JP2019009367A - 光電変換装置の製造方法、光電変換装置、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた品質を有しコスト競争力がある光電変換装置の製造方法、光電変換装置、および電子機器を提供する。【解決手段】イメージセンサー100の製造方法は、下部電極21を形成する第1工程と、酸素を含む雰囲気中で、第11族元素と第13族元素とを含む金属層23aを下部電極21上に形成する第2工程と、第16族元素を含む雰囲気中で金属層23aを熱処理し、p型半導体層23と、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された金属酸化層22と、を形成する第3工程と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図5
Description
本発明は、光電変換装置の製造方法、光電変換装置、および電子機器に関する。
CIS系膜、CIGS系膜やCZTS系膜をp型半導体層として用いた光電変換装置が知られている。このような光電変換装置のp型半導体層は、一般に、モリブデン等の高融点金属で形成した下部電極上に金属元素を含む前駆体層を形成し、その前駆体層をセレン等の第16族元素を含む雰囲気中で熱処理して形成される。しかしながら、高融点金属は第16族元素と反応し易いため、前駆体層を熱処理する際に下部電極の表面に高融点金属と第16族元素との反応生成膜(セレン化モリブデン等)が形成されてしまう。下部電極の表面に反応生成膜が形成されると、下部電極とその上層のp型半導体層との密着性が低下して、下部電極とp型半導体層とが剥離してしまう場合がある。
特許文献1に記載の太陽電池(光電変換装置)では、p型半導体層の前駆体層を形成する前に、モリブデンで形成した裏面電極(下部電極)上に金属酸化物を用いて伝導層を形成する。このように裏面電極と前駆体層との間に金属酸化物を含む伝導層を形成しておくことにより、第16族元素(セレンや硫黄等)を含む雰囲気中で前駆体層を熱処理する工程において、裏面電極の表面にモリブデンと第16族元素との反応生成膜が形成されることを抑制できるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池の製造方法では、裏面電極上に伝導層を形成する工程が別途必要となるため、製造工数が増加し生産性が低下するおそれがある。また、伝導層が前駆体層と別工程で形成されることに加えて、伝導層の構成材料が前駆体層の構成材料と同一でないため、伝導層とその上層に形成されるp型半導体層との密着性が不十分となり品質が低下するおそれがある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る光電変換装置の製造方法は、電極を形成する第1工程と、酸素を含む雰囲気中で、第11族元素と第13族元素とを含む金属層を前記電極上に形成する第2工程と、第16族元素を含む雰囲気中で前記金属層を熱処理し、半導体層と、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された酸化物を含む金属酸化層と、を形成する第3工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の製造方法によれば、金属層を熱処理する第3工程において、金属層から半導体層と金属酸化層とを形成する。そのため、金属酸化層を別工程で別の金属層から形成する場合と比べて、製造工数を低減できるとともに、金属酸化層と半導体層との密着性を向上できる。これにより、光電変換装置の生産性の向上と品質の向上とを図ることができる。なお、第2工程で酸素を含む雰囲気中で金属層を形成することにより、第3工程における金属酸化層の形成を促進できる。
[適用例2]上記適用例に係る光電変換装置の製造方法であって、前記第1工程では、高融点金属で前記電極を形成し、前記第3工程の後に、前記電極が第16族元素を含まないことが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第1工程で電極を高融点金属で形成するので、電極に、例えばモリブデン等の電気特性が良好で製造が容易な材料を用いることができる。また、第16族元素を含む雰囲気中で金属層を熱処理する第3工程において、半導体層とともに金属酸化層を形成することで電極を構成する高融点金属と第16族元素との反応生成膜が形成されないので、電極の表面に反応生成膜が形成される場合に生じる電極と上層(金属酸化層)との密着性の低下を抑制できる。
[適用例3]上記適用例に係る光電変換装置の製造方法であって、前記第2工程では、銅とインジウムとを含む前記金属層を形成し、前記第3工程では、セレンまたは硫黄を含む雰囲気中で前記金属層を熱処理することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第2工程で形成した銅とインジウムとを含む金属層を、第3工程でセレンまたは硫黄を含む雰囲気中で熱処理するので、カルコパイライト構造のCIS系やCIGS系の半導体層が形成される。したがって、光電変換率に優れ可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する光電変換装置を製造できる。
[適用例4]上記適用例に係る光電変換装置の製造方法であって、前記第3工程では、インジウムが酸化された酸化物を含む前記金属酸化層を形成することが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第3工程で、半導体層を形成するためのインジウムを含む金属層から、酸化インジウムを含む金属酸化層を形成することができる。
[適用例5]本適用例に係る光電変換装置は、電極と、前記電極上に配置された、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された酸化物を含む金属酸化層と、前記金属酸化層上に配置された、第11族元素と第13族元素と第16族元素とを含む半導体層と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、電極と半導体層との間に、半導体層に含まれる第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された酸化物を含む金属酸化層が配置されている。そのため、半導体層を形成する工程と同一の工程で、半導体層を形成する金属膜と同一の金属膜から金属酸化層を形成することができる。これにより、金属酸化層と半導体層との密着性が良好な光電変換装置を競争力があるコストで提供できる。
