JP2005028272A - リン成分吸着剤及びそれを用いた排水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種排水を効率よく低コストで処理する為に、排水中のリン成分の吸着容量が高く、リン成分が高濃度でも或は懸濁物質を含んだままでも短時間で吸着処理が出来、同時に窒素成分も吸着処理可能なリン成分吸着剤、及びそれを用いた簡易な排水の処理方法を提供する。
【解決手段】レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むリン成分吸着剤。及び、当該リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離する排水の処理方法。
【選択図】 なし
【解決手段】レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むリン成分吸着剤。及び、当該リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離する排水の処理方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン含有排水の処理方法及びそれに用いるリン成分吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、排水処理において、COD(化学的酸素要求量)、BOD(生化学的酸素要求量)、SS(懸濁物質)等の除去に加えて、閉鎖性水域で特に問題になっている富栄養化の一因であるリンの除去の必要性が叫ばれており、第5次水質総量規制の対象項目になっている。従来、このリン成分の除去技術としては、▲1▼金属塩等の凝集剤とリン成分を反応させ難溶性のリン酸塩として除去する凝集沈殿法、▲2▼リン成分をヒドロキシアパタイトやリン酸マグネシウムアンモニウムの形で析出させる晶析法、▲3▼微生物のリン過剰摂取作用を利用した生物学的脱リン法等が知られており、経済性や処理効率の観点から▲1▼凝集沈殿法が一般的であり、実用化された例も多い。
【0003】
しかし、▲1▼の凝集沈殿法は、最も技術的に確立された方法であるが、凝集剤由来の塩類の排水中への流出や固液分離性が極めて悪く再利用の困難な汚泥が大量に発生するなどの二次的な問題を抱えている。また、▲2▼の晶析法では設備コストが大きくなる、▲3▼の生物学的脱リン法では処理効果に安定性が欠けるなどそれぞれ問題を残しているのが現状である。
そこで、350〜700℃の低温度で焼成した、粒度200メッシュ以下(127μm以下)のマグネシア系吸着剤を用いて処理するに際し、リン成分を吸着した吸着剤(不溶性沈殿)を排水から分離後、350〜700℃で焼成する工程と、この焼成物と、それより高い吸着活性を持つ補充マグネシア系吸着剤とを併用して再びリン含有排水を処理する工程を繰返し行う排水処理が行われている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法でも焼成工程や補充吸着剤を必要とするなどのコストや時間面でなお問題点を有していた。
【0004】
【特許文献1】
特公昭59−11357号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記の問題点を解消すること、すなわち、二次的な環境への負荷が少なく、効率よく低コストでリン除去が可能で、設備コストが安価な処理技術の開発、特に各種排水を効率よく処理する為に、排水中のリン成分の吸着容量が高く、リン成分が高濃度でも或は懸濁物質を含んだままでも短時間で吸着処理が出来、同時に窒素成分も吸着処理可能なリン成分吸着剤、及びそれを用いた簡易な排水の処理方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討を進めた結果、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下、更には、ガス吸着法による細孔分布において、細孔半径10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上である酸化マグネシウムを含むリン成分吸着剤、及び当該リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理対象排水に接触させることが、排水から十分にリン成分を吸着させた後、分離することを見出した。この知見に基づき本発明をなすに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むことを特徴とするリン成分吸着剤、
(2)前記酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が0.1〜150μmであることを特徴とする(1)項記載のリン成分吸着剤、
(3)pH8〜11の被処理液に用いられることを特徴とする(1)又は(2)項記載のリン成分吸着剤、
(4)前記酸化マグネシウムは、ガス吸着法による細孔分布において、細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤、
(5)前記酸化マグネシウムは、加熱することにより酸化マグネシウムを形成するマグネシウム含有物を1,100℃以下の温度で焼成し、その後、レーザー解析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下の粒径に調整したことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤、
(6)レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを40〜99質量%と、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を含む成分を1〜60質量%含むことを特徴とするリン成分吸着剤、
(7)マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種が1〜50質量%含まれることを特徴とする(6)項記載のリン成分吸着剤、
(8)前記金属が鉄、カルシウムまたはアルミニウムであることを特徴とする(6)又は(7)項記載のリン成分吸着剤、
(9)前記含水ケイ酸塩がベントナイト、ゼオライト、モンモリロン族を含む粘土鉱物、膨潤性マイカ群鉱物またはバーミキュライト群鉱物であることを特徴とする(6)又は(7)項記載のリン成分吸着剤、
(10)前記含水ケイ酸塩がベントナイトまたはゼオライトであることを特徴とする(6)、(7)又は(9)項記載のリン成分吸着剤、
