JP2014139000A - 感熱記録媒体および感熱発色層形成用塗工液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】その感熱発色層中に、ロイコ染料および顕色剤とともに、アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂、もしくは、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂とスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂とを併用したものを含有する。
【選択図】なし
Description
しかしながら、かかる技術による感熱記録媒体は、まだまだ耐光性が不充分である。その要因として、光の影響を受けるロイコ染料等と紫外線吸収剤とが別の層にあり、その距離が離れていることなどが考えられる。
なお、感熱記録層(感熱発色層)に紫外線吸収剤などの有機化合物を含有させることは、これにロイコ染料と顕色剤が溶解して反応、発色して、地肌かぶりが発生する危険性があるため、望ましくない。
まず、本発明の感熱発色層形成用塗工液について詳細に説明し、その後、本発明の感熱発色層形成用塗工液を用いて得られる感熱記録媒体について説明する。
本発明の感熱発色層形成用塗工液は、アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するPVA系樹脂、もしくは、アセトアセチル基を有するPVA系樹脂とスルホン酸基を有するPVA系樹脂とを併用したものと、ロイコ染料、顕色剤および水を含有する。また、必要に応じ、グリオキシル酸塩を含有する。
本発明で用いられるアセトアセチル基及び/又はスルホン酸基を有するPVA系樹脂は、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコール単位を主要構造単位とし、ケン化されずに残った酢酸ビニル単位と共に、アセトアセチル基を含有する構造単位、および/又はスルホン酸基を含有する構造単位を有するものである。かかるアセトアセチル基を含有する構造単位としては、例えば一般式(1)で表すことができる。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂の、スルホン酸基の含有量は、1〜20モル%、さらには1〜10モル%、特には1〜5モル%であることが好ましい。かかるスルホン酸基の変性度が小さすぎると、顕色剤の微粒子安定化効果が低下する傾向があり、変性度が多すぎると、製造が困難となる傾向がある。
かかるビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。なかでも、経済的な点から酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
また、上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
さらに、上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。共重合により導入する場合、上記スルホン酸基を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
共重合時の単量体成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(単量体)=0.01〜10(質量比)、好ましくは0.05〜3(質量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により30℃〜沸点程度で行われ、より具体的には、35〜150℃、好ましくは40〜75℃の範囲で行われる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は、系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60質量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
また、ケン化反応の反応温度は、10〜60℃、特には20〜50℃であることが好ましい。
かかる後反応によるアセトアセチル基の導入は、PVA系樹脂にジケテンを反応させることによって水酸基をアセト酢酸エステル化することによって行われる。
かかるアセトアセチル化反応は、例えばDMSO(ジメチルスルホキシド)等の溶媒にスルホン酸基を有するPVA系樹脂を均一に溶解して行う均一反応や、固体状のPVA系樹脂に液状、あるいは気体状のジケテンを反応させる不均一反応によって行うことができるが、工業的には反応後の生成物の分離、洗浄等が容易である点から、後者の不均一系の反応が好ましく用いられる。
中でも、PVA系樹脂に有機酸を吸着吸蔵させる方法を用いることにより、ジケテンがPVA系樹脂の内部に速やかに浸透することから、かかる方法が好ましく用いられる。
有機酸の量は反応系内のスルホン酸基を有するPVA系樹脂粉末が吸着及び吸蔵しうる限度内の量、換言すれば反応系の該樹脂と分離した有機酸が存在しない程度の量が好ましく、変性量あるいはPVA系樹脂の結晶化度を考慮して添加量を決める必要があるが、具体的には、該PVA系樹脂100重量部に対して0.1〜80重量部、好ましくは、0.5〜50重量部、特に好ましくは5〜20重量部の有機酸を共存させるのが適当である。有機酸の量が少なすぎると有機酸を共存させる効果が得難く、一方有機酸が過剰に存在すると反応後の有機酸の除去に多量の洗浄溶剤が必要となり、経済的ではない。
接触時間は接触温度に応じて、即ち温度が低い場合は時間が長く、温度が高い場合は、時間が短くてよいのであって、1分〜6時間の範囲から適宜選択する。
本発明の感熱発色層形成用塗工液に含有されるロイコ染料は、一般的に無色あるいは淡色で、水に不溶の電子供与体の化合物であり、加熱時に電子受容体である顕色剤と反応して発色する化合物であって、公知のものを用いることが可能である。
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化合物;4,4’−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のキサンテン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスルピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等のスピロ系化合物等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上の混合物として用いられる。これらのロイコ染料は、感熱記録媒体の用途により適宜選択して使用される。