[適用例6]上記適用例に係る光電変換装置であって、前記電極は、高融点金属からなり、その表面に第16族元素を含まないことが好ましい。
本適用例の構成によれば、電極が高融点金属で形成されているので、電極に、例えばモリブデン等の電気特性が良好で製造が容易な材料を用いることができる。また、電極の表面に高融点金属と第16族元素との反応生成膜が形成されていないので、電極の表面に反応生成膜が介在することで生じる上層(金属酸化層)との密着性の低下を抑制できる。
[適用例7]上記適用例に係る光電変換装置であって、前記半導体層は、銅とインジウムとセレンとを含み、前記金属酸化層は、酸化インジウムを含むことが好ましい。
本適用例の構成によれば、銅とインジウムとセレンとを含むカルコパイライト構造のCIS系やCIGS系の半導体層を有するので、光電変換率に優れ可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する光電変換装置を提供できる。また、半導体層を形成するためのインジウムを含む金属層を熱処理して酸化インジウムを含む金属酸化層を形成することで、金属酸化層と半導体層との密着性を向上できる。
[適用例8]本適用例に係る電子機器は、上記の光電変換装置を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、電気特性に優れ信頼性の高い電子機器を提供できる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
本実施形態では、光電変換装置の例としてイメージセンサーを挙げ、電子機器の例としてこのイメージセンサーを適用した生体情報取得装置を例に挙げて説明する。
<光電変換装置>
まず、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーについて、図1〜図4を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーについて、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーの概略配線図である。図2は、本実施形態に係るフォトセンサーの電気的な構成を示す等価回路図である。図3は、本実施形態に係るフォトセンサーの配置を示す概略平面図である。図4は、図3のA−A’線に沿ったフォトセンサーの概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100は、素子領域Fにおいて互いに交差して延在する複数の走査線3aと複数のデータ線6とを有している。また、イメージセンサー100は、複数の走査線3aが電気的に接続された走査線駆動回路52と、複数のデータ線6が電気的に接続されたデータ線駆動回路51とを有している。そして、イメージセンサー100は、走査線3aとデータ線6との交差点付近に対応して設けられ、素子領域Fにおいてマトリックス状に配置された複数のフォトセンサー50を有している。
図2に示すように、フォトセンサー50は、薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)11と、フォトダイオード20と、保持容量30とを備えている。TFT11のゲート電極3g(図4参照)は走査線3aに電気的に接続され、TFT11のソース電極5s(図4参照)はデータ線6に電気的に接続されている。
フォトダイオード20の一方はTFT11のドレイン電極5d(図4参照)に電気的に接続され、他方はデータ線6と並行して設けられた定電位線12に電気的に接続されている。保持容量30の一方の電極はTFT11のドレイン電極5dに電気的に接続され、他方の電極は走査線3aと並行して設けられた定電位線3bに電気的に接続されている。
図3に示すように、フォトセンサー50は、互いに交差する走査線3aとデータ線6とによって平面的に区切られた領域に設けられた、ほぼ正方形の下部電極21と、コンタクトホールCNT1とを有している。下部電極21は、コンタクトホールCNT1を介してTFT11(図4参照)に電気的に接続されている。平面視でコンタクトホールCNT1を除く下部電極21と重なる部分に受光領域50aが設けられている。
なお、以下の説明では、走査線3aに沿った方向をX方向とし、データ線6に沿った方向をY方向とする。また、X方向およびY方向と直交し図3の紙面に対して上方に向かう方向をZ方向とする。なお、本明細書では、イメージセンサー100およびフォトセンサー50を法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
図4に示すように、フォトセンサー50は、基板10と、基板10上に設けられたフォトダイオード20とを備えている。基板10は、基板本体1と絶縁膜1aとTFT11とゲート絶縁膜3と層間絶縁膜4とデータ線6と絶縁膜7と平坦化層8とを有している。基板本体1は、例えば、透明なガラスや不透明なシリコンなどからなる。絶縁膜1aは、基板本体1の表面を覆うように形成されている。
TFT11は、半導体層2とゲート電極3gとソース電極5sとドレイン電極5dとを有している。半導体層2は、例えば、多結晶シリコンで形成され、絶縁膜1a上に島状に設けられている。半導体層2は、チャネル領域2cとドレイン領域2dとソース領域2sとを有している。半導体層2を覆うように、例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁材料によってゲート絶縁膜3が形成されている。
ゲート電極3gは、ゲート絶縁膜3上において、半導体層2のチャネル領域2cに対向する位置に形成されている。ゲート電極3gは、走査線3a(図1参照)に電気的に接続されており、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料を用いて形成されている。層間絶縁膜4は、ゲート絶縁膜3とゲート電極3gとを覆うように形成されている。
