JP2014075407A - Cigs型太陽電池用基板及びそれを用いたcigs型太陽電池の製造方法 - Google Patents

Cigs型太陽電池用基板及びそれを用いたcigs型太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 CIGS型太陽電池の製造方法において、CIGS層を高温で成膜した場合でもCIGS層の結晶粒径を制御でき、CIGS層へのアルカリ金属拡散量が良好となることで、発電効率の良いCIGS型太陽電池を得るために用いるCIGS型太陽電池用基板を提供する。
【解決手段】 絶縁性支持基板と該絶縁性支持基板上に設けられたアルカリ金属供給層とを備えるCIGS型太陽電池用基板において、前記アルカリ金属供給層がアルカリ金属元素としてカリウム(K)とナトリウム(Na)とを含み、前記カリウムが、前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれるものとする。また、CIGS型太陽電池の製造方法において、該CIGS型太陽電池用基板を用いて、CIGS層形成工程の熱処理温度を550℃以上とする製造方法とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CIGS型太陽電池用基板及びそれを用いたCIGS型太陽電池の製造方法に関する。
カルコパイライト結晶構造を持つIb−IIIb−VIb族化合物半導体や、立方晶系あるいは六方晶系のIIb−VIb族化合物半導体は、可視から近赤外の波長範囲の光に対して大きな吸収係数を有するために、高効率薄膜太陽電池の材料として期待されている。代表的な例としてCu(In,Ga)Se(以下、「CIGS」又は「Cu−In−Ga−Se」と記述する)系やCdTe系が例示される。
CIGS型太陽電池は、例えば、ソーダライムガラス基板上に下部電極としてのMo層を形成した後、該Mo層上にCIGSの光電変換層(以下、「CIGS層」ともいう)を形成している。CIGS層の形成方法としては、多元蒸着装置により、Cu、In、Ga、及びSeを同時に蒸着してCIGS層を形成する多元蒸着法やCu−Ga合金ターゲット及びInターゲットを用いたスパッタリングによりCu−Ga合金層及び純In層からなる積層プリカーサー膜を形成し、これをセレン雰囲気中で熱処理するセレン化法が知られている。
発電効率の良い太陽電池を作製するために、CIGS層を多元蒸着法により形成する方法においては、より高温での熱処理が好ましく、ガラス基板はそれに耐えうることが要求されている。そのため、CIGS層形成工程におけるガラス基板の熱変形・熱歪みを抑えた、比較的徐冷点が高いガラス基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、CIGS層形成工程におけるガラス基板からのアルカリ拡散量を高くすることを目的としたガラス基板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
CIGS層をセレン化法により形成する方法においては、CIGS層中におけるGaを特定の濃度勾配とすることによって発電効率を上げることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された発明は必ずしも高い発電効率を有するとは限らない。また、特許文献2、3に記載された発明においても、高い発電効率という点ではまだ充分とは言えない。
そこで、Mo層とCIGS層との間に、アルカリ金属として主にナトリウム(Na)のみを含むアルカリ金属供給層を設けて、CIGS層形成工程において、CIGS層にアルカリ金属を拡散させて太陽電池の発電効率を向上させることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平11−135819号公報 国際公開第2011/049146号 特開平10−135498号公報 国際公開第2011/152410号
しかし、特許文献4で提案される方法では、下記の問題があることが本発明者等の検討でわかった。
図4は、従来のCIGS層の形成工程を示すものであり、具体的には、ガラス基板上に下部電極であるMo層を形成した後(アルカリ金属供給層は有しない)、多元蒸着法の1種である3段階法でCIGS層を形成する形成工程を示したものである。3段階法では、まず、第1段階目として、基板温度を400℃程度として、Ga、In、及びSeを同時に蒸着させる。また、第2段階目として、基板温度を550℃未満として、Cu及びSeを蒸着させる。さらに、第3段階目として、基板温度を550℃未満として、再度、Ga、In、及びSeを同時に蒸着させる。
このようなCIGS層の形成においては、より発電効率に優れる太陽電池を製造するために、CIGS層の成膜を高温で行うことが検討されている。CIGS層の蒸着を高温で行うことで、CIGS層における欠陥が低減され、得られるCIGS型太陽電池の発電効率の向上が期待される。
しかしながら、従来の3段階法を単に高温で行った場合、550℃を超えると、CIGS層の結晶粒径が大きくなり過ぎる傾向があり、開放電圧(Voc)向上に効果があるNa元素の拡散量をCIGS層中に増加させることが難しく、発電効率の向上を期待できず、またCIGS層表面の凹凸も低温時に比べ大きくなり、曲線因子(FF)が下がり、発電効率向上が期待できないことを本発明者等は知見として得た。
さらに、アルカリ金属供給層に含まれるアルカリ金属として、主にNaのみを含む特許文献4の発明においても、アルカリ金属供給層を有さない基板を用いた場合と同様に、3段階法を高温で行うと、CIGS層の結晶粒径が大きくなり過ぎる傾向があることを本発明者等は知見として得た。
本発明者等は、上記課題を解決すべき鋭意検討を重ねた結果、カリウム(K)とナトリウム(Na)とを特定の範囲で含ませたアルカリ金属供給層を有するCIGS型太陽電池用基板を用いることで、CIGS層形成工程において高温で成膜を行う場合であっても、CIGS層の結晶粒径を制御でき、それによりアルカリ金属拡散量を確保できることを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、CIGS層形成工程において高温で成膜を行う場合であっても、CIGS層にアルカリ金属拡散量を確保しつつ、表面凹凸を低減させることのできるCIGS型太陽電池用基板の提供を目的としている。また、本発明は、CIGS層にアルカリ金属拡散量を確保しつつ、表面凹凸を低減させ、発電効率に優れる太陽電池の製造方法の提供を目的としている。
本発明は以下の通りである。
<1>絶縁性支持基板と、
絶縁性支持基板と、
前記絶縁性支持基板上に設けられたアルカリ金属供給層とを備え、
前記アルカリ金属供給層は、アルカリ金属元素としてカリウム(K)とナトリウム(Na)とを含み、
前記カリウムが、前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれることを特徴とするCIGS型太陽電池用基板。
<2>上記絶縁性支持基板はさらに下部電極を備え、
上記下部電極は、上記絶縁性支持基板と上記アルカリ金属供給層との間、上記アルカリ金属供給層上、又は前記アルカリ金属供給層と同一層に設けられることを特徴とする上記<1>に記載のCIGS型太陽電池用基板。
<3>上記絶縁性支持基板は、さらに第一の下部電極及び第二の下部電極を上記絶縁性支持基板上に備え、
上記アルカリ金属供給層は、上記第一の下部電極と上記第二の下部電極との間に設けられることを特徴とする上記<1>に記載のCIGS型太陽電池用基板。
