JP3719392B2 - 留置針組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液等を行うために血管内に一時的に留置される留置針を含む留置針組立体に関する。より詳細には、生体組織に内針および外針を同時に穿刺し、外針を留置して該外針から内針を抜去した後、該内針を安全かつ容易に針ガード内に収納することができる留置針組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸液などに用いられる留置針は、通常外針と内針からなる2重構造を有しており、使用に際しては、外針の内腔に内針が挿入された状態で血管に穿刺する。次いで、前記外針が所定位置まで挿入された後、前記内針は外針の内腔より抜き取られ、前記外針の基端部に輸液ラインなどが接続され、輸液や薬液などを血管中に流入させる。したがって、前記外針は血管内を傷つけるおそれの少ない軟質樹脂製のものが、また前記内針は血管への穿刺が容易である金属製のものが一般に用いられる。
【0003】
前記外針を患者の体内に留置した後、抜き取られた内針は廃棄されることになるが、医療従事者や患者等が誤って、その鋭利な針先に触れて傷を負う場合がある。また、前記針先を適当な方法で保護したとしても、肝炎や後天性免疫不全症候群(エイズ)など血液により感染する疾病を有した患者に使用した内針は、針先に限らずそれ自身が疾病の感染媒体になりうる。
このため、患者に穿刺した内針を適正に処分することが極めて重要であるが、医療現場においては患者の処置が優先され、内針の廃棄は後回しになることが多い。
【0004】
近年、使用後の内針を直ちにかつ容易に廃棄するための留置針組立体が提案されている(特開平3−63066号公報、特開平6−78999号公報、特開平6−86821号公報、特開平11−57002号公報等)。
これらの留置針組立体は、内針と接続された内針ハブを内部に配置したチューブ状ハウジングと、前記ハウジングと内針ハブの間に摺動可能に配置され先端にカテーテルを接続した針ガードとからなり、患者に穿刺した留置針組立体の外針を患者に留置して内針を抜去した後、前記ハウジングの先端側へ前記針ガードを摺動させることにより、前記内針を該針ガード内に収納するものである。これらの留置針組立体は、内針を抜去した後、片手で容易に内針を保護する事ができるため、該内針の先端によって傷を負ったり、該内針に付着した血液により疾病に感染するおそれがない。
【0005】
しかしながら、これらの留置針組立体は、いずれも内針の長さより長い針ガードを、内針の長さ分だけハウジングの先端側へ摺動させるものであるため、手の小さい医療従事者が片手で該針ガードを摺動させて内針を完全に保護することは困難である。また、手の小さい医療従事者でなくても、緊急透析時に鼠蹊部大腿静脈に留置するような長い留置針を使用する場合、片手で該内針を完全に保護する位置まで前記針ガードを摺動させることは困難である。
【0006】
一方、上記問題点を考慮して、内針ハブと針ガードの基端部との間にバネが配設され、押しボタン式のロック機構を解除すると、バネの力によって内針ハブが針ガードの基端へと作動せしめられる留置針組立体が開発されている(特開平8−215315号公報、特開平9−103492号公報)。
しかし、これらの押しボタン式のロック機構を設けた留置針組立体は、これを使用する者が誤って押しボタンを押してロックを解除してしまった場合、元に戻すことができないため、使用不能になるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は長い留置針を使用する場合でも、また、手の小さい医療従事者が使用する場合でも、医療従事者が片手で内針を容易に針ガード内に収納でき、さらに操作を誤ると使用不能になるおそれのない構造を有する留置針組立体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々鋭意検討した結果、針ガードを内筒と外筒からなる二重構造にし、前記外筒の基端側を経て前記内筒と該針ガード内に配置された内針ハブとを接続する連結体を設けたことにより、従来の留置針組立体に比べて、内針を収納するために