JP2017212417A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換素子の電極層を均質に形成する。【解決手段】金属の酸化物で第1導電層を形成する工程と、前記第1導電層の表面に成膜処理により第2導電層を形成する工程と、前記第2導電層の表面に金属膜を形成する工程と、第16族元素を含む雰囲気中で前記金属膜を加熱する工程とを含み、前記金属膜を加熱する工程では、前記第16族元素と前記金属膜とを反応させた光電変換のための光吸収層を形成し、前記第2導電層と前記第16族元素とを反応させる光電変換素子の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、光電変換素子の電極を形成する技術に関する。
光電変換素子の電極を形成する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、酸素を含む電極層を形成する工程と、電極層の表面の一部(特に酸素)を取り除く表面処理の工程と、表面処理後の電極層にセレンを反応させる工程とを含む光電変換素子の製造方法が開示されている。
特開2009−289955号公報
しかし、特許文献1の技術では、電極層の表面の一部を除去する表面処理(例えばウェットエッチング)が実行されるから、表面処理後の電極層の表面に凹凸や空隙等の欠陥が発生する可能性があり、酸素を含まない電極層を均質に形成することは困難である。以上の事情を考慮して、本発明は、光電変換素子の電極層を均質に形成することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の光電変換素子の製造方法は、金属の酸化物で第1導電層を形成する工程と、第1導電層の表面に成膜処理により第2導電層を形成する工程と、第2導電層の表面に金属膜を形成する工程と、第16族元素を含む雰囲気中で金属膜を加熱する工程とを含み、金属膜を加熱する工程では、第16族元素と金属膜とを反応させた光電変換のための光吸収層を形成し、第2導電層と第16族元素とを反応させる。以上の方法では、成膜処理により第1導電層の表面に形成された第2導電層に第16族元素を反応させる。したがって、例えば第1導電層の表面から酸素を取り除くことで第2導電層を形成する方法と比較して、均質な第2導電層を形成することが可能である。
本発明の好適な態様において、光吸収層は、カルコパイライト構造を有する半導体を含む。以上の方法では、カルコパイライト構造を有する半導体を含む光吸収層が形成される。したがって、カルコパイライト構造を有する半導体以外の半導体を含む、例えばシリコン系半導体を含む光吸収層を形成する方法と比較して、広波長帯域の光を吸収しやすい光吸収層を形成することが可能である。
本発明の好適な態様において、第16族元素は、セレンであり、カルコパイライト構造を有する半導体は、Cu(InGa1-x)Se2(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体である。以上の方法では、Cu(InGa1-x)Se2(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体を含む光吸収層が形成される。
本発明の好適な態様において、第16族元素は、硫黄であり、光吸収層は、Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体を含む。以上の方法では、Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体を含む光吸収層が形成される。したがって、Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体以外の半導体を含む光吸収層、例えばCIGS系半導体を含む光吸収層を形成する方法と比較して、稀少元素を含まないので安価に光吸収層を形成することが可能である。
本発明の好適な態様において、第1導電層を形成する工程では、酸化モリブデンで第1導電層を形成し、第2導電層を形成する工程では、モリブデンで第2導電層を形成する。以上の方法では、酸化モリブデンで第1導電層が形成され、モリブデンで第2導電層が形成される。したがって、酸化モリブデン以外の金属の酸化物で第1導電層が形成される方法と比較して、第16族元素に対する耐蝕性が高く低抵抗な第1導電層を形成することが可能である。また、モリブデン以外の材料で第2導電層が形成される方法と比較して、光吸収層に対してオーミック接触しやすいという利点がある。
