建物11の柱15の間の壁面12に構築された耐震補強壁Wの一例を示す斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる補強壁構築方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、耐震補強壁Wの構築に使用する組み立てられた型枠10Aの一例を示す正面図であり、図3は、組み立てられた図2の型枠10Aの側面図である。図4は、一例として示す第1ランナー17およびスタッド19の部分拡大斜視図であり、図5は、一例として示す第2ランナー18およびスタッド19の部分拡大斜視図である。
図2,3では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図2のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図3のみ)で示す。図1,3では、コンクリート13に埋設された鉄筋の図示を省略している。図4では、スタッド19の上端部が第1ランナー17に嵌入した状態を二点鎖線で示し、図5では、スタッド19の下端部が第2ランナー18に嵌入した状態を二点鎖線で示す。
補強壁構築方法は、既設の建物11(建造物)の壁面12の前後方向前方へ所定寸法離間した位置に型枠10Aを組み立て、壁面12の外側にコンクリート13を増し打ちして新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wを作る。補強壁構築方法では、耐震補強壁Wを作る箇所に複数本の鉄筋(図示せず)を配筋するとともに型枠10Aを組み立て、壁面12と型枠10A(型枠パネル20a〜20c)との間の空間14にコンクリート13を打設する。打設したコンクリート13を所定期間養生した後、組み立てた型枠10Aを取り外す(分解する)ことで鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wが作られる。
なお、図1では、建物11の柱15の間に施設された既設の壁16の壁面12に耐震補強壁Wが構築された場合を図示しているが、補強壁構築方法では、柱15の間のみならず、型枠10A(後記する型枠10Bを含む)を利用することで、壁梁の間の壁や床スラブの間の壁等のあらゆる既設の壁の壁面に耐震補強壁Wを構築することができる。また、既設の壁には、外壁や耐力壁、間仕切り壁、垂れ壁、袖壁、腰壁等のあらゆる壁が含まれる。
型枠10Aは、第1ランナー17(第1横架材)および第2ランナー18(第2横架材)と、複数本のスタッド19(縦間材または縦間柱)と、複数枚の型枠パネル20a〜20cと、複数本の第1横架設柱21(第1横架設材)と、複数個のトラス構造物22(縦架設材)と、複数本の第2横架設柱23(第2横架設材)とから作られている。第1ランナー17は、壁面12から前後方向前方へ所定寸法離間した位置に設置されて横方向へ延びている。
第1ランナー17(第1横架材)は、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られ、建物11のスラブ底面24または梁底面24の正確に位置決めされた第1ランナー設置箇所(墨出し箇所)に着脱可能に取り付けられる。スラブ底面24や梁底面24に対する第1ランナー17の設置箇所(壁面12から前後方向前方への離間寸法)は、新設する耐震補強壁78の構造計算によって決定された厚み寸法によって異なる。第1ランナー17は、図4に示すように、固定板25と第1および第2側板26,27とから形成されている。
固定板25は、建物11のスラブ底面24または梁底面24の位置決めされた第1ランナー設置箇所に配置されて横方向へ直状に延びている。固定板25には所定の間隔で複数の緊結孔28が作られており、それら緊結孔28と建物11のスラブ底面24または梁底面24とに釘やボルト、ビス等の結合材29を打ち込むことで、固定板25(第1ランナー17)がスラブ底面24や梁底面24に強固に固定されている。第1側板26は、壁面12に対向して固定板25の一方の側縁から上下方向下方へ延出するとともに、横方向へ直状に延びている。第2側板27は、第1側板26の反対側に位置して固定板25の他方の側縁から上下方向下方へ延出するとともに、横方向へ直状に延びている。第2側板27には、それを貫通する緊結孔30が作られている。第2側板27は、その上下方向下方への延出寸法が第1側板26の上下方向下方へのそれよりも短い。
第2ランナー18(第2横架材)は、壁面12から前後方向前方へ所定寸法離間した位置に設置されて横方向へ延びている。第2ランナー18は、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られ、建物11の床面31の正確に位置決めされた第2ランナー設置箇所(墨出し箇所)に着脱可能に取り付けられる。床面31に対する第2ランナー18の設置箇所(壁面12から前後方向前方への離間寸法)は、第1ランナー17と同様に、新設する耐震補強壁78の構造計算によって決定された厚み寸法によって異なる。なお、スラブ底面24または梁底面24の第1ランナー設置箇所と床面31の第2ランナー設置箇所とが略正確に一致しており、第2ランナー18と第1ランナー17とが互いに並行に配置、固定されている。第2ランナー18は、図5に示すように、固定板32と第1および第2側板33,34とから形成されている。
固定板32は、建物11の床面31の位置決めされた第2ランナー設置箇所に配置されて横方向へ直状に延びている。固定板32には所定の間隔で複数の緊結孔35が作られており、それら緊結孔35と建物11の床面31とに釘やボルト、ビス等の結合材36を打ち込むことで、固定板32(第2ランナー18)が床面31に固定されている。第1側板33は、壁面12に対向して固定板32の一方の側縁から上下方向上方へ延出するとともに、横方向へ直状に延びている。第2側板34は、第1側板33の反対側に位置して固定板32の他方の側縁から上下方向上方へ延出するとともに、横方向へ直状に延びている。第2側板34には、それを貫通する緊結孔37が作られている。第1側板33と第2側板34とは、その上下方向下方への延出寸法が同一である。
スタッド19(縦間材または縦間柱)は、第1ランナー17と第2ランナー18との間に配置されて上下方向へ延びている。それらスタッド19は、第1ランナー17と第2ランナー18との間において横方向へ略等間隔離間して並んでいる。なお、図2では3本のスタッド19を図示しているが、スタッド19の本数に特に限定はなく、構築する耐震補強壁78の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用するスタッド19の本数が決定される。また、それらスタッド19が横方向へ略等間隔離間して並ぶ必要はなく、それらスタッド19が横方向へ異なる寸法離間して並んでいてもよい。
それらスタッド19は、図4,5に示すように、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の中空の金属管であるが、断面形状が四角形の金属柱、他の形状の金属管や金属柱、H型鋼やI型鋼、角型鋼材等を使用することもできる。スタッド19は、前板38および後板39と、前後板38,39の間に延びる両側板40,41とを有するとともに、第1ランナー17に支持される上端部41と、第2ランナー18に支持される下端部43とを有する。前板38は、第1ランナー21に対向し、後板39は、建物11の壁面12に対向する。上端部42における前板38には、それを貫通する緊結孔44が作られている。下端部43における前板38には、それを貫通する緊結孔45が作られている。後板39には、横方向へ延びる一対の支持板46が設置されている。支持板46は、それら縦間柱39の間に配置された型枠パネル20a〜20cの壁面12の側への倒れ込みを防止する。