(11)(1)〜(10)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする排水の処理方法、
(12)前記リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする(11)項記載の排水の処理方法、
(13)処理排水中の懸濁物質を事前に除去することなく、前記リン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮した後、懸濁物質と共に固液分離により除去することを特徴とする(11)又は(12)項記載の排水の処理方法、及び、
(14)前記リン成分吸着剤をリン成分及び窒素成分を含有する処理排水中に分散し、リン成分と窒素成分を同時に濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする(11)〜(13)のいずれか1項に記載の排水の処理方法
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のリン成分吸着剤は、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むものである。レーザー回析散乱法による粒径の測定については、例えば、「微粒子工学体系 第1巻 基本技術」(フジ・テクノシステム、平成13年10月発行)に記載されている。酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上である粒径は、好ましくは0.1〜150μm、より好ましくは1〜125μm、さらに好ましくは10μm〜100μmである。粒度が大きすぎると、リンの吸着能が極端に低いものとなる。
【0009】
本発明のリン成分吸着剤における酸化マグネシウムは、例えば、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、マグネサイト、水滑石(brucite)等のマグネシウム含有物を加熱することにより形成することが出来る。
【0010】
本発明のリン成分吸着剤は、酸化マグネシウムをガス吸着法による細孔分布において、細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上になるように形成することが好ましい。細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が小さすぎるとリン吸着量が著しく小さくなる。ガス吸着法による細孔分布の測定については、例えば、「微粒子工学体系 第1巻 基本技術」(フジ・テクノシステム、平成13年10月発行)に記載されている。
【0011】
また、本発明においては、酸化マグネシウムを10〜500Åの細孔半径の範囲の細孔容積が0.01ml/g以上になるように、上記の加熱することにより酸化マグネシウムを形成するマグネシウム含有物を1,100℃以下の温度で焼成し、その後、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下の粒径に調整することによって形成することが好ましい。この場合、その焼成を行う軽焼温度として設定される範囲は、好ましくは200〜1,100℃、更に好ましくは300〜900℃、より好ましくは400〜800℃である。軽焼温度がこれより低くても、逆に高すぎても得られた酸化マグネシウム(マグネシア)はリンの吸着能が極端に低いものとなる。原料の水酸化マグネシウムからポーラスな状態の酸化マグネシウムを形成する速度によって異なるが、焼成時間は10分〜120分が好ましく、30分〜90分がさらに好ましい。また、焼成後の粒径の調節には、例えば、望ましい大きさ網目を持った篩を通過させることにより行うことができる。
【0012】
また、本発明のリン成分吸着剤は、マグネシア(酸化マグネシウム)40〜99質量%と、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を含む成分を1〜60質量%含むことことができる。マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれる1種は吸着剤当り1〜50質量%含むことが好ましい。
マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物としては、例えば、鉄、アルミニウム、カルシウム、ニッケル、チタン、亜鉛の中から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物若しくは水酸化物が挙げられ、特に鉄、カルシウムまたはアルミニウムの酸化物若しくは水酸化物が好ましい。
【0013】
また、本発明に用いられる含水ケイ酸塩としては、例えば、ベントナイト、活性白土、酸性白土などの膨潤性粘土、モンモリロン族を含む粘土鉱物、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト群鉱物、Naテニオライト、Liテニオライトなどの膨潤性マイカ群鉱物、バーミキュライト群鉱物、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイトなどが挙げられ、これらを一種または二種以上を用いることができる。
本発明において特に有用な含水ケイ酸塩は、ベントナイトまたはゼオライトである。
【0014】
本発明においては、上記の如くして得られるリン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分含有排水とを接触させることにより、リン酸イオンなどリン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することが出来る。この際、リン成分吸着剤とリン成分含有排水との接触方法は、任意の方法を採用してよく、例えば、通常のバッチ型攪拌接触方式、インライン型攪拌接触方式、充填区域流通接触方式等の方式を採用することが出来る。また固液分離の方法としては、任意の方法を採用してよく、例えば、通常の自然沈降分離方式、機械的分離方式等の方式を採用することが出来る。機械的分離方式としては、例えば、通常のサイクロン、スクリーン、ストレーナー等のスタティック分離装置や、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、ドラムプレス、スクリュープレス、真空脱水機、電気式脱水機等の固液分離機を用いることが出来る。
【0015】
