JP2016100458A - 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法 - Google Patents

光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016100458A
JP2016100458A JP2014236293A JP2014236293A JP2016100458A JP 2016100458 A JP2016100458 A JP 2016100458A JP 2014236293 A JP2014236293 A JP 2014236293A JP 2014236293 A JP2014236293 A JP 2014236293A JP 2016100458 A JP2016100458 A JP 2016100458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal film
photoelectric conversion
film
manufacturing
conversion device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014236293A
Other languages
English (en)
Inventor
次六 寛明
Hiroaki Jiroku
寛明 次六
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014236293A priority Critical patent/JP2016100458A/ja
Publication of JP2016100458A publication Critical patent/JP2016100458A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells

Abstract

【課題】電気特性に優れた光電変換装置を安定的に製造することができる光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法を提供する。【解決手段】光電変換装置の製造方法は、基板10上に高融点金属からなる第1金属膜21aを形成する工程と、第1金属膜21aに対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す工程と、第1金属膜21a上に第11族元素を含む金属膜23aおよび第13族元素を含む金属膜23bを形成する工程と、第1金属膜21a、金属膜23a、および金属膜23bに対して第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法に関する。
CIS系膜やCZTS系膜をp型半導体層として用いた光電変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光電変換装置では、基板上にモリブデン(Mo)で下部電極(裏面電極層)を形成し、大気中で下部電極をアニールすることにより下部電極の表面に酸化モリブデン(MoO2、MoO3)の膜を形成し、その酸化モリブデン膜の上にCZTS系膜となる金属膜を形成する。このように下部電極の表面に酸化モリブデン膜を形成することにより、その上層の金属膜をセレン化してCZTS系膜とする後工程において、下部電極のモリブデンがセレン化されることを抑制している。
特開2012−160556号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光電変換装置のように、下部電極とp型半導体層との間に酸化膜である酸化モリブデン膜が介在すると、下部電極とp型半導体層との間の接触抵抗が上昇し、光電変換装置の電気特性が悪化するおそれがある。接触抵抗の上昇を抑制するには、下部電極(モリブデン)の表面がセレン化されることは好ましいが、下部電極が過度にセレン化されてしまうと、その分だけ下部電極の膜厚が薄くなり配線抵抗が高くなって、光電変換装置の電気特性が悪化する。したがって、p型半導体層となる金属膜のセレン化を行う工程において、下部電極の過度のセレン化を抑制して、電気特性に優れ感度の高い光電変換装置を安定的に製造することができる光電変換装置の製造方法が求められている。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の光電変換装置の製造方法は、基板上に高融点金属からなる第1金属膜を形成する工程と、前記第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す工程と、前記第1金属膜上に第11族元素および第13族元素を含む第2金属膜を形成する工程と、前記第1金属膜および前記第2金属膜に対して第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す工程と、を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、基板上に下部電極として高融点金属からなる第1金属膜を形成し、第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施すため、成膜する際に第1金属膜中に取り込まれたガス成分などが放出されるので、第1金属膜を緻密化することができる。そして、第1金属膜の上に第11族元素および第13族元素を含む第2金属膜を形成して、セレンなどの第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施すことで、第2金属膜が第16族元素と反応して、第11族元素、第13族元素、および第16族元素を含むカルコパイライト構造のp型半導体層を形成できる。これにより、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有する光電変換装置を製造できる。
また、第2熱処理において第1金属膜の表面が第16族元素と反応して、第1金属膜からなる下部電極とp型半導体層との間に、高融点金属と第16族元素との反応生成膜が形成される。これにより、下部電極と反応生成膜とp型半導体層とのそれぞれの境界でオーミック接触が得られるため、下部電極とp型半導体層との間の接触抵抗が低く抑えられる。ここで、第1金属膜は、前工程で行われる第1熱処理によってより緻密な膜となっているため、第2熱処理において第1金属膜の第16族元素との過度の反応が抑制されるので、下部電極として第1金属膜の十分な膜厚を確保できる。したがって、電気特性に優れ感度の高い光電変換装置を安定的に製造することができる。
[適用例2]本適用例の光電変換装置の製造方法は、基板上に高融点金属からなる第1金属膜を形成する工程と、前記第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す工程と、前記第1金属膜上に第11族元素、第12族元素、および第14族元素を含む第2金属膜を形成する工程と、前記第1金属膜および前記第2金属膜に対して第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す工程と、を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、基板上に下部電極として高融点金属からなる第1金属膜を形成し、第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施すため、成膜する際に第1金属膜中に取り込まれたガス成分などが放出されるので、第1金属膜を緻密化することができる。そして、第1金属膜の上に第11族元素、第12族元素、および第14族元素を含む第2金属膜を形成して、セレンなどの第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施すことで、第2金属膜が第16族元素と反応して、第11族元素、第12族元素、第14族元素、および第16族元素を含むp型半導体層を形成できる。
