JP2014017108A - 固体電解質粒子及びその組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される少なくとも1つの成分と、リンと硫黄とを含み、レーザー回折式粒度分布測定方法により測定される体積基準平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である固体電解質粒子。
【選択図】なし
Description
ここで、高容量の二次電池としてリチウムイオン電池がある。該リチウムイオン電池は、有機溶媒を含む電解液であるため、液漏れの心配や発火の危険性がある。
しかし、特許文献1に記載の硫化物系固体電解質は、リチウムを必須成分としているため、今後、リチウムイオン電池の需要増加に伴い、原料であるリチウム源が不足する恐れがある。
しかし、非特許文献1に記載のナトリウム電池は電池性能が低いという欠点があった。
1.ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される少なくとも1つの成分と、リンと硫黄とを含み、レーザー回折式粒度分布測定方法により測定される体積基準平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である固体電解質粒子。
2.前記少なくとも1つの成分がナトリウムである1に記載の固体電解質粒子。
3.前記体積基準平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であり、90%以上の粒子の体積基準粒子径が20μm以下である1又は2に記載の固体電解質粒子。
4.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子を含む組成物。
5.ニトリル化合物を含む4に記載の組成物。
6.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を含む電解質層。
7.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を含む電極層。
8.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を含む電池。
9.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を用いて製造した電解質層。
10.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を用いて製造した電極層。
11.1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は4又は5に記載の組成物を用いて製造した電池。
(1)固体電解質
本発明の固体電解質粒子は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される少なくとも1つの成分と、リンと、硫黄とを含む。
好ましくは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウムであり、より好ましくは、ナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくは、ナトリウムである。
また、ハロゲン元素として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含んでもよく、ハロゲン元素を含む場合には、好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素であり、さらに好ましくは、塩素、臭素である。
LaMbPcSdXe…(1)
Lは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はラジウムである。
Lは、好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウムであり、より好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムである。
0.1≦b≦3であり、好ましくは0.2≦b≦3であり、より好ましくは0.2≦b≦2であり、最も好ましくはbが0である。
0.5<c≦5であり、好ましくは0.5≦c≦4であり、より好ましくは0.8≦c≦4であり、最も好ましくはcが1である。
0<d≦15であり、好ましくは1≦d≦15であり、より好ましくは1≦d≦13であり、最も好ましくは0.5≦d≦12である。
0≦e≦3であり、好ましくは0≦e≦2であり、より好ましくは0≦e≦2である。
又は、0.1<e≦3であることが好ましく、0.1≦e≦2であることがより好ましく、0.2≦e≦2であることがさらに好ましい。
ここで、結晶構造として、Na3PS4結晶構造が好ましい。イオン伝導度を高くすることができるからである。
以下、固体電解質の製造方法を例示するが、固体電解質は、下記製造方法により製造された固体電解質に限定されないことはいうまでもない。
下記式(3)で表わされる化合物と、硫化燐、硫黄と燐、硫化燐と硫黄、又は硫化燐と硫黄と燐と、を原料とする。
LyS…(3)
Lは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はラジウムである。
Lは、好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウムであり、より好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムである。
尚、Sは硫黄を意味する。
例えば、Na2S(硫化ナトリウム),K2S,Rb2S、BeS,MgS、CaS,SrS、BaS等を用いることができる。これらは2種以上混合して使用してもよい。
ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、Na3PO4、Na4SiO4、Na4GeO4、Na3BO3、Na3AlO3、Na3CaO3、Na3InO3等の無機化合物が挙げられる。
MwXx…(2)
Mは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb,Bi又はこれらの組合せである。
Mは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、燐又はこれらの組合せであり、より好ましくは、ナトリウム、カリウム、燐又はこれらの組合せであり、さらに好ましくはナトリウム、燐又はこれらの組合せである。
wは0.5以上5以下、好ましくは0.5以上4以下、さらに好ましくは以上3以下であり、最も好ましくは1である。
xは1以上10以下の整数から選ばれる任意の整数であり、好ましくは0.5以上6以下の整数から選ばれる任意の整数であり、より好ましくは1以上5以下の整数から選ばれる任意の整数であり、最も好ましくは、1又は3である。
以下、原料として硫化ナトリウムと五硫化二リンを用いた固体電解質(ガラス)の製造方法について説明する。
