JP2014039924A - リン酸イオン含有水溶液の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、リン酸イオンを含有する水溶液に、特定のリン浄化剤を添加する工程、または、リン酸イオンを含有する水溶液と、特定のリン浄化剤とを接触させる工程、を含むリン酸イオン含有水溶液の処理方法である。
【選択図】 なし
Description
このように、リン酸イオン含有水溶液からリンを除去する方法としては、より簡便かつ効率的なものとするための工夫の余地があった。
また、リン浄化剤として水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を用いて、リン酸イオン含有水溶液と接触させた場合にも、当該粒子の添加量が微量であっても、リン酸イオン含有水溶液からリン酸イオンを充分に除去することができることを見出した。そして、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子は、いずれも水に難溶性の塩であるため、処理後の水溶液からこれら粒子を分離、回収することは容易であることがわかった。
このように、リン酸イオン含有水溶液に、水溶液中にマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを生成させるリン浄化剤を添加する、又は、リン酸イオン含有水溶液と、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含むリン浄化剤とを接触させることにより、リン酸イオン含有水溶液からリン酸イオンを簡便かつ効率的に除去することが可能であり、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
なお、本発明の第一の処理方法と、後述する本発明の第二の処理方法とを合わせて本発明の処理方法ともいう。また、本発明の第一のリン浄化剤と、後述する本発明の第二のリン浄化剤とを合わせて本発明のリン浄化剤ともいう。
なお、これら本発明の第二のリン浄化剤を構成する化合物は、水和物の形態となっていてもよい。
また、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子を併用する形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。すなわち、リン酸イオンを含有する水溶液と、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子とを接触させる工程を含むリン酸イオン含有水溶液の処理方法もまた、本発明の1つである。
上記粒子(A)の平均粒子径は、日機装株式会社製のマイクロトラック9320HRAを用いて、レーザー回折錯乱法により測定することができる。
上記粒子(B)の均等係数は、JWWA A103−1:2006に沿って測定することができる。
傾胴型重力式ミキサーは、投入された材料の挙動によって混合が促進されるため、粒子(A)が粒子(B)に担持された状態を良好に保持しながら混合することができる。そのため、上記粒子(A)が粒子(B)に担持されている第二のリン浄化剤の製造に特に優れた効果を発揮する。
上記化合物(I)としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、及び、水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び、硫酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
また、本発明の第二の処理方法を施した後の処理水から、本発明の第二のリン浄化剤に加えて化合物(I)も容易に分離、回収することができるよう、化合物(I)も水に難溶性な粒子であることが好ましい。
ここで、硫酸アルミニウムは水に可溶であり、更に、アルミニウムを含有する金属塩は摂取した場合に脳障害をきたすおそれがあることが知られていることから、本発明の第二の処理方法において本発明の第二のリン浄化剤と共に硫酸アルミニウムを併用し、処理水を飲用水等として摂取する場合、脳への影響が懸念され、好ましくない。
これらのことから、上記化合物(I)の中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。
なお、これら化合物(I)は、水和物の形態となっていてもよい。
