JP6818286B1 - 泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素の不溶化方法 - Google Patents

泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素の不溶化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重金属類に対して高い吸着能を持ち、鉱物学的に安定な酸化水酸化物鉱物微粒子の、放置しても固液分離しにくいスラリー及びその製造方法を提供すること。【解決手段】請求項1又は2に記載のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの製造方法であって、塩化第二鉄に、Al(OH)n(3−n)+(nは、0よりも大きく、4以下。)という平均組成を持つアルミニウムイオンの塩又は水酸化物を混合する第1工程と、前記混合物に、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が、第1工程で添加されたものと合わせて2〜2.5になるようにアルカリを添加する第2工程とからなる。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法に関し、特に、産業廃棄物や一般廃棄物に含まれる泥土や土砂に含まれる重金属等の不溶化等に好適に用いることができるアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法に関するものである。
ここで、本明細書における「重金属等」とは、土壌汚染対策法施行規則における第二種有害物質を指す。
従来、例えば、シールド工事、推進工事等の地下インフラ建設工事で発生する泥土、すなわち、高含水比の軟弱な土砂や泥水等のスランプ値が0cm未満の泥土(普通の泥はスランプ値0cmであり、自立性を確保している。)は、産業廃棄物として脱水処理した後、最終処分場に埋立て廃棄処分されている。このような泥土の処理は、脱水処理に経費とエネルギがかかる上、泥土の再利用を行わないので著しく非経済的である。また、最近は、最終処分場の容量が不足するという問題もある。
こうしたことを背景に、土木・建設工事等で発生する泥土のリサイクルの必要性が高まっている。そして、これまで利用価値のなかった泥土について、施工業者自らが泥土の発生現場で改質剤を混合して改質処理を施すことにより、これを強度の高い一般建設残土と同等の土砂に改質して利用価値を創出し、改質処理現場から再利用先へと直接搬送して、路盤材、埋め戻し土、宅地造成土、土手の盛土等の種々の用途に再利用する技術の開発が進められている。
泥土の再利用にあたっては、泥土を再利用した地盤の支持力を確保するため、脱水や固化材の添加混合等が必要とされる。それに加えて、泥土が環境基準を超える有害物質を含む場合にはそれを除去したり、溶出量を基準以下に低下させたりすることも必要である。
泥土に含まれる有害物質が重金属等である場合、鉄粉、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム等を含む無機物等による不溶化処理が行われてきたが、酸化マグネシウムを用いる場合、処理泥土がpH9以上のアルカリ性を示すことや、多量の粉体を添加することによる粉塵の問題や撹拌効率が問題視されていた(例えば、特許文献1参照。)。
これを解決する方法として、鉄粉を水に分散させ、後に磁選にて鉄粉を取り除く方法(例えば、特許文献2参照。)や、酸化マグネシウムを添加し、その後、酸性アルミニウム塩や酸性鉄塩等を用いて中和を行い、不溶化された脱水ケーキとする方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、酸化水酸化鉄鉱物の一種であるアカガネアイトを用いた濁水中重金属不溶化技術が存在しているが(例えば、特許文献4参照。)、泥土や泥水を対象とした技術ではなく、その剤型にまで言及した先行技術ではなかった。
また、単なる酸化水酸化鉄ではなく鉄とアルミニウムの複水酸化物を用い、それをスラリー状としてヒ素汚染土壌に注入することによってヒ素を不溶化する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。この技術で用いられているのはアルミニウムを含むフェリハイドライトであり、スラリーのpHは5〜7とされている。
ところで、従来、土壌に含まれる重金属の不溶化技術として、鉄系の材料を用いる場合、鋳造鉄粉やアトマイズ鉄粉又は水溶液である硫酸第二鉄や塩化第二鉄等が用いられてきた。しかし、粉末状で用いる場合には撹拌による均一混合が難しく、液体品は、pH1〜4の強酸性のものが多く、弱酸性ないし中性資材の使用が求められる場合には使用が難しいという問題があった。また、粉末製品を、現地あるいは隣接地において懸濁液化して利用する場合、水と固形分が分離しない等の品質安定性も要求される。
第二鉄塩水溶液にアルカリを添加してアルカリを添加することにより、低結晶性の酸化水酸化鉄微粒子を含む中性のスラリーを製造することができる。しかし、中性では低結晶性の酸化水酸化鉄はより大きな結晶へ変化する傾向があり、それによる比表面積の減少のため重金属等の吸着能が低下するおそれがある。また、中性では酸化水酸化鉄粒子は凝集するため、スラリーが固液分離するという問題もある。