なお、それらスタッド19では、後板39と支持板46とが一体になっているが、別部材の支持板が後板39に着脱可能に設置される場合もある。この場合、支持板としてL形アングルを用意し、一方のアングルの固定板をスタッド19の一方の側板40に固定(アジャスターボルトや溶接による固定)するとともに、他方のアングルの固定板をスタッド19の他方の側板41に固定(アジャスターボルトや溶接による固定)し、それらアングルの自由板を後板39から横方向へ延出させることで、アングルの自由板を支持板46として利用する。
それらスタッド19は、図4に二点鎖線で示すように、その上端部42の前後板38,39および両側板40,41が第1ランナー17の固定板25と第1および第2側板26,27の間に嵌入し、図5に二点鎖線で示すように、その下端部43の前後板38,39および両側板40,41が第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板33,34の間に嵌入する。第1ランナー17の第2側板27に穿孔された緊結孔30と上端部42における前板38に穿孔された緊結孔44とにボルトやビス等の結合材47が螺着されることで、スタッド19の上端部42が第1ランナー17に固定(支持)される。第2ランナー18の第2側板34に穿孔された緊結孔37と下端部43における前板38に穿孔された緊結孔45とにボルトやビス等の結合材47が螺着されることで、スタッド19の下端部43が第2ランナー18に固定(支持)される。
なお、それらスタッド19の上下端部42,43が結合材47を介して第1および第2ランナー17,18に固定されることなく、スタッド19の上端部42が第1ランナー17の固定板25と第1および第2側板26,27の間に嵌入し、上端部42が第1ランナー17に横方向へ摺動可能に支持されているとともに、スタッド19の下端部43が第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板33,34の間に嵌入し、下端部43が第2ランナー18に横方向へ摺動可能に支持されていてもよい。
それらスタッド19の前壁38には、上下方向へ所定間隔離間して並ぶ複数個の支持金具48が設置されている。それら支持金具48は、第1横架設柱21を支持する金属製の支持座49と、支持座49を着脱可能に支持する受け座50とから形成されている。支持座49は、受け座50に挿脱可能に挿入される挿入部51と、挿入部51の上端縁から前後方向前方へ延出する載置部52と、載置部52の前端縁から上下方向上方へ延出する押さえ部53とから形成されている。
受け座50は、前後方向へ延びる一対の脚部54と、それら脚部54の間に延びる支え部55とから形成されている。脚部54の一部が前壁38に溶接によって固定され、前壁38と脚部54と支え部55とに囲繞された収容スペース56が画成されている。支持金具48では、図4,5に矢印で示すように、支持座49の挿入部51を収容スペース56に収容すると、支持座49の載置部52が受け座50の支え部55に当接し、支持座49が受け座50に支持される。なお、スタッド19の前壁38に設置される支持金具48(受け座50)の個数に特に限定はない。
図6は、一例として示す型枠パネル20a〜20cの斜視図であり、図7は、図6の7−7線端面図である。図8は、第1ランナー17、スタッド19、型枠パネル20a〜20c、第1横架設柱21の部分拡大斜視図であり、図9は、第2ランナー18、スタッド19、型枠パネル20a〜20c、第1横架設柱21の部分拡大斜視図である。図8では、スタッド19の上端部42が第1ランナー17に嵌入した状態にあるとともに、第1横架設柱21が支持金具48に支持された状態にある。図9では、スタッド19の下端部43および型枠パネル20cが第2ランナー18に嵌入した状態にあるとともに、第1横架設柱21が支持金具48に支持された状態にある。
それら型枠パネル20a〜20cは、所定の厚み寸法および所定面積を有する平面形状が四角形の板状に成型されている。型枠パネル20a〜20cは、壁面12に対向する対向面57と、対向面57の反対側に位置して第1横架設柱21に対向する正面58と、上下面59,60および両側面61,62とを有する6面体である。なお、それら型枠パネル20a〜20cの上下方向の寸法や横方向の寸法、厚み寸法に特に限定はなく、構築する耐震補強壁78の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によってパネル20a〜20cの各寸法が決定される。また、それら寸法の異なる各種複数のパネル20a〜20cを用意し、型枠10Aを組み立てる際にそれらを適宜組み合わせて使用することもできる。
それら型枠パネル20a〜20cは、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等から作られている。それら型枠パネル20a〜20cには、図6,7に示すように、その6面57〜62(外周面)にイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂63(合成樹脂)が塗布(スプレー塗布)されている。それら型枠パネル20の6面57〜62には、硬化したポリウレア樹脂63による所定厚みの平滑な被膜層が形成されている。型枠パネル20a〜20cの6面57〜62に塗布されたポリウレア樹脂63によって6面57〜62の凹凸が修正され、6面57〜62が平滑に加工されている。
それら型枠パネル20a〜20cは、6面57〜62における摩擦抵抗が大幅に低下し、養生後のコンクリート13が6面57〜62に付着することなく、コンクリート13に対する離型が容易である。さらに、硬化したポリウレア樹脂63によって形成された被膜層により、パネル20a〜20cの曲げ強度が大幅に増加し、パネル20a〜20c0を上下方向へ重ねたときのその座屈や破損が防止されるのみならず、パネル20a〜20cの曲がり変形が防止される。なお、型枠パネル20a〜20cは、強化プラスチックや透明な合成樹脂の板、木材から作られていてもよい。この場合においても、その6面57〜62にポリウレア樹脂63が塗布されることが好ましい。また、型枠パネル20a〜20cには、ポリウレア樹脂63ではなく、6面57〜62を平滑にすることが可能であれば、他の熱可塑性合成樹脂(ポリウレタンやポリスチレン、強化プラスチック用塗料等)や熱硬化性合成樹脂を塗布することもできる。
それら型枠パネル20a〜20cは、第1および第2ランナー17,18とスタッド19との間に挿脱可能に嵌入し、上下方向へ並んでいる。型枠パネル20aが横方向へ隣接するスタッド19の間において型枠10Aの最上部に位置し、パネル20bが型枠10Aの中間部に位置するとともに、パネル20cが型枠10Aの最下部に位置するように、3枚のパネル20a〜20cが型枠10Aに嵌め込まれている。型枠10Aの最上部に位置する型枠パネル20aは、対向面57が壁面12に対向するとともに、第1ランナー17の第1側板26とスタッド19に設置された支持板46とに当接(密着)し、側面61,62がスタッド19の側板40,41に当接(密着)し、その下面60が中間部に位置するパネル20bの上面59に当接(密着)する。
中間部に位置する型枠パネル20bは、対向面57が壁面12に対向するとともに、スタッド19に設置された支持板46に当接(密着)し、側面61,62がスタッド19の側板40,41に当接(密着)し、その下面60が最下部に位置するパネル20cの上面59に当接(密着)する。最下部に位置する型枠パネル20cは、対向面57が壁面12に対向するとともに、スタッド19に設置された支持板46に当接(密着)し、側面61,62がスタッド19の側板40,41に当接(密着)する。なお、上下方向へ並ぶパネル20a〜20cの枚数に特に限定なく、構築する耐震補強壁78の各寸法に合わせて枚数を適宜決定する。
