JP2000086720A - 塩化ビニル系樹脂 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂

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JP2000086720A
JP2000086720A JP26023898A JP26023898A JP2000086720A JP 2000086720 A JP2000086720 A JP 2000086720A JP 26023898 A JP26023898 A JP 26023898A JP 26023898 A JP26023898 A JP 26023898A JP 2000086720 A JP2000086720 A JP 2000086720A
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Japan
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vinyl chloride
monomer
acrylate
weight
meth
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JP26023898A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Hatayama
博之 畑山
Takahiro Omura
貴宏 大村
Takuya Toyokawa
卓也 豊川
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐衝撃性及び透明性をバランスよく
向上させた塩化ビニル系樹脂を提供する。 【解決手段】 アルキル(メタ)アクリレート(a)3
0〜95重量%及びラジカル重合性モノマー(b)70
〜5重量%からなる混合モノマーに、多官能性モノマー
(c)を共重合させてなるアクリル系共重合体ラテック
ス1〜30重量%に、塩化ビニル系モノマー99〜70
重量%をグラフト共重合させて得られる塩化ビニル系グ
ラフト共重合体を後塩素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃
性、透明性等に優れた塩化ビニル系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル樹脂は、透明で、機械
的強度、耐候性、耐薬品性等に優れた特性を有する材料
として、パイプ、継手、プレート、シート、フィルム、
容器等の幅広い用途に用いられている。しかしながら、
特に硬質成形体として用いると耐衝撃性に劣るため、種
々の耐衝撃性改良方法が提案されている。
【0003】特に、耐衝撃性や耐候性が要求される用途
には、架橋されたアクリル系共重合体ラテックスに塩化
ビニルをグラフト共重合体させた塩化ビニル系樹脂が提
案されている(特開昭60−255813号公報)。し
かしながら、この塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性が向上
する反面、透明性が低下するという問題点があった。
【0004】また、塩化ビニル樹脂の耐熱変形性を向上
させるために、一般に塩化ビニル樹脂を後塩素化する方
法が知られている。これに対して、アクリル系共重合体
ラテックスに塩化ビニルをグラフト共重合させたものを
後塩素化することにより、透明性を向上させる方法が開
示されている(特開平7−304824号公報)。
【0005】しかしながら、この塩化ビニル系樹脂は、
透明性がある程度向上するものの、グラフト共重合され
たアクリル系共重合体ラテックス及び後塩素化された塩
化ビニル相の両方の屈折率が制御されていないため、耐
熱性、耐衝撃性及び透明性をバランスよく向上させるこ
とが困難であり、より一層の改良が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、アクリル系共
重合体ラテックスの屈折率を制御することにより、耐熱
性、耐衝撃性及び透明性をバランスよく向上させた塩化
ビニル系樹脂を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂は、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上3
0℃未満であるアルキル(メタ)アクリレート(a)3
0〜95重量%及び単独重合体の屈折率が1.56〜
1.75であるラジカル重合性モノマー(b)70〜5
重量%からなる混合モノマー100重量部に、多官能性
モノマー(c)0.1〜30重量部を共重合させてなる
屈折率1.54〜1.57のアクリル系共重合体ラテッ
クス1〜30重量%に、塩化ビニル系モノマー99〜7
0重量%をグラフト共重合させて得られる塩化ビニル系
グラフト共重合体を後塩素化することにより、該塩化ビ
ニル系グラフト共重合体の塩素含有率の増加量が0.5
〜15重量%であることを特徴とする。
【0008】本発明で用いられるアクリル系共重合体ラ
テックスは、アルキル(メタ)アクリレート(a)及び
ラジカル重合性モノマー(b)からなる混合モノマー
に、多官能性モノマー(c)を共重合させることにより
得られる。
【0009】上記アルキル(メタ)アクリレート(a)
は、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を向上させる目的で使
用されるが、室温での柔軟性が要求されるため、単独重
合体のガラス転移温度は30℃未満に制限される。ま
た、従来より工業的に使用されているポリマーのガラス
転移温度を考慮して、単独重合体のガラス転移温度は−
140℃以上に制限される。
【0010】上記アルキル(メタ)アクリレート(a)
としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、クミル
アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n
−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メ
タ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n
−ノニル(メタ)アクリレート、2−メチルオクチル
(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)ヘプチルア
クリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチルメタ
クリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートな
どが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種
以上が併用されてもよい。
【0011】上記単独重合体のガラス転移温度が−14
0℃以上30℃未満であるアルキル(メタ)アクリレー
ト(a)は、高分子学会編「高分子データ・ハンドブッ
ク(基礎編)」(培風館発行)より引用した。以下に述
べる単独重合体のガラス転移温度についても、同様であ
る。
【0012】上記単独重合体の屈折率が1.56〜1.
