JP2014068762A - 体外循環用留置針 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管への穿刺時に激しい痛みが伴う不都合を抑えられる体外循環用留置針を提供する。
【解決手段】内針2の外周面と外筒針3の内周面との間に形成される外周空間16の両端部を液密状態に閉塞するとともに、内針2を摺動可能な状態で密着保持する外筒針先端部14およびシール部材23と、外筒針3の外周面に形成され、血管内と外周空間16とを連通する開口部17と、外周空間16と血液回路の一端とを連通させるための外筒針接続部15と、内針2の内部空間2aと血液回路の他端とを連通させるための内針接続部7と、を備え、内針2は、先端部が外筒針3の先端から突出された突出位置と、先端が外筒針3内に収納された収納位置との間で移動可能に保持され、内針2が突出位置に保持された状態で血管内に穿刺され、穿刺後に収納位置に移動されて、外筒針接続部15および内針接続部7を介して血液を体外循環可能にする。
【選択図】図2

Description

本発明は、血液の体外循環を行う際に患者の血管に穿刺され、留置して使用する体外循環用留置針に関する。
従来、血液の体外循環(例えば、透析などの血液浄化治療のために行われる血液体外循環)においては、患者の血管に留置針を穿刺して留置し、この留置針に血液回路を接続する。一般的には、動脈および静脈に留置針を1本ずつ留置し、これらの留置針を血液回路の両端部に接続する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、血液の体外循環の実行中に留置針を2本も常時血管に留置しておくことは、患者にとって苦痛である。また、2本の留置針を留置した場合、返血用(静脈側)の針が抜けた時に多量の血液が外部に流出するという問題があった。そこで、2本の留置針の留置を避けるために、単一の留置針において、血液回路へ接続する接続部を二股に分岐し、分岐した接続部の一方に血液回路の吸込側端部を接続し、他方に血液回路の吐出側端部を接続するように構成することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところが、単に留置針の接続部を二股に分岐しただけだと、血液を留置針から吸い込む吸込側ポンプと、留置針へ吐出する吐出側ポンプとを血液回路に設ける必要があり、血液回路の構成が複雑になってしまう。しかも、血液の吸込動作と吐出動作とを交互に行わなければならず、血液の体外循環の効率が悪い。これらの不都合を解消するためには、留置針をダブルルーメン化して吸込側流路と吐出側流路とを別個に確保することが好適である(例えば、特許文献3参照)。
特許第3073713号公報 実公平4−26110号公報 国際公開第2006/022025号
しかしながら、単にダブルルーメン化したのでは、留置針の針先が太くなってしまい、穿刺時に患者が受ける痛みが激しくなるという問題がある。また、血管への留置時には内針を抜き取るため、抜き取られた内針の針先が誤って作業者(看護師や、在宅透析の場合には患者自身など)に刺さってしまう虞がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、針先が太くなり過ぎないダブルルーメン構造を実現して、血管への穿刺時に激しい痛みが伴う不都合を抑えることができ、抜き取られた内針の針先が誤って作業者に刺さってしまう虞がない体外循環用留置針を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、先端に開口を有する管状体で形成された外筒針と、この外筒針内に挿通され、先端に穿刺部を有する管状体で形成された内針とを備えた二重管構造で構成された体外循環用留置針であって、
前記内針の外周面と前記外筒針の内周面との間に形成される外周空間の両端部を液密状態に閉塞するとともに、内針を摺動可能な状態で密着保持する保持部材と、
前記外筒針の先端側のうち前記保持部材よりも後方の外周面に形成され、血管内に穿刺されたときに血管内と前記外周空間とを連通する開口部と、
前記外周空間と血液回路の一端とを連通させるための第1接続部と、
前記内針の内部空間と血液回路の他端とを連通させるための第2接続部と、を備え、
前記内針は、先端部が前記外筒針の先端から突出された突出位置と、先端が前記外筒針内に収納された収納位置との間で前記保持部材によって移動可能に保持され、
前記内針が前記突出位置に保持された状態で血管内に穿刺され、穿刺後に前記収納位置に移動されて、前記第1接続部および第2接続部を介して血液を体外循環可能にすることを特徴とする体外循環用留置針である。
請求項2に記載のものは、前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端に装着された前記外筒針の先端部であることを特徴とする請求項1に記載の体外循環用留置針である。
請求項3に記載のものは、前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端部分を縮径して形成された前記外筒針の先端部であることを特徴とする請求項1に記載の体外循環用留置針である。
請求項4に記載のものは、前記開口部は、血液を血管から取り込む取込口であり、
前記内針の内部空間の先端開口は、血液回路を循環した血液を血管へ戻す戻り口であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の体外循環用留置針である。