また、第2熱処理において第1金属膜の表面が第16族元素と反応して、第1金属膜からなる下部電極とp型半導体層との間に、高融点金属と第16族元素との反応生成膜が形成される。これにより、下部電極と反応生成膜とp型半導体層とのそれぞれの境界でオーミック接触が得られるため、下部電極とp型半導体層との間の接触抵抗が低く抑えられる。ここで、第1金属膜は、前工程で行われる第1熱処理によってより緻密な膜となっているため、第2熱処理において第1金属膜の第16族元素との過度の反応が抑制されるので、下部電極として第1金属膜の十分な膜厚を確保できる。したがって、電気特性に優れ感度の高い光電変換装置を安定的に製造することができる。
[適用例3]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記高融点金属はモリブデンであることが好ましい。
この製造方法によれば、第1金属膜をモリブデンで形成するので、他の高融点金属で形成する場合と比べて、製造が容易であり、かつ、コスト競争力に優れた光電変換装置を製造できる。
[適用例4]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記第1熱処理の温度は300℃以上であることが好ましい。
この製造方法によれば、第1熱処理の温度が300℃以上であるため、第1金属膜を十分緻密化することができる。
[適用例5]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記第1熱処理の温度は前記第2熱処理の温度以上であることが好ましい。
この製造方法によれば、後工程の第2熱処理の温度が第1熱処理の温度以下となるため、第2熱処理における第1金属膜の変質を避けることができる。
[適用例6]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記非酸化性雰囲気は、不活性雰囲気であることが好ましい。
この製造方法によれば、不活性雰囲気中で第1熱処理を行うため、第1金属膜を変質させることなく緻密化することができる。
[適用例7]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記不活性雰囲気は、真空であることが好ましい。
この製造方法によれば、真空中で第1熱処理を行うため、第1金属膜を変質させることなく緻密化することができる。
[適用例8]上記適用例の光電変換装置の製造方法であって、前記非酸化性雰囲気は、還元性雰囲気であることが好ましい。
この製造方法によれば、還元性雰囲気中で第1熱処理を行うため、第1金属膜を変質させることなく緻密化することができる。
[適用例9]本適用例の電子機器の製造方法は、上記適用例の光電変換装置の製造方法を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、電気特性に優れ感度の高い光電変換装置を安定的に製造することができる光電変換装置の製造方法を含むので、高感度で高品質の電子機器を製造できる。
本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーの電気的な構成を示す等価回路図。 本実施形態に係るフォトセンサーの配置を示す概略平面図。 図2のA−A’線に沿ったフォトセンサーの概略断面図。 本実施形態に係るフォトダイオードの構造を示す模式断面図。 本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明する図。 本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図。 生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図。 センサー部の構成を示す概略斜視図。 センサー部の構造を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
本実施形態では、光電変換装置の例としてイメージセンサーを挙げ、電子機器の例としてこのイメージセンサーを適用した生体情報取得装置を例に挙げて説明する。
<光電変換装置>
まず、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーについて、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーの電気的な構成を示す等価回路図である。詳しくは、図1(a)はイメージセンサーの概略配線図であり、図1(b)は光電変換素子としてのフォトセンサーを示す等価回路図である。図2は、本実施形態に係るフォトセンサーの配置を示す概略平面図である。図3は、図2のA−A’線に沿ったフォトセンサーの概略断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100は、素子領域Fにおいて互いに交差して延在する複数の走査線3aと複数のデータ線6とを有している。また、イメージセンサー100は、複数の走査線3aが電気的に接続された走査線駆動回路52と、複数のデータ線6が電気的に接続されたデータ線駆動回路51とを有している。そして、イメージセンサー100は、走査線3aとデータ線6との交差点付近に対応して設けられ、素子領域Fにおいてマトリックス状に配置された複数のフォトセンサー50を有している。
図1(b)に示すように、フォトセンサー50は、薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)11と、フォトダイオード20と、保持容量30とを備えている。TFT11のゲート電極3g(図3参照)は走査線3aに電気的に接続され、TFT11のソース電極5s(図3参照)はデータ線6に電気的に接続されている。
フォトダイオード20の一方はTFT11のドレイン電極5d(図3参照)に電気的に接続され、他方はデータ線6と並行して設けられた定電位線12に電気的に接続されている。保持容量30の一方の電極はTFT11のドレイン電極に電気的に接続され、他方の電極は走査線3aと並行して設けられた定電位線3bに電気的に接続されている。
図2に示すように、フォトセンサー50は、互いに交差する走査線3aとデータ線6とによって平面的に区切られた領域に設けられた、ほぼ正方形の下部電極21と、コンタクトホールCNT1とを有している。下部電極21は、コンタクトホールCNT1を介してTFT11(図3参照)に電気的に接続されている。平面視でコンタクトホールCNT1を除く下部電極21と重なる部分に受光領域50aが設けられている。
なお、以下の説明では、走査線3aに沿った方向をX方向とし、データ線6に沿った方向をY方向とする。また、X方向およびY方向と直交し図3における上方に向かう方向をZ方向とする。なお、本明細書では、イメージセンサー100およびフォトセンサー50を法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
