JP6252033B2 - 合成樹脂フィルムの接着方法、その装置および包装用パウチ - Google Patents
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Description
このような包装袋は、通常、ヒートシール性のあるポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を最内層に備える積層合成樹脂フィルムを用い、対向させて重ね合わせ、シール部をヒートシールバー等によって融点以上に加熱することでヒートシールが行われている。
ヒートシールによる接着では、フィルム同士が接着されるまでヒートシールバー等によって押圧しておく必要があり、ヒートシールによる接着の高速化の障害となっている。また、フィルム同士を押圧する必要から、上下方向などに往復動する押圧装置が必要であり、振動や騒音の原因となる。
このような冷間で接着すべき部分を厚み方向に圧縮成形することにより接着する本発明の具体的な構成は、以下のとおりである。
本発明の請求項17に記載の包装用パウチは、少なくとも最内面のヒートシール性フィルムからなる内面フィルムと外面側の前記内面フィルムより伸びが小さい延伸フィルムとがラミネートされた積層合成樹脂フィルム同士を重ねて周囲の接着部位を接着して構成される包装用パウチであって、前記接着部位は、前記内面フィルムが、接着界面で溶融されて外側表面までは溶融されずに接着されていることを特徴とするものである。
前記回転圧着ロールの少なくとも一方の表面には、前記回転圧着ロール間に搬送され重ねられた合成樹脂フィルム同士を冷間で厚み方向に圧縮成形して圧着される前記合成樹脂フィルムの自己発熱による溶融によって前記合成樹脂フィルム同士を接着する圧縮・接着型を設けたので、回転圧着ロールの表面に設けた圧縮・接着型で合成樹脂フィルム同士をヒートシールすることなく、圧縮成形で接着することができ、連続的に高速で接着することができる。
さらに、本発明の包装用パウチによれば、自己発熱による接触界面での溶融を利用して接着されていることから、合成樹脂フィルムの外側表面まで溶融していない接着部位を有する包装用パウチとすることができる。
本発明の合成樹脂フィルムの接着方法は、合成樹脂フィルム同士を対向して重ねて一対の回転圧着ロール間に搬送し、重ねた合成樹脂フィルム同士を冷間で厚み方向に圧縮成形し、合成樹脂フィルムの自己発熱による溶融によって、圧着される合成樹脂フィルム同士を溶融した部分で接着するようにするものであり、ヒートシールバー等によるヒートシールとは異なり、冷間(常温)での圧縮成形で接着するものである。
このような包装用パウチ1は、先ず、図示しないが2枚の合成樹脂フィルム10、10の両縁部をヒートシールしてサイドシール部(側部シール部)4を形成し、底部に2つ折にした底部フィルム5を挟んでヒートシールして底部シール部6が形成され、上縁部が開口した袋状(矩形状)の素材パウチが形成される。
次いで、この素材パウチに、本発明の合成樹脂フィルムの接着方法を適用して、包装用パウチ1の注出口2の周囲を囲む注出口シール部8を形成し、同時に、後述する注出口2を形成するフルカット加工、必要に応じてノッチを形成するフルカット加工、易開封溝2aを形成するハーフカット加工、流路3を形成する立体成形加工の少なくとも1つの加工が同時に行われる。
このように、本発明の合成樹脂フィルムの接着方法と他の加工を行うことにより、従来、合成樹脂フィルムを搬送して製造されていた包装用パウチにおいて生じていた加工部位の位置のずれなどを防止することができる。
そして、この包装用パウチ1の上縁部の開口から内容物を充填した後、上縁部の開口がシールされて上部シール部7を形成することで密封状態とされる。
なお、包装用パウチ1には、必要に応じて模様が形成されたり、文字・点字などを張り出すように立体成形されたり、立体成形による滑り止めなどの成形も行われる。
包装用パウチ1の積層合成樹脂フィルム10は、最内面の伸びが大きい内面フィルム11としてヒートシール性を有するフィルム、例えばポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどが用いられ、外面側の伸びが小さい外面フィルム12として、例えば延伸フィルムが用いられ、ナイロンフィルムのポリアミドフィルムやPETフィルムのポリエステルフィルムなどが用いられる。
なお、内面フィルム11と外面フィルム12の間、あるいは外面フィルム12の外側に、さらに他の合成樹脂フィルム、或いはアルミニウム箔等の金属箔が積層されたものであっても良いし、外面フィルム12の外側にアルミニウム等の金属蒸着層が形成されていても良い。
なお、内面フィルムの伸びが大きいことを示す指標としては様々あるが、例えば、弾性率やヤング率が外面フィルムより小さいこと、あるいは、降伏伸度や破壊伸度が外面フィルムより大きいことなどが挙げられる。
