JPH10218948A - 塩化ビニル系グラフト共重合樹脂 - Google Patents

塩化ビニル系グラフト共重合樹脂

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JPH10218948A
JPH10218948A JP2755497A JP2755497A JPH10218948A JP H10218948 A JPH10218948 A JP H10218948A JP 2755497 A JP2755497 A JP 2755497A JP 2755497 A JP2755497 A JP 2755497A JP H10218948 A JPH10218948 A JP H10218948A
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JP
Japan
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vinyl chloride
monomer
latex
meth
acrylate
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Application number
JP2755497A
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English (en)
Inventor
Takahiro Oomura
貴宏 大村
Shigeru Tanaka
茂 田中
Yoshinobu Suenaga
義伸 末永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の塩化ビニル系樹脂の機械的強度を保持
した状態で、透明性と耐衝撃性がバランス良く付与せし
められた成形品が得られる塩化ビニル系グラフト共重合
樹脂を提供する。 【解決手段】 単独重合体のガラス転移温度が−140
〜30°Cである少なくとも1種類の(メタ)アルリレ
ートに、単独重合体の屈折率が1.51〜1.75であ
る少なくとも1種類のラジカル重合性モノマーを5〜7
0重量%配合した混合モノマー100重量部に、多官能
性モノマーを0.1〜30重量部を混合・共重合して得
られるアクリル系共重合体のラテックスであって、該共
重合体の屈折率が1.51〜1.55で、且つ、ラテッ
クスの平均粒子径が0.001〜0.2μmであるアク
リル系共重合体ラテックスに、塩化ビニル系モノマーを
グラフト共重合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐衝撃性
の優れた塩化ビニル系グラフト共重合樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】本来、塩化ビニル系樹脂は、透明で、機
械的強度、耐候性、耐薬品性に於いて優れた材料である
ため、波板、硬質塩化ビニル管、雨樋、サイディング材
など多くの用途に使用されている。しかし、長期耐候性
と耐衝撃性が要求される屋外の硬質塩化ビニル系樹脂の
用途には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム
などの従来の不飽和弾性体をベースとした耐衝撃改良剤
では不十分であった。その為、ガラス転移温度が低く、
耐候性の優れたアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラ
フト共重合させた塩化ビニル系樹脂が提案され、例え
ば、特開昭60−255813号公報には、乳化重合に
よって得られたアクリル系共重合体ラテックスの存在下
で、塩化ビニルを懸濁重合する方法が開示されている。
【0003】しかし、硬質塩化ビニル系樹脂に上述のよ
うなガラス転移温度が低い弾性体成分を混和すると、得
られた組成物は、一般に、弾性体成分の混和量の増加と
共に、透明性が低下し、引張強度、曲げ弾性率などの機
械的強度が低下する傾向にあり、機械的強度を維持しな
がら、透明性、耐衝撃性を向上させることが、工業的に
要望され続けてきた。これを改善する方法として、例え
ば、特開昭61−195106号公報には、単独重合体
の2次転移温度が−10℃以下のアルキル(メタ)アク
リレートとガラス転移温度が室温より高いスチレンモノ
マー及び多官能性モノマーとの3者のアクリル系共重合
体に塩化ビニルをグラフト共重合させる方法が提案され
ている。しかし、曲げ弾性率などの機械的強度を維持し
ながら、透明性、耐衝撃性を向上させるには十分ではな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点を解消して、従来の塩化ビニル系樹脂の機械的強度を
保持した状態で、透明性と耐衝撃性がバランス良く付与
せしめられた成形品が得られる塩化ビニル系グラフト共
重合樹脂を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系グ
ラフト共重合樹脂は、単独重合体のガラス転移温度が−
140〜30°Cである少なくとも1種類の(メタ)ア
ルリレートに、単独重合体の屈折率が1.51〜1.7
5である少なくとも1種類のラジカル重合性モノマーを
5〜70重量%配合した混合モノマー100重量部に、
多官能性モノマーを0.1〜30重量部を混合・共重合
して得られるアクリル系共重合体のラテックスであっ
て、該共重合体の屈折率が1.51〜1.55で、且
つ、ラテックスの平均粒子径が0.001〜0.2μm
であるアクリル系共重合体ラテックスに、塩化ビニル単
