組み立てられた板パネル固定構造物10の一例を示す斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる板パネル固定構造物(板パネル固定構造物施行方法)の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、組み立てられた板パネル固定構造物10の背面図であり、図3は、組み立てられた板パネル固定構造物10の側面図である。図4は、固定用角パイプ18a〜18nの部分拡大斜視図であり、図5は、板パネル22a,22bの斜視図である。
図6は、組み立てられた板パネル固定構造物10の部分拡大側面図であり、図7は、組み立てられた板パネル固定構造物10の部分拡大上面図である。図8は、他の一例として示す長ナット48の斜視図である。図1では、建物11の既設壁12や柱13、天井梁14、床梁15の図示を省略している。図5では、第1横架材16の図示を省略している。図1〜図3では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図1,2)で示すとともに、前後方向を矢印C(図1,3)で示す。
板パネル固定構造物10は、既設の建物11(建造物)の既設壁12の直前(直近)における鉄筋コンクリート製の耐震補強壁53(コンクリート補強壁)の施行箇所に設置され、後記する型枠構造物の一部として組み立てられる。なお、図2,3では、既設壁12の直前(直近)の柱13と天井梁14および床梁15との間に耐震補強壁53を構築する場合を図示しているが、既設壁12の直前(直近)や柱13と天井梁14および床梁15との間のみならず、板パネル固定構造物10を使用することで、壁梁の間や床スラブの間等のあらゆる箇所に耐震補強壁53を作ることができる。
板パネル固定構造物10は、第1横架材16(第1ランナー)および第2横架材17(第2ランナー)と、複数本の固定用角パイプ18a〜18nおよび複数本の通しボルト19と、接続用角パイプ20と、複数枚の第1板パネル21a〜21hおよび複数枚の第2板パネル22a,22bと、複数個の防水用ワッシャー23および複数個の長ナット24とから形成されている。
第1横架材16は、建物11の内部の既設壁12の直近(直前)における耐震補強壁53の施工箇所の天井梁14の底面25(施工箇所上部)(なお、床スラブに設置する場合は、天井の床スラブの底面)の正確に位置決め(墨出し)された第1固定位置26(第1墨出し位置)に固定されている。第1固定位置26は、建物11の既設壁12の壁面27から前方へ10〜50cm離間した箇所である。第1横架材16は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られている。第1横架材16は、第1固定位置26における天井梁14の底面25に固定されて横方向へ延びる固定部28と、固定部28の前後端縁から下方へ延出して横方向へ延びる前後支持部29,30とを有する。
第2横架材17は、建物11の内部の既設壁12の直近(直前)における耐震補強壁53の施工箇所の床梁15の頂面31(施工箇所下部)(なお、床スラブに設置する場合は、床の床スラブの頂面)の正確に位置決め(墨出し)された第2固定位置32(第2墨出し位置)に固定されている。第2固定位置32は、建物11の既設壁12の壁面27から前方へ10〜50cm離間した箇所であり、壁面27から前方への離間寸法が第1固定位置26と一致する。第2横架材17は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られている。第2横架材17は、第2固定位置32における床梁15の頂面31に固定されて横方向へ延びる固定部33と、固定部33の前後端縁から上方へ延出して横方向へ延びる前後支持部34,35とを有する。
それら固定用角パイプ18a〜18nは、第1および第2横架材16,17の間に位置して上下方向へ直状に延びているとともに、横方向へ所定寸法離間して並んでいる。固定用角パイプ18a〜18nは、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られた中空の角材であり、その断面形状が四角形に成形されている。固定用角パイプ18a〜18nは、後壁36および前壁37と、前後壁36,37の間に延びる両側壁38とを有し、それらの全てが同形同大である。固定用角パイプ18a〜18nの後壁36および前壁37には、それら壁36,37を貫通する複数の貫通孔39が形成されている。それら貫通孔39は、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。それら固定用角パイプ18a〜18nでは、それら貫通孔39が同一の位置に作られている。
それら通しボルト19は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られ、六角頭部40と、六角頭部40から延びていて螺子が形成された螺子部41とを有する。通しボルト19は、螺子部41の半分に螺子が形成された半螺子または螺子部41の全部に螺子が形成された全螺子のどちらでもよい。それら通しボルト19は、固定用角パイプ18a〜18nの後壁36から前壁37に向かって貫通孔39に挿通され、その六角頭部40が後壁36に当接し、螺子部41の略半分が前壁37から前方へ露出している。それら通しボルト19は、六角頭部40が固定用角パイプ18a〜18nの後壁36に溶接によって強固に固定されている。
なお、それら通しボルト19の六角頭部40が固定用角パイプ18a〜18nの後壁36に接着剤によって固定されていてもよい。接着剤には、硬化時に体積変化が少ないエポキシ系接着剤とホットメルト接着剤とのいずれかを使用することが好ましいが、他の種類の接着剤であってもよい。固定用角パイプ18a〜18nの貫通孔39に挿通された通しボルト19の頭部40が固定用角パイプ18a〜18nの後壁36に接着剤によって接着される場合、接着剤によって通しボルト19が角パイプ18a〜18nに確実に固定されるから、角パイプ18a〜18nの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に長ナット24の一方の端部を強固に螺着することができ、通しボルト19の螺子部41に螺着された長ナット24によって板パネル21a〜21h,22a,22bを角パイプ18a〜18nに確実に固定することができる。