<4>上記アルカリ金属供給層は導電層からなることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか一つに記載のCIGS型太陽電池用基板。
<5>上記K/Naのモル比率が0.1〜2.7である上記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のCIGS型太陽電池基板。
<6>上記K/Naのモル比率が0.6〜2.0である上記<5>に記載のCIGS型太陽電池基板。
<7>絶縁性支持基板と、該絶縁性支持基板の上に設けられる下部電極と、カリウム(K)とナトリム(Na)とを含むアルカリ金属供給層と、CIGSの光電変換層と、を有するCIGS型太陽電池の製造方法であって、
(1)下記(a)〜(d)のいずれかの手段で又は手段を組み合わせて、前記アルカリ金属供給層を、前記カリウムが前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれるように前記絶縁性支持基板の上に設けてCIGS型太陽電池用基板を得るCIGS型太陽電池用基板形成工程と、
(a)上記絶縁性支持基板上に上記アルカリ金属供給層を形成し、該アルカリ金属供給層上に下部電極を形成する手段a、
(b)上記絶縁性支持基板上に上記下部電極を形成し、該下部電極上に上記アルカリ金属供給層を形成する手段b、
(c)上記絶縁性支持基板上に、上記下部電極と上記アルカリ金属供給層を同一層として形成する手段c、
(d)上記絶縁性支持基板上に、2層以上の積層型下部電極を形成し、該積層型下部電極のいずれかの間に上記アルカリ金属供給層を形成する手段d、
(2)上記CIGS型太陽電池用基板上に、該CIGS型太陽電池用基板の温度を550℃以上として上記CIGSの光電変換層を形成するCIGS層形成工程と、
を含むCIGS型太陽電池の製造方法。
<8>上記K/Naのモル比率が0.1〜2.7である上記<7>に記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
<9>上記CIGS層形成工程において、上記CIGSの光電変換層の結晶粒径は0.032exp(0.0065T)以下であることを特徴とする上記<7>又は<8>に記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
<10>上記CIGS層形成工程において、上記絶縁性支持基板の温度が560〜580℃であることを特徴とする上記<7>〜<9>のいずれか一つに記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いることにより、CIGS層を高温で成膜した場合でもCIGS層の結晶粒径を制御できるため、CIGS層へのアルカリ金属拡散量が良好となり、発電効率の良いCIGS型太陽電池を得ることができる。
図1は、本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いて製造されたCIGS型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明のCIGS型太陽電池の製造方法におけるCIGS層の形成工程の一実施形態を示す図である。 図3は、本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いて製造されたCIGS型太陽電池において、アルカリ金属供給層のカリウムの量を変化させたときのCIGS層の結晶のSEM写真を示す(実施例と比較例)。 図4は、従来のCIGS層の形成工程の一実施形態を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<本発明のCIGS型太陽電池用基板>
本発明のCIGS型太陽電池用基板は、絶縁性支持基板と、前記絶縁性支持基板上に設けられたアルカリ金属供給層とを備え、前記アルカリ金属供給層は、アルカリ金属元素としてカリウム(K)とナトリウム(Na)とを含み、前記カリウムが、前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれることを特徴とする。
本発明のCIGS太陽電池用基板においては、さらに下部電極を有することが好ましく、絶縁性支持基体と下部電極とアルカリ金属供給層との配置関係としては例えば、下記の構成が挙げられる。
(A)絶縁性支持基板上にアルカリ金属供給層が設けられ、該アルカリ金属供給層上に下部電極が設けられる構成。
(B)絶縁性支持基板上に下部電極が設けられ、該下部電極上にアルカリ金属供給層が設けられる構成。
(C)絶縁性支持基板上に、下部電極とアルカリ金属供給層とが同一層として設けられる構成。
(D)上記絶縁性支持基板上に第一の下部電極が設けられ、該第一の下部電極上にアルカリ金属供給層が設けられ、該アルカリ金属供給層上に第二の下部電極が設けられる構成。
なお、絶縁性支持基体と下部電極とアルカリ金属供給層との配置関係は上記に限定されず、(A)〜(D)の組み合わせでもよい。また、上記した構成において、絶縁性支持基体と下部電極とアルカリ金属供給層との間に他の機能層が設けられていてもよい。例えば、バリア層等が絶縁性支持基板上に設けられていても良い。バリア層は、アルカリ金属供給層からのアルカリ拡散量の調整、アルカリ拡散の均一性の効果もある。バリア層を有する場合は、通常のバリア層の構成でよい。
以下、図面を参照して、本発明について具体的に説明する。
図1は、本発明のCIGS型太陽電池用基板Aを用いて製造されたCIGS型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。CIGS型太陽電池1は、例えば、絶縁性支持基板としてのガラス基板2上に、アルカリ金属供給層a、下部電極としてのMo層3、Cu、In、Ga、及びSeを含有するCIGSの光電変換層(CIGS層)4、バッファ層5、透明導電層6、及び上部電極7が少なくともこの順に形成されたものである。
本発明のCIGS型太陽電池用基板は、図1に示したように、絶縁性支持基板としてのガラス基板2上に、アルカリ金属供給層aを形成し、該アルカリ金属供給層aの上に下部電極としてのMo層3を形成した構成(CIGS型太陽電池用基板A)が挙げられる。また、本発明のCIGS型太陽電池用基板は、ガラス基板2上に、アルカリ金属供給層aを形成した構成(下部電極なし)の構成であってもよい。図示していないが、バリア層がガラス基板2上(ガラス基板2とアルカリ金属供給層aとの間)に設けられていても良い。
なお、本発明のCIGS型太陽電池用基板が下部電極を有する場合、アルカリ金属供給層は、図1に示した態様の下部電極の下の構成だけでなく、下部電極の上、第一の下部電極と第二の下部電極との間、アルカリ金属供給層と下部電極とを同一層として形成された構成であってもよい。
以下、CIGS型太陽電池用基板の各層について説明する。
(アルカリ金属供給層)
本発明においては、アルカリ金属供給層はカリウム(K)とナトリウム(Na)とを含み、前記カリウムが、前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれることを特徴とする。アルカリ金属供給層がカリウムとナトリウムとを上記割合で含むことで、本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いてCIGS層を形成する場合、550℃以上の高温成膜条件であってもCIGS層の結晶粒径が大きくなりすぎず、粒界界面割合を増加させることができ、CIGS層にアルカリ金属を多く拡散させることができる。また、高温成膜条件であってもCIGS層の結晶粒径を制御できるため、CIGS層の表面の凹凸を平坦化させる効果があり、それによって曲線因子(FF)の向上に寄与でき、得られるCIGS型太陽電池の発電効率を向上させることができる。