また、本発明のリン成分吸着剤は、好ましくはpH8〜11の被処理水に用いられるものである。本発明の排水処理方法においては、前記リン成分吸着剤とリン成分含有処理排水とを接触させリンを濃縮吸着する反応において、被処理液のpHを8〜11にコントロールしながらリン成分吸着剤を処理排水中に分散することが好ましい。被処理液のpHは10付近であることがさらに好ましい。被処理液のpHがこの範囲を外れるとリンの吸着除去効果が著しく低下する為、好ましくない。本発明において、pHをコントロールする方法としては、任意の方法を採用してよく、例えば、通常の薬液注入方式、ガス吹込方式、電気分解方式等の方式を採用することが出来る。
【0016】
また、本発明においては、リン含有処理排水中のSS(懸濁物質)を事前に除去することなく、リン成分吸着剤をリン含有処理排水に接触させ、リン成分をリン成分吸着剤に濃縮吸着し、SSと共に固液分離により除去することができる。この固液分離の方法としては、上記の固液分離の方法の具体例を採用することが出来る。
SSと共にリン成分を濃縮吸着した粉末状吸着剤を回収する場合には、回収された脱水ケーキの性状に応じて、適宜、再脱水、乾燥、解砕、粉砕等二次処理を行い、肥料、飼料等に有効利用することが出来る。
【0017】
また、本発明においては、リン成分吸着剤をリン成分及び窒素成分を含有する処理排水に接触させ、リン成分と窒素成分を同時にリン成分吸着剤に濃縮吸着させた後、固液分離により除去することができる。しかも、本発明品は、従来から用いられているMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)法よりも非常に高いリンと窒素の吸着能があるため、低添加率で安価に処理することができる。この場合、排水中に含まれるリン成分及び窒素成分の量に特に制限はないが、リン成分または窒素成分の含有量が多く、このリン成分または窒素成分のいずれかの除去を主な目的とする場合は、その除去対象成分含有量に応じてリン成分吸着剤の添加量を設定する必要がある。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)を500℃の電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤を目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、日機装株式会社製、Microtrac MT3000(商品名)を用いたレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下のリン成分吸着剤(以下「吸着剤Mg」と表記する)を得た。この吸着剤Mg 0.5gをリン濃度300mg−P/Lに調整したリン酸二水素カリウム溶液(以下「模擬排水1」)と表記)1,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの水溶液を用いpHを6、7、8、9、10、11及び12の各設定値付近にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した。模擬排水1中のリン酸イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差を初期濃度に対してパーセントで表した「除去率%」、及び、吸着剤1g当りのリン吸着量(mg)の「吸着量mg−P/g」を算出し、それぞれのリン除去効果を比較した結果を表1に示す。この表から明らかなように、pHを8〜11にコントロールした場合は、非常に高いリン除去効果を示している。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例2
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)90質量部とベントナイト(クニミネ工業社製)10質量部を充分に混ぜ、更に水を25質量部混ぜ、径約1mm、長さ約3mmのペレット状に造粒し、500℃の電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤をサンプルミルで粉砕した後、篩で、45μm未満、45μm〜53μm、53μm〜75μm、75μm〜150μm、150μm〜250μm、250μm〜500μm、及び500μm以上の各粒径に調整し、リン成分吸着剤を得た。得られたリン成分吸着剤の各0.5gを実施例1で用いた模擬排水1の1,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い3時間攪拌した以外は実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。また、それぞれの粒径において、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の累積分布として90%以上を占める大きさ(μm)を「d90 μm」に示した。この表から明らかなように、粒径を150μm以下に調整した場合は、非常に高いリン除去効果を示している。
【0021】
【表2】
【0022】
実施例3
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)を200℃、300℃、500℃、600℃、700℃、900℃、1000℃、及び、1200℃に設定した電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤を目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、最大粒径150μm以下のリン成分吸着剤を得た。また、ユアサアイオニクス株式会社製、NOVA−1000(商品名)を用いたガス吸着法により各吸着剤の細孔分布を測定した。得られた吸着剤 0.2gをリン濃度1000mg−P/Lに調整したリン酸二水素カリウム溶液(以下「模擬排水2」)と表記)2,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの水溶液を用いpH10±0.5の設定値付近にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した。模擬排水2中のリン酸イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差から吸着剤1g当りのリン吸着量(mg)を算出し、それぞれのリン除去効果を比較した結果を表3に示す。この表から明らかなように、「細孔容積(mg/g)」で示した細孔半径が10〜500Åの範囲内の細孔容積が0.01m2/g以上の場合は、「吸着量(mg−P/g)」で示すリン吸着量が非常に高く、非常に高いリン除去効果を示している。
【0023】
【表3】
【0024】
実施例4