図3に示すように、フォトセンサー50は、基板10と、基板10上に設けられたフォトダイオード20とを備えている。基板10は、基板本体1と絶縁膜1aとTFT11とゲート絶縁膜3と層間絶縁膜4とデータ線6と絶縁膜7と平坦化層8とを有している。基板本体1は、例えば、透明なガラスや不透明なシリコンなどからなる。絶縁膜1aは、基板本体1の表面を覆うように形成されている。
TFT11は、半導体層2とゲート電極3gとソース電極5sとドレイン電極5dとを有している。半導体層2は、例えば、多結晶シリコンで形成され、絶縁膜1a上に島状に設けられている。半導体層2は、チャネル領域2cとドレイン領域2dとソース領域2sとを有している。半導体層2を覆うように、例えばSiO2(酸化シリコン)などの絶縁材料によってゲート絶縁膜3が形成されている。
ゲート電極3gは、ゲート絶縁膜3上において、半導体層2のチャネル領域2cに対向する位置に形成されている。ゲート電極3gは、走査線3a(図1参照)に電気的に接続されており、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料を用いて形成されている。層間絶縁膜4は、ゲート絶縁膜3とゲート電極3gとを覆うように形成されている。
ゲート絶縁膜3および層間絶縁膜4には、半導体層2のドレイン領域2dとソース領域2sとに平面視で重なる部分に貫通孔が形成されている。これらの貫通孔を埋めるとともに層間絶縁膜4を覆うように例えばAlなどの金属材料からなる導電膜が成膜され、当該導電膜をパターニングすることにより、コンタクトホールCNT2,CNT3、ドレイン電極5d、ソース電極5s、およびデータ線6が形成されている。ソース電極5sは、コンタクトホールCNT2を介して半導体層2のソース領域2sに接続され、さらにデータ線6とも接続されている。ドレイン電極5dは、コンタクトホールCNT3を介して半導体層2のドレイン領域2dに接続されている。
絶縁膜7は、ドレイン電極5d、ソース電極5s、データ線6、および層間絶縁膜4を覆うように形成されている。絶縁膜7は、例えば、SiN(窒化シリコン)を用いて形成されている。平坦化層8は、絶縁膜7を覆うように形成されている。平坦化層8は、例えば、SiO2(酸化シリコン)を用いて形成されている。絶縁膜7および平坦化層8の平面視でドレイン電極5dと重なる部分には、貫通孔が形成されている。
平坦化層8上には、下部電極21が設けられている。下部電極21は、第1金属膜としての高融点金属材料からなる導電膜で構成されている。この導電膜(第1金属膜)を絶縁膜7および平坦化層8に形成された貫通孔と平坦化層8とを覆うように成膜し、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT1と下部電極21とが形成される。下部電極21は、コンタクトホールCNT1を介してドレイン電極5dと電気的に接続されている。なお、図3では図示を省略しているが、下部電極21の表面を覆うように、中間層22が配置されている(図4参照)。
下部電極21上には、コンタクトホールCNT1を避けるように、p型半導体層23とn型半導体層24とが積層されて形成されている。これらp型半導体層23およびn型半導体層24の側壁および外縁部を覆うとともに、下部電極21および平坦化層8を覆うように、絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9は、例えば、絶縁膜7と同様にSiN(窒化シリコン)を用いて形成されている。
絶縁膜9の表面と、絶縁膜9によって覆われていないn型半導体層24の表面とを覆うように、上部電極25が形成されている。上部電極25は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電膜からなり、定電位線12を兼ねるものである。
下部電極21とp型半導体層23とn型半導体層24と上部電極25とによりフォトダイオード20が構成されている。フォトダイオード20において、p型半導体層23およびn型半導体層24の領域のうち絶縁膜9によって覆われていない領域が受光領域50aとなっている。なお、フォトダイオード20の構造の詳細については後述する。
本実施形態に係るイメージセンサー100によれば、図1(b)に示す定電位線3b,12によってフォトダイオード20に逆方向バイアスを印加した状態で、受光領域50aに光が入射すると、フォトダイオード20に光電流が流れ、それに応じた電荷が保持容量30に蓄積される。
また、複数の走査線3aのそれぞれによって複数のTFT11をON(選択)させることで、データ線6には、各フォトセンサー50が備える保持容量30に蓄積された電荷に対応する信号が順次出力される。したがって、素子領域Fにおいてそれぞれのフォトセンサー50が受光した光の強度をそれぞれ検出することができる。
<フォトダイオード>
続いて、本実施形態に係るフォトダイオード20の構造について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るフォトダイオードの構造を示す模式断面図である。なお、図4は、図3におけるフォトダイオード20の部分拡大図に相当する。
図4に示すように、フォトダイオード20は、基板10上に設けられ、基板10側から順に積層された下部電極21と中間層22とp型半導体層23とn型半導体層24と上部電極25とを有している。
下部電極21を構成する高融点金属材料としては、例えば、Mo(モリブデン)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などが挙げられる。中でも、Moは、電気特性が良好であり、かつ、製造が容易であるため、下部電極21の材料として好適に用いることができる。下部電極21の層厚は、例えば、190nm〜950nm程度である。
中間層22は、下部電極21の表面を覆うように形成されている。中間層22は、下部電極21を構成する高融点金属材料とセレンとの反応生成膜である。下部電極21を構成する高融点金属材料としてMoを用いる場合、中間層22は、セレン化モリブデン(MoSe2)で構成される。中間層22の層厚は、例えば、40nm〜200nm程度である。
p型半導体層23は、中間層22上に形成されている。p型半導体層23は、第11族元素である銅(Cu)、第13族元素であるインジウム(In)、第16族元素であるセレン(Se)を含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe2)の膜で構成される。p型半導体層23は、銅(Cu)、インジウム(In)、第13族元素であるガリウム(Ga)、セレン(Se)を含むカルコパイライト構造のCIGS系(Cu(In、Ga)Se2)の膜で構成されていてもよい。
n型半導体層24は、p型半導体層23上に積層され形成されている。n型半導体層24は、例えば、ノンドープの真性半導体膜であるi−ZnO(イントリンジック酸化亜鉛)膜と、n型不純物がドープされたZnO(n+)膜とで構成されていてもよい。なお、真性半導体膜とは、意図的にドナー原子やアクセプター原子を添加してない半導体膜である。本実施形態では、p型半導体層23の上に真性半導体膜が積層され、さらに真性半導体膜の上にn型不純物がドープされた半導体膜が積層されている。上部電極25は、n型半導体層24を覆うように、ITOやIZOなどの透光性を有する導電膜で形成されている。
