JP3325404B2 - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JP3325404B2
JP3325404B2 JP25353994A JP25353994A JP3325404B2 JP 3325404 B2 JP3325404 B2 JP 3325404B2 JP 25353994 A JP25353994 A JP 25353994A JP 25353994 A JP25353994 A JP 25353994A JP 3325404 B2 JP3325404 B2 JP 3325404B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温での耐衝撃性及び
引張強度に優れた塩化ビニル系樹脂の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂は、機械的強
度、耐候性、耐薬品性等に優れた材料として多くの用途
に用いられているが、耐衝撃性において欠点を有するの
で、種々の改良方法が提案されている。
【0003】特公平3−106956号公報には、架橋
されたアクリル系共重合体を改質剤に用いて、塩化ビニ
ル系樹脂組成物の耐衝撃性、耐候性等を向上させる技術
が開示されている。
【0004】特開昭60−255813号公報には、架
橋されたアクリル系共重合体と塩化ビニルとをグラフト
共重合させることからなる耐衝撃性、耐候性等に優れた
塩化ビニル系樹脂の製造方法が開示されている。
【0005】しかし、これらの方法から得られた塩化ビ
ニル系樹脂は、アクリル酸エステル系ゴムのガラス転移
温度がジエン系ゴムに比べて高いので低温領域での耐衝
撃性が低下しており、弾性回復が遅いので成形後にゴム
粒子の配向が起こりやすく、衝撃強度に異方性が生じる
等の欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、低温での耐衝撃性及び引張強度に優れた塩化ビニル
系樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、塩化ビ
ニル系樹脂を、ホモポリマーのガラス転移温度が−20
℃未満であるアルキル(メタ)アクリレートを主成分と
するアクリル系モノマー100重量部と、不飽和二重結
合及びアルコキシル基を含有するけい素化合物0.1〜
10重量部とを共重合させることにより得られるアクリ
ル系共重合体ラテックス1〜30重量%に、塩化ビニル
99〜70重量%をグラフト共重合させて得るところに
存する。
【0008】上記アクリル系モノマーは、アルキル(メ
タ)アクリレートを主成分とする。上記アルキル(メ
タ)アクリレートとしては、そのホモポリマーのガラス
転移温度が−20℃未満であれば特に限定されず、例え
ば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s
ec−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、n
−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレー
ト、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】上記アルキル(メタ)アクリレートが上記
アクリル系モノマー中に占める割合は、75重量%以上
が好ましい。75重量%未満であると、耐衝撃性が得ら
れにくくなる。
【0010】上記アルキル(メタ)アクリレートには、
これと共重合可能なその他のビニルモノマーを添加でき
る。上記ビニルモノマーとしては、上記アクリル系共重
合ラテックスのガラス転移温度を任意に調節できる点
で、そのホモポリマーのガラス転移温度が−20℃以上
のものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレー
ト、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリルアクリレート、ミリスチル(メタ)ア
クリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステア
リル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリ
レート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ア
クリロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニル
モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等の芳香族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0011】上記ビニルモノマーが上記アクリル系モノ
マー中に占める割合は、25重量%以下が好ましい。2
5重量%を超えると、耐衝撃性が得られにくくなる。
【0012】上記不飽和二重結合及びアルコキシル基を
含有するけい素化合物としては特に限定されず、例え
ば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリブトキシシラン等のビニルシラン;γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシ
ラン等が挙げられる。
【0013】上記不飽和二重結合及びアルコキシル基を
含有するけい素化合物の添加量は、上記アクリル系モノ
マー100重量部に対して0.1〜10重量部である。
0.1重量部未満であると、上記塩化ビニル系樹脂の低
温での耐衝撃性が不足し、10重量部を超えると、架橋
密度の上昇により耐衝撃性が低下するので、上記範囲に
限定される。好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0014】上記アクリル系モノマーと上記不飽和二重
結合及びアルコキシル基を含有するけい素化合物とを乳
化重合法により共重合させて、本発明で使用されるアク
リル系共重合ラテックスを得る。上記不飽和二重結合及
びアルコキシル基を含有するけい素化合物は、シロキサ
ン結合により上記アクリル系共重合ラテックス間に架橋
点を形成する。上記架橋点の形成は、上記アクリル系共
重合ラテックスの合成時に形成されてもよく、上記塩化