硫化ナトリウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、例えば60:40〜90:10、好ましくは65:35〜85:15又は70:30〜90:10であり、より好ましくは67:33〜83:17又は72:28〜88:12であり、さらに好ましくは67:33〜80:20又は74:26〜86:14である。特に好ましくは、70:30〜80:20又は75:25〜85:15である。最も好ましくは、硫化ナトリウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、72:28〜78:22、又は77:23〜83:17である。
上記原料を用いて、以下の方法で固体電解質(ガラス)を製造できる。
溶融急冷法は、P2S5とNa2Sとを所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。
例えば、乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
MM法は、P2S5とLi2Sとを所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。
機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
例えば、P2S5とNa2Sとを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の固体電解質(ガラス)を得ることができるという利点がある。
また、MM法では固体電解質(ガラス)の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が、60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。具体的には、P2S5とNa2Sとを所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
原料を炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレンが好ましい。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて固体電解質を製造する方法である。炭化水素系溶媒は、上記と同様のものが使用できる。
この装置1を用いて、固体電解質を製造するときは、炭化水素系溶媒と原料を、粉砕機10と温度保持槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する。オイルバス40により温度保持槽20内の温度を保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で反応させて固体電解質を合成する。温度保持槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と温度保持槽20で固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50,52を通って、粉砕機10と温度保持槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
原料を炭化水素系溶媒中で接触させて製造する方法である。炭化水素系溶媒は、上記と同様のものが使用できる。
接触(反応)工程時の温度は、通常、50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常、5分以上200時間以下、好ましくは、10分以上100時間以下である。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱するなどである。
固体電解質(ガラスセラミックス)は、上記固体電解質(ガラス)(硫化物ガラス)を加熱処理することにより得られる。加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
さらに、溶媒中(例えば、炭化水素系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒は上記と同様である。)で加熱してもよい。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、電解質前駆体1の結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。また、熱物性中に2つの温度ピークがある場合は低温側のピーク温度をこの場合のTcとし、低温側のTcと高温側の第二結晶化ピークと(Tc2)の間で熱処理することが好ましい。
本発明の固体電解質粒子は、レーザー回折式粒度分布測定方法により測定される体積基準平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である。
体積基準平均粒子径が0.01μm以上であれば、ハンドリング容易になり、体積基準平均粒子径が50μm以下であれば、この電解質粒子を用いて製造した電解質層と電極層の空孔を減らすことができるとともに、電極層での電極活物質とより多く接触することができる。エネルギー密度と出力密度を向上させた全固体電池を得ることができる。
また、体積基準平均粒子径は、2.5μm以下が好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。体積基準平均粒子径がこのように小さいと、固体電解質粒子を含むスラリーを用いて層を形成するとき、均一の層を形成できる。
レーザー回折式粒度分布測定装置がMalvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000である場合の測定例は以下の通りである。
固体電解質含有組成物の添加量は組成物の濃度によって最適量は異なるが、概ね10μL〜200μL程度である。
本発明の組成物は、上記の固体電解質粒子を含む。さらに溶媒及び/又はニトリル化合物を含むことができる。
沈降容積分率は、後述する実施例に記載の方法で評価できる。
溶媒は好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは固体電解質と反応性の少ない炭化水素系有機溶媒である。
炭化水素系有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカリン等が挙げられる。塗布形成後の乾燥工程を考慮した場合、沸点が低いヘキサン、トルエン及びキシレンが好適に使用できる。
また、溶媒はニトリル化合物であってもよい。ニトリル化合物については後述する。
固体電解質粒子の含有量が少ない5:95(重量比)未満では、後述する製造方法において、固体電解質の粉砕量が少ないために製造の効率が悪くなるおそれがあり、50:50超では、組成物スラリーの粘度が増大して、移送等の点で取扱いにくくなるおそれがある。
本発明の組成物は、溶媒としてニトリル化合物を含むことができ、また、溶媒がニトリル化合物でない場合には、好ましくはさらにニトリル化合物を含む。ニトリル化合物を含むと固体電解質粒子がよく分散する。
R−CN
(式中、Rは、炭素数が1以上10以下のアルキル基、環形成炭素数が3以上10以下のシクロアルキル基、又は環形成炭素数が6以上18以下の芳香族環を有する基であり、好ましくは分岐した構造を有する炭素数3以上6以下のアルキル基であり、より好ましくは分岐した構造を有する炭素数3以上5以下のアルキル基である。)