上述したように、本実施形態に係るフォトダイオード20は、p型半導体層23がカルコパイライト構造のCIS系膜またはCIGS系膜で構成されている。CIS系膜およびCIGS系膜は、光電変換率に優れており、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有している。したがって、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有するイメージセンサー100を提供できる。
ところで、特許文献1に記載の光電変換装置(太陽電池)のように、下部電極とp型半導体層との間に酸化膜である酸化モリブデン(MoO2、MoO3)膜が介在すると、下部電極とp型半導体層との間の接触抵抗が高くなり、光電変換装置の電気特性が悪化するおそれがある。
これに対して、本実施形態に係るイメージセンサー100の構成によれば、フォトダイオード20の下部電極21とp型半導体層23との間にセレン化モリブデン(MoSe2)で構成された中間層22を備えている。これにより、下部電極21と中間層22との境界、および中間層22とp型半導体層23との境界でオーミック接触が得られるため、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗が低く抑えられる。また、下部電極21とp型半導体層23との間にMoSe2で構成された中間層が介在することにより、これらの各層の界面での密着性が向上する。したがって、高感度で信頼性の高いイメージセンサー100を提供できる。
<光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図5を参照して説明する。ここでは、本発明の特徴であるフォトダイオード20の製造方法を説明する。図5は、本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明する図である。なお、図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の各図には、図4と同様の断面を示している。
まず、図5(a)に示すように、基板10上に高融点金属からなる第1金属膜21aを、例えば、物理気相堆積法(PVD:Physical Vapor Deposition)を用いて、200nm以上かつ1μm以下の膜厚で形成する。第1金属膜21aの膜厚が200nm以上であると、下部電極21となる第1金属膜21aの配線抵抗が高くなることを抑制できる。一方、第1金属膜21aの膜厚が1μm以下であると、下部電極21による段差が大きくなる事態を抑制できるとともに、厚膜に起因する大きな内部ストレスが原因となる膜剥がれを抑制することができる。
本実施形態では、高融点金属としてMo(モリブデン)を用いて、スパッタリング法により500nmの膜厚で成膜し、下部電極21の形状にパターニングして、第1金属膜21aを形成した。なお、基板10は、図3に示すように、基板本体1上にTFT11、層間絶縁膜4、絶縁膜7、平坦化層8などを公知の半導体製造技術を用いて形成することにより得られる。
続いて、図5(b)に示すように、第1金属膜21aに対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す。非酸化性雰囲気は、例えば、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などを含む不活性雰囲気とする。第1熱処理の温度は、300℃以上かつ500℃以下であるとともに、後の工程で行われる第2熱処理の温度以上とする。本実施形態では、N2を含む不活性雰囲気中で450℃の温度で第1熱処理を施した。
第1熱処理は、例えば第1金属膜21aを成膜する際に第1金属膜21a中に取り込まれたガス成分などを放出させることにより、第1金属膜21aを緻密化するための処理である。第1熱処理を施す時間は、少なくとも第1金属膜21aが上記温度(例えば、450℃)に到達するまでの時間とすればよい。この第1熱処理を不活性雰囲気中で行うことで、第1金属膜21aを変質させることなく緻密化することができる。
第1熱処理の温度が300℃未満であると、第1金属膜21aを緻密化する効果が十分に得られなくなり、後工程の第2熱処理において第1金属膜21aが過度にセレン化されるおそれがある。一方、第1熱処理の温度が500℃を超えると、効果は変わらない反面、処理時間が長くなり、金属が析出するなどの弊害が生じるおそれがある。したがって、第1熱処理の温度は300℃以上かつ500℃以下であることが好ましい。また、第1熱処理の温度を第2熱処理の温度以上とすることで、後工程の第2熱処理における第1金属膜21aの変質を避けることができる。
続いて、図5(c)に示すように、第1金属膜21a上に、第2金属膜として第11族元素と第13族元素とを含む金属膜を物理気相堆積法を用いて形成する。本実施形態では、第2金属膜として、第11族元素として銅(Cu)からなる金属膜23aと、第13族元素としてインジウム(In)からなる金属膜23bとを、スパッタリング法を用いて積層して成膜した。
続いて、図5(d)に示すように、第2金属膜(金属膜23aおよび金属膜23b)に対して、第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す。第16族元素としては、例えば、セレン(Se)、硫黄(S)、テルル(Te)などを用いることができる。第2熱処理の温度は、400℃以上かつ550℃以下とする。本実施形態では、第16族元素を含む気体としてセレン化水素(H2Se)を用い、H2Se雰囲気中で450℃の温度で第2熱処理を施した。したがって、本実施形態では、上述したように、前工程の第1熱処理の温度を、第2熱処理の温度以上となる450℃に設定した。
第2熱処理は、第2金属膜(金属膜23aおよび金属膜23b)を第16族元素と反応させてカルコパイライト構造のp型半導体層23(図5(e)参照)とするための処理である。第2熱処理の温度が400℃以上であると、第2金属膜が第16族元素と良好に反応する。一方、第2熱処理の温度が550℃以下であると、高温に晒されることによる基板10(基板本体1)の変形や金属の析出などの弊害が抑えられる。
第2熱処理を施すことにより、図5(e)に示すように、カルコパイライト構造のp型半導体層23が形成される。本実施形態では、H2Se雰囲気中で第2熱処理を施すことにより、金属膜23a(Cu)と金属膜23b(In)とがセレン化されてCIS(CuInSe2)系膜からなるp型半導体層23が形成される。
また、H2Se雰囲気中で第2熱処理を施すことにより、第1金属膜21a(Mo)の上方側(基板10とは反対側)がセレン化されて、セレンとモリブデンとの反応生成膜であるセレン化モリブデン(MoSe2)膜が形成される。このMoSe2膜が中間層22となる。そして、第1金属膜21aのうち、セレン化されなかった下方側(基板10側)のMo膜が下部電極21となる。この結果、下部電極21とp型半導体層23との間に中間層22が配置される。
本実施形態のように第1金属膜21aを500nmの膜厚で成膜した場合、中間層22(MoSe2)の膜厚は、例えば100nm以下とする。なお、Mo膜がセレン化されてMoSe2膜になると、MoSe2膜の膜厚は元のMo膜の膜厚の複数倍となる。第1金属膜21aの元の膜厚が500nmで中間層22の膜厚が100nmである場合、下部電極21となるMo膜の膜厚は、例えば475nm程度となる。