また、固定用角パイプ19の前後壁36,37の貫通孔39に螺子溝が形成され、それら通しボルト19の螺子部41(螺子)が固定用角パイプ18a〜18nの貫通孔39の螺子溝に螺着されることで通しボルト19が固定用角パイプ18a〜18nに固定されていてもよい。固定用角パイプ18a〜18nの貫通孔39に螺子溝が形成され、通しボルト19の螺子部41が角パイプ18a〜18nの貫通孔39の螺子溝に螺着される場合、通しボルト19が角パイプ18a〜18nに確実に固定されるから、角パイプ18a〜18nの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に長ナット24の一方の端部を強固に螺着することができ、通しボルト19の螺子部41に螺着された長ナット24によって板パネル21a〜21h,22a,22bを角パイプ18a〜18nに確実に固定することができる。
それら通しボルト19が接着剤によって角パイプ18a〜18nに固定される場合や角パイプ18a〜18nの貫通孔39の螺子溝に螺着されることで角パイプ18a〜18nに固定される場合、金属製のボルト19の他に、合成樹脂製のボルト19を使用することもできる。それら通しボルト19が角パイプ18a〜18nの貫通孔39の螺子溝に螺着される場合、通しボルト19の螺子部41の全部に螺子が形成された全螺子を使用する。通しボルト19を固定した固定用角パイプ18a〜18nは、複数本のそれらが工場において製造され、工場から現場(既設建物)に搬送される。
接続用角パイプ20は、第1および第2横架材16,17の間に位置して上下方向へ直状に延びている。接続用角パイプ20は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られた中空の角材であり、その断面形状が四角形に成形されている。接続用角パイプ20は、後壁42および前壁43と、前後壁42,43の間に延びる両側壁44とを有し、固定用角パイプ18a〜18nと略同形同大である。接続用角パイプ20は、固定用角パイプ18g,18hの間に位置しているとともに、横方向へ隣り合う板パネル21a〜21h,22a,22bの当接する側縁50,51どうしの直後に配置されている。接続用角パイプ20は、複数本のそれらが工場において製造され、工場から現場(既設建物)に搬送される。
第1板パネル21a〜21hと第2板パネル22a,22bとは、その厚み寸法が3〜10mmの鋼板から作られている。第2板パネル22a,22bは、上下方向の寸法が第1板パネル21a〜21hのそれよりも短い。第1板パネル21a〜21hおよび第2板パネル22a,22bの横方向の寸法は同一である。第1板パネル21a〜21hは、横方向へ長い矩形に成型され、それらの全てが同形同大である。第2板パネル22a,22bは、横方向へ長い矩形に成型され、それらの全てが同形同大である。
図1,2では、板パネル21a〜21h,22a,22bの2つのグループG1,G2が横方向へ並んだ状態で固定用角パイプ18a〜18nに設置されている。グループG1,G2では、隣り合うグループの板パネル21a〜21h,22a,22bの側縁50,51が密着(当接)している。なお、第1板パネル21a〜21hや第2板パネル22a,22bの上下方向の寸法や横方向の寸法に特に制限はなく、構築する耐震補強壁53の上下方向の寸法や横方向の寸法に合わせてそれぞれの寸法を自由に設定することができる。また、横方向へ並ぶ板パネルのグループに特に制限はなく、構築する耐震補強壁53の横方向の寸法によって横方向へ並ぶ3つ以上の板パネルのグループが設置される場合がある。
第1および第2板パネル21a〜21h,22a,22bには、それを厚み方向へ貫通する複数の挿通孔45が穿孔されている(図5参照)。挿通孔45は、上下方向へ一列に並ぶとともに、横方向へ一列に並んでいる。第1板パネル21a〜21hの挿通孔45は、それら板パネル21a〜21hにおいて略同一の位置に形成され、第2板パネル22a,22bの挿通孔45は、それら板パネル22a,22bにおいて略同一の位置に形成されている。それら板パネル21a〜21h,22a,22bは、複数枚のそれらが工場において製造され、工場から現場(既設建物)に搬送される。
第1および第2板パネル21a〜21h,22a,22bは、それら板パネル21a〜21h,22a,22bが上下方向へ並んだ状態で固定用角パイプ18a〜18nに設置・固定されているとともに、上下方向へ並ぶ板パネル21a〜21h,22a,22bの2つのグループG1,G2が横方向へ並んだ状態で固定用角パイプ18a〜18nに設置・固定されている。なお、下方に位置する板パネルの上端部46とその直上に位置する板パネルの下端部47とが重なり合い、下方に位置する板パネルの上端部46がその直上に位置する板パネルの下端部47と固定用角パイプ18a〜18nの前壁43との間に位置した状態でそれら板パネル21a〜21h,22a,22bが角パイプ18a〜18nに固定されている。
それら防水用ワッシャー23は、固定用角パイプ18a〜18nの前壁43とそれら板パネル21a〜21h,22a,22bの前面とから前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通され、それら板パネル21a〜21h,22a,22bの前面に重なっている。防水用ワッシャー23は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られ、円環状に成形されている。防水用ワッシャー23には、金属製の他に、合成樹脂製やゴム製のそれを使用することもできる。それら防水用ワッシャー23は、その外径が板パネル21a〜21h,22a,22bに穿孔された挿通孔45の直径よりも大きく、板パネル21a〜21h,22a,22bの挿通孔45の周縁から径方向外方へ延出する大きさを有する。
それら長ナット24は、鋼材や鉄、やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られ、一方の端面と他方の端面とを貫通する螺子孔が形成されている。それら長ナット24は、その一方の端部が固定用角パイプ18a〜18nの前壁43とそれら板パネル21a〜21h,22a,22bの前面とから露出する通しボルト19の螺子部41に強固に螺着されている。