ビニルとのグラフト共重合時に形成されてもよい。上記
不飽和二重結合及びアルコキシル基を含有するけい素化
合物は、上記アクリル系共重合ラテックスのガラス転移
温度を低下させ、低温での上記塩化ビニル系樹脂の弾力
性を向上させる。
【0015】上記乳化重合法としては特に限定されず、
モノマー添加方法の違いに応じて、例えば、一括重合
法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が用いられ
る。上記一括重合法では、例えば、ジャケット付重合反
応器に、上記アクリル系モノマー及び上記不飽和二重結
合及びアルコキシル基を含有するけい素化合物からなる
混合モノマー、純水、乳化分散剤、重合開始剤等を一括
して添加し、次いで、ジャケット付重合反応器内を窒素
気流により酸素除去し加圧すると同時に、攪拌により上
記混合モノマーを充分に乳化し、その後、ジャケット付
重合反応器内をジャケットにより加熱して乳化重合を行
う。
【0016】上記モノマー滴下法では、例えば、ジャケ
ット付重合反応器に、純水、乳化分散剤、重合開始剤等
を添加し、次いで、ジャケット付重合反応器内を窒素気
流により酸素除去し加圧すると同時に、ジャケットによ
り加熱し、その後、上記混合モノマーを一定量ずつ滴下
して、徐々に乳化重合を行う。
【0017】上記エマルジョン滴下法では、例えば、上
記混合モノマー、純水、乳化分散剤等を充分に攪拌して
乳化モノマーを予め調製し、次いで、ジャケット付重合
反応器に純水、重合開始剤等を添加し、ジャケット付重
合反応器内を窒素気流により酸素除去し加圧すると同時
に、ジャケットにより加熱し、その後、上記乳化モノマ
ーを一定量ずつ滴下して、徐々に乳化重合を行う。
【0018】上記乳化分散剤としては、上記混合モノマ
ーの乳化液中での分散安定性を向上させ、上記乳化重合
を効率的に進行させるものであれば特に限定されず、例
えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、
部分けん化ポリビニルアルコール、セルロース系分散
剤、ゼラチン等が挙げられる。アニオン系界面活性剤と
しては、第一工業製薬社製ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルサルフェート「ハイテノールN−08」
(商品名)等が挙げられる。
【0019】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素水等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物;ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げら
れる。上記乳化重合にあたっては、必要に応じてpH調
整剤、酸化防止剤等を用いてもよい。
【0020】本発明の塩化ビニル系樹脂は、上記アクリ
ル系共重合ラテックスと塩化ビニルとをグラフト共重合
させて得る。上記アクリル系共重合ラテックスが上記塩
化ビニル系樹脂に占める割合は、1〜30重量%であ
る。1重量%未満であると、充分な耐衝撃性が得られに
くくなり、30重量%を超えると、曲げ強度、引張強度
等の機械的強度が低くなるので、上記範囲に限定され
る。好ましくは、4〜20重量%である。
【0021】上記塩化ビニルが上記塩化ビニル系樹脂に
占める割合は、99〜70重量%である。99重量%を
超えると、充分な耐衝撃性が得られにくくなり、70重
量%未満であると、曲げ強度、引張強度等の機械的強度
が低くなるので、上記範囲に限定される。好ましくは、
80〜96重量%である。
【0022】上記グラフト共重合の方法としては特に限
定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げら
れる。乳化重合法で得られる塩化ビニル系樹脂は、熱安
定性が悪いので、懸濁重合法が好ましい。上記懸濁重合
法では、例えば、攪拌機とジャケットを備えた反応容器
に、上記アクリル系共重合ラテックス、純水、分散剤、
油溶性重合開始剤、重合度調節剤等を入れ、真空ポンプ
で上記反応容器内の空気を排出した後、攪拌条件下で上
記塩化ビニルと必要に応じて上記塩化ビニル以外のビニ
ルモノマーを投入し、その後、上記反応容器内を上記ジ
ャケットにより加熱して上記グラフト共重合を行う。
【0023】上記分散剤としては、上記アクリル系共重
合ラテックスの分散安定性を向上させ上記グラフト共重
合を効率的に進行させるものであれば特に限定されず、
例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、それらの部分けん化
物;ポリビニルアルコール;ゼラチン;ポリビニルピロ
リドン;でんぷん;無水マレイン酸−スチレン共重合体
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0024】上記油溶性重合開始剤としては、上記グラ
フト共重合に有利であるラジカル重合開始剤が好まし
く、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパ
ーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオ
キシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,
2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙
げられる。上記懸濁重合法には、必要に応じてpH調整
剤、酸化防止剤等を用いてもよい。
【0025】上記塩化ビニル系樹脂中のポリ塩化ビニル
の重合度は、300〜2000が好ましい。300未満
であると、成形品が充分な成形性を持ちにくくなる。よ
り好ましくは、400〜1400である。
【0026】本発明の塩化ビニル系樹脂は、成形時に必
要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、
酸化防止剤、光安定剤、充填剤、顔料等を添加して用い
られる。上記熱安定剤としては特に限定されず、例え
ば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジ
オクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル
錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチ
ル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチ
ル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;ステアリン
酸鉛、二塩基性亜りん酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安
定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安
定剤;バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。
【0027】上記安定化助剤としては特に限定されず、
例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油、エ
ポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタ
ジエン、りん酸エステル等が挙げられる。上記滑剤とし
ては特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パ
ラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン
酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙
げられる。
【0028】上記加工助剤としては特に限定されず、例
えば、n−ブチルアクリレートとメチルメタクリレート
との共重合体、2−エチルヘキシルアクリレートとメチ
ルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体
等の重量平均分子量10万〜200万であるアルキルア
クリレートとアルキルメタクリレートとの共重合体であ
るアクリル系加工助剤等が挙げられる。
【0029】上記酸化防止剤としては特に限定されず、
例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光
安定剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エ
ステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、
シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤;ヒンダードア
ミン系等の光安定剤が挙げられる。上記充填剤としては
特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が
挙げられる。上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ
系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫
化物・セレン化物系、フェロシアン化合物系等の無機顔
料等が挙げられる。
【0030】上記塩化ビニル系樹脂には、成形時の加工
性を向上させるために、可塑剤を添加してもよい。上記
可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジブチルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−
エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
【0031】これら添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に混
合する方法としては特に限定されず、例えば、ホットブ
レンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙
げられる。上記塩化ビニル系樹脂の成形方法としては特
に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレ
ンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0032】本発明2は、ホモポリマーのガラス転移温
度が−20℃未満であるアルキル(メタ)アクリレート
を主成分とするアクリル系モノマー100重量部と、多
官能性モノマー0.1〜10重量部と、不飽和二重結合
含有けい素化合物0.1〜10重量部とを共重合させる
ことにより得られるアクリル系共重合体ラテックス1〜
30重量%に、塩化ビニル99〜70重量%をグラフト
共重合させることによる塩化ビニル系樹脂の製造方法で
ある。
【0033】上記多官能性モノマーとしては特に限定さ
れず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メ
タ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
トールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アク
リレート;ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリル
フマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシ
アヌレート等のジ又はトリアリル化合物;ジビニルベン
ゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0034】上記多官能性モノマーの添加量は、上記ア
クリル系モノマー100重量部に対して0.1〜10重
量部である。0.1重量部未満であると、上記アクリル
系共重合ラテックスの架橋密度が低下して耐衝撃性が不
足し、10重量部を超えると、上記アクリル系共重合ラ
テックスの架橋密度が上昇して耐衝撃性及び引張強度が
低下するので、上記範囲に限定される。好ましくは、
0.2〜8重量部である。より好ましくは、0.2〜
1.0重量部である。
【0035】上記不飽和二重結合含有けい素化合物とし
ては特に限定されず、本発明1で使用される不飽和二重
結合及びアルコキシル基を含有するけい素化合物のほか
に、例えば、ビニルトリクロルシラン等のビニルシラン
等が挙げられる。
