JP2003105148A - 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品

Info

Publication number
JP2003105148A
JP2003105148A JP2001298049A JP2001298049A JP2003105148A JP 2003105148 A JP2003105148 A JP 2003105148A JP 2001298049 A JP2001298049 A JP 2001298049A JP 2001298049 A JP2001298049 A JP 2001298049A JP 2003105148 A JP2003105148 A JP 2003105148A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
weight
resin composition
acrylate
chloride resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001298049A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuki Goto
祐樹 後藤
Hironobu Nakamura
裕信 中村
Hiroyasu Hiratsuka
裕康 平塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2001298049A priority Critical patent/JP2003105148A/ja
Publication of JP2003105148A publication Critical patent/JP2003105148A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性及び耐熱性に優れた塩化ビニル系樹
脂組成物、並びにこの塩化ビニル系樹脂組成物からなる
塩化ビニル系樹脂製雨樋製品を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂 (好ましくは、ポリ塩
化ビニルまたはポリ塩化ビニルを主成分とするマトリク
ス樹脂にアクリル系共重合体粒子がグラフトかつ分散さ
れてなる構造を有する塩化ビニル系グラフト共重合体樹
脂)100重量部に対して、錫マレート系安定剤0.5 〜4 重
量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.1 〜5 重量
部及び水酸化アルミニウム0.5 〜10重量部が含有されて
なる塩化ビニル系樹脂組成物、及びこの組成物からなる
塩化ビニル系樹脂製雨樋製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性及び耐熱性
に優れた塩化ビニル系樹脂組成物、並びにこの組成物か
らなる塩化ビニル系樹脂製雨樋製品に関する。
【0002】
【従来技術】塩化ビニル系樹脂は機械的強度、耐薬品性
等に優れており、従来より、配管材料、建築材料等の各
種用途に用いられている。このような塩化ビニル系樹脂
は、直射日光に耐え得るだけの耐候性が要求される用途
にも使用されており、例えば、特開平11-60884号公報に
は、特定の塩化ビニル系樹脂に安定剤と滑剤が含有され
てなる雨樋部品用樹脂組成物が開示されている。しか
し、このような用途では耐候性だけでなく、熱変形し難
いこと(耐熱性)も要求されてきている。
【0003】さらに、最近耐候性の要求品質が厳しくな
ってきており、例えば、雨樋製品等の屋外用途において
は、耐候劣化による色相の変化の小さな樹脂からなる製
品が望まれている。一方、製品の耐熱温度や強度(硬
度)を上げる目的で炭酸カルシウム等を添加する方法が
古くから知られているが、炭酸カルシウムを含有する場
合、雨や露等によって溶出することにより、表面が凸凹
になったり、表面に析出したりして白く見える現象(チ
ョーキング)が起こる場合があるが、上記の厳しい要求
品質から、このような白化現象を呈する樹脂組成物は、
到底市場に受け入れられるものではなかった。
【0004】このように、耐候性、耐熱性等の品質に優
れた雨樋製品が求められており、上記公報記載の樹脂組
成物も、高いレベルの耐候性及び耐熱性の双方を具備さ
せるには、更に、改善を要するものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
雨樋製品の品質要求に応えるべく完成されたもので、そ
の目的は、耐候性及び耐熱性に優れた塩化ビニル系樹脂
組成物、並びにこの塩化ビニル系樹脂組成物からなる塩
化ビニル系樹脂製雨樋製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、塩化ビニル系樹脂100 重量
部に対して、錫マレート系安定剤0.5 〜4 重量部、ベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.1 〜5 重量部及び水酸
化アルミニウム0.5 〜10重量部が含有されてなる塩化ビ
ニル系樹脂組成物を提供する。
【0007】上記塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノ
マー単独、又は塩化ビニルを主成分とするビニルモノマ
ーを重合させて得られる樹脂であり、塩化ビニルを主成
分とするモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニルとこ
れと共重合可能なビニルモノマーとの混合物を意味し、
共重合可能なモノマーとは、通常公知のビニルモノマー
であって、例えば、酢酸ビニル、アルキル( メタ) アク
リレート、アルキルビニルエーテル、エチレン、フッ化
ビニル、マレイミドなどが挙げられ、少なくとも一種が
使用できる。
【0008】上記塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルの重
合度は、小さくなると機械的物性が低下し易く、大きく
なると成形性が低下し易いため、好ましくは300 〜2000
であり、更に好ましくは400 〜1600である。
【0009】上記塩化ビニル系樹脂は、充分な耐衝撃性
を得るためには、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニルを
主成分とするマトリクス樹脂にアクリル系共重合体粒子
がグラフトかつ分散している構造を有するポリ塩化ビニ
ル系グラフト共重合体樹脂であることが好ましい。上記
塩化ビニル系樹脂中におけるアクリル系共重合体粒子の
量は、少なくなると充分な耐衝撃性が得られにくくな
り、また多くなると曲げ強度や引張強度等の機械的強度
が低くなるため、1 〜30重量%が好ましく、より好まし
くは4 〜20重量%である。
【0010】上記アクリル系共重合体としては、単独配
合のガラス転移温度が-140〜30℃である少なくとも1 種
類の(メタ) アクリレートモノマー、少なくとも1 種類
のラジカル重合性モノマー、及び多官能性モノマーから