また、本発明におけるアルカリ金属供給層は、カリウムとナトリウムとを含み、カリウムの含有量が上記範囲であれば特に限定されないが、導電層からなることが好ましい。
カリウムとナトリウムとを含み、且つ導電層からなるアルカリ金属供給層としては、例えば、KNbO、KS、KSe、KCl、KF等から選ばれる少なくともいずれかのカリウム化合物と、NaNbO、NaS、NaSe、NaCl、NaF等から選ばれる少なくともいずれかのナトリウム化合物とを含む構成が挙げられる。
本発明におけるアルカリ金属供給層は、K/Naのモル比率が0.1〜2.7であることが好ましい。この範囲であると、CIGS層の結晶粒径を制御する効果が顕著となり、発電効率を高くすることができる。また、K/Naのモル比率は0.6〜2.0であることがより好ましい。
K/Naのモル比の調整は、アルカリ金属供給層をスパッタ法で一層で形成する場合は、スパッタ原料を適宜調製するか、ターゲットを2つ以上使用して各ターゲットのパワーを調整する方法が挙げられる。また、スパッタ法でカリウム化合物を含む膜とNa化合物を含む膜とを2層で形成する場合は、膜厚を調整する等の方法が挙げられる。
本発明におけるアルカリ金属供給層が、カリウム(K)とナトリウム(Na)とを含む構成とするには、NaNbO及びKNbOからなる各層、又はNa、K、Nb、Oから形成される合金層とする構成が好ましく挙げられる。
必要に応じて、且つ本発明の趣旨に反しない限度において、アルカリ金属供給層に追加的にTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Au等を含有してもよい。
アルカリ金属供給層は、膜厚を10〜150nmとすることが膜はがれを抑制できる点から好ましい。しかし、下部電極と同一層で形成する場合は、300〜700nmとすることが好ましい。
なお、アルカリ金属供給層を下部電極と同一層内に形成する方法については、後述する。
(絶縁性支持基板)
本発明における絶縁性支持基板としては、それ自体が絶縁であれば特に限定はないが、CIGS層形成工程の熱処理温度に耐えられる耐熱性、具体的には700℃以下の条件で変形しない耐熱性を有することが好ましい。
絶縁性支持基板としては、ガラス基板が好ましく挙げられる。ガラス基板としては、厚さが0.5〜6mmの範囲のものが好適に用いられ、その組成は特に限定されず、ソーダライムガラス板;ソーダライムガラスよりもガラス転移温度が高いガラス基板;アルカリをごく少量含む無アルカリガラス基板;等を用いることができる。
なお、ガラス基板上にバリア層を有しない場合は、発電効率をより向上させるため、絶縁性支持基板からのアルカリ溶出量が多い下記の組成のガラス基板を用いることが好ましい。
ソーダライムガラスよりもガラス転移温度が高く、かつガラス基板からのアルカリ溶出量が多いガラス基板として、例えば、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO:60〜75モル%(以下、単に「%」と記載する)、Al:3〜10%、B:0〜3%、MgO:5〜18%、CaO:0〜5%、NaO:4〜18.5%、KO:0〜17%、SrO+BaO+ZrO:0〜10%含有し、KO/(NaO+KO)が0〜0.5であり、ガラス転移点温度(Tg)が550℃を超えるものが挙げられる。
ガラス基板を上記組成に限定する理由は以下のとおりである。
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分で、60%未満ではガラスの耐熱性及び化学的耐久性が低下し、熱膨張係数が増大するおそれがある。しかし、75%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。63〜72%が好ましく、63〜70%であることがより好ましく、63〜69%がさらに好ましい。
Alは、ガラス転移点温度を上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性及び化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる。その含有量が3%未満だと、ガラス転移点温度が低下するおそれがあるとともに、熱膨張係数が増大するおそれがある。しかし、10%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがあるとともに、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。また、発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下するおそれがある。含有量は、4〜9%が好ましく、5〜8%がより好ましい。
は、溶解性を向上させる等のために3%まで含有してもよい。含有量が3%を超えるとガラス転移点温度が下がる、又は熱膨張係数が小さくなり、CIGS型太陽電池の製造プロセス、特にCIGS層を形成するプロセスにとって好ましくない。より好ましくは含有量が2%以下である。含有量が1.5%以下であると特に好ましい。
SiO、Al、及びBの合量が多いとガラス基板からのアルカリの溶出を阻害するため少ない方が好ましい。SiO、Al、及びBの合量は、80%以下が好ましく、78%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましく、73%以下が特に好ましい。
MgOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させるが、5%未満だと、ガラスの高温粘度が上昇し溶解性が悪化するおそれがあるとともに、発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下するおそれがある。しかし、18%超では、熱膨張係数が増大するおそれがあるとともに、失透温度が上昇するおそれがある。16%以下が好ましく、14%以下であることがより好ましく、12%以下であるのがさらに好ましい。
CaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、5%超含有すると発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、またガラス板の熱膨張係数が増大するおそれがある。3%以下が好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
SrOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、5%超含有すると発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、またガラス板の熱膨張係数が増大するおそれがある。4%以下が好ましく、3%以下であることがより好ましい。
BaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、4%超含有すると発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、またガラス板の熱膨張係数が大きくなるおそれがある。3%以下が好ましく、2%以下であることがより好ましい
ZrOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、発電効率を上昇させ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、4%超含有すると発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、またガラス板の熱膨張係数が増大するおそれがある。3%以下が好ましい。
SrO、BaO及びZrOは、ガラスの溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくするため、合量で0〜10%含有する。しかし、合量で10%超では発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、また、ガラス転移点温度が低下しガラスの熱膨張係数が増大するおそれがある。SrO、BaO、及びZrOの合量は1%以上であるのが好ましく、より好ましくは2%以上である。10%未満が好ましく、9%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。
NaOは、CIGS型太陽電池の発電効率向上に寄与する成分であり、必須成分である。また、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので4〜18.5%含有させる。NaはCIGS層中に拡散して発電効率を高めるが、含有量が4%未満ではCIGS層へのNa拡散が不十分となり、発電効率も不十分となるおそれがある。含有量が5%以上であると好ましく、含有量が6%以上であるとより好ましく、含有量が7%以上であるとさらに好ましく、含有量が10%以上であると特に好ましい。NaO含有量が18.5%を超えると熱膨張係数が大きくなり、又は化学的耐久性が劣化する。含有量が17.5%以下であると好ましい。
Oは、NaOと同様の効果があるため、0〜17%含有させる。しかし、17%超では発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、また、ガラス転移点温度が低下し熱膨張係数が大きくなるおそれがある。含有する場合は1%以上であるのが好ましい。12%以下が好ましく、9%以下であることがより好ましく、7%以下であるのがさらに好ましい。
NaO及びKOは、ガラス溶解温度での粘性を十分に下げるために、NaO及びKOの合量に対するKOの含有率の比の値[KO/(NaO+KO)]を0〜0.5とする。0.5超では、発電効率が低下、すなわちガラス基板からのアルカリ溶出量が低下し、また熱膨張係数の増大や溶解性の低下のおそれがある。KO/(NaO+KO)は0.1以上であるのが好ましい。0.45以下が好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.35以下であるのがさらに好ましい。
NaO及びKOは、合量で13〜20%含有することが好ましい。19.5%以下であるのがより好ましく、19%以下であるのがさらに好ましく、18.5%以下であるのが特に好ましい。
SiO、Al及びBの合量に対するNaO及びKOの合量の比の値[(NaO+KO)/(SiO+Al+B)]が大きいほうがガラス基板からのアルカリの溶出を促進するため好ましい。(NaO+KO)/(SiO+Al+B)は、0.15以上であることが好ましく、より好ましくは0.18以上であり、さらに好ましくは0.20以上であり、特に好ましくは0.22以上である。
本発明において絶縁性支持基板に用いる上記ガラス基板は、本質的に上記母組成からなることが好ましいが、その他の成分を、典型的には合計で5%以下含有してもよい。たとえば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽等の改善を目的に、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、P等を含有してもよい場合がある。
また、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、ガラス基板中にSO、F、Cl、SnOを合量で2%以下含有するように、これらの原料を母組成原料に添加してもよい。また、ガラスの化学的耐久性向上のため、ガラス基板中にY、La、TiO、SnOを合量で5%以下含有させてもよい。これらのうち、Y、La、及びTiOは、ガラスのヤング率向上にも寄与する。また、TiOは、発電効率の向上にも寄与しうる。
また、ガラス基板の色調を調整するため、ガラス基板中にFe等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、合量で1%以下が好ましい。
また、ガラス基板は、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。
なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
上記ガラス基板は、従来のガラス基板と同様、溶解・清澄工程及び成形工程を実施して製造できる。なお、上記したガラス基板は、アルカリ金属酸化物(NaO、KO)を含有するアルカリガラス基板であるため、清澄剤としてSOを効果的に用いることができ、成形方法としてフロート法に適している。
以下に、上記組成を有するガラス基板を得る方法について記載する。
初めに、上記組成となるように各成分の原料を調合し、溶解して得た溶融ガラスを板状に成形する。具体的には、所望のガラス基板の組成となるように各成分の原料を調製し、上記原料を溶解炉に連続的に投入し、1450〜1650℃程度に加熱して溶融ガラスを得る。そしてこの溶融ガラスを例えばフロート法を適用してリボン状のガラス板に成形する。次に、リボン状のガラス板をフロート成形炉から引出した後に、冷却手段によって室温状態まで冷却し、切断して、ガラス基板を得る。
本発明における絶縁性支持基板としてガラス基板を用いる場合、ガラス基板の表面に下部電極やバリア層(例えばSiO等)等を成膜する際、ガラス基板の表面が汚れていると正常に成膜できないおそれがあることから、ガラス基板を洗浄することが好ましい。洗浄の方法は特に限定されないが、水による洗浄や洗浄剤による洗浄、酸化セリウムを含有したスラリーを散布しながらブラシ等でこする洗浄等が例示される。
酸化セリウム含有のスラリーで洗浄した場合は、その後に塩酸や硫酸等の酸性洗浄剤等を用いて洗浄することが好ましい。洗浄後のガラス基板表面には、汚れや酸化セリウム等の付着物によるガラス基板表面の凹凸等がないことが好ましい。凹凸があると、成膜の際に、膜表面の凹凸や膜厚偏差、膜のピンホール等が生じ、得られるCIGS型太陽電池の発電効率が低下するおそれがある。凹凸は高低差で20nm以下が好ましい。ガラス基板表面を酸化セリウム含有のスラリーで洗浄することで、凹凸の高低差を20nm以下と出来る。
また、ガラス基板としては、上記組成のガラス基板の他、アルカリ金属をごく少量含むもの、例えば無アルカリガラスであってもよい。なお、無アルカリガラスとは、酸化物換算で、LiO+NaO+KOの総和が0.1質量%以下のガラスを指す。
無アルカリガラスとしては、例えば、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO:57〜68%、Al:7〜15%、B:0〜12%、MgO:0〜7%、CaO:0〜9%、SrO:0〜8%、BaO:0〜3%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:5〜27質量%であるものが挙げられる。
