JP2011248189A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削加工仕上げされた導電性基体上に積層構造を有する電子写真感光体の干渉縞やスジを低減することにあり、黒ポチ故障がなく、軽印刷分野等に対応した高画質を得ることが出来る電子写真感光体を提供する。
【解決手段】切削加工仕上げされた導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した電子写真感光体において、前記電荷発生層が電荷発生物質と樹脂から成りガラス板上に形成された状態で、その分散係数(表面粗さRzJIS)が3.0μm以上5.0μm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体(以下、単に感光体ということがある)とそれを用いた画像形成方法に関するものである。
近年、乾式電子写真方式を用いた画像形成システムの画質が向上し、比較的少部数の印刷分野で広く用いられるようになってきた。その結果として、要求画質が更に上昇し、また従来は珍しかった用いられ方、例えばコート紙へのプリント、高カバレッジ画像のプリント、高画質画像の大量プリント等、多様な使われ方がなされるようになってきた。それに伴い従来は指摘されなかった不具合の発生が増大している。
特に書き込みがレーザー露光系の場合、従来から問題になっていた感光体の導電性基体面と、入射光との間の干渉で生じるハーフトーン画像の干渉縞模様の発生のほかに、基体加工の送りピッチに関係する加工スジ状ムラが問題である(特許文献1)。特に後者は、中間色画像の均一性向上に関する要求と画像形成装置の性能向上、及びコート紙の使用といったユーザーや技術の動向によって、近年、顕在化してきた問題であり、従来技術では対応し切れなくなっている。
上記問題は、レーザー等の単波長光による露光と感光体を構成する層の境界面の状態が係わって起こる。本発明は、電荷発生層の表面に凹凸を形成し、干渉縞故障を防止しようとするものであるが、この様な試みが検討されていた(特許文献2、3)。
しかしながら、電荷発生層(CGL)に粒子状の異物を添加するといった解決手段であるから、多くの場合、形成した画像上に白抜け故障が発生する危険があるものであり、それより先の詳細な検討が行われてこなかった。
特開2003−91085号公報 特開平5−142791号公報 特開2009−237488号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
即ち、本発明の目的は、干渉縞やスジを低減することにあり、黒ポチ故障がなく、軽印刷分野等に対応した高画質を得ることが出来る電子写真感光体を提供することである。
本発明者が詳細に検討したところ、導電性基体を切削加工するとともに、積層構造を有する電子写真感光体の電荷発生物質の分散状態を選択すれば、本発明で問題視している干渉縞の発生防止に顕著な効果があり、さらに従来はこの課題の解消方法とトレードオフで発生した、加工筋状ムラ欠陥や白抜けの発生も防止できることが判明し、本発明に至った。
即ち、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
(1)
切削加工仕上げされた導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した電子写真感光体において、前記電荷発生層が電荷発生物質と樹脂とを含む電荷発生層塗布液を塗布して形成されてなり、該電荷発生層塗布液の下記分散係数が3.0μm以上5.0μm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
分散係数:電荷発生層塗布液をスピンコートで塗布したサンプルの表面粗さをレーザー顕微鏡で測定した時に測定される表面粗さ(RzJIS
(2)
前記電荷発生物質がブタンジオール付加チタニルフタロシアニンであり、前記塗布液が超音波にて分散させたことを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
(3)
前記切削加工された導電性基体の表面粗さRzJISが、0.5〜1.5μmであることを特徴とする(1)又は(2)の電子写真感光体。
本発明により、切削加工仕上げされた導電性基体上に積層構造を有する電子写真感光体の干渉縞やスジを低減することができ、黒ポチ故障がなく、軽印刷分野等に対応した高画質を得ることが出来る電子写真感光体を提供することができる。
標準スクリーンの一つである規則性を有するドット状に形成された露光パターンの図。 本発明の電子写真感光体を用いたカラー画像形成装置の構成図。 切削加工した導電性基体を説明する図。
本発明の構成と効果、使用する化合物や画像形成方法について更に説明する。
一般に干渉縞防止のためには、導電性基体表面を粗して光を散乱させることが求められるが、切削加工法により干渉縞欠陥を解消する程度に導電性基体表面を粗らすと、加工スジ状ムラが発生し、また、画像のポチ等の欠陥が発生し、干渉縞と加工筋状ムラ或いはポチ欠陥等との両立が難しく、特に高画質画像を形成する画像形成装置の場合、許容幅が小さく両立が図れないことが生じて問題となっていた。