なる共重合体が好ましい。上記(メタ) アクリレートモ
ノマーは、室温での柔軟性を要することより単独重合体
のガラス転移温度が30℃未満であることが必要であり、
30℃未満であれば特に種類は限定されないが、工業的に
一般に使用されるポリマーのガラス転移温度に鑑みて-1
40℃以上が適当である。上記(メタ)アクリレートモノ
マーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピル
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ
−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、
クミルアクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、n−ノニル(メタ)アクリレート、2−メチルオク
チル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)ヘプチ
ルアクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレ
ート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチルメ
タクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
を挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
【0011】尚、上記単独重合体のガラス転移温度が−
140度以上30℃未満である(メタ)アクリレートモ
ノマーの単独重合体のガラス転移温度は、培風館発行
高分子学会編昭和61年発行「高分子データ・ハンドブッ
ク(基礎編)」によった。
【0012】上記アクリル系共重合体を形成するラジカ
ル重合性モノマーは、成形時の低粘着化、または成形品
の耐候性、耐薬品性等を向上させる目的で添加され、特
に種類は限定されないが、例えば、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレー
ト、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリ
レート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチル
(メタ) アクリレート、クミルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、
ステアリルアクリレート等のアルキル(メタ) アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アク
リロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニルモ
ノマー、スチレン、α- メチルスチレン、p−メチルス
チレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマ
ー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和
ニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル
エステル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種類以
上を組み合わせて用いることができる。
【0013】上記多官能性モノマーは、アクリル系共重
合体ラテックスを架橋し、塩化ビニル樹脂の耐衝撃性を
向上させるだけでなく、製造時及び製造後の共重合体ラ
テックス粒子の合着を起こしにくくする目的で添加さ
れ、例えば、ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレ
ートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストール
トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、その
他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキ
サ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリ
ルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネー
ト、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリア
リル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニ
ル化合物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上
を組み合わせて用いることができる。
【0014】上記アクリル系共重合体中における各モノ
マーの比率は特に限定されないが、耐衝撃性等を考慮す
ると好ましい範囲は、単独重合体のガラス転移温度が-1
40℃以上30℃未満である(メタ) アクリレートモノマー
51〜100 重量%、ラジカル重合性モノマー0 〜49重量%
からなる混合モノマー100 重量部に対し、多官能性モノ
マー0.1 〜30重量部である。上記多官能モノマーのモノ
マー比率が51重量%未満、ラジカル重合性モノマーが49
重量%を越えると耐衝撃性が得られにくくなる。また、
上記多官能性モノマーの添加量が0.1 重量部より少なく
なるとアクリル系共重合体粒子が塩化ビニル系グラフト
共重合樹脂の中で、独立した粒子形状を維持できなくな
り、耐衝撃性が低下し易く、30重量部を超えると、架橋
密度の過多により、得られる塩化ビニル系グラフト共重
合樹脂の耐衝撃性が得られにくくなる。
【0015】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物において
は、塩化ビニル系樹脂として、アクリル系共重合体のラ
テックス1 〜30重量%に塩化ビニル単独又は塩化ビニル
を主成分とするビニルモノマー70〜99重量%をグラフト
共重合して得られた塩化ビニル系グラフト共重合樹脂を
用い、この樹脂100 重量部に対して、オクチル錫マレー
トとオクチル錫マレートポリマーの混合物が0.5 〜4.0
重量部添加されてなる場合は、耐候劣化等による色相変
化の著しい防止効果を達成し得る。色相変化の著しい防
止効果は、当該樹脂組成物から得られる成形体が、メタ
ルウェザー促進試験において、200 時間でΔE が10以下
であることによって示される。
【0016】上記アクリル系共重合体を得る方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合
法、懸濁重合法等が挙げられるが、耐衝撃性の発現性の
面より、また、粒子径の制御が行い易い点から乳化重合
法が望ましい。また、上記乳化重合法では乳化分散剤及
び重合開始剤を用いる。
