JP2011235545A - 感熱記録体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工欠陥がなく、記録画質及び耐可塑剤性に優れた感熱記録体を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、及び顔料と水性接着剤を主成分とする保護層を順次有する感熱記録体の製造方法において、保護層中にグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は感熱記録体の製造方法に関するものである。
無色乃至は淡色のロイコ染料と有機または無機の顕色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。かかる感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種プリンタ等の記録媒体としてのみならず、幅広い分野において使用されている。
一方、紙やフィルム等の基材に塗液を塗布する方法として、エアナイフ塗布法、ブレード塗布法、ロッド塗布法、ロール塗布法、バー塗布法等の方法が用いられているが、このような方法で作製された感熱記録材料は、塗布品質が悪いこと、上層の塗液の下層への浸み込み、上層塗布時のハジキ等に起因する上層のピンホール、長時間の連続塗布における品質のバラツキ等の問題が生じるほか、高速塗布に限界があること、多数回塗布から生じる生産性の低下等の問題がある。
これらの塗布方法に対して、カーテン塗布方法は、塗液の自由落下カーテンを形成し、これを支持体に衝突せしめて塗布する方法であり、塗布品質が良好で、高速塗布に適性を有することが知られている(特許文献1参照)。また、複数層の塗液膜からなる塗料膜を形成してカーテン塗布することも可能であり、多層塗布の生産性を大幅に向上することができる。このカーテン塗布方法は、基材上にスリット状のコーターリップから塗液を膜状に垂らして塗布するもので、塗液の成膜性や基材への濡れ性を改善して塗布ムラや塗布欠点を防止するために、静的表面張力、動的表面張力、粘度等に対して細かな調整が必要である(特許文献2参照)。係る観点から塗布自体の均一安定性は極めて重要であり、それによって得られる感熱記録体の性能や生産効率が大きく左右される。
カーテン塗布法による同時多層塗布では上述のように複数の層を同時に塗布できるため、生産性を大幅に向上できる利点がある。但し、複数層の塗液膜を積層した後、支持体上に塗布、乾燥・固化させる必要がある。塗液の積層時或いは乾燥時に層構成が乱れ、層間混合が生じると、各層の機能が十分発揮されなくなり、感熱記録体としての品質が損なわれる。例えば、感熱記録層と保護層を同時塗布した場合に層間混合が起きると保護層の膜厚みが不均一になって可塑剤やアルコール等に対する耐薬品性が低下したり、スティッキング防止が十分でないという欠点も生じる。
従来より、カーテン塗布方法による同時多層塗布が行われている写真感光材料等の分野では、通常塗液中にバインダーとしてゼラチンが含有されており、塗料膜を支持体上に転移させた直後、冷却することにより塗液中のゼラチンがゲル化し、塗液が不動化するため層間の混合が起こらない。
一方、感熱記録体では、冷却により塗液が不動化するだけのゼラチンを添加すると、発色特性や画像安定性等の諸特性が大幅に悪化する問題があり、またゼラチン以外のものを用いてこれらの特性を損なわずに塗液を不動化する方法は見出されておらず、写真感光材料と同様な方法で層間混合を防止することはできない。
感熱記録体やインクジェット記録体等の情報記録体で、層間混合を防いで良好な層分離状態を発現させるために幾つかの方法が開示されている。例えば、隣接する2つの塗液が接触または混合すると経時的に高粘度化する方法(特許文献3参照)、複数層の塗液膜を構成する塗液の粘度が100mPa・s以上であり、該複数層の塗液膜の最下層の塗液の表面張力が18〜45mN/mとする方法(特許文献4参照)等が開示されている。またカーテン塗布された複数塗膜を、支持体と水平面がなす角度が45度以下の状態で乾燥させる方法(特許文献5参照)、カーテン塗布された複数塗膜を、塗布後2分以内に乾燥させる方法(特許文献6参照)等も開示されている。
しかしながら、特許文献5に記載の隣接する2層の塗液を高粘度化させる方法では2層の反応により凝集物ができて塗工欠陥が発生したり、塗料のゲル化により長時間連続操業が難しくなる。また特許文献6に記載の方法でも、可塑剤やアルコール等に対するバリア性、耐スティッキング性は未だ不十分であった。更に、特許文献5や特許文献6に記載の方法では設備的な制約が大きく、また品質に劣る場合があった。
一方、感熱記録体の耐水性や耐可塑剤性を改良する目的で、保護層にアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、並びに水溶性ポリアミド樹脂を使用する方法(特許文献7参照)、保護層中の水性接着剤がジアセトン変性ポリビニルアルコールであり、更に保護層中にポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を含有する方法と、感熱記録層中の水性接着剤がジアセトン変性ポリビニルアルコールであり、更に感熱記録層中にポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂及びカルボン酸ジヒドラジド化合物を含有する方法(特許文献8参照)、保護層にアセトアセチル変性樹脂とポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を含有し、感熱記録層中に多価カルボン酸ジヒドラジド化合物を含有する方法(特許文献9参照)、感熱紙のコート剤として、ジアセトンアクリルアミド共重合変性ポリビニルアルコール、水溶性ヒドラジン化合物及び水溶性有機アミンまたはアンモニアを使用する方法(特許文献10参照)、また保護層の接着剤としてジアセトン変性ポリビニルアルコールを用い、その架橋剤としてカルボン酸ジヒドラジド化合物を感熱記録層中に含有させた感熱記録体(特許文献11参照)、並びに保護層にアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとグリオキシル酸塩、グリオキシル酸エステル誘導体を含有させた感熱記録体(特許文献12参照)が記載されている。
