JP2014093262A - 固体電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性が低く、高いリチウムイオン伝導性を有する固体電解質を提供する。
【解決手段】リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含む固体電解質であって、固体31PNMRスペクトルの92.5±0.6ppm、87.4±0.6ppm、及び76.9±0.5ppmの位置に結晶に起因するピークを有し、前記固体電解質全体に占める前記結晶の比率(x)が60mol%〜100mol%である固体電解質。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質及びその製造方法、その固体電解質を含む合材、電極、電解質層、及びその電極又は電解質層を含むリチウムイオン電池に関する。
全固体電池の分野において、従来から、硫化物系固体電解質材料が知られている。例えば、特許文献1には、LiSとPを特定のモル比(68:32〜73:27)で混合し、それをメカニカルミリング処理し、熱処理を施すことで、高いイオン伝導度(〜2×10−3S/cm)を有するガラスセラミクス電解質粒子が得られることが報告されている。しかしながら、本材料は反応性が高く、使用環境に制限がある。
この反応性を抑制する技術がいくつか提案されている。特許文献2に記載の技術は、反応性が低減する代わりにイオン伝導度が大きく低下するという問題がある。
非特許文献1では、高いリチウムイオン伝導性を示す硫化物系結晶化ガラスからなる固体電解質が開示されている。しかし、非特許文献1に記載の電解質は、高価なリチウムを多量に必要とするため工業的に不利である。
また、特許文献3ではヨウ化リチウムを添加することで電解質のイオン伝導度が1.0×10−3S/cmまで向上することを開示しているが、さらなるイオン伝導度の向上が必要であった。
特開2005−228570号公報 特開2010−199033号公報 特開2012−48973号公報
N.Kamayaら、Nature Materials10、682(2011).
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、反応性が低く、高いリチウムイオン伝導性を有する固体電解質を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、固体電解質を構成するリチウム元素、リン元素、硫黄元素及びハロゲン元素が特定の結晶構造を形成し、この結晶構造を所定量以上含む固体電解質が、リチウムイオン伝導性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の固体電解質等が提供される。
1.リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含む固体電解質であって、
固体31PNMRスペクトルの92.5±0.6ppm、87.4±0.6ppm、及び76.9±0.5ppmの位置に結晶に起因するピークを有し、
前記固体電解質全体に占める前記結晶の比率(x)が60mol%〜100mol%である固体電解質。
2.下記式(1)で表される組成を有する1に記載の固体電解質。
Li・・・(1)
(式中、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,PbもしくはBi、又はこれらの組合せを示し、XはI,Cl,BrもしくはF又はこれらの組合せを示す。a〜eは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
3.前記ハロゲン元素又はXが臭素(Br)である1又は2に記載の固体電解質。
4.構成元素の98原子%以上がリチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素である1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
5.リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含み、
熱物性測定により2つの結晶化ピーク温度が観察される硫化物ガラスを、
前記2つの結晶化ピーク温度のうち低温側の第1結晶化ピーク温度Tc1以上、高温側の第2結晶化ピーク温度Tc2以下の温度で熱処理する、
固体電解質の製造方法。
6.前記熱処理を、第1結晶化ピーク温度Tc1以上、高温側の第2結晶化ピーク温度Tc2と前記Tc1との中間温度以下の温度で行う5に記載の固体電解質の製造方法。
7.LiS及びPをLiS:P=70:30〜80:20のモル比で用いて前記硫化物ガラスを製造する5又は6に記載の製造方法。
8.5〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された固体電解質。
9.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質と電極材を含む合材。
10.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質と電極材から製造された合材。
11.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質を含む電極。
12.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電極。
13.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質層。
14.1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電解質層。
15.9又は10に記載の合材又は13又は14に記載の電解質層を電解質層、正極及び負極の1以上に含むリチウムイオン電池。
本発明によれば、反応性が低く、高いリチウムイオン伝導性を有する固体電解質が提供できる。