(下部電極)
下部電極は、例えば、Mo、Ti、Al、Ni、Au、W又はCr等で構成される。下部電極の厚さは、100〜1000nmが好ましい。下部電極の膜厚が過度に厚くなると、下部電極の下に配置される層またはガラス基板との密着性が低下するおそれがある。また下部電極の膜厚が過度に薄くなると、電気抵抗が増大する傾向がある。下部電極の形成方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
第一の下部電極及び第二の下部電極を有する積層型下部電極の場合には、これらの下部電極は同じ組成であっても異なる組成であってもよく、また、厚さも同じであっても異なってもよい。
アルカリ金属供給層と下部電極とを同一層とする場合の形成方法については、CIGS型太陽電池用基板の形成方法の部分で説明する。
(CIGS型太陽電池用基板の形成方法)
本発明のCIGS型太陽電池用基板の形成方法について図1を参考に説明する。
本発明のCIGS型太陽電池用基板は、絶縁性支持基板としてのガラス基板2と下部電極3との間、下部電極3と光電変換層(CIGS層)4との間、下部電極3が積層型下部電極の場合はいずれかの下部電極間、及び下部電極3内から選ばれる少なくとも1箇所に、CIGS型太陽電池製造工程におけるCIGS層形成時にCIGS層4にアルカリ金属を拡散させて発電効率を向上させるためのアルカリ金属供給層を設けることができる。図1においては、ガラス基板2と下部電極3との間にアルカリ金属供給層aを設けているが、これに限定されない。
本発明におけるアルカリ金属供給層は、カリウムとナトリウムとを含み、カリウムがナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含むものであれば組成は特に限定はないが、例えば、KNbO、KS、KSe、KCl、KF等から選ばれる少なくともいずれかのカリウム化合物と、NaNbO、NaS、NaSe、NaCl、NaF等から選ばれる少なくともいずれかのナトリウム化合物とを含むことが好ましい。
また、アルカリ金属供給層は、単層であっても二層以上の積層であってもよい。
本発明におけるアルカリ金属供給層として、特に、アルカリ金属を含むニオブ酸化物、例えば、KNbO化合物とNaNbO化合物とからなるものが高効率なCIGS型太陽電池を作製する点から好ましい。アルカリ金属を含むニオブ酸化物は、大気中で安定であり、水に対してほとんど溶解しないことから、CIGS型太陽電池の製造時の取り扱い性を向上でき、耐久性を向上できる。なお、アルカリ金属供給層はLiNbO化合物を含有していても良い。LiNbO化合物は、アルカリ金属であるLiを含有するため、アルカリ拡散に寄与し、発電効率を高くできると考えられる。
なお、NaNbOは融点が最も高く、KNbOと比較して、高温の焼結温度を選んで焼結できることから、KNbO化合物とNaNbO化合物を併用して形成することが、アルカリ金属供給層の成膜に用いる焼結体スパッタリングターゲットを高密度で作製しやすい点で特に好ましい。その他の形成方法として例えば、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
本発明のCIGS型太陽電池用基板は、カリウムとナトリウムとを特定の割合で含むアルカリ金属供給層を有することで、CIGS層の形成工程の熱処理温度を550℃以上としてもCIGS層の結晶粒径が大きくならないため、発電効率のよいCIGS型太陽電池を得ることができる。
本発明のCIGS型太陽電池用基板が下部電極を有する場合、下部電極の形成方法(アルカリ金属供給層と下部電極とを同一層として形成する以外)は特に限定はなく、通常の方法、例えば、スパッタリング法等で形成すればよい。その他の形成方法として例えば、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
なお、アルカリ金属供給層を下部電極と同一層として形成する場合は、材料をMo、Na、K、Nb、Oからなる化合物となるように選定してスパッタ法で行えばよい。また、Moの代わりもしくは同時にTi、Al、Ni、Au、W又はCr等が含まれていても構わない。
<本発明のCIGS型太陽電池の製造方法>
本発明のCIGS型太陽電池の製造方法は、(1)下記(a)〜(d)のいずれかの手段で又は手段を組み合わせて、前記アルカリ金属供給層を、前記カリウムが前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれるように前記絶縁性支持基板の上に設けてCIGS型太陽電池用基板を得るCIGS型太陽電池用基板形成工程と、
(a)上記絶縁性支持基板上に上記アルカリ金属供給層を形成し、該アルカリ金属供給層上に下部電極を形成する手段a、
(b)上記絶縁性支持基板上に上記下部電極を形成し、該下部電極上に上記アルカリ金属供給層を形成する手段b、
(c)上記絶縁性支持基板上に、上記下部電極と上記アルカリ金属供給層を同一層として形成する手段c、
(d)上記絶縁性支持基板上に、2層以上の積層型下部電極を形成し、該積層型下部電極のいずれかの間に上記アルカリ金属供給層を形成する手段d、
(2)上記CIGS型太陽電池用基板上に、該CIGS型太陽電池用基板の温度を550℃以上として上記CIGSの光電変換層を形成するCIGS層形成工程と、を含むことを特徴とする。
(CIGS型太陽電池用基板形成工程)
本発明のCIGS型太陽電池の製造方法においては、まず、上記手段a〜dのいずれかの手段で又はこれらの手段を組み合わせて、カリウムがナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれるアルカリ金属供給層を絶縁性支持基板の上に設け、CIGS型太陽電池用基板を形成する。
ここで得られるCIGS型太陽電池用基板は、本発明のCIGS型太陽電池用基板である。
本発明のCIGS型太陽電池用基板は、特定の量のカリウムを含むアルカリ金属供給層を有すれば、それ以外の構成については特に限定はなく、下部電極等の形成方法(下部電極とアルカリ金属供給層とが同一層の場合を除く)は通常の方法で行えばよい。
下部電極とアルカリ金属供給層とを同一層とする場合は、上述したようにスパッタ法で形成すればよい。その他の形成方法として例えば、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
(CIGS層形成工程)
次いで、上記CIGS型太陽電池用基板形成工程で得られたCIGS型太陽電池用基板上にCIGS層を形成する。
図2は、CIGS層の形成工程の一実施形態を示す工程図である。CIGS層は、本発明のCIGS型太陽電池用基板上に、該基板の温度を400℃程度としてSe及びGa、Inを蒸着する第1段階目と、CIGS型太陽電池用基板の温度を550℃以上としてSe及びCuを蒸着する第2段階目と、CIGS型太陽電池用基板の温度を550℃以上としてSe及びGa、Inを蒸着する第3段階目とを少なくともこの順に行って形成する。
本発明においては、CIGS層形成工程において、CIGS層の結晶粒径を0.032exp(0.0065T)以下とすることが可能である。
後述の実施例からわかるように、本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いてCIGS層の成膜をすると、得られるCIGS層の結晶は、上記式を満たす結晶粒径となる。