請求項5に記載のものは、前記第1接続部は、前記第2接続部を前記内針の前記移動方向に沿って案内する移動案内部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の体外循環用留置針である。
請求項6に記載のものは、前記第2接続部は、当該第2接続部の外方に向けて突出した内針移動操作部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の体外循環用留置針である。
請求項7に記載のものは、前記第1接続部または前記第2接続部の一方には被係止部を備え、他方には前記被係止部を係止可能な係止部を備え、
該係止部は、前記突出位置における被係止部を係止する突出係止部と、前記収納位置における被係止部を係止する収納係止部と、から構成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の体外循環用留置針である。
請求項8に記載のものは、前記突出係止部と収納係止部との間には、被係止部を内針の前記移動方向に沿って案内する被係止案内部を備えたことを特徴とする請求項7に記載の体外循環用留置針である。
請求項9に記載のものは、前記第1接続部と前記第2接続部との間には、内針を前記突出位置から前記収納位置に移動する方向へ付勢する付勢部材を備え、
前記被係止部と前記突出係止部との係止状態を解除すると、第2接続部が付勢部材の付勢力により付勢されて内針が前記突出位置から前記収納位置へ移動するように構成されたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の体外循環用留置針である。
請求項10に記載のものは、記内針の外径を長尺な管状の外筒針本体の内径よりも小さく設定して、内針の外周面と外筒針本体の内周面との間に前記外周空間を筒状に形成したことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の体外循環用留置針である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、血管への穿刺後に内針を抜き取らずに血液の循環路の一部として活用することができ、血管への穿刺のためだけに用いられる部材を血液の循環路を構成する部材とは別個に備える必要がない。これにより、針先が太くなり過ぎないダブルルーメン構造の体外循環用留置針を実現することができ、血管への穿刺時に激しい痛みが伴う不都合を抑えることができる。また、内針を体外循環用留置針から抜き取る必要がないことから、内針の穿刺部が作業者(血液の体外循環を準備する作業者)に誤って刺さってしまう虞がない。さらに、内針を収納位置に移動することで、内針の穿刺部が血管内に露出することを避けることができ、体外循環用留置針の留置中に内針の穿刺部が血管を不用意に傷つける不都合を避けることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端に装着された前記外筒針の先端部であるので、外筒針の先端部を外筒針本体よりも硬い材質で構成し易い。したがって、穿刺が容易な外筒針を実現し易い。
請求項3に記載の発明によれば、前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端部分を縮径して形成された前記外筒針の先端部であるので、外筒針の先端部を外筒針本体とは別個に形成する必要がない。したがって、製造コストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記開口部は、血液を血管から取り込む取込口であり、前記内針の内部空間の先端開口は、血液回路を循環した血液を血管へ戻す戻り口であるので、留置中の体外循環用留置針が不用意に血管から抜けかかって開口部が露出してしまったとしても、開口部から血液が流出する不都合を避けることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記第1接続部は、前記第2接続部を前記内針の前記移動方向に沿って案内する移動案内部を備えたので、内針の移動をスムーズに行うことができ、体外循環用留置針の留置準備作業を迅速に実行することができる。
請求項6に記載の発明によれば、前記第2接続部は、当該第2接続部の外方に向けて突出した内針移動操作部を備えたので、内針を一層移動し易くすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、前記第1接続部または前記第2接続部の一方には被係止部を備え、他方には前記被係止部を係止可能な係止部を備え、該係止部は、前記突出位置における被係止部を係止する突出係止部と、前記収納位置における被係止部を係止する収納係止部と、から構成されるので、突出位置および収納位置における内針の位置決めを十分に行うことができる。したがって、内針の移動操作、特に血管への穿刺後に突出位置から収納位置への移動操作を迅速に行うことができ、体外循環用留置針の留置準備作業を効率よく実行することができる。また、位置決めされた内針が不用意にずれてしまうことを抑制することができる。これにより、体外循環用留置針を血管へ穿刺する際に内針の先端が外筒針内に収納されてしまったり、外筒針を血管内に留置している最中に内針の先端部が外筒針の先端から突出してしまったりする不都合をなくすことができる。
請求項8に記載の発明によれば、前記突出係止部と収納係止部との間には、被係止部を内針の前記移動方向に沿って案内する被係止案内部を備えたので、内針の移動をさらに行い易くすることができる。