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)45質量部とベントナイト(クニミネ工業社製)10質量部と酸化第二鉄(森下弁柄工業社製)45質量部を充分に混ぜ、更に水を25質量部混ぜ、径約1mm、長さ約3mmのペレット状に造粒し、実施例3と同様に測定した細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/gになるように500℃の電気炉で一時間軽焼し吸着剤を得た。次にこの吸着剤をサンプルミルで粉砕し、目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、実施例1と同様に測定したレーザー解析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下のリン成分吸着剤(以下「吸着剤Fe」と表記する)を得た。得られた吸着剤Mg 0.1gをリン濃度300mg−P/L及び窒素濃度100mg−N/Lに調整したリン酸二水素カリウムと塩化アンモニウムを含む混合液(以下「模擬排水3」)と表記)1,000cm3中に添加し、pHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量すると共にアンモニア体窒素イオン濃度をイオン電極法によって測定した。模擬排水3中のリン酸イオン及びアンモニア体窒素イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差からリンの除去率%(「P除去率%」)及びリンの吸着剤1g当りの吸着量mg(「P吸着量mg−P/g」)、並びに、窒素の除去率%(「N除去率%」)及び窒素の吸着剤1g当りの吸着量mg(「N吸着量mg−N/g」)を算出し、除去効果を比較した結果を表4に示す。
【0025】
実施例5
酸化第二鉄に代えて水酸化カルシウム(東ソー社製)45質量部を用いた以外は、実施例4と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Ca」と表記する)を得た。この吸着剤Caを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0026】
実施例6
酸化第二鉄に代えて水酸化アルミニウム(日本軽金属社製)45質量部を用いた以外は、実施例4と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Al」と表記する)を得た。この吸着剤Alを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0027】
実施例7
酸化第二鉄に代えてゼオライト(製品名:日東ゼオライト#150、日東粉化工業社製)45質量部を用いた以外は、実施例3と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Zeo」と表記する)を得た。この吸着剤Zeoを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0028】
【表4】
【0029】
この表から明らかなように、それぞれのリン成分吸着剤は、非常に高いリン除去効果を示すと共に、高い窒素除去効果を示している。
【0030】
実施例8
実施例1で得られた吸着剤Mgの添加量を変え、SS(懸濁物質)を4%含む食品工場から採取した排水(リン酸イオン濃度93mg−P/L)にSSを含んだまま(「SS込み」と表記)、或はSSを除去した後(「液のみ」と表記)添加し、NaOHまたはHCl溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い15分間攪拌した。攪拌後、濾別し、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した結果を図1に示す。図1から明らかなように、吸着剤Mgは、SSを含んだままでも非常に高いリン除去効果を示した。また、吸着剤添加量1,000ppmの時、排水中のアンモニア体窒素イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差からN除去率%を算出した結果、SS込み液における除去率は97.8%であった。
【0031】
実施例9
実施例1で得られた吸着剤Mg 1gを、SS(懸濁物質)を4%含む食品工場から採取した排水(リン濃度767mg−P/L)にSSを含んだまま添加し、NaOHまたはHCl溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い15分間攪拌した。攪拌後、濾別し、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した結果、吸着剤添加量1,000ppmの時、P除去率は91%であり、SSを含んだままでも非常に高いリン除去効果を示した。
【0032】
【発明の効果】
本発明のリン成分吸着剤は酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上を150μm以下とすることで非常に効率的にリン除去を行うことができる。更に、酸化マグネシウムの細孔半径が10〜500Åの範囲内の細孔容積を0.01m2/g以上に調整したリン成分吸着剤を用い、被処理液のpHを8〜11にコントロールすることにより、二次的な環境の負荷が少なく、効率よく低コストでリン除去が可能である。更に、リン成分が高濃度でも、或いは、懸濁物質を含んだままでも短時間で吸着処理ができ、同時に窒素成分も吸着可能であるため、各種排水を効率よく処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8における濾液中のリン酸イオン濃度を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン含有排水の処理方法及びそれに用いるリン成分吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、排水処理において、COD(化学的酸素要求量)、BOD(生化学的酸素要求量)、SS(懸濁物質)等の除去に加えて、閉鎖性水域で特に問題になっている富栄養化の一因であるリンの除去の必要性が叫ばれており、第5次水質総量規制の対象項目になっている。従来、このリン成分の除去技術としては、▲1▼金属塩等の凝集剤とリン成分を反応させ難溶性のリン酸塩として除去する凝集沈殿法、▲2▼リン成分をヒドロキシアパタイトやリン酸マグネシウムアンモニウムの形で析出させる晶析法、▲3▼微生物のリン過剰摂取作用を利用した生物学的脱リン法等が知られており、経済性や処理効率の観点から▲1▼凝集沈殿法が一般的であり、実用化された例も多い。
