JP2003119341A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物

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JP2003119341A
JP2003119341A JP2001315730A JP2001315730A JP2003119341A JP 2003119341 A JP2003119341 A JP 2003119341A JP 2001315730 A JP2001315730 A JP 2001315730A JP 2001315730 A JP2001315730 A JP 2001315730A JP 2003119341 A JP2003119341 A JP 2003119341A
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Japan
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resin
monomer
vinyl chloride
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acrylate
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Application number
JP2001315730A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Kubo
喜弘 久保
Tomokazu Moriya
智和 守屋
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度、耐熱性に加えて、優れた耐衝撃
性を有する塩化ビニル系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 無機物の周囲に、ラジカル重合によって
得られる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂が担持されて
なる樹脂付着無機物(A)と、単独重合体のガラス転移
温度が−140℃以上0℃未満である少なくとも1種類
の(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性
モノマー100重量部と多官能性モノマー0.1〜10
重量部とからなるアクリル系共重合体1〜50重量%
に、塩化ビニル系モノマーを50〜99重量%グラフト
共重合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体
(B)からなるポリ塩化ビニル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニルを炭酸カルシウムなどの
無機充填材で強化した樹脂組成物は広く知られている。
しかし、これらの強化材はポリ塩化ビニルとの親和性が
乏しく、これらを充填すると強化ポリ塩化ビニルの機械
的強度や耐熱性は改良されるものの、耐衝撃性が低下す
るという問題がある。しかも、これら無機充填材で強化
した樹脂組成物では、充填材を多量に配合しないと機械
的強度や耐熱性が十分に向上しないという問題があっ
た。
【0003】そこで、強化材とポリ塩化ビニル樹脂との
親和性を改善させるために種々の方法が提案されてお
り、例えば、特開平10−110004号公報には塩化
ビニルの重合時に無機物を共存させる方法が開示されて
いるが、この方法では、塩化ビニルの懸濁重合時に無機
物が水相へ移行してしまうという問題があった。 ま
た、強化材とポリ塩化ビニル樹脂との親和性を改善させ
ることにより機械的強度や耐熱性は向上するが、耐衝撃
性が十分でないという問題点は改善されていなかった。
そこで、さらに耐衝撃性に優れる塩化ビニル系樹脂組成
物が要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題に鑑みてなされたものであり、機械的強度、耐
熱性に加えて、優れた耐衝撃性を有する塩化ビニル系樹
脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題について検討を重ねた結果、無機物の周囲に、ラジカ
ル重合によって得られる熱可塑性樹脂を主成分とする樹
脂が担持されてなる樹脂付着無機物(A)と、単独重合
体のガラス転移温度が−140℃以上0℃未満である少
なくとも1種類の(メタ)アクリレートを主成分とする
ラジカル重合性モノマー100重量部と多官能性モノマ
ー0.1〜10重量部とからなるアクリル系共重合体1
〜50重量%に、塩化ビニル系モノマーを50〜99重
量%グラフト共重合して得られる塩化ビニル系グラフト
共重合体(B)とを配合することにより、従来品に比べ
て耐衝撃性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物が得られる
ことを見いだした。
【0006】本発明に使用される無機物は、塩化ビニル
系樹脂の充填材、物性強化材として用いられるものであ
れば特に限定されず、例えば、金属粉、炭酸カルシウム
やチタン酸カリウムなどの金属無機酸塩、水酸化アルミ
ニウムなどの金属水酸化物、酸化アルミニウムや酸化チ
タンなどの金属酸化物、バーミキュライト、モンモリロ
ナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトな
どのスメクタイト族フィロ珪酸塩、白雲母、ソーダ雲
母、絹雲母、セラドナイト、金雲母、フッ素金雲母など
のマイカ族フィロ珪酸塩、カオリナイトなどのカオリン
鉱物、パイロフィライトやタルク、テクト珪酸塩、グラ
ファイトなどが挙げられ、好ましくは、層状構造を有す
るフィロ珪酸塩等が用いられる。これらは単独または2
種以上を組み合わせて用いることができる。
【0007】本発明では、無機物の周囲に担持される樹
脂として、ラジカル重合によって合成可能な熱可塑性樹
脂を主成分に用いることが特徴である。特に、上記熱可