請求項9に記載の発明によれば、前記第1接続部と前記第2接続部との間には、内針を前記突出位置から前記収納位置に移動する方向へ付勢する付勢部材を備え、前記被係止部と前記突出係止部との係止状態を解除すると、第2接続部が付勢部材の付勢力により付勢されて内針が前記突出位置から前記収納位置へ移動するように構成されたので、被係止部を突出係止部から外す操作だけで、内針の収納位置への移動作業を行うことができる。したがって、体外循環用留置針の留置準備作業を一層迅速に済ませることができる。
請求項10に記載の発明によれば、前記内針の外径を長尺な管状の外筒針本体の内径よりも小さく設定して、内針の外周面と外筒針本体の内周面との間に前記外周空間を筒状に形成したので、内針の外周面と外筒針の内周面との間に形成される外周空間を簡単な構成で形成することができる。また、外周空間の断面積を広く確保することができ、血液が滞りなく循環し易い構造を実現することができる。
体外循環用留置針の外観図である。 体外循環用留置針の断面図であり、(a)は内針を突出位置に移動した状態の断面図、(b)は内針を収納位置に移動した状態の断面図である。 体外循環用留置針の針先の説明図であり、(a)は内針を突出位置に移動した状態の説明図および各位置における断面図、(b)は内針を収納位置に移動した状態の説明図である。 移動案内部を備えた体外循環用留置針の要部説明図であり、(a)は外観図、(b)は断面図である。 第2接続部を付勢する付勢部材を備えた体外循環用留置針の要部説明図である。 外筒針本体の先端部を縮径して保持部材を形成した体外循環用留置針の針先の説明図であり、(a)は内針を突出位置に移動した状態の説明図および各位置における断面図、(b)は内針を収納位置に移動した状態の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
体外循環用留置針1は、図1および図2に示すように、それぞれ管状体で形成された内針2と外筒針3とを備え、外筒針3内に内針2を挿通して二重管構造で構成されている。そして、内針2の先端および外筒針3の先端を尖らせて患者の血管に穿刺可能とし、患者の血液を体外循環させる血液回路4に内針2の基端と外筒針3の基端とを接続して、血管と血液回路4と間で血液を循環可能としている。
内針2は、細長い金属管で構成されており、当該内針2の内部には、血液を通液可能とする内部空間2aを内針2の全長に亘って形成し、内部空間2aの両端には先端開口2bおよび基端開口2cを開設して外方へ開放している。また、内針2のうち先端開口2bが開設された先端(図2(a)中、左端)には穿刺部2dを有している。
さらに、内針2のうち基端開口2cが開設された基端(図2(a)中、右端)には、内針接続部7(本発明における第2接続部に相当)を備えている。内針接続部7は、内針2と同軸上に位置するプラスチック製の円筒状部材であり、当該内針接続部7の内部には内針連通空間部8を形成し、当該内針連通空間部8の内針2側(図2(a)中、左側)を内針2の基端開口2cに連通する一方、内針連通空間部8の中央部を挟んで内針2とは反対側(図2(a)中、右側)を外方へ開放している。さらに、内針接続部7の外周のうち内針連通空間部8の開放口側に位置する箇所には、血液回路4の端部に装着されたロックリング4a(図1参照)が螺合可能な内針側おねじ部9を形成している。そして、血液回路4の端部を前記開放口に当接し、この状態でロックリング4aを内針側おねじ部9へ螺合すると、血液回路4と内針接続部7とが液密状態で密着して、血液回路4と内部空間2aとが内針接続部7内の内針連通空間部8を介して連通するように構成されている。
外筒針3は、血管内に留置可能であり、内針2が内側に挿通されて穿刺部2dが先端から突出可能な外筒針本体13と、当該外筒針3の先端部として外筒針本体13の先端に装着された外筒針先端部14とから構成されている。そして、外筒針3の基端(図2(a)中、右端)には、外筒針接続部15(本発明における第1接続部に相当)を接続している。
外筒針本体13は、図2および図3に示すように、可撓性を有するプラスチック(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン)で構成された長尺な円管状の部材であり、当該外筒針本体13の外径と外筒針先端部14の外径とを同じ寸法に設定して、外筒針本体13と外筒針先端部14との継ぎ目に段差が形成されることを避けている。さらに、図3(a)に示すように、外筒針本体13の内径を内針2の外径よりもひと回り大きく設定(言い換えると、内針2の外径が当該外筒針本体13の内径よりもひと回り小さくなるように設定)して、内針2の外周面と外筒針本体13の内周面との間に血液が通過可能な外周空間16の一部(先端側部分)16aを筒状に形成している。そして、外筒針本体13のうち外筒針先端部14寄りの外周面には、外周空間16を開放する開口部17を複数(本実施形態では4つ)開設し、該開口部17が外筒針3の先端側のうち外筒針先端部14よりも後方(言い換えると、外筒針先端部14よりも外筒針3の基端側にずれた箇所)に位置するように構成されている。なお、本実施形態においては、外筒針先端部14寄りに2箇所開口部17を開設し、これらの開口部17から数ミリ外筒針接続部15側に移動した位置に2箇所開口部17を開設している。外筒針先端部14寄りの2箇所の開口部17は、外筒針3の軸方向から見て180度位相がずれて位置し、外筒針接続部15寄りの2箇所の開口部17は、外筒針3の軸方向から見て外筒針先端部14寄りの各開口部17から90度位相がずれて位置するように構成されている。