ゲート絶縁膜3および層間絶縁膜4には、半導体層2のドレイン領域2dとソース領域2sとに平面視で重なる部分に貫通孔が形成されている。これらの貫通孔を埋めるとともに層間絶縁膜4を覆うように、例えばアルミニウムなどの金属材料からなる導電膜が成膜されている。そして、当該導電膜をパターニングすることにより、コンタクトホールCNT2,CNT3、ドレイン電極5d、ソース電極5s、およびデータ線6が形成されている。ソース電極5sは、コンタクトホールCNT2を介して半導体層2のソース領域2sに接続され、さらにデータ線6とも接続されている。ドレイン電極5dは、コンタクトホールCNT3を介して半導体層2のドレイン領域2dに接続されている。
絶縁膜7は、ドレイン電極5d、ソース電極5s、データ線6、および層間絶縁膜4を覆うように形成されている。絶縁膜7は、例えば、窒化シリコン(SiN)を用いて形成されている。平坦化層8は、絶縁膜7を覆うように形成されている。平坦化層8は、例えば、酸化シリコンを用いて形成されている。絶縁膜7および平坦化層8の平面視でドレイン電極5dと重なる部分には、貫通孔が形成されている。
平坦化層8上には、電極としての下部電極21が設けられている。下部電極21は、高融点金属材料からなる導電膜で構成されている。この導電膜を絶縁膜7および平坦化層8に形成された貫通孔と平坦化層8とを覆うように成膜し、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT1と下部電極21とが形成されている。下部電極21は、コンタクトホールCNT1を介してドレイン電極5dと電気的に接続されている。
下部電極21上には、コンタクトホールCNT1を避けるように、金属酸化層22と、半導体層としてのp型半導体層23と、n型半導体層24とが積層されて形成されている。金属酸化層22とp型半導体層23とn型半導体層24との側壁および外縁部を覆うとともに、下部電極21および平坦化層8を覆うように、絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9は、例えば、絶縁膜7と同様に窒化シリコンを用いて形成されている。
絶縁膜9の表面と、絶縁膜9によって覆われていないn型半導体層24の表面とを覆うように、上部電極25が形成されている。上部電極25は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電膜からなり、定電位線12を兼ねるものである。
下部電極21と金属酸化層22とp型半導体層23とn型半導体層24と上部電極25とによりフォトダイオード20が構成されている。フォトダイオード20において、p型半導体層23およびn型半導体層24の領域のうち絶縁膜9によって覆われていない領域が受光領域50aとなっている。なお、フォトダイオード20の構造の詳細については後述する。
本実施形態に係るイメージセンサー100では、図2に示す定電位線3b,12によってフォトダイオード20に逆方向バイアスを印加した状態で、受光領域50aに光が入射すると、フォトダイオード20に光電流が流れ、それに応じた電荷が保持容量30に蓄積される。
また、複数の走査線3aのそれぞれによって複数のTFT11をON(選択)させることで、データ線6には、各フォトセンサー50が備える保持容量30に蓄積された電荷に対応する信号が順次出力される。したがって、素子領域Fにおいてそれぞれのフォトセンサー50が受光した光の強度をそれぞれ検出することができる。
<フォトダイオード>
続いて、本実施形態に係るフォトダイオード20の構造について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るフォトダイオードの構造を示す模式断面図である。なお、図5は、図4におけるフォトダイオード20の部分拡大図に相当する。
続いて、本実施形態に係るフォトダイオード20の構造について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るフォトダイオードの構造を示す模式断面図である。なお、図5は、図4におけるフォトダイオード20の部分拡大図に相当する。
図5に示すように、フォトダイオード20は、基板10上に設けられ、基板10側から順に積層された、電極としての下部電極21と、金属酸化層22と、半導体層としてのp型半導体層23と、n型半導体層24と、上部電極25とを有している。
下部電極21を構成する高融点金属材料は、後述する熱処理の温度(550℃以下)で溶融しない金属材料であり、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などが挙げられる。中でも、モリブデンは、電気特性が良好であり、かつ、製造が容易であるため、下部電極21の材料として好適に用いることができる。本実施形態では、下部電極21はモリブデンからなる。
金属酸化層22は、下部電極21とp型半導体層23との間に形成されている。金属酸化層22は、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された金属酸化物を含む膜である。本実施形態では、金属酸化層22は、第13族元素であるインジウム(In)が酸化された酸化インジウム(In2O3)を含む膜で構成されている。
光吸収層であるp型半導体層23は、金属酸化層22上に形成されている。p型半導体層23は、第11族元素と第13族元素と第16族元素とを含むカルコパイライト構造のCIS系膜またはCIGS系膜で構成される。本実施形態では、p型半導体層23は、第11族元素である銅(Cu)、第13族元素であるインジウム(In)、第16族元素であるセレン(Se)を含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe2)の半導体膜で構成される。
n型半導体層24は、p型半導体層23上に積層され形成されている。n型半導体層24は、例えば、n型半導体である酸化亜鉛(ZnO)等の材料で構成されている。n型半導体層26上にノンドープの真性半導体膜であるイントリンジック酸化亜鉛(i−ZnO)膜を積層してもよい。なお、真性半導体膜とは、意図的にドナー原子やアクセプター原子を添加していない半導体膜である。上部電極25は、n型半導体層24を覆うように、ITOやIZOなどの透光性を有する導電膜で形成されている。