したがって、板パネル21a〜21h,22a,22bが防水用ワッシャー23の介在下に通しボルト19の螺子部41に螺着された長ナット24によって固定用角パイプ18a〜18nに強固に固定されている。なお、長ナット24の一方の端部を通しボルト19の螺子部41に螺着すると、長ナット24の一方の端部が防水用ワッシャー24に密着するとともに、ワッシャー24が板パネル21a〜21h,22a,22bの前面に密着する。板パネル21a〜21h,22a,22bの挿通孔45は、その全域が防水用ワッシャー24によって閉塞(密閉)されている。
他の一例として示す長ナット48は、図8に示すように、その一方の端面に径方向外方に張り出す環状の防水用フランジ49が形成されている。この長ナット48では、防水用フランジ49の外径が板パネル21a〜21h,22a,22bに穿孔された挿通孔45の直径よりも大きく、防水用フランジ49が板パネル21a〜21h,22a,22bの挿通孔45の周縁から径方向外方へ延出する大きさを有する。図5の長ナット48を使用する場合、その一方の端部を通しボルト19の螺子部41に螺着すると、長ナット48の防水用フランジ49が板パネル21a〜21h,22a,22bの前面に密着し、板パネル21a〜21h,22a,22bの挿通孔45の全域が防水用フランジ49によって閉塞(密閉)される。
図9は、横架材設置工程の一例を示す正面図であり、図10は、図9の横架材設置工程の側面図である。図11は、角パイプ設置工程の一例を示す図であり、図12は、図11の角パイプ設置工程の側面図である。図13は、整列定規設置工程および板パネル設置工程の一例を示す正面図であり、図14は、図13の整列定規設置工程および板パネル設置工程の側面図である。図15は、板パネル設置工程および板パネル固定工程の一例を示す正面図であり、図16は、図15の板パネル設置工程および板パネル固定工程の側面図である。
板パネル固定構造物10は、横架材設置工程、角パイプ設置工程、整列定規設置工程、板パネル設置工程、板パネル固定工程、整列定規取り外し工程を含む板パネル固定構造物施行方法によって組み立てられる。図9,10に示す横架材設置工程では、耐震補強壁53の施工箇所の天井梁14の底面25に第1固定位置26を位置決め(墨出し)した後、第1固定位置26に横方向へ並ぶ複数のビス孔を穿孔する。次に、第1横架材16の固定部28を天井梁14の底面25に当接させた状態で第1固定位置26に第1横架材16を配置する。固定部28には、第1固定位置26のビス孔に一致する位置に貫通孔が作られている。第1固定位置26に第1横架材16を配置した後、固定ビス52を貫通孔に挿通しつつその固定ビス52をビス孔に螺着することで、第1横架材16を天井梁14の底面25に固定する。
横架材設置工程では、第1固定位置26にビス孔を穿孔することなく、第1固定位置26に第1横架材16を配置した後、釘打ち機によって第1横架材16の固定部28から天井梁14の底面25に向かって複数個のコンクリート釘を打ち、第1横架材16を天井梁14の底面25に固定することもできる。コンクリート釘は、横方向へ所定寸法離間して打ち込まれる。第1横架材16は、固定部28から天井梁14に打ち込まれたコンクリート釘によって第1固定位置26に固定される。
横架材設置工程では、耐震補強壁53の施工箇所の床梁15の頂面31に第2固定位置32を位置決め(墨出し)した後、第2固定位置32に横方向へ並ぶ複数のビス孔を穿孔する。次に、第2横架材17の固定部33を床梁15の頂面31に当接させた状態で第2固定位置32に第2横架材17を配置する。固定部33には、第2固定位置32のビス孔に一致する位置に貫通孔が作られている。第2固定位置32に第2横架材を17配置した後、固定ビス52を貫通孔に挿通しつつその固定ビス52をビス孔に螺着することで、第2横架材17を床梁15の頂面31に固定する。
横架材設置工程では、第2固定位置32にビス孔を穿孔することなく、第2固定位置32に第2横架材17を配置した後、釘打ち機によって第2横架材17の固定部33から床梁15の頂面31に向かって複数個のコンクリート釘を打ち、第2横架材17を床梁15の頂面31に固定することもできる。コンクリート釘は、横方向へ所定寸法離間して打ち込まれる。第2横架材17は、固定部33から床梁15に打ち込まれたコンクリート釘によって第2固定位置32に固定される。
角パイプ設置工程では、図11,12に示すように、複数本の固定用角パイプ18a〜18nおよび接続用角パイプ20を第1および第2横架材16,17の間に配置する。固定用角パイプ18a〜18nの頂部を第1横架材16の前後支持部29,30の間に挿入した後、角パイプ18a〜18nの底部を第2横架材17の前後支持部34,35の間に挿入する。接続用角パイプ20の頂部を第1横架材16の前後支持部29,30の間に挿入した後、角パイプ20の底部を第2横架材17の前後支持部34,35の間に挿入する。
それら固定用角パイプ18a〜18nは、その頂部および底部が第1および第2横架材16,17に固定されることはなく、第1および第2横架材16,17に対してフリー(移動自由)である。第1および第2横架材16,17の間に配置する固定用角パイプ18a〜18nの本数は、板パネル21a〜21h,22a,22bに穿孔された挿通孔45の個数によって決まる。
板パネル21a〜21h,22a,22bには、横方向へ並ぶ7個の挿通孔45が穿孔されており(図5参照)、それら板パネル21a〜21h,22a,22bの2つのグループG1,G2を横方向へ並べるから、14本の固定用角パイプ18a〜18nが必要であり、14本の固定用角パイプ18a〜18nが第1および第2横架材16,17の間に配置される。
横方向へ並ぶそれら固定用角パイプ18a〜18nは、その頂部が第1横架材16の固定部28に当接することなく、頂部が固定部28から下方に位置し、頂部と固定部28との間に空隙(あそび)が形成されている。角パイプ設置工程終了後のそれら固定用角パイプ18a〜18nでは、頂部と固定部28との間の空隙の寸法がそれら角パイプ18a〜18n毎に異なり、それら角パイプ18a〜18nから露出する通しボルト19の螺子部41が横方向へ一直線に並んでおらず、通しボルト19の螺子部41が横方向へ一列に整列していない。角パイプ設置工程終了後のそれら固定用角パイプ18a〜18nは、頂部と固定部28との間に空隙が存在することで、第1横架材16と第2横架材17との間において空隙の寸法だけ上下方向へ所定寸法移動可能であり、第1横架材16と第2横架材17との間において横方向へ移動可能である。
