JP6892333B2 - 分散液及び感熱記録材料 - Google Patents

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Description

本発明は、分散粒子の粒子径が小さく、分散安定性に優れ、さらに液カブリが少ない分散液、並びに該分散液を用いて作製される、発色感度及び地肌の白色度に優れる感熱記録材料に関する。
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発を経て実用化されている。中でも感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、(2)必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取り扱いやすく安価であること等の利点を有するので、情報処理分野(卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダ分野、ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、POSシステムのラベル分野等多岐にわたり用いられている。
感熱記録材料の製造工程において、感熱染料や顕色剤を含有する分散液が調製されるが、感熱記録材料を高感度化するさらなる手段として、ロイコ染料を微粒子化する種々の提案がなされてきた。例えば、感熱染料等の分散剤として、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールを用いること(特許文献1)、カルボキシル基を有するポリビニルアルコールを用いること(特許文献2)、カルボキシル基を有するポリビニルアルコールとオレフィン・マレイン酸共重合体の樹脂組成物を用いること(特許文献3)等が提案されている。また、白色度や耐湿地肌カブリの改善を目的に、ウレタンウレア化合物分散体及び染料前駆体の分散体を40℃以上で3時間以上の熱処理を行うこと(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、これら従来の提案には、幾つかの問題点が残されている。具体的な問題点として、染料を含む分散液においては、染料粒子が小さくなるほど分散液の液カブリが激しくなること、白色度や耐湿地肌カブリの改善を目的に分散液を加熱処理すると分散状態が不安定となり、再凝集、粘度増加やゲル化が生じること等が挙げられる。なお、液カブリとは、染料粒子が小さくなるにつれて分散液が黒ずむ現象を指し、地肌カブリとは、分散液を塗工した塗工面が黒ずむ現象を指す。すなわち、従来技術においては、分散粒子径が小さく、分散安定性に優れ、さらに液カブリが少ない分散液は得られていなかった。
特開昭58−179691号公報 特開平8−48076号公報 特開平11−321103号公報 特開2004−359802号公報
本発明は、分散粒子の粒子径が小さく、分散安定性に優れ、さらに液カブリが少ない分散液を提供すること、並びに発色感度及び地肌の白色度に優れた感熱記録材料を提供することを目的とする。
上記課題は、酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体を含有する分散液であって;該多官能単量体が、分子中にエチレン性二重結合を2つ以上含有し、該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.90である分散液を提供することにより解決される。
このとき、前記側鎖がビニルエーテル基又はアリル基を含有することが好ましい。
上記分散液は、さらに染料、顕色剤又は増感剤を含むことも好ましい。
上記分散液を基材に塗工してなる塗工物が本発明の好適な実施態様である。
上記課題は、酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体、染料、顕色剤及び増感剤を含む塗工液であって;該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.90である塗工液によっても解決される。
上記塗工液を基材に塗工してなる感熱記録材料が本発明の好適な実施態様である。
上記課題は、基材と感熱発色層とを有する感熱記録材料であって、該感熱発色層が酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体、染料、顕色剤及び増感剤を含有し、該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.90である感熱記録材料によっても解決される。
本発明の分散液は、側鎖にエチレン性二重結合を含有する変性PVAを用いることで、染料、顕色剤及び増感剤等の分散粒子を効率よく分散でき、分散安定性に優れ、さらに液カブリが少ない。さらにその分散液を使用して作製した感熱記録材料は、発色感度及び地肌の白色度に優れる。
本発明は、酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体(以下「変性PVA」と略記することがある)を含有する分散液であって;該多官能単量体が、分子中にエチレン性二重結合を2つ以上含有し、該変性PVAが、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.90である分散液に関する。
本発明で用いる多官能単量体は、分子中にエチレン性二重結合を2つ以上含有するものであれば、種々の単量体を用いることができる。但し、酢酸ビニルとの共重合時に過剰な架橋反応が進行してゲル化が生じることなく、しかも必要量の二重結合を導入できるものでなければならない。酢酸ビニルに対する多官能単量体の配合割合、重合温度、単量体濃度、重合率、粘度平均重合度など、様々な要因を考慮しながら、適切な反応性を有する多官能単量体を選択する必要がある。過剰な架橋反応を抑制する観点からは、多官能単量体に含まれるエチレン性二重結合の数が2つであることが好ましい。
中でも、上記多官能単量体として、エタンジオールジビニルエーテル、プロパンジオールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテルなどのジビニルエーテル化合物のようなビニルエーテル基を含有する多官能単量体が好適なものとして挙げられる。