塩化第二鉄とアルミニウム塩ないし水酸化アルミニウムの混合物にアルカリを添加して中和することにより、鉄とアルミニウムの複水酸化物の微粒子からなるスラリーを製造することができる。この複水酸化物は結晶成長しにくいことが知られており、比表面積の低下を抑制することができる。しかし、中性では複水酸化物が凝集しやすく、固液分離するという問題があることは酸化水酸化鉄微粒子のスラリーの場合と同様である。
特開2017−221921号公報 特開2017−196620号公報 特開2009−13427号公報 特開2019−76863号公報 特許第5238959号公報
本発明は、重金属類(例えば、ヒ素、フッ素等。)に対して高い吸着能を持ち、鉱物学的に安定な酸化水酸化物鉱物微粒子であって、放置しても固液分離しにくいアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、アルミニウムを含有する酸化水酸化物を含み、その酸化水酸化物の少なくとも一部がアルミニウム含有アカガネアイトであるpH5未満のスラリーであることを特徴とする。
このアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、スラリーの固形分含有量が50g/kg以上であり、静置しても固液分離しないものである。
本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの製造方法は、上記アルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの製造方法であって、塩化第二鉄に、Al(OH) (3−n)+(nは、0よりも大きく、4以下。)という平均組成を持つアルミニウムイオンの塩又は水酸化物を混合する第1工程と、前記混合物に、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が、第1工程で添加されたものと合わせて2〜2.5になるようにアルカリを添加する第2工程からなることを特徴とする。
さらに、本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの製造方法は、前記第1工程と第2工程に加えて、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が、第1工程及び第2工程で添加されたものと合わせて2.5〜2.99になるようにアルカリを添加する第3工程からなる。
本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法によれば、鉱物学的に安定なアルミニウム含有酸化水酸化鉄を含有し、長期間静置しても固液分離しないスラリーを効率よく製造することができる。また、本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、現場でそのまま泥土や土砂に均一混合しやすく、それに含まれる重金属等を効率的に不溶化することができる。
さらに、鉄とアルミニウムの合計に対して添加する水酸化物イオンのモル比を合計で2.99以下とすることにより、スラリーのpHは5未満となり、アルミニウム含有酸化水酸化鉄が鉱物学的に安定に保たれる。
本発明のアルミニウム種として多核ヒドロキソアルミニウムイオン、水酸化アルミニウム及びアルミン酸イオンを用いて製造したアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーに含まれる固形分の粉末X線回折図である。
以下、本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法の実施の形態を説明する。
本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、酸化水酸化鉄構造における鉄の一部がアルミニウムで置換された、アルミニウム含有酸化水酸化鉄微粒子が水溶液に懸濁したものであり、そのアルミニウム含有酸化水酸化鉄の少なくとも一部がアルミニウム含有アカガネアイトであればよい。前記アカガネアイトに加えて遊離の水酸化アルミニウムや、フェリハイドライト等の鉱物を含んでいてもよい。
このアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、その構造における鉄の一部がアルミニウムで置換されることで、結晶成長が妨げられ、大きな結晶の成長による比表面積の低下とそれに伴う重金属類吸着能の低下を抑制することができる。
添加するアルミニウム種の量に関しては原理的な制限はないが、鉄とアルミニウムの合計量に対するアルミニウムのモル比が0.05〜0.3であることが好ましい。
このモル比が0.05を著しく下回ると、酸化水酸化鉄の結晶成長抑制作用が少なくなり、0.3を上回るとアルミニウムのすべては酸化水酸化鉄構造に組み込まれることなく、水酸化アルミニウムとして別相を形成するようになる。
酸化水酸化鉄スラリーにおいては、一般に、そのpHを5以上、特に6〜7にすると粒子が凝集して巨視的な固液分離を起こす。
しかし、本発明で製造したスラリーにおいては、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が前工程で添加されたものと合わせて2〜2.99になるようにアルカリを添加するという製造条件ではpHは5未満に保たれ、また、固形分濃度が50g/kg以上であるため巨視的な固液分離を避けることができる。