塑性樹脂として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチ
レン誘導体、又はポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカル重
合活性の高いモノマーから合成される汎用樹脂が好適に
用いられ、特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート
等が用いられる。これらは単独あるいは共重合体として
使用される。
【0008】上記ラジカル重合性モノマーとしては、例
えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソノニル(メタ)アクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート、スチレン、α‐メチルスチレ
ン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等のスチ
レン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
の不飽和ニトリル、無水マレイン酸、塩化ビニリデン、
マレイミド誘導体等が挙げられ、これらは単独または2
種以上を組み合わせて用いる事ができる。
【0009】上記のラジカル重合性モノマーには、熱可
塑性樹脂の機械的強度を改善するために、ラジカル重合
可能な多官能性モノマーが添加されてもよい。上記多官
能性モノマーとしては、特に限定はされないが、例え
ば、ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレ
ートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。また、その他の多官能性モノマー
としては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート等のジも
しくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエ
ン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独また
は2種類以上を組み合わせて用いることができる。上記
多官能性モノマーは、多量に使用しすぎた場合、無機物
に担持される熱可塑性樹脂の機械的強度が強くなりすぎ
て、塩化ビニル系樹脂中への樹脂付着無機物(A)の導
入を抑制することがあるので、多官能性モノマーを使用
する際にはできるだけ使用量を少なくするのが好まし
い。
【0010】上記樹脂付着無機物(A)を作製する際の
無機物とラジカル重合性モノマーとの比は、無機物1〜
75重量%とラジカル重合性モノマー25〜99重量%
であることが好ましい。無機物量が75重量%を越え、
ラジカル重合性モノマーが25重量%未満になると、無
機物に付着する樹脂量が少なくなり、無機物に樹脂を担
持させてポリ塩化ビニル樹脂への導入を容易にすると共
に物性を向上させるという本発明の効果が認められ難く
なってしまう。
【0011】本発明の樹脂付着無機物(A)を作成する
方法は特に限定されないが、以下の方法が好適に用いら
れる。即ち、先ず無機物を水中に添加、攪拌することで
十分に分散させた後に、重合開始剤、ラジカル重合性モ
ノマー、及び分散剤を添加し、モノマーをラジカル重合
することによって得られる。一般的な水媒体系における
ラジカル重合方法としては、懸濁重合、乳化重合と卯が
挙げられるが、生成樹脂の粒子径の制御が容易で、小粒
子径の樹脂が得られ易い乳化重合法が好ましい。この
時、無機物は予め水中に分散させておくことにより、乳
化重合よって生成される樹脂粒子との接近頻度が増加す
る。その結果、無機物の周囲に樹脂が付着することにな
り、水媒体中での乳化重合という設備的にも簡便な重合
形態で容易に、且つ効率的に樹脂付着無機物(A)を作
成することができる。
【0012】上記分散剤は、上記ラジカル重合性モノマ
ーを重合してなる樹脂の分散安定性を向上させ、樹脂が
付着した無機物を得る目的で添加される。例えば、アニ
オン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化
ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙
げられる。特に望ましくはアニオン系界面活性剤であ
り、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等
が挙げられる。
【0013】上記重合開始剤としては、油溶性のフリー
ラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオ
キシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノ
エート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ系開始剤及びレドックス開始剤等が挙げられ
る。また、上記乳化重合法では、必要に応じてpH調整
剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0014】上記乳化重合法には、モノマー添加法の違
いからモノマー添加法、エマルジョン添加法の2つに大
別され、特に限定されるものではない。モノマー添加法
とは、例えば、まず、無機物をイオン交換水と共にジャ
ケット付重合反応槽内に入れ、攪拌により、無機物を分
散させる。次に、重合槽内部を減圧して酸素除去を行っ
た後に、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下
にて、モノマー、分散剤及び重合開始剤を重合槽に添加
し、槽内をジャケットにより所定の温度に昇温して重合
する方法である。
【0015】エマルジョン添加法とは、例えば、まず、
モノマー、分散剤、重合開始剤及び仕込み水の一部と混
合乳化し乳化モノマー液を調製する。次に、上記モノマ