接続用角パイプ20は、その頂部および底部が第1および第2横架材16,17に固定されることはなく、第1および第2横架材16,17に対してフリー(移動自由)である。図11では、1本の接続用角パイプ20が第1および第2横架材16,17の間に配置されているが、横方向へ並ぶ板パネルのグループが3グループ以上の場合、2本以上の接続用角パイプ20が配置される。
接続用角パイプ20は、その頂部が第1横架材16の固定部28に当接することなく、頂部が固定部28から下方に位置し、頂部と固定部28との間に空隙(あそび)が形成されている。接続用角パイプ20は、頂部と固定部28との間に空隙が存在することで、第1横架材16と第2横架材17との間において空隙の寸法だけ所定寸法上下方向へ移動可能であり、第1横架材16と第2横架材17との間において横方向へ移動可能である。
固定用角パイプ18a〜18nおよび接続用角パイプ20を第1および第2横架材16,17の間に配置した後、板パネル設置工程の前に整列定規設置工程を実施する。整列定規設置工程では、板パネル固定構造物10の組み立てにおいて横方向へ延びる整列定規69が使用される。整列定規69は、横方向へ長い長方形の金属製の板または合成樹脂製(プラスチック製)の板であり、横方向へ所定間隔離間して一列(一直線)に並ぶ複数の挿通孔70が穿孔されている。整列定規69の横方向の長さ寸法は、板パネル21a〜〜21h,22a,22bのそれと略同一であり、整列定規69に穿孔された挿通孔70の横方向の離間寸法は、板パネル21a〜〜21h,22a,22bに穿孔された挿通孔45のそれと同一である。
整列定規設置工程では、図13に示すように、最初(最下)の板パネル21aの挿通孔45が通しボルト19の螺子部24に挿通される前(最下の板パネル21aが固定用角パイプ18a〜18gに設置される前)に、整列定規69のそれら挿通孔70を横方向へ並ぶ通しボルト19の螺子部24に挿通し、整列定規69をそれら固定用角パイプ18a〜18nに取り付ける。整列定規69は、最初(最下)の板パネル21aの設置の邪魔にならない固定用角パイプ18a〜18nの中段以上の箇所に設置される。
整列定規設置工程において、整列定規69を固定用角パイプ18a〜18gに設置する場合、各固定用角パイプ18a〜18gを上下方向へ移動させつつ(動かしつつ)、整列定規69の挿通孔70と通しボルト19の螺子部41とを位置合わせするとともに、各固定用角パイプ18a〜18gを横方向へ移動させつつ(動かしつつ)、整列定規69の挿通孔70と通しボルト19の螺子部41とを位置合わせし、通しボルト19の螺子部41に整列定規69の挿通孔70を挿通する。
整列定規69の挿通孔70を通しボルト19の螺子部24に挿通すると、整列定規69によって各固定用角パイプ18a〜18gが拘束され、固定用角パイプ18a〜18gの上下方向への移動と横方向への移動とが規制されるとともに、整列定規69の挿通孔70の位置によって各固定用角パイプ18a〜18gの横方向への離間寸法が確定し、角パイプ18a〜18gの第1および第2横架材16,17の間の上下方向の位置が確定する。整列定規69を固定用角パイプ18a〜18gに設置すると、それら固定用角パイプ18a〜18gの前壁37から露出する通しボルト19の螺子部41が横方向へ一列(水平一直線)に整列する(並ぶ)とともに、螺子部41が上下方向へ一列(垂直一直線)に整列する(並ぶ)。
整列定規設置工程によって整列定規69を固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、板パネル設置工程を実施する。板パネル設置工程では、固定用角パイプ18a〜18gの下方(第2横架材17の側)から角パイプ18a〜18gの上方(第1横架材16の側)に向かって板パネル21a〜21d,22aを角パイプ18a〜18gに順に設置する。第1板パネル21aをそれら固定用角パイプ18a〜18gの下方に配置し、板パネル21aの挿通孔45を角パイプ18a〜18gの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。
板パネル設置工程において、第1板パネル21aを通しボルト19の螺子部41に挿通する場合、整列定規設置工程によって通しボルト19の螺子部41が横方向と上下方向とへ一列に整列し、通しボルト19の螺子部41の位置と板パネル21aの挿通孔45の位置とが一致しているから、通しボルト19の螺子部41と板パネル21aの挿通孔45との位置合わせを行う必要はなく、板パネル21aの挿通孔45を通しボルト19の螺子部41に手間を要せず簡単に挿通することができる。なお、最下(1段目)の第1板パネル21aの側縁50に接続用角パイプ20が配置され、角パイプ20の略半分が板パネル21aの側縁50から横方向へ露出している。
最下の第1板パネル21aの挿通孔45を螺子部41に挿通し、最下(1段目)の第1板パネル21aを各固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、板パネル固定工程を実施する。板パネル固定工程では、固定用角パイプ18a〜18gの前壁37(第1板パネル21aの前面)から前方へ露出するそれら通しボルト19の螺子部41に防水用ワッシャー23を挿通し、長ナット24の一方の端部を通しボルト19の螺子部41に螺着し、それら角パイプ18a〜18gに第1板パネル21aを強固に固定する。
角パイプ18a〜18gに第1板パネル21aを固定すると、接続用角パイプ20の前壁43に板パネル21aが密着し、接続用角パイプ20が第1および第2横架材16,17の間に固定される。なお、図5の長ナット48を使用する場合、通しボルト19の螺子部41に防水用ワッシャー24を挿通することなく、図5の長ナット48の一方の端部を通しボルト19の螺子部41に螺着する。板パネル固定工程によって角パイプ18a〜18gに第1板パネル21aを固定した後、整列定規取り外し工程を実施する。整列定規取り外し工程では、通しボルト19の螺子部41から整列定規69を抜き取り、角パイプ18a〜18gから整列定規69を取り外す。