さらに、pHが5未満であることにより、製造物の保存中の酸化水酸化物鉱物の鉱物学的変質、例えば、粒子が大きく比表面積の小さいゲータイトの生成等を抑制することができる。
[スラリーの製造方法]
[第1工程]
本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの製造方法は、塩化第二鉄の水溶液に、Al(OH) (3−n)+という平均組成を持つアルミニウム種を含む溶液又は固体を投入して均一にする第1工程を有する。ここで、前記組成式のnの値は、0よりも大きく、4以下であればよいが、より好ましくは2.5以上である。
前記組成式においてn=2.5のものとしては、多核ヒドロキソアルミニウムイオンが、n=3.0のものとしては水酸化アルミニウムが、n=4のものとしてはアルミン酸イオンがある。また、アルミニウムイオン(Al3+)と多核ヒドロキソアルミニウムイオンの混合物の場合には、存在比率によってnの値は0〜2.5となる。
塩化第二鉄溶液に、Al(OH) (3−n)+という平均組成を持つアルミニウム種を混合すると、アルミニウムイオンよりも鉄イオン(III)の方が水酸化物になりやすいため、アルミニウム種に配位した水酸化物イオンの大部分は鉄イオンに移行し、酸化水酸化鉄、特にアカガネアイトの生成が始まる。このときアルミニウムイオンの一部は生成する酸化水酸化鉄鉱物に取り込まれる。
アルミニウム種として水酸化アルミニウムを用いる場合、非晶質の水酸化アルミニウムを用いるのが好ましく、また、撹拌しながら、反応液を50℃〜100℃に加熱することが好ましい。
酸化水酸化鉄にアルミニウムを含有させるために、Al(OH) (3−n)+という平均組成を持つアルミニウム種を用いることの利点は、酸化水酸化鉄を生成させるために必要な水酸化物イオンの一部がアルミニウム種とともに供給されるため、第2工程以降で添加すべきアルカリの量を削減することができる点である。
そしてこのことにより、製造したスラリー中の固形分あたりの遊離塩類含有量を、アルミニウムを塩化アルミニウム(AlCl)、硝酸アルミニウム(Al(NO)、硫酸アルミニウム(Al(SO)等の単純な塩として添加する場合よりも低くすることができる。
製造に用いる塩化第二鉄の濃度は、第1工程で添加するアルミニウム種の形態や濃度、第2工程及び第3工程で添加するアルカリの形態や濃度をすべて勘案して決定すべきであり、製造されたスラリー中の固形分濃度が50g/kgを下回らないような濃度にすべきである。
[第2工程]
第2工程においては、第1工程においてアルミニウム種から供給された水酸化物イオン量と合算して、鉄とアルミニウムの合計量に対するモル比が2〜2.5になるような量の水酸化物イオンを供給することができる量のアルカリを添加する。
この工程において、酸化水酸化鉄鉱物、中でもアカガネアイトが生成し、アルミニウムイオンがその構造中に取り込まれる。
アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩の中から選ばれるものを用いることが好ましい。
添加形態は固体でも、溶液やスラリーでもよいが、第1工程で用いられた塩化第二鉄の濃度及び第3工程で用いられるアルカリの種類、形態及び量を勘案して、製造物であるアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの固形分濃度が50g/kgを下回らないように種類、形態、濃度を選択すべきである。
アルカリの種類の選択においては、アルミニウム含有酸化水酸化物スラリーの使用対象である泥土の分散・凝集についての要求も勘案すべきである。使用対象の泥土や土砂に含まれる微粒子の凝集が好ましくない場合には、アルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩を用いるべきであり、中でもナトリウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩が好ましい。
逆に、泥土や土砂に含まれる微粒子の凝集を促進することが好ましい場合には、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩を用いるべきであり、中でもカルシウムの水酸化物、炭酸塩が好ましい。
第1工程及び第2工程を経て製造されたアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーのpHは2〜4であり、酸化水酸化鉄に加えて鉄(III)イオン(Fe3+)も残存する。この鉄(III)イオンは、泥土に添加されたとき、泥土の酸緩衝作用によって泥土や土砂中で酸化水酸化物を生成し、このときに重金属類を取り込む効果が期待される。
[第3工程]
第1工程及び第2工程を経た後のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーのpHは2〜4である。場合によっては、不溶化のために泥土や土砂に添加される資材の酸性度がより低いことが要求されることがある。このような現場で使用するためには、第1工程及び第2工程を経て製造されたアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーにさらにアルカリを添加することが好ましい。この第3工程で用いるアルカリの選択方針も、第2工程で用いるアルカリの選択と同じである。