実施例、比較例において、結晶化度xを求めるために例示した76.9±0.5ppm、86.4±0.5ppm、87.4±0.6ppm、92.5±0.6ppm、及び106.6±0.5ppmの位置にのみピークを有する固体31PNMRスペクトルある。 図1のスペクトルをガウス曲線に分離したスペクトルの例である。
本発明の固体電解質は、リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含み、下記(1)及び(2)の条件を満たす。
(1)固体31PNMRスペクトルの76.9±0.5ppm、87.4±0.6ppm及び92.5±0.6ppmに、結晶に起因するピークを有する。
(2)固体電解質全体に占める(1)のピークを生じる結晶の比率(x)が60mol%〜100mol%である。
条件(1)の2つのピークは、高イオン伝導性の結晶成分が固体電解質に存在する場合に観測されるものである。
条件(2)は、固体電解質中に占める上記結晶の比率xを規定するものである。
固体31PNMRスペクトル及びxの測定方法、測定条件は、実施例において詳細に説明する。
固体電解質中において高イオン伝導性の結晶成分が所定量以上、具体的には60mol%以上存在すると、リチウムイオンは高イオン伝導性の結晶を主に移動する。
従って、固体電解質中の非結晶部分(ガラス部分)や、高イオン伝導性を示さない結晶格子(例えば、P 4−)を移動する場合に比べて、リチウムイオン伝導度が向上する。
は65mol%〜100mol%であることが好ましく、80mol%〜100mol%であることがより好ましく、90mol%〜100mol%であることがさらに好ましく、93mol%〜100mol%であることが最も好ましい。
は、原料である硫化物ガラスの熱処理時間及び温度を調整することにより制御できる。
本発明の固体電解質に含まれるハロゲンは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、Cl、Br又はIであることがより好ましく、特に、Br又はIであることが好ましい。
本発明の固体電解質は、下記式(1)の組成を有することが好ましい。
Li・・・(1)
(式中、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,PbもしくはBi、又はこれらの組合せを示し、XはI,Cl,BrもしくはF又はこれらの組合せを示す。a〜eは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
式(1)において、Mは下記式(2)で表される元素を表す。
AlSiGeAsSeSnSbTePbBi…(2)
式(2)において、f〜pはそれぞれ各元素の組成比を示す。f、g、h、i、j、k、l、m、o,pは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、f+g+h+i+j+k+l+m+n+o+p=1である。式(2)は、B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択される1種の元素、又は、2種以上の元素の組み合わせを表す。
式(2)において、i、j、k、l、m、n、o及びpが0である場合、即ち、BAlSi(f、g、hは0以上1以下であり、かつf+g+h=1)が好ましい。
式(1)において、Xは下記式(3)を表す。
ClBr…(3)
式(3)において、s、t、u及びvはそれぞれ各元素の組成比を示す。s、t、u及びvは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、s+t+u+v=1である。式(3)は、F、Cl、Br及びIから選択される1種のハロゲン元素、又は、2種以上のハロゲン元素の組み合わせを表す。
好ましくは、sとtが0である場合、即ち、ClBr(u、vはそれぞれ0以上1以下であり、u+v=1)である。より好ましくは、sとtとuが0である場合、即ち、Brである場合である。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、特に、I,Br又はClであることが好ましく、より好ましくはBrである。
式(1)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1,0<d≦9、0<e≦9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d及びeの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5である。最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
dは4であると好ましい。
各元素の組成比は、本発明の固体電解質又は電解質前駆体を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
本発明の固体電解質は、Li元素、P元素、S元素及びハロゲン元素を含む。本発明の固体電解質は、Li元素、P元素、S元素及びハロゲン元素を主成分とし、酸素元素等の他の元素を含んでいてもよい。
具体的に、本発明の固体電解質の構成元素の98原子%以上、99原子%以上、又は不可避不純物を除く100原子%を、Li、P、S及びハロゲンとしてもよい。
本発明の固体電解質は、例えば、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)、及びハロゲン元素(F、Cl,Br,I)の各元素を含有する硫化物ガラスを、後述する条件で熱処理することにより作製できる。
固体電解質は、原料(A)〜(C)と原料(D)ハロゲン元素を含む化合物とを所定の方法により反応させることにより製造することができる。
以下、各原料について説明する。
原料(A):リチウム化合物
リチウム化合物としては、LiS(硫化リチウム)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、LiPO(燐酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)等を用いることができる。これらは2種以上混合して使用してもよい。