上述したように、本実施形態に係るフォトダイオード20では、光吸収層としてカルコパイライト構造のCIS系膜またはCIGS系膜で構成されたp型半導体層23を有している。CIS系膜およびCIGS系膜は、光電変換率に優れており、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有している。したがって、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有するイメージセンサー100を提供できる。
ところで、従来の光電変換装置のように、本実施形態のような金属酸化層を有しておらず、下部電極の表面に下部電極を構成する高融点金属(モリブデン)と第16族元素(セレン)との反応生成膜(セレン化モリブデン:MoSe2)が形成されていると、下部電極とp型半導体層との密着性が低下してp型半導体層が剥離するおそれがある。
これに対して、本実施形態に係るイメージセンサー100の構成によれば、フォトダイオード20の下部電極21とp型半導体層23との間に酸化インジウムを含む金属酸化層22を備えている。詳細は以下の光電変換装置の製造方法で説明するが、下部電極21とp型半導体層23との間に金属酸化層22が形成されることにより、これらの間の密着性が向上する。したがって、高感度で信頼性が高いイメージセンサー100を提供できる。
<光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図6〜図12を参照して説明する。ここでは、本発明の特徴であるフォトダイオード20の製造方法を説明する。図6〜図12は、本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明する図である。なお、図6〜図12の各図に示す断面は、図5に示す断面に相当する。
次に、本実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図6〜図12を参照して説明する。ここでは、本発明の特徴であるフォトダイオード20の製造方法を説明する。図6〜図12は、本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明する図である。なお、図6〜図12の各図に示す断面は、図5に示す断面に相当する。
まず、図6に示すように、基板10上に高融点金属からなる下部電極21を、例えば、物理気相堆積法(PVD:Physical Vapor Deposition)を用いて形成する(第1工程)。本実施形態では、高融点金属としてモリブデン(Mo)を用いて、スパッタリング法により導電膜を成膜し、下部電極21の形状にパターニングする。なお、基板10は、図4に示すように、基板本体1上にTFT11、層間絶縁膜4、絶縁膜7、平坦化層8などを公知の半導体製造技術を用いて形成される。
続いて、図7に示すように、下部電極21上に、p型半導体層23の前駆体層として、第11族元素と第13族元素とを含む金属層23aを物理気相堆積法を用いて形成する(第2工程)。本実施形態では、第11族元素である銅(Cu)と第13族元素であるインジウム(In)とを含む合金ターゲットを用いて、スパッタリング法により金属層23aを成膜する。
また、本実施形態では、金属層23aを成膜する合金ターゲットとして、銅よりもインジウムの含有比率が高い合金ターゲットを用いる。そして、スパッタリングガスとして、アルゴン(Ar)を含む不活性ガスに酸素(O2)を混合する。これにより、後述する第3工程において、金属層23aから酸化インジウム(In2O3)を含む金属酸化層22(図9)が形成される。
続いて、図8に示すように、金属層23aに対して、第16族元素を含む気体の雰囲気中で熱処理を施す(第3工程)。第16族元素としては、例えば、セレン(Se)、硫黄(S)、テルル(Te)などを用いることができる。本実施形態では、第16族元素を含む気体としてセレン化水素(H2Se)を用いる。
第3工程における熱処理では、金属層23aに含まれる銅およびインジウムと気体中に含まれるセレンとが反応して、CIS(CuInSe2)系の半導体膜であるp型半導体層23(図9参照)が形成される。銅およびインジウムとセレンとの反応が金属層23aの表面側から進行するのと並行して、金属層23aに含まれるインジウムのうち余剰となったインジウムが第16族元素である酸素と結合する。このインジウムの酸化物である酸化インジウムが下層側に残留して、金属酸化層22となる。
熱処理の温度は、350℃以上かつ550℃以下とする。熱処理の温度が350℃未満であると、銅およびインジウムがセレンと反応しにくくなる。一方、熱処理の温度が550℃を超えると、銅およびインジウムとセレンとの反応が過度に進んで、酸化インジウムを含む金属酸化層22が形成されにくくなる。
第3工程における熱処理の結果、図9に示すように、金属層23aに含まれる銅とインジウムとがセレン化されてカルコパイライト構造のCIS系膜からなるp型半導体層23が形成される。そして、p型半導体層23の下層に金属層23aに含まれるインジウムが酸化された酸化インジウムを含む金属酸化層22が形成される。すなわち、下部電極21上に、金属酸化層22とp型半導体層23とが積層形成される。
なお、第3工程の熱処理を施した後の状態において、下部電極21は、セレンを含まないモリブデンで構成される。換言すれば、下部電極21の表面にセレンとモリブデンとの反応生成膜であるセレン化モリブデン(MoSe2)膜は形成されていない。
ここで、従来のように、金属層からCIS系膜からなるp型半導体層が形成されるだけで金属酸化層は形成されない場合と比較する。従来のように熱処理において金属酸化層が形成されないと、金属層の銅およびインジウムのセレン化に伴って、下部電極の表面側がセレン化されて、下部電極の表面にセレンとモリブデンとの反応生成膜であるセレン化モリブデン膜が形成される。そうすると、その上層の金属層から形成されるCIS系膜との間にボイド(空隙)が生じ、下部電極とp型半導体層との密着性が低下してp型半導体層が剥離するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第3工程で熱処理を施して金属層23aからp型半導体層23を形成する際に、その下層側である下部電極21側に金属酸化層22を形成する。この金属酸化層22が下部電極21の上層に形成されることにより、下部電極21の表面側のセレン化、すなわち、セレン化モリブデン膜の形成を抑制できる。