必要な針ガードの摺動距離が約半分になることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は生体組織に穿刺され留置される外針が先端部に固着された外針ハブと、該外針の内腔に挿通可能であって先端部に鋭利な刃先を有する内針が先端部に固着された内針ハブと、該内針および内針ハブを内部に収納可能な針ガードとを有する留置針組立体であって、前記針ガードは内筒と外筒からなる2重構造を有しており、該針ガードには該針ガードの基端側を経て前記内針ハブと内筒とを連結する連結体が設けられており、前記外筒を前記内筒の基端側へ摺動させることにより該針ガードの全長を延長させることが可能であり、該針ガードの全長が延長される時、前記内針ハブが前記連結体によって前記針ガード内を該針ガードの基端側へと摺動されることを特徴とする留置針組立体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の留置針組立体を添付図面に示す好適な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの説明に限定されるものではない。
図1および図2は、本発明の留置針組立体において、内針が保護される前の留置針組立体の一実施例を示す断面図であり、図4および図5は、内針が保護された後の留置針組立体の一実施例を示す断面図である。また、図10および図11は、本発明の留置針組立体の他の実施例を示す断面図である。
【0011】
ここで図1は、本発明の留置針組立体を横から見たときの断面図である。図2は、図1に示す留置針組立体を上から見たときの断面図であり、図3は、図1に示す留置針組立体の側面図である。
図1に示すように、本発明の留置針組立体1は、外針2が先端部に固着された外針ハブ3と、該外針2の内腔に挿通可能であって先端部に鋭利な刃先41を有する内針4が先端部に固着された内針ハブ5と、該内針4および内針ハブ5を内部に収納可能な針ガード6とを有している。
本発明の留置針組立体1において、先端とは患者に穿刺する側(図中、左側)を、基端とは先端と反対の側(図中、右側)を指す。
【0012】
外針2は中空の管であり、その先端部は刺通抵抗を低くするために、先端側にむかって外径が減少するテーパー状に形成されていることが好ましい。前記外針2は、患者の体内に挿入された後しばらく留置されるため、患者を傷つけるおそれの少ない軟質樹脂で形成されていることが好ましく、具体的には、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン樹脂等が用いられる。
前記外針2は、患者の体内に留置されている間に患者が動いたりすることによって裂断される場合がある。このような場合に、前記外針2の破片を探知するために、該外針2の材料中に硫酸バリウム等のX線造影剤を配合させて、該外針2に造影機能を持たせることも可能である。
【0013】
前記外針2の基端部には外針ハブ3が固着されている。その固着方法としては、カシメピン31によりかしめて固定する方法の他、接着剤による接着や、熱による融着などがあげられる。
前記外針ハブ3は中空の管体であり、基端側に向かって内径が増加するテーパー状に形成されている。これによって輸液セットのチューブ等の接続を確実にする。また、該外針ハブ3の基端部には、シリンジや輸液セットのチューブ等のロックタイプのルアーテーパー部に接続するための突起32が設けられていてもよい。
前記外針ハブ3の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリエステル等の硬質樹脂が用いられる。
【0014】
内針4は、前記外針2の内腔に挿通可能な中空の管であり、その外径が前記外針2の内径より若干小さく設定されている。前記外径を有することにより、前記外針2は前記内針4の周囲に保持され、外部から力を加えられることがない限り該外針2が抜け落ちるおそれはない。
また、前記内針4の先端部には鋭利な刃先41が形成されており、該刃先41は刺通抵抗を低くするために傾斜した刃面を有している。前記内針4は、前記外針2内に挿入された状態で患者に穿刺されるが、患者に穿刺された時に前記刃先41が該外針2の先端側から突出する長さを有している必要がある。
