JP2000063443A - 塩化ビニル系グラフト共重合体 - Google Patents

塩化ビニル系グラフト共重合体

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JP2000063443A
JP2000063443A JP23588998A JP23588998A JP2000063443A JP 2000063443 A JP2000063443 A JP 2000063443A JP 23588998 A JP23588998 A JP 23588998A JP 23588998 A JP23588998 A JP 23588998A JP 2000063443 A JP2000063443 A JP 2000063443A
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vinyl chloride
weight
copolymer
monomer
acrylate
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JP23588998A
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English (en)
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Takuya Toyokawa
卓也 豊川
Takahiro Omura
貴宏 大村
Hiroyuki Hatayama
博之 畑山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性と耐熱性と耐衝撃性とがバランスよく
付与された成形品が得られる塩化ビニル系グラフト共重
合体を提供する。 【解決手段】 単独重合体のガラス転移温度が−140
以上30℃未満である(メタ)アクリレート(a)30
〜95重量%と、単独重合体の屈折率が1.51以上で
あるラジカル重合性モノマー(b)5〜70重量%との
混合物100重量部、及び、多官能性モノマー(c)
0.1〜30重量部からなるモノマー混合物を共重合さ
せることにより得られるアクリル系共重合体ラテックス
であって、平均粒子径0.001〜0.2μmである前
記アクリル系共重合体ラテックス(A)に、塩化ビニル
及びN−置換マレイミドがグラフト共重合されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐熱性、
及び耐衝撃性に優れた塩化ビニル系グラフト共重合体に
関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候
性、耐薬品性等に優れた特性を有する材料として、配管
材料、建築材料等の多くの分野で広く利用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂からなる成形品は、硬質用に
用いた場合に耐衝撃性に劣るという欠点を有しているた
め、従来から種々の改良方法が提案されている。
【0003】特開昭60−255813号公報には、耐
衝撃性や耐候性を必要とする用途に好適なものとして、
アクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させ
た塩化ビニル系樹脂が開示されている。しかしながら、
このものは、ゴム成分添加量の増加に伴って得られる成
形品の耐衝撃性は向上するが、その反面、透明性、引張
強度や曲げ弾性等の機械的強度が低下していく傾向があ
った。
【0004】特開昭61−195106号公報には、透
明性や曲げ弾性等を向上する狙いで、アクリル系共重合
体にスチレンの共重合が試みられているが、この方法で
は特定のモノマーのみ使用され、製品の用途や製造設備
の仕様が限定されるばかりでなく、アクリル系共重合体
の屈折率、粒子径によっては、透明性の著しい向上を図
ることは難しい。このことに鑑み、我々は特願平9−2
7554号公報、及び特願平9−72301号公報に
て、透明性に優れた塩化ビニル系グラフト共重合樹脂を
提案した。
【0005】また、塩化ビニル樹脂は、一般に軟化点が
低く耐熱性に劣るため、例えば、70〜80℃で軟化し
て熱変形を起こし、それ以上の温度で使用することはで
きなかった。そのため、塩化ビニル樹脂の耐熱性を向上
させる方法として、例えば、特公昭41−9551号公
報には、塩化ビニルにN−フェニルマレイミドのような
N−置換マレイミドを共重合させた耐熱性塩化ビニル系
樹脂の製造方法が開示されている。しかしながら、この
ような製造方法で得られた塩化ビニル系樹脂は、耐熱性
は向上するが、耐衝撃性が低下するという問題点があっ
た。また、耐衝撃性を改善するために、塩化ビニル−N
−置換マレイミド共重合体に、アクリル樹脂、塩素化ポ
リエチレン、MBS樹脂等の耐衝撃性改良剤をブレンド
すると、耐熱性が低下するという問題点があった。この
ことに鑑み、我々は特願平9−355116号公報に
て、耐熱性を付与した塩化ビニル系グラフト共重合樹脂
を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、透明性と耐熱性と耐衝撃性とがバランスよく付与さ
れた成形品が得られる塩化ビニル系グラフト共重合体を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1,2に記載の発
明は(以下第1発明という)は、単独重合体のガラス転
移温度が−140以上30℃未満である(メタ)アクリ
レート(a)30〜95重量%と、単独重合体の屈折率
が1.51以上であるラジカル重合性モノマー(b)5
〜70重量%との混合物100重量部、及び、多官能性
モノマー(c)0.1〜30重量部からなるモノマー混
