JP7305928B2 - フィルムの立体加工方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、軟包材を用いて袋状容器を形成し、この袋状容器の所定部位を部分的に加熱・冷却してエンボス模様を形成する、エンボス模様付き袋状容器の成形方法が提案されている。しかし、特許文献1の方法によれば、加熱や冷却に時間を要し、生産性に劣るという問題があった。
従って本発明の目的は、冷間でフィルムを圧縮成形することによって凹部を形成し、加飾性に優れた立体パターンを形成可能な立体加工方法を提供することである。
本発明の他の目的は、凹部及び凸部の組み合わせにより、折り加工を施したような複雑な立体パターンを形成可能な立体加工方法を提供することである。
前記成形加工部(A)の加工幅が0.2mm以上2mm未満の範囲にあり、該成形加工部(A)が鏡面加工されており、該成形加工部(A)による圧縮量がフィルムの厚みの30%以下であり、
前記フィルムが、伸びの小さい外面フィルムと伸びの大きい内面フィルムを有する積層フィルムであり、
前記凹部の形成と同一工程又は別工程で、加工部の幅が2mm以上の範囲にある成形加工部(B)を用い、前記積層フィルムの厚みの30%以下の圧縮量で圧縮することにより、前記積層フィルムの外面フィルム側に突出する凸部を形成し、
前記成形加工部(B)が粗面加工されている
ことを特徴とする立体加工方法が提供される。
1.前記伸びの小さい外面フィルムが、ナイロン又はポリエステルから成る延伸フィルムであり、前記伸びの大きい内面フィルムが、ポリオレフィンから成るフィルムであること、
が好適である。
また伸びの小さい外面フィルムと伸びの大きい内面フィルムを有する積層フィルムを用い、成形加工部の加工部の幅を調整することにより、同様の圧縮成形で凸部も成形可能であり、凹部と凸部の組み合わせにより、折り紙工学に代表されるような複雑な立体パターンを形成することもできる。
本発明の立体加工方法は、加工幅Lが0.2mm以上2mm未満、特に0.5mm以上2mm未満の範囲にある成形加工部を用いて、用いる樹脂フィルムの厚みの30%以下の圧縮量で圧縮成形し、その後圧力を解放することにより、冷間で折り加工を施したような形状の凹部を形成できることが重要な特徴である。
成形加工部の加工幅が上記範囲よりも狭い場合には、樹脂フィルムにクラックが生じたり、或いは樹脂フィルムが破断されるおそれがある。その一方、加工幅が上記範囲よりも広い場合には、樹脂フィルムは塑性変形することなく元の形状に復元してしまうか、或いは凸部が形成されてしまい、凹部を形成できない。また圧縮量が上記範囲より大きい場合にも、樹脂フィルムにクラックや破断されてしまうおそれがある。
本発明の立体加工方法により、凹部のみを形成する場合には、用いる樹脂フィルムは、後述する積層フィルムに限定されず、単層フィルムであってもよい。
すなわち、図1(A)に示す平面プレス加工装置では、上述した範囲の加工幅Lを有する加工部10を有するパンチ11と、アンビル12の間に樹脂フィルム1を設置して、パンチ11で樹脂フィルム1を厚み方向に圧縮成形することにより、樹脂フィルム1に凹部を形成することができる。樹脂フィルム1の圧縮量の調整は、平面プレス加工装置のストローク端において加工部10とアンビル12の距離を調整することにより行う。
また図1(B)に示す回転加工装置では、上述した範囲の加工幅Lを有する加工部20がその表面に形成された成形ロール21と、アンビルロール22を用い、樹脂フィルム1の厚み方向の圧縮成形割合が樹脂フィルムの厚みの30%以下となるように、加工部20とアンビルロール22との間のクリアランスHを調整する。回転加工装置においては、加工部のフィルムに対する食い込み角の因子が増えることから、平面プレス加工装置に比して、変形領域が大きくなる。従って、加工部の加工幅を上記範囲内で調整することにより、複数の凹部形状を混在させることも可能になる。
本発明の立体加工方法においては、上述した凹部のみを樹脂フィルムに形成することもできるが、伸びの大きい内面樹脂フィルムと伸びの少ない外面樹脂フィルムを少なくとも有する積層フィルムを用いることにより、内面樹脂フィルム側にへこんだ凹部と共に、外面樹脂フィルム側に張り出した凸部を組み合わせで形成することができる。
かかる凹部及び凸部を線状に形成し、凹部を谷折り、凸部を山折りとして組み合わせることにより、折り紙工学で提案される種々のパターンを形成することも可能になる。例えば、谷折り、山折りを交互に組み合わせれば、蛇腹状の立体加工が可能になり、谷折り、谷折り及び山折り、山折りの順で組み合わせればトタン板のような立体加工ができ、種々のパターンを形成することが可能になる。
図2は、回転加工装置を用いて、凹部及び凸部を同時に形成する立体加工方法を説明するための図である。成形ロール21には、凹部形成のための加工部20A、凸部形成のための加工部20Bが形成され、積層フィルム2の伸びの小さい外面樹脂フィルム2aが成形ロール21側、伸びの大きい内面樹脂フィルム2bがアンビルロール22側となるように配置される。