本発明の感熱発色層形成用塗工液に含有される顕色剤は、加熱時に前記ロイコ染料とともに溶融し、ロイコ染料と反応して発色させる、水に不要な電子受容体酸性物質であり、フェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体が挙げられる。フェノール誘導体としては、p−オクチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ブチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセテート、ジヒドロキシジフェニルエーテルが挙げられ、芳香族カルボン酸誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、これら芳香族カルボン酸の多価金属塩等が挙げられる。市販の顕色剤としては、例えば日本曹達社製のα−{4−〔(ヒドロキシフェニル)スルホニル〕フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレンオキシ−p−フェニレン) (商品名:D−90)、4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノール(商品名:D−8)、日華化学社製の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS−P(T))が挙げられる。
本発明の感熱発色層形成用塗工液に任意成分として含有されるグリオキシル酸塩は、アセトアセチル基を有するPVA系樹脂に対し、架橋剤として作用する。そして、PVA系樹脂がグリオキシル酸塩により架橋されていると、かかる架橋構造体が、紫外線による顕色剤等の構造変化を防止し、更に耐水性向上にも寄与するため、好ましい。
かかるグリオキシル酸塩としては、グリオキシル酸の金属塩やアミン塩などが挙げられ、金属塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅などの遷移金属、その他の亜鉛、アルミニウムなどの金属とグリオキシル酸の金属塩、また、アミン塩としては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどのアミン類とグリオキシル酸の塩が挙げられる。
特に、耐水性に優れる架橋高分子が得られる点から金属塩、特にアルカリ金属、およびアルカリ土類金属の塩が好ましく用いられる。
更に、本発明のPVA系樹脂のアセトアセチル基1モルに対し、グリオキシル酸塩の反応性基は通常0.05〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モル、特に好ましくは、0.1〜1モルである。かかる含有量が多すぎると耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると本願の効果が充分に得られない傾向がある。
また、(2)の方法も一般的に水中で行われ、(1)の方法と同様にしてグリオキシル酸塩を得ることができる。なお、(2)の方法において用いられるグリオキシル酸より解離定数が大きい酸の塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
本発明の感熱発色層形成用塗工液は、通常、ロイコ染料を含有する分散液と、顕色剤を含有する分散液とを別々に調製し、両者を混合することにより製造される。ロイコ染料含有分散液または顕色剤含有分散液を調製するには、上記のアセトアセチル基及び/又はスルホン酸基を有するPVA系樹脂を分散剤に使用して、ロイコ染料または顕色剤を分散させる。なお、ロイコ染料含有分散液および顕色剤含有分散液の両者において上記のアセトアセチル基及び/又はスルホン酸基を有するPVA系樹脂を分散剤に使用する場合に限定されず、少なくとも一方の分散液において上記のアセトアセチル基及び/又はスルホン酸基を有するPVA系樹脂を使用することができる。この場合、少なくとも顕色剤含有分散液において上記のアセトアセチル基及び/又はスルホン酸基を有するPVA系樹脂を使用することが好ましい。
なお、分散粒径は、分散時間等の分散条件により適宜調整することができる。また、ロイコ染料含有分散液および顕色剤含有分散液におけるpHは、特に制限はないが、通常2〜10であり、好ましくは5〜9、さらに好ましくは6〜8である。分散液におけるpHが低すぎると、ゲル化が起きる傾向があり好ましくない。
本発明の感熱記録媒体は、支持基材上に、本発明の感熱発色層形成用塗工液を塗工、乾燥して、感熱発色層を形成することにより製造される。感熱発色層形成用塗工液を塗工する方法としては、特に制限はなく、エアーナイフ法、プレート法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バーコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法等の公知の方法を用いることができる。感熱発色層の膜厚は、使用目的等に応じて適宜設定され、特に制限はないが、通常3〜50μm、好ましくは6〜30μm、より好ましくは10〜15μmである。
〔アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するPVA系樹脂の製造〕
<スルホン酸基を有するPVA系樹脂の製造>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000部、メタノール422部、アリルスルホン酸ナトリウム62部(酢酸ビニルに対して3.7モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.072モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、還流させながら重合を行った。
途中、アゾビスイソブチロニトリルを0.072モル%(対仕込み酢酸ビニル)ずつ4回投入し、酢酸ビニルの重合率が96.4%となった時点で、m−ジニトロベンゼン0.1部を添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度55%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(ナトリウム濃度で2%)を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、スルホン酸基を有するPVA系樹脂〔PVA系樹脂(1)〕を得た。
上記で得られたPVA系樹脂(1)を、ニーダーに100部仕込み、これに酢酸10部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで撹拌しながら、40℃に昇温後、ジケテン26部を7時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後メタノール400部で2回洗浄した後70℃で、8時間乾燥し、アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するPVA系樹脂〔PVA系樹脂(2)〕を得た。