好ましい原料としては、LiS(硫化リチウム)である。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−084438号公報)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
原料(B):リン化合物
リン化合物としては、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)等の硫化リン、単体リン(P)、NaPO(リン酸ナトリウム)等が挙げられる。
好ましくは、Pである。Pは、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
原料(C):その他の化合物
上記原料(A)、(B)に加えて、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、NaS(硫化ナトリウム)、SiS(硫化珪素)、Al(硫化アルミニウム)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、NaSiO(オルト珪酸ナトリウム)、NaAlO(アルミン酸ナトリウム)、NaGeO(ゲルニウム酸ナトリウム)、NaBO(メタホウ酸ナトリウム)等を用いることができる。これらは2種以上混合して使用してもよい。
原料(D):ハロゲン化合物
ハロゲン元素を含む化合物としては、下記式(4)に示す化合物を用いることができ、1化合物であってもよく、複数の化合物を用いてもよい。
−X・・・(4)
式(4)において、Mは、Li,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示す。特にP又はLiが好ましい。wは1〜2の任意の整数、xは1〜10の範囲の任意の整数である。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、特に、I,Br又はClであることが好ましく、より好ましくはBrである。
原料(D)としては、具体的には、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,POCl,PBr,POBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI4、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられ、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
尚、上記原料(A)〜(D)の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO3、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
以下、原料として、硫化リチウム、五硫化二リン及びハロゲン化合物を用いた場合の固体電解質(ガラス)の製造方法について説明する。
ハロゲン化合物がハロゲン化リチウムの場合、硫化リチウム:五硫化二りん(モル比)は、例えば65:35〜85:15であり、好ましくは67:33〜83:17であり、より好ましくは67:33〜80:20であり、最も好ましくは72:28〜78:22である。
この場合、硫化リチウム及び五硫化二りんのモル量の合計に対するハロゲン化リチウムのモル比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは55:45〜97:3であり、さらに好ましくは60:40〜96:4であり、特に好ましくは70:30〜96:4である。
ハロゲン化合物がハロゲン化リチウム以外の場合、硫化リチウムと五硫化二りんの混合比(モル比)は、例えば60:40〜90:10であり、好ましくは70:30〜90:10であり、より好ましくは72:28〜88:12であり、さらに好ましくは74:26〜86:14であり、特に好ましくは75:25〜85:15であり、最も好ましくは77:23〜83:17である。
その際、硫化リチウム及び五硫化二りんのモル量の合計に対するハロゲン化合物のモル比は好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは80:20〜98:2であり、さらに好ましくは85:15〜98:2であり、特に好ましくは90:10〜98:2である。
硫化リチウム、五硫化二リン及びハロゲン化合物を上記配合比で混合した材料を、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法又は固相法等により処理することにより、固体電解質を製造する。
以下、これらの方法を説明する。
(ア)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049号公報、国際公開第2005/119706号パンフレットに記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(イ)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、例えば、特開平11−134937号公報、特開2004−348972号公報、特開2004−348973号公報に記載されている。
具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では固体電解質の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、特開2010−90003号公報に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、特開2009−110920号公報や特開2009−211950号公報に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをMM処理してもよい。
また、特開2010−30889号公報に記載のようにMM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が、60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
