JP2010017949A - 感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、特にサーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも耐水性が発現し易い感熱記録体に関するものである。
【解決手段】支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用し、熱により記録像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。このような感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も容易なため、ファクシミリや各種計算機等のアウトプット、科学計測機器のプリンター等の記録媒体としてだけでなくPOSラベル、ATM、CAD、ハンディーターミナル、各種チケット用紙等の各種プリンターの記録媒体として広範囲な場所で使用されている。
しかしながら、感熱記録体は油やフィルム等の可塑剤、アルコール、水等と接触すると、画像が消色したり、地肌部が発色したりする問題を生じる。そのため、従来から感熱記録層上に、例えばポリビニルアルコールや澱粉等の水溶性樹脂と、炭酸カルシウムやシリカ等の顔料で構成される保護層を設けることが行われている。
特に、POSラベルは冷凍食品にも使用され結露等で感熱記録層が濡れる状態になることがあり、記録面同士やトレーの裏側に密着した時に十分な耐水性がないと、感熱記録層や保護層が剥がれることがあり、かなりの耐水性が求められている。また、各種チケット、ハンディーターミナル用紙も屋外の環境下で使用される機会も多く、雨、雪等により用紙が濡れる場合もあり耐水性は必須である。
このため、アセトアセチル基、カルボキシル基、ジアセトン基、エポキシ基、シリル基等の反応基のついた変性ポリビニルアルコールとアジリジン系化合物、グリシジル系化合物、エピクロルヒドリン系化合物、グリオキザール系化合物、メチロール系化合物、硼酸等の硬化剤の組合せで耐水性を発現させる方法も提案されている。また、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基等の反応基を有する水溶性樹脂に、塩基性ジルコニウム化合物で耐水化することも提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、これらの材料は架橋反応により耐水性が得られるが、感熱記録体を塗工、乾燥直後は耐水性が発現せず、反応が進むのに時間が必要となる。このため、時間を短縮するためにムロ処理で反応を促進させる方法もあるが、作業性が悪くなる問題がある。
また、硬化剤の種類によっては、感熱記録体を製造する上で取り扱いに注意が必要で、操業面での安全性の問題もある。
特許第2678204号公報
本発明は、特にサーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも耐水性が発現し易い感熱記録体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、保護層において特定の顔料、接着剤および硬化剤を使用することにより、サーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも耐水性が発現し易くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の感熱記録体を提供するものである。
項1:支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
項2:前記無定形シリカの二次粒子が、保護層の全固形分に対して5〜60質量%含有される、項1に記載の感熱記録体。
項3:ジルコニウム化合物が、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であり、前記ジルコニウム化合物が、保護層の全固形分に対して0.5〜20質量%含有される、項1または2に記載の感熱記録体。
項4:前記ポリビニルアルコールの平均重合度が800〜3000であり、前記ポリビニルアルコールが、保護層の全固形分に対して10〜60質量%含有される、項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
項5:前記保護層の乾燥後の塗布量が0.3〜3.0g/mである、項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
本発明の感熱記録体は、サーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも耐水性が発現し易いという効果を有するものである。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体である。
本発明者らは、保護層中の顔料として特定の粒子径を持った無定形シリカ、接着剤としてポリビニルアルコール、及び硬化剤としてジルコニウム化合物を併用すると、高感度で、サーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも耐水性が発現し易いということを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の保護層において、特定の粒子径をもった無定形シリカ一次粒子が凝集してなる特定の平均粒子直径をもった二次粒子は、バリア性を悪化させずに、サーマルヘッドの熱で溶融または軟化した保護層成分を吸収することでスティッキングを抑制し、透明性が高いため記録感度が向上する利点がある。また、二次粒子表面に多くの水酸基を有しており反応性が高い粒子である。
本発明で使用する粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子の製造方法は、特に限定しないが、例えば、一般市販の合成無定形シリカ等の塊状原料や、液相での化学反応によって得られた沈殿物を機械的手段で粉砕する方法、金属アルコキシドの加水分解によるゾル−ゲル法、気相での高温加水分解等の方法によって得ることができる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、湿式メディアレス微粒化装置などが挙げられる。機械的粉砕をする場合は、水中で粉砕して、シリカ水分散液とするのが好ましい。
本発明で使用する無定形シリカ一次粒子の粒子径は、3〜70nmであり、好ましくは5〜50nmであり、より好ましくは7〜40nmである。
一次粒子の粒子径は、下記計算式から算出できる。
比表面積(m/g)=(一次粒子1つの表面積)×(1g当りの一次粒子の個数)
一次粒子の粒子径(nm)=3000/比表面積(m/g)