前記内針4の材質としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、あるいはこれらの合金等の金属材料があげられる。
【0015】
前記内針4の基端部には内針ハブ5が固着されている。その固着方法としては、外針2と外針ハブ3の固着方法と同様、接着剤による接着や、熱による融着等があげられる。
図6により、内針ハブ5を更に詳細に説明する。図6は、図1に示す留置針組立体1の内針ハブ5を上から見たときの拡大断面図である。
前記内針ハブ5は中空の管体であり、外径の異なる先端部52、中間部53および基端部54の三つの部位からなる。前記先端部52の外径は前記外針ハブ3の基端部の内径よりも小さく設定されており、前記中間部53の外径は該外針ハブ3の基端部の内径よりも大きく、かつ後述する内筒61に設けられた突部613部分の内径よりも若干小さく設定されており、前記基端部54の外径は前記突部613部分の内径よりも大きく、かつ前記内筒61の内径より若干小さく設定されている。基端部54は、図7(a)に示すようにその断面の形状が円の上部および下部が切り取られたような形状を有している。前記先端部52および中間部53の外径の違いにより形成される肩部51は、外針2および内針4が患者に穿刺される時、該内針4が外針2の内腔に、外針ハブ3の基端部が前記内針ハブ5の肩部51に接合するまで挿入され、該内針4が外針2内に位置決めされた状態で使用されるためのものである。この時、上記したように内針4の刃先41は、外針2の先端側から突出している。
前記内針ハブ5の材質としては、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明または半透明の硬質材料が好ましく用いられる。これにより、内針4が患者に穿刺された時に血液の逆流を確認することができる。
【0016】
内針ハブ5の先端部52は、その外周に設けられた複数個のリブ56を有している。前記リブ56は、外針ハブ3の基端部の内周に接合して、前記外針ハブ3内で前記内針ハブ5がぐらつかないようにしている。
内針ハブ5の中間部53には外周に溝57が設けられ、この部分だけ中間部53の外径が小さくなっている。前記溝57は、後述する内針ハブ係止手段7と嵌合して、内針ハブ5を内針4が突出した状態、つまり内針4が針ガード6内に収納される前の状態で係止するためのものである。
また、内針ハブ5の基端部54の内周には突部55が形成されている。前記突部55は、後述する連結体8の連結部81が前記内針ハブ5内に挿入されたとき、該連結体8に設けられた溝83と嵌合して該連結体8を固定するためのものである。
【0017】
前記内針ハブ5の内腔は、図1に示すように、内針4の先端が患者の血管に穿刺されたとき、中間部53および基端部54内に設けられたフィルタ9を介してのみ留置針組立体1の外部と連通する。前記フィルタ9は、空気は透過させるが血液は透過させないものであり、具体的には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の合成樹脂製の焼結フィルターや不織布等が好ましく用いられる。したがって、内針4および外針2が患者の血管に穿刺されたとき、該内針4および内針ハブ5内の空気は前記フィルタ9を介して留置針組立体1の外部に排出され、血液の逆流を確認せしめるが、逆流によって内針4および内針ハブ5内に流入した血液は前記フィルタ9により外部に漏出することがない。
【0018】
針ガード6は、内筒61と外筒62からなる2重構造を有している。前記内筒61の外径は前記外筒62の内径より若干小さく設定されており、該内筒61が該外筒62に対して摺動可能になっている。
図7(a)は、図1に示す留置針組立体1のA−A線断面図である。内筒61および外筒62は、図7(a)に示すように、その断面の形状がいずれも円の一部が切り取られたような形状を有するものの他、図7(b)に示すように、凹部と凸部が嵌合する形状を有するもの等、同心軸を中心として互いに回転しない形状を有していることが好ましい。また、図7(a)に示すように、内針ハブ5も内筒61や外筒62と同じ形状を有し、互いに回転しないものであってもよい。前記内筒61および外筒62の材質としては、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明または半透明の硬質材料が好ましく用いられる。