外筒針本体13の先端部に備えられた外筒針先端部14は、外筒針本体13よりも硬いプラスチックで構成された短尺な円管状の部品であり、先細り形状を呈し、全長が穿刺部2dの長さL1よりも十分に長い寸法L2に設定されている(図3(b)参照)。したがって、外筒針3は、先端に薄肉テーパ状部を有する。また、外筒針先端部14内の貫通空間部14aには、外筒針3内に挿通された内針2の穿刺部2dを収納可能とし、外筒針先端部14の内径を内針2の外径と同じ寸法、あるいは内針2の外径よりも極僅かに小さい寸法に設定し、外筒針先端部14の内周面を内針2の外周面に液密状態であり、且つ摺動可能な状態で密着させている。これにより、外筒針先端部14は、外周空間16の先端部を液密状態に閉塞して内針2の先端開口2bと外周空間16とを連通不能とし、さらには、本発明における保持部材の一部として機能して、内針2の先端部を摺動可能な状態で密着保持している。さらに、外筒針先端部14の基部(外筒針本体13側に位置する端部)には、外筒針本体13内に挿入されるジョイント部14bを縮径して形成し、該ジョイント部14bの外周面と外筒針本体13の内周面とを液密状態で密着させている。
なお、外筒針先端部14と外筒針本体13とからなる外筒針3は、例えば、予め準備された外筒針本体13の端部に外筒針先端部14をインサート成型してもよいし、あるいは、外筒針先端部14と外筒針本体13とを予め別個に成形し、外筒針本体13と、該外筒針本体13に挿入されたジョイント部14bとを接着したり溶着したりしてもよい。
外筒針本体13の基端(図2(a)中、右端)に接続された外筒針接続部15は、図1および図2に示すように、内針2および外筒針3と同軸上に位置する接続部本体21と、該接続部本体21から分岐した分岐部22とを一体成型して構成された略y字状のプラスチック製部材であり、接続部本体21には、内針2が外筒針3内に挿通された状態で内針接続部7を収納可能とし、分岐部22には血液回路4の端部を接続可能としている。具体的に説明すると、接続部本体21は、内針2および外筒針3と同軸上に位置する円筒状を呈しており、外筒針3が接続される先端部21aを、内針接続部7が収納可能となる基端部21bよりも縮径している。そして、接続部本体21の先端部21aには、内針2を外筒針3内に通す挿通空間部21cを接続部本体21の中心軸上に貫通して、挿通空間部21cの内周面と内針2の外周面との間に外周空間16の一部(基部内部分)16bを筒状に形成して外筒針3内の外周空間16の先端側部分16aへ連通している。さらに、接続部本体21の基端部21bには、内針接続部7よりもひと回り大きな収納空間部21dを形成して挿通空間部21cへ連通している(図2(b)参照)。また、収納空間部21dのうち当該収納空間部21dの中央部を挟んで接続部本体21の先端部21aとは反対側(図2(a)中、右側)を開放し、この開放口から外方に内針側おねじ部9を露出させた状態で収納空間部21dに内針接続部7を収納できるように構成されている。
さらに、収納空間部21dと挿通空間部21cとの連通箇所、言い換えると挿通空間部21cのうち内針2が差し入れられる挿通口にはシリコンゴム製などのシール部材23を配置して挿通空間部21cの挿通口を塞いでいる。また、シール部材23のうち挿通空間部21cの延長線上にはシール貫通孔23aを内針2よりもひと回り細い直径で貫通し、シール部材23(詳しくはシール貫通孔23aの内周面)が内針2の外周面に液密状態、且つ摺動可能な状態で密着できるように構成されている。これにより、シール部材23は、外周空間16の基端部を液密状態に閉塞して収納空間部21dと外周空間16とを連通不能とし、さらには、本発明における保持部材の一部として機能して、内針2の基端部を摺動可能な状態で密着保持している。
分岐部22は、接続部本体21の先端部21aの側面から分岐して接続部本体21の基端部21bの側方へ向かって突出した円筒形状を呈しており、当該分岐部22の内部には、挿通空間部21cから分岐した分岐連通空間部22aを分岐部22の軸方向に沿って形成している。また、該分岐連通空間部22aのうち分岐部22の突出端側に位置する部分を挿通空間部21c側に位置する部分よりも拡径するとともに突出端から外方へ開放し、分岐部22の外周のうち分岐連通空間部22aの開放口側に位置する箇所には、血液回路4の端部に装着されるロックリング4b(図1参照)が螺合可能な分岐側おねじ部24を形成している。そして、血液回路4の端部を前記開放口に当接し、この状態でロックリング4bを分岐側おねじ部24へ螺合すると、血液回路4と分岐部22とが液密状態で密着して、血液回路4と外周空間16とが外筒針接続部15内の挿通空間部21cおよび分岐連通空間部22aを介して連通するように構成されている。
このような構成の体外循環用留置針1においては、内針2が外筒針3内に挿通した状態で内針接続部7を十分に外筒針3側へ前進すると、図2(a)および図3(a)に示すように、内針2がシール部23および外筒針先端部14により両端部を保持された状態で突出位置に移動して、内針接続部7がシール部材23や収納空間部21dの内壁に当接するとともに穿刺部2dが外筒針3から突出し、体外循環用留置針1の針先を血管へ穿刺可能となる。また、内針2が突出位置に位置する状態から内針接続部7を引き出すと、図2(b)および図3(b)に示すように、内針2がシール部23および外筒針先端部14により両端部を保持された状態で収納位置に移動して、穿刺部2dが外筒針3内に収納される。
そして、体外循環用留置針1を用いて患者の血液を体外循環させるには、まず、血液回路4の一端を外筒針接続部15へ接続するとともに他端を内針接続部7へ接続して、血液回路4の一端には分岐連通空間部22a、外周空間16、開口部17を連通する一方、血液回路4の他端には内針連通空間部8、内部空間2aを連通する。体外循環用留置針1に血液回路4を接続したならば、内針2が突出位置でシール部23および外筒針先端部14に保持された状態で体外循環用留置針1の先端(具体的には、外筒針先端部14から突出した穿刺部2d)を患者の血管へ穿刺する。そして、外筒針本体13の側部に開設された開口部17が血管内に到達するまで挿入し、開口部17により血管内と外周空間16とを連通する。