本発明においては基体の加工粗さを抑制し、電荷発生層の表面形状を電荷発生物質と樹脂(バインダー)で粗らすことにより、両者の両立を図れることを見出し、発明を完成させた。
詳細な検討により、本発明で問題としている干渉縞対策では、電荷発生層に含有させた電荷発生物質の分散度合いに基づく電荷発生層の表面形状が、本発明の範囲であれば干渉縞が生じないばかりでなく、加工スジ状ムラやポチ等の故障が生じないことが判明した。
本発明の構成を採ることにより本発明の効果が得られる理由については、特に詳しい解析がなされたわけではない。レーザー光源等で感光体露光を行った場合に起こる加工スジ状ムラは、感光体の導電性基体表面が周期形状を有する場合に生じやすい。これを防止するために導電性基体表面を粗面にすることが行われていたが、この方法によっても干渉による干渉縞故障を防止することが出来なかった。干渉縞故障を防止するには、導電性基体表面を粗面にすることのほか、感光体構成層間や感光体表面をも粗面化することが有効であるとされてきた。上記した如く、その中で電荷発生層表面及び電荷発生層内にて露光光を乱反射させるとの発想が提案されている。前記した通り、電荷発生層に散乱粒子を加えることで、干渉縞を抑制するという方法は知られていた。しかし、高画質化や特殊紙(コート紙等)の使用といったより厳しい条件で使用した場合には、電荷発生層の機能に寄与しない散乱粒子の添加は、画像欠陥を引き起こす場合があり、干渉縞の防止効果と、該粒子に起因する白抜けやポチ等の欠陥といった画像欠陥との両立が図れなかった。
本発明では、電荷発生層中に散乱粒子といった異物を添加して、凹凸や不均一化を図るのではなく、電荷発生層中に必須に存在する電荷発生物質の粒径や形状を制御することにより、上記問題を生じることなく、本発明の課題解決を図ることに成功した。
電荷発生物質の電荷発生層中での存在状態により、該層中及びその表面を不均一化し、或いは凹凸形状とするための手段は特に限定されるものではない。その分散程度は分散係数で測定される。
〈分散係数の測定方法〉
分散係数の測定方法は、以下の通りに行った。
測定用試料は、電荷発生層塗布液を短辺2.5cm、長辺7.5cm、厚さ1.2mmのスライドガラスに滴下し、スピンコーターにて、100RPMで回転塗布した。得られたサンプルを100℃1時間乾燥して測定用試料を作成した。
得られた測定用試料を、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−9500を用い、測定条件としてはJIS−94、観察倍率は150倍で、測定試料表面の面粗さを測定してRzJISを記録し、これを分散係数とする。本発明の様に測定用試料と非接触の測定方法の場合、触針により破砕されやすい分散塗膜でも、正確に表面粗さの測定が可能となる。
〈本発明範囲の分散係数を達成する方法〉
本発明の分散状態を達成するためには、分散液の調液方法を以下のように行う。
一般に電荷発生層塗布液の樹脂(バインダー)及び分散溶媒は、電荷発生物質〈顔料〉と親和性が高く、溶解性が良好なものを選択する。しかし、本発明の場合には、電荷発生層塗布液のバインダー濃度で分散溶媒にバインダーを溶かしたときには溶解するが、析出ぎりぎりの溶解状態に調製するか、或いは、一部析出して、透明な溶液が得られない条件の溶媒系を使用する。
その調液方法は、加熱溶解して冷却後に、溶液がやや白濁を呈する条件か、混合溶媒として貧溶媒を添加して、やや白濁を呈する条件か、白濁を呈しないが、溶液を透かしてみると、密度ムラが生じる溶液状態に調製する。このような溶液条件となる溶媒に、電荷発生物質を分散させた状態でバインダー溶液に添加することにより、本発明の分散係数の分散液を得ることができる。
さらに電荷発生物質の分散条件は、合成時に粒径がそろった粗粒子に調製されたものを、超音波分散のみの如くマイルドな方法で分散することが好ましい。ハードな方法を用いると、破砕により本発明内の粗さを示す電荷発生物質の分散係数合いが得られにくくなる。通常は溶媒選択と分散条件の単独で或いはこれらを併用することにより、比較的容易に本発明に使用可能な荷発生層塗布液を調製することが出来る。
一例としては、電荷発生層塗布液の樹脂にブチラール系樹脂を採用し、その溶媒として3−メチル−2−ブタノン等の該樹脂がかろうじて溶解する程度の貧溶媒を用いる。また電荷発生物質としては、チタニルフタロシアニンに、分子間力を抑制し、分散しやすい電荷発生物質粒子を形成するブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを用い、該塗布液組成物を超音波分散する。
本発明の電荷発生層塗布液は、分散係数が3.0μm以上5.0μm以下であることを特徴とする。分散係数が3.0μm未満の場合、電荷発生層表面の露光レーザー光の反射が規則正しくなるために干渉縞故障を発生する。また、5.0μmを超えた場合には、電荷発生層に大径粒子が含まれ、黒ポチ故障となる。
以下、本発明の電荷発生層塗布液について説明する。
電荷発生層塗布液は電荷発生物質と樹脂を含有し、これを分散媒に分散させて調製される。