また、本発明の第二の処理方法において、本発明の第二のリン浄化剤と化合物(I)とを含む鉱物を用いる場合の当該鉱物の添加量は、鉱物の組成から求められる鉱物中の本発明の第二のリン浄化剤に相当する化合物の含有量が上述した本発明の第二のリン浄化剤の好ましい添加量を満たすような量であることが好ましい。
例えば、網等を用いてリン浄化剤の流失を防止することも考えられるが、網はしだいに劣化していくし、また、実用的な設備に導入した場合には操作性が悪く、交換作業が困難である。
このように、上記反応槽は上記構成を有するものであるため、リン浄化剤が凝固せず、透水性に優れている。
(1)ごみ、粘土質等の不純物、又は、偏平若しくは脆弱な砂等を多く含まず、石英質を多く含有し、堅く均等である、(2)砂鉄や脆弱な砂等の含有量が少ない、(3)洗浄濁度が30度以下である、(4)比重(密度)が、2.57〜2.67(g/cm3)である、(5)強熱減量が、0.75%以下である、(6)摩滅率が、3%以下である、(7)鉄及び鉄含有化合物の含有量が、0.03(mg/L)以下である、(8)マンガン及びマンガン含有化合物の含有量が、0.005(mg/L)以下である、(9)塩酸可溶率が、3.5%以下である。
砂利の粒度は、日本水道協会規格 JWWA A103−4:2006に準拠して測定することができる。
(1)ごみ、粘土質等の不純物、又は、偏平若しくは脆弱な粒子等を多く含まず、堅く丸みがある、(2)洗浄濁度が30度以下である、(3)最長軸が最短軸の5倍以上である砂利粒子が砂利粒子全体に対して2重量%以下である、(4)比重が、表面乾燥飽和状態で2.50(g/cm3)以上である、(5)塩酸可溶率が、3.5%以下である。
砂利の粒度内%は、日本水道協会規格 JWWA A103−4:2006に準拠して測定することができる。
中でも、処理対象水が、フッ素を含有する水溶液をリン酸水素カルシウム二水和物と接触させて得られるリン酸イオン含有水溶液であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。フッ素を含有する水溶液をリン酸水素カルシウム二水和物と接触させることで、当該水溶液からフッ素を除去することができるが、処理に用いるリン酸水素カルシウム二水和物に由来してフッ素を除去した後の水溶液にはリン酸イオンが残存することとなるため、当該水溶液中のリン酸イオンを除去する際に、本発明のリン酸イオン含有水溶液の処理方法が好適に利用される。
すなわち、フッ素を含有する水溶液を、上述した本発明の第二のリン浄化剤を収容した反応槽における第二のリン浄化剤をリン酸水素カルシウム二水和物に置き換えた反応槽に通過させてリン酸イオン含有水溶液を得、当該リン酸イオン含有水溶液を、上述した本発明の第二のリン浄化剤を収容した反応槽に通過させることで、処理水を得ることができる。
上記1つの反応槽にまとめて処理する場合の反応槽の構成としては、例えば、槽の上部から順に、第一の砂層、リン酸水素カルシウム二水和物を含む処理剤からなる処理剤層、砂層、本発明の第二のリン浄化剤を含むリン浄化剤層、及び、第二の砂層が設けられた構成が挙げられる。なお、上記砂層は、第二の砂層と同様の層であってよい。そして更に、第二の砂層の下に、第三の砂層及び/又は砂利層が設けられていてもよい。
装置:
SYSTEM UNIT NUMBER 16002(製品名、DIONEX社製)
測定条件:
・移動相溶媒:Na2CO3 2.5mmol/NaHCO3 1.0mmol/水1L
・カラム:DIONEX社製IonPac AS4A−SC 4×250mm
特に、本発明の第二の処理方法において、本発明の第二のリン浄化剤として水酸化マグネシウム粒子を用いる場合には、処理対象水にカルシウムイオンが含まれていることによって、処理対象水から充分にリンを除去することが可能となる。このように、リン酸イオン及びカルシウムイオンを含有する水溶液と、水酸化マグネシウム粒子とを接触させる工程を含むリン酸イオン含有水溶液の処理方法もまた、本発明の1つである。
なお、上記処理対象水のカルシウムイオン濃度を上述した範囲とするために、処理対象水にカルシウム塩を添加してもよい。
装置:
3D CE(製品名、Agilent Technologies社製)
測定条件:
・移動相溶媒:Buffer solution pH3.0 for Cation HPCE (Fuluka) 4.0mM copper(II)sulphate
・キャピラリーカラム:Fused silica 75μm 56cm
・電圧:Positive、20kV
本発明のリン浄化剤、または、本発明の第二のリン浄化剤及び化合物(I)を除去する方法としては特に限定されないが、例えば、濾過、沈降分離、遠心分離、凝集剤による分離などの公知の方法を採用することができる。