型枠パネル20a〜20cは、それらランナー17,18およびそれらスタッド19に支持されるとともに、スタッド19に設置された支持板46に支持されることで、壁面12の側への倒れ込みが防止される。型枠10Aの最上部に位置する型枠パネル20aは、その上端部が第1ランナー17の第1側板26に支持され、パネル20aの壁面12の側への倒れ込みが防止される。最下部に位置する型枠パネル20cは、その下端部が第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板の間に嵌入し、パネル20cの下端部が第2ランナー18に支持され、パネル20cの壁面12の側への倒れ込みが防止される。
型枠パネル20aには、壁面12とパネル20a〜20cとの間の空間14にコンクリート13を打設する(流入させる)ための供給口64が作られている。供給口64では、パネル20aが四角形にくり抜かれ、そこに金属製の口筒を有する四角形の鉄板が固定されている。それら型枠パネル20a,20cには、空間14にコンクリート13を打設するときに、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認可能な四角形の確認窓65が作られている。確認窓65では、パネル20cが四角形にくり抜かれ、そこに透明な四角形の合成樹脂板が嵌め込まれている。
それら第1横架設柱21(第1横架設材)には、図8,9に示すように、断面形状が四角形の木材が使用されているが、他の形状の木材を使用することもでき、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の中空の金属管や他の形状の中空の金属管を使用することもできるとともに、H型鋼やI型鋼、角型鋼材等の鋼材を使用することもできる。第1横架設柱21は、型枠パネル20a〜20cの前後方向前方に位置しつつそれらスタッド17に設置された支持金具48に支持されて横方向へ直状に延びている。それら第1横架設柱21は、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。第1横架設柱21を支持座49の載置部52と押さえ部53との間に嵌め込むと、第1横架設柱21が載置部52に載置され、その外周面が載置部52と押さえ部53とに当接するとともに、パネル20a〜20cの正面58に当接し、それら第1横架設柱21がパネル20a〜20cと支持金具48とによって支持される。それら第1横架設柱21は、1枚の型枠パネル20a〜20cに対して3本のそれらが設置され、3本のうちの1本がパネル20a〜20cの上下方向中央部に位置し、3本のうちの2本がパネル20a〜20cの上下方向両端部に位置している。
それら第1横架設柱21は、それら支持金具48によって空間14にコンクリート13を打設したときのパネル20a〜20cの外面に対する当接状態が維持される。したがって、それら第1横架設柱21とそれら支持金具48とにより、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるパネル20a〜20cの前後方向前方への膨隆が押さえられ、パネル20a〜20cの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止される。また、それら支持金具48により、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるそれら第1横架設柱21の型枠10Aからの脱落が防止される。
トラス構造物22(縦架設材)は、それら第1横架設柱21の前後方向前方に位置して上下方向へ直状に延びている。それらトラス構造物22は、横方向へ略等間隔離間して並んでいる。なお、図2では3個のトラス構造物22を図示しているが、トラス構造物22の個数について特に限定はなく、構築する耐震補強壁78の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用するトラス構造物22の個数が決定される。また、トラス構造物22の他に、縦架設材として、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の金属柱や他の形状の金属柱を使用することもできるとともに、H型鋼や角型鋼管(コラム)、I型鋼、C型鋼、溝型鋼等の鋼材を使用することもできる。
トラス構造物22は、第1横架設柱21の外周面に当接して上下方向へ直状に延びる第1垂直材66と、第1垂直材66から前後方向前方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材67と、第1垂直材66と第2垂直材67との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材68と、トラス構造物22の高さ寸法を調節可能な寸法調節材69とから作られている。トラス構造物22では、第1垂直材66とトラス材68とがボルトおよびナットによって連結され、第2垂直材67とトラス材68とがボルトおよびナットによって連結されている。
トラス構造物22では、その上端部70(寸法調節材69の後記する固定端部75)が所定の固定手段を介して建物11のスラブ底面24または梁底面24に固定されている。また、トラス構造物22の下端部71(第1垂直材66の下端部)が所定の固定手段を介して建物11の床面31に固定されている。固定手段の具体例としては、アングル72、アンカーボルト73、アジャスターボルト74が使用されている。
スラブ底面24または梁底面24の正確に位置決めされたトラス固定箇所(墨出し箇所)に横方向へ並ぶアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72をトラス固定箇所に強固に固定する。床面31の位置決めされたトラス固定箇所(墨出し箇所)に横方向へ並ぶアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72をトラス固定箇所に強固に固定する。スラブ底面24または梁底面24のトラス固定箇所と床面31のトラス固定箇所とが略正確に一致している。
次に、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と寸法調節材69の固定端部75に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着して固定端部75をアングル72に強固に固定する。さらに、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と第1垂直材66の下端部に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着して第1垂直材66の下端部をアングル72に強固に固定する。なお、第1垂直材66の上端部の寸法調節材69の開口部76に対する固定位置(固定ボルトおよびナットによって第1垂直材66の上端部を寸法調節材69の開口部76に固定)を調節することにより、開口部76の長さ寸法の限度でトラス構造物22の上下方向の高さ寸法を調節することができる。型枠10Aは、寸法調節材69によってトラス構造物22の上下方向の寸法を調節することができ、トラス構造物22の上下方向の寸法を建物11の壁面12の高さ寸法に一致させることができる。
トラス構造物22の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル72に寸法調節材69の固定端部75や第1垂直材66の下端部を固定すると、第1垂直材75が各第1横架設柱21に当接する。したがって、それらトラス構造物22により、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるそれら型枠パネル20およびそれら第1横架設柱21の前後方向前方への膨隆が押さえられ、型枠パネル20や第1横架設柱21の前後方向前方への変形が防止されるとともに、積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止される。