【0019】
前記内筒61は、図1に示すように先端部付近に上下に貫通せしめた孔611を有している。前記孔611は、後述する内針ハブ係止手段7を挿入して、内筒61内の内針ハブ5を内針4が針ガード6内に収納される前の状態で係止するためのものである。
また前記内筒61は、図2に示すようにその基端部に外方へ突出した突部612と、その先端部に内側へ突出した突部613を有している。前記突部612は、外筒62の先端部に設けられた係合突起621と係合し、前記外筒62が内筒61の基端側へと摺動して針ガード6の全長が最大になった状態で該針ガード6を固定するための係合手段の一部として用いられる。また、前記突部613は、前記内筒61の内側に挿入される内針ハブ5の基端部54の外径よりも小さな内径を有するように形成されており、前記内針ハブ5が前記内筒61の先端側から抜け落ちることを防止できる。
【0020】
前記外筒62は、図2に示すように、その先端部に前述した係合手段の一部である係合突起621を有している。前記係合突起621は、前記内筒61に接するまで内部に突出して形成されており、該係合突起621が該内筒61の突部612と係合するまで、前記外筒62は内筒61の基端側へと摺動させられる。
また、前記外筒62の先端部には、留置針組立体1を使用する者が持ちやすいように、指先が当たる部分が内側に湾曲したグリップ部622や、使用者の指が滑らないようにストッパー623等が設けられていてもよい。前記ストッパー623は、使用前の留置針組立体1の外針2および内針4を保護する保護キャップ(図示せず)と係合する形状を有していてもよい。
【0021】
さらに、外筒62には、一部が内筒61に接するまで内側に突出して形成された、例えば図3に示すような形状を有する係合板624が設けられてもよい。前記外筒62が内筒61の基端側へ摺動する時、前記内筒61の突部612は前記係合板624を外方へと付勢させながら外筒62の先端側へと摺動し、図5に示すように前記係合突起621と該係合板624の間に係合される。この時、前記係合板624は再び元の付勢されていない状態に戻っており、前記突部612が外筒62の基端側へ戻ることを防いでいる。
前記係合板624をグリップ部622上に設け、さらに、突部612により外方へと付勢されたときにグリップ部622より上方へ突出するような厚さに形成すれば、内筒61の突部612が外筒62の係合突起621と係合板624の間に係合されることを、付勢された係合板624が指先に触れることで確認できる。これにより、針ガード6を確実に固定することができ、固定が不十分なことによって外筒62が内筒61の先端側へ摺動して、再び内針4の刃先41が針ガード6の先端部から突出するおそれがない。
【0022】
図8は、図1に示す留置針組立体1のB−B線断面図である。内筒61の孔611に挿入される内針ハブ係止手段7は、図8に示すように下側に孔71および72を有している。前記孔71は、上半分が切り取られた半円形であり、該円の直径が内針ハブ5の溝57部分の外径より若干大きく、かつ前記内針ハブ5の溝57部分以外の中間部53の外径よりも小さく形成されている。また、孔72は、下半分が切り取られた半円と長方形を組み合わせたような形状であり、内針ハブ5の中間部53が通過可能な大きさを有している。
図1に示す使用前の留置針組立体1においては、前記内針ハブ係止手段7は内筒61の孔611に挿入され、孔71を内針ハブ5の溝57と係合させることにより、内針ハブ5が内筒61内の先端側に固定されている。前記留置針組立体1が患者の体内に穿刺され、外針2が患者の体内に留置されて内針4が引き抜かれる時、前記内針ハブ係止手段7は指で下方へ押し下げられる。この動作により、内針ハブ5を固定していた孔71が下方へずれ、孔72内に該内針ハブ5の中間部53が位置付けられるため、該内針ハブ5は内筒61内を基端側へ移動できるようになる。したがって、内針4は内針ハブ5とともに内筒61内を基端側へ摺動させられて、針ガード6内に収納されることができる。