ー添加法と同様に無機物を分散させた後に窒素雰囲気下
で、前記乳化モノマー液を重合槽へ一括添加、あるい
は、一定量づつ摘果することにより重合する方法であ
る。
【0016】重合の結果得られる樹脂付着無機物を含む
スラリー中の無機物と樹脂とを合わせた固形分量は、特
に限定されるものではないが、生産性、重合反応の安定
性を鑑みて、10〜50重量%が好ましい。上記重合に
より得られるスラリー中の樹脂付着無機物(A)の平均
粒子径は特に限定されないが、使用方法により好ましい
粒子径が異なり、例えば、スラリーとして用いる場合
は、大きくなると樹脂付着無機物と水の分離が起こりや
すくなるので30μm以下が適当である。一方、樹脂付
着無機物を乾燥し、粉体として使用する場合は、乾燥工
程の操作性等より10〜3000μmが適当である。
【0017】上記樹脂付着無機物(A)は、塩化ビニル
系グラフト共重合体への無機物の導入を更に効率的に行
うために塩化ビニル系モノマーがグラフト重合されてい
てもよい。塩化ビニル系モノマーがグラフト重合された
樹脂付着無機物を樹脂付着無機物(A1)と称する。
【0018】上記塩化ビニル系モノマーとは、塩化ビニ
ル、又は50重量%以上の塩化ビニルと塩化ビニルと共
重合可能な他のモノマーとの混合物である。塩化ビニル
と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビ
ニル等のアルキルビニルエステル類、エチレン、プロピ
レン等のα−モノオレフィン類、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、オクチルアクリ
レート等のアルキル(メタ)アクリレート類、アルキル
ビニルエーテル類、マレイミド類、塩化ビニリデン、ス
チレン誘導体等が挙げられる。これらは単独又は2種類
以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】上記樹脂付着無機物(A)に、塩化ビニル
系モノマーをグラフト共重合させる方法としては、特に
限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重
合法、塊状重合法等が挙げられる。これら重合法のう
ち、懸濁重合法、即ち、樹脂付着無機物(A)の共存下
で塩化ビニルを懸濁重合させる方法が好ましい。
【0020】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上記
樹脂付着無機物(A)と、単独重合体のガラス転移温度
が−140℃以上0℃未満である少なくとも1種類の
(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モ
ノマー100重量部と多官能性モノマー0.1〜10重
量部とからなるアクリル系共重合体1〜50重量%に、
塩化ビニル系モノマーを50〜99重量%グラフト共重
合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体(B)と
を配合することにより得られる。
【0021】上記アクリル系共重合体は、塩化ビニル系
グラフト共重合体の耐衝撃性を向上させるために配合す
るものであり、(メタ)アクリレートを主成分とするラ
ジカル重合性モノマーと多官能性モノマーとからなる。
ここで(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重
合性モノマーとは、(メタ)アクリレート又は50重量
%以上の(メタ)アクリレートとその他のラジカル重合
性モノマーとの混合モノマーである。前記(メタ)アク
リレートの単独重合体のガラス転移温度は−140℃以
上0℃未満である。充分な柔軟性を塩化ビニル系グラフ
ト共重合体樹脂に付与するため、0℃未満であれば特に
種類は限定されないが、工業的に一般に使用されるポリ
マーのガラス転移温度を鑑みて−140℃以上が適当で
ある。
【0022】上記(メタ)アクリレートモノマーとして
は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上0℃
未満のものであれば特に限定されず、例えば、n−ブチ
ルアクリレート(Tg=−54℃、以下かっこ内に温度
のみを示す)、n−ヘキシルアクリレート(−57
℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、
n−オクチルアクリレート(−85℃)、n−ノニルア
クリレート、イソノニルアクリレート(−85℃)、n
−デシルアクリレート(−70℃)、ラウリルアクリレ
ート、ラウリルメタアクリレート(−65℃)、エチル
アクリレート(−24℃)、n−プロピルアクリレート
(−37℃)、n−ブチルアクリレート(−54℃)、
イソブチルアクリレート(−24℃)、sec−ブチル
アクリレート(−21℃)、n−ヘキシルアクリレート
(−57℃)、n−オクチルメタクリレート(−25
℃)、イソオクチルアクリレート(−45℃)、n−ノ
ニルメタクリレート(−35℃)、n−デシルメタクリ
レート(−45℃)等が挙げられる。これらは単独また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、
上記単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上0℃
未満である(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体
のガラス転移温度は、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック(基礎編)」(1986年、培風館社)によ
った。
【0023】上記その他のラジカル重合性モノマーとし
ては、例えば、メチルメタアクリレートエチルメタアク
リレート等のアルキルメタアクリレート類、酢酸ビニル
等のアルキルビニルエステル類、アルキルビニルエーテ
ル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0024】上記アクリル系共重合体には多官能性モノ