〔電荷発生物質〕
本発明において用いられる電荷発生物質としては、特に限定されるわけではないが、2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオール化合物(以下、単に隣接ジオールとも云う)とチタニルフタロシアニンとの付加物が好ましい。
隣接ジオール付加チタニルフタロシアニンとは、チタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体をいう。
チタニルフタロシアニンとは、一般式(1)において、X〜Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,m,l,kは、0〜4の整数を表す構造の化合物である。
Figure 2011248189
本発明の隣接ジオールの具体的な例としは、脂肪族炭化水素の隣り合う炭素原子に一つずつ水酸基があるもので、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリンなどを挙げることができる。好ましくは2つの隣接する各炭素原子が不斉炭素で構成される光学活性を有するジオール化合物が好ましい。
アルキル部が比較的炭素数が少ない方がチタニルフタロシアニンとの付加体を形成しやすい。中でも、(2R,3R)−2,3ブタンジオール及び(2S,3S)−2,3ブタンジオールの少なくとも1つを用いたチタニルフタロシアニン付加体が最も好ましい。チタニルフタロシアニン付加体の構造は、例えば(2R,3R)−2,3ブタンジオールとの付加体で表すと、下記で示されるようなチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3ブタンジオールの脱水縮合により生成する付加体化合物と推定される。
本発明の好ましい電荷発生物質とは、粒径の整った粒子であるものが好ましく、より好ましくは、合成時の結晶粒子が固くなく、粗大粒子の破砕に、大きなエネルギーを使用しないで粒径の均一な粒子が得られるものが好ましい。この様な粒子としては、合成時の結晶性がそれほど高くない部分結晶系の粒子が好ましく、この様な結晶状態をとりうる電荷発生物質としては、隣接ジオール付加体が該当する。隣接ジオール付加体の場合には、そのジオール部が存在するため、顔料分子同士の凝集力が抑制され、ほぐれやすい分子構造となっているため、メディアを使用しない分散機か、或いは使用しても剪断力の弱い条件で分散させることにより、粒径の均一な粒子が得られ易い。
Figure 2011248189
〔電荷発生層バインダー〕
電荷発生層のバインダー(樹脂)としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の中、2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。好ましくは、電荷発生物質への吸着性の優れたポリビニルブチラール樹脂が特に好ましい。
〔電荷発生層分散媒〕
電荷発生層に使用する分散媒としては、例えば、3−メチル−2−ブタノンや、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記バインダーと分散媒の選択は本発明の分散液の分散性を制御する重要な因子である。バインダーは、電荷発生物質への親和性の高い樹脂を選択し、分散媒を樹脂に対して比較的貧溶媒を選択することにより、バインダーにより電荷発生物質を積極的にくるむことが出来る。この時の溶媒選択は、従来通常行われていた溶解系を選択するのではなく、むしろ、バインダーに対する貧溶媒−良溶媒の中間的な溶媒から選択する。たとえば、ブチラール樹脂に対する3−メチル−2−ブタノンや、4−メチル−2−ペンタノンは好ましい組み合わせである。
〔電荷発生層塗布液調液条件〕
電荷発生層塗布液の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、過度の剪断応力を与えない分散方法であり、好ましくはメディアを使用しない分散方法である超音波分散がよい。
電荷発生層塗布液のバインダー(樹脂)と電荷発生物質の混合割合は、バインダー100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。また、電荷発生層塗布液の固形分濃度は0.5〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5質量%である。
以下に、本発明に好ましく用いられる電子写真感光体(感光体、あるいは有機感光体ともいう)の構成を記載する。
電荷発生層塗布液には、必要に応じて、酸化防止剤、分散助剤等の添加剤を添加してもよい。これらの添加は、散乱周氏の添加と異なり、添加材の集計が小さいため、画像欠陥の原因とはならないためである。
〔感光体の構成〕
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を、この順に含む積層型の感光層を有する。また、必要に応じて、中間層或いは最表面に保護層を設けた構成でもよい。具体的には、以下に示すような層構成を例示することができる。
