JP2003327781A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物射出成形体 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物射出成形体

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JP2003327781A
JP2003327781A JP2002140307A JP2002140307A JP2003327781A JP 2003327781 A JP2003327781 A JP 2003327781A JP 2002140307 A JP2002140307 A JP 2002140307A JP 2002140307 A JP2002140307 A JP 2002140307A JP 2003327781 A JP2003327781 A JP 2003327781A
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polyvinyl chloride
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chloride resin
acrylate
monomer
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JP2002140307A
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English (en)
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Hiroyasu Hiratsuka
裕康 平塚
Hironobu Nakamura
裕信 中村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、機械的強度に優れ、長期の屋外使
用に際しても耐衝撃性、機械的強度が低下しにくいポリ
塩化ビニル系樹脂組成物からなる射出成形体の提供。 【解決手段】 ポリ塩化ビニル系樹脂にアクリル系共重
合体粒子がグラフトかつ分散されてなる構造を有するポ
リ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂100重量に、錫
マレートポリマー0.5〜2.5重量部、融点が0℃以下
の錫マレートエステル、又は錫メルカプトのうちのいず
れか0.1〜1.0重量部、ベンゾトリアゾール化合物
0.1〜1.0重量部が添加されてなるポリ塩化ビニル系
樹脂組成物からなる射出成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、機械的
強度に優れ、長期の屋外用途においても耐衝撃性、機械
的強度の劣化度合いの小さな射出成形体を提供する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル系樹脂は機械的強度、耐
薬品性等に優れており、このようなポリ塩化ビニル系樹
脂は、直射日光に耐え得るだけの耐候性が要求される用
途にも使用されている。このような用途では例えば、雨
樋製品等があるが、耐候性だけでなく、耐衝撃性も同時
に要求され、耐候性と耐衝撃性に優れたポリ塩化ビニル
系樹脂が例えば、特開平11-60884に提案されて
いる。しかしながら、最近は、長期の屋外での使用の際
して、耐衝撃性、機械的強度が低下しにくい成形体が求
められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要求に
応えるべく、耐衝撃性、機械的強度に優れ、長期の屋外
使用に際しても耐衝撃性、機械的強度が低下しにくいポ
リ塩化ビニル系樹脂組成物からなる射出成形体を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】ポリ塩化ビニル系樹脂に
アクリル系共重合体粒子がグラフトかつ分散されてなる
構造を有するポリ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂1
00重量に、錫マレートポリマー0.5〜2.5重量部、
融点が0℃以下の錫マレートエステル、又は錫メルカプ
トのうちのいずれか0.1〜1.0重量部、ベンゾトリア
ゾール化合物0.1〜1.0重量部が添加されてなるポリ
塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形することにより、屋
外での長期使用に際しても、耐衝撃性、機械的強度の低
下が小さな射出成形体を得ることができた。屋外での長
期使用に際しての耐衝撃性、機械的強度の低下が小さい
ことは、メタルウェザー促進試験に320時間供した後
の耐衝撃性、機械的強度が促進試験前に対して90%以
上の数値となることにより示される。
【0005】本発明によるポリ塩化ビニル系樹脂は、十
分な耐衝撃性を得るためには、ポリ塩化ビニル系樹脂に
アクリル系共重合体粒子がグラフトかつ分散している構
造を有するポリ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂であ
る。上記ポリ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂中にお
けるアクリル系共重合体粒子の量は、少なくなると充分
な耐衝撃性が得られにくくなり、また多くなると曲げ強
度や引張強度等の機械的強度が低くなるため、1〜30
重量%が好ましく、より好ましくは4〜20重量%であ
る。
【0006】上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル
モノマー単独、又は塩化ビニルを主成分とするビニルモ
ノマーを重合させて得られる樹脂であり、塩化ビニルを
主成分とするモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニ
ルと塩化ビニルと共重合可能なビニルモノマーとの混合
物を意味し、塩化ビニルと共重合可能なモノマーとは、
通常公知のビニルモノマーであって、例えば、酢酸ビニ
ル、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエー
テル、エチレン、フッ化ビニル、マレイミドなどが挙げ
られ、少なくとも一種以上が使用される。
【0007】上記塩化ビニル系樹脂中のポリ塩化ビニル
の重合度は、小さくなると機械的物性が低下し易く、大
きくなると成形性が低下し易いため、300〜2000
の範囲が好ましく、更に好ましくは400〜1600で
ある。
【0008】上記アクリル系共重合体としては、単独配
合のガラス転移温度が−140以上、30℃未満である
少なくとも1種類の(メタ)アクリレートモノマー、少な
くとも1種類のラジカル重合性モノマー、及び多官能性
モノマーからなる共重合体が好ましい。
【0009】上記(メタ)アクリレートモノマーは、室温
での柔軟性を要することより単独重合体のガラス転移温
度は30℃未満であり、30℃未満であれば特に種類は
限定されないが、工業的に一般に使用されるポリマーの
ガラス転移温度を鑑みて−140℃以上が適当である。