独又は塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラ
フト共重合することを特徴とする。
【0006】本発明に於いて、「単独重合体のガラス転
移温度が−140〜30℃である少なくとも1種類の
(メタ)アクリレート(以下、Aと記す)」としては、
培風館発行、高分子学会編「高分子データ・ハンドブッ
ク(基礎編)」に示されている様に、例えば、メチルア
クリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリ
レート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、クミルアクリレート、n−ヘキシ
ル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリ
レート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メチ
ルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレー
ト、2−メチルオクチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘプチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウ
リル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリ
レート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタク
リレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート等が挙げられ、少なくとも1種類
とは、これらの1種又は2種以上の混合物が使用できる
ことを意味する。
【0007】少なくとも1種類の(メタ)アクリレート
(A)は、本発明に使用されるアクリル系共重合体のラ
テックスを構成する成分で、単独重合体のガラス転移温
度が−140〜30℃であることが必要で、これを用い
て得られる塩化ビニル系グラフト共重合樹脂が、常温に
於いて、所望の耐衝撃性と透明性を発揮する。−140
℃未満の場合は、これを用いて得られる塩化ビニル系グ
ラフト共重合樹脂が、常温に於いて、低温耐衝撃性は満
たされるが、柔軟すぎて充分な機械的強度が低くなり、
30℃を超えると、耐衝撃性が低くなる。
【0008】本発明に於いて、「単独重合体の屈折率が
1.51〜1.75である少なくとも1種類のラジカル
重合性モノマー(以下、Bと記す)」としては、ウイリ
ー・インターサイエンスの「ポリマーハンドブック」に
示されている様に、例えば、1,3−ジクロロプロピル
メタクリレート、クロロヘキシルメタクリレート等の極
性基を含有するアルキル(メタ)アルリレート;フェニ
ルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族
アルキル(メタ)アルリレート;アクリル酸、メタクリ
ル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アク
リロイルオキシエチルフタル酸、塩化ビニリデン等の極
性基を含有するビニルモノマー;スチレン、α−メチル
スチレン、o,m,p−メチルスチレン、o,m,p−
プロピルスチレン、o,m,p−クロロスチレン等の芳
香族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル等が挙げられ、これらの1種
又は2種以上の混合物が使用できることを意味する。
【0009】ラジカル重合性モノマー(B)は、(メ
タ)アクリレート(A)と共重合させることによって得
られるアクリル系共重合体の屈折率を、1.51〜1.
55に調整するために使用される。その理由を述べる
と、塩化ビニル系樹脂の屈折率が1.51〜1.55で
あるのに対し、(メタ)アルリレート(A)の単独重合
体の屈折率は1.51未満であるので、両者の樹脂を混
合すると、混合された粒子の界面が乱反射するため、人
間には白く見え、透明性が減少する。従って、両者の樹
脂の屈折率をできる限り接近させるさせれば、両者の樹
脂の界面で、光の乱反射が減少し、透明性が向上する。
【0010】アクリル系共重合体の屈折率Nは、アクリ
ル系共重合体を構成する各モノマーの屈折率をN1 、N
2 、N3 ・・・とし、その重量分率をW1 、W2 、W3
・・・とすると、下記の式で計算できる。即ち、屈折率
N=N1 ×W1 +N2 ×W2 +N3 ×W3 ・・・ その為、アクリル系共重合体の屈折率は、モノマー組成
で効果的に制御することができる。
【0011】依って、本発明の塩化ビニル系グラフト共
重合樹脂に使用するアクリル系共重合体ラテックスは、
耐衝撃性を向上させると同時に透明性を向上させるため
に、(メタ)アルリレート(A)にラジカル重合性モノ
マー(B)を5〜70重量%配合することが必要であ
る。5重量%未満の場合は、屈折率が所定の範囲に到達
せず、透明性が悪くなるばかりか、機械的強度、耐衝撃
性ともに不充分となる。又、70重量%を超えると、得
られるアクリル系共重合体の弾性が減少し、充分な耐衝
撃性が得られない。
【0012】多官能性モノマー(以下、Cと記す)は、
アクリル系共重合体ラテックスの重合時や重合後に、水
中分散液でラテックスが合着するのを防止すると同時
に、該ラテックスを架橋して、塩化ビニル系グラフト共
重合樹脂の機械的強度と耐衝撃性を向上させる役割を有
する。
【0013】多官能性モノマー(C)としては、ジ(メ