75であるラジカル重合性モノマー(b)は、上記アク
リル系共重合体ラテックスの屈折率を1.54〜1.5
7に調節するために添加され、例えば、クロロベンジル
メタクリレート等の極性基含有アルキル(メタ)アクリ
レート;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレ
ート等の芳香族アルキル(メタ)アクリレート;メタク
リル酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、塩化
ビニリデン等の極性基含有ビニルモノマー;スチレン、
α−メチルスチレン、o,m,p−メチルスチレン、
o,m,p−プロピルスチレン、o,m,p−クロロス
チレン等の芳香族ビニルモノマーなどが挙げられ、これ
らは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されても
よい。
【0013】上記ラジカル重合性モノマー(b)の屈折
率は、ウイリー・インターサイエンスの「ポリマーハン
ドブック」より引用した。
【0014】上記混合モノマーにおけるアルキル(メ
タ)アクリレート(a)とラジカル重合性モノマー
(b)との混合割合は、アクリル系共重合体の屈折率が
1.54〜1.57の範囲に調節されるように決定され
るが、ラジカル重合性モノマー(b)の割合が、多くな
ると塩化ビニル系樹脂に十分な耐衝撃性を付与すること
ができず、少なくなると塩化ビニル系樹脂の透明性が改
善されないため、アルキル(メタ)アクリレート(a)
30〜95重量%に対してラジカル重合性モノマー
(b)70〜5重量%である。
【0015】上記多官能性モノマー(c)は、アクリル
系共重合体ラテックスを架橋し、塩化ビニル系樹脂の耐
衝撃性を向上させるだけでなく、製造時及び製造後にお
いてアクリル系共重合体ラテックスの粒子同士の合着を
起こし難くする目的で添加され、例えば、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレン
オキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート等のトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0016】また、上記以外の多官能性モノマー(c)
としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレ
ート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、ト
リアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリル化合
物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物
などが挙げられる。
【0017】上記多官能性モノマーは、単独で用いられ
てもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0018】上記アクリル系共重合体ラテックスにおけ
る多官能性モノマー(c)の添加量は、上記混合モノマ
ー100重量部に対して0.1重量部以上30重量部未
満である。添加量が0.1重量部未満では、アクリル系
共重合体ラテックスの粒子が塩化ビニル系グラフト共重
合体の中で、独立した粒子形状を維持できなくなり、耐
衝撃性が低下する。一方、添加量が30重量部以上にな
ると、架橋密度の過多により塩化ビニル系グラフト共重
合体に十分な耐衝撃性を付与することができなくなる。
【0019】本発明において、上記アクリル系共重合体
ラテックスの屈折率が、後塩素化された塩化ビニル系グ
ラフト共重合体の屈折率(1.56〜1.58)とほぼ
等しい1.54〜1.57の範囲に入るように、構成モ
ノマーの比率が決定される。上記アクリル系共重合体ラ
テックスの屈折率が1.54未満であるか又は1.57
を超えると、アクリル系共重合体ラテックスと塩化ビニ
ル系樹脂との界面で光の乱反射が起こって、塩化ビニル
系樹脂のもつ透明性が損なわれる。
【0020】上記アクリル系共重合体ラテックスの屈折
率は、構成モノマーの単独重合体の屈折率と重量分率と
に応じて、次の計算式から算出される。 n(P12.... ) =n(P1) ×W(P1) + n(P2)×W(P2) +・・
・ 上記計算式において、 n(P12.... ) :アクリル系共重合体12・・・の屈折率 n(P1) :単独重合体1の屈折率 W(P1) :アクリル系共重合体12・・・中の単独重合体
1の重量分率 n(P2) :単独重合体2の屈折率 W(P2) :アクリル系共重合体12・・・中の単独重合体
2の重量分率
【0021】尚、上記アルキル(メタ)アクリレート
(a)、ラジカル重合性モノマー(b)及び多官能性モ
ノマー(c)の屈折率は、ウイリー・インターサイエン
スの「ポリマーハンドブック」を引用した。但し、ポリ
(2−エチルヘキシルアクリレート)の屈折率を1.4
63、トリメチロールプロパントリアクリレートの屈折
率を1.48とした。
【0022】上記アクリル系共重合体ラテックスの重合