また、多層同時塗布法が少なくとも2種類以上の塗布液を各々のスリットから吐出させて積層し、その積層した塗布液を連続走行するウェブ上に自由落下させて塗布することを特徴とする感熱記録塗膜材料であって、最上層塗膜表面以外の塗膜を構成する塗布液が無機粒子を含む分散液からなるという方法が開示されている(特許文献13参照)。更に感熱発色層、第1保護層及び第2保護層が、カーテン塗工法による同時塗布で形成され、第2保護層中に特定のポリビニルアルコール及び特定の共重合樹脂を含むことを特徴とする感熱記録材料が開示されている(特許文献14参照)。
特公昭49−24133公報 特開昭57−39985号公報 国際公開WO01/076884 特開2001−18526号公報 特開2001−138632号公報 特開2001−113226号公報 特開2002−019196号公報 特開2002−127601号公報 特開2002−301868号公報 特開平10−087936号公報 特開平11−214457号公報 WO2009/028646号公報 特開2008−238160号公報 特開2008−260275号公報
本発明の課題は、塗工欠陥がなく、記録画質及び耐可塑剤性に優れた感熱記録体の製造を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を種々検討した結果、支持体上に、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、及び顔料と水性接着剤を主成分とする保護層を順次有する感熱記録体の製造方法において、保護層中にグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の感熱記録体の製造方法を提供するものである。
項1:支持体上に、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、及び顔料と水性接着剤を主成分とする保護層を順次有する感熱記録体の製造方法において、保護層中にグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録体の製造方法。
項2:保護層中の水性接着剤が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の感熱記録体の製造方法。
項3:前記保護層中のグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の含有量が、水性接着剤に対して0.5〜20質量%である、項1または2に記載の感熱記録体の製造方法。
本発明によれば、生産性及び品質、特に耐可塑剤性に優れる感熱記録体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の感熱記録体の製造方法について詳細に説明する。
本発明では、支持体上に、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、及び顔料と水性接着剤を主成分とする保護層を順次有する感熱記録体の製造方法において、架橋剤としてグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成される。
〔グリオキシル酸塩〕
まず、本発明の保護層中に含有されるグリオキシル酸塩について説明する。
かかるグリオキシル酸塩としては、種々のものが挙げられるが、アルカリ金属とグリオキシル酸の金属塩、アルカリ土類金属とグリオキシル酸の金属塩、アミン類とグリオキシル酸の塩等が挙げられ、好ましくは、アルカリ金属とグリオキシル酸の金属塩及びアルカリ土類金属とグリオキシル酸の金属塩から選ばれる少なくとも1種のグリオキシル酸の金属塩である。アルカリ金属とグリオキシル酸の金属塩として、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属とグリオキシル酸の金属塩、アルカリ土類金属とグリオキシル酸の金属塩として、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属とグリオキシル酸の金属塩、アミン類とグリオキシル酸の金属塩として、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類とグリオキシル酸の塩等が挙げられる。
特に、本発明においては、架橋構造に導入されるカルボン酸塩基の親水性がカルボン酸基と比較して小さいことが架橋高分子の耐水性の向上に寄与しているものと考えており、グリオキシル酸塩としても、より水への溶解度が小さいグリオキシル酸塩が好ましく、具体的には、23℃おける水への溶解度が0.01〜100%、特に0.1〜50%、更に0.5〜20%のものが好ましく用いられる。具体的に、水への溶解度が小さいグリオキシル酸塩としては、例えば、グリオキシル酸ナトリウム(溶解度:約17%)や、ジ(グリオキシル酸)カルシウム(溶解度:約0.7%)、グリオキシル酸アンモニウム(溶解度:14%)を挙げることができる。
グリオキシル酸塩の製造法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、(1)グリオキシル酸の中和反応による方法、(2)グリオキシル酸と酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の塩との塩交換反応による方法、(3)グリオキシル酸エステルのアルカリ加水分解による方法(例えば、特開2003−300926号公報参照)などを挙げることができる。特に、グリオキシル酸との中和反応に用いるアルカリ性化合物の水溶性が高い場合は(1)の方法が、また得られるグリオキシル酸塩の水溶性が低く、酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の塩の水溶性が高い場合は(2)の方法が好ましく用いられる。
なお、(1)の方法は通常、水を媒体として行われ、グリオキシル酸とアルカリ性化合物、例えば、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物を水中で反応させ、析出したグリオキシル酸塩を濾別し、乾燥して製造することができる。