合物を共重合させることにより得られるアクリル系共重
合体ラテックス(A)であって、平均粒子径0.001
〜0.2μmである前記アクリル系共重合体ラテックス
(A)に、塩化ビニル及びN−置換マレイミドがグラフ
ト共重合されてなることを特徴とする。そしてその重合
割合(%)は請求項2記載の通り、アクリル系共重合体
ラテックス(A)1〜30重量%に、塩化ビニル40〜
95重量%及びN−置換マレイミド4〜30重量%がグ
ラフト共重合してなる。
【0008】第1発明においては、得られるアクリル系
共重合体ラテックス(A)の屈折率を、そのラテックス
にグラフト重合させる塩化ビニル及びN−置換マレイミ
ドの共重合体の屈折率にほぼ等しく調製した。これは、
(メタ)アクリレート共重合体の屈折率がおしなべて、
塩化ビニルポリマーの屈折率である1.52未満である
ため、また塩化ビニルとN−置換マレイミドの共重合体
の屈折率が塩化ビニル単独の屈折率よりも高いため、
(メタ)アクリレート共重合体の混入によって塩化ビニ
ル系樹脂及び塩化ビニルとN−置換マレイミドの共重合
体の透明性が失われていたのが改善されるためである。
【0009】さらに、樹脂の平均粒子径を0.001〜
0.2μmにすることにより、著しい透明性の向上を果
たした。つまり、透明性を向上させる上で、構成モノマ
ーの種類・組み合わせは限定されないが、ラテックスの
屈折率を1.51以上に調整し、樹脂の粒子径を可視光
線の波長の2分の1以下に制御することにより、透明
性、耐衝撃性、及び耐熱性に優れた塩化ビニル系グラフ
ト共重合体を得た。
【0010】請求項3,4に記載の発明は(以下第2発
明という)は、単独重合体の屈折率が1.51以上であ
るラジカル重合性モノマー(b)100重量部と、多官
能性モノマー(c)0.1〜30重量部とを共重合して
なる共重合体5〜70重量%に、単独重合体のガラス転
移温度が−140以上30℃未満である(メタ)アクリ
レート(a)100重量部と、多官能性モノマー(c)
0.1〜30重量部とを30〜95重量%グラフト共重
合させることにより得られるアクリル系共重合体ラテッ
クス(B)であって、平均粒子径0.001〜0.2μ
mである前記アクリル系共重合体ラテックス(B)に、
塩化ビニル及びN−置換マレイミドがグラフト共重合さ
れてなることを特徴とする。そしてその重合割合(%)
は請求項4記載の通り、アクリル系共重合体ラテックス
(B)1〜30重量%に、塩化ビニル40〜95重量%
及びN−置換マレイミド4〜30重量%がグラフト共重
合してなる。
【0011】第2発明においては、単独重合体の屈折率
が1.51以上のモノマーで構成された共重合体をコア
層とし、その外側に単独重合体のガラス転移温度が−1
40以上30℃未満である(メタ)アクリレートで構成
され、常温での柔軟性に優れた共重合体をシェル層と
し、樹脂屈折率1.51以上、かつ平均粒子径0.00
1〜0.2μmのアクリル系共重合体ラテックス(B)
を用いることにより、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を損
なうことなく透明性が向上することを見いだした。すな
わち、コア層を形成する単独重合体の屈折率が1.51
以上のモノマーは、ラテックスの屈折率を調整する目的
で使用され、シェル層のモノマー種類に応じて適当量添
加されて、得られるラテックス樹脂の屈折率を塩化ビニ
ル及びN−置換マレイミドの共重合体の屈折率にほぼ等
しく調製し、透明性を向上させた。これは、(メタ)ア
クリレート共重合体の屈折率がおしなべて、塩化ビニル
ポリマーの屈折率である1.52〜1.55未満である
ため、(メタ)アクリレート共重合体の混入によって塩
化ビニル系樹脂の透明性が失われていたのが改善される
ためである。
【0012】そして、従来のモノマー予備混合による共
重合と異なり、グラフト共重合によって衝撃を吸収する
シェル層と、屈折率を調整するコア層が独立した2層構
造をとっていることにより、耐衝撃性を損なうことなく
透明性を向上させることができた。つまり、従来のアク
リル系共重合体ラテックスのコア層を単独重合体の屈折
率が1.51より大きいポリマーに置き換えることによ
って柔軟性は減少し、塩化ビニル系樹脂としての耐衝撃
性が低下することが予測されるが、意外にも柔軟なシェ
ル層が存在することにより、耐衝撃性な低下が見られな
いことを発見した。また、第1発明と同様の理由によ
り、樹脂の平均粒子径を0.001〜0.2μmにする
ことにより著しい透明性の向上を果たした。
【0013】請求項5,6に記載の発明は(以下第3発
明という)は、単独重合体のガラス転移温度が−140
以上30℃未満である(メタ)アクリレート(a)10
0重量部と、多官能性モノマー(c)0.1〜30重量
部とを共重合してなる共重合体30〜95重量%に、単
独重合体の屈折率が1.51以上であるラジカル重合性
モノマー(b)100重量部と、多官能性モノマー
(c)0.1〜30重量部とを5〜70重量%グラフト
共重合させることにより得られるアクリル系共重合体ラ
テックス(C)であって、平均粒子径0.001〜0.
2μmである前記アクリル系共重合体ラテックス(C)
に、塩化ビニル及びN−置換マレイミドがグラフト共重
合されてなることを特徴とする。そしてその重合割合
(%)は請求項6記載の通り、アクリル系共重合体ラテ
ックス(C)1〜30重量%に、塩化ビニル40〜95
重量%及びN−置換マレイミド4〜30重量%がグラフ
ト共重合してなる。
【0014】第3発明においては、単独重合体のガラス
転移温度が−140以上30℃未満である(メタ)アク
リレートを重合して得られる常温で柔軟性に優れた共重
合体をコア層とし、その外側に単独重合体の屈折率が
1.51以上のモノマーで構成された共重合体をシェル
層とし、樹脂屈折率1.51以上、かつ平均粒子径0.