体外循環用留置針1を血管へ穿刺したならば、内針接続部7を後退する(引き出す)ことにより内針2を突出位置から収納位置へ移動して、穿刺部2dを外筒針先端部14内へ収納する。すると、血管が開口部17、外周空間16、分岐連通空間部22aを介して血液回路4の一端に連通する一方、外筒針先端部14、外筒針先端部14内に収納された穿刺部2d、内部空間2a、内針連通空間部8を介して血液回路4の他端に連通する。したがって、血管への穿刺後に、内針2を抜き取らずにこれを血液の循環路の一部として活用することができ、血管への穿刺のためだけに用いられる部材を血液の循環路を構成する部材とは別個に備える必要がない。これにより、針先が太くなり過ぎないダブルルーメン構造の体外循環用留置針1を実現することができ、血管への穿刺時に激しい痛みが伴う不都合を抑えることができる。また、内針2を外筒針3から抜き取る必要がないことから、穿刺部2dが作業者(血液の体外循環を準備する作業者)に誤って刺さってしまう虞がない。さらに、内針2を収納位置に移動することで、穿刺部2dが血管内に露出することを避けることができ、体外循環用留置針1の留置中に穿刺部2dが血管を不用意に傷つける不都合を避けることができる。また、体外循環用留置針1の血管への穿刺作業が1回で済むため、血管に2本の留置針を穿刺する場合(具体的には、血液を血液回路4に取り込むための留置針と、血液回路4から血管へ戻すための留置針とを別個に穿刺する場合)よりも痛みを感じる回数が少なくて好適である。
そして、外筒針3は、長尺な管状の外筒針本体13の先端に外筒針先端部14を装着して構成されるので、外筒針先端部14を外筒針本体13よりも硬い材質で構成し易い。したがって、穿刺が容易な外筒針3を実現し易い。しかも、外筒針先端部14をプラスチック製とすれば、体外循環用留置針1の留置中に患者が体を多少動かして外筒針先端部14が血管の内壁に当接したとしても、血管の内壁が損傷する不都合を生じ難い。
体外循環用留置針1が血管に穿刺されると、血管が外筒針3および外筒針接続部15を介して血液回路4の一端に連通する一方、内針2および内針接続部7を介して血液回路4の他端に連通する。この状態で血液回路4の途中に接続された血液ポンプ(図示せず)を駆動し、血液を血管と血液回路4との間で体外循環用留置針1を介して循環させる。具体的には、血管内の血液を内針2の先端開口2bから取り込み、内部空間2a、基端開口2c、内針連通空間部8へ通して血液回路4の他端に流入させる。また、血液回路4内を通って当該血液回路4の一端から流出する血液を、分岐連通空間部22a、外周空間16へ通して外筒針3の開口部17から吐出し、血管内に戻す。
あるいは、血管内の血液を外筒針3の開口部17から取り込み、外周空間16、分岐連通空間部22aへ通して血液回路4の一端に流入させる。そして、血液回路4内を通って当該血液回路4の他端から流出する血液を、内針連通空間部8、基端開口2c、内部空間2aへ通して内針2の先端開口2bから吐出し、血管内に戻す。この血液の流れ、すなわち、開口部17が血液を血管から取り込む取込口であり、外筒針先端部14および穿刺部2dが血液回路4を循環した血液を血管へ戻す戻り口であれば、留置中の体外循環用留置針1が不用意に血管から抜けかかって開口部17が露出してしまったとしても、開口部17から血液が流出する不都合を避けることができ、体外循環用穿刺針1が血管に刺さっている限り、血液回路4からの血液を血管内に戻し続けることができる。
さらに、体外循環用留置針1を介して血管と血液回路4とを連通すれば、血液の流れ方向に拘らず、連続して血液を循環させることができる。したがって、単一の針部に接続された流路を二股に分岐した留置針を用いて血液の取り込みと戻しとを交互に行う間欠動作と比較して、体外循環作業の効率が優れている。これにより、血液の体外循環の所要時間(例えば、透析時間)が長引くこと、ひいては血液の体外循環処置を受ける患者が過度な負担を強いられることを抑制することができる。
また、内針2の外径を外筒針3の内径よりも小さく設定して、内針2の外周面と外筒針3の内周面との間に外周空間16を筒状に形成したので、外周空間16を簡単な構成で形成することができる。また、外周空間16の断面積を広く確保することができ、血液が滞りなく循環し易い構造を実現することができる。
ところで、上記第1実施形態では、内針2の移動を操作し易くするための構成を備えていないが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示す第2実施形態は、基本的には第1実施形態と同じであるが、内針接続部7の移動を案内するスライド機構を備えた点で異なる。
具体的に説明すると、第2実施形態における内針接続部7には、図4に示すように、当該内針接続部7の外周部から外方に向かって突出した内針移動操作部31を備えている。内針移動操作部31は、内針接続部7の外周面から突出した円柱状の被係止部31aと、該被係止部31aの突出端に備えられて外筒針接続部15の接続部本体21の外方に位置する円板状の移動操作片31bとから構成されている。また、外筒針接続部15の接続部本体21には、被係止部31aを介して内針接続部7に係合するスリット状の移動案内部32を内針2の移動方向に沿って延在する状態で形成し、該移動案内部32の幅寸法(接続部本体21の周方向に沿った幅寸法)Wを被係止部31aの直径φdよりも僅かに狭く設定している(図4(a)参照)。