本発明において、凹部と組み合わせで形成される凸部の形成自体は、前述した本発明者等による特許文献2記載の立体加工方法で成形することができる。すなわち、凸部形成に使用される加工部20Bとして加工幅Lが2mm以上のものを使用し、積層フィルムの厚みの30%以下の圧縮量となるように加工部20Bとアンビルロール22のクリアランスを調整する。尚、凸部形成に使用される加工部の加工幅の上限はフィルム破断が生じない範囲で適宜設定できる。
前述したとおり、加工部と樹脂フィルムの間の摩擦力は、加工部による樹脂フィルムの拘束に影響することから、凸部の形成に関しては摩擦力を増加させることにより、張出し量を大きくすることができる。したがって、凹部形成のための加工部20Aには鏡面加工が施されている一方、凸部形成のための加工部20Bには、粗面加工等が施されていることが好適である。
本発明の立体加工方法において、凹部のみを形成する場合には、単層フィルムであってもよく、この場合には、後述する内面フィルム或いは外面フィルムとして使用するすべての樹脂フィルムを使用できる。
凹部と凸部の組み合わせを形成する場合には、前述した凸部の立体加工の観点から、内面フィルムに伸びの大きいフィルムを用い、外面フィルムに伸びの小さいフィルムを少なくとも有する積層フィルムを用いることが望ましい。
内面フィルムとして用いる伸びの大きいフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンから成るヒートシール性を有するフィルムを用いることが好ましく、一方外面フィルムとして用いる伸びの小さいフィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ということがある)等の延伸フィルムを用いることが望ましい。
積層フィルムとしては、これに限定されないが、内面/外面の順で、ポリエチレンフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム/延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリエチレンフィルム/延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム/アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリエチレンフィルム/アルミ蒸着延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレン/延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム/延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリプロピレンフィルム/延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム/アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリプロピレンフィルム/アルミ蒸着延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム等を例示できる。
また積層フィルムを用いる場合には、凹部及び凸部の成形加工前における内面フィルム及び外面フィルムの厚みは、これに限定されないが、凸部の成形加工性の点から、内面フィルムが50~200μmの範囲にあり、外面フィルムが10~30μmの範囲にあり、内面フィルムが外面フィルムの3~20倍程度の厚みを有することが特に好適である。
更に、積層フィルムに他の層を設ける場合には、積層フィルムの総厚みが70~300μmの範囲にあることが望ましい。
Claims (2)
- フィルムを成形加工部(A)により冷間で圧縮成形することにより、フィルムに凹部を形成する立体加工方法であって、
前記成形加工部(A)の加工幅が0.2mm以上2mm未満の範囲にあり、該成形加工部(A)が鏡面加工されており、該成形加工部(A)による圧縮量がフィルムの厚みの30%以下であり、
前記フィルムが、伸びの小さい外面フィルムと伸びの大きい内面フィルムを有する積層フィルムであり、
前記凹部の形成と同一工程又は別工程で、加工部の幅が2mm以上の範囲にある成形加工部(B)を用い、前記積層フィルムの厚みの30%以下の圧縮量で圧縮することにより、前記積層フィルムの外面フィルム側に突出する凸部を形成し、
前記成形加工部(B)が粗面加工されている
ことを特徴とする立体加工方法。 - 前記伸びの小さい外面フィルムが、ナイロン又はポリエステルから成る延伸フィルムであり、前記伸びの大きい内面フィルムが、ポリオレフィンから成るフィルムである請求項1記載の立体加工方法。
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