ここで、仮に図5(b)に示す第1熱処理を行わなかった場合は、第2熱処理において第1金属膜21aがセレンと反応し易くなる。そして、第1金属膜21aが過剰にセレン化されると、下部電極21として残されるMo膜の膜厚が薄くなって配線抵抗が高くなり、フォトダイオード20の電気特性(すなわち、イメージセンサー100の電気特性)が悪化してしまう。さらに、第1金属膜21aのすべてがセレン化されると、下部電極21(Mo膜)が残らなくなり、p型半導体層23が基板10から剥離してしまう。
そこで、例えば、第1熱処理を行わないで第1金属膜21aの過剰なセレン化を抑えようとして、第2熱処理の時間を短くしたり温度を低くしたりすると、金属膜23a(Cu)と金属膜23b(In)とのセレン化が十分行われなくなる。そうすると、p型半導体層23となるCIS系膜の品質が低下してしまい、その結果、イメージセンサー100の光電変換特性の低下を招くこととなる。
また、非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す代わりに、特許文献1に記載の光電変換装置のように第1金属膜21aを大気中でアニールする場合は、第1金属膜21aのセレン化は抑制されるが、第1金属膜21aの上方側が酸化されて酸化モリブデン膜となる。上述したように、下部電極21とp型半導体層23との間に酸化膜である酸化モリブデン膜が介在すると、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗が高くなり、イメージセンサー100の電気特性が悪化するおそれがある。
本実施形態では、第2熱処理を施す工程の前に、第1金属膜21aに対して第1熱処理を施すことにより、第1金属膜21aを緻密な膜にしている。そのため、第2熱処理において、金属膜23a(Cu)と金属膜23b(In)とを十分にセレン化させつつ、第1金属膜21aの過剰なセレン化を抑制して下部電極21として十分な膜厚のMo膜を確保することができる。
そして、第2熱処理において下部電極21とp型半導体層23との間に、モリブデンがセレン化されたMoSe2膜が中間層22として形成される。そのため、下部電極21と中間層22との境界、および中間層22とp型半導体層23との境界でオーミック接触が得られるので、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。また、これらの各層の界面での密着性を向上させることができる。
なお、第2金属膜として、CuとInとに加えて、第13族元素であるガリウム(Ga)をさらに含む金属膜を形成してもよい。この場合、図5(c)に示す工程において、CuとGaとの合金からなる金属膜23aを成膜し、金属膜23a上にInからなる金属膜23bを積層する。そして、第2熱処理を施すことにより、金属膜23a(CuGa)と金属膜23b(In)とがセレン化されてCIGS(Cu(In、Ga)Se2)系膜からなるp型半導体層23が形成される。
また、第2熱処理を施す際の雰囲気に第16族元素を含む気体として硫化水素(H2S)を用いてもよいし、H2Se雰囲気中で第2熱処理を施した後にH2S雰囲気中でさらに第2熱処理を施すこととしてもよい。
第2熱処理を施すことにより図5(e)に示すカルコパイライト構造のp型半導体層23を形成した後は、図示を省略するが、p型半導体層23上にn型半導体層24を形成し、平坦化層8と下部電極21とp型半導体層23とn型半導体層24とを覆うように絶縁膜9を形成する。そして、絶縁膜9のうちp型半導体層23およびn型半導体層24を覆う部分に受光領域50aとなる開口部を形成し、絶縁膜9とその開口部に露出するn型半導体層24の表面とを覆うように上部電極25を形成する(図3参照)。これらの工程には公知の技術を適用できるので、詳細な説明を省略する。
以上により、イメージセンサー100が完成する。本実施形態に係る光電変換装置の製造方法によれば、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有し、信頼性の高いイメージセンサー100を安定的に製造することができる。
<電子機器>
次に、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置について、図6および図7を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図である。図7は、生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係る生体情報取得装置200は、人体Mの手首(リスト)に装着する携帯型の情報端末装置である。生体情報取得装置200では、手首の内部における血管の画像情報から生体における血管の位置を特定することや、非侵襲で光学的に当該血管の血液中の特定成分、例えばグルコースなどの含有量を検出することで血糖値を特定することができる。
生体情報取得装置200は、手首に装着可能な環状のベルト164と、ベルト164の外側に取り付けられた本体部160と、本体部160に対して対向する位置においてベルト164の内側に取り付けられたセンサー部150とを有している。
本体部160は、本体ケース161と、本体ケース161に組み込まれた表示部162とを有している。本体ケース161には、表示部162だけでなく、操作ボタン163や、後述する制御部165などの回路系(図7参照)、電源としての電池などが組み込まれている。
センサー部150は、本実施形態に係るイメージセンサー100を受光部として備えている(図7参照)。センサー部150は、ベルト164に組み込まれた配線(図6では図示を省略)により本体部160と電気的に接続されている。以下の生体情報取得装置200の説明においては、イメージセンサー100を受光部100と表記する。したがって、受光部100は、受光素子としてフォトダイオード20を有する複数のフォトセンサー50を備えている(図3参照)。
このような生体情報取得装置200は、手の甲と反対の手のひら側の手首にセンサー部150が接するように手首に装着して用いられる。このように装着することで、センサー部150が皮膚の色によって検出感度が変動することを避けることができる。
なお、本実施形態に係る生体情報取得装置200では、ベルト164に対して本体部160とセンサー部150とを分けて組み込んだ構成となっているが、本体部160とセンサー部150とを一体としベルト164に組み込んだ構成としてもよい。
図7に示すように、生体情報取得装置200は、制御部165と、制御部165に電気的に接続されたセンサー部150と、記憶部167と、出力部168と、通信部169とを有している。また、出力部168に電気的に接続された表示部162を有している。
センサー部150は、発光部130と、受光部100とを備えている。発光部130と受光部100とは、それぞれ制御部165に電気的に接続されている。発光部130は、波長が700nm〜2000nmの範囲の近赤外光ILを発する光源部を有している。制御部165は発光部130を駆動して近赤外光ILを発光させる。近赤外光ILは人体Mの内部に伝搬して散乱する。人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部を反射光RLとして受光部100で受光することができる構成となっている。