タ)アルリレートとしては、例えば、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレート
としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】又、他の多官能性モノマーとしては、例え
ば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリル
フマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシ
アヌレートなどのジアリル又はトリアリル化合物、ジビ
ニルベンゼン、ブタジエンなどのジビニル化合物などが
挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、併用さ
れてもよい。
【0015】本発明に於いて、アクリル系共重合体ラテ
ックスは、(メタ)アルリレート(A)にラジカル重合
性モノマー(B)を配合した混合モノマー100重量部
に、多官能性モノマー(C)を0.1〜30重量部を混
合・共重合することが必要であり、好ましくは、0.3
〜8重量部である。多官能性モノマー(C)が0.1重
量部未満の場合は、アクリル系共重合体ラテックスの粒
子が塩化ビニル系グラフト共重合樹脂の中で、独立した
粒形を保てなくなり、耐衝撃性、透明性が低下する。
又、30重量部を超えると、過度の架橋が起こり、得ら
れる塩化ビニル系グラフト共重合体の耐衝撃性が得られ
なくなる。
【0016】上記のアクリル系共重合体ラテックスを得
る方法としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられる。これら
の中で、耐衝撃性が発現し易く、ラテックス粒子の制御
が容易である点から、乳化重合法が好ましい。
【0017】乳化重合に使用される乳化分散剤は、モノ
マーを水中で乳化させて、安定した粒子して重合をする
目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニ
オン系界面活性剤、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、セルロー
ス系分散剤、ゼラチン等が挙げられ、特に、アニオン系
界面活性剤のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルサルフェート(第一工業製薬社製、商品名「ハイテノ
ールN−08」)が好適に使用される。
【0018】乳化重合の重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等
の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。又、
上記乳化重合法では、必要に応じて、pH調節剤、酸化
防止剤等が添加されても良い。
【0019】乳化重合法には、モノマーの添加方法の相
違から、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴
下法の3つに大別される方法があるが、特に限定される
ものではない。一括重合法とは、例えば、ジャケット付
き重合反応容器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤、モ
ノマー類を一括して添加し、窒素ガスを導入して、酸素
を除去し、次に、窒素ガスで加圧して、十分攪拌して乳
化させ、しかる後に、ジャケットに熱媒体を導入して加
熱重合する方法である。
【0020】モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット
付き重合反応容器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を
入れ、窒素ガスを導入して、酸素を除去し、次に、窒素
ガスで加圧して、十分攪拌して乳化させ、しかる後に、
ジャケットに熱媒体を導入して反応容器を加熱して置い
て、モノマーを所定量ずつ滴下して徐々に重合する方法
である。
【0021】エマルジョン滴下法とは、モノマー、純
水、乳化分散剤を攪拌して十分に乳化することにより、
予め乳化モノマーを調製して置き、次いで、ジャケット
付き重合反応容器内に純水、重合開始剤を入れて攪拌
し、窒素ガスを導入して、酸素を除去し、次に、窒素ガ
スで加圧して、しかる後に、ジャケットに熱媒体を導入
して反応容器を加熱して置いて、乳化モノマーを所定量
ずつ滴下して重合する方法である。更に、エマルジョン
滴下法に於いて、重合初期に上記乳化モノマーの一部を
一括添加(以下、シードモノマーと呼ぶ)し、しかる後
に、残りの乳化モノマーを滴下する方法を用いれば、シ
ードモノマーの量を変化させることにより、ラテックス
の粒子径を容易に制御することができる。
【0022】アクリル系共重合体のラテックスの樹脂固
形分は、特に限定されるものではないが、ラテックスの
生産性、重合反応の安定性から考慮して、10〜60重
量%が好ましい。
【0023】アクリル系共重合体のラテックスの平均粒
子径は、0.001〜0.2μmであり、好ましくは、
0.01〜0.1μmである。上記の平均粒子径の範囲
は、塩化ビニル系グラフト共重合樹脂の透明性を向上さ
せるために重要であって、可視光線が、塩化ビニル系樹
脂の中にあるラテックス粒子によって散乱するのを抑え
る方法であって、レイリー、ミイー、回折散乱を考慮し
て、可視光線の波長の2分の1以下にされている。平均
粒子径が0.001μm未満の場合は、ラテックスの製
造が難しく、塩化ビニル系グラフト共重合体の耐衝撃性