【0003】
しかし、▲1▼の凝集沈殿法は、最も技術的に確立された方法であるが、凝集剤由来の塩類の排水中への流出や固液分離性が極めて悪く再利用の困難な汚泥が大量に発生するなどの二次的な問題を抱えている。また、▲2▼の晶析法では設備コストが大きくなる、▲3▼の生物学的脱リン法では処理効果に安定性が欠けるなどそれぞれ問題を残しているのが現状である。
そこで、350〜700℃の低温度で焼成した、粒度200メッシュ以下(127μm以下)のマグネシア系吸着剤を用いて処理するに際し、リン成分を吸着した吸着剤(不溶性沈殿)を排水から分離後、350〜700℃で焼成する工程と、この焼成物と、それより高い吸着活性を持つ補充マグネシア系吸着剤とを併用して再びリン含有排水を処理する工程を繰返し行う排水処理が行われている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法でも焼成工程や補充吸着剤を必要とするなどのコストや時間面でなお問題点を有していた。
【0004】
【特許文献1】
特公昭59−11357号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記の問題点を解消すること、すなわち、二次的な環境への負荷が少なく、効率よく低コストでリン除去が可能で、設備コストが安価な処理技術の開発、特に各種排水を効率よく処理する為に、排水中のリン成分の吸着容量が高く、リン成分が高濃度でも或は懸濁物質を含んだままでも短時間で吸着処理が出来、同時に窒素成分も吸着処理可能なリン成分吸着剤、及びそれを用いた簡易な排水の処理方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討を進めた結果、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下、更には、ガス吸着法による細孔分布において、細孔半径10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上である酸化マグネシウムを含むリン成分吸着剤、及び当該リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理対象排水に接触させることが、排水から十分にリン成分を吸着させた後、分離することを見出した。この知見に基づき本発明をなすに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むことを特徴とするリン成分吸着剤、
(2)前記酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が0.1〜150μmであることを特徴とする(1)項記載のリン成分吸着剤、
(3)pH8〜11の被処理液に用いられることを特徴とする(1)又は(2)項記載のリン成分吸着剤、
(4)前記酸化マグネシウムは、ガス吸着法による細孔分布において、細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤、
(5)前記酸化マグネシウムは、加熱することにより酸化マグネシウムを形成するマグネシウム含有物を1,100℃以下の温度で焼成し、その後、レーザー解析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下の粒径に調整したことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤、
(6)レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを40〜99質量%と、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を含む成分を1〜60質量%含むことを特徴とするリン成分吸着剤、
(7)マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種が1〜50質量%含まれることを特徴とする(6)項記載のリン成分吸着剤、
(8)前記金属が鉄、カルシウムまたはアルミニウムであることを特徴とする(6)又は(7)項記載のリン成分吸着剤、
(9)前記含水ケイ酸塩がベントナイト、ゼオライト、モンモリロン族を含む粘土鉱物、膨潤性マイカ群鉱物またはバーミキュライト群鉱物であることを特徴とする(6)又は(7)項記載のリン成分吸着剤、
(10)前記含水ケイ酸塩がベントナイトまたはゼオライトであることを特徴とする(6)、(7)又は(9)項記載のリン成分吸着剤、
(11)(1)〜(10)のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする排水の処理方法、
(12)前記リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする(11)項記載の排水の処理方法、
(13)処理排水中の懸濁物質を事前に除去することなく、前記リン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮した後、懸濁物質と共に固液分離により除去することを特徴とする(11)又は(12)項記載の排水の処理方法、及び、
(14)前記リン成分吸着剤をリン成分及び窒素成分を含有する処理排水中に分散し、リン成分と窒素成分を同時に濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする(11)〜(13)のいずれか1項に記載の排水の処理方法
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のリン成分吸着剤は、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むものである。レーザー回析散乱法による粒径の測定については、例えば、「微粒子工学体系 第1巻 基本技術」(フジ・テクノシステム、平成13年10月発行)に記載されている。酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上である粒径は、好ましくは0.1〜150μm、より好ましくは1〜125μm、さらに好ましくは10μm〜100μmである。粒度が大きすぎると、リンの吸着能が極端に低いものとなる。
【0009】
本発明のリン成分吸着剤における酸化マグネシウムは、例えば、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、マグネサイト、水滑石(brucite)等のマグネシウム含有物を加熱することにより形成することが出来る。
【0010】