本発明の好適な態様において、第2導電層の膜厚は、50nm以下である。以上の方法では、50nm以下の膜厚で第2導電層が形成される。したがって、50nmより大きい膜厚で第2導電層が形成される方法と比較して、第2導電層に第16族元素を反応させた高抵抗な部分(反応層)の膜厚をより薄く形成することが可能である。
本発明の好適な形態に係る光電変換装置の模式図である。 1個の単位素子の模式図である。 光電変換装置のうち1個の単位素子に対応する部分の断面図である。 導電層を形成する工程の説明図である。 導電層を形成する工程の説明図である。 第1金属膜を形成する工程の説明図である。 第2金属膜を形成する工程の説明図である。 第16族元素を含む雰囲気中で金属膜を加熱する工程の説明図である。 導電層と導電層と光吸収層とを一括的に除去する工程の説明図である。 絶縁層を形成する工程の説明図である。 n型バッファ層を形成する工程の説明図である。 n型導電層を形成する工程の説明図である。
<光電変換装置100の構成>
図1は、本発明の好適な形態に係る光電変換装置100の模式図である。光電変換装置100は、例えば生体認証のために生体の静脈像を撮像する撮像装置(静脈センサー)であり、図1に示すように基板10と複数の単位素子Uとを具備する。基板10は、ガラス基板や石英基板等の板状部材である。複数の単位素子Uは、基板10の面上に行列状に配列される。
図2は、1個の単位素子Uの模式図である。各単位素子Uは、図2に例示される通り、定電位線112と検出線114との交差に対応して配置され、トランジスター12とトランジスター132とトランジスター134と光電変換素子14とを含んで構成される。光電変換素子14は、受光量に応じた電荷を発生する。本実施形態の光電変換素子14は、近赤外光(波長700nm〜1300nm)を受光可能である。定電位線112と検出線114との間にトランジスター12とトランジスター134とが直列に接続される。トランジスター12のゲート電極は光電変換素子14に接続され、トランジスター132はトランジスター12のゲート電極と定電位線112との間に接続される。
トランジスター12のゲート電極の電位は、トランジスター132がオン状態に制御されることで定電位線112の電位に初期化されてから光電変換素子14の受光量に応じた電位に変化する。したがって、トランジスター134がオン状態に制御されると、光電変換素子14の受光量(トランジスター12のゲート電極の電位)に応じた電流値の検出信号が定電位線112からトランジスター12とトランジスター134とを経由して検出線114に出力される。すなわち、単位素子U内の各トランジスター(12,132,134)は、検出信号の入出力の制御(光電変換素子14の駆動)に使用される半導体素子である。なお、単位素子Uの具体的な構成は、図2の例示に限定されない。
図3は、光電変換装置100のうち1個の単位素子Uに対応する部分の断面図である。図3に示すように、光電変換装置100は、回路層20と絶縁層30と受光層40とを基板10の面上に積層した構造である。回路層20は基板10と絶縁層30との間に介在し、絶縁層30は回路層20と受光層40との間に介在する。
回路層20は、下地層22と単位素子U内の各トランジスター(12,132,134)と層間絶縁膜24とを含んで構成される。下地層22は、トランジスター12を形成する下地として好適な薄膜であり、例えば窒化珪素(SiN)で基板10の表面に形成された絶縁層221と、例えば酸化珪素(SiO)で絶縁層221の表面に形成された絶縁層223との積層で構成される。なお、下地層22を省略することも可能である。
単位素子U内の各トランジスター(12,132,134)は同様の構成の薄膜トランジスターである。図3にはトランジスター12のみが代表的に例示されている。トランジスター12は、半導体層51とゲート絶縁膜52とゲート電極53とソース電極54とドレイン電極55とを含む薄膜トランジスターである。半導体層51は、例えばポリシリコン等の半導体材料で下地層22の面上に島状に形成される。ゲート電極53は、ゲート絶縁膜52を挟んで半導体層51のチャネル領域に対向する。層間絶縁膜24は、半導体層51とゲート電極53とを覆う絶縁性の膜体(層間絶縁層)であり、基板10の全域にわたり略一定の膜厚に形成される。ソース電極54およびドレイン電極55の各々は、層間絶縁膜24の面上に形成され、層間絶縁膜24およびゲート絶縁膜52を貫通する導通孔を介して半導体層51に導通する。