本発明の処理方法を施した後の処理水のリン酸イオン濃度も、上述した処理対象水のリン酸イオン濃度の測定方法と同様の方法により測定することができる。
単位当たりのリン酸イオンの除去量は、下記式により算出することができる。
(1)カルシウムイオン濃度測定
下記装置を用いたキャピラリー電気泳動法によりカルシウムイオン濃度を測定した。測定装置及び測定条件は次のとおりである。
装置:
3D CE(製品名、Agilent Technologies社製)
測定条件:
・移動相溶媒:Buffer solution pH3.0 for Cation HPCE (Fuluka) 4.0mM copper(II)sulphate
・キャピラリーカラム:Fused silica 75μm 56cm
・電圧:Positive,20kV
下記装置を用いたイオンクロマトグラフィー法によりリン酸イオン濃度を測定した。測定装置及び測定条件は次のとおりである。
装置:
SYSTEM UNIT NUMBER 16002(製品名、DIONEX社製)
測定条件:
・移動相溶媒:Na2CO3 2.5mmol/NaHCO3 1.0mmol/水1L
・カラム:DIONEX社製IonPac AS4A−SC 4×250mm
pH計 セブンイージー(製品名、メトラー・トレド社製)を用いて、pHを測定した。
(調製例1)
水道水に、フッ素イオン濃度が19.3ppmとなるようにフッ化ナトリウムを4.27mg添加して、容器中にフッ素含有排水0.1kgを得た。得られたフッ素含有排水のpHを、NaOH水溶液(4%)により7.2に調整した。容器中のフッ素含有排水に、8質量%の硫酸アルミニウム水溶液を、処理するフッ素含有排水の量に対して3000ppmとなるように添加した。アルミニウムイオンを添加したフッ素含有排水を、容器中で温度22℃で10分間攪拌した。攪拌後、フッ素含有排水にpH調整剤として、NaOH水溶液(4%)を添加してpHを7.2に調整した。pH調整後のフッ素含有排水に、高分子凝集剤として、アニオン性ポリアクリルアミド(商品名:スミフロックFA40H 住友化学工業社製)を、処理するフッ素含有排水の量に対して1000ppmとなるように添加した。温度22℃で5分間攪拌して、フッ素含有アルミニウム汚泥を生成した。
生成したフッ素含有アルミニウム汚泥をフィルター濾紙で濾過し、処理排水を得た。得られた処理排水のフッ素イオン濃度は3.3ppmであった。
続いてこのフッ素含有排水に、リン酸水素カルシウム二水和物(太平化学産業社製)を0.50g添加し、温度22℃で24時間攪拌した。反応したリン酸水素カルシウム二水和物をフィルター濾紙で濾過し、処理排水(硫酸バンド処理水1)を得た。得られた硫酸バンド処理水1のフッ素イオン濃度は0.1ppm、リン酸イオン濃度は131.11ppmであった。また、カルシウムイオン濃度は272ppmであった。
調製例1と同様にしてフッ素イオン濃度が3.3ppmのフッ素含有排水を得た。
続いてこのフッ素含有排水に、リン酸水素カルシウム二水和物(太平化学産業社製)を0.30g添加し、温度22℃で24時間攪拌した。反応したリン酸水素カルシウム二水和物をフィルター濾紙で濾過し、処理排水(硫酸バンド処理水2)を得た。得られた硫酸バンド処理水2のフッ素イオン濃度は0.1ppm、リン酸イオン濃度は81.75ppmであった。また、カルシウムイオン濃度は180ppmであった。
調製例1で調製した硫酸バンド処理水1(試験前リン酸イオン濃度:131.11ppm、カルシウムイオン濃度:272ppm)を100.0036g用意し、そこにリン浄化剤として水酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアルズ社製、品種:UD−65、純度:96.3%、粒子径:0.5〜2.0mm)を0.1035g添加した。リン浄化剤を含む硫酸バンド処理水1を室温下、振とう速度を150rpmに設定した振とう機((株)井内盛栄堂/品名 シェイキングバス/型番 SB−20)を用いて、24時間振とう撹拌した。
振とう撹拌終了後、静置した後、上澄み液を採取してフィルター(孔径0.20μm;アドバンテック東洋社製/ディスポーザブルメンブレンフィルター/品名 13CP020AN)にかけ、フィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表1に示す。
また、リン酸イオンの除去量を、次式を用いて算出した。算出結果を表1に示す。
リン浄化剤である水酸化マグネシウム粒子の添加量、及び、用意する硫酸バンド処理水1の量を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表1に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例1と同様に算出した。算出結果を表1に示す。