制御部165は、受光部100により受光した反射光RLの情報を記憶部167に記憶させることができる。そして、制御部165は、当該反射光RLの情報を出力部168で処理させる。出力部168は、当該反射光RLの情報を血管の画像情報に変換して出力したり、血液中の特定成分の含有情報に変換して出力したりする。また、制御部165は、変換された血管の画像情報や血液中の特性成分の情報を表示部162に表示させることができる。そして、これらの情報を通信部169から他の情報処理装置に送信することができる。
また、制御部165は、通信部169を介して他の情報処理装置からプログラムなどの情報を受け取って記憶部167に記憶させることができる。通信部169は有線によって他の情報処理装置と接続される有線通信手段でもよいし、ブルートゥース(Blue tooth(登録商標))などの無線通信手段であってもよい。なお、制御部165は、取得した血管や血液に纏わる情報を表示部162に表示させるだけでなく、記憶部167に予め記憶させたプログラムなどの情報や、現在時刻などの情報を表示部162に表示させてもよい。また、記憶部167は脱着可能なメモリーであってもよい。
<センサー部>
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置200が有するセンサー部150について、図8および図9を参照して説明する。図8は、センサー部の構成を示す概略斜視図である。図9は、センサー部の構造を示す概略断面図である。
図8に示すように、センサー部150は、受光部100と遮光部110と可変分光部120と発光部130と保護部140とを有している。これらの各部はそれぞれ板状であって、受光部100上に、遮光部110、可変分光部120、発光部130、保護部140の順に積層された構成となっている。
なお、センサー部150は、各部が積層された積層体を収容し、ベルト164に取り付け可能なケース(図示省略)を有している。以下の説明では、上記積層体の一辺部がX方向に沿っており、一辺部と直交する他の辺部がY方向に沿っており、上記積層体の厚み方向がZ方向に沿っているものとする。また、センサー部150を保護部140の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
図9に示すように、発光部130は、透光性の基板本体131と、基板本体131の一方の面131aに設けられた光源部133と、透光部132とを有している。光源部133としては、例えば、LED素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などを用いることができる。光源部133や透光部132と重なるように保護部140が設けられている。保護部140は、例えば、カバーガラスやプラスチックなどの透明な板である。
保護部140の一方の面140aに接するように人体Mが配置される。光源部133は、保護部140側に近赤外光ILが射出される構成となっており、人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部である反射光RLは透光部132を透過して、下層の可変分光部120へ導かれる。
可変分光部120は、固定基板121と、可動基板122とを含む。可変分光部120では、固定基板121と可動基板122との間の隙間(ギャップ)を電気的に制御することで、可変分光部120を透過する反射光RLの分光分布(分光特性)を変えることができる。可変分光部120を透過した反射光RLは下層の遮光部110に導かれる。
遮光部110は、透光性の基板本体111と、基板本体111の可変分光部120側の面111aに対して反対側の面111bに設けられた遮光膜113とを有している。遮光膜113には、発光部130の透光部132の配置に対応する位置に開口部(ピンホール)112が形成されている。遮光部110は、開口部112を透過した反射光RLだけがフォトダイオード20に導かれ、それ以外の反射光RLが遮光膜113によって遮光されるように、可変分光部120と受光部100との間に配置されている。
受光部100は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーであり、近赤外光に対して高い光感度を有している。受光部100は、フォトダイオード20が設けられた側が遮光部110と対向するように配置される。複数のフォトダイオード20のそれぞれは、遮光部110における開口部112の配置に対応した位置に配置される。開口部112を透過した反射光RLは、フォトダイオード20に入射する。
なお、フォトダイオード20に入射する反射光RLに可視光が混ざることを抑制するために、例えば可視光波長範囲(400nm〜700nm)の光をカットするフィルターが、発光部130の透光部132や、遮光部110の開口部112に対応して配置されていてもよい。
センサー部150の構成は、これに限定されるものではない。例えば、発光部130は、保護部140を含む構成としてもよく、保護部140によって光源部133を封止する構造としてもよい。また、透光部132を透過した光は、屈折率が異なる部材の界面で反射して減衰するおそれがあるので、例えば、発光部130の基板本体131の面131bと、可変分光部120とが接するように、発光部130と可変分光部120とを貼り合わせてもよい。また、可変分光部120と遮光部110の面111aとが接するように貼り合わせてもよい。このようにすれば互いの厚み方向(Z方向)における位置関係をより確実なものとすることができる。
本実施形態に係る生体情報取得装置200は、カルコパイライト構造のCIS系膜またはCIGS系膜で構成されたp型半導体層23を有し、下部電極21とp型半導体層23との間にMoSe2で構成された中間層22を有するフォトダイオード20(図4参照)をセンサー部150に備えている。したがって、近赤外光に対して高い光感度を有するとともに、電気特性に優れ信頼性の高い生体情報取得装置200を提供できる。
<電子機器の製造方法>
センサー部150は、図9に示すように、受光部100、遮光部110、可変分光部120、発光部130、保護部140のそれぞれを互いに間隔を置いて対向配置し、接着剤(図9では図示を省略)などを用いて互いに貼り合わすことで製造できる。電子機器としての生体情報取得装置200は、図6に示すように、ベルト164の外側に本体部160を取り付け、ベルト164の内側における本体部160と対向する位置にセンサー部150を取り付けることで製造できる。これらの製造工程には公知の技術を適用できるので、詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る電子機器の製造方法は、上述した光電変換装置の製造方法を含んでいる。したがって、本実施形態に係る電子機器の製造方法によれば、高感度で高品質の生体情報取得装置200を安定的に製造することができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態では、図5(b)に示す第1熱処理をN2、Ar、Heなどの不活性ガスを含む不活性雰囲気で行うこととしたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、第1熱処理を真空中で行うこととしてもよい。なお、ここでいう「真空」とは、半導体製造工程で一般的に真空と呼ばれる圧力を意味し、概ね1000Pa程度以下の圧力の状態を指す。また、第1熱処理を還元性雰囲気中で行うこととしてもよい。還元性雰囲気としては、例えば、前述の不活性ガスに爆発下限界未満の水素(H2)を含むフォーミングガスを含む雰囲気が挙げられる。水素の爆発下限界は4.5%程度であるので、フォーミングガス中の水素濃度を3%程度以上4%程度以下とすれば、爆発の危険性を避け、安全に第1熱処理を行う事ができる。これらの雰囲気中で第1熱処理を行っても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(変形例2)
