JP2014126702A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像ムラと共に、黒ポチおよびカブリなどの画像欠陥を低減できる電子写真感光体を提供する。
【解決手段】本発明によれば、導電性支持体上に中間層、前記中間層の上に有機感光層を有し、前記中間層は単層であり、第一の金属酸化物粒子、第一の金属酸化物粒子より電子輸送性の高い第二の金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含み、かつ、前記第一の金属酸化物粒子が前記中間層の厚み方向において偏在していることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成方法において用いられる電子写真感光体に関する。特に、電子写真感光体の導電性支持体と感光層との間に特定の中間層を設けることにより、画像の欠陥を改善した電子写真感光体に関する。
近年、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置には、より一層の高画質化が要請されている。高画質化の要請としては、具体的には、ページ内またはページ間での濃度ムラを改善することなどが挙げられる。画像形成装置においては、形成する画像が高画質化かつ高解像度化されてきていることに伴い、検知性が向上していることから濃度ムラが生じるケースが増加しつつある。濃度ムラ改善のため、画像形成装置においては従来様々な対策が取られ、引き続き検討されている。
また、近年広範に使用されている、負帯電型の積層構造を有する電子写真感光体は、通常、導電性支持体上に、中間層と、電荷発生層上に電荷輸送層が形成されてなる感光層とが積層されている。このような負帯電型の積層構造を有する電子写真感光体においては、その表面が負に帯電された後、露光されると、電荷発生層において電荷が発生し、このうち負電荷(電子)は中間層を経て導電性支持体へ移動し、一方、正孔(ホール)は電荷輸送層を経て電子写真感光体表面へ移動し、当該表面の負電荷を打ち消して静電潜像が形成される。そのため、中間層には、電子輸送性を有すること(露光により電荷発生層で発生した電子を速やかに導電性支持体へ移動させること)および正孔ブロッキング性を有すること(導電性支持体から感光層への正孔の注入を抑制すること)が求められている。
濃度ムラ、カブリ等の画像欠陥を改善し、かつ、低温度環境での安定性や、繰り返し安定性を向上させるための従来の試みとして、特定の酸化チタン粉末を電子写真感光体の下引き層に使用した電子写真感光体が知られている(下記特許文献1)。特許文献1には、2種類以上の異なる大きさの、特定の物性を有する針状酸化チタンを含む下引き層が開示されている。下引き層に細長い針状酸化チタンを使用すると、酸化チタン同士が接触しやすく、接触面積が大きくなるため、感光体の感度や残留電位等を向上できることが記載されている。
特開2008−096664号公報
上記の濃度ムラを改善する方法としては、単純には中間層の電子輸送性を高めることが考えられる。しかしながら、単に中間層の電子輸送性を高めるのみでは、導電性支持体から感光層への正孔の注入を十分に抑制することができない、すなわち十分な正孔ブロッキング性が得られない。また、電荷発生層に含有される電荷発生物質として高感度のものを用いた場合においては、熱的励起により発生したキャリアのリークが生じ、これにより、電子写真感光体の表面電位が部分的に低下し、黒ポチやカブリなどの画像欠陥が発生するという問題がある。
この点に関連し、上記特許文献1に記載の従来技術によっても、検知性の向上した近年の画像形成装置においては、十分に濃度ムラ等の画像欠陥を抑制することができていない。特に、電荷発生層に高感度の電荷発生物質を使用した場合には、不整電子の注入を十分に抑制できず、黒ポチ、カブリ等の画像欠陥が生じやすくなっていることが分かった。
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたものであって、その目的は、形成される画像における濃度ムラの発生が抑制されると共に、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制しうる電子写真感光体および画像形成装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成とすることによって達成される。
1 導電性支持体上に中間層、前記中間層の上に有機感光層を有し、
前記中間層は単層であり、第一の金属酸化物粒子、第一の金属酸化物粒子より電子輸送性の高い第二の金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含み、かつ、前記第一の金属酸化物粒子が前記中間層の厚み方向において偏在していることを特徴とする電子写真感光体。
2 前記第一の金属酸化物粒子および前記第二の金属酸化物粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする前記1に記載の電子写真感光体。
3 前記1または2に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明の電子写真感光体は、中間層に機能の異なる二種類の金属酸化物粒子を含有させ、第一の金属酸化物粒子が中間層の厚み方向において偏在していることにより、形成される画像の濃度ムラを抑制し、黒ポチおよびカブリ等の画像欠陥を併せて抑制することができる。また、本発明の電子写真感光体によれば、電荷発生物質として特に高感度の物質を使用した場合にも、得られる画像の濃度ムラおよび画像欠陥を効果的に抑制することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の電子写真感光体の中間層の断面を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。 実施例での画像評価のためのチャートを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<電子写真感光体の構成>
(電子写真感光体の層構成)
本発明の電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)は、負帯電型の電子写真感光体であり、導電性支持体上に中間層を有し、この中間層上に感光層が積層されてなるものである。
本発明の電子写真感光体において、感光層は、露光によって電荷を発生させる機能と、発生させた電荷(正孔)を感光体表面に輸送する機能とを有する。感光層は、電荷発生機能と、電荷輸送機能とを同一の層で行う単層構造を有していてもよく、電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる層で行う積層構造を有していてもよい。しかし、繰り返し使用による残留電位の増加を抑制するためには、電荷発生層と電荷輸送層との積層構造を有することが好ましい。また、本発明の電子写真感光体は、感光層上にさらに保護層が形成されていてもよい。
本発明の電子写真感光体の層構成は、特に限定されるものではないが、具体的な例としては、下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。すなわち、(1)導電性支持体上に、中間層を有し、この中間層上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層がこの順に積層された積層構造の感光層が積層され、前記電荷輸送層が最表面層となる層構成、(2)導電性支持体上に、中間層を有し、この中間層上に、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層構造の感光層が積層され、前記感光層(単層)が最表面層となる層構成、である。
本発明において、電子写真感光体は、電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物により発揮されて構成されるものが好ましい。本発明の電子写真感光体には、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成される感光層を有する感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とが高分子錯体により構成される感光層を有する感光体など公知の電子写真感光体全てが含まれる。
以下、本発明の電子写真感光体が上記(1)の好ましい層構成である場合について具体的に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。
この電子写真感光体10は、導電性支持体12上に、中間層14を介して電荷発生層16および電荷輸送層18がこの順に積層されてなる感光層17が形成されている。
この電子写真感光体10においては、当該電子写真感光体10の表面が負に帯電された後、露光されると、電荷発生層16において電荷が発生する。電荷発生層16で発生した電荷のうち、負電荷(電子)は中間層14を経て導電性支持体12に移動し、正孔は電荷輸送層18を経て電子写真感光体10表面に移動して電子写真感光体10表面の負電荷を打ち消すことにより、電子写真感光体10表面に静電潜像が形成される。
本発明においては、図示しないが、中間層14に、主として不整電子をブロックするための第一の金属酸化物粒子および主として電子輸送性を高めるための第二の金属酸化物粒子の機能の互いに異なる二種類の金属酸化物粒子が含まれる。さらに、第一の金属酸化物粒子は、中間層の膜厚方向において偏在していることが特徴である。これにより、中間層において、電子輸送性を確保するとともに不整電子および正孔の注入を抑制でき、画像ムラの発生を抑制すると共に、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制することができる。
次に、本発明の感光体を構成する導電性支持体、中間層、並びに、電荷発生層および電荷輸送層を備える感光層について、それぞれの層を構成する部材について説明する。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体を構成する導電性支持体としては、円筒状、またはシート状のものであって、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
<中間層>
本発明の電子写真感光体では、導電性支持体と感光層の間に、導電性支持体と感光層とに接する中間層を設ける。中間層は、不整電子および正孔をブロックする機能の高い第一の金属酸化物粒子、電子輸送性を高めるための第二の金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含み、第一の金属酸化物粒子が中間層の膜厚方向において偏在している。