絶縁層30は、絶縁膜32と絶縁膜34とから構成される。絶縁膜32は、絶縁性の膜体であり、回路層20(層間絶縁膜24)を覆うように基板10の全域に形成される。絶縁膜32は、例えば窒化珪素(SiN)で形成される。絶縁膜34は、絶縁膜32を覆う絶縁性の膜体であり、絶縁膜32の表面を平坦にする平坦化膜として機能する。絶縁膜34は、例えば酸化珪素(SiO)で形成される。
図3の受光層40は、図2の光電変換素子14を含む。光電変換素子14は、第1電極41と第2電極42との間に光電変換層43を介在させた受光素子である。第1電極41は、単位素子U毎に個別に形成され、絶縁層30と層間絶縁膜24とを貫通する導通孔(図示略)を介してトランジスター12のゲート電極53に導通する。図3に例示される通り、第1電極41は、第1層72と第2層94との積層で構成される。第1層72は、金属の酸化物で絶縁膜34上に形成される。具体的には、第1層72の材料として好適な金属の酸化物は、第16族元素(例えばセレン)に対する耐蝕性および耐熱性が高く低抵抗な導電材料であり、例えば酸化モリブデン(MoO)である。なお、第16族元素に対する耐蝕性および耐熱性が高いとは、第16族元素を含む雰囲気中で加熱した際に変性しないことをいう。第2層94は、第1層72の表面に形成される。例えば、光電変換層43との間にオーミック接触が得られやすい導電材料であるセレン化モリブデン(MoSe2)が第2層94の材料として好適である。
図3の光電変換層43は、広波長帯域の光を吸収しやすいカルコパイライト構造の半導体を含んで形成され、受光量に応じた電荷を発生させる。具体的には、光電変換層43は、光吸収層432とn型バッファ層434とn型導電層436とを第1電極41側からこの順番に積層した構造である。光吸収層432は、カルコパイライト型半導体で第1電極41上に形成される。カルコパイライト型半導体としては、Cu(InGa1−x)Se2(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体(CIS系半導体を含む)が好適である。CIGS系半導体とは、例えばCuInSe2またはCu(In,Ga)Se2等である。
図3に例示される通り、第1電極41および光電変換層43が形成された絶縁膜34の表面は絶縁層45で覆われる。絶縁層45は、例えば窒化珪素(SiN)で形成される。n型バッファ層434は、例えば硫化カドミウム(CdS)で絶縁層45の面上に形成されて複数の単位素子Uにわたって連続する。n型導電層436は、例えば酸化亜鉛(ZnO)でn型バッファ層434上に形成される。
第2電極42は、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)等の光透過性の導電材料でn型導電層436上に形成される。第2電極42は、複数の単位素子Uにわたって連続する導電層であり、絶縁層45に形成された開口部46を介して光電変換層43に接触する。
以上に例示した構成において、被写体側から到来する入射光は、開口部46の内側において第2電極42とn型導電層436とn型バッファ層434とを透過し、光吸収層432で吸収される。光電変換層43には、光吸収層432に対する入射光量に応じた電荷が発生する。光電変換層43で発生した電荷に応じた検出信号が光電変換素子14毎に検出線114から外部装置に出力される。
<光電変換素子14の製造方法>
図4から図12は、以上に説明した光電変換装置100のうち光電変換素子14の製造工程の説明図である。最初の工程P1は、基板10の面上に回路層20と絶縁層30とを積層した状態で開始される。図4に例示される通り、工程P1では、絶縁層30の面上に導電層70が金属の酸化物で形成される。金属の酸化物は、例えばセレン等の第16族元素に対する耐蝕性および耐熱性が高く低抵抗な酸化モリブデン(MoO)である。導電層70の形成には、例えば酸素(O)およびアルゴン(Ar)の雰囲気中でのモリブデン(Mo)をターゲットをとしたスパッタリングが採用され得る。導電層70の膜厚は、100nm〜300nm程度とする。