導電性基体上に、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した層構成、或いは、導電性基体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、或いはさらに保護層を順次積層した層構成を有する。
以下、有機系の電子写真感光体の層構成を主に記載する。
(導電性基体)
本発明で用いる導電性基体(導電性支持体ともいう)は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムをバイト切削加工して用いる。
切削加工した導電性基体は、図3に示す様に微小幅d毎に規則的に線状突起体2とテーパー反射面3(切削ラインに相当する)が形成されている。線状突起体2とテーパー反射面3は、導電性基体1が円筒状基体である場合にはらせん形状で形成することができるが、その他例えば円筒状基体の長手方向に対して垂直状に波型形状に形成することができ、さらには線状突起体2とテーバー反射面3を長手方向に対して垂直状と平行状に同時に形成することができる。
導電性基体の表面粗さは0.3〜1.5μmRzJISが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2μmRzJISであり、さらにはバイトの送り方向において送りピッチ当り、当該バイトを構成する多結晶ダイヤモンド焼結体の粒度に起因する5〜100個の微小粗さが存在するように切削加工して得られた導電性基体が好ましい。基体粗さが1.2μmよりも粗らすと、高画質な画像を形成する場合には、筋状欠陥が目立つ場合があり、0.5μm未満の場合には、電荷発生層の粗さだけでは、干渉縞がやや気になる場合がある。
この様な切削加工は生産性が高く、ブラスト加工の場合に懸念されるメディアの付着による欠陥発生が起こり難いといったメリットを有するが、本発明の課題で記載した干渉縞の発生を抑制するために、激しく表面粗さ加工を実施すると、筋状故障が発生する懸念が出てくる。
本発明の電荷発生層を用いることで、これらの故障を解消できるため、基体加工の粗さは、通常よりも粗さない条件で干渉縞の発生が解消する。基体粗さは、好ましくはRzJISで0.5μm〜1.5μm、より好ましくはより好ましくは0.5〜1.2μmRzJISである。あまり粗らしすぎると、スジ故障の発生の可能性が高まるとともに、あまり鏡面に近くなりすぎると、モアレが発生するリスクが高まるためである。
ここで、導電性基体の表面粗さの測定は以下の方法で測定した。
測定機は表面粗さ計「サーフコム1400D」(東京精密社製)で測定した。
RzJISは、(株)東京精密製サーフコム1400Dを用い、JIS′01規格、粗さ測定、評価長4.0mm、カットオフ0.8mm(ガウシアン)、測定速度0.3mm/s、λs設定無しの測定を素管中央付近で周方向120°間隔3点測定し、その平均値をとった。
(中間層)
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けるのが好ましい態様といえる。
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層の抵抗調整の目的で各種の微粒子(金属酸化物粒子等)を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの微粒子を用いることができる。
これら金属酸化物を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。このような金属酸化物の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。また、これらの金属酸化物粒子は、無機化合物や有機化合物で表面処理されていてもよい。
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
無機粒子などを分散した時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜30μmが好ましく、0.3〜15μmがより好ましい。
(電荷発生層)
本発明に用いられる電荷発生層は、本発明の分散液を塗布して形成される。
電荷発生層の膜厚は、0.1〜3μmであることが好ましい。なお、電荷発生層の膜厚の測定には、適正に測定出来る方法を用いればよい。例えば電荷発生層の断面の切片をとり、透過型電子顕微鏡(TEM)による写真から、膜厚をランダムに20カ所測定し、その平均値として求めることが出来る。
(電荷輸送層)
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
電荷輸送物質は、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体等を2種以上混合して使用してもよい。
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmで、さらに好ましくは10〜30μmである。