001〜0.2μmのアクリル系共重合体ラテックス
(C)を用いることにより、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃
性を損なうことなく透明性が向上することを見いだし
た。すなわち、シェル層を形成する単独重合体の屈折率
が1.51以上のモノマーは、ラテックスの屈折率を調
整する目的で使用され、コア層のモノマー種類に応じて
適当量添加されて、得られるラテックス樹脂の屈折率を
塩化ビニル及びN−置換マレイミドの共重合体の屈折率
にほぼ等しく調製し、透明性を向上させた。これは、
(メタ)アクリレート共重合体の屈折率がおしなべて、
塩化ビニルポリマーの屈折率である1.52〜1.55
未満であるため、(メタ)アクリレート共重合体の混入
によって塩化ビニル系樹脂の透明性が失われていたのが
改善されるためである。
【0015】そして、従来のモノマー予備混合による共
重合と異なり、グラフト共重合によって衝撃を吸収する
コア層と、屈折率を調整するシェル層が独立した2層構
造をとっていることにより、耐衝撃性を損なうことなく
透明性を向上させることができた。つまり、従来のアク
リル系共重合体ラテックスの外側に、新たに屈折率を調
整する層を設けることにより、塩化ビニル系樹脂として
の耐衝撃性が低下することなく透明性の向上を果たし
た。また、第1発明と同様の理由により、樹脂の平均粒
子径を0.001〜0.2μmにすることにより著しい
透明性の向上を果たした。以下に本発明を詳述する。
【0016】アクリル系共重合体ラテックスを形成し、
本発明の塩化ビニル系樹脂に耐衝撃性の向上をもたらす
(メタ)アクリレート(a)は、 単独重合体のガラス
転移温度が−140〜30℃のものである。ガラス転移
温度が−140℃より低温度の(メタ)アクリレートは
工業的に一般的ではなく、30℃を超えると、室温での
柔軟性が低下するので、上記範囲に限定される。
【0017】上記単独重合体のガラス転移温度が−14
0〜30℃の(メタ)アクリレート(a)としては特に
限定されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブ
チルアクリレート、s−ブチルアクリレート、クミルア
クリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−
ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)
アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノ
ニル(メタ)アクリレート、2−メチルオクチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘプチル(メタ)アクリ
レート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチルメタクリ
レート、ステアリルメタクリレート等のアルキル(メ
タ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、2種以
上が併用されてもよい。なお、これらの(メタ)アクリ
レートの単独重合体のガラス転移温度は、「高分子デー
タ・ハンドブック(基礎編)」(培風館発行、高分子学
会編)によった。
【0018】単独重合体の屈折率が1.51より大きい
ラジカル重合性モノマー(b)は、アクリル系共重合体
ラックスの屈折率を1.51〜1.55に調整するため
に添加され、例えば、1,3ジクロロプロピルメタクリ
レート、クロロヘキシルメタクリレート等の極性基含有
アルキル(メタ)アクリレート;フェニルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート等の芳香族アルキル(メ
タ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒ
ドロキシメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチ
ルフタル酸、塩化ビニリデン等の極性基含有ビニルモノ
マー;スチレン、α−メチルスチレン、o,m,p−メ
チルスチレン、o,m,p−プロピルスチレン、o,
m,p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリ
ル等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2
種以上が併用されてもよい。なお、上記ラジカル重合性
モノマー(b)の屈折率は、「ポリマーハンドブック」
(ウイリー・インターサイエンス)によった。
【0019】上記(メタ)アクリレート(a)と上記ラ
ジカル重合性モノマー(b)との配合割合は、上記(メ
タ)アクリレート(a)及び上記ラジカル重合性モノマ
ー(b)の組み合わせに応じて、ラテックスの屈折率を
1.51以上に調整されるように決定され、(a)に対
する(b)の添加量が多すぎると、塩化ビニル系樹脂に
充分な耐衝撃性が得られず、少なすぎると、いかなるモ
ノマーの組み合わせにおいても塩化ビニル系樹脂の透明
性が改善されないので、(メタ)アクリレート(a)3
0〜95重量%に対して、ラジカル重合性モノマー
(b)5〜70重量%に限定される。
【0020】上記多官能性モノマー(c)は、アクリル
系共重合体ラテックスを架橋し、塩化ビニル系樹脂の耐
衝撃性を向上させるだけでなく、製造時及び製造後の共
重合体ラテックス粒子の合着を合着を起こしにくくする
目的で添加される。
【0021】上記多官能性モノマー(c)としては特に
限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチルロールプロパンジ(メタ)アクリレート
等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、これら以
外のその他の多官能性モノマーとしては、例えば、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリ
ルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレー
ト、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレー
ト等のジアリル化合物又はトリアリル化合物;ジビニル
ベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ
る。これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用
されてもよい。
【0022】上記(メタ)アクリレート(a)と上記ラ
ジカル重合性モノマー(b)との混合物100重量部に
対して、上記多官能性モノマー(c)の配合量は、少な
くなるとアクリル系共重合体ラテックスが塩化ビニル系
樹脂中で独立した粒子径を保てなくなり、塩化ビニル系
樹脂の耐衝撃性が低下し、多くなると架橋密度過多によ
り耐衝撃性が得られにくくなるので、0.1〜30重量
部に限定され、好ましくは、0.3〜8重量部である。