図5に例示される通り、工程P1の実行後の工程P2では、導電層70の表面に成膜処理により導電層90が形成される。導電層90の材料としては、モリブデン(Mo)が好適である。導電層90の膜厚は、例えば50nm以下である。導電層90の形成には、公知の成膜技術(例えばスパッタリングまたは真空蒸着等)が採用され得る。導電層90の形成にスパッタリングを採用した場合、工程P1において使用したチャンバから酸素を除去し、工程P1から引続きモリブデン(Mo)をターゲットとしたスパッタリングにより導電層90が形成される。つまり、導電層70の形成(P1)と導電層90の形成(P2)とが同一チャンバ内で行える。したがって、工程P1とは別個の方法(スパッタリング以外の成膜技術)で導電層90を形成する場合と比較して、導電層90の形成工程が簡素化される。
工程P2の実行後に、導電層90の表面に、カルコパイライト構造を有する半導体で光吸収層82を形成する工程(工程P3〜工程P5)が実行される。光吸収層82の材料としては、例えばCu(InGa1-x)Se2(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体が好適である。以上の構成によれば、CIGS系半導体以外の半導体(例えばシリコン系半導体)で光吸収層82を形成する方法と比較して、広波長帯域の光を吸収しやすい光吸収層82を形成することが可能である。
図6に例示される通り、工程P2の実行後の工程P3では、導電層90の表面に第1金属膜61が形成される。第1金属膜61は、銅(Cu)とガリウム(Ga)とを含む合金により形成される。図7に例示される通り、工程P3の実行後の工程P4では、第1金属膜61の表面に第2金属膜63が形成される。第2金属膜63は、インジウム(In)により形成される。第1金属膜61と第2金属膜63との形成には、公知の成膜技術(例えばスパッタリングまたは真空蒸着等)が採用され得る。工程P3と工程P4とは、導電層90の表面に金属膜(第1金属膜61と第2金属膜63)を形成する工程である。なお、インジウム(In)に対する銅(Cu)の組成比Cu/Inを0.8より大きく1以下とすることで、CIGS系半導体はp型化される。なお、組成比Cu/Inは、第1金属膜61に対する第2金属膜63の膜厚比を選定することで制御可能である。
図8に例示される通り、工程P4の実行後の工程P5では、第16族元素を含む雰囲気中で金属膜(第1金属膜61と第2金属膜63)を加熱する。第1実施形態では、セレン(Se)を第16族元素として例示する。工程P5は、例えばセレン系ガス(例えばH2Se)を含む雰囲気中で金属膜を加熱する工程(セレン化アニール)である。金属膜は、400℃〜500℃程度で加熱される。
工程P5の加熱により、第1金属膜61および第2金属膜63に対してセレン(Se)を反応させた光吸収層82が形成される。具体的には、セレン系ガスに含まれるセレン(Se)と、第1金属膜61を形成する銅(Cu)およびガリウム(Ga)と、第2金属膜63を形成するインジウム(In)とが反応(セレン化)して、CIGS系半導体を含む光吸収層82が形成される。つまり、第1金属膜61と第2金属膜63とは、CIGS系半導体を形成するためのプリカーサ膜(前駆体)である。
工程P5では、以上の例示のように第1金属膜61および第2金属膜63がセレン化されるほか、導電層90がセレン化されることにより、反応層92が形成される。具体的には、セレン系ガスに含まれるセレン(Se)と導電層90を形成するモリブデン(Mo)とが反応して、セレン化モリブデン(MoSe2)を含む反応層92が生成される。本実施形態では、導電層90を形成するモリブデン(Mo)が導電層90の膜厚方向の全体にわたってセレン(Se)と反応するため、モリブデン(Mo)(つまり導電層90)は残存しない。つまり、セレン系ガスの雰囲気中で金属膜を加熱することで、図8に例示される通り、導電層90は反応層92に変化する。他方、導電層70を形成する酸化モリブデン(MoO)は、セレン(Se)に対する耐蝕性および耐熱性が高いため、導電層70は、工程P5のセレン化アニールにおいてセレン(Se)とは反応しない。すなわち、工程P5では、第1金属膜61と第2金属膜63と導電層90とにわたり進行するセレン化が、導電層70と導電層90との境界面にて停止する。
セレン化モリブデン(MoSe2)で形成される反応層92は、導電層70と光吸収層82とをオーミック接触させるために重要である。しかし、セレン化モリブデン(MoSe2)は、電気抵抗が高く脆弱であるため、反応層92の膜厚が厚くなると、光電変換効率の低下および光吸収層82の剥離が発生する。したがって、反応層92の膜厚を抑制することが望ましい。