第2横架設柱23(第2横架設材)は、トラス構造物22の前後方向前方に位置しつつトラス構造物22に固定されて横方向へ直状に延びている。それら第2横架設柱23は、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。なお、図2では2本の第2横架設柱23を図示しているが、第2横架設柱23の本数に特に限定はなく、構築する耐震補強壁78の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用する第2横架設柱23に本数が決定される。
それら第2横架設柱23は、図2,3に示すように、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が円形の中空の金属筒であるが、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の中空の金属管を使用することもできるとともに、H型鋼やI型鋼、角型鋼材等の鋼材を使用することもできる。第2横架設柱23は、固定金具77を介してトラス構造物22の第2垂直材67に強固に固定されている。それら第2横架設柱23により、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるそれらトラス構造物22の前後方向前方への膨隆が押さえられ、トラス構造物22の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
図10は、耐震補強壁Wの構築(施工)手順の一例を示す図であり、図11は、図10から続く耐震補強壁Wの構築手順を示す図である。図12は、図11から続く耐震補強壁Wの構築手順を示す図であり、図13は、図12から続く耐震補強壁Wの構築手順を示す図である。補強壁構築方法は、位置決め工程、ランナー固定工程(横架材固定工程)、スタッド設置工程(縦間材設置工程)、パネル設置工程、第1横架設柱固定工程(第1横架設材固定工程)、トラス構造物固定工程(縦架設材固定工程)、第2横架設柱固定工程(第2横架設材固定工程)の各工程を順番に実施することで型枠10Aを組み立てた後、コンクリート打設工程、型枠取り外し工程の各工程を順番に実施することによって耐震補強壁Wを作る。なお、図10は、ランナー固定工程が完了した状態を示し、図11は、スタッド設置工程が完了した状態を示す。図12は、パネル設置工程が完了した状態を示し、図13は、第1横架設柱固定工程が完了した状態を示す。図10,11では鉄筋の図示を省略している。
位置決め工程では、建物11の底面24または梁底面24に対する第1ランナー17(第1横架材)の第1ランナー固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床面31に対する第2ランナー18(第2横架材)の第2ランナー固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)する。スラブ底面24や梁底面24における第1ランナー17の固定箇所は、壁面12から前後方向前方へ離間した箇所であり、その固定箇所に横方向へ延びる第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。床面31における第2ランナー18の固定箇所は、壁面12から前後方向前方へ離間した箇所であり、その固定箇所に横方向へ延びる第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。なお、第1ランナー固定箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法と第2ランナー固定箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法とは同一である。
底面24または梁底面24に第1ラインを引くとともに、床面31に第2ラインを引いた後、図示はしていないが、空間14(壁面12と第1および第2ラインとの間)に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)を配筋する。空間14に鉄筋を配筋した後、ランナー固定工程を行う。ランナー固定工程では、図10に示すように、スラブ底面24または梁底面24の第1ランナー固定箇所に第1ランナー17を設置・固定するとともに、床面31の第2ランナー固定箇所に第2ランナー18を設置・固定する。なお、空間14への鉄筋の配筋は、第1および第2ランナー17,18を設置した後(ランナー固定工程の後)に行ってもよい。
ランナー固定工程(横架材固定工程)では、第1ランナー17が第1ライン上に正確に位置するように、第1ランナー17の固定板25を第1ラインに配置し、固定板25の緊結孔28と建物11のスラブ底面24または梁底面24とに釘やボルト、ビス等の結合材29を打ち込み、固定板25(第1ランナー17)をスラブ底面24や梁底面24に固定する。第2ランナー18が第2ライン上に正確に位置するように、第2ランナー18の固定板32を第2ラインに配置し、固定板32の緊結孔35と建物11の床面31とに釘やボルト、ビス等の結合材36を打ち込み、固定板32(第2ランナー18)を床面31に固定する。
第1ランナー17を第1ランナー固定箇所に固定するとともに、第2ランナー18を第2ランナー固定箇所に固定した後、スタッド設置工程を行う。スタッド設置工程(縦間材設置工程)では、上下方向へ延びる複数本のスタッド19(縦間材)を第1および第2ランナー17,18の間に設置する。それらスタッド19の上端部42を第1ランナー17の固定板25と第1および第2側板26,27の間に嵌入した後、第1ランナー17の緊結孔30とスタッド19の緊結孔44とにボルトやビス等の結合材47を螺着してスタッド19の上端部42を第1ランナー17に固定する。それらスタッド19の下端部43を第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板33,34の間に嵌入した後、第2ランナー18の緊結孔37とスタッド19の緊結孔45とにボルトやビス等の結合材47を螺着してスタッド19の下端部43を第2ランナー18に固定する。
スタッド19を第1および第2ランナー17,18の間に設置すると、図11に示すように、それらスタッド19が上下方向へ直状に延びるとともに、それらスタッド19が横方向へ略等間隔で並ぶ。なお、図11の左方に位置するスタッド19は、その支持板46が建物11の柱15に当接し、図11の右方に位置するスタッド19は、その支持板46が建物11の柱15に当接している。それらスタッド19のそれぞれには、上下方向へ並ぶ9個の支持金具48が取り付けられている。それら支持金具48は、図4,5に示すように、支持座49と受け座50とから形成されている。スタッド19では、支持座49の挿入部51が収容スペース56に収容され、支持座49の載置部52が受け座50の支え部55に当接し、支持座49が受け座50に支持されている。
スタッド19を第1および第2ランナー17,18の間に設置した後、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、図11の左方に位置するスタッド19と中央に位置するスタッド19との間に3枚の型枠パネル20a〜20cをパネル20c→パネル20b→パネル20aの順に嵌入させ、それらパネル20a〜20cを上下方向に並べる。さらに、図11の右方に位置するスタッド19と中央に位置するスタッド19との間に3枚の型枠パネル20a〜20cをパネル20c→パネル20b→パネル20aの順に嵌入させ、それらパネル20a〜20cを上下方向に並べる。なお、型枠パネル20aには、壁面12とパネル20a〜20cとの間の空間14にコンクリート13を打設するための供給口64が作られている。また、型枠パネル20a,20cには、空間14にコンクリートを打設するときに、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認可能な確認窓65が作られている。