マーが使用されるが、多官能性モノマーを使用すること
により、アクリル系共重合体が架橋され、上記塩化ビニ
ル系グラフト共重合体樹脂(B)の耐衝撃性が向上す
る。更に、上記アクリル系共重合体を製造する際、及
び、製造後の上記アクリル系共重合体の粒子の合着を抑
制する。
【0025】上記多官能性モノマーとしては、例えば、
ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリ
レート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレートとして
は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。また、その他の多官
能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレ
ート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、ト
リアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化
合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合
物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み
合わせて用いることができる。
【0026】上記アクリル系共重合体における上記多官
能性モノマーの配合量は、アクリル系共重合体を形成す
る単独重合体のガラス転移温度が−140以上0℃未満
である(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重
合性モノマーから成る混合モノマー成分100重量部に
対して、0.1〜10重量部である。上記多官能性モノ
マーの配合量が、0.1重量部未満では、アクリル系共
重合体が塩化ビニル系グラフト共重合体中で独立した粒
子形状を保てなくなるため、塩化ビニル系グラフト共重
合体の耐衝撃性が低下する。一方、10重量部を越える
と、アクリル系共重合体の架橋密度が高くなり、有効な
耐衝撃性が得られなくなるため上記範囲に限定される。
【0027】本発明において、上記(メタ)アクリレー
トを主成分とするラジカル重合性モノマーと多官能性モ
ノマーを共重合させてアクリル系共重合体を得る方法と
しては特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合
法等が挙げられる。これらの中では、耐衝撃性の発現性
がよく、アクリル系共重合体の粒子径の制御が行い易い
点から乳化重合法が望ましい。なお、上記共重合とは、
ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等す
べての共重合をいう。
【0028】上記乳化重合法は、従来公知の方法で行う
ことができ、例えば、必要に応じて、乳化分散剤、重合
開始剤、pH調整剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0029】上記乳化分散剤は、(メタ)アクリレート
を主成分とするラジカル重合性モノマーと多官能性モノ
マーとの混合物(以下、混合モノマーともいう)の乳化
液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行うた
めに用いるものである。上記乳化分散剤としては特に限
定されず、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系
界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系
分散剤、ゼラチン等が挙げられる。これらの中では、ア
ニオン系界面活性剤が好ましく、上記アニオン系界面活
性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテルサルフェート(第一工業製薬社製
「ハイテノールN−08」)等が挙げられる。
【0030】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素水等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げら
れる。
【0031】上記乳化重合法の種類は特に限定されず、
例えば、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴
下法等が挙げられる。
【0032】上記一括重合法は、ジャケット付重合反応
器内に純水、乳化分散剤、及び、混合モノマーを一括し
て添加し、窒素気流加圧下で撹拌して充分乳化した後、
反応器内をジャケットで所定の温度に昇温し、その後重
合させる方法である。
【0033】上記モノマー滴下法は、ジャケット付重合
反応器内に純水、乳化分散剤、及び、重合開始剤を入
れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧を行い、反応器
内をジャケットにより所定の温度に昇温した後、混合モ
ノマーを一定量ずつ滴下して重合させる方法である。
【0034】上記エマルジョン滴下法は、混合モノマ
ー、乳化分散剤、及び、純水を撹拌して乳化モノマーを
予め調製し、次いで、ジャケット付重合反応器内に純
水、及び、重合開始剤を入れ、窒素気流下による酸素除
去及び加圧を行い、反応器内をジャケットにより所定の
温度に昇温した後、上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下
して重合させる方法である。
【0035】また、上記エマルジョン滴下法では、重合
初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加(以下シード
モノマーと呼ぶ)し、その後残りの乳化モノマーを滴下
する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させる