また、アリル基を含有する多官能単量体も好適である。アリル基を含有する多官能単量体としては、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン等のジエン化合物;グリセリンジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテルなどのジアリルエーテル化合物、グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどのトリアリルエーテル化合物、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどのテトラアリルエーテル化合物のようなアリルエーテル基を含有する単量体;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリルなどカルボン酸ジアリルのようなアリルエステル基を含有する単量体;ジアリルアミン、ジアリルメチルアミンなどのジアリルアミン化合物、トリアリルアミンなどのアリルアミノ基を含有する単量体;ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのジアリルアンモニウム塩のようなアリルアンモニウム基を含有する単量体;イソシアヌル酸トリアリル;1,3−ジアリル尿素;リン酸トリアリル;ジアリルジスルフィドなどが例示される。中でも、アリルエーテル基を含有する単量体は、重合度や二重結合含有量の制御が容易であり、より好適に用いられる。
さらに、上述した多官能単量体の他に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸を有する単量体;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドを有する単量体、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなども挙げることができる。
変性PVAの製造方法は特に限定されない。例えば、酢酸ビニルと上記多官能単量体とを共重合させてビニルエステル系共重合体を得てから、当該ビニルエステル系共重合体をけん化する方法が好適である。
上記製造方法において、酢酸ビニルに対する上記多官能単量体の含有量を0.1〜5モル%として共重合することが好ましい。多官能単量体の含有量が0.1モル%未満の場合は、側鎖にエチレン性二重結合が導入され難くなる傾向となる。多官能単量体の含有量は0.15モル%以上がより好ましく、0.2モル%以上がさらに好ましい。一方、多官能単量体の含有量が5モル%を超えると、ビニルエステル系共重合体の重合度を制御するのが困難になる傾向となる。また、当該ビニルエステル系共重合体をけん化して得られる変性PVAが水に溶解しない傾向となる。多官能単量体の含有量は3モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましい。
共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など任意の重合方法を採用できる。また、共重合は、無溶媒またはアルコール系溶媒の存在下で行うことができる。中でも、無溶媒の塊状重合法及びアルコール系溶媒を用いた溶液重合法が好適に採用できる。アルコール系溶媒は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどを単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。共重合の方式は特に限定されず、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれも採用できる。
酢酸ビニルと多官能単量体とを重合する際の温度(共重合温度)は特に限定されないが、通常、0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。当該温度が0℃より低い場合、十分な重合速度が得られないことがある。当該温度が200℃より高い場合、使用する酢酸ビニルや多官能単量体の分解が懸念される。
共重合温度の制御方法は特に限定されず、例えば、重合速度の制御により、重合により生成する熱と、重合容器表面からの放熱とのバランスをとる方法が挙げられる。また、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法も挙げられる。安全性の面からは、後者の方法が好ましい。
酢酸ビニルと多官能単量体とを共重合する際に使用される重合開始剤は、公知の開始剤(例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤など)から選択できる。アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。過酸化物系開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。これらの開始剤に、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤としてもよい。レドックス系開始剤としては、例えば、上記過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた開始剤が挙げられる。共重合を高温で行った場合に、酢酸ビニルの分解に起因する着色が見られることがある。その場合、着色の防止を目的として、酒石酸のような酸化防止剤を、酢酸ビニルに対して1〜100ppm程度、重合系に添加することはなんら差し支えない。
酢酸ビニルと多官能単量体との共重合に際し、本発明の趣旨を損なわない範囲で、他の単量体を共重合してもよい。当該他の単量体としては例えば、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩またはその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びその誘導体などの(メタ)アクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。このような他の単量体を共重合させる場合、その共重合量は、通常5モル%以下である。