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号、電子導電剤は特開昭50−137543号、同58−76483号公報等に記載のものがよい。
(保護層)
本発明の感光体に必要に応じて用いられる保護層は、バインダー樹脂に無機微粒子を添加して調製した塗布液を電荷輸送層の上に塗布して形成したものである。尚、保護層には酸化防止剤や滑剤等を含有させてもよい。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を好ましく用いることが出来る。特に表面を疎水化した疎水性シリカや疎水性アルミナ、疎水性ジルコニア、微粉末焼結シリカ等が好ましい。
無機微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmのものが好ましく、5〜100nmが特に好ましい。無機微粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値である。
保護層に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂何れの樹脂かを問わない。例えばポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることが出来る。
保護層に用いられる滑剤としては、樹脂微粉末(例えば、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等)、金属酸化物微粉末(例えば、酸化チタン、酸化アルミ、酸化スズ等)、固体潤滑剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、シリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等)、フッ素系樹脂粉体(例えば、四フッ化エチレン樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、フッ化二塩化エチレン樹脂粉体及びそれらの共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂粉体(例えば、ポリエチレン樹脂粉体、ポリプロピレン樹脂粉体、ポリブテン樹脂粉体、ポリヘキセン樹脂粉体などのホモポリマー樹脂粉体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などのコポリマー樹脂粉体、これらとヘキセンなどの三元共重合体、更にこれらの熱変成物の如きポリオレフィン系樹脂粉体等)等が挙げられる。
上記の潤滑剤に用いる各樹脂の分子量や粉体の粒径は適宜選択することが出来る、又粒径に関しては、特には0.1μm〜10μmが好ましい。これらの潤滑剤を均一に分散するため分散剤をバインダー樹脂に添加してもさしつかえない。
〔画像形成方法〕
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成方法に用いられる画像形成装置について説明する。
図2は、本発明の感光体を用いたるカラー画像形成装置の断面構成図例である。
本画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜850nmの半導体レーザーを像露光光源として用いるのが望ましい。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)から2400dpi、あるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像をうることができる。
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
用いられる光ビームとしては半導体レーザーを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、レーザー光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された画像支持体(定着された最終画像を担持する画像:例えば普通紙、透明シート等)としての画像支持体Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、画像支持体P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の画像支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザープリンター、等に適応するが、更に、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
次に、本発明の代表的な実施態様を示し本発明についてさらに説明するが、無論、本発明の態様はこれらに限定されるわけではない。
尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
〔1〕電荷発生物質の合成