比表面積は、無定形シリカの質量当りの表面積であり、上記の式からもわかるようにその値が大きいほど一次粒子径が小さくなる。一次粒子径が小さくなると、一次粒子から形成される細孔が小さくなり、毛管圧が高くなる。従って、溶融または軟化した成分が速やかに吸収されスティッキングが抑制されるものと考えられる。また一次粒子から形成される二次粒子が嵩高になり、溶融または軟化した成分を十分吸収できる容量が確保できる。しかし一次粒子径が3nm未満であると、形成される細孔が小さすぎて溶融または軟化した成分を吸収できず、スティッキングが発生する恐れがある。また70nmを超えると毛管圧が低下し、溶融または軟化した成分が速やかに吸収されないためスティッキングが発生する恐れがある。ここで、無定形シリカの比表面積とは、微細顔料(即ち、本発明で使用する無定形シリカ)を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の窒素吸脱着等温線を、比表面積測定装置(Coulter社製のSA3100型)を用いて、200℃で2時間真空脱気した後測定し、B.E.T比表面積を算出したものである。
また、二次粒子の平均粒子直径は30〜900nmであり、好ましくは40〜700nmであり、より好ましくは、50〜500nmである。平均粒子直径が30nm未満の二次粒子は製造困難であり、また平均粒子直径が30nm未満であると、形成される細孔の容積が小さすぎて溶融または軟化した成分を浸透できず、スティッキングが発生する恐れがある。また、900nmを超えると粒子径が大きすぎることによってバリア性が低下したり、透明性が低下して記録感度が低下する恐れがある。
ここで、二次粒子の平均粒子直径とは、前記方法により得られたシリカの水分散液を固形分濃度5質量%に調整し、ホモミキサーにて5000rpmで30分間撹拌分散した直後に、分散液を親水性処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の重量が3g/m程度になるように塗布、乾燥してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、電子顕微鏡写真の5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
なお、上記ホモミキサーでの攪拌分散は、単に測定の精度を上げるために均一分散させるために行うものであり、ホモミキサーでの攪拌分散の前後で二次粒子のサイズが変化することは実質上ないと考えられている。
保護層中の二次粒子の含有量は、保護層の全固形分に対して5〜60質量%程度とすることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%程度である。上記5〜60質量%の範囲であれば、前記所望の効果が得られやすい。
その他保護層中には、本発明の所望の効果を失わない限りにおいて、公知の顔料を添加することも可能で、例えばカオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、プラスチックピグメント等が挙げられる。
なお、コロイダルシリカは、一次粒子から実質的になっており、該一次粒子の凝集物である二次粒子が実質上存在しないものである。
本発明の主たる接着剤としては、ポリビニルアルコールが使用されるが、該ポリビニルアルコールとして、種々の分子量の完全鹸化、または部分鹸化ポリビニルアルコール、反応性を高めるためにアセトアセチル基、カルボキシル基、ジアセトン基、エポキシ基、シリル基等の官能基で変性されたポリビニルアルコール等が挙げられる。
特に平均重合度が800〜3000の、ポリビニルアルコールや変性ポリビニルアルコールを用いると、保護層の皮膜強度が向上したり、保護層と感熱記録層との密着性が向上するため好ましく用いられる。平均重合度が800〜3000の範囲であると、保護層の皮膜強度や保護層と感熱記録層との密着性改良効果が大きく、保護層用塗液の粘度の上昇が少なく、塗工適性において実用上問題が生じる恐れがすくない。
また、本発明では、完全鹸化ポリビニルアルコールを使用すると、特に耐水性の発現に効果が見られる。
前記ポリビニルアルコールは保護層の全固形分に対して10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。10〜60質量%の範囲であれば、良好なバリア性が得られ、スティッキングが発生する恐れが少ない。
その他の接着剤として、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、及びカゼイン等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性重合体のラテックス等が挙げられるが、耐水性、耐熱性、バリア性等の品質が阻害されない程度に併用してもよい。
本発明では、硬化剤としてジルコニウム化合物が使用され、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、フッ化ジルコン水素酸、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、この中で炭酸ジルコニムアンモニウム、酢酸ジルコニウムが特に耐水性向上の効果が高い。
前記ジルコニウム化合物の添加量は、保護層の全固形分に対して0.5〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
本発明の保護層は、顔料として粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を、接着剤としてポリビニルアルコールを用い、硬化剤としてジルコニウム化合物を含有するが、これらの組合せにおいて耐水性が容易に発現する。これは、シリカ二次粒子表面の水酸基、及びポリビニルアルコールの水酸基が、硬化剤として含有されているジルコニウム化合物と反応することにより効果が得られると考えられる。
また、保護層に滑剤としてステアリン酸亜鉛を添加すると、少量でバリア性を低下させずにスティッキングを改善することができ、好ましく用いられる。ステアリン酸亜鉛の、保護層の全固形分に対する含有比率は、保護層の全固形分に対して1〜7.5質量%が好ましい。勿論、所望の効果を損なわない限りにおいて、他の滑剤を併用してもよい。
本発明の保護層は、低塗布量でもサーマルヘッドへの粕付着が少なく、スティッキングが良好で、しかも記録感度の高いものが得られる。乾燥後の塗布量は0.3〜3.0g/mが好ましく、0.4〜2.5g/mがより好ましい。
その他、保護層中には公知の助剤、例えば、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
本発明の感熱記録層は、各種公知のロイコ染料、呈色剤、増感剤、顔料、接着剤、各種助剤等が使用できる。
ロイコ染料としては、単独または2種以上混合することができるが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリルフタリド系等のロイコ染料が好ましく用いられる。ロイコ染料の具体例として例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、及び3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン等が挙げられる。