【0023】本発明では、アクリル系共重合体の屈折率
が、塩化ビニルとN−置換マレイミドとの共重合体の屈
折率(1.52以上)とほぼ等しくなるように各構成モ
ノマーの組成比が決定され、共重合される。ラテックス
の屈折率とグラフト共重合体の屈折率が合わないと、ア
クリル系共重合体と塩化ビニルとN−置換マレイミド共
重合体の界面で光の乱反射が起こって、塩化ビニル系樹
脂の透明性が損なわれる。アクリル系共重合体の屈折率
は構成モノマーの単独重合体の屈折率とラテックスにお
ける重量分率に応じて次の計算式によって求められる。
【0024】n(P12・・・)=n(P1 )×w
(P1 )+n(P2 )×w(P2 )+・・・ ここで、 n(P12・・・):アクリル系共重合体12・・・の屈
折率 n(P1 ):単独重合体1の屈折率 w(P1 ):アクリル系共重合体12・・・中の単独重
合体1の重量分率 n(P2 ):単独重合体2の屈折率 w(P2 ):アクリル系共重合体12・・・中の単独重
合体2の重量分率 をそれぞれ表す。尚、上記(メタ)アクリレート(a)
及びそれと共重合可能なラジカル重合性モノマー
(b)、多官能性モノマー(c)の屈折率は「ポリマー
ハンドブック」(ウイリー・インターサイエンス)によ
った。ただし、ポリ(2−エチルヘキルアクリレート)
の屈折率は1.463、トリメチロールプロパントリア
クリレートの屈折率は1.48とした。
【0025】本発明において、上記アクリル系共重合体
ラテックスを得る方法としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられ
るが、耐衝撃性の発現性の面より、また、ラテックスの
粒子径の制御が行いやすい点から乳化重合法が好まし
い。
【0026】第2発明においては、上記乳化重合法によ
って上記アクリル系ポリマーを含む共重合体ラテックス
を合成する際、まず、単独重合体の屈折率が1.51以
上のラジカル重合性モノマーからなるコア層共重合体を
合成し、その外側に単独重合体のガラス転移温度が30
℃未満のアクリル系モノマーよりなるシェル層共重合体
を形成させるのが特徴である。
【0027】第3発明においては、上記乳化重合法によ
って上記アクリル系ポリマーを含む共重合体ラテックス
を合成する際、まず、単独重合体のガラス転移温度が3
0℃未満のアクリル系モノマーよりなるコア層共重合体
を合成し、その外側に単独重合体の屈折率が1.51以
上のラジカル重合性モノマーからなるシェル層共重合体
を形成させるのが特徴である。上記乳化重合法において
は、乳化分散剤及び重合開始剤が用いられる。また、必
要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等を用いてもよ
い。
【0028】上記乳化分散剤は、上記混合モノマーの乳
化液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う
目的で添加されるものである。上記乳化分散剤としては
特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテルサルフェート等のアニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。こ
れらのうち、アニオン系界面活性剤が好適に用いられ
る。
【0029】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素水等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物;ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げら
れる。
【0030】上記乳化重合法は、モノマー添加法の違い
から、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下
法の3つに大別されるが、特に限定されるものではな
い。
【0031】上記一括重合法とは、例えば、ジャケット
付重合反応器内に、純水、乳化分散剤、上記アクリル系
モノマー、それと共重合可能なラジカル重合性モノマ
ー、及び多官能性モノマーからなる混合モノマーを一括
して添加し、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件
下において、攪拌により充分に乳化し、器内をジャケッ
トにより所定の温度にした後、重合開始剤を添加して重
合する方法である。
【0032】上記モノマー滴下法とは、例えば、ジャケ
ット付重合反応器内に、純水、乳化分散剤、重合開始剤
を入れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下に
おいて、まず器内をジャケットにより所定の温度にした
後、上記混合モノマーを一定量ずつ滴下することにより
徐々に重合する方法である。
【0033】上記エマルジョン滴下法とは、例えば、上
記混合モノマー、乳化分散剤、純水を攪拌により充分に
乳化することにより予め乳化モノマーを調製し、次いで
ジャケット付重合反応器内に、純水、重合開始剤を入
れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下におい
て、まず器内をジャケットにより所定の温度にした後、
上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下することにより重合
する方法である。上記エマルジョン滴下法においては、
重合初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加(以下
「シードモノマー」という)し、その後、残りの乳化モ
ノマーを滴下することにより、上記シードモノマーの量
を変化させることで容易に生成ラテックスの粒径を制御
することができる。
【0034】第2発明のコア層共重合体とシェル層共重
合体とを形成するには、上記3つのモノマー添加方法の
いずれを用いてもよく、まずコア層共重合体を形成する
ために、上記混合モノマーまたは乳化モノマーを一括添
加もしくは滴下し、重合反応を行ってコア層ラテックス
粒子を合成する。続いて新たにシェル層共重合体を形成
するために、上記混合モノマーまたは乳化モノマーを一
括添加もしくは滴下し、コア層ラテックス粒子との共重
合を行って、コア層粒子の表面上にシェル層を形成させ
る。上記シェル層の形成は、コア層粒子合成と同一の重
合過程で行ってもよく、あるいはコア層粒子を合成・回
収した後、改めてモノマーを添加してシェル層の重合・
形成を行ってもよい。但し、後者の場合、シェル層の重
合時に新たに重合開始剤を再添加する必要がある。第3
発明のコア層共重合体とシェル層共重合体とを形成する
場合も同様である。
【0035】上記アクリル系共重合体ラテックスの重合
反応後に得られる、ラテックスの樹脂固形分は、特に限
定されないが、ラテックスの生産性、重合反応の安定性
に鑑みて、10〜60重量%が好ましい。
【0036】本発明では、上記アクリル系共重合体ラテ
ックスの平均粒子径を、従来より微粒子にすることによ
り、塩化ビニル系樹脂の著しい透明性の向上を果たし
た。即ち、樹脂粒子の平均粒子径を可視光線の波長の2