ニトリル化合物の含有量が少ない0.1:99.9(重量比)未満では、固体電解質粒子の分散効果が低くなるおそれがあり、ニトリル化合物の含有量が多い50:50超では、固体電解質粒子の分散効果が向上しないおそれがある。
本発明の固体電解質粒子及び本発明の組成物の製造方法は特に問わないが、例えば、粒径が大きな固体電解質粒子を、溶媒を含む組成物中で粉砕することで製造することができる。また、粒径が大きな固体電解質粒子を、ニトリル化合物と溶媒を含む組成物中で粉砕することで製造することができる。
また、粒径が大きな固体電解質粒子に溶媒を添加せずに粉砕することにより製造することもできる。
尚、特にニトリル化合物の溶媒に対する含有量が少ない、ニトリル化合物:溶媒=0.1:99.9(重量比)未満の場合、分散中の固体電解質粒子の凝集を防止できないおそれがあり、固体電解質粒子の微粒化ができないおそれがある。
上記粉砕機としては、好ましくはボールミル、ビーズミル、ウォータジェットミル、ホモジナイザー等であり、より好ましくはボールミル、ビーズミル等の反応容器の内部にボール又はビーズを備える装置である。
尚、ビーズミル等での粉砕は、必要に応じて粒径の異なるビーズ等を併用した多段式粉砕を用いることが好ましい。
本発明の電解質微粒子を用いることにより、電解質層及び電極層を非常に薄くすることができ、電解質層自体のイオン伝導性を高めることができる。例えば本発明の電解質微粒子を含む電解質層及び電極層の膜厚は、10μm以下とすることができる。
本発明の電解質層は、上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を含む、または、上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を用いて製造する。
バインダーは、特に問わないが、例えば、フッ化ビニリデン系が好適であり、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリシロキ酸、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
本発明の電極層は、上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を含む、又は上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を用いて製造する。
活物質が正極活物質である場合、ナトリウムイオンをドープかつ脱ドープすることができる化合物であればよく、無機化合物が好ましく用いることができる。
硫化物系では、硫黄(S)、硫化チタン(TiS2),硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS,FeS2)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni3S2)等が挙げられる。好ましくは、TiS2である。
酸化物系では、酸化ビスマス(Bi2O3)、鉛酸ビスマス(Bi2Pb2O5)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V6O13)等が挙げられる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物等を挙げることができる。
正極活物質は、必要に応じて表面を酸化物、硫化物等でコート処理した正極活物質も好適に使用できる。
正極活物質の形状としては、粒子形状を挙げることができ、真球状叉は楕円球状であることが好ましい。また、粒子状である場合は、その平均粒径は、0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲を逸脱すると稠密な正極層が得られない場合がある。
より好ましくは、1〜50μmの範囲、特に好ましくは、1〜25μmの範囲である。
活物質が負極活物質である場合、当該負極活物質は、ナトリウムイオンの挿入脱離が可能な電池分野において公知の負極活物質を使用できる。
具体的には、ナトリウム金属、ナトリウム合金、又は炭素材料を用いることができる。
ナトリウム合金としては、Na−Sn、Na−Zn、Na−Al等を挙げることができる。
炭素材料としては、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
本発明の電池は、上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を含む、又は上記の固体電解質粒子及び/又は組成物を用いて製造する、又は上記電解質層及び電極層の少なくとも1つを備える。
上記電解質層以外の電解質層は公知の電解質層(ポリマー電解質、非水系電解質等)を用いることができる。また、上記電極層以外の電極層は公知の電極層を用いることができ、例えば、上記活物質と電解質との合材を用いた電極がある。
[固体電解質ガラス粗粒子1の製造]
Na2S(高純度化学研究所製)とP2S5(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。Na2S 25.72g(75モル%)とP2S5 24.288g(25モル%)を10mmφアルミナボールが175個入った500mlアルミナ製容器に入れ、さらに脱水トルエン(和光純薬社製)68mlを加え密閉した。上記の計量、添加、密閉作業はすべてグローブボックス内で実施し、使用した器具類はすべて乾燥機で事前に水分除去した。また、脱水トルエンはカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
密閉したアルミナ製容器を、遊星型ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、290rpmで、18時間メカニカルミリング処理することで白黄色の粉末スラリー(クリーム状)を得た。
これをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒータにより乾燥し、固体電解質ガラス粗粒子1(粉体)を得た。
体積基準平均径は、110μmであった。体積基準平均径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd製、型番:マスターサイザー2000)で測定した。
この粉体のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行った結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることが確認された。
上記固体電解質ガラス粗粒子(粉体)をグローボックス内、アルゴン雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃で2時間の加熱処理を行った。処理後の粉体のX線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミック粗粒子1であることが判った。
体積基準平均径は、137μmであった。