また、前記内針ハブ係止手段7を内筒61の孔611に挿入することにより、外筒62は該内針ハブ係止手段7に係止され、内筒61の先端側へと摺動することができないようになっている。
【0023】
一方、前記内針ハブ係止手段7は、留置針組立体1の使用前に内針ハブ5を内筒61内の先端側で係止する位置に確実に挿入されるように、孔611の縁と係合するような係合突起73等が設けられていてもよい。また、内針4および内針ハブ5を針ガード6内に収納する際に、前記内針ハブ係止手段7が、内針ハブ5が内筒61内を基端側へ移動しうる位置まで押し下げられるように、係合突起74等が設けられていてもよい。
さらに、前記内針ハブ係止手段7に形成された孔72の上方には、後述する連結体8の係合爪82を係合できるように、連結体8の外径より若干大きく、かつ前記係合爪82が通過できないような内径を有する溝75が設けられていてもよい。
前記内針ハブ係止手段7の材質としては、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の硬質材料が好ましい。
【0024】
本発明においては、留置針組立体1の針ガード6に、連結体8が配置されていることを特徴とする。前記連結体8は柔軟な熱可塑性樹脂製のひも状のものであり、長さ方向に引っ張ったときにその全長が大きく変化しないものが好ましく、具体的にはポリエチレンやポリプロピレン等で形成されていることが好ましい。前記連結体8は、針ガード6の基端側を経て内針ハブ5と内筒61とを連結させるものである。その連結方法としては、リブ嵌合や圧着、熱溶着等が挙げられ、留置針組立体1の使用時に容易に外れるものでなければ特に限定されない。その一例を図1、図4および図9を用いて詳細に説明する。
【0025】
図9は、図1に示す連結体8の側面図である。図9に示す連結体8は、内針ハブ5との連結部81が内腔85を有する筒状形状を有しており、該連結部81は内針ハブ5内に挿入できるように、その外径は内針ハブ5の基端部の内径よりも若干小さく形成されている。また、該連結部81の内径は、内部にフィルタ9を挿入することが可能な大きさに形成される。
前記連結体8の連結部81の外周には、溝83が前述した内針ハブ5内に設けられた突部55(図6)と嵌合するように形成されている。前記連結体8は、まず内腔85にフィルタ9が挿入され、その状態で内針ハブ5内に挿入されて、前記溝83と内針ハブ5内の突部55が嵌合することにより、内針ハブ5と連結される。連結体8は柔軟な熱可塑性樹脂で形成されており、またフィルタ9も伸縮性を有するものであるため、内針ハブ5内に挿入される時、連結体8は前記突部55により連結部81の外径を縮められながら挿入される。内針4および外針2が患者の血管に穿刺されたとき、逆流して内針ハブ5内に流入した血液はフィルタ9によりせき止められる。前記血液により前記フィルタ9は膨潤するため、連結体8を内針ハブ5内に挿入した時とは異なり、内針ハブ5内の突部55により連結部81の外径は縮められにくくなり、内筒61が外筒62の先端側へ摺動することによって連結体8に外から力がかかっても、前記連結体8が内針ハブ5内から抜けることはない。また、前記連結体8の連結部81のフィルタ9が挿入される部分よりも基端側には孔84が設けられており、内針ハブ5内に連結体8が挿入され、内針4の先端が患者の血管に穿刺されたときに、内針ハブ5の内腔が前記フィルタ9と孔84を介して外部と連通せしめられる。該孔84は、図9に示すように、垂直方向に貫通していてもよいし、平行方向でかつ連結体8の長手方向に対して垂直に貫通していてもよい。
一方、前記連結体8の連結部81と反対側の端部には、係合爪82が形成されている。内針ハブ係止手段7に形成されている溝75(図8)に連結体8をはめ込み、前記係合爪82を内針ハブ係合手段7の先端側に係合させることにより、連結体8と内筒61を間接的に連結することができる。
【0026】