また、(2)の方法も一般的に水中で行われ、(1)の方法と同様にしてグリオキシル酸塩を得ることができる。なお、(2)の方法において用いられるグリオキシル酸より解離定数が大きい酸の塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属或いはアルカリ土類金属塩が挙げることができる。
特に、原料としてグリオキシル酸を用いた場合には、そのグリオキシル酸塩を製造する際の副生成物であるグリオキザールが架橋剤中に含有される可能性があり、かかるグリオキザールの含有量は0質量%であることが最も望ましいが、5質量%以下、特に2質量%以下、更に1質量%以下であることが好ましい。グリオキザールの含有量が多いと、特にアセトアセチル変性ポリビニルアルコールと混合した水溶液の安定性が低下し、ポットライフが短くなったり、得られるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの架橋高分子がその保存条件によっては経時で着色する場合がある。
保護層中には架橋剤として、グリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種が含有されるが、含有量は総計で保護層中に使用される水性接着剤量に対して0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%程度である。
本発明において保護層に使用される水性接着剤としては、従来公知の水溶性高分子及び水溶性高分子エマルジョンの少なくともいずれかを適宜用いることができる。
その具体例としては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、殿粉、酸化澱粉、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸三元共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、アラビアガム、カゼインなどの水溶性高分子のほか、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。
これらの中でも、スティッキング抑制や耐水性に対しては、特に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールがより好ましく用いられる。
保護層中に使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、それぞれアセトアセチル基、ジアセトン基、カルボキシル基を持つ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂を鹸化することにより製造される。
鹸化度については85モル%から完全鹸化の100モル%程度が好ましく、90〜100モル%程度がより好ましい。平均重合度については300〜3000程度が好ましく、400〜2000程度がより好ましい。変性度は0.5〜10モル%程度が好ましく、1〜9モル%程度がより好ましい。重合度、鹸化度が高いほど耐水性が良好になるが、塗料濃度、粘度、塗工性または乾燥性から状況に応じて選択する必要がある。
変性度については、0.5〜10モル%程度の範囲であれば、充分な耐水性が得られ、また水への溶解性が低下しないため、溶液濃度が低くなるのを抑えることができる。
保護層中に使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の使用量としては、保護層の全固形量に対して10〜90質量%、好ましくは15〜50質量%程度がより好ましい。
保護層に使用される水性接着剤として、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の接着剤を併用することもできる。かかる接着剤としては、例えば完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
本発明において、保護層の顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。
なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤や油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、好ましい。
顔料の使用量は、保護層の全固形分に対して5〜80質量%程度であり、特に10〜70質量%程度の範囲が好ましい。
5質量%未満では、サーマルヘッドとの滑りが悪くなり、スティッキングを起こしたり、ヘッド粕の悪化を招く。一方、80質量%を超えると、バリア性が悪くなり、保護層としての機能が大幅に低下する。
更に、保護層中に水溶性の酸性化合物を含有させることにより、保護層用塗液の安定性がより高められる。保護層用塗液に添加される水溶性の酸性化合物としては特に限定されないが、硼酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼントリカルボン酸等のカルボキシル基を有する水溶性の有機酸が好ましい。
前記水溶性の酸性化合物の添加量としては特に限定されないが、保護層用塗液のpHが3.0〜7.0となるように添加するのが好ましく、4.0〜6.0の範囲がより好ましい。pHが3.0〜7.0の範囲であれば、塗液の粘度が経時的に高くなることを抑えられる。
その他、保護層用塗液中に添加し得る助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の界面活性剤、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤、及び紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等の助剤を添加することもできる。
保護層用塗液については、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が溶解された水溶液、カオリン、グリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種、及び必要によりその他の顔料、水溶性の酸性化合物や各種助剤を混合撹拌して調製される。