また、特許文献1に記載の太陽電池の製造方法では、金属層(前駆体層)を形成する前に、別工程で下部電極(裏面電極)上に金属酸化層(伝導層)を形成することで、モリブデンとセレンとの反応生成膜の形成を抑制している。しかしながら、この製造方法では、下部電極(裏面電極)上に金属酸化層を形成する工程が別途必要となるため、製造工数が増加し生産性が低下するおそれがある。そして、金属酸化層が金属層と別工程で形成されることに加えて、金属酸化層の構成材料が金属層の構成材料と同一でないため、金属酸化層とその上層に形成されるp型半導体層との密着性が不十分となるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、金属層23aからp型半導体層23を形成する第3工程において金属酸化層22を形成し、別途金属酸化層22を形成する工程を必要としないので、製造工数を低減でき生産性の向上を図ることができる。そして、p型半導体層23を形成するための金属層23aから同一工程で金属酸化層22を形成するので、金属酸化層22とp型半導体層23との密着性を向上できる。これにより、下部電極21と金属酸化層22との密着性と、金属酸化層22とp型半導体層23との密着性とを向上できる。
なお、金属酸化層22の膜厚が厚過ぎると下部電極21とp型半導体層23との接触抵抗が高くなるため、金属酸化層22の膜厚は、下部電極21の表面のセレン化を抑制できる範囲で適宜設定するものとする。また、金属酸化層22の膜厚は、第2工程で金属層23aを形成する際のスパッタリングガスにおける酸素の混合量や、第3工程で熱処理を施す際の温度の設定等により調整できる。
第3工程の後の工程を、図10〜図12を参照して説明する。図10に示すように、下部電極21上に形成した金属酸化層22とp型半導体層23とをパターニングする。続いて、図11に示すように、p型半導体層23上にn型半導体層24を形成し、n型半導体層24の形状にパターニングする。そして、図12に示すように、基板10と下部電極21と金属酸化層22とp型半導体層23とn型半導体層24とを覆うように絶縁膜9を形成し、絶縁膜9のうちp型半導体層23およびn型半導体層24を覆う部分に受光領域50aとなる開口部を形成する。そして、絶縁膜9とその開口部に露出するn型半導体層24の表面とを覆うように上部電極25を形成する(図5参照)。これらの工程には公知の技術を適用できるので、詳細な説明を省略する。
以上により、イメージセンサー100が完成する。本実施形態に係る光電変換装置の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)金属層23aを熱処理する第3工程において、金属層23aからp型半導体層23と金属酸化層22とを形成する。そのため、金属酸化層22を別工程で別の金属層から形成する場合と比べて、製造工数を低減できるとともに、金属酸化層22とp型半導体層23との密着性を向上できる。これにより、イメージセンサー100の生産性の向上と品質の向上とを図ることができる。なお、第2工程で酸素を含む雰囲気中で金属層23aを形成することにより、第3工程における金属酸化層22の形成を促進できる。
(2)第1工程で下部電極21を高融点金属で形成するので、下部電極21に、例えばモリブデン等の電気特性が良好で製造が容易な材料を用いることができる。また、第16族元素を含む雰囲気中で金属層23aを熱処理する第3工程において、p型半導体層23とともに金属酸化層22を形成することで下部電極21を構成する高融点金属と第16族元素との反応生成膜が形成されないので、下部電極21の表面に反応生成膜が形成される場合に生じる下部電極21と上層(本実施形態では金属酸化層22)との密着性の低下を抑制できる。
(3)第2工程で形成した銅とインジウムとを含む金属層23aを、第3工程でセレンまたは硫黄を含む雰囲気中で熱処理するので、カルコパイライト構造のCIS系やCIGS系のp型半導体層23が形成される。したがって、光電変換率に優れ可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有するイメージセンサー100を製造できる。
(4)第3工程で、p型半導体層23を形成するためのインジウムを含む金属層23aから、酸化インジウムを含む金属酸化層22を形成することができる。
これらの結果、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有し、信頼性が高いイメージセンサー100を安定的に製造することができる。
<電子機器>
次に、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置について、図13および図14を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図である。図14は、生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図である。
次に、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置について、図13および図14を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図である。図14は、生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図13に示すように、本実施形態に係る生体情報取得装置200は、人体Mの手首(リスト)に装着する携帯型の情報端末装置である。生体情報取得装置200では、手首の内部における血管の画像情報から生体における血管の位置を特定することや、非侵襲で光学的に当該血管の血液中の特定成分、例えばグルコースなどの含有量を検出することで血糖値を特定することができる。
生体情報取得装置200は、手首に装着可能な環状のベルト164と、ベルト164の外側に取り付けられた本体部160と、本体部160に対して対向する位置においてベルト164の内側に取り付けられたセンサー部150とを有している。
本体部160は、本体ケース161と、本体ケース161に組み込まれた表示部162とを有している。本体ケース161には、表示部162だけでなく、操作ボタン163や、後述する制御部165(図14参照)などの回路系、電源としての電池などが組み込まれている。