硫酸バンド処理水1に代えて、調製例2で調製した硫酸バンド処理水2(試験前リン酸イオン濃度:81.75ppm、カルシウムイオン濃度:180ppm)を表1に記載の量用意し、リン浄化剤である水酸化マグネシウム粒子の添加量を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表1に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例1と同様に算出した。算出結果を表1に示す。
リン浄化剤として、水酸化マグネシウム粒子に加えて炭酸カルシウムを表1に記載の量添加し、硫酸バンド処理水1を表1に記載の量用意した以外は、実施例1と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表1に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例1と同様に算出した。算出結果を表1に示す。
リン浄化剤として、水酸化マグネシウム粒子に加えて硫酸アルミニウムを表1に記載の量添加し、硫酸バンド処理水1を表1に記載の量用意した以外は、実施例1と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表1に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例1と同様に算出した。算出結果を表1に示す。
なお、硫酸アルミニウムは、水に可溶であった。
なお、本明細書中、試験後リン酸イオン濃度を残留リン酸イオン濃度とも表している。
(調製例3)
純水に、フッ素イオン濃度が5.0ppmとなるようにフッ化ナトリウムを1.1mg添加して、容器中にフッ素含有水0.1kgを得た。容器中のフッ素含有水に、1000ppmのリン酸イオン標準液(キシダ化学社製)を、フッ素含有水の量に対して100.23ppmとなるように添加し、リン酸含有水1を得た。なお、リン酸含有水1のカルシウムイオン濃度は0ppmであった。
純水に、フッ素イオン濃度が5.0ppmとなるようにフッ化ナトリウムを1.1mg添加して、容器中にフッ素含有水0.1kgを得た。
続いてこのフッ素含有水に、リン酸水素カルシウム二水和物(太平化学産業社製)を0.05g添加し、温度22℃で24時間攪拌した。反応したリン酸水素カルシウム二水和物をフィルター濾紙で濾過し、処理水(リン酸含有水2)を得た。得られたリン酸含有水2のフッ素イオン濃度は0.1ppm、リン酸イオン濃度は81ppmであった。また、カルシウムイオン濃度は68ppmであった。
純水に、フッ素イオン濃度が5.0ppmとなるようにフッ化ナトリウムを1.1mg添加して、容器中にフッ素含有水0.1kgを得た。
続いてこのフッ素含有水に、リン酸水素カルシウム二水和物(太平化学産業社製)を0.03g添加し、温度22℃で24時間攪拌した。反応したリン酸水素カルシウム二水和物をフィルター濾紙で濾過し、処理水(リン酸含有水3)を得た。得られたリン酸含有水3のフッ素イオン濃度は0.1ppm、リン酸イオン濃度は70.9ppmであった。また、カルシウムイオン濃度は49ppmであった。
調製例3で調製したリン酸含有水1(試験前リン酸イオン濃度:100.23ppm、カルシウムイオン濃度:0ppm)を100.0172g用意し、そこにリン浄化剤として水酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアルズ社製、品種:UD−65、純度:96.3%、粒子径:0.5〜2.0mm)を0.1018g添加した。このリン浄化剤を含むリン酸含有水を実施例1と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、次式を用いて算出した。算出結果を表2に示す。
リン浄化剤である水酸化マグネシウム粒子の添加量、及び、用意するリン酸含有水1の量を表2に記載の量とした以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
リン浄化剤として、水酸化マグネシウム粒子に加えて炭酸カルシウムを表2に記載の量添加し、リン酸含有水1を表2に記載の量用意した以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