すなわち、積層合成樹脂フィルム10、10同士を圧縮成形することで、自己発熱による溶融が接触界面で生じる現象を利用しており、ヒートシールによることなく、冷間(常温)で圧縮成形することで、積層合成樹脂フィルム10、10同士を振動や騒音を低減して高速で接着するようにしている。
したがって、積層合成樹脂フィルム10の内面フィルム11だけで構成される単層の合成樹脂フィルムに対しても、回転する回転圧着ロール21、22によって厚み方向に圧縮成形することで接着することができる。
この接着部位13の横断面を顕微鏡で確認したところ、図4に顕微鏡写真を示すように、接着部位13では、積層合成樹脂フィルム10、10の内面フィルム同士の界面が存在せず、完全な溶融状態で接着されていることが確認できた。なお、接着部位13以外には、明確な界面が見られ、溶融による接着面とはならなかった。
そこで、回転圧着ロール21に装着され、合成樹脂フィルム10、10の接着部位13を圧縮成形して接着する圧縮・接着型23の加工部25の表面に、回転軸方向と平行に溝(図示せず)を形成することで、回転圧着ロール22との圧縮成形と解放とが繰り返され、フィルムの流動が生じないようにすることが可能となる。
そして、前述した圧縮・接着型23は、回転圧着ロール21、22の少なくとも一方の表面に装着して設けられる。
そして、この他の加工においても、これらの加工性の点から前述した積層合成樹脂フィルムが好ましく、積層合成樹脂フィルム10、10を切断するフルカット加工、積層合成樹脂フィルム10、10の厚さ方向の途中まで切り込むハーフカット加工、積層合成樹脂フィルム10、10を圧縮成形して外面に張り出す立体成形加工の少なくとも1つの加工を加えることができる。
このように本発明の合成樹脂フィルムの接着と他の加工を同時に行うことで、包装用パウチ1を製造する際のこれらの加工に伴うずれを防止して、高精度に加工と接着を行うことが可能となる。
このハーフカット加工は、図7に示すように、ロール圧着装置20の回転圧着ロール21のハーフカット加工部32で加工される。このハーフカット加工も包装用パウチ1の注出口2や流路3の位置に対応して行う必要があり、回転圧着ロール21、22の1回転中に行うことで、位置ずれの問題を生じることなく加工することができる。
これにより、ハーフカット加工による切り込み過ぎ等による影響を回避することができる。
このようにハーフカット位置をずらして複数本の易開封溝2aを設けると、開封時の引き裂き方向を安定して誘導することができる。
なお、ロール圧着装置20のフレームや回転軸受機構、駆動機構などの構成は、従来から使用されているものを適用すれば良く、具体的な説明は省略する。
なお、立体成形における圧縮成形割合が総厚みの50%程度を越えると、積層合成樹脂フィルム10、10にクラックが生じたり破断したりするおそれが出てくる。
ただし、回転方向の下流側にフィルムを押し出す作用の累積が大きくなりすぎると、フィルムに皺やクラックが生じることがあるので、回転方向に沿って加工と解放とが繰り返されるように、加工部25を適宜の長さに区切って配置することが望ましい。
(総厚み:165μm)、幅:105mm、長さ:200mmの積層合成樹脂フィルムを作成した。
そして、この積層合成樹脂フィルムの内面同士を対向させて重ね、ロール圧着装置の上方回転圧着ロールと下方回転圧着ロールの間に供給し、前記上方回転圧着ロールの表面に装着した図5に示す圧縮・接着型により、冷間で厚み方向に圧縮成形、接着を行った。
尚、この時の上方及び下方回転圧着ロールの直径は130mm、回転数は200rpm(周速度V:81.7m/分)、上方回転圧着ロールの加工部による厚み方向への圧縮量は積層合成樹脂フィルムの総厚みの2/3の200μm、積層合成樹脂フィルム同士の接着部の幅は2mm、長さ(積層フィルム品供給方向)は50mmとした。
この積層合成樹脂フィルム同士を接着した実験フィルムの接着部位の直線部分15mmを選択し、その直線部分と同方向のシール強度をテンシロン万能試験機RTG−1310[(株)エー・アンド・デイ製]で計測し、接着部の断面状態(凝集、層状)を顕微鏡写真で確認した。
その結果、接着部位のシール強度は1.0kg/15mm幅でシール強度を有し、断面状態は積層合成樹脂フィルム同士の界面が存在せず、完全な溶融状態で接着されていることが確認できた。
2 注出口
2a 易開封溝
2b ノッチ
3 流路
4 サイドシール部
5 底部フィルム
6 底部シール部
7 上部シール部
8 注出口シール部
10 積層合成樹脂フィルム(合成樹脂フィルム)
11 内面フィルム
12 外面フィルム
13 接着部位
20 ロール圧着装置
21 回転圧着ロール
22 回転圧着ロール
23 圧縮・接着型
24 装着部
25 加工部
26 R部
27 フランジ部
28 傾斜フランジ部(テーパ部)
30 ロータリー加工装置
31 フルカット加工部
32 ハーフカット加工部
33 立体成形加工部
34 張出し部
Claims (17)