スタッド19の間にそれらパネル20a〜20cを嵌入すると、パネル20a〜20cの対向面57がスタッド19の支持板46に当接し、側面61,62がスタッド19の側板40,41に当接する。図12に示すように、最下部に位置する型枠パネル20cの下端部が第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板の間に嵌入し、パネル20cの上面59が中間部に位置するパネル20bの下面60に当接し、パネル20cとパネル20bとが上下方向へ重なり合う。中間部に位置するパネルの上面59が最上部に位置するパネル20aの下面60に当接し、パネル20bとパネル20aとが上下方向へ重なり合う。さらに、それらパネル20a〜20cの1組とそれらパネル20a〜20cの1組とが横方向へ並ぶ。第1ランナー17の第2側板27の下方への延出寸法が第1側板26のそれよりも短いから、第1および第2ランナー17,18の間にパネル20a〜20cを容易に設置することができるのみならず、第1ランナー17の第1側板26にパネル20aが支持されるから、パネル20aの壁面12の側への倒れ込みを防ぐことができる。
スタッド19の間に型枠パネル20a〜20cを嵌入した後、第1横架設柱固定工程を行う。第1横架設柱固定工程では、横方向へ延びる複数本の第1横架設柱21をそれらスタッド19に設置・固定する。第1横架設柱固定工程(第1横架設材固定工程)では、それら第1横架設柱21(第1横架設材)を支持座49の載置部52と押さえ部53との間に嵌め込む。それら第1横架設柱21を支持座49の載置部52と押さえ部53との間に嵌め込むと、第1横架設柱21が載置部52に載置され、その外周面が載置部52と押さえ部53とに当接するとともに、パネル20の正面58に当接し、それら第1横架設柱21がパネル20と支持金具48とによって支持される。
全ての第1横架設柱21をスタッド19に設置すると、図13に示すように、型枠パネル20a〜20cに対してそれぞれ3本の第1横架設柱21が配置され、3本のうちの1本がパネル20a〜20cの上下方向中央部に位置するとともに、3本のうちの2本がパネル20a〜20cの上下方向両端部に位置する。それら第1横架設柱21とそれら支持金具48とによってそれら型枠パネル20a〜20cの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止される。
図14は、図13から続く耐震補強壁Wの構築手順を示す図であり、図15は、図14の側面図である。図16は、図14から続く耐震補強壁Wの構築手順を示す図であり、図17は、図16の側面図である。図18は、コンクリート13の打設状態を示す図17と同様の側面図である。なお、図16は、トラス構造物固定工程が完了した状態を示し、図18は、第2横架設柱固定工程が完了した状態を示す。図15,17,18では鉄筋の図示を省略している。
第1横架設柱21をスタッド19に設置した後、トラス構造物固定工程を行う。トラス構造物固定工程(縦架設材固定工程)では、図14〜17に示すように、上下方向へ延びる複数個のトラス構造物22(縦架設材)をそれら第1横架設柱21の前後方向前方に設置・固定する。最初に、建物11の底面24または梁底面24に対するトラス構造物22(アングル72)のトラス固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床面31に対するトラス構造物22(アングル72)のトラス固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)する。
スラブ底面24や梁底面24におけるトラス構造物22の固定箇所は壁面12から前後方向前方へ離間した箇所(第1ランナー固定箇所から前後方向前方へわずかに離間した箇所)であり、その固定箇所に横方向へ延びる第3ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。床面31におけるトラス構造物22の固定箇所は壁面12から前後方向前方への離間した箇所(第2ランナー固定箇所から前後方向前方へわずかに離間した箇所)であり、その固定箇所に横方向へ延びる第4ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。なお、面24におけるトラス構造物22の固定箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法および面31におけるトラス構造物22の固定箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法は同一である。
トラス構造物固定工程では、スラブ底面24または梁底面24の位置決めされたトラス固定箇所に横方向へ並ぶアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、トラス構造物22の上端部70が第3ライン上に正確に位置するように、アングル72を第3ラインに配置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72をスラブ底面24または梁底面24におけるトラス固定箇所に強固に固定する。
また、床面31の位置決めされたトラス固定箇所に横方向へ並ぶアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、トラス構造物22の下端部71が第4ライン上に正確に位置するように、アングル72を第4ラインに配置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72を床面31におけるトラス固定箇所に強固に固定する。
次に、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と第1垂直材66の下端部に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着して第1垂直材66の下端部をアングル72に強固に固定する。トラス構造物22の上下方向の高さ寸法を調節するために、第1垂直材66の上端部の寸法調節材69の開口部76に対する固定位置を決める。固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材66の上端部を寸法調節材69の開口部76に強固に固定する。第1垂直材66の上端部と寸法調節材69とは固定ボルトおよびナットを介して固定される。さらに、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と寸法調節材69の固定端部75に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着して寸法調節材69の固定端部75をアングル72に強固に固定する。
トラス構造物22の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル72に第1垂直材66の下端部や寸法調節材69の固定端部75を固定すると、トラス構造物22の第1垂直材75が各第1横架設柱21に当接する。それらトラス構造物22によって型枠パネル20や第1横架設柱21の前後方向前方への変形が防止されるとともに、積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止される。
それら第1横架設柱21の前方にそれらトラス構造物22を設置した後、第2横架設柱固定工程を行う。第2横架設柱固定工程(第2横架設材固定工程)では、図18に示すように、横方向へ延びる複数本の第2横架設柱23(第2横架設材)を上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれらトラス構造物22の前後方向前方に設置・固定する。第2横架設柱固定工程では、固定金具77を介して第2横架設柱23をトラス構造物22の第2垂直材67に強固に固定する。それら第2横架設柱23によってトラス構造物22の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
