JPH08295784A - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH08295784A
JPH08295784A JP10377495A JP10377495A JPH08295784A JP H08295784 A JPH08295784 A JP H08295784A JP 10377495 A JP10377495 A JP 10377495A JP 10377495 A JP10377495 A JP 10377495A JP H08295784 A JPH08295784 A JP H08295784A
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忠 新子
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博志 加計
Shingo Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 艶消性、耐衝撃性及び引張強度に優れた成形
体が得られる塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。 【構成】 単独重合体の二次転移点が−20℃以下であ
るアルキル(メタ)アクリレート(a)と単独重合体の
二次転移点が−20℃より高い共重合性モノマー(b)
との混合物及び多官能性モノマーからなるアクリル系共
重合体3〜30重量%に対して、塩化ビニルを97〜7
0重量%の割合でグラフト共重合して得られる塩化ビニ
ルグラフト共重合体ならびに部分架橋された塩化ビニル
系樹脂からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、艶消性、耐衝撃性及び
耐候性に優れた新規な塩化ビニル系樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、建物用品、車両用部品、オーディ
オ、通信機器及びOA機器ようハウジング等に使用され
る塩化ビニル系樹脂成形品において、光沢を消した艶消
成形品が高級感を与え、手触りがよいことから好まれる
ようになってきた。このような市場の要望に対して、種
々の艶消し技術が開発されており、例えば、炭酸カル
シウム、タルク等の無機充填剤を大量に充填する方法、
アクリル塗料で塗装する方法、プレスやロールによ
りエンボス加工を施す方法等が挙げられる。
【0003】しかしながら、上記の方法では、耐衝撃
性及び加工性が低下し、上記の方法では、塗装工程が
増えるためコストアップにつながり、上記の方法で
は、エンボス金型等の設備を必要とし、さらに、加工中
にエンボス部に樹脂が詰まるため、艶斑を生じる等の欠
点があった。
【0004】上記欠点を改良する方法として、部分架
橋された塩化ビニル系樹脂を通常の塩化ビニル系樹脂に
添加する方法(特開昭54−80854号公報)及びそ
の改良方法(特公平1−23494号公報)、特定の
粒径を有し部分架橋されたアクリルスチレン系樹脂を塩
化ビニル系樹脂に添加する方法(特公昭61−3234
6号公報)等が開示されている。
【0005】しかしながら、及びの方法において、
部分架橋された塩化ビニル系樹脂や部分架橋されたアク
リルスチレン系樹脂を添加しない場合に比べて、艶消
性、耐衝撃性の改善はみられるものの、十分な艶消効果
を発現させようとすると添加量を多くする必要があり、
その結果耐衝撃性が低下するという問題点があった。
【0006】このような耐衝撃性の低下を改善するため
に、強化剤としてメタクリル酸メチル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(以下、MBSという)や、アクリルゴ
ム系の強化剤を添加する方法が用いられてきたが、十分
な耐衝撃性を発現しようとすると添加量が多くなり、そ
の結果成形体の引張強度が大幅に低下するという問題点
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた艶消性
能を有すると共に、耐衝撃性及び引張強度に優れた成形
体の得られる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂組成物は、(a)単独重合体の二次転移点が−20℃
以下であるアルキル(メタ)アクリレートと(b)単独
重合体の二次転移点が−20℃を超える共重合性モノマ
ーとの混合物及び多官能性モノマーからなるアクリル系
共重合体に対して、塩化ビニルをグラフト共重合して得
られる塩化ビニルグラフト共重合体ならびに部分架橋さ
れた塩化ビニル系樹脂からなることを特徴とし、そのこ
とにより上記目的が達成される。
【0009】上記アクリル系共重合体は、アルキル(メ
タ)アクリレート(a)と共重合性モノマー(b)との
混合物及び多官能性モノマーからなる。
【0010】上記アルキル(メタ)アクリレート(a)
としては、その単独重合体の二次転移点が−20℃以下
であれば特に制限はなく、このようなアルキル(メタ)
アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、
n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルメタク
リレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメ
タクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸
等が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上
が併用されてもよい。
【0011】上記共重合性モノマー(b)としては、上
記アルキル(メタ)アクリレート(a)と共重合可能で
あって二次転移点が−20℃を超えるモノマーであり、
例えば、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、n−テトラデシルアクリ
レート、n−ヘキサデシルアクリレート、ラウリルアク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−ヘキシルメタク
リレート、n−テトラデシルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸
等のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニト
リル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエ
ステル類などが挙げられ、これらは単独で用いられて
も、2種以上が併用されてもよい。
【0012】上記アルキル(メタ)アクリレート(a)
と共重合性モノマー(b)との混合物中、共重合性モノ
マー(b)の量が多くなると、後述の塩化ビニルグラフ
ト共重合体の衝撃強度が低下するので、20重量%以下
に限定され、共重合性モノマー(b)は混合されなくて
もよい。
【0013】上記多官能性モノマーは、アクリル系共重
合体を架橋するために用いられるものであり、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート等の2官能性モノマー;トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオ
キサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ
ート等の3官能性モノマー;ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サ(メタ)アクリレート等の5官能性以上のモノマー;
ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマ
レート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌ
レート等の(ジ)トリアリル化合物類;ジビニルベンゼ
ン、ブタジエン等のジビニル化合物などがが挙げられ
る。
【0014】上記アクリル系共重合体中、上記多官能性
モノマーの添加量は、少なくなると架橋密度が低下して
衝撃強度が低下し、多くなると架橋密度が高くなって耐
衝撃性が低下するので、上記アルキル(メタ)アクリレ
ート(a)と共重合性モノマー(b)との混合物100
重量部に対して、0.1〜30重量部に限定され、好ま
しく、0.1〜10重量部である。
【0015】本発明において、架橋されたアクリル系共
重合体を得る方法としては、特に限定されず、例えば、
乳化重合法、懸濁重合法等がげられるが、耐衝撃強度の
発現性の点から乳化重合法が好ましい。この際、一般に
用いられている分散乳化剤、重合開始剤、pH調整剤、
酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0016】上記分散乳化剤としては、例えば、アニオ
ン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポ
リビニルアルコール、セルロース系分散剤、ゼラチン等
が挙げられ、上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶
性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
【0017】上記アクリル系共重合体を乳化重合法によ
って得る場合は、その重合方法は、特に限定されず、例
えば、(1)ジャケット付重合反応器内に純水、分散乳
化剤及び水溶性重合開始剤を入れ、窒素気流加圧下でア
ルキル(メタ)アクリレート(a)、共重合性モノマー
(b)及び多官能性モノマーを加えて乳化後、反応器内
をジャケットで昇温し反応を開始させる一括重合法、
(2)ジャケット付重合反応器内に純水、分散乳化剤及
び水溶性重合開始剤を入れ、窒素気流加圧下でアルキル
(メタ)アクリレート(a)、共重合性モノマー(b)
及び多官能性モノマーを滴下して反応を開始させるモノ
マー滴下法、(3)ジャケット付重合反応器内に純水及
び水溶性重合開始剤を入れ、次いで、アルキル(メタ)
アクリレート(a)、共重合性モノマー(b)、多官能
性モノマー及び分散乳化剤を高速攪拌で乳化した乳化液
を滴下するエマルジョン滴下法などが挙げられる。
【0018】上記重合方法で得られるアクリル系共重合
体の平均粒径は、小さくなると耐衝撃性が発現され難
く、大きくなると曲げ強度、引張強度等の機械的強度が
著しく低下するので、0.05〜3μmが好ましい。
【0019】本発明において、塩化ビニルグラフト共重
合体は、上記アクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフ
ト共重合することにより得られる。上記グラフト共重合
の方法は、特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁
重合法、溶液重合法等が挙げられるが、特に、製造上か
ら懸濁重合法が好ましい。
【0020】上記アクリル系共重合体に塩化ビニルをグ
ラフト共重合させた塩化ビニルグラフト共重合体を懸濁
重合法によって得る場合は、ジャケット付重合反応器内
に純水、重合開始剤、上記アクリル系共重合体(ラテッ
クス)及び懸濁安定剤(分散剤)、必要に応じて重合度
調節剤を入れ、反応器内を密封して系内の空気を排除し
た後、反応器内を攪拌しながら塩化ビニルモノマー、さ
らに必要に応じて、その他のビニル化合物を加え、反応
器内をジャケットにより加熱してグラフト共重合を開始
させる。
【0021】このグラフト共重合は発熱反応であり、必
要に応じて反応温度を制御する。重合反応終了後、未反
応の塩化ビニル類を系外に除去して、塩化ビニルグラフ
ト共重合体スラリーを得る。このスラリーを常法に従っ
て脱水・乾燥することにより、塩化ビニルグラフト共重
合体が得られる。
【0022】上記グラフト共重合反応は、ラジカル重合
法によるのが好ましく、ラジカル重合法に用いられるラ
ジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキ
シジカーボネート等の有機パーオキサイド類;2,2−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,
4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などの油溶
性重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等
の水溶性重合開始剤が挙げられる。
【0023】上記重合開始剤の使用量は、塩化ビニルモ
ノマーに対して100〜1,000ppmが好ましい。
【0024】上記懸濁安定剤(分散剤)としては、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ポリビニルアルコール及びその部分
ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプ
ン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、
これらは単独で使用されても、二種以上が併用されても
よい。
【0025】上記懸濁安定剤(分散剤)の使用量は、塩
化ビニルモノマーに対して100〜2,000ppmが
好ましい。
【0026】上記塩化ビニルグラフト共重合体におい
て、幹ポリマーとして用いられるアクリル系共重合体の
使用量は、少なくなると耐衝撃性は向上せず、多くなる
と耐衝撃性は向上するが、曲げ強度、引張強度等の低下
が著しくなるので、該アクリル系共重合体と塩化ビニル
モノマーとの合計に対して、3〜30重量%に限定さ
れ、好ましくは5〜15重量%である。
【0027】上記塩化ビニルグラフト共重合体の平均重
合度は、低くなると成形体の破断伸びや耐衝撃性が低下
し、高くなると流動性が悪くなり成形が困難となるの
で、300〜2,000が好ましく、より好ましくは4
00〜1,400である。尚、上記平均重合度は、JI
S K6721に準拠して測定された粘度から換算され
た値である。
【0028】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上記
塩化ビニルグラフト共重合体及び部分架橋された塩化ビ
ニル系樹脂からなる。
【0029】上記部分架橋された塩化ビニル系樹脂と
は、塩化ビニルモノマーと架橋剤との共重合体;塩化ビ
ニルモノマーを主成分として該塩化ビニルモノマーと共
重合可能なモノマーを含む混合物と架橋剤との共重合体
であって、例えば、水性媒体中で乳化重合法又は懸濁重
合法により共重合することにより得られる。
【0030】上記架橋剤としては、例えば、ジアリルフ
タレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルマレー
ト、ジビニルベンゼン等のジアリル化合物;ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクアリレート、1,3−ブチ
レンジ(メタ)アクアリレート等のジ(メタ)アクアリ
レート化合物;トリメチロールプロパントリ (メタ)
アクアリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)ア
クアリレート等のトリ(メタ)アクアリレート化合物等
が挙げられる。
【0031】上記塩化ビニルモノマーと共重合可能なモ
ノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチ
レン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル類;イソブチルビニルエーテ
ル、セチルビニルエーテル、フェニルエーテル等のビニ
ルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニル
メタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ス
チレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;(メ
タ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニ
リデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;マ
レイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル等の不飽和ジカル
ボン酸エステル類;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボ
ン酸無水物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキ
シルマレイミド等のN−置換マレイミド類等の非極性モ
ノマーなどが挙げられ、これらは単独で使用されても、
二種以上が併用されてもよい。
【0032】上記部分架橋された塩化ビニル系樹脂のゲ
ル分率は、小さくなると艶消性能が低下し、大きくなる
と耐衝撃性及び熱安定性が低下するため、0.3〜40
重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%であ
る。
【0033】上記部分架橋された塩化ビニル系樹脂の平
均重合度は、小さくなると耐衝撃性が低下し、大きくな
ると流動性が悪くなり成形が困難となるので、500〜
2,000が好ましく、このような塩化ビニル系樹脂の
市販品としては、例えば、鐘淵化学社製「XEL−
C」、「XEL−D」等が挙げられる。上記部分架橋さ
れた塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K67
21に準拠して測定された非架橋部分の粘度から換算さ
れた値である。
【0034】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物におい
て、部分架橋された塩化ビニル系樹脂の量は、少なくな
ると艶消効果が小さくなり、多くなると耐衝撃性が著し
く低下するので、塩化ビニルグラフト共重合体100重
量部に対して5〜60重量部に限定され、好ましくは1
0〜50重量部である。
【0035】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、さ
らに必要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工
助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、
顔料、難燃剤、低発煙剤等の添加剤が添加されてもよ
い。
【0036】上記熱安定剤としては、例えば、ジブチル
錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メ
ルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポ
リマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレート
ポリマー、ジブチル錫ラウレート等の有機錫系安定剤;
三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜燐酸
鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛等の鉛系
安定剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸バリウム等の有機金属系安定剤;カルシウ
ム−亜鉛系、バリウム−亜鉛系、バリウム−カルシウム
系、バリウム−カドミウム系等の複合安定剤などが挙げ
られる。
【0037】上記安定化助剤としては、例えば、エポキ
シ化大豆油、リン酸エステル等が挙げられ、上記酸化防
止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ブチルヒド
ロキシトルエン等が挙げられ、上記充填剤としては、例
えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられ、上記可塑
剤としては、例えば、フタル酸ジ−n−オクチル、アジ
ピン酸ジ−n−オクチル、トリメリット酸−トリ−2−
エチルヘキシル等が挙げられ、上記顔料としては、例え
ば、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0038】上記滑剤としては、例えば、天然ワック
ス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステ
アリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリルアルコ
ール、ステアリン酸ブチル等が挙げられ、上記難燃剤と
しては、例えば、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0039】上記塩化ビニル系樹脂組成物を調製する方
法としては、従来公知の任意の方法が採用でき、例え
ば、攪拌機を用いて、ホットブレンドしてもよく、コー
ルドブレンドしてもよい。また、成形法としては、押出
成形法、射出成形法、真空成形法、カレンダー成形法、