ことにより、生成するアクリル系共重合体の粒径を容易
に制御することができる。さらに、シードモノマー及び
滴下する乳化モノマーの種類及び組成を順次、変更、区
別することにより、コアシェルなどの多層構造を形成す
ることも可能である。
【0036】上記したような重合方法において、反応終
了後に得られるアクリル系共重合体分散液中の固形分量
は、アクリル系共重合体の生産性、重合反応の安定性の
点から10〜60重量%が好ましい。
【0037】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体
(B)の製造方法においては、上記アクリル系共重合体
1〜50重量%と塩化ビニル系モノマー50〜99重量
%とをグラフト重合させる
【0038】上記塩化ビニル系モノマーとしては、前記
樹脂付着無機物(A)にグラフトされたものと同様のも
のが用いられる。上記塩化ビニル系グラフト共重合体
(B)中のアクリル系共重合体粒子の平均粒子径は0.
01〜1μmが好ましい。平均粒子径が0.01μmよ
り小さくなると微粒子を多数含むことになり成形時の金
型付着、外観不良の原因となり、また平均粒子径が1μ
mを越えると耐衝撃性、機械的強度がともに低下する。
【0039】上記塩化ビニル系グラフト共重合体(B)
中のアクリル系共重合体の量が1重量%未満の場合、塩
化ビニル系グラフト共重合体の耐衝撃性が十分でなく、
50重量%を越えると、塩化ビニル系グラフト共重合体
(B)の曲げ強度や引張強度等の機械的強度が低くなる
ため上記範囲に限定される。上記アクリル系共重合体の
好ましい配合量は、4〜20重量%である。
【0040】上記塩化ビニル系グラフト共重合体(B)
中のポリ塩化ビニルの重合度は、300〜2000が好
ましく、400〜1600がより好ましい。重合度が3
00未満であったり、2000を越えると、塩化ビニル
系グラフト共重合体(B)を用いたポリ塩化ビニル系樹
脂組成物を成形する際の成形性が悪くなることがある。
尚、上記重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロ
フラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除
去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試
料として、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験
方法」に準拠して測定した重合度を意味する。
【0041】上記アクリル系共重合体に、塩化ビニル系
モノマーをグラフト共重合させる方法としては、特に限
定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合
法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中では、懸濁
重合法が好ましい。
【0042】上記懸濁重合法により重合を行う際には、
分散剤、重合開始剤等を用いてもよい。
【0043】上記分散剤としては、特に限定はされない
が、上記アクリル系共重合体の分散安定性を向上させ、
塩化ビニル系モノマーのグラフト重合を効率的に行う目
的で添加される。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、
(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合
体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、
ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリ
ビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレ
ン共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種類以
上組み合わせて用いることができる。
【0044】上記重合開始剤としては、特に限定されな
いが、ラジカル重合開始剤がグラフト共重合に有利であ
るという理由から好適に用いられる。例えば、ラウロイ
ルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチル
パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート
等の有機パーオキサイド類、2、2−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2、2−アゾビス−2、4−ジメチルバレロ
ニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0045】塩化ビニル系モノマーをグラフト共重合さ
せる際に、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少
させる目的で、上記アクリル系共重合体の分散溶液に、
凝集剤を添加しても良い。更に、必要に応じて、pH調
整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0046】上記懸濁重合法としては、例えば、以下の
方法を用いることができる。すなわち、温度調整機、及
び、撹拌機を備えた反応容器に、純水、上記アクリル系
共重合体分散溶液、分散剤、重合開始剤、及び、必要に
応じて水溶性増粘剤、重合度調節剤を投入する。その
後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条
件下で塩化ビニル系モノマーを投入した後、反応容器内
をジャケットにより加熱し、塩化ビニル系モノマーのグ
ラフト共重合を行う。このとき、重合温度は30〜90
℃、重合時間2〜20時間が好ましい。
【0047】上記した懸濁重合法では、ジャケット温度
を変えることにより反応容器内の温度、つまり重合温度