分の1以下に抑えることが、塩化ビニル系樹脂の透明性
を向上させる上で非常に重要であり、本発明の不可欠な
要素となっている。従って、ラテックスの平均粒子径が
大きくなると塩化ビニル系樹脂の透明性が低下するの
で、0.2μm以下に限定される。0.2μm以下であ
れば特に限定されないが、工業的に一般に製造可能なラ
テックスの平均粒子径に鑑みて0.001μm以上が好
ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。
【0037】上記アクリル系共重合体ラテックスには、
ラテックスエマルジョンの機械的安定性を向上させる目
的で、ラテックス重合反応終了後に保護コロイド剤が必
要に応じて添加されてもよい。
【0038】上記アクリル系共重合体ラテックスの塩化
ビニル系樹脂に占める割合は、少なくなると充分な耐衝
撃性が得られにくくなり、また多くなると曲げ強度や引
張強度等の機械的強度が低くなるため、1〜30重量%
にが好ましく、4〜20重量%がより好ましい。
【0039】本発明で用いられるN−置換マレイミド
は、下記一般式で表される。
【化1】 式中、Rは炭素数3〜20の非置換又は置換の脂肪族、
脂環族又は芳香族基を示す。Rの好ましい例としては、
例えば、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−クロロフェニ
ル基、2−メチルフェニル基、ベンジル基、2−クロロ
ベンジル基、2−メチルベンジル基、及びナフチル基等
が挙げられる。
【0040】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体に
おいて、上記N−置換マレイミドの割合は、少なくなる
と充分な耐熱性が得られ難くなり、多くなると、成形加
工時の流動性が低下するので、4〜35重量%が好まし
い。
【0041】上記アクリル系共重合体ラテックスに、塩
化ビニル及びN−置換マレイミドをグラフト共重合させ
る方法としては、とくに限定されず、例えば、懸濁重合
法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられ
るが、本発明を有効に実施するためには、懸濁重合法が
好ましい。上記懸濁重合法においては分散剤及び油溶性
重合開始剤が用いられる。
【0042】塩化ビニルをグラフト共重合させる際に、
重合中に重合反応器内に付着するスケールを減少させる
目的で、上記アクリル系共重合体ラテックスに凝集剤が
添加されてもよい。
【0043】上記懸濁重合法に用いられる分散剤は、上
記アクリル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上さ
せ、上記塩化ビニルのグラフト共重合を効率的に行わせ
る目的で添加される。上記分散剤としては特に限定され
ず、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アク
リル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル
及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリド
ン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が
挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、2種以
上が併用されてもよい。
【0044】上記油溶性重合開始剤としては、ラジカル
重合開始剤がグラフト共重合に有利であるので好適に用
いられる。上記ラジカル重合開始剤としては特に限定さ
れず、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパー
オキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;
2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビ
ス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等
が挙げられる。
【0045】上記グラフト共重合において、上記アクリ
ル系共重合体はエマルジョンの状態で、重合開始前に重
合反応器内に投入される。上記N−置換マレイミドは、
重合開始前にその全量を一括して投入してもよく、重合
中に分割して連続添加又は間欠的に添加しても良い。特
に、塩化ビニルと共重合性比が著しく離れている、N−
フェニルマレイミドのようなN−置換マレイミドを用い
る場合には、重合中に分割して添加するか、連続して添
加するほうが、本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体
の耐熱性が向上するので好ましい。この場合、N−置換
マレイミドは、アセトン、メタノール等の親溶媒に溶解
するか、水に分散させて用いることが好ましい。
【0046】また、上記懸濁重合法では、必要に応じて
pH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。懸濁重
合法における反応条件は、重合温度30〜90℃、重合
時間2〜20時間が好ましい。
【0047】上記懸濁重合法は、具体的には、例えば、
攪拌機及びジャケットを備えた重合反応器に、純水、上
記アクリル系共重合体ラテックス、上記分散剤、上記油
溶性重合開始剤、及び、必要に応じて水溶性増粘剤、重
合度調節剤等を投入し、その後、真空ポンプで重合反応
器内の空気を排出し、更に攪拌条件下で上記塩化ビニル
及びN−置換マレイミド、また必要に応じて他のビニル
モノマーを投入した後、重合反応器内をジャケットによ
り加熱することにより、実施することができる。上記ア
クリル系共重合体ラテックスに対する上記塩化ビニルと
N−置換マレイミドのグラフト共重合は、発熱反応であ
るので、ジャケット温度を変えることにより重合反応器
内の温度、つまり重合温度を制御することが可能であ
る。
【0048】上記アクリル系共重合体ラテックスに対す
る上記塩化ビニルとN−置換マレイミドのグラフト共重
合反応の終了後は、未反応の上記塩化ビニル等を除去し
てスラリー状にし、更に脱水乾燥させることにより、塩
化ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
【0049】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体中
のポリ塩化ビニルの重合度は、優れた成形性を発現する
ために、300〜2000が好ましい。より好ましく
は、400〜1600である。
【0050】本発明の塩化ビニル系共重合体は、成形す
る際に必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工
助剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、顔料等が添加さ
れる。
【0051】上記熱安定剤としては特に限定されず、例
えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、
ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチ
ル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオク
チル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブ
チル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;カルシウ
ム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム
カドミウム系安定剤等が挙げられる。
【0052】上記安定化助剤としては特に限定されず、
例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油、エ
ポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタ
ジエン、リン酸エステル等が挙げられる。
【0053】上記滑剤としては特に限定されず、例え
ば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエ
チレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコー
ル、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0054】上記加工助剤としては特に限定されず、例
えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアク
リレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアク
リル系加工助剤等が挙げられ、具体例としては、例え
ば、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共
重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタ
クリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げら
れる。
【0055】上記酸化防止剤としては特に限定されず、
例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光
安定剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エ
ステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、
シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤;ヒンダートア
ミン系の光安定剤等が挙げられる。
【0056】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。上記顔料
としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシア
ニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物
系、クロム酸モリブテン系、硫化物・セレン化物系、フ
ェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
【0057】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体に
は、成形時の加工性を向上させる目的で可塑剤が添加さ
れてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、例え
ば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げら
れる。
【0058】上記添加剤を上記塩化ビニル系グラフト共
重合体に混合する方法としては特に限定されず、例え
ば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによ
る方法等が挙げられる。本発明の塩化ビニル系グラフト
共重合体の成形方法としては特に限定されず、例えば、
押出形成法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成
形法等が挙げられる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0060】(実施例1〜3,5,6、比較例1〜4,
6〜9) 〔アクリル系共重合体ラテックスの作製〕まず、表1,
2に示した組成表に従い、所定量の純水、乳化分散剤
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニ
ウムサルフェート)、(メタ)アクリレート及びそれと
共重合可能なラジカル重合性モノマー、トリメチロール
プロパントリアクリレート(以下「TMPTA」とい
う)を混合、攪拌し、乳化モノマーを調製した。
【0061】攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器に純
水を入れ、反応器内の酸素を窒素により置換した後、攪
拌条件下で重合反応器を70℃に昇温した。昇温が完了
した重合反応器に、過硫酸アンモニウム(以下「AP
S」という)、及び、上記の乳化モノマーの30重量%
をシードモノマーとして一括して投入し、重合を開始し
た。続いて、乳化モノマーの残りを滴下した。乳化モノ
マーの滴下を3時間で終了し、その後1時間の熟成期間
を置いた後、重合を終了して、固形分濃度約30重量%
のアクリル系共重合体ラテックス(以下「ラテックス」
という)を得た。
【0062】〔塩化ビニル系グラフト樹脂の作製〕次い
で、攪拌機及びジャケットを備えた重合反応器に、純
水、上記ラテックス、部分ケン化酢酸ビニルの3%水溶
液、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミ
ルパーオキシネオデカノエートを一括投入し、その後、
真空ポンプで重合反応器内の空気を排出し、更に攪拌条
件下で塩化ビニルを投入した後、ジャケット温度の制御
により重合温度57℃にて重合を開始した。重合反応器
内の温度が57℃に達した直後から、N−フェニルマレ
イミド覇N−シクロヘキシルマレイミド0.75重量部
をアセトン1.5重量部に溶解した溶液を10分間隔で
40回に分けて反応器内に圧入し、グラフト共重合を行
った。その後、マレイミド全量投入後10分経過、もし
くは反応器内の圧力が5kg/cm2 まで低下すること
で重合反応終了を確認し、停止した。その後、未反応の
塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することに
より、塩化ビニル系グラフト共重合体を得た。
【0063】(実施例4)表1の組成表に従い、アクリ
ル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量を
乳化モノマーの20重量%としたこと以外は上記実施例