第一の金属酸化物粒子が中間層の膜厚方向で偏在しているとは、中間層の断面を観察し、中間層の厚みを表面側から3層に等分した際に、第一の金属酸化物粒子の存在する割合が、中間層全体に第一の金属酸化物粒子が存在する割合の平均割合の1.5倍以上の層が存在する状態をいう。すなわち、3等分した層のいずれか一層に、第一の金属酸化物粒子が、第一の金属酸化物粒子全体の50%以上含まれる状態をいう。言い換えれば、第一の金属酸化物粒子の濃度の濃い部分が層状に中間層の中に存在、すなわち偏在している。これにより、高い電子輸送性を維持しつつ、電荷発生層及び導電性支持体からの電荷注入を抑制することができ、濃度ムラを抑制できると共に、黒ポチおよびカブリなどの画像欠陥も抑制できる。
図2は、中間層において第一の金属酸化物粒子が偏在している様子の一例を模式的に表した断面図である。図2に示すように、中間層20中には、導電性支持体21上に、バインダー樹脂22により、第一の金属酸化物粒子23、第二の金属酸化物粒子24が保持されている。破線が示すように中間層20を厚み方向に3等分した場合に、第一の金属酸化物粒子23は、この場合はもっとも基体側の層に全体のほぼ半分の量が存在している。第二の金属酸化物粒子24は、第一の金属酸化物粒子23が基体側の領域層に偏在していることにより、大部分が残りの層に存在している。
上記の状態を以下のように式で表わすことができる。中間層に含まれる第一の金属酸化物粒子の体積をV、中間層の厚み方向の断面を表面側から厚み方向に3層に等分した際に、それぞれの層に含まれる第一の金属酸化物粒子の体積を、表面側から順にV、V、V とすると、V/V≧0.5 または、V/V≧0.5 または、 V/V≧0.5 である状態をいう。本発明の所期の効果達成のためには、より好ましくは、0.9≧V/V≧0.6 または、0.9≧V/V≧0.6 または、0.9≧V/V≧0.6 である。
第一の金属酸化物粒子が中間層の膜厚方向において偏在しているかどうかは、例えば、中間層の任意の場所で、5万〜20万倍のTEMによる厚み方向の断面観察をして確認することができる。断面を観察した際に、第一の金属酸化物粒子がリッチな領域が確認できること、すなわち、上記の定義による偏在している状態が観察できればよい。また、中間層を厚み方向にエッチングしてESCA測定を行うことや、ICPによる輪切り観察によっても確認し得る。
第一の金属酸化物粒子は、本発明においては、電荷発生層からの不整電子の注入や導電性支持体からの正孔の注入、及び中間層内に注入された不整電子の移動を抑制する、すなわち不整電子および正孔をブロッキングする機能を主として果たしている。したがって、第一の金属酸化物粒子は中間層内に薄く存在していれば機能を果たすことができ、黒ポチおよびカブリなどの画像欠陥を抑制できる。一方、第二の金属酸化物粒子は第一の金属酸化物粒子より電子輸送性が高く、主として、電子輸送性の向上に寄与するものである。したがって、第二の金属酸化物粒子が存在することにより画像ムラが効果的に抑制できる。
本発明においては、第一の金属酸化物粒子および第二の金属酸化物粒子を中間層に含有させることにより、効果的に黒ポチ、カブリの画像欠陥を抑制すると共に濃度ムラを抑制する。第一の金属酸化物粒子は、第二の金属酸化物粒子よりも不整電子をブロッキングする機能が高いものを使用し、第二の金属酸化物粒子は、第一の金属酸化物粒子よりも電子輸送性を向上させる機能が高いものを使用する。したがって、第一の金属酸化物粒子は不整電子のブロッキング機能に限らず、第二の金属酸化物粒子の電子輸送性向上の機能を有していてもよく、また、他の何らかの機能を有していてもよい。また、第二の金属酸化物粒子は電子輸送性向上の機能を果たすのみならず、第一の金属酸化物粒子の不整電子のブロッキング機能を有していてもよく、他の何らかの機能を有していてもよい。
第一および第二の金属酸化物粒子の電子輸送性を評価するには、次のような方法を用いることができる。すなわち、金属酸化物粒子1種類ずつを用い、感光体の中間層を模して膜を形成する。次に、この膜に一定の電圧を印加し帯電させ、表面電位を確認する。その後電圧の印加を遮断し、膜の電位の減少の時間変化を測定する。表面電位の絶対値が小さく(印加した電圧との差が大きく)、電位の減少が早い程電子輸送性がより高いと言え、より電子輸送性の高い粒子を第二の金属酸化物粒子とすることができる。また、より電子輸送性の低い金属酸化物粒子は、不整電子の移動をブロッキングする機能がより高い場合が多い。このような方法により、第一および第二の金属酸化物粒子の組み合わせを選択することができる。さらに、第一および第二の金属酸化物粒子がそれぞれの機能を果たしているかどうかは、最終的に、それら金属酸化物粒子を使用して感光体を構成したときに、得られた画像が、黒ポチ、カブリの画像欠陥および濃度ムラが従来技術に比較して共に低減されているかどうかにより確認できる。
第一の金属酸化物粒子および第二の金属酸化物粒子の材料等の詳細については後述するが、それぞれの機能を果たすことができれば、例えば、同じ材料で異なる表面処理をした粒子や、同じ材料で異なる粒径の粒子等を用いることができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、電荷発生層中の電荷発生物質として特に高感度の電荷発生物質を使用した場合にも、熱励起等、露光以外の要因で発生したキャリアのリークが原因で生じる黒ポチおよびカブリ等の画像欠陥も併せて抑制できる。
第一の金属酸化物粒子および第二の金属酸化物粒子は、用いる粒子の種類にもよるが、第一の金属酸化物粒子:第二の金属酸化物粒子(体積比) が、6:4〜3:7であることが好ましい。第一の金属酸化物粒子の比率が6:4以下であると、電荷の移動を妨げにくく、濃度ムラをより効果的に防止できる。第一の金属酸化物粒子の比率が3:7以上であると、中間層中の不整電子の移動をより確実に防止できるため、カブリや黒ポチの画像欠陥をより確実に抑制できる。この際、不整電子のブロッキング性に寄与する第一の金属酸化物粒子は、中間層内に薄く存在していればよいため、中間層全体の電子輸送性の向上に寄与する第二の金属酸化物粒子よりも少ない方が好ましい。
また、本発明において、中間層は単層である。単層であるとは、中間層を構成するバインダー樹脂が厚み方向で一様であり、中間層中にバインダー樹脂の界面が存在しない状態をいう。中間層が単層であると、第二の金属酸化物粒子の存在する割合が連続的に変化するので電子輸送性が高くなるとともに、界面によって電子輸送性が妨げられることがないためである。また、単層であると、第一および第二の金属酸化物粒子を両方含む塗布液を塗布することにより中間層形成が一度でできるため、工程が簡単となり好ましい。
具体的に、どのような金属酸化物粒子が第一の金属酸化物粒子の機能を有し、または、第二の金属酸化物粒子の機能を有するかは、粒子の粒径、表面処理の種類、表面処理の厚さ、粒子の結晶型によって変化するため、一概に言うことはできない。傾向として、金属酸化物粒子の粒径が小さくなるほど、電子輸送性の向上に寄与する粒子となりやすく、粒径が大きくなるほど不整電子のブロッキング性の向上に寄与する粒子となりやすい。また、表面処理として、シリカ・アルミナ処理を両方とも施した場合には、不整電子のブロッキング性の向上に寄与する粒子となりやすい。また、表面処理量が多く表面処理の厚さが厚い場合にも、不整電子のブロッキング性の向上に寄与する粒子となりやすい。また、金属酸化物粒子が酸化チタンの場合、結晶型がアナタース型の場合には、高い電子輸送性を示す傾向がある。
第一および第二の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの微粒子を用いることができる。このうち、第一および第二の金属酸化物粒子としては酸化チタンおよび酸化亜鉛がより好ましく、ルチル型酸化チタンがさらに好ましい。
第一および第二の金属酸化物粒子は、数平均一次粒子径が1〜100nmのものが好ましく、より好ましくは5〜95nmである。金属酸化物粒子の数平均一次粒子径が上記の範囲内であると、電子輸送性が好適であり、分散性が損なわれることがないため、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を十分に抑制でき、かつ、濃度ムラの発生を十分に抑制できる。
本発明において、第一および第二の金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、以下のように測定されるものである。すなわち、金属酸化物粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択する。これらの一次粒子の水平方向フェレ径を画像解析により測定し、それらの平均値を「数平均一次粒子径」として求めるものとする。
第一および第二の金属酸化物粒子は、表面処理剤によって表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、無機系化合物、有機系化合物が挙げられ、有機系化合物としては、反応性有機ケイ素化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。表面処理剤は、単独でも、二種以上を用いてもよい。
無機系化合物としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニアやそれらの水和物などが挙げられる。このうち、金属酸化物粒子の疎水化度を制御しやすいことから、特にアルミナ、シリカ、アルミナおよびシリカの組み合わせが好ましい。これらは、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、無機系化合物による表面処理を施した金属酸化物粒子は、シリカ、アルミナ処理を施した酸化チタン粒子などの市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、F−1S02(昭和電工社製)T−805(日本アエロジル社製)、STT−30A、STT−65S−S(チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T、MT−500SA、MT−100SA(テイカ社製)、IT−S(石原産業社製)などが挙げられる。
反応性有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、n‐ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシブチルメチルジメトキシシラン、などのアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン、およびメチルハイドロジェンポリシロキサンなどのポリシロキサン化合物などが挙げられる。このうち、金属酸化物粒子の疎水化度を制御しやすいことから、特に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