上記実施形態では、p型半導体層23が、第11族元素、第13族元素、および第16族元素を含むカルコパイライト構造のCIS系やCIGS系の膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体層23を、第11族元素、第12族元素、第14族元素、および第16族元素を含むCZTS(Cu2ZnSnS4)系の膜で構成してもよい。例えば、図5(c)に示す工程において第2金属膜として第11族元素である銅(Cu)、第12族元素である亜鉛(Zn)、および第14族元素であるスズ(Sn)の金属膜を形成し、図5(d)に示す工程において第16族元素であるイオウ(S)を含む雰囲気中で第2熱処理を施すことにより、p型半導体層23をCZTS系の膜で構成できる。
(変形例3)
上記実施形態では、光電変換装置として、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えたイメージセンサー100を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。光電変換装置は、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えた太陽電池であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、電子機器として、血管の画像情報や血液中の特定成分などの情報を入手可能な携帯型の情報端末装置である生体情報取得装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。電子機器は、据置型など異なる形態の情報端末装置であってもよいし、指の静脈の画像情報を取得し予め登録された静脈の画像情報と比較することで個人を特定する生体認証装置であってもよい。また、電子機器は、指紋や眼球の虹彩などを撮像する固体撮像装置であってもよい。
10…基板、20…フォトダイオード、21…下部電極、21a…第1金属膜、22…中間層、23…p型半導体層、23a,23b…金属膜(第2金属膜)、24…n型半導体層、25…上部電極、50…フォトセンサー、100…光電変換装置としてのイメージセンサーおよび受光部、200…電子機器としての生体情報取得装置。

Claims (9)

  1. 基板上に高融点金属からなる第1金属膜を形成する工程と、
    前記第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す工程と、
    前記第1金属膜上に第11族元素および第13族元素を含む第2金属膜を形成する工程と、
    前記第1金属膜および前記第2金属膜に対して第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す工程と、
    を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  2. 基板上に高融点金属からなる第1金属膜を形成する工程と、
    前記第1金属膜に対して非酸化性雰囲気中で第1熱処理を施す工程と、
    前記第1金属膜上に第11族元素、第12族元素、および第14族元素を含む第2金属膜を形成する工程と、
    前記第1金属膜および前記第2金属膜に対して第16族元素を含む気体の雰囲気中で第2熱処理を施す工程と、
    を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記高融点金属はモリブデンであることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記第1熱処理の温度は300℃以上であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記第1熱処理の温度は前記第2熱処理の温度以上であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記非酸化性雰囲気は、不活性雰囲気であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記不活性雰囲気は、真空であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  8. 請求項1から5のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、
    前記非酸化性雰囲気は、還元性雰囲気であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法を含むことを特徴とする電子機器の製造方法。
JP2014236293A 2014-11-21 2014-11-21 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法 Pending JP2016100458A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014236293A JP2016100458A (ja) 2014-11-21 2014-11-21 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014236293A JP2016100458A (ja) 2014-11-21 2014-11-21 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016100458A true JP2016100458A (ja) 2016-05-30

Family

ID=56077474

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014236293A Pending JP2016100458A (ja) 2014-11-21 2014-11-21 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016100458A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011018464A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Toyota Central R&D Labs Inc 電極材料、電極及び素子
JP2011198883A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Fujifilm Corp 光電変換素子
JP2012033730A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Kyocera Corp 光電変換装置の製造方法
US20130284253A1 (en) * 2012-04-25 2013-10-31 Guardian Industries Corp. High-reflectivity back contact for photovoltaic devices such as copper-indium-diselenide solar cells