そして、移動案内部32の両端部には、被係止部31aを係止可能な係止部を備えている。詳しくは、移動案内部32のうち外筒針3側(図4(a)中、左側)の端部には、内針2が突出位置に移動した状態で被係止部31aを係止する突出係止部34aを備え、収納空間部21dの開放端側(図4(a)中、右側)の端部には、内針2が収納位置に移動した状態で被係止部31aを係止する収納係止部34bを備え、突出係止部34aおよび収納係止部34bを移動案内部32の幅寸法Wよりも広く、且つ係止された被係止部31aがぐらつかずに保持可能な直径の開口穴でそれぞれ構成している。さらに、移動案内部32のうち突出係止部34aと収納係止部34bとの間に位置する開口縁(内針2の移動方向に沿って延在する開口縁)を、被係止部31aが摺動可能な係止案内部35とし、該係止案内部35に沿って被係止部31aを内針2の移動方向へ案内できるように構成されている。
なお、外筒針接続部15の接続部本体21には、移動案内部32の収納係止部34b側(図4(a)中、右側)の延長線上に、移動案内部32の幅寸法Wおよび被係止部31aの直径φdよりも狭い幅の進入切欠溝36を開設して接続部本体21の端部で開放し、内針2を外筒針3へ組み付ける際に、被係止部31aが進入切欠溝36を通って移動案内部32に到達するように構成されている。
このような構成の移動案内部32および内針移動操作部31を備えた体外循環用留置針1においては、血管へ穿刺する直前までは、図4中、二点鎖線で図示するように、被係止部31aを収納係止部34bに係止して内針2が収納位置からずれないように維持しておく。これにより、収納位置における内針2の位置決めを十分に行うことができ、内針2が不用意に突出位置に移動して穿刺部2dが外筒針3から突出すること、ひいては、突出位置に移動した内針2の穿刺部2dが作業者に刺さって怪我をさせてしまう不都合をなくすことができる。そして、血管へ穿刺しようとする際には、内針移動操作部31の移動操作片31bを指等で収納係止部34b側から突出係止部34a側へ押圧してスライド操作する。すると、被係止部31aが収納係止部34bから外れ、移動案内部32(詳しくは係止案内部35)が被係止部31aおよび内針接続部7を内針2の移動方向に沿って案内する。したがって、内針2の移動をスムーズに行うことができ、体外循環用留置針1の留置準備作業を迅速に実行することができる。また、内針移動操作部31を操作して内針2を移動できるので、内針2の移動を一層行い易くすることができる。
内針移動操作部31を十分にスライド操作すると、図4中、実線で図示するように、被係止部31aが突出係止部34aへ係止されて、内針2が突出位置からずれないように維持される。これにより、突出位置における内針2の位置決めを十分に行うことができる。内針2を突出位置で位置決めしたならば、この状態で体外循環用留置針1を血管へ穿刺する。このとき、内針2が被係止部31aと突出係止部34aとの係止により突出位置に維持されているので、内針2が穿刺時に血管を覆う皮膚から抵抗を受けたとしても、内針2が突出位置から収納位置へ不用意に移動してしまう不都合、言い換えると穿刺部2dが外筒針3内に押し込まれて血管への穿刺ができなくなる不都合を避けることができる。
体外循環用留置針1を血管へ穿刺して外筒針3の開口部17が血管内に進入するまで血管内に挿入したならば、内針移動操作部31の移動操作片31bを指等で突出係止部34a側から収納係止部34b側へ押圧してスライド操作する。すると、被係止部31aが突出係止部34aから外れ、移動案内部32(詳しくは係止案内部35)が被係止部31aおよび内針接続部7を内針2の移動方向に沿って案内する。したがって、体外循環用留置針1を血管へ穿刺した後であったとしても、内針2の移動をスムーズに行うことができ、体外循環用留置針1の留置準備作業を迅速に実行することができる。また、内針移動操作部31を操作して内針2を移動できるので、血管への穿刺後においても内針2の移動を行い易い。
そして、内針移動操作部31を十分にスライド操作すると、図4中、二点鎖線で図示するように、被係止部31aが収納係止部34bへ係止されて、内針2が収納位置からずれないように維持される。これにより、収納位置における内針2の位置決めを十分に行うことができる。したがって、血管への穿刺後に内針2を突出位置から収納位置へ移動する作業を迅速に行うことができ、体外循環用留置針1の留置準備作業を効率よく実行することができる。また、位置決めされた内針2が不用意にずれてしまうことを抑制することができる。このことから、外筒針3を血管内に留置している最中に穿刺部2dが外筒針先端部14から突出してしまったりする不都合、ひいては突出した穿刺部2dにより血管の内壁が傷付いてしまう不都合をなくすことができる。
ところで、第2実施形態においては、内針接続部7を突出位置から収納位置に移動する方向へ付勢する付勢部材38を備えてもよい。例えば、図5に示す第2実施形態の変形例では、外筒針接続部15と内針接続部7との間に、コイルばねで構成された付勢部材38を配置し、該付勢部材38の内側に、内針2と内針接続部7とのテーパ状接続箇所を位置させている。そして、付勢部材38の一端をシール部材23へ係合するとともに、他端を内針接続部7へ係合して、付勢部材38の付勢力により内針接続部7を突出位置から収納位置に移動する方向へ付勢している。このような付勢部材38を備えた場合には、内針2が突出位置に維持された状態から内針移動操作部31をスライド操作して、被係止部31aと突出係止部34aとの係止状態を解除すると、内針接続部7が付勢部材38の付勢力により付勢されて内針2が突出位置から収納位置へ移動する。さらに、内針2の移動勢により被係止部31aが収納係止部34bに係止されて、内針2が収納位置からずれないように維持される。これにより、被係止部31aを突出係止部34aから外すワンタッチ操作だけで、内針2の収納位置への移動作業を行うことができる。したがって、体外循環用留置針1の留置準備作業を一層迅速に済ませることができる。