酢酸ビニルと多官能単量体との共重合は、得られる共重合体の重合度を調節することなどを目的として、本発明の趣旨を損なわない範囲で、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。中でもアルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数、並びに目的とする変性PVAの重合度に応じて決定できるが、通常、酢酸ビニルに対して0.1〜10質量%程度が好ましい。
また、酢酸ビニルの重合率が20〜85%であることが好ましい。重合率が20%未満であると単位時間当たりに製造できるビニルエステル系共重合体の量が減少することにより生産効率が低下する傾向になるとともに、酢酸ビニルを回収するためのコストが増加する傾向となる。生産効率とコストの観点から、重合率は30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。一方、重合率が85%を超えると、架橋反応が過剰に進行して、得られる変性PVA(A)の水溶性が低下する傾向となる。架橋反応の抑制の観点から、重合率は80%以下がより好ましい、70%以下がさらに好ましい。
酢酸ビニルと多官能単量体とを共重合して得られたビニルエステル系共重合体のけん化方法は特に限定されず、公知のけん化方法を採用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒やp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた、加アルコール分解反応または加水分解反応が挙げられる。この反応に使用しうる溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類:ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、メタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒としてけん化することが簡便であり好ましい。
変性PVAのけん化度は65.0〜98.0モル%である必要があり、75.0〜96.0モル%が好ましく、80.0〜90.0モル%がより好ましい。けん化度が65.0モル%未満の場合は、変性PVAの水溶性が低下したり、得られる分散液において分散粒子の粒子径が大きくなったり、得られる感熱記録材料の発色感度が不十分となる。一方、けん化度が98.0モル%を超えると、得られる分散液の液カブリが問題となる。
上記けん化度は、JIS−K6726(1994年)に記載されているけん化度の測定方法により測定した値とする。このとき、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位及び多官能単量体単位以外の単位については、仮に含まれているとしても少量なので無視できる。
変性PVAの20℃における4質量%水溶液粘度は、2.0〜10.0mPa・sである必要があり、2.2〜8.0mPa・sが好ましく、2.4〜4.0mPa・sがより好ましい。水溶液粘度が2.0mPa・s未満の場合は、得られる分散液において分散粒子の粒子径が大きくなったり、得られる感熱記録材料の発色感度が不十分となる。一方、水溶液粘度が10.0mPa・sを超えると、得られる分散液の粘度が上昇して分散安定性が不十分となったり、得られる感熱記録材料の発色感度が不十分となる。
上記変性PVAの4質量%水溶液粘度は、例えばTOKIMEC INC.製B型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度20℃において測定できる。
変性PVAを構成する全単量体単位における多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)は0.05〜1.5モル%である必要があり、0.1〜1.3モル%が好ましく、0.2〜1.0モル%がより好ましい。含有量(S)が0.05モル%未満の場合は、得られる分散液の液カブリが問題となる。一方、含有量(S)が1.5モル%を超えると、ビニルエステル系共重合体の重合度制御が非常に困難となる。
変性PVAの側鎖がビニルエーテル基又はアリル基のようなエチレン性二重結合を含有することが好ましい。また、アリル基としては、アリルエーテル基がより好ましい。このような側鎖エチレン性二重結合の含有量(Y)と、上記多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)との比率Y/Sは0.10〜0.90であることが重要であり、0.10〜0.50が好ましい。比率Y/Sが0.10未満の場合は、感熱記録材料に必要な性能の総合評価が不十分となる。一方、比率Y/Sが0.90を超える場合は、得られる分散液において分散粒子の粒子径が大きくなる。
多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)及び側鎖エチレン性二重結合の含有量(Y)は、けん化前のビニルエステル系共重合体(以下「PVAc」と略記することがある)の重クロロホルム溶媒中でのH−NMRスペクトルから測定する。具体的には、n−ヘキサン/アセトンで該PVAcの再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のPVAcのサンプルを作製する。該サンプルを重クロロホルムに溶解し、500MHzのH−NMR(JEOL GX−500)を用いて室温で測定する。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピークα(4.7〜5.1ppm)と側鎖にあるエチレン性二重結合主鎖側炭素に結合するプロトンのピークβ(5.8〜6.0ppm)及び多官能単量体由来のメチル基に由来するピークγ(0.7〜0.9ppm)から下記式を用いて多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)及び側鎖エチレン性二重結合の含有量(Y)を算出する(なお、多官能単量体がトリメチロールプロパンジアリルエーテルの場合)。
(1)含有量(S)モル%=(γのプロトン数/3)/(αのプロトン数+γのプロトン数/3)×100
(2)二重結合含有量(Y)(モル%)=(βのプロトン数)/(αのプロトン数+γのプロトン数/3)×100
本発明の分散液は、上記の変性PVAを分散剤とし、染料、顕色剤、増感剤等の種々の薬剤を分散質とすることが好ましい。このときの分散媒としては、主として水を用いる。
