JP5683560B2 - 補強壁施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建造物の壁面の外側に組み立てられる型枠を利用し、壁面と型枠との間の空間にコンクリートを打設して新たな補強壁を構築する補強壁施工方法に関する。
既設の建造物の壁面に新たに耐震補強壁を構築する場合、壁面の外側に型枠を組み立てた後、壁面と型枠との間の空間に複数本の鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)を配筋してその空間にコンクリートを打設し、コンクリートを所定期間養生した後、組み立てた型枠を取り外す(分解する)ことで、新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁が作られる。型枠工事を担当する型枠大工は、打設されるコンクリートの側圧に型枠が耐えることができるとともに、壁面に対する型枠のベニヤ板の並行状態を維持することができるように、建造物の壁と型枠のベニヤ板との間に複数本のセパレータを設置し、それらセパレータによって壁とベニヤ板とを連結する。それらセパレータを利用して壁と型枠のベニヤ板とを連結することで、コンクリートの側圧によるベニヤ板の変形を防ぐことができ、建造物の壁とベニヤ板との並行状態を維持することができる。複数本のセパレータを使用した型枠が特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2000−8522号公報 特開2005−290711号公報
セパレータを設置する手順の一例は、以下のとおりである。建造物の壁に複数個のアンカーホールを穿孔するとともに、アンカーホールの位置に対応する型枠のベニヤ板に複数の貫通孔を穿孔する。次に、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、樹脂アンカーや機械式アンカーにセパレータの一方の締め付け金物を接続し、ベニヤ板の貫通孔から露出するセパレータの他方の締め付け金物に円筒管を噛ませた状態でクランプを螺着する。型枠を組み立てる場合、配筋する鉄筋に衝突しないように鉄筋の位置を考慮しつつ、壁の単位面積当たりに相当数のセパレータを設置しなければならないのみならず、建造物の壁にアンカーホールを穿孔する場合、壁に埋設された鉄筋を避けなければならず、さらに、アンカーホールを穿孔する穿孔位置を決めた後、その穿孔位置に対応するベニヤ板の任意の位置にアンカーホールに対応する複数の貫通孔を穿孔しなければならない。壁に対するアンカーホールの穿孔位置やベニヤ板に対する貫通孔の穿孔位置を正確に位置決め(墨出し)して、壁とベニヤ板との並行状態を確実に保持するには型枠大工の長年の経験に頼らざるを得ないのが現状である。なお、型枠大工が型枠工事をして型枠を組み立て、組み立てた型枠と壁面との間の空間にコンクリートを打設して耐震補強壁を作る場合、設計どおりの型枠を組み立てるまでに相当の時間と手間とを要するから、耐震補強壁を短い工期で効率よく構築することは困難である。
本発明の目的は、型枠大工の経験に頼ることなく、手間を要さずに短い工期で効率よく補強壁を作ることができる補強壁施工方法を提供することにある。本発明の他の目的は、打設されるコンクリートの側圧に十分に耐えることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる補強壁施工方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の壁面の外側に組み立てられる型枠を利用し、壁面と型枠との間の空間にコンクリートを打設して新たな補強壁を作る補強壁施工方法である。
前記前提における本発明の特徴は、補強壁施工方法が、壁面から前後方向前方へ所定寸法離間した建造物のスラブ底面または梁底面に第1取付箇所を位置決めするとともに、壁面から前後方向前方へ所定寸法離間した建造物の床面に第2取付箇所を位置決めする位置決め工程と、上下方向へ延びる複数の第1縦架設材を横方向へ所定寸法離間させた状態で第1および第2取付箇所の間に設置する縦架設材第1設置工程と、第1縦架設材に当接する当接面に前後方向前方へ突出する取っ手が取り付けられた所定面積の複数の型枠パネルをそれら第1縦架設材の前後方向後方であってそれら第1縦架設材に当接させた状態で上下方向と横方向とへ並べて設置するパネル設置工程と、上下方向へ延びる複数の第2縦架設材をそれら第1縦架設材の横方向に並列させた状態で第1および第2取付箇所の間に設置する縦架設材第2設置工程と、横方向へ延びる複数の横架設材を上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれら第1および第2縦架設材の前後方向前方に固定する横架設材設置工程とによって型枠を組み立てるとともに、壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、空間に打設されたコンクリートを養生した後に型枠を取り外す型枠取り外し工程とによって新たな補強壁を作り、パネル設置工程では、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1縦架設材を連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べ、縦架設材第2設置工程では、第2縦架設材を第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2縦架設材を連結することにある。
本発明の一例としては、補強壁施工方法が、位置決め工程の後に、スラブ底面または梁底面の第1取付箇所に第1アングルを設置するとともに、床面の第2取付箇所に第2アングルを設置する横架材設置工程を含み、縦架設材第1設置工程および縦架設材第2設置工程では、所定の固定手段によって第1および第2縦架設材の上端部を第1アングルに固定するとともに、所定の固定手段によって第1および第2縦架設材の下端部を第2アングルに固定する。
本発明の他の一例として、補強壁施工方法では、壁面とそれら型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるそれらパネルの変形がそれら第1および第2縦架設材によって防止され、コンクリートの側圧によるそれら第1および第2縦架設材の変形および撓みがそれら横架設材によって防止される。
本発明の他の一例として、縦架設材第1設置工程では、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に1つの第1縦架設材を設置し、縦架設材第2設置工程では、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に少なくとも2つの第2縦架設材を設置する。
本発明の他の一例として、横架設材設置工程では、上下方向へ並ぶそれら型枠パネル各々の前方に少なくとも1つの横架設材が位置するように、それら横架設材をそれら第1および第2縦架設材に固定する。
本発明の他の一例として、第1および第2縦架設材がトラス構造物であり、トラス構造物が、型枠パネルに当接して上下方向へ直状に延びる第1垂直材と、第1垂直材から前後方向前方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材と、第1垂直材と第2垂直材との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから作られ、連結紐または連結ゴムバンドが第2垂直材に結び付けられ、それら横架設材が第2垂直材に固定される。
本発明の他の一例として、トラス構造物がその高さ寸法を調節可能な寸法調節材を含み、寸法調節材が、建造物の側に位置して建造物に固定される固定端部と、第1垂直材の側に位置して第1垂直材に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部とを有し、第1垂直材が開口部を介して寸法調節材に着脱可能に連結される。
本発明の他の一例としては、それら型枠パネルが壁面に対向する所定面積の対向面およびトラス構造物の第1垂直材に当接する所定面積の当接面と上下面および両側面とを有する6面体であり、それらパネルの6面には、パネルのコンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともにパネル全体の強度を増加させる合成樹脂が塗布されている。
本発明の他の一例としては、合成樹脂がイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂であり、硬化したポリウレア樹脂による所定厚みの平滑な被膜層がそれらパネルの6面に形成されている。
本発明の他の一例として、最上部に位置する型枠パネルでは、その上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第1アングルの厚みが前記上端部に吸収され、最下部に位置する前記型枠パネルでは、その下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、前記第2アングルの厚みが前記下端部に吸収される
本発明の他の一例として、それら型枠パネルの少なくとも1つには、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設する供給口が作られ、それら型枠パネルの少なくとも1つには、空間にコンクリートを打設するときに、空間へのコンクリートの打設状態を確認可能な確認窓が作られている。
本発明の他の一例としては、建造物が既設のそれであり、型枠が既設の建造物の壁面に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の構築に利用される。
本発明にかかる補強壁施工方法によれば、複数の第1および第2縦架設材と複数の横架設材とを利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が型枠に作用したとしても、それらパネルの変形や崩落が防止され、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるとともに、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。補強壁施工方法は、型枠を組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく補強壁を作ることができるとともに、補強壁を手間を要さず廉価に作ることができる。補強壁施工方法は、パネル設置工程において、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1縦架設材を連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べるから、それらパネルが第1縦架設材に支持され、パネルの倒れ込みを防ぐことができ、複数のパネルを上下方向と横方向とへ整然と並べることができる。補強壁施工方法は、縦架設材第2設置工程において、第2縦架設材を第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2縦架設材を連結するから、それらパネルが第1および第2縦架設材に支持され、空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止され、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
位置決め工程の後に、スラブ底面または梁底面の第1取付箇所に第1アングルを設置するとともに、床面の第2取付箇所に第2アングルを設置する横架材設置工程を含み、縦架設材第1設置工程および縦架設材第2設置工程において、第1および第2縦架設材の上端部を第1アングルに固定するとともに、第1および第2縦架設材の下端部を第2アングルに固定する補強壁施工方法は、第1および第2縦架設材が第1および第2アングルを介してスラブ底面または梁底面や床面に強固に固定されるから、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が型枠に作用したとしても、それら第1および第2縦架設材によってパネルの変形や崩落が防止され、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、建造物の壁面とパネルとの並行状態を維持することができるとともに、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