方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、
乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられるが、耐衝撃性を
発現させる点や、上記共重合体ラテックスの粒径を制御
する点を考慮すると、乳化重合法が好ましい。
【0023】上記乳化重合法において、乳化分散剤及び
重合開始剤が用いられる。上記乳化分散剤は、上記混合
モノマーの乳化液中における分散安定性を向上させ、重
合を効率的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系
界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢
酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が用いられ
る。特に好ましくは、アニオン系界面活性剤であり、例
えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサル
フェート等が挙げられる。
【0024】上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶
性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
【0025】上記乳化重合法において、さらに必要に応
じて、pH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0026】上記乳化重合の方法としては、特に限定さ
れず、例えば、(1)一括重合法、(2)モノマー滴下
法、(3)エマルジョン滴下法等いずれの方法が採用さ
れてもよい。
【0027】(1)一括重合法は、例えば、ジャケット
付重合反応器内に、純水、乳化分散剤、重合開始剤、並
びに、アルキル(メタ)アクリレート(a)、ラジカル
重合性モノマー(b)及び多官能性モノマー(c)の混
合物を一括して添加し、重合反応器内部を窒素気流によ
り酸素除去を行った後加圧条件下で撹拌により十分乳化
して、反応器内をジャケットで所定の温度に昇温し重合
開始剤を加えて重合反応を開始させる方法である。
【0028】(2)モノマー滴下法は、例えば、ジャケ
ット付重合反応器内に、純水、乳化分散剤及び重合開始
剤を入れ、重合反応器内部を窒素気流により酸素除去を
行った後加圧条件下で、まず、重合反応器内をジャケッ
トにより所定の温度に昇温し、上記混合モノマーを一定
量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法である。
【0029】(3)エマルジョン滴下法は、例えば、上
記モノマー混合物、乳化分散剤及び純水を撹拌により十
分乳化することにより予め乳化モノマーを調製し、次い
で、ジャケット付重合反応器内に、純水及び重合開始剤
を入れ、重合反応器内部を窒素気流により酸素除去を行
った後加圧条件下で、まず、重合反応器内をジャケット
により所定の温度に昇温し、上記乳化モノマーを一定量
ずつ滴下することにより重合する方法である。さらに、
エマルジョン滴下法において、重合初期に上記乳化モノ
マーの一部を一括添加(以下、シードモノマーという)
し、次いで、残りの乳化モノマーを滴下する方法を用い
れば、シードモノマーの量を変化させることができるの
で、生成するラテックスの粒径を容易に制御することが
できる。
【0030】上記アクリル系共重合体ラテックス中の固
形分濃度は、特に限定されるものではないが、生産性や
重合反応の安定性を考慮して、10〜60重量%が好ま
しい。
【0031】上記アクリル系共重合体ラテックス粒子の
平均粒径は、大きくなると塩化ビニル系樹脂の透明性が
低下するので、0.3μm以下が好ましく、平均粒径の
下限は特に制限されないが、工業的に製造可能なラテッ
クスの平均粒径を鑑みて0.001μm以上が好まし
く、より好ましくは、0.01〜0.3μmである。
【0032】上記アクリル系共重合体ラテックスには、
該ラテックスの機械的安定性を向上させる目的で、該ラ
テックス重合反応終了後に、必要に応じて、保護コロイ
ド剤が添加されてもよい。
【0033】本発明の塩化ビニル系樹脂は、上記アクリ
ル系共重合体ラテックスに、塩化ビニル系モノマーをグ
ラフト共重合させて得られる塩化ビニル系グラフト共重
合体を、後塩素化することにより得られる。
【0034】上記塩化ビニル系樹脂中に占める上記アク
リル系共重合体ラテックスの割合は、少なくなると耐衝
撃性が十分な成形体が得られ難くなり、多くなると曲げ
強度や引張強度等の機械的強度が低くなるため、1〜3
0重量%となされ、好ましくは4〜20重量%である。
【0035】上記塩化ビニル系モノマーは、塩化ビニル
を主成分とするモノマーをいい、塩化ビニルモノマー単
体;塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能なビニル系
モノマーとの混合物が挙げられる。この混合物中におい
て、塩化ビニルモノマーの占める割合は50重量%以上