次に、本発明の留置針組立体1において、連結体8は、図1に示すように、例えば一端を内針ハブ5の中間部53および基端部54に連結され、内針ハブ5の基端側および針ガード6の内側に配置され、針ガード6の基端側を経て針ガード6の外側に配置され、内筒61の先端に挿入された内針ハブ係止手段7に係合爪82により係合されて、間接的に内筒61に連結される。前記留置針組立体1は、使用後、内筒61の孔611に挿入された内針ハブ係止手段7が押し下げられ、外筒62が内筒61の基端側へと摺動させられることにより、内針4および内針ハブ5が連結体8に引っ張られて針ガード6内に収納される。この時、連結体8は常に外筒62の基端側に配置されるため、外筒62を内筒61の基端側へと移動させる距離は、内針ハブ5が針ガード6内を基端側へと移動する距離の約2分の1になる。したがって、留置針組立体1が図4に示す状態になるには、外筒62を内針4および内針ハブ5の長さの約2分の1だけ内筒61の基端側へ移動させればよいので、内針4が長い場合でも、また手の小さい医療従事者が使用する場合でも、医療従事者が片手で内針4を容易に保護することができる。
本発明の連結体8の長さは、針ガード6の全長が最大になることを妨げない長さで、かつ外筒62の基端側でたるまない長さであることが好ましい。
【0027】
次に、本発明の留置針組立体1の他の実施例を図10および図11に示す。図10は、本発明の留置針組立体において、内針が保護される前の留置針組立体の他の実施例を横から見たときの断面図であり、図11は、内針が保護された後の留置針組立体の他の実施例を横から見たときの断面図である。図10および図11によれば、連結体8は、一端を内針ハブ5の中間部53および基端部54に連結され、内針ハブ5の基端側および針ガード6の内側に配置され、針ガード6の基端側を経て針ガード6の外側に配置され、針ガード6の外筒62に設けられた孔625を通過して外筒62と内筒61の間隙に配置され、内筒61の先端に挿入された内針ハブ係止手段7に係合爪82により係合されて、間接的に内筒61に連結される。
図10および図11に示す留置針組立体1によっても、図1〜図5に示される留置針組立体1と同様の効果が期待できる。また、前記留置針組立体1は、図1〜図5に示す留置針組立体1に比べて、連結体8を内筒61と外筒62の間隙に配置する工程が増えるが、使用者が外筒62の外側に配置された連結体8に指などをひっかけるおそれがなくなる。
また、前記留置針組立体1において、連結体8が配置される内筒61と外筒62との間隙の形状は、留置針組立体1の操作に支障をきたさない限り特に限定されないが、外筒62の内周に長手方向に延びる連結体8を配置するための溝を設けたものや、内筒61の外周に同様の溝を設けたものがより好ましい。
【0028】
本発明の留置針組立体1の形状は、図1〜11に示す形状に限らず、連結体8が外筒62の基端側を経て内針ハブ5と内筒61を連結しているものであれば、特に限定されない。また、前記連結体8は、必ずしも外筒62の基端側に配置される必要はなく、外筒62の基端部に設けられた孔に通して外筒62の基端部に係合させるなど、本発明の効果を損なわない範囲で異なる部位に配置されるものであってもよい。したがって、本発明は連結体8の配置により、様々な形状の留置針組立体1を包含する。
また、本発明の留置針組立体1は、針ガード6内に収納された内針4および内針ハブ5に付着した血液が漏出したり、該留置針組立体1を使用する者がそれらに接触することを防ぐために、針ガード6の基端部に図12(a)および図12(b)に示すようなキャップ10が設けられていてもよい。前記キャップ10の形状は、連結体8の配置により、好ましい形状に作成できる。例えば、図1に示す留置針組立体1の場合は、図12(a)に示す形状のキャップ10を、また図10に示す留置針組立体1の場合は、図12(b)に示す形状のキャップ10を使用することが好ましい。
【0029】
【発明の効果】
本発明の留置針組立体は、外筒の基端部を経て内針ハブと内筒を連結する連結体を設けたことにより、従来の留置針組立体に比べて針ガードの移動距離が約半分になるため、手の小さい医療従事者が使用する場合にも、片手で内針を容易に保護することができる。また、従来の留置針組立体では使用できなかった、緊急透析時に鼠蹊部大腿静脈に留置する場合等に利用される長い留置針でも、本発明の留置針組立体に使用することができる。