壁面とそれら型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるそれらパネルの変形がそれら第1および第2縦架設材によって防止され、コンクリートの側圧によるそれら第1および第2縦架設材の変形や撓みがそれら横架設材によって防止される補強壁施工方法は、型枠パネルの前方に固定された複数の第1および第2縦架設材が壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆を押さえられるから、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形や崩落を防ぐことができる。また、第1および第2縦架設材の前方に固定されて横方向へ延びる複数の横架設材がそれら縦架設材の前後方向前方への膨隆を押さえるから、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧による縦架設材の前後方向前方への変形や横方向への撓みを防ぐことができる。補強壁施工方法は、第1および第2縦架設材や横架設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
縦架設材第1設置工程において、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に1つの第1縦架設材を設置し、縦架設材第2設置工程において、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に少なくとも2つの第2縦架設材を設置する補強壁施工方法は、少なくとも3個の縦架設材が上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に設置されるから、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧がそれらパネルに作用したとしても、コンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆がそれら縦架設材によって十分に押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形や崩落を確実に防ぐことができる。補強壁施工方法は、それら縦架設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
横架設材設置工程において、上下方向へ並ぶそれら型枠パネル各々の前方に少なくとも1つの横架設材が位置するように、それら横架設材をそれら第1および第2縦架設材に固定する補強壁施工方法は、空間に打設したコンクリートの側圧がそれらパネルや縦架設材に作用し、それによって縦架設材が前後方向前方へ変形または横方向へ撓もうとしても、1つのパネルに対して少なくとも1本の横架設材を配置するから、コンクリートの側圧によるそれら縦架設材の前後方向前方への膨隆がそれら縦架設材によって押さえられ、空間にコンクリートを打設したときのそれら縦架設材の前後方向前方への変形や横方向への撓みを確実に防ぐことができる。補強壁施工方法は、それら横設材を利用することで、コンクリートの側圧に対して型枠が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
第1および第2縦架設材がトラス構造物であり、トラス構造物が上下方向へ直状に延びる第1および第2垂直材とそれら垂直材の間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから作られ、連結紐または連結ゴムバンドが第2垂直材に結び付けられ、それら横架設材が第2垂直材に固定される補強壁施工方法は、壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への膨隆をパネルに当接するトラス構造物が押さえるから、コンクリートの側圧によるパネルの変形や崩落を確実に防ぐことができる。また、それら横架設材がトラス構造物の第2垂直材に固定され、それら横架設材がトラス構造物の前後方向前方への膨隆を押さえるから、コンクリートの側圧によるトラス構造物の前後方向前方への変形や横方向への撓みを防ぐことができる。補強壁施工方法は、複数のトラス構造物と複数の横架設材とを利用することで、型枠が壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができるから、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。補強壁施工方法は、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1トラス構造物の第2垂直材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1トラス構造物連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べるから、それらパネルが第1トラス構造物に支持され、パネルの倒れ込みを防ぐことができ、複数のパネルを上下方向と横方向とへ整然と並べることができる。補強壁施工方法は、第2トラス構造物を第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2トラス構造物の第2垂直材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2トラス構造物を連結するから、それらパネルが第1および第2トラス構造物に支持され、空間へのコンクリートの打設中におけるそれらパネルの壁面の側への倒れ込みが防止され、空間へコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
トラス構造物がその高さ寸法を調節可能な寸法調節材を含み、寸法調節材が建造物の側に位置して建造物に固定される固定端部と第1垂直材の側に位置して第1垂直材に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部とを有し、第1垂直材が開口部を介して寸法調節材に着脱可能に連結される補強壁施工方法は、寸法調節材によってトラス構造物の上下方向の寸法を調節することができるから、トラス構造物の上下方向の寸法を建造物の壁面の高さ寸法に一致させることができ、トラス構造物を建造物に確実に固定することができるとともに、寸法調節材によって高さ寸法が調節されたそれらトラス構造物を利用することで、コンクリートの側圧によるパネルの変形や崩落を防ぐことができ、既設の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな補強壁を作ることができる。
それら型枠パネルが対向面および当接面と上下面および両側面とを有する6面体であり、パネルのコンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともにパネル全体の強度を増加させる合成樹脂がそれらパネルの6面に塗布されている補強壁施工方法は、合成樹脂を塗布することによって型枠パネルの6面を平滑にすることができ、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの6面の平滑度が合成樹脂によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、補強壁の施工にかかるコストを押さえることができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの強度が合成樹脂によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルを利用することで壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
合成樹脂がイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂であり、硬化したポリウレア樹脂による所定厚みの平滑な被膜層がそれらパネルの6面に形成されている補強壁施工方法は、硬化したポリウレア樹脂によってパネルの6面に所定厚みの平滑な被膜層が形成され、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠を取り外すときに、硬化したコンクリートからパネルを容易に取り外すことができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの6面の平滑度がポリウレア樹脂の被膜層によって維持されるから、使用済みのパネルを繰り返して使用することができ、補強壁の施工にかかるコストを押さえることができる。補強壁施工方法は、型枠パネルの強度がポリウレア樹脂の被膜層によって増加し、使用中におけるパネルの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネルを利用することで壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを十分に滞留させることができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
最上部に位置する型枠パネルの上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第1アングルの厚みが上端部に吸収され、最下部に位置する型枠パネルの下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、第2アングルの厚みが下端部に吸収される補強壁施工方法は、第1アングルの厚みが上端部に吸収されるから、第1アングルが邪魔することはなく、縦架設材を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができ、第2アングルの厚みが下端部に吸収されるから、第2アングルが邪魔することはなく、縦架設材を型枠パネルの当接面に確実に当接(密着)させることができる。
壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設する供給口がそれら型枠パネルの少なくとも1つに作られ、空間にコンクリートを打設するときに、空間へのコンクリートの打設状態を確認可能な確認窓がそれら型枠パネルの少なくとも1つに作られている補強壁施工方法は、パネルに作られた供給口を利用することで、コンクリートを空間に容易に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを容易に増し打ちすることができる。補強壁施工方法は、空間へのコンクリートの打設状態をパネルの確認窓から確認することができるから、空間全域にコンクリートを確実に打設することができ、建造物の壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができる。
建造物が既設のそれであり、型枠が既設の建造物の壁面に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の構築に利用される補強壁施工方法は、型枠を使用して既設の建造物の壁に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を新設することができる。補強壁施工方法は、鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を短時間に効率よく作ることができ、耐震補強壁を手間を要さずに廉価に作ることができる。