有機チタン化合物としては、アルコキシチタン(即ち、チタンアルコキシド)、チタンポリマー、チタンアシレート、チタンキレート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等を使用できる。このうち、特にチタンアシレート及び、チタンキレートが好ましい。
表面処理剤による金属酸化物粒子の表面処理は、公知の方法により行うことができ、特に限定されず、湿式処理または乾式処理を採用することができる。乾式処理としては、金属酸化物粒子を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した疎水化処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した疎水化処理剤を接触させて付着させることができる。また、湿式処理による表面処理方法としては、例えば、表面処理剤を水または有機溶媒に分散させた溶液に、金属酸化物粒子を添加して混合・撹拌する、または、金属酸化物粒子を溶液中に分散させ、その中に疎水化処理剤を滴下して付着させることができる。また、湿式処理の際、ビーズミル等によって湿式解砕処理を行ってもよい。その後、得られた溶液をろ過、乾燥し、得られた金属酸化物粒子をアニール処理(焼き付け)することにより行うことができる。
湿式処理の際の混合・撹拌時の温度は、25〜150℃程度であることが好ましく、30〜60℃がより好ましい。混合・撹拌時間は、0.1〜10時間であることが好ましく、0.2〜5時間がより好ましい。アニール処理温度は、例えば100〜220℃、好ましくは110〜150℃とすることができる。アニール処理時間は0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。湿式解砕処理を行う場合の処理温度は20〜50℃が好ましく、より好ましくは30〜40℃である。湿式解砕処理の時間は、好ましくは10〜120分が好ましく、より好ましくは20〜70分である。
湿式の表面処理方法においては、表面処理剤の使用量は、目的や表面処理剤の種類によって異なるため一概に規定することはできず、適宜選択して表面処理することが好ましい。例えば、反応性有機ケイ素化合物の場合には、未処理金属酸化物粒子100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部を使用することができる。有機チタン化合物の場合には、未処理金属酸化物粒子100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部を使用することができる。溶媒の添加量は、未処理金属酸化物粒子100質量部に対して100〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部であることが好ましい。
表面処理剤の使用量がそれぞれ上記の下限値以上であれば、未処理金属酸化物粒子に対して十分な表面処理を行える。一方、表面処理剤の使用量がそれぞれ上記の上限値以下であれば、表面処理剤同士が反応することにより、金属酸化物粒子の表面に均一な被膜が付着されず、リークが発生しやすくなることを防止できる。
また、本発明の電子写真感光体は、第一の金属酸化物粒子の偏在を妨げないものであれば、第一および第二の金属酸化物粒子以外の粒子が中間層に含まれていてもよい。他の粒子としては、電子輸送性を補助する役割の粒子、表面粗さを制御するための粒子等が挙げられる。具体的には、他の粒子は上記の金属酸化物粒子やシリカなどの中から適宜選択できる。
(バインダー樹脂)
中間層を構成するバインダー樹脂(以下、中間層用バインダー樹脂とも称する)としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体及びゼラチンなどが挙げられる。中でも、後述する電荷発生層を形成するための塗布液を中間層上に塗布する際に、当該中間層が溶解することを抑制する観点などから、ポリアミド樹脂が好ましい。また、上記の表面処理された金属酸化物粒子はアルコール系溶媒に分散させることが好適であるため、メトキシメチロール化ポリアミド樹脂などのアルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
中間層の膜厚は、0.5〜15μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。中間層の膜厚が0.5μm以上であれば、導電性支持体表面全体を確実に被覆することができ、導電性支持体からの正孔の注入を十分にブロックすることができ、黒ポチやカブリなど画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、中間層の膜厚が15μm以下であれば、電気的抵抗が小さく、十分な電子輸送性が得られることにより、濃度ムラの発生を十分に抑制することができる。
<感光層>
本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。この様に、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易いメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
以下に、感光層の好ましい具体例として機能分離型の負帯電性感光体の感光層、すなわち電荷発生層および電荷輸送層を積層した感光層について説明する。
(電荷発生層)
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質と電荷発生層用バインダー樹脂を含有するものが好ましい。さらに、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
電荷発生物質は、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等があり、これらに限定されるものではない。好ましくは、チタニルフタロシアニン顔料である。これらの電荷発生物質は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質は、上記の中から露光光源の発振波長に対する感度に応じて選択されればよいが、デジタル複写機における露光光源の発振波長に対する感度を高めるためには、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料としては、露光光源の発振波長、例えば波長780nmに対する感度を高めるためには、Y型チタニルフタロシアニン顔料、または、チタニルフタロシアニン顔料およびブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料、特に2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料の混合物を用いることが好ましい。これらのフタロシアニン顔料は、高感度電荷発生物質に含まれるものである。
Y型チタニルフタロシアニンは、Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°において最大回折ピークを有するものである。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンとしては、例えば、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンが挙げられる。この2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンの構造を模式的に示すと、下記式(1)の通りである。
2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、ブタンジオールの付加比率によって異なる結晶型をとりうる。良好な感度を得るためには、チタニルフタロシアニン1モルに対してブタンジオール化合物を1モル以下となるように反応させて得られる結晶型のものが好ましい。そのような結晶型を有する2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、粉末X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)8.3°において、特徴的なピークを有する。この2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、8.3°以外にも、24.7°、25.1°、26.5°にピークがみられる。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、単独で含まれてもよいが、非付加のチタニルフタロシアニンと共に含まれてもよい。
電荷発生物質としては、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと、非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を用いることもできる。この混合物を含む感光層(電荷発生層)を備えた電子写真感光体の相対反射スペクトルから換算して得られる、当該感光層の波長780nmにおける吸光度Abs(780)と波長700nmにおける吸光度Abs(700)との吸光度比(Abs(780)/Abs(700))が0.8〜1.1であることが好ましい。
吸光度比(Abs(780)/Abs(700))は、以下のようにして求めることができる。
(1)まず、アルミニウム支持体上に、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと、非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を含む感光層を形成した感光体試料を準備する。そして、この感光体試料の相対反射光の吸収スペクトルを測定する。反射光の吸収スペクトルは、光学式膜厚測定装置「Solid Lambda Thickness」(スペクトラコープ社製)を用いて測定することができる。
即ち、まず各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度をベースラインとして測定する。次いで、各波長における感光体試料の反射強度を測定する。そして、各波長における感光体試料の反射強度を、各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる値を「相対反射率(Rλ)」とする。それにより、相対反射スペクトルを得る。
(2)次いで、得られた感光体試料の相対反射スペクトルを、下記式(A)により吸光度スペクトルに換算する。
式(A):Absλ=−log(Rλ)〔式(A)中、Rλは、波長λにおける感光体試料の反射強度を、波長λにおけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる相対反射率を示す。〕