この固体電解質ガラスセラミック粗粒子1のイオン伝導度は、2×10−4 S/cmであった。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加えて成形体を得た。次いで、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に配置し、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径10mm、厚み1mm)を作成した。この成形体について、交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
得られた粗粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料Na2Sのピークは観測されず、固体電解質ガラスセラミックのXRDパターンであった。
アシザワファインテック社製ビーズミルLMZ015に攪拌機付容器を連結し、得られた上記固体電解質ガラスセラミック粗粒子1を含むスラリーを、ポンプにより循環する方法で粉砕した。
具体的には、ビーズミルに0.5φZrO2ビーズを440g仕込み、攪拌機付容器に無水トルエン溶媒1031.9g、イソブチロニトリル102.1g、固体電解質ガラスセラミック粗粒子1を126.0gからなるスラリーを仕込んだ。スラリーを200mL/minで循環しながら、ミルの翼先端速度10m/srpmで2時間処理し、固体電解質粒子を含むスラリーを回収した。次に、ビーズミルのZrO2ビーズを0.1φZrO2ビーズに入れ換え、この回収した固体電解質粒子を含むスラリーを上記方法と同様にして再度処理し、固体電解質粒子1を含むスラリー得た。
また、得られた固体電解質粒子1を含むスラリーをよく攪拌した後、24時間静置し、沈降容積分率(固体電解質粒子1が沈降した容積/全スラリー容積×100)を測定したところ、82%であった。加えて、得られたスラリーを用いてドクターブレード法にて、塗布膜(膜厚 70μm)を形成したところ、目視で均一な膜が得られた。結果を表1に示す。
固体電解質粒子1を含むスラリーを攪拌しながら20ml抜き出し、メスシリンダーで全スラリー容積を測定した。スラリーをよく攪拌した後、24時間静置し、固体電解質粒子1が沈降した部分の容積を測定した。それぞれの値を用いて、固体電解質粒子1が沈降した容積/全スラリー容積×100から、沈降容積分率を求めた。全ての操作は、不活性ガス雰囲気下で行い、試料が大気に触れないように実施した。
固体電解質粒子1の製造において、無水トルエン溶媒の仕込み量を1088.6g、及びイソブチロニトリルの仕込み量を45.4gとした他は実施例1と同様にして、固体電解質粒子を含むスラリーを調製し、評価した。
固体電解質粒子1の製造において、固体電解質ガラスセラミック粗粒子1の代わりに固体電解質ガラス粗粒子1を用いた他は実施例1と同様にして、固体電解質粒子を含むスラリーを調製し、評価した。
[固体電解質ガラス粗粒子2の製造]
固体電解質ガラス粗粒子1の製造において、Na2Sを29.2gとP2S5(アルドリッチ社製)を20.8gをアルミナ容器に入れ密閉した他は、実施例1と同様にして690gの固体電解質ガラス粗粒子2を得た。原料のモル比は、Na2S:P2S5=80:20(モル比)であった。得られた固体電解質ガラス粗粒子2の体積基準平均粒子径は126μmであり、X線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料Na2Sのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
固体電解質粒子1の製造において、固体電解質ガラスセラミック粗粒子1の代わりに固体電解質ガラス粗粒子2を用いた他は実施例1と同様にして、固体電解質粒子を含むスラリーを調製し、評価した。
固体電解質粒子1の製造において、脱水トルエンの仕込み量を1134.0gとし、イソブチロニトリルを添加しなかった他は実施例1と同様にして、固体電解質粒子を含むスラリーを調製し、評価した。
実施例5において、固体電解質ガラスセラミック粗粒子1の代わりに固体電解質ガラス粗粒子2を用いた他は実施例5と同様にして、固体電解質粒子を含むスラリーを調製し、評価した。
示す。
ジェットミル(セイシン企業社製子ジェット)を用いて、固体電解質ガラス粗粒子1を粉砕した。
処理条件は、処理量90g/hr、粉砕流体に圧力0.7MPaの窒素を用いた。
固体電解質ガラス粗粒子1を固体電解質ガラス粗粒子2に変更した以外は、実施例7と同様に行った。
固体電解質ガラス粗粒子1を固体電解質ガラスセラミック1に変更した以外は、実施例7と同様に行った。
固体電解質ガラスセラミック粗粒子1を13.7gに溶媒として脱水トルエンを123.7g加えて調整したスラリーに直径0.2mmジルコニアビーズ545gを加えてバッチ式ビーズミル(アイメックス社製)を用いて回転数2000rpmで1時間粉砕した。体積基準平均粒子径は、55μm、90μm以下の粒子が90%であった。また、沈降容積分率は5%であった。塗布膜を形成したところ膜に一部に穴ができた。固体電解質層のシートとして使用できない。
10 粉砕機
20 温度保持槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管
52 第2の連結管
54 ポンプ
Claims (11)
- ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される少なくとも1つの成分と、リンと硫黄とを含み、レーザー回折式粒度分布測定方法により測定される体積基準平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である固体電解質粒子。
- 前記少なくとも1つの成分がナトリウムである請求項1に記載の固体電解質粒子。
- 前記体積基準平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であり、90%以上の粒子の体積基準粒子径が20μm以下である請求項1又は2に記載の固体電解質粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子を含む組成物。
- ニトリル化合物を含む請求項4に記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を含む電解質層。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を含む電極層。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を含む電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を用いて製造した電解質層。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を用いて製造した電極層。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質粒子、及び/又は請求項4又は5に記載の組成物を用いて製造した電池。
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