を制御することが可能である。反応終了後は、未反応の
塩化ビニル等を除去しスラリー状にし、更に脱水乾燥す
ることにより塩化ビニル系グラフト共重合体(B)が得
られる。
【0048】上記の製造方法で得られた塩化ビニル系グ
ラフト共重合体(B)は、アクリル系共重合体にポリ塩
化ビニルの一部が直接結合しているので、耐衝撃性に優
れるとともに機械的強度にも優れる。
【0049】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、
上記樹脂付着無機物(A)と上記塩化ビニル系共重合体
(B)からなり、その比率は特に限定されず要求される
性能に応じて適宜決定されるが、好ましくは塩化ビニル
系共重合体(B)100重量部に対し、樹脂付着無機物
(A)又は樹脂付着無機物(A1)1〜100重量部で
ある。上記樹脂付着無機物(A)と上記塩化ビニル系共
重合体(B)を混合する方法としては特に限定されず、
スラリー状態で混合した後に乾燥しても良いし、それぞ
れを乾燥させた後に混合しても良いが、上記樹脂組成物
は成型品として使用されるので、個別に粉体とした後に
他の添加剤と共に混合されるのが一般的である。
【0050】上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いた
成形品もまた本発明の1つである。上記塩化ビニル系樹
脂組成物を成形することにより、本発明の成形品を得る
場合には、必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、
加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、充填剤等を添
加してもよい。
【0051】上記熱安定剤としては、特に限定されず、
例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプ
ト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジ
ブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジ
オクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、
ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステ
アリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の
鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜
鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0052】上記安定化助剤としては、特に限定され
ず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油
エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブ
タジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】上記滑剤としては、特に限定されず、例え
ば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエ
チレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコー
ル、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】上記加工助剤としては、特に限定されず、
例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルア
クリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるア
クリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブ
チルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2
−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート
/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】上記酸化防止剤としては、特に限定され
ず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0056】上記光安定剤としては、特に限定されず、
例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線
吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0057】上記顔料としては、特に限定されず、例え
ば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ
系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫
化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0058】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】また、上記成形品を得る場合には、成形時
の加工性を向上させる目的で、上記塩化ビニル系グラフ
ト共重合体に可塑剤を添加してもよい。上記可塑剤とし
ては特に限定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジ
−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルアジペート等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】上記した各種配合剤や可塑剤を、上記塩化