なお、図2には成膜時間を示したが、本発明における成膜時間は必ずしもこのようなものに限られない。また、各工程間のCIGS型太陽電池用基板の温度、例えば、第1段階目における工程間のCIGS型太陽電池用基板の温度、第2段階目〜第3段階目における工程間のCIGS型太陽電池用基板の温度は、必ずしも同一である必要はなく、上記範囲内で段階毎に異なるものとできる。さらに、各段階内でのCIGS型太陽電池用基板の温度についても、必ずしも同一である必要はなく、上記した範囲内で変動させることができる。
すなわち、CIGS層の形成は、通常、全体組成がCu(In1−yGa)Se(0.7≦x≦1.0、0.1≦y≦0.6、1.9≦z≦2.0)となるように、公知の多元蒸着装置、例えば、真空槽と、この真空槽内に配置された基板加熱ヒータ、Cu、In、Ga、及びSeの各蒸着源とを備える多元蒸着装置を用いて行うことができる。
各蒸着源は、るつぼ内に配置してもよいし、るつぼの代わりにボート等を用いてもよい。また、CIGS層が形成されるCIGS型太陽電池用基板は、例えば、基板加熱ヒータを内蔵する基板ステージ上に配置される。
なお、CIGS層は、Cu、In、Ga、Seのみを含有することが好ましいが、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、追加的にSi、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、B、Zr、La及びその酸化物等の元素を最大1×1030at/cc程度含有してもよい。
各工程は、例えば、電離真空計で圧力を制御しながら、所定の基板温度に調整して行う。蒸着時の各元素の圧力は、例えば、第1の工程おけるSeの圧力が1×10−4Pa〜1×10−2Pa、Gaの圧力が1×10−5Pa〜1×10−4Pa、Inの圧力が1×10−5Pa〜1×10−4Pa、第2の工程おけるSeの圧力が1×10−4Pa〜1×10−2Pa、Cuの圧力が1×10−6Pa〜1×10−4Pa、第3の工程おけるSeの圧力が1×10−4Pa〜1×10−2Pa、Inの圧力が1×10−5Pa〜1×10−4Pa、Gaの圧力が1×10−5Pa〜1×10−4Paであることが好ましい。
また、各工程の成膜時間は、CIGS層の全体の厚さが1〜3μm程度となるように、また最適バンドキャップが得られるように適宜選択することができるが、例えば、第1の工程は600〜3600秒、第2の工程は600〜3600秒、第3の工程は300〜1800秒である。
また、各工程のCIGS型太陽電池用基板の温度は、上記範囲内であれば必ずしも限定されないが、第1の工程のCIGS型太陽電池用基板の温度は350〜450℃が好ましく、第2の工程のCIGS型太陽電池用基板の温度は550℃以上が好ましく、560〜580℃がより好ましく、第3の工程のCIGS型太陽電池用基板の温度は550℃以上が好ましく、560〜580℃がより好ましい。このようなCIGS型太陽電池用基板の温度、特に第2の工程〜第3の工程のCIGS型太陽電池用基板の温度を高くすることで、CIGS層内の欠陥を低減する効果を十分に得ることができ、発電効率に優れる太陽電池を製造することができる。
(それ以外の工程)
本発明のCIGS型太陽電池の製造方法は、CIGS型太陽電池用基板形成工程と、CIGS層形成工程以外に、バッファ層形成工程、透明導電層形成工程、上部電極形成工程等を含んでもよい。以下、各工程で得られる層構成及び層形成工程について説明する。
バッファ層は、例えば、半導体層を形成するCdやZnを含む化合物で構成される。Cdを含む化合物としては、CdS等があり、Znを含む化合物としては、ZnO、ZnS、ZnMgO等が例示される。バッファ層は、図示しないが、複数の半導体層で構成されてもよい。この場合、CIGS層に近い側にある第1の層は、前述のような、CdS又はZnを含む化合物によって構成され、CIGS層から遠い側にある第2の層は、ZnO又はZnOを含む材料等で構成される。バッファ層の膜厚は、特に限定されないが、50〜300nmが好ましい。
バッファ層の形成は、通常の形成方法、例えばスパッタリング法により行えばよい。その他の形成方法として例えば、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
透明導電層は、例えばZnO、又はITOのような材料等で構成される。又は、これらの材料にAl等のIII族元素をドープしてもよい。また、透明導電層は、複数の層を積層させて構成してもよい。透明導電層の厚さ(複数層の場合は全厚)は、特に限定されるものではないが、100〜3000nmが好ましい。
透明導電層の形成は、通常の形成方法、例えば、スパッタリング法により行えばよい。その他の形成方法として例えば、蒸着法、気相成膜法(PVD、CVD)等が例示できる。
透明導電層には、さらに導電性の取り出し部材である上部電極7が電気的に接続される。上部電極は、例えば、Ni、Cr、Al、及びAgから選ばれる1種以上の金属で構成されることが好ましい。
上部電極の形成は、通常の形成方法、例えば、加熱蒸着法により行えばよい。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
絶縁性支持基板として、3cm×3cmの正方形、厚さ1.1mmに加工したガラス基板(ソーダライムガラス板)を用い、該ガラス基板をアセトン溶液の入ったビーカーに浸し、常温で超音波洗浄器にて5分間、ガラス基板洗浄を行った。同様に、エタノール溶液でもガラス基板洗浄を行い、さらに新しいアセトン溶液とエタノール溶液の各溶液にて同様のガラス基板表面の洗浄を行った。その後、窒素ガンにて溶液を吹き飛ばし乾燥させた。
このガラス基板上に、スパッタ装置(TOKKI製)を用いてスパッタリング法によりバリア層としてSiO2層を成膜した。成膜条件は、電力1.61W/cm、アルゴン流量49sccm(8.281×10−3Pa・m/sec)、酸素流量21sccm(3.459×10−3Pa・m/sec)、成膜圧力3.0mtorr(0.40Pa)、150℃にて厚さ100nm成膜し、バリア層付ガラス基板を得た。
さらにバリア層付ガラス基板上にコンビナトリアルスパッタ装置(大和機器工業(株)製)を用いてスパッタリング法によりアルカリ金属供給層としてKNbO層75nm、NNbO層25nmをそれぞれ成膜した。成膜条件は、電力3.41W/cm、アルゴン流量48sccm(8.112×10−3Pa・m/sec)、酸素流量2sccm(3.38×10−4Pa・m/sec)、成膜圧力20.0mtorr(2.67Pa)、常温にて成膜し、アルカリ金属供給層付ガラス基板を得た。
なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は1.98であった。
さらにこのアルカリ金属供給層付ガラス基板上に、スパッタ装置(TOKKI製)を用いてスパッタリング法により下部電極としてのMo層を形成した。成膜条件は、電力1.5W/cm、アルゴン流量40sccm(6.76×10−3Pa・m/sec)、成膜圧力2.0mtorr(0.27Pa)にて2往復させ、厚さ約500nmのMo層を成膜し、Mo層付ガラス基板を得た。
多元蒸着装置の試料交換室にて、上記で得られたMo層付ガラス基板に対して200℃、30分間の加熱を行い、Mo層付ガラス基板表面の水分及び不純物を飛ばした。その後、Mo層上に多元蒸着装置(EpiQuest製)を用いて、以下に示すようにして、厚さ1.8μm以上となるようにCIGS層を成膜する。