(ウ)スラリー法
スラリー法は、国際公開第2004/093099号パンフレット、国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されている。
具体的には、所定量のP粒子とLiS粒子とハロゲンを含む化合物とを有機溶媒中で所定時間反応させることにより、固体電解質が得られる。
ハロゲンを含む化合物は、有機溶媒に溶解するか、又は粒子であることが好ましい。
ここで、特開2010−140893号公報に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。
また、国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。
また、特願2010−270191号公報に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは、20℃以上60℃以下である。
反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは、2時間以上14時間以下である。
有機溶媒の量は、原料である硫化リチウムと五硫化二リンとハロゲンを含む化合物とが、有機溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001kg以上1kg以下程度となる。好ましくは0.005kg以上0.5kg以下、特に好ましくは0.01kg以上0.3kg以下である。
有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性の非極性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又は、混合溶媒として、好適に使用することができる。
炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
(エ)固相法
固相法は、例えば、「H−J.Deiseroth,et.al.,Angew.Chem.Int.Ed.2008,47,755−758」に記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、固体電解質が得られる。
上記溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
固体電解質の製造法としては、MM法、スラリー法又は固相法が好ましい。低コストで製造可能であることから、MM法、スラリー法がより好ましく、特にスラリー法が好ましい。
溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法のいずれの場合であっても、混合する順番は、最終的な前駆体の組成が上記記載の範囲にあればよい。例えばメカニカルミリング法であれば、原料のLiS、P及びハロゲン化合物を全て混合した上でミリングしてもよく;LiSとPとをミリングした後、ハロゲン化物を加えさらにミリングしてもよく;ハロゲン化合物とPをミリング後、LiSを加えさらにミリングしてもよく;LiSとハロゲン化合物とをミリング後、Pを加えてさらにミリングしてもよい。
また、LiSとハロゲン化合物を混合しミリング処理した混合物と、ハロゲン化合物とPを混合しミリングした混合物を混ぜ合わせた上でさらにミリング処理を行ってもよい。好ましくは、LiとPを反応させてハロゲン化合物を含まない固体電解質ガラスを得て、さらにハロゲン化合物を混合し反応させる。この手順で反応させることにより、後述するTc1が低下する効果がある。
上記の他、2回以上混合処理を行う場合、2種以上の異なる方法を組み合わせてもよい。例えばLiSとPをメカニカルミリングで処理した上でLiBrを混合し、固相法で処理を行ってもよく、LiSとLiBrを固相法で処理を行ったものとPとLiBrを溶融急冷処理を行ったものを混合し、スラリー法を行うことで固体電解質(ガラス)を製造してもよい。
得られた固体電解質(ガラス)を熱処理して本発明の固体電解質を得る。
具体的には、熱物性測定により2つの結晶化温度(ピーク)が観察される場合は、低温側の第1結晶化ピーク温度(Tc1)と高温側の第2結晶化ピーク温度(Tc2)との間で熱処理する。その際、熱処理温度は、通常、150℃〜360℃であり、例えば、160℃以上350℃以下、180℃以上310℃以下、180℃以上290℃以下、190℃以上270℃以下である。
加熱温度は、より好ましくは、Tc1以上Tc2以下、さらに好ましくは、(Tc+10℃)以上Tc2以下である。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、Tc2以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、Tc2を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
また、加熱温度は、好ましくは、Tc1以上、Tc1とTc2との中間点以下であり、より好ましくは、Tc1以上、Tc1と上記中間点との中間点以下である。
熱物性測定により2つの結晶化温度(ピーク)が観察されない場合は、結晶化度が60%以上であるリチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含む固体電解質は得られない。
また、本発明の固体電解質は、2つの発熱ピーク(結晶化ピーク)の幅、即ちTc1とTc2の差が20〜150℃、好ましくは20〜100℃であることが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DiamondDSC)を使用し、固体電解質約20mgを10℃/分で測定して特定することができる。
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することがあるため、熱処理する昇温速度に近い速度で測定したTcを基準とする必要がある。従って、実施例以外の昇温速度で処理する場合は、最適な熱処理温度は変化するが、熱処理する昇温速度で測定されたTcを基準として上記条件にて熱処理することが望ましい。
