JP2014114380A - 硬質カレンダー成形用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塩化ビニル系単量体を、分散安定剤として平均重合度1000〜4000かつけん化度60〜90%の部分けん化ポリビニルアルコールを該塩化ビニル系単量体に対して500〜800ppm用いて、懸濁重合して、得られた平均重合度500〜1000の懸濁重合塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、ペースト用塩化ビニル系樹脂1〜20質量部を配合する。
【選択図】なし
Description
本発明で用いる懸濁重合塩化ビニル系樹脂(以下、「懸濁塩ビ」と略すことがある)としては、塩化ビニル単量体の単独重合体だけでなく、塩化ビニル単量体を主成分とする共重合体も含む。なお、塩化ビニル単量体を主成分とするとは、塩化ビニル単量体を少なくとも50質量%含有し、共重合可能な単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン等)を50質量%まで含む単量体組成物を重合させたことを意味する。以下において、塩化ビニル単量体のみおよび共重合可能な単量体との単量体組成物を合わせて、塩化ビニル系単量体という。なお、懸濁重合用の塩化ビニル系単量体は、塩化ビニル単量体を少なくとも50質量%含むものであり、後に述べるペースト用塩化ビニル系樹脂の製造に関しては塩化ビニル単量体が70質量%超でふくむものを意味する。
本発明で、懸濁塩ビに配合するペースト用塩化ビニル系樹脂(以下、「ペースト塩ビ」と略すことがある)は、通常塩化ビニル単量体を70質量%以上含む塩化ビニル系単量体を乳化重合、播種乳化重合あるいはミクロ懸濁重合よって製造されたものであり、その平均粒径は0.05〜4μm、好ましくは0.1〜3μmが適当である。そして、該ペースト塩ビは、架橋タイプか、平均重合度500〜5000、好ましくは1000〜4000のものが適当である。さらに、ペースト塩ビとしては市販されているものも支障なく使用できる。
本発明の塩ビ組成物は、塩化ビニル系樹脂の熱安定性を図るために熱安定剤を加えるほか、滑剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の通常の硬質塩化ビニル系樹脂組成物に配合される添加剤を適宜選択して加えることができる。
本発明の塩ビ組成物の製造は特に限定はなく、所定量の懸濁塩ビとペースト塩ビを他の成分と共に配合し、ヘンシェルミキサーなどを用いて常法によって均一に混合するなどの方法で製造できる。このようにして製造される本発明の組成物は、硬質塩化ビニル系樹脂組成物カレンダー成型品の製造に使用される。
本発明の塩ビ組成物を用いるカレンダー成形は、従来の硬質塩化ビニル系樹脂フィルムあるいはシートの製造する条件が適用可能である。カレンダー成形機もその種類は特に制限されず、例えば、6本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、Z型4本ロール、傾斜Z型4本ロール、直立型3本ロール等のカレンダーシート成形機が使用できる。また、カレンダーロールの温度は130〜250℃の範囲が使用可能である。
懸濁塩ビの平均重合度は、JIS K−6720−2:1999の付属書塩化ビニル樹脂試験方法に従って測定した。ストレートタイプのペースト塩ビは平均重合度を同様に測定した。
懸濁塩ビの見掛け密度は、JIS K−7365:1999に従って測定した。
懸濁塩ビ:JIS K−7369:2009に従って測定し、算出した。
ペースト塩ビ:水に界面活性剤を用いて分散させた試料を、レーザー光散乱粒度分布測定機(マイクロトラック粒度分析計(商品名)、日機装株式会社製)を用いて、測定した。なお、ここで平均粒径は、体積平均粒径であり、粒子の体積粒子径分布の累積頻度50%に相当する粒子の粒径である。
水銀圧入式ポロシメーター(オートポア9220型(商品名)、株式会社島津製作所製)を用いて、懸濁塩ビの細孔容積を求めた。(単位 ml/g)
塩ビ組成物100質量部に対し、ジブチル錫マレート系安定剤4質量部および脂肪酸エステル系滑剤1.5質量部をヘンシェルミキサーで混合したのち、表面温度185℃に調温された8インチ2本ロールのロール混練機に投入する。試料組成物がロールに巻き付いてから5分間混練してシートを取り出す。取り出したシートを再びロール混練機に投入して5分間混錬し、シートを取り出す。この操作を5回繰り返した時のシートのロールからの取り出し易さを下記基準で評価し、ロール粘着性(カレンダー加工性)とした。
◎:粘着も無く、問題なく剥離できた。
○:わずかに粘着しているが、容易に剥離できた。
△:粘着していて、剥離がやや困難であった。
×:粘着が激しく、剥離が困難あるいは不可であった。
塩ビ組成物60gをラボプラストミルミキサー試験機(商品名、株式会社東洋精機製作所製)に入れ、チャンバー温度160℃、ローラー回転数40rpmで混練し、最大トルクを示すまでの時間(ゲル化時間)を測定し、ゲル化速度の指標とした。
塩ビ組成物100質量部に、ジ−2−エチルヘキシルフタレート40質量部と少量の群青を混合した後、160℃の混錬ロールで3分間混練した後、厚み50μmのシートを製作し、得られたシートを虫眼鏡下で観察し、50cm2中に認められるゲル化せずに残る径50μm以上の粒子の数を計測し、FE数とした。