染料としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いるものであれば特に制限はない。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化合物;4,4´−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のキサンテン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスルピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等のスピロ系化合物等が挙げられる。このような染料は、1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
顕色剤としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いるものであれば特に制限はないが、フェノール類、芳香族カルボン酸誘導体が好ましく、特にビスフェノール類が好ましい。例えば、p−オクチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール等のフェノール類;1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビスフェノール類;ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。芳香族カルボン酸誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、上記のカルボン酸の多価金属塩等が挙げられる。このような顕色剤は、1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
増感剤としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いるものであれば特に制限はない。例えば、ベンジル−2−ナフチルエーテル、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1、2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、イソフタル酸ジブチルエステル、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン等が挙げられる。このような増感剤は、1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
本発明の分散液に用いる分散剤として上記変性PVAに加えて、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いる分散剤を併用できる。例えば、上記変性PVA以外のポリビニルアルコール類、スルホン化セルロース類、スルホン化澱粉類、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸類、エチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、高級アルコールの硫酸エステル塩類、アルキルポリエーテルの硫酸エステル塩類、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸塩類、リン酸エステル類、脂肪族リン酸エステル類、芳香族リン酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアリール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル類、ジアルキルスルホコハク酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル類等が挙げられる。
染料分散液に含まれる分散剤は、通常、染料100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、8〜30質量部がより好ましく、10〜20質量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5質量部未満の場合は、染料の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の発色感度及び画像保存性が低下する傾向となる。一方、分散剤の含有量が50質量部を超える場合は、分散液の粘度が高くなり取扱い性が低下する傾向となる。
顕色剤分散液に含まれる分散剤は、通常、顕色剤100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、8〜30質量部がより好ましく、10〜20質量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5質量部未満の場合は、顕色剤の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の発色感度及び画像保存性が低下する傾向となる。一方、分散剤の含有量が50質量部を超える場合は、分散液の粘度が高くなり取扱い性が低下する傾向となる。
増感剤分散液に含まれる分散剤は、通常、増感剤100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、8〜30質量部がより好ましく、10〜20質量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5質量部未満の場合は、増感剤の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の発色感度及び画像保存性が低下する傾向となる。一方、分散剤の含有量が50質量部を超える場合は、分散液の粘度が高くなり取扱い性が低下する傾向となる。
上記の分散液を基材に塗工することにより、本発明の塗工物が得られる。基材としては特に制限はなく、例えば紙、合成繊維紙、合成樹脂フィルム等を使用できる。中でも、紙を用いることが好ましい。
本発明の別の態様は、上記変性PVA、染料、顕色剤及び増感剤を含有する塗工液である。この塗工液を基材に塗布することにより、感熱記録材料が得られる。すなわち感熱記録材料は、基材と感熱発色層とを有し、該感熱発色層が上記変性PVA、染料、顕色剤及び増感剤を含有する。