まず、Mo層付ガラス基板の温度を約400℃まで加熱し、In、Ga及びSeを蒸着源から蒸発させてMo層表面にIn、Ga及びSeの蒸着を行った(第1段階目(1度目のIn−Ga−Se蒸着工程))。この際、Seの蒸気圧を電離真空計にて測定し、1×10−3〜1×10−2Paの条件とした。そして、放射温度計を用いて、光を蒸着により形成された膜表面に照射し、放射温度計により光の干渉縞を観測し、その周期が3となるまで蒸着を行った。
In、Ga及びSeの蒸着後、加熱によりMo層付ガラス基板の温度を上昇させて、Cu及びSeを蒸着源から蒸発させてCu及びSeの蒸着を行った(第2段階目)。加熱は、Mo層付ガラス基板の温度が520℃になるまで行い、520℃になった時点で温度が一定となるように保持した。Mo層上の膜全体の組成がCu過剰となるまで、Cu及びSeの蒸着を行った。Cuが過剰かどうかの判断は、放射温度計を用い、物性変化による波形変化を確認して行った。Cu及びSeの蒸着時間は、蒸着開始から波形変化点までの時間の1.3倍の時間とした。
Cu及びSeの蒸着後、In、Ga及びSeを蒸着源から蒸発させてIn、Ga及びSeの蒸着を行った(第3段階目(2度目のIn−Ga−Se蒸着工程))。In、Ga及びSeの蒸着時間は、1度目のIn−Ga−Se蒸着工程との合計の蒸着時間の0.4倍とした。
以上のようにして、Cu(In1−yGa)Se(0.7≦x≦1.0、0.1≦y≦0.6、1.9≦z≦2.0)で示される組成を有し、CIGSの化学量論組成比に対してIn及びGaがCuに対して過剰に含有され(Cu/(In+Ga)<1)、かつ厚さ1.8〜2μmであるCIGS層を成膜した。
次に、CIGS層上にCBD(Chemical Bath Deposition)法にて、バッファ層としてのCdS層を成膜した。成膜条件は0.015M硫酸カドミウム、1.5Mチオウレア、15Mアンモニア水溶液をビーカー内でマグネティックスターラーと超音波洗浄器にて混合させ、予め水温を70℃にしておいた恒温バス槽に浸し、溶液温度が安定したところで基板を入れマグネティックスターラーにて攪拌しながらCdS層を50〜120nm成膜した。その後、ビーカーに入れた純水中に基板を移し、超音波洗浄器にて洗浄し、さらに他のビーカーに用意した純水にて洗浄を行い、窒素ガンにて水分を吹き飛ばして乾燥させた。
このCdS層上にスパッタ装置(TOKKI社製)にて、透明導電層として、ZnOターゲットを使用してZnO層を成膜し、さらにその上にAZOターゲット(Alを1.5wt%含有するZnOターゲット)を使用してAZO層を成膜した。ZnO層の成膜条件は、電力1.17W/cm、成膜圧力5.5mtorr(0.73Pa)、酸素0.1%混合Ar流量120sccm(0.02Pa・m/sec)、常温にて厚さを約200nmとし、AZO層の成膜条件は、電力1.76W/cm、成膜圧力5.5mtorr(0.73Pa)、Ar流量120sccm(0.02Pa・m/sec)、常温にて厚さ約200nmとして成膜した。
AZO層上に、上部電極として、厚さ約1μmのAl電極を成膜した。成膜は、99.999%アルミニウム材料をCuハースに入れ、加熱蒸着法により行った。また、成膜には、電極の形状に加工されたステンシルマスクを用いた。その後、尖った金属板を用いて、CIGS層までを削り、下部電極を残してセル化、及び下部電極の作製を行い、一定面積(Al電極を除いた面積が約0.5cm)のセルが両側に各4個、合計8個のセルが並んだ太陽電池を作製した。
[実施例2]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層50nm、NNbO層50nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.66であった。
[実施例3]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層25nm、NNbO層75nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.22であった。
[実施例4]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層75nm、NNbO層25nm成膜した。またCIGS層の成膜において、第2段階目、第3段階目のMo層付ガラス基板の温度を560℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は1.98であった。
[実施例5]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層50nm、NNbO層50nm成膜したこと以外は、実施例4と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.66であった。
[実施例6]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層25nm、NNbO層75nm成膜したこと以外は、実施例4と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.22であった。
[実施例7]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層75nm、NNbO層25nm成膜した。CIGS層の成膜において、第2段階目、第3段階目のMo層付ガラス基板の温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は1.98であった。
[実施例8]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層50nm、NNbO層50nm成膜したこと以外は、実施例7と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.66であった。
[実施例9]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層25nm、NNbO層75nm成膜したこと以外は、実施例7と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層のK/Naのモル比は0.22であった。
[実施例10]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNO100nmのみを成膜したこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層は、Naは含有されずKのみである(K/Naのモル比=100/0)。
[比較例1]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層0nm、NNbO層100nm成膜した。それ以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層は、Kは含有されずNaのみである(K/Naのモル比=0/100)。
[比較例2]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層0nm、NNbO層100nm成膜した。またCIGS層の成膜において、第2段階目、第3段階目のMo層付ガラス基板の温度を560℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層は、Kは含有されずNaのみである(K/Naのモル比=0/100)。