- ヒートシール性フィルム単層からなる、または、ヒートシール性フィルムを最内面に少なくとも含む合成樹脂フィルム同士を対向して重ねて一対の回転圧着ロール間に搬送し、前記合成樹脂フィルム同士を冷間で厚み方向に総厚みの2/3以上圧縮成形し、前記合成樹脂フィルムの自己発熱による接触界面での溶融によって、圧着される前記合成樹脂フィルム同士を接着するようにしたことを特徴とする合成樹脂フィルムの接着方法。
- 前記圧縮成形は、前記合成樹脂フィルムと前記回転圧着ロールとの少なくとも一方を前記合成樹脂フィルムの軟化点以下の温度に予熱して行うことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂フィルムの接着方法。
- 前記圧縮成形は、前記合成樹脂フィルムの樹脂流動を抑制して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂フィルムの接着方法。
- 前記合成樹脂フィルムが、少なくとも最内面のヒートシール性フィルムからなる内面フィルムと外面側の前記内面フィルムより伸びが小さい延伸フィルムがラミネートされた積層合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着方法。
- 圧縮成形による前記積層合成樹脂フィルムの接着と同時に、前記積層合成樹脂フィルムを切断するフルカット加工、前記積層合成樹脂フィルムの途中まで切り込むハーフカット加工、前記積層合成樹脂フィルムを圧縮成形して外面に張り出す立体成形加工の少なくとも1つの加工を行うことを特徴とする請求項4に記載の合成樹脂フィルムの接着方法。
- 前記合成樹脂フィルムがパウチを構成することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着方法。
- 一対の回転圧着ロールを備え、前記回転圧着ロールの少なくとも一方の表面には、前記回転圧着ロール間に搬送され重ねられたヒートシール性フィルム単層からなる、または、ヒートシール性フィルムを最内面に少なくとも含む合成樹脂フィルム同士を冷間で厚み方向に総厚みの2/3以上圧縮成形し、圧着される前記合成樹脂フィルムの自己発熱による接触界面での溶融によって前記合成樹脂フィルム同士を接着する圧縮・接着型が設けられていることを特徴とする合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記圧縮・接着型は、前記回転圧着ロールへの装着部および前記合成樹脂フィルムへの加工部とから成ることを特徴とする請求項7に記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記加工部は、フランジ部を介して前記装着部に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記加工部は、テーパー部を介して前記装着部に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記加工部は、角部を曲面状に形成したR部としたことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記合成樹脂フィルムと回転圧着ロールの少なくとも一方を前記合成樹脂フィルムの軟化点以下の温度に予熱して圧縮成形する予熱手段を備えたことを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記接着装置の圧縮・接着型の加工部は、表面を粗面としたことを特徴とする請求項7乃至12の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記合成樹脂フィルムが、少なくとも最内面のヒートシール性フィルムからなる内面フィルムと外面側の前記内面フィルムより伸びが小さい延伸フィルムがラミネートされた積層合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項7乃至13の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 回転圧着ロールに、前記積層合成樹脂フィルムを切断するフルカット加工部、前記積層合成樹脂フィルムの途中まで切り込むハーフカット加工部、前記積層合成樹脂フィルムを圧縮成形して外面に張り出す立体成形加工部の少なくとも1つの加工部を備えることを特徴とする請求項14に記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 前記合成樹脂フィルムがパウチを構成することを特徴とする請求項7乃至15の何れかに記載の合成樹脂フィルムの接着装置。
- 少なくとも最内面のヒートシール性フィルムからなる内面フィルムと外面側の前記内面フィルムより伸びが小さい延伸フィルムとがラミネートされた積層合成樹脂フィルム同士を重ねて周囲の接着部位を接着して構成される包装用パウチであって、
前記接着部位は、前記内面フィルムが、接着界面で溶融されて外側表面までは溶融されずに接着されていることを特徴とする包装用パウチ。
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