【0017】上記乳化分散剤は、上記混合モノマーの乳
化液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う
目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニ
オン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロ
ース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特に望ましく
はアニオン系界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテルサルフェート等が挙げら
れる。
【0018】上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶
性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。また、上
記乳化重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤
等が添加されてもよい。
【0019】上記乳化重合法には、モノマー添加法の違
いから一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下
法の3つに大別されるが、特に限定されるものではな
い。一括重合法とは、例えば、ジャケット付重合反応器
内に純水、乳化分散剤、上記アクリル系モノマー、それ
と共重合可能なラジカル重合性モノマー、及び多官能性
モノマーからなる混合モノマーを一括して添加し、窒素
気流による酸素除去及び加圧の条件下において、撹拌に
より充分乳化し、器内をジャケットにより所定の温度に
した後、重合開始剤を添加して重合する方法である。ま
た、モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット付重合反
応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入れ、窒素気
流下による酸素除去及び加圧の条件下において、まず器
内をジャケットにより所定の温度にした後、上記混合モ
ノマーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する
方法である。
【0020】また、エマルジョン滴下法とは、例えば、
上記混合モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分
乳化することにより予め乳化モノマーを調整し、次いで
ジャケット付重合反応器内に純水、重合開始剤を入れ、
窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下において、
まず器内をジャケットにより所定の温度にした後、上記
乳化モノマーを一定量ずつ滴下することにより重合する
方法である。さらに、エマルジョン滴下法において、重
合初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加(以下シー
ドモノマーと呼ぶ)し、その後残りの乳化モノマーを滴
下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させ
ることで容易にアクリル系共重合体ラテックス中の粒子
系を制御できる。
【0021】上記アクリル系共重合体ラテックス中の樹
脂固形分は、特に限定されるものではないが、ラテック
スの生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜60重量%
が好ましい。
【0022】上記アクリル系共重合体ラテックスの平均
粒子径は、大きくなると塩化ビニル系樹脂の透明性が低
下するので、0.3 μm 以下が適当であり、0.3 μm 以下
であれば特に限定されないが、工業的に一般に製造可能
なラテックスの平均粒子径を鑑みて0.001 μm 以上が適
当である。更に好ましくは0.01〜0.3 μm である。上記
アクリル系共重合体ラテックスには、ラテックスエマル
ジョンの機械的安定性を向上させる目的で、ラテックス
重合反応終了後に保護コロイド剤が必要に応じて添加さ
れても良い。
【0023】上記アクリル系共重合体が分散している塩
化ビニル系樹脂を得る方法としては、アクリル系共重合
体の存在下で塩化ビニル単独又は塩化ビニルを主成分と
するビニルモノマーをグラフト共重合させるのが好まし
く、グラフト共重合方法としては、特に限定されるもの
ではなく、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合
法、塊状重合法等が挙げられるが、本発明を有利に実施
するためには、懸濁重合法が好ましい。
【0024】上記懸濁重合法では分散剤及び油溶性重合
開始剤を用いる。また、塩化ビニルをグラフト共重合さ
せる際に、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少
させる目的で、上記アクリル系共重合体ラテックスに、
凝集剤を添加しても良い。
【0025】上記懸濁重合に用いる分散剤は、上記アク
リル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ、塩
化ビニルのグラフト重合を効率的に行う目的で添加さ
れ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アク
リル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル
及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリド
ン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が
挙げられ、これらは単独または2種類以上組み合わせて
用いることができる。
【0026】上記油溶性重合開始剤の中でも、ラジカル
重合開始剤がグラフト共重合に有利であるという理由か
ら好適に用いられ、例えば、ラウロイルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピル
パーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカ
ーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、
α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオ
キサイド類、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2、2’−アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル
等のアゾ化合物等が挙げられる。また、上記懸濁重合法
では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加さ
れてもよい。