プレス成形法等が挙げられる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。アクリル系共重合体の調製 攪拌機及び還流冷却器付き反応容器に、蒸留水240重
量部、ラウリルアルコール硫酸エステル塩1重量部、過
硫酸アンモニウム0.1重量部、表1に示した所定量の
n−ブチルアクリレート(表中、n−BAと記す)、メ
チルメタクリレート(表中、MMAと記す)、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート(表中、TMP−Aと
記す)及びエチレングリコールジメタクリレート10重
量部を仕込み、反応容器内を窒素にて置換した後、65
℃に昇温して5時間攪拌しながら反応させ、表1に示す
固形分濃度のアクリル系共重合体ラテックスを得た。
【0041】塩化ビニルグラフト樹脂の調製 表1に示した所定量のアクリル系共重合体ラテックス
(固形分換算)及び純水を、部分ケン化ポリ酢酸ビニル
3重量%水溶液520g、t−ブチルパーオキシネオデ
カノエート0.8g及びα−クミルパーオキシネオデカ
ノエート1gと共に、22リットルの攪拌翼付き重合器
に一括して仕込んだ。次いで、真空ポンプで重合器内の
空気を排除し、塩化ビニルモノマー3100gを加えて
20〜30分間攪拌溶解させた後、64℃で重合を開始
した。重合開始5時間後に重合器内圧が7kg/cm2
に低下した段階で重合を停止した。未反応の塩化ビニル
モノマーを除去した後、得られたスラリーを常法により
脱水乾燥し、表1に示した収量の白色粉末状の塩化ビニ
ルグラフト共重合体〔(I)〜(VIII)〕を得た。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例1〜3、比較例1〜8)表2〜4
に示した所定量の塩化ビニルグラフト共重合体、部分架
橋された塩化ビニル系樹脂(鐘淵化学社製「XEL−
D」)又は部分架橋されたアクリルスチレン系樹脂(三
菱レーヨン社製「F−410」)ならびにオクチル錫メ
ルカプト系安定剤(日東化学社製「TVS#883
1」)2.5重量部、アクリル系加工助剤(三菱レーヨ
ン社製「メタブレンP−501」)1重量部、ステアリ
ン酸系滑剤(川研ファインケミカル社製「メタブレンF
−3」)1.5重量部、ポリエチレンワックス系滑剤
(三井石油化学社製「ハイワックス220mp」)0.
5重量部、ステアリン酸カルシウム系滑剤(堺化学社製
「SC−100」)1重量部及び酸化チタン2重量部を
ヘンシェルミキサーに供給し、攪拌しながら約100℃
まで昇温した。次いで、クーリングミキサーで約30℃
まで冷却して、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
【0044】(比較例9)表4に示した所定量の塩化ビ
ニル樹脂(徳山積水社製「TS−800E」)、部分架
橋された塩化ビニル系樹脂(鐘淵化学社製「XEL−
D」)及び及びMBS樹脂(呉羽化学社製「BTA−7
31」)ならびに、オクチル錫メルカプト系安定剤(日
東化学社製「TVS#8831」)2.5重量部、アク
リル系加工助剤(三菱レーヨン社製「メタブレンP−5
01」)1重量部、ステアリン酸系滑剤(川研ファイン
ケミカル社製「メタブレンF−3」)1.5重量部、ポ
リエチレンワックス系滑剤(三井石油化学社製「ハイワ
ックス220mp」)0.5重量部、ステアリン酸カル
シウム系滑剤(堺化学社製「SC−100」)1重量部
及び酸化チタン2重量部をヘンシェルミキサーに供給
し、攪拌しながら約100℃まで昇温した。次いで、ク
ーリングミキサーで約30℃まで冷却して、塩化ビニル
系樹脂組成物を得た。
【0045】上記塩化ビニル系樹脂組成物を二軸押出機
に供給して、厚さ3mmの板状成形体を得た。この板状
成形体につき、下記の性能評価を行い、その結果を表2
〜4に示した。
【0046】(1)衝撃試験 上記板状成形体を、JIS K7211に準拠して、シ
ャルピー衝撃強度を測定した。 (2)艶消性 グロスメーター(日本電色社製「VG−1D」)を用い
て、上記板状成形体の60度入射光に対する光沢度を測
定した。 (3)引張試験 上記板状成形体を、JIS K7113に準拠して、引
張強度を測定した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の構成
は、上述の通りであり、艶消性に優れているばかりでな
く、耐衝撃性、引張強度に優れ、高級感があり、手触り
のよい成形体を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)単独重合体の二次転移点が−20℃
    以下であるアルキル(メタ)アクリレート80〜100
    重量%と(b)単独重合体の二次転移点が−20℃を超
    える共重合性モノマー20〜0重量%との混合物100
    重量部及び多官能性モノマー0.1〜30重量部からな
    るアクリル系共重合体3〜30重量%に対して、塩化ビ
    ニルを97〜70重量%の割合でグラフト共重合して得
    られる塩化ビニルグラフト共重合体100重量部ならび
    に部分架橋された塩化ビニル系樹脂5〜60重量部から
    なることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
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