なお、本発明における付勢部材は、コイルばねで構成されることに限定されない。要は、内針接続部7を突出位置から収納位置に移動する方向へ付勢できれば、どのような構成の付勢部材を採用してもよい。例えば、ゴム製のシール部材23からスリーブ状突起を付勢部材として内針接続部7側へ向けて突出するとともに、該スリーブ状突起の突出端を内針接続部7へ当接し、内針2を突出位置に移動すると、スリーブ状突起が内針2の移動方向に沿って圧縮され、突出位置において被係止部31aを突出係止部34aから外すと、圧縮状態のスリーブ状突起の復元力により内針接続部7が付勢されて収納位置へ移動するように構成してもよい。
ところで、上記第2実施形態およびその変形例では、内針移動操作部31の移動操作片31bの表面(操作時に指等が触れる箇所)に突起を形成すれば、指が内針移動操作部31に引っ掛かり易くなり、内針2の移動の操作性の向上を図ることができて好適である。また、内針接続部7に被係止部31aを備える一方、外筒針接続部15に係止部34を備えたが、本発明はこれに限定されない。要は、外筒針接続部15または内針接続部7の一方には被係止部を備え、他方には係止部を備えていればよく、例えば、内針接続部7に係止部を備える一方、外筒針接続部15に被係止部を備えてもよい。
さらに、被係止部31aおよび係止部34の構造は、上記第2実施形態およびその変形例にて開示した構造に限定されない。例えば、揺動可能なプレートの一端に爪状の被係止部を備えるとともに、他端には作業者が揺動操作可能な係止操作部を備え、係止部を爪状の被係止部が係止可能な窪みで形成してもよい。そして、被係止部と係止部との係止状態を解除するには、係止操作部を操作してプレートを揺動することにより被係止部を係止部から外すようにしてもよい。このとき、前記付勢部材が内針接続部と外筒針接続部との間に備えられていれば、係止操作部をワンタッチ操作するだけで、内針2を収納位置に移動することができて好適である。
また、上記第2実施形態およびその変形例では、移動案内部32(係止案内部35)により内針接続部7および被係止部31aを内針2の移動方向に沿って案内するように構成したが、本発明はこれに限定されない。要は、移動案内部により内針接続部7を案内し、係止案内部により被係止部31aを案内できればよく、移動案内部と係止案内部とを別個に設けてもよい。例えば、外筒針接続部15の収納空間部21dを内針接続部7よりも極僅かに大きく設定して、内針接続部7が外筒針接続部15の接続部本体21の内周面上を内針2の移動方向に沿って摺動可能としてもよい。すなわち、接続部本体21の内周面を本発明における移動案内部として機能させてもよい。
ところで、上記第2実施形態およびその変形例では、内針移動操作部31の一部を被係止部31aとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内針移動操作部31とは別個に被係止部を内針接続部7に備えてもよい。また、第2実施形態およびその変形例では、内針2の移動を案内する構成(移動案内部32)と、内針2の位置を維持する構成(被係止部31aおよび係止部34)と、内針2の移動を操作する構成(内針移動操作部31)とを併せて備える体外循環用留置針1の形態を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明における体外循環用留置針の形態は、移動案内部、被係止部および係止部、内針移動操作部のうち少なくともいずれか一つの構成を備えたものであってもよい。
さらに、上記各実施形態では、長尺な管状の外筒針本体13の先端に外筒針先端部14を装着して外筒針3を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示す第3実施形態のように、管状の外筒針本体13′の先端部を縮径して外筒針先端部14′を形成して外筒針3′を構成してもよい。このような縮径構造で構成された外筒針3′であれば、外筒針先端部14′を外筒針本体13′とは別個に製造する必要がない。したがって、製造コストの低減を図ることができる。
また、上記各実施形態では、内針2の外径を外筒針3,3′の内径よりも小さく設定して、内針2の外周面と外筒針3,3′の内周面との間に外周空間16を筒状に形成したが、本発明はこれに限定されない。要は、本発明において血液が通過可能な外周空間16は、内針2の外周面と外筒針3,3′の内周面との間、および挿通空間部21cの内周面と内針2の外周面との間に形成されれば、どのような構成であってもよい。例えば、内針2の外周面に溝を形成したり、平面を形成(内針2の断面がD字形状となる状態に構成)したりして、内針2の外周面と外筒針3,3′の内周面との間、および挿通空間部21cの内周面と内針2の外周面との間に形成された隙間を外周空間16としてもよい。しかしながら、前記隙間が狭すぎると、血液が滞留し易くなって血栓が発生する虞がある。したがって、上記各実施形態に示すように、外周空間16を筒状に形成する方が、血液が滞留し難くて好適である。