【0027】本発明における塩化ビニル系樹脂の具体的
な製造方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを
備えた反応容器に、純水、上記アクリル系共重合体ラテ
ックス、分散剤、油溶性重合開始剤及び水溶性増粘剤、
必要に応じて重合度調節剤を投入し、その後、真空ポン
プで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビ
ニル及び必要に応じて他のビニルモノマーを投入した
後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニル
のグラフト共重合を行う方法が挙げられる。
【0028】上記塩化ビニルのグラフト共重合は発熱反
応のため、ジャケット温度を変えることにより反応容器
内の温度つまり重合温度を制御することが可能である。
反応終了後は、未反応の塩化ビニルを除去しスラリー状
にし、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂が
製造される。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上記
塩化ビニル系樹脂100 重量に対して、錫マレート系安定
剤0.5 〜4 重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
0.1〜5 重量部、水酸化アルミニウム0.5 〜10重量部が
含有されてなる。
【0029】本発明において、安定剤としては、チョー
キング現象等の耐候性に良好な錫マレート系安定剤を使
用する。上記、錫マレート系安定剤としては、特に限定
されないが、下記(1)式(式中Rは炭素数1 〜8 個の
アルキル基、nは1 〜4 の整数を示す)で表される錫マ
レートポリマーや、式(2)(式中R、R’は炭素数1
〜12個のアルキル基)で表される錫マレートエステルが
挙げられる。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】 錫マレートポリマーの市販品としては、例えば、三共有
機合成社製「STANN-BM(N) 」、「STANN-OMF 」等が挙げ
られ、錫マレートエステルの市販品としては、例えば、
三共有機合成社製「STANN ONR-79F」、「STANN ONZ-1
42F 」、「STANN ONT-1F 」等が挙げられる。錫マレー
ト系安定剤の添加量は0.5 〜4 重量部に限定される。0.
5 重量部未満では充分な熱安定性が得られず、4.0 重量
部を越えると加工性、耐候性が著しく低下するので、上
記範囲に限定される。
【0032】本発明においては、錫マレート系安定剤を
使用する場合に耐候変色を最も効果的に抑制するベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤を添加する。上記、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されな
いが、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクチルフ
ェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル) −5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル) ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−
ブチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−
(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミド
−メチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ア
ミノフェニル) ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0033】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加
量は、塩化ビニル系樹脂100 重量部に対して0.1 〜5 重
量部に限定される。0.1 重量部未満では、成型品の表面
が変色しやすく、5 重量部を越えると、紫外線吸収剤自
体が製品表面に出やすくなり、外観や耐候性が悪化する
ため、上記範囲に限定される。
【0034】本発明においては、耐熱性を向上させる目
的で、チョーキング現象を起こしにくい水酸化アルミニ
ウムを添加する。上記、水酸化アルミニウムの添加量
は、塩化ビニル系樹脂100 重量に対して0.5 〜10重量部
に限定される。0.5 重量部未満では、強度及び硬度の向
上が不充分であり、10重量部を越えると、水酸化アルミ
ニウム自体が製品表面に出やすくなり、外観や耐候性が
悪化するため、上記範囲に限定される。
【0035】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、必要
に応じて滑剤、加工助剤、酸化防止剤、顔料等が添加さ
れて用いられる。上記滑剤としては、例えば、モンタン
酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワック
ス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン
酸ブチル等が挙げられる。上記加工助剤としては、例え
ば、重量平均分子量10万〜200 万のアルキルアクリレー
ト/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系
加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアク
リレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチル
ヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチル
メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0036】上記酸化防止剤としては、例えば、フェノ
ール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光安定剤として
は、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン
系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいは
ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。上記充
填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙
げられる。上記顔料としては、例えば、イソインドリノ