角パイプ18a〜18gから整列定規69を取り外したとしても、最下(1段目)の第1板パネル21aによって各固定用角パイプ18a〜18gが拘束され、通しボルト19の螺子部41の横方向へ一列(水平一直線)に整列した状態と上下方向へ一列(垂直一直線)に整列した状態が維持されるとともに、固定用角パイプ18a〜18gの平行状態が維持される。
なお、整列定規設置工程を省略することもできる。この場合、最下(1段目)の第1板パネル21aの挿通孔45を各固定用角パイプ18a〜18gから露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。この場合、各固定用角パイプ18a〜18gを上下方向へ移動させつつ(動かしつつ)、第1板パネル21aの挿通孔45と通しボルト19の螺子部41とを位置合わせするとともに、各固定用角パイプ18a〜18gを横方向へ移動させつつ(動かしつつ)、第1板パネル21aの挿通孔45と通しボルト19の螺子部41とを位置合わせし、通しボルト19の螺子部41に第1板パネル21aの挿通孔45を挿通する。
整列定規設置工程を省略する場合において、第1板パネル21aの挿通孔45を通しボルト19の螺子部24に挿通すると、第1板パネル21aによって各固定用角パイプ18a〜18gが拘束され、固定用角パイプ18a〜18gの上下方向への移動と横方向への移動とが規制されるとともに、第1板パネル21aの挿通孔45の位置によって各固定用角パイプ18a〜18gの横方向への離間寸法が確定し、角パイプ18a〜18gの第1および第2横架材16,17の間の上下方向の位置が確定する。第1板パネル21aを固定用角パイプ18a〜18gに設置すると、それら固定用角パイプ18a〜18gの前壁37から露出する通しボルト19の螺子部41が横方向へ一列(水平一直線)に整列する(並ぶ)とともに、螺子部41が上下方向へ一列(垂直一直線)に整列する(並ぶ)。整列定規設置工程を省略する場合において、第1板パネル21aの挿通孔45を通しボルト19の螺子部24に挿通した後、板パネル固定工程を実施する。
板パネル固定工程において最下(1段目)の第1板パネル21aを各固定用角パイプ18a〜18gに固定した後、その板パネル21aの直上に2段目の第1板パネル21bを設置する。2段目の第1板パネル21bを最下の第1板パネル21aの上に配置し、板パネル21bの挿通孔45を角パイプ18a〜18gの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。このとき、2段目の第1板パネル21bの下端部47を1段目の第1板パネル21aの上端部46に重ね合わせ、2段目の板パネル21bの下端部47に穿孔された挿通孔45を1段目の板パネル21aの上端部46の挿通孔45から露出する螺子部41に挿通する。2段目の板パネル21bを各固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、板パネル固定工程を実施する。板パネル固定工程における固定手順は、1段目の第1板パネル21aのそれと同一である。
板パネル固定工程において2段目の第1板パネル21bを各固定用角パイプ18a〜18gに固定した後、その板パネル21bの直上に3段目の第1板パネル21cを設置する。3段目の第1板パネル21cを2段目の第1板パネル21bの上に配置し、板パネル21cの挿通孔45を角パイプ18a〜18gの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。3段目の第1板パネル21cの下端部47を2段目の第1板パネル21bの上端部46に重ね合わせ、3段目の板パネル21cの下端部47に穿孔された挿通孔45を2段目の板パネル21bの上端部46の挿通孔45から露出する螺子部41に挿通する。3段目の板パネル21cを各固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、既述の板パネル固定工程を実施する。
板パネル固定工程において3段目の第1板パネル21cを各固定用角パイプ18a〜18gに固定した後、その板パネル21cの直上に4段目の第1板パネル21dを設置する。4段目の第1板パネル21dを3段目の第1板パネル21cの上に配置し、板パネル21dの挿通孔45を角パイプ18a〜18gの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。4段目の第1板パネル21dの下端部47を3段目の第1板パネル21cの上端部47に重ね合わせ、4段目の板パネル21dの下端部46に穿孔された挿通孔45を3段目の板パネル21cの上端部46の挿通孔45から露出する螺子部41に挿通する。4段目の板パネル21dを各固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、既述の板パネル固定工程を実施する。
板パネル固定工程において4段目の第1板パネル21dを各固定用角パイプ18a〜18gに固定した後、その板パネル21dの直上に5段目の第2板パネル22aを設置する。5段目の第2板パネル22aを4段目の第1板パネル21dの上に配置し、板パネル22aの挿通孔45を角パイプ18a〜18gの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に挿通する。5段目の第2板パネル22aの下端部47を4段目の第1板パネル21dの上端部46に重ね合わせ、5段目の板パネル22aの下端部47に穿孔された挿通孔45を4段目の板パネル21dの上端部46の挿通孔45から露出する螺子部41に挿通する。5段目の板パネル22aを各固定用角パイプ18a〜18gに設置した後、既述の板パネル固定工程を実施する。
2段目〜4段目までの第1板パネル21a〜21dの設置時や5段目(最上)の第2板パネル22aの設置時には最下(1段目)の第1板パネル21aによって通しボルト19の螺子部41が横方向へ一列に整列する(一直線に並ぶ)とともに、上下方向へ一列に整列し(一直線に並び)、螺子部41の位置が変化することはないから、板パネル21aの挿通孔45を通しボルト19の螺子部41に挿通する場合と同様に、それら板パネル21b〜21d,22aの挿通孔45と通しボルト19の螺子部41との位置合わせを行う必要はなく、それら板パネル21b〜21d,22aの挿通孔45を螺子部41に手間を要せず簡単に挿通することができる。