リン酸含有水1に代えて、調製例4で調製したリン酸含有水2(試験前リン酸イオン濃度:81ppm、カルシウムイオン濃度:飽和濃度68ppm)を表2に記載の量用意し、リン浄化剤として、水酸化マグネシウム粒子に加えて硫酸カルシウム二水和物を表2に記載の量添加した以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
リン浄化剤として工業用水酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアルズ社製、品種:UD−65、純度:96.3%、粒子径:0.5〜2.0mm)を表2に記載の量添加し、リン酸含有水2を表2に記載の量用意した以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
リン浄化剤としてアクトリン(トーケミ社製)を表2に記載の量添加し、リン酸含有水2を表2に記載の量用意した以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
リン酸含有水1に代えて、調製例5で調製したリン酸含有水3(試験前リン酸イオン濃度:70.9ppm、カルシウムイオン濃度:飽和濃度49ppm)を表2に記載の量用意し、リン浄化剤として、硫酸カルシウム二水和物を表2に記載の量添加した以外は、実施例12と同様にして処理し、処理後のフィルター濾液のリン酸イオン濃度(試験後リン酸イオン濃度)、及び、pHを測定した。測定結果を表2に示す。また、リン酸イオンの除去量を、実施例12と同様に算出した。算出結果を表2に示す。
実施例1〜5、12〜14、17〜22の結果から、本発明のリン浄化剤とリン酸イオン含有水溶液とを接触させることにより、リン浄化剤の添加量を微量としても、リン酸イオン含有水溶液からリン酸イオンを簡便かつ充分に除去することができることが確認された。特に、実施例1〜3、5、18では、処理後のリン酸イオン濃度が0.10ppmとなっており、このことから、残存リン酸イオン濃度が1ppm以下という低濃度までリン酸イオンを除去する高度処理が可能となっていることが分かる。
また、実施例6〜11、15〜16の結果から、水酸化マグネシウムと共に本発明における化合物(I)を併用する形態においても、リン酸イオン含有水溶液からリン酸イオンを簡便かつ充分に除去できることが分かった。
特に、実施例6〜11では、処理後のリン酸イオン濃度が0.10ppmとなっており、このことから、残存リン酸イオン濃度が1ppm以下という低濃度までリン酸イオンを除去する高度処理が可能となっていることが分かる。
なお、比較例1〜2においては、リン浄化剤としてアクトリンを用いた場合、添加量によっては、リン酸イオンを充分に除去することができることが示されている。しかしながら、非特許文献3及び4に記載されているように、アクトリンは、アクトリン中に存在するCl−イオンがリン酸イオンと置換することで処理対象水中のリン酸イオンを吸着、除去するものであるため、リン浄化剤としてアクトリンを用いた場合には、不可避的に塩化物イオンが処理水中に生成することとなる。すなわち、処理水は、リン酸イオンは除去されているが塩化物イオンを含んだものとなる。したがって、実際には、リン酸イオン除去を行った後、更に別途塩化物イオンを除去することが必要となる。
傾胴型重力式ミキサー(容量110L)に、急速濾過用砂(トーケミ社製、「日本水道協会規格 JWWA A103−1:2006規格品、有効径:0.6mm、均等係数:1.5以下、最大径2.8mm以下、最小径0.3mm以上」)及び水酸化マグネシウム粒状品(宇部マテリアルズ社製、品種:UD−650、純度:68%、平均粒子径:3.5μm)の合計100質量部当たり、急速濾過用砂を95質量部、水酸化マグネシウム粒子を5質量部の割合で投入し、3分間混合を行って、リン浄化剤を得た。
製造例1で得られたリン浄化剤と下記に示す砂及び砂利を用いて、反応槽を作製した。
第二の砂(急速濾過用砂、トーケミ社製、「日本水道協会規格 JWWA A103−1:2006規格品、有効径:0.5mm、均等係数:1.5以下、最大径2mm以下、最小径0.3mm以上」)
第三の砂(急速濾過用砂、トーケミ社製、「日本水道協会規格 JWWA A103−1:2006規格品、有効径:1mm、均等係数:1.5以下、最大径2.8mm以下、最小径0.5mm以上」)
砂利(濾過用砂利、トーケミ社製、「日本水道協会規格 JWWA A103−4:2006規格品、粒度:4〜8mm、粒度内%:85%以上」)
純水に、フッ素イオン濃度が5.0ppmとなるようにフッ化ナトリウムを1.1mg添加して、容器中にフッ素含有水0.1kgを得た。