ビニル系グラフト共重合体に混合する方法としては、特
に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コ
ールドブレンドによる方法等が挙げられる。また、上記
塩化ビニル系グラフト共重合体の成形方法としては、特
に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレ
ンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
下記の例に限定されるものではない。表1に示した配合
組成に基づいて下記の手順で樹脂付着無機物(A)を、
表2に示した配合組成で樹脂付着無機物(A1)を、表
3に示した組成でアクリル系共重合体及び塩化ビニル系
グラフト共重合体(B)作製し、表4、5の配合組成に
基づいて各種ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を作製した。
【0062】〔樹脂付着無機物(A)の作製〕表1に示
した所定量のモノマーとイオン交換水(無機物とモノマ
ーとの合計量に対して50重量%、全使用量の20重量
%)、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム(無機物とモノマーの重量和に対し3.0重量%)
を混合、攪拌し乳化モノマー液を調製した。一方、重合
器に残りのイオン交換水(無機物とモノマーの重量和に
対し200重量%)と所定量の無機物を入れ、攪拌を開
始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなっ
た後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素
雰囲気とした後重合槽を80℃まで昇温した。重合槽に
過硫酸アンモニウム(モノマーの重量に対して0.5重
量%)を添加した後、上記乳化モノマー液を重合槽に滴
下し重合を開始した。モノマー滴下は90分かけて行
い、その後1時間熟成を行った後、重合槽を室温まで冷
却した。固形分濃度約30重量%、平均粒径約10μm
の樹脂付着無機物(A)M1、M2、M3を含むスラリ
ーを得た。
【0063】〔樹脂付着無機物(A1)の作製〕内容積
20リットルでジャケットを備えたステンレス製重合器
を脱気した後、脱イオン水9.5kg、部分ケン化ポリ
酢酸ビニル(ケン化度72モル%、平均重合度800)
4.2g、ヒドロキシポロピルメチルセルロース1g、
表2に示した樹脂付着無機物(A)を含むスラリーの所
定量、塩化ビニルモノマー7.2kg、重合開始剤(ジ
−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート)2g
を仕込んだ。重合器内温を57℃に昇温して、重合反応
を開始させた。その後、重合器の圧力が0.2MPa低
下した時点で未反応塩化ビニルモノマーを回収した後に
脱水、乾燥して、樹脂付着無機物(A1)、N1、N2
を得た。
【0064】〔アクリル系共重合体の製造〕表3に示し
た、コア層、及びシェル層を形成するためのモノマー
(以下、それぞれをコア層形成用モノマー、シェル層形
成用モノマーという)をそれぞれ、所定量の純水(モノ
マー100重量部に対し60重量部)、多官能性モノマ
ー、及び、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
アンモニウムサルフェート(乳化分散剤)と混合、撹拌
し、それぞれの乳化モノマーを調製した。次に撹拌機及
び還流冷却器を備えた反応器に、純水(全モノマー10
0重量部に対し160重量部)を入れ、容器内の酸素を
窒素により置換した後、撹拌下で反応温度を70℃まで
昇温した。昇温終了後、反応器に開始剤(過硫酸アンモ
ニウム)、及び、コア層形成用モノマーの50%を一括
して投入し、重合を開始した。続いて、コア層形成用モ
ノマーの残りを滴下した。更に、コア層形成用モノマー
の滴下が終了次第、シェル層形成用モノマーを順次滴下
した。全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了し、そ
の後、1時間の熟成期間をおいた後、重合を終了して固
形分濃度約30重量%、粒子径0.1μmのアクリル系
共重合体ラテックスを得た。
【0065】〔塩化ビニル系グラフト共重合体(B)の
作製〕表3の配合組成に基づいて、撹拌機及びジャケッ
トを備えた重合器に、純水170重量部、アクリル系共
重合体ラテックス(固形分換算)、部分けん化ポリビニ
ルアルコール(クラレ社製、クラレポバールL−8)の
3%水溶液5重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース(信越化学社製、メトローズ60SH50)の3%
水溶液2.5重量部、t−ブチルパーオキシピバレート
0.03重量部、硫酸アルミニウムをアクリル系共重合
体アルミニウムイオンが3000ppmとなるよう一括
投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出
し、更に攪拌条件下で塩化ビニル100重量部を投入し
た。その後、ジャケット温度の制御により重合温度5
7.5℃にてグラフト重合を開始した。
【0066】重合器内の圧力が0.72MPaの圧力ま
で低下したところで塩化ビニルモノマーの重合率が80
%になるので反応終了を確認し、消泡剤(東レ社製、東
レシリコンSH5510)を加圧添加した後に反応を停
止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去
し、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂を得
た。塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルの重合度は約10
00であった。
【0067】〔塩化ビニル系樹脂組成物の作成〕 (実施例1〜7、比較例1〜6)表4、5の配合組成に