第3工程では、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が前の工程で添加されたものと合わせて2〜2.99になるようにアルカリを添加する。
この場合、特にモル比を3に近く設定したい場合には、あらかじめモル比とスラリーのpHの関係を調べておき、希望するモル比に対応するpHになるまでアルカリを添加する方法が効果的である。
[アルミニウム種として多核ヒドロキソアルミニウムイオンを用いた製造]
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、アルミニウム濃度6.2mol/Lの多核ヒドロキソアルミニウムイオン(Al(OH)2.5 0.5+)の塩化物溶液2.27mLを加え、12時間反応させた。この溶液を撹拌しながら、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液30.7mLを徐々に添加した。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.0のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、アルミニウム濃度6.2mol/Lの多核ヒドロキソアルミニウムイオン(Al(OH)2.5 0.5+)の塩化物溶液2.27mLを加え、12時間反応させた。この溶液を撹拌しながら、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液30.7mLを徐々に添加した。次いで撹拌を継続しながら12.6gの炭酸水素ナトリウムを加えた。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.99のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
[アルミニウム種としてアルミン酸塩を用いた製造]
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、アルミニウム濃度5.87mol/Lのアルミン酸ナトリウム溶液2.27mLを加え、12時間反応させた。用いたアルミン酸ナトリウム溶液は3.18mol/Lの過剰の水酸化ナトリウムを含んだものである。溶液の撹拌を継続し、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液27.1mLを徐々に添加した。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.0のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、アルミニウム濃度5.87mol/Lのアルミン酸ナトリウム溶液2.27mLを加え、12時間反応させた。用いたアルミン酸ナトリウム溶液は3.18mol/Lの過剰の水酸化ナトリウムを含んだものである。溶液の撹拌を継続し、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液27.1mLを徐々に添加した。次いで撹拌を継続しながら12.6gの炭酸水素ナトリウムを加えた。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.99のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
[アルミニウム種として水酸化アルミニウムを用いた製造]
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、実験室で調製した水酸化アルミニウムを乾物相当で2.34g加え、12時間反応させた。溶液の撹拌を継続し、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液27.6mLを徐々に添加した。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.0のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
3.4mol/Lの塩化第二鉄溶液50gを撹拌しながら、実験室で調製した水酸化アルミニウムを乾物相当で2.34g加え、12時間反応させた。溶液の撹拌を継続し、濃度7.6mol/Lの水酸化ナトリウム溶液27.6mLを徐々に添加した。次いで撹拌を継続しながら12.6gの炭酸水素ナトリウムを加えた。この方法では、鉄とアルミニウムの合計に対するアルミニウムのモル比が0.1であり、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.99のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが生成する。
前述の3通りの方法で製造したスラリーに含まれる酸化水酸化鉄を凝集させてメンブランフィルタ上に捕集し、水洗して脱塩した後、風乾し、その粉砕物の粉末X線回折を行った結果を図1に示す。
図1において、アカガネアイトの存在を示すピーク(図中の矢印参照。)が検出されたが、水酸化アルミニウム鉱物に由来すると考えられるピークは認められなかった。
[重金属等処理試験例]
