JP2014046655A - 積層フィルムの立体成形方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも最内面の柔らかい内面フィルム11と外面側の強度の高い外面フィルム12とがラミネートされた積層合成樹脂フィルム10を冷間で厚み方向に圧縮成形することで、圧縮成形部13を外面側に張り出させて張出し部14とし、圧縮成形部13を立体成形する。
これにより、加熱や冷却の必要がなく、加工に要する電力などのエネルギを大幅に削減し、加工時間を短縮して高速加工できるようになる。
【選択図】 図3
Description
また、プレス成形では、パンチとダイとの間に積層合成樹脂フィルムを挟んで加工することからパンチとダイとの接触面積に対応した大きな加工圧力を加える必要があるとともに、プレス成形にともないスライドの往復動によって振動が発生するという問題がある。
また、張り出し部の形状が非対称な場合、圧力に偏りが生じて加工が不安定になるほか、工具の寿命が短くなるという問題もある。
さらに、包装用パウチでは、予め2枚の積層合成樹脂フィルムをヒートシールしてパウチの状態とした後、注出口をプレス成形することはできず、上下2枚の別々にプレス成形した積層合成樹脂フィルムを重ね合わせて周囲をヒートシールするなどで貼り合わせて包装用パウチを完成しなければならず、貼り合わせの際に前後・左右のずれが生じるとともに、プレス成形に伴う加工伸びによるずれが生じるという大きな問題がある。
また、ずれを見込んだマージンを設けるために注出口の大きさに比べて小さな張り出し部しか成形できないという問題がある。
このような冷間で立体成形したい部位を厚み方向に圧縮成形することにより立体成形するこの発明の具体的な構成は、以下のとおりである。
これにより、加熱や冷却の必要がなく、加工に要する電力などのエネルギを大幅に削減でき、加工時間を短縮して高速加工ができる。
これにより、圧縮成形部にずれが生じることもなく、各工程での加工によるずれを考慮する必要がなく、精度良く立体成形することができるとともに、シール際まで届く大きな立体成形を行うこともできる。また、加工に加熱や冷却の必要がないことから圧縮成形部の熱変形による戻りを防止することができ、レトルト処理が行われる包装用パウチに適用することができる。
この発明の積層フィルムの立体成形方法は、積層フィルムを冷間で厚み方向に圧縮成形することで、圧力を解放した後、圧縮成形部を外面側に張り出させるように立体成形することができるものである。また、この発明の積層フィルムの立体成形方法では、単体(1枚)の積層フィルムだけでなく、重ね合わせた積層フィルムにも重ね合わせたままで適用できるもので、重ねた積層フィルムの両側への張り出しや片側だけの張り出しも可能なものである。
包装用パウチの積層合成樹脂フィルム10は、最内面の柔らかい内面フィルム11としてヒートシール性を有するフィルム、例えばポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどが用いられ、外面側の強度の高い外面フィルム12として、例えば延伸フィルムが用いられ、ナイロンフィルムやPETフィルムなどのポリアミドフィルムやポリエステルフィルムなどが用いられる。
なお、内面フィルムと外面フィルムの間、あるいは外面フィルムの外側に、さらに他の合成樹脂フィルムが積層されていても良い。
また、包装用パウチの積層合成樹脂フィルム10では、通常、内面フィルムの厚さが60〜200μm程度とされ、外面フィルムの厚さが10〜20μm程度とされてラミネートされ、内面フィルムの方が外面フィルムより3〜20倍程度厚くなっている。また、積層フィルムの総厚みが、他の層を含む場合は、それも含めて70〜300μm程度となっている。
この圧縮成形による強度の高い外面フィルム12側への張り出し現象は、積層合成樹脂フィルム10を総厚みの30%程度圧縮した際に出現し、そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、厚み方向に圧縮すると、変形するのは、専ら強度の弱い柔軟な内面フィルム11であって、圧縮された面から押し出されるように大きく伸び、強度の高い外面フィルム12はラミネートされていることから内面フィルム11の伸びに応じて伸ばされるが、圧縮力を取り除いた後、内外面フィルム11,12の厚みが復元する際の挙動において、内面フィルム11の復元が大きく、外面フィルム12の復元はわずかで、外面フィルム12に剪断変形的な伸びの影響が残るなど内外面フィルム11,12の間で何らかの違いがあるためと考えられる。
なお、内面フィルムが柔らかいことを示す指標としては様々あるが、例えば、弾性率やヤング率が外面フィルムより小さいこと、あるいは、降伏伸度や破壊伸度が外面フィルムより大きいことなどが挙げられる。
この谷状折れ線16が形成されると、張出し部14の輪郭を際立たせる効果もあるが、張出し部14の高さhが加工高さHに対して目減りする。
そこで、谷状折れ線16が形成されないようにするには、積層合成樹脂フィルム10の圧縮成形部13の周囲へのはみ出し変形を抑制すると良い。
