JP2010017949A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの材料は架橋反応により耐水性が得られるが、感熱記録体を塗工、乾燥直後は耐水性が発現せず、反応が進むのに時間が必要となる。このため、時間を短縮するためにムロ処理で反応を促進させる方法もあるが、作業性が悪くなる問題がある。
また、硬化剤の種類によっては、感熱記録体を製造する上で取り扱いに注意が必要で、操業面での安全性の問題もある。
項1:支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
項2:前記無定形シリカの二次粒子が、保護層の全固形分に対して5〜60質量%含有される、項1に記載の感熱記録体。
項3:ジルコニウム化合物が、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であり、前記ジルコニウム化合物が、保護層の全固形分に対して0.5〜20質量%含有される、項1または2に記載の感熱記録体。
項4:前記ポリビニルアルコールの平均重合度が800〜3000であり、前記ポリビニルアルコールが、保護層の全固形分に対して10〜60質量%含有される、項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
項5:前記保護層の乾燥後の塗布量が0.3〜3.0g/m2である、項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
本発明は、支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体である。
比表面積(m2/g)=(一次粒子1つの表面積)×(1g当りの一次粒子の個数)
一次粒子の粒子径(nm)=3000/比表面積(m2/g)
比表面積は、無定形シリカの質量当りの表面積であり、上記の式からもわかるようにその値が大きいほど一次粒子径が小さくなる。一次粒子径が小さくなると、一次粒子から形成される細孔が小さくなり、毛管圧が高くなる。従って、溶融または軟化した成分が速やかに吸収されスティッキングが抑制されるものと考えられる。また一次粒子から形成される二次粒子が嵩高になり、溶融または軟化した成分を十分吸収できる容量が確保できる。しかし一次粒子径が3nm未満であると、形成される細孔が小さすぎて溶融または軟化した成分を吸収できず、スティッキングが発生する恐れがある。また70nmを超えると毛管圧が低下し、溶融または軟化した成分が速やかに吸収されないためスティッキングが発生する恐れがある。ここで、無定形シリカの比表面積とは、微細顔料(即ち、本発明で使用する無定形シリカ)を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の窒素吸脱着等温線を、比表面積測定装置(Coulter社製のSA3100型)を用いて、200℃で2時間真空脱気した後測定し、B.E.T比表面積を算出したものである。
また、本発明では、完全鹸化ポリビニルアルコールを使用すると、特に耐水性の発現に効果が見られる。
ロイコ染料としては、単独または2種以上混合することができるが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリルフタリド系等のロイコ染料が好ましく用いられる。ロイコ染料の具体例として例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、及び3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン等が挙げられる。
5%シリカ分散液をホモミキサーにて5000rpmで30分間撹拌分散した直後に、分散液をフィルム上に乾燥後の重量が3g/m2程度になるように塗布、乾燥してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである。
市販シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均二次粒子径4500nm、平均一次粒子径12nm、比表面積260m2/g、トクヤマ社製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、吉田機械興業社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、二次粒子の平均粒子直径が300nmの10%シリカ分散液Aを得た。
市販シリカ(商品名:ファインシールX−45、平均二次粒子径4500nm、平均一次粒子径12nm、比表面積260m2/g、トクヤマ社製)を攪拌機により水分散し、二次粒子の平均粒子直径が4500nmの10%シリカ分散液Bを得た。
(下塗層用塗液の調製)
焼成クレー(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)85部を水320部に分散して得られた分散物に、スチレン−ブタジエン共重合物エマルジョン(固形分濃度50%)40部と、酸化澱粉の10%水溶液50部とを混合攪拌して下塗層用塗液を得た。
3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕してロイコ染料分散液・A液を得た。
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液・B液を得た。
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕して増感剤分散液・C液を得た。
A液25部、B液50部、C液50部、酸化澱粉の20%水溶液30部、軽質炭酸カルシウム10部、ポリビニルアルコールの10%水溶液50部、及び水10部からなる組成物を混合撹拌して感熱記録層用塗液を得た。
完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、平均重合度:1700、クラレ社製)の10%水溶液400部、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名:ベイコート20、固形分濃度45%、日本軽金属社製)25部、及びステアリン酸亜鉛の25%分散液20部からなる組成物を混合攪拌し、水117.5部を加えて固形分濃度10%の保護層用塗液を得た。