JP2014075407A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Asahi Glass Co Ltd Cigs型太陽電池用基板及びそれを用いたcigs型太陽電池の製造方法
JP2014110334A (ja) * 2012-12-03 2014-06-12 Fuji Electric Co Ltd ドーパントの拡散方法及び電子デバイスの製造方法
JP2014120643A (ja) * 2012-12-18 2014-06-30 Fuji Electric Co Ltd 半導体デバイスの製造方法、及び半導体デバイスの製造装置
JP2014203936A (ja) * 2013-04-03 2014-10-27 昭和シェル石油株式会社 薄膜太陽電池

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011018464A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Toyota Central R&D Labs Inc 電極材料、電極及び素子
JP2011198883A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Fujifilm Corp 光電変換素子
JP2012033730A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Kyocera Corp 光電変換装置の製造方法
US20130284253A1 (en) * 2012-04-25 2013-10-31 Guardian Industries Corp. High-reflectivity back contact for photovoltaic devices such as copper-indium-diselenide solar cells
JP2014075407A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Asahi Glass Co Ltd Cigs型太陽電池用基板及びそれを用いたcigs型太陽電池の製造方法
JP2014110334A (ja) * 2012-12-03 2014-06-12 Fuji Electric Co Ltd ドーパントの拡散方法及び電子デバイスの製造方法
JP2014120643A (ja) * 2012-12-18 2014-06-30 Fuji Electric Co Ltd 半導体デバイスの製造方法、及び半導体デバイスの製造装置
JP2014203936A (ja) * 2013-04-03 2014-10-27 昭和シェル石油株式会社 薄膜太陽電池

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
KUSHAGRA NAGAICH ET AL.: "Wide band-gap CuIn1-XGaXSe2 based chalcopyrite absorbers for tandem cell applications", 2011 37TH IEEE PHOTOVOLTAIC SPECIALISTS CONFERENCE, JPN6018029318, 19 June 2012 (2012-06-19), pages 425 - 429, ISSN: 0003847768 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6451059B2 (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法及び電子機器
CN102646687B (zh) 光电转换装置、电子设备
JP2016111211A (ja) 光電変換装置および電子機器
CN110268525B (zh) 摄像面板及其制造方法
JP7121840B2 (ja) 画像検出モジュール
US9496433B2 (en) Photoelectric conversion device and method for manufacturing photoelectric conversion device
JP6443061B2 (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法、及び電子機器
CN110100311B (zh) 摄像面板及其制造方法
JP6661900B2 (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法、および電子機器
US9876049B2 (en) Photoelectric conversion device, method for manufacturing photoelectric conversion device, and electronic apparatus
JP2014204053A (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法、及び電子機器
JP2019009367A (ja) 光電変換装置の製造方法、光電変換装置、および電子機器
WO2016167179A1 (ja) 撮像パネル、及びそれを備えたx線撮像装置
JP2016100458A (ja) 光電変換装置の製造方法および電子機器の製造方法
JP6578930B2 (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換装置
JP2019009207A (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法、および電子機器
JP2015056512A (ja) 光電変換装置及びその製造方法並びに電子機器
JP2015056484A (ja) 光電変換装置、光電変換装置の製造方法及び電子機器
US20200006413A1 (en) Photoelectric conversion device, electronic apparatus, and method for manufacturing photoelectric conversion device
JP2017212418A (ja) 光電変換素子、光電変換装置および光電変換素子の製造方法
JP6085879B2 (ja) 光電変換装置の製造方法
JP2017212417A (ja) 光電変換素子の製造方法
JP2014120629A (ja) 光電変換装置およびその製造方法
JP2019153709A (ja) 光電変換装置および電子機器
JP2017098346A (ja) 光電変素子の製造方法および生体情報取得装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20160623

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180905

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20180905

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181106

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181107