壁面に作られた耐震補強壁の一例を示す斜視図。 組み立てられた型枠の一例を示す正面図。 組み立てられた図2の型枠の側面図。 一例として示す型枠パネル16a〜16cの斜視図。 図4の5−5線端面図。 耐震補強壁の施工手順の一例を示す図。 図6の側面図。 図6から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。 図8の側面図。 図8から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。 図10の側面図。 図10から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。 図12から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。 図13の側面図。 コンクリートの打設状態を示す図14と同様の側面図。 組み立てられた型枠の他の一例を示す正面図。 組み立てられた図16の型枠の側面図。 耐震補強壁の施工手順の他の一例を示す図。 図18から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。 コンクリートの打設状態を示す側面図。
建物11の柱15の間の壁面12に作られた耐震補強壁W2の一例を示す斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる補強壁施工方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、耐震補強壁W2の施工に使用する組み立てられた型枠10Aの一例を示す正面図であり、図3は、組み立てられた図2の型枠10Aの側面図である。図4は、一例として示す型枠パネル16a〜16cの斜視図であり、図5は、図4の5−5線端面図である。図2,3では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図2のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図3のみ)で示す。図1,3では、コンクリート13に埋設された鉄筋の図示を省略している。
補強壁施工方法は、既設の建物11(建造物)の壁面12の前後方向前方へ所定寸法離間した位置に型枠10Aを組み立て、壁面12の外側にコンクリート13を増し打ちして新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2を作る。補強壁施工方法では、耐震補強壁W2を作る箇所に複数本の鉄筋(図示せず)を配筋するとともに型枠10Aを組み立て、壁面12と型枠10A(型枠パネル16a〜16c)との間の空間14にコンクリート13を打設する。打設したコンクリート13を所定期間養生した後、組み立てた型枠10Aを取り外す(分解する)ことで鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2が作られる。
なお、図1,2では、建物11の柱15の間に施設された既設壁W1の壁面12に耐震補強壁W2を構築する場合を図示しているが、柱15の間のみならず、型枠10A(後記する型枠10Bを含む)を利用することで、壁梁の間の壁や床スラブの間の壁等のあらゆる既設壁W1の壁面12に耐震補強壁W2を作ることができる。また、既設壁W1には、外壁や耐力壁、間仕切り壁、垂れ壁、袖壁、腰壁等のあらゆる壁が含まれる。型枠10Aは、複数枚の型枠パネル16a〜16cと、複数個のトラス構造物17(第1および第2縦架設材)と、複数本の横架設材18a〜18cとから作られている。
それら型枠パネル16a〜16cは、所定の厚み寸法を有する平面形状が四角形の板状に成型されている。型枠パネル16a〜16cは、壁面12に対向する所定面積の対向面19と、対向面19の反対側に位置してトラス構造物17(第1垂直材31)に当接する所定面積の当接面20と、上下面21,22および両側面23,24とを有する6面体である。なお、それら型枠パネル16a〜16cの上下方向の寸法や横方向の寸法、厚み寸法に特に限定はなく、構築する耐震補強壁W2の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によってパネル16a〜16cの各寸法が決定される。また、それら寸法の異なる各種複数のパネル16a〜16cを用意し、型枠10Aを組み立てる際にそれらを適宜組み合わせて使用することもできる。
それら型枠パネル16a〜16cは、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等から作られている。それら型枠パネル16a〜16cには、図3,4に示すように、その6面19〜24にイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂25(合成樹脂)が塗布(スプレー塗布)されている。それら型枠パネル16a〜16cの6面19〜24には、硬化したポリウレア樹脂25による所定厚みの平滑な被膜層が形成されている。それら型枠パネル16a〜16cの6面19〜24に塗布されたポリウレア樹脂25によって6面19〜24の凹凸が修正され、6面19〜24が平滑に加工されている。
それら型枠パネル16a〜16cは、硬化したポリウレア樹脂25によって形成された被膜層により、6面19〜24における摩擦抵抗が大幅に低下し、養生後のコンクリート13が6面19〜24に付着することなく、コンクリート13に対する離型が容易である。さらに、硬化したポリウレア樹脂25によって形成された被膜層により、パネル16a〜16cの強度が大幅に増加し、パネル16a〜16cを上下方向へ重ねたときのその座屈や破損が防止されるのみならず、パネル16a〜16cの曲がり変形が防止される。
なお、型枠パネル16a〜16cは、強化プラスチックや透明な合成樹脂の板、木材から作られていてもよい。この場合においても、その6面19〜24にポリウレア樹脂25が塗布されることが好ましい。また、型枠パネル16a〜16cには、ポリウレア樹脂25ではなく、6面19〜24を平滑にすることが可能であれば、他の熱可塑性合成樹脂(ポリウレタンやポリスチレン、強化プラスチック用塗料等)や熱硬化性合成樹脂を塗布することもできる。
それら型枠パネル16a〜16cは、壁面12から前後方向前方へ所定寸法離間したスラブ底面26または梁底面26の位置決めされた第1設置箇所と壁面12から前後方向前方へ所定寸法離間した床面27の位置決めされた第2設置箇所との間に設置されている。第1設置箇所と第2設置箇所との間には、第1設置箇所から第2設置箇所に向かって最上部に位置するパネル16a→中間部に位置するパネル16b→最下部に位置するパネル16cの順にそれらパネル16a〜16cが上下方向へ並んでいる。さらに、それらパネル16a〜16cの3組が横方向へ並んでいる。なお、上下方向へ並ぶパネル16a〜16cの枚数や横方向へ並ぶパネル16a〜16cの組数に特に限定なく、構築する耐震補強壁W2の各寸法に合わせて枚数や組数を適宜決定する。
型枠パネル16aは、その上面21がスラブ底面26または梁底面26に当接し、側面23が柱15に当接するとともに、側面24が横方向へ隣接するパネル16aの側面23に当接し、下面22がパネル16bの上面21に当接している。型枠パネル16aは、その上端部44の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さい。型枠パネル16bは、その側面23が柱15に当接し、側面24が横方向へ隣接するパネル16bの側面23に当接するとともに、下面22がパネル16cの上面21に当接している。型枠パネル16cは、その側面23が柱15に当接し、側面24が横方向へ隣接するパネル16cの側面23に当接するとともに、下面22が床面27に当接している。型枠パネル16cは、その下端部45の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さい。
それら型枠パネル16a〜16cの当接面20には、前後方向前方へ突出して横方向へ並ぶ2つの取っ手28が取り付けられている。それら取っ手28は、コ字状の金属棒であり、その両端部がパネル16a〜16cを貫通するとともに、パネル16a〜16cの対向面に配置された固定板46に固定されている。それら取っ手28は、型枠10Aの設置作業者が把持可能である。取っ手28には、連結紐42(連結部材)が結び付けられている。なお、連結部材には、紐42の他に、伸縮性を有する連結ゴムバンドを使用することもできる。
型枠パネル16aには、壁面12とパネル16a〜16c(型枠10A)との間の空間14にコンクリート13を打設する(流入させる)ための打設口29が作られている。打設口29では、パネル16aが四角形にくり抜かれ、そこに金属製の口筒を有する四角形の鉄板が固定されている。なお、2枚以上のパネル16a〜16cに打設口29が作られていてもよい。型枠パネル16a,16cには、空間14にコンクリート13を打設するときに、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認可能な四角形の確認窓30が作られている。確認窓30では、パネル16a,16cが四角形にくり抜かれ、そこに透明な四角形の合成樹脂板が嵌め込まれている。
トラス構造物17(第1および第2縦架設材)は、それら型枠パネル16a〜16cの前後方向前方に位置して上下方向へ直状に延びている。それらトラス構造物17は、横方向へ所定寸法離間して並んでいる。上下方向へ並ぶ1組の型枠パネル16a〜16cには、3個のトラス構造物17が設置されている。1個のトラス構造物17が1組の型枠パネル16a〜16cの一方の側縁部に配置され、1個のトラス構造物17が1組の型枠パネル16a〜16cの他方の側縁部に配置されているとともに、1個のトラス構造物17が1組の型枠パネル16a〜16cの横方向中央部に配置されている。
なお、1組のパネル16a〜16cに対するトラス構造物17の個数について特に限定はなく、構築する耐震補強壁W2の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算により、1組のパネル16a〜16cに対して設置するトラス構造物17の個数が決定される。また、トラス構造物17の他に、縦架設材として、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の金属柱や他の形状の金属柱を使用することもできるとともに、H型鋼や角型鋼管(コラム)、I型鋼、C型鋼、溝型鋼等の鋼材を使用することもできる。
トラス構造物17は、型枠パネル16a〜16cの当接面20に対向して上下方向へ直状に延びる第1垂直材31と、第1垂直材31から前後方向前方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材32と、第1垂直材31と第2垂直材32との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材33と、トラス構造物17の高さ寸法を調節可能な寸法調節材34とから作られている。トラス構造物17では、第1垂直材31とトラス材33とがボルトおよびナットによって連結され、第2垂直材32とトラス材33とがボルトおよびナットによって連結されている。
寸法調節材34は、後記する第1アングル3aを介してスラブ底面26または梁底面26に固定される固定端部35と、第1垂直材31の側に位置して第1垂直材31に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部36とを有する。なお、第1垂直材31の上端部の寸法調節材34の開口部36に対する固定位置(固定ボルトおよびナットによって第1垂直材31の上端部を寸法調節材34の開口部36に固定)を調節することにより、開口部36の長さ寸法の限度でトラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節することができる。型枠10Aは、寸法調節材34によってトラス構造物17の上下方向の寸法を調節することができ、トラス構造物17の上下方向の寸法を建物11の壁面12の高さ寸法に一致させることができる。
トラス構造物17では、その上端部37(寸法調節材34の固定端部35)が所定の固定手段を介して建物11のスラブ底面26または梁底面26の正確に位置決めされた第1固定箇所(第1墨出し箇所)に固定されている。また、トラス構造物17の下端部38(第1垂直材31の下端部)が所定の固定手段を介して床面27の正確に位置決めされた第2固定箇所(第2墨出し箇所)に固定されている。なお、スラブ底面24または梁底面24の第1固定箇所と床面31の第2固定箇所とが略正確に一致している。固定手段の具体例としては、第1および第2アングル39a,39b、アンカーボルト40a,40b、アジャスターボルト41a,41bを使用し、トラス構造物17をスラブ底面26や梁底面26、床面27に固定する。