1と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0064】(比較例5)表2の組成表に従い、アクリ
ル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量を
乳化モノマーの10重量%としたこと以外は上記実施例
1と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0065】(比較例10)表2の組成表に従い、N−
置換マレイミドを用いなかったこと以外は上記実施例1
と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0066】(比較例11)表2の組成表に従い、アク
リル系共重合体ラテックスを用いなかったこと以外は上
記実施例1と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成し
た。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】(実施例7〜10,12,13、比較例1
2〜17,19〜22) 〔アクリル系共重合体ラテックスの作製〕まず、表3,
4に示した組成表に従い、所定量の純水、乳化分散剤
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニ
ウムサルフェート)、ラジカル重合性モノマー、TMP
TAを混合、攪拌し、コア共重合体形成用乳化モノマー
を調製した。又、別個に所定量の純水、乳化分散剤(ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニウム
サルフェート)、(メタ)アクリレートモノマー、TM
PTAを混合、攪拌し、シェル共重合体形成用乳化モノ
マーを調製した。
【0070】攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器に純
水を入れ、反応器内の酸素を窒素により置換した後、攪
拌条件下で重合反応器を70℃に昇温した。昇温が完了
した重合反応器に、APS、及び、上記のコア共重合体
形成用に調製した乳化モノマーの50重量%をシードモ
ノマーとして一括して投入し、重合を開始した。続い
て、コア共重合体形成用に調製した乳化モノマーの残り
を滴下した。コア共重合体用乳化モノマーの滴下が終了
次第、シェル共重合体形成用乳化モノマーの滴下を開始
した。全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了し、そ
の後1時間の熟成期間を置いた後、重合を終了して、固
形分濃度約30重量%のアクリル系共重合体ラテックス
(以下「ラテックス」という)を得た。
【0071】〔塩化ビニル系グラフト樹脂の作製〕上記
ラテックスを用い、実施例1と同様にして塩化ビニル系
グラフト共重合体を得た。
【0072】(実施例11)表3の組成表に従い、アク
リル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量
を乳化モノマーの20重量%としたこと以外は上記実施
例7と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0073】(比較例18)表4の組成表に従い、アク
リル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量
を乳化モノマーの10重量%としたこと以外は上記実施
例7と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】(実施例14〜17,19,20、比較例
23〜28,30〜33) 〔アクリル系共重合体ラテックスの作製〕まず、表5,
6に示した組成表に従い、所定量の純水、乳化分散剤
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニ
ウムサルフェート)、(メタ)アクリレートモノマー、
TMPTAを混合、攪拌し、コア共重合体形成用乳化モ
ノマーを調製した。又、別個に所定量の純水、乳化分散
剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモ
ニウムサルフェート)、ラジカル重合性モノマー、TM
PTAを混合、攪拌し、シェル共重合体形成用乳化モノ
マーを調製した。
【0077】攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器に純
水を入れ、反応器内の酸素を窒素により置換した後、攪
拌条件下で重合反応器を70℃に昇温した。昇温が完了
した重合反応器に、APS、及び、上記のコア共重合体
形成用に調製した乳化モノマーの50重量%をシードモ
ノマーとして一括して投入し、重合を開始した。続い
て、コア共重合体形成用に調製した乳化モノマーの残り
を滴下した。コア共重合体用乳化モノマーの滴下が終了
次第、シェル共重合体形成用乳化モノマーの滴下を開始
した。全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了し、そ
の後1時間の熟成期間を置いた後、重合を終了して、固
形分濃度約30重量%のアクリル系共重合体ラテックス
(以下「ラテックス」という)を得た。
【0078】〔塩化ビニル系グラフト樹脂の作製〕上記
ラテックスを用い、実施例1と同様にして塩化ビニル系
グラフト共重合体を得た。
【0079】(実施例18)表5の組成表に従い、アク
リル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量
を乳化モノマーの20重量%としたこと以外は上記実施
例14と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0080】(比較例29)表6の組成表に従い、アク
リル系共重合体ラテックス重合の際シードモノマーの量
を乳化モノマーの10重量%としたこと以外は上記実施
例14と同様にして塩化ビニル系共重合体を合成した。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】得られた塩化ビニル系グラフト共重合体に
ついて、下記方法により評価した。その結果を上記表1
〜6に示した。
【0084】(成分組成)上記塩化ビニル系グラフト共
重合体を、JIS K 7229に準拠した酸素フラス
コ法、及び元素分析装置(柳本製作所製「CHNコーダ
ー MT−5」)を使用して、塩化ビニル系グラフト共
重合体中のアクリル系共重合体及びN−置換マレイミド
の含有量を測定した。
【0085】(塩化ビニル樹脂の重合度)上記塩化ビニ
ル系グラフト共重合体5gをテトラヒドロフラン100
gに溶解し、可溶部のみをメタノールで析出させ、濾過
後乾燥させた。可溶成分につき、JIS K 6721
に準拠して重合度を測定した。
【0086】(光線透過率)JIS K 7105に準
拠し、全光線透過率の測定を行った。試料は塩化ビニル
系グラフト共重合体100重量部に対して、有機錫系安
定剤0.5重量部、モンタン酸系滑剤1.0重量部を混