(3)次いで、干渉縞による凹凸を除去するために、上記(2)で換算した吸光度スペクトルデータを、波長領域765〜795nmおよび波長領域685〜715nmのそれぞれにおいて、二次の多項式に近似する。
(4)そして、近似した二次の多項式における、波長780nmにおける吸光度Abs(780)と、波長700nmにおける吸光度Abs(700)とを求める。それにより、吸光度比(Abs(780)/Abs(700))を算出する。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、これを含む感光層(電荷発生層)を備えた電子写真感光体の相対反射スペクトルから換算して得られる、当該感光層の波長780nmにおける吸光度Abs(780)と波長700nmにおける吸光度Abs(700)との吸光度比(Abs(780)/Abs(700))が0.8〜1.1であることが好ましい。ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを含む感光層の吸光度比(Abs(780)/Abs(700))が上記範囲内である場合においては、適切な分散シェアによって顔料結晶が安定化しやすく、光感度や、繰り返し露光による画像特性が安定する。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを含む感光層の吸光度比は、前述と同様にして測定することができる。
(電荷発生層用バインダー樹脂)
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂である。バインダー樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はないが、10000〜150000であることが好ましく、さらに好ましくは15000〜100000である。
電荷発生層用バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質20〜600質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。電荷発生物質の含有量が上記の範囲内であると、露光により十分な電荷を発生させることができ、感光層(電荷発生層)の十分な感度が確保でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加を防止できる。
電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。
(電荷輸送層)
本発明で形成される電荷輸送層は、電荷(正孔)輸送物質と電荷輸送層用バインダー樹脂とを含有して構成されることが好ましい。電荷輸送層は、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解させ、塗布して形成されたものが好ましい。
電荷輸送物質は、公知の化合物を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものが挙げられる。すなわち、トリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等である。これらの化合物を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。このうち、好ましくはトリアリールアミン誘導体である。
また、電荷輸送層用バインダー樹脂は公知の樹脂を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものがある。すなわちポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらは、単独でも、二種以上を用いてもよい。なかでも、吸水率が低く、電荷輸送物質と良好に相溶することから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
電荷輸送層は、必要に応じて例えば酸化防止剤などの他の成分が含有されていてもよい。
電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。電荷輸送物質の含有量が上記の範囲内であると、電荷輸送性が十分確保できるため、電荷発生層で発生した電荷を電子写真感光体表面まで十分に輸送でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加が防止できる。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、10〜40μmが好ましい。
(保護層)
本発明の電子写真感光体は、上記感光層上にさらに保護層を有していてもよい。保護層は、感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担っている。保護層が形成される場合には、当該保護層は、無機粒子およびバインダー樹脂(以下、「保護層用バインダー樹脂」という。)より構成されることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤や滑剤などの他の成分が含有されていてもよい。
保護層に含まれる無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の粒子を好ましく用いることができる。特に表面を疎水化した疎水性シリカや疎水性アルミナ、疎水性ジルコニア、微粉末焼結シリカなどが好ましい。
無機粒子は、数平均一次粒子径が1〜300nmのものが好ましく、5〜100nmのものが特に好ましい。
無機粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値とされる。
保護層用バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。例えば、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
保護層に含有される滑剤としては、例えば、樹脂微粉末(例えば、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等)、金属酸化物微粉末(例えば、酸化チタン、酸化アルミ、酸化スズ等)、固体潤滑剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、シリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等)、フッ素系樹脂粉体(例えば、四フッ化エチレン樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、フッ化二塩化エチレン樹脂粉体及びそれらの共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂粉体(例えば、ポリエチレン樹脂粉体、ポリプロピレン樹脂粉体、ポリブテン樹脂粉体、ポリヘキセン樹脂粉体などのホモポリマー樹脂粉体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などのコポリマー樹脂粉体、これらとヘキセンなどの三元共重合体、更にこれらの熱変成物のようなポリオレフィン系樹脂粉体等)などが挙げられる。
上記滑剤として用いられる樹脂の分子量や粉体の粒径は、適宜選択される。樹脂の粒径は、特に0.1μm〜10μmであることが好ましい。これらの滑剤を均一に分散するため、分散剤を保護層用バインダー樹脂にさらに添加してもよい。
<電子写真感光体の製造方法>
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、特に制限はなく、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層および電荷輸送層、または単層の感光層、必要に応じて保護層の各層を構成しうる塗布液を調製し、塗布液を順に公知の塗布方法により塗布し、乾燥させて各層を順に形成することができる。塗布方法としては、具体的には、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンコート法、ビードコート法、ブレードコート法、ビームコート法、円形量規制型塗布法(スライドホッパー型塗布装置を用いた塗布方法)等が挙げられる。円形量規制型塗布法は、例えば特開昭58−189061号公報などに詳細に記載されている。
(中間層の形成)
中間層の中で第一の金属酸化物粒子を偏在させるには、特に制限はないが、第一および第二の金属酸化物粒子の粒子径、表面処理剤種等の組み合わせ、第一および第二の金属酸化物粒子の疎水化度の差やバインダー樹脂および/または溶媒種との相溶性の差等を調整することによって制御できる。これらのパラメータには多様な組み合わせがあるため、一概には言えないが、例えば、第二の金属酸化物粒子がバインダー樹脂との相溶性がよく、第一の金属酸化物粒子がバインダー樹脂との相溶性がよくないものの組み合わせを選択すれば、中間層塗布液中に含まれる溶媒が乾燥していく過程において、第一の金属酸化物粒子がバインダー樹脂中に凝集する傾向があることから、偏在させることができる。
第一の金属酸化物粒子を偏在させるために特別な工程は必要ではなく、第一および第二の金属酸化物粒子を適当に選択し、以下のように両方を塗布液中に混合して塗膜を形成することができる。塗膜の乾燥の工程で徐々に第一の金属酸化物粒子が偏在してゆくためである。中間層全体の電子輸送性の向上に寄与する第二の金属酸化物粒子は、第一の金属酸化物粒子よりも多いことが好ましいため、量の多い第二の金属酸化物粒子に押しやられることで第一の金属酸化物粒子が偏在することもでき、第一の金属酸化物粒子自体がバインダー樹脂中で緩く凝集することにより偏在してもよい。
中間層を形成するには、特に制限はないが、例えば以下のような方法を用いることができる。まずバインダー樹脂を溶媒中に溶解または分散させ、次いで、この分散液に上記した第一および第二の金属酸化物粒子を添加し、均一になるまで分散させ、分散液を調製する。その後、この分散液を一昼夜程度静置し、濾過して、中間層形成用塗布液を調製する。次いで、この塗布液を上記の方法で導電性支持体上に塗布し、乾燥させることで中間層を形成する。
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、中間層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。好ましくは、バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒100〜3000質量部、より好ましくは500〜2000質量部である。第一および第二の金属酸化物粒子濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、合計で80〜800質量部が好ましく、より好ましくは150〜500質量部である。なお、この塗布液中の成分比が、形成された中間層中の成分比となる。