本発明のリン成分吸着剤は、酸化マグネシウムをガス吸着法による細孔分布において、細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上になるように形成することが好ましい。細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が小さすぎるとリン吸着量が著しく小さくなる。ガス吸着法による細孔分布の測定については、例えば、「微粒子工学体系 第1巻 基本技術」(フジ・テクノシステム、平成13年10月発行)に記載されている。
【0011】
また、本発明においては、酸化マグネシウムを10〜500Åの細孔半径の範囲の細孔容積が0.01ml/g以上になるように、上記の加熱することにより酸化マグネシウムを形成するマグネシウム含有物を1,100℃以下の温度で焼成し、その後、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下の粒径に調整することによって形成することが好ましい。この場合、その焼成を行う軽焼温度として設定される範囲は、好ましくは200〜1,100℃、更に好ましくは300〜900℃、より好ましくは400〜800℃である。軽焼温度がこれより低くても、逆に高すぎても得られた酸化マグネシウム(マグネシア)はリンの吸着能が極端に低いものとなる。原料の水酸化マグネシウムからポーラスな状態の酸化マグネシウムを形成する速度によって異なるが、焼成時間は10分〜120分が好ましく、30分〜90分がさらに好ましい。また、焼成後の粒径の調節には、例えば、望ましい大きさ網目を持った篩を通過させることにより行うことができる。
【0012】
また、本発明のリン成分吸着剤は、マグネシア(酸化マグネシウム)40〜99質量%と、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を含む成分を1〜60質量%含むことことができる。マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれる1種は吸着剤当り1〜50質量%含むことが好ましい。
マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物としては、例えば、鉄、アルミニウム、カルシウム、ニッケル、チタン、亜鉛の中から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物若しくは水酸化物が挙げられ、特に鉄、カルシウムまたはアルミニウムの酸化物若しくは水酸化物が好ましい。
【0013】
また、本発明に用いられる含水ケイ酸塩としては、例えば、ベントナイト、活性白土、酸性白土などの膨潤性粘土、モンモリロン族を含む粘土鉱物、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト群鉱物、Naテニオライト、Liテニオライトなどの膨潤性マイカ群鉱物、バーミキュライト群鉱物、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイトなどが挙げられ、これらを一種または二種以上を用いることができる。
本発明において特に有用な含水ケイ酸塩は、ベントナイトまたはゼオライトである。
【0014】
本発明においては、上記の如くして得られるリン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分含有排水とを接触させることにより、リン酸イオンなどリン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することが出来る。この際、リン成分吸着剤とリン成分含有排水との接触方法は、任意の方法を採用してよく、例えば、通常のバッチ型攪拌接触方式、インライン型攪拌接触方式、充填区域流通接触方式等の方式を採用することが出来る。また固液分離の方法としては、任意の方法を採用してよく、例えば、通常の自然沈降分離方式、機械的分離方式等の方式を採用することが出来る。機械的分離方式としては、例えば、通常のサイクロン、スクリーン、ストレーナー等のスタティック分離装置や、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、ドラムプレス、スクリュープレス、真空脱水機、電気式脱水機等の固液分離機を用いることが出来る。
【0015】
また、本発明のリン成分吸着剤は、好ましくはpH8〜11の被処理水に用いられるものである。本発明の排水処理方法においては、前記リン成分吸着剤とリン成分含有処理排水とを接触させリンを濃縮吸着する反応において、被処理液のpHを8〜11にコントロールしながらリン成分吸着剤を処理排水中に分散することが好ましい。被処理液のpHは10付近であることがさらに好ましい。被処理液のpHがこの範囲を外れるとリンの吸着除去効果が著しく低下する為、好ましくない。本発明において、pHをコントロールする方法としては、任意の方法を採用してよく、例えば、通常の薬液注入方式、ガス吹込方式、電気分解方式等の方式を採用することが出来る。
【0016】
また、本発明においては、リン含有処理排水中のSS(懸濁物質)を事前に除去することなく、リン成分吸着剤をリン含有処理排水に接触させ、リン成分をリン成分吸着剤に濃縮吸着し、SSと共に固液分離により除去することができる。この固液分離の方法としては、上記の固液分離の方法の具体例を採用することが出来る。
SSと共にリン成分を濃縮吸着した粉末状吸着剤を回収する場合には、回収された脱水ケーキの性状に応じて、適宜、再脱水、乾燥、解砕、粉砕等二次処理を行い、肥料、飼料等に有効利用することが出来る。
【0017】
また、本発明においては、リン成分吸着剤をリン成分及び窒素成分を含有する処理排水に接触させ、リン成分と窒素成分を同時にリン成分吸着剤に濃縮吸着させた後、固液分離により除去することができる。しかも、本発明品は、従来から用いられているMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)法よりも非常に高いリンと窒素の吸着能があるため、低添加率で安価に処理することができる。この場合、排水中に含まれるリン成分及び窒素成分の量に特に制限はないが、リン成分または窒素成分の含有量が多く、このリン成分または窒素成分のいずれかの除去を主な目的とする場合は、その除去対象成分含有量に応じてリン成分吸着剤の添加量を設定する必要がある。