具体的な方法としては、圧縮力を付与する加工部の角部を丸める、加工部をテーパー状に突出させる、などの手法もあるが、例えば図4(b)に示したように、加工部17の周囲にフランジ部17aを形成しておき、フィルム10の元厚み以上に盛り上がることができないようにしてやれば、より確実に谷状折れ線16の形成が抑制され、張出し部14の加工高さHを有効に利用できる。
なお、平面プレス加工装置30やロータリー加工装置40のフレームやスライド機構、回転軸受機構、駆動機構などの構成は、従来から使用されているものを適用すれば良く、具体的な説明は省略する。
なお,圧縮成形割合が50%程度を越えると、フィルムにクラックが生じたり破断したりするおそれが出てくる。
ただし、回転方向Rの下流側にフィルムを押し出す作用の累積が大きくなりすぎると、フィルムに皺が生じることがあるので、回転方向Rに沿って加工と解放とが繰り返されるように、加工部を適宜の長さに区切って配置することが望ましい。また、例えば図2に示した連通路4の立体成形に見られるように、回転方向Rと直角方向に加工部を細分化することによっても、皺の発生を防止することができる。
このような作用の原理も詳細は不明だが、外面フィルム12の変形が表面側から拘束されることにより、内面フィルム11と外面フィルム12の間に生じる剪断力が大きくなるためではないかと推定される。
さらに、この積層合成樹脂フィルムの立体成形方法では、一方の成形ロール41の加工部43表面の摩擦力を、他方の成形ロール42表面より大きくすることによって、図8に示すように、主として加工部43により圧縮成形した一方側(図示例では上側)の積層合成樹脂フィルム10の内外面フィルム11、12だけを張り出すように張出し部14を立体成形することができる。
具体的には、成形ロール42表面は金属のままとして、加工部43表面のみを、前述した摩擦力を増大させる構成とすればよい。
このような現象が起こる理由も定かではないが、他方の側の外面フィルム12と成形ロール42表面の摩擦が小さく、あるいは2枚の積層合成樹脂フィルム10,10間の摩擦が小さくなると、圧縮力が他方の側の積層合成樹脂フィルム10の内外面フィルム11、12間の剪断力に変換される際に滑りが生じて、有効に作用しないためではないかと思われる。
成形ロール41は加圧ロールであり、周面に加工部(成形刃)が設けられる。成形ロール42はアンビル(受け台)ロールであり、ロータリー加工の基準面を構成する単純な円筒形状であるが、必要に応じて加工部(成形刃)を設けることができる。成形ロール41の両端縁のベアラー53、53は、成形ロール42に直接当接し、高い加工精度を維持する。積層フィルム(包装用パウチ)はベアラー53、53の間に導入され、加工を受ける。
成形ロール41,42には、図11に展開して示すように、包装用パウチ1の加工に必要な各加工部43,51,52が設けられ、成形ロール41,42の1回転中に全ての加工が行われるようになっている。
成形ロール42側の図11(b)で網掛けで示した部分はロールの基準面である。パウチの輪郭線で示した部位は、凹凸としての加工部(成形刃)は形成されていないが、成形ロール41側のフルカット加工51の成形刃に対応するアンビル部として働く。
図12および図13はそれぞれ、成形ロール41,42の各加工部(成形刃)を部分的に拡大して示した概略説明図であり、(a)は展開図、(b)は(a)のB−B’における縦断面図である。
成形ロール41には、加工部(成形刃)43,51a,52a,52bが、加工代が調整されて設けられている。また、成形ロール42の加工部(成形刃)は、ロールの基準面から周囲を掘り下げた形で形成されていて、加工代は成形ロール41側のみで調整するようにされている。
このような成形ロール41,42による成形加工では、ロールの基準面から考えると、積層合成樹脂フィルムは一方側(成形ロール41側)から圧縮されるが、成形ロール42の加工部43の周りに掘り下げた溝(フィルムの逃げ部44)があることにより、実質的には両面から圧縮されたのと同様の加工を受ける。両面から圧縮すると、両外側への張り出し形状をより対称に近い形に整えることができる。
ハーフカット加工部(成形刃)52aも同様に周囲に逃げ部44を形成し、成形ロール41側のハーフカット加工アンビル部(加工部)52bによりフィルムが押し込まれる余地を設けることで、ハーフカットを可能としている。
以上の例では、成形ロール41を加工部側、成形ロール42をアンビル側と、基本的な役割を分離したが、いうまでもなく、双方を加工部とし、両面から圧縮成形する態様であってもよい。
これにより、ハーフカット加工52,52による切り込み過ぎ等による影響を回避することができる。
このようにハーフカット位置をずらして複数本の易開封溝2aを設けると、開封時の引き裂き方向を安定して誘導することができる。
なお、いうまでもなく、張出し部の立体成形、ハーフカット、フルカットの各加工は、適宜別工程で行うこともできる。
注出口2の易開封溝2aを成形するハーフカット加工を別工程とする場合は、立体成形に先立って行うのが好ましい。また、別工程とする場合、ハーフカット加工、フルカット加工には、レーザーなど成形刃による加工以外の加工方法を採用してもよい。