内容積500リットルのステンレス製オートクレーブに、純水140kg、平均重合度2500、けん化度80モル%の部分けん化ポリビニルアルコール60g(塩化ビニル系単量体に対し600ppm)及びtert−ヘキシルパーオキシピバレート25g(塩化ビニル系単量体に対し250ppm)を入れ減圧状態にした。次いで、塩化ビニル単量体100kgを仕込み、オートクレーブ内を撹拌しながら65℃に加温し重合を行った。オートクレーブの圧力が重合反応の定常状態における圧力から2.0kg/cm2下がった時点で、未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。重合時間は6時間であった。スラリーをオートクレーブから取り出し脱水乾燥して、重合転化率約85%で懸濁塩ビAを得た。得られた懸濁塩ビの平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティを上記に従って測定したところ、それぞれ、805、0.58g/ml、127μm、0.16ml/gであった。
オートクレーブ内の温度を67℃にする以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、700、0.61g/ml、117μm、0.14ml/gである懸濁塩ビBを重合転化率約85%で得た。
重合開始剤をtert−ブチルパーオキシネオデカノエート350ppm(対塩化ビニル系単量体)、オートクレーブ内の温度を62℃にする以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、900、0.57g/ml、120μm、0.23ml/gである懸濁塩ビCを重合転化率約85%で得た。
重合開始剤をtert−ブチルパーオキシネオデカノエート25ppm(対塩化ビニル系単量体)、tert−ヘキシルパーオキシピバレート250ppm(対塩化ビニル系単量体)、オートクレーブ内の温度を74℃にする以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、450、0.61g/ml、106μm、0.06ml/gである懸濁塩ビDを重合転化率約85%で得た。
重合開始剤をtert−クミルパーオキシネオデカノエート250ppm(対塩化ビニル系単量体)、tert−ヘキシルパーオキシピバレート500ppm(対塩化ビニル系単量体)、オートクレーブ内の温度を54℃にする以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、1300、0.48g/ml、123μm、0.28ml/gである懸濁塩ビEを重合転化率約85%で得た。
平均重合度450、けん化度80モル%の部分けん化ポリビニルアルコールを使用する以外は製造例1と同様にして、重合を開始したが、重合開始2時間後に重合系内がブロック化していることを確認し、重合を中止した。使用可能な懸濁塩ビFを得ることができなかった。
平均重合度5000、けん化度80モル%の部分けん化ポリビニルアルコールを使用する以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、800、0.65g/ml、98μm、0.07ml/gである懸濁塩ビGを重合転化率約85%で得た。
平均重合度2500、けん化度50%の部分けん化ポリビニルアルコールを使用する以外は製造例1と同様にして、重合を開始したが、重合開始2時間後に重合系内がブロック化していることを確認し、重合を中止した。使用可能な懸濁塩ビHを得ることができなかった。
平均重合度2500、けん化度95%の部分けん化ポリビニルアルコールを使用する以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、795、0.67g/ml、97μm、0.07ml/gである懸濁塩ビHを重合転化率約85%で得た。
部分けん化ポリビニルアルコール400ppmを使用する以外は製造例1と同様にして、重合を開始したが、重合開始2時間後に重合系内がブロック化していることを確認し、重合を中止した。使用可能な懸濁塩ビJを得ることができなかった。
部分けん化ポリビニルアルコール900ppmを使用する以外は製造例1と同様にして、平均重合度、見掛け密度、平均粒径およびポロシティがそれぞれ、800、0.70g/ml、80μm、0.08ml/gである懸濁塩ビKを重合転化率約85%で得た。
懸濁塩ビA100質量部に、平均重合度850のペースト塩ビ(リューロンペーストK80(商品名)、東ソー株式会社製)5質量部、スズ系安定剤0.5質量部、滑剤0.9質量部および加工助剤3質量部をヘンシェルミキサーにて混合して、塩ビ組成物1を得た。得られた塩ビ組成物1のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを上記により評価した。結果を表1に示した。