スラブ底面26または梁底面26の正確に位置決めされた第1固定箇所(パネル16aの当接面20の直前)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第1アングル39aに形成されたボルト孔にアンカーボルト40aを挿通するとともにそのアンカーボルト40aをアンカーホールに螺着してアングル39aを第1固定箇所に強固に固定する。床面27の正確に位置決めされた第2固定箇所(パネル16cの当接面20の直前)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第2アングル39bに形成されたボルト孔にアンカーボルト40bを挿通するとともにそのアンカーボルト40bをアンカーホールに螺着してアングル39bを第2固定箇所に強固に固定する。
次に、アングル39aに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と寸法調節材34の固定端部35に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41aを螺着し、そのボルト41aにナットを螺着して固定端部35をアングル39aに強固に固定する。さらに、アングル39bに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と第1垂直材31の下端部に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41bを螺着し、そのボルト41bにナットを螺着して第1垂直材31の下端部をアングル39bに強固に固定する。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定するとともに、アングル39bに第1垂直材31の下端部を固定すると、第1垂直材31が型枠パネル16a〜16cの当接面20に当接(密着)する。したがって、それらトラス構造物17により、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるそれら型枠パネル16a〜16cの前後方向前方への膨隆が押さえられ、パネル16a〜16cの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル16a〜16cの崩落が防止される。
なお、型枠パネル16aの上端部44の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第1アングル39aの厚みが上端部44に吸収され、アングル39aが邪魔することなく、第1垂直材31が型枠パネル16a〜16cの当接面20に確実に当接(密着)する。また、型枠パネル16cの下端部45の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第2アングル39bの厚みが下端部45に吸収され、アングル39bが邪魔することなく、第1垂直材31が型枠パネル16a〜16cの当接面20に確実に当接(密着)する。
トラス構造物17の第2垂直材32には、取っ手28から延びる連結紐42(連結部材)が強く結び付けられている。型枠10Aでは、それらパネル16a〜16cの取っ手28とトラス構造物17とが連結紐42を介して連結され、それらパネル16a〜16cの壁面16の側への倒れ込みが防止される。なお、連結部材として連結ゴムバンドを使用する場合、そのゴムバンドを取っ手28から伸長させた状態でトラス構造物17に引っ掛ける。
横架設材18a〜18cは、トラス構造物17の前後方向前方(トラス構造物17の第2垂直材32の直前)に位置しつつトラス構造物17に固定されて横方向へ直状に延びている。それら横架設材18a〜18cは、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。それら横架設材18a〜18cは、図1,2に示すように、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が円形の中空の金属筒である。横架設材18a〜18cは、固定金具43を介してトラス構造物17の第2垂直材32に強固に固定されている。
横架設材18aが横方向へ並ぶパネル16aの前方に配置され、横架設材18bが横方向へ並ぶパネル16bの前方に配置されているとともに、横架設材18cが横方向へ並ぶパネル16cの前方に配置されている。なお、型枠10Aに3本の横架設材が設置されているが、型枠10Aに設置する横架設材の本数に特に限定はなく、構築する耐震補強壁W2の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用する横架設材23に本数が決定される。それら横架設材18a〜18cにより、空間14にコンクリート13を打設したときのコンクリート13の側圧によるそれらトラス構造物17の前後方向前方への膨隆が押さえられ、トラス構造物17の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
図6は、耐震補強壁W2の施工手順の一例を示す図であり、図7は、図6の側面図である。図8は、図6から続く耐震補強壁W2の施工手順を示す図であり、図9は、図8の側面図である。図10は、図8から続く耐震補強壁W2の施工手順を示す図であり、図11は、図10の側面図である。なお、図6,7は、横架材設置工程が完了した状態を示し、図8,9は、縦架設材第1設置工程が完了した状態を示すとともに、図10,11は、パネル設置工程が完了した状態を示す。図7,9,11では、鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)の図示を省略している。
鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2は、位置決め工程、横架材設置工程(アングル設置工程)、縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)、パネル設置工程、縦架設材第2設置工程(トラス構造物第2設置工程)、横架設材設置工程の各工程を実施することで型枠10Aを組み立てた後、コンクリート打設工程、型枠取り外し工程の各工程を実施することによって作られる。最初に位置決め工程を行う。
位置決め工程では、図示はしていないが、建物11の底面26または梁底面26に対する型枠パネル16aのパネル第1設置箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、底面26または梁底面26に対するトラス構造物17(アングル39a,39b)のトラス第1取付箇所(第1取付箇所)(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)する。さらに、床面27に対する型枠パネル16cのパネル第2設置箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床面27に対するトラス構造物17(アングル39a,39b)のトラス第2取付箇所(第2取付箇所)(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)する。
スラブ底面26や梁底面26におけるパネル16aのパネル第1設置箇所は壁面12から前後方向前方へ離間した箇所であり、その第1設置箇所に横方向へ延びる第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。スラブ底面26や梁底面26におけるトラス構造物17のトラス第1取付箇所は壁面12から前後方向前方へ離間した箇所(パネル第1設置箇所から前後方向前方へわずかに離間した箇所)であり、その第1取付箇所に横方向へ延びる第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。
床面27におけるパネル16cのパネル第2設置箇所は壁面12から前後方向前方へ離間した箇所であり、その第2設置箇所に横方向へ延びる第3ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。床面27におけるトラス構造物17のトラス第2取付箇所は壁面12から前後方向前方へ離間した箇所(パネル第2設置箇所から前後方向前方へわずかに離間した箇所)であり、その第2取付箇所に横方向へ延びる第4ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。
第1設置箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法および第2設置箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法は同一であり、トラス第1取付箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法およびトラス第2取付箇所の壁面12から前後方向前方への離間寸法は同一である。なお、位置決め工程において、パネルの設置箇所を位置決めすることなく、トラス第1取付箇所およびトラス第2取付箇所(第1および第2取付箇所)のみを位置決めし、それら取付箇所のみにラインを引いてもよい。
底面26または梁底面26に第1および第2ラインを引くとともに、床面27に第3および第4ラインを引いた後、図示はしていないが、空間14に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)を配筋する。空間14に鉄筋を配筋した後、横架材設置工程(アングル設置工程)を行う。横架材設置工程では、スラブ底面26または梁底面26の位置決めされたトラス第1取付箇所に第1アングル39a(横架材)を取り付けるとともに、床面27の位置決めされたトラス第2取付箇所に第2アングル39b(横架材)を取り付ける。
横架材設置工程では、スラブ底面26または梁底面26の位置決めされたトラス第1取付箇所に横方向へ並ぶ複数のアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、トラス構造物17の上端部37(寸法調節材34の固定端部35)が第2ライン上に正確に位置するように、アングル39aを第2ラインに配置し、アングル39aに形成されたボルト孔にアンカーボルト40aを挿通するとともにそのアンカーボルト40aをアンカーホールに螺着してアングル39aをスラブ底面26または梁底面26におけるトラス第1取付箇所に強固に固定する。
また、床面27の位置決めされたトラス第2取付箇所に横方向へ並ぶ複数のアンカーホール(図示せず)を穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、トラス構造物17の下端部38が第4ライン上に正確に位置するように、アングル39bを第4ラインに配置し、アングル39bに形成されたボルト孔にアンカーボルト40bを挿通するとともにそのアンカーボルト40bをアンカーホールに螺着してアングル39bを床面27におけるトラス第2取付箇所に強固に固定する。
スラブ底面26または梁底面26にアングル39aを取り付けるとともに、床面27にアングル39bを取り付けた後、縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)を行う。縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)では、パネル設置工程において上下方向に重ねるパネル16a〜16cの1組に対応する位置に1個のトラス構造物17(第1縦架設材)を取り付け、柱15の間に合計3個のトラス構造物17a〜17cを取り付ける。