センサー部150は、本実施形態に係るイメージセンサー100を受光部として備えている(図14参照)。センサー部150は、ベルト164に組み込まれた配線(図13では図示を省略)により本体部160と電気的に接続されている。以下の生体情報取得装置200の説明においては、イメージセンサー100を受光部100と表記する。したがって、受光部100は、受光素子としてフォトダイオード20を有する複数のフォトセンサー50を備えている(図4参照)。
このような生体情報取得装置200は、手の甲と反対の手のひら側の手首にセンサー部150が接するように手首に装着して用いられる。このように装着することで、センサー部150が皮膚の色によって検出感度が変動することを避けることができる。
なお、本実施形態に係る生体情報取得装置200では、ベルト164に対して本体部160とセンサー部150とを分けて組み込んだ構成となっているが、本体部160とセンサー部150とを一体としベルト164に組み込んだ構成としてもよい。
図14に示すように、生体情報取得装置200は、制御部165と、制御部165に電気的に接続されたセンサー部150と、記憶部167と、出力部168と、通信部169とを有している。また、出力部168に電気的に接続された表示部162を有している。
センサー部150は、発光部130と、受光部100とを備えている。発光部130と受光部100とは、それぞれ制御部165に電気的に接続されている。発光部130は、波長が700nm〜2000nmの範囲の近赤外光ILを発する光源部を有している。制御部165は発光部130を駆動して近赤外光ILを発光させる。近赤外光ILは人体Mの内部に伝搬して散乱する。人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部を反射光RLとして受光部100で受光することができる構成となっている。
制御部165は、受光部100により受光した反射光RLの情報を記憶部167に記憶させることができる。そして、制御部165は、当該反射光RLの情報を出力部168で処理させる。出力部168は、当該反射光RLの情報を血管の画像情報に変換して出力したり、血液中の特定成分の含有情報に変換して出力したりする。また、制御部165は、変換された血管の画像情報や血液中の特性成分の情報を表示部162に表示させることができる。そして、これらの情報を通信部169から他の情報処理装置に送信することができる。
また、制御部165は、通信部169を介して他の情報処理装置からプログラムなどの情報を受け取って記憶部167に記憶させることができる。通信部169は有線によって他の情報処理装置と接続される有線通信手段でもよいし、ブルートゥース(Blue tooth(登録商標))などの無線通信手段であってもよい。なお、制御部165は、取得した血管や血液に纏わる情報を表示部162に表示させるだけでなく、記憶部167に予め記憶させたプログラムなどの情報や、現在時刻などの情報を表示部162に表示させてもよい。また、記憶部167は脱着可能なメモリーであってもよい。
<センサー部>
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置200が有するセンサー部150について、図15および図16を参照して説明する。図15は、センサー部の構成を示す概略斜視図である。図16は、センサー部の構造を示す概略断面図である。
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置200が有するセンサー部150について、図15および図16を参照して説明する。図15は、センサー部の構成を示す概略斜視図である。図16は、センサー部の構造を示す概略断面図である。
図15に示すように、センサー部150は、受光部100と遮光部110と可変分光部120と発光部130と保護部140とを有している。これらの各部はそれぞれ板状であって、受光部100上に、遮光部110、可変分光部120、発光部130、保護部140の順に積層された構成となっている。
なお、センサー部150は、各部が積層された積層体を収容し、ベルト164に取り付け可能なケース(図示省略)を有している。以下の説明では、上記積層体の一辺部がX方向に沿っており、一辺部と直交する他の辺部がY方向に沿っており、上記積層体の厚み方向がZ方向に沿っているものとする。また、センサー部150を保護部140の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
図16に示すように、発光部130は、透光性の基板本体131と、基板本体131の一方の面131aに設けられた光源部133と、透光部132とを有している。光源部133としては、例えば、LED素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などを用いることができる。光源部133や透光部132と重なるように保護部140が設けられている。保護部140は、例えば、カバーガラスやプラスチックなどの透明な板である。
保護部140の一方の面140aに接するように人体Mが配置される。光源部133は、保護部140側に近赤外光ILが射出される構成となっており、人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部である反射光RLは透光部132を透過して、下層の可変分光部120へ導かれる。
可変分光部120は、固定基板121と、可動基板122とを含む。可変分光部120では、固定基板121と可動基板122との間の隙間(ギャップ)を電気的に制御することで、可変分光部120を透過する反射光RLの分光分布(分光特性)を変えることができる。可変分光部120を透過した反射光RLは下層の遮光部110に導かれる。
遮光部110は、透光性の基板本体111と、基板本体111の可変分光部120側の面111aに対して反対側の面111bに設けられた遮光膜113とを有している。遮光膜113には、発光部130の透光部132の配置に対応する位置に開口部(ピンホール)112が形成されている。遮光部110は、開口部112を透過した反射光RLだけがフォトダイオード20に導かれ、それ以外の反射光RLが遮光膜113によって遮光されるように、可変分光部120と受光部100との間に配置されている。
受光部100は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサーであり、近赤外光に対して高い光感度を有している。受光部100は、フォトダイオード20が設けられた側が遮光部110と対向するように配置される。複数のフォトダイオード20のそれぞれは、遮光部110における開口部112の配置に対応した位置に配置される。開口部112を透過した反射光RLは、フォトダイオード20に入射する。