[比較例3]
アルカリ金属供給層の成膜において、KNbO層0nm、NNbO層100nm成膜した。またCIGS層の成膜において、第2段階目、第3段階目のMo層付ガラス基板の温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてCIGS型太陽電池を作製した。なお、アルカリ金属供給層は、Kは含有されずNaのみである(K/Naのモル比=0/100)。
次に、実施例及び比較例のCIGS型太陽電池について以下の測定を行った。
[太陽電池の発電効率の測定]
ステージ温度が制御可能な一辺約30cmのステージを準備し、そのステージ上を光の反射を抑えるために黒く塗装し、中央付近にCIGS型太陽電池を設置した。なお、あらかじめInGa溶剤(オーミック接触のため)を削り出したMo層に塗布し、そのMo層にプラス端子、8個のセル表面のAl電極にマイナス端子を、それぞれ電圧/電流発生器に接続した。
そして、ステージ上の温度が25℃となるように温度調節機にて制御した。ステージ上において外部光を遮断し、電池上部からキセノンランプ(USHIO INC.製)を10秒間照射した。その後、60秒保持し、電池の温度を安定させた。その後、キセノンランプの未照射時と照射時にて、電圧を−1Vから+1Vまで0.015V間隔で変化させ、電流値を測定した。この照射時の電流と電圧特性から発電効率を算出した。
発電効率は、開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、及び曲線因子(FF)から下記式(1)により求めた。
発電効率[%]=Voc[V]×Jsc[mA/cm]×FF[無次元]×100/試験に用いる光源の照度[W/cm]・・・(1)
ここで、開放電圧(Voc)は、端子を開放した時の出力であり、短絡電流密度(Jsc)は、端子を短絡した時の電流である短絡電流(Isc)を有効面積で割ったものであり、曲線因子(FF)は、最大の出力を与える点である最大出力点の電圧(最大電圧値(Vmax))と最大出力点の電流(最大電流値(Imax))との積を開放電圧(Voc)と短絡電圧(Isc)との積で割ったものである。
表1、2に、実施例及び比較例のCIGS型太陽電池の発電効率、CIGS層の結晶粒径の結果をまとめて示す。
なお、CIGS層の結晶粒径については、各例の数か所断面を観察し、その3万倍のSEM像における結晶粒の長軸方向の幅の平均値を結晶粒径とした。
実施例1〜10及び比較例1〜3で得られたCIGS型太陽電池のCIGS層の結晶粒径を測定した結果を表1に示す。それぞれの実施例及び比較例におけるMo層付ガラス基板温度をx軸に、それぞれの実施例および比較例で得られたCIGS層の結晶粒径をy軸にプロットしたグラフから得られる指数近似曲線から、本発明のCIGS型太陽電池用基板を用いてCIGS層を成膜すると、CIGS層の結晶粒径は0.032exp(0.0065T)より小さくなることがわかる。
表1、2から明らかなように、Kを一定以上含んだアルカリ金属供給層を用いることで、高い発電効率が得られることがわかる。
また表1、2から、Kを一定以上入れることで、CIGS層形成工程においてCIGS型太陽電池用基板の温度が高温であっても、CIGS層の結晶粒径が小さくなることがわかる。
本発明のCIGS型太陽電池用基板をCIGS型太陽電池の製造に用いることで、CIGS層を高温で成膜した場合でもCIGS層の結晶粒径を制御できるため、CIGS層へのアルカリ金属拡散量が良好となり、発電効率の良いCIGS型太陽電池を得ることができる。
1 CIGS型太陽電池
2 絶縁性支持基体
3 下部電極
4 CIGSの光電変換層(CIGS層)
5 バッファ層
6 透明導電層
7 上部電極
a アルカリ金属供給層
A CIGS型太陽電池用基板

Claims (10)

  1. 絶縁性支持基板と、
    前記絶縁性支持基板上に設けられたアルカリ金属供給層とを備え、
    前記アルカリ金属供給層は、アルカリ金属元素としてカリウム(K)とナトリウム(Na)とを含み、
    前記カリウムが、前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれることを特徴とするCIGS型太陽電池用基板。
  2. 前記絶縁性支持基板はさらに下部電極を備え、
    前記下部電極は、前記絶縁性支持基板と前記アルカリ金属供給層との間、前記アルカリ金属供給層上、又は前記アルカリ金属供給層と同一層に設けられることを特徴とする請求項1に記載のCIGS型太陽電池用基板。
  3. 前記絶縁性支持基板は、さらに第一の下部電極及び第二の下部電極を前記絶縁性支持基板上に備え、
    前記アルカリ金属供給層は、前記第一の下部電極と前記第二の下部電極との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のCIGS型太陽電池用基板。
  4. 前記アルカリ金属供給層は導電層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のCIGS型太陽電池用基板。
  5. 前記K/Naのモル比率が0.1〜2.7である請求項1〜4のいずれか一項に記載のCIGS型太陽電池基板。
  6. 前記K/Naのモル比率が0.6〜2.0である請求項5に記載のCIGS型太陽電池基板。
  7. 絶縁性支持基板と、該絶縁性支持基板の上に設けられる下部電極と、カリウム(K)とナトリウム(Na)とを含むアルカリ金属供給層と、CIGSの光電変換層と、を有するCIGS型太陽電池の製造方法であって、
    (1)下記(a)〜(d)のいずれかの手段で又は手段を組み合わせて、前記アルカリ金属供給層を、前記カリウムが前記ナトリウムに対してK/Naのモル比で0.1以上含まれるように前記絶縁性支持基板の上に設けてCIGS型太陽電池用基板を得るCIGS型太陽電池用基板形成工程と、
    (a)前記絶縁性支持基板上に前記アルカリ金属供給層を形成し、該アルカリ金属供給層上に下部電極を形成する手段a、
    (b)前記絶縁性支持基板上に前記下部電極を形成し、該下部電極上に前記アルカリ金属供給層を形成する手段b、
    (c)前記絶縁性支持基板上に、前記下部電極と前記アルカリ金属供給層を同一層として形成する手段c、
    (d)前記絶縁性支持基板上に、2層以上の積層型下部電極を形成し、該積層型下部電極のいずれかの間に前記アルカリ金属供給層を形成する手段d、
    (2)前記CIGS型太陽電池用基板上に、該CIGS型太陽電池用基板の温度を550℃以上として前記CIGSの光電変換層を形成するCIGS層形成工程と、
    を含むCIGS型太陽電池の製造方法。
  8. 前記K/Naのモル比率が0.1〜2.7である請求項7に記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
  9. 前記CIGS層形成工程において、前記CIGSの光電変換層の結晶粒径は0.032exp(0.0065T)以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
  10. 前記CIGS層形成工程において、前記絶縁性支持基板の温度が560〜580℃であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のCIGS型太陽電池の製造方法。
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