中間層の形成に使用可能な溶媒としては、金属酸化物粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。これらは、混合して使用することができる。また、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下の様な助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、たとえば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
導電性微粒子や金属酸化物粒子等の分散手段は、超音波分散機、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー、及び、ホモミキサー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、中間層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。
中間層用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。乾燥条件は、例えば100〜150℃で10〜60分熱乾燥することができる。
(電荷発生層の形成)
電荷発生層を形成するには、電荷発生層用バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に、分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製する。次いで、塗布液を上記した塗布方法で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して電荷発生層を作製することが好ましい。また、電荷輸送物質および電荷輸送物質を含む単層の感光層を形成する場合にも、電荷発生層の形成と同様の方法で感光層を形成することができる。
電荷発生層塗布液中の電荷発生層用バインダー樹脂濃度は、塗布に適した粘度となるように適宜選択できるが、好ましくは、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒が100〜5000質量部であり、より好ましくは1000〜4000質量部である。電荷発生物質濃度は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは80〜400質量部であり、より好ましくは150〜300質量部である。
電荷発生層に使用する電荷発生層用バインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、3−メチル−2−ブタノン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。より好ましくは、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンである。
電荷発生物質の分散手段としては、上記した中間層の金属酸化物粒子の分散手段と同様の方法が採用できる。また、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。塗布方法も、上記した方法を採用することができる。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送層を形成するには、電荷輸送層用バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に、電荷輸送物質を溶解または分散して塗布液を調製する。次いで、塗布液を上記した塗布方法で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して電荷輸送層を作製することが好ましい。
電荷輸送層塗布液中の電荷輸送層用バインダー樹脂濃度は、上記の塗布方法に適した粘度となるように適宜選択できる。好ましくは、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒が100〜1000質量部、より好ましくは400〜900質量部である。電荷輸送物質濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは60〜90質量部である。
電荷輸送物質の分散手段としては、上記した中間層の金属酸化物粒子の分散手段と同様の方法が採用できる。また、電荷輸送層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。
<保護層>
保護層の形成方法も、上記中間層等と同様の方法を採用できる。保護層を形成する成分を溶媒中に分散または溶解させて塗布液を調製し、上記の塗布方法で所望の厚さになるように塗布液を塗布し、乾燥させて保護層を形成することができる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、少なくとも本発明の電子写真感光体を有するものである。
図3は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略断面図である。この画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、4組の画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット130と、給紙搬送手段150と、定着手段170とを有する。画像形成装置100の本体の上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、鉛直方向に並べて配置されている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、第1の像担持体である電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkと、その周囲にドラムの回転方向に順次配置された、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkと、露光手段115Y、115M、115C、115Bkと、現像手段117Y、117M、117C、117Bkと、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkとを有する。そして、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bk上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)のトナー画像をそれぞれ形成できるようになっている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkに形成するトナー画像の色が異なる以外は同様に構成されるため、以下、画像形成ユニット110Yの例で説明する。
電子写真感光体111Yは、本発明に係る電子写真感光体であって、当該電子写真感光体を構成する中間層は、不整電子をブロックする機能の高い第一の金属酸化物粒子、電子輸送性の高い第二の金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含み、かつ、第一の金属酸化物粒子が中間層の厚み方向において偏在している。
帯電手段113Yは、電子写真感光体111Yに対して一様な電位を与える手段である。本実施の形態においては、帯電手段113Yとしてコロナ放電型の帯電器が好ましく用いられる。
露光手段115Yは、帯電手段113Yによって一様な電位を与えられた電子写真感光体111Y上に、画像信号(イエローの画像信号)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する機能を有する。露光手段115Yは、電子写真感光体111Yの軸方向にアレイ状に発光素子が配列されたLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいはレーザー光学系などでありうる。
露光光源は、発振波長が使用する電荷発生物質の最大吸光度の5割以上の範囲の半導体レーザーまたは発光ダイオードであることが好ましい。例えば、電荷発生物質として、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を用いる場合には、650〜800nmであることが好ましい。これらの露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込み、感光体上にデジタル露光を行うことで、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)〜2400dpiあるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像を形成しうる。
露光ドット径とは、露光ビームの強度がピーク強度の1/e2 以上の領域の、主走査方向の露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を示す。
現像手段117Yは、電子写真感光体111Yにトナーを供給し、電子写真感光体111Yの表面に形成された静電潜像を現像可能に構成されている。
クリーニング手段119Yは、電子写真感光体111Yの表面に圧接するローラや、ブレードを有しうる。
無端ベルト状中間転写体ユニット130は、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkと当接可能に設けられている。無端ベルト状中間転写体ユニット130は、第2の像担持体である無端ベルト状中間転写体131と、当該無端ベルト状中間転写体131と当接して配置された一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと、当該無端ベルト状中間転写体131のクリーニング手段135とを有する。
無端ベルト状中間転写体131は、複数のローラ137A、137B、137C、137Dにより巻回され、回動可能に支持されている。
この画像形成装置100において、前述の電子写真感光体111Y、現像手段117Y、およびクリーニング手段119Y等は、一体的に結合され、装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)であってもよい。あるいは、帯電手段113Y、露光手段115Y、現像手段117Y、一次転写ローラ133Yおよびクリーニング手段119Yからなる群から選ばれる一以上の部材と、電子写真感光体111Yとを一体的に構成したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)としてもよい。