図17は、図15から続く整列定規設置工程および板パネル設置工程の一例を示す正面図であり、図18は、図17から続く板パネル設置工程および板パネル固定工程の正面図である。1段目〜5段目の板パネル21a〜21d,22aを設置した後、それらパネル21a〜21d,22aのグループG1の横に次の1段目〜5段目の板パネル21e〜21h,22bのグループG2を設置する。板パネル21e〜21h,22bのグループG2は、既述の整列定規設置工程、板パネル設置工程、板パネル固定工程、整列定規取り外し工程によって設置される。整列定規設置工程における整列定規69の設置や整列定規取り外し工程における整列定規の取り外し、板パネル設置工程および板パネル固定工程における板パネル21e〜21h,22bの設置手順や固定手順は既述のとおりである。
最初に設置した第1段目〜5段目の板パネル21a〜21d,22aのグループG1の横に次の1段目〜5段目の板パネル21e〜21h,22bのグループG2を設置する場合、最初に設置した第1段目〜5段目の板パネル21a〜21d,22aのグループG1の側縁50に次の1段目〜5段目の板パネル21e〜21h,22bのグループG2の側縁51をつき合わせ、それら板パネル21a〜21h,22a,22bの側縁50,51どうしを当接させるとともに、図15に示すように、横方向へ隣り合うそれら板パネル21a〜21h,22a,22bの側縁50,51どうしの直後に接続用角パイプ20が配置される。
板パネル固定工程によって板パネル21a〜21h,22a,22bを固定用角パイプ18a〜18gに設置・固定すると、角パイプ18a〜18m,20の前壁37,43に板パネル21a〜21h,22a,22bが密着する。なお、横方向へ並ぶ板パネル21a〜21h,22a,22bの2つのグループG1,G2を設置した後、図示はしていないが、それらグループG1,G2の互いに当接する側縁50,51とその近傍とを被覆するアルミテープ(防水テープ)を板パネル21a〜21h,22a,22bに貼着する。アルミテープは、側縁50,51とその近傍とにおいて上下方向へ延び、側縁50,51どうしの間隙を塞ぐ。
パネル固定構造物10は、整列定規69がそれら固定用角パイプ18a〜18mに取り付けられることで、それら固定用角パイプ18a〜18mが整列定規69に拘束され、それら固定用角パイプ18a〜18mの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41が横方向へ一列(一直線)に整列するから、板パネル21a,21eの挿通孔45を通しボルト19の螺子部41に挿通するときに、板パネル21a,21eの挿通孔45と通しボルト19の螺子部41との位置合わせを行う必要はなく、板パネル21a,21eのそれら挿通孔45を通しボルト19の螺子部41に手間を要せず容易に挿通することができる。板パネル固定構造物10は、最初の板パネル21a,21eの挿通孔45を通しボルト19の螺子部41に挿通する前に整列定規69を利用することで、板パネル21a〜21h,22a,22bを短時間に効率よく固定用角パイプ18a〜18mに固定することができる。
板パネル固定構造物10は、通しボルト19の頭部40が固定用角パイプ18a〜18mの後壁36に溶接されることで、通しボルト19が角パイプ18a〜18mに強固に固定されているから、角パイプ18a〜18mの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に長ナット24の一方の端部を強固に螺着することができ、通しボルト19の螺子部41に螺着された長ナット24によって板パネル21a〜21h,22a,22bを固定用角パイプ18a〜18mに確実に固定することができる。
図19は、型枠設置工程の一例を示す正面図であり、図20は、図19の型枠設置工程の側面図である。図21は、図20の部分拡大側面図であり、図22は、構築された耐震補強壁53の側面図である。図20,21では、スペース65に配筋された鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋、柱筋、フープ筋、あばら筋、斜め補強筋等)の図示を省略し、図22では、耐震補強壁53(コンクリート補強壁)に埋設された鉄筋の図示を省略している。
板パネル固定構造物施行方法(横架材設置工程、角パイプ設置工程、整列定規設置工程、板パネル設置工程、板パネル固定工程、整列定規取り外し工程)によって板パネル固定構造物10を組み立てた後、配筋工程、型枠パネル設置工程、コンクリート打設工程、型枠パネル取り外し工程によって耐震補強壁53が構築される。なお、板パネル固定構造物10の施工から耐震補強壁53の構築までの各工程を含む耐震補強壁構築方法によって耐震補強壁53が構築される。板パネル固定構造物10を組み立てた後、配筋工程を行う。配筋工程では、耐震補強壁53の構築箇所における板パネル21a〜21h,22a,22bの直前(前方)に各種の鉄筋(図示せず)を配筋する。
配筋工程の後、型枠パネル設置工程を行う。型枠パネル設置工程では、複数本のセパレータ54と、複数個のPコーン55(円錐コーン)と、複数個の座金付きフォームタイ(登録商標)56と、複数本の縦架設パイプ57と、複数枚の型枠パネル58a〜58jとが使用される。型枠パネル58a〜58jには垂直板と補強リブとが一体成型された合成樹脂製型枠を使用しているが、使用する型枠パネル58a〜58jの種類に特に制限はなく、後記するベニヤ板59(コンパネ)に上下方向へ延びる桟木60を取り付けた合板型枠(図23〜図25参照)、鋼材から作られた鋼製型枠等を使用することもできる。
型枠パネル設置工程では、長ナット24の他方の端部の螺子溝にセパレータ54の一方の端部の螺子を螺着し、それらセパレータ54の他方の端部(延出端部)の螺子にPコーン55を螺着する。次に、Pコーン55から前方へ露出するそれらセパレータ54の他方の端部を型枠パネル58a〜58jの挿通孔61に挿通し、型枠パネル58a〜58jをセパレータ54に設置する。なお、型枠パネル58a〜58jには、板パネル21a〜21h,22a,22bに形成された各挿通孔45に一致するように、それら挿通孔61が形成されているから、型枠パネル58a〜58jの挿通孔61とセパレータ54との位置合わせを行う必要はなく、型枠パネル58a〜58jにあらたに貫通孔を穿孔することなく、型枠パネル58a〜58jをセパレータ54に手間を要せず簡単に設置することができる。