なお、フォトダイオード20に入射する反射光RLに可視光が混ざることを抑制するために、例えば可視光波長範囲(400nm〜700nm)の光をカットするフィルターが、発光部130の透光部132や、遮光部110の開口部112に対応して配置されていてもよい。
センサー部150の構成は、これに限定されるものではない。例えば、発光部130は、保護部140を含む構成としてもよく、保護部140によって光源部133を封止する構造としてもよい。また、透光部132を透過した光は、屈折率が異なる部材の界面で反射して減衰するおそれがあるので、例えば、発光部130の基板本体131の面131bと、可変分光部120とが接するように、発光部130と可変分光部120とを貼り合わせてもよい。また、可変分光部120と遮光部110の面111aとが接するように貼り合わせてもよい。このようにすれば互いの厚み方向(Z方向)における位置関係をより確実なものとすることができる。
本実施形態に係る生体情報取得装置200は、カルコパイライト構造のCIS系膜またはCIGS系膜で構成されたp型半導体層23を有し、下部電極21とp型半導体層23との間に酸化インジウムを含む金属酸化層22を有するフォトダイオード20(図5参照)をセンサー部150に備えている。したがって、近赤外光に対して高い光感度を有するとともに、電気特性に優れ信頼性の高い生体情報取得装置200を提供できる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態に係る光電変換装置の製造方法では、第2工程で下部電極21上に金属層23aを、第11族元素である銅と第13族元素であるインジウムとを含む合金ターゲットを用いて成膜する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、金属層23aを、インジウムからなる層と銅からなる層とを積層して成膜するようにしてもよい。
上記実施形態に係る光電変換装置の製造方法では、第2工程で下部電極21上に金属層23aを、第11族元素である銅と第13族元素であるインジウムとを含む合金ターゲットを用いて成膜する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、金属層23aを、インジウムからなる層と銅からなる層とを積層して成膜するようにしてもよい。
(変形例2)
上記実施形態に係るイメージセンサー100では、p型半導体層23が銅、インジウム、およびセレンを含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe2)の膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体層23が第11族元素である銅と、第13族元素であるインジウムおよびガリウム(Ga)と、第16族元素であるセレンとを含むカルコパイライト構造のCIGS系(Cu(In、Ga)Se2)の膜で構成されていてもよい。なお、CIGS系のp型半導体層23は、第2工程で銅とインジウムとガリウムとを含む合金ターゲットを用いて成膜した金属層23aを、第3工程で熱処理することにより形成できる。
上記実施形態に係るイメージセンサー100では、p型半導体層23が銅、インジウム、およびセレンを含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe2)の膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体層23が第11族元素である銅と、第13族元素であるインジウムおよびガリウム(Ga)と、第16族元素であるセレンとを含むカルコパイライト構造のCIGS系(Cu(In、Ga)Se2)の膜で構成されていてもよい。なお、CIGS系のp型半導体層23は、第2工程で銅とインジウムとガリウムとを含む合金ターゲットを用いて成膜した金属層23aを、第3工程で熱処理することにより形成できる。
(変形例3)
上記実施形態に係るイメージセンサー100では、金属酸化層22が、第13族元素であるインジウムが酸化された酸化インジウムを含む膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、金属酸化層22が、酸化インジウムと、第11族元素である銅が酸化された酸化銅(CuOまたはCu2O)と、のうち少なくとも一方を含む膜で構成されていてもよい。また、第2工程で銅とインジウムとガリウムとを含む合金ターゲットを用いて金属層23aを成膜しCIGS系のp型半導体層23を形成する場合、金属酸化層22は、酸化インジウムと、酸化銅と、第13族元素であるガリウムが酸化された酸化ガリウム(Ga2O3)と、のうち少なくとも一つを含む膜で構成されていてもよい。
上記実施形態に係るイメージセンサー100では、金属酸化層22が、第13族元素であるインジウムが酸化された酸化インジウムを含む膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、金属酸化層22が、酸化インジウムと、第11族元素である銅が酸化された酸化銅(CuOまたはCu2O)と、のうち少なくとも一方を含む膜で構成されていてもよい。また、第2工程で銅とインジウムとガリウムとを含む合金ターゲットを用いて金属層23aを成膜しCIGS系のp型半導体層23を形成する場合、金属酸化層22は、酸化インジウムと、酸化銅と、第13族元素であるガリウムが酸化された酸化ガリウム(Ga2O3)と、のうち少なくとも一つを含む膜で構成されていてもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、光電変換装置としてTFT11と、フォトダイオード20と、保持容量30とを備えた複数のフォトセンサー50がマトリックス状に配置されたイメージセンサー100を説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、光電変換装置は、単品のフォトダイオード20であってもよい。