加熱時間は、好ましくは0.005分以上10時間以下であり、より好ましくは0.005分以上5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
本発明の固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有するため、固体電解質層等、電池の構成材料として好適である。
本発明の固体電解質は、リチウム電池の固体電解質層、電極(正極及び/又は負極)に用いることができる。また、電極材と混合して、合材を製造することができる。正極材と混合すれば、正極合材となり、負極材と混合すれば、負極合材となる。
正極材としては、公知のものが使用でき、例えば、V、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePOが挙げられる。
さらに、例えば、硫化物系として、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等、酸化物系として、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。
上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe)、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物、硫黄、金属インジウム等が使用できる。
負極材としては、公知のものが使用でき、例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組み合わせた合金を、負極材として用いることができる。
電極は、上記合材の他、導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。具体例としては、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質が好ましい。
また、電解質層は、本発明の固体電解質の他、他の電解質を含んでいてもよい。他の電解質には、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質等がある。ポリマー系固体電解質は、例えば、特開2010−262860に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
電解質層、正極、負極は、さらにバインダーを含むことができる。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
本発明のリチウム電池は、電解質層、正極、負極の1以上に、上記の電解質層又は電極(正極及び/又は負極)を用いる。
実施例及び比較例で作製した固体電解質の固体31PNMRスペクトル、結晶化度xは、以下の方法で測定した。
(1)固体31PNMRスペクトル
装置:日本電子株式会社製 JNM−CMXP302NMR装置
観測核:31
観測周波数:121.339MHz
測定温度:室温
測定法:MAS法
パルス系列:シングルパルス
90°パルス幅:4μs
マジック角回転の回転数:8600Hz
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:100〜2000s
(最大のスピン−格子緩和時間の5倍以上になるよう設定)
積算回数:64回
化学シフトは、外部基準として(NHHPO(化学シフト1.33ppm)を用い決定した。
試料充填時の空気中の水分による変質を防ぐため、乾燥窒素を連続的に流しているドライボックス中で密閉性の試料管に試料を充填した。
(2)結晶化度x
(1)の条件で試料を測定して得られる固体31PNMRスペクトルについて、70〜120ppmに観測される共鳴線を、非線形最小二乗法を用いてガウス曲線に分離し、各曲線の面積比から算出した。以下に、固体31PNMRスペクトルの例を挙げ、結晶化度xの算出方法を具体的に説明する。尚、ピーク位置は波形分離後の位置である。
固体31PNMRスペクトルの70〜120ppmに観測される共鳴線(図1)について、非線形最小二乗法を用いて表1に示す7本のガウス曲線に分離する(図2)。尚、共鳴線は常に7本のガウス曲線に分離されるものではなく、帰属に示す組織が試料に存在しない場合には、その帰属に対応するガウス曲線が見られないこととなる。
2つの発熱ピーク間で熱処理した場合に現れるピーク2,3,5を与える結晶の比率x(mol%)を以下の式で計算する。ピーク1〜7の面積比率をそれぞれI〜Iとする。
=100×(I+I+I)/(I+I+I+I+I+I+I
製造例1[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開第2005/040039号パンフレットの実施例と同様に行った。具体的には、下記の通りである。
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
実施例1
撹拌機として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール444gを仕込んだ。温度保持槽として、撹拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全て乾燥大気下で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエン中の水分量はカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
製造例1の硫化リチウム33.7g(0.64モル)、P(アルドリッチ社)53.2g(0.21モル)、LiBr(アルドリッチ社)14.1g(0.15モル)に、脱水トルエン(和光純薬工業株式会社)1248ml(水分量8.4ppm)を加えた混合物を、温度保持槽及びミルに充填した。
ポンプにより内容物を480mL/分の流量で温度保持槽とミルの間を循環させ、温度保持槽を80℃になるまで昇温した。