ペースト塩ビを平均重合度1600のペースト塩ビ(リューロンペースト860(商品名)、東ソー株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物2を得た。得られた塩ビ組成物2のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビを平均重合度2100のペースト塩ビ(リューロンペースト761(商品名)、東ソー株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物3を得た。得られた塩ビ組成物3のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビを架橋タイプのペースト塩ビ(リューロンペーストC38(商品名)、東ソー株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物4を得た。得られた塩ビ組成物4のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビを平均重合度700のペースト塩ビ(リューロンペーストK75Z(商品名)、東ソー株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物5を得た。得られた塩ビ組成物5のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビBに替えた以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物6を得た。得られた塩ビ組成物6のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビCに替えた以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物7を得た。得られた塩ビ組成物7のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビを全く加えずに実施例1と同様にして、塩ビ組成物8を得た。得られた塩ビ組成物8のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビDに替える以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物9を得た。得られた塩ビ組成物9のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビEに替える以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物10を得た。得られた塩ビ組成物10のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビの添加量を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物11を得た。得られた塩ビ組成物11のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
ペースト塩ビの添加量を30質量部とした以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物12を得た。得られた塩ビ組成物12のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビGに替える以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物13を得た。得られた塩ビ組成物13のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビIに替える以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物14を得た。得られた塩ビ組成物14のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
懸濁塩ビAを懸濁塩ビKに替える以外は、実施例1と同様にして、塩ビ組成物15を得た。得られた塩ビ組成物15のロール粘着性、ゲル化速度およびFEを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
製造例6、8および10は、縣濁重合に際し使用した部位けん化ポリビニルアルコールが不適切であり、或いは使用量が範囲外であったために重合が不調に終わり、懸濁塩ビF、HあるいはJを得ることができなかった。それで、これらは塩ビ組成物を調製することができなかったが、参考のため、それぞれ比較例9、10、11として、表1に示した。
Claims (3)
- 平均重合度500〜1000の懸濁重合塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、ペースト用塩化ビニル系樹脂1〜20質量部を含み、かつ、
該懸濁重合塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル単量体を少なくとも50質量%含む塩化ビニル系単量体を、分散安定剤として平均重合度1000〜4000かつけん化度60〜90%の部分けん化ポリビニルアルコールを該塩化ビニル系単量体に対して500〜800ppm用いて、懸濁重合して、得られたものである
ことを特徴とする硬質カレンダー成形品用塩化ビニル系樹脂組成物。 - 前記ペースト用塩化ビニル系樹脂が、平均重合度500〜5000のストレートタイプまたは架橋タイプである請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 前記ペースト用塩化ビニル系樹脂が、ミクロ懸濁重合または乳化重合によって製造されたものである請求項1または2に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
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