が好ましい。
【0036】上記塩化ビニルモノマーと共重合可能なビ
ニル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アルキ
ル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、エ
チレン、フッ化ビニル、マレイミド等が挙げられ、これ
らは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されて
もよい。
【0037】上記グラフト共重合の方法としては、特に
限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重
合法、塊状重合法等が採用可能であり、これらの中で
も、特に懸濁重合法が好ましい。
【0038】上記懸濁重合法には、分散剤や油溶性重合
開始剤が用いられてもよい。上記分散剤は、アクリル系
共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ、塩化ビニ
ル系モノマーのグラフト共重合を効率的に行うために用
いられる。分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アク
リル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレー
ト共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリ
コール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸
−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用
されても、2種以上が併用されてもよい。
【0039】上記油溶性重合開始剤の中でも、ラジカル
重合開始剤がグラフト共重合に有利であることから好ま
しく、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパー
オキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド;2,
2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが
挙げられる。
【0040】上記懸濁重合法では、必要に応じて、pH
調整剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0041】本発明において、塩化ビニル系樹脂を製造
する方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを備
えた重合反応器に、純水、上記アクリル系共重合体ラテ
ックス、分散剤、油溶性重合開始剤、及び、水溶性増粘
剤、必要に応じて、重合度調節剤を投入した後、真空ポ
ンプで重合反応器内の空気を排出し、さらに、撹拌条件
下で塩化ビニル系モノマーを投入した後、ジャケットに
より加熱し、塩化ビニルをグラフト共重合させる方法が
挙げられる。
【0042】上記塩化ビニルのグラフト共重合反応は、
発熱反応のためジャケットにより温度を調節することに
よって、重合反応器内の重合温度を制御することが可能
である。反応終了後、未反応の塩化ビニルを除去してス
ラリー状とし、さらに脱水乾燥することにより、塩化ビ
ニル系樹脂を得る。
【0043】上記塩化ビニル系樹脂において、グラフト
された塩化ビニル重合体部分の重合度は、大きくなって
も小さくなっても、成形性が低下するので、300〜
2,000が好ましく、より好ましくは400〜1,6
00である。
【0044】上記塩化ビニル系グラフト共重合体を後塩
素化する方法としては、例えば、熱塩素化方法及び光塩
素化方法等が挙げられるが、合着の面からは光塩素化方
法が好ましい。また、塩素化する方法としては、気相塩
素化法、溶液塩素化法、懸濁塩素化法等いずれの方法を
使用してもよい。
【0045】上記後塩素化に伴う塩化ビニル系グラフト
共重合体の塩素含有率の増加量は、0.5〜15重量%
となされる。増加量が、0.5重量%未満では透明性が
低下し、15重量%を超えると耐衝撃性が低下する。
【0046】上記塩化ビニル系樹脂を成形する場合は、
必要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助
剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、顔料等が添加され
てもよい。
【0047】上記熱安定剤としては、例えば、ジメチル
錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メ
ルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポ
リマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレート
ポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレー
トポリマー等の有機錫系安定剤;ステアリン酸鉛、二塩
基性亜燐酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシ
ウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安定剤;バリウ
ム−カドミウム系安定剤などが挙げられる。
【0048】上記熱安定化助剤としては、例えば、エポ
キシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化テトラ
ヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸
エステル等が挙げられる。上記滑剤としては、例えば、
モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレ
ンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ス
テアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0049】上記加工助剤としては、例えば、重量平均
分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アル
キルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤
が用いられ、例えば、n−ブチルアクリレート/メチル
メタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレ
ート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共
重合体等が挙げられる。
【0050】上記酸化防止剤としては、例えば、フェノ
ール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光安定剤として
は、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の
紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げ
られる。
【0051】上記充填剤としては、例えば、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。上記顔料
としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン
系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モ
リブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物
系等の無機顔料などが挙げられる。
【0052】本発明の塩化ビニル系樹脂には、成形時の
加工性を向上させる目的で可塑剤が添加されてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2
−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル
アジペート等が用いられる。
【0053】上記各種添加剤を上記塩化ビニル系グラフ
ト共重合体に混合する方法としては、例えば、ホットド
ブレンド又はコールドブレンドのいずれの方法でもよ
く、成形方法としては、押出成形法、射出成形法、カレ
ンダー成形法、プレス成形法等、いずれの成形方法も使
用可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。 (実施例1〜7、比較例1〜4)アクリル系共重合体の調製 表1〜3に示した所定量の、純水(イオン交換水)、乳
化分散剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
アンモニウムサルフェート)、アルキル(メタ)アクリ
レート及びそれと共重合可能なラジカル重合性モノマ
ー、並びに、多官能性モノマーを混合攪拌して、乳化モ
ノマーを調製した。一方、撹拌機及び還流冷却器を備え
た反応容器に純水を入れ、反応容器内の酸素を窒素によ
り置換した後、撹拌条件下で反応容器を70℃に昇温し
た後、過硫酸アンモニウム(重合開始剤、表中APSで
示す)及び上記乳化モノマーの所定量のをシードモノマ
ーとして一括投入して重合を開始した。次いで、上記乳
化モノマーの残量を反応容器に滴下した。全ての乳化モ
ノマーの滴下を3時間で終了し、さらに1時間の熟成時
間をおいた後冷却して重合を終了し、アクリル共重合体
ラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
【0055】塩化ビニル系樹脂の製造 攪拌機及びジャケットを備えた重合反応容器に、純水
(イオン交換水)、上記アクリル系共重合体ラテック
ス、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの3重量%水溶液、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、及び、α−クミル