鉛、フッ素、ヒ素(III)及びヒ素(V)の濃度が、表1に記載の濃度である溶液200mLをポリプロピレン瓶に入れ、1gのアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーを添加した後、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを5.5〜8.5の範囲に入るように調整して1時間振とう後、0.45mmのメンブランフィルタでろ過して、ろ液の重金属等の濃度を測定した。
この試験に用いたアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーは、塩化第二鉄溶液とアルミン酸ナトリウムを原料として製造したものであり、酸化水酸化鉄スラリー1は、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.0のもの、酸化水酸化鉄スラリー2は、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が2.99のものである。なお、比較のためポリ塩化第二鉄及び酸化マグネシウムの10%スラリーを用いて同様の操作を行った。
重金属類の溶液に添加した後、pHを調節したのは、資材間の比較を同じ条件で行うためと、一般に泥土や土砂のpHは中性に近く、それに対して1%程度の不溶化資材を添加したときには、泥土の酸塩基緩衝採用によって最終pHは泥土のpHに近くなることが多いからである。
試験結果を表1に示す。
Figure 0006818286
表1に示すとおり、酸化水酸化鉄スラリー、特に酸化水酸化鉄スラリー1は、重金属等に対して高い除去能を示した。特にフッ素に対しては、比較に用いた資材の効果が比較的低い中で唯一、反応後の濃度を環境基準以下にすることができた。
この試験での、水に対する添加率は0.5%であり、含水比50%の泥土に対して1.7g/kg(0.17%)添加することに相当する。また含水比100%の泥土に対しては2.5g/kg(0.25%)添加することに相当する。現実の泥土の処理においては、理想的な均一混合の困難さを考慮して、少なくとも2〜3%の資材を混合することが一般的である。
表1に記載の試験結果は、本発明の酸化水酸化鉄スラリーが、環境基準の10〜50倍程度のヒ素溶出量を示す泥土の不溶化処理のために十分の能力を有することを示す。
以上、本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法について、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリー及びその製造方法は、重金属類に対して高い吸着能を持ち、鉱物学的に安定な酸化水酸化物鉱物微粒子の、放置しても固液分離しにくいスラリー及びその製造方法を提供することができることから、一般廃棄物や産業廃棄物に含まれる土砂や泥土に含まれるヒ素やフッ素等の重金属の不溶化等の用途に好適に用いることができるほか、セレンやクロム等の重金属等の不溶化等の用途にも広く用いることができる。

Claims (3)

  1. フッ素及び/又はヒ素を含有する泥土や土砂に、アルミニウムを含有する酸化水酸化物を含み、その酸化水酸化物の少なくとも一部がアルミニウム含有アカガネアイトである、pH5未満のスラリーからなるアルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーを添加、混合することによって、泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素を不溶化する方法であって、前記アルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが、塩化第二鉄に、Al(OH) (3−n)+ (nは、0よりも大きく、4以下。)という平均組成を持つアルミニウムイオンの塩又は水酸化物を混合する第1工程と、前記混合物に、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が、第1工程で添加されたものと合わせて2〜2.5になるようにアルカリを添加する第2工程を経て得られたものからなることを特徴とする泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素の不溶化方法。
  2. 前記アルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーが、第1工程と第2工程に加えて、鉄とアルミニウムの合計に対する水酸化物イオンのモル比が、第1工程及び第2工程で添加されたものと合わせて2.5〜2.99になるようにアルカリを添加する第3工程を経て得られたものからなることを特徴とする請求項に記載の泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素の不溶化方法。
  3. 前記アルミニウム含有酸化水酸化鉄スラリーの固形分含有量が50g/kg以上であり、静置しても固液分離しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の泥土や土砂に含まれるフッ素及び/又はヒ素の不溶化方法。
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