本発明において、保護層は、感熱記録層と共に同時多層カーテン塗布することで、カーテン流量を多くしてカーテン膜を安定させて塗工欠陥の発生を抑制させたり、また、保護層のバリア性や生産効率を高め、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で好ましい。カーテン塗布に用いる塗布装置としては、特に限定されないが、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置、或いは前述の特開2006−247611号公報に記載の方法等が挙げられる。
保護層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で0.3〜10g/m程度、特に0.5〜8g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、保護層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。
塗液の塗布後は乾燥され、その後は、好ましくはカレンダー処理により平滑化処理され使用に供される。
次に感熱記録層について、述べる。
電子供与性化合物と電子受容性化合物を有する感熱記録方式としては、例えばロイコ染料と呈色剤との組合せ、ジアゾニウム塩とカプラーとの組合せ、鉄、コバルト、銅など遷移元素とキレート化合物との組合せ、芳香族イソシアネート化合物とイミノ化合物との組合せ等が挙げられるが、ロイコ染料と呈色剤との組合せが発色濃度に優れるため、好ましく用いられる。以下、ロイコ染料と呈色剤との組合せからなる感熱記録層について詳細に述べる。
ロイコ染料及び呈色剤としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(nブチル)アミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
勿論、これらに限定されるものではなく、また2種以上を併用することもできる。また、ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、感熱記録層の全固形分に対して3〜50質量%程度、特に5〜40質量%程度とするのが好ましい。
呈色剤としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス(p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−{3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
Figure 2011235545
(式中、nは1〜7の整数を表す。)
呈色剤の使用量は、使用するロイコ染料により異なるため限定できないが、感熱記録層の全固形分に対して10〜70質量%程度、特に12〜50質量%程度とするのが好ましい。
感熱記録層には、記録部の保存安定性を高めるために保存性改良剤、及び記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
保存性改良剤を使用する場合、その使用量は、保存性改良のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形分に対して1〜30質量%程度、特に5〜20質量%程度の範囲で配合されるのが好ましい。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が例示される。
増感剤を使用する場合、その使用量は、増感のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形分に対して2〜40質量%程度、特に5〜25質量%程度の範囲で配合されるのが好ましい。
感熱記録層は、水を分散媒体とし、ロイコ染料、呈色剤、必要により増感剤、保存性改良剤等を共に、或いは別々にボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌・粉砕機により、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が2μm以下となるように微分散した後、水性接着剤等を添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体の一方の面に塗布乾燥して形成される。なお、感熱記録層中の水性接着剤としても、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種を含有させることが好ましい。
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばカオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、ヒドラジン系化合物、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料及び蛍光染料等が挙げられる。
本発明において、感熱記録層用塗液は、25℃におけるブルックフィールド型粘度(B型粘度)計で測定した60rpmの粘度が200〜1500mPa・sの範囲であることが好ましく、特に300〜1200mPa・s程度であることが好ましい。200mPa・s未満では、感熱記録層用塗液が下塗り層へ部分的に不均一に吸収され易くなるため、保護層厚みも不均一になり易く、バリア性が低下するものと考えられる。また、1500mPa・sを超えると、感熱記録層用塗液中の泡が抜け難くなることにより、泡による塗工欠陥が発生したり、或いは流れ方向にスジ状の塗布ムラが発生し易くなるため、保護層が均一に塗布されなくなってバリア性が低下したり、印画ムラが発生し易くなる。
また、前記感熱記録層の主たる水溶性接着剤として、重合度500以上のポリビニルアルコールを感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%含有する感熱記録層用塗液を調製することにより、25℃におけるブルックフィールド型粘度(B型粘度)計で測定した60rpmの粘度が200〜1500mPa・sの範囲である塗液が得られ、カーテン塗布法により、品質に優れた感熱記録材料を生産性よく製造することができる。