パーオキシネオデカノエートを一括投入した後、真空ポ
ンプで重合反応容器内の空気を排出し、さらに、撹拌条
件下で塩化ビニルを投入した後、ジャケット温度の制御
により重合温度57℃で重合を開始した。重合反応容器
の内圧が7kg/cm2 まで低下することによって反応
終了を確認し、冷却して反応を停止した。次いで、未反
応の塩化ビニルを系外に除去した後、得られたスラリー
状の反応生成物を脱水乾燥することにより、塩化ビニル
系グラフト共重合体(塩化ビニル部分の重合度1,00
0)を得た。
【0056】塩化ビニル系樹脂の後塩素化 上記塩化ビニル系グラフト共重合体を撹拌機付きのグラ
スライニングを施した加圧反応容器(容量5リットル)
に全量を仕込み、さらにイオン交換水を入れ、その気相
部から塩素ガスを導入し、反応容器内の塩素ガス圧を常
圧、反応温度を70℃、紫外線光量20Wにて塩素量が
所定の重量%増加するまで塩素化反応を行い、後塩素化
した塩化ビニル系樹脂を得た。
【0057】上記実施例及び比較例で得られた塩化ビニ
ル系樹脂につき、下記項目の測定を行い、その結果を表
1〜3に示した。
【0058】(1)耐衝撃性試験 上記塩化ビニル系樹脂100重量部、有機錫系安定剤
0.5重量部及びモンタン酸系滑剤1重量部を混合し、
得られた樹脂組成物を温度200℃のロール混練機でロ
ール巻付き後3分間混練した後、温度200℃、圧力7
5kg/cm2 で3分間プレス成形して3mm厚の塩化
ビニル系樹脂製プレートを得た。得られたプレートにつ
き、JIS K7111に準拠してシャルピー衝撃試験
を23℃で行い、シャルピー衝撃値を測定した。
【0059】(2)ビカット軟化温度 (1)で得られた塩化ビニル系樹脂製プレートを使用
し、JIS K7206に準拠してビカット軟化温度を
測定した。
【0060】(3)光線透過率 (1)で得られた塩化ビニル系樹脂製プレートを使用
し、JIS K7105に準拠して光線透過率を測定し
た。
【0061】(4)ヘーズ値 (1)で得られた塩化ビニル系樹脂製プレートを使用
し、JIS K7105に準拠してヘーズ値を測定し
た。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂は、上述の通
りであり、アクリル系共重合体ラテックスの屈折率を制
御することにより、耐熱性、耐衝撃性及び透明性がバラ
ンスよく付与されている。従って、この樹脂から得られ
る成形体は、透明性が重要視される建材、屋根材、防音
壁、照明看板、サイディング等幅広い用途に使用可能で
ある。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J026 AA17 AA18 AA21 AA24 AA40 AA43 AA45 AA46 AA47 AA48 AA55 AA61 AA68 AA76 AC31 AC34 AC36 BA02 BA10 BA11 BA16 BA20 BA27 BA38 BB01 BB02 DA03 DA04 DA09 DA12 DA14 DA15 DB02 DB03 DB04 DB05 DB10 DB12 DB15 DB29 DB30 EA02 EA04 EA09 GA01 GA09 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AB08Q AB16R AC04Q AG70R AJ02Q AL03P AL04P AL05P AL08P AL08Q AL09P AL11Q AL62R AL63R AL66R AL67R AL80R AQ20R AS02R BA03R BA07R BA16Q BB01H BB01Q BC04P BC43Q CA05 CA31 EA07 HA21 HB04 JA58 JA67

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単独重合体のガラス転移温度が−140
    ℃以上30℃未満であるアルキル(メタ)アクリレート
    (a)30〜95重量%及び単独重合体の屈折率が1.
    56〜1.75であるラジカル重合性モノマー(b)7
    0〜5重量%からなる混合モノマー100重量部に、多
    官能性モノマー(c)0.1〜30重量部を共重合させ
    てなる屈折率1.54〜1.57のアクリル系共重合体
    ラテックス1〜30重量%に、塩化ビニル系モノマー9
    9〜70重量%をグラフト共重合させて得られる塩化ビ
    ニル系グラフト共重合体を後塩素化することにより、該
    塩化ビニル系グラフト共重合体の塩素含有率の増加量が
    0.5〜15重量%であることを特徴とする塩化ビニル
    系樹脂。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014511782A (ja) * 2011-03-25 2014-05-19 レノリット クラムリントン リミテッド フレキシブル積層フィルム

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