プロセスカートリッジ200は、筐体201と、それに収容された電子写真感光体111Y、帯電手段113Y、現像手段117Yおよびクリーニング手段119Yと、無端ベルト状中間転写体ユニット130とを有する。また、装置本体には、プロセスカートリッジ200を装置本体内にガイドする手段として支持レール203L、203Rが設けられている。それにより、プロセスカートリッジ200を装置本体に着脱可能となっている。これらのプロセスカートリッジ200は、装置本体に着脱自在に構成された単一の画像形成ユニットとなりうる。
給紙搬送手段150は、給紙カセット211内の転写材Pを、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213Dおよびレジストローラ215を経て、二次転写ローラ217に搬送可能に設けられている。
定着手段170は、二次転写ローラ217により転写されたカラー画像を定着処理する。排紙ローラ219は、定着処理された転写材Pを挟持して、画像形成装置外部に設けられた排紙トレイ221上に載置可能に設けられている。
このように構成された画像形成装置100では、画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkにより画像を形成する。具体的には、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にコロナ放電して負に帯電させる。次いで、露光手段115Y、115M、115C、115Bkで、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段117Y、117M、117C、117Bkで、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にトナーを付与し、現像する。
次いで、一次転写ローラ(一次転写手段)133Y、133M、133C、133Bkを、回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させる。それにより、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bk上にそれぞれ形成した各色の画像を、回動する無端ベルト状中間転写体131上に逐次転写させて、カラー画像を転写する(一次転写する)。画像形成処理中、一次転写ローラ133Bkは、常時、電子写真感光体111Bkに当接する。一方、他の一次転写ローラ133Y、133M、133Cは、カラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する電子写真感光体111Y、111M、111Cに当接する。
そして、一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと無端ベルト状中間転写体131とを分離させた後、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面に残留するトナーを、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkで除去する。そして、次回の画像形成に備えて、必要に応じて電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を除電手段(不図示)によって除電した後、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより負に帯電させる。
一方、給紙カセット211内に収容された転写材P(例えば普通紙、透明シート等の最終画像を担持する支持体)を、給紙搬送手段150で給紙し、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213D、レジストローラ215を経て二次転写ローラ(二次転写手段)217に搬送する。そして、二次転写ローラ217を回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させて、転写材P上にカラー画像を一括して転写する(二次転写する)。二次転写ローラ217は、転写材P上に二次転写を行うときのみ、無端ベルト状中間転写体131と当接する。その後、カラー画像が一括転写された転写材Pを、無端ベルト状中間転写体131の曲率が高い部位で分離する。
このようにしてカラー画像が一括して転写された転写材Pを、定着手段170で定着処理した後、排紙ローラ219で挟持して装置外の排紙トレイ221上に載置する。また、カラー画像が一括転写された転写材Pを無端ベルト状中間転写体131から分離した後、クリーニング手段135で無端ベルト状中間転写体131上の残留トナーを除去する。
前述したように、本実施の形態の画像形成装置100に含まれる電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの中間層は、偏在した第一の金属酸化物粒子および第二の金属酸化物粒子を含有しているため、十分な電子輸送性を有し、画像の濃度ムラを少なくすることができる。さらに、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの中間層は、高い不整電子ブロッキング性を有するため、特に高感度の電荷発生層を有する電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkにおいても、導電性支持体からの不要な正孔の注入や電荷発生層からの不要な熱励起キャリアの移動を少なくすることができ、黒ポチやカブリなどの画像欠陥を抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記実施例および比較例中に記載の「部」は「質量部」を表すものである。
(表面処理済み金属酸化物粒子の作製)
〈表面処理済み金属酸化物粒子1の作製〉
1次粒径90nmのアナタース型酸化チタンにシリカ処理を施した無機処理酸化チタン(F−1S02;昭和電工(株)製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)10質量部と、トルエン1300質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間35分、温度35度で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で1.5時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒子1を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子2の作製〉
1次粒径35nmのルチル型酸化チタンにシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン(MT−500SA;テイカ(株)製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)15質量部と、トルエン1500質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間25分、温度35度で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒子2を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子3の作製〉
表面処理済み金属酸化物粒子2において、1次粒径35nmのルチル型酸化チタンにシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタンを1次粒径35nmのルチル型酸化チタンに変更し、MHPS量を15質量部に変更した以外は表面処理済み金属酸化物粒子2と同様にして、表面処理済み金属酸化物粒子3を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子4の作製〉
1次粒径35nmのルチル型酸化チタン500質量部をトルエン1500質量部と攪拌混合し、チタンアシレート(オルガチックスTPHS;マツモトファインケミカル(株)製)25質量部を添加し、50度で2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、110℃で2時間焼き付けを行った。得られた金属酸化物粒子500質量部と、MHPS20質量部と、トルエン1500質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間30分、温度35度で湿式解砕処理を行った。得られたスラリーから減圧蒸留よりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120度2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒子4を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子5の作製〉
1次粒径35nmのルチル型酸化チタン500質量部をトルエン2000部と攪拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業(株)製)65質量部を添加し、50度で3時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行った。それにより、表面処理済み金属酸化物粒子5を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子6の作製〉
1次粒径15nmのルチル型酸化チタンにシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン(MT−100SA;テイカ(株)製)500質量部と、MHPS25質量部と、トルエン1300質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分、温度35度の条件で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒6を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子7の作製〉
表面処理済み金属酸化物粒子5において、ルチル型酸化チタンの1次粒径を15nmにし、KBM−503量を60質量部に変更した以外は表面処理済み金属酸化物粒子5と同様にして、表面処理済み金属酸化物粒子7を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子8の作製〉