【0036】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0037】実施例1〜5、比較例1〜5 表1に示した配合組成及び重合条件に従い、下記の操作
手順で塩化ビニル系樹脂を得た。 (アクリル系共重合ラテックスの調製)攪拌機及び還流
冷却器を備えた反応容器に、純水、乳化分散剤(第一工
業製薬社製、商品名「ハイテノールN−08」(以下
「AS」という))、過硫酸アンモニウム(以下「AP
S」という)、n−ブチルアクリレート(以下「BA」
という)、不飽和二重結合含有けい素化合物を入れ、容
器内の酸素を窒素により置換した後、攪拌条件下で反応
容器を65℃に昇温し、5時間加熱攪拌することにより
固形分濃度30重量%のアクリル系共重合ラテックス
(以下「ラテックス」という)を得た。
【0038】(塩化ビニル系樹脂の調製)次いで、攪拌
機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、上記ラテ
ックス、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ社
製、商品名「クラムポバールL−8」)の3%水溶液
(以下「3%PVA水溶液」という)、t−ブチルパー
オキシネオデカノエート(以下「BPOND」いう)及
びα−クミルパーオキシネオデカノエート(以下「QP
OND」という)を一括投入し、その後、真空ポンプで
重合器内の空気を排出し、更に攪拌条件下で塩化ビニル
を投入した後、30分間攪拌することにより塩化ビニル
を均一に混合し、ジャケット温度の制御により重合温度
をコントロールして重合を開始した。反応容器内の圧力
が所定の圧力まで低下することで反応終了を確認し、反
応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを
除去し、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂
を得た。
【0039】(塩化ビニル系樹脂製テストパネルの作
製)上記で得られた塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、ジオクチル錫メルカプト(三共有機合成社製、商品
名「ONZ−142F」)3重量部、モンタン酸ワック
ス(ヘキストジャパン社製、商品名「WAX−OP」)
0.5重量部を混合し、この混合物を190℃のロール
混練機で3分間混練した後、温度195℃、圧力75k
g/cm2 で6分間プレス成形し、厚さ3mmの塩化ビ
ニル系樹脂製テストパネルを得た。
【0040】評価項目及び評価法を以下に示した。 (耐衝撃性)JIS K 7110に準拠し、0℃、2
3℃でのIZOD衝撃試験を行った結果を表1、表2に
示した。単位は、kg・cm/cm2 である。 (引張応力試験)JIS K 7113に準拠し、23
℃での引張応力試験を行った結果を表1に示した。単位
は、kg/cm2 である。
【0041】表1中「A」は、ビニルトリエトキシシラ
ンを表し、「B」は、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランを表し、「C」は、ビニルトリス(β−
メトキシエトキシ)シランを表す。
【0042】実施例6〜11、比較例6〜11 表2に示した配合組成及び重合条件に従い、下記の操作
手順で各塩化ビニル系樹脂を得た。 (アクリル系共重合ラテックスの調製)攪拌機及び還流
冷却器を備えた反応容器に、純水、AS、APS、B
A、トリメチロールプロパントリアクリレート(以下
「TMPTA」という)、不飽和二重結合及びアルコキ
シル基を含有するけい素化合物を入れ、容器内の酸素を
窒素により置換した後、攪拌条件下で反応容器を65℃
に昇温し、5時間加熱攪拌することにより固形分濃度3
0重量%のラテックスを得た。
【0043】塩化ビニル系樹脂の調製、塩化ビニル系樹
脂製テストパネルの作製、IZOD衝撃試験、引張応力
試験は、実施例1と同様にして行った。結果を表2に示
した。
【0044】表2中「A」は、ビニルトリエトキシシラ
ンを表し、「B」は、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランを表し、「C」は、ビニルトリス(β−
メトキシエトキシ)シランを表す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法は
上述の構成よりなるので、本発明による塩化ビニル系樹
脂は、従来のアクリル酸エステル系ゴムに比べてガラス
転移温度が低く、弾性回復が早く、低温領域での耐衝撃
性及び引張強度に優れており、低温下で高い耐衝撃性が
要求される樹脂サッシ、防音壁、外壁等の屋外用途に好
適に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−255813(JP,A) 特開 平3−119066(JP,A) 特開 平4−108814(JP,A) 特開 平4−363373(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 265/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホモポリマーのガラス転移温度が−20
    ℃未満であるアルキル(メタ)アクリレートを主成分と
    するアクリル系モノマー100重量部と、不飽和二重結
    合及びアルコキシル基を含有するけい素化合物0.1〜
    10重量部とを共重合させることにより得られるアクリ
    ル系共重合体ラテックス1〜30重量%に、塩化ビニル
    99〜70重量%をグラフト共重合させることを特徴と
    する塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ホモポリマーのガラス転移温度が−20
    ℃未満であるアルキル(メタ)アクリレートを主成分と
    するアクリル系モノマー100重量部と、多官能性モノ
    マー0.1〜10重量部と、不飽和二重結合含有けい素
    化合物0.1〜10重量部とを共重合させることにより
    得られるアクリル系共重合体ラテックス1〜30重量%
    に、塩化ビニル99〜70重量%をグラフト共重合させ
    ることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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