染料、顕色剤及び/又は増感剤の分散には、通常、ボールミル、アトライター、サンドミル、SCミル、リングミル、スパイクミル、コボールミル、ダイノウミル等が使用できる。上記変性PVAを分散剤として用いて、粒子径0.1〜1.0μm(好ましくは0.2〜0.7μm、さらに好ましくは0.3〜0.5μm)の染料、顕色剤又は増感剤を分散質とする分散液や、変性PVA、染料、顕色剤及び増感剤を含有する塗工液が得られる。
上記分散液及び塗工液における固形分濃度は特に限定されないが、塗工性等の点から、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。上記分散液を基材に塗工して塗工物を得る方法、または塗工液を基材に塗工して感熱記録材を得る際の塗工方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。塗工方法としては、例えばエアーナイフ法、プレート法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、エクストルージョン法などの方法を採用できる。上記分散液又は塗工液の塗工量は特に限定されないが、固形分換算で1〜10g/mが好ましく、2〜8g/mがより好ましい。
上記感熱発色層は、染料、顕色剤及び増感剤の他に、塗工適性の改善、白色度、発色感度、分散安定性等をさらに高めるため、水性バインダー、フィラー、界面活性剤、滑剤、消泡剤、湿潤剤、圧力発色防止剤等を併用できる。
水性バインダーは特に限定されず、公知のものを使用できる。例えば、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。水性バインダーの添加量は、染料、顕色剤及び増感剤の合計量100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。
以下、実施例、比較例を用いて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例及び比較例において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準を意味する。
[製造例1(PVA1の製造)]
(側鎖にエチレン性二重結合を有するビニルアルコール系共重合体の合成)
撹拌機、窒素導入口、添加剤導入口及び開始剤添加口を備えた6Lの反応槽に酢酸ビニル600g、メタノール2400g、多官能単量体としてトリメチロールプロパンジアリルエーテル9.3gを仕込み、60℃に昇温した後、30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。続いて2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2.5gを加えて重合を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持した。4時間後に重合率が75%に達したところで冷却して重合を停止した。次いで、減圧下で未反応の酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニル(以下「PVAc」と略記することがある)のメタノール溶液を得た。得られたPVAcを用いて後述する方法で多官能単量体(トリメチロールプロパンジアリルエーテル)由来の構造単位の含有量(S)及び側鎖エチレン性二重結合の含有量(Y)を求めた。上記PVAcのメタノール溶液の濃度を30%に調整し、アルカリモル比(NaOHのモル数/PVAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.008となるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。得られたビニルアルコール系共重合体をメタノールで洗浄した。以上の操作により、けん化度87.0モル%の変性PVAを得た。得られた変性PVAを90℃の水に溶解させて4質量%の水溶液を調製し、20℃における粘度をB型粘度計(60回転)にて測定したところ、3.0mPa・sであった。
(含有量(S)及び(Y)の測定)
n−ヘキサン/アセトンで得られたPVAcの再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行った。その後、得られた精製PVAcを重クロロホルムへ溶解してH−NMRの測定を実施し、得られたスペクトルからトリメチロールプロパンジアリルエーテル由来の構造単位の含有量(S)は0.7モル%、側鎖アリルエーテル基の含有量(Y)は0.18モル%と算出された。
[製造例2〜15(PVA2〜15の製造)]
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用する多官能単量体の種類や添加量等の重合条件、けん化時のビニルエステル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1のように変更した以外は、製造例1と同様にして各種のPVA(PVA2〜15)を製造した。
Figure 0006892333
[実施例1]
(1)染料分散液の作製と評価
染料分散液の作製(濃度35%)
染料:ロイコ染料(山本化成株式会社製、商品名:ODB−2) 100部
PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E、界面活性剤)
蒸留水 204部

上記染料、PVA1、サーフィノール104E及び蒸留水を60分間ビーカーで予備攪拌を行った後、ビーズミル(AIMEX製社製、Ready−mill type NVM−03型)に移し、ガラスビーズ(直径0.5mmのソーダ石英ガラス)を加え(充填率82%)、吐出量55cc/分、高回転数(3400rpm)、冷却下にて30分間かけて分散させた(循環回数:8回)。
次に得られた染料分散液の物性を下記の方法により評価した。
染料分散液の粒子径:分散終了後の粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津株式会社製、型式:SALD−2200)により測定したところ、平均粒子径が0.35μmであったため、下記基準を用いてランク5と判定した。
ランク5:0.40μm未満