さらに、使用者が誤って内針ハブ係止手段を押し下げ、内針ハブの固定を解除してしまった場合にも、内針ハブが完全に針ガード内に保護されるまでは、元の位置に戻すことが出来るため、留置針組立体が使用不能になることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の留置針組立体において、内針が保護される前の留置針組立体の一実施例を横から見たときの断面図である。
【図2】 図1に示す留置針組立体を上から見たときの断面図である。
【図3】 図1に示す留置針組立体の側面図である。
【図4】 本発明の留置針組立体において、内針が保護された後の留置針組立体の一実施例を横から見たときの断面図である。
【図5】 図4に示す留置針組立体を上から見たときの断面図である。
【図6】 図1に示す留置針組立体の内針ハブを上から見たときの拡大断面図である。
【図7】 (a)は図1に示す留置針組立体のA−A線断面図である。(b)は留置針組立体の他の実施例におけるA−A線断面図である。
【図8】 図1に示す留置針組立体のB−B線断面図である。
【図9】 図1に示す留置針組立体の連結体の側面図である。
【図10】 本発明の留置針組立体において、内針が保護される前の留置針組立体の他の実施例を横から見たときの断面図である。
【図11】 本発明の留置針組立体において、内針が保護された後の留置針組立体の他の実施例を横から見たときの断面図である。
【図12】 本発明の留置針組立体において、針ガードの基端部の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 留置針組立体
2 外針
3 外針ハブ
4 内針
41 刃先
5 内針ハブ
6 針ガード
61 内筒
62 外筒
7 内針ハブ係止手段
8 連結体
9 フィルタ
Claims (7)
- 生体組織に穿刺され留置される外針が先端部に固着された外針ハブと、該外針の内腔に挿通可能であって先端部に鋭利な刃先を有する内針が先端部に固着された内針ハブと、該内針および内針ハブを内部に収納可能な針ガードとを有する留置針組立体であって、前記針ガードは内筒と外筒からなる2重構造を有しており、該針ガードには該針ガードの基端側を経て前記内針ハブと内筒とを連結する連結体が設けられており、前記外筒を前記内筒の基端側へ摺動させることにより該針ガードの全長を延長させることが可能であり、該針ガードの全長が延長される時、前記内針ハブが前記連結体によって前記針ガード内を該針ガードの基端側へと摺動されることを特徴とする留置針組立体。
- 前記連結体は、内針ハブの基端側、針ガードの内側、針ガードの基端側および針ガードの外側に配置され、内針ハブの基端部と内筒の先端部を連結させたものである、請求項1記載の留置針組立体。
- 前記連結体は、内針ハブの基端側、針ガードの内側、針ガードの基端側、針ガードの外筒の基端部に設けられた孔の内部および針ガードの外筒と内筒の間隙に配置され、内針ハブの基端部と内筒の先端部を連結させたものである、請求項1記載の留置針組立体。
- 前記針ガードの外筒と内筒の間隙は、外筒の内部に長手方向に設けられた溝である、請求項3記載の留置針組立体。
- 前記内筒の先端部には、前記内針の刃先が外針の先端から突出した状態で内針ハブを保持する内針ハブ係止手段が設けられており、前記内筒および外筒には前記内針が針ガード内に収納されるように針ガードが延長された状態で該内筒および外筒を固定する係合手段が設けられている、請求項1〜4記載の留置針組立体。
- 前記係合手段は、内筒の基端部に設けられた外方へ突出した突部が、外筒の先端部に設けられた内側へ突出した係合突起と、該外筒の係合突起よりも基端側で内筒に接するまで内側に突出して設けられた係合板との間に係合されることによるものであり、前記係合板は、針ガードの全長が延長された時に前記内筒の突部により外方へと付勢されると、外筒より突出するような厚さを有するものである、請求項5記載の留置針組立体。
- 前記連結体は、熱可塑性樹脂製のひも状のものである、請求項1〜6のいずれかに記載の留置針組立体。
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