合した樹脂組成物を、200℃で3分間ロール混練した
後、200℃で3分間プレス成形して得られた厚さ3m
mのプレス板より作製した。通常、透明性必要とする硬
質成形品に用いる場合、70%以上の光線透過率を有す
る事が好ましい。
【0087】(ヘ─ズ)JIS K 7105に準拠
し、ヘーズの測定を行った。試料は、上記光線透過率試
験に用いたプレス板と同じ物を用いた。通常、透明性を
必要とする硬質成形品に用いる場合、25%以下のヘー
ズを有する事が好ましい。
【0088】(荷重たわみ温度)JIS K 7207
に準拠し、荷重たわみ温度の測定を行った。試料は、上
記光線透過率試験に用いたプレス板と同じ物を用いた。
通常、耐熱性を必要とする硬質成形品に用いる場合、9
0℃以上の荷重たわみ温度を有する事が好ましい。
【0089】(耐衝撃製)JIS K 7111に準拠
し、シャルピー衝撃試験を行った。試料は、上記光線透
過率試験に用いたプレス板と同じ物を用いた。測定温度
は23℃である。通常、耐衝撃製を必要とする硬質成形
品に用いる場合、70kgf・cm/cm 2 以上のシャ
ルピー衝撃値を有する事が好ましい。
【0090】(引張強度)JIS K 7113に準拠
し、引張強度試験を行った。試料は、上記光線透過率試
験に用いたプレス板と同じ物を用いた。測定温度は23
℃である。通常、硬質成形品に用いる場合、440kg
f/cm2 以上の引張強度を有する事が好ましい。
【0091】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体
は、透明性、耐熱性、耐衝撃性及び引張強度が共にバラ
ンス良く優れている。また、得られる塩化ビニル系グラ
フト共重合体に対して、従来一般に、塩化ビニル系樹脂
の成形加工に使用されている滑剤、安定剤、顔料等を配
合してなる塩化ビニル系グラフト共重合体組成物は、流
動性良く成形加工を行うことが出来、上記特性を生かし
て透明性、耐熱性、並びに高い耐衝撃性や引張強度を要
求されるパイプ、継手類、外壁、異形断面を有する防音
壁等として好適に用いることができ、また、良好な透明
性が要求される窓枠、サッシ等としても好適に使用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J026 AA17 AA18 AA21 AA24 AA40 AA43 AA45 AA46 AA47 AA48 AA49 AA55 AA61 AA68 AA76 AC15 AC31 AC34 AC36 BA10 BA38 BB03 BB08 DA03 DA04 DA09 DA12 DA14 DA15 DB02 DB03 DB04 DB05 DB08 DB09 DB10 DB12 DB15 DB29 DB31 DB32 GA01 GA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単独重合体のガラス転移温度が−140
    以上30℃未満である(メタ)アクリレート(a)30
    〜95重量%と、単独重合体の屈折率が1.51以上で
    あるラジカル重合性モノマー(b)5〜70重量%との
    混合物100重量部、及び、多官能性モノマー(c)
    0.1〜30重量部からなるモノマー混合物を共重合さ
    せることにより得られるアクリル系共重合体ラテックス
    (A)であって、平均粒子径0.001〜0.2μmで
    ある前記アクリル系共重合体ラテックス(A)に、塩化
    ビニル及びN−置換マレイミドがグラフト共重合されて
    なることを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合体。
  2. 【請求項2】 アクリル系共重合体ラテックス(A)1
    〜30重量%に、塩化ビニル40〜95重量%及びN−
    置換マレイミド4〜30重量%がグラフト共重合してな
    る請求項1記載の塩化ビニル系グラフト共重合体。
  3. 【請求項3】 単独重合体の屈折率が1.51以上であ
    るラジカル重合性モノマー(b)100重量部と、多官
    能性モノマー(c)0.1〜30重量部とを共重合して
    なる共重合体5〜70重量%に、単独重合体のガラス転
    移温度が−140以上30℃未満である(メタ)アクリ
    レート(a)100重量部と、多官能性モノマー(c)
    0.1〜30重量部とを30〜95重量%グラフト共重
    合させることにより得られるアクリル系共重合体ラテッ
    クス(B)であって、平均粒子径0.001〜0.2μ
    mである前記アクリル系共重合体ラテックス(B)に、
    塩化ビニル及びN−置換マレイミドがグラフト共重合さ
    れてなることを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合
    体。
  4. 【請求項4】 アクリル系共重合体ラテックス(B)1
    〜30重量%に、塩化ビニル40〜95重量%及びN−
    置換マレイミド4〜30重量%がグラフト共重合してな
    る請求項3記載の塩化ビニル系グラフト共重合体。
  5. 【請求項5】 単独重合体のガラス転移温度が−140
    以上30℃未満である(メタ)アクリレート(a)10
    0重量部と、多官能性モノマー(c)0.1〜30重量
    部とを共重合してなる共重合体30〜95重量%に、単
    独重合体の屈折率が1.51以上であるラジカル重合性
    モノマー(b)100重量部と、多官能性モノマー
    (c)0.1〜30重量部とを5〜70重量%グラフト
    共重合させることにより得られるアクリル系共重合体ラ
    テックス(C)であって、平均粒子径0.001〜0.
    2μmである前記アクリル系共重合体ラテックス(C)
    に、塩化ビニル及びN−置換マレイミドがグラフト共重
    合されてなることを特徴とする塩化ビニル系グラフト共
    重合体。
  6. 【請求項6】 アクリル系共重合体ラテックス(C)1
    〜30重量%に、塩化ビニル40〜95重量%及びN−
    置換マレイミド4〜30重量%がグラフト共重合してな
    る請求項5記載の塩化ビニル系グラフト共重合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201237A (ja) * 2001-01-09 2002-07-19 Sekisui Chem Co Ltd 塩化ビニル系グラフト共重合体及び成形体
KR100442921B1 (ko) * 2001-10-26 2004-08-02 주식회사 엘지화학 내열성 및 내충격성이 우수한 염화비닐계 그라프트공중합체 수지 및 그의 제조방법

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KR100442921B1 (ko) * 2001-10-26 2004-08-02 주식회사 엘지화학 내열성 및 내충격성이 우수한 염화비닐계 그라프트공중합체 수지 및 그의 제조방법

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