ン系、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レー
キ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、
硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔
料等が挙げられる。
【0037】また、上記塩化ビニル系樹脂には、成形時
の加工性を向上させる目的で可塑剤が添加されてもよ
く、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等
が挙げられる。上記添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に混
合する方法としては、ホットブレンドによる方法でも、
コールドブレンドによる方法でもよい。
【0038】本発明の塩化ビニル系樹脂製雨樋製品は、
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物からなるもので、例え
ば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレ
ス成形法等によって得られる成形品である。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 (実施例1 〜4 、比較例1 〜5 ) 〔アクリル系共重合体粒子の作製〕純水200 重量部、乳
化分散剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
アンモニウムサルフェート)0.7 重量部、n−ブチルア
クリレート70重量部、メチルメタクリレート30重量部、
トリメチロールプロパントリアクリレート1.0 重量部を
混合、攪拌し、乳化モノマー液を調整した。
【0040】一方、10L の重合槽に乳化モノマー液50重
量部をシードモノマーとして投入し、槽内の酸素を窒素
により置換した後、攪拌条件下で重合槽を70℃に昇温し
た。昇温が完了した重合槽に、過酸化アンモニウム(以
下APS と称する)0.1 重量部を投入し、重合を開始し
た。その後乳化モノマー液の残りを滴下した。全ての乳
化モノマーの滴下を3 時間で終了し、その後1 時間の熟
成時間を置いた後、重合を終了して固形分濃度約30重量
%のアクリル系共重合体ラテックスを得た。
【0041】〔塩化ビニル系樹脂の作製〕攪拌機及びジ
ャケットを備えた15L の重合器に純水170 重量部、上記
アクリル系共重合体ラテックス25重量部、部分ケン化ポ
リ酢酸ビニルの3 %水溶液5 重量部、t-ブチルパーオキ
シネオデカノエート0.03重量部、α- クミルパーオキシ
ネオデカノエート0.04重量部を一括投入し、その後、真
空ポンプで重合器内の空気を排出し、さらに攪拌条件下
で塩化ビニル100 重量部を投入した後、ジャケット温度
の制御により重合温度64℃にて重合を開始した。重合器
内の圧力が0.8MPaまで低下することで重合反応終了と
し、停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを
除去し、さらに脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹
脂中の塩化ビニルの重合度が約800 のポリ塩化ビニル系
樹脂(A)(アクリル系共重合体の含有率25重量%)を
得た。
【0042】〔塩化ビニル系樹脂組成物の作製〕表1に
示す組成に従って、材料を、20L スーパーミキサー(カ
ワタ株式会社製)に投入し、高速回転で混合した。ミキ
サー温度が100 ℃に達した後に、ミキサー温度が50℃に
なるまで冷却して、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を得
た。尚、使用材料の商品名を、適宜、以下にしめした。 錫マレートエステル:ONR-79F (三共有機合成社製) 錫マレートポリマー:OMF (三共有機合成社製) ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:Viosorb 550 (共
同薬品社製) エステル系滑剤:EW-100(理研ビタミン社製)
【0043】
【表1】
【0044】〔樹脂組成物成形体の作製〕上記手順で得
られた塩化ビニル系樹脂組成物を、 200℃で3 分間ロー
ル混練してロールシートを得た。得られたロールシート
を 200℃、19.6MPaの圧力で3分間プレス成形して、
塩化ビニル系樹脂組成物からなる厚さ3mmの平板状成
形体を作製した。
【0045】〔樹脂組成物成形体の耐熱温度評価方法〕
上記で得られた塩化ビニル系樹脂組成物成形体から1cm
四方の試験片を作製し、JIS K-47206に規定される方法
により、5kg 荷重における耐熱温度を測定し、その結果
を表1に示した。
【0046】〔樹脂組成物成形体の熱安定性評価方法〕
上記で得られた塩化ビニル系樹脂組成物成形体から3cm
四方の試験片を作製し、200 ℃に保たれたギアオーブン
中に静置し、10分ごとに試験片を取り出して色の変化、
表面状態の変化を目視により観察し、試験前と明らかに
異なる状態となった時間を劣化時間とし、表1に示し
た。
【0047】〔樹脂組成物成形体の耐候性評価方法〕上
記塩化ビニル系樹脂組成物成形体を、2.5cm 四方に切り
出し、ダイプラ・ウィンテス社製のダイプラ・メタルウ
ェザー耐候試験機により評価を実施した。評価条件は表
2に示したサイクル試験を25回(200時間) 繰り返した
後、試験前後のサンプルについて、ΔE を測定し、その
差を色差として表1に示した。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の構成
は、上述の通りであり、従来品と同等の機械的強度、耐
薬品性等の特性を保持しているとともに、耐候性及び耐
熱性に優れた成形品を提供することができる。また、塩
化ビニル系樹脂が、ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニ
ルを主成分とするマトリクス樹脂にアクリル系共重合体
粒子がグラフトかつ分散されてなる構造を有する塩化ビ
ニル系グラフト共重合体樹脂である場合は、更に、耐衝
撃性に優れた成形品を提供し得る。また、アクリル系共
重合体粒子が、単独共重合体のガラス転移温度が−14
0℃〜30℃である少なくとも1種類以上の(メタ)ア
クリレートと少なくとも1種類以上のラジカル重合性モ
ノマー、及び多官能性モノマーにより構成されている場
合は、上記の優れた耐衝撃性をより確実に奏し得る。本
発明の塩化ビニル系樹脂製雨樋製品は、本発明の塩化ビ
ニル系樹脂組成物からなるものであるので、上述の特性