位置決め工程、ランナー固定工程、スタッド設置工程、パネル設置工程、第1横架設柱固定工程、トラス構造物固定工程、第2横架設柱固定工程が完了すると、図1に示す型枠10Aが完成し、壁面12と型枠10A(型枠パネル20a〜20c)との間にコンクリート13を打設する空間14が形成される。なお、図示はしていないが、空間14にコンクリート13を打設するときの空間14に存在する空気を外部に逃がす空気孔がいずれかの型枠パネル20aに形成されている。型枠10Aを組み立てた後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、図18に示すように、型枠パネル20aに形成された供給口64から空間14にコンクリート13を打設する。空間14へのコンクリート13の打設は、図示はしていないが、コンクリートミキサーから延びるホースをパネル20aの供給口64に接続し、供給口64から空間14にコンクリート13を圧入する。空間14の空気は、型枠パネル16aの空気孔から外部に排気される。コンクリート打設工程では、確認窓65から空間14を視認しつつ、確認窓65を利用して空間14へのコンクリート13の打設状態を判断しながら、コンクリート13の打設作業が行われる。
コンクリート打設工程において、型枠パネル20aに作られた供給口64を利用することで、コンクリート13を空間14に容易に打設することができ、建物11の壁面12にコンクリート13を容易に増し打ちすることができる。また、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認窓65から確認することができるから、空間14全域にコンクリート13を確実に打設することができ、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができる。
コンクリート打設工程によってコンクリート13を空間14に打設すると、空間14に進入したコンクリート13の側圧が型枠パネル20a〜20cに作用する。コンクリート13の側圧がそれらパネル20a〜20cに作用すると、各パネル20a〜20cが前後方向前方へ膨隆しようとするが、それら第1横架設柱21によって各パネル20a〜20cの膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるパネル20a〜20cの変形や積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止される。また、コンクリート13の側圧によって第1横架設柱21が前後方向前方へ膨隆しようとするが、それらトラス構造物22によって各第1横架設柱21の変形が防止される。さらに、コンクリート13の側圧によってそれらトラス構造物22が前後方向前方へ膨隆しようとするが、それら第2横架設柱23によって各トラス構造物22の膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるトラス構造物22の変形や撓みが防止される。
耐震補強壁構築方法では、型枠10Aの各第1横架設柱21および各第2横架設柱23が型枠パネル20a〜20cに対する横方向の押さえになるとともに、各トラス構造物22がパネル20a〜20cに対する上下方向の押さえになり、空間14に打設されたコンクリート13の側圧が各パネル20a〜20cに作用したとしても、パネル20a〜20cが曲がることはなく、パネル20a〜20cの直状状態を維持することができる。さらに、それらパネル20a〜20cの6面58〜62にポリウレア樹脂63が塗布され、硬化したポリウレア樹脂63によってパネル20自体の曲げ強度が大幅に増加しているから、コンクリート13の側圧が各パネル20a〜20cに作用したとしても、パネル20a〜20cが曲がることはなく、パネル20a〜20cの直状(垂直)状態を維持することができる。
空間14にコンクリート13を打設した後、コンクリート13を所定期間養生する。コンクリート13の養生期間が経過した後、型枠取り外し工程を行う。型枠取り外し工程では、トラス構造物22の第2垂直材67から固定金具77を外し、トラス構造物22からそれら第2横架設柱23を取り外す。第2横架設柱23を取り外した後、アングル72のボルト螺着孔および寸法調節材69の固定端部75のボルト螺着孔からアジャスターボルト74を取り外し、寸法調節材69の固定端部75とアングル72との固定を解除するとともに、アングル72のボルト螺着孔および第1垂直材66の下端部のボルト螺着孔からアジャスターボルト74を取り外し、第1垂直材66の下端部とアングル72との固定を解除し、第1横架設柱21からそれらトラス構造物22を取り外す。
トラス構造物22を取り外した後、床面31のトラス固定箇所に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルト73を抜き取り、床面31とアングル72との固定を解除するとともに、スラブ底面24または梁底面24のトラス固定箇所に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルト73を抜き取り、スラブ底面24や梁底面24とアングル72との固定を解除する。
アングル72を取り外した後、それら第1横架設柱21を支持座49の載置部52と押さえ部53との間から抜き取り、全ての第1横架設柱21を縦間柱19から取り外す。第1横架設柱21を取り外した後、縦間柱19の間からそれら型枠パネル20a〜20cを取り外す。パネル20a〜20cの6面58〜62にはポリウレア樹脂63が塗布され、6面58〜62の摩擦抵抗が大幅に低下しているから、養生後の硬化したコンクリート13がパネル20a〜20cの対向面57に付着することなく、コンクリート13からパネル20a〜20cを容易に取り外すことができる。また、第1ランナー17の第2側板27の下方への延出寸法が第1側板26のそれよりも短く、パネル20aが第1ランナー17に食い込んでランナー17に固定されることがないから、第1および第2ランナー17,18からそれらパネル20a〜20cを容易に取り外すことができる。
型枠パネル20a〜20cを取り外した後、第1ランナー17の緊結孔30およびスタッド19の緊結孔44から結合材47を抜き取り、第2ランナー18の緊結孔37およびスタッド19の緊結孔45から結合材47を抜き取って第1および第2ランナー17,18とスタッド19との固定を解除する。次に、それらスタッド19を第1および第2ランナー17,18から取り外す。
スタッド19を第1および第2ランナー17,18から取り外した後、第1ランナー17をスラブ底面24や梁底面24から取り外すとともに、第2ランナー18を床面31から取り外す。第1ランナー17の緊結孔28およびスラブ底面24や梁底面24から結合材29を抜き取ってスラブ底面24や梁底面24と第1ランナー17との固定を解除する。第2ランナー18の緊結孔35および床面31から結合材36を抜き取って床面31と第2ランナー18との固定を解除する。型枠10Aを形成する全ての部材を取り外し、組み立てた型枠10Aを取り外す(分解する)ことで、図1に示す新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wが作られる。
耐震補強壁構築方法では、第1横架設柱21(第1横架設材)とトラス構造物22(縦間材)と第2横架設柱23(第2横架設材)とを利用することで、建物11の壁面12と型枠パネル20a〜20cとの間の空間14に打設されたコンクリート14の側圧が型枠10Aに作用したとしても、パネル20a〜20cが変形することはなく、コンクリート13の側圧に対して型枠10Aが十分に耐えることができるとともに、建物11の壁面12とパネル20a〜20cとの並行状態を維持することができるから、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができ、既設の壁16の外側に構造計算された設計どおりの新たな耐震補強壁Wを作ることができる。