表面処理済み金属酸化物粒子7において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)を3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業(株)製)に、添加量を80質量部に変更した以外は表面処理済み金属酸化物粒子7と同様にして、表面処理済み金属酸化物粒子8を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子9の作製〉
表面処理済み金属酸化物粒子4において、1次粒径35nmのルチル型酸化チタンを1次粒径6nmのアナタース型酸化チタンにシリカ処理を施した無機処理酸化チタン(テイカ(株)製)に変更し、チタンアシレート(オルガチックスTPHS;マツモトファインケミカル(株)製)の添加量を45質量部、MHPSの添加量を12.5質量部に変更した以外は、表面処理済み金属酸化物粒子4と同様にして、表面処理済み金属酸化物粒子9を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子10の作製〉
1次粒径30nmのアナタース型酸化チタンにシリカ処理を施した無機処理酸化チタン(テイカ(株)製)500質量部と、MHPS40質量部と、トルエン1800質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間60分、温度35度の条件で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒10を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子11の作製〉
1次粒径25nmの酸化亜鉛にシリカ処理を施した無機処理酸化亜鉛(昭和電工(株)製)500質量部と、MHPS35質量部と、トルエン1700質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分、温度35度の条件で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物粒11を得た。
〈表面処理済み金属酸化物粒子12の作製〉
1次粒径35nmの酸化亜鉛500質量部をトルエン2000部と攪拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)を65質量部添加し、50度で2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行った。それにより、表面処理済み金属酸化物粒子12を得た。
実施例1(感光体1)
以下の手順により、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成してなる積層構造を有する「感光体1」を作製した。
〈導電性支持体の作製〉
長さ362mmのアルミニウム合金製素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95mm、表面のRzjisが1.2μmになるように切削加工を行った。
〈感光体1の作製〉
〈中間層の形成〉
バインダー樹脂としての下記ポリアミド樹脂(N−1)100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比50/20/30)の混合溶媒1850質量部に加えて、20℃で攪拌混合した。この溶液に、第一の金属酸化物粒子として、上記表面処理済み金属酸化物粒子6を130質量部、第二の金属酸化物粒子として、表面処理済み金属酸化物粒子1を150質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間2時間として分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルタとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層塗布液を、前記基体を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分乾燥して乾燥膜厚2μmの「中間層」を形成した。
〈電荷発生層の作製〉
(CG−1の合成)
1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラ−n−ブトキシドとから粗チタニルフタロシアニンを合成した。得られた粗チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させた溶液を、水に注入して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶を水で十分に洗浄して、ウエットペースト品を得た。次いで、ウエットペースト品を冷凍庫にて凍結させ、再度解凍した後、濾過および乾燥して、無定型チタニルフタロシアニンを得た。
得られた無定型チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとを、無定型チタニルフタロシアニンに対する(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの当量比が0.6となるように、オルトジクロロベンゼン(ODB)中にて混合した。得られた混合物を、60〜70℃で6時間加熱撹拌した。得られた溶液を一夜静置した後、メタノールをさらに添加して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶をメタノールで洗浄して、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含む電荷発生物質CG−1を得た。
電荷発生物質CG−1のX線回折スペクトルを測定した結果、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°にピークが確認された。得られた電荷発生物質CG−1は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、チタニルフタロシアニン(非付加体)との混合物であると推定した。
下記成分を混合し、循環式超音波ホモジナイザーRUS−600TCVP(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/Hで0.5時間分散して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、中間層と同様の浸漬塗布法により中間層上に塗布した後、乾燥させて、厚さ0.5μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層用塗布液)
電荷発生物質:CG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部。
(吸光度比測定)
上記電荷発生層をアルミ支持体上に乾燥後膜厚0.5μmで塗布乾燥した反射スペクトル測定用試料の、相対反射スペクトルを、光学式膜厚測定装置Solid Lambda Thickness(スペクトラコープ社製)を用いて以下の手順で測定した。
1)まず、各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度をベースラインとして測定した。次いで、各波長における感光体試料の反射強度を測定した。そして、各波長における感光体試料の反射強度を、アルミニウム支持体の反射強度で割って得られる値を「相対反射率(Rλ)」として、相対反射スペクトルを得た。
2)得られた感光体試料の相対反射スペクトルを、下記式により吸光度スペクトルに換算した。
Absλ=−log(Rλ)
(式中、Rλは、波長λにおける感光体試料の反射強度を、波長λにおけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる相対反射率を示す)
3)次いで、干渉縞による凹凸を除去するために、前記2)で換算した吸光度スペクトルデータを、波長領域765〜795nmおよび波長領域685〜715nmのそれぞれにおいて、二次の多項式に近似した。
4)近似した二次の多項式における、波長780nmにおける吸光度Abs(780)と、波長700nmにおける吸光度Abs(700)とを求め、吸光度比(Abs(780)/Abs(700))を算出した。得られた吸光度比(Abs(780)/Abs(700))は0.99であった。
〈電荷輸送層の作製〉
下記成分を混合して電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、前述と同様の浸漬塗布法により電荷発生層上に塗布した後、乾燥させて、厚さ25μmの電荷輸送層を形成した。これにより電子写真感光体を得た。
下記電荷輸送物質 225.0部
ポリカーボネート「Z300(三菱ガス化学社製)」 300.0部
酸化防止剤「Irganox1010(日本チバガイギー社製)」 6.0部
テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000.0部
シリコーンオイル「KF−54(信越化学社製)」 1.0部
(中間層の観察)
作製した感光体を切断し、中間層の断面をTEMにより観察した結果、図2で示す模式図のような状態となっていた。この中間層の断面を表面側から3層に分けると、一番基体側の層に存在する第一の金属酸化物粒子の全固形分に対する割合が、中間層全体の平均割合の1.6倍であった。また、中間層は単層であることが観察された。なお、表2−1および表2−2中、V、V、Vは、断面において中間層の厚みを3等分したときに、中間層の表面側からV、V、Vの順に、3等分したそれぞれの層に含まれる第一の金属酸化物粒子の体積を表し、Vは中間層全体に含まれる第一の金属酸化物粒子の体積を表す。
実施例2〜7(感光体2〜7)
〈感光体2〜7の作製〉
感光体1の中間層に含まれる表面処理済み金属酸化物粒子を、下記表2−1の様に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例8(感光体8)
〈感光体8の作製〉
感光体2において電荷発生層用塗布液を以下のように変更した以外は実施例2と同様にして、感光体8を作成した。
(電荷発生層用塗布液)
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて15時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で中間層の上に塗布し、乾燥膜厚0.5μmの「電荷発生層」を形成した。
Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20質量部
ポリビニルブチラール(BM−1、積水化学(株)製)・・・10質量部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・700質量部
シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300質量部。
比較例1、2(感光体9、10)
〈感光体9、10の作製〉