ランク4:0.40μm以上0.50μm未満
ランク3:0.50μm以上0.70μm未満
ランク2:0.70μm以上1.00μm未満
ランク1:1.00μm以上
染料分散液の溶液粘度:分散終了後の染料分散液粘度を、B型粘度計(TOKIMEC INC.製)を用いてロータ回転数60rpm、温度20℃における粘度を測定したところ、44mPa・sであったため、下記基準を用いてランク5と判定した。
ランク5:〜50mPa・s未満
ランク4:50mPa・s以上100mPa・s未満
ランク3:100mPa・s以上400mPa・s未満
ランク2:400mPa・s以上700mPa・s未満
ランク1:700mPa・s以上
染料分散溶液の白色度:分散終了後、約1時間経過した染料分散溶液を市販感熱紙(コクヨ製;タイ−2010)に手塗り塗工した(塗布量は約5g/m)。この塗工紙のISO白色度をPF−10(日本電色製)にて測定したところ、白色度84であったため、下記基準を用いてランク5と判定した。
ランク5:82以上
ランク4:79以上82未満
ランク3:75以上79未満
ランク2:72以上75以下
ランク1:72未満
(2)顕色剤分散液及び増感剤分散液の作製とその評価
顕色剤分散液の作製(濃度34%)
顕色剤:ビスフェノールS(日本曹達株式会社製、商品名:D−8)100部
PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E、界面活性剤)
蒸留水 210部
増感剤分散液の作製(濃度40%)
増感剤:ベンジル−2−ナフチルエーテル 100部
PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E、界面活性剤)
蒸留水 165部
上記染料分散液と類似の条件下、顕色剤分散液、増感剤分散液を作製し、その粒子径測定を実施した結果、顕色剤分散液の粒子径は0.6μm、増感剤分散液の粒子径は0.5μmであった。
(3)感熱記録材料の作製とその評価
染料分散液50部、顕色剤分散液120部、増感剤分散液75部(固形分換算)を混合攪拌した後に、原紙(坪量:60g/mの上質紙)の表面に、メイヤーバーを用いたバー法により、上記塗工液を3g/m(固形分換算)塗工した後、ドライヤーを用いて乾燥させ、さらにスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理することにより、感熱記録紙を製造した。
感熱記録紙の発色感度測定:熱傾斜試験機(東洋精機製作所製 TYPE HG−100、プレス圧力0.6Kg/cm、プレス時間5秒、プレス温度120℃)を用いて発色試験を実施し、その発色濃度を測定(GretagMacbeth反射濃度計 RD−19)したところ、1.28であったため、下記基準を用いてランク5と判定した。
ランク5:1.25以上
ランク4:1.20以上1.25未満
ランク3:1.10以上1.20未満
ランク2:1.00以上1.10未満
ランク1:1.00未満
感熱記録材料の総合評価:上記4つの評価項目について、判定したランクをそのまま点数として読みかえ、感熱紙の性能に影響の大きい物性に対して下記式のように傾斜配点を行い、感熱記録材料としての総合評価を実施したところ、PVA1を用いた感熱記録材料は50点となった。尚この得点が35点以上のものを合格、35点未満のものを不合格品と判定した。

総合評価=分散粒子径点数+染料分散液粘度点数×2+染料分散液白色度点数×2+感熱紙発色感度点数×5
[実施例2〜8、比較例1〜7]
PVA1の代わりにPVA2〜15を各々用いた以外は、全て実施例1と同様にして染料分散液、顕色剤分散液、増感剤分散液、感熱記録材料を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006892333
上記実施例が示す通り、本発明の分散液は特定の変性PVAを用いることで、分散粒子の粒子径が小さく、分散安定性に優れ、さらに液カブリが少ない。また、該分散液から得られる感熱記録材料は、発色感度及び地肌の白色度のみならず、高速印字性及び画像の解像度にも優れており、その特性を活かしてファクシミリ等の高速印字が必要な分野において、特に好適に使用される。

Claims (9)

  1. 酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体を含有する分散液であって;
    該多官能単量体が、分子中にエチレン性二重結合を2つ以上含有し、
    該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.33である分散液。
  2. 前記側鎖がビニルエーテル基またはアリル基を含有する請求項1に記載の分散液。
  3. さらに染料を含む、請求項1又は2に記載の分散液。
  4. さらに顕色剤を含む、請求項1又は2に記載の分散液。
  5. さらに増感剤を含む、請求項1又は2に記載の分散液。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の分散液を基材に塗工してなる塗工物。
  7. 酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体、染料、顕色剤及び増感剤を含む塗工液であって;
    該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.33である塗工液。
  8. 請求項7に記載の塗工液を基材に塗工してなる感熱記録材料。
  9. 基材と感熱発色層とを有する感熱記録材料であって、
    該感熱発色層が酢酸ビニルと多官能単量体との共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系共重合体、染料、顕色剤及び増感剤を含有し、
    該ビニルアルコール系共重合体が、側鎖にエチレン性二重結合を含有し、けん化度が65.0〜98.0モル%であり、20℃における4質量%の水溶液粘度が2.0〜10.0mPa・sであり、該ビニルアルコール系共重合体を構成する全構造単位における該多官能単量体由来の構造単位の含有量(S)が0.05〜1.5モル%であり、含有量(S)と該エチレン性二重結合の含有量(Y)との比率Y/Sが0.10〜0.33である感熱記録材料。
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