補強壁構築方法は、型枠10Aを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく型枠10Aを組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に耐震補強壁Wを構築することができる。また、補強壁構築方法は、型枠10Aを組み立てる際に空間14にセパレータを設置する必要がないことから、空間14に配筋された鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)がセパレータの設置の邪魔になることはなく、空間14に自由に鉄筋を配筋することができ、強固な鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wを作ることができる。
図19は、補強壁方法に使用する組み立てられた型枠10Bの他の一例を示す正面図であり、図20は、組み立てられた図19の型枠10Bの側面図である。図19,20では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図19のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図20のみ)で示す。図20では、コンクリート13に埋設された鉄筋の図示を省略している。
型枠10Bを使用した補強壁構築方法は、型枠10Aを使用した補強壁構築方法と同様に、位置決め工程、ランナー固定工程(横架材固定工程)、スタッド設置工程(縦間材設置工程)、パネル設置工程、第1横架設柱固定工程(第1横架設材固定工程)、トラス構造物固定工程(縦架設材固定工程)、第2横架設柱固定工程(第2横架設材固定工程)の各工程を順番に実施することで型枠10Bを組み立てた後、コンクリート打設工程、型枠取り外し工程の各工程を順番に実施することによって耐震補強壁Wを作る。
なお、型枠10Bが型枠10Aと異なるところは、型枠パネル20cに対する第1横架設柱21の設置本数がパネル20cの上方に位置するパネル20bに対する第1横架設柱21のそれよりも多く、型枠パネル20bに対する第1横架設柱21の設置本数がパネル20bの上方に位置するパネル20aに対する第1横架設柱21のそれよりも多い点にある。さらに、パネル20aの前方に第2横架設柱23が設置され、パネル20bの前方に第2横架設柱23が設置されているとともに、パネル20cの前方に第2横架設柱23が設置されている点にある。なお、この型枠10Bにおけるその他の構成は図1のそれと同一であるから、図1の型枠10Aの説明を援用することで、この型枠10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。
位置決め工程では、底面24または梁底面24に対する第1ランナー17(第1横架材)の第1ランナー固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)し、その固定箇所に横方向へ延びる第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。床面31に対する第2ランナー18(第2横架材)の第2ランナー固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)し、その固定箇所に横方向へ延びる第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。底面24または梁底面24に第1ラインを引くとともに、床面31に第2ラインを引いた後、空間14に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)を配筋する。空間14に鉄筋を配筋した後、ランナー固定工程を行う。
ランナー固定工程では、第1ランナー17が第1ライン上に正確に位置するように、第1ランナー17の固定板25を第1ラインに配置し、固定板25の緊結孔28とスラブ底面24または梁底面24とに結合材29を打ち込み、固定板25(第1ランナー17)をスラブ底面24や梁底面24に設置・固定する。第2ランナー18が第2ライン上に正確に位置するように、第2ランナー18の固定板32を第2ラインに配置し、固定板32の緊結孔35と床面31とに釘やボルト、ビス等の結合材36を打ち込み、固定板32(第2ランナー18)を床面31に設置・固定する(図10援用)。
第1および第2ランナー17,18をランナー固定箇所に固定した後、スタッド設置工程を行う。スタッド設置工程(縦間材設置工程)では、それらスタッド19(縦間材)の上端部42を第1ランナー17の固定板25と第1および第2側板26,27の間に嵌入した後、第1ランナー17の緊結孔30とスタッド19の緊結孔44とに結合材47を螺着してスタッド19の上端部42を第1ランナー17に設置・固定する。それらスタッド19の下端部43を第2ランナー18の固定板32と第1および第2側板33,34の間に嵌入した後、第2ランナー18の緊結孔37とスタッド19の緊結孔45とに結合材47を螺着してスタッド19の下端部43を第2ランナー18に設置・固定する(図11援用)。
スタッド19を第1および第2ランナー17,18の間に設置した後、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、隣接するスタッド19の間に3枚の型枠パネル20a〜20cをパネル20c→パネル20b→パネル20aの順に嵌入させ、それらパネル20a〜20cを上下方向に並べる。スタッド19の間にそれらパネル20a〜20cを嵌入すると、パネル20a〜20cの対向面57がスタッド19の支持板46に当接し、側面61,62がスタッド19の側板40,41に当接し、パネル20aとパネル20bとが上下方向へ重なり合うとともに、パネル20bとパネル20cとが上下方向へ重なり合う(図12援用)。
スタッド19の間に型枠パネル20a〜20cを嵌入した後、第1横架設柱固定工程を行う。第1横架設柱固定工程(第1横架設材固定工程)では、第1横架設柱固定工程では、横方向へ延びる複数本の第1横架設柱21(第1横架設材)を支持座49の載置部52と押さえ部53との間に嵌め込む。それら第1横架設柱21を支持座49の載置部52と押さえ部53との間に嵌め込むと、第1横架設柱21が載置部52に載置され、その外周面が載置部52と押さえ部53とに当接するとともに、パネル20の正面58に当接し、それら第1横架設柱21がパネル20と支持金具48とによって支持される(図13援用)。
全ての第1横架設柱21をスタッド19に設置・固定すると、最下部の型枠パネル20cに対して5本の第1横架設柱21が配置され、5本のうちの1本がパネル20cの上下方向中央部に位置するとともに、5本のうちの2本がパネル20cの上下方向両端部に位置し、5本の第1横架設柱21とそれら支持金具48とによってそれら型枠パネル20cの前後方向前方への変形が防止される。
中間部の型枠パネル20bに対して4本の第1横架設柱21が配置され、4本のうちの1本がパネル20bの上下方向中央部に位置するとともに、4本のうちの2本がパネル20bの上下方向両端部に位置し、4本の第1横架設柱21とそれら支持金具48とによってそれら型枠パネル20bの前後方向前方への変形が防止される。最上部の型枠パネル20aに対して3本の第1横架設柱21が設置され、3本のうちの1本がパネル20aの上下方向中央部に位置するとともに、3本のうちの2本がパネル20aの上下方向両端部に位置し、3本の第1横架設柱21とそれら支持金具48とによってそれら型枠パネル20aの前後方向前方への変形が防止される。