基づき、塩化ビニル系樹脂100重量部、所定量の樹脂
付着無機物、有機錫系安定剤(商品名:ONZ−7F、
三共有機合成社製)を1.0部、滑剤(商品名:WAX
−OP、ヘキストジャパン)0.5部を、スーパーミキ
サー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビ
ニル系樹脂組成物を得た。
【0068】〔評価〕得られた塩化ビニル系樹脂組成物
について下記の評価を行った。結果を表4、5に示し
た。 (成型サンプルの製作)得られた塩化ビニル系樹脂組成
物を190℃で3分間ロール混練した後、200℃で3
分間プレスし、厚さ3mmの平板状成型サンプル作製。
【0069】(無機物量の測定)上記成型サンプルをる
つぼ中にて強熱し、1000℃下で有機分を完全に焼却
後、残った灰分より、各成型サンプル中の無機物量を算
出した。 (引張試験)上記成型サンプルを用い、プラスチックの
引張試験方法(JIS K 7113)に則り、1号形
試験片で引張降伏強さを測定した。測定温度は23℃で
ある。 (ビカット軟化温度)上記成型品サンプルを用い、プラ
スチックの方法(JIS K 7206)に則り、10
N加重、昇温速度10℃/hrにて測定した。 (線膨張率)上記成型品サンプルを用い、プラスチック
の線膨張試験方法(JIS K 7197)に則り、線
膨張率を測定した。測定温度は23℃〜70℃であり、
昇温速度は5℃/minである。 (耐衝撃性)上記成型サンプルを用い、硬質プラスチッ
クのシャルピー衝撃試験方法(JIS K 7111)
に準拠し、エッジワイズ衝撃試験片でシャルピー衝撃強
度を測定した。測定温度は23℃である。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【発明の効果】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物
は、無機物の周囲に、ラジカル重合によって得られる熱
可塑性樹脂を主成分とする樹脂が担持されてなる樹脂付
着無機物(A)と特定のアクリル系共重合体に塩化ビニ
ル系モノマーをグラフト重合させた塩化ビニル系グラフ
ト共重合体(B)とからなっているので、機械的強度、
耐熱性に加えて、優れた耐衝撃性を有する塩化ビニル系
樹脂組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BN111 BN192 BN211 4J011 AA05 BA04 DA01 KA02 KA10 KA20 KB29 PA03 PA07 PA13 PA69 PB19 PB22 PC02 PC06 4J026 AA45 AA46 AC00 AC09 AC15 AC31 BA10 BB01 DA04 DA07 DA13 DB03 DB08 DB12 DB15 GA01 GA09 GA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物の周囲に、ラジカル重合によって
    得られる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂が担持されて
    なる樹脂付着無機物(A)と、単独重合体のガラス転移
    温度が−140℃以上0℃未満である少なくとも1種類
    の(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性
    モノマー100重量部と多官能性モノマー0.1〜10
    重量部とからなるアクリル系共重合体1〜50重量%
    に、塩化ビニル系モノマーを50〜99重量%グラフト
    共重合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体
    (B)からなることを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記樹脂付着無機物(A)が、前記グラ
    フト共重合体(B)とは別系内で塩化ビニル系モノマー
    によりグラフト共重合されてなることを特徴とするポリ
    塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記樹脂付着無機物に用いる熱可塑性樹
    脂が、ポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記塩化ビニル系グラフト共重合体
    (B)100重量部に対し、樹脂付着無機物(A)が1
    〜100重量部であることを特徴とする請求項1、2又
    は3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記樹脂付着無機物(A)が、無機物1
    〜75重量%が膨潤もしくは懸濁している水中にて、ラ
    ジカル重合性モノマー25〜99重量%を乳化重合して
    なることを特徴とする請求項1、2、3,又は4のいず
    れかに記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003306589A (ja) * 2002-04-12 2003-10-31 Sekisui Chem Co Ltd ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
JP2007510790A (ja) * 2003-11-14 2007-04-26 エルジー・ケム・リミテッド 耐衝撃性に優れる塩化ビニル系ナノ複合体樹脂組成物及びその製造方法
US7479512B2 (en) 2002-03-06 2009-01-20 Canon Kabushiki Kaisha Dispersion composition containing functional substance, method of forming image and image forming apparatus

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