そして、本発明における体外循環用留置針は、例示した人工透析における血液の体外循環に用いられることに限定されない。要は、患者の血液を体外循環させるためであれば、どのような場面で用いられてもよく、例えば、血液から特定成分を分離除去するアフェレシス療法にも適用可能である。また、本発明における体外循環用留置針を患者にテープで固定し易くするために、体外循環用留置針の側部から平板状の突出片(所謂「羽根」)を突設してもよい。
さらに、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
1 体外循環用留置針
2 内針
2a 内部空間
2b 先端開口
2c 基端開口
2d 穿刺部
3,3′ 外筒針
4 血液回路
4a ロックリング
4b ロックリング
7 内針接続部
8 内針連通空間部
9 内針側おねじ部
13,13′ 外筒針本体
14,14′ 外筒針先端部
14a 貫通空間部
14b ジョイント部
15 外筒針接続部
16 外周空間
16a 先端側部分
16b 基部内部分
17 開口部
21 接続部本体
21a 先端部
21b 基端部
21c 挿通空間部
21d 収納空間部
22 分岐部
22a 分岐連通空間部
23 シール部材
23a シール貫通孔
24 分岐側おねじ部
31 内針移動操作部
31a 被係止部
31b 移動操作片
32 移動案内部
34 係止部
34a 突出係止部
34b 収納係止部
35 係止案内部
36 進入切欠溝
請求項8に記載のものは、前記突出係止部と収納係止部との間には、被係止部を内針の前記移動方向に沿って案内する係止案内部を備えたことを特徴とする請求項7に記載の体外循環用留置針である。
請求項8に記載の発明によれば、前記突出係止部と収納係止部との間には、被係止部を内針の前記移動方向に沿って案内する係止案内部を備えたので、内針の移動をさらに行い易くすることができる。

Claims (10)

  1. 先端に開口を有する管状体で形成された外筒針と、この外筒針内に挿通され、先端に穿刺部を有する管状体で形成された内針とを備えた二重管構造で構成された体外循環用留置針であって、
    前記内針の外周面と前記外筒針の内周面との間に形成される外周空間の両端部を液密状態に閉塞するとともに、内針を摺動可能な状態で密着保持する保持部材と、
    前記外筒針の先端側のうち前記保持部材よりも後方の外周面に形成され、血管内に穿刺されたときに血管内と前記外周空間とを連通する開口部と、
    前記外周空間と血液回路の一端とを連通させるための第1接続部と、
    前記内針の内部空間と血液回路の他端とを連通させるための第2接続部と、を備え、
    前記内針は、先端部が前記外筒針の先端から突出された突出位置と、先端が前記外筒針内に収納された収納位置との間で前記保持部材によって移動可能に保持され、
    前記内針が前記突出位置に保持された状態で血管内に穿刺され、穿刺後に前記収納位置に移動されて、前記第1接続部および第2接続部を介して血液を体外循環可能にすることを特徴とする体外循環用留置針。
  2. 前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端に装着された前記外筒針の先端部であることを特徴とする請求項1に記載の体外循環用留置針。
  3. 前記外筒針の先端側に位置する前記保持部材は、長尺な管状の外筒針本体の先端部分を縮径して形成された前記外筒針の先端部であることを特徴とする請求項1に記載の体外循環用留置針。
  4. 前記開口部は、血液を血管から取り込む取込口であり、
    前記内針の内部空間の先端開口は、血液回路を循環した血液を血管へ戻す戻り口であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の体外循環用留置針。
  5. 前記第1接続部は、前記第2接続部を前記内針の前記移動方向に沿って案内する移動案内部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の体外循環用留置針。
  6. 前記第2接続部は、当該第2接続部の外方に向けて突出した内針移動操作部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の体外循環用留置針。
  7. 前記第1接続部または前記第2接続部の一方には被係止部を備え、他方には前記被係止部を係止可能な係止部を備え、
    該係止部は、前記突出位置における被係止部を係止する突出係止部と、前記収納位置における被係止部を係止する収納係止部と、から構成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の体外循環用留置針。
  8. 前記突出係止部と収納係止部との間には、被係止部を内針の前記移動方向に沿って案内する被係止案内部を備えたことを特徴とする請求項7に記載の体外循環用留置針。
  9. 前記第1接続部と前記第2接続部との間には、内針を前記突出位置から前記収納位置に移動する方向へ付勢する付勢部材を備え、
    前記被係止部と前記突出係止部との係止状態を解除すると、第2接続部が付勢部材の付勢力により付勢されて内針が前記突出位置から前記収納位置へ移動するように構成されたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の体外循環用留置針。
  10. 前記内針の外径を長尺な管状の外筒針本体の内径よりも小さく設定して、内針の外周面と外筒針本体の内周面との間に前記外周空間を筒状に形成したことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の体外循環用留置針。
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