を備え、特に耐候性及び耐熱性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/00 C08L 51/00 E04D 13/064 501 E04D 13/064 501J Fターム(参考) 4J002 BD041 BD051 BD061 BD081 BD091 BN171 DE148 EU177 EZ046 FD020 FD036 FD057 FD068 FD070 FD170 GL00 4J026 AA12 AA25 AA26 AA31 AA38 AA45 AA57 BA05 BA06 BA07 BA08 BA19 BA20 BA21 BA22 BA27 BA28 BA30 BA31 BA40 BA46 BB01 BB03 BB04 DB03 DB04 DB12 DB14 DB15 DB22 GA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100 重量部に対して、
    錫マレート系安定剤0.5 〜4 重量部、ベンゾトリアゾー
    ル系紫外線吸収剤0.1 〜5 重量部及び水酸化アルミニウ
    ム0.5 〜10重量部が含有されてなることを特徴とする塩
    化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂が、ポリ塩化ビニルま
    たはポリ塩化ビニルを主成分とするマトリクス樹脂にア
    クリル系共重合体粒子がグラフトかつ分散されてなる構
    造を有する塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル系共重合体粒子が、単独共重合
    体のガラス転移温度が-140℃〜30℃である少なくとも1
    種類以上の(メタ)アクリレートと少なくとも1種類以
    上のラジカル重合性モノマー、及び多官能性モノマーに
    より構成されていることを特徴とする請求項2に記載の
    塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩
    化ビニル系樹脂組成物からなることを特徴とする塩化ビ
    ニル系樹脂製雨樋製品。
JP2001298049A 2001-09-27 2001-09-27 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品 Pending JP2003105148A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001298049A JP2003105148A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001298049A JP2003105148A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003105148A true JP2003105148A (ja) 2003-04-09

Family

ID=19119010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001298049A Pending JP2003105148A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003105148A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112409543A (zh) * 2020-10-26 2021-02-26 安徽天辰化工股份有限公司 一种氯乙烯与丙烯酸酯类共聚乳液的制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112409543A (zh) * 2020-10-26 2021-02-26 安徽天辰化工股份有限公司 一种氯乙烯与丙烯酸酯类共聚乳液的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11140140A (ja) 塩化ビニル系グラフト樹脂の製造方法及び塩化ビニル系グラフト樹脂組成物
JP3212471B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂
JP5108224B2 (ja) 硬質塩化ビニル系樹脂管
JP2003105148A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂製雨樋製品
JP3262700B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂
JPH09110945A (ja) 塩化ビニル系樹脂及び製造方法
JP3093106B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂
JP2000128941A (ja) 透明耐衝撃性塩化ビニル系グラフト共重合体及び成形体
JP2002265727A (ja) ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
JP2000053839A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2003342439A (ja) ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
JP2003327781A (ja) ポリ塩化ビニル系樹脂組成物射出成形体
JP3325404B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2001089622A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体
JP2000063606A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び成形体
JP2000198900A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合体
JP2000119347A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH1087762A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合体及びその製造方法
JP2001106852A (ja) 塩化ビニル系樹脂及び成形体
JPH10265533A (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH07304824A (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2001294632A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合体及び塩化ビニル系樹脂成形体
JPH0834825A (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2000063443A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合体
JPH1060059A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法