ここで、導電層70を形成せずに絶縁膜34の面上に導電層90と金属膜とを積層した常態でセレン化アニールする方法(以下「対比例」という)では、セレン化アニールの時間を短縮すれば、導電層90の浅い位置でセレン化を停止させる余地もある。しかし、金属膜を充分にセレン化する必要がある工程P5における状況では、反応層92の膜厚のみを加味してセレン化アニールの時間を制御することは実際には困難である。つまり、対比例では、反応層92の膜厚を抑制することは困難である。
対比例とは対照的に、本実施形態では、導電層70の面上に導電層90と金属膜とを積層した状態でセレン化アニールが実行されるので、上述した通り、セレン化は導電層70と導電層90との境界面にて停止する。つまり、反応層92の形成が導電層90の膜厚に応じた範囲内に制限される。したがって、本実施形態では、対比例と異なり、反応層92の膜厚を抑制する(ひいては光電変換効率の低下または光吸収層82の剥離を抑制する)ことが可能である。なお、導電層90の膜厚を50nm以下にすることで、光電変換効率の低下と光吸収層82の剥離とをより防止できる薄い膜厚で反応層92を形成することができる。
また、特許文献1に記載された方法では、導電層の表面の一部を除去する表面処理が実行されるから、表面処理後の導電層の表面に凹凸や空隙等の欠陥が発生する可能性があり、酸素を含まない導電層を均質に形成することは困難である。表面処理としてウェットエッチングを採用した場合には特に、表面状態または処理後の膜厚の制御が困難であるという問題もある。したがって、表面処理後の導電層の表面に形成された金属膜をセレン化アニールすると、反応層の膜厚が適切に制御できない可能性および反応層の表面に形成される光吸収層に剥離が発生する可能性がある。特許文献1の技術とは対照的に、本実施形態では、導電層70の表面にスパッタリング等の成膜処理で形成された導電層90をセレン化することで反応層92が形成されるから、特許文献1の方法と比較して均質な導電層90を高精度に形成することができる。ひいては、反応層92の膜厚をより適切に制御し、光吸収層82の剥離を低減することが可能である。
図9に例示される通り、工程P5の実行後の工程P6では、第1層72と第2層94と光吸収層432とが形成される。具体的には、工程P6では、工程P1〜工程P5で形成した導電層70と反応層92と光吸収層82とを、例えばフォトリソグラフィまたはエッチングにより一括的に除去することで第1層72と第2層94と光吸収層432とが形成される。すなわち、導電層70の選択的な除去で第1層72が形成され、反応層92の選択的な除去で第2層94が形成され、光吸収層82の選択的な除去で光吸収層432が形成される。第1層72と第2層94とは、図2に例示した第1電極41として機能する。
図10に例示される通り、工程P6の実行後の工程P7では、第1電極41および光吸収層432が形成された絶縁膜34の表面を覆うように絶縁層45が形成される。絶縁層45は、例えば窒化珪素(SiN)で形成される。絶縁層45は、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)等の公知の成膜技術により窒化珪素(SiN)を堆積した後に、開口部46に相当する部分を例えばフォトリソグラフィまたはエッチングにより選択的に除去することで形成される。
図11に例示される通り、工程P7の実行後の工程P8では、光吸収層432と絶縁層45とを覆うようにn型バッファ層434が形成される。n型バッファ層434は、例えば硫化カドミウム(CdS)である。n型バッファ層434の形成には、例えば化学浴析出法(CBD:Chemical Bath Deposition)等の公知の成膜技術が採用され得る。
図12に例示される通り、工程P8の実行後の工程P9では、n型導電層436がn型バッファ層434上に形成される。n型導電層436は、例えば酸化亜鉛(ZnO)である。n型導電層436の形成には、例えばスパッタリングまたは有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)等の公知の成膜技術が採用され得る。光吸収層432とn型バッファ層434とn型導電層436とが、光電変換層43として機能する。