48g/m2の原紙の片面上に、乾燥後の塗布量が9.0g/m2になるように下塗層用塗液を塗布乾燥し、更に下塗層上に乾燥後の塗布量が5.0g/m2となるように感熱記録層用塗液を塗布乾燥した。次に、感熱記録層上に乾燥後の塗布量が1.5g/m2となるように保護層用塗液を塗布乾燥した。その後スーパーカレンダーによって平滑化処理し、その表面の平滑度が王研式平滑度計で1000〜4000秒の感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、炭酸ジルコニウムアンモニウム(前出)25部の代わりに、酢酸ジルコニウム(商品名:酢酸ジルコニウム、固形分濃度58%、日本軽金属社製)20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、平均重合度:1000、日本合成化学工業社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、平均重合度:500、クラレ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、市販シリカ分散液(商品名:サイロジェット703A、固形分濃度20%、平均二次粒子径300nm、平均一次粒子径11nm、比表面積280m2/g、グレースデビゾン社製)200部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA135、平均重合度:3500、クラレ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、タルク(商品名:ハイミクロンHE−5、平均粒子径1.6μm、平均粒子厚300nm、竹原化学社製)の20%分散液200部を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、炭酸ジルコニウムアンモニウム(前出)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、前出)の10%水溶液400部の代わりに、酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)の10%水溶液400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、シリカ分散液B(固形分濃度10%)400部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の調製において、シリカ分散液A(固形分濃度10%)400部の代わりに、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスN、平均粒子径15nm、固形分濃度20%、日産化学社製)200部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例1の保護層用塗液の代わりに、下記の保護層用塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、前出)の10%水溶液400部、タルク(商品名:ハイミクロンHE−5、平均粒子径1.6μm、平均粒子厚300nm、竹原化学社製)の20%分散液200部、グリオキザール(固形分濃度40%、日本合成社製)2.5部、及びステアリン酸亜鉛の25%分散液20部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
感熱記録層上に保護層塗料を、メイヤーバー#8で塗工した時にバー筋発生のレベルを以下のように評価した。
○:全く問題なく塗工できる。
△:若干、バー筋、ムラが発生するが、実用上問題はない。
×:バー筋、ムラが発生し、塗工面が不均一になる。
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:2400)で各感熱記録体を印字し、記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:4000)で各感熱記録体を5m印字し、サーマルヘッドの粕付着状況を目視観察し、以下のように評価した。
○:付着は全く見られず、問題なし。
△:極僅かに付着が見られたが、実用上問題なし。
×:多くの付着が見られ、実用上問題になる。
感熱評価機(商品名:バーラベ300、サトー社製)を用いて、印字パターン(ベタ印字、速度:4インチ/秒、ストローブ:2400)で各感熱記録体を印字し、音の発生状況を観察し、以下のように評価した。
○:スティッキングの音は聞こえなかった。
△:極僅かスティッキングの音が聞こえたが、実用上問題なし。
×:大きいスティッキングの音が聞こえ、実用上問題になる。
感熱記録体を各環境下で24時間放置した後、感熱記録層上に水を1滴垂らし、指で50回擦り表面の状態を観察して、以下のように評価した。ここで40℃ドライが最も硬化条件がゆるやかであり、耐水性の発現に優れていることを示し、続いて40℃50%RH、40℃90%RHの順になり、40℃90%RHが最も硬化が進む条件となる。
○:40℃ドライで問題なし。
△〜○:40℃50%RHで問題なし。
△:40℃90%RHで問題なし。
×:40℃90%RHでも保護層が剥がれる。
Claims (5)
- 支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層、並びに、顔料及び接着剤を主成分とする保護層をこの順で備えている感熱記録体において、前記保護層に含有される顔料が、粒子径3〜70nmの無定形シリカ一次粒子が凝集してなる平均粒子直径30〜900nmの二次粒子を含んでおり、前記保護層に含有される接着剤が、ポリビニルアルコールを含んでおり、さらに硬化剤としてジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
- 前記無定形シリカの二次粒子が、保護層の全固形分に対して5〜60質量%含有される、請求項1に記載の感熱記録体。
- ジルコニウム化合物が、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であり、前記ジルコニウム化合物が、保護層の全固形分に対して0.5〜20質量%含有される、請求項1または2に記載の感熱記録体。
- 前記ポリビニルアルコールの平均重合度が800〜3000であり、前記ポリビニルアルコールが、保護層の全固形分に対して10〜60質量%含有される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記保護層の乾燥後の塗布量が0.3〜3.0g/m2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
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