上記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソ−ブチルアクリレート、
sec−ブチルアクリレート、クミルアクリレート、n
−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレー
ト、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メ
タ)アクリレート、2−メチルオクチル(メタ)アクリ
レート、2−エチル(メタ)ヘプチルアクリレート、n-
デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、ミリスチル(メ
タ)アクリレート、パルミチルメタクリレート、ステア
リルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これら
は単独または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0010】なお、上記単独重合体のガラス転移温度が
−140度以上30℃未満である(メタ)アクリレート
モノマーの単独重合体のガラス転移温度は、培風館発行
高分子学会編昭和61年発行 「高分子データ・ハンド
ブック(基礎編)」によった。
【0011】上記アクリル系共重合体を形成するラジカ
ル重合性モノマーは、成形時の低粘着化、または成形品
の耐候性、耐薬品性等を向上させる目的で添加され、特
に種類は限定されないが、例えば、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレー
ト、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリ
レート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチル
(メタ)アクリレート、クミルメタクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ス
テアリルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アクリ
ロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニルモノ
マー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニト
リル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエス
テル等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組
み合わせて用いることができる。
【0012】上記多官能性モノマーは、アクリル系共重
合体ラテックスを架橋し、塩化ビニル樹脂の耐衝撃性を
向上させるだけでなく、製造時及び製造後の共重合体ラ
テックス粒子の合着を起こしにくくする目的で添加さ
れ、例えば、ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレ
ートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストール
トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、その
他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキ
サ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリ
ルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネー
ト、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリア
リル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニ
ル化合物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上
を組み合わせて用いることができる。
【0013】上記アクリル系共重合体中における各モノ
マーの比率は特に限定されないが、耐衝撃性等を考慮す
ると好ましい範囲は、単独重合体のガラス転移温度が−
140℃以上30℃未満である(メタ)アクリレートモノ
マー51〜100重量%、ラジカル重合性モノマー0〜
49重量%からなる混合モノマー100重量部に対し、
多官能性モノマー0.1〜30重量部が好ましい。ま
た、上記単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上
30℃未満である(メタ)アクリレートモノマーの量が5
1重量%未満、ラジカル重合性モノマーの量が51重量
%を越えると耐衝撃性が得られにくくなる。更に、上記
多官能性モノマーの添加量が0.1重量部より少なくな
るとアクリル系共重合体粒子が塩化ビニル系グラフト共
重合樹脂の中で、独立した粒子形状を維持できなくな
り、耐衝撃性が低下し易く、30重量部を超えると、架
橋密度が高くなりすぎて、得られる塩化ビニル系グラフ
ト共重合樹脂の耐衝撃性が得られにくくなる。
【0014】上記アクリル系共重合体を得る方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合
法、懸濁重合法等が挙げられるが、耐衝撃性の発現性の
面より、また、粒子径の制御が行い易い点から乳化重合
法が望ましい。
【0015】上記乳化重合法においては乳化分散剤及び
重合開始剤が用いられる。上記乳化分散剤は、上記混合
モノマーの乳化液中での分散安定性を向上させ、重合を
効率的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面
活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビ
ニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。
特に好ましい乳化分散剤はアニオン系界面活性剤であ
り、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルサルフェート等が挙げられる。
【0016】上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶
性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。また、上
記乳化重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止
剤等が添加されてもよい。
【0017】上記乳化重合法は、モノマー添加法の違い
から一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法
の3つに大別されるが、特に限定されるものではない。
一括重合法とは、例えばジャケット付重合反応器内に純
水、乳化分散剤、上記アクリル系モノマー、それと共重
合可能なラジカル重合性モノマー、及び多官能性モノマ
ーからなる混合モノマーを一括して添加し、窒素気流に