逆に、本発明の成形ロールに、上述した圧縮成形、ハーフカット、フルカットの各加工部位とともに、例えば一対の凹凸型によるエンボス加工のような、公知の加工手段をさらに付加することもできる。
これにより、従来のような加熱や冷却の必要がなく、加工に要する電力などのエネルギを大幅に削減でき、加工時間を短縮して高速加工することができる。
2 注出口
2a 易開封溝
2b ノッチ
3 流路
4 連通路
5 模様
6 文字・点字
7 サイドシール部
8 底部フィルム
9 底部シール部
10 積層合成樹脂フィルム(積層フィルム)
11 内面フィルム
12 外面フィルム
13 圧縮部位(圧縮成形部)
14 張出し部(立体成形部)
15 はみ出し変形部
16 谷状折れ線
17 加工部
17a フランジ部
30 平面プレス装置
31 パンチ
32 アンビル
33 加工部(成形刃)
40 ロータリー加工装置
41 成形ロール
42 成形ロール
43 加工部(成形刃)
44 逃げ部
51 フルカット加工
51a フルカット加工部(成形刃)
52 ハーフカット加工
52a ハーフカット加工部(成形刃)
52b ハーフカット加工アンビル部
53 ベアラー
H 加工高さ
h 張り出し高さ
R 成形ロールの回転方向
Claims (12)
- 少なくとも最内面の柔らかい内面フィルムと外面側の強度の高い外面フィルムとがラミネートされた積層合成樹脂フィルムを冷間で厚み方向に圧縮成形し、当該圧縮成形部を外面側に張り出させるようにしたことを特徴とする積層フィルムの立体成形方法。
- 前記積層合成樹脂フィルムを内面フィルム同士を対向させて重ね、これら2枚の積層合成樹脂フィルムの圧縮成形部を外面側に張り出させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記積層合成樹脂フィルムの圧縮成形割合を、少なくとも総厚みの30%として外面側に張り出させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記積層合成樹脂フィルムの圧縮成形部周囲へのはみ出し変形を抑制して成形するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記2枚の積層合成樹脂フィルムを圧縮成形する一対の加工部のうち、一方の加工部表面の摩擦力を他方より大きくして、圧縮成形部を一方の外面側に張り出させるようにしたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記2枚の積層合成樹脂フィルムの両側縁部を側部シールするとともに、下縁部を底部シールして上縁部に形成される開口部から内容物を充填しシールする包装用パウチが構成され、当該包装用パウチに前記圧縮成形により外面側に張り出す張出し部を形成するようにしたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記冷間圧縮成形を、相対向する一対の成形ロールを用いてロータリー加工するようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 前記成形ロールによるロータリー加工には、前記圧縮成形加工に加え、積層合成樹脂フィルムを切断するフルカット加工、積層合成樹脂フィルムの途中まで切り込むハーフカット加工の少なくともいずれか1つの加工を1回転中に行うようにしたことを特徴とする請求項7記載の積層フィルムの立体成形方法。
- 相対向する一対の成形ロールと、この成形ロールに設けられ少なくとも最内面の柔らかい内面フィルムと外面側の強度の高い外面フィルムとがラミネートされた積層合成樹脂フィルムを厚み方向に冷間で圧縮成形する圧縮成形部とを備えてロータリー加工可能に構成され、前記圧縮成形部は圧縮成形された被圧縮成形部を外面側に張り出し可能に構成されていることを特徴とする積層フィルムの立体成形装置。
- 前記積層合成樹脂フィルムが内面フィルム同士を対向させて重ねて構成され、前記圧縮成形部は、2枚の積層合成樹脂フィルムの被圧縮成形部を外面側に張り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載の積層フィルムの立体成形装置。
- 前記2枚の積層合成樹脂フィルムは両側縁部が側部シールされるとともに、下縁部を底部シールして上縁部に内容物を充填する開口部が形成された包装用パウチが構成され、前記圧縮成形部は当該包装用パウチに外面側に張り出す張出し部を形成可能に構成されていることを特徴とする請求項10記載の積層フィルムの立体成形装置。
- 前記成形ロールには、前記圧縮成形部に加え、積層合成樹脂フィルムを切断するフルカット加工部、積層合成樹脂フィルムの途中まで切り込むハーフカット加工部の少なくともいずれかの加工部を設けて1回転中に全加工部による加工を可能に構成したことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の積層フィルムの立体成形装置。
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