が低下する傾向にある。又、0.1μmを超えると、塩
化ビニル系グラフト共重合樹脂の透明性が減少する。
【0024】アクリル系共重合体ラテックスには、ラテ
ックスの機械的安定性を向上させる目的で、ラテックス
重合反応終了後、所定量の保護コロイドが、適宜、添加
されても構わない。
【0025】アクリル系共重合体(ラテックスの固形
分)の塩化ビニル系グラフト共重合体に占める割合は、
特に、限定されるものではないが、1〜30重量%が好
ましく、さらに好ましくは、4〜10重量%である。1
重量%未満では、充分な耐衝撃性が得られず、30重量
%を超えると、曲げ強度や引張強度等の機械的強度が低
下する。
【0026】アクリル系共重合体ラテックスに、塩化ビ
ニル単独又は塩化ビニルを主成分とするモノマーをグラ
フト共重合させる方法に於いて、塩化ビニルを主成分と
するモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニルとこれ
と共重合可能なビニルモノマーとの混合物を意味し、共
重合可能なビニルモノマーは、通常公知のビニルモノマ
ーであって、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)ア
クリレート、アルキルビニルエーテル、エチレン、フッ
化ビニル、マレイミド等が挙げられ、これらの少なくと
も1種が使用される。
【0027】アクリル系共重合体ラテックスに、塩化ビ
ニル単独又は塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー
をグラフト共重合させる方法としては、特に、限定され
るものではないが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、
乳化重合法、懸濁重合法が挙げられるが、経済性、及び
得られる塩化ビニル系樹脂の熱安定性などの諸物性から
考慮して、懸濁重合法が好適である。懸濁重合法には、
分散剤及び油溶性重合開始剤が使用され、重合中に、重
合槽内に、スケールが付着するのを減少させるために、
アクリル系共重合体ラテックスに、凝集剤が添加されて
も良い。
【0028】分散剤としては、アクリル系共重合体の分
散安定性を向上させ、塩化ビニル単独又は塩化ビニルを
主成分とするビニルモノマーのグラフト重合を効果的に
行う目的で添加され、例えば、ポリ(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重
合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びその部
分鹸化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプ
ン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、
これらの少なくとも1種が使用される。
【0029】油溶性重合開始剤は、水溶性重合開始剤よ
りも該アクリル系共重合体に対する塩化ビニルのグラフ
ト効率が向上するという理由から選択され、例えば、ラ
ウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオ
クチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキ
シネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノ
エート等の有機パーオキサイド類、2,2−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。又、
懸濁重合法では、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止
剤などが添加されてもよい。
【0030】上記懸濁重合法の具体的な方法を例示する
と、攪拌機、ジャケットを備えた耐圧反応容器に、純
水、アクリル系共重合体ラテックス、分散剤、油溶性重
合開始剤及び水溶性増粘剤(保護コロイド)、必要に応
じて、重合調節剤を投入する。しかる後に、真空ポンプ
で反応容器内の空気を排除し、攪拌しながら、塩化ビニ
ル単独又は塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーを
投入し、反応容器をジャケットを通じて加熱し、重合を
開始させる。上記の重合反応は発熱を伴うので、ジャケ
ットの温度を調節することにより、反応温度が制御でき
る。反応終了後は、未反応の塩化ビニルなどのビニルモ
ノマーを除去して、スラリー状にし、更に脱水乾燥し
て、耐衝撃性の塩化ビニル系グラフト共重合樹脂が製造
される。
【0031】上記の塩化ビニル系グラフト共重合樹脂の
中のグラフトしていない塩化ビニル系樹脂の重合度は、
300〜2000が好ましく、更に好ましくは、400
〜1600である。重合度が300未満では、得られる
塩化ビニル系グラフト共重合樹脂の物性が充分得られ
ず、2000を超えると、成形時の流動性に乏しく、各
種成形に困難を生じる。
【0032】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合樹脂
は、成形する時に必要に応じて、熱安定剤、安定化助
剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、
顔料などが添加される。
【0033】熱安定剤としては、例えば、ジメチル錫メ
ルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカ
プト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマ
ー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリ
マー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポ
リマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜
燐酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−
亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カ
ドミウム系安定剤等が挙げられ、これらは単独で使用さ
れてもよいし、併用されてもよい。
【0034】安定化助剤としては、例えば、エポキシ化
大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化テトラヒドロ
フタレート、エポキシ化ポリブタジエン、燐酸エステル
等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、併
用されてもよい。
【0035】滑剤としては、例えば、モンタン酸ワック
ス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステ
アリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル
等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、併
用されてもよい。
【0036】加工助剤としては、例えば、重量平均分子
量10〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメ
タクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げ
られ、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート
共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメ
タクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げ
られ、これらは単独で使用されてもよいし、併用されて
もよい。
【0037】酸化防止剤としては、例えば、フェノール
系抗酸化剤等が挙げられる。光安定剤としては、例え
ば、サルチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾ
トリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤が挙げられ、これ
らは単独で使用されてもよいし、併用されてもよい。
【0038】充填剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、タルク等が挙げられる。顔料としては、例えば、ア
ゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の
有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・
セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙
げられる。
【0039】又、塩化ビニル系グラフト共重合樹脂に
は、成形時の加工性を向上させる目的で、可塑剤が添加
されても構わなく、例えば、ジブチルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアジペート等が挙げられる。
【0040】上記の各種添加剤を塩化ビニル系グラフト
共重合体に混合する方法としては、ホットブレンド、コ
ールドブレンドいずれでもよく、成形方法としては、押
出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形
法などが挙げらる。
【0041】(作用)本発明は、塩化ビニル系樹脂に耐
衝撃性を付与できるアクリル系共重合体の組成に於い
て、塩化ビニル系樹脂に分散させられる弾性成分のアク
リル系共重合体ラテックスを、屈折率と粒子径との2つ
の特性を制御して、可視光線が乱反射せずに、透過でき
るようにして、透明性と耐衝撃性とを共に発現せんとす
るものである。即ち、アクリル系共重合体の屈折率を、
共重合するモノマー組成を調整することにより、塩化ビ
ニル樹脂の屈折率に近づけ、この粒子が塩化ビニル系樹
脂に分散させられても、可視光線が粒子表面で反射しな
いようにしたのである(屈折率が全く同じであれば、可
視光線は、屈折も反射もせずに直進する)。
【0042】粒子径については、可視光線が透過しない
物質であっも、塩化ビニル系樹脂に分散させられる粒子
径が可視光線の波長の2分の1以下にすると、レイリー
散乱などが極めて少なくなり、可視光線が通過するよう
になる原理に基づき、ラテックスの重合技術を駆使し
て、粒子径を制御したのである。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明する為
に、実施例、比較例を挙げる。
【0044】実施例1〜4、6、7、比較例1、2 (1)アクリル系共重合体ラテックスの作製 表1に示された配合組成に従い、所定量の純水、乳化分
散剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアン
モニウムサルフェート)、(メタ)アルリレート及びそ
れと共重合可能なラジカル重合性モノマー、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート(以下、TMPTAとす
る)を混合、攪拌し、乳化モノマーを調整した。
【0045】次に、攪拌機と還流冷却器を備えた反応容
器に純水を入れ、容器内の酸素を窒素に置換した後、攪
拌しながら反応容器を70℃に昇温した。昇温が完了し
た後、反応容器に、過硫酸アンモニウム(以下、APS
とする)及び上記の乳化モノマーの30重量%をシード
モノマーとして一括して投入して、乳化重合を開始し
た。続いて、残りの乳化モノマーを反応器に滴下した。
全ての乳化混合モノマーの滴下を3時間で終了し、その
後、1時間の熟成期間を置いて、冷却して乳化重合を終
了して、固形分30重量%のアクリル系共重合体ラテッ
クス(以下、ラテックス又はARとする)を得た。
【0046】(2)塩化ビニル系グラフト共重合樹脂の
作製 攪拌機とジャケットを備えた反応容器に、表1に示すよ
うに、純水、上記ラテックス、部分鹸化ポリ酢酸ビニル
の3重量%水溶液、t−ブチルパーオキシネオデカノエ
ート、α−クミルパーオキシネオデカノエートとを一括
して投入した。しかる後に、真空ポンプで重合容器内の
空気を排出し、攪拌しながら塩化ビニルを投入し、反応
容器の温度を57℃に制御して重合を開始した。反応容
器の圧力が、7kg/cm2 まで低下したことで、反応
の終了を確認して、反応を停止した。
【0047】その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除
去し、更に、脱水乾燥して、塩化ビニル系グラフト共重
合樹脂の中の塩化ビニル樹脂の重合度が約1000の塩
化ビニル系グラフト共重合樹脂を得た。結果は表1に示
す。
【0048】
【表1】
【0049】実施例5 表1の配合組成に従い、シードモノマーの量を乳化モノ
マーの10重量%として重合を行った以外は、実施例1
と同様にして、塩化ビニル系グラフト共重合樹脂を作製
した。結果を表1に示す。
【0050】比較例3 表1の配合組成に従い、シードモノマーの量を乳化モノ
マーの2重量%として重合を行った以外は、実施例1と
同様にして、塩化ビニル系グラフト共重合樹脂を作製し
た。結果を表1に示す。
【0051】評価方法 (耐衝撃性)シャルピー衝撃試験を、JIS K711
1に準拠し、測定温度23℃で行った。試料は、塩化ビ
ニル系グラフト共重合樹脂100重量部に対し、有機錫
系安定剤0.5重量部、モンタン酸系滑剤1.0重量部
を混合した樹脂組成物を、200℃で3分間ロール混練
した後、200℃で3分間プレス成形して、得られた厚
さ3mmのプレス板より作製した。
【0052】(引張強度)温度23℃で、JIS K7
113に準拠して行った。試料は、上記シャルピー衝撃
試験に用いたプレス板より作製した。
【0053】(光線透明率)JIS K−6714に準
拠し、光線透明率の測定を行った。
【0054】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合樹
脂は、上述のように構成されているので、優れた透明性
と耐衝撃性を有し、引張強度、曲げ弾性率が低下せず
に、バランスの取れた性能を持っている。それ故に、こ
れを用いて得られる成形体は、透明性を生かした建材、
屋根材、防音壁、照明看板、サイディング材など広い範
囲の用途に利用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単独重合体のガラス転移温度が−140
    〜30°Cである少なくとも1種類の(メタ)アルリレ
    ートに、単独重合体の屈折率が1.51〜1.75であ
    る少なくとも1種類のラジカル重合性モノマーを5〜7
    0重量%配合した混合モノマー100重量部に、多官能
    性モノマーを0.1〜30重量部を混合・共重合して得
    られるアクリル系共重合体のラテックスであって、該共
    重合体の屈折率が1.51〜1.55で、且つ、ラテッ
    クスの平均粒子径が0.001〜0.2μmであるアク
    リル系共重合体ラテックスに、塩化ビニル単独又は塩化
    ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合
    することを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合樹
    脂。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100409072B1 (ko) * 2001-01-04 2003-12-11 주식회사 엘지화학 내충격성이 우수한 염화비닐계 수지의 제조방법
KR100431453B1 (ko) * 2001-08-11 2004-05-14 주식회사 엘지화학 내충격성이 우수한 염화비닐계 수지의 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100409072B1 (ko) * 2001-01-04 2003-12-11 주식회사 엘지화학 내충격성이 우수한 염화비닐계 수지의 제조방법
KR100431453B1 (ko) * 2001-08-11 2004-05-14 주식회사 엘지화학 내충격성이 우수한 염화비닐계 수지의 제조방법

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