縦架設材第1設置工程では、アングル39bに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と第1垂直材31の下端部に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41bを螺着し、そのボルト41bにナットを螺着して第1垂直材31の下端部をアングル39bに強固に固定する。トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節するために、第1垂直材31の上端部の寸法調節材34の開口部36に対する固定位置を決める。固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材31の上端部を寸法調節材34の開口部36に強固に固定する。第1垂直材31の上端部と寸法調節材34とは固定ボルトおよびナットを介して固定される。さらに、アングル39aに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と寸法調節材34の固定端部35に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41aを螺着し、そのボルト41aにナットを螺着して寸法調節材34の固定端部35をアングル39aに強固に固定する。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39bに第1垂直材34の下端部を固定するとともに、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定すると、図6に示すように、スラブ底面26や梁底面26と床面27との間において上下方向へ延びる3個のトラス構造物17a〜17cが横方向へ所定寸法離間して設置される。
それらトラス構造物17a〜17cをトラス第1取付箇所およびトラス第2取付箇所に取り付けた後、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、図8の左方に位置するトラス構造物17aに対して3枚の型枠パネル16a〜16cをパネル16c→パネル16b→パネル16aの順に設置し、図8の中央に位置するトラス構造物17bに対して3枚の型枠パネル16a〜16cをパネル16c→パネル16b→パネル16aの順に設置するとともに、図8の右方に位置するトラス構造物17cに対して3枚の型枠パネル16a〜16cをパネル16c→パネル16b→パネル16aの順に設置する。なお、型枠パネル16aには、壁面12とパネル16a〜16cとの間の空間14にコンクリート13を打設するための打設口29が作られている。また、型枠パネル16a,16cには、空間14にコンクリート13を打設するときに、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認可能な確認窓30が作られている。
パネル16a〜16cの対向面19を壁面12に対向させた状態で、パネル16cの下面22が第3ライン(パネル第2設置箇所)に位置するとともに、パネル16aの上面21が第1ライン(パネル第1設置箇所)に位置するように、トラス構造物17aと壁面12との間にそれらパネル16a〜16cを設置する。パネル16a〜16cを設置すると、アングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分がパネル16aの上端部44に当接するとともに、アングル39bの床面27から上方に延びる部分がパネル16cの下端部45に当接し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがアングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分やアングル39bの床面27から上方に延びる部分よりもわずか前方に位置し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがトラス構造物17aの第1垂直材31に当接する。
次に、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17aの第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17aとを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17aとが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17aに支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止され、トラス構造物17aに沿ってパネル16a〜16cを上下方向へ整然と並べることができる。
パネル16a〜16cの対向面19を壁面12に対向させた状態で、パネル16cの下面22が第3ライン(パネル第2設置箇所)に位置するとともに、パネル16aの上面21が第1ライン(パネル第1設置箇所)に位置するように、トラス構造物17bと壁面12との間にそれらパネル16a〜16cを設置する。パネル16a〜16cを設置すると、アングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分がパネル16aの上端部44に当接するとともに、アングル39bの床面27から上方に延びる部分がパネル16cの下端部45に当接し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがアングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分やアングル39bの床面27から上方に延びる部分よりもわずか前方に位置し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがトラス構造物17bの第1垂直材31に当接する。
次に、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17bの第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17bとを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17bとが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17bに支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止され、トラス構造物17bに沿ってパネル16a〜16cを上下方向へ整然と並べることができる。
パネル16a〜16cの対向面19を壁面12に対向させた状態で、パネル16cの下面22が第3ライン(パネル第2設置箇所)に位置するとともに、パネル16aの上面21が第1ライン(パネル第1設置箇所)に位置するように、トラス構造物17cと壁面12との間にそれらパネル16a〜16cを設置する。パネル16a〜16cを設置すると、アングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分がパネル16aの上端部44に当接するとともに、アングル39bの床面27から上方に延びる部分がパネル16cの下端部45に当接し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがアングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分やアングル39bの床面27から上方に延びる部分よりもわずか前方に位置し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがトラス構造物17cの第1垂直材31に当接する。
次に、型枠パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17cの第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17cとを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17cとが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17cに支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止され、トラス構造物17cに沿ってパネル16a〜16cを上下方向へ整然と並べることができる。
トラス構造物17a〜17cと壁面12との間にパネル16a〜16cを設置すると、最下部に位置する型枠パネル16cの下面22が床面27の第3ラインに位置し、パネル16cの上面21が中間部に位置するパネル16bの下面22に当接(密着)し、パネル16cとパネル16bとが上下方向へ重なり合う。中間部に位置する型枠パネル16bの上面21が最上部に位置するパネル16aの下面22に当接(密着)し、パネル16bとパネル16aとが上下方向へ重なり合い、パネル16aの上面21がスラブ底面26や梁底面26の第1ラインに位置する。横方向へ隣接する型枠パネル16a〜16cでは、パネル16a〜16cの側面22,23どうしが当接(密着)する。トラス構造物17aに支持されたパネル16a〜16cは、側面22が柱15に当接(密着)し、トラス構造物17cに支持されたパネル16a〜16cは、側面23が柱15に当接(密着)する。
図12は、図10から続く耐震補強壁W2の施工手順を示す図であり、図13は、図12から続く耐震補強壁W2の施工手順を示す図である。図14は、図13の側面図であり、図15は、コンクリート13の打設状態を示す図14と同様の側面図である。図12は、トラス構造物第2設置工程が完了した状態を示し、図13は、横架設材設置工程が完了した状態を示す。図14,15では、鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)の図示を省略している。
パネル16a〜16cを設置した後、縦架設材第2設置工程を行う。縦架設材第2設置工程(トラス構造物第2設置工程)では、パネル設置工程において上下方向に重ねたパネル16a〜16cの1組にあらたに2個のトラス構造物17(第2縦架設材)(トラス構造物17aの横方向両側に2個のトラス構造物17、トラス構造物17bの横方向両側に2個のトラス構造物17、トラス構造物17cの横方向両側に2個のトラス構造物17)を取り付ける。縦架設材第1設置工程および縦架設材第2設置工程では、上下方向に重ねたパネル16a〜16cの1組に3個のトラス構造物17が取り付けられ、柱15の間に合計9個のトラス構造物17が取り付けられる。
アングル39bに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とトラス構造物17の第1垂直材31の下端部に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41bを螺着し、そのボルト41bにナットを螺着して第1垂直材31の下端部をアングル39bに強固に固定する。トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節するために、第1垂直材31の上端部の寸法調節材34の開口部36に対する固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材31の上端部を固定ボルトおよびナットを介して寸法調節材34の開口部36に強固に固定する。さらに、アングル39aに穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)と寸法調節材34の固定端部35に穿孔されたボルト螺着孔(図示せず)とにアジャスターボルト41aを螺着し、そのボルト41aにナットを螺着して寸法調節材34の固定端部35をアングル39aに強固に固定する。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39bに第1垂直材34の下端部を固定するとともに、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定すると、図12に示すように、トラス構造物17aの両側に上下方向へ延びる2個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置され、トラス構造物17bの両側に上下方向へ延びる2個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置されるとともに、トラス構造物17cの両側に上下方向へ延びる2個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置される。
トラス構造物17aの両側に2個のトラス構造物17を設置すると、それらトラス構造物17がトラス構造物17aを挟んでパネル16a〜16cの上下方向へ延びる両側縁部に配置される。トラス構造物17bの両側に2個のトラス構造物17を設置すると、それらトラス構造物17がトラス構造物17bを挟んでパネル16a〜16cの上下方向へ延びる両側縁部に配置される。また、トラス構造物17cの両側に2個のトラス構造物17を設置すると、それらトラス構造物17がトラス構造物17cを挟んでパネル16a〜16cの上下方向へ延びる両側縁部に配置される。