それらセパレータ54の他方の端部の螺子にフォームタイ56を螺着しつつ、型枠パネル58a〜58jとフォームタイ56との間に縦方向へ延びる2本の縦架設パイプ57を配置する。セパレータ54の他方の端部にフォームタイ56を螺着した後、フォームタイ56のナット62を締め、フォームタイ56の座金63で縦架設パイプ57を押圧し、型枠パネル58a〜58jとフォームタイ56の座金63とで縦架設パイプ57を挟み込む。それによって、縦架設パイプ57の介在下に型枠パネル58a〜58jがセパレータ54とフォームタイ56との間に強固に固定される。
型枠パネル設置工程によって型枠パネル58a〜58jを設置(固定)すると、板パネル固定構造物10およびセパレータ54と、フォームタイ56および縦架設パイプ57と、型枠パネル58a〜58jとから型枠構造物68が構築される。型枠構造物68では、板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(垂直板)との間にコンクリート64を打設する所定容積のスペース65が形成される。型枠構造物68では、セパレータ54によって板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(垂直板)との平行状態が保持されている。なお、型枠パネル58eには、スペース65にコンクリート64を打設する(流入させる)ための打設口66が作られている。打設口66では、型枠パネル58eが四角形にくり抜かれ、そこに金属製の口筒を有する四角形の鉄板が固定されている。
型枠パネル58e,58fには、スペース65にコンクリート64を打設するときに、スペース65へのコンクリート64の打設状態を確認可能な四角形の確認窓67が作られている。型枠パネル58e,58jには、図示はしていないが、スペース65へのコンクリート64の打設時にスペース65の空気をスペース65から外部に排気する排気孔が作られている。確認窓67では、型枠パネル58e,58fが四角形にくり抜かれ、そこに透明な四角形の合成樹脂板が嵌め込まれている。
型枠パネル設置工程の後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、型枠パネル58eに作られた打設口66からスペース65にコンクリート64を打設する。スペース65へのコンクリート64の打設は、コンクリートミキサー(図示せず)から延びるホースを型枠パネル58eの打設口66に接続し、打設口66からスペース65にコンクリート64を圧入する。スペース65の空気は、型枠パネル58e,58jの排気孔から外部に排気される。
コンクリート打設工程では、確認窓67からスペース65を視認しつつ、確認窓67を利用してスペース65へのコンクリート64の打設状態を判断しながら、コンクリート64の打設作業が行われる。なお、板パネル固定構造物10を使用して作られた型枠構造物68のスペース65にコンクリート64が打設された場合、コンクリート64やコンクリート64から滲出した水分の固定用角パイプ18a〜18nへの漏出が防水用ワッシャー23によって防がれるとともに、コンクリート64や水分の側縁50,51からの漏出が接続用角パイプ20によって防がれるから、コンクリート64や水分が角パイプ18a〜18n,20を伝って各箇所に拡散することはなく、コンクリート64やコンクリート64から滲出した水分による各箇所への被害を防ぐことができる。
コンクリート打設工程によってコンクリート64をスペース65に打設すると、スペース65に流入したコンクリート64の側圧が型枠パネル58a〜58j(垂直板)全体に満遍なく作用するが、セパレータ54および縦架設パイプ57によって型枠パネル58a〜58j(垂直板)の変形が阻止され、板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(垂直板)との平行状態が保持される。
コンクリート打設工程によって型枠構造物68のスペース65にコンクリート64を打設した後、コンクリート64を所定期間養生する。コンクリート64の養生期間が経過した後、型枠パネル取り外し工程を行う。型枠パネル取り外し工程では、フォームタイ56のナット62を緩め、型枠パネル58a〜58jとフォームタイ56の座金63との間から縦架設パイプ57を取り外すとともに、セパレータ54の他方の端部からフォームタイ56を取り外す。次に、型枠パネル58a〜58jを耐震補強壁53(コンクリート64)から取り外した後、耐震補強壁53から前方へ露出するセパレータ54の他方の端部を切断する。型枠パネル取り外し工程によって型枠パネル58a〜58jを取り外すことで、図22に示す新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁53が作られる。
板パネル固定構造物10は、既設の建物11(建造物)の既設壁12の壁面27の直近(直前)に耐震補強壁53(コンクリート補強壁)を構築する場合であって、既設壁12の壁面27と板パネル21a〜21h,22a,22bとの間に作業者が入るスペースを確保できず、壁面27と板パネル21a〜21h,22a,22bとの間で作業ができない場合でも、壁面27の直近(直前)の耐震補強壁53の構築箇所に第1および第2横架材16,17を固定し、第1および第2横架材16,17の間に上下方向へ延びる固定用角パイプ18a〜18nを上下方向へ移動可能かつ横方向へ移動可能に設置し、それら固定用角パイプ18a〜18nの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41に板パネル21a〜21h,22a,22bの挿通孔45を挿通するとともに長ナット24の一方の端部を螺子部41に螺着することで、板パネル21a〜21h,22a,22bが固定用角パイプ18a〜18nに固定されるから、既設壁12の壁面27の直近(直前)に板パネル固定構造物10を容易に組み立てることができる。板パネル固定構造物10は、型枠大工の経験や勘に頼る必要はなく、型枠大工のみならず、他の作業者が板パネル21a〜21h,22a,22bを容易に組み上げることができ、その作業者が板パネル固定構造物10を手間を要さず短時間に効率よく組み立てることができる。