よる酸素除去及び加圧の条件下において、撹拌により充
分乳化し、器内をジャケットにより所定の温度にした
後、重合開始剤を添加して重合する方法である。また、
モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット付重合反応器
内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入れ、窒素気流下
による酸素除去及び加圧の条件下において、まず器内を
ジャケットにより所定の温度にした後、上記混合モノマ
ーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法
である。
【0018】また、エマルジョン滴下法とは、例えば、
上記混合モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分
乳化することにより予め乳化モノマーを調整し、次いで
ジャケット付重合反応器内に純水、重合開始剤を入れ、
窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下において、
まず器内をジャケットにより所定の温度にした後、上記
乳化モノマーを一定量ずつ滴下することにより重合する
方法である。さらに、エマルジョン滴下法において、重
合初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加(以下シー
ドモノマーと呼ぶ)し、その後残りの乳化モノマーを滴
下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させ
ることで容易にアクリル系共重合体ラテックス中の粒子
径を制御できる。
【0019】上記アクリル系共重合体ラテックス中の樹
脂固形分は、特に限定されるものではないが、ラテック
スの生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜60重
量%が好ましい。
【0020】上記アクリル系共重合体粒子の平均粒子径
は、大きくなると塩化ビニル系樹脂の透明性が低下する
ので、0.3μm以下が適当であり、0.3μm以下であ
れば特に限定されないが、工業的に一般に製造可能なラ
テックスの平均粒子径を鑑みて0.001μm以上が適
当である。更に好ましくは0.01〜0.3μmである。
【0021】上記アクリル系共重合体ラテックスには、
ラテックスエマルジョンの機械的安定性を向上させる目
的で、ラテックス重合反応終了後に保護コロイド剤が必
要に応じて添加されても良い。
【0022】上記アクリル系共重合体がグラフト且つ分
散している塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂を得る方
法としては、アクリル系共重合体の存在下で塩化ビニル
系モノマーをグラフト共重合させるのが好ましく、グラ
フト共重合方法としては、特に限定されるものではな
く、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊
状重合法等が挙げられるが、本発明を有利に実施するた
めには、懸濁重合法が好ましい。
【0023】上記懸濁重合法においたは分散剤及び油溶
性重合開始剤が用いられる。また、塩化ビニル系モノマ
ーをグラフト共重合させる際に、重合中に重合槽内に付
着するスケールを減少させる目的で、上記アクリル系共
重合体ラテックスに、凝集剤を添加しても良い。
【0024】上記懸濁重合に用いる分散剤は、上記アク
リル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ、塩
化ビニル系モノマーのグラフト重合を効率的に行う目的
で添加され、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メ
タ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢
酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニル
ピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重
合体等が挙げられ、これらは単独または2種類以上組み
合わせて用いられる。
【0025】上記油溶性重合開始剤としては、ラジカル
重合開始剤がグラフト共重合に有利であるという理由か
ら好適に用いられ、例えば、ラウロイルパーオキサイ
ド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパ
ーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカー
ボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、αーク
ミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイ
ド類、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等の
アゾ化合物等が挙げられる。また、上記懸濁重合法で
は、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加され
てもよい。
【0026】本発明樹脂の具体的な製造方法としては、
例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純
水、上記アクリル系共重合体ラテックス、分散剤、及び
油溶性重合開始剤、必要に応じて水溶性増粘剤、重合度
調節剤を投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気
を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニル系モノマーを投
入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化
ビニルのグラフト共重合を行う方法が挙げられる。上記
塩化ビニル系モノマーのグラフト共重合は発熱反応のた
め、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温
度つまり重合温度を制御することが可能である。反応終
了後は、未反応の塩化ビニルを除去しスラリー状にし、
更に脱水乾燥することによりポリ塩化ビニル系樹脂が製
造される。
【0027】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物からなる
成形体は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して、錫マレートポリマーを0.5〜2.5重量部、融点
が0℃以下の錫マレートエステル、錫メルカプトのうち
のいずれかを0.1〜1.0重量部、ベンゾトリアゾール
化合物を0.1〜1.0重量部添加することによって得ら
れるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形機に供して
成形することにより得られる。
【0028】上記錫マレートポリマーの添加量が0.5
重量部未満の場合は、充分な熱安定性が得られず、2.