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)を500℃の電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤を目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、日機装株式会社製、Microtrac MT3000(商品名)を用いたレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下のリン成分吸着剤(以下「吸着剤Mg」と表記する)を得た。この吸着剤Mg 0.5gをリン濃度300mg−P/Lに調整したリン酸二水素カリウム溶液(以下「模擬排水1」)と表記)1,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの水溶液を用いpHを6、7、8、9、10、11及び12の各設定値付近にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した。模擬排水1中のリン酸イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差を初期濃度に対してパーセントで表した「除去率%」、及び、吸着剤1g当りのリン吸着量(mg)の「吸着量mg−P/g」を算出し、それぞれのリン除去効果を比較した結果を表1に示す。この表から明らかなように、pHを8〜11にコントロールした場合は、非常に高いリン除去効果を示している。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例2
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)90質量部とベントナイト(クニミネ工業社製)10質量部を充分に混ぜ、更に水を25質量部混ぜ、径約1mm、長さ約3mmのペレット状に造粒し、500℃の電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤をサンプルミルで粉砕した後、篩で、45μm未満、45μm〜53μm、53μm〜75μm、75μm〜150μm、150μm〜250μm、250μm〜500μm、及び500μm以上の各粒径に調整し、リン成分吸着剤を得た。得られたリン成分吸着剤の各0.5gを実施例1で用いた模擬排水1の1,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い3時間攪拌した以外は実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。また、それぞれの粒径において、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の累積分布として90%以上を占める大きさ(μm)を「d90 μm」に示した。この表から明らかなように、粒径を150μm以下に調整した場合は、非常に高いリン除去効果を示している。
【0021】
【表2】
【0022】
実施例3
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)を200℃、300℃、500℃、600℃、700℃、900℃、1000℃、及び、1200℃に設定した電気炉で一時間焼成し吸着剤を得た。次にこの吸着剤を目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、最大粒径150μm以下のリン成分吸着剤を得た。また、ユアサアイオニクス株式会社製、NOVA−1000(商品名)を用いたガス吸着法により各吸着剤の細孔分布を測定した。得られた吸着剤 0.2gをリン濃度1000mg−P/Lに調整したリン酸二水素カリウム溶液(以下「模擬排水2」)と表記)2,000cm3中に添加し、NaOHまたはHClの水溶液を用いpH10±0.5の設定値付近にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した。模擬排水2中のリン酸イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差から吸着剤1g当りのリン吸着量(mg)を算出し、それぞれのリン除去効果を比較した結果を表3に示す。この表から明らかなように、「細孔容積(mg/g)」で示した細孔半径が10〜500Åの範囲内の細孔容積が0.01m2/g以上の場合は、「吸着量(mg−P/g)」で示すリン吸着量が非常に高く、非常に高いリン除去効果を示している。
【0023】
【表3】
【0024】
実施例4
市販の水酸化マグネシウム(日本海水化工社製)45質量部とベントナイト(クニミネ工業社製)10質量部と酸化第二鉄(森下弁柄工業社製)45質量部を充分に混ぜ、更に水を25質量部混ぜ、径約1mm、長さ約3mmのペレット状に造粒し、実施例3と同様に測定した細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/gになるように500℃の電気炉で一時間軽焼し吸着剤を得た。次にこの吸着剤をサンプルミルで粉砕し、目開き150μmの篩でふるって粒度を調整し、実施例1と同様に測定したレーザー解析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下のリン成分吸着剤(以下「吸着剤Fe」と表記する)を得た。得られた吸着剤Mg 0.1gをリン濃度300mg−P/L及び窒素濃度100mg−N/Lに調整したリン酸二水素カリウムと塩化アンモニウムを含む混合液(以下「模擬排水3」)と表記)1,000cm3中に添加し、pHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い30分間攪拌した。攪拌後の吸着剤を濾別し、各濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量すると共にアンモニア体窒素イオン濃度をイオン電極法によって測定した。模擬排水3中のリン酸イオン及びアンモニア体窒素イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差からリンの除去率%(「P除去率%」)及びリンの吸着剤1g当りの吸着量mg(「P吸着量mg−P/g」)、並びに、窒素の除去率%(「N除去率%」)及び窒素の吸着剤1g当りの吸着量mg(「N吸着量mg−N/g」)を算出し、除去効果を比較した結果を表4に示す。
【0025】
実施例5
酸化第二鉄に代えて水酸化カルシウム(東ソー社製)45質量部を用いた以外は、実施例4と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Ca」と表記する)を得た。この吸着剤Caを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0026】