工程P9におけるn型導電層436の形成後に第2電極42を形成することで、図3の光電変換素子14が製造される。第2電極42は、ITOやIZO等の光透過性の導電材料で形成される。第2電極42の形成には、公知の成膜技術(例えばスパッタリングや真空蒸着等)が採用される。
<変形例>
以上に例示した形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)前述の形態では、第1層72と第2層94とを絶縁膜34側からこの順番で積層した第1電極41を例示したが、第1電極41の構造は以上の例示に限定されない。例えば、導電体(例えばモリブデン)で形成される第3層と第1層72と第2層94とを絶縁膜34側からこの順番で積層した構造の第1電極41を形成することも可能である。
(2)前述の形態では、モリブデン(Mo)で導電層90を形成する方法を例示したが、導電層90の材料はモリブデン(Mo)に限定されない。例えばチタン(Ti)、クロム(Cr)またはバナジウム(V)等で導電層90を形成することも可能である。ただし、モリブデン(Mo)で導電層90を形成する前述の形態によれば、モリブデン(Mo)以外の材料で導電層90が形成される方法と比較して、反応層92と光吸収層82とがオーミック接触しやすいという利点がある。
(3)前述の形態では、金属の酸化物として酸化モリブデン(MoO)で導電層70を形成する方法を例示したが、金属の酸化物は酸化モリブデン(MoO)に限定されない。例えば酸化チタン(TiO2)で導電層70を形成することも可能である。ただし、酸化モリブデン(MoO)で導電層70を形成する前述の形態によれば、酸化モリブデン(MoO)以外の金属の酸化物で導電層70を形成する方法と比較して、第16族元素に対する耐蝕性が高く低抵抗な導電層70を形成することが可能である。
(4)前述の形態では、工程P5のセレン化アニールにおいて、導電層90の膜厚方向の全体にわたってセレン化したが、導電層90の膜厚方向の途中でセレン化が停止することもあり得る。つまり、第1電極41にモリブデン(Mo)が残存する場合もあり得る。
(5)前述の形態では、カルコパイライト構造を有する半導体で光吸収層432を形成する方法を例示したが、光吸収層432の材料はカルコパイライト構造を有する半導体に限定されない。例えばCu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体を含で形成することも可能である。Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体で光吸収層432を形成する場合、金属膜は、硫黄(S)を含む雰囲気中で加熱され、反応層92は、硫化モリブデン(MoS2)で形成される。以上の方法によれば、Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体以外の半導体を含む光吸収層432、例えばCIGS系半導体を含む光吸収層432を形成する方法と比較して、稀少元素を含まないので安価に光吸収層432を形成することが可能である。一方で、カルコパイライト構造を有する半導体で光吸収層432を形成する前述の形態によれば、広波長帯域の光を吸収しやすいという利点がある。
(6)前述の形態では、カルコパイライト構造を有する半導体としてCIGS系半導体で光吸収層432を形成する方法を例示したが、カルコパイライト構造を有する半導体はCIGS系半導体に限定されない。例えば、CuAlS2,CuAlSe2,CuAlTe2,CuGaS2,CuGaSe2,CuGaTe2,CuInTe2,AgAlS2,AgAlSe2,AgAlTe2,AgGaS2,AgGaSe2,AgGaTe2,AgInS2,AgInSe2またはAgInTe2等のCIGS系以外の半導体で光吸収層432を形成することも可能である。
(7)前述の形態では、酸素(O)およびアルゴン(Ar)の雰囲気中でのモリブデン(Mo)をターゲットをとしたスパッタリングで導電層70を形成したが、導電層70を形成する方法は以上の例示に限定されない。例えば、モリブデン(Mo)を任意の成膜技術で形成した後に、酸素(O)を含む雰囲気(例えば大気)中で加熱することにより導電層70を形成することも可能である。