板パネル固定構造物10は、型枠大工のように専門的な技術を必要とせずに、型枠大工のみならず、他の作業者が既設壁12の壁面27の直近(直前)に板パネル固定構造物10を容易に組み立てることができ、さらに、長ナット24にセパレータ54を螺着するとともに、セパレータ54に型枠パネル58a〜58jを取り付けるだけで既設壁12の壁面27の直近(直前)に型枠構造物68を組み立てることができるから、型枠大工の経験や勘に頼る必要はなく、型枠大工のみならず、他の作業者が型枠構造物68を簡単かつ容易に作ることができ、その作業者が十分な経験を必要とせずに既設壁12の壁面27の直近に耐震補強壁53(コンクリート補強壁)を短時間に効率よく構築することができるとともに、その作業者が構造計算された設計どおりの耐震補強壁53を既設壁12の壁面27の直近に構築することができる。板パネル固定構造物10は、コンクリート64を養生した後、型枠パネル58a〜58jを取り外し、鋼板から作られた板パネル21a〜21h,22a,22bをそのままにした強固な耐震補強壁53(コンクリート補強壁)を既設壁12の壁面27の直近(直前)に構築することができる。
固定用角パイプ18a〜18nの前壁37から前方へ露出する通しボルト19の螺子部41が角パイプ18a〜18nの前壁37に溶接によって固定された場合、角パイプ18a〜18nの前壁37から前方に出っ張る溶接による不規則な多数の隆起箇所が形成され、角パイプ18a〜18nに各板パネル21a〜21h,22a,22bを固定したときにそれら隆起箇所によって各板パネル21a〜21h,22a,22bを角パイプ18a〜18nの前壁に密着させることができず、各板パネル21a〜21h,22a,22bの平行状態を保持することができないが、板パネル固定構造物10は、通しボルト19の頭部40が固定用角パイプ18a〜18nの後壁36に溶接されるから、角パイプ18a〜18nに各板パネル21a〜21h,22a,22bを固定したときに各板パネル21a〜21h,22a,22bが角パイプ18a〜18nの前壁37に密着し、各板パネル21a〜21h,22a,22bの平行状態を保持することができ、上下方向へ直状に延びる凹凸がない耐震補強壁53を構築することができる。
図23は、型枠設置工程の他の一例を示す正面図であり、図24は、図23の型枠設置工程の側面図である。図25は、図23の部分拡大側面図である。図23〜図25では、型枠パネル58a〜58jとして、合成樹脂製型枠ではなく、ベニヤ板59(コンパネ)に上下方向へ延びる桟木60を取り付けた合板型枠を使用している。さらに、縦架設パイプ57ではなく、複数本の横架設パイプ71を使用している。
配筋工程の後、型枠パネル設置工程を行う。型枠パネル設置工程では、長ナット24の他方の端部の螺子溝にセパレータ54の一方の端部の螺子を螺着し、それらセパレータ54の他方の端部(延出端部)の螺子にPコーン55を螺着する。次に、Pコーン55から前方へ露出するそれらセパレータ54の他方の端部を型枠パネル58a〜58jの挿通孔61に挿通し、型枠パネル58a〜58jをセパレータ54に設置する。
それらセパレータ54の他方の端部の螺子にフォームタイ56を螺着しつつ、型枠パネル58a〜58jの桟木60とフォームタイ56との間に2本の横架設パイプ71を配置する。セパレータ54の他方の端部にフォームタイ56を螺着した後、フォームタイ56のナット62を締め、フォームタイ56の座金63で横架設パイプ71を押圧し、型枠パネル58a〜58jの桟木69とフォームタイ56の座金63とで横架設パイプ71を挟み込む。それによって、横架設パイプ71の介在下に型枠パネル58a〜58jがセパレータ54とフォームタイ56との間に強固に固定される。
型枠パネル設置工程によって型枠パネル58a〜58jを設置(固定)すると、板パネル固定構造物10およびセパレータ54と、フォームタイ56および横架設パイプ71と、型枠パネル58a〜58jとから型枠構造物68が構築される。型枠構造物68では、板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(ベニヤ板59)との間にコンクリート64を打設する所定容積のスペース65が形成される。セパレータ54によって板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(ベニヤ板59)との平行状態が保持される。なお、型枠パネル58e(ベニヤ板59)には、スペース65にコンクリート64を打設する(流入させる)ための打設口66が作られている。
型枠パネル58e,58f(ベニヤ板59)には、スペース65にコンクリート64を打設するときに、スペース65へのコンクリート64の打設状態を確認可能な四角形の確認窓67が作られている。型枠パネル58e,58j(ベニヤ板59)には、図示はしていないが、スペース65へのコンクリート64の打設時にスペース65の空気をスペース65から外部に排気する排気孔が作られている。
型枠パネル設置工程の後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、型枠パネル58eに作られた打設口66からスペース65にコンクリート64を打設する。コンクリート打設工程によってコンクリート64をスペース65に打設すると、スペース65に流入したコンクリート64の側圧が型枠パネル58a〜58j(ベニヤ板59)全体に満遍なく作用するが、セパレータ54および横架設パイプ71によって型枠パネル58a〜58j(ベニヤ板59)の変形が阻止され、板パネル21a〜21h,22a,22bと型枠パネル58a〜58j(ベニヤ板59)との平行状態が保持される。
コンクリート打設工程によって型枠構造物68のスペース65にコンクリート64を打設した後、コンクリート64を所定期間養生する。コンクリート64の養生期間が経過した後、型枠パネル取り外し工程を行う。型枠パネル取り外し工程では、フォームタイ56のナット62を緩め、型枠パネル58a〜58jの桟木60とフォームタイ56の座金63との間から横架設パイプ71を取り外すとともに、セパレータ54の他方の端部からフォームタイ56を取り外す。次に、型枠パネル58a〜58jを耐震補強壁53(コンクリート64)から取り外した後、耐震補強壁53から前方へ露出するセパレータ54の他方の端部を切断する。型枠パネル取り外し工程によって型枠パネル58a〜58jを取り外すことで、新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁53が作られる(図22参照)。