次に、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17の第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17とを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17とが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17に支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止される。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39a,39bに第1垂直材31の下端部や寸法調節材34の固定端部35を固定すると、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20およびパネル16bの当接面20がそれらトラス構造物17の第1垂直材31に当接する。型枠10Aでは、横方向へ並ぶ9個のトラス構造物17によって型枠パネル16a〜16cの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル16a〜16cの崩落が防止される。
取っ手28とトラス構造物17とを連結紐42で連結した後、横架設材設置工程を行う。横架設材設置工程では、横方向へ延びる複数本の横架設材18a〜18cを各トラス構造物17に設置する。横架設材設置工程では、図13に示すように、横方向へ延びる3本の横架設材18a〜18cを上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれらトラス構造物17の前後方向前方に設置する。横架設材設置工程では、固定金具43を介して横架設材18a〜18cを各トラス構造物17の第2垂直材32に強固に固定する。
横架設材18a〜18cをトラス構造物17に固定すると、横架設材18aが型枠パネル16aの前方であってパネル16aの上下方向中央部に位置し、横架設材18bが型枠パネル16bの前方であってパネル16bの上下方向中央部に位置する。さらに、横架設材18cが型枠パネル16cの前方であってパネル16cの上下方向中央部に位置する。型枠10Aでは、それら横架設材18a〜18cによって各トラス構造物17の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
位置決め工程、横架材設置工程、縦架設材第1設置工程、パネル設置工程、縦架設材第2設置工程、横架設材設置工程が完了すると、図1に示す型枠10Aが完成する。壁面12と型枠10A(型枠パネル16a〜16c)との間には、コンクリート13を打設する空間14が形成されている。なお、図示はしていないが、空間14にコンクリート13を打設するときの空間14に存在する空気を外部に逃がす空気孔がいずれかの型枠パネル16aに形成されている。
型枠10Aを組み立てた後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、図15に示すように、型枠パネル16aに形成された打設口29から空間14にコンクリート13を打設する。空間14へのコンクリート13の打設は、図示はしていないが、コンクリートミキサーから延びるホースをパネル16aの打設口29に接続し、打設口29から空間14にコンクリート13を圧入する。空間14の空気は、型枠パネル16aの空気孔から外部に排気される。コンクリート打設工程では、確認窓30から空間14を視認しつつ、確認窓30を利用して空間14へのコンクリート13の打設状態を判断しながら、コンクリート13の打設作業が行われる。
コンクリート打設工程において、型枠パネル16aに作られた供給口29を利用することで、コンクリート13を空間14に容易に打設することができ、建物11の壁面12にコンクリート13を容易に増し打ちすることができる。また、空間14へのコンクリート13の打設状態を確認窓30から確認することができるから、空間14全域にコンクリート13を確実に打設することができ、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができる。
コンクリート打設工程によってコンクリート13を空間14に打設すると、空間14に進入したコンクリート13の側圧が型枠パネル16a〜16cに作用する。コンクリート13の側圧がそれらパネル16a〜16cに作用すると、各パネル16a〜16cが前後方向前方へ膨隆しようとするが、それらトラス構造物17によってパネル16a〜16cの膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるパネル16a〜16cの変形や積み重ねたパネル16a〜16cの崩落が防止される。また、コンクリート13の側圧によってそれらトラス構造物17が前後方向前方へ膨隆しようとするが、それら横架設材18a〜18cによって各トラス構造物17の膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるトラス構造物17の変形や撓みが防止される。
型枠10Aでは、各トラス構造物17がパネル16a〜16cに対する上下方向の押さえになり、空間14に打設されたコンクリート13の側圧が各パネル16a〜16cに作用したとしても、パネル16a〜16cが曲がることはなく、パネル16a〜16cの直状状態を維持することができる。さらに、それらパネル16a〜16cの6面19〜24にポリウレア樹脂25が塗布され、硬化したポリウレア樹脂25によってパネル16a〜16c自体の曲げ強度が大幅に増加しているから、コンクリート13の側圧が各パネル16a〜16cに作用したとしても、パネル16a〜16cが曲がることはなく、パネル16a〜16cの直状状態を維持することができる。
空間14にコンクリート13を打設した後、コンクリート13を所定期間養生する。コンクリート13の養生期間が経過した後、型枠取り外し工程を行う。型枠取り外し工程では、トラス構造物17の第2垂直材32から固定金具43を外し、トラス構造物17からそれら横架設材18a〜18cを取り外す。横架設材18a〜18cを取り外した後、連結紐42をトラス構造物17の第2垂直材32からほどき、アングル39aのボルト螺着孔および寸法調節材34の固定端部35のボルト螺着孔からアジャスターボルト41aを取り外し、寸法調節材34の固定端部35とアングル39aとの固定を解除するとともに、アングル39bのボルト螺着孔および第1垂直材31の下端部のボルト螺着孔からアジャスターボルト41bを取り外し、第1垂直材31の下端部とアングル39bとの固定を解除し、スラブ底面26や梁底面26、床面27からそれらトラス構造物17を取り外す。
トラス構造物17を取り外した後、床面27のトラス第2取付箇所に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルト40bを抜き取り、床面27とアングル39bとの固定を解除するとともに、スラブ底面26または梁底面26のトラス第1取付箇所に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルト40aを抜き取り、スラブ底面26や梁底面26とアングル39aとの固定を解除する。
アングル40a,40bを取り外した後、型枠パネル16a〜16cの取っ手28を手で把持しつつ、パネル16a〜16cを壁面12から離間する方向(前後方向前方)へ引っ張り、パネル16a〜16cを取り外す。それらパネル16a〜16cの6面19〜24にはポリウレア樹脂25が塗布され、6面19〜24の摩擦抵抗が大幅に低下しているから、養生後の硬化したコンクリート13がパネル16a〜16cの対向面19に付着することなく、コンクリート13からパネル16a〜16cを容易に取り外すことができる。型枠10Aを形成する全ての部材を取り外し、組み立てた型枠10Aを取り外す(分解する)ことで、新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2が作られる。
補強壁施工方法は、複数個のトラス構造物17(第1および第2縦架設材)と複数本の横架設材18a〜18cとを利用することで、建物11の壁面12と型枠パネル16a〜16cとの間の空間14に打設されたコンクリート13の側圧が型枠10Aに作用したとしても、パネル16a〜16cが変形することはなく、コンクリート13の側圧に対して型枠10Aが十分に耐えることができるとともに、建物11の壁面12とパネル16a〜16cとの並行状態を維持することができるから、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができ、既設壁W1の外側に構造計算された設計どおりの新たな耐震補強壁W2を作ることができる。
補強壁施工方法は、型枠10Aを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく型枠10Aを組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に耐震補強壁W2を施工することができる。また、補強壁施工方法は、型枠10Aを組み立てる際に空間14にセパレータを設置する必要がないことから、空間14に配筋された鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)がセパレータの設置の邪魔になることはなく、空間14に自由に鉄筋を配筋することができ、強固な鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2を作ることができる。
図16は、組み立てられた型枠10Bの他の一例を示す正面図であり、図17は組み立てられた図16の型枠10Bの側面図である。図18は、耐震補強壁W2の施工手順の他の一例を示す図であり、図19は、図18から続く耐震補強壁W2の施工手順を示す図である。図20は、コンクリート13の打設状態を示す側面図である。図16,17では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図16のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図17のみ)で示す。なお、図18は、横架材設置工程、縦架設材第1設置工程、パネル設置工程が完了した状態を示し、図19は、縦架設材第2設置工程が完了した状態を示す。図17,20では、鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)の図示を省略している。
型枠10Bを使用した補強壁施工方法は、型枠10Aを使用した補強壁施工方法と同様に、位置決め工程、横架材設置工程(アングル設置工程)、縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)、パネル設置工程、縦架設材第2設置工程(トラス構造物第2設置工程)、横架設材設置工程の各工程を順番に実施することで型枠10Bを組み立てた後、コンクリート打設工程、型枠取り外し工程の各工程を順番に実施することによって鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2を作る。
なお、型枠10Bが型枠10Aと異なるところは、設置されたトラス構造物17の個数と横架設材の本数が図1の型枠10Aのそれよりも多い点にあり、この型枠10Bにおけるその他の構成は図1のそれと同一であるから、図1の型枠10Aの説明を援用することで、この型枠10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。型枠10Bは、複数枚の型枠パネル16a〜16cと、複数個のトラス構造物17(第1および第2縦架設材)と、複数本の横架設材18とから形成されている。