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成例
本発明で使用した電荷発生物質であるブタンジオール付加チタニルフタロシアニンの合成例を以下に示す。
〈チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成〉
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロロベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱する。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得る。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5L(リットル)に注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得る。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥してチタニルフタロシアニン−アモルファス品24.8g(収率86%)を得た。
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.8g(0.6モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン付加体19.8gを得た。これを本発明に係るブタンジオール付加チタニルフタロシアニン(CG−1)とする。
このCG−1のX線回折スペクトルを測定したところ、X線回折スペクトルにて8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するものであった。
なお、X線回折スペクトルの測定条件は以下の通りである。
X線回折スペクトルを測定する測定装置としては、人工多層膜ミラーにて単色平行化したCuKα線を線源とする薄膜試料測定用のX線回折装置を用いる。たとえば、「リガクRINT2000(リガク(株))」等が挙げられる。X線回折スペクトルの測定条件は、以下のとおりである。すなわち、
X線出力電圧:50kV
X線出力電流:250mA
固定入射角(θ):1.0°
走査範囲(2θ):5〜35°
スキャンステップ幅:0.05°
入射ソーラースリット:5.0°
入射スリット:0.1mm
受光ソーラースリット:0.1°
チタニルフタロシアニン−バナジルフタロシアニン混晶(CG−2)の合成
チタニルフタロシアニン4g及びバナジルフタロシアニン1gを氷冷下250gの96%硫酸に溶解し、この硫酸溶液を5lの水にあけて析出したアモルファス状態のウエットペーストを濾取した。
更にこのウエットペーストとo−ジクロロベンゼン50gを混合し、50℃の温度で2時間撹拌した。この反応液をメタノールで希釈後濾過し、更に得られた結晶をメタノールで数回洗浄して青色結晶を得た。この結晶はブラッグ角2θの9.5°及び27.2°にピークを有し、かつ示差熱分析によって237℃に発熱ピークを有するチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶であることが判った。
オキシチタニウムフタロシアニン(CG−3)の合成
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとo−ジクロロベンゼン200ml及びチタニウムテトラ−n−ブトキシドシド20.4gを混合し、窒素気流下にて3時間還流させた。放冷して室温に戻した後析出した結晶を濾取し、o−ジクロロベンゼンで洗浄し、更にメタノールで洗浄した。更に得られた結晶を2%塩酸水溶液中室温にて数回攪拌洗浄し、さらに脱イオン水で数回洗浄を繰り返した。その後メタノールで洗浄後、乾燥して青紫色のチタニルフタロシアニン結晶24.2gを得た。
〔2〕感光体1の作製
〈導電性基体の作製〉
長さ362±0.2mmのアルミニウム合金製素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95mm、表面のRzjisが1.2μmになるように切削加工を行った。
〈中間層〉
下記組成の中間層塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ株式会社製) 1.0部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 1.1部
エタノール 20部
上記塗布液を分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記基体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
〈電荷発生層〉
(電荷発生層塗布液の調液)
下記組成を混合し、循環式超音波ホモジナイザーRUS−600TCNP(株式会社日本精機製作所製)にて5時間分散した。この時のバインダーを分散倍に溶解させたときの溶液は、うっすらと白濁した溶液であった。