重合度500以上のポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性、完全鹸化及び部分鹸化いずれも使用可能である。例えば、変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
感熱記録層中に添加される重合度500以上のポリビニルアルコール以外の水溶性接着剤の具体例としては、例えば、酸化澱粉、酸変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉及び酢酸ビニル変性グラフト化澱粉等の澱粉類、重合度500未満のポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられるが、その含有量は重合度500以上のポリビニルアルコールの含有量を超えてはならない。水溶性接着剤以外にも、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等の併用が可能である。
更に、本発明では、耐薬品性を向上させるために、感熱記録層用塗液が重合度300〜2400の部分鹸化ポリビニルアルコールを、感熱記録層の全固形量に対して0.3〜10質量%含有することが好ましい。部分鹸化ポリビニルアルコールは発色成分の保護コロイド剤として作用するため耐薬品性が更に向上するものと考えられる。ここで、部分鹸化ポリビニルアルコールの目的として、粘度調整のためではなく保護コロイド剤であるため、上記のポリビニルアルコールで記載された重合度500以上である必要はなく、重合度300以上であればよい。部分鹸化ポリビニルアルコールが0.3〜10質量%の範囲であれば、耐薬品性が更に向上し、発色感度の低下も抑えられる。また、部分鹸化ポリビニルアルコールの重合度が300〜2400の範囲であれば、塗膜強度の低下が抑えられ、感熱記録層用塗液の粘度が高くならず、塗工適性が低下する恐れが少ない。なお、部分鹸化ポリビニルアルコールの鹸化度としては75〜90mol%、好ましくは80〜89mol%程度のものが使用される。鹸化度が90mol%を超えると保護コロイド剤としての能力が不足する。また、鹸化度が75mol%未満のポリビニルアルコールは塗液の泡が多くなるので好ましくない。
重合度300〜2400の部分鹸化ポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性、何れも使用可能である。変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明において、感熱記録層はカーテン塗布法によって形成されるため、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するために感熱記録層用塗液には界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられるが、カーテン膜安定性の点から、特に好ましくは、下記一般式(2)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。更に、塩としては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、また、アルキル基としては、炭素数2〜20が好ましく、更に炭素数4〜10が特に好ましい。具体的にはイソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。また、界面活性剤の添加量としては、感熱記録層の全固形分に対して0.05〜3.0質量%程度であることが好ましい。0.05質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならずカーテン膜切れし易くなる。3質量%を超えると塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい含有量としては0.10〜2.0質量%程度である。
Figure 2011235545
(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す)
本発明では、カーテン塗布法により感熱記録層及び保護層を同時多層塗布することが、カーテン膜の安定性を高めたり、更に生産効率向上や、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で好ましい。本発明では、感熱記録層の塗布において用いられるカーテン塗布法とは、塗液を流下して自由落下させ支持体に非接触で塗布する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、特開2006−247611号公報に記載のように、カーテンヘッドから塗料を下向きに噴出させて斜面上で塗料層を形成させ、斜面の終端部の下向きのカーテンガイド部から塗料カーテンを形成してウェブ面上に該塗料層を移行させることもできる。感熱記録層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で1〜12g/m程度、特に2〜10g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、感熱記録層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。なお、塗料濃度、塗布速度、カーテン膜幅、落下角度等の諸条件は、各々のカーテン塗布法及び塗布装置に合わせ、適宜調整して行うことが望ましい。これらのカーテン塗布法は、非接触方式の輪郭塗工であるため、均一な厚さの塗工層が得られる。一方、ブレード、バー、エアナイフ塗工等の接触方式の塗工では、支持体の表面性(凹凸)の影響を受けるため、膜厚が不均一となる。このため、同一塗工量では、カーテン塗布で形成された感熱記録層の方が良好な画質を得ることができる上、画像の保存性も向上する。
本発明の感熱記録体に用いられる支持体としては、特に限定しないが、例えば、中性または酸性の上質紙、合成紙、透明または半透明のプラスチックフィルム、白色のプラスチックフィルム等が挙げられる。なお、支持体の厚みは特に限定しないが、通常、20〜200μm程度である。