トラス構造物17(第1および第2縦架設材)は、それら型枠パネル16a〜16cの前後方向前方に位置して上下方向へ直状に延びている。それらトラス構造物17は、横方向へ所定寸法離間して並んでいる。上下方向へ並ぶ1組の型枠パネル16a〜16cには、4個または5個のトラス構造物17が設置されている。トラス構造物17は、型枠パネル16a〜16cの当接面20に対向して上下方向へ直状に延びる第1および第2垂直材31,32と、それら垂直材31,32の間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材33と、トラス構造物17の高さ寸法を調節可能な寸法調節材34とから作られている。
トラス構造物17では、その上端部37(寸法調節材34の固定端部35)が所定の固定手段(アングル39a、アンカーボルト40a、アジャスターボルト41a)を介して建物11のスラブ底面26または梁底面26の正確に位置決めされたトラス第1固定箇所(第1墨出し箇所)に強固に固定されている。また、トラス構造物17の下端部38(第1垂直材31の下端部)が所定の固定手段(アングル39b、アンカーボルト40b、アジャスターボルト41b)を介して床面27の正確に位置決めされたトラス第2固定箇所(第2墨出し箇所)に強固に固定されている。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定するとともに、アングル39bに第1垂直材31の下端部を固定すると、第1垂直材31が型枠パネル16a〜16cの当接面20に当接(密着)する。トラス構造物17の第2垂直材32には、取っ手28から延びる連結紐42(連結部材)が強く結び付けられている。
横架設材18は、トラス構造物17の前後方向前方(トラス構造物17の第2垂直材32の直前)に位置しつつトラス構造物17に固定されて横方向へ直状に延びている。それら横架設材18は、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。横架設材18は、断面形状が円形の中空の金属筒である。横架設材18は、固定金具43を介してトラス構造物17の第2垂直材32に強固に固定されている。横方向へ並ぶパネル16aの前方には2本の横架設材18が配置され、横方向へ並ぶパネル16bの前方には2本の横架設材18が配置されているとともに、横方向へ並ぶパネル16cの前方には2本の横架設材18が配置されている。
位置決め工程では、底面26または梁底面26に対する型枠パネル16aのパネル第1設置箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、底面26または梁底面26に対するトラス構造物17(アングル39a,39b)のトラス第1取付箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)し、第1設置箇所に横方向へ延びる第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引くとともに、第1取付箇所に横方向へ延びる第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。
さらに、床面27に対する型枠パネル16cのパネル第2設置箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床面27に対するトラス構造物17(アングル39a,39b)のトラス第2取付箇所(墨出し箇所)を正確に位置決め(墨出し)し、第2設置箇所に横方向へ延びる第3ライン(墨出し線)(図示せず)を引くとともに、第2取付箇所に横方向へ延びる第4ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。
底面26または梁底面26に第1および第2ラインを引くとともに、床面27に第3および第4ラインを引いた後、空間14に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋)を配筋する。空間14に鉄筋を配筋した後、横架材設置工程(アングル設置工程)を行う。横架材設置工程では、スラブ底面26または梁底面26の位置決めされたトラス第1取付箇所にアングル39aを取り付けるとともに、床面27の位置決めされたトラス第2取付箇所にアングル39bを取り付ける。
横架材設置工程では、スラブ底面26または梁底面26の位置決めされたトラス第1取付箇所に穿孔したアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、トラス構造物17の上端部37(寸法調節材34の固定端部35)が第2ライン上に正確に位置するように、アングル39aを第2ラインに配置し、アンカーボルト40aによってアングル39aをスラブ底面26または梁底面26におけるトラス第1取付箇所に強固に固定する。また、床面27の位置決めされたトラス第2取付箇所に穿孔したアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、トラス構造物17の下端部38が第4ライン上に正確に位置するように、アングル39bを第4ラインに配置し、アンカーボルト40bによってアングル39bを床面27におけるトラス第2取付箇所に強固に固定する。
スラブ底面26または梁底面26や床面27にアングル39a,39bを取り付けた後、縦架設材第1設置工程を行う。縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)では、パネル設置工程において上下方向に重ねるパネル16a〜16cの1組に対応する位置に1個のトラス構造物17(第1縦架設材)を取り付け、柱15の間に合計3個のトラス構造物17a〜17cを取り付ける。
縦架設材第1設置工程では、アジャスターボルト41bおよびナットによって第1垂直材31の下端部をアングル39bに強固に固定する。第1垂直材31の上端部の寸法調節材34の開口部36に対する固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材31の上端部を固定ボルトおよびナットによって寸法調節材34の開口部36に強固に固定する。さらに、アジャスターボルト41bおよびナットによって寸法調節材34の固定端部35をアングル39aに強固に固定する。トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39bに第1垂直材34の下端部を固定し、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定すると、図18に示すように、スラブ底面26や梁底面26と床面27との間において上下方向へ延びる3個のトラス構造物17a〜17cが横方向へ所定寸法離間して設置される。
それらトラス構造物17a〜17cをトラス第1取付箇所およびトラス第2取付箇所に取り付けた後、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、それらトラス構造物17a〜17cに対して3枚の型枠パネル16a〜16cをパネル16c→パネル16b→パネル16aの順に設置する。パネル16a〜16cの対向面19を壁面12に対向させた状態で、パネル16cの下面22が第3ライン(パネル第2設置箇所)に位置するとともに、パネル16aの上面21が第1ライン(パネル第1設置箇所)に位置するように、トラス構造物17a〜17cと壁面12との間にそれらパネル16a〜16cを設置する。
パネル16a〜16cの対向面19を壁面12に対向させた状態で、パネル16cの下面22が第3ライン(パネル第2設置箇所)に位置するとともに、パネル16aの上面21が第1ライン(パネル第1設置箇所)に位置するように、トラス構造物17aと壁面12との間にそれらパネル16a〜16cを設置する。パネル16a〜16cを設置すると、アングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分がパネル16aの上端部44に当接するとともに、アングル39bの床面27から上方に延びる部分がパネル16cの下端部45に当接し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがアングル39aのスラブ底面26や梁底面26から下方に延びる部分やアングル39bの床面27から上方に延びる部分よりもわずか前方に位置し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20とパネル16bの当接面20とがトラス構造物17a〜17cの第1垂直材31に当接する。
次に、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17a〜17cの第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17a〜17cとを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17a〜17cとが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17a〜17cに支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止され、トラス構造物17a〜17cに沿ってパネル16a〜16cを上下方向へ整然と並べることができる。
パネル16a〜16cを設置した後、縦架設材第2設置工程を行う。縦架設材第2設置工程(トラス構造物第2設置工程)では、パネル設置工程において上下方向に重ねたパネル16a〜16cの1組にあらたに3つまたは4つのトラス構造物17(第2縦架設材)を取り付ける。トラス構造物第1設置工程およびトラス構造物第2設置工程では、上下方向に重ねたパネル16a〜16cの1組に4つまたは5つのトラス構造物17が取り付けられ、柱15の間に合計13のトラス構造物17が取り付けられる。アジャスターボルト41bおよびナットによって第1垂直材31の下端部をアングル39bに強固に固定する。第1垂直材31の上端部の寸法調節材34の開口部36に対する固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材31の上端部を固定ボルトおよびナットによって寸法調節材34の開口部36に強固に固定する。さらに、アジャスターボルト41bおよびナットによって寸法調節材34の固定端部35をアングル39aに強固に固定する。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39bに第1垂直材34の下端部を固定するとともに、アングル39aに寸法調節材34の固定端部35を固定すると、図19の左方に位置するパネル16a〜16cに4個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置され、図19の中央に位置するパネル16a〜16cに5個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置されるとともに、図19の右方に位置するパネル16a〜16cに4個のトラス構造物17が横方向へ所定寸法離間して設置される。
次に、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手28に連結紐42(連結部材)を結び付けるとともに、その連結紐42をトラス構造物17の第2垂直材32に結び付ける。取っ手28とトラス構造物17とを連結紐42で連結することで、パネル16a〜16cとトラス構造物17とが連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物17に支持され、パネル16a〜16cの壁面12の側への倒れ込みが防止される。
トラス構造物17の上下方向の高さ寸法を調節しつつ、アングル39a,39bに第1垂直材31の下端部や寸法調節材34の固定端部35を固定すると、パネル16a,16cの残余の部位における当接面20およびパネル16bの当接面20がそれらトラス構造物17の第1垂直材31に当接する。型枠10Bでは、横方向へ並ぶ13個のトラス構造物17によって型枠パネル16a〜16cの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル16a〜16cの崩落が防止される。