呈色剤としては、単独または2種以上混合することができる。呈色剤の具体例として例えば、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トリルスルホニル−N’−p−ブトキシフエニルウレア等の分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物等が挙げられる。
増感剤としては、単独または2種以上混合することができる。増感剤の具体例として例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、4−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフチルベンジルエーテル、1−(2−ナフチルオキシ)−2−フェノキシエタン、1,3−ジ(ナフチルオキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジベンジル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、タルク、及び表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末、並びに尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末等が挙げられる。
接着剤としては、種々の分子量のポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸3元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、及びカゼイン等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びスチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等の疎水性重合体のラテックス等が挙げられる。
その他、各種助剤としては、滑剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤等、公知のものを用いることができる。
本発明の感熱記録層において、上記ロイコ染料の感熱記録層中の含有率は、一般に5〜20質量%であり、顕色剤の含有率は一般に5〜40質量%である。増感剤が含まれる場合、増感剤の含有率は10〜40質量%であることが好ましい。滑剤類、顔料は、それぞれ5〜20質量%、10〜50質量%の含有率で含まれることが好ましく、接着剤の含有率は一般に5〜20質量%程度である。
本発明の感熱記録体に用いられる支持体としては、紙、表面に顔料、ラテックス等を塗工したコーテッド紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた複層構造の合成紙、プラスチックフィルム、或いはこれらの複合体シート等から選ぶことができる。なお、本発明において、支持体と感熱記録層との間に、必要に応じて下塗層を設けることも可能である。この場合、下塗層を構成する成分としては、公知の顔料、接着剤、架橋剤、各種助剤等を用いることができる。また、感熱記録層と保護層の間に別の保護層を設けたり、支持体の裏面に裏面層を設けたりすることもできる。
本発明の感熱記録体は、一般的に知られている方法により作成することができる。例えば、感熱記録層用塗液はロイコ染料、呈色剤を別々に接着剤水溶液と共に、ボールミル等の分散機で粉砕分散した後、必要に応じて増感剤、顔料、各種助剤と混合攪拌して調製する。また保護層用塗液はシリカ分散液、ポリビニルアルコール、ジルコニウム化合物、及び必要に応じて他の接着剤、各種助剤を混合攪拌して調製する。ついで、支持体上に感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を順次、公知の方法で塗布、乾燥すればよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、実施例や比較例で使用したシリカの平均二次粒子径の測定及びシリカ分散液の調製は以下の方法で行った。
(平均二次粒子径)
5%シリカ分散液をホモミキサーにて5000rpmで30分間撹拌分散した直後に、分散液をフィルム上に乾燥後の重量が3g/m程度になるように塗布、乾燥してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである。
(シリカ分散液Aの調製)
市販シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均二次粒子径4500nm、平均一次粒子径12nm、比表面積260m/g、トクヤマ社製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、二次粒子の平均粒子直径が300nmの10%シリカ分散液Aを得た。
(シリカ分散液Bの調製)
市販シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均二次粒子径4500nm、平均一次粒子径12nm、比表面積260m/g、トクヤマ社製)を攪拌機により水分散し、二次粒子の平均粒子直径が4500nmの10%シリカ分散液Bを得た。
実施例1
(下塗層用塗液の調製)
焼成クレー(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)85部を水320部に分散して得られた分散物に、スチレン−ブタジエン共重合物エマルジョン(固形分濃度50%)40部と、酸化澱粉の10%水溶液50部とを混合攪拌して下塗層用塗液を得た。
(ロイコ染料分散液の調製・A液調製)
3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕してロイコ染料分散液・A液を得た。
(呈色剤分散液の調製・B液調製)
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液・B液を得た。
(増感剤分散液の調製・C液調製)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕して増感剤分散液・C液を得た。
(感熱記録層用塗液の調製)
A液25部、B液50部、C液50部、酸化澱粉の20%水溶液30部、軽質炭酸カルシウム10部、ポリビニルアルコールの10%水溶液50部、及び水10部からなる組成物を混合撹拌して感熱記録層用塗液を得た。
(保護層用塗液の調製)
完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、平均重合度:1700、クラレ社製)の10%水溶液400部、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名:ベイコート20、固形分濃度45%、日本軽金属社製)25部、及びステアリン酸亜鉛の25%分散液20部からなる組成物を混合攪拌し、水117.5部を加えて固形分濃度10%の保護層用塗液を得た。
(感熱記録体の作製)