第1横架設柱21をスタッド19に固定した後、トラス構造物固定工程を行う。トラス構造物固定工程(縦架設材固定工程)では、上下方向へ延びる複数個のトラス構造物22(縦架設材)をそれら第1横架設柱21の前後方向前方に設置・固定する(図14〜17援用)。それらトラス構造物22によって型枠パネル20a〜20cや第1横架設柱21の前後方向前方への変形が防止される。建物11の底面24または梁底面24に対するトラス構造物22(アングル72)のトラス固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床面31に対するトラス構造物22(アングル72)のトラス固定箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)する。スラブ底面24や梁底面24におけるトラス構造物22の固定箇所に横方向へ延びる第3ライン(墨出し線)(図示せず)を引くとともに、床面31におけるトラス構造物22の固定箇所に横方向へ延びる第4ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。
スラブ底面24または梁底面24の位置決めされたトラス固定箇所に穿孔したアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、トラス構造物22の上端部70が第3ライン上に正確に位置するように、アングル72を第3ラインに配置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72をスラブ底面24または梁底面24におけるトラス固定箇所に強固に固定する。また、床面31の位置決めされたトラス固定箇所に穿孔したアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、トラス構造物22の下端部71が第4ライン上に正確に位置するように、アングル72を第4ラインに配置し、アングル72に形成されたボルト孔にアンカーボルト73を挿通するとともにそのアンカーボルト73をアンカーホールに螺着してアングル72を床面31におけるトラス固定箇所に強固に固定する。
次に、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔と第1垂直材66の下端部に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着して第1垂直材66の下端部をアングル72に強固に固定する。トラス構造物22の上下方向の高さ寸法を調節し、固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材66の上端部と寸法調節材69の開口部76とを強固に固定する。さらに、アングル72に穿孔されたボルト螺着孔と寸法調節材69の固定端部75に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルト74を螺着し、そのボルト74にナットを螺着してそのボルト74にナットを螺着して寸法調節材69の固定端部75をアングル72に強固に固定する。
それら第1横架設柱21の前方にそれらトラス構造物22を固定した後、第2横架設柱固定工程を行う。第2横架設柱固定工程(第2横架設材固定工程)では、横方向へ延びる複数本の第2横架設柱23(第2横架設材)を上下方向へ所定寸法離間させた状態で、固定金具77を介してそれら第2横架設柱23をトラス構造物22の第2垂直材67に強固に固定する(図18援用)。第2横架設柱固定工程では、1本の第2横架設柱23がパネル20aの前方に設置され、1本の第2横架設柱23がパネル20bの前方に設置されるとともに、1本の第2横架設柱23がパネル20cの前方に設置される。それら第2横架設柱23によってトラス構造物22の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
位置決め工程、ランナー固定工程、スタッド設置工程、パネル設置工程、第1横架設柱固定工程、トラス構造物固定工程、第2横架設柱固定工程が完了すると、図19,20に示す型枠10Bが完成する。型枠10Bを組み立てた後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、図18に示すように、型枠パネル20aに形成された供給口64から壁面12と型枠10B(型枠パネル20a〜20c)との間の空間14にコンクリート13を打設する。
コンクリート打設工程によってコンクリート13を空間14に打設すると、空間14に進入したコンクリート13の側圧が型枠パネル20a〜20cに作用するが、それら第1横架設柱21によってパネル20a〜20cの変形や積み重ねたパネル20a〜20cの崩落が防止され、それらトラス構造物22によって各第1横架設柱21の変形が防止されるとともに、それら第2横架設柱23によってトラス構造物22の変形や撓みが防止される。耐震補強壁構築方法では、型枠10Bの各第1横架設柱21および各第2横架設柱23が型枠パネル20a〜20cに対する横方向の押さえになるとともに、各トラス構造物22がパネル20a〜20cに対する上下方向の押さえになり、コンクリート13の側圧が各パネル20a〜20cに作用したとしても、パネル20a〜20cが曲がることはなく、パネル20a〜20cの直状状態を維持することができる。さらに、硬化したポリウレア樹脂63によってパネル20自体の曲げ強度が大幅に増加しているから、コンクリート13の側圧が各パネル20a〜20cに作用したとしても、パネル20a〜20cが曲がることはなく、パネル20a〜20cの直状(垂直)状態を維持することができる。
空間14にコンクリート13を打設した後、コンクリート13を所定期間養生する。コンクリート13の養生期間が経過した後、型枠取り外し工程を行う。型枠取り外し工程における型枠10Bの取り外し手順は図1の型枠10Aのそれと同一であるから、その説明は省略する。型枠10Bを形成する全ての部材を取り外し、組み立てた型枠10Bを取り外す(分解する)ことで、図1に示す新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wが作られる。
耐震補強壁構築方法では、第1横架設柱21(第1横架設材)とトラス構造物22(縦架設材)と第2横架設柱23(第2横架設材)とを利用することで、建物11の壁面12と型枠パネル20a〜20cとの間の空間14に打設されたコンクリート14の側圧が型枠10Bに作用したとしても、パネル20a〜20cが変形することはなく、コンクリート13の側圧に対して型枠10Bが十分に耐えることができるとともに、建物11の壁面12とパネル20a〜20cとの並行状態を維持することができるから、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができ、既設の壁16の外側に構造計算された設計どおりの新たな耐震補強壁Wを作ることができる。
補強壁構築方法は、型枠10Bを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく型枠10Bを組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に耐震補強壁Wを構築することができる。また、補強壁構築方法は、型枠10Bを組み立てる際に空間14にセパレータを設置する必要がないことから、空間14に配筋された鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)がセパレータの設置の邪魔になることはなく、空間14に自由に鉄筋を配筋することができ、強固な鉄筋コンクリート製の耐震補強壁Wを作ることができる。
空間14に打設されたコンクリート13の側圧が下方に位置するパネル20b,20cに大きく作用するが、補強壁構築方法は、中間部と最下部とに位置するパネル20b,20c(上下方向下方に位置するパネル20b,20c)に対する第1横架設柱21の設置本数が最上部に位置するパネル20aに対する第1横架設柱21のそれよりも多いから、それら第1横架設柱21によってそれらパネル20b,20cの前後方向前方への膨隆が確実に押さえられ、空間14にコンクリート14を打設したときのそれらパネル20b,20cの前後方向前方への変形を確実に防ぐことができる。