(8)前述の形態では、導電層70と反応層92と光吸収層82とを一括的に除去することで、第1層72と第2層94と光吸収層432とを形成したが(図9の工程P6)、第1層72と第2層94と光吸収層432とを形成する方法は以上の例示に限定されない。例えば、導電層70と導電層90と金属膜とを一括的に除去した後にセレン化アニールして第1層72と第2層94と光吸収層432とを形成することも可能である。以上の説明から理解される通り、導電層70(第1導電層の例示)と導電層90(第2導電層の例示)と金属膜との選択的な除去(すなわちパターニング)のタイミングは任意である。
(9)前述の形態では、トランジスター12のゲート電極53に光電変換素子14(第1電極41)を接続したが、光電変換素子14の接続先は適宜に変更される。例えば、トランジスター12のソース電極54やドレイン電極55に光電変換素子14を接続した構成も採用され得る。もっとも、回路層20に形成される半導体素子はトランジスター12に限定されない。例えばダイオード等の半導体素子を回路層20に形成した構成にも本発明は適用される。また、前述の形態では、基板10の表面に形成されたトランジスター12(薄膜トランジスター)を例示したが、半導体基板を基板10として利用した構成では、トランジスター12を基板10に直接的に形成することが可能である。
(10)前述の形態では、生体認証用の静脈像を撮像する光電変換装置100(静脈センサー)を例示したが、本発明の用途は任意である。例えば、静脈像のほか指紋や虹彩を含む生体情報の取得に光電変換装置100を利用することも可能である。また、例えば、光電変換装置100が撮像した生体の静脈像から血中アルコール濃度を推定するアルコール検出装置や、光電変換装置100が撮像した生体の静脈像から血糖値を推定する血糖値推定装置等の医療機器にも本発明は適用され得る。撮像結果を利用した血中アルコール濃度の推定には公知の技術が任意に採用され得る。また、印刷物から画像を読取る画像読取装置に本発明を適用することも可能である。なお、画像読取装置に本発明を適用する場合には可視光が撮像光として好適に利用される。光電変換素子14の用途は撮像に限定されない。例えば、太陽光を電気エネルギーに変換および蓄積する太陽電池に前述の形態に係る光電変換素子14を利用することも可能である。
10…基板、100…光電変換装置、112…定電位線、114…検出線、12,132,134…トランジスター、14…光電変換素子、20…回路層、22…下地層、221…絶縁層、223…絶縁層、24…層間絶縁膜、30…絶縁層、32,34…絶縁膜、40…受光層、41…第1電極、42…第2電極、43…光電変換層、82,432…光吸収層、434…n型バッファ層、436…n型導電層、45…絶縁層、46…開口部、51…半導体層、52…ゲート絶縁膜、53…ゲート電極、54…ソース電極、55…ドレイン電極、61…第1金属膜、63…第2金属膜、70,90…導電層、72…第1層、92…反応層、94…第2層。

Claims (6)

  1. 金属の酸化物で第1導電層を形成する工程と、
    前記第1導電層の表面に成膜処理により第2導電層を形成する工程と、
    前記第2導電層の表面に金属膜を形成する工程と、
    第16族元素を含む雰囲気中で前記金属膜を加熱する工程とを含み、
    前記金属膜を加熱する工程では、前記第16族元素と前記金属膜とを反応させた光電変換のための光吸収層を形成し、前記第2導電層と前記第16族元素とを反応させる
    光電変換素子の製造方法。
  2. 前記光吸収層は、カルコパイライト構造を有する半導体を含む
    請求項1の光電変換素子の製造方法。
  3. 前記第16族元素は、セレンであり、
    前記カルコパイライト構造を有する半導体は、Cu(InGa1-x)Se2(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体である
    請求項2の光電変換素子の製造方法。
  4. 前記第16族元素は、硫黄であり、
    前記光吸収層は、Cu2ZnSnS4で示されるCZTS系半導体を含む
    請求項1の光電変換素子の製造方法。
  5. 前記第1導電層を形成する工程では、酸化モリブデンで前記第1導電層を形成し、
    前記第2導電層を形成する工程では、モリブデンで前記第2導電層を形成する
    請求項1から請求項4の何れかの光電変換素子の製造方法。
  6. 前記第2導電層の膜厚は、50nm以下である
    請求項1から請求項5の何れかの光電変換素子の製造方法。
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