48g/mの原紙の片面上に、乾燥後の塗布量が9.0g/mになるように下塗層用塗液を塗布乾燥し、更に下塗層上に乾燥後の塗布量が5.0g/mとなるように感熱記録層用塗液を塗布乾燥した。次に、感熱記録層上に乾燥後の塗布量が1.5g/mとなるように保護層用塗液を塗布乾燥した。その後スーパーカレンダーによって平滑化処理し、その表面の平滑度が王研式平滑度計で1000〜4000秒の感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の保護層用塗液の調製において、炭酸ジルコニウムアンモニウム(前出)25部の代わりに、酢酸ジルコニウム(商品名:酢酸ジルコニウム、固形分濃度58%、日本軽金属社製)20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例3
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、平均重合度:1000、日本合成化学工業社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例4
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、平均重合度:500、クラレ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例5
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、市販シリカ分散液(商品名:サイロジェット703A、固形分濃度20%、平均二次粒子径300nm、平均一次粒子径11nm、比表面積280m/g、グレースデビゾン社製)200部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例6
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、平均重合度:3500、クラレ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、タルク(商品名:ハイミクロンHE−5、平均粒子径1.6μm、平均粒子厚300nm、竹原化学社製)の20%分散液200部を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例2
実施例1の保護層用塗液の調製において、炭酸ジルコニウムアンモニウム(前出)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例3
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例4
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、シリカ分散液B(固形分濃度10%)400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例5
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスN、平均粒子径15nm、固形分濃度20%、日産化学社製)200部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例6
実施例1の保護層用塗液の代わりに、下記の保護層用塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、前出)の10%水溶液400部、タルク(商品名:ハイミクロンHE−5、平均粒子径1.6μm、平均粒子厚300nm、竹原化学社製)の20%分散液200部、グリオキザール(固形分濃度40%、日本合成社製)2.5部、及びステアリン酸亜鉛の25%分散液20部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
かくして得られた12種類の感熱記録体について以下の評価を行い、その結果を表1に示した。
(塗工適性)
感熱記録層上に保護層塗料を、メイヤーバー#8で塗工した時にバー筋発生のレベルを以下のように評価した。
○:全く問題なく塗工できる。
△:若干、バー筋、ムラが発生するが、実用上問題はない。
×:バー筋、ムラが発生し、塗工面が不均一になる。
(記録濃度)
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:2400)で各感熱記録体を印字し、記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
(ヘッドカス)
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:4000)で各感熱記録体を5m印字し、サーマルヘッドの粕付着状況を目視観察し、以下のように評価した。
○:付着は全く見られず、問題なし。
△:極僅かに付着が見られたが、実用上問題なし。
×:多くの付着が見られ、実用上問題になる。
(スティッキング)
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:2400)で各感熱記録体を印字し、音の発生状況を観察し、以下のように評価した。
○:スティッキングの音は聞こえなかった。
△:極僅かスティッキングの音が聞こえたが、実用上問題なし。
×:大きいスティッキングの音が聞こえ、実用上問題になる。
(耐水性)
感熱記録体を各環境下で24時間放置した後、感熱記録層上に水を1滴垂らし、指で50回擦り表面の状態を観察して、以下のように評価した。ここで40℃ドライが最も硬化条件がゆるやかであり、耐水性の発現に優れていることを示し、続いて40℃50%RH、40℃90%RHの順になり、40℃90%RHが最も硬化が進む条件となる。
○:40℃ドライで問題なし。
△〜○:40℃50%RHで問題なし。
△:40℃90%RHで問題なし。
×:40℃90%RHでも保護層が剥がれる。
Figure 2010017949

Claims (5)

  1. 支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
  2. 前記無定形シリカの二次粒子が、保護層の全固形分に対して5〜60質量%含有される、請求項1に記載の感熱記録体。
  3. ジルコニウム化合物が、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であり、前記ジルコニウム化合物が、保護層の全固形分に対して0.5〜20質量%含有される、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  4. 前記ポリビニルアルコールの平均重合度が800〜3000であり、前記ポリビニルアルコールが、保護層の全固形分に対して10〜60質量%含有される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
  5. 前記保護層の乾燥後の塗布量が0.3〜3.0g/mである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
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