実施例6
酸化第二鉄に代えて水酸化アルミニウム(日本軽金属社製)45質量部を用いた以外は、実施例4と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Al」と表記する)を得た。この吸着剤Alを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0027】
実施例7
酸化第二鉄に代えてゼオライト(製品名:日東ゼオライト#150、日東粉化工業社製)45質量部を用いた以外は、実施例3と同様の方法でリン成分吸着剤(以下「吸着剤Zeo」と表記する)を得た。この吸着剤Zeoを実施例4の方法と同様にして評価した結果を表4に併せて示す。
【0028】
【表4】
【0029】
この表から明らかなように、それぞれのリン成分吸着剤は、非常に高いリン除去効果を示すと共に、高い窒素除去効果を示している。
【0030】
実施例8
実施例1で得られた吸着剤Mgの添加量を変え、SS(懸濁物質)を4%含む食品工場から採取した排水(リン酸イオン濃度93mg−P/L)にSSを含んだまま(「SS込み」と表記)、或はSSを除去した後(「液のみ」と表記)添加し、NaOHまたはHCl溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い15分間攪拌した。攪拌後、濾別し、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した結果を図1に示す。図1から明らかなように、吸着剤Mgは、SSを含んだままでも非常に高いリン除去効果を示した。また、吸着剤添加量1,000ppmの時、排水中のアンモニア体窒素イオンの初期濃度と吸着処理後の残存濃度との差からN除去率%を算出した結果、SS込み液における除去率は97.8%であった。
【0031】
実施例9
実施例1で得られた吸着剤Mg 1gを、SS(懸濁物質)を4%含む食品工場から採取した排水(リン濃度767mg−P/L)にSSを含んだまま添加し、NaOHまたはHCl溶液を用いpHを10±0.5にコントロールしながら、スターラーを用い15分間攪拌した。攪拌後、濾別し、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法にて定量した結果、吸着剤添加量1,000ppmの時、P除去率は91%であり、SSを含んだままでも非常に高いリン除去効果を示した。
【0032】
【発明の効果】
本発明のリン成分吸着剤は酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上を150μm以下とすることで非常に効率的にリン除去を行うことができる。更に、酸化マグネシウムの細孔半径が10〜500Åの範囲内の細孔容積を0.01m2/g以上に調整したリン成分吸着剤を用い、被処理液のpHを8〜11にコントロールすることにより、二次的な環境の負荷が少なく、効率よく低コストでリン除去が可能である。更に、リン成分が高濃度でも、或いは、懸濁物質を含んだままでも短時間で吸着処理ができ、同時に窒素成分も吸着可能であるため、各種排水を効率よく処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8における濾液中のリン酸イオン濃度を示すグラフである。
Claims (14)
- レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを含むことを特徴とするリン成分吸着剤。
- 前記酸化マグネシウムのレーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が0.1〜150μmであることを特徴とする請求項1記載のリン成分吸着剤。
- pH8〜11の被処理液に用いられることを特徴とする請求項1又は2記載のリン成分吸着剤。
- 前記酸化マグネシウムは、ガス吸着法による細孔分布において、細孔半径が10〜500Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤。
- 前記酸化マグネシウムは、加熱することにより酸化マグネシウムを形成するマグネシウム含有物を1,100℃以下の温度で焼成し、その後、レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下の粒径に調整したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤。
- レーザー回析散乱法により測定した体積基準の90%以上が150μm以下である酸化マグネシウムを40〜99質量%と、マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を含む成分を1〜60質量%含むことを特徴とするリン成分吸着剤。
- マグネシウム以外の二価又は三価の金属の酸化物若しくは水酸化物、及び、含水ケイ酸塩の中から選ばれた少なくとも1種が1〜50質量%含まれることを特徴とする請求項6記載のリン成分吸着剤。
- 前記金属が鉄、カルシウムまたはアルミニウムであることを特徴とする請求項6又は7記載のリン成分吸着剤。
- 前記含水ケイ酸塩がベントナイト、ゼオライト、モンモリロン族を含む粘土鉱物、膨潤性マイカ群鉱物またはバーミキュライト群鉱物であることを特徴とする請求項6又は7記載のリン成分吸着剤。
- 前記含水ケイ酸塩がベントナイトまたはゼオライトであることを特徴とする請求項6,7又は9記載のリン成分吸着剤。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のリン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする排水の処理方法。
- 前記リン成分吸着剤を被処理液のpHを8〜11にコントロールしながら処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする請求項11記載の排水の処理方法。
- 処理排水中の懸濁物質を事前に除去することなく、前記リン成分吸着剤を処理排水中に分散し、リン成分を濃縮吸着させた後、懸濁物質と共に固液分離により除去することを特徴とする請求項11又は12記載の排水の処理方法。
- 前記リン成分吸着剤をリン成分及び窒素成分を含有する処理排水中に分散し、リン成分と窒素成分を同時に濃縮吸着させた後、固液分離により除去することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
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