続いてこのフッ素含有水に、リン酸水素カルシウム二水和物(太平化学産業社製)を添加し、反応したリン酸水素カルシウム二水和物をフィルター濾紙で濾過し、リン酸イオン濃度を30ppmに調整した処理対象水を得た。
作製例1の反応槽に、調製例6で調製した処理対象水(リン酸イオン濃度:30ppm)200Lを、通水速度25mL/分で投入し、処理対象水を処理した。処理後、反応槽から排出された処理水を一部採取し、そのリン酸イオン濃度を測定したところ、1ppm未満であった。また、処理中の液位(反応槽中の第一の砂層の上部界面から液面までの高さ)は処理開始時から一定して10cmであった。
反応槽に投入する処理対象水の量を表3の通りとした以外は、実施例23と同様にして、処理対象水を処理した。処理後、反応槽から排出された処理水を一部採取し、そのリン酸イオン濃度を測定した。結果を表3に示す。また、処理中の液位はいずれの実施例においても処理開始時から一定して10cmであった。
処理量が500Lとなっても、液位に変化がなく、通水性が維持されていた。また、処理水におけるリン酸イオン濃度低減効果からリン浄化剤の流出は行っていないと推測される。
2:ポンプ
10:反応槽
11:第一の砂層
12:リン浄化剤層
13:第二の砂層
14:第三の砂層
15:砂利層
16:排水口
Claims (10)
- リン酸イオンを含有する水溶液に、リン浄化剤を添加する工程を含み、該リン浄化剤はリン酸イオンを含有する水溶液中にマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを生成させる、リン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- リン酸イオンを含有する水溶液と、リン浄化剤とを接触させる工程を含み、該リン浄化剤は、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含む、リン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- 前記リン浄化剤は、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子(A)と、粒子(A)以外の粒子(B)とを含み、粒子(A)が粒子(B)に担持されている請求項2記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- 前記接触工程は、前記リン浄化剤を収容した反応槽にリン酸イオンを含有する水溶液を通過させる工程であり、
該反応槽は、砂及び前記リン浄化剤を収容しており、該砂及びリン浄化剤は、前記反応槽の上部から順に、第一の砂層、リン浄化剤層、及び、第二の砂層を構成し、
該第一の砂層は、有効径が前記粒子(B)よりも小さい第一の砂からなり、
該リン浄化剤層は、前記リン浄化剤を含み、
該第二の砂層は、有効径が前記粒子(B)よりも小さい第二の砂からなる、
請求項2又は3記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。 - 前記接触工程において、リン浄化剤と共に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、塩化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を併用する請求項2〜4のいずれかに記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- 前記リン酸イオンを含有する水溶液は、フッ素を含有する水溶液をリン酸水素カルシウム二水和物と接触させて得られる、
請求項1〜5のいずれかに記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。 - 前記リン酸イオンを含有する水溶液は、更にカルシウムイオンを含有する、
請求項1〜6のいずれかに記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。 - リン酸イオン及びカルシウムイオンを含有する水溶液と、水酸化マグネシウム粒子とを接触させる工程を含むリン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- リン酸イオンを含有する水溶液と、水酸化マグネシウム粒子及び硫酸カルシウム粒子とを接触させる工程を含むリン酸イオン含有水溶液の処理方法。
- 前記処理方法は、塩化物イオンが生成しない、
請求項1〜9のいずれかに記載のリン酸イオン含有水溶液の処理方法。
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