電荷発生物質:ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン(CG−1) 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
3−メチル−2−ブタノン 400部
得られた、塗布液を前記測定方法に従い、スライドガラスに塗布して測定サンプルを作成した。サンプルの分散係数は4.9μmであった。
上記塗布液を用いて前記中間層まで塗布した基体上に、浸漬塗布して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(CT−1) 150部
ポリカーボネート樹脂(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:チバ・ジャパン社製) 6.0部
トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積比 2000部
シリコーンオイル(KF−96:信越化学社製) 1.0部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法を用いて、110℃で60分乾燥後膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2011248189
〔3〕感光体2〜14の作製
感光体1の電荷発生層塗布液を分散条件の変更、溶媒の変更し、各種分散液を作製、塗布したほかは、感光体1と同様にして、感光体2〜10を作製した。また、導電性基体の表面粗さを変化させたほかは感光体1と同様にして、感光体11〜14を作製した。
〔4〕性能評価
性能評価は、コニカミノルタ製bizhub PRO C6501改造機を用い、感光体だけは上記した感光体1〜14を順次装填して行った。
(干渉縞(モアレ))
黒色(Bk)位置において、露光パターンA(図1;濃度各種)、及び王子製紙(株)製「PODグロスコート(100g/m)」を使用して出力したハーフトーン画像の目視評価により行った。
◎:干渉縞は認められない
○:干渉縞は殆ど認められず実用上は問題ない
△:わずかに干渉縞が認められるが、何とか実用可能
×:干渉縞が認められ実用上支障あり
(スジ故障)
下記の基準にて評価した結果を表2に示す。使用したスクリーン画像は、感光体回転軸に直角な周方向に対して、角度0°で画像形成しているマトリックス画像と、角度15°に斜めに書き込んだマトリックス画像、45°にずらしたマトリックス画像である。
◎:すべてのスクリーン画像で欠陥の発生なし
○:一部のスクリーン画像でわずかに画像欠陥が発生するが実用上問題ない
△:すべてのスクリーン画像で僅かに画像欠陥が発生するが、実使用上は問題なし
×:画像欠陥が発生し、実使用上問題あり
(黒ポチ故障)
A4紙の半分に白画像を形成させるために、感光体の対応部を帯電させたが未露光とした。10枚の実写画出しを行い評価した。
◎:全く黒ポチが認められない
○:1枚に認められる
△:2枚に認められるが、何とか実用可能
×:3枚以上に認められる
いずれの評価でも「○」以上であることが望ましいが、「△」でも実用化は何とか可能である。
Figure 2011248189
表1に示される結果から明らかな如く、本発明内の感光体1、3、5、7、9、10、11、12、13及び14はいずれの特性も良好であるが、本発明外の感光体2及び4、6及び8は少なくともいずれかの特性に問題があることがわかる。
また、CG−1は、CG−2,CG−3に比べると、黒ポチ発生の許容幅が広かった。この原因は、ジオール付加チタニルフタロシアニンの電荷発生物質が他の顔料に比べ、ほぐれやすい粒子であるため、欠陥が生じにくかったためと推定される。また、分散を超音波で行ったものは、メディア分散に比べ黒ポチが良好であった。これは過剰なストレスがかからず、均一に分散されたためと推定している。
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット

Claims (3)

  1. 切削加工仕上げされた導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した電子写真感光体において、前記電荷発生層が電荷発生物質と樹脂とを含む電荷発生層塗布液を塗布して形成されてなり、該電荷発生層塗布液の下記分散係数が3.0μm以上5.0μm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
    分散係数:電荷発生層塗布液をスピンコートで塗布したサンプルの表面粗さをレーザー顕微鏡で測定した時に測定される表面粗さ(RzJIS
  2. 前記電荷発生物質がブタンジオール付加チタニルフタロシアニンであり、前記塗布液が超音波にて分散させたことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記切削加工された導電性基体の表面粗さRzJISが、0.5〜1.5μmであることを特徴とする請求項1又は2の電子写真感光体。
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