5重量部を越える場合は成形性が著しく低下するので添
加量は上記範囲に限定される。また、上記融点が0℃以
下の錫マレートエステル、錫メルカプトのうちのいずれ
かは、成形性、耐候性を向上させるために添加され、
0.1重量部未満では熱安定性、成形性が低下し、1.0
重量部を越えると耐候性が低下するので添加量は上記範
囲に限定される。また、上記ベンゾトリアゾール化合物
は、屋外使用に際しての劣化を防ぐ目的で添加され、
0.1重量部未満の場合は充分に劣化を防ぐことができ
ず、1.0重量部を越える場合は成形性が低下するので
上記範囲に限定される。
【0029】上記、錫マレートポリマーとは、式R2
n〔(C2HO2)2〕x(式中のRは炭素数1〜8個のアル
キル基、xは1〜4の整数を示す)で表され、例えば、三
共有機合成社製「STANN−BN(N)」、「STAN
N-OMF」等が挙げられる。上記、錫マレートエステ
ルは式R2Sn(C424R’)2(式中のR、R’は炭素
数1〜12個のアルキル基)で表され、例えば、三共有
機合成社製「STANN ONR−79F」等が挙げら
れる。上記、錫メルカプトとは、式R2Sn〔S(CH2)
nCOOR’〕2あるいはR2Sn(S(CH2)nOOC
R’)2 (式中のR、R’は炭素数1〜12個のアルキル
基)で表され、例えば、三共有機合成社製「STANN
ONZ−7F」等が挙げられる。
【0030】上記ベンゾトリアゾール化合物とは、式1
に示す化合物で、R1、R2、R3はHまたは炭素数1
〜10のアルキル基、XはHまたはClであり、R1、
R2、R3、Xの組み合わせは特に限定されない。
【0031】
【式1】
【0032】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、
必要に応じて滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、
充填剤、顔料等が添加され用いられる。
【0033】上記滑剤としては、例えば、モンタン酸ワ
ックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、
ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブ
チル等が挙げられる。上記加工助剤としては、例えば、
重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレー
ト/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系
加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアク
リレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチル
ヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチル
メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0034】上記酸化防止剤としては、例えば、フェノ
ール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光安定剤として
は、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン
系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいは
ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
【0035】上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、タルク等が挙げられる。上記顔料としては、例え
ば、アゾ系、フタロシアニン系、スチレン系、染料レー
キ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、
硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔
料等が挙げられる。
【0036】また、上記塩化ビニル系樹脂には、成形時
の加工性を向上させる目的で可塑剤が添加されてもよ
く、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等
が挙げられる。
【0037】上記添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に混合
する方法としては、ホットブレンドによる方法でも、コ
ールドブレンドによる方法でもよく、また、成形方法と
しては、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー
成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1〜6、比較例1〜8 (アクリル系共重合体粒子の作製)純水200重量部、
乳化分散剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルアンモニウムサルフェート)0.7重量部、n−ブチ
ルアクリレート70重量部、メチルメタクリレート30
重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート1.
0重量部を混合、攪拌し、乳化モノマー液を調整した。
一方、10Lの重合槽に乳化モノマー液50重量部をシ
ードモノマーとして投入し、槽内の酸素を窒素により置
換した後、攪拌条件下で重合槽を70℃に昇温した。昇
温が完了した重合槽に、過酸化アンモニウム(以下AP
Sと称する)0.1重量部を投入し、重合を開始した。
その後乳化モノマー液の残りを滴下した。すべての乳化
モノマーの滴下を3時間で終了し、その後1時間の熟成
時間を置いた後、重合を終了して固形分濃度約30重量
%のアクリル系共重合体ラテックスを得た。
【0039】(ポリ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂
の作製)攪拌機及びジャケットを備えた15Lの重合器
に純水170重量部、上記アクリル系共重合体ラテック
ス25重量部、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの3%水溶液
5重量部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.