ミル本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速12m/sの条件で運転した。2時間ごとにスラリーを採取し、150℃にて乾燥し白黄色の粉体スラリー(クリーム状)を得た。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥し、固体電解質を粉体として得た。このときの回収率は95%であり、反応器内に付着物はみられなかった。
得られた電解質を示差熱分析したところ、201℃(Tc1)と265℃(Tc2)に結晶化に伴う発熱ピークがみられた。
得られた硫化物ガラスを、200℃で2時間熱処理し、ガラスセラミック化することによって、固体電解質を作製した。この固体電解質のイオン伝導度を交流インピーダンス法(測定周波数100Hz〜15MHz)により測定したところ、室温で1.9×10−3S/cmを示した。
実施例1及び以下に示す実施例、比較例で作製した固体電解質のイオン伝導度、結晶比率x及びピーク2(92.5±0.5ppm),ピーク3(87.4±0.5ppm),ピーク5(76.9±0.5ppm)のピークの有無を表2に示す。
実施例2
硫化物ガラスの熱処理温度を210℃で2時間にした他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製、評価した。この固体電解質のイオン伝導度は2.2×10−3S/cmであった。
実施例3
硫化物ガラスの熱処理温度を220℃で2時間にした他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製、評価した。この固体電解質のイオン伝導度は1.8×10−3S/cmであった。
実施例4
硫化物ガラスの熱処理温度を230℃で2時間とした他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製、評価した。この固体電解質のイオン伝導度は1.3×10−3S/cmであった。
比較例1
実施例1において、硫化物ガラスの熱処理をしなかったものについて評価した。この硫化物ガラスのイオン伝導度は4.2×10−4S/cmであった。
比較例2
硫化物ガラスの熱処理温度を、300℃で2時間とした他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製、評価した。この固体電解質のイオン伝導度は2.3×10−5S/cmであった。
本発明の固体電解質は、リチウム二次電池用固体電解質に適している。
また、リチウム電池は、携帯情報末端、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等で使用するリチウム二次電池として使用できる。

Claims (15)

  1. リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含む固体電解質であって、
    固体31PNMRスペクトルの92.5±0.6ppm、87.4±0.6ppm、及び76.9±0.5ppmの位置に結晶に起因するピークを有し、
    前記固体電解質全体に占める前記結晶の比率(x)が60mol%〜100mol%である固体電解質。
  2. 下記式(1)で表される組成を有する請求項1に記載の固体電解質。
    Li・・・(1)
    (式中、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,PbもしくはBi、又はこれらの組合せを示し、XはI,Cl,BrもしくはF又はこれらの組合せを示す。a〜eは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
  3. 前記ハロゲン元素又はXが臭素(Br)である請求項1又は2に記載の固体電解質。
  4. 構成元素の98原子%以上がリチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素である請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
  5. リチウム(Li)元素、リン(P)元素、硫黄(S)元素及びハロゲン元素を含み、
    熱物性測定により2つの結晶化ピーク温度が観察される硫化物ガラスを、
    前記2つの結晶化ピーク温度のうち低温側の第1結晶化ピーク温度Tc1以上、高温側の第2結晶化ピーク温度Tc2以下の温度で熱処理する、
    固体電解質の製造方法。
  6. 前記熱処理を、第1結晶化ピーク温度Tc1以上、高温側の第2結晶化ピーク温度Tc2と前記Tc1との中間温度以下の温度で行う請求項5に記載の固体電解質の製造方法。
  7. LiS及びPをLiS:P=70:30〜80:20のモル比で用いて前記硫化物ガラスを製造する請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された固体電解質。
  9. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質と電極材を含む合材。
  10. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質と電極材から製造された合材。
  11. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質を含む電極。
  12. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電極。
  13. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質層。
  14. 請求項1〜4及び8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電解質層。
  15. 請求項9又は10に記載の合材又は請求項13又は14に記載の電解質層を電解質層、正極及び負極の1以上に含むリチウムイオン電池。
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