本発明では、必要であれば、支持体と感熱記録層との間に、記録感度及び記録走行性をより高めるために、下塗り層を設けることもできる。下塗り層は、吸油量が70ml/100g以上、特に80〜150ml/100g程度の吸油性顔料及び/または有機中空粒子及び/または熱膨張性粒子、並びに接着剤を主成分とする下塗り層用塗液を支持体上に塗布乾燥して形成される。ここで、上記吸油量はJIS K 5101の方法に従い、求められる値である。
上記吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、焼成カオリン、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料が挙げられる。これら吸油性顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜5μm程度、特に0.02〜3μm程度であるのが好ましい。吸油性顔料の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形分に対して2〜95質量%程度、特に5〜90質量%程度であるのが好ましい。
本発明においては、感熱記録材料の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録材料とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等の塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることもできる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは感熱ラベルや、感熱磁気乗車券等の用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録材料とすることもできる。勿論、両面感熱記録材料とすることもできる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
(下塗り層用塗液の調製)
吸油量110ml/100gの焼成カオリン60部、プラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、固形分濃度26%、中空率80%、平均粒子径1.0μm、JSR社製)80部、軽質炭酸マグネシウム1部、接着剤として固形分濃度50%のスチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合ラテックス20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の20%水溶液25部、及び水90部を均一に混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
(染料前駆体/増感剤分散液(A液)調製)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン25部、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.9μmになるまで粉砕して染料前駆体分散液(A液)を得た。
(顕色剤分散液(B液)調製)
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン45部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.5μmになるまで粉砕して顕色剤分散液(B液)を得た。
(保存性向上剤分散液(C液)調製)
前記一般式(2)で示された化合物(商品名:D−90、nが1〜7の合計含有比率が87質量%、日本曹達社製)45部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルでレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.5μmになるまで粉砕して保存性向上剤分散液(C液)を得た。
(感熱記録層用塗液の調製)
A液40部、B液50部、C液10部、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)の50%水分散液50部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−110、重合度1000、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の15%水溶液20部、部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205、重合度500、鹸化度88.0mol%、クラレ社製)の15%水溶液30部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:L−1571、固形分濃度48%、旭化成ケミカルズ社製)15部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液10部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液5部を順次添加、混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
(保護層用塗液の調製)
カオリン(商品名:UW−90、前出)の50%水分散液50部に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ―200、ケン化度:99.4モル%、平均重合度:1000、変性度:5モル%、日本合成化学社製)の10%水溶液600部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分濃度36%、中京油脂社製)25部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液20部、及びグルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、日本合成化学工業製)の10%水溶液9部を混合攪拌し、10%酢酸水溶液でpH5となるように調整して保護層用塗液を得た。
(下塗り層の作製)
坪量60g/mの上質紙の片面に、下塗り層用塗液を乾燥後の塗布量が7g/mとなるようにブレードコーターにて塗布、乾燥して下塗り層塗布済み原紙を得た。