感光体1の中間層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、下記表2−2の様に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例3(感光体11)
〈感光体11の作製〉
感光体1において、中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、感光体11を作製した。
(中間層用塗布液11−1の作製)
バインダー樹脂としてのアルキド樹脂(ベッコライト M−6401−50、大日本インキ化学工業社製)150質量部とメラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)85質量部を、メチルエチルケトン1000質量部に加えて、20℃で攪拌混合した。この溶液に、第一の金属酸化物粒子として、1次粒径70nmの酸化チタン(PT−401M;石原産業(株)製)を500質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間1時間として分散させた。その後、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、ろ過することにより、中間層用塗布液11−1を得た。
(中間層用塗布液11−2の作製)
バインダー樹脂としてのアルキド樹脂(ベッコライト M−6401−50、大日本インキ化学工業社製)150質量部とメラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)85質量部を、メチルエチルケトン1000質量部に加えて、20℃で攪拌混合した。この溶液に、第二の金属酸化物粒子として、1次粒径21nmの酸化錫(NanoTek SnO;シーアイ化成(株)製)を500質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間1時間として分散させた。その後、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、ろ過することにより、中間層用塗布液11−2を得た。
〈中間層の形成〉
上記中間層塗布液11−2を、前記基体を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、140℃で30分乾燥して乾燥膜厚3μmの「中間層1」を形成した。その後、上記中間層塗布液11−1を中間層1上に、中間層1と同様の浸漬塗布法で塗布し、140℃で30分乾燥して乾燥膜厚3μmの「中間層2」を形成した。このようにして2層の中間層を形成した。
(中間層の観察)
作製した感光体を切断し、中間層の断面をTEMにより観察した結果、中間層1と中間層2の間に界面があること、すなわち、中間層が2層構成になっていることが確認できた。
(性能評価)
実施例1〜8および比較例1〜3で得た電子写真感光体を搭載したコニカミノルタビジネステクノジーズ社製bizhub PRO C6501(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機)を用いて、30万枚のプリントを行った。耐刷前後(1枚目と30万枚目プリント後)の表面電位および画像(濃度ムラ、カブリ)を、以下のようにして評価した。これらの評価結果を下記表2−1および表2−2に示す。
<電子写真感光体の表面電位>
得られた電子写真感光体表面の、10℃、15%RH下における初期(0秒後)の電位と30秒後の電位との差(電位変動ΔVi)を、電気特性測定装置により測定した。表面電位変動の測定は、電子写真感光体を150rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cmの条件で、帯電と露光を繰り返して行った。ΔViの評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:耐刷前後とも20V以下
B:耐刷前は20V以下、耐刷後は20V超30V以下
C:耐刷前は20V超30V以下、または、耐刷前は20V以下かつ耐刷後は30V超(NG)
D:耐刷前から30V超(NG)。
<画像の評価>
コニカミノルタビジネステクノジーズ社製bizhub PRO C6501(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機)を用いて、30℃、80%RH下で画像を形成し、評価を行った。
1)濃度ムラ
得られた電子写真感光体をブラック(BK)の位置に配置した。そして、転写電流20μA〜100μAまで変化させて、図4で示されるチャートを出力した。図4中、Dは電子写真感光体の回転軸方向を示す。転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙(株)製)を用いて、当該転写材上に形成した画像を目視観察した。画像の濃度ムラは、以下の基準で評価した。
A:転写電流60μA以上でも、濃度ムラが全くみられない
B:転写電流60μA以上でわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル
C:転写電流40〜50μAでわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル(ただし、高画質の画像を形成する際には問題となるレベル)
D:転写電流40μA未満でも濃度ムラが明確にみられ、実用上問題となるレベル。
2)カブリ(官能評価)
得られた電子写真感光体をブラック(BK)の位置に配置した。画像が形成されていない転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙(株)製)を準備し、この転写材をブラックの位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成した。そして、得られた転写材上のカブリの有無を評価した。同様にして、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、黄色ベタ画像を形成した。そして、得られた転写材上のカブリの有無を評価した。カブリの有無の評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:カブリなし
B:拡大すると僅かにカブリがみられるが、実用上問題ないレベル
C:目視で僅かにカブリがみられ、実用上問題となるレベル(NG)
D:カブリが目立つ(NG)。
3)カブリ(濃度評価)
前記2)において、無地画像を形成した後の転写材の、画像を形成しない部位におけるカブリ濃度を、マクベス濃度計「RD−918」(マクベス社製)により測定した。具体的には、以下の手順で測定した。
(a)画像が形成されていない転写材(白紙)の、任意の20カ所の絶対画像濃度を測定し、それらの平均値を「画像形成前の白紙濃度」とした。
(b)得られた電子写真感光体をそれぞれブラック(BK)の画像形成ユニットに搭載し、上記2)の転写材上に無地画像を形成した。得られた転写材の任意の20カ所の絶対画像濃度を測定し、それらの平均値を「無地画像形成後の白紙濃度」とした。
(c)上記(a)と(b)で求めた白紙濃度を下記式(B)に基づいてカブリ濃度として求めた。
式(B):カブリ濃度=(無地画像形成後の白紙濃度)−(画像形成前の白紙濃度)
カブリ濃度の評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:カブリ濃度が0.003以下で良好
B:カブリ濃度が0.003超0.006以下で良好
C:カブリ濃度が0.006超0.01以下であり、高画質要求時には実使用上問題となるレベル
D:カブリ濃度が0.01超であり、実用上問題となるレベル
表2に示されるように、中間層に含まれる第一の金属酸化物粒子が中間層の中で偏在している実施例1〜8の電子写真感光体は、表面電位のΔViが耐刷前は20V以下、耐刷後も30V以下と低く、かつ濃度ムラとカブリの発生を共に抑制することができたことが確認された。一方、中間層に含まれる第一の金属酸化物粒子が中間層の中で偏在していない比較例1の電子写真感光体は、濃度ムラとカブリの発生を両立することができないことが確認された。比較例2では、粒径の異なる粒子を同じ表面処理剤で表面処理した第一および第二の金属酸化物粒子を使用したが、第一の金属酸化物粒子が偏在しなかった。そのため、電子輸送性の向上および不整電子のブロッキング性向上の効果が得られないと考えられ、画像評価は実施例に比べていずれも劣った結果となった。また、中間層が二層で形成された比較例3では、電位測定結果および濃度ムラが改善されない結果となった。これは、中間層内に樹脂の界面が存在しているために、電子輸送性が悪くなったためと考えられる。
10 電子写真感光体
12、21 導電性支持体
14、20 中間層
16 電荷発生層
17 感光層
18 電荷輸送層
22 バインダー樹脂
23 第一の金属酸化物粒子
24 第二の金属酸化物粒子
100 画像形成装置
110Y、110M、110C、110Bk 画像形成ユニット
111Y、111M、111C、111Bk 電子写真感光体
113Y、113M、113C、113Bk 帯電手段
115Y、115M、115C、115Bk 露光手段
117Y、117M、117C、117Bk 現像手段
119Y、119M、119C、119Bk クリーニング手段
130 無端ベルト状中間転写体ユニット
131 無端ベルト状中間転写体
133Y、133M、133C、133Bk 一次転写ローラ(転写手段)
135 クリーニング手段
137A、137B、137C、137D ローラ
150 給紙搬送手段
170 定着手段
200 プロセスカートリッジ
201 筐体
203R、203L 支持レール
211 給紙カセット
213A、213B、213C、213D 中間ローラ
215 レジストローラ
217 二次転写ローラ(転写手段)
219 排紙ローラ
221 排紙トレイ
D 電子写真感光体の回転軸方向
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に中間層、前記中間層の上に有機感光層を有し、
    前記中間層は単層であり、第一の金属酸化物粒子、第一の金属酸化物粒子より電子輸送性の高い第二の金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含み、かつ、前記第一の金属酸化物粒子が前記中間層の厚み方向において偏在していることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記第一の金属酸化物粒子および前記第二の金属酸化物粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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