上記実施形態では、光電変換装置としてTFT11と、フォトダイオード20と、保持容量30とを備えた複数のフォトセンサー50がマトリックス状に配置されたイメージセンサー100を説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、光電変換装置は、単品のフォトダイオード20であってもよい。
(変形例5)
上記実施形態および変形例では、光電変換装置として、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えたイメージセンサー100を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。光電変換装置は、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えた太陽電池であってもよい。
上記実施形態および変形例では、光電変換装置として、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えたイメージセンサー100を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。光電変換装置は、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20を備えた太陽電池であってもよい。
(変形例6)
上記実施形態では、電子機器として、血管の画像情報や血液中の特定成分などの情報を入手可能な携帯型の情報端末装置である生体情報取得装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。電子機器は、据置型など異なる形態の情報端末装置であってもよいし、指の静脈の画像情報を取得し予め登録された静脈の画像情報と比較することで個人を特定する生体認証装置であってもよい。また、電子機器は、指紋や眼球の虹彩などを撮像する固体撮像装置であってもよい。
上記実施形態では、電子機器として、血管の画像情報や血液中の特定成分などの情報を入手可能な携帯型の情報端末装置である生体情報取得装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。電子機器は、据置型など異なる形態の情報端末装置であってもよいし、指の静脈の画像情報を取得し予め登録された静脈の画像情報と比較することで個人を特定する生体認証装置であってもよい。また、電子機器は、指紋や眼球の虹彩などを撮像する固体撮像装置であってもよい。
10…基板、21…下部電極(電極)、22…金属酸化層、23…p型半導体層(半導体層)、23a…金属層、100…イメージセンサー(光電変換装置)、200…生体情報取得装置(電子機器)。
Claims (8)
- 電極を形成する第1工程と、
酸素を含む雰囲気中で、第11族元素と第13族元素とを含む金属層を前記電極上に形成する第2工程と、
第16族元素を含む雰囲気中で前記金属層を熱処理し、半導体層と、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された酸化物を含む金属酸化層と、を形成する第3工程と、
を備えたことを特徴とする光電変換装置の製造方法。 - 前記第1工程では、高融点金属で前記電極を形成し、
前記第3工程の後に、前記電極が第16族元素を含まないことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。 - 前記第2工程では、銅とインジウムとを含む前記金属層を形成し、
前記第3工程では、セレンまたは硫黄を含む雰囲気中で前記金属層を熱処理することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。 - 前記第3工程では、インジウムが酸化された酸化物を含む前記金属酸化層を形成することを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置の製造方法。
- 電極と、
前記電極上に配置された、第11族元素と第13族元素とのうち少なくとも一方の元素が酸化された酸化物を含む金属酸化層と、
前記金属酸化層上に配置された、第11族元素と第13族元素と第16族元素とを含む半導体層と、
を備えたことを特徴とする光電変換装置。 - 前記電極は、高融点金属からなり、その表面に第16族元素を含まないことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
- 前記半導体層は、銅とインジウムとセレンとを含み、
前記金属酸化層は、酸化インジウムを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の光電変換装置。 - 請求項5から7のいずれか一項に記載の光電変換装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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Cited By (1)
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US20210193753A1 (en) * | 2019-12-24 | 2021-06-24 | Samsung Display Co., Ltd. | Photo transistor and display device including the same |
-
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- 2017-06-28 JP JP2017125923A patent/JP2019009367A/ja active Pending
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CN113035981A (zh) * | 2019-12-24 | 2021-06-25 | 三星显示有限公司 | 光电晶体管以及包括其的显示装置 |
US11690273B2 (en) * | 2019-12-24 | 2023-06-27 | Samsung Display Co., Ltd. | Photo transistor and display device including the same |
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