(感熱記録体の作製)
上記で作製した下塗り層塗布済み原紙の上に、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を、スライドホッパー型カーテン塗布装置を用いて、下層側から感熱記録層用塗液及び保護層用塗液の順で構成される塗料膜を形成し、各層の固形分塗布量が感熱記録層4.0g/m、保護層2.0g/mとなるように、塗工速度600m/分にて同時多層カーテン塗布、乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い、感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の保護層用塗液の調製において、グルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、前出)の10%水溶液9部の代わりに、ジ(グルオキシル酸)カルシウム(商品名:SPM−02、日本合成化学工業製)の10%水分散液9部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例3
実施例1の保護層用塗液の調製において、グルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、前出)の10%水溶液9部の代わりに、グルオキシル酸アンモニウムの10%水溶液9部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例4
実施例1の保護層用塗液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:Z−200、前出)の10%水溶液600部の代わりに、ジアセトン変性ポリビルアルコール(商品名:DF−10、ケン化度:98.5モル%、平均重合度:1000、変性度:6モル%、日本酢ビ・ポバール社製)の10%水溶液600部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例5
実施例1の保護層用塗液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:Z−200、前出)の10%水溶液600部の代わりに、カルボキシ変性ポリビルアルコール(商品名:T−215、ケン化度:97モル%、平均重合度:1100、変性度:4モル%、日本合成化学工業社製)の10%水溶液を600部用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の保護層用塗液の調製において、グルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、前出)10%水溶液9部を用いなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例2
実施例1の保護層用塗液の調製において、グルオキシル酸ナトリウム(商品名:SPM−01、前出)の10%水溶液9部の代わりに、グリオキザールの10%水溶液9部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例3
実施例1の感熱記録材料の作製において、多層カーテンコーターの代わりに、単層カーテンコーターを用いて、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を逐次塗布した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
得られた感熱記録体について、以下の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
(記録画質)
上記のベタ記録部の記録画質を目視評価した。
◎:抜けがなく画質が極めて優れている。
○:抜けが若干見られるが、画質は良好。
△:抜けが見られるが実用レベル。
×:抜けが著しく多く見られ、画質は悪く実用上問題である。
(耐薬品性)
上記0.27mj/dotで発色させた感熱記録材料の印字部分を直径5cmのアクリル製円筒に塩ビラップフイルム(商品名:ハイエスソフトTM350、日本カーバイド工業社製)で上下から挟み込むように巻きつけ、40℃の環境で24時間放置した後、印字部分の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。また、下記式により、印字部の保存率を求めた。塩ビラップフイルム処理後の記録濃度1.00以上で、保存率75%以上であれば問題ない。
保存率(%)=測定値(記録濃度)÷処理前の記録濃度×100
(塗工欠陥)
得られた感熱記録材料を1000m検紙してカーテン膜割れ要因の塗工欠陥がないかどうか調査した。
○:カーテン膜割れによる塗工欠陥が全くない。
×:カーテン膜割れによる塗工欠陥が見られ実用上問題である。
(保護層用塗液:粘度の経時変化)
調製した保護層用塗液について、調製直後と48時間放置後のB型粘度mPa・s(60rpm)を測定した。
Figure 2011235545

Claims (3)

  1. 支持体上に、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、及び顔料と水性接着剤を主成分とする保護層を順次有する感熱記録体の製造方法において、保護層中にグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録体の製造方法。
  2. 保護層中の水性接着剤が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の感熱記録体の製造方法。
  3. 前記保護層中のグリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸)カルシウム及びグリオキシル酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の含有量が、水性接着剤に対して0.5〜20質量%である、請求項1または2に記載の感熱記録体の製造方法。
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