈倍率をD倍とした場合、B/Dは、3.00以上が好ましく、3.50以上がより好ましく、4.00以上がさらに好ましい。また、B/Dは、12.00以下が好ましく、10.00以下がより好ましく、7.00以下がさらに好ましい。
割り材とは、本実施形態に係る梅香味飲料ベースの希釈に用いるものである。
割り材としては、例えば、水、炭酸水、お湯、氷、果汁、果汁入り飲料、牛乳、茶、アルコール等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、割り材を用いた希釈は、本実施形態に係る梅香味飲料が1.2〜20倍、好ましくは1.5〜10倍、さらに好ましくは2〜5倍となるように実施すればよい。
本実施形態に係る梅香味飲料、及び、梅香味飲料ベースは、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に梅香味飲料又は梅香味飲料ベースを詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
また、各種容器に梅香味飲料ベースを詰める場合は、その容器に、前記した割り材等によって希釈して飲んでもよい旨の表示(例えば、希釈倍率等)を付してもよい。
次に、本実施形態に係る梅香味飲料、及び、梅香味飲料ベースの製造方法を説明する。
本実施形態に係る梅香味飲料、及び、梅香味飲料ベースの製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
この混合工程S1において、1−オクテン−3−オール、酢酸ヘキシル、果汁の含有量、X/D、Y/D、Z/D等が前記した所定範囲の量となるように各原料を混合し、調整すればよい。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
また、本実施形態に係る梅香味飲料ベースの製造方法は、X/D、Y/Dを所定範囲内とする工程を含むことから、希釈後の梅香味飲料について、後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、が増強された梅香味飲料ベースを製造することができる。
次に、本実施形態に係る梅香味飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係る梅香味飲料の香味向上方法は、梅香味飲料について、1−オクテン−3−オールの含有量と酢酸ヘキシルの含有量とを、所定の範囲内とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「梅香味飲料」において説明した値と同じである。
実施例1では、1−オクテン−3−オールの含有量と酢酸ヘキシルの含有量とが、各評価に与える影響について確認する。
梅果汁(5倍濃縮の国産、10倍濃縮の台湾産)、1−オクテン−3−オール、酢酸ヘキシル、果糖ブドウ糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、原料アルコール、炭酸水を混合してサンプル(20℃におけるガス圧:約2.1kg/cm2)を準備した。
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された専門のパネル5名が下記評価基準に則って「梅らしい酸味の後に感じられるうま味」、「梅らしいフルーティーで爽やかな香り」について、1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価し、香りの評価については、サンプルを飲んでいる際、及び、飲んだ後に感じられる香りを総合的に評価した。
5点:梅らしい酸味の後に感じられるうま味が非常に強く感じられた。
4点:梅らしい酸味の後に感じられるうま味が強く感じられた。
3点:梅らしい酸味の後に感じられるうま味が感じられた。
2点:梅らしい酸味の後に感じられるうま味が弱く感じられた。
1点:梅らしい酸味の後に感じられるうま味が非常に弱く感じられた。
ここで、うま味とは、5つの基本味の1つであり、グルタミン酸やイノシン酸などの物質が示す味(出汁のような味)である。
5点:梅らしいフルーティーで爽やかな香りが非常に強く感じられた。
4点:梅らしいフルーティーで爽やかな香りが強く感じられた。
3点:梅らしいフルーティーで爽やかな香りが感じられた。
2点:梅らしいフルーティーで爽やかな香りが弱く感じられた。
1点:梅らしいフルーティーで爽やかな香りが非常に弱く感じられた。
なお、各表中の「1−オクテン−3−オール」、「酢酸ヘキシル」の量は、各成分の添加量ではなく、サンプルにおける各成分の含有量である。そして、各表中の梅果汁の含有量は、果汁率換算した値であり、酸度は0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法によって測定した値である。
また、各表中のエキス分は、日本国の国税庁所定分析法に準拠して比重(日本酒度)及びアルコール度を測定して算出した値(すなわち、温度15℃において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数(g/100cm3))である。なお、エキス分の測定を行うにあたり、各サンプルの比重は、密度比重計(京都電子工業社製DA520)を用いて測定した。
サンプル1−1〜1−7は、1−オクテン−3−オールの含有量を変化させたものである。
サンプル1−1〜1−7の結果から、1−オクテン−3−オールの含有量が増えるにしたがい、うま味と香りの点数が上昇するものの、1−オクテン−3−オールの含有量が増え過ぎると、うま味と香りの点数が下降することが確認できた。つまり、1−オクテン−3−オールの含有量が所定範囲内であると、うま味と香りの点数が高くなることが確認できた。
サンプル2−1〜2−6の結果から、酢酸ヘキシルの含有量が増えるにしたがい、うま味と香りの点数が上昇するものの、酢酸ヘキシルの含有量が増え過ぎると、うま味と香りの点数が下降することが確認できた。つまり、酢酸ヘキシルの含有量が所定範囲内であると、うま味と香りの点数が高くなることが確認できた。
また、サンプル1−1〜1−7とサンプル2−1〜2−6の結果を比較すると、1−オクテン−3−オールに酢酸ヘキシルを組み合わせたサンプル2−1〜2−6の方が、うま味と香りの点数がかなり高くなることが確認できた。つまり、1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとが相乗的に作用し、うま味と香りとを強くしていることが確認できた。
次に、実施例2では、アルコールが、各評価に与える影響について確認する。
梅果汁(5倍濃縮の国産、10倍濃縮の台湾産)、1−オクテン−3−オール、酢酸ヘキシル、果糖ブドウ糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、原料アルコール、炭酸水を混合してサンプル(20℃におけるガス圧:約2.1kg/cm2)を準備した。
試験内容、及び、各試験の評価基準については、実施例1と同様であった。
サンプル3−1〜3−5は、アルコール量を変化させたものである。
サンプル3−1〜3−5の結果から、ノンアルコールの状態でもうま味と香りについて一定の評価は得られるものの、ある程度アルコールを含有したサンプルの方が評価は高くなることが確認できた。ただし、アルコール量が増え過ぎると、うま味と香りの点数が下降することも確認できた。
S2 後処理工程
Claims (8)
- 1−オクテン−3−オールの含有量が0.95〜3.25μg/Lであり、
酢酸ヘキシルの含有量が0.023〜1.00μg/Lであり、
アルコール度数が1〜10v/v%である梅香味飲料。 - 梅果汁を含有する請求項1に記載の梅香味飲料。
- 前記1−オクテン−3−オールの含有量が1.35〜2.00μg/Lである請求項1又は請求項2に記載の梅香味飲料。
- 前記酢酸ヘキシルの含有量が0.05〜0.40μg/Lである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の梅香味飲料。
- 1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料ベースであって、
前記1−オクテン−3−オールの含有量をXμg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量をYμg/Lとし、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dが0.95〜3.25であり、Y/Dが0.023〜1.00であり、A/Dが1〜10である梅香味飲料ベース。 - 1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料の製造方法であって、
前記1−オクテン−3−オールの含有量を0.95〜3.25μg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量を0.023〜1.00μg/Lとし、アルコール度数を1〜10v/v%とする工程を含む梅香味飲料の製造方法。 - 1−オクテン−3−オールと酢酸ヘキシルとを含有する梅香味飲料ベースの製造方法であって、
前記1−オクテン−3−オールの含有量をXμg/Lとし、前記酢酸ヘキシルの含有量をYμg/Lとし、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合において、X/Dを0.95〜3.25とし、Y/Dを0.023〜1.00とし、A/Dを1〜10とする工程を含む梅香味飲料ベースの製造方法。 - 梅香味飲料の後味として感じるうま味と、梅らしいフルーティーで爽やかな香りと、を増強させる香味向上方法であって、
前記梅香味飲料について、1−オクテン−3−オールの含有量を0.95〜3.25μg/Lとし、酢酸ヘキシルの含有量を0.023〜1.00μg/Lとし、アルコール度数を1〜10v/v%とする梅香味飲料の香味向上方法。
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