取っ手28とトラス構造物17とを連結紐42で連結した後、横架設材設置工程を行う。横架設材設置工程では、横方向へ延びる複数本の横架設材18を各トラス構造物17に設置する。横架設材設置工程では、図16に示すように、6本の横架設材18を上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれらトラス構造物17の前後方向前方に設置する。横架設材設置工程では、固定金具43を介してそれら横架設材18を各トラス構造物17の第2垂直材32に強固に固定する。横架設材18a〜18cをトラス構造物17に固定すると、2本の横架設材18が型枠パネル16aの前方に位置し、2本の横架設材18が型枠パネル16bの前方に位置するとともに、2本の横架設材18が型枠パネル16cの前方に位置する。型枠10Bでは、それら横架設材18によって各トラス構造物17の前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
位置決め工程、横架材設置工程(アングル設置工程)、縦架設材第1設置工程(トラス構造物第1設置工程)、パネル設置工程、縦架設材第2設置工程(トラス構造物第1設置工程)、横架設材設置工程が完了すると、図16に示す型枠10Bが完成する。型枠10Bを組み立てた後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、図20に示すように、型枠パネル16aに形成された打設口29から空間14にコンクリート13を打設する。コンクリート打設工程によってコンクリート13を空間14に打設すると、空間14に進入したコンクリート13の側圧が型枠パネル16a〜16cに作用する。
コンクリート13の側圧がそれらパネル16a〜16cに作用すると、各パネル16a〜16cが前後方向前方へ膨隆しようとするが、それらトラス構造物17によってパネル16a〜16cの膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるパネル16a〜16cの変形や積み重ねたパネル16a〜16cの崩落が防止される。また、コンクリート13の側圧によってそれらトラス構造物17が前後方向前方へ膨隆しようとするが、それら横架設材18a〜18cによって各トラス構造物17の膨隆が押さえられ、コンクリート13の側圧によるトラス構造物17の変形や撓みが防止される。
型枠10Bを使用した補強壁施工方法では、各トラス構造物17がパネル16a〜16cに対する上下方向の押さえになり、空間14に打設されたコンクリート13の側圧が各パネル16a〜16cに作用したとしても、パネル16a〜16cが曲がることはなく、パネル16a〜16cの直状状態を維持することができる。さらに、それらパネル16a〜16cの6面19〜24にポリウレア樹脂25が塗布され、硬化したポリウレア樹脂25によってパネル16a〜16c自体の曲げ強度が大幅に増加しているから、コンクリート13の側圧が各パネル16a〜16cに作用したとしても、パネル16a〜16cが曲がることはなく、パネル16a〜16cの直状状態を維持することができる。
コンクリート13の養生期間が経過した後、型枠取り外し工程を行う。型枠取り外し工程の詳細は、図1の型枠10Aを使用した耐震補強壁W2の施工手順のそれと同一であるから、その詳細な説明は省略する。型枠10Bを形成する全ての部材を取り外し、組み立てた型枠10Bを取り外す(分解する)ことで、新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2が作られる。
補強壁施工方法は、複数個のトラス構造物17と複数本の横架設材18とを利用することで、建物11の壁面12と型枠パネル16a〜16cとの間の空間14に打設されたコンクリート13の側圧に型枠10Bが十分に耐えることができ、壁面12とパネル16a〜16cとの並行状態を維持することができるから、壁面12にコンクリート13を確実に増し打ちすることができ、既設壁W1の外側に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2を作ることができる。
補強壁施工方法は、型枠10Bを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験に頼る必要はなく、短時間に効率よく型枠10Bを組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に耐震補強壁W2を作ることができる。また、補強壁施工方法は、型枠10Bの組み立てる際に空間14にセパレータを設置する必要がないことから、空間14に配筋された鉄筋がセパレータの設置の邪魔になることはなく、空間14に自由に鉄筋を配筋することができ、強固な鉄筋コンクリート製の耐震補強壁W2を作ることができる。
10A 型枠
10B 型枠
11 建物(建造物)
12 壁面
13 コンクリート
14 空間
15 柱
16a〜16c 型枠パネル
17 トラス構造物(縦架設材)
18a〜18c 横架設材
19 対向面
20 当接面
21 上面
22 下面
23 側面
24 側面
25 ポリウレア樹脂
26 スラブ底面または梁底面
27 床面
28 取っ手
29 打設口
30 確認窓
31 第1垂直材
32 第2垂直材
33 トラス材
34 寸法調節材
35 固定端部
36 開口部
37 上端部
38 下端部
39a 第1アングル
39b 第2アングル
40a,40b アンカーボルト
41a,41b アジャスターボルト
42 連結紐(連結部材)
43 固定金具
44 上端部
45 下端部

Claims (12)

  1. 建造物の壁面の外側に組み立てられる型枠を利用し、前記壁面と前記型枠との間の空間にコンクリートを打設して新たな補強壁を作る補強壁施工方法において、
    前記補強壁施工方法が、前記壁面から前後方向前方へ所定寸法離間した前記建造物のスラブ底面または梁底面に第1取付箇所を位置決めするとともに、前記壁面から前後方向前方へ所定寸法離間した前記建造物の床面に第2取付箇所を位置決めする位置決め工程と、上下方向へ延びる複数の第1縦架設材を横方向へ所定寸法離間させた状態で前記第1および第2取付箇所の間に設置する縦架設材第1設置工程と、前記第1縦架設材に当接する当接面に前後方向前方へ突出する取っ手が取り付けられた所定面積の複数の型枠パネルをそれら第1縦架設材の前後方向後方であってそれら第1縦架設材に当接させた状態で上下方向と横方向とへ並べて設置するパネル設置工程と、上下方向へ延びる複数の第2縦架設材をそれら第1縦架設材の横方向に並列させた状態で前記第1および第2取付箇所の間に設置する縦架設材第2設置工程と、横方向へ延びる複数の横架設材を上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれら第1および第2縦架設材の前後方向前方に固定する横架設材設置工程とによって前記型枠を組み立てるとともに、前記壁面と前記型枠パネルとの間の空間に前記コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記空間に打設されたコンクリートを養生した後に前記型枠を取り外す型枠取り外し工程とによって前記新たな補強壁を作り
    前記パネル設置工程では、それら型枠パネルの取っ手とそれら第1縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第1縦架設材を連結しつつ、それらパネルを上下方向と横方向とへ順に並べ、前記縦架設材第2設置工程では、前記第2縦架設材を前記第1および第2取付箇所の間に設置した後、それら型枠パネルの取っ手とそれら第2縦架設材とに連結紐または連結ゴムバンドを結び付けてそれら型枠パネルおよびそれら第2縦架設材を連結することを特徴とする補強壁施工方法。
  2. 前記補強壁施工方法が、前記位置決め工程の後に、前記スラブ底面または梁底面の第1取付箇所に第1アングルを設置するとともに、前記床面の第2取付箇所に第2アングルを設置する横架材設置工程を含み、前記縦架設材第1設置工程および前記縦架設材第2設置工程では、所定の固定手段によって前記第1および第2縦架設材の上端部を前記第1アングルに固定するとともに、所定の固定手段によって前記第1および第2縦架設材の下端部を前記第2アングルに固定する請求項1に記載の補強壁施工方法。
  3. 前記補強壁施工方法では、前記壁面とそれら型枠パネルとの間の空間に前記コンクリートを打設したときの該コンクリートの側圧によるそれらパネルの変形がそれら第1および第2縦架設材によって防止され、前記コンクリートの側圧によるそれら第1および第2縦架設材の変形および撓みがそれら横架設材によって防止される請求項1または請求項2に記載の補強壁施工方法。
  4. 前記縦架設材第1設置工程では、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に1つの前記第1縦架設材を設置し、前記縦架設材第2設置工程では、上下方向へ並ぶ1組のそれら型枠パネルの両側縁部の間に少なくとも2つの前記第2縦架設材を設置する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の補強壁施工方法。
  5. 前記横架設材設置工程では、上下方向へ並ぶそれら型枠パネル各々の前方に少なくとも1つの前記横架設材が位置するように、それら横架設材をそれら第1および第2縦架設材に固定する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の補強壁施工方法。
  6. 前記第1および第2縦架設材が、トラス構造物であり、前記トラス構造物が、前記型枠パネルに当接して上下方向へ直状に延びる第1垂直材と、前記第1垂直材から前後方向前方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材と、前記第1垂直材と前記第2垂直材との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから作られ、前記連結紐または連結ゴムバンドが、前記第2垂直材に結び付けられ、それら横架設材が、前記第2垂直材に固定される請求項1ないし請求項5いずれかに記載の補強壁施工方法。
  7. 前記トラス構造物が、その高さ寸法を調節可能な寸法調節材を含み、前記寸法調節材が、前記建造物の側に位置して該建造物に固定される固定端部と、前記第1垂直材の側に位置して該第1垂直材に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部とを有し、前記第1垂直材が、前記開口部を介して前記寸法調節材に着脱可能に連結される請求項6に記載の補強壁施工方法。
  8. それら型枠パネルが、前記壁面に対向する所定面積の対向面および前記トラス構造物の第1垂直材に当接する所定面積の前記当接面と上下面および両側面とを有する6面体であり、それらパネルの6面には、該パネルの前記コンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともに該パネル全体の強度を増加させる合成樹脂が塗布されている請求項6または請求項7に記載の補強壁施工方法。
  9. 前記合成樹脂が、イソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂であり、硬化した前記ポリウレア樹脂による所定厚みの平滑な被膜層が、それらパネルの6面に形成されている請求項8に記載の補強壁施工方法。
  10. 最上部に位置する前記型枠パネルでは、その上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、前記第1アングルの厚みが前記上端部に吸収され、最下部に位置する前記型枠パネルでは、その下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、前記第2アングルの厚みが前記下端部に吸収される請求項2ないし請求項9いずれかに記載の補強壁施工方法。
  11. それら型枠パネルの少なくとも1つには、前記壁面と前記パネルとの間の空間に前記コンクリートを打設する供給口が作られ、それら型枠パネルの少なくとも1つには、前記空間に前記コンクリートを打設するときに、前記空間への前記コンクリートの打設状態を確認可能な確認窓が作られている請求項1ないし請求項10いずれかに記載の補強壁施工方法。
  12. 前記建造物が、既設のそれであり、前記型枠が、既設の前記建造物の壁面に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の構築に利用される請求項1ないし請求項11いずれかに記載の補強壁施工方法。
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