03重量部、α−クミルパーオキシネオデカノエート
0.04重量部を一括投入し、その後、真空ポンプで重
合器内の空気を排出し、さらに攪拌条件下で塩化ビニル
を投入した後、ジャケット温度の制御により重合温度6
4℃にて重合を開始した。重合器内の圧力が0.8MP
aまで低下することで重合反応終了とし、停止した。そ
の後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、さらに脱
水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニル
の重合度が約800のポリ塩化ビニル系グラフト共重合
体樹脂を得た。
【0040】(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の作製)表
1に示す組成に従って材料を、20Lスーパーミキサー
(カワタ株式会社製)に投入し、高速回転で混合した。
ミキサー温度が80℃に達した後に、ミキサー温度が5
0℃になるまで冷却して、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
を得た。
【0041】(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物成形体の作
製)上記手順で得られたポリ塩化ビニル系樹脂組成物
を、日本製鋼所社製J100E−C5に供し、ASTM
金型を用い、表2に示す条件で成形を実施し耐衝撃性試
験片、引張降伏強さ強さ試験片を得た。
【0042】〔評価〕上記で得られた試験片を用いて、
下記の耐光性促進試験を行い、耐光性試験前後の試料に
ついて衝撃試験、引っ張り試験を行い、耐光性試験前後
の強度及び強度保持率を求めた。結果を表1,2に示し
た。
【0043】(耐候性促進試験)上記で得られた成型品
を用いて、ダイプラ・ウィンテス社製のダイプラ・メタ
ルウェザー耐候試験機により、耐候性促進評価に供し
た。評価条件は表1、2に示したとおりで、サイクルを
40回(320hr)繰り返した。
【0044】(耐衝撃性評価方法)硬質プラスチックの
シャルピー衝撃試験方法(JIS K 7111)に則
り、エッジワイズ衝撃試験片で0℃におけるシャルピー
衝撃強度を測定した。
【0045】(機械的強度評価方法)プラスチックの引
張試験方法(JIS K 7113 )に則り、1号形
試験片で23℃における引張降伏強さを測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】(結果)表1の実施例1〜6に示すように
耐光性試験前後において耐衝撃性、機械的強度に優れた
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物射出成形体を得ることがで
きた。ポリ塩化ビニル樹脂に衝撃改質剤を添加した場合
(比較例1〜3)は、耐候性促進試験前の耐衝撃性、引
張降伏強さは高いが、耐候性促進試験後は耐候性促進試
験前に比べて強度が80〜85%に低下した。また、塩
化ビニル系樹脂を用いた場合でも、錫マレートポリマ
ー、錫マレートエステル、錫メルカプト等が本発明の範
囲外にある場合(比較例4〜8)は耐光性試験後の強度
保持率が低かった。
【0051】
【発明の効果】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物射
出成形体の構成は、上述の通りであり、長期の屋外での
使用に際して、耐衝撃性、引張降伏強さの低下度合いの
小さな塩化ビニル系樹脂組成物成形体を提供することが
できる。またこのほかに、顔料を用いて射出成形体を着
色した場合、長期の屋外での使用に際して、色調の変化
をおさえることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA77 AC09 AC18 AE05 AF14 AF23 AF57 AH03 BA01 BB03 BB04 BB05 BB06 4J002 BN121 EU178 EZ046 EZ077 FD046 FD047 FD058 GL00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニル系樹脂にアクリル系共重
    合体粒子がグラフトかつ分散されてなる構造を有するポ
    リ塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂100重量に、錫
    マレートポリマー0.5〜2.5重量部、融点が0℃以下
    の錫マレートエステル、又は錫メルカプトのうちのいず
    れか0.1〜1.0重量部、ベンゾトリアゾール化合物
    0.1〜1.0重量部が添加されてなることを特徴とする
    ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる射出成形体。
  2. 【請求項2】 アクリル系共重合体粒子が、単独共重合
    体のガラス転移温度が−140℃〜30℃である少なく
    とも1種類以上の(メタ)アクリレートと少なくとも1種
    類以上の他のラジカル重合性モノマー、および多官能性
    モノマーにより構成されていることを特徴とする請求項
    1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる射出成形
    体。
  3. 【請求項3】請求項1又は2のいずれかに記載のポリ塩
    化ビニル系樹脂組成物射出成形体からなることを特徴と
    する塩化ビニル系樹脂製雨樋製品。
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