得られたPVA系樹脂(2)中のアセトアセチル基含有量(変性量)は、NMR測定より算出した結果、7.4モル%であった。
顕色剤として2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル(日本曹達社製「D−90」)と上記PVA系樹脂(2)と水を、顕色剤/PVA系樹脂/水の配合比が100部/2.5部/397.5部となるように配合し、ホモジナイザーにて予備分散した後、ビーズミル(アイメックス社製、投入メディア:ジルコニアビーズ直径0.5mm、投入量200g、回転数2000rpm)にて90分間分散処理して、顕色剤分散液を得た。
上記で得られた分散液中の顕色剤粒子の分散度合をみるため、その分散液中の顕色剤の粒子径を、Particle Sizing System社製のサブミクロン粒度分布・ゼータ電位測定器NICOMPを用い、Volume−weighting GAUSSIAN換算粒子径(nm)として測定した。その結果を後記の表1に示す。
上記で得られた分散液の粘度を、ブルックフィールド粘度計DV−IIIを用い、低粘度ローターにて回転数150rpmで測定した。その結果を後記の表1に示す。
上記で得られたPVA系樹脂(2)の30%水溶液を、200μmのアプリケーターでPETフィルムに塗工し、70℃の乾燥機に5分間入れた後、23℃、50%RHで3日間乾燥させた。このようにして得られた塗膜層に対し、JASCO V−7200(日本分光社製)にて紫外線吸収度を測定した。その結果を後記の表1に示す。
上記で得られたPVA系樹脂(2)の30%水溶液を、10cm×10cmの型に流し込み、23℃、50%RHの条件下で3日間風乾し、厚さ100μmのフィルムを得た。ついで、得られたフィルムをオーブン中で70℃、5分間熱処理をした。このようにして得られたフィルムを23℃の水に24時間浸漬した後、水浸漬前のフィルムの乾燥重量(X1)および水浸漬後のフィルムの乾燥重量(X2)(いずれもg)を求め、下式にて溶出率(%)を算出した。なお、溶出率の低いものが耐水性を有すると評価することができる。その結果を後記の表1に示す。
溶出率(%)=[(X1―X2)/X1]×100
ケン化度88.4モル%、アセトアセチル基含有量(変性量)8.5モル%、4%水溶液粘度5.1mPa・sの、アセトアセチル基含有PVA系樹脂8.8部と、実施例1で得られたスルホン酸基含有PVA系樹脂〔PVA系樹脂(1)〕10部とを混合し、PVA系樹脂混合物(3)を得た。
つぎに、顕色剤として2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル(日本曹達社製「D−90」)、上記PVA系樹脂混合物(3)、水を、顕色剤/PVA系樹脂混合物(3)/水の配合比が100部/5部/397.5部となるように配合し、実施例1と同様に、顕色剤分散液を得て、実施例1と同様に評価をした。その結果を後記の表1に示す。
実施例1のPVA系樹脂(2)の30%水溶液100部に、グリオキシル酸ナトリウムの10%水溶液4.5部をさらに加え、実施例1と同様に紫外線吸収度測定と耐水性の評価を行った。その結果を後記の表1に示す。
実施例1のPVA系樹脂(2)の30%水溶液100部に、グリオキシル酸ナトリウムの10%水溶液18部をさらに加え、実施例1と同様に紫外線吸収度測定と耐水性の評価を行った。その結果を後記の表1に示す。
アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するPVA系樹脂〔PVA系樹脂(2)〕に代えて、スルホン酸基含有PVA系樹脂〔PVA系樹脂(1)〕のみを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、顕色剤分散液を得て、同様に評価した。その結果を下記の表1に示す。
これに対し、スルホン酸基のみを有するPVA系樹脂のみをPVA系樹脂として用いた比較例1の分散液は、かかるPVA系樹脂が顕色剤の良好な分散剤として働いているため、その顕色剤粒子径は小さく、分散液粘度も低粘度のものが得られたものの、紫外線吸収度が非常に小さいものであった。
Claims (9)
- ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱発色層を支持基材上に有する感熱記録媒体であって、前記感熱発色層中に、アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録媒体。
- ロイコ染料と顕色剤を含有する感熱発色層を支持基材上に有する感熱記録媒体であって、前記感熱発色層中に、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂とスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂とを含有することを特徴とする感熱記録媒体。
- 前記アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂の、アセトアセチル基の含有量が0.1〜20モル%であり、スルホン酸基の含有量が1〜20モル%である請求項1記載の感熱記録媒体。
- 前記アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂の、アセトアセチル基の含有量が0.1〜20モル%であり、前記スルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂の、スルホン酸基の含有量が1〜20モル%である請求項2記載の感熱記録媒体。
- 前記アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂が、グリオキシル酸塩により架橋されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
- 前記グリオキシル酸塩が、グリオキシル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である請求項5記載の感熱記録媒体。
- ロイコ染料、顕色剤、アセトアセチル基及びスルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂、および水を含有することを特徴とする感熱発色層形成用塗工液。
- ロイコ染料、顕色剤、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂、スルホン酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂、および水を含有することを特徴とする感熱発色層形成用塗工液。
- さらに、グリオキシル